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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079390
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】弾性波デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/145 20060101AFI20220519BHJP
   H03H 9/25 20060101ALI20220519BHJP
   H03H 9/10 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
H03H9/145 D
H03H9/25 C
H03H9/25 A
H03H9/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190583
(22)【出願日】2020-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171077
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 康平
【テーマコード(参考)】
5J097
5J108
【Fターム(参考)】
5J097AA24
5J097BB02
5J097BB11
5J097DD24
5J097HA02
5J097HA04
5J097JJ09
5J097KK10
5J108BB08
5J108DD01
5J108EE03
5J108EE05
5J108EE14
5J108FF09
5J108KK02
(57)【要約】
【課題】バンプとバンプパッドのボンダビリティを確実にし、より小型化されかつ信頼性の高い弾性波デバイスを提供する。
【解決手段】配線基板と、前記配線基板上に対向配置される弾性波素子基板と、前記弾性波素子基板上に設けられた弾性波素子と、前記弾性波素子基板上に設けられ前記弾性波素子と電気的に接続されたバンプパッドと、前記バンプパッド及び前記配線基板と電気的に接続されたバンプとを有する弾性波デバイスであって、前記バンプパッドは、間欠部分を形成するように断続的に形成されている弾性波デバイス。
【選択図】図6


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板上に対向配置される弾性波素子基板と、
前記弾性波素子基板上に設けられた弾性波素子と、
前記弾性波素子基板上に設けられ前記弾性波素子と電気的に接続されたバンプパッドと、
前記バンプパッド及び前記配線基板と電気的に接続されたバンプと
を有する弾性波デバイスであって、
前記バンプパッドは、間欠部分を形成するように断続的に形成されている弾性波デバイス。
【請求項2】
前記バンプパッドの前記間欠部分は、複数のスリット状に形成されている請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記バンプパッドの前記間欠部分は、水玉模様状に形成されている請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記バンプパッドの前記間欠部分は、略格子状に形成されている請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記弾性波素子基板は圧電基板と支持基板を含み、前記支持基板はサファイア、アルミナ、スピネルまたはシリコンからなる基板である請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記弾性波素子は、弾性表面波を励振するIDT電極からなる請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項7】
前記弾性波素子は、音響薄膜共振器からなる請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記バンプパッドは、少なくとも2層の金属層からなり、前記金属層うち、少なくとも1層において、間欠部分を形成するように断続的に形成されている請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項9】
前記バンプパッドは、少なくとも2層の金属層からなり、前記金属層うち、少なくとも2層において、間欠部分を形成するように断続的に形成されている請求項8に記載の弾性波デバイス。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波素子基板がフリップチップボンディング方式により配線基板に実装される弾性波デバイスに関し、より詳細には、バンプと接合されるバンプパッドの構造が改良された弾性波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共振子や帯域フィルタとして弾性波デバイスが広く用いられている。また、弾性波デバイスが搭載される移動体通信端末に代表されるスマートフォンなどの電子機器の小型化を図るために、フリップチップボンディング方式が広く用いられている。フリップチップボンディング方式では、弾性波素子基板がバンプを介して配線基板に搭載される。
【0003】
特許文献1には、フリップチップボンディング方式により実装される弾性波デバイスが開示されている。
【0004】
Auバンプを弾性波デバイスのバンプパッド上に超音波振動を用いて形成する際、あるいはAuバンプを介して弾性波素子基板を配線基板に超音波振動を用いて実装する際などに、バンプパッドと弾性波素子基板との密着性が十分でないため、バンプパッドが弾性波素子基板から剥離するおそれがあった。
【0005】
また、バンプから加わる力により、弾性波素子基板にクラックが生じることもあった。このような問題を解決するために、バンプパッドは3層構造となっている。
【0006】
具体的には、バンプパッドの最上層が、Auバンプとの接合性を確保するために、AuまたはAlを主成分とする合金からなる電極層であるとされている。また、中間層として、密着性を高めるために、TiまたはNiCrなどの密着層が形成されている。そして、バンプパッドの最下層には純度の高いAlやAl-Cu合金等が用いられている。比較的硬度が低いAlは応力緩和層として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-261560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の構造では、上記積層構造のバンプパッドを用いることにより、バンプパッドの剥離や圧電基板のクラックが抑制されるとされている。
【0009】
しかしながら、上記のように、バンプとの接合性に優れた電極層と、応力緩和層や応力分散層として機能する電極層を積層しなければならなかった。
【0010】
そのため、バンプパッド部分における電極層の形成工程が煩雑であり、かつコストが高くつくという問題があった。
【0011】
また、近年の弾性波デバイスに対する小型化の要請はますます強くなっており、バンプパッドの占める面積も小さくする必要がある。さらに、ボンダビリティを確実にし、バンプパッドとバンプの剥離による断線が生じないようにする必要がある。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、バンプとバンプパッドのボンダビリティを確実にし、より小型化されかつ信頼性の高い弾性波デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するために、本発明にあっては、
配線基板と、
前記配線基板上に対向配置される弾性波素子基板と、
前記弾性波素子基板上に設けられた弾性波素子と、
前記弾性波素子基板上に設けられ前記弾性波素子と電気的に接続されたバンプパッドと、
前記バンプパッド及び前記配線基板と電気的に接続されたバンプと
を有する弾性波デバイスであって、
前記バンプパッドは、間欠部分を形成するように断続的に形成されている弾性波デバイスとした。
【0014】
前記バンプパッドの前記間欠部分は、複数のスリット状に形成されていることが、本発明の一形態とされる。
【0015】
前記バンプパッドの前記間欠部分は、水玉模様状に形成されていることが、本発明の一形態とされる。
【0016】
前記バンプパッドの前記間欠部分は、略格子状に形成されていることが、本発明の一形態とされる。
【0017】
前記弾性波素子基板は圧電基板と支持基板を含み、前記支持基板はサファイア、アルミナ、スピネルまたはシリコンからなることが、本発明の一形態とされる。
【0018】
前記弾性波素子は、弾性表面波を励振するIDT電極からなることが、本発明の一形態とされる。
【0019】
前記弾性波素子は、音響薄膜共振器からなることが、本発明の一形態とされる。
【0020】
前記バンプパッドは、少なくとも2層の金属層からなり、前記金属層うち、少なくとも1層において、間欠部分を形成するように断続的に形成されていることが、本発明の一形態とされる。
【0021】
前記バンプパッドは、少なくとも2層の金属層からなり、前記金属層うち、少なくとも2層において、間欠部分を形成するように断続的に形成されていることが、本発明の一形態とされる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、バンプとバンプパッドのボンダビリティを確実にし、より小型化されかつ信頼性の高い弾性波デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施例1にかかる弾性波デバイス1の断面図である。
図2図2は、弾性波素子基板5の構成を示す図である。
図3図3は、弾性波素子52が弾性表面波共振器である例を示す平面図である。
図4図4は、弾性波素子52が圧電薄膜共振器である例を示す断面図である。
図5図5は、バンプパッドの間欠部分がスリット形状である例を示す図である。
図6図6は、図5におけるA-A断面図である。
図7図7は、バンプパッドの間欠部分が水玉模様状である例を示す図である。
図8図8は、バンプパッドの間欠部分が略格子状である例を示す図である。
図9図9は、本発明の第二の実施形態である弾性波デバイスのバンプパッド部分の断面図を示す図である。
図10図10は、本発明の第三の実施形態である弾性波デバイスのバンプパッド部分の断面図を示す図である。
図11図11は、本発明の効果を測定した結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施の形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0025】
(実施例1)
図1は、実施例1にかかる弾性波デバイス1の断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施例にかかる弾性波デバイス1は、配線基板3と、配線基板3上に実装された、弾性波素子基板5を備える。
【0027】
配線基板3は、例えば、樹脂からなる多層基板、または、複数の誘電体層からなる低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)多層基板等が用いられる。また、配線基板3は、複数の外部接続端子31を備える。
【0028】
弾性波素子基板5は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムまたは水晶などの圧電単結晶、あるいは圧電セラミックスからなる基板を用いることができる。
【0029】
また、弾性波素子基板5は、圧電基板と支持基板が接合された基板を用いてもよい。支持基板は、例えば、サファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板またはシリコン基板を用いることができる。
【0030】
弾性波素子基板5は、バンプ15を介して、配線基板3にフリップチップボンディングにより実装されている。
【0031】
バンプ15は、例えば、金バンプを用いることができる。バンプ15の高さは、例えば、20μmから50μmである。
【0032】
弾性波素子基板5のバンプ15が形成される領域に、バンプパッド9が形成されている。弾性波素子基板5上には、図1では図示しないが、弾性波素子および弾性波素子とバンプパッド9を電気的に接続するための配線パターンが形成されている。
【0033】
弾性波素子基板5を覆うように、封止部17が形成されている。封止部17は、例えば、合成樹脂等の絶縁体により形成してもよく、金属を用いてもよい。
【0034】
合成樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミドなどを用いることができるが、これらに限るものではない。好ましくは、エポキシ樹脂を用い、低温硬化プロセスを用いて封止部17を形成する。
【0035】
図2は、弾性波素子基板5の構成を示す図である。図2に示すように、弾性波素子基板5上に、バンプパッド9、弾性波素子52および配線パターン54が形成されている
【0036】
配線パターン54上に、絶縁体56が形成されている。絶縁体56は、例えば、ポリイミドを用いることができる。絶縁体56は、例えば、1000nmの膜厚で形成する。
【0037】
絶縁体56上にも配線パターン54が形成されており、絶縁体56を介して立体的に交差するように配線が形成されている。
【0038】
バンプパッド9、弾性波素子52および配線パターン54は、銀、アルミニウム、銅、チタン、パラジウムなどの適宜の金属もしくは合金からなる。また、これらの金属パターンは、複数の金属層を積層してなる積層金属膜により形成されてもよい。
【0039】
バンプパッド9、弾性波素子52および配線パターン54は、その厚みが、例えば、150nmから400nmとすることができる。
【0040】
バンプパッド9は、入力パッドIn、出力パッドOutおよびグランドパッドGNDを含んでいる。また、バンプパッド9および配線パターン54は、弾性波素子52と電気的に接続されている。
【0041】
図2に示すように、弾性波素子52を複数形成することで、例えば、バンドパスフィルタを構成することができる。バンドパスフィルタは、入力パッドInから入力された電気信号のうち、所望の周波数帯域のみの電気信号を通過させるように設計されている。
【0042】
入力パッドInから入力された電気信号は、バンドパスフィルタを通過し、所望の周波数帯域の電気信号が、出力パッドOutに出力される。
【0043】
出力パッドOutに出力された電気信号は、バンプ15を介して、配線基板3の外部接続端子31から出力される。
【0044】
図3は、弾性波素子52が弾性表面波共振器である例を示す平面図である。
【0045】
図3に示すように、弾性波素子基板5上に、弾性表面波を励振するIDT(Interdigital Transducer)52aと反射器52bが形成されている。IDT52aは、互いに対向する一対の櫛形電極52cを有する。櫛形電極52cは、複数の電極指52dと複数の電極指52dを接続するバスバー52eを有する。反射器52bは、IDT52aの両側に設けられている。
【0046】
IDT52aおよび反射器52bは、例えば、アルミニウムと銅の合金からなる。IDT52aおよび反射器52bは、その厚みが、例えば、150nmから400nmの薄膜である。
【0047】
IDT52aおよび反射器52bは、他の金属、例えば、チタン、パラジウム、銀などの適宜の金属もしくはこれらの合金を含んでもよく、これらの合金により形成されてもよい。また、IDT52aおよび反射器52bは、複数の金属層を積層してなる積層金属膜により形成されてもよい。
【0048】
図4は、弾性波素子52が圧電薄膜共振器である例を示す断面図である。
【0049】
図4に示すように、チップ基板60上に圧電膜62が設けられている。圧電膜62を挟むように下部電極64および上部電極66が設けられている。下部電極64とチップ基板60との間に空隙68が形成されている。下部電極64および上部電極66は、圧電膜62内に、厚み縦振動モードの弾性波を励振する。
【0050】
チップ基板60は、例えば、シリコン等の半導体基板、または、サファイア、アルミナ、スピネルもしくはガラス等の絶縁基板を用いることができる。圧電膜62は、例えば、窒化アルミニウムを用いることができる。
【0051】
下部電極64および上部電極66は、例えば、ルテニウム等の金属を用いることができる。
【0052】
弾性波素子52は、所望のバンドパスフィルタとしての特性が得られるよう、適宜、多重モード型フィルタやラダー型フィルタに採用されることができる。
【0053】
図5は、バンプパッドの間欠部分がスリット形状である例を示す図である。
【0054】
図5に示すように、本実施例のバンプパッド9の間欠部分は、複数のスリットSLIT形状を有する構成とすることができる。
【0055】
バンプパッド9は、例えば、一辺が90μm~130μmの略四角形状とすることができる。スリットSLITは、例えば、短辺が5μm~10μm、長辺が50μm~80μmの略四角形状とすることができる。
【0056】
図6は、図5におけるA-A断面図である。
【0057】
図6に示すように、弾性波素子基板5上に、バンプパッド9が形成されている。バンプパッド9は、複数のスリットSLITによる、間欠部分を形成しており、断続的に形成されている。間欠部分において、弾性波素子基板5が露出している。
【0058】
なお、弾性波素子基板5が露出している必要は、必ずしもない。バンプパッド9の厚み方向において、部分的に間欠部分が形成され、断続的に形成されていればよい。
【0059】
このように、バンプパッド9に間欠部分を形成し、断続的に形成されることで、アンカー効果が生じ、バンプパッド9とバンプ15のボンダビリティが改善される。
【0060】
バンプパッド9は、フォトリソグラフィー法などにより、IDT52a、反射器52bおよび配線パターン54などと同時に形成することができる。
【0061】
図7は、バンプパッドの間欠部分が水玉模様状である例を示す図である。
【0062】
図7に示すように、本実施例のバンプパッド9の間欠部分は、複数のドットDOT形状を有する構成とすることができる。
【0063】
バンプパッド9は、例えば、一辺が90μm~130μmの略四角形状とすることができる。ドットDOTは、例えば、直径が5μm~25μmの略円形状とすることができる。また、ドットDOTは、例えば、10個~20個程度形成することができる。
【0064】
図7に示すように、弾性波素子基板5上に、バンプパッド9が形成されている。バンプパッド9は、水玉模様状に、間欠部分を形成しており、断続的に形成されている。間欠部分において、弾性波素子基板5が露出している。
【0065】
なお、弾性波素子基板5が露出している必要は、必ずしもない。バンプパッド9の厚み方向において、部分的に間欠部分が形成され、断続的に形成されていればよい。
【0066】
このように、バンプパッド9に間欠部分を形成し、断続的に形成されることで、アンカー効果が生じ、バンプパッド9とバンプ15のボンダビリティが改善される。
【0067】
バンプパッド9は、フォトリソグラフィー法などにより、IDT52a、反射器52bおよび配線パターン54などと同時に形成することができる。
【0068】
図8は、バンプパッドの間欠部分が略格子状である例を示す図である。
【0069】
図8に示すように、本実施例のバンプパッド9の間欠部分は、格子状の形状GRIDを有する構成とすることができる。バンプパッド9は、例えば、一辺が90μm~130μmの略四角形状とすることができる。
【0070】
その他の構成は、バンプパッドの間欠部分がスリット形状である例およびバンプパッドの間欠部分が水玉模様状である例と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
(実施例2)
図9は、本発明の第二の実施形態である弾性波デバイスのバンプパッド部分の断面図を示す図である。
【0072】
図9に示すように、弾性波素子基基板5上に、バンプパッド9が形成されている。バンプパッド9上に、第2バンプパッド92が形成されている。すなわち、バンプパッドは、2層の金属層からなっている。
【0073】
図9に示すように、バンプパッド9は間欠部分を有していない。第2バンプパッド92は、間欠部分INTを有している。
【0074】
バンプパッドを2層の金属層とするのは、バンプパッドとバンプの濡れ性、接続強度および接続信頼性確保のためである。バンプと直接接合する金属層は、Under Bump Metal(UBM)と呼ばれることが多い。
【0075】
代表的なUBM層の形成方法としては、無電解めっき法と電解めっき法がある。無電解めっき法では、バンプパッドが露出したウエハまたは基板を、温度、濃度管理された無電解めっき液槽に適切な時間浸漬し、洗浄することによりUBM層(第2バンプパッド92)を形成することができる。
【0076】
電解めっき法では、次のような工程でUBMを形成する。バンプパッドが露出したウエハまたは基板表面全面にTi(チタン)などのめっきシード層とフォトレジスト層を形成し、バンプパッド9とめっき通電用電極が露出するよう、また、間欠部分INTを覆うよう、露光現像工程を経てフォトレジストをパターニングする。
【0077】
フォトレジストがパターニングされたウエハまたは基板を温度、濃度管理された電解めっき液槽に浸漬し、適切な電流設定で適切な時間通電することでUBM層(第2バンプパッド92)を形成する。
【0078】
その後、フォトレジストを除去し、UBM層(第2バンプパッド92)形成部以外のめっきシード層をエッチング、洗浄することによりバンプパッド9上にUBM層(第2バンプパッド92)を形成することができる。
【0079】
UBM層(第2バンプパッド92)に用いられる金属は、主に、無電解めっき法では、表面から金(Au)、パラジウム(Pd)及びニッケル(Ni) の層構成、または、金(Au)及びニッケル(Ni)の層構成である。
【0080】
電解めっき法では、主に、同じく表面から金(Au)、ニッケル(Ni)及びチタン(Ti(シード層))の層構成、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びチタン(Ti(シード層))の層構成、または、金(Au)、銅(Cu)及びチタン(Ti(シード層))の層構成である。
【0081】
(実施例3)
図10は、本発明の第三の実施形態である弾性波デバイスのバンプパッド部分の断面図を示す図である。
【0082】
図10に示すように、弾性波素子基基板5上に、バンプパッド9が形成されている。バンプパッド9上に、第2バンプパッド92が形成されている。すなわち、バンプパッドは、2層の金属層からなっている。
【0083】
図10に示すように、バンプパッド9は間欠部分INT9を有している。第2バンプパッド92は、間欠部分INT92を有している。
【0084】
その他の構成および製造方法は、実施例1および実施例2と同様であるため説明を省略する。なお、電解めっき法でUBM層(第2バンプパッド92)を形成する場合、バンプパッド9の間欠部分INT9側壁部にもUBM層(第2バンプパッド92)を形成することが可能であり、バンプ15との接合面積が増えることにより接続強度が増し、接続信頼性が向上する。
【0085】
図11は、本発明の効果を測定した結果を説明するための図である。
【0086】
比較例1は、圧電基板上に、アルミニウム(Al)金属膜を127nmの膜厚で成膜し、さらにその上に、UBM層としてのアルミニウム(Al)金属膜を1500nm程度の膜厚で成膜した例である。
【0087】
比較例2は、アルミニウム(Al)金属膜を1500nm程度の膜厚で成膜した例である。
【0088】
比較例3は、圧電基板上に、周波数調整膜としてのシリコンを20nmの厚みで成膜後、さらにその上に、UBM層としてのアルミニウム(Al)金属膜を1500nm程度の膜厚で成膜した例である。
【0089】
本発明は、スリット形状の間欠部分を形成したアルミニウム(Al)金属膜を127nmの膜厚で成膜し、さらにその上に、UBM層としてのアルミニウム(Al)金属膜を1500nm程度の膜厚で成膜した例である。
【0090】
比較例1~3および本発明のバンプパッドを採用した圧電基板を用意し、金バンプを用いて、配線基板上に超音波接合によりフリップチップボンディングした。その後、ボンディングされた圧電基板を配線基板から剥離する際の強度を調べた結果を図11に示す。なお、いずれの例も、バンプパッドおよびバンプは、6個形成されていた。
【0091】
図11に示すように、比較例1の&#21085;離強度は、最高が32.97グラム、最低が19.67グラムであった。また、1032個のサンプル数の平均値が27.92グラムであった。また、バンプパッドへの接続に失敗した例が2個あり、Non-Stick Rateが0.19%であった。
【0092】
図11に示すように、比較例2の&#21085;離強度は、最高が30.20グラム、最低が15.62グラムであった。また、1092個のサンプル数の平均値が23.35グラムであった。また、バンプパッドへの接続に失敗した例が26個あり、Non-Stick Rateが2.4%であった。
【0093】
図11に示すように、比較例3の&#21085;離強度は、最高が33.50グラム、最低が15.96グラムであった。また、1043個のサンプル数の平均値が28.26グラムであった。また、バンプパッドへの接続に失敗した例が14個あり、Non-Stick Rateが1.3%であった。
【0094】
図11に示すように、本発明の&#21085;離強度は、最高が34.42グラム、最低が28.11グラムであった。また、1014個のサンプル数の平均値が31.77グラムであった。また、バンプパッドへの接続に失敗した例が1個あり、Non-Stick Rateが0.1%であった。
【0095】
以上の測定結果からも明らかなように、本発明は&#21085;離強度に優れ、かつ、バラツキが少ない、という効果を有する。また、Non-Stick Rateも最も優れた結果となった。
【0096】
以上説明した本発明の構成によれば、バンプとバンプパッドのボンダビリティを確実にし、より小型化されかつ信頼性の高い弾性波デバイスを提供することができる。
【0097】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【0098】
また、少なくとも一つの実施形態のいくつかの側面を上述したが、様々な改変、修正および改善が当業者にとって容易に想起されることを理解されたい。かかる改変、修正および改善は、本開示の一部となることが意図され、かつ、本発明の範囲内にあることが意図される。理解するべきことだが、ここで述べられた方法および装置の実施形態は、上記説明に記載され又は添付図面に例示された構成要素の構造および配列の詳細への適用に限られない。方法および装置は、他の実施形態で実装し、様々な態様で実施又は実行することができる。特定の実装例は、例示のみを目的としてここに与えられ、限定されることを意図しない。また、ここで使用される表現および用語は、説明目的であって、限定としてみなすべきではない。ここでの「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」およびこれらの変形の使用は、以降に列挙される項目およびその均等物並びに付加項目の包括を意味する。「又は(若しくは)」の言及は、「又は(若しくは)」を使用して記載される任意の用語が、当該記載の用語の一つの、一つを超える、およびすべてのものを示すように解釈され得る。前後左右、頂底上下、および横縦への言及はいずれも、記載の便宜を意図しており、本発明の構成要素がいずれか一つの位置的又は空間的配向に限られるものではない。したがって、上記説明および図面は例示にすぎない。
【符号の説明】
【0099】
1 弾性波デバイス
3 配線基板
5 弾性波素子基板
9 バンプパッド
15 バンプ
17 封止部
31 外部接続端子
52 弾性波素子
54 配線パターン
56 絶縁体
60 チップ基板
62 圧電膜
64 下部電極
66 上部電極
68 空隙

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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図11