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特開2022-79318毛髪脱色用組成物、毛髪脱色用キット、並びに毛髪脱色及び染色用キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079318
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】毛髪脱色用組成物、毛髪脱色用キット、並びに毛髪脱色及び染色用キット
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/38 20060101AFI20220519BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20220519BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
A61K8/38
A61K8/25
A61Q5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190443
(22)【出願日】2020-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】片岡 沙織
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝聡
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB351
4C083AB352
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC532
4C083CC35
4C083DD06
4C083EE05
4C083EE27
(57)【要約】
【課題】脱色力が高く、かつ所定の混合比率を守らず混合調製した場合にも過剰に発熱や発泡を抑制することができる毛髪脱色用組成物を提供する。
【解決手段】
過硫酸塩及びアルカリ剤を含む毛髪脱色用組成物であって、過硫酸塩が、過硫酸アンモニウム及び少なくとも一種のアルカリ金属過硫酸塩を含み、かつ過硫酸アンモニウムの含有量が、アルカリ金属過硫酸塩のそれぞれの含有量よりも多い、組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過硫酸塩及びアルカリ剤を含む毛髪脱色用組成物であって、
前記過硫酸塩が、過硫酸アンモニウム及び少なくとも一種のアルカリ金属過硫酸塩を含み、かつ
前記過硫酸アンモニウムの含有量が、前記アルカリ金属過硫酸塩のそれぞれの含有量よりも多い、組成物。
【請求項2】
前記アルカリ金属過硫酸塩が、過硫酸カリウムを含み、かつ
前記過硫酸カリウムの含有量が、前記過硫酸カリウム以外の前記アルカリ金属過硫酸塩のそれぞれの含有量よりも多い、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記過硫酸アンモニウムの含有量と、前記アルカリ金属過硫酸塩の合計含有量との比が、1:0.5~1.5である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アルカリ金属過硫酸塩が、過硫酸ナトリウムを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記過硫酸カリウムの含有量と、前記過硫酸ナトリウムの含有量との比が、1:0.0001~0.500である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルカリ剤が、メタケイ酸ナトリウムを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
粉末状であって、前記過硫酸塩の含有量が、30~80質量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤とを含む、毛髪脱色用キット。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤と、染毛用染料を含む第3剤と、を含む、毛髪脱色及び染色用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪脱色用組成物、毛髪脱色用キット、並びに毛髪脱色及び染色用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な毛髪脱色剤が開発されている。例えば、毛髪脱色剤としては、メタケイ酸ナトリウム等のアルカリ剤と過硫酸塩とを含む第1剤、及び過酸化水素を含む第2剤からなる二剤式のものが知られている。また、毛髪脱色剤としては、これらの第1剤及び第2剤に加えて、アンモニア等のアルカリ剤を含む第3剤からなる三剤式のものも知られている。いずれのタイプも、使用する前に、各剤(第1剤と第2剤と、又は第1剤と第2剤と第3剤と)を混ぜ合わせて調製する(すなわち、混合調製する)必要がある。
【0003】
このような過硫酸塩を含む毛髪脱色剤に関して、様々な開発がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1は、染毛力又は脱色・脱染力を維持しつつ、混合調製時における発泡及び発熱を抑制することができる毛髪化粧料組成物を開示している。より具体的には、特許文献1の組成物は、1:7~2:1(重量比)の割合でもって用時に混合される下記のA成分とB成分とを含むとともに、1.5~6.0重量%のメタケイ酸ナトリウムを含むことを特徴としている。
A成分:5~20重量%のメタケイ酸ナトリウムと、10~25重量%の過硫酸アンモニウムと、30~70重量%の過硫酸カリウムとを含み、過硫酸塩の含有量が60~85重量%である粉末状組成物;
B成分:5.0~9.0重量%の過酸化水素を含み、粘度が3000ミリパスカル秒(mPa・s)以下である液状組成物。
【0005】
また、特許文献2は、均一でムラがなく、且つ強力な脱色・脱染効果が得られ、毛髪の損傷や皮膚への刺激性が低く、作業環境を悪化させることがない脱色・脱染剤組成物を開示している。より具体的には、特許文献2の組成物は、酸化剤と、過硫酸カリウムと、過硫酸ナトリウムと、を含む脱色・脱染剤組成物であって、前記過硫酸カリウムの濃度が10~20重量%であり、且つ、前記過硫酸ナトリウムの濃度が0.5~3重量%であることを特徴としている。
【0006】
また、特許文献3は、好適な脱染効果を保持しつつ、毛髪の損傷を効果的に抑制できる脱染剤組成物を開示している。より具体的には、特許文献3の組成物は、過硫酸塩及びアルカリ化剤を含む脱染剤用第1剤と、酸化剤を含む脱染剤用第2剤とを1:1~1:3で混合して得られる脱染剤組成物であって、pHが7~9であり、かつ過硫酸塩の含有量が2~35重量%の量であることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-226343号公報
【特許文献2】特開2002-104943号公報
【特許文献3】特開2009-196916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような過硫酸塩を含む毛髪脱色剤は、使用説明書等に記載された所定の混合比率を守らず混合調製する場合には、過剰に発熱や発泡するおそれがある。
【0009】
なお、毛髪脱色剤を混合調製する際の発熱の原因は、混合に伴う溶解熱及び反応熱であると考えられ、また、発泡の原因は、過硫酸塩及び過酸化水素の分解反応がアルカリ剤であるメタケイ酸ナトリウム等により促進され、その結果として大量の酸素が急激に生成されるためであると考えられる。
【0010】
本発明は、上記の事情を改善しようとするものであり、その目的は、脱色力が高く、所定の混合比率を守らず混合調製した場合にも過剰な発熱や発泡を抑制することができ、かつ使用性が良好な、毛髪脱色用組成物を提供することである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、本発明の毛髪脱色用組成物を用いた、毛髪脱色用キット、並びに毛髪脱色・染色用キットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成する本発明は、以下のとおりである。
【0013】
〈態様1〉
過硫酸塩及びアルカリ剤を含む毛髪脱色用組成物であって、
前記過硫酸塩が、過硫酸アンモニウム及び少なくとも一種のアルカリ金属過硫酸塩を含み、かつ
前記過硫酸アンモニウムの含有量が、前記アルカリ金属過硫酸塩のそれぞれの含有量よりも多い、
組成物。
〈態様2〉
前記アルカリ金属過硫酸塩が、過硫酸カリウムを含み、かつ
前記過硫酸カリウムの含有量が、前記過硫酸カリウム以外の前記アルカリ金属過硫酸塩のそれぞれの含有量よりも多い、
態様1に記載の組成物。
〈態様3〉
前記過硫酸アンモニウムの含有量と、前記アルカリ金属過硫酸塩の合計含有量との比が、1:0.5~1.5ある、態様1又は2に記載の組成物。
〈態様4〉
前記アルカリ金属過硫酸塩が、過硫酸ナトリウムを含む、態様1~3のいずれか一項に記載の組成物。
〈態様5〉
前記過硫酸カリウムの含有量と、前記過硫酸ナトリウムの含有量との比が、1:0.0001~0.500である、態様4に記載の組成物。
〈態様6〉
前記アルカリ剤が、メタケイ酸ナトリウムを含む、態様1~5のいずれか一項に記載の組成物。
〈態様7〉
粉末状であって、前記過硫酸塩の含有量が、30~80質量%である、態様1~6のいずれか一項に記載の組成物。
〈態様8〉
態様1~7のいずれか一項に記載の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤とを含む、毛髪脱色用キット。
〈態様9〉
態様1~7のいずれか一項に記載の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤と、染毛用染料を含む第3剤と、を含む、毛髪脱色及び染色用キット。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、脱色力が高く、所定の混合比率を守らず混合調製した場合にも過剰な発熱や発泡を抑制することができ、かつ使用性が良好な、毛髪脱色用組成物及びそれを用いたキットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0016】
《毛髪脱色用組成物》
本発明の毛髪脱色用組成物は、
過硫酸塩及びアルカリ剤を含む毛髪脱色用組成物であって、
前記過硫酸塩が、過硫酸アンモニウム及び少なくとも一種のアルカリ金属過硫酸塩を含み、かつ
前記過硫酸アンモニウムの含有量が、前記アルカリ金属過硫酸塩のそれぞれの含有量よりも多い。
【0017】
本発明者の鋭意研究により、過硫酸塩として、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等のアルカリ金属過硫酸塩よりも、過硫酸アンモニウムを用いると、脱色力が維持されながら、所定の混合比率を守らず混合調製する際の発熱及び発泡が最も抑制されることが見出された。
【0018】
このような結果を踏まえて、本発明者は、過硫酸アンモニウムの含有量が、アルカリ金属過硫酸塩のそれぞれの含有量よりも多いという要件を満たす場合では、特に、本発明の効果を発揮できることを見出した。
【0019】
また、本発明者の鋭意研究により、過硫酸塩として、過硫酸アンモニウムと共に、比較的少量のアルカリ金属過硫酸塩を併用する場合、特に、過硫酸カリウムを併用する場合には、過硫酸アンモニウムによる使用性の悪化、特に過硫酸アンモニウムによる臭いを抑制しつつ、上記の本発明の効果をより発揮できることが見出された。更に、過硫酸カリウムの含有量が、過硫酸カリウム以外のアルカリ金属過硫酸塩のそれぞれの含有量よりも多いという要件を満たす場合では、本発明の効果を更により発揮できることを見出した。ここで、「過硫酸カリウムの含有量が、過硫酸カリウム以外のアルカリ金属過硫酸塩のそれぞれの含有量よりも多い」とは、アルカリ金属過硫酸塩が、過硫酸カリウム以外のアルカリ金属過硫酸塩を含んでもいてもよく、含んでいなくてもよいが、過硫酸カリウム以外のアルカリ金属過硫酸塩を含む場合には、過硫酸カリウムの含有量は、含まれる過硫酸カリウム以外のアルカリ金属過硫酸塩のいずれの含有量よりも多いことを意味する。
【0020】
更に、本発明者の鋭意研究により、アルカリ金属過硫酸塩が、過硫酸ナトリウムを含む場合、すなわち、過硫酸塩として、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸ナトリウムの3種類を併用する場合では、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸ナトリウムのそれぞれの質量含有量として、「過硫酸アンモニウム」>「過硫酸カリウム」>「過硫酸ナトリウム」の関係を満たす場合は、最も本発明の効果を発揮できることを見出した。
【0021】
本発明において、「脱色」とは、毛髪中のメラニン色素を分解し、毛髪の色を明るくすることを指す。また、この「脱色」には、カラーリングされた毛髪に付着した染料を除くこと、いわゆる「脱染」を含んでよい。また、本発明において、脱色力は、例えばハンターの色差式における明るさを表すL値によって評価することができる。L値が、0に近いと黒、100に近いと白を意味するため、L値が大きくなるほど、脱色力に優れるといえる。
【0022】
本発明においては、誤った比率で混合調製する際における発熱抑制効果及び発泡抑制効果によって、総合的に評価する。本発明においては、例えば、使用説明書において、本発明の組成物である第1剤と過酸化水素を含む剤2剤とを、1:2で混合調製することが記載されたにも拘らず、誤って、第1剤と剤2剤とを、1:1で混合調製した場合における発熱抑制効果及び発泡抑制効果が発揮できるか否かを総合的に評価する。
【0023】
また、本発明において、「使用性」は、本発明の組成物のアンモニア臭によって評価することができる。特に大量の過硫酸アンモニウムを過硫酸塩として用いるとアンモニア臭が強くなる傾向がある。このアンモニア臭が強いと人間に与える不快感も強いため、使用性において望ましくないとされている。これに対して、本発明の組成物は、過硫酸塩として、過硫酸アンモニウムと共に、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムを併用することによって、過硫酸塩における過硫酸アンモニウムの含有量を相対的に低減することができるため、使用性において優れる。
【0024】
本発明の毛髪脱色用組成物(以下、単に「本発明の組成物」とも称する)の形態は、特に限定されず、例えば粉末状、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態に適宜調製することができる。
【0025】
以下では、本発明の組成物に含みうる各成分について、詳細に説明する。
【0026】
〈過硫酸塩〉
本発明の組成物は、過硫酸塩を含む。過硫酸塩は、毛髪のメラニンを酸化分解して、及び/又は毛髪に付着した染料を酸化分解して、脱色脱染効果を発揮することができ、また、後述する過酸化水素の酸化作用を助ける効果を有する。
【0027】
本発明の組成物において、過硫酸塩の含有量は、上記の効果を発揮できる量であればよい。例えば、本発明の組成物が粉末状である場合、過硫酸塩の含有量は、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、又は55質量%以上であってもよく、また80質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、又は60質量%未満であってよい。過硫酸塩の含有量が35質量%以上である場合、特に脱色効果に寄与することが考えられる。また、過硫酸塩の含有量が80質量%以下である場合、特に使用性に寄与することが考えられる。なお、本発明の組成物が、粉末状以外である場合には、過硫酸塩の含有量は、本発明の組成物の全量に対して、上述した範囲であっても、上述した範囲とは異なった範囲でなくてもよい。
【0028】
本発明にかかる過硫酸塩において、過硫酸アンモニウムの含有量と、アルカリ金属過硫酸塩の合計含有量との比(過硫酸アンモニウムの含有量:アルカリ金属過硫酸塩の合計含有量)は、1:0.1以上、1:0.2以上、1:0.3以上、1:0.4以上、1:0.5以上、1:0.6以上、1:07以上、1:0.8以上、1:0.9以上、1:1.0以上、1:1:1以上、1:1.2以上、1:1.3以上、1:1.4以上、又は1:1.5以上であってもよく、また1:2.0未満、1:1.9以下、1:1.8以下、1:1.7以下、1:1.6以下、又は1:1.5以下であってもよい。
【0029】
また、本発明にかかる過硫酸塩において、アルカリ金属過硫酸塩が過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムの両方を含む場合には、過硫酸カリウムの含有量と、過硫酸ナトリウムの含有量との比(過硫酸カリウムの含有量:過硫酸ナトリウムの含有量)は、1:0.0001以上、1:0.0005以上、1:0.001以上、1:0.005以上、1:0.009以上、1:0.010以上、1:0.020以上、1:0.030以上、1:0.040以上、又は1:0.050以上であってもよく、また1:0.500以下、1:0.300以下、1:0.100以下、1:0.050以下、1:0.045以下、1:0.040以下、1:0.035以下、1:0.030以下、1:0.020以下、又は1:0.010以下であってもよい。
【0030】
本発明にかかる過硫酸塩において、アルカリ金属過硫酸塩が過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムの両方を含む場合には、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸ナトリウムのそれぞれの含有量は、「過硫酸アンモニウム」>「過硫酸カリウム」>「過硫酸ナトリウム」の関係を満たせば、特に限定されない。
【0031】
例えば、過硫酸アンモニウムの含有量は、本発明の効果をより発揮させる観点から、過硫酸塩の全量に対して、例えば50質量%以上、52質量%以上、又は55質量%以上であってもよく、また、アンモニア臭等を抑えて、使用性を向上させる観点から、過硫酸塩の全量に対して、例えば70質量%以下、又は60質量%以下であってもよい。
【0032】
また、過硫酸カリウムの含有量は、過硫酸塩の全量に対して、例えば1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、又は45質量%以上であってもよく、また50質量%以下、又は45質量%以下であってもよい。
【0033】
また、過硫酸ナトリウムの含有量は、過硫酸塩の全量に対して、例えば0.00質量%以上、0.01質量%以上、0.04質量%以上、0.10質量%以上、0.50質量%以上、1.00質量%以上、1.50質量%以上、又は1.70質量%以上であってもよく、また10質量%以下、5.0質量%以下、4.5質量%以下、又は4.0質量%以下であってもよい。
【0034】
〈アルカリ剤〉
本発明の組成物は、アルカリ剤を含む。アルカリ化剤は、毛髪を膨潤させて、各種の成分を毛髪の内部に浸透させやすくする機能を有するとともに、酸化剤の働きを促進させる効果を奏するため、毛髪のメラニン色素の分解等に間接的に貢献することができる。
【0035】
本発明の組成物において、アルカリ剤の含有量は、特に限定されず、例えば本発明の組成物の全量に対して、1.0質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上、4.0質量%以上、5.0質量%以上、6.0質量%以上、7.0質量%以上、8.0質量%以上、又は9.0質量%以上であってもよく、また20.0質量%以下、15.0質量%以下、12.0質量%以下、又は10.0質量%以下であってもよい。
【0036】
本発明において、アルカリ剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウムの、ケイ酸塩、水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、又はカルボン酸塩等を含むことができる。より具体的には、例えば、アルカリ剤は、メタケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等を含んでよい。これらのアルカリ剤は、単独で用いてもよく、又は二種以上を併用してもよい。
【0037】
〈その他の添加剤〉
本発明の組成物は、上述した過硫酸塩及びアルカリ剤を含むほか、本発明の効果を損なわない範囲内で、その他の添加剤を更に含んでもよい。以下、本発明の組成物に含みうるその他の添加剤について、いくつか例示的に説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。
【0038】
(油性成分)
本発明の組成物は、油性成分を含んでよい。油性成分を用いることによって、本発明の組成物を所望の形態、例えば乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態に調製することができる。
【0039】
油性成分としては、ラノリン、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン等の炭化水素、ミリスチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン等のエステル油、ホホバ油、オリーブ油等の油脂、ラウリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸、セタノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコ-ル、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン、ゴム状ジメチルポリシロキサン、及びアミノ変性ポリシロキサン等のシリコ-ン類が挙げられるが、これらに限定されない。これらの油性成分は、単独で用いてもよく、又は二種以上を併用してもよい。また、油性成分の含有量は、特に限定されず、所望の形態に合わせて適宜に設定することができる。
【0040】
(消泡剤)
本発明の組成物は、消泡剤を含んでよい。消泡剤を用いることによって、本発明の効果、特に発泡抑制効果をより発揮することができる。
【0041】
消泡剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、及びステアリン酸ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの消泡剤は、単独で用いてもよく、又は二種以上を併用してもよい。消泡剤を含む場合のその含有量は、特に限定されず、例えば本発明の組成物の全量に対して、0.5質量%以上、1.0質量%以上、又は2.0質量%以上であってもよく、また5.0質量%以下であってもよい。
【0042】
(その他の任意成分)
上述した添加剤以外にも、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、各種成分を適宜配合することができる。例えば、粉末増量剤(例えば、シリカ、デキストリン等)金属封鎖剤(例えば、EDTA)、酸化防止剤(例えば、ビタミンC、シスチン、亜硫酸塩)等の安定化剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、溶剤(例えば、エタノール)、水、浸透剤(例えば、ベンジルアルコール)、界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤)、水溶性高分子化合物、保湿剤、コンディショニング剤(例えば、ポリオール、ケラチンタンパク、シリコーン、アミノ酸、植物エキス)、pH調整剤(例えば、リン酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸)、光沢付与剤、感触改良剤、エモリエント剤、毛髪補修剤、増粘剤(セルロース、キサンタンガム)、可溶化剤(例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、顔料、又は香料等を挙げることができる。これらの任意成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0043】
《毛髪脱色用キット》
本発明の毛髪脱色用キットは、本発明の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤とを含む。
【0044】
ここで、第1剤は、粉末状、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態であってよく、また、第2剤は、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態であってよい。更に、第1剤と第2剤とを混ぜ合わせた後の形態は、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態であってよい。
【0045】
〈第2剤〉
本発明において、毛髪脱色用キットの第2剤(以下、単に「第2剤」とも称する)は、過酸化水素必須成分として含むほか、その他の添加剤としては、例えば、pH調整剤、界面活性剤、油性成分、増粘剤、保湿剤、安定化剤、消泡剤、及び香料等を含んでよい。なお、その他の添加剤の具体的な例示は、上述した本発明の組成物に含みうる「その他の添加剤」の項目を適宜参照できる。また、第2剤の溶媒として水を用いることができる。
【0046】
過酸化水素は、アルカリ剤によって活性化され、酸素を発生させることによって、毛髪のメラニンを酸化分解して、及び/又は毛髪に付着した染料を酸化分解して、脱色効果を発揮することができる。このため、第2剤における過酸化水素の含有量は、上記の効果を発揮できる量であればよく、例えば、4.0質量%以上、4.5質量%以上、5.0質量%以上、又は5.5質量%以上であってもよく、また9.0質量%以下、8.0質量%以下、7.0質量%以下、又は6.0質量%以下であってよい。
【0047】
〈第3剤〉
本発明の毛髪脱色用キットは、本発明の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤に加えて、アルカリ剤を含む第3剤を含む三剤式のものであってもよい。この第3剤は、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態であってよい。
【0048】
ここで、この第3剤は、アルカリ剤、及び高級アルコール等を含むことができる。
【0049】
アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、アルカノールアミン類(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等)、有機アミン類(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が挙げられる。これらのアルカリ剤は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の毛髪脱色用キットの第3剤に含まれるアルカリ剤の量は、第3剤のpHが8~12の範囲となる量が好ましい。
【0050】
また、高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール等が挙げられる。その中でも特に乳化安定性の点から直鎖高級飽和アルコールであるミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。これらの高級アルコールは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の毛髪脱色用キットの第3剤に含まれる高級アルコールの量は、5.0~15.0質量%、又は5.0~12.0質量%であってよい。
【0051】
また、アルカリ剤及び高級アルコールのほかに、本発明の毛髪脱色用キットの第3剤に含まれうる他の成分としては、例えばソルビトール・グルコース・ショ糖等の糖類、バチルアルコール・キミルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル、脂肪酸等の粘度調整剤、アボカド油・ホホバ油・マカデミアンナッツ油・オリーブ油のグリセライド等の油脂類、アラビアガム・アルギン酸ナトリウム・キサンタンガム・セルロース誘導体・ミツロウ・ラノリン等のロウ類、流動パラフィン・固形パラフィン・イソパラフィン・スクワラン等の炭化水素類、架橋ポリアクリル酸等の天然又は合成の高分子、オレイン酸ジエタノールアミド・ラウリン酸ジエタノールアミド等のアミド類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム・ジステアリルジメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェート・ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン・ラウリルジメチルカルボベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤、パラベン等の防腐剤、EDTA-Na等のキレート剤、塩化アンモニウム等のpH調整剤、その他、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、天然色素、香料、顔料、紫外線吸収剤等、また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるもの等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
〈使用説明書〉
本発明の毛髪脱色用キットは、使用説明書を更に含んでよい。使用説明書とは、キット内に書類の形態で添付されている一般的な使用説明書以外に、例えば、キットを収容する包装容器、又は第1剤、第2剤、若しくは第3剤等を収容する包装容器に対して使用説明文が印字された状態のものも包含することができる。
【0053】
〈使用方法〉
本発明の毛髪脱色用キットは、第1剤と第2剤とを混合して使用する。また、三剤式のタイプのものである場合には、第1剤と第2剤と第3剤とを混合して使用する。一般的には、使用直前に、これらの剤を混合して、公知の方法によって毛髪に適用することができる。
【0054】
本発明の毛髪脱色用キットを使用する際に、第1剤と第2剤との混合比(第1剤:第2剤)は、1:1~1:3であってよい。また、三剤式のタイプのものである場合には、第1剤と第2剤との混合比(第1剤:第2剤)が1:1~1:3、かつ第2剤と第3剤との混合比(第2剤:第3剤)が1:2~5:1であってよい。
【0055】
本発明の毛髪脱色用キットの脱色の処理時間、すなわち第1剤と第2剤と、又は第1剤と第2剤と第3剤とを混合調製して毛髪に塗布した後の待ち時間は、例えば10分~1時間であってよい。
【0056】
《毛髪脱色及び染色用キット》
本発明の毛髪脱色及び染色用キットは、本発明の組成物である第1剤と、過酸化水素を含む第2剤と、染毛用染料を含む第3剤と、を含む。ここで、毛髪脱色及び染色用キットの第2剤は、上述した「毛髪脱色用キット」の第2剤と同じであってよく、ここでは、説明を省略する。
【0057】
ここで、第3剤は、液体状、乳液状、クリーム状、又はワックス状等の形態であってよい。なお、第1剤及び第2剤については、上述した「毛髪脱色用キット」の場合と同様に採用することができるため、ここでは、説明を省略する。
【0058】
〈第3剤〉
本発明において、毛髪脱色及び染色用キットの第3剤は、染毛用染料を必須成分として含むほか、その他の添加剤としては、例えばpH調整剤、界面活性剤、油性成分、増粘剤、保湿剤、安定化剤、消泡剤、及び香料等を含んでよい。なお、その他の添加剤の具体的な例示は、上述した本発明の組成物に含みうる「その他の添加剤」の項目を適宜参照できる。
【0059】
(染毛用染料)
毛髪脱色及び染色用キットの第3剤に含まれる染毛用染料としては、一般に、酸化染料(「酸化染料中間体」と称する場合がある。)、直接染料等を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0060】
染毛用染料の含有量は、特に限定されず、例えば、第1剤、第2剤及び第3剤の全量に対し、0.01質量%以上、0.05質量%以上、又は0.1質量%以上であってもよく、また、5.0質量%以下、4.5質量%以下、又は4.0質量%以下であってもよい。
【0061】
酸化染料(酸化染料中間体)としては特に制限はなく、酸化染料(酸化染料中間体)自身が単独で酸化重合して高分子の発色団に変化して発色するタイプであってもよく、或いは、酸化染料(酸化染料中間体)とカプラーとが酸化重合して高分子の発色団に変化して発色するタイプであってもよい。
【0062】
酸化染料(酸化染料中間体)としては、例えば、パラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、N-メトキシエチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、1,3-ビス(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(4-アミノフェニル)アミノ)-2-プロパノール、PEG-3,3,2’-パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-アミノメチル-4-アミノフェノール、2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-4-アミノフェノール、オルトアミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-アセタミドフェノール、3,4-ジアミノ安息香酸、5-アミノサリチル酸、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-4-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-1-(4’-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、又はこれらの塩(例えば硫酸塩)等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0063】
上述した酸化染料と酸化重合し得るカプラーとしては、例えば、メタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、2,4-ジアミノ-5-メチルフェネトール、2,4-ジアミノ-5-(2-ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4-ジメトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、2,6-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4-ジアミノ-5-フルオロトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、2-メチル-4-クロロ-5-アミノフェノール、N-シクロペンチル-メタアミノフェノール、2-メチル-4-メトキシ-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2-メチル-4-フルオロ-5-アミノフェノール、パラアミノオルトクレゾール、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-クロロレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、4-ヒドロキシインドール、5-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,4-メチレンジオキシフェノール、2-ブロモ-4,5-メチレンジオキシフェノール、3,4-メチレンジオキシアニリン、1-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメトキシ-3,5-ジアミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-メチルアミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジン、又はこれらの塩(例えば硫酸塩、塩酸塩)等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0064】
直接染料としては特に制限はなく、例えば、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料等を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0065】
ニトロ染料としては、例えば、2-ニトロ-パラフェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-パラヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-オルトフェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、ニトロパラミン、HCブルーNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、HCイエローNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.5、HCレッドNo.3、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-パラフェニレンジアミン等を挙げることができる。
【0066】
分散染料としては、例えば、ディスパーズバイオレット1、ディスパーズブルー1、ディスパーズブラック9等を挙げることができる。
【0067】
塩基性染料としては、例えば、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックレッド76、ベーシックレッド51、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31等を挙げることができる。
【0068】
〈使用説明書〉
本発明の毛髪脱色及び染色用キットは、使用説明書を更に含んでよい。使用説明書とは、キット内に書類の形態で添付されている一般的な使用説明書以外に、例えば、キットを収容する包装容器、又は第1剤、第2剤、若しくは第3剤等を収容する包装容器に対して使用説明文が印字された状態のものも包含することができる。
【0069】
〈使用方法〉
本発明の毛髪脱色及び染色用キットは、第1剤~第3剤を混合して使用する。例えば、第1剤と第2剤と第3剤とを同時に混合して毛髪に塗布してよい。
【0070】
本発明の毛髪脱色及び染色用キットを使用する際に、第1剤と第2剤との混合比(第1剤:第2剤)が1:1~1:3、かつ第2剤と第3剤との混合比(第2剤:第3剤)が1:2~5:1であってよい。
【0071】
本発明の毛髪脱色及び染色用キットの脱色及び染色の合計処理時間は、例えば10分~1時間であってよい。
【実施例0072】
以下に実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下、特に断りのない限り、配合量は質量%で示す。
【0073】
《実施例1~14及び比較例1~4》
下記表1及び表2に示す各処方の第1剤、及び下記の第2剤をそれぞれ常法により調製した。そして、表1及び表2示す比率で第1剤と第2剤とを混合調製して、以下の評価を行った。
【0074】
なお、表1及び表2において、各成分に対応する数字は、それぞれの配合量を表す。また、これらの配合量では、第1剤と第2剤との正しい混合比、すなわち使用説明書において指示される混合比は、1:2(第1剤:第2剤)であった。
【0075】
〈第2剤〉
成分 配合量(質量%)
35質量%過酸化水素水 17.0
pH調整剤 適量
精製水 残分
第2剤合計 100
【0076】
《評価》
〈脱色評価〉
第1剤及び第2剤を、正しい混合比である1:2の比率で均一に混合調製した混合物を、1gの黒髪ストランドに対して刷毛で塗布し、30℃で20分間放置した後、水で十分に洗浄してドライヤーで乾燥し、評価サンプルを調製した。調製した評価サンプルのL値を、色差計(CM-3600d、コニカミノルタ株式会社製)を用いて評価した。
【0077】
得られたL値に対して、27.0以下を「×」と評価し、27.0超かつ29.0以下を「△」と評価し、29.0超を「〇」と評価した。それぞれの結果を表1及び表2に示す。
【0078】
〈発熱抑制効果〉
第1剤と第2剤とを、誤った混合比である1:1の比率で、均一に混合調製した混合物を、調製直後から1時間の間に温度を測定し、最高温度の値を用いて評価した。また、参考のため、第1剤と第2剤とを正しい比1:2で混合調製した場合の最高温度についても評価した。
【0079】
得られた最高温度に対して、58℃超を「×」と評価し、45℃超かつ58℃以下を「△」と評価し、45℃以下を「〇」と評価した。それぞれの結果を表1に示す。
【0080】
〈発泡抑制効果〉
第1剤と第2剤とを、誤った比1:1で均一に混合調製した混合物を、30分間放置した後の発泡の程度を測定し、泡の高さの値を用いて評価した。また、参考のため、第1剤と第2剤とを正しい比1:2で混合調製した場合の発泡の具体についても評価した。
【0081】
得られた泡の高さに対して、5.0cm超を「×」と評価し、4.0cm以上から5.0cm以下までを「△」と評価し、4.0cm未満を「〇」と評価した。それぞれの結果を表1及び表2に示す。
【0082】
〈使用性評価(アンモニア臭)〉
使用性評価は、第1剤と第2剤とを混合したときのアンモニウム臭によって判断した。より具体的には、アンモニア臭が強いものは、「×」と評価し、またアンモニア臭が比較的少ないものは、「〇」と評価した。それぞれの結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表2に示されているように、比較例1、3及び4は、正しい比率で混合調製された場合には、発熱抑制効果及び発泡抑制効果はあったが、誤った比率で混合調製された場合には、発熱抑制効果及び/又は発泡抑制効果がなかった。
【0086】
また、比較例2は、発熱抑制効果及び発泡抑制効果があったが、過硫酸アンモニウムが大量に含有されたため、アンモニア臭が強くて、使用性の観点から望ましくなかった。
【0087】
これに対して、本発明の組成物を用いた実施例1~14は、いずれも、脱色効果が十分であり、かつ正しい比率で混合調製され場合に、発熱抑制効果及び発泡抑制効果があり、更に誤った比率で混合調製された場合にも、発熱抑制効果及び発泡抑制効果があった。
【0088】
また、特に、実施例1~9は、過硫酸アンモニウムと共に、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムを併用することによって、過硫酸塩における過硫酸アンモニウムの含有量を相対的に低減することができたため、アンモニア臭が抑制されており、使用性に優れていた。