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特開2022-79365移動体管理システム、通信端末装置、送信制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079365
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】移動体管理システム、通信端末装置、送信制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/12 20090101AFI20220519BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20220519BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20220519BHJP
【FI】
H04W72/12 150
H04W4/38
H04W52/02 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190527
(22)【出願日】2020-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(72)【発明者】
【氏名】片岡 誠一
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067AA43
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067GG02
(57)【要約】
【課題】通信回数、送信データ長に制限があるLPWA通信を用いて、再送なしで、上りメッセージを確実にサーバへ送信できるようにした移動体管理システムを提供する。
【解決手段】移動体管理システムは、複数の移動体にそれぞれ搭載された各通信端末装置と、LPWA通信網と、サーバとを含む。各通信端末装置は、移動体の移動中に移動中情報を記憶する。移動体の電源のオフを検知すると、移動中情報の記憶数を含む移動終了情報をサーバに送信する。サーバは、送信履歴に基いて送信可能数を予測し、送信可能数と記憶数とに基いて、通信端末装置の送信回数を決定する。サーバは、通信端末装置に送信回数情報を送信し、通信端末装置は、送信回数情報に基いて移動中情報を逐次送信する。
【選択図】図14

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体にそれぞれ搭載された各通信端末装置と、LPWA通信網と、サーバとを含む移動体管理システムであって、
各前記通信端末装置は、
端末記憶部と、
搭載された前記移動体の電源のオン/オフを検知する検知部と、
センサ情報を逐次取得するセンサ部と、
前記センサ情報をセンサデータに逐次変換する変換部と、
前記通信端末装置を識別する識別情報と、前記移動体の挙動を示す挙動情報と、前記センサデータとを含む上りメッセージを、前記LPWA通信網を介して、前記サーバに送信し、前記サーバから下りメッセージを受信する端末通信部と、
前記検知部が前記電源のオンを検知した場合、前記識別情報と、前記移動体の移動開始を示す前記挙動情報とを含む前記上りメッセージである移動開始情報を生成し、前記端末通信部に前記移動開始情報を送信させ、前記移動開始情報を送信した後は、前記識別情報と、前記移動体の移動中を示す前記挙動情報と、逐次変換する複数の前記センサデータとを含む前記上りメッセージである移動中情報を逐次生成し、生成した前記移動中情報を前記端末記憶部に逐次記憶させ、前記検知部が前記電源のオフを検知した場合、前記識別情報と、前記移動体の移動終了を示す前記挙動情報と、前記端末記憶部に記憶している前記移動中情報の数を示す記憶数とを含む前記上りメッセージである移動終了情報を生成し、前記端末通信部に前記移動終了情報を送信させる端末制御部とを備え、
前記サーバは、
前記LPWA通信網を介して前記上りメッセージを受信するサーバ通信部と、
受信した前記上りメッセージを記憶するサーバ記憶部と、
前記サーバ記憶部に記憶した前記上りメッセージの履歴に基いて、前記通信端末装置の前記上りメッセージの送信可能回数を予測する予測部と、
前記送信可能回数と、前記移動終了情報に含まれる前記記憶数とに基いて、前記移動終了情報に含まれる前記識別情報が識別する前記通信端末装置の前記移動中情報の送信回数を決定する決定部とを備え、
前記サーバ通信部は、前記LPWA通信網を介して、前記下りメッセージである前記決定部が決定した前記送信回数を示す送信回数情報を前記通信端末装置に送信し、
前記端末制御部は、前記端末通信部が前記送信回数情報を受信した場合、前記送信回数情報に基いて、前記端末記憶部に逐次記憶した順番で前記移動中情報を逐次送信させる、
移動体管理システム。
【請求項2】
前記サーバは、更に、
前記上りメッセージの履歴に基いて、各前記識別情報を複数のクラスタにクラスタリングし、各前記クラスタの平均送信回数と係数を算出する分析部を備え、
前記予測部は、前記分析部がクラスタリングした前記クラスタの前記平均送信回数と前記係数とを用いて、前記送信可能回数を予測する、
請求項1に記載の移動体管理システム。
【請求項3】
前記決定部は、更に、前記記憶数が前記送信可能回数を上回る場合、前記変換部が前記センサデータに逐次変換する時間間隔を長くする設定を決定し、
前記サーバ通信部は、更に、前記LPWA通信網を介して、前記決定部が決定した前記設定を前記通信端末装置に送信し、
前記変換部は、受信した前記設定に基く時間間隔で、前記センサ部が逐次取得する前記センサ情報を前記センサデータに逐次変換する、
請求項1または請求項2に記載の移動体管理システム。
【請求項4】
前記端末通信部が、前記移動中情報を逐次送信している途中に、前記検知部が前記電源のオンを検知した場合、前記端末制御部は、前記端末通信部に前記移動中情報の送信を停止させる、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の移動体管理システム。
【請求項5】
前記端末制御部は、前記端末通信部が送信した前記移動中情報を、前記端末記憶部から削除する、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の移動体管理システム。
【請求項6】
前記センサ部は、前記センサ情報として前記移動体の位置を示す位置情報を逐次取得し、
前記変換部は、前記検知部が前記電源のオンを検知してから、前記電源のオフを検知するまでの間、前記位置情報を前記センサデータに逐次変換する、
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の移動体管理システム。
【請求項7】
移動体に搭載された通信端末装置であって、
端末記憶部と、
搭載された前記移動体の電源のオン/オフを検知する検知部と、
センサ情報を逐次取得するセンサ部と、
前記センサ情報をセンサデータに逐次変換する変換部と、
前記移動体の挙動を示す挙動情報と、前記センサデータとを含む上りメッセージを、LPWA通信網を介してサーバに送信し、前記サーバから下りメッセージを受信する端末通信部と、
前記検知部が前記電源のオンを検知した場合、前記移動体の移動開始を示す前記挙動情報を含む前記上りメッセージである移動開始情報を生成し、前記端末通信部に前記移動開始情報を送信させ、前記移動開始情報を送信した後は、前記移動体の移動中を示す前記挙動情報と、逐次変換する複数の前記センサデータとを含む前記上りメッセージである移動中情報を逐次生成し、生成した前記移動中情報を前記端末記憶部に逐次記憶させ、前記検知部が前記電源のオフを検知した場合、前記移動体の移動終了を示す前記挙動情報と、前記端末記憶部に記憶している前記移動中情報の数を示す記憶数とを含む前記上りメッセージである移動終了情報を生成し、前記端末通信部に前記移動終了情報を送信させ、前記端末通信部が前記サーバから前記下りメッセージである送信回数を示す送信回数情報を受信した場合、前記送信回数情報に基いて、前記端末記憶部に逐次記憶した順番で前記移動中情報を逐次送信させる端末制御部とを備える、
通信端末装置。
【請求項8】
端末記憶部と、移動体の電源のオン/オフを検知する検知部と、センサ情報を逐次取得するセンサ部と、前記センサ情報をセンサデータに逐次変換する変換部と、上りメッセージをLPWA通信網に無線送信し、下りメッセージを前記LPWA通信網から無線受信することでサーバと通信を行う端末通信部とを備えた、前記移動体に搭載された通信端末装置に用いられる送信制御方法であって、
前記検知部が前記電源のオンを検知した場合、前記移動体の移動開始を示す挙動情報を含む前記上りメッセージである移動開始情報を生成し、前記端末通信部に前記移動開始情報を送信させるステップと、
前記移動開始情報を送信した後は、前記移動体の移動中を示す前記挙動情報と、逐次変換する複数の前記センサデータとを含む前記上りメッセージである移動中情報を逐次生成し、生成した前記移動中情報を前記端末記憶部に逐次記憶させるステップと、
前記検知部が前記電源のオフを検知した場合、前記移動体の移動終了を示す前記挙動情報と、前記端末記憶部に記憶している前記移動中情報の数を示す記憶数とを含む前記上りメッセージである移動終了情報を生成し、前記端末通信部に前記移動終了情報を送信させるステップと、
前記端末通信部が、前記サーバから前記下りメッセージである送信回数を示す送信回数情報を受信した場合、前記送信回数情報に基いて、前記端末記憶部に逐次記憶した順番で前記移動中情報を逐次送信させるステップと、
を含む送信制御方法。
【請求項9】
移動体に搭載され、前記移動体の電源のオン/オフを検知する検知部と、センサ情報を逐次取得するセンサ部と、CPUとメモリを有する端末制御部と、端末記憶部とを備える通信端末装置を、
前記センサ情報をセンサデータに逐次変換する変換部、
上りメッセージをLPWA通信網に無線送信し、下りメッセージを前記LPWA通信網から無線受信することでサーバと通信を行う端末通信部、として機能させ、前記通信端末装置に送信制御処理を実行させるプログラムであって、
前記送信制御処理は、
前記検知部が前記電源のオンを検知した場合、前記移動体の移動開始を示す挙動情報を含む前記上りメッセージである移動開始情報を生成し、前記端末通信部に前記移動開始情報を送信させるステップと、
前記移動開始情報を送信した後は、前記移動体の移動中を示す前記挙動情報と、逐次変換する複数の前記センサデータとを含む前記上りメッセージである移動中情報を逐次生成し、生成した前記移動中情報を前記端末記憶部に逐次記憶させるステップと、
前記検知部が前記電源のオフを検知した場合、前記移動体の移動終了を示す前記挙動情報と、前記端末記憶部に記憶している前記移動中情報の数を示す記憶数とを含む前記上りメッセージである移動終了情報を生成し、前記端末通信部に前記移動終了情報を送信させるステップと、
前記端末通信部が、前記サーバから前記下りメッセージである送信回数を示す送信回数情報を受信した場合、前記送信回数情報に基いて、前記端末記憶部に逐次記憶した順番で前記移動中情報を逐次送信させるステップと、
を含むプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低電力広域(Low Power Wide Area:LPWA)通信を用いて、移動体に搭載した通信端末から上りメッセージを効率的にサーバに送信するための送信制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な無線通信規格が実用化されており、特に、低コストかつ低消費電力で広いエリアをカバーするLPWA通信が注目されている。
【0003】
LPWA通信は、上記のメリットがある一方で、通信回数に制限が設けられている、或いは、1度に無線送信できるデータの容量が少ない、といった制約がある。例えば、LPWA通信の一つである「SIGFOX(登録商標)」は、上りメッセージについては、1日に最大140回までの送信回数、1回に無線送信できるペイロードは最大12Byteという制限がある。下りメッセージについては、1日に最大4回までの送信回数と、1回に無線送信できるペイロードは8Byteという制約がある。
【0004】
また、LPWA通信では、広域通信と消費電力の削減のため、LTE(Long Term Evolution)通信で実装されている搬送波の周波数ドップラーシフトによる通信途絶を防止する機構が省略されている。そのため、高速で移動する車等の移動体にLPWA通信を行う通信端末装置を搭載して、位置情報を逐次サーバに送信するといった運用をすると、周波数ドップラーシフトにより、送信した上りメッセージを基地局が受信できないという問題が生じる。
【0005】
下記の特許文献1には、移動体に搭載した通信端末装置が、移動体の移動中にLPWA通信で送信した上りメッセージがサーバに届かない場合を想定し、移動体が移動を停止した時に、サーバに受信履歴情報をリクエストし、サーバから受信した受信履歴情報に基いて、サーバが未受信の上りメッセージを再送することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-113943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のとおりLPWA通信は、そもそも通信回数に制約があるため、特許文献1に開示されているシステムのようにサーバ未受信分を再送することを前提にすると、通信端末装置からサーバに送信できるデータ数は極めて少なくなる。
【0008】
そこで、本発明は、通信回数、送信データ長に制限があるLPWA通信を用いて、再送することなく、上りメッセージを確実にサーバへ送信できるようにした移動体管理システム、通信端末装置、送信制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、本発明の一態様である移動体管理システムは、複数の移動体にそれぞれ搭載された各通信端末装置と、LPWA通信網と、サーバとを含む。各通信端末装置は、端末記憶部と、検知部と、センサ部と、変換部と、端末通信部と、端末制御部とを備える。検知部は、搭載された移動体の電源のオン/オフを検知する。センサ部は、センサ情報を逐次取得する。変換部は、センサ情報をセンサデータに逐次変換する。端末通信部は、通信端末装置を識別する識別情報と、移動体の挙動を示す挙動情報と、センサデータとを含む上りメッセージを、LPWA通信網を介して、サーバに送信し、サーバから下りメッセージを受信する。端末制御部は、検知部が電源のオンを検知した場合、識別情報と、移動体の移動開始を示す挙動情報とを含む上りメッセージである移動開始情報を生成し、端末通信部に移動開始情報を送信させ、移動開始情報を送信した後は、識別情報と、移動体の移動中を示す挙動情報と、逐次変換する複数のセンサデータとを含む上りメッセージである移動中情報を逐次生成し、生成した移動中情報を端末記憶部に逐次記憶させ、検知部が電源のオフを検知した場合、識別情報と、移動体の移動終了を示す挙動情報と、端末記憶部に記憶している移動中情報の数を示す記憶数と、を含む上りメッセージである移動終了情報を生成し、端末通信部に移動終了情報を送信させる。
【0010】
サーバは、サーバ通信部と、サーバ記憶部と、予測部と、決定部とを備える。サーバ通信部は、LPWA通信網を介して上りメッセージを受信する。サーバ記憶部は、受信した上りメッセージを記憶する。予測部は、サーバ記憶部に記憶した上りメッセージの履歴に基いて、通信端末装置の上りメッセージの送信可能回数を予測する。決定部は、送信可能回数と、移動終了情報に含まれる記憶数とに基いて、移動終了情報に含まれる識別情報が識別する通信端末装置の移動中情報の送信回数を決定する。サーバ通信部は、LPWA通信網を介して、下りメッセージである決定部が決定した送信回数を示す送信回数情報を通信端末装置に送信する。端末制御部は、端末通信部が送信回数情報を受信した場合、送信回数情報に基いて、端末記憶部に逐次記憶した順番で移動中情報を逐次送信させる。
【0011】
(2)本発明の一態様は、上記(1)の移動体管理システムにおいて、サーバは、更に、分析部を備えてもよい。分析部は、上りメッセージの履歴に基いて、各識別情報を複数のクラスタにクラスタリングし、各クラスタの平均送信回数と係数を算出する。予測部は、分析部がクラスタリングしたクラスタの平均送信回数と係数とを用いて、送信可能回数を予測する、としてもよい。
【0012】
(3)本発明の一態様は、上記(1)または(2)の移動体管理システムにおいて、決定部は、更に、記憶数が送信可能回数を上回る場合、変換部がセンサデータに逐次変換する時間間隔を長くする設定を決定してもよい。サーバ通信部は、更に、LPWA通信網を介して、決定部が決定した設定を通信端末装置に送信し、変換部は、受信した設定に基く時間間隔で、センサ部が逐次取得するセンサ情報をセンサデータに逐次変換する、としてもよい。
【0013】
(4)本発明の一態様は、上記(1)から(3)のうちいずれかに記載の移動体管理システムにおいて、端末通信部が、移動中情報を逐次送信している途中に、検知部が電源のオンを検知した場合、端末制御部は、端末通信部に移動中情報の送信を停止させる、としてもよい。
【0014】
(5)本発明の一態様は、上記(1)から(4)のうちいずれかに記載の移動体管理システムにおいて、端末制御部は、端末通信部が送信した移動中情報を、端末記憶部から削除する、としてもよい。
【0015】
(6)本発明の一態様は、上記(1)から(5)のうちいずれかに記載の移動体管理システムにおいて、センサ部は、センサ情報として移動体の位置を示す位置情報を逐次取得し、変換部は、検知部が電源のオンを検知してから、電源のオフを検知するまでの間、位置情報をセンサデータに逐次変換する、としてもよい。
【0016】
(7)上記課題を解決するために、本発明の一態様である通信端末装置は、移動体に搭載された通信端末装置である。通信端末装置は、端末記憶部と、検知部と、センサ部と、変換部と、端末通信部と、端末制御部とを備える。検知部は、搭載された移動体の電源のオン/オフを検知する。センサ部は、センサ情報を逐次取得する。変換部は、センサ情報をセンサデータに逐次変換する。端末通信部は、移動体の挙動を示す挙動情報と、センサデータとを含む上りメッセージを、LPWA通信網を介してサーバに送信し、サーバから下りメッセージを受信する。端末制御部は、検知部が電源のオンを検知した場合、移動体の移動開始を示す挙動情報を含む上りメッセージである移動開始情報を生成し、端末通信部に移動開始情報を送信させ、移動開始情報を送信した後は、移動体の移動中を示す挙動情報と、逐次変換する複数のセンサデータとを含む上りメッセージである移動中情報を逐次生成し、生成した移動中情報を端末記憶部に逐次記憶させ、検知部が電源のオフを検知した場合、移動体の移動終了を示す挙動情報と、端末記憶部に記憶している移動中情報の数を示す記憶数とを含む上りメッセージである移動終了情報を生成し、端末通信部に移動終了情報を送信させ、端末通信部が、サーバから下りメッセージである送信回数を示す送信回数情報を受信した場合、送信回数情報に基いて、端末記憶部に逐次記憶した順番で移動中情報を逐次送信させる。
【0017】
(8)上記課題を解決するために、本発明の一態様である送信制御方法は、端末記憶部と、移動体の電源のオン/オフを検知する検知部と、センサ情報を逐次取得するセンサ部と、センサ情報をセンサデータに逐次変換する変換部と、上りメッセージをLPWA通信網に無線送信し、下りメッセージをLPWA通信網から無線受信することでサーバと通信を行う端末通信部とを備えた、移動体に搭載された通信端末装置に用いられる送信制御方法である。送信制御方法は、検知部が電源のオンを検知した場合、移動体の移動開始を示す挙動情報を含む上りメッセージである移動開始情報を生成し、端末通信部に移動開始情報を送信させるステップと、移動開始情報を送信した後は、移動体の移動中を示す挙動情報と、逐次変換する複数のセンサデータとを含む上りメッセージである移動中情報を逐次生成し、生成した移動中情報を端末記憶部に逐次記憶させるステップと、検知部が電源のオフを検知した場合、移動体の移動終了を示す挙動情報と、端末記憶部に記憶している移動中情報の数を示す記憶数とを含む上りメッセージである移動終了情報を生成し、端末通信部に移動終了情報を送信させるステップと、端末通信部が、サーバから下りメッセージである送信回数を示す送信回数情報を受信した場合、送信回数情報に基いて、端末記憶部に逐次記憶した順番で移動中情報を逐次送信させるステップとを含む。
【0018】
(9)上記課題を解決するために、本発明の一態様であるプログラムは、移動体に搭載され、移動体の電源のオン/オフを検知する検知部と、センサ情報を逐次取得するセンサ部と、CPUとメモリを有する端末制御部と、端末記憶部とを備える通信端末装置を、センサ情報をセンサデータに逐次変換する変換部、上りメッセージをLPWA通信網に無線送信し、下りメッセージを前記LPWA通信網から無線受信することでサーバと通信を行う端末通信部、として機能させ、通信端末装置に送信制御処理を実行させるプログラムである。送信制御処理は、検知部が電源のオンを検知した場合、移動体の移動開始を示す挙動情報を含む上りメッセージである移動開始情報を生成し、端末通信部に移動開始情報を送信させるステップと、移動開始情報を送信した後は、移動体の移動中を示す挙動情報と、逐次変換する複数のセンサデータとを含む上りメッセージである移動中情報を逐次生成し、生成した移動中情報を端末記憶部に逐次記憶させるステップと、検知部が電源のオフを検知した場合、移動体の移動終了を示す挙動情報と、端末記憶部に記憶している移動中情報の数を示す記憶数とを含む上りメッセージである移動終了情報を生成し、端末通信部に移動終了情報を送信させるステップと、端末通信部が、サーバから、下りメッセージである送信回数を示す送信回数情報を受信した場合、送信回数情報に基いて、端末記憶部に逐次記憶した順番で移動中情報を逐次送信させるステップとを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明を適用した移動体管理システムは、通信回数、送信データ長に制限があるLPWA通信を用いて、再送することなく、上りメッセージを確実にサーバへ送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】移動体管理システム10の構成を示す図である。
図2】通信端末装置11の機能構成図である。
図3】端末制御部115のメモリに一時記憶される位置情報の一例を示す図である。
図4】一定領域を平面直角座標系の範囲とするオフセットxy座標の一例を示す図である。
図5】経緯度で表現した位置情報と、変換したxy座標、オフセットxy座標との対応関係及び起点位置と差分との対応関係の具体例を示す図である。
図6】サーバ3に送信するセンサデータ(センサデータ群)の具体的な一例を示す図である。
図7】上りデータのデータ構造と移動中情報の一例を示す図である。
図8】移動開始情報及び移動終了情報の一例を示す図である。
図9】第1実施形態のサーバ3の機能構成図である。
図10】各通信端末装置11のある時点の挙動情報及び送信済回数の一例を示す図である。
図11】下りメッセージのデータ構造の一例を示す図である。
図12】通信端末装置11の動作フローの一例を示す図である。
図13】サーバ3の動作フローの一例を示す図である。
図14】移動体管理システム10の動作を例示するシーケンス図である。
図15】第2実施形態のサーバ3の機能構成図である。
図16】分析部36の動作フローの一例を示す図である。
図17】各クラスタの平均送信回数、係数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
[構成]
本発明の第1実施形態に係る移動体管理システム10について、図面を用いて説明する。図1に示すように、移動体管理システム10は、移動体1に搭載された通信端末装置11、LPWA通信網2、サーバ3で構成される。
【0022】
移動体1は、車道を走行移動する4輪または2輪の自動車である。移動体1は、自転車、空中を移動する飛行体、水上を移動する船舶等であってもよい。移動体1は、図示していないが、電源部を有する。移動体1は、移動開始時に電源部からACC電源を出力(オン)し、移動を終了するとACC電源の出力を停止(オフ)する。図示していないが、移動体1と移動体1に搭載された通信端末装置11は、複数存在する。
【0023】
移動体1には、位置情報を取得するセンサ部111が搭載されている。センサ部111は、GNSS(全地球航法衛星システム)衛星群4から発射される時刻情報付きの信号を逐次受信する機能を有する。GNSS衛星群4の各衛星は、各衛星の位置情報と発信した時刻情報とを含む信号を随時発信している。センサ部111は、受信した信号に基いて移動体1の現在位置を示す位置情報を算出して取得する。
【0024】
LPWA通信網2は、所定のLPWA通信に従って出力された電波の送受信を行う複数の基地局と、クラウドシステムで構成される。LPWA通信とは、低消費電力で広い範囲の無線通信を実現する通信方式のことである。例えば、SIGFOX、LoRa(登録商標)等の通信方式がLPWA通信に該当する。
【0025】
LPWA通信網2を構成する複数の基地局は、所定のエリアをそれぞれがカバーするように設置されている。LPWA通信網2は、LPWA通信方式の無線信号を送信する通信端末装置11と、LPWA通信網2に接続されているサーバ3との間のメッセージのやり取りを繋ぐネットワークである。
【0026】
第1実施形態の移動体管理システム10が用いるLPWA通信は、通信端末装置11の上りメッセージの送信回数と、サーバ3から1台の通信端末装置11への下りメッセージの送信回数に制限を設けた通信方式を採用する。本通信方式では、1台の通信端末装置11につき1日の上りメッセージ送信回数は140回、サーバ3から通信端末装置11への下りメッセージの送信回数は4回とする制限を設けている。
【0027】
LPWA通信網2のクラウドシステムは、契約単位で1日の送信回数を監視する。例えば、1契約で10台の通信端末装置11を運用する場合、1日の上りメッセージの送信回数は、140回×10台=1400回以下であれば、制限範囲内の運用である。サーバ3は、送信回数が上限を超えないように、通信端末装置11から送信される上りメッセージの送信回数を決定する送信回数決定処理を行う。サーバ3が行う送信回数決定処理については、後述する。
【0028】
通信端末装置11の機能構成について説明する。通信端末装置11は、図2に示すように少なくとも、センサ部111、端末通信部112、検知部113、補助電池114、端末制御部115、変換部116、生成部117、端末記憶部118を備える。
【0029】
センサ部111は、GPSセンサを備え、上記のとおり位置情報を取得する機能を有する。センサ部111は、所定時間間隔で測位を行って、センサ情報である位置情報を取得する。測位の時間間隔は、秒単位で任意に設定することができる。センサ部111は、取得した位置情報を逐次、端末制御部115に含まれる変換部116に入力する。
【0030】
端末通信部112は、LPWA通信方式に基いてLPWA通信網2と無線通信を行う機能を有する。端末通信部112が送信する上りメッセージ、サーバ3から受信する下りメッセージのデータ構造については後述する。
【0031】
検知部113は、通信端末装置11の電源管理を行う機能を有する。通信端末装置11は、移動体1のACC電源から電源供給を受けており、移動体1のACC電源がオン状態またはオフ状態になると、いずれの状態であるかを検知する機能を有する。
【0032】
端末制御部115は、ACC電源がオンの状態になった時の移動体1の挙動を、移動体1の「移動開始」と判断する。端末制御部115は、ACC電源がオフの状態になった時の移動体1の挙動を、移動体1の「移動終了」と判断する。端末制御部115は、ACC電源がオンの状態になった時からACC電源がオフの状態になるまでの移動体1の挙動を「移動中」と判断する。なお、検知部113は、ACC電源のオン・オフの検知以外に、イグニッションスイッチのオン・オフを検知してもよい。
【0033】
検知部113は、移動体1のACC電源から電源供給を受けている間は、補助電池114を充電する。検知部113は、移動体1のACC電源がオフ状態になると、補助電池114への充電をやめて、補助電池114か電源供給を受ける。なお、検知部113は、常時、移動体1から電源供給を受けていてもよく、ACC電源のオン・オフを検知することで、移動体の移動開始、移動終了を判定してもよい。
【0034】
補助電池114は充電池である。補助電池114は、移動体1のACC電源から電源供給を受けている間は、充電を行う。補助電池114は、検知部113からの電源供給が止まると、放電を開始し、所定時間の間は通信端末装置11を駆動させることができる電力を供給する。なお、通信端末装置11は、移動体1から常時、電源供給を受けるようにすることもできる。この場合、通信端末装置11は、補助電池114を備えていなくてもよいし、充電池ではなく、一次電池であってもよい。
【0035】
端末制御部115のハードウェアは、CPUとメモリで構成される。端末制御部115は、通信端末装置11が備える各機能部の動作全般を制御する。端末制御部115のメモリには、通信端末装置11の動作を制御するための制御プログラムが記憶されている。
【0036】
端末制御部115は、図3に示すように、センサ部111から所定の時間間隔で入力された位置情報を、取得した順番で端末制御部115のメモリに一時記憶する。センサ部111が位置情報を取得する時間間隔は、端末制御部115の制御に基いて変更することが可能である。
【0037】
端末制御部115は、機能部として変換部116と生成部117を備える。変換部116は、センサ部111から入力された位置情報をセンサデータに変換する機能を有する。第1実施形態におけるセンサデータとは、位置情報をデータ長に制約があるLPWA通信の上りメッセージに適したサイズに加工したデータのことをいう。
【0038】
生成部117は、上りメッセージを生成する機能を有する。通信端末装置11は、上りメッセージとして、移動開始情報、移動中情報、移動終了情報の3種類を生成する。
【0039】
移動開始情報は、移動体1が移動を開始したことをサーバ3に通知するための上りメッセージである。端末制御部115は、検知部113が移動体1のACC電源のオンを検知すると、移動開始情報を生成する。移動開始情報は、通信端末装置11を識別する識別情報と、移動体1の移動開始を示す挙動情報と、直近で変換されたセンサデータとを含む。端末制御部115は、移動開始情報を生成すると、通信端末装置11に移動開始情報を送信させる。
【0040】
移動中情報は、移動体1が移動中に生成される上りメッセージであり、移動中に取得した移動体1の複数の位置を示すセンサデータをサーバ3に通知するための上りメッセージである。端末制御部115は、検知部113がACC電源のオンを検知してから、電源のオフを検知するまでの間に変換部116が逐次変換した複数のセンサデータを含む移動中情報を逐次生成し、端末記憶部118に記憶させる。移動中情報は、識別情報と、移動体が移動中であることを示す挙動情報と、複数のセンサデータとを含む。
【0041】
移動終了情報は、移動体1が移動を終了したことをサーバ3に通知するための上りメッセージである。端末制御部115は、検知部113がACC電源のオフを検知すると、移動終了情報を生成する。移動終了情報は、通信端末装置11を識別する識別情報と、移動体1の移動終了を示す挙動情報と、直近で変換されたセンサデータと、端末記憶部118に記憶している移動中情報の数を示す記憶数とを含む。
【0042】
端末記憶部118は、端末制御部115の制御に基いて端末制御部115が生成した順番で移動中情報を記憶する機能を有する。端末記憶部118のハードウェアは、不揮発性メモリである。
【0043】
端末制御部115は、サーバ3から送信された下りメッセージである送信回数情報を端末通信部112が無線受信すると、送信回数情報に基いて、端末記憶部118に記憶した順番で移動中情報を送信する送信制御処理を行う。
【0044】
ここで、変換部116が変換する位置情報の変換方法について説明する。図3に示すように、センサ部111が取得する位置情報は、経緯度で表現した情報である。変換部116は、経緯度で表現した位置情報を、所定位置を基準位置とする平面直角座標で表現した情報に変換する。経緯度で表現した位置情報は8Byteである。経緯度で表現した位置情報を平面直角座標で表現した情報に変換することで、データサイズを4Byteに圧縮することができる。
【0045】
経緯度で表現した位置情報を平面直角座標系のxy座標に変換する方法としては、様々な公知の手法が存在する。第1実施形態では、一例として、以下に示す式
【0046】
【数1】
・・・(1)
【0047】
【数2】
・・・(2)
を用いて、経度λをxに、緯度φをyに変換する。zは12である。上記の式(1)、式(2)で得られた平面直角座標の値を、日本本土を含む一定領域を平面直角座標の範囲とするオフセット座標に変換する。
【0048】
図4に示す一定領域におけるオフセット値は、xに対して894000、yに対して371160である。
【0049】
図5に示す、取得順1の位置情報は、経緯度で表現された情報であり、(34°40’50.5”N 135°10’35.7”E)である。この位置情報を、式(1)、(2)を用いて、平面直角座標に変換すると、(918018,416472)という値が得られる。得られた平面直角座標を、オフセット値で差し引くことで、(24018,45312)というオフセット座標が得られる。
【0050】
オフセット座標のx座標、y座標のそれぞれの最大値は、65535である。すなわち、オフセット座標のx座標、y座標は、それぞれ2Byte(16bit=0~65535)で表現することができる。つまり、経緯度で表現した位置情報をオフセット座標に変換することで、データサイズを4Byteに圧縮することができる。
【0051】
更に、起点位置の座標との差分を算出して、オフセット座標を表現すると、オフセット座標のx座標、y座標は、それぞれ1Byte(1bitは+-、7bit=0~127)で表現することができる。つまり、合計2Byteで表現することができる。
【0052】
図5に示す、取得順2の位置情報は、(34°41’06.2”N 135°10’49.7”E)である。取得順2の位置情報を、式(1)、(2)及びオフセット値を用いて変換したオフセット座標は、(24030,45296)である。
【0053】
取得順1の位置を起点位置1として、取得順1に続いて取得した取得順2、3、4の位置を、起点位置1のオフセット座標との差分情報で表現すると、取得順2の位置は、(12,-16)、取得順3の位置は、(54,-41)、取得順4の位置は、(52,-45)である。なお、取得順3の位置は、取得順2の位置との差分で表現してもよい。
【0054】
端末制御部115は、検知部113が移動体1のACC電源のオンを検知してから、ACC電源のオフを検知するまでの間は、センサ部111から逐次入力される位置情報をメモリに記憶する。起点位置との差分を示す差分情報が0若しくは所定値より小さい場合、または、差分同士が同じ値となる場合は、移動体1がほぼ同じ位置に滞在する状態である。この場合は、サーバ3に重複した位置情報を送信することになるので、端末制御部115は、メモリへの記憶を停止してもよいし、或いは、変換部116のセンサデータへの変換を停止してもよい。
【0055】
端末制御部115は、図6に示すように、移動中情報のペイロードとして、送信順を示すシーケンス番号、挙動情報、起点位置、移動終了位置または移動開始位置を示すセンサデータ、差分1~3を含むセンサデータ(センサデータ群)を生成する。
【0056】
シーケンス番号は送信順を示す情報である。端末制御部115は、シーケンス番号として、0から64までの数字を順番に1ずつ増加させて付与する。端末制御部115は、シーケンス番号として64を付与すると、次のシーケンス番号として0を付与する。なお、シーケンス番号として巡回して付与する数字の最大値は64に限定されない。例えば、256、512でもよい。
【0057】
端末制御部115は、図6に示すように、上記の取得順1~4のセンサデータ群に対して、シーケンス番号39、移動体1が移動中であることを示す挙動情報を付与した移動中情報のペイロードを生成する。
【0058】
移動中情報のデータ構造は、図7に示すように、ヘッダ10Byte、ペイロード最大12Byte、フッタ4Byteである。ペイロードは、シーケンス番号、挙動情報を含む2Byteのデータと、起点位置のオフセット座標4Byteと、起点位置とそれに続く各位置との差分を示す差分情報2Byteを3つ分含むセンサデータ群で構成される。
【0059】
ヘッダの10Byteには、通信端末装置11を識別する識別情報(4Byte)が含まれる。また、フッタの4Byteには、認証符号であるHMAC(Hash-based Message Authentication Code)、誤り検出符号であるCRC(Cyclic Redundancy Check)が含まれる。
【0060】
ここで、取得順5の位置情報を取得してから取得順6の位置情報を取得するまでの間に、検知部113が、移動体1のACC電源のオフを検知したとする。この場合、端末制御部115は、移動終了を示す挙動情報と、移動体1の移動終了位置として、取得順5のオフセット座標(センサデータ)と、端末記憶部118に記憶する上りメッセージの数を示す記憶数を含む移動終了情報を生成する。
【0061】
その後、検知部113が、移動体1のACC電源のオンを検知したとする。この場合、端末制御部115は、移動開始を示す挙動情報と、移動体1の移動開始位置として、取得順5のオフセット座標を含む移動開始情報を生成する。
【0062】
図8に示すように、移動開始情報及び移動終了情報のペイロードは、シーケンス番号及び挙動情報(2Byte)、移動開始時または終了時の位置を示すセンサデータ(4Byte)、記憶数(1Byte)で構成される。記憶数は、端末記憶部118に記憶した上りメッセージの数である。
【0063】
なお、記憶数は、端末記憶部118が記憶することが可能な全体容量に対して、現時点で記憶するデータ量の比率で表現した情報であってもよい。例えば、端末記憶部118が移動中情報を100個記憶することができる場合に、39個の移動中情報を記憶する場合、記憶数は「39%」と表現としてもよい。
【0064】
サーバ3の機能構成について説明する。図9に示すように、サーバ3は、少なくとも、サーバ通信部31、サーバ制御部32、予測部33、決定部34、サーバ記憶部35を備える。なお、サーバ3は、処理の負荷分散のために複数台のコンピュータで構築されていてもよい。
【0065】
サーバ通信部31は、LPWA通信網2を経由して通信端末装置11から送信された上りメッセージを逐次受信する。サーバ通信部31は、LPWA通信網2を介して、サーバ制御部32が生成した下りメッセージを通信端末装置11に送信する。
【0066】
サーバ制御部32のハードウェアは、CPUとメモリで構成される。サーバ制御部32は、サーバ通信部31が逐次受信する上りメッセージのペイロード内容を、上りメッセージに含まれる識別情報と対応付けてサーバ記憶部35に逐次記憶させる。
【0067】
サーバ制御部32は、予測部33、決定部34を備える。予測部33は、通信端末装置11が送信できる上りメッセージの数である送信可能回数を予測する機能を有する。予測部33は、サーバ記憶部35に記憶した各識別情報と対応付けられている上りメッセージの数と、各通信端末装置11の最新の挙動情報とに基いて、送信可能回数を予測する。
【0068】
通信端末装置11から送信される上りメッセージの送信回数は、通信端末装置11が搭載されている移動体1の運用の仕方によって大きく異なることが想定される。図10は、ある時点におけるAからIまでの識別情報が付与された10台の各通信端末装置11の挙動情報と、上りメッセージの送信済回数を示した表である。
【0069】
図10に示す各移動体1に搭載された10台の通信端末装置11のうち、識別情報がA、C、E、G、Hである5台については、上りメッセージに含まれる挙動情報から、移動中であることを示す。識別情報が、B、D、F、I、Jである5台については、移動終了であることを示す。各通信端末装置11が送信した上りメッセージの送信済回数の合計は、760回であるため、図10の時点では、上限の1400回を超えていない。なお、送信回数のカウントは、その日の0時から24時までに送信された上りメッセージをカウントした数値である。
【0070】
図10に示す状況で、予測部33が予測する送信可能回数について説明する。サーバ通信部31が移動終了情報を受信すると、予測部33は、送信可能回数を予測する。
【0071】
予測部33は、挙動情報が移動中である5台の通信端末装置11から、上りメッセージがそれぞれ送信される可能性があるとみなして、送信可能な残数である、1400回(全体の送信回数)-760回(全体の送信済回数)-5回(移動中の通信端末装置11から送信される移動終了情報の回数)=635回を、5で割った127回を送信可能回数として予測する。この予測の計算方法は、移動終了の車両は、移動開始をしない、という予測に基く計算方法である。
【0072】
一方、移動終了の通信端末装置11が移動を開始することを想定した予測の計算方法を採用することもできる。この場合、1400回(全体の送信回数)-760回(全体の送信済回数)-10回(各通信端末装置11から送信される第1、移動終了情報の回数)=630回を、10で割った63回を送信可能回数として予測してもよい。送信可能回数の計算方法は、各移動体1の運用に応じて、最適な算出方法を採用することができる。例えば、複数の計算方法で算出した送信可能回数の平均を取った値を用いてもよい。
【0073】
決定部34は、サーバ通信部31が移動終了情報を受信した場合、予測部33が予測した送信可能回数と、移動終了情報に含まれる記憶数とに基いて、送信回数を決定する機能を有する。
【0074】
例えば、送信可能回数が127回で、移動終了情報に含まれる記憶数が70回の場合、送信可能回数が記憶数よりも大きい数であるため、決定部34は、70回を送信回数として決定する。一方、送信可能回数が63回と予測した場合は、記憶数の方が大きい数になるため、決定部34は、送信可能回数である63回を送信回数として決定する。
【0075】
サーバ記憶部35のハードウェアは、ハードディスクドライブ等の大容量記憶媒体で構成される。サーバ記憶部35は、サーバ制御部32の制御により、逐次受信した上りメッセージのペイロード内容を識別情報と対応付けて逐次記憶する。
【0076】
サーバ記憶部35は、過去に各通信端末装置11が送信した上りメッセージと、サーバ3を制御する各種プログラムを記憶する。例えば、サーバ記憶部35は、サーバ3の送信回数決定処理を行うプログラムを記憶する。
【0077】
サーバ制御部32は、決定部34が決定した送信回数を示す送信回数情報と、移動終了情報を送信した通信端末装置11を識別する識別情報とを含む下りメッセージを生成して、サーバ通信部31に送信させる。図11に示すように、下りメッセージのデータ構造は、ヘッダ17Byte、ペイロード8Byte、フッタ4Byteである。識別情報はヘッダに格納され、送信回数情報は、ペイロードに格納される。
【0078】
[動作]
通信端末装置11とサーバ3の動作について説明する。なお、動作の説明において用いる記号「S」は、ステップを意味する。通信端末装置11は、図12に示すように、検知部113が移動体1のACC電源がオンになったことを検知すると(S1)、変換部116は、センサ部111から逐次取得する位置情報をセンサデータに変換し、生成部117は、移動開始情報を生成する。端末制御部115は、生成した移動開始情報を端末通信部112に送信させる(S2)。
【0079】
S2の処理の後、変換部116は、逐次取得する位置情報をセンサデータに変換する(S3)。生成部117は、S3の処理において逐次変換されたセンサデータを含む移動中情報を生成して、端末記憶部118に逐次記憶する(S4)。
【0080】
検知部113が、移動体1のACC電源がオフになったことを検知すると(S5:Yes)、変換部116は、位置情報のセンサデータへの変換を停止する(S6)。S5の処理において検知部113が、移動体1のACC電源がオフになったことを検知しなければ(S5:No)、S3の処理に戻り、変換部116は、逐次取得する位置情報をセンサデータに変換する。
【0081】
S6の処理に続いて、生成部117は移動終了情報を生成し、端末制御部115は端末通信部112に移動終了情報を送信させる(S7)。その後、端末通信部112が送信回数情報を含む下りメッセージをサーバ3から受信すると(S8:Yes)、端末制御部115は、mに送信回数を、iにカウンター値を設定し、移動中情報の送信制御を開始する(S11)。
【0082】
S8の処理において、下りメッセージをサーバ3から受信せず(S8:No)、検知部113が、移動体1のACC電源がオンになったことを検知すると(S9:Yes)、S2の処理に進む。S9の処理において、検知部113が、移動体1のACC電源がオンになったことを検知せず(S9:No)、所定時間(例えば、1時間)経過すると、端末制御部115は端末通信部112に移動終了情報を再送信させる(S10)。その後、S8の処理に戻る。なお、端末記憶部118に、移動中情報をまったく記憶していなければ、S10の処理はスキップしてもよい。
【0083】
S11の処理の後、端末制御部115は、端末記憶部118に記憶した順番で移動中情報を端末通信部112に送信させ、送信した移動中情報は端末記憶部118から削除する(S12)。端末制御部115は、移動中情報を端末通信部112に送信させると、カウンター値を1つインクリメントする(S13)。
【0084】
S13の処理の後、検知部113が移動体1のACC電源がオンになったことを検知すると(S14:Yes)、S2の処理に戻る。S14の処理において、検知部113が、移動体1のACC電源がオンになったことを検知しなければ(S14:No)、S15の処理に進む。
【0085】
端末制御部115は、送信回数mとカウンター値iが等しくなった場合(S15:Yes)、動作を終了する。端末制御部115は、S15の処理において、送信回数mとカウンター値iが等しくない場合(S15:No)、S12の処理に戻り、端末通信部112に移動中情報を送信させる。
【0086】
続いて、サーバ3の動作について説明する。図13に示すように、サーバ通信部31が、LPWA通信網2を介して通信端末装置11から上りメッセージを受信した場合(S21:Yes)、サーバ制御部32は、受信した上りメッセージをサーバ記憶部35に記憶する(S22)。
【0087】
続いて、受信した上りメッセージが移動終了情報の場合(S23:Yes)、予測部33は、送信可能回数の予測を行う(S24)。S24の処理の後、決定部34は、予測部33が予測した送信可能回数と、移動終了情報に含まれる記憶数とに基いて、送信回数を決定する(S25)。
【0088】
サーバ制御部32は、S25の処理において、決定した送信回数を示す送信回数情報を生成して、サーバ通信部31に送信させる(S26)。サーバ制御部32は、S26の処理の後、S21の処理に戻る。
【0089】
サーバ制御部32は、S23の処理において、受信した上りメッセージが移動終了情報ではない場合(S23:No)、S21の処理に戻る。
【0090】
続いて、図13のシーケンス図を用いて、通信端末装置11とサーバ3間の通信のやり取りについて説明する。
【0091】
まず、通信端末装置11において、検知部113が移動体1のACC電源がオンになったことを検知すると(S31)、生成部117は移動開始情報を生成し、端末制御部115は、生成した移動開始情報を端末通信部112に送信させる(S32)。
【0092】
サーバ通信部31が移動開始情報を受信すると、サーバ制御部32は、移動開始情報を識別情報と対応付けてサーバ記憶部35に記憶する(S33)。
【0093】
通信端末装置11が搭載された移動体1は移動を開始し、センサ部111は所定時間間隔で位置情報を逐次取得する。変換部116は、取得した位置情報を逐次センサデータに変換する(S34)。
【0094】
センサデータを4つ変換した段階で、生成部117は、移動中情報を生成し、端末制御部115は、端末記憶部118に記憶する(S35)。
【0095】
S35の処理に続いて、検知部113が、移動体1のACC電源のオフを検知すると(S36:Yes)、生成部117は移動終了情報を生成し、端末制御部115は、生成した移動終了情報を端末通信部112に送信させる(S37)。移動終了情報の送信後は、変換部116による位置情報のセンサデータへの変換は停止する。
【0096】
検知部113が、移動体1のACC電源のオフを検知しなければ(S36:No)、S34の処理に戻る。
【0097】
サーバ通信部31が移動終了情報を受信すると、サーバ制御部32は、移動終了情報を識別情報と対応付けてサーバ記憶部35に記憶する(S38)。続いて、予測部33は送信可能回数の予測を行う(S39)。S39の処理の後、決定部34は、送信可能回数と記憶数に基いて送信回数を決定し、サーバ制御部32は、決定した送信回数を示す送信回数情報を生成して、サーバ通信部31に送信させる(S40)。
【0098】
端末通信部112が、下りメッセージとして送信回数情報をサーバ3から受信すると(S41)、通信端末装置11は、送信回数情報に基いて、端末記憶部118に記憶した移動中情報を、端末通信部112に逐次送信させる(S42)。
【0099】
サーバ通信部31が移動中情報を受信すると、サーバ制御部32は、移動中情報を識別情報と対応付けてサーバ記憶部35に記憶する(S43)。端末通信部112が移動中情報を送信している途中、または、送信回数分の移動中情報を送信した後に、検知部113が移動体1のACC電源がオンになったことを検知すると(S44:Yes)、端末制御部115はS32の処理に戻る。S44の処理において、検知部113が移動体1のACC電源がオンになったことを検知しなければ(S44:No)、端末制御部115はS42の処理に戻る。
【0100】
上記の移動体管理システム10を用いると、未受信となる可能性が高い移動体1の移動中は上りメッセージの送信は行わず、移動体1が移動終了している間に、サーバ3が決定した適切な送信回数に基いて、移動中に取得したセンサデータを効率的にサーバ3へ届けることができる。
【0101】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係る移動体管理システム10について図面を用いて説明する。なお、第1実施形態に係る移動体管理システム10と同じ符号の機能部については、説明を省略する。
【0102】
[構成]
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、図13に示すように、サーバ3に分析部36が備わった点である。分析部36は、各通信端末装置11が送信した上りメッセージの履歴に基いて、各通信端末装置11を識別する識別情報を複数のクラスタにクラスタリングし、各クラスタの平均送信回数と係数を算出する機能を有する。
【0103】
クラスタリングとは、ある集合について、なんらかの規則に基いて類似するもの同士で分類することである。クラスタとは、クラスタリングによって分類された部分集合のことである。クラスタリングの手法には、k平均法等、公知のクラスタリング手法を用いることができる。分析部36は、移動体1に搭載された通信端末装置11の識別情報を、識別情報と対応付けられている上りメッセージの履歴を用いてクラスタリングする。
【0104】
上りメッセージの履歴には、上りメッセージに含まれるセンサデータが示す位置情報、位置情報から特定される走行距離、移動体1の挙動を示す挙動情報、挙動情報から特定される走行時間、上りメッセージをサーバ3が受信した日時情報、日毎の上りメッセージの送信回数等が含まれる。
【0105】
[動作]
分析部36の動作フローについて説明する。分析部36は、図16に示すように、各通信端末装置の識別情報を、サーバ記憶部35に記憶した上りメッセージの履歴を用いてクラスタリングする(S41)。分析部36が、識別情報毎に対応付けられている上りメッセージの履歴を用いてクラスタリングすることで、行動が類似する移動体1に搭載された通信端末装置11の識別情報が、同じクラスタに分類される。
【0106】
S41の処理に続いて、分析部36は、各クラスタに属する識別情報と対応付けられている上りメッセージの日毎の送信回数を用いて、平均送信回数を算出する(S42)。平均送信回数とは、クラスタに分類された、各識別情報に対応付けられた上りメッセージの1日の送信回数の平均である。例えば、クラスタ1に、識別情報A、識別情報B、識別情報Cの3台の通信端末装置11が分類されているとする。そして、識別情報Aに対応付けられた上りメッセージの1日の送信回数が、50回、識別情報Bが100回、識別情報Cが90回とする。この場合、平均送信回数は、240回÷3=80回である。
【0107】
S42の処理に続いて、分析部36は、各クラスタの係数の算出を行う(S43)。係数とは、曜日、天候等の要素によって平均送信回数に変化がある場合に設ける係数である。係数を設ける要素は、他にも様々なものが考えられる。例えば、走行地域(山岳地帯、市街地等)によって係数を設けてもよい。平均送信回数が80回で、平日係数が1.2、休日係数が0.8の場合、平日の送信可能回数は、80回×1.2=96回である。休日の送信可能回数は、80回×0.8=64回である。
【0108】
予測部33は、分析部36が算出した平均送信回数と係数とを用いて送信可能回数を予測する。図17は、上りメッセージの履歴を用いてクラスタリングした複数のクラスタと、各クラスタの平均送信回数と、係数の一例を示す図である。各クラスタは、平均送信回数、平日係数、休日係数、晴係数、雨係数等が対応付けられる。
【0109】
クラスタ1は、「主に平日に移動し、休日に移動しない」という特徴的な行動をする移動体1が属するクラスタである。なお、サーバ記憶部35には、「主に平日に移動し、休日に移動しない」という、クラスタの概要を説明した情報は含まなくてもよい。
【0110】
図16に示すクラスタ1には、主に平日に移動し、休日は移動しない移動体1に搭載された通信端末装置11の識別情報がクラスタリングされる。分析部36は、クラスタ1にクラスタリングされた識別情報と対応付けられている上りメッセージの1日の送信回数の平均を算出し、算出した数値を平均送信可能回数としてクラスタ1と対応付けて記憶する。クラスタ1の平均送信可能回数は、120回である。
【0111】
クラスタ1の平日係数は、1.2、休日係数は、0.8、晴係数は、1.1、雨係数は、0.8である。よって、予測部33がクラスタ1に属する識別情報の送信可能回数を、平日の晴の日に予測する場合、120×1.2×1.1≒158回が、送信可能回数である。
【0112】
第1実施形態の予測部33は、運用する通信端末装置11全体の送信済回数と、稼働状況から、送信可能回数を予測したが、第2実施形態の予測部33は、クラスタ毎に送信可能回数を予測するため、各通信端末装置11にとってより適切な送信回数を決定することができる。
【0113】
本発明の移動体管理システム10を用いることで、移動体1の走行中、或いは、基地局のエリア範囲外に移動体1が存在する時にメッセージを送信することで生じる送信失敗を大幅に減らすことができ、許容されたメッセージの送信回数を最大限に活用することができる。
【0114】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、本発明は第1実施形態及び第2実施形態に限定されるものではない。例えば、センサ部111は、位置情報の取得に代えて、温度情報、湿度情報、気圧情報、加速度情報等を取得してもよい。
【0115】
決定部34は、記憶数が送信可能回数を上回る場合、変換部116がセンサデータに逐次変換する時間間隔を長くする設定を決定してもよい。サーバ制御部32は、送信回数情報と共に時間間隔の設定情報を格納した下りメッセージを生成して、通信端末装置11に送信する。通信端末装置11は、下りメッセージを受信し、変換部116は、受信した設定に基く時間間隔で、センサ部が逐次取得する位置情報をセンサデータに逐次変換する。時間間隔を長くすることで、通信端末装置11が送信するセンサデータの数を抑制することができ、送信回数の抑制ができる。
【0116】
上記の第1実施形態及び第2実施形態では、経緯度情報を、日本全土を一定の範囲とするオフセット座標に変換したが、日本の特定のエリア、例えば、関西エリアのオフセット座標に変換してもよいし、より狭い範囲、例えば、公園エリアを一定の範囲とするオフセット座標に変換してもよい。オフセット座標の範囲が狭くなれば、変換するセンサデータのデータサイズを圧縮することができ、その結果、1回の送信に含めることができるセンサデータの数を増やすことができる。
【0117】
上記第2実施形態で説明した分析部36は、さまざまな分析を行うことが可能である。そして、分析部36が分析した結果は、予測部33が予測する送信可能回数に反映させることができる。例えば、移動体1が停車すると、通信端末装置11からサーバ3に上りメッセージとして移動終了情報、移動中情報が送信され、サーバ3から通信端末装置11に下りメッセージとして送信回数情報が送信される。分析部36は、移動体1が停車した位置毎に、上り下りの通信が相手方に受信成功した確率を算出し、予測部33が予測する送信可能回数に反映させてもよい。
【0118】
例えば、受信成功率が1%の場所に移動体1が停車して、記憶数が20であったとする。この場合、通信端末装置11に移動中情報を送信させても、サーバ3は確率的に1つも受信できない可能性が高い。よって、予測部33は送信可能回数を0と予測し、決定部34は、送信可能回数が0であることから、送信回数情報を通信端末装置11に送信しない決定をしてもよい。
【0119】
分析部36は、更に、移動体1が停車した位置と時間帯によって、移動体1が停車する平均停車時間を分析して算出し、予測部33は、平均停車時間を算出可能回数に反映させて予測してもよい。例えば、コンビニエンスストアの駐車場に移動体1が停車した場合、どの時間帯でも平均30分である、といった分析が可能である。
【0120】
通信方式によって送信間隔は異なるが、Sigfoxの場合、10秒以上間隔を取る必要がある。移動体1が停車した位置の平均停車時間が10分である場合、600秒÷10秒/回=60回であることから、送信可能回数は60回と予測してもよい。
【0121】
移動体1が停車する位置によっては、平均停車時間が5分以下である場合も考えられる。この場合、通信端末装置11が記憶している移動中情報を、停車中にすべて送信することができないことが想定されるが、端末記憶部118に移動中情報が大量に保存されたままで、記憶領域にゆとりがない状態の場合は、決定部34は、送信回数を決定して、通信端末装置11に送信回数情報を送信してもよい。
【0122】
本発明は、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示した複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。
【0123】
本発明は、例えば、第1実施形態及び第2実施形態にそれぞれ示される構成要素を適宜組み合わせても良いし、追記した構成要素を適宜組み合わせてもよい。本発明は、移動体管理システムを構成する通信端末装置であってもよいし、通信端末装置に用いられる送信制御方法であってもよい。また、本発明は通信端末装置に上りメッセージの送信制御処理を実行させるプログラムであってもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、LPWA通信機能を備えた通信端末装置を用いて移動体の各種センサのセンサデータをサーバで管理する移動体管理システムに適用できる。
【符号の説明】
【0125】
1 移動体
2 LPWA通信網
3 サーバ
4 GNSS衛星群
11 通信端末装置
31 サーバ通信部
32 サーバ制御部
33 予測部
34 決定部
35 サーバ記憶部
36 分析部
111 センサ部
112 端末通信部
113 検知部
114 補助電池
115 端末制御部
116 変換部
117 生成部
118 端末記憶部
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