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特開2022-79459エンボス加工押印パターンを有する接合表面を有する不織物を含む密封された接触領域を含むパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079459
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】エンボス加工押印パターンを有する接合表面を有する不織物を含む密封された接触領域を含むパッケージ
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/724 20120101AFI20220519BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20220519BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20220519BHJP
   D04H 1/544 20120101ALI20220519BHJP
【FI】
D04H1/724
B65D81/20 F
B65D65/02 E
D04H1/544
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022027583
(22)【出願日】2022-02-25
(62)【分割の表示】P 2019519694の分割
【原出願日】2017-09-13
(31)【優先権主張番号】62/406,547
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン リチャード アラン
(57)【要約】
【課題】滅菌され得る閉囲内部環境を提供するための改善されたパッケージと、その中での使用に適したガス透過性繊維状不織シート構造を提供する。
【解決手段】本発明は、滅菌され得る閉囲内部環境を提供するためのパッケージと、そのような構造で有用なガス透過性繊維状不織シート構造であって、前密封されたエンボス加工押印パターンを有する少なくとも1つの表面ならびに10%未満の粒子バリヤ透過、40秒以下のGurley Hill多孔度および3500g/m2/日以上の水蒸気輸送率を有するガス透過性繊維状不織シート構造とに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス透過性繊維状不織シート構造、ポリマータイ層およびパッケージ基材を含む、滅菌され得る閉囲内部環境を提供するためのパッケージであって、
前記不織シート構造は、第1の表面および第2の表面を有し、
前記閉囲内部環境は、前記不織シート構造の前記第1の表面と前記パッケージ構造との間の接触領域を密封することによって形成されており、前記密封された接触領域は、前記ポリマータイ層によって形成されており、
前記不織シート構造の前記第1の表面は、少なくとも前記密封された接触領域内において押印パターンで前接合されている、パッケージ。
【請求項2】
前記ポリマータイ層は、前記パッケージ基材と一体である、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記ポリマータイ層およびパッケージ基材は、フィルムで組み合わされている、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記繊維状不織シート構造は、プレキシフィラメント状である、請求項1~3のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記繊維状不織シート構造は、ポリエチレンプレキシフィラメントを含む、請求項4に記載のパッケージ。
【請求項6】
ガス透過性であり、かつ第1の表面および第2の表面を有する、滅菌包装における使用に適した繊維状不織シート構造であって、
前記第1の表面は、エンボス加工押印パターンで接合されており、および前記第2の表面は、印刷を許容することができ、
前記シート構造は、10%未満の粒子バリヤ透過、40秒以下のGurley Hill多孔度および3500g/m2/日以上の水蒸気輸送率を有する、繊維状不織シート構造。
【請求項7】
10秒以下のGurley Hill多孔度を有する、請求項6に記載の繊維状不織シート構造。
【請求項8】
7500g/m2/日以上の水蒸気輸送率を有する、請求項6または7に記載の繊維状不織シート構造。
【請求項9】
9000g/m2/日以上の水蒸気輸送率を有する、請求項8に記載の繊維状不織シート構造。
【請求項10】
プレキシフィラメント状である、請求項6~9のいずれか一項に記載の繊維状不織シート構造。
【請求項11】
ポリエチレンプレキシフィラメントを含む、請求項10に記載の繊維状不織シート構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌され得る閉囲内部環境を提供するための改善されたパッケージと、その中での使用に適したガス透過性繊維状不織シート構造とに関する。
【背景技術】
【0002】
Limらに付与された米国特許第6,034,008号明細書の記載は、濾過および滅菌包装における使用に適したシート材料であって、そのような用途に従来使用されてきたTYVEK(登録商標)スパンボンドオレフィン不織シート材料のものと少なくとも均等な強度、重量およびバリヤ特性を有するが、またかなり改善された空気および液体透過性も有するシート材料を開示している。
【0003】
特に、Limらは、滅菌包装を含めて、いくつかの用途に一般的に使用される滑らかな紙の感触を有する、表面全体が接合された「ハード構造」生成物と、アパレル用途のためのよりファブリック様の感触を有する、点接合されかつ軟化された「ソフト構造」生成物とを開示している。
【0004】
Limらが開示するとおり、「ハード構造」フラッシュスパンシート生成物の全表面接合は、シートの高表面積プレキシフィラメント状繊維を縮小させ、順次、繊維間の細孔を広げさせると考えられる。したがって、「ハード構造」シート生成物は、一般に「ソフト構造」シート生成物と比較してより高い水蒸気透過率およびより高い静水頭値を有する。このより透過性の材料は、増加した透過性が、材料がより効率的な方法でその機能を行うことを可能にする滅菌包装材料において大きい有用性を有することが見出された。
【0005】
繊維状不織シートは、製造者が最初に品目をパッケージし、次いでガス、例えばスチーム、エチレンオキシドまたはそれらの一部の組み合わせを使用してパッケージ中の品目を滅菌することを可能にするため、滅菌され得るパッケージで有用である。滅菌性ガスは、繊維状不織シートを通してパッケージを貫通して、パッケージの閉囲内部を滅菌することができる。適当な繊維状不織シートはまた、汚染物に対してバリヤを提供し、滅菌パッケージされた品目が、パッケージが開けられる前に汚染されることを防止する。
【0006】
滅菌パッケージが滅菌環境で開けられることは珍しいことではなく、繊維状不織シートの1つの望ましい特徴は、シートが除去されるとき、不織シート表面の過剰な引裂きなしにパッケージから剥離可能であることである。繊維引裂きである剥離中の不織シートの表面の破裂は、パッケージがそこで開けられる滅菌環境を場合により汚染し得ると一部の人々によって考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ほとんどの滅菌パッケージは、手術室のような健康関連状況で使用されるため、いかなる可能な汚染も防止または減少されることを促進するいかなる改善も望ましい。包装では、特に繊維状不織構造の剥離性能のいかなる改善も非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ガス透過性繊維状不織シート構造、ポリマータイ層およびパッケージ基材を含む、滅菌され得る閉囲内部環境を提供するためのパッケージであって、不織シート構造は、第1の表面および第2の表面を有し、閉囲内部環境は、不織シート構造の第1の表面とパッケージ構造との間の接触領域を密封することによって形成されており、密封された接触領域は、ポリマータイ層によって形成されており、不織シート構造の第1の表面は、少なくとも密封された接触領域内においてエンボス加工押印パターンで前接合されている、パッケージに関する。
【0009】
本発明は、滅菌包装における使用に適した繊維状不織シート構造であって、シート構造は、ガス透過性であり、かつ第1の表面および第2の表面を有し、第1の表面は、エンボス加工押印パターンで接合されており、および第2の表面は、印刷を許容することができ、シート構造は、10%未満の粒子バリヤ透過、40秒以下のGurley Hill多孔度および3500g/m2/日以上の水蒸気輸送率を有する、繊維状不織シート構造にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】いくつかのエンボス加工押印パターンの例示である。
図2】いくつかのエンボス加工押印パターンの例示である。
図3】密封領域を示すいくつかの包装基材の例示である。
図4】密封領域を示すいくつかの包装基材の例示である。
図5】パッケージの密封強度の決定のための4つの試料の位置の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、滅菌され得る閉囲内部環境を提供するためのパッケージと、そのような構造で有用なガス透過性繊維状不織シート構造であって、エンボス加工押印パターンで前接合されている少なくとも1つの表面を有し、かつ10%未満の粒子バリヤ透過、40秒以下のGurley Hill多孔度および3500g/m2/日以上の水蒸気輸送率を有する、ガス透過性繊維状不織シート構造とに関する。
【0012】
意外なことに、エンボス加工押印パターンを有する接合表面を有する不織シート構造は、滅菌され得る内部環境を有する密封パッケージで使用され得ることが見出された。(1)エンボス加工不織表面がパッケージ構造に対して良好な密封を提供し得ること、およびまた(2)得られたパッケージが、滑らかな表面接合シートよりも多くの場合により良好である、パッケージが開けられるときの剥離性能の優れたレベルを有することは意外である。
【0013】
滅菌環境で用いられ、開けられるいずれのパッケージも、「清浄剥離」を有するか、またはパッケージを開けることができ、内容物を汚染のリスクなしに滅菌環境に提示することができる要件を意味するために医療産業で使用される用語である「無菌剥離/提示」を提供することが望ましい。本明細書で使用される場合、この優れた開き性能は、「繊維引裂き」基準の使用によって決定される。意外なことに、ポリマータイ層と接触して、エンボス加工押印パターンで前接合されている少なくとも1つの表面を有する不織シート構造の使用は、清浄剥離を有し、かつ非常に低い繊維引裂きを有するか、または実際に繊維引裂きがないパッケージを提供することができる。
【0014】
さらにより顕著であるのは、この剥離性能の優れたレベルが繊維状不織シート構造上のいずれの追加的なコーティング層もなしに達成されることである。不織コーティングの使用は、改善された剥離を提供し得るが、そのようなコーティングの単なる使用は、無菌提示にリスクを与える他の緩んだ粒子を発生させ得る。
【0015】
滅菌され得る閉囲内部環境を提供するためのパッケージは、ガス透過性繊維状不織シート構造、ポリマータイ層およびパッケージ基材を含む。
【0016】
パッケージング基材は、可撓性または半硬質パッケージ、例えば小袋、バッグ、シースまたはブリスターパックの形態のパッケージングを形成する任意の材料であり得る。パッケージング基材を含むパッケージは、一般にパッケージされた品目を保護するのに役立ち、滅菌パッケージングの場合、パッケージされた品目を使用可能になるまで非汚染状態に維持することを促進する。1つの実務的用途では、パッケージされる品目は、パッケージング基材中に入れられ、次いでポリマータイ層およびガス透過性繊維状不織シート構造を使用して密封されて、閉囲環境を形成する。次いで、必要に応じて、閉囲品目を有するパッケージは、適当な滅菌性ガスを使用して滅菌され得る。一部の実施形態において、パッケージング基材は、ポリアミド(特にナイロン)、ポリプロピレン、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート)およびそれらの任意の組み合わせを含む。
【0017】
パッケージは、不織シート構造とパッケージ構造との間の接触領域を密封するためにポリマータイ層を含む。ポリマータイ層は、好ましくは、パッケージング基材および不織シート構造の両方と適合性である任意の可撓性または半硬質フィルムであり、不織布シート構造をパッケージング基材に対して適当に密封する。適合性であるとは、ポリマータイ層が、不織シートまたはパッケージング基材のいずれとも不利に反応せず、かつ適当な保存可能期間を有し、パッケージを密封したままその意図された使用まで維持することを意味する。一部の好ましい実施形態において、ポリマータイ層は、パッケージング基材と一体である。図3および図4に示されるとおり、密封領域15および17は、パッケージ基材および繊維状不織シート構造が接触する、密封された接触領域をポリマータイ層が形成する領域の一実施形態を例示する。
【0018】
ポリマータイ層は、好ましくは、フィルムの形態である。ポリマータイ層の組成は、例えば、低密度ポリエチレンを含むポリエチレン、エチレン酢酸ビニルおよびそれらの任意の組み合わせなどを含む組成を含み得る。
【0019】
一部の好ましい実施形態において、ポリマータイ層およびパッケージ基材は、一体である。一部の実施形態において、それらは、同じフィルムで組み合わされる。この場合、本明細書で使用されるとき、パッケージング基材は、「構造材料」と定義され、その構造材料は、フィルムにおけるポリマータイ層として有用なポリマーと一体に組み合わされる。例えば、一部の有用な構造材料には、ポリアミド(特にナイロン)、ポリプロピレン、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート)およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。パッケージ基材およびポリマータイ層が一体である場合に使用され得る特に望ましい構造材料/ポリマータイ層組み合わせには、ポリアミド/ポリエチレン、ポリエステル/ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/エチレン酢酸ビニル、ポリアミド-ポリプロピレン/ポリエチレンなどが含まれる。
【0020】
繊維状不織シート構造は、ガス透過性であり、エチレンオキシドおよび/またはスチームなどの滅菌性ガスが過剰の圧力の使用なしでシートを通過し得ることを意味する。特に、繊維状不織シート構造は、40秒以下のGurley多孔度(Gurley-Hill多孔度としても知られる)を有する。この多孔度は、特定の圧力勾配が存在する材料の領域をある体積のガスが通過するのにどの程度時間がかかるかの尺度であり、したがって、より低い数は、材料がよりガス透過性であることを意味し、より高い数は、材料がより透過性でないことを意味する。一部の実施形態において、繊維状不織シート構造は、10秒以下のGurley多孔度を有する。一部の実施形態において、繊維状不織シート構造は、5秒以下のGurley多孔度を有し、一部の最も好ましい実施形態において、繊維状不織シート構造は、3秒以下のGurley多孔度を有する。
【0021】
別の透過率の指標は、水蒸気輸送の測定値であり、より高い値は、より透過性である。これは、特に滅菌プロセスの一部としてスチームが使用される場合に重要である。繊維状不織シート構造は、少なくとも3500g/m2/日以上の水蒸気輸送率を有する。一部の好ましい実施形態において、繊維状不織シート構造は、少なくとも7500g/m2/日以上の水蒸気輸送率を有する。一部の実施形態において、繊維状不織シート構造は、少なくとも9000g/m2/日以上の水蒸気輸送率を有する。好ましくは、繊維状不織シート構造は、コーティングされておらず、より透過性のシート構造を可能にする。改善された接着のためのコーティングの使用は、不織シート構造の表面を閉鎖し、滅菌性ガスがその構造を通過し得る率を減少させる傾向がある。
【0022】
繊維状不織シート構造は、第1の表面および第2の表面を有し、第1の表面は、エンボス加工押印パターンで接合される。本明細書で使用される場合、語句「エンボス加工押印パターンで接合されている」は、表面が少なくとも2つの特性を有し、第1のものは、表面上の繊維状材料が「接合されており」、繊維状材料がロールなどの加熱源からシートに与えられた熱および圧力によって実質的に強固にされ、および安定化されていること、および追加的に、表面は、表面に視覚的テクスチャを残すエンボス加工押印パターンを有することを意味する。本明細書で使用される場合、語「前接合されている」の使用は、繊維状不織シート構造がいずれかのパッケージに組み込まれる前にエンボス加工されていることを意味する。
【0023】
一実施形態において、シートにおけるエンボス加工押印パターンは、隆起領域のパターンまたはロールの表面から外側に半径方向に延在するボスを設けられている加熱金属ロールとエラストマー性バックアップロールとの間のニップで不織シートをカレンダ加工することによって提供される。一部の好ましい実施形態において、隆起領域またはボスは、ロールの残りの表面から0.008~0.020インチ(0.20~0.50mm)延在する。一部の他の実施形態において、隆起領域またはボスは、0.005~0.025インチ(0.12~0.64mm)の幅を有し得る。一部の好ましい実施形態において、隆起領域またはボスの幅は、0.005~0.015インチ(0.12~0.38mm)であり得る。
【0024】
繊維状不織シートが、隆起領域またはボスを有する加熱金属ロールとエラストマー性バックアップロールとの間のニップで加圧される場合、不織シートは、ボスの寸法と本質的に均等な深さを有するエンボス加工押印パターンが残される。図1および図2は、2つの潜在的に有用でありかつ望ましいエンボス加工押印パターンの例示を提供し、図1は、リネンパターンと称され、図2は、ドッグボーンパターンと称される。
【0025】
不織シートをエンボス加工する1つの好ましい方法は、Janisに付与された米国特許第5,972,147号明細書の図2に記載されたものと同様の改造機械でシートを熱的に接合することである。その改造機械の予熱セクションでは、接合されている不織シートの両側のそれぞれは、複数の予熱ロールと接触して置かれる。本明細書に記載されるエンボス加工不織シートのための一部の好ましい実施形態において、Janis機械は、シートの十分な表面接合を本質的に提供するのに十分な温度で動作する4つの加熱ロールがこのセクションにあるように改造される。温度は、接合される材料の融点に依存する。予熱ロール後、シートは、エンボス加工機パターンを好ましくはシートの1つの表面のみに適用するために示される複数のエンボス加工機ステーションの好ましくは1つのみを通過する。それぞれのエンボス加工機ステーション上には、バックアップロール上に加圧されてニップを形成し得るエンボス加工機ロールがある。エンボス加工機とバックアップロールとの間の圧力は、線インチ当たりポンド(pli)で表現される。バックアップロールは、典型的にはエラストマー性覆いで被覆され、再循環冷却媒体で内部的に冷却される。不織シートは、その後、シート材料の温度が低下される複数の冷却ロールに移され、次いでロールに巻き上げられる。高温で動作する複数の予熱ロールの使用は、エンボス加工される不織シートの第1の表面を接合することを促進するだけでなく、やはり接合される反対側の第2の表面も提供する。この第2の表面は、好ましくは、印刷を許容することができる。さらに、第2の表面が最良の印刷性能のためにいかなるエンボス加工もない滑らかな表面を有することが好ましい。多くのパッケージは、非常に特有のバーコードおよび他の微妙で小さい証印を必要とし、これは、エンボス加工により提供されるテクスチャのない非常に一様で平坦な表面を必要とする。
【0026】
代わりに、シートは、第1の表面を接合され、ロール上に巻き上げられ、次いで、その後、巻き返され、一面上にエンボス加工されて、エンボス加工押印パターンで接合されている第1の表面を提供することができる。他のエンボス加工プロセスも、それらがエンボス加工押印パターンで接合されている第1の表面を少なくとも有する繊維状不織シートを提供する限り可能である。好ましくは、そのプロセスは、印刷を許容することができる第2の表面を提供する。好ましくは、第2の表面は、一様であり、かついかなるエンボス加工パターンもない。
【0027】
一部の実施形態において、繊維状不織シート構造は、汚染物に対して良好なバリヤを有し、かつパッケージされた内容物に対する損傷または汚染なしに一般的な取扱いに耐える適切な耐性を有する。したがって、エンボス加工押印パターンを有する繊維状不織シート構造は、好ましくは、TSI 8130装置で決定して10%未満の粒子バリヤ透過を有する。この粒子バリヤ試験は、シートが汚染物に対して提供するバリヤの度合いを決定するのに有用であると考えられ、汚染物は、現実に細菌であり得るものを含み得る。さらに、エンボス加工押印パターンを有する繊維状不織シート構造は、好ましくは、500kPaを超えるミューレン破裂強度および2N/mを超える測定されたエルメンドルフ引裂き性能を有する。
【0028】
繊維状不織シート構造には、パッケージ上のポリマータイ層と接触して使用するためのエンボス加工押印パターンを有する安定化表面を提供し得る不織ファブリックが含まれる。このような不織シート構造には、フラッシュスパン不織シート構造、スパンボンド不織シート、メルトブローンシート、エレクトロブローンシートおよびそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。繊維状とは、不織シート中の材料がいくらかの繊維状性質を有することを意味する。この繊維状性質は、ステープル繊維、連続もしくは半連続繊維および/またはプレキシフィラメント繊維状構造などによって与えられ得る。繊維状材料は、単一材料、または異なる繊維の組み合わせとして、またはそれぞれ異なる材料から構成される同様の繊維の組み合わせとしてのいずれかで複数の材料を含み得る。用語「不織」は、平面のシート構造が、織り合わされたヤーンまたはインターロックされたヤーンのループで作られている織り合わされたまたは編まれたファブリックに対してランダムに分布された繊維状材料の少なくとも1つのウェブを含むことを意味する。一部の好ましい実施形態において、不織シート中の繊維状材料は、合成ポリマーであり、一部の実施形態において、合成ポリマーは、熱可塑性ポリマーである。一部の好ましい実施形態において、不織シート構造中の繊維状材料は、添加されたバインダがなく、すなわち、繊維状材料は、追加のバインダ化合物がシートに添加されることなくシート構造中の繊維交差点の溶融によってシート中で結合されている。
【0029】
一部の実施形態において、繊維状不織シート構造は、1平方メートル当たり55グラム未満の坪量を有する。一部のより好ましい実施形態において、繊維状不織布シート構造は、1平方メートル当たり50グラム未満の坪量を有し、一部の最も好ましい実施形態において、繊維状不織シート構造は、1平方メートル当たり45グラム未満の坪量を有する。
【0030】
繊維状不織シート構造中の好ましい繊維状材料は、プレキシフィラメント状である。本明細書で使用される場合の用語プレキシフィラメント状およびプレキシフィラメントは、ランダムな長さであり、約4マイクロメートル未満の平均フィブリル厚さおよび約25マイクロメートル未満のメジアン幅を有する複数の薄くリボン状のフィルム-フィブリルの三次元一体型網目構造を意味する。プレキシフィラメント状構造において、フィルム-フィブリルは、一般的に、構造の縦軸と同延に整列され、構造の長さ、幅および厚さの全体にわたって様々な場所において不規則な間隔で断続的に合体および分離して連続した三次元網目構造を形成する。このような構造は、米国特許第3,081,519号明細書および同第3,227,794号明細書にさらに詳細に記載されている。
【0031】
プレキシフィラメント状繊維状材料を有する繊維状不織シート構造を作製する好ましい方法は、フラッシュ紡糸によるものである。プレキシフィラメント状フィルム-フィブリル要素を含有する得られた繊維状不織シート構造は、フラッシュスパンプレキシフィラメント状シートとしても公知である。
【0032】
したがって、さらなる結合およびエンボス加工に適した好ましい繊維状不織シートは、Andersonに付与された米国特許第3,227,794号明細書およびBrethauerらに付与された米国特許第3,860,369号明細書に記載されたとおりの一般的なフラッシュ紡糸技術を使用して作製され得る。さらなる結合およびエンボス加工に適した特に好ましい繊維状不織シートは、例えば、米国特許第6,010,970号明細書、同第7,338,916号明細書、同第8,048,513号明細書および同第6,034,008号明細書におけるとおりの高密度ポリエチレンおよび炭化水素紡糸剤を含む紡糸溶液を使用して作製され得る。好ましくは、12重量%~20重量%のポリエチレンから構成され、フラッシュ前に180℃超の温度で維持された炭化水素ベース紡糸溶液からシートをフラッシュ紡糸することにより、改善された透過性およびバリヤ強度特性を有する、さらなる結合に適した繊維状不織シートであり、一部の実施形態において、温度は、フラッシュ前に185~195℃である。
【0033】
不織シート中の繊維状材料は、好ましくは、ポリオレフィンである。ポリオレフィンには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブチレンおよびそれらの組み合わせが含まれ得る。好ましくは、ポリオレフィンは、ポリエチレンである。ポリエチレンには、エチレンのホモポリマーだけでなく、繰り返し単位の少なくとも85%がエチレンから生じるコポリマーも含まれる。好ましいポリエチレンは、約130.0~137.0℃の溶融範囲の上限、0.94~0.98g/cm3の範囲の密度および0.1~100、好ましくは0.1~4のメルトインデックス(ASTM D-1238-57T、条件Eで定義して)を有する線状高密度ポリエチレンである。ポリプロピレンには、プロピレンのホモポリマーだけでなく、繰り返し単位の少なくとも85%がプロピレン単位から生じるコポリマーも含まれる。
【0034】
ガス透過性繊維状不織シート構造、ポリマータイ層およびパッケージ基材を含むパッケージは、滅菌され得る閉囲内部環境を提供する。閉囲環境は、エンボス加工押印パターンで前接合されている不織シートの第1の表面とパッケージ構造との間の接触領域をポリマータイ層で密封することによって形成される。
【0035】
一部の実施形態において、パッケージは、パッケージされる材料のために空洞を有するフィルムから作られたポーチのタイプであり得、繊維状不織シートがパッケージを密封する。この実施形態において、ポリマータイ層は、ポーチのフィルムと一体であることが好ましく、タイ層は、本質的に繊維状不織シートと接触するようにポーチの内部で曝露されるフィルムである。
【0036】
代わりに、一部の実施形態において、パッケージは、ブリスターパッケージのタイプであり得、パッケージ基材は、パッケージされる材料のために熱形成ブリスター空洞を有し、繊維状不織シート構造は、パッケージのために蓋をすることを提供する。再度、好ましい実施形態において、ポリマータイ層は、一体であり、熱形成された空洞の内面であり、繊維状不織シートと接触してパッケージのリップに沿って空洞を密封する。
【0037】
空洞16および18を有する2つのパッケージ基材の平面図がそれぞれ図3および図4に示され、パッケージ基材は、それぞれ空洞を囲む密封領域15および17を有する。空洞が密封されるとき、繊維状不織シート構造は、密封領域と空洞との両方を被覆する。ポリマータイ層は、密封領域に配置され、空洞を含むパッケージ基材と繊維状不織シート材料との間に位置付けられる。ポリマータイ層は、パッケージング基材と一体であり得、これが好ましい。一部の実施形態において、パッケージは、ポリマータイ層とともに所望のパッケージ基材を形成し、パッケージされる材料との空洞を充填し、次いでエンボス加工押印パターンであって、ポリマータイ層と接触しているエンボス加工押印パターンで前接合され、かつ次いで密封される不織シート構造を適用することによって製造される。一部の実施形態において、不織シート構造は、ブリスターパックのための蓋をする構成要素であり得る。次いで、パッケージは、熱、圧力または両方の組み合わせのいずれかによって密封される。
【0038】
一部の実施形態において、構成要素は、典型的には加熱プラテンを使用して熱密封される。パッケージされる品目が入っている空洞が完全に密封される一方、必要に応じて、パッケージ上の一部の他の領域は、製品を取り出す前に繊維状不織シート構造を剥離するための出発点を与えるために完全に密封される必要はない。繊維状不織シート構造が密封前に前印刷されない場合、不織シート構造は、熱密封の直前または直後に印刷され得る。
【0039】
好ましいパッケージ実施形態がポーチまたはブリスタタイプのパッケージである一方、小袋、バッグまたはシースの形態のようなパッケージを含む任意の可撓性または半硬質のパッケージが、ガス透過性特徴としてエンボス加工押印パターンで前接合された繊維状不織シート構造を使用し得ると理解される。
【0040】
形成されたパッケージは、不織シート構造の第1の表面とパッケージ基材との間の接触領域を密封することによって形成された、パッケージされる品目のための閉囲内部環境を有し、密封された接触領域は、ポリマータイ層であり、および不織シート構造の第1の表面は、少なくとも密封された接触領域内においてエンボス加工押印パターンで前接合されている。一部の実施形態において、形成されたパッケージは、閉囲内部環境であって、不織シート構造の第1の表面とパッケージ基材との間の接触領域を密封することによって形成された閉囲環境によってパッケージされた品目を含む閉囲内部環境を有し、密封された接触領域は、ポリマータイ層であり、および不織シート構造の第1の表面は、少なくとも密封された接触領域内においてエンボス加工押印パターンで前接合されている。
【0041】
一部の実施形態において、形成されたパッケージは、熱密封された剥離可能なパッケージである。本明細書で定義される場合、語句「剥離可能なパッケージ」は、シート構造が「剥離可能な密封」によってパッケージに密封されていることを意味する。本明細書で定義される場合、語句「剥離可能な密封」は、パッケージに密封されているシート構造が、1インチ当たり少なくとも0.5ボンド力~最大で1インチ当たり4ポンド力以下である平均ピーク荷重密封強度を有することを意味する。これは、1インチ当たり少なくとも0.5ポンド力の密封および1インチ当たり最大で4ポンド力の密封を及ぼすことにより、シート構造が手で密封パッケージから除去され得ることを意味する。一部の好ましい実施形態において、最大平均ピーク荷重密封強度は、1インチ当たり3ポンド力以下である。さらに、繊維状不織シート構造は、それがエンボス加工押印パターンで接合されている少なくとも1つの表面を有するため、表面接合エンボス加工押印パターンをパッケージと「剥離可能な密封」を作ることができるようにさせる。
【0042】
密封一体性の尺度の1つは、ASTM F1929-12に記載されるとおりの染料透過試験によって特徴付けられる。意外なことに、エンボス加工押印パターンで前接合され、密封領域でエンボス加工表面によってポリマータイ層に付着されている不織シート構造で作られたパッケージは、染料透過試験に負の影響をまったく与えないことが見出された。
【0043】
形成されたパッケージは、卓越した密封および剥離特性を有する。意外なことに、ポリマータイ層と接触して、エンボス加工押印パターンで前接合されている少なくとも1つの表面を有する繊維状不織シート構造の使用は、清浄剥離を有し、かつ非常に低い繊維引裂きを有するか、または実際に繊維引裂きがないパッケージを提供し得る。意外なことに、エンボス加工パターンを有する不織シートの表面がフィルムに密封される場合、剥離特性が改善される。
【0044】
改善された剥離特性は、繊維引裂きを示すパッケージの百分率の低下および/または繊維引裂きの重大度の低下の両方によって示される。具体的には、非エンボス加工材料と比較される場合、エンボス加工押印パターンを有する少なくとも1つの表面を有する繊維状不織シート構造は、清浄剥離を提供しないパッケージのかなりの減少を有することが見出された。特に、エンボス加工シート構造の使用は、非エンボス加工構造と比較される場合、目で見える繊維引裂きを有するパッケージの少なくとも25パーセントの低下、好ましくは少なくとも30パーセントの低下、またはさらにより高い低下を提供し得ることが見出された。
【0045】
さらに、密封強度は、平均中間荷重および平均ピーク荷重の両方で測定して、非エンボス加工繊維状不織シート構造の使用を上回って改善されることが見出された。換言すれば、密封の強度および剥離の品質の両方は、いずれもポリマータイ層と接触した繊維状不織シート構造の面上のエンボス加工表面の使用によって改善される。
【0046】
試験方法
坪量。坪量は、ASTM D3776(2009)に従って測定される。
【0047】
Gurley Hill多孔度(または単に「Gurley多孔度」;本明細書で交換可能に使用される語句)は、ガス状材料についてのシート材料の透過性の尺度である。特に、それは、特定の圧力勾配が存在する材料の領域をある体積のガスが通過するのにどの程度時間がかかるかの尺度である。Gurley-Hill多孔度は、Lorentzen&Wettre,Kista,SwedenからのLorentzen&Wettre Model SE 166または516を使用してTAPPI T-460 OM-88に従って測定される。この試験は、100立方センチメートルの空気がおよそ1.21kPa(4.9インチ)の水の圧力下で28.7mm直径試料(1平方インチの面積を有する)を押し通されるのに必要とされる時間を測定する。結果は、多くの場合、Gurley秒と称される秒単位で表される。報告値は、少なくとも12の個別測定値の平均を表す。
【0048】
水蒸気透過率。水蒸気透過率(MVTR)は、EN ISO 12572,Hygrothermal performance of building materials and products,Climate C,2001に従って測定される。測定は、カップ中相対湿度100%および2.5m/sの試料上の空気流による多層方法を使用し、かつ30分の測定間隔を使用して行われる。得られたMVTRは、試料中の水の減量に基づいて測定される。報告値は、少なくとも1つの測定値の平均を表す。測定は、MRS Seitter,Lenning-Bruck,GermanyからのES 420Aバランス付きGintronic Gravitest 6400で行われる。
【0049】
粒子透過。粒子透過は、TSI Incorporated,Shoreview,MN,United StatesからのTSI 8130装置で測定される。TSI 8310は、NIOSH手順番号RCT-APR-STP-57、58、59に従う測定のために使用される装置である。分析のために、TSI 8130装置は、1分当たり2.3リットルの流量での塩化ナトリウム粒子発生によって使用される。1分当たり2.3リットルの流量を達成するために、コントロールバルブは、閉じられ、空気流は、下流の光度計のみ通る空気に由来する。塩化ナトリウム粒子分布は、0.075μmのカウントメジアン直径、0.3μmのマス平均直径および1.8の幾何学的標準偏差を有する。測定は、25秒の立ち上がり時間および4秒の測定時間で行われる。透過は、上流および下流の光度計による光強度の差に基づいて測定される。報告される透過は、少なくとも6つの測定値の平均である。粒子透過は、代わりに、以下の式:
LRV-TSI 8130=-log10(透過[%]/100)
に基づく対数減少値として表現され得る。
【0050】
エルメンドルフ引裂き。エルメンドルフ引裂きは、ISO 1974:1990;Paper - Determination of tearing resistance(エルメンドルフ法)に従って測定される。エルメンドルフは、Lorentzen&Wettre,Kista,Swedenからの09 ED引裂きテスターで測定される。エルメンドルフ引裂きは、縦方向(MD)および横方向(XD)の両方で測定される。
【0051】
ミューレン破裂強度。ミューレン破裂強度は、ISO 2758:2001.Paper - Determination of bursting strengthに従って測定される。ミューレン破裂は、Lorentzen&Wettre,Kista,SwedenからのAutoline 400中に一体化されているLorentzen&Wettre,Kista,SwedenからのLorenzen&Wettre Model 519Lを使用して測定される。
【0052】
密封強度。密封強度は、「フリーテイル」モードのASTM F88/F88M Appendix Cに従って測定される。図5に示されるとおり、試験パッケージ25当たり4つのストリップが1インチの幅を有して規定位置で切断されて、密封20を試験する。ストリップの端は、クリーンカットされ、密封の方向に対して垂直である。密封の最も硬い部分は、上側クランプ上に置かれた。製造された不織シートは、密封の最も硬い部分であり、したがって上側クランプ上に置かれる。密封は、300mm/分のグリップ分離速度で試験された。1試験項目当たりの測定値数の数は、少なくとも24に等しい。密封強度は、1インチ当たりポンド力、lbf/inで平均荷重密封強度の平均およびピーク荷重密封強度の平均としての両方で報告される。
【0053】
染料透過。染料透過は、ASTM F1929-12“Standard Test method for Detecting Seal Leaks in Porous Mecial packaging by Dye Penetration”に従って行われる。ASTM F1929-12は、透明材料と多孔性シート材料との間に形成されたパッケージ端密封における50μm(0.002インチ)のワイヤによって形成された溝と等しいかまたはそれより大きい漏れを検出し、位置付ける手順を規定する。染料透過溶液は、漏れが試験される密封端に局所的に適用される。染料透過液との5秒の指定時間接触後、パッケージは、染料透過について視覚的に検査される。溝が視覚的にまったく見られないとすると、パッケージについての染料透過試験が「合格」とされる。
【0054】
印刷。不織シートは、線バーコードまたは2Dデータマトリックスで印刷される。線バーコードの試験は、ISO 15416に従って行われ、2次元データマトリックスの試験は、ISO 15415に記載されたとおりに行われる。
【0055】
繊維引裂き。繊維引裂きは、開けられるパッケージの視覚的検査によって行われる。パッケージは、以下の方法において手で開けられる。不織シートは、一方の手に保持され、フィルムは、他方の手に保持される。1つのパッケージを開けるための時間は、約1秒である。パッケージは、それが下側端密封に到達するまで開けられない。換言すれば、パッケージは、単に上部密封および側上の2つの密封以外には完全には開けられない。各パッケージが開けられた後、フィルムに対して密封された不織シートの表面が検査される。表面は、不織シートの剥離および引裂きの存在なしに均一かつ連続であるべきである。パッケージは、不織シートの剥離または引裂きがあるとすると繊維引裂きを有する。上記手順は、少なくとも50のパッケージについて行われる。繊維引裂きを示すパッケージの百分率は、開けられたパッケージの全数で除した、繊維引裂きを示すパッケージの数から決定される。代わりに、繊維引裂きは、EN 868-5(2009),Appendix Eに従って行われ得る。しかしながら、この標準は、一部のより小さい長さの視覚的繊維を計数しない。実施例で示されかつ本明細書で定義されるとおり、「繊維引裂きを示すパッケージ」は、開けた後、補助されない目で見ることができた任意の長さの付着繊維を有するものである。
【実施例0056】
実施例1および実施例2
さらなる結合およびエンボス加工のための未仕上げ繊維状不織シートを、紡糸溶液中のポリマー濃度が17重量%であり、紡糸温度が195℃であったこと以外には、Limらに付与された米国特許第6,034,008号明細書の実施例9~15に記載されたとおりの一般的フラッシュ紡糸プロセスを使用して、高密度ポリエチレンおよびn-ペンタン炭化水素紡糸剤を含む紡糸溶液から作製した。ポリエチレンは、約0.75g/10分の2.16kg/190℃でのメルトフローインデックス(ASTM D1238-13により測定して)を有した。2つの異なる坪量の不織シートを作製した。
【0057】
次いで、未仕上げ繊維状不織シートを、Janisに付与された米国特許第5,972,147号明細書に記載のプロセスへの部分変更、特にその特許の図2に示された装置の改造により、エンボス加工押印パターンで接合した。図に示されたプロセスにおいて、シートは、交互に巻き付き、2本の予熱ロールの単一の組により予熱され、その後、ロールの第1の組がシートの一方の側を接合し、ロールの第2の組がシートの他方の側を接合する2本のカレンダロールの2つの組のニップでのシートの接合が続き、その後、2本の冷却ロールの単一の組によるシートの冷却が続く。特に、Janisのプロセスを、予熱ロールの追加の組を使用するように部分変更し、そのようなシートは、ロール間のいずれのニップもなしに4本の予熱ロール(2本に対して)に交互に巻き付いた。さらに、カレンダロールの第2の組のみがシートをニップし、1線インチ当たり約200ポンドのニップ圧力で動作した。カレンダロールの第1の組は、開いたままとし、シートをニップしなかった。これに、2本の冷却ロールの2つの組(2本の単一の組に対して)によるシートの冷却が続いた。
【0058】
特定の装置配置は、第1の予熱ロール(PH1)に巻き付くシートの下部、第2の予熱ロール(PH2)に巻き付くシートの上部、続いて第3の予熱ロール(PH3)に巻き付くシートの下部、次いで第2の予熱ロール(PH4)に巻き付くシートの上部を伴った。カレンダロールの第1の組は、シートをニップしないため、シートの上部表面は、エンボス加工されなかった。カレンダロールの第2の組は、シートの下部表面を接合し、シートの表面において、図1に示されるようなリネン押印パターンをエンボス加工した。
【0059】
シートは、その後、冷却セクションに移し、次いでロールに巻き上げた。予熱ロールおよびエンボス加工機の温度は、表1に示し、得られたシート特性は、表2に要約する。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
比較実施例A
さらなる結合およびエンボス加工のための未仕上げ繊維状不織シートを、紡糸溶液中のポリマー濃度が17重量%であり、紡糸温度が185℃であったこと以外には、Limらに付与された米国特許第6,034,008号明細書の実施例9~15に記載されたとおりの一般的フラッシュ紡糸プロセスを使用して、高密度ポリエチレンおよびn-ペンタン炭化水素紡糸剤を含む紡糸溶液から作製した。ポリエチレンは、約0.7g/10分の2.16kg/190℃でのメルトフローインデックス(ASTM D1238-13により測定して)を有した。
【0063】
次いで、未仕上げ繊維状不織シートを、66.7psiaのスチーム圧力を使用する、Davidに付与された米国特許第3,532,589号明細書に一般的に記載されたとおりのプロセスによって接合した。これは、「ハード構造」不織シートを生成させるための、Limらに付与された米国特許第6,034,008号明細書に記載されたプロセスである。このプロセスにおいて、不織シートは、その後、加熱ドラム、続いて冷却ドラム、次いで別の加熱ドラムおよび冷却ドラムの上を通って材料の両側を熱的に接合する。加熱ドラムは、不織シートの部分的溶融をもたらす温度で保たれて、シートの接合を誘発する。得られたシート特性は、表3に要約する。
【0064】
【表3】
【0065】
実施例3
それらのそれぞれが44グラム/メートル2の坪量を有した実施例1および比較実施例Aからの得られた不織シートを、次いで、Multivac R535装置を使用して医療用パッケージを作製するために使用する。Multivac R535装置は、1つの基材に4つのパッケージを作製し、それぞれのパッケージは、縦方向に200mm、横方向に約95mmの長さおよび図3における寸法5として示されるとおりの約7.5mmの密封幅を有する。不織シートは、2つの異なるタイフィルム材料を使用して接触領域を密封する際にパッケージ基材に付着された。フィルム1は、Suedpack Verpackungen GmbH&Co.KG,Ochsenhausen,GermanyからのMultifol GA Tyvek(登録商標)、100μmのポリアミド/ポリエチレン剥離可能フィルムであった。フィルム2は、Wipak,Nastola,FinlandからのWipak(登録商標)ML E 135 TF PEEL、ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレンフィルムであった。
【0066】
すべての場合において、接合されかつリネンパターンでエンボス加工された実施例1の不織シートからの不織表面は、フィルムに対して密封された。すべてのパッケージは、6.5バールの密封圧力および1.2秒の滞在時間で作製した。密封温度は、それぞれのフィルムについて少なくとも2つのレベル - 異なる密封強度をもたらす - に設定した。次いで、パッケージを、不織シートをタイフィルムから剥離することによって開けた。
【0067】
シール温度および得られた密封強度の値は、表4に示す。増加する密封温度とともに、平均ピーク密封強度および平均中間密封強度は、個別のフィルムについて増加した。また、より高い密封強度では、繊維引裂きを示すパッケージの百分率が増加する。しかしながら、あらゆる場合において、エンボス加工パターンを有する不織シートは、改善された繊維引裂き(剥離)および密封性能の両方を有し、繊維引裂きの低下パーセントは、32%~73%の範囲であった。
【0068】
【表4】
【0069】
実施例4および比較実施例B
同じエンボス加工リネンパターンとともに47g/m2の坪量を有する不織シートを使用して実施例2を繰り返し、しかしながら、未仕上げシートは、表5に示されるエンボス加工条件を使用して接合した。得られた接合不織シートは、3.6秒のGurley多孔度を有した。
【0070】
比較実施例Bについて、同じ坪量のシートおよび表5に示されるとおりの温度条件で、しかしシートの底部をエンボス加工することなくプロセスを繰り返した。(シートは、カレンダロールでニップされなかった。)得られた不織シートは、いずれのエンボス加工もなしに接合され、2秒のGurley多孔度を有した。
【0071】
【表5】
【0072】
接合されかつリネンパターンでエンボス加工された表面を有する得られた不織シートおよびいずれのエンボス加工もなしの接合不織シートを、次いでAutovak M320機械、Hongkong,Chinaを使用して医療用パッケージを作製するために使用した。Autovak機械は、縦方向で約190mmおよび横方向で127mmの長さならびに図4における寸法10により示されるとおりの10mmの密封幅の2つのパッケージを同時に製造した。不織シートは、Xiangfu(zhongshan)Film Packaging Co.,LTD,180,Zhongshan 5th Rd,Guandong,ChinaからのコードUGBLGV340Cの135μm厚さのポリアミド/ポリエチレン剥離可能タイフィルムを使用して接触領域を密封する際にパッケージ基材に付着された。フィルムは、形成ゾーンで予熱される。形成ゾーンの温度は、105℃であり、滞在時間は、1.0秒に等しく設定する。すべてのパッケージについての密封温度は、120℃に等しく設定する。滞在時間は、パッケージの得られる密封強度を変えるように適合させる。密封時間および密封強度は、表6に示す。次いで、パッケージを、不織シートをタイフィルムから剥離することによって開けた。表6に示されるとおり、接合されたのみでエンボス加工されない不織シートを用いたパッケージは、より高い密封強度特性を有したが、全体的に許容されない繊維引裂き性能を示した一方、エンボス加工不織シートを用いるパッケージは、許容される密封強度特性および優れた繊維引裂き(剥離)性能を有した。
【0073】
【表6】
【0074】
実施例5、実施例6および実施例7
これらの実施例は、エンボス加工が不織シート接合後に別個の工程として不織シートに適用され得ることを例示する。不織シートが接合されるが、エンボス加工されない比較実施例Bを、2つの異なる不織シート坪量を使用して繰り返した。接合シートをロールに巻き上げた。次いで、接合不織シートのロールを、その後巻き戻し、シートを加熱カレンダロールの組でニップすることによって1つの表面にエンボス加工し、今回は、リネンパターンよりもむしろ図2に示されるとおりのドッグボーンパターンであるエンボス加工によるシートの1つの表面を提供した。接合およびその後のエンボス加工のための条件は、表7に示す。実施例4におけるとおり、タイフィルムと接触したエンボス加工表面を有する同じタイフィルムでパッケージを作製した。結果を表8に示す。
【0075】
【表7】

(* - 測定されず)
【0076】
【表8】
【0077】
次いで、パッケージを、不織シートをタイフィルムから剥離することによって開けた。表8に示されるとおり、エンボス加工不織シートを用いるパッケージは、優れた剥離性能を有した。
【0078】
実施例8
実施例1~実施例7で使用したエンボス加工押印パターンを有する不織シート構造をバリヤおよび機械的特性について試験した。これらの本発明のシート構造のすべては、2.0Nを超えるエルメンドルフ引裂き、500kPaを超えるミューレン破裂強度を有した。本発明のシート構造のすべては、2.3L/分の流量で動作されるTSI 8130装置を使用して10%未満の粒子バリヤ透過を有した。不織構造のそれぞれの非エンボス加工側は、良好な視覚的結果とともに線バーコードおよび2Dデータマトリックスの形態での印刷を許容する。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
実施例8
実施例1~実施例7で使用したエンボス加工押印パターンを有する不織シート構造をバリヤおよび機械的特性について試験した。これらの本発明のシート構造のすべては、2.0Nを超えるエルメンドルフ引裂き、500kPaを超えるミューレン破裂強度を有した。本発明のシート構造のすべては、2.3L/分の流量で動作されるTSI 8130装置を使用して10%未満の粒子バリヤ透過を有した。不織構造のそれぞれの非エンボス加工側は、良好な視覚的結果とともに線バーコードおよび2Dデータマトリックスの形態での印刷を許容する。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1.ガス透過性繊維状不織シート構造、ポリマータイ層およびパッケージ基材を含む、滅菌され得る閉囲内部環境を提供するためのパッケージであって、
前記不織シート構造は、第1の表面および第2の表面を有し、
前記閉囲内部環境は、前記不織シート構造の前記第1の表面と前記パッケージ構造との間の接触領域を密封することによって形成されており、前記密封された接触領域は、前記ポリマータイ層によって形成されており、
前記不織シート構造の前記第1の表面は、少なくとも前記密封された接触領域内において押印パターンで前接合されている、パッケージ。
2.前記ポリマータイ層は、前記パッケージ基材と一体である、上記1に記載のパッケージ。
3.前記ポリマータイ層およびパッケージ基材は、フィルムで組み合わされている、上記1に記載のパッケージ。
4.前記繊維状不織シート構造は、プレキシフィラメント状である、上記1~3のいずれか一つに記載のパッケージ。
5.前記繊維状不織シート構造は、ポリエチレンプレキシフィラメントを含む、上記4に記載のパッケージ。
6.ガス透過性であり、かつ第1の表面および第2の表面を有する、滅菌包装における使用に適した繊維状不織シート構造であって、
前記第1の表面は、エンボス加工押印パターンで接合されており、および前記第2の表面は、印刷を許容することができ、
前記シート構造は、10%未満の粒子バリヤ透過、40秒以下のGurley Hill多孔度および3500g/m 2 /日以上の水蒸気輸送率を有する、繊維状不織シート構造。
7.10秒以下のGurley Hill多孔度を有する、上記6に記載の繊維状不織シート構造。
8.7500g/m 2 /日以上の水蒸気輸送率を有する、上記6または7に記載の繊維状不織シート構造。
9.9000g/m 2 /日以上の水蒸気輸送率を有する、上記8に記載の繊維状不織シート構造。
10.プレキシフィラメント状である、上記6~9のいずれか一つに記載の繊維状不織シート構造。
11.ポリエチレンプレキシフィラメントを含む、上記10に記載の繊維状不織シート構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状材料を含む、繊維状不織シート構造の巻き上げロールであって、
前記繊維状不織シート構造は その後のエンボス加工に適しており、
前記シート構造は、ガス透過性であり、第1の表面および第2の表面を有し、
前記第1の表面上の前記繊維状材料が熱および圧力によって実質的に強固にされ、および安定化されるように、前記第1の表面は表面接合され、
前記第2の表面は印刷を許容することができ、前記第2の表面はいかなるエンボス加工もない滑らかな表面を有し、
前記シート構造は、本願明細書に記載された方法による測定で、10%未満の粒子バリヤ透過、40秒以下のGurley Hill多孔度および3500g/m2/日以上の水蒸気輸送率を有する、繊維状不織シート構造の巻き上げロール。
【請求項2】
前記繊維状不織シート構造は、10秒以下のGurley Hill多孔度を有する、請求項1に記載の繊維状不織シート構造の巻き上げロール。
【請求項3】
前記繊維状不織シート構造は、7500g/m2/日以上の水蒸気輸送率を有する、請求項1または2に記載の繊維状不織シート構造の巻き上げロール。
【請求項4】
前記シート構造は、プレキシフィラメント状である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維状不織シート構造の巻き上げロール。
【請求項5】
前記繊維状不織シート構造は、フラッシュスパン不織シート構造を備える、請求項1に記載の繊維状不織シート構造の巻き上げロール。
【請求項6】
前記繊維状材料は、熱可塑性ポリマーである、請求項1に記載の繊維状不織シート構造の巻き上げロール。
【請求項7】
前記繊維状材料は、添加されたバインダがない、請求項1に記載の繊維状不織シート構造の巻き上げロール。
【請求項8】
前記繊維状材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブチレン、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の繊維状不織シート構造の巻き上げロール。
【請求項9】
前記繊維状材料は、ポリエチレンである、請求項8に記載の繊維状不織シート構造の巻き上げロール。
【請求項10】
前記繊維状材料は、約130.0~137.0℃の溶融範囲の上限、0.94~0.98g/cm3の範囲の密度および0.1~100、好ましくは0.1~4のメルトインデックスを有する、高密度ポリエチレンである、請求項8に記載の繊維状不織シート構造の巻き上げロール。
【外国語明細書】