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特開2022-79453金属表面上のエッチレジストパターンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079453
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】金属表面上のエッチレジストパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/06 20060101AFI20220519BHJP
   C23F 1/18 20060101ALI20220519BHJP
   C23F 1/00 20060101ALI20220519BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
H05K3/06 L
C23F1/18
C23F1/00 102
H05K3/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022020846
(22)【出願日】2022-02-14
(62)【分割の表示】P 2019092613の分割
【原出願日】2016-06-02
(31)【優先権主張番号】62/170,713
(32)【優先日】2015-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513317345
【氏名又は名称】カティーバ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140833
【弁理士】
【氏名又は名称】岡東 保
(72)【発明者】
【氏名】モシェ フレンケル
(72)【発明者】
【氏名】ナバ シュパイスマン
(57)【要約】
【課題】金属表面上のエッチレジストパターンの製造方法を提供すること。
【解決手段】方法であって、第1の反応性成分を含む第1の液体組成物を金属表面上に適用してプライマー層を形成するステップと、ノンインパクト印刷プロセスによる像様の印刷により前記プライマー層上に第2の反応性成分を含む第2の液体組成物を適用して所定のパターンに従ってエッチレジストマスクを生成するステップとを含み、前記第2の液体組成物の液滴が前記プライマー層に接触すると、前記第2の反応性成分は液滴を固定化するように前記第1の反応性成分と化学反応を起こすことを特徴とする方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
第1の反応性ポリマー成分を含む第1の組成物を基板の金属層上に堆積させるステップと、
前記基板の選択された部分上に第2の反応性ポリマー成分を含む第2の組成物を堆積させて、前記第1の反応性ポリマー成分と前記第2の反応性ポリマー成分との間の化学反応により、前記金属層の選択された領域を保護するためのパターンで二成分材料マスクを形成するステップと、
エッチ溶液を堆積させて、前記二成分材料マスクによって保護されていない領域の前記金属層を除去するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記第1の反応性ポリマー成分は固定化反応性成分であり、前記第2の反応性ポリマー成分はエッチレジスト反応性成分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の反応性ポリマー成分はエッチレジスト反応性成分であり、前記第2の反応性ポリマー成分は固定化反応性成分である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の反応性ポリマー成分および前記第2の反応性ポリマー成分のうちの一方がカチオン性成分を含み、そして前記第1の反応性ポリマー成分および前記第2の反応性ポリマー成分のうちの他方がアニオン性成分を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記カチオン性成分が、1個のイミン基、1個のアミン基、またはその両方を含み、
前記アニオン性成分が、1個のホスフェート基、1個のスルホネート基、1個のアクリレート基、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記二成分材料マスクは、水および前記エッチ溶液のうちの少なくとも1つに不溶性である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の組成物を堆積させるステップの前に、前記金属層上に堆積された前記第1の組成物を乾燥させるステップをさらに含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属層上に堆積された前記第1の組成物の前記化学反応を起こさない1つ以上の追加の成分を除去するステップを更に含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の組成物の1つ以上の追加の成分を除去するステップと、前記エッチ溶液を堆積させるステップと、が同時に実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチ溶液を堆積させるステップの後に、前記二成分材料マスクを除去するステップとを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の組成物、前記第2の組成物、またはその両方が、インクジェット印刷によって堆積される、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属層が銅を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の組成物が染料を更に含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
方法であって、
第1のポリマー成分を含む第1の組成物を基板の金属層上に堆積させるステップと、
前記基板の選択された部分上に第2のポリマー成分を含む第2の組成物を堆積させて、前記第1のポリマー成分と前記第2のポリマー成分との間の化学反応により、前記金属層の選択された領域を保護するためのパターンで二成分材料マスクを形成するステップと、
前記二成分材料マスクによって保護されていない領域の前記金属層を除去するステップと、を含む方法。
【請求項15】
前記第1の組成物を堆積させるステップの前に、前記第2の組成物を堆積させるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記エッチ溶液を堆積させるステップの後に、前記二成分材料マスクを除去するステップ、を含む請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の組成物を堆積させるステップの前に、前記金属層上に堆積された前記第1の組成物を乾燥させるステップを含む、請求項14から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
方法であって、
第1のポリマー成分および酸を含む第1の組成物を基板の金属層上に堆積させるステップと、
前記基板の選択された部分上に第2のポリマー成分を含む第2の組成物を堆積させて、前記第1のポリマー成分と前記第2のポリマー成分との間の化学反応により、前記金属層の選択された領域を保護するためのパターンで二成分材料マスクを形成するステップと、
前記二成分材料マスクによって保護されていない領域の前記金属層を除去するステップと、を含む方法。
【請求項19】
前記第2の組成物を堆積させるステップの前に、前記第1の組成物を堆積させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記エッチ溶液を堆積させるステップの後に、前記二成分材料マスクを除去するステップを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の組成物を堆積させるステップの前に、前記金属層上に堆積された前記第1の組成物を乾燥させるステップを含む、請求項18から20のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エッチレジストマスクを金属層上に直接適用することによる、金属表面、例えばプリント回路基板(PCB)上の導電性パターンの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板(PCB)は、ほとんどの電子製品で広く使用されている。PCBの製造は、ポイント・ツー・ポイント構成などの他の配線方法を使用する場合よりも、より安価で、迅速で、正確であると考えられている。それでも、高品質を維持するとともに、コスト効率の良い小さいバッチ、スループットの高いより大きいバッチ、オンデマンド基板、より高密度の配線を有する基板、より細い線を有する基板その他の製造を含む特定の要件に応じたPCBの生産を可能とする、より簡単でコスト効率の高い製造プロセスの探索が続けられている。
【0003】
PCBの製造における配線パターニングは、通常、絶縁材料基板に積層された銅層から銅を除去し、所望の銅線(パターンまたは画像とも呼ばれる)のみを導電経路として残すことを含むサブトラクティブ法によって行われる。このプロセスは、銅層上にエッチレジストマスクを適用し、エッチングプロセスによって露出した銅部分を除去することを含む。エッチレジストマスクを作製するために現在使用されている方法では、銅層に感光性エッチレジスト物質(一般にUV感光性物質)を適用し、フォトプロッタやレーザプロッタなどを用いてフォトマスクを作製し、前記層をUV線に暴露して、前記露出した領域を硬化させて前記銅層の上のパターンとして固定化し、未露光のエッチレジストを化学現像によって除去する。これで、マスクされていない銅部分をエッチングし、その後にエッチレジストマスクを除去するためのストライプ形成プロセスによって配線パターンを形成することが可能となる。配線パターンは、基板の表面の約25%をカバーする。しかし、製造中に、基板全体が感光性エッチレジスト物質で被覆され、続いて配線パターンがUVまたは他の放射線に露光されてエッチレジストマスクが形成される。残りの感光性エッチレジスト物質は洗い流される。
【0004】
エッチレジストパターンは、例えば銅層上にノンインパクト印刷(例えば、インクジェット印刷)によって、アディティブ法によって適用することもできる。従来のインクジェット材料は比較的低粘度であり、したがってインク液滴が銅表面のような非吸収性表面に当たると、通常は、制御されていない液滴の拡散とともに、クラスタリング、インク合体および広範なドットゲイン等の他の現象が発生する。したがって、印刷されたパターンは、解像度が低下し、細部が不足し、パターン線幅が不均一であり、ラインエッジ平滑性が不十分であり、隣接する導電線間の短絡およびパターン線の断線を生ずる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、ノンインパクト印刷によって金属層上にエッチレジストマスクを形成または適用する方法に関する。前記方法は、第1の反応性成分を含む第1の液体組成物を金属表面上に適用してプライマー層を形成するステップと、ノンインパクト印刷プロセスによる像様の(意図する画像通り)印刷により前記プライマー層上に第2の反応性成分を含む第2の液体組成物を適用して所定のパターンに従ってエッチレジストマスクを生成するステップとを含み、前記第2の液体組成物の液滴が前記プライマー層に接触すると、前記第2の反応性成分は液滴を固定化するように前記第1の反応性成分と化学反応を起こすことを特徴とし得る。
【0006】
本発明の実施形態は、金属層上にエッチレジストマスクを適用するための二液型インク組成物セットに関する。前記セットは、固定化反応性成分を含む第1の液体組成物と、エッチレジスト反応性成分を含む第2の液体組成物とを含み、前記固定化反応性成分および前記固定化反応性成分は化学反応を起こして水および酸性エッチ溶液に不溶性の二成分材料を形成することができることを特徴とし得る。
【0007】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され明確に主張される。しかし、本発明は、構成および動作方法の両方に関して、それらの目的、特徴、および利点とともに、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【0008】
説明を簡単かつ明瞭にするために、図面に示される要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確化のために他の要素に対して大きく誇張されていることがある。更に、適切であると考えられる場合には、複数の図面で同じ参照番号を使用して、対応するまたは類似の要素を示していることがある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明のいくつかの実施形態によるエッチレジストマスクの製造方法の流れ図である。
図2図2は、本発明の実施形態によるエッチレジストマスクの製造方法の理解に役立つ説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明では、本発明が完全に理解されるようにするため、多数の特定の詳細が記載されている。しかし、当業者であれば、本発明はこれらの具体例の通りでなくても実施できることを理解するであろう。他の例では、本発明が不明確にならないように、周知の方法、手順、および構成要素については詳細に説明していない。
【0011】
本発明の実施形態は、例えばインクジェット印刷などのノンインパクト印刷によって金属層上にエッチレジストマスクを形成または適用する方法に関する。この方法の実施形態は、例えばプリント回路基板(PCB)の製造に適用可能である。本発明の実施形態による金属表面上にエッチレジストマスクを適用する方法では、第1の反応性成分を含む第1の液体組成物を表面に適用してプライマー層を形成した後、プライマー層上に第2の反応性成分を含む第2の液体組成物を印刷して、所定のパターンに従ったエッチレジストマスクを生成する。本発明の実施形態によれば、第2の反応性成分は、第1の反応性成分と化学反応を起こして、水およびエッチング溶液に不溶性の二成分材料を生成する。前記二成分材料は、各々の成分により高い粘度を有し、反応により、プライマー層に当たったときの第2の組成物の液滴の固定化が引き起こされる。
【0012】
金属層は、絶縁性の非導電性基板上に積層された銅層であり得る。説明を容易にするために、以下の説明では金属層表面である形態を参照する。但し、アルミニウム表面、ステンレス鋼表面、金の表面などの他の金属表面も同様に本発明の実施形態に適用可能であることを理解されたい。
【0013】
本発明の実施形態によれば、エッチレジストマスクは、金属層上に、それぞれが他の組成物に含まれる別の反応性成分と化学反応を起こすことができる反応性成分を含む2つの液体組成物を連続的に適用することによって形成することができる。化学反応の生成物は二成分材料と呼ばれる。両組成物の各々は水溶性であり、二成分反応生成物材料は水不溶性でありかつエッチ溶液不溶性である。すなわち、二成分反応生成物材料は、水溶性でなく、金属層をエッチングするために使用されるエッチング溶液に可溶でもない。いくつかの実施形態によれば、エッチ溶液は、例えば塩化銅および過酸化水素混合物などの酸性エッチ溶液であり得る。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、組成物の少なくとも1つは、他の組成物中の1つ以上の反応性成分と化学反応を起こすことができる2つ以上の反応性成分を含み得る。本発明の実施形態によれば、組成物の1つは、多価および/またはポリカチオン基および/または多価無機カチオンを含み得、固定化組成物として機能し得る。他の組成物は、ポリアニオン基を含み得、エッチレジスト組成物として機能し得る。いくつかの実施形態では、エッチングプロセスの前に固定化組成物を含む層を除去する必要はなく、この層はエッチングプロセス中に除去される。
【0015】
例えば、固定化反応性成分として、限定しないが、ポリエチレンイミン、二価塩、ビニルピロリドンのヘテロポリマーなどを挙げることができる。
【0016】
本発明の実施形態によれば、第1の組成物は、一様な層または像様のいずれかで、銅表面上に、インクジェット印刷または任意の他の印刷またはコーティング方法によって適用することができる。第2の組成物は、ノンインパクト印刷法を用いて、例えば所望の配線パターンを形成するためにインクジェット印刷によって印刷される。第2組成物の液滴が金属表面の上のプライマー層に当たると、2つの反応性成分(すなわち、ポリアニオンと反応する多価および/またはポリカチオンまたは多価カチオン)の間で起こる化学反応が、第2の組成物の粘度の瞬間的な比較的大きな増加を引き起こし、液滴の制御されない広がりを防止する。液滴は表面上に広がることなく固定化または凍結する。本発明の実施形態によれば、第1の組成物の反応性成分は、第2の組成物の第2の成分と反応すると、印刷されたパターンを基材に化学的に固定化する固定化成分であり得る。第2の組成物の反応性成分は、エッチレジスト成分であり得る。このような成分は、例えば、酸エッチングを禁止する酸エッチされた耐性物質を含み得る。いくつかの実施形態では、固定化成分は、エッチングプロセス中にエッチレジストマスクの金属層に付着したままとなるのを確実にするために、金属層に接着することができる。他の実施形態によれば、第1の組成物の反応性成分はエッチレジスト成分であり得、第2の組成物の反応性成分は固定化成分であり得る。
【0017】
固定化成分を含む組成物は、プライマー層として金属表面上に適用され、ノンインパクト印刷または任意の他の既知のコーティング方法を使用して、一様なまたはパターン化された層を形成することができる。エッチレジスト成分を含む組成物は、次に、エッチレジストマスクを形成するためにノンインパクト印刷によって像様に適用され得る。いくつかの実施形態では、酸の溶液を第1の組成物に加えて固定化材料を活性化することができる。
【0018】
あるいは、本発明のいくつかの実施形態によれば、エッチレジスト成分を含む組成物は、プライマー層として金属表面上に適用され、ノンインパクト印刷または任意の他の既知の方法を用いて一様なまたはパターン化された層を形成する。次いで、固定化成分を含む組成物を、ノンインパクト印刷によって像様に適用して、エッチレジストマスクを形成することができる。説明を容易化するため、以下の説明では、主として固定化組成物が金属表面の上に直接適用され、エッチレジスト組成物が形成された固定化物質層上に堆積される実施形態を参照する。しかし、以下の説明は、組成物を堆積させる順序が逆にされる実施形態にも適用され得ることを理解されたい。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態は、金属表面上にエッチレジストマスクを適用するための二液型インク組成物セットに関する。セットは、それぞれ異なる容器に保存された2つの溶液(例えば、2つの水溶液)を含み、第1の溶液は固定成分を含み、第2の溶液はエッチレジスト成分を含み得る。第1の溶液中の固定化成分および第2の溶液中のエッチレジスト成分は、互いに反応して、水溶性でなくエッチング溶液に溶解性でもなく、銅などの金属に対する良好な接着性を有するエッチレジスト不溶性組成物を形成し得る。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態による導電パターンの製造方法の流れ図である図1を参照するとともに、図1のプロセスの形態を示す図2を参照する。本発明のいくつかの実施形態によれば、この方法は、ボックス110に示すように、金属表面上にプライマー層を形成するステップを含み得る。プライマー層(例えば、図2の層230)は、電気絶縁基板(例えば、図2の基板210)上に積層された金属表面(例えば、図2の表面220)上に、第1の反応性成分を含む第1の液体組成物に適用することによって形成することができる。第1の組成物の反応性成分は、水溶性固定化成分であり得、反応性カチオン基、例えばポリカチオンまたは多価カチオンを含み得る。カチオン性反応性成分は、銅表面のような金属表面に付着することができる。いくつかの実施形態では、第1の液体組成物の適用は、任意の工業的コーティング方法によって行うことができる。
【0021】
カチオン反応性成分の例としては、限定しないが、ポリアミド、例えばポリエチレンイミン、ポリ四級アミン、長鎖四級アミン、様々なpHレベルのポリ三級アミンや、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、カルシウムカチオン、銅カチオン、第二鉄および第一鉄カチオンなどの多価無機カチオンなどが挙げられる。ポリマー成分は、可溶性成分としてまたはエマルジョン形態のいずれかで、製剤に導入することができる。プライマー層は、インクジェット印刷、噴霧、メタリングロッドコーティング、ロールコーティング、浸漬コーティングなどの、任意の適切な印刷またはコーティング方法を用いて金属表面に適用することができる。プライマー層は、一様でもパターン化されていてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、プライマー層は、金属表面全体を実質的に覆う連続層であってもよい。あるいは、プライマー層は、必要なパターンに従って像様に印刷されてもよい。パターンは、ノンインパクト印刷、例えばインクジェット印刷によって適用することができる。必要なパターンは、例えば、PCBの銅配線であり得る。
【0023】
ボックス120に示すように、いくつかの実施形態では、この方法は、プライマー層上に第2の反応性成分を含む第2の液体組成物をノンインパクト印刷プロセスによって印刷するステップを含み得る。印刷は、例えば、インクジェットプリンタを使用して、金属表面上に所定のパターンに従ってエッチレジストマスクを形成するために、像様に実行される。第2の液体の印刷プロセスの間、金属表面は、印刷品質を更に改善するために高温まで加熱することができる。典型的な表面温度マットは、25℃から80℃までの範囲である。第2の液体組成物は、プライマー層に接触または当たると、プライマー層に含まれる第1の反応性成分と化学反応を起こして、第2の組成物の液滴を固定化することができる第2の反応性成分を含む。化学反応の生成物は、第1および第2の組成物のそれぞれよりも実質的に高い粘度を有し、水およびエッチング溶液の両方に不溶性の材料である。不溶性エッチレジストパターンは、少なくとも0.01μmの乾燥層厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、印刷パターンの厚さは最大12μmであり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、第2の組成物の反応性成分は水溶性であってもよく、反応性アニオン基を含んでもよい。アニオン性反応性成分の例としては、限定しないが、7.0より高いpHで(塩基性の)少なくとも1つのアニオン性ポリマーを挙げることができる。アニオン性ポリマーは、それらの溶解した塩の形態のアクリル樹脂およびスチレン-アクリル樹脂から選択することができる。アニオン性ポリマーは、それらの溶解した塩の形態のスルホン樹脂、例えばナトリウム、アンモニウムまたはアミン中和形態、ならびにポリマーエマルジョンまたは分散液の形態のスルホン樹脂から選択することができる。ポリマー成分は、可溶性成分として、またはエマルジョン形態のいずれかで、製剤に導入され得る。あるいは、いくつかの実施形態では、この方法が、プライマー層を形成するためにエッチレジスト組成物を適用することを含むことができ、第2の層は、ノンインパクト印刷法を用いて像様パターンで固定化組成物を印刷することによって形成することができる。
【0025】
ボックス130に示すように、いくつかの実施形態では、この方法は、プライマー層の露出部分または非マスク部分を除去するステップを含み、除去される層は、カチオン成分を含む固定化層であってもよいし、あるいは他の実施形態では、ポリアニオン性の反応性成分を含むエッチレジスト層であってもよい。第1の層が固定化層である場合、いくつかの実施形態では、固定化組成物は、エッチングプロセス中に洗い流され得る。第1の層の露出された部分は、主として反応性成分を含み得、単に基板を水に浸すことによって容易に洗い流され得るが、第1および第2の反応性材料の化学反応により形成されるエッチレジストマスクは不溶性であり、金属表面に付着したままとなる。
【0026】
ボックス140に示すように、本方法の実施形態は、金属表面をエッチングするステップを含み得る。例えば、マスクされた銅板を、銅エッチング(例えば、酸性銅エッチング)溶液によってエッチングして、マスクされていない銅部分を除去することができる。ボックス150に示すように、次にエッチレジストマスクを除去する。例えば、PCB製造において、エッチレジストマスクを除去すると、絶縁基板210の表面に付着した導電性の銅線の所定の配線パターンが現れ得る。
【実施例0027】
エプソン製stylus(登録商標)4900インクジェットプリンタを使用して、厚さ1/2Oz(約17.5μm)、1/3Oz(約11.7μm)および1Oz(約35μm)のFR4銅クラッド・基板上に例示的なエッチレジスト組成物(本明細書に記載の第2の組成物)を印刷した。ある場合には、銅に、最初にエプソン製stylus(登録商標)4900インクジェットプリンタを使用して固定化組成物(本明細書に記載の第1の組成物)を適用し、その上にエッチレジスト組成物を所定のパターンに従って選択的に印刷した。以下の説明において、%(w/w)は、組成物の重量に対する重量%での物質の濃度の測定量である。Amza[pernix 166](商標)によって供給されたボーメ度42の塩化鉄(II)エッチャント溶液を含むエッチャント浴を用いて、エッチレジストによって露出された領域によって保護されていない銅をエッチング除去した。エッチングは、Walter Lemmen GMBHによって供給されたSpray Developer S31(商標)中、35℃の温度で3分間行った。エッチレジストマスクを、25℃の温度で1%(w/w)NaOH水溶液に浸漬し、続いてFR4銅基板を水で洗浄し、25℃で空気乾燥させることにより除去した。いくつかの実験では、銅基板を、非保護銅をエッチングするためUniversalまたはShmidth社製の銅塩化物溶液を有するハイパーおよびスーパーエッチング装置を含む工業用エッチング装置を使用したエッチングも行った。
【0028】
実施例1-コーティングされていないFR4銅基板の上に印刷されたエッチレジスト組成物(比較データ)。エッチングレジスト組成物(第2の組成物)を、10%のプロピレングリコール、並びに1%(w/w)2-アミノ-2-メチルプロパノール、BYKによって供給される0.3%(w/w)のBYK348および2%(w/w)のBayscript(登録商標) BA シアンを用いて調製した。これらの物質を、アニオン性反応性成分として24%Joncryl(商標) 8085スチレンアクリル樹脂溶液を含む水に溶解した。エプソン製stylus(登録商標)4900インクジェットプリンタを使用して、エッチングレジスト組成物を1/2Oz(約17.5μm)の厚さを有するFR4銅クラッド基板上に印刷して、エッチレジストマスクを製造した。ドライエッチングレジストの厚さは5μmであった。
【0029】
エッチレジストマスクを視覚的に検査したが、印刷パターンは非常に悪い印刷品質を示し、ライン定義精度とライン切れが非常に悪くライン間の短絡が非常に悪いものであった。
【0030】
実施例2-エッチレジスト組成物は実施例1に詳述したように調製した。プライマーまたは固定化組成物は、10%(w/w)のBASF製LUPASOL(商標) PR8515(カチオン性反応性成分としてポリエチレンイミン)、10%(w/w)プロピレングリコール、および0.3%(w/w)のEvonik Industries製のTEGO 500(発泡抑制基材湿潤添加剤)を含有する10%のn-プロパノールの水溶液の混合物として調製した。
【0031】
エプソン製stylus(登録商標)4900インクジェットプリンタを使用して、FR4銅基板をコーティングした。コーティングされた基板を室温で乾燥させて、完全に透明な均一なコーティングを形成し、0.3μmの厚さの乾燥した層は、結晶形成なしに表面全体を覆っていた。エプソン製stylus(登録商標)4900インクジェットプリンタを使用して、エッチングレジスト組成物をコーティングされた銅基板に印刷し、80℃で乾燥させて、二成分エッチレジストマスクを生成した。エッチレジストマスクを視覚的に検査し、実施例1のものより良好な印刷品質を示したが、依然としてラインの広がりやライン間の短絡について比較的劣った印刷品質を有していることが判明した。マスクされていない銅のエッチングとエッチレジストマスクの除去は実施例1に詳述したように行った。エッチングプロセス後に生成された配線パターンは、同じラインの広がりおよびライン間の短絡を有するエッチングレジストマスクと同じ像を有していた。特定の用途では、実施例2に示すような印刷品質で十分であることに留意されたい。
【0032】
実施例3-エッチレジスト組成物は実施例1に詳述したように調製した。固定化組成物は、0.3%(w/w)のTEGO 500を13%(w/w)の濃HClを含有する0.3%(w/w)のTEGO 500に置き換えたことを除いて実施例2で詳述したように調製した。
【0033】
実施例2に詳述したようにプソン製stylus(登録商標)4900インクジェットプリンタを使用して、FR4銅板を固定化組成物でコーティングし、乾燥後に実施例2に詳述したコーティング層を形成した。実施例2と同様に、エッチレジスト組成物をコーティングされた銅基板上にインクジェット印刷し、80℃で乾燥させて、二成分エッチレジストマスクを生成した。エッチレジストパターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れがなく、2mmまでの厚さを有し、明確に画定された細いラインを有する高い印刷品質を示していた。マスクされていない銅のエッチングとエッチレジストマスクの除去は実施例1に詳述したように行った。エッチングおよび剥離プロセスによって生成された配線パターンは、鋭いエッジを有し、切れのない15μmまでの幅の細いラインを有する明確に画定されたパターンを示した。
【0034】
実施例4-二成分反応、塩酸(HCl)を含む反応性カチオン組成物でコーティングされた銅表面上に印刷されるエッチレジスト組成物。エッチレジスト組成物は実施例1に詳述したように調製した。固定化組成物を、10%(w/w)のStyleze W-20(ISP製の水溶液中の20%ポリマーとして)、0.1%のBYK 348および13%(w/w)の濃HCl水溶液との混合物として調製した。
【0035】
マイヤーバー法を用いて固定化組成物でF4F銅基板を覆い、厚さ0.4μmの乾燥層を生成した。コーティングされた基板を乾燥させたままにして、銅の表面全体に、結晶形成のない完全に透明なコーティングを生成した。実施例2と同様に、エッチレジスト組成物をコーティングされた銅基板上にインクジェット印刷し、80℃で乾燥させて、二成分エッチレジストマスクを生成した。
【0036】
エッチレジストパターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れがなく、2mmまでの厚さを有する高い印刷品質で明確に画定された細いラインを示した。エッチングレジスト組成物で覆われていない固定化層の残留物を、25℃の温度で2分間水中に沈めて洗い落とし、80℃で乾燥した。露出した銅のエッチングおよびエッチレジストマスクの除去を、実施例1に詳述したように行った。基板上の配線パターンは、鋭いエッジを有し、切れのない2ミル(50.8μm)までの幅の明確に画定された細いラインを示した。
【0037】
実施例5-二成分反応、塩酸(HCl)を含む反応性カチオン組成物でコーティングされた銅表面上に印刷されたエッチレジスト組成物。エッチレジスト組成物は実施例1に詳述したように調製した。固定化組成物を、10%(w/w)のLupasol HF(水溶液中の56%ポリマー、BASF製)、13%(w/w)の濃HClを含有する0.1%のBYK348水溶液の混合物として調製した。
【0038】
マイヤーバー法を用いて固定化組成物でFR4銅基板を覆い、厚さ1μの乾燥層を生成した。コーティングされた基板を乾燥させたままにして、銅の表面全体に完全に、結晶形成のない完全に透明なコーティングを生成した。実施例2と同様に、エッチレジスト組成物をコーティングされた銅基板上にインクジェット印刷し、80℃で乾燥させて、二成分エッチレジストマスクを製造した。
【0039】
エッチレジストパターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れのない、2ミル(50.8μm)までの幅の高い印刷品質で明確に画定された細いラインを示した。エッチングレジスト組成物で覆われていない固定化層の残留物を、25℃の温度で3分間水中に沈めて洗い落とし、80℃で乾燥した。露出した銅のエッチングおよびエッチレジストマスクの除去は、実施例1に詳述したように行った。基板上の配線パターンは、鋭いエッジを有し、切れのない2ミル(50.8μm)までの幅の明確に画定された細いラインを示した。
【0040】
実施例6-二成分反応、塩酸(HCl)を含む反応性カチオン組成物でコーティングされた銅表面上に印刷されるエッチレジスト組成物。エッチレジスト組成物は実施例1に詳述したように調製した。固定化組成物を、10%(w/w)のStyleze W-20(BASF製の水溶液中の49%ポリマーとして)、0.1%のBYK 348および13%(w/w)の濃HCl水溶液との混合物として調製した。
【0041】
マイヤーバー法を用いて固定化組成物でFR4銅基板を覆い、厚さ0.4μmの乾燥層を生成した。コーティングされた基板を乾燥させたままにして、銅の表面全体に、結晶形成のない完全に透明なコーティングを生成した。実施例2と同様に、エッチレジスト組成物をコーティングされた銅基板上にインクジェット印刷し、80℃で乾燥させて、二成分エッチレジストマスクを生成した。
【0042】
エッチレジストパターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れのない、2mmまでの高い印刷品質の明確に画定された細いラインを示した。固定化層の残留物を実施例5に詳述したように処置した。露出した銅のエッチングおよびエッチレジストマスクの除去は、実施例1に詳述したように行った。基板上の配線パターンは、鋭いエッジを有し、切れのない2ミル(50.8μm)までの幅の明確に画定された細いラインを示した。
【0043】
実施例7-二成分反応、クエン酸を含有する反応性組成物でコーティングされた銅表面上に印刷されたエッチレジスト組成物。エッチレジスト組成物は実施例1に詳述したように調製した。固定化組成物を、10%(w/w)のクエン酸、25%(w/w)プロピレングリコール、および0.3%(w/w)のEvonik Industries製のTEGO 500(発泡抑制基材湿潤添加剤)を含有する水溶液の混合物として調製した。
【0044】
エプソン製stylus(登録商標)4900インクジェットプリンタを使用して、FR4銅基板を固定化組成物でコーティングした。コーティングされた基板を室温で乾燥させて、完全に透明な均一なコーティングを形成し、0.3μmの厚さの乾燥した層は、結晶形成なしに表面全体を覆っていた。実施例2と同様に、エッチングレジスト組成物をコーティングされた銅基板にインクジェット印刷し、80℃で乾燥させて、二成分エッチレジストマスクを生成した。
【0045】
エッチレジストパターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れのない、2ミル(50.8μm)までの幅の高い印刷品質の明確に画定された細いラインを示した。露出した銅のエッチングおよびエッチレジストマスクの除去を、実施例1に詳述したように行った。基板上の配線パターンは、鋭いエッジを有し、切れのない2ミル(50.8μm)までの幅の明確に画定された細いラインを示した。
【0046】
実施例8-二成分反応、エッチレジスト組成物を含有するコーティング組成物を実施例1に詳述したように調製した。固定化組成物を、2.5%(w/w)のZn(NO3)2、3.75%(w/w)のクエン酸、0.2%(w/w)のキャップストーン51、5%(w/w)のn-プロパノール、およびLupasol(商標) FG(BASF製)の水溶液の混合物として調製した。
【0047】
マイヤーバー法を用いて固定化組成物でFR4銅基板を覆い、厚さ0.5μmの乾燥層を生成した。コーティングされた基板を乾燥させたままにして、銅の表面全体に、結晶形成のない完全に透明なコーティングを生成した。実施例2と同様に、エッチレジスト組成物をコーティングされた銅基板上にインクジェット印刷し、80℃で乾燥させて、二成分エッチレジストマスクを生成した。
【0048】
実施例2と同様に、エッチレジスト組成物をコーティングされた銅基板上にインクジェット印刷し、80℃で乾燥させて、二成分エッチレジストマスクを生成した。
【0049】
エッチレジストパターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れのない2ミル(50.8μm)までの幅の高い印刷品質で明確に画定された細いラインを示していた。マスクされていない銅のエッチングとエッチレジストマスクの除去は実施例1に詳述したように行った。エッチングおよび剥離プロセスによって生成された配線パターンは、鋭いエッジを有し、切れのない2ミル(50.8μm)までの幅の明確に画定された細いラインを示した。
【0050】
実施例9-エッチレジスト組成物を、8%(w/w)PVA、24%のJoncryl(商標) 8085スチレンアクリル樹脂溶液(水溶液中の42%ポリマーとして供給)、および1.5%の2-アミノ-2-メチルプロパノールの水溶液として調製した。
【0051】
固定化組成物を、2%の(w/w)のBasacid(商標) Red 495、10%(w/w)のプロピレングリコール、10%のn-プロパノール、0.3%(w/w)のTEGO500、12%(w/w)の濃HClを含有する10%(w/w)のLupasol G20(BASFに製)から調製した。マイヤーバー法を用いて固定化組成物でFR4銅基板を覆い、厚さ2.4μの乾燥層を生成した。コーティングされた基板を乾燥させたままにして、銅の表面全体に完全に、結晶形成のない完全に透明なコーティングを生成した。固定化組成物を、コーティングされた銅基板上にインクジェット印刷し、80℃で乾燥させて、二成分エッチレジストマスクを製造した。
【0052】
実施例2と同様に、エッチレジスト組成物をコーティングされた銅基板上にインクジェット印刷し、80℃で乾燥させて、二成分エッチレジストマスクを製造した。
【0053】
エッチレジストパターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れのない、2ミル(50.8μm)までの幅の高い印刷品質で明確に画定された細いラインを示した。エッチングレジスト組成物で覆われていない固定化層の残留物を、25℃の温度で30秒間1%(w/w)のNaHCO3の水溶液中に沈めて洗い落とし、80℃で乾燥した。露出した銅のエッチングおよびエッチレジストマスクの除去は、実施例1に詳述したように行った。基板上の配線パターンは、鋭いエッジを有し、切れのない2ミル(50.8μm)までの幅の明確に画定された細いラインを示した。
【0054】
(反応性成分を固定化する)カチオン性組成物
カチオン性反応性成分(固定化反応性成分)の例としては、限定しないが、ポリアミド、例えばポリエチレンイミン、二価金属塩、有機酸または無機酸の両方、ビニルピロリドン、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのヘテロポリマー、並びにメタクリロイルアミノプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリ第四級アミン、および天然の形態かまたはアンモニウム塩として存在するポリアミン等が挙げられる。
【0055】
乾燥した固定化層の厚さは、約0.01μm程度の薄さであり得る。乾燥層の典型的な望ましい厚さは、0.025~5μmの間で変えることができる。
【0056】
カチオン性組成物(第1の組成物)は、適用方法および乾燥層の所望の幅に適合するように適合された追加の成分を含み得る。組成物は、噴霧またはインクジェット印刷に適した粘度、例えば、周囲温度で60cP未満、または3~20cP(センチポアズ)の粘度を有することができる。異なるコーティング方法が適用される場合、組成物はより高い粘度を有し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、銅層320に対する第1の層の反応性、ならびにエッチングレジストまたは固定化層に対するその反応性を高めるために、第1の溶液に酸性溶液を添加することができる。いくつかの実施形態では、第1の層が、銅エッチプロセスの前に、例えば水によって更に現像され得る。いくつかの実施形態では、適用された第1の層は、第2の層の適用前に乾燥され得る。乾燥層は、主として第1の反応性材料を含有し得る。第1の層は、任意の既知の乾燥方法を用いて乾燥され得る。
【0058】
第1の反応性成分(例えば、固定化成分)および第1の組成物(例えば、固定化組成物、カチオン性組成物)のいくつかの非限定的な例を表1に列挙する。
【0059】
【表1】
【0060】
いくつかの実施形態では、第2の反応性成分(例えば、ポリマー成分)はエッチレジスト成分(金属エッチング溶液に対して耐性)であり得る。第2の反応性成分としては、ポリアニオン活性基(例えばアクリレート、スチレンアクリレート)、ホスフェート、およびスルホネートが挙げられる。第1の層(例えば、固定化層)の上に適用されたエッチレジストインクの液滴は、第1の反応性材料(ポリカチオンを含む)と第2の反応性材料(ポリアニオンを含む)との間の化学反応のために銅表面に不動化され、固定化され得る。固定化は非常に速い(マイクロ秒の範囲)ため、印刷されたパターンの寸法は要求されるパターンの寸法と概ね同程度になる。第1の反応性材料の反応によって形成された化合物および第2の反応性材料(両方とも水に可溶性である)は、銅エッチ溶液に不溶性であるべきである。
【0061】
第2の組成物は、噴射温度において60cP未満、例えば3~20cPのインクジェット印刷に適した粘度を有し得る。異なるコーティング方法が適用される場合、組成物はより高い粘度を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の組成物は、必要とされる粘度を維持するために20%(w/w)以下の反応性成分を含み得る。いくつかの実施形態において、ポリアニオン反応性成分(エラストレジストポリマー)は、組成物に溶解される場合には、分子量が最大5000モル重量しか有さないものであり得る(例えば、ポリマーが比較的短い鎖を有し得る)。いくつかの実施形態では、エッチレジストポリマーは、高分子エマルジョンまたは分散液の形態の組成物が得られるより高いモル重量を有することができる。第2の反応性成分は、例えばポリマー1g当たり100以上の反応性アニオン基を有するような、高い酸価を有するものであり得る。例えば、本発明の実施形態によるエッチレジストポリマーは、各鎖に200、240、300またはそれ以上の個数の反応性アニオン基を有し得る。
【0062】
2の反応性成分(エッチレジスト成分)および第2の組成物(エッチレジスト組成物、アニオン性組成物)のいくつかの非限定的な例を表2に列挙する。
【0063】
【表2】
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明のいくつかの実施形態によるエッチレジストマスクを形成するためのキットに、表1に列挙される固定化組成物および表2に列挙されるエッチレジスト組成物を含めることができる。
【0065】
本発明の特定の特徴を本明細書および図面において説明されてきたが、当業者であれば多くの改変態様、要素の置換および変更、および均等物を容易に想到されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の精神の範囲に含まれる、あらゆるそのような修正および変更を含むことが意図されていることを理解されたい。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
方法であって、
第1の反応性成分を含む第1の液体組成物を金属表面上に適用してプライマー層を形成するステップと、
ノンインパクト印刷プロセスによる像様の印刷により前記プライマー層上に第2の反応性成分を含む第2の液体組成物を適用して所定のパターンに従ってエッチレジストマスクを生成するステップとを含み、
前記第2の液体組成物の液滴が前記プライマー層に接触すると、前記第2の反応性成分は液滴を固定化するように前記第1の反応性成分と化学反応を起こすことを特徴とする方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、
前記第1の反応性成分は固定化反応性成分であり、前記第2の反応性成分はエッチレジスト反応性成分であることを特徴とする方法。
(項目3)
項目1に記載の方法であって、
前記第1の反応性成分はエッチレジスト反応性成分であり、前記第2の反応性成分は固定化反応性成分であることを特徴とする方法。
(項目4)
項目2または3に記載の方法であって、
前記固定化反応性成分および前記エッチレジスト反応性成分は水溶性であり、化学反応は水および酸性エッチ溶液に不溶性の二成分材料を生成することを特徴とする方法。
(項目5)
項目1に記載の方法であって、
前記化学反応に関与しなかった前記プライマー層の部分を除去するステップと、
前記エッチレジストマスクで覆われていない露出した金属部分を除去するために、金属エッチング溶液を用いてエッチングプロセスを実行するステップとを更に含むことを特徴とする方法。
(項目6)
項目5に記載の方法であって、
前記プライマー層の部分を除去するステップと、前記エッチングプロセスを実行するステップとが同時に実施されることを特徴とする方法。
(項目7)
項目1に記載の方法であって、
前記第1の液体組成物の適用が、ノンインパクト印刷によって像様に行われることを特徴とする方法。
(項目8)
項目1に記載の方法であって、
前記第1の反応性成分および前記第2の反応性成分のいずれか一方が固定化成分であり、
前記固定化成分は、ポリエチレンイミン、二価の金属塩、酸、ビニルピロリドンのヘテ
ロポリマー、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリロイルアミノプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリ四級アミン、天然形態かまたはアンモニウム塩として存在するポリアミン、またはそれらの任意の混合物の少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
(項目9)
項目1に記載の方法であって、
前記第1の反応性成分および前記第2の反応性成分のいずれか一方は、アクリレート、スチレンアクリレート、ホスフェート、スルホネートおよびそれらの任意の混合物の少なくとも1つを含むエッチレジスト成分であることを特徴とする方法。
(項目10)
金属層上にエッチングレジストマスクを適用するための二液型インク組成物セットであって、
固定化反応性成分を含む第1の液体組成物と、
エッチレジスト反応性成分を含む第2の液体組成物とを含み、
前記固定化反応性成分および前記エッチレジスト反応性成分は化学反応を起こして水および酸性エッチ溶液に不溶性の二成分材料を形成することができることを特徴とする二液型インク組成物セット。
(項目11)
項目10に記載の二液型インク組成物セットであって、
前記固定化成分は、ポリエチレンイミン、二価の金属塩、酸、ビニルピロリドンのヘテロポリマー、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリロイルアミノプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリ四級アミン、天然形態かまたはアンモニウム塩として存在するポリアミン、またはそれらの任意の混合物の少なくとも1つを含むことを特徴とする二液型インク組成物セット。
(項目12)
項目10に記載の二液型インク組成物セットであって、
前記エッチレジスト成分は、アクリレート、スチレンアクリレート、ホスフェート、スルホネートおよびそれらの任意の混合物の少なくとも1つを含むことを特徴とする二液型インク組成物セット。
図1
図2
【外国語明細書】