(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007940
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】流体制御装置とこれを備えた燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/126 20060101AFI20220105BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F16K31/126 A
F23K5/00 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005322
(22)【出願日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2020108382
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠馬
(72)【発明者】
【氏名】吉村 公博
(72)【発明者】
【氏名】則竹 克哉
【テーマコード(参考)】
3H056
3K068
【Fターム(参考)】
3H056AA07
3H056BB50
3H056CA08
3H056CB02
3H056CB07
3H056CC02
3H056CD03
3H056DD10
3H056GG03
3K068AA01
3K068BB01
3K068BB02
3K068BB12
3K068BB24
(57)【要約】
【課題】ダイヤフラム114との間で流体が流入する圧力室105を画成する、弁孔112aが形成された弁座112と、ダイヤフラム114に連結され、弁座112に接離自在で弁孔112aを開閉する弁体122と、圧力室105内に設けられた第1調圧ばね123と、ダイヤフラム114の背面側に画成された背圧室107内に設けられた第2調圧ばね124と、第2調圧ばね124の付勢力を調整する調整部材125とを備える流体制御装置FCにおいて、温度変化に伴って弁座112が膨張又は収縮しても、弁孔112aを通じて圧力室105へ流入する流体の圧力又は流量の変化を抑制する。
【解決手段】第2調圧ばね124のダイヤフラム114と反対側に位置する端部を受けるばね受け126bの位置を、温度上昇に伴ってダイヤフラム114側から離隔する方向に変位させる温度補正手段126が設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の圧力又は流量を調整する流体制御装置であって、
ダイヤフラムと、ダイヤフラムとの間で流体が流入する圧力室を画成する、弁孔が形成された弁座と、ダイヤフラムに連結され、弁座に接離自在で弁孔を開閉する弁体と、圧力室内に設けられ、ダイヤフラムを弁体が弁座から離隔する開き側に付勢する第1調圧ばねと、ダイヤフラムカバーによってダイヤフラムの背面側に画成された背圧室内に設けられ、ダイヤフラムを弁体が弁座に接近する閉じ側に付勢する第2調圧ばねと、第2調圧ばねの付勢力を調整する調整部材とを備えるものにおいて、
第2調圧ばねのダイヤフラムと反対側に位置する端部を受けるばね受けの位置を、温度上昇に伴ってダイヤフラム側から離隔する方向に変位させる温度補正手段が設けられることを特徴とする流体制御装置。
【請求項2】
前記温度補正手段は、前記背圧室内を前記ダイヤフラム側に延びると共に、外径がダイヤフラム側に向かうに従って縮小する縮径部を有する、前記調整部材に設けられた凸状部材と、凸状部材の縮径部に外嵌する環状の前記ばね受けとから構成され、
凸状部材の縮径部に対するばね受けの外嵌位置が、温度上昇に伴ってダイヤフラム側から離隔する方向に変位することを特徴とする請求項1記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記凸状部材と前記ばね受けが熱膨張係数の異なる材料で形成されることを特徴とする請求項2記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記調整部材は、前記ダイヤフラムカバーに設けられた、前記第2調圧ばねの長さ方向に延びる筒部の内周に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を備え、
前記温度補正手段は、調整部材とダイヤフラムの間の筒部内に配置され、調整部材側の端部に前記ばね受けが設けられ、温度上昇に伴って第2調圧ばねの長さ方向に伸長する筒状の補正部材から構成され、
前記背圧室内で補正部材のダイヤフラム側に位置する基端の第2調圧ばねの長さ方向の位置を、温度変化に関わりなく一定又はほぼ一定に保つスペーサーが設けられることを特徴とする請求項1記載の流体制御装置。
【請求項5】
前記調整部材は、前記ダイヤフラムカバーに設けられた、前記第2調圧ばねの長さ方向に延びる筒部の内周に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、雄ねじ部から前記ダイヤフラムと反対側に延び、温度上昇に伴って第2調圧ばねの長さ方向に伸長する筒状の伸縮部とを備え、
前記温度補正手段は、調整部材の当該伸縮部と、調整部材とダイヤフラムの間の筒部内に配置され、調整部材側の端部に前記ばね受けが設けられ、温度上昇に伴って第2調圧ばねの長さ方向に伸長する筒状の補正部材とから構成され、
調整部材の伸縮部のダイヤフラムと反対側に位置する端部と、補正部材のダイヤフラム側に位置する基端との間の距離を、温度変化に関わりなく一定又はほぼ一定に保つスペーサーが設けられることを特徴とする請求項1記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記調整部材は、前記ダイヤフラムカバーに設けられた、前記第2調圧ばねの長さ方向に延びる筒部の内周の一部に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、雄ねじ部から前記ダイヤフラムと反対側に延び、温度上昇に伴って第2調圧ばねの長さ方向に伸長する筒状の伸縮部とを備え、ダイヤフラムと反対側に位置する伸縮部の端部に前記ばね受けが設けられ、
前記温度補正手段は、調整部材の当該伸縮部から構成されることを特徴とする請求項1記載の流体制御装置。
【請求項7】
バーナと、バーナに前記流体として燃料ガスを供給するガス供給路に介設された、請求項1から6のいずれか1項記載の流体制御装置とを備えることを特徴とする燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナに対するガス供給路等に介設される、燃料ガス等の流体の圧力又は流量を調整する流体制御装置と、この流体制御装置を備えた燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記流体制御装置の一種として、ダイヤフラムと、ダイヤフラムとの間で流体が流入する圧力室を画成する、弁孔が形成された弁座と、ダイヤフラムに連結され、弁座に接離自在で弁孔を開閉する弁体と、圧力室内に設けられ、ダイヤフラムを弁体が弁座から離隔する開き側に付勢する第1調圧ばねと、ダイヤフラムカバーによってダイヤフラムの背面側に画成された背圧室内に設けられ、ダイヤフラムを弁体が弁座に接近する閉じ側に付勢する第2調圧ばねと、第2調圧ばねの付勢力を調整する調整部材とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の流体制御装置は、流出させる流体の圧力又は流量が所定値から変動しないように、調整部材によって第2調圧ばねの付勢力が第1調圧ばねの付勢力と等しくなるように初期設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1記載の流体制御装置が、例えば、燃焼装置等に組み込まれる場合、燃焼装置での燃焼等に伴って流体制御装置を取り囲む雰囲気等の温度が上昇する。この温度上昇によって、弁座は、ダイヤフラム側に接近するように膨張する。しかし、弁座が膨張しても、第1調圧ばねと第2調圧ばねの付勢力は初期設定時のまま変化しないため、弁体は移動しない。その結果、弁座の膨張によって弁体と弁座の間隔が初期設定時よりも狭くなり、弁孔を通じて圧力室へ流入する流体の流量が減少してしまう。
【0006】
また、流体制御装置を取り囲む雰囲気等の温度が下降する場合、弁座は、ダイヤフラム側から離隔するように収縮する。温度下降の場合にも、第1調圧ばねと第2調圧ばねの付勢力は初期設定時のまま変化しないため、弁体は移動しない。その結果、弁座の収縮によって弁体と弁座の間隔が初期設定時よりも広くなり、弁孔を通じて圧力室へ流入する流体の流量が増加してしまう。
【0007】
このように、従来の流体制御装置については、取り囲まれる雰囲気等の温度変化に伴って流体の圧力又は流量が初期設定値から変動するという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、温度変化に伴って弁座が膨張又は収縮しても、弁孔を通じて圧力室へ流入する流体の圧力又は流量の変化を抑制することができる流体制御装置と、この流体制御装置を用いた燃焼装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の流体制御装置は、流体の圧力又は流量を調整する流体制御装置であって、ダイヤフラムと、ダイヤフラムとの間で流体が流入する圧力室を画成する、弁孔が形成された弁座と、ダイヤフラムに連結され、弁座に接離自在で弁孔を開閉する弁体と、圧力室内に設けられ、ダイヤフラムを弁体が弁座から離隔する開き側に付勢する第1調圧ばねと、ダイヤフラムカバーによってダイヤフラムの背面側に画成された背圧室内に設けられ、ダイヤフラムを弁体が弁座に接近する閉じ側に付勢する第2調圧ばねと、第2調圧ばねの付勢力を調整する調整部材とを備えるものにおいて、第2調圧ばねのダイヤフラムと反対側に位置する端部を受けるばね受けの位置を、温度上昇に伴ってダイヤフラム側から離隔する方向に変位させる温度補正手段が設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明の流体制御装置によれば、流体制御装置を取り囲む雰囲気等の温度が上昇する場合、温度補正手段が、第2調圧ばねのダイヤフラムと反対側に位置する端部を受けるばね受けの位置を、ダイヤフラム側から離隔する方向に変位させると共に、温度が下降する場合には、ダイヤフラムに接近する方向に変位させるため、温度変化が生じても、調整部材による第2調圧ばねの付勢力の再設定を要することなく、弁体と弁座の間隔が初期設定時に近づくように補正される。従って、温度変化に伴って弁座が膨張又は収縮しても、弁孔を通じて圧力室へ流入する流体の圧力又は流量の変化を抑制することができる。
【0011】
本発明の流体制御装置においては、上記温度補正手段は、上記背圧室内を上記ダイヤフラム側に延びると共に、外径がダイヤフラム側に向かうに従って縮小する縮径部を有する、上記調整部材に設けられた凸状部材と、凸状部材の縮径部に外嵌する環状の上記ばね受けとから構成され、凸状部材の縮径部に対するばね受けの外嵌位置が、温度上昇に伴ってダイヤフラム側から離隔する方向に変位することが望ましい。これによれば、温度上昇に伴って凸状部材に対するばね受けの外嵌位置がダイヤフラムから離隔する方向に変位するため、このばね受けの変位に伴われて第2調圧ばねが伸長して、第2調圧ばねの付勢力は初期設定時よりも小さくなる。従って、弁体は、第1調圧ばねの付勢力によって弁座から離隔する方向に移動し、温度上昇に伴って弁座が膨張しても、弁体と弁座の間隔が初期設定時に近づくように補正される。また、温度下降に伴ってばね受けの上記外嵌位置がダイヤフラムに接近する方向に変位するため、第2調圧ばねが短縮して第2調圧ばねの付勢力は初期設定時よりも大きくなる。従って、弁体は、第2調圧ばねの付勢力によって弁座に接近する方向に移動し、温度下降に伴って弁座が収縮しても、弁体と弁座の間隔が初期設定時に近づくように補正される。
【0012】
本発明の流体制御装置においては、上記凸状部材と上記ばね受けが熱膨張係数の異なる材料で形成されることが望ましい。これによれば、ばね受けに凸状部材よりも大きな正の熱膨張係数を有する材料を採用すれば、温度変化に伴いばね受けが径方向に拡縮して、凸状部材の縮径部に対するばね受けの外嵌位置を変位させることができる。また、ばね受けに正の熱膨張係数を有する材料を採用し、凸状部材に負の熱膨張係数を有する材料を採用すれば、温度変化に伴って凸状部材の縮径部が径方向に拡縮して、凸状部材の縮径部に対するばね受けの外嵌位置を変位させることができる。
【0013】
本発明の流体制御装置においては、上記調整部材は、上記ダイヤフラムカバーに設けられた、上記第2調圧ばねの長さ方向に延びる筒部の内周に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を備え、上記温度補正手段は、調整部材とダイヤフラムの間の筒部内に配置され、調整部材側の端部に上記ばね受けが設けられ、温度上昇に伴って第2調圧ばねの長さ方向に伸長する筒状の補正部材から構成され、上記背圧室内で補正部材のダイヤフラム側に位置する基端の第2調圧ばねの長さ方向の位置を、温度変化に関わりなく一定又はほぼ一定に保つスペーサーが設けられることが望ましい。これによれば、ばね受けは、補正部材の温度上昇に伴う第2調圧ばねの長さ方向の伸長及び温度下降に伴う第2調圧ばねの長さ方向の短縮によって変位するが、スペーサーによって、背圧室内では、補正部材のダイヤフラム側に位置する基端の第2調圧ばねの長さ方向の位置が、温度変化に関わりなく変化しないか又はほとんど変化しない。このため、温度上昇に伴って弁座が膨張したり、温度下降に伴って弁座が収縮したりしても、弁体と弁座の間隔が初期設定時に近づくように補正される。なお、本願で言及する「ほぼ一定」という文言は、完全に一定ではないが、補正部材の上記基端の第2調圧ばねの長さ方向の変位量が微小であり、背圧室内での補正部材の基端が同位置に存すると看做し得る場合を意味するものである。同様に、「ほとんど変化しない」という文言も、変化量が微小であり、無視することができると看做し得る場合を意味する。
【0014】
本発明の流体制御装置においては、上記調整部材は、上記ダイヤフラムカバーに設けられた、上記第2調圧ばねの長さ方向に延びる筒部の内周に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、雄ねじ部から上記ダイヤフラムと反対側に延び、温度上昇に伴って第2調圧ばねの長さ方向に伸長する筒状の伸縮部とを備え、上記温度補正手段は、調整部材の当該伸縮部と、調整部材とダイヤフラムの間の筒部内に配置され、調整部材側の端部に上記ばね受けが設けられ、温度上昇に伴って第2調圧ばねの長さ方向に伸長する筒状の補正部材とから構成され、調整部材の伸縮部のダイヤフラムと反対側に位置する端部と、補正部材のダイヤフラム側に位置する基端との間の距離を、温度変化に関わりなく一定又はほぼ一定に保つスペーサーが設けられることが望ましい。これによれば、ばね受けの位置は、調整部材の伸縮部及び補正部材の両方の温度上昇に伴う第2調圧ばねの長さ方向の伸長及び温度下降に伴う第2調圧ばねの長さ方向の短縮によってより大きく変位するが、スペーサーによって、背圧室内では、補正部材のダイヤフラム側に位置する基端の第2調圧ばねの長さ方向の位置が、温度変化に関わりなく変化しないか又はほとんど変化しない。このため、弁体と弁座の間隔の補正量を増大させることができる。
【0015】
本発明の流体制御装置においては、上記調整部材は、上記ダイヤフラムカバーに設けられた、上記第2調圧ばねの長さ方向に延びる筒部の内周の一部に形成された雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、雄ねじ部から上記ダイヤフラムと反対側に延び、温度上昇に伴って第2調圧ばねの長さ方向に伸長する筒状の伸縮部とを備え、ダイヤフラムと反対側に位置する伸縮部の端部に上記ばね受けが設けられ、上記温度補正手段は、調整部材の当該伸縮部から構成されることが望ましい。これよれば、ばね受けの位置は、調整部材の伸縮部の温度上昇に伴う第2調圧ばねの長さ方向の伸長によって、ダイヤフラムから離隔する方向に変位する。また、ばね受けの位置は、温度下降に伴う第2調圧ばねの長さ方向の短縮によって、ダイヤフラムに接近するように変位する。このため、温度上昇に伴って弁座が膨張したり、温度下降に伴って弁座が収縮したりしても、弁体と弁座の間隔が初期設定時に近づくように補正される。また、温度補正部材の構成が簡略化される。
【0016】
本発明の燃焼装置は、バーナと、バーナに上記流体として燃料ガスを供給するガス供給路に介設された、上記いずれかの流体制御装置とを備えることを特徴とする。本発明の燃焼装置によれば、上記いずれかの流体制御装置を取り囲む雰囲気等が温度変化しても、弁孔を通じて圧力室へ流入する燃料ガスの圧力又は流量の変化が抑制される。従って、燃焼装置の燃焼状態が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の燃焼装置の一実施形態を示す模式的断面図。
【
図2】
図1に示す燃焼装置が備えるゼロガバナに組み込まれた、本発明の流体制御装置の第1実施形態を示す断面図。
【
図3】本発明の流体制御装置の第2実施形態を示す要部断面図。
【
図4】本発明の流体制御装置の第3実施形態を示す要部断面図。
【
図5】本発明の流体制御装置の第4実施形態を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照して、本実施形態の燃焼装置1は、熱交換器11と、熱交換器11を加熱するバーナ12とを備えている。バーナ12は、バーナボディ12aの一面を覆う燃焼板13に形成された、図示省略の多数の炎孔から燃料ガスFと一次空気Aとの混合気MGをZ軸方向下方に噴出して燃焼する全一次燃焼式バーナで構成され、燃焼板13は、Z軸方向下方を向いて配置されている。また、バーナ12は、Z軸方向下方の燃焼空間を囲う燃焼筐14を備え、燃焼筐14の内部のZ軸方向下部に熱交換器11を収納している。そして、燃焼筐14のZ軸方向下端に連通する排気ダクト15が設けられ、バーナ12からの燃焼排ガスCGは熱交換器11を介して排気ダクト15に流出する。
【0019】
また、熱交換器11は、X軸及びZ軸の両方に直交する、図示省略のY軸方向に多数積層した吸熱フィン11aと、吸熱フィン11aを蛇行して貫通する吸熱管11bとで構成されている。吸熱管11bには、その上流側に給水管SPが、下流側に出湯管TPが接続されている。出湯管TPの下流端に設けられた、図示省略の出湯栓を開けて吸熱管11bに通水した時、バーナ12が燃焼して上記出湯栓から予め設定された温度の湯が出湯する。
【0020】
さらに、バーナ12には、X軸方向にのびる給気路16が接続され、給気路16に、一次空気Aを供給するファン17が介設されている。ファン17の上流側に位置する給気路16の部分には、燃料ガスFを供給する、Z軸方向に延びるガス供給路18の下流端に位置するガス出口18aが接続されている。なお、ガス出口18aが接続される給気路16の部分は、断面積が減少したベンチュリ部16aになっている。
【0021】
そして、ガス供給路18には、元弁19と、二次ガス圧を大気圧と同等圧に調圧するゼロガバナ100とが介設されている。ここで、燃料ガスFの供給量は、二次ガス圧である大気圧とベンチュリ部16aに作用するファン17の吸引負圧との差圧に応じて変化する。従って、ファン17の吸引負圧はファン17の回転数に比例して変化するため、燃料ガスFの供給量は、ファン17の回転数、すなわち、一次空気Aの供給量に比例して変化し、混合気MGの空燃比が一定になる。
【0022】
図2を参照して、
図1に示す燃焼装置1が備えるゼロガバナ100は、流入室101と、入口室102と、出口室103と、第1圧力室104と、第2圧力室105と、第3圧力室106と、背圧室107とを備えている。入口室102は、流入室101に対し第3弁座108で仕切られ、出口室103は、入口室102に対し第1弁座109で仕切られている。また、第1圧力室104は、出口室103に対し第1ダイヤフラム110で仕切られ、第2圧力室105は、第1圧力室104に連通する第1連通路111に対し第2弁座112で仕切られている。さらに、第3圧力室106は、入口室102に対し第4弁座113で仕切られ、背圧室107は、第2圧力室105に対し第2ダイヤフラム114で仕切られると共に、ダイヤフラムカバー115によって第2ダイヤフラム114の背面側に画成されている。
【0023】
なお、第1圧力室104は、第3圧力室106に第3連通路116を介して連通し、第2圧力室105は、出口室103に第2連通路117を介して連通すると共に、第3圧力室106に図示省略の連通路を介して連通している。背圧室107は、ダイヤフラムカバー115に形成された孔115aを介して大気に開放されている。
【0024】
また、ゼロガバナ100は、第3弁座108に形成された弁孔108aを開閉する弁体118aを有する第1電磁弁118と、第4弁座113に形成された弁孔113aを開閉する弁体119aを有する第2電磁弁119とを備えている。さらに、ゼロガバナ100は、第1ダイヤフラム110に連結され、第1弁座109に接離自在で第1弁座109に形成された弁孔109aを開閉する第1ダイヤフラム弁体120と、第2ダイヤフラム114に連結され、第2弁座112に接離自在で第2弁座112に形成された弁孔112aを開閉する第2ダイヤフラム弁体122とを備えている。なお、第2ダイヤフラム弁体122は、第2ダイヤフラム114に一体に連結されている。
【0025】
さらにまた、ゼロガバナ100は、出口室103の内部に設けられ、第1ダイヤフラム110を第1ダイヤフラム弁体120が第1弁座109に接近する下方の閉じ側に付勢するばね121を備えている。
【0026】
(第1実施形態)
そして、ゼロガバナ100に組み込まれた、第1実施形態の流体制御装置FCは、第2圧力室105、背圧室107、第2ダイヤフラム114、第2弁座112及び第2ダイヤフラム弁体122を備えると共に、第2圧力室105の内部に設けられ、第2ダイヤフラム114を第2ダイヤフラム弁体122が第2弁座112から離隔する上方の開き側に付勢する第1調圧ばね123と、背圧室107内に設けられ、第2ダイヤフラム114を第2ダイヤフラム弁体122が第2弁座112に接近する下方の閉じ側に付勢する第2調圧ばね124とを備えている。また、流体制御装置FCは、第2調圧ばね124の付勢力を調整する調整部材125を備えている。調整部材125は、ダイヤフラムカバー115内に設けられた第2調圧ばね124の長さ方向上方に延びる筒部115bの内周に形成された雌ねじ部115b1に螺合する雄ねじ部125aを備えている。なお、第1調圧ばね123及び第2調圧ばね124には圧縮コイルばねが採用されている。
【0027】
このようなゼロガバナ100は、上記の通り、
図1に示す燃焼装置1が備えるバーナ12に対するガス供給路18に介設され、第1電磁弁118及び第2電磁弁119を共に開弁させると、流入室101を通じて入口室102から出口室103に燃料ガスFが流れる。
【0028】
ところで、燃焼装置1での燃焼に伴い、流体制御装置FCを取り囲む雰囲気等の温度が上昇すると、この温度上昇によって、第2弁座112は、第2ダイヤフラム114側に接近するように膨張する。しかし、第2弁座112が膨張しても、第1調圧ばね123と第2調圧ばね124の付勢力は初期設定時のまま変化しないため、第2ダイヤフラム弁体122は移動しない。その結果、第2弁座112の膨張によって、第2ダイヤフラム弁体122と第2弁座112の間隔が初期設定時よりも狭くなり、弁孔112aを通じて第2圧力室105へ流入する燃料ガスFの流量が減少する。その結果、第1圧力室104の圧力が増加することで、弁孔109aを開閉する第1ダイヤフラム弁体120が開く方向へ移動する。
【0029】
また、流体制御装置FCを取り囲む雰囲気等の温度が下降する場合、第2弁座112は、第2ダイヤフラム114側から離隔するように収縮する。温度下降の場合にも、第1調圧ばね123と第2調圧ばね124の付勢力は初期設定時のまま変化しないため、第2ダイヤフラム弁体122は移動しない。その結果、第2弁座112の収縮によって、第2ダイヤフラム弁体122と第2弁座112の間隔が初期設定時よりも広くなり、弁孔112aを通じて第2圧力室105へ流入する燃料ガスFの流量が増加する。その結果、第1圧力室104の圧力が減少することで、弁孔109aを開閉する第1ダイヤフラム弁体120が閉じる方向へ移動する。
【0030】
そこで、第1実施形態の流体制御装置FCでは、温度補正手段126が設けられている。温度補正手段126は、背圧室107内を第2ダイヤフラム114側に向かって延びると共に、外径Rが第2ダイヤフラム114側に向かうに従って縮小する縮径部126a1を有する、調整部材125に設けられた、柱状の凸状部材126aと、凸状部材126aの縮径部126a1の軸方向のいずれかの部分に外嵌し、第2ダイヤフラム弁体122との間で第2調圧ばね124を狭持する環状のばね受け126bとから構成されている。凸状部材126aは、調整部材125の中央部に調整部材125と一体的に形成されている。また、凸状部材126aとばね受け126bは熱膨張係数の異なる材料から形成されている。具体的には、凸状部材126a及びばね受け126bを形成する夫々の材料は共に正の熱膨張係数を有しているが、ばね受け126bを形成する材料の熱膨張係数は、凸状部材126aを形成する材料の熱膨張係数よりも大きい。
【0031】
このような第1実施形態の流体制御装置FCでは、取り囲まれる雰囲気等の温度が上昇して、第2弁座112が第2ダイヤフラム114側に接近するように膨張する場合、凸状部材126aの縮径部126a1及びばね受け126bは共に温度上昇に伴って径方向に膨張するが、ばね受け126bは、凸状部材126aの縮径部126a1よりも膨張量が大きい。このため、凸状部材126aの縮径部126a1に対するばね受け126bの外嵌位置が、温度上昇に伴って第2ダイヤフラム114から離隔する上方に変位する。
【0032】
このようなばね受け126bの上方への変位に伴われて第2調圧ばね124が伸長して、第2調圧ばね124の付勢力は初期設定時よりも小さくなる。従って、第2ダイヤフラム弁体122は、第1調圧ばね123の付勢力によって第2弁座112から離隔する上方に移動する。このため、温度上昇によって第2弁座112が膨張しても、調整部材125による第2調圧ばね124の付勢力の再設定を要することなく、第2ダイヤフラム弁体122と第2弁座112の間隔が初期設定時に近づくように補正され、弁孔112aを通じて第2圧力室105へ流入する燃料ガスFの流量が減少することが抑制される。その結果、第1ダイヤフラム弁体120が開く方向へ移動することが抑制される。
【0033】
また、温度下降の場合には、第2弁座112が収縮すると共に、凸状部材126aの縮径部126a1及びばね受け126bは共に温度下降に伴って径方向に収縮するが、ばね受け126bは、凸状部材126aの縮径部126a1よりも収縮量が大きい。このため、凸状部材126aの縮径部126a1に対するばね受け126bの外嵌位置が、温度下降に伴って第2ダイヤフラム114に接近する下方に変位する。
【0034】
このようなばね受け126bの下方への変位に伴われて第2調圧ばね124が短縮して、第2調圧ばね124の付勢力は初期設定時よりも大きくなる。従って、第2ダイヤフラム弁体122は、第2調圧ばね124の付勢力によって第2弁座112に接近する方向に移動する。このため、温度下降によって第2弁座112が収縮しても、調整部材125による第2調圧ばね124の付勢力の再設定を要することなく、第2ダイヤフラム弁体122と第2弁座112の間隔が初期設定時に近づくように補正され、弁孔112aを通じて第2圧力室105へ流入する燃料ガスFの流量が増加することが抑制される。その結果、第1ダイヤフラム弁体120が閉じる方向へ移動することが抑制される。
【0035】
こうして、第1実施形態の流体制御装置FCでは、温度変化が生じても、調整部材125による第2調圧ばね124の付勢力の再設定を要することなく、第2ダイヤフラム弁体122と第2弁座112の間隔が初期設定時に近づくように補正され、弁孔112aを通じて第2圧力室105へ流入する燃料ガスFの流量が変化することが抑制される。従って、第1ダイヤフラム弁体120の移動も抑制され、
図1に示す燃焼装置1の燃焼状態が安定する。
【0036】
(第2実施形態)
図3を参照して、流体制御装置FCの第2実施形態を説明する。
図3には、
図2に示す部材、部位等と同一のものには同一の符号を付し、以下ではそれらの説明を省略する。
【0037】
第2実施形態の流体制御装置FCでは、調整部材125の雄ねじ部125aは、調整部材125の上端側の外周部に設けられている。そして、温度補正手段126は、調整部材125と第2ダイヤフラム114の間の筒部115b内に配置され、調整部材125側の上端外周縁部に、径方向に折曲して拡径するばね受け126cが設けられた有底筒状の補正部材127から構成されている。補正部材127は、温度上昇に伴って第2調圧ばね124の長さ方向に伸長すると共に、温度下降に伴って第2調圧ばね124の長さ方向に短縮する、樹脂等の適宜な材料から形成されている。
【0038】
また、第2実施形態の流体制御装置FCでは、スペーサー128としての金属製のコイルばね128aが補正部材127に内挿されている。コイルばね128aの上端部は、雄ねじ部125aの近傍に位置する調整部材125の中央部に位置し、コイルばね128aの下端部は、補正部材127の内底部に位置している。そして、コイルばね128aは、補正部材127を調整部材125に連結している。
【0039】
このような第2実施形態の流体制御装置FCでは、樹脂製の補正部材127の熱膨張係数は、金属製のコイルばね128aのそれよりも大きいため、温度上昇に伴って補正部材127は第2調圧ばね124の長さ方向に伸長し、ばね受け126cがダイヤフラム弁体122から離隔するように上方に変位する。一方、背圧室107内では、補正部材127の第2ダイヤフラム114側に位置する基端127aの第2調圧ばね124の長さ方向の位置、すなわち、上下方向の位置は、コイルばね128aの熱膨張量が微小であるため、温度変化に関わりなく変化しないか又はほとんど変化しない。その結果、第2調圧ばね124が、ばね受け126cの上方への変位に伴われて伸長し、第2調圧ばね124の付勢力は初期設定時よりも小さくなる。従って、第2ダイヤフラム弁体122は、第1調圧ばね123の付勢力によって第2弁座112から離隔する上方に移動する。このため、温度上昇によって第2弁座112が膨張しても、調整部材125による第2調圧ばね124の付勢力の再設定を要することなく、第2ダイヤフラム弁体122と第2弁座112の間隔が初期設定時に近づくように補正され、弁孔112aを通じて第2圧力室105へ流入する燃料ガスFの流量が減少することが抑制される。その結果、第1ダイヤフラム弁体120が開く方向へ移動することが抑制される。
【0040】
また、温度下降に伴って補正部材127が第2調圧ばね124の長さ方向に短縮するため、ばね受け126cは第2ダイヤフラム114に接近する下方に変位する。このようなばね受け126cの下方への変位に伴われて第2調圧ばね124が短縮して、第2調圧ばね124の付勢力は初期設定時よりも大きくなる。従って、第2ダイヤフラム弁体122は、第2調圧ばね124の付勢力によって第2弁座112に接近する方向に移動する。このため、温度下降によって第2弁座112が収縮しても、調整部材125による第2調圧ばね124の付勢力の再設定を要することなく、第2ダイヤフラム弁体122と第2弁座112の間隔が初期設定時に近づくように補正され、弁孔112aを通じて第2圧力室105へ流入する燃料ガスFの流量が増加することが抑制される。その結果、第1ダイヤフラム弁体120が閉じる方向へ移動することが抑制される。
【0041】
こうして、第2実施形態の流体制御装置FCでは、第1実施形態の流体制御装置FCと同様に、温度変化が生じても、調整部材125による第2調圧ばね124の付勢力の再設定を要することなく、第2ダイヤフラム弁体122と第2弁座112の間隔が初期設定時に近づくように補正され、弁孔112aを通じて第2圧力室105へ流入する燃料ガスFの流量が変化することが抑制される。従って、第1ダイヤフラム弁体120の移動も抑制され、
図1に示す燃焼装置1の燃焼状態が安定する。
【0042】
(第3実施形態)
図4を参照して、流体制御装置FCの第3実施形態を説明する。
図3には、
図2及び
図3に示す部材、部位等と同一のものには同一の符号を付し、以下ではそれらの説明を省略する。
【0043】
第3実施形態の流体制御装置FCでは、調整部材125の雄ねじ部125aは、調整部材125の下端側の外周部に設けられている。そして、温度補正手段126は、調整部材125の雄ねじ部125aから第2ダイヤフラム114と反対側に延び、温度上昇に伴って第2調圧ばね124の長さ方向に伸長すると共に、温度下降に伴って第2調圧ばね124の長さ方向に短縮する伸縮部125bと、
図2に示す実施形態2の流体制御装置FCが備える補正部材127とから構成されている。調整部材125の伸縮部125b及び補正部材127は共に、温度上昇に伴って第2調圧ばね124の長さ方向に伸長し、温度下降に伴って第2調圧ばね124の長さ方向に短縮する、樹脂等の適宜な材料から形成されている。
【0044】
また、第3実施形態の流体制御装置FCでは、第2実施形態の流体制御装置FCと同様に、スペーサー128としての金属製のコイルばね128aが補正部材127に内挿されている。コイルばね128aの上端部は、調整部材125の伸縮部125bの第2ダイヤフラム114側と反対側に位置する端部125cの中央部に位置する。コイルばね128aの下端部は、補正部材127の内底部に位置している。そして、コイルばね128aは、補正部材127を調整部材125に連結している。
【0045】
このような第3実施形態の流体制御装置FCでは、補正部材127と共に、調整部材125の伸縮部125bが、温度上昇に伴って第2調圧ばね124の長さ方向に伸長するため、ばね受け126cの上方への変位量が、第2実施形態の流体制御装置FCよりも大きい。また、温度下降に伴うばね受け126cの下方への変位量も大きい。一方、調整部材125の伸縮部125bの第2ダイヤフラム114側と反対側に位置する端部125cと、補正部材127の第2ダイヤフラム114側に位置する基端127aとの間の距離は、コイルばね128によって温度変化に関わりなく一定又はほぼ一定に保たれ、基端127aの背圧室107内での上下方向の位置は、第2実施形態の流体制御装置FCと同様に、変化しないか又はほとんど変化しない。このため、第2調圧ばね124の伸長量及び短縮量を大きくすることができ、第2調圧ばね124の付勢力の調整量が増大する。従って、第3実施形態の流体制御装置FCでは、第2実施形態の流体制御装置FCと同様に機能すると共に、第2ダイヤフラム弁体122と第2弁座112の間隔の補正量を増大させることができる。
【0046】
(第4実施形態)
図5を参照して、流体制御装置FCの第3実施形態を説明する。
図3には、
図2、
図3及び
図4に示す部材、部位等と同一のものには同一の符号を付し、以下ではそれらの説明を省略する。
【0047】
第4実施形態の流体制御装置FCでは、第3実施形態の流体制御装置FCから、補正部材127及びスペーサー128が省略され、温度補正手段126が、調整部材125の伸縮部125bのみから構成されている。すなわち、調整部材125の伸縮部125bの端部125cの中央部がばね受け126dを兼ね、第2調圧ばね124は、調整部材125と第2ダイヤフラム114の間に狭持されている。
【0048】
このような第4実施形態の流体制御装置FCでは、温度上昇に伴って調整部材125の伸縮部125bが第2調圧ばね124の長さ方向に伸長し、ばね受け126dは上方に変位する。その結果、第2調圧ばね124は、ばね受け126dの上方への変位に伴われて伸長し、第2調圧ばね124の付勢力は初期設定時よりも小さくなる。従って、第2ダイヤフラム弁体122は、第1調圧ばね123の付勢力によって第2弁座112から離隔する上方に移動する。また、温度下降に伴って調整部材125の伸縮部125bが第2調圧ばねの長さ方向に短縮し、ばね受け126dは下方に変位する。その結果、第2調圧ばね124の付勢力は初期設定時よりも大きくなる。従って、第4実施形態の流体制御装置FCは、第1実施形態の流体制御装置FCと同様に機能する。また、第4実施形態の流体制御装置FCでは、補正部材127の構造が他の実施形態の流体制御装置FCよりも簡略化されている。
【0049】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、燃焼装置1は、いわゆる給湯装置として例示したが、本発明の燃焼装置は、暖房装置や他の燃焼装置にも広く適用することができる。また、流体制御装置FCを組み込むことができるゼロガバナの構成及び構造はゼロガバナ100に限定されない。さらに、流体制御装置FCの適用はゼロガバナ100に限定されず、各種のガバナに適用可能である。さらにまた、第1実施形態の流体制御装置FCでは、凸状部材126aは調整部材125と一体的に成形されたものを例示したが、別体とすることもできる。別体の場合、固着具、接着剤等を用いて凸状部材126aを調整部材125に固定することができる。
【0050】
そして、凸状部材126a及びばね受け126bを形成する夫々の材料は、熱膨張係数が異なる場合、ばね受け126bに正の熱膨張係数を有する材料を採用し、凸状部材126aに、石英、ゴム、シリコン等の負の熱膨張係数を有する材料を採用することもできる。この場合、温度上昇に伴ってばね受け126bは径方向に拡大し、温度下降に伴って縮小する一方、凸状部材126aの縮径部126a1は、温度上昇に伴って径方向に収縮し、温度上昇に伴って径方向に拡大して、凸状部材126aの縮径部126a1に対するばね受け126bの外嵌位置を温度変化に伴い変位させることができる。
【0051】
また、凸状部材126a及びばね受け126bを形成する夫々の材料は、同種であってもよい。この場合、例えば、凸状部材126aとばね受け126bの膨張又は収縮方向に異方性を持たせ、凸状部材126aの膨張及び収縮方向を軸方向にし、ばね受け126bの膨張及び収縮方向を径方向にすることによって、凸状部材126aの縮径部126a1に対するばね受け126bの外嵌位置を変位させることができる。この他、凸状部材126aの縮径部126a1の外形に応じて、ばね受け126bの幅、厚み等を適宜設定することによっても、凸状部材126aの縮径部126a1に対するばね受け126bの外嵌位置を温度変化に伴い変位させることができる。
【0052】
すなわち、ばね受け126bは第2調圧ばね124の巻き座等に固定されるため、温度変化に伴い、第2調圧ばね124から伝熱されて凸状部材126aに比べ温度変化が大きくなる。これに対し、凸状部材126aは、第2調圧ばね124に連結されないため、放熱等によって温度変化の影響をばね受け126bに比べて受けにくく、膨張量及び収縮量がばね受け126bよりも小さくなる。従って、凸状部材126aの縮径部126a1に対するばね受け126bの外嵌位置を温度変化に伴って変位させることができる。
【0053】
第2実施形態及び第3実施形態の流体制御装置FCについては、背圧室107内で補正部材127の基端127aの第2調圧ばね124の長さ方向の位置を、温度変化に関わりなく一定又はほぼ一定に保つことができる限り、コイルばね128aの調整部材125及び補正部材127への取付方式は任意とすることができる。例えば、専用のワッシャを用いたり、コイルばね128aの一方の端部にフックを形成し、フックを、調整部材125の端部125c又は補正部材127の基端127a付近の内周に固定し、他方の端部は、調整部材125の端部125c又は補正部材127の基端127aに当接させたりする等が可能である。また、補正部材127は筒状の部材であれば、必ずしも有底筒状の部材である必要はなく、基端127aは開放されていてもよい。さらに、スペーサー128は、コイルばね128aに限定されない。スペーサー128には、背圧室107内で補正部材127の基端127aの第2調圧ばね124の長さ方向の位置が、温度変化に関わりなく一定又はほぼ一定に保つことができる限り、任意のものを採用することができる。例えば、スペーサー128として金属製のロッドを採用することも可能である。この場合、金属製のロッドの調整部材125及び補正部材127への取付方式は、コイルばね128aと同様に任意とすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1…燃焼装置、12…バーナ、18…ガス供給路、F…燃料ガス、FC…流体制御装置、105…第2圧力室(圧力室)、107…背圧室、112…第2弁座(弁座)、112a…第2弁座112に形成された弁孔、114…第2ダイヤフラム(ダイヤフラム)、115…ダイヤフラムカバー、115b…筒部、115b1…雌ねじ部、122…第2ダイヤフラム弁体(弁体)、123…第1調圧ばね、124…第2調圧ばね、125…調整部材、125a…雄ねじ部、125b…伸縮部、125c…第2ダイヤフラム114(ダイヤフラム)と反対側に位置する伸縮部125bの端部、126…温度補正手段、126a…凸状部材、126a1…縮径部、R…外径、126b,126c,126d…ばね受け、127…補正部材、127a…基端、128…スペーサー。