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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079424
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】マグネットフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B03C 1/28 20060101AFI20220519BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
B03C1/28 105
B03C1/00 A
B03C1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178541
(22)【出願日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2020190502
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517022809
【氏名又は名称】株式会社エフ・ミット
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】野田 佳久
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流体である飲食料品などの製造設備に特に適した、マグネット本体の脱着作業を非常に簡便かつ安全に行うことのできるマグネットフィルタを提供する。
【解決手段】マグネットフィルタ1は、ケース体100と、マグネット本体200と、接続手段300と、案内部材410a、410bおよび被案内部材420a、420bを有するガイド機構とからなり、マグネット本体200のマグネットバー210をケース体100内へ挿入もしくは抜脱する際に、案内部材410a、410bと被案内部材420a、420bとが係合して挿脱方向に摺動しながらマグネットバー210をケース体100内へとあるいはケース体100内から外へと案内する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流体が流れるケース体と、前記ケース体に挿入されるマグネットバーにより前記流体から金属異物を除去するマグネット本体と、前記ケース体および前記マグネット本体のそれぞれに形成された接続部同士を接続する接続手段と、前記マグネットバーの前記ケース体内への挿入もしくは抜脱を案内するためのガイド機構とからなるマグネットフィルタであって、
前記ケース体が、流体入口と、流体出口と、前記マグネットバーを挿脱する挿入口と、前記挿入口周囲に形成された前記接続部と、からなり、
前記マグネット本体が、磁性を有する棒状のマグネットバーと、前記マグネットバーの基端に位置して前記接続部が形成された基端部と、からなり、
前記ガイド機構が、前記ケース体の外周に固着される案内部材と、前記マグネット本体の基端部に固着される被案内部材と、からなり、
前記マグネットバーを前記挿入口から前記ケース体内へ挿入もしくは抜脱する際に、前記案内部材と前記被案内部材とが係合して挿脱方向に摺動しながら前記マグネットバーを前記ケース体内へとあるいは前記ケース体内から外へと案内することを特徴とするマグネットフィルタ。
【請求項2】
前記ガイド機構の前記案内部材および前記被案内部材は、その一方が前記マグネットバーの挿脱方向と一致する方向に延びるガイド筒であり、他方が前記マグネットバーの挿脱方向と一致する方向に延び、前記ガイド筒に嵌挿されるサポート棒であることを特徴とする請求項1記載のマグネットフィルタ。
【請求項3】
前記ガイド筒は、その開口端に前記サポート棒の先端が外周から係合可能となる切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項2記載のマグネットフィルタ。
【請求項4】
前記被案内部材の先端の軸方向の位置が前記マグネットバーの先端の軸方向の位置よりも突出している、あるいは前記案内部材の開口部の軸方向の位置が前記ケース体の挿入口の軸方向の位置よりも突出していることによって、
前記マグネットバーを前記挿入口から前記ケース体内へ挿入する際の前記案内部材と前記被案内部材との係合が、前記マグネットバーが前記挿入口から前記ケース体内へ挿入されるよりも前に行われるとともに、前記マグネットバーを前記ケース体内から外へ抜脱する際の前記案内部材と前記被案内部材との係合解除が、前記マグネットバーが前記挿入口から前記ケース体の外へ抜脱されるよりも後に行われる、ことを特徴とする請求項1,2または3記載のマグネットフィルタ。
【請求項5】
前記案内部材は、前記ケース体の外周における真上に固着されていることを特徴とする請求項1,2,3または4記載のマグネットフィルタ。
【請求項6】
前記ガイド機構は、前記マグネットバーを前記ケース体の挿入口に挿脱する際の軸を基準として、前記ケース体の接続部および前記マグネット本体の接続部から前記マグネットバーの挿脱方向と直交する向きに所定の距離を離間させて配置されていることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載のマグネットフィルタ。
【請求項7】
前記被案内部材は、前記マグネット本体における前記基端部から前記マグネットバーの挿脱方向と直交する向きに突出して形成されたプレート部に固着されていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載のマグネットフィルタ。
【請求項8】
前記案内部材と前記被案内部材が2組備えられていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載のマグネットフィルタ。
【請求項9】
前記案内部材と前記被案内部材が3組以上備えられていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載のマグネットフィルタ。
【請求項10】
前記ケース体において、前記流体入口および前記流体出口は互いに直交する向きに形成されているとともに、その一方は前記挿入口と対向して形成されていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9記載のマグネットフィルタ。
【請求項11】
前記ケース体において、前記流体入口および前記流体出口は同軸上に形成されているとともに、前記挿入口は前記流体入口および前記流体出口と直交する向きに形成されていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9記載のマグネットフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体である例えば飲食料品などの製造設備において、前記流体に混入する金属異物を除去するためのマグネットフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉体や液体に混入する金属異物を除去するため、磁気によって前記金属異物を除去するマグネットバーを有するマグネット本体とケーシング(ケース体)からなるマグネットフィルタが知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
これら従来発明では、マグネット本体の取り付け方向は図示する下方向であることから、マグネット本体を取り付ける際には上方から重力に従って下向きに挿入することで比較的容易に作業することが可能であると言える。
【0004】
しかし、実際の飲食料品の製造設備においては、様々な配管に合わせてマグネット本体を横方向から挿入して取り付けることも多く行われている。
【0005】
ところがマグネット本体(マグネットバー)は一般的に重量が重く長尺であり、万一マグネット本体がケーシング(ケース体)や周囲の配管等と接触することでキズやささくれを生じてしまうと、当該箇所に汚れが付着しやすく且つ落としづらくなり、飲食料品の製造設備においては望ましくないため、マグネットバーの軸がブレないようにまっすぐに挿脱するという慎重さが求められる作業であったが、飲食料品の製造設備においては、一日に数度の配管洗浄およびメンテナンスを行うことが一般的であるため、その都度マグネットフィルタのマグネット本体を脱着することは非常に労力と手間がかかるものであった。
【0006】
このとき、特許文献3に記載のガイド棒またはガイドスリーブを有する従来発明のマグネットフィルタを適用しようとした場合、ケーシング内部にガイド棒またはガイドスリーブを摺動させながらマグネット部を挿入することとなるため、異物が発生するおそれがあり、適用は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-153771号公報
【特許文献2】特開2016-533895号公報
【特許文献3】特開2015-36136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、流体である飲食料品などの製造設備に特に適した、マグネット本体の脱着作業を非常に簡便かつ安全に行うことのできるマグネットフィルタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するためになされた本発明であるマグネットフィルタは、内部を流体が流れるケース体と、前記ケース体に挿入されるマグネットバーにより前記流体から金属異物を除去するマグネット本体と、前記ケース体および前記マグネット本体のそれぞれに形成された接続部同士を接続する接続手段と、前記マグネットバーの前記ケース体内への挿入もしくは抜脱を案内するためのガイド機構と、からなり、
前記ケース体が、流体入口と、流体出口と、前記マグネットバーを挿脱する挿入口と、前記挿入口周囲に形成された前記接続部と、からなり、
前記マグネット本体が、磁性を有する棒状のマグネットバーと、前記マグネットバーの基端に位置して前記接続部が形成された基端部と、からなり、
前記ガイド機構が、前記ケース体の外周に固着される案内部材と、前記マグネット本体の基端部に固着される被案内部材と、からなり、
前記マグネットバーを前記挿入口から前記ケース体内へ挿入もしくは抜脱する際に、前記案内部材と前記被案内部材とが係合して挿脱方向に摺動しながら前記マグネットバーを前記ケース体内へとあるいは前記ケース体内から外へと案内することを特徴とする。
【0010】
上記構成を有する本発明であるマグネットフィルタによれば、案内部材と被案内部材とが係合して摺動しながらマグネット本体のマグネットバーのケース体内外への挿脱を案内して、且つ挿入後のマグネット本体は案内部材と被案内部材との係合により取り付け位置を保持するため、マグネット本体の脱着作業を非常に簡便かつ安全に行える、飲食料品などの製造設備に特に適した優れたマグネットフィルタを提供することができる。
【0011】
また、前記ガイド機構の前記案内部材および前記被案内部材は、その一方が前記マグネットバーの挿脱方向と一致する方向に延びるガイド筒であり、他方が前記マグネットバーの挿脱方向と一致する方向に延び、前記ガイド筒に嵌挿されるサポート棒である場合、簡易かつ安価にガイド機構を構成することができるため特に望ましい。
【0012】
加えて、前記ガイド筒は、その開口端に前記サポート棒の先端が外周から係合可能となる切り欠きが形成されている場合、サポート棒の先端は切り欠き部分を通過して受け部に受けられる形で上方からガイド筒に係合し、サポート棒とガイド筒の軸を一致させ、そのまま奥方向にサポート棒をガイド筒に挿入することができ、作業性が向上する。
【0013】
また、前記被案内部材の先端の軸方向の位置が前記マグネットバーの先端の軸方向の位置よりも突出している、あるいは前記案内部材の開口部の軸方向の位置が前記ケース体の挿入口の軸方向の位置よりも突出していることによって、前記マグネットバーを前記挿入口から前記ケース体内へ挿入する際の前記案内部材と前記被案内部材との係合が、前記マグネットバーが前記挿入口から前記ケース体内へ挿入されるよりも前に行われるとともに、前記マグネットバーを前記ケース体内から外へ抜脱する際の前記案内部材と前記被案内部材との係合解除が、前記マグネットバーが前記挿入口から前記ケース体の外へ抜脱されるよりも後に行われる場合、マグネットバーがケース体の挿入口から挿入されるよりも前に被案内部材と案内部材の係合が完了し、マグネット本体とケース体との位置関係が一定の範囲に規制され、且つマグネット本体の荷重が被案内部材および案内部材によって支えられることで安定した状態で挿入・抜脱作業を進めることができる。
【0014】
更に、前記案内部材は、前記ケース体の外周における真上に固着されている場合、案内部材と被案内部材を係合させた状態において、マグネットバーはその自重によって自然にケース体の挿入口と同軸の姿勢に保たれ、安定した状態で挿入・抜脱作業を進めることができる。
【0015】
また、前記ガイド機構は、前記マグネットバーを前記ケース体の挿入口に挿脱する際の軸を基準として、前記ケース体の接続部および前記マグネット本体の接続部から前記マグネットバーの挿脱方向と直交する向きに所定の距離を離間させて配置されている場合、接続部の周辺に作業用の空間が生じ、接続手段による接続を行う際に作業が容易となる。
【0016】
更に、前記被案内部材は、前記マグネット本体における前記基端部から前記マグネットバーの挿脱方向と直交する向きに突出して形成されたプレート部に固着されている場合、マグネットバーと被案内部材とを離間させて配置する際に簡易かつ強固に配置することができるため特に望ましい。
【0017】
また、前記案内部材と前記被案内部材が2組備えられている場合、ガイド機構を構成する2組の案内部材および被案内部材によって2軸でマグネットバーの挿脱を案内することが可能であり、マグネットバーをケース体に挿脱する際に、軸ブレを生じることなく挿脱することが可能であるため、マグネットバーがケース体の内壁に接触する心配がない。
【0018】
あるいは、前記案内部材と前記被案内部材が3組以上備えられている場合、ガイド機構を構成する3組以上の案内部材および被案内部材によって3軸以上でマグネットバーの挿脱を案内することが可能であり、マグネットバーをケース体に挿脱する際に、更に確実に軸ブレを生じることなく挿脱することが可能であるため、マグネットバーがケース体の内壁に接触する心配がない。
【0019】
また、前記ケース体において、前記流体入口および前記流体出口は互いに直交する向きに形成されているとともに、その一方は前記挿入口と対向して形成されている場合、流体が流れる配管に流体入口および流体出口を接続して横方向に取り付けて用いることが容易となる。
【0020】
あるいは、前記ケース体において、前記流体入口および前記流体出口は同軸上に形成されているとともに、前記挿入口は前記流体入口および前記流体出口と直交する向きに形成されている場合、特に縦方向に流体が流れる配管に流体入口および流体出口を接続して横方向にマグネット本体を取り付けて用いることが容易となる。
【発明の効果】
【0021】
上記課題を解決するためになされた本発明によれば、マグネットフィルタの外周側に設けた案内部材と被案内部材とが係合して摺動しながらマグネット本体のマグネットバーのケース体内外への挿脱を案内する構成であることから、非常に容易にマグネットバーの軸がブレないようにまっすぐに挿脱することが可能であり、マグネットバーがケース体の内周壁に触れることなく、マグネット本体およびケース体の双方においてキズやささくれを生じることを防止できるため、特に飲食料品の製造設備に適したものであって、且つ、挿入後のマグネット本体は案内部材と被案内部材との係合により取り付け位置を保持し、作業者は両手が自由な状態で接続手段によるマグネット本体とケース体の接続作業または接続解除作業が可能であるため、落下する心配がなく、非常に安全で作業性にも優れるマグネットフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明であるマグネットフィルタの第1の実施の形態を示す斜視図。
図2図1に示したマグネットフィルタの正面図。
図3図1に示したマグネットフィルタを組み立てた状態を示す斜視図。
図4図3の縦断面図。
図5図1に示したマグネットフィルタの組み立て・メンテナンスの工程を示す説明図。
図6図5の別視点から見た説明図。
図7】本発明であるマグネットフィルタにおいてガイド機構の構成が異なる第2の実施の形態を示す斜視図。
図8】本発明であるマグネットフィルタにおいてガイド機構の構成が異なる第3の実施の形態を示す斜視図。
図9】本発明であるマグネットフィルタの第4の実施の形態を示す斜視図。
図10図9に示したマグネットフィルタを組み立てた状態を示す斜視図。
図11】本発明であるマグネットフィルタの第5の実施の形態を示す斜視図。
図12図11に示したマグネットフィルタを組み立てた状態を示す斜視図。
図13図12に示したA-A線拡大断面図。
図14図12に示したB-B線拡大断面図。
図15】本発明であるマグネットフィルタの第6の実施の形態を示す斜視図。
図16図15に示したマグネットフィルタを組み立てた状態を示す斜視図。
図17】本発明であるマグネットフィルタの第7の実施の形態を示す斜視図。
図18図17に示したマグネットフィルタを組み立てた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は本発明であるマグネットフィルタ1の第1の実施の形態を示す斜視図、図2は前記マグネットフィルタ1の正面図、図3は前記マグネットフィルタ1を組み立てた状態を示す斜視図、図4は前記図3の縦断面図である。
これらの図に示すように、マグネットフィルタ1は、内部を流体が流れるケース体100と、マグネットバー210を含むマグネット本体200と、前記ケース体100と前記マグネット本体200とを接続する接続手段300と、前記マグネットバー210の前記ケース体100内への挿入もしくは抜脱を案内するためのガイド機構400とからなり、例えば飲食料品の製造設備などにおいて、流体が流れる配管Pに横方向に取り付けて用い、前記流体に含まれる金属異物(微細な磁性体金属)を除去するためのものである。
【0025】
ケース体100は、全体がステンレスなどの耐食性に優れた金属により円筒形に形成されており、内部に通路111を形成して一端112を流体入口120、他端113をマグネット本体200のマグネットバー210を挿脱する挿入口130とした両端開放の外筒部110と、前記挿入口130の外周に突設されたフランジ状の接続部140と、前記通路111に連通して前記外筒部110の外周114に形成された流体出口150と、からなる。
【0026】
また、前記ケース体100は、本実施の形態では配管Pの経路上に取り付けられるものであって、前記流体入口120と前記配管P、および前記流体出口150と前記配管Pを接続することによって取り付けられ、前記流体入口120から導入された流体が前記通路111を介して前記流体出口150まで流れることで前記ケース体100内を通過するものである。
【0027】
マグネット本体200は、全体がステンレスなどの耐食性に優れた金属により形成されており、内部に永久磁石211を配置して形成された磁性を有する棒状のマグネットバー210と、前記マグネットバー210の基端212に位置してフランジ状の接続部230が形成された基端部220と、前記基端部220におけるマグネットバー210と逆側に延伸して形成されて作業時に把持するためのハンドル240と、からなる。
【0028】
マグネットバー210は、ケース体100の内径よりも小さい外径を有する棒状であり、マグネット本体200をケース体100に取り付けた状態において、その軸線がケース体100の通路111の軸線と一致する状態となり、マグネットバー210の外周面とケース体100の通路111内周面は所定幅の隙間Gを有する状態となる(図4参照)。
【0029】
このようにマグネットバー210の外周面とケース体100の通路111内周面に所定幅の隙間Gを設けたことによって、配管Pから流体入口120を介してケース体100内に導入される流体は前記隙間Gを通過し、前記流体に含まれる金属異物を前記マグネットバー210によって除去しつつ流体出口150へと案内されるとともに、マグネットバー210の外周面とケース体100の通路111内周面が直接触れることがないためマグネットバー210にキズやささくれを生じるおそれがない。
【0030】
接続手段300は、前記ケース体100側のフランジ状の接続部140と、これと同径の前記マグネット本体200側のフランジ状の接続部230とを向かい合わせた状態で密接して固定するためのものであって、本実施の形態においては従来周知のクランプバンドを用いる。
【0031】
なお、この接続手段300は前記流体入口120と前記配管P、および前記流体出口150と前記配管Pの接続を行う際にも用いる(図示せず)。
【0032】
ガイド機構400は、前記ケース体100の外周114に固着される案内部材410a,410bと、前記マグネット本体200の基端部220に固着される被案内部材420a,420bと、からなる。
【0033】
案内部材410aは、前記ケース体100側の真上方向に配置された円筒状のガイド筒411aからなり、前記ガイド筒411aは、前記ケース体100の外周114から外方に向けて所定の間隔かつ同一の向きに突設された2つの支柱412a,414aと、前記支柱412a,414aにそれぞれ形成された通孔413a,415aに挿通して架設されている。なお、前記ガイド筒411aの開口端には樹脂製のリング部材416aが取り付けられており、前記支柱414aの先端には鉤型のカバー418aが取り付けられている。
【0034】
案内部材410bは、前記ケース体100側の横方向に配置され、開口端に切り欠き416bおよび受け部417bが形成された円筒状のガイド筒411bからなり、前記ガイド筒411bは、前記ケース体100の外周114から外方に向けて所定の間隔かつ同一の向きに突設された2つの支柱412b,414bと、前記支柱412b,414bにそれぞれ形成された通孔413b,415bに挿通して架設されている。なお、前記支柱414bの先端には鉤型のカバー418bが取り付けられている。
【0035】
このように、前記ガイド筒411a,411bの位置を、前記ケース体100の外周114から前記マグネットバー210の挿脱方向と直交する向きに突出する前記支柱412a,414a,412b,414bを用いて、前記マグネットバー210を前記ケース体100の挿入口130に挿脱する際の軸を基準として、前記ケース体100の接続部140から前記マグネットバーの挿脱方向と直交する向きに所定の距離を離間させて配置したことによって、前記接続部230の周辺に作業用の空間が生じる。
【0036】
被案内部材420aは、円柱状のサポート棒421aからなり、前記サポート棒421aは、前記マグネットバー210の挿脱方向と直交する向きに突出して前記マグネット本体200の基端部220に固着されたプレート部430に固着されている。
【0037】
被案内部材420bは、円柱状のサポート棒421bからなり、前記サポート棒421bは、前記マグネットバー210の挿脱方向と直交する向きに突出して前記マグネット本体200の基端部220に固着されたプレート部430に固着されている。
【0038】
前記プレート部430は、一端441を前記マグネット本体200の基端部220に固着し、前記マグネットバー210の挿脱方向と直交する向きに突出させた他端442を前記基端部220よりも前方に位置させたクランク型金具440と、前記クランク型金具440の他端442に固定された円弧状のプレート型金具450とからなり、前記サポート棒421a,421bはともに前記プレート型金具450におけるマグネットバー210側の面に突設させて固着されている。
【0039】
このように、前記サポート棒421a,421bの位置を、前記マグネット本体200の基端部220から前記マグネットバー210の挿脱方向と直交する向きに突出する前記プレート部430を用いて、前記マグネットバー210を前記ケース体100の挿入口130に挿脱する際の軸を基準として、前記マグネット本体200の接続部230から前記マグネットバー210の挿脱方向と直交する向きに所定の距離を離間させて配置したことによって、前記接続部230の周辺に作業用の空間が生じる。
【0040】
上記のように、前記接続部140の周辺および前記接続部230の周辺に作業用の空間を生じさせたことによって、接続手段300によって前記ケース体100側の接続部140と、前記マグネット本体200側の接続部230とを向かい合わせた状態で密接して固定する(接続作業を行う)、あるいは接続手段300による接続を解除する(接続解除作業を行う)際に前記サポート棒421a,421bにより邪魔されることなく、作業しやすい構造となる。
【0041】
その上、前記マグネット本体200の基端部220とプレート型金具450とを連結するクランク型金具440を用いたことによって、前記基端部220よりも前記サポート棒421a,421bを前方に位置させつつ主にねじれ方向への強度の確保を望めるほか、より接続作業または接続解除作業を行いやすい構造となる。
【0042】
前記案内部材410aのガイド筒411aと前記被案内部材420aのサポート棒421a、前記案内部材410bのガイド筒411bと前記被案内部材420bのサポート棒421bは互いに対応するものであって、それぞれの軸は同軸かつ前記マグネット本体200のマグネットバー210を前記ケース体100の挿入口130へ挿入または抜脱する挿脱方向と一致する方向に形成されている。
【0043】
なお、ガイド機構400は2組の案内部材および被案内部材からなることが重要であって、ガイド機構400が2組の案内部材および被案内部材からなることにより2軸でマグネットバー210の挿脱を案内することが可能である。
【0044】
そのため、前記マグネットバー210をケース体100に挿脱する際に、前記マグネットバー210は互いに所定の距離に配置される軸心を有する2組のガイド機構400により軸心位置が規制されるので、軸ブレを生じることなくケース体100の通路111の軸心に一致させて挿脱することが可能であるため、マグネットバー210がケース体100の内壁に接触する心配がない。
【0045】
殊に本実施の形態においては案内部材および被案内部材の各組の位置関係は前記ケース体100の通路111の軸を中心とした直角配置となっていることから、ケース体100の通路111の軸心に対して上下左右が均な方向に規制されるため特に望ましいが、直角であることに限られるものではなく、例えば直列配置としたものであってもよい(図示せず)。
【0046】
更に、ガイド機構400は3組以上の案内部材および被案内部材からなるものとしてもよい。例えば、前記ケース体100の軸を中心として互いに120度の位置に配置された三角状の配置としたものとすることができる(図示せず)。
【0047】
3組以上の案内部材および被案内部材からなるものとした場合も、複数の軸でマグネットバー210の挿脱を案内することが可能であり、2組の案内部材および被案内部材からなるガイド機構400を用いた場合に比べて更に確実に軸ブレを生じることなくケース体100の通路111の軸心に一致させて挿脱することが可能であるため、マグネットバー210がケース体100の内壁に接触する心配がない。
【0048】
図5は例えば飲食料品の製造設備などに使用される本発明である前記マグネットフィルタ1の組み立て・メンテナンスの工程を示す説明図、図6は前記図5の別視点から見た説明図であり、以下その工程について順を追って詳細に説明する。
【0049】
まず、混入する金属異物を除去する必要のある流体が流れる配管Pに対して、ケース体100の前記流体入口120と前記配管P、およびケース体100の前記流体出口150と前記配管Pを接続することによって取り付ける(図5(a),図6(a)参照)。接続する際の接続手段はクランプバンドを用いることが好ましい(図示せず)。
【0050】
なお、ケース体100の配管Pへの取り付けは組み立ての初回時のみ必要な作業であって、メンテナンスの際にはマグネット本体200の脱着のみを行えばよい。
【0051】
そして、ケース体100の配管Pへの取り付けが完了したら、次に、マグネット本体200のハンドル240を把持して、マグネットバー210がケース体100の挿入口130に挿入可能な向きかつ被案内部材420aであるサポート棒421aが案内部材410aであるガイド筒411aに挿入可能な向きに合わせて、サポート棒421aをガイド筒411aに挿入する(図5(b),図6(b)参照)。
【0052】
このとき、ガイド筒411aの開口端には樹脂製のリング部材416aが取り付けられていることによって、金属同士が強く接触することなく、スムーズにガイド筒411a内へサポート棒421aを案内することができる。
【0053】
ガイド筒411aにサポート棒421aが少し挿入された(係合された)時点で、ガイド筒411aおよびサポート棒421aの係合部を支点としてマグネット本体200はケース体100にぶつからない所定の範囲で揺動可能となり、その状態でもう一方の被案内部材420bであるサポート棒421bの位置を案内部材410bであるガイド筒411bの位置に合わせる(図5(c),図6(c)参照)。
【0054】
このように、被案内部材420a(サポート棒421a)の先端の軸方向の位置がマグネットバー210の先端の軸方向の位置よりも突出していることによって、マグネットバー210がケース体100の挿入口130から挿入されるよりも前にサポート棒421aとガイド筒411aの係合が完了し、マグネット本体200とケース体100との位置関係が一定の範囲に規制され、且つマグネット本体200の荷重がサポート棒421aおよびガイド筒411aによって支えられることで安定した状態で以降の工程(挿入作業)を進めることができる。
【0055】
なお、反対に案内部材410a(ガイド筒411a)の開口部の軸方向の位置が前記ケース体100の挿入口130の軸方向の位置よりも突出しているものとしてもよい(図示せず)。この場合であっても、マグネットバー210がケース体100の挿入口130から挿入されるよりも前にサポート棒421aとガイド筒411aの係合が完了し、マグネット本体200とケース体100との位置関係が一定の範囲に規制され、安定した状態で以降の工程(挿入作業)を進めることができる。
【0056】
前記サポート棒421aとガイド筒411aを係合させた後の状態において、ガイド筒411bはその開口端にサポート棒421bが外周から係合可能となる切り欠き416bが形成されていることから、サポート棒421bの先端は切り欠き416b部分を通過して受け部417bに受けられる形で上方からガイド筒411bに係合し、サポート棒421bとガイド筒411bの軸を一致させ、そのまま奥方向にサポート棒421bをガイド筒411bに挿入することができ、作業性が向上する。
【0057】
このように、マグネットバー210をケース体100の挿入口130に挿入する方向と一致する方向に延びる案内部材410aと被案内部材420a、案内部材410bと被案内部材420bからなる2組の案内部材および被案内部材を用いることによって、マグネットバー210をケース体100の挿入口130に挿入する際に、マグネットバー210をケース体100の挿入口130に挿脱する方向と同一の2軸によってマグネットバー210の挿入を案内することが可能であり、軸ブレを生じることなくケース体100の通路111の軸心に一致させて挿入することが可能であるため、マグネットバー210がケース体100の内壁に接触する心配がない。
【0058】
そして、そのままマグネットバー210をケース体100の挿入口130に挿入していくと、ケース体100側の接続部140とマグネット本体200側の接続部230とが密接した状態となる(図5(d),図6(d)参照)。
【0059】
このとき、作業者がマグネット本体200のハンドル240から手を離しても、案内部材410aと被案内部材420a、案内部材410bと被案内部材420bからなる2組の案内部材および被案内部材が係止していることによって、ケース体100側の接続部140とマグネット本体200側の接続部230とが密接した状態である取り付け姿勢に保たれて、マグネット本体200が落下する心配がない。
【0060】
そのため、作業者は安心して自由に両手を用いて接続手段300によるケース体100とマグネット本体200との接続作業を行うことができる(図5(e),図6(e)参照)。
【0061】
このとき、前記マグネット本体200の基端部220から前記マグネットバー210の挿入方向と直交する向きに突出する前記プレート部430を用いて前記基端部220から所定の距離を空けたことによって、接続手段300によって前記ケース体100側の接続部140と、前記マグネット本体200側の接続部230とを向かい合わせた状態で密接して固定する作業が非常に容易となっている。
【0062】
なお、前記カバー418a(418b)とガイド筒411a(411b)の後端との間には所定幅の空間が設けられており、ガイド筒411a(411b)にサポート棒421a(421b)を奥まで挿入した際、ガイド筒411a(411b)の長さよりも長く形成されたサポート棒421a(421b)がガイド筒411a(411b)の後端よりも突出することとなるが、前記カバー418a(418b)が設けてあることによって、突出したサポート棒421a(421b)は前記カバー418a(418b)と接触せずに前記空間内に位置し、前記カバー418a(418b)によって保護されるため、例えば作業者や他の従業員がマグネットフィルタ1付近を通行する際、露出したサポート棒421a(421b)に服などが引っかかってしまうような事故を防止することができる。
【0063】
更に、ガイド筒411a(411b)をサポート棒421a(421b)よりも短くしたことで、仮にガイド筒411a(411b)とサポート棒421a(421b)が同程度の長さであった場合に懸念される、ガイド筒411a(411b)端部付近の汚れ・ゴミの蓄積を防止することができる。
【0064】
そして、メンテナンスの際は、上記手順を逆順に行うことで、マグネット本体の抜脱を行うものである。
【0065】
まず、作業者は接続手段300の取り付けを解除し、マグネット本体200がケース体100から抜脱できる状態とする。
【0066】
この接続手段300の取り付け解除の前後において、ガイド機構400の係合により、マグネット本体200とケース体100は取り付け姿勢に保たれており、マグネットバー210はケース体100内で軸ブレを生じることなく保持されているので、破損などの心配がなく、慌てることなく接続手段300の取り付け解除の作業(接続解除作業)を行うことができる。
【0067】
接続手段300の取り付けを解除したら、マグネット本体200のハンドル240を把持してそのまま手前方向に引き抜くだけで、案内部材410aと被案内部材420a、案内部材410bと被案内部材420bからなる2組の案内部材および被案内部材を用いて、マグネットバー210をケース体100の挿入口130に挿脱する方向と同一の2軸によってマグネットバー210の抜脱を案内することが可能であり、軸ブレを生じることなくケース体100の通路111の軸心に一致させたまままっすぐに抜脱することが可能であるため、マグネットバー210がケース体100の内壁に接触する心配がない。
【0068】
そして、完全にマグネット本体200がケース体100から離れたら、任意の清掃手段によってマグネットバー210に付着した金属異物の清掃を行い、完了後、再度上記組み立て手順に沿って元の取り付け状態に戻すものである。
【0069】
なお、ガイド機構400を構成する2つの案内部材は、前記図1に示したマグネットフィルタ1と異なる組み合わせであってもよい。
【0070】
図7は本発明であるマグネットフィルタ2の第2の実施の形態を示す斜視図であり、この図に示すように、ガイド機構400を構成する2つの案内部材410a,410c(ガイド筒411a,411c)が共に切り欠きを有さないものであってもよい。
【0071】
このように、2つの案内部材410a,410cを共に切り欠きを有さないものとした場合、案内部材410aと被案内部材420a、案内部材410bと被案内部材420bからなる2組の案内部材および被案内部材を係合させる際に、正確に位置合わせを行う必要があるが、一度位置合わせを行うだけで2組の案内部材および被案内部材が同時に係合するため、マグネット本体200をそのまま奥方向に挿入するだけで2組の案内部材および被案内部材が摺動して案内することにより軸ブレを生じることなくマグネットバー210のケース体100への挿入を行うことができる。
【0072】
なお、マグネットフィルタ2における片方の案内部材410c(ガイド筒411c)の位置を相対的に奥方向に位置させ、2組の案内部材と被案内部材の係合時期をずらしたものとしてもよい(図示せず)。
【0073】
図8は本発明であるマグネットフィルタ3の第3の実施の形態を示す斜視図であり、この図に示すように、ガイド機構400を構成する2つの案内部材410b,410d(ガイド筒411b,411d)が共に切り欠きを有するものであってもよい。
【0074】
このように、2つの案内部材410b,410dを共に切り欠き416b,416dを有するものとした場合、案内部材410bと被案内部材420b、案内部材410dと被案内部材420dからなる2組の案内部材および被案内部材を係合させる際に、受け部417b,417dによって非常に容易に位置決めが可能であって、2組の案内部材および被案内部材が同時に係合するため、マグネット本体200をそのまま奥方向に挿入するだけで2組の案内部材および被案内部材が摺動して案内することにより軸ブレを生じることなくマグネットバー210のケース体100への挿入を行うことができる。
【0075】
図9は本発明であるマグネットフィルタ4の第4の実施の形態を示す斜視図、図10は前記マグネットフィルタ4を組み立てた状態を示す斜視図である。
これらの図に示すように、マグネットフィルタ4は、内部を流体が流れるケース体100と、マグネットバー210を含むマグネット本体200と、前記ケース体100と前記マグネット本体200とを接続する接続手段300と、前記マグネットバー210の前記ケース体100内への挿入もしくは抜脱を案内するためのガイド機構400とからなり、例えば飲食料品の製造設備などにおいて、流体が流れる配管Pに横方向に取り付けて用い、前記流体から金属異物を除去するためのものである点において前記マグネットフィルタ1と共通するため、同一構成箇所については同一符号を付し、説明を省略する。
【0076】
前記マグネットフィルタ4が前記マグネットフィルタ1と異なる点は、ガイド機構400が1組の案内部材410aおよび被案内部材420aのみからなる点である。
【0077】
案内部材410aのガイド筒411aと前記被案内部材420aのサポート棒421aは互いに対応するものであって、それぞれの軸は同軸かつ前記マグネット本体200のマグネットバー210を前記ケース体100の挿入口130へ挿入または抜脱する挿脱方向と一致する方向に形成されている。
【0078】
このように1組の案内部材410aおよび被案内部材420aのみを用いた場合においては、前記マグネットフィルタ1に比較して簡易な構造で、一度の係合のみによって、ガイド機構400を構成する案内部材410aおよび被案内部材420aの係合が完了するため、非常に容易に取り付け作業を行うことができる。
【0079】
このとき、案内部材410a(ガイド筒411a)がケース体100の真上に固着されていることから、案内部材410aに被案内部材420a(サポート棒421a)を係合させた状態において、マグネットバー210はその自重によって自然にケース体100の挿入口130と同軸の姿勢に保たれている。
【0080】
したがって、作業者はマグネット本体200のハンドル240を把持してそのまま奥方向に挿入するだけで、案内部材410aと被案内部材420aが摺動して案内することで安定した状態でマグネットバー210を挿入口130からケース体100内へ押し入れることができる。
【0081】
そして、ケース体100側のフランジ状の接続部140とマグネット本体200側のフランジ状の接続部230とが密接した状態である取り付け姿勢となったら、接続手段300によってケース体100側の接続部140とマグネット本体200側の接続部230とを接続する。
【0082】
なお、このときも案内部材410a(ガイド筒411a)がケース体100の真上に固着されていることから、案内部材410aに被案内部材420aを挿入した状態において、マグネットバー210はその自重によって自然にケース体100の挿入口130と同軸であって、ケース体100側の接続部140とマグネット本体200側の接続部230とが密接した状態である取り付け姿勢に保たれて、マグネット本体200が落下する心配がないため、作業者は自由に両手を用いて接続手段300によるケース体100とマグネット本体200との接続作業または接続解除作業を行うことができる。
【0083】
前記図1乃至図10に示した実施の形態における流体の流れは、流体入口120側から流体出口150側へと流れるものとして説明したが、流体入口と流体出口が逆である場合(流体が流体出口150側から流体入口120側へと流れる場合)であったとしても本発明の実施には全く問題ない。
【0084】
なお、前記図1乃至図10に示した各実施の形態においてマグネットバー210は一本のみとしたが、例えば複数本を縦横に並べたものとしてもよい(図示せず)。
【0085】
図11は本発明であるマグネットフィルタ5の第5の実施の形態を示す斜視図、図12は前記マグネットフィルタ5を組み立てた状態を示す斜視図、図13は前記図12に示したA-A線拡大断面図、図14は前記図12に示したB-B線拡大断面図である。
これらの図に示すように、前記マグネットフィルタ5は、内部を流体が流れるケース体500と、マグネットバー610を含むマグネット本体600と、前記ケース体500と前記マグネット本体600とを接続する接続手段700と、前記マグネットバー610の前記ケース体500内への挿入もしくは抜脱を案内するためのガイド機構400とからなり、例えば飲食料品の製造設備などにおいて、流体が流れる配管Pに縦方向に取り付けて用い、前記流体に含まれる金属異物(微細な磁性体金属)を除去するためのものである。
【0086】
ケース体500は、全体がステンレスなどの耐食性に優れた金属により形成されており、両端が窄まった円筒形を呈し、軸線方向に通路511を形成してその一端512を流体入口520、他端513を流体出口550とした両端開放の外筒部510と、前記マグネット本体600のマグネットバー610を挿脱するために前記外筒部510の中間位置において前記軸線方向と直交して貫通形成した取付孔560の一端に形成された挿入口530と、前記挿入口530の外周に突設されたフランジ状の接続部540と、からなる。なお、前記取付孔560の他端に形成された開口570は蓋580を接続手段700によって固定することで封止されている。
【0087】
また、前記ケース体500は、本実施の形態では配管Pの経路上に取り付けられるものであって、前記流体入口520と前記配管P、および前記流体出口550と前記配管Pを接続することによって取り付けられ、前記流体入口520から導入された流体が前記通路511を介して前記流体出口550まで流れることで前記ケース体500内を通過するものである。
【0088】
マグネット本体600は、全体がステンレスなどの耐食性に優れた金属により形成されており、内部に永久磁石611を配置して形成された磁性を有する棒状の複数のマグネットバー610と、前記マグネットバー610の基端612に位置してフランジ状の接続部630が形成された基端部620と、前記基端部620におけるマグネットバー610と逆側に形成されて作業時に把持するためのハンドル640と、からなる。
【0089】
マグネットバー610は、ケース体500の内径よりも小さい外径を有する棒状であり、本実施の形態においては5本が放射状に配置されている。マグネット本体600をケース体500に取り付けた状態において、その軸線がケース体500の通路511の軸線と平行な状態となり、各マグネットバー610同士の外周面の間、および各マグネットバー610の外周面とケース体500の通路511内周面との間には所定幅の隙間を有する。
【0090】
このように所定幅の隙間を設けたことによって、配管Pから流体入口520を介してケース体500内に導入される流体は前記隙間を通過し、前記流体に含まれる金属異物を前記マグネットバー610によって除去しつつ流体出口550へと案内されるとともに、マグネットバー610の外周面とケース体500の通路511内周面が直接触れることがないためマグネットバー610にキズやささくれを生じるおそれがない。
【0091】
接続手段700は、前記ケース体500側のフランジ状の接続部540と、これと同径の前記マグネット本体600側のフランジ状の接続部630とを向かい合わせた状態で密接して固定するためのものであって、本実施の形態においては従来周知のクランプバンドを用いる。
【0092】
なお、この接続手段700は前記流体入口520と前記配管P、および前記流体出口550と前記配管Pの接続を行う際にも用いる(図示せず)。
【0093】
ガイド機構400については、前記ケース体500の外周514および前記マグネット本体600の基端部620に設けられたものであって、前記図1乃至図10に示した本発明の第1から第4の実施の形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0094】
本実施の形態であるマグネットフィルタ5においては、案内部材410bと被案内部材420b、案内部材410dと被案内部材420dの2組からなるガイド機構400が構成されている。
【0095】
このように、ガイド機構400が2組の案内部材および被案内部材からなることにより2軸でマグネットバー610の挿脱を案内することが可能である。
【0096】
そのため、前記マグネットバー610をケース体500に挿脱する際に、前記マグネットバー610は互いに所定の距離に配置される軸心を有する2組の前記ガイド機構400により軸心位置が規制されるので、軸ブレを生じることなく前記マグネット本体600と前記ケース体500の前記挿入口530の軸心とを一致させて挿脱することが可能であるため、前記マグネットバー610が前記ケース体500の内壁に接触する心配がない。
【0097】
本実施の形態であるマグネットフィルタ5によれば、例えば飲食料品の製造設備などにおいて、前記ケース体500および前記マグネット本体600の形状を流体が流れる配管Pに縦方向に取り付けて用いることに適した形状としたことによって、取付後の状態で前記流体を下方向から上方向に向けて流すことで、前記流体は前記マグネットバー610と接しつつ、前記流体に含まれる金属異物が沈殿などを生じることなく流れていくため、より確実に金属異物の回収・除去を行うことができる。
【0098】
図15は本発明であるマグネットフィルタ6の第6の実施の形態を示す斜視図、図16は前記マグネットフィルタ6を組み立てた状態を示す斜視図である。
これらの図に示すように、前記マグネットフィルタ6は、前記マグネットフィルタ5とほぼ同様の構成を有するが、ガイド機構400が案内部材410aと被案内部材420a、案内部材410bと被案内部材420b、案内部材410cと被案内部材420cの3組からなるガイド機構が構成されている。
【0099】
このように、ガイド機構400が3組の案内部材および被案内部材からなることにより3軸で前記マグネットバー610の挿脱を案内することが可能であって、より安定した姿勢で前記マグネットバー610の挿脱を行うことができる。
【0100】
図17は本発明であるマグネットフィルタ7の第7の実施の形態を示す斜視図、図18は前記マグネットフィルタ7を組み立てた状態を示す斜視図である。
これらの図に示すように、前記マグネットフィルタ7は、前記マグネットフィルタ5および前記マグネットフィルタ6とほぼ同様の構成を有するが、ガイド機構400が案内部材410aと被案内部材420a、案内部材410bと被案内部材420b、案内部材410cと被案内部材420c、案内部材410dと被案内部材420dの4組からなるガイド機構が構成されている。
【0101】
このように、ガイド機構400が4組の案内部材および被案内部材からなることにより4軸で前記マグネットバー610の挿脱を案内することが可能であって、更に安定した姿勢で前記マグネットバー610の挿脱を行うことができる。
【0102】
前記図11乃至図18に示した各実施の形態において、流体の流れは、流体入口520側から流体出口550側へと流れるものとしており、このように前記流体が下方向から上方向に向けて流れることが好ましいが、流体入口と流体出口が逆である場合(流体が流体出口550側から流体入口520側へと流れる場合)であったとしても本発明の実施には全く問題ない。
【0103】
また、前記流体が左右方向に流れる配管に前記流体入口520および前記流体出口550を取り付けて用いるものとしてもよい(図示せず)。
【0104】
上記各実施の形態において示したように、前記ガイド機構400を構成する案内部材および被案内部材の種類および個数の組み合わせについては任意のものを使用可能であり、また、その組み合わせは本明細書において示したものに限られない。
【0105】
また、本明細書および図面においては記載を省略しているが、接続手段300,700を用いて接続部同士、または流体入口,流体出口と配管の接続を行う際に、ガスケットなどの周知のシール材を用いてもよいことは勿論である。
【0106】
なお、前記各実施の形態において、被案内部材は円筒状のガイド筒を、案内部材は円柱状のサポート棒を用いるものとしたが、例えばこれらを逆に配置したものとしてもよく、また、円筒状のガイド筒および円柱状のサポート棒ではなく、多角形のガイド筒およびサポート棒を用いるものとしてもよく、更に、円筒状のガイド筒ではなく、リング状のガイド環を用いるものとしてもよい(図示せず)。
【0107】
例えば、四角形のガイド筒およびサポート棒を用いるものとした場合は、1組のガイド筒およびサポート棒であってもガイド筒およびサポート棒を係合させた状態において前記マグネット本体200,600の回転を防止することができるため、軸ブレを生じることなく前記マグネット本体200,600と前記挿入口130,530の軸心とを一致させて挿脱することができる。
【0108】
以上の通り、本発明によれば、マグネットフィルタの外周側に設けた案内部材と被案内部材とが係合して摺動しながらマグネット本体のマグネットバーのケース体内外への挿脱を案内する構成であることから、非常に容易にマグネットバーの軸がブレないようにまっすぐに挿脱することが可能であり、マグネットバーがケース体の内周壁に触れることなく、マグネット本体およびケース体の双方においてキズやささくれを生じることを防止できるため、特に飲食料品の製造設備に適したものであって、且つ、挿入後のマグネット本体は案内部材と被案内部材との係合により取り付け位置を保持し、作業者は両手が自由な状態で接続手段によるマグネット本体とケース体の接続作業または接続解除作業が可能であるため、落下する心配がなく、非常に安全で作業性にも優れるマグネットフィルタを提供することができる。
【符号の説明】
【0109】
1,2,3,4,5,6,7 マグネットフィルタ、100,500 ケース体、110,510 外筒部、111,511 通路、112,512 一端、113,513 他端、114,514 外周、120,520 流体入口、130,530 挿入口、140,540 接続部、150,550 流体出口、560 取付孔、570 開口、580 蓋、200,600 マグネット本体、210,610 マグネットバー、211,611 永久磁石、212,612 基端、220,620 基端部、230,630 接続部、240,640 ハンドル、300,700 接続手段、400 ガイド機構、410a,410b,410c,410d 案内部材、411a,411b,411c,411d ガイド筒、412a 支柱、413a 通孔、414a 支柱、415a 通孔、416a リング部材、416b,416d 切り欠き、417b,417d 受け部、418a,418b カバー、420a,420b,420c,420d 被案内部材、421a,421b,421c,421d サポート棒、430 プレート部、440 クランク型金具、441 一端、442 他端、450 プレート型金具、P 配管、G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18