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  • 特開-腹式呼吸補助具 図1
  • 特開-腹式呼吸補助具 図2
  • 特開-腹式呼吸補助具 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079451
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】腹式呼吸補助具
(51)【国際特許分類】
   A61H 39/04 20060101AFI20220519BHJP
   A63B 23/18 20060101ALI20220519BHJP
   A61F 5/00 20060101ALN20220519BHJP
【FI】
A61H39/04 H
A63B23/18
A61F5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007203
(22)【出願日】2022-01-20
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2020-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】520448647
【氏名又は名称】東山 佳澄
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】東山 佳澄
【テーマコード(参考)】
4C098
4C101
【Fターム(参考)】
4C098AA10
4C098BB02
4C098BC22
4C098BD02
4C101BA01
4C101BB06
4C101BB20
4C101BC01
4C101BC09
4C101BD01
4C101BE01
4C101EB20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単純な器具を使用して仰向きの楽な姿勢で身体の背中から腹式呼吸を補助できる腹式呼吸補助具を提供する。
【解決手段】腹式呼吸補助具は、間隔を開けて配置される背当てパッド1と、背当てパッド1を脱着自在に保持するシート部材2からなる。パッド1は、例えば、芯材と該芯材を覆う包材からなる。下面に設けた面ファスナーを備え、背当てパッド1を使用する人のみぞおちの両側付近からその下部を背中側から加圧する位置になるようシート部材2上に止着した後、その上に仰向けに寝て腹式呼吸を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を開けて配置される背当てパッドと、該背当てパッドが脱着自在に保持されるシート部材からなることを特徴とする腹式呼吸補助具。
【請求項2】
前記背当てパッドの厚さを調整自在としたことを特徴とする請求項1に記載の腹式呼吸補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹式呼吸を容易かつ効果的に行うための腹式呼吸補助具に関する。
【0002】
また、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を持つ患者の睡眠時の呼吸困難を軽減することができる睡眠呼吸治療効果を有することを特徴とする。
【背景技術】
【0003】
肺は肋骨と横隔膜に囲まれた閉鎖空間(胸郭)の中にあり、肺自体は自ら膨らんだりしぼんだりすることができないので、呼吸の際にはこの胸郭を膨らませたり小さくすることにより肺が受動的に動いて呼吸ができるようになっている。
【0004】
呼吸法には大きく二つの方法がある。一つは肋骨の間の筋肉(肋間筋)を主に作用させ肋骨同士の間隔を変化させて呼吸をする胸式呼吸であり、もう一つは肺の下の横隔膜を下に下げて胸郭を膨らませる腹式呼吸である。後者の方がはるかに多くの空気を吸い込むことができ、血液中の酸素量が増加して代謝や血流が向上して心身の健康に役立つことが知られている。しかしながら、習得すること及び効果的に行うことには練習を必要とした。
【0005】
従来、腹式呼吸を効果的に行う補助具として、腹部に対して巻回可能に形成するベルトの裏面にエアバッグを設け、同エアバッグよりエアホースを延出させる一方、一定間隔毎に空気を送排気するエアコントロール装置を設け、同エアコントロール装置に前記エアホースの先端を接続して成る腹式呼吸促進具が提案されている(特許文献1)。
【0006】
前記呼吸促進具は、空気により膨張するエアバッグで腹部を間欠的に加圧することにより、横隔膜の上動を助けて腹式呼吸を積極的に行わせることができるとしている。
【0007】
その他、腹部に巻き付けるベルトにバイブレータと操作パネルを設け、使用者が使用時にみずから動作を継続できる駆動構造を備えた腹式呼吸補助装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】公開実用新案昭64-6944号公報
【特許文献2】実用新案登録第3187619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記従来の腹式呼吸促進具及び腹式呼吸補助装置はいずれも操作機器を有し、腹部に巻き付けて腹部を加圧等して横隔膜を変動させるものである。
【0010】
本発明の腹式呼吸補助具は、身体の背中から腹式呼吸を補助するものであり、操作機器を準備する必要がなく、単純な器具を使用して仰向けの楽な姿勢で腹式呼吸を補助するもの
である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明の腹式呼吸補助具は、間隔を開けて配置された背当てパッドと、該背当てパッドを着脱自在に保持するシート部材からなることを特徴とする(請求項1)。
【0012】
前記構成の本発明は、シート部材上に使用する人の身体に合わせて背中の適所を加圧する背当てパッドを、自然に腹式呼吸ができるように間隔を開けて配置し、その上に仰向けに寝ることにより腹式呼吸が容易かつ効果的に行われるものである。
【0013】
本発明の実施の一形態は、背当てパッドの厚さを調整自在としたことを特徴とする(請求項2)。この実施の一形態によれば、使用する人の体に合わせて背当てパッドの厚さを調整して腹式呼吸を効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複雑な機器を準備及び操作することなく、単純な器具を使用して仰向きの楽な状態で身体の背中から腹式呼吸を補助することができるほか、容易に腹式呼吸が実感できるため、腹式呼吸の練習にも役立つ。就寝時など仰向け(仰臥位)になると、重力に従い胸郭が前後に扁平となるため、呼吸が制限されてしまう。このため胸式呼吸では筋力の弱い肋間筋を、起きている時よりもさらに働かせなければならないが、健常者では肺の膨らむ力(可塑性)が高いためそう問題にはならない。しかし、気管支喘息やCOPDを持つ患者では肺の可塑性が低いため、肋間筋の負担が大きくなり、睡眠時の疲労感、呼吸困難が強くなり、患者は上体を起こして睡眠をとらなければならない(起坐呼吸)。
【0015】
就寝時に本補助具を使用すれば、背あてパッドが肋骨を両側後方から圧迫することにより胸郭を前後に立体的に矯正することができ、胸郭自体の体積を増大することで空気の取り込み量が増え、また、胸郭を適度に固定するために自然に腹式呼吸を促進することができ、睡眠時の呼吸困難を軽減することができる。この補助具は患者の普段の睡眠時だけでなく軽度の発作時にも使用することができるため、夜間の気管支拡張剤の使用も軽減させることも期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例の腹式呼吸補助具の斜視図である。
図2】背当てパッドの一実施例を示す断面図である。
図3】本発明の腹式呼吸補助具の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参考に本発明の一実施例を説明する。
【0018】
図1は本発明の腹式呼吸補助具の斜視図であり、図中、1,1は間隔を開けて配置された背当てパッドであり、2は該背当てパッド1,1を着脱自在に保持するシート部材である。
【0019】
前記背当てパッド1,1は、背中に当てて仰向けに寝た場合に背中の適所を加圧する厚さに形成される。例えば、図2に示すように芯材1aと該芯材1aを覆う包材1bからなる。図中、3は下面に設けた面ファスナーである。
【0020】
前記背当てパッド1,1は使用する人の身体に合わせて厚さの異なるものを複数準備することのほか、適数を重ね合わせて厚さを調整できる背当てパッドを準備してもよい。また
、背当てパッド1,1の形状は問わないが両端に丸みを持たせることが好ましい。具体的には、身体のみぞおちの両側付近からその下部の背中を加圧する幅及び長さに形成される。
【0021】
前記シート部材2は、いわゆる敷物であり、金属板状のものではなくプラスチックのようなやや柔らかいものが好ましく、前記背当てパッド1,1を脱着自在に保持する構成を有する。そのため、図1実施例では、その左右方向に、前記背当てパッド1,1の下面に設けた面ファスナー3と係合止着する面ファスナー4が設けられている。図中、5は背当てパッド1,1の間隔数値を表す目盛りである。なお、シート部材2に対する背当てパッド1,1を脱着自在にする構造はその他の仮止め手段でもよい。
【0022】
つぎに、本発明の腹式呼吸補助具の使用方法を説明する。
【0023】
図3は使用状態を示す説明図である。まず、図1に示した背当てパッド1,1の間隔を図3に示すように使用する人の身体のみぞおちの両側付近からその下部を背中側から加圧する位置になるように予め調整してシート部材2上に止着する。すなわち、仰向けに寝た際に胸郭背中側の下部を両側から前方へ押し出す形になるように、自然に腹式呼吸ができる幅に背当てパッド1,1をシート部材2上に止着する。
【0024】
前記の通り背当てパッド1,1の間隔を調整した後、その上に仰向けに寝て腹式呼吸を行うものである。したがって、きわめて楽な姿勢で腹式呼吸を行うことができる。
【符号の説明】
【0025】
1,1 背当てパッド
2 シート部材
3 面ファスナー
4 面ファスナー
図1
図2
図3