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特開2022-79402低誘電率及び低伸線温度を有するガラス材料
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  • 特開-低誘電率及び低伸線温度を有するガラス材料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079402
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】低誘電率及び低伸線温度を有するガラス材料
(51)【国際特許分類】
   C03C 13/00 20060101AFI20220519BHJP
   C03C 13/02 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
C03C13/00
C03C13/02
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069433
(22)【出願日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】109139978
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520167298
【氏名又は名称】台湾玻璃工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAIWAN GLASS INDUSTRY CORP.
【住所又は居所原語表記】11F,No.261,Sec.3,Nanjing E. Rd.,Taipei,Taiwan.
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 嘉佑
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA05
4G062BB01
4G062DA05
4G062DB04
4G062DC04
4G062DD01
4G062DD02
4G062DD03
4G062DE03
4G062DF01
4G062EA01
4G062EA02
4G062EB01
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4G062FL01
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4G062JJ01
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4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
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4G062KK10
4G062MM23
4G062MM28
4G062NN26
4G062NN32
(57)【要約】
【課題】低誘電率及び低伸線温度を有するガラス材料を提供する。
【解決手段】低誘電率及び低伸線温度を有するガラス材料は、二酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、五酸化二リン及び酸化亜鉛を含む。中でも、二酸化ケイ素は、ガラス材料の45wt%~52wt%を占め、酸化ホウ素は、ガラス材料の25wt%~30wt%を占め、酸化アルミニウムは、ガラス材料の10wt%~14wt%を占め、酸化カルシウムは、ガラス材料の1wt%~4wt%を占め、五酸化二リンは、ガラス材料の0wt%~3wt%を占め、酸化亜鉛は、ガラス材料の1wt%~5wt%を占める。本発明の特徴は、ガラス材料における二酸化ケイ素及び酸化カルシウムの含有量を下げ、さらに五酸化二リン及び酸化亜鉛を添加することによって、ガラス材料の誘電率及び伸線温度を低減させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低誘電率及び低伸線温度を有するガラス材料であって、
ガラスを形成するために使用される第1の骨格酸化物であり、前記ガラス材料の45wt%~52wt%を占める二酸化ケイ素(SiO)と、
ガラスを形成するために使用される第2の骨格酸化物であり、前記ガラス材料の25wt%~30wt%を占める酸化ホウ素(B)と、
ガラスを形成するために使用される第3の骨格酸化物であり、前記ガラス材料の10wt%~14wt%を占める酸化アルミニウム(Al)と、
前記ガラス材料の耐水性を向上させると共に前記ガラス材料の溶融温度を低下させ、前記ガラス材料の1wt%~4wt%を占める酸化カルシウム(CaO)と、
前記二酸化ケイ素と同じく非金属化合物であり、前記ガラス材料の0wt%~3wt%を占める五酸化二リン(P)と、
前記ガラス材料の誘電率を低下させると共に、フラックス効果を有し、前記ガラス材料の1wt%~5wt%を占める酸化亜鉛(ZnO)と、
を含むことを特徴とするガラス材料。
【請求項2】
前記五酸化二リンは、リン-酸素四面体として存在することを特徴とする請求項1に記載のガラス材料。
【請求項3】
前記ガラス材料の溶融温度を低下させるために、前記ガラス材料の0.1wt%~2.0wt%を占める酸化マグネシウム(MgO)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガラス材料。
【請求項4】
前記ガラス材料の高温粘度を下げるために、前記ガラス材料の0.25wt%~0.80wt%を占める二酸化チタン(TiO)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガラス材料。
【請求項5】
フラックスとして機能する、前記ガラス材料の0.01wt%~2.00wt%を占めるフッ素(F)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガラス材料。
【請求項6】
前記フッ素は、フッ化物として存在することを特徴とする請求項5に記載のガラス材料。
【請求項7】
前記ガラス材料の0.01wt%~1.00wt%を占める少なくとも一種のアルカリ金属酸化物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガラス材料。
【請求項8】
前記アルカリ金属酸化物は、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)及び酸化リチウム(LiO)からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項7に記載のガラス材料。
【請求項9】
前記酸化ホウ素は、前記ガラス材料の26wt%~29wt%を占めることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のガラス材料。
【請求項10】
前記酸化アルミニウムは、前記ガラス材料の11wt%~13wt%を占めることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のガラス材料。
【請求項11】
前記酸化亜鉛は、前記ガラス材料の3wt%~5wt%を占めることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のガラス材料。
【請求項12】
前記フッ素は、前記ガラス材料の1.00wt%~1.50wt%を占めることを特徴とする請求項5に記載のガラス材料。
【請求項13】
前記アルカリ金属酸化物は、前記ガラス材料の0.10wt%~0.80wt%を占めることを特徴とする請求項7に記載のガラス材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス材料に関し、特に、二酸化ケイ素(SiO)及び酸化カルシウム(CaO)の含有量を下げて、五酸化二リン(P)及び酸化亜鉛(ZnO)の特性を利用することで、低誘電率(低Dk)及び低伸線温度(低繊維化温度)を有するガラス材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有線・無線ネットワーク技術の進歩と、電子機器(例えば、スマートフォン、タブレットPC、電子ゲーム機、スマートウォッチ、サーバ、真のワイヤレスヘッドセット(TWS)など)の市場での需要の大幅な増加に伴い、機能の異なる様々な電子機器が開発されている。中でも、電子機器の高速化及び高周波化を図るためには、電気的特性の仕様を満たすために、一般に、低誘電率(Low-Dk)及び低誘電損失(Low-Df)の材料を用いてプリント回路基板(PCB)を製造する必要がある。ガラス繊維は、その優れた物理的特性から現代産業に欠かせない素材となっている。中でも、電子グレードのガラス(Eガラス)繊維を用いた「ガラスヤーン」は、プリント回路基板に必要な基板の一つとなっている。
【0003】
一般に、ガラス材料からガラス繊維を製造するには、まず、ガラス材料を加熱炉に入れて所望の温度に加熱し、ガラス材料を溶融させて均質な溶融したガラスペースト(溶融ガラスの塊)にする。その後、この溶融したガラスペーストをブッシングボックス(Bushing)に通して押し出すことでガラス繊維に分離する。中でも、伸線温度(T3℃)は、ガラスの粘度が1000ポイズ(poise)となる温度である。なお、ガラス原料が溶融状態からガラスに変化する過程では気泡が形成され、ガラスの粘度が高くなるほど、ガラス中の気泡の数が多くなる。この気泡は、ガラス繊維中に中空繊維構造を多数形成するため、ガラス繊維の電気的特性を損なうことになり、その結果、ガラス繊維を用いて製造された回路基板やキャリア基板(IC基板)が使用できなくなる場合がある。従って、低伸線温度には、例えば、次のような利点がある。伸線温度が低いということ(低伸線温度)は、ガラス粘度が低いということであり、ガラス中の気泡は容易に分散し、中空繊維の構造は形成されない。さらに、伸線温度が低いと、ブッシングボックスの損傷が少なくなるため、ブッシングボックスの利用年限を延ばすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の低誘電率ガラス(低Dkガラス)は、その誘電率(Dk)値が4.5以下の場合には、伸線温度が1310℃よりも高くなり、その誘電率(Dk)値が4.5よりも高い場合には、伸線温度が1310℃よりも低くなる。つまり、従来の低誘電率ガラスは、低誘電率(低Dk)と低伸線温度とを同時に実現することはできない。従って、ハイエンド電子製品の厳しい要求を満たすために、前述の問題の効果的な解決策を提供することが、ここでは重要な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来のガラス繊維用ガラス材料は、低誘電率(低Dk)と低伸線温度とが両立されないという問題に鑑み、本発明者は、長年の実務経験に基づき、多くの検討、試行錯誤、実験を重ねた結果、前述の問題を効果的に解決するように、本発明に係る低誘電率及び低伸線温度を有するガラス材料を提供する。
【0006】
本発明の一態様は、低誘電率(低Dk)及び低伸線温度を有するガラス材料を提供するものである。低誘電率及び低伸線温度を有するガラス材料は、二酸化ケイ素(SiO)、酸化ホウ素(B)、酸化アルミニウム(Al)、酸化カルシウム(CaO)、五酸化二リン(P)及び酸化亜鉛(ZnO)を含む。中でも、二酸化ケイ素は、ガラスを形成するために使用される骨格酸化物の一つであり、ガラス材料の45wt%~52wt%の重量を占める。酸化ホウ素は、ガラスを形成するために使用される骨格酸化物の一つであり、ガラス材料の25wt%~30wt%を占める。酸化アルミニウムは、ガラスを形成するために使用される骨格酸化物の一つであり、ガラス材料の10wt%~14wt%を占める。酸化カルシウムは、ガラス材料における耐水性を向上させるだけでなく、ガラス材料の溶融温度を低下させ、ガラス材料の1wt%~4wt%を占める。五酸化二リンは、二酸化ケイ素と同じく非金属化合物であり、ガラス材料の0wt%~3wt%を占める。酸化亜鉛は、ガラス材料の誘電率(Dk)を低下させると共に、フラックス効果を有し、ガラス材料の1wt%~5wt%を占める。そのように、本発明のガラス材料は、二酸化ケイ素及び酸化カルシウムの含有量を低下させ、さらに、五酸化二リン及び酸化亜鉛の特性を利用することによって、低誘電率及び低伸線温度の特性を同時に有することになる。
【0007】
以下、本発明の目的、技術的特徴及び効能について、よりよく理解できるように、図を用いて実施形態を挙げて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態(本開示)の低誘電率(低Dk)及び低伸線温度のガラス材料の実施例A1~A3の試験結果と、従来の低Dkガラスの比較例A4~A11の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一態様は、低誘電率(低Dk)及び低伸線温度(低繊維化温度)を有し、ガラス繊維や他のガラス製品の製造に使用されるガラス材料を開示する。特定の実施形態において、ガラス材料は、二酸化ケイ素(SiO)、酸化ホウ素(B,別称では三酸化二ホウ素である)、酸化アルミニウム(Al)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化亜鉛(ZnO)を含む。中でも、二酸化ケイ素は、ガラスを形成するために使用される骨格酸化物の一つである。ガラス材料全量における二酸化ケイ素の含有量が多くなる程、そのガラス材料の粘度は、大きくなり、ガラス材料の粘度が大きくなる程、伸線温度(T3℃)が高くなる。二酸化ケイ素の含有量が下がると、ガラス材料の粘度及び伸線温度が下がるが、そのガラス材料の誘電率(Dk)は、増えてしまう。そのため、特定の実施形態では、ガラス材料の伸線温度を低下させるために、二酸化ケイ素がガラス材料の45wt%~52wt%を占めるようにすると共に、ガラス材料に、同じく非金属化合物である五酸化二リン(P)を添加することによって、ガラス材料の誘電率の増加を抑える。ガラス材料において、五酸化二リンは、リン-酸素四面体として存在し、正に荷電したリン-酸素四面体が負に荷電したホウ素-酸素四面体と容易に結合して、より安定したガラス構造を形成し、それにより、ガラス材料の誘電率(Dk)を低下させることができる。五酸化二リンは、ガラス材料の0wt%~3wt%を占める。
【0010】
本実施形態において、酸化ホウ素は、ガラスを形成するために使用される骨格酸化物の一つである。酸化ホウ素は、ガラス材料の粘度及び誘電率(Dk)を低下させることができ、また、高い揮発性を有する。しかしながら、酸化ホウ素がガラス材料の全量を占める含有量は多すぎてはいけない。詳しくは、酸化ホウ素の含有量が多すぎると、ガラスの伸線加工(繊維化)に悪い影響が及ぼされるだけでなく、ガラス材料の耐水性の低下も招く虞がある。そのため、酸化ホウ素は、ガラス材料の25wt%~30wt%(より好ましくは、26wt%~29wt%)を占めることが好ましい。酸化アルミニウムは、ガラスを形成するために使用される骨格酸化物の一つであり、ガラス材料の成分において、酸化アルミニウムの含有量が不十分であると、ガラス材料の耐水性が低下し、誘電率(Dk)が増加するようになる。ガラス材料において酸化アルミニウムの含有量が18wt%を超えると、ガラス材料の粘度が増加すると共に、伸線温度も増加していく。そのため、ガラス材料において、酸化アルミニウムは、10wt%~14wt%(より好ましくは、11wt%~13wt%)を占めることが好ましい。
【0011】
本実施形態において、酸化カルシウムは、ガラス材料の内部における結合及び配置を変えることで、酸化ホウ素(三酸化二ホウ素(B))がホウ酸(HBO)に転換するのを抑制し、これにより、ガラス材料の耐水性を向上させることができる。また、酸化カルシウムは、ガラス材料中の網目構造(ネットワーク構造)を変化させ、ガラス材料の結晶化を抑制することで、ガラス材料の溶融温度を低下させることができる。しかしながら、酸化カルシウムの含有量がガラス材料の全量の4wt%を超えると、ガラス材料の誘電率(Dk)が増加してしまう。そのため、酸化カルシウムは、ガラス材料の1wt%~4wt%を占めることが好ましい。また、酸化亜鉛は、酸化カルシウムよりも優れたフラックス効果を有する(即ち、ガラス材料の溶融時(ガラス材料が溶融状態にあるとき)の粘度を低下させることができる)。さらに、酸化亜鉛は、ガラス材料中の網目構造(ネットワーク構造)をより緊密にすることができるため、ガラス材料の誘電率(Dk)を低下させることができる。そのため、特定の実施形態では、酸化亜鉛は、一部の酸化カルシウムと置換され、ガラス材料の1wt%~5wt%(好ましくは、3wt%~5wt%)の重量を占める。
【0012】
特定の実施形態において、ガラス材料は、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化チタン(TiO)、フッ素(F)及び少なくとも1つのアルカリ金属酸化物をさらに含む。中でも、酸化マグネシウムは、ガラス材料の溶融温度を低下させるため、ガラス材料の溶融及び成形を容易にすることができる。しかしながら、酸化マグネシウムの含有量が多すぎると、ガラス材料の誘電率(Dk)及び誘電損失の低減に悪い影響が及ぶだけでなく、ガラス材料の相分離が発生し易くなる。そのため、酸化マグネシウムは、その重量パーセントがガラス材料の0.1wt%~2.0wt%を占めることが好ましい。二酸化チタンは、ガラス材料が溶融する際に到達する粘度温度を低下させることができる。しかしながら、二酸化チタンの含有量が多すぎると、ガラス材料の誘電率が増加してしまい、ガラス材料の色に悪影響を及ぼすことになる。そのため、二酸化チタンは、その重量パーセントがガラス材料の0.25wt%~0.80wt%を占めることが好ましい。ガラスにおいて、フッ素は、主にフラックスとして機能し、ガラス材料の溶融時の粘性を低下させることができる。しかしながら、フッ素の含有量が0.5%未満の場合には、そのフラックスとしての機能は十分ではないが、フッ素の含有量が3%を超えると、ガラス材料の揮発(蒸発)と耐火物への侵食(腐食性)を激しくし、さらに、ガラス材料の相分離が発生し易くなる。そのため、フッ素の重量パーセントは、ガラス材料の0.01wt%~2.00wt%(より好ましくは、1.00wt%~1.50wt%)を占めるのが好ましい。ガラス材料において、フッ素は、例えば、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化マグネシウム(MgF)等のフッ化物として存在する。アルカリ金属酸化物は、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)及び酸化リチウム(LiO)等の少なくとも1つを含む。ガラス材料において、アルカリ金属酸化物は、フラックスとして機能し、ガラス材料の溶融時の粘度を低下させることができる。しかしながら、アルカリ金属酸化物の総含有量が多すぎると、ガラス材料の誘電率(Dk)が増加し、かつ耐水性が低下する。そのため、アルカリ金属酸化物の総含有量は、ガラス材料の重量に対して0.01wt%~1.00wt%(より好ましくは、0.10wt%~0.80wt%)を占めることが好ましい。
【0013】
要約すると、ガラス材料を加熱して溶融させて溶融したガラスペースト(溶融ガラスの塊)にし、伸線加工により(溶融したガラスペーストをブッシングボックスに通して押し出すことにより)溶融したガラスペーストをガラス繊維にする工程において、ガラス材料中の二酸化ケイ素の含有量及び酸化カルシウムの含有量を低下させ、さらに五酸化二リン及び酸化亜鉛の特性を利用することによって、ガラス材料は、低誘電率及び低伸線温度を有する。これにより、このガラス材料によって製造された製品(例えば回路基板)は、回路基板の製造に必要な電気的特性を満たすように、高周波伝送時により低い誘電率を有することができる。図1を参照されたい。本開示による技術が公知の技術よりも優れていることを強調するために、本出願人は、A1からA11までの異なる割合のバッチ(Batch)(すなわち、本開示のガラス材料に係る成分割合が異なるバッチA1~A3、及び、従来の材料に係る成分割合が異なるバッチA4~A11)をセラミック製のるつぼに流し込み、高温で一定時間置いて完全に溶融させた後、ゆっくりと室温まで冷却し、ガラスのブロックを形成した。その後、形成された各ガラスブロックをダイヤモンド切断機で長さ20mm~幅20mm、厚さ2.0mm~3.0mmの薄いガラス板サンプルに切断した。そして、RF(高周波)インピーダンスアナライザ(RF impedancean alyzer)を用いてガラス板サンプルの誘電率(Dk)および損失率(Df)を測定した。伸線温度は、ガラスシート試料の粘度を、高温粘度計を用いて異なる温度で測定することにより、図1に示す伸線温度の結果を得た。図1に示す試験結果によれば、本開示のガラス材料は、誘電率(Dk)が4.5以下であり、伸線温度が1310℃を下回る。本開示によるガラス材料は、低誘電率及び低伸線温度を両立できる点で、従来のガラス製品とは区別される。
【0014】
なお、前述の説明は、本発明の好ましい実施形態に過ぎなく、本発明で主張される権利の範囲は、ここに限定されるものではなく、本発明で開示された技術的内容に基づいて当業者が容易に想到し得る同等の変形は、本発明の保護の範囲内にあるものとする。
図1