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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079471
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】柔軟な成形スキン
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20220519BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20220519BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220519BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20220519BHJP
   B60R 21/215 20110101ALI20220519BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/01
B32B27/00 B
B32B27/18 Z
B60R21/215
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022031589
(22)【出願日】2022-03-02
(62)【分割の表示】P 2018514901の分割
【原出願日】2016-09-14
(31)【優先権主張番号】15185072.4
(32)【優先日】2015-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515107720
【氏名又は名称】MCPPイノベーション合同会社
(71)【出願人】
【識別番号】518088163
【氏名又は名称】エムシーピーピー ベルジャム ベーヴェーベーアー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】ブッセルズ ラーフ
(72)【発明者】
【氏名】ボウマン ベン
(72)【発明者】
【氏名】トレケルズ ベニー
(72)【発明者】
【氏名】ベーメルマンス ステファン
(57)【要約】
【課題】
エアバッグカバーのための複合構造の一部としての柔軟な成形スキン及びそのようなスキンをスラッシュ成形を用いて生産するための組成物の提供。
【解決手段】
本発明は、エアバッグカバーのための複合構造の一部としての柔軟な成形スキン及びそのようなスキンをスラッシュ成形を用いて生産するための組成物に関連する。該組成物及び柔軟な成形スキンは、少なくとも1の熱可塑性可塑化ビニルポリマー及び1以上の発泡剤粒子、無機鉱物材料、有機充填剤材料及びミクロスフェア又は2以上の前記材料の混合物の群から選択される引裂促進剤を含む。引裂促進剤微粒子の粒子は、0.005μmと50μmの間であり、好ましくは0.005μmと40μmの間の平均粒子サイズを有する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグカバーのための柔軟な成形スキンであって、該スキンは少なくとも1の、引裂促進剤の粒子がその中に分散された可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートを含み、該引裂促進剤粒子は、ビニルポリマー材料の融点を上回る融点を有し、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートは、ISO527-1及び-2試験片5Aに従って室温で測定された200.0%と400.0%の間の破断伸びと、ISO34-1試験方法Aに従って測定された最大25N/mmトラウザ形試験片引裂強さを有することで特徴づけられる、柔軟な成形スキン。
【請求項2】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、少なくとも215%、好ましくは少なくとも225.0%の破断伸びを有する、請求項1に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項3】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、最大375%、好ましくは最大350%、さらに好ましくは最大325%、最も好ましくは最大300%、特に最大275%の破断伸びを有する、請求項1又は2に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項4】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料が、最大22.5N/mm、好ましくは最大20N/mm、より好ましくは最大18N/mm、最も好ましくは最大17N/mmのシートのトラウザ形試験片引裂強さを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項5】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、少なくとも5N/mm、好ましくは少なくとも7.5N/mmのトラウザ形試験片引裂強さを有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項6】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、ISO527-2試験片5Aによって測定した、2N/mm2と11N/mm2の間、好ましくは2N/mm2と10N/mm2の間、より好ましくは2N/mm2と9N/mm2の間の引張強さを有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項7】
引裂促進剤の粒子が、1以上の発泡剤粒子、無機鉱物材料、有機充填剤材料及びミクロスフェア又は2以上の前記材料の混合物の群から選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項8】
引裂促進剤が、0.005μmと50μmの間、好ましくは0.005μmと40μmの間の平均粒子サイズを有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項9】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、シートの質量に対して引裂促進剤を、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.5質量%、より好ましくは少なくとも1.0質量%、最も好ましくは少なくとも1.25%、特に少なくとも1.50質量%、及び7.5質量%未満、好ましくは5.0質量%未満、より好ましくは3.0質量%未満、特に2.75質量%未満含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項10】
引裂促進剤が無機鉱物材料であり、該鉱物引裂促進剤の粒子が細長い形状を有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項11】
引裂促進剤が、針状又は板状の無機材料又はその混合物の群から選択される材料を含む、請求項10に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項12】
引裂促進剤の粒子の最小寸法に対する該粒子の最大寸法のアスペクト比が、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも20、最も好ましくは少なくとも25、特に少なくとも40、より特定的には少なくとも50である、請求項10又は11に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項13】
引裂促進剤が、シリケート、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート、マグネシウムアルミニウムカルボナート等のようなカルボナート、特にマイカ、タルク、クレイ、バーミキュライト、珪灰石、ゼオライト、ハイドロタルサイト、石膏又は前記材料の2以上の混合物の群から選択される1以上の無機鉱物材料を含む、請求項10から12のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項14】
引裂促進剤が、二酸化チタン、白墨、カルシウムスルファート、バリウムスルファート、又はその2以上の混合物の群から選択され、最大5.0のアスペクト比を有する、1以上の無機材料を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項15】
引裂促進剤が、最大5.0のアスペクト比を有し、ソフトラバーコアの第1ポリマーが、少なくとも1の異なる組成の第2ポリマーとグラフト化された、1以上のコアシェル材料を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項16】
引裂促進剤が、最大5.0のアスペクト比と、発泡剤を充填した伸縮性熱可塑性材料のシェルを有する、伸縮性ミクロスフェアを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項17】
可塑化ビニルポリマーが、ポリ塩化ビニル、好ましくはK値が少なくとも50及び最大80であるポリ塩化ビニルを含む、請求項1から16のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項18】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、少なくとも1の可塑剤組成物を、30質量%-50質量%、好ましくは37.0質量%-47.0質量%、より好ましくは37.0質量%-45.0質量%含む、請求項1から17のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項19】
可塑剤組成物が、アゼラート、トリメリタート、セバカート、アジパート、フタラート、シトラート、ベンゾアート、タラート、グルタラート、フマラート、マレアート、オレアート、パルミタート又はアセタートの群から選択される少なくとも1のモノマー性化合物を含む、請求項18に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項20】
可塑剤組成物が、可塑剤の総量対して、ポリマー性可塑剤又は高分子量モノマー性可塑剤であって分子量が少なくとも350のものを少なくとも10質量%含む、請求項18又は19に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項21】
少なくとも1のエアバッグを受け入れるための、少なくとも1の開口部を含む剛性キャリアを含む積層体であって、該剛性キャリアの片側の少なくとも一部に対してポリマー発泡体層が接着し、キャリアに面する側と反対側のポリマー発泡体層の片側の少なくとも一部が請求項1から20のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキンに接着する、積層体。
【請求項22】
ポリマー発泡体がポリウレタンフォームまたはPVCフォームである、請求項21に記載の積層体。
【請求項23】
柔軟な成形スキンが、剛性キャリア中の少なくとも1のエアバッグ開口部の範囲を定める端に対応する位置に少なくとも1の材料弱化線を含む、請求項21又は22に記載の積層体。
【請求項24】
エアバッグ開口部が実質的に、U字型、H字型又は二重Y字型である、請求項21から23のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項25】
請求項1から20のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキンを生産する方法であって、熱可塑性ビニルポリマー材料の粒子、引裂促進剤の粒子及び少なくとも1の可塑剤を含む混合物を生産するステップ、該混合物をスラッシュ成形装置の金型に供給するステップ、該金型を200℃と250℃の間に加熱するステップ、該混合物を、スラッシュ成形してビニルポリマーを可塑化し柔軟なスキンを生産するステップ、及びその後、柔軟なスキンを金型から外し、冷ますステップを含む、方法。
【請求項26】
混合物が、少なくとも1の引裂促進剤の粒子を0.1質量%-7.5質量%、及び少なくとも1の可塑剤を30.0質量%-50.0質量%含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1から20のいずれか1項に記載の柔軟なスキンを生産するための組成物であって、該組成物は、少なくとも1の可塑剤を30.0質量%-50.0質量%、少なくとも1の引裂促進剤の粒子を0.1質量%-7.5質量%、1以上のビニルポリマーを40.0-60.0質量%、及び通常の残部添加剤を1.0-20.0質量%含む、組成物。
【請求項28】
1以上の発泡剤粒子、無機鉱物材料、有機充填剤材料及びミクロスフェア又は前記材料の2以上の混合物の群から選択される粒子材料の使用であって、前記粒子材料の粒子は、平均粒子サイズが0.005μmと50μmの間であり、好ましくは、0.005μmと40μmの間であり、組成物中の引裂促進剤として、請求項1~20のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン又は請求項21から24のいずれか1項に記載の積層体を生産するため、少なくとも1の熱可塑性ビニルポリマーを含み、該柔軟なシートが、200%と400%の間の破断伸び及び最大25N/mmのトラウザ形試験片引裂強さを有する、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグカバーのための柔軟な成形スキンに関し、請求項1の前段に記載のとおり、該スキンは、少なくとも1つの、引裂促進剤の粒子がその中に分散された可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートを含み、該引裂促進剤の粒子は、ビニルポリマー材料の融点を上回る融点を有する。
自動車製造業においては、乗務員用エアバッグユニットと統合された乗物用内装パネル、ドアパネル、ダッシュボード、インスツルメントパネル等の使用が十分確立されたプラクティスとなっている。パネルへの構造的な統合は、剛性キャリアによって提供される。剛性キャリアの上部に適用された圧縮可能な発泡体の層は、通常、5-10mmの厚さの圧縮可能な発泡体であり、ソフトな感触をパネルに与え、下にあるキャリアの表面のでこぼこした面を平らにする。発泡体層の上部に適用される装飾的で、実質的に非構造的なスキンは、通常、1-1.5mmの厚さであり、しなやかなポリ塩化ビニル(PVC)、噴霧可能なウレタンエラストマー材料又は熱可塑性エラストマー、熱可塑性オレフィン又は熱可塑性ポリウレタンからしばしば作られる。
ポリ塩化ビニル(PVC)スキンは通常、スラッシュ成形を用いて生産される。PVC化合物粒子を詰めた箱を加熱された金型部品の下に位置付け、固定して、金型に粉を供給する。粉が熱い金型の表面で溶け、粒子が焼結するよう、金型を連続的にひっくり返す。PVC粒子が共に焼結された後、可塑化PVCシートが形成され、該シート又はスキンは冷却され、金型から外される。PVC化合物のスラッシュ成形については、例えば、US-A-4,562,025に開示されている。PVCスキンを生産するためのスラッシュ成形の代替としては、柔軟なPVCフォイル又はシートを所望の形状にする深絞り成形が挙げられる。
【0002】
しかしながら、そのようなスキンが乗物用パネルに用いられると、多くの厳格な基準を満たさなければならず、それらは色安定性、高温及び昇温状態での長期間にわたるUV曝露下での寸法安定性、例えば洗剤、ヒトの体液等のような幅広く様々な化学物質に対する耐性に関する。装飾性の高いスキンにとっての主要な問題は、発泡体層の下に収められた乗務員用エアバッグの速やかで清潔な開放をその下にある剛性キャリアの開口部を通じて許容するために、速やかな開放を提供しなければならないことである。開放を円滑にするため、スキンは通常、エアバッグを膨らませる力によって裂け又は破れる弱化線又はテアシームを有する。時間の経過に伴い、設計基準の変更や自動車製造業に課せられるますます厳しい安全基準とともに、そのような裂け目を生産する技術は大変な進化を遂げてきた。過去において乗務員用エアバッグコンパートメントカバーは、エアバッグコンパートメントの上部に置かれる別の対象として設計されたが、現在の自動車の設計では、ビルトインエアバッグコンパートメントを伴う、滑らかで、連続した可視性の表面を有するインスツルメントパネルの方向に進化した。テアシームが、時間の経過に伴い可視化するであろうことを避けるため、スキンは、熱及び/又はUVに長期間さらされた場合の老化に対する優れた耐性を有する必要がある。
エアバッグテアシームを伴う自動車パネルのためのスキンを生産する公知の技術は、例えば、US5.580.083に開示されている。US5.580.083に依れば、スキンに局所的な弱さを与えるテアシームには、カバーと同じ材料又はそれと互換性を有する熱可塑性材料で作られたフィラーストリップが詰められている。フィラーストリップは、しかしながら、外側のスキンと完全には結合していない。別の公知技術がEP0590779に開示されており、それによれば、テアシームパターンには、統合的に結合した熱可塑性フィラーストリップを形成するため、強度の低い熱可塑性材料が詰められている。
【0003】
エアバッグ開口部は見えてはいけなく、老化に耐える必要という最近の設計の要請は、しかしながら、スキンは、エアバッグの速やかな展開を許すためミリ秒のうちに弱化線に沿って速やかで清潔に乗務員用エアバッグを開放できるようにすべきことを求める産業界に課される安全基準と天秤にかけられる。別の重要な安全基準は、スキン発泡体キャリアのサンドウィッチ構造は、乗物が遭遇し得るあらゆる動作状況において、エアバッグがカバーを通って破裂するとき、弱化線に沿って粒子を散乱させることなく壊れるべきというものである。スキン、発泡体又はキャリアから放出された断片が、乗務員に対して高速で飛ぶ又は向かっていくことは、全ての状況において最小限とし、一定の限度以下にとどまるべきである。これらの安全基準は、インスツルメントパネル又は乗物中の任意の他のタイプのエアバッグを含むパネルについて、幅広い温度、少なくとも-35℃と80℃の間で満たされなければならない。
【0004】
インスツルメントパネル及びそのようなインスツルメントパネルを作成するための材料を設計する時、一方にエアバッグの弱化線の可視性は老化しても最小限にすべきことを課するデザイン基準と、もう一方に安全要請に適合し、速やかで清潔なエアバッグの開放を許すというエアバッグの性能との間で最適な妥協を提供することは実際に課題である。キャリアと発泡体層の生産に用いられる材料の進化は、この課題を容易にはしておらず、許容できる妥協点を探すことはますます困難になっている。
DE102013224996は、少なくとも1層のプラスチック材料、その中に混合され、スキン全体に分散される更なる材料の粒子を有するプラスチック材料の層を含むエアバッグカバーのための柔軟なスキンを開示している。該粒子は、プラスチック材料よりも融点が高い材料で作られている。柔軟なスキンは、最大200%の破断伸び及び最低9N/mm2の引張強さを有するといわれている。発明者は、しかしながら、この機械的特性の組み合わせは、下記に示す比較例から理解できるように、DE102013224996で開示された材料で再現することができないことを観察した。
【0005】
本発明は、乗務員に向かっていく粒子を生成するリスクを最小にし、老化しても温度-35℃と80℃の間でのエアバッグ弱化線の可視性リスクを最小にして、乗務員用エアバッグを速やかに開放させるエアバッグカバーのための柔軟なスキンを提供することを探索する。
これは、請求項1の特徴部分の技術的特徴を示す、本発明による柔軟なスキンによって達成される。
なおそのうえに、本発明は、エアバッグカバーのための柔軟な成形スキンに関し、該スキンは、引裂促進剤の粒子がその中に分散された少なくとも1つの可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートを含み、該引裂促進剤の粒子はビニルポリマー材料の融点を上回る融点を有し、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートは、ISO527-1及び-2試験片5Aに従って測定すると、室温で200%から400%の間の破断伸びを示し、ISO34-1のA方法で測定したトラウザ形試験片の引裂強さが最大25N/mmであることにより特徴づけられる。
【0006】
引裂促進剤の粒子がその中に分散した可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートから成るエアバッグカバーのための柔軟な成形スキンは本発明の範囲内である。
好ましい実施形態において、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートは少なくとも215%、さらに好ましくは225%の破断伸びを有する。好ましい実施形態において、成形スキンは最大375%、好ましくは最大350%、さらに好ましくは最大325%、最も好ましくは最大300%、とりわけ最大275%の破断伸びを有する。
さらに好ましい実施形態において、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートはトラウザ形試験片の引裂強さが最大22.5N/mm、好ましくは最大20N/mm、さらに好ましくは最大18N/mm、とりわけ最大17N/mmである。トラウザ形試験片の引裂強さは好ましくは少なくとも5N/mm、好ましくは少なくとも7.5N/mmである。
本発明の可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートは、そのシート材料全体に分散又は分布した引裂促進剤の粒子を有する。その結果、機械的特性は、シート全体について実質的に同じであろう。所望の効果を得るため必要な引裂促進剤粒子濃度の低さにかんがみれば、引裂促進剤がスキンの通常の使用において求められる機械的特性に悪影響を与えるリスクは、最小限に減らすことができる。これらの有利な点は、下部構造中の弱化線の位置におけるスキンの機械的特性がエアバッグスキンの開放の基礎を提供するため残りのスキンの機械的特性と実質的に異ならなければならない既存技術のスキンとの比較において、重要である。既存技術のスキンの機械的特性に好ましくない観点から影響を与えることの他に、既存技術のスキンに適用された弱化線は、老化とともに弱化線が可視化された。本発明は、老化してもこの問題を克服できることが発見されている。
【0007】
発明者たちは、エアバッグコンパートメントの開放及びエアバッグの展開に伴い典型的に起こり、通常スキンの伸長を引き起こす局所的な突発的力の下に本発明の柔軟なスキンを置いたとき、スキンが裂ける点までのスキンの伸びが望ましい程度まで限定されうることを観察した。発明者たちは更に、引裂又は破断を起こすため必要な力は、ひとたび形成されると減退する場合があり、それによりエアバッグの開放時間を、好ましく低い程度に保ち、言い換えれば、引裂速度が好ましく高いレベルで保たれることを観察した。このことは、破裂が起こる前に、スキンのいかなる望まない伸び又は膨れの程度及び下にある発泡材料からのスキンの剥離のリスクを最小に低減し得ることから、間違いなく高温において有利な点である。
円滑化された引裂の効果は、引裂が始まる温度に関わらず観察された。このように、本発明とともに、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料の柔軟なスキン又はシート中の引裂は、ひとたび引裂が始まると、通常使用中、すなわちエアバッグが開放されていない場合において、柔軟なスキンの引裂強度の望まない減退を引き起こすことなく、円滑化される。エアバッグの展開に伴うスキンの開放は、最小に低減された引裂に沿った柔軟スキンの塑性変形を伴う高い引裂速度の結果としての弾性破裂と解することができる。
発明者たちはまた、エアバッグの展開に伴い生産される飛散粒子の量は、PVC化合物のスラッシュ成形で作られた既存技術のスキンに比較して、特に-35℃の低温において、著しく低減される場合があることを観察した。これは、この仮定に縛られることを望むわけではないが、エアバッグの展開に伴い弱化線に沿って円滑化されたことが観察された引裂は、下側の発泡体からスキンが剥離する時間を与えない程度まで引裂速度を高めると推測される。その結果、スキンから放出される飛散粒子が形成されるリスクが、乗務員に向かって飛んでくる粒子の数と同様に低減される場合がある。これは、とりわけエアバッグ開口部の一部が乗務員に向かって開くH字形エアバッグ開口部の場合、車の乗務員を傷つけるリスクを著しく低減する場合があるため、有利である。また、下側の発泡体層から剥離するリスクの低減は、エアバッグの展開に伴い更に内装を損傷させるリスクを限定することを可能とする。
発明者たちによれば、上記効果は、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、所望の値の範囲に保たれうる破断伸び及びトラウザ形試験片の引裂強さを有する事実によって説明することができる。
【0008】
さらに好ましい実施形態において、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートは、ISO527-2試験片5Aに従って測定された引張強さが、2と11N/mm2の間、好ましくは2と10N/mm2の間、さらに好ましくは2と9N/mm2の間である。破断伸びの減少とともに、通常、シート及び成形スキンの引張強さも減少するであろうことが発見されている。
本発明は更に、柔軟なスキン及び可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートの引張強さは、引張伸びと同様、所望のレベルに調整し得るという有利な点を示す。引張強さは、引き伸ばし又は引っ張りに対し、失敗又は破損する前に材料が耐えうる最大のストレスである。特に柔軟なスキン又は可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが高温、例えば80℃以上の、車の内装部品が太陽にさらされた時にしばしば遭遇する温度にさらされる場合、引張強さが十分低い値に限られることは重要である。すなわち、低減された引張強さの結果、スキン又はシートの実質的な伸びを含む望まない膨れが発生するリスク及び下側の発泡体層からの剥離のリスクも同様に著しく低減される場合がある。この、より脆性な破裂の発生効果は、本発明の柔軟なスキン又は可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが80℃でより小さな引張伸びを有するという事実に帰せられる。破裂又は引裂に必要な力が低減されたこととの組合せにより、エアバッグの圧出及び展開が円滑化される。引張強さ及び引張伸びはISO527-2の方法、試験片5Aを用いて測定し得る。
この理論に縛られることを望むものではないが、発明者たちは、上記のとおり概説した所望の引裂特性、特に高温における破断伸びの低減及び所望の引張強さ及び全ての温度におけるトラウザ形試験片の引裂強さは、スラッシュ成形を用いて生産された可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシート中で、引裂促進剤の粒子はビニルポリマー粒子の外側表面に吸着されるという事実によって説明され得ると考えている。表面が引裂促進剤の粒子で覆われていない場合、隣接したビニルポリマー粒子の溶融又は焼結がスラッシュ成形の間に起こり得る。ビニルポリマー粒子の表面が、引裂促進剤の粒子で覆われている場所では、隣接したビニルポリマー粒子の溶融又は焼結が局所的に妨げられ、隣接したビニルポリマー粒子との間の接着は局所的に妨げられる。本発明の組成物のスラッシュ成形によって達成される隣接又は隣のビニルポリマー粒子の接着は、局所的に妨げられた又は孔のあいた結合に相当すると理解され得る。そのような妨げの存在により、一度破裂したら、隣接した粒子との間の接着又は結合中の裂け目の伝播は円滑化される。マクロスケールでは、本発明の組成物中の引裂促進剤の存在は、柔軟なカバーシートの二つの反対の部分を引裂く突然の瞬間的な力に応答して、柔軟なカバーシートを引裂くことにより、開放を円滑化する。
【0009】
本発明の範囲では、幅広い種類の微粒子材料を引裂促進剤として用いてよい。引裂促進剤として用いることが適切な材料には、1以上の発泡剤粒子、1以上の無機充填剤微粒子、1以上の有機充填剤微粒子、及び1以上のミクロスフェア微粒子又は2以上の前述の微粒子材料の混合物の群より選択される微粒子材料が挙げられる。
引裂促進剤の微粒子材料の性質によって、平均粒子サイズは少なくとも0.005μm、少なくとも0.01μm又は少なくとも0.05μmであってよい。好ましい実施形態においては、微粒子材料の性質によって、微粒子材料の平均粒子サイズは最大で50μm、好ましくは最大で40μm、特に最大30μm、より特定的には最大25μm、好ましくは最大20μm、より好ましくは最大10μmであってよい。
引裂促進剤は、本発明の可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシート中に組成物の質量に対して0.1から7.50質量%の濃度で存在する。好ましくは、引裂促進剤は、最適な効果を達成するため、シート又は組成物の質量に対して少なくとも0.5質量%、より好ましくは少なくとも0.75質量%、最も好ましくは少なくとも1.0質量%、特に少なくとも1.25又は1.50質量%の濃度で存在する。引裂促進剤の性質によって、最低濃度としてしばしば少なくとも0.1又は0.5質量%が引裂促進剤の効果を達成することを許容するため必要である。引裂促進剤の最大濃度は、ビニルポリマーシート又は組成物の総質量に対して、通常7.5質量%未満、好ましくは5.0質量%未満、好ましくは4.0質量%未満、より好ましくは3.0質量%未満、特に2.75質量%未満であろう。引裂促進剤の濃度が高すぎると、材料の性質によっては、ビニルポリマー粒子が溶解し合うことに悪影響を与え、スラッシュ成形中にゲル化を妨げ、成形装置に引裂促進剤の残りが沈着するリスクがある。
有機材料は無機材料同様引裂促進剤として用い得る。無機材料の群のうち、様々な無機鉱物材料が引裂促進剤として用いるのに適切である。
【0010】
引裂促進剤の粒子は様々な形状を有することができ、例えば、細長い形状、板状、針状、球、四面体、不規則形状又は2以上の前述形状の組合せであってよい。好ましくは、しかしながら、引裂促進剤の粒子は細長い形状、又は言い換えれば、該粒子は、引裂促進剤の粒子の最小寸法に対する最大寸法のアスペクト比が少なくとも5である。そのような粒子は、高アスペクト比粒子と呼ばれる。有利なことには、細長い形状の粒子を用いると、引裂促進剤の粒子の濃度を最小に保つことができる。好ましくは、引裂促進剤粒子の最小寸法に対する最大寸法のアスペクト比は、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも20、もっとも好ましくは少なくとも25、特定的には少なくとも40、より特定的には少なくとも50である。引裂促進剤の粒子のアスペクト比は、一般に500.0よりも小さく、好ましくは250.0又は200.0よりも小さく、より好ましくは150.0よりも小さく、最も好ましくは125.0又は100.0よりも小さいであろう。
「アスペクト比」は、式
AR = dmax/dmin
に対応する係数を意味し、式中、dminは最小粒子寸法に、dmaxは最大粒子寸法に対応する。アスペクト比が1と等しい粒子は通常、例えば球又は立方体のような、理想的には最大の対称性を有する粒子に対応する。形状係数が1より大きい粒子は、例えば実質的にビーム形、又は円筒、楕円、針型又はその他の任意の当業者に公知の細長い形状である場合がある。板状粒子もまた適切に用いられてもよい。特定の実施形態では、針状又は板状の鉱物材料の引裂促進剤の粒子の使用が好ましい場合がある。
【0011】
上述のとおり5.0を超える高アスペクト比を有する細長い形状の粒子は、通常、可塑化ビニルポリマーシート中に、シート又は成形スキンの総質量に対して、少なくとも0.1又は0.5質量%、及び最大4.0質量%、好ましくは、3.0質量%未満、特に2.75質量%未満の量存在するであろう。
適切な板状無機引裂促進剤、すなわち上述のとおり高アスペクト比の引裂促進剤の例としては、シリケート、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート、マグネシウムアルミニウムカルボナート等のようなカルボナート、特にマイカ、タルク、クレイ、バーミキュライト、珪灰石、ゼオライト一般、ハイドロタルサイト、石膏又は前述の材料の2以上の混合物の群から選択される1以上の鉱物材料が挙げられる。これらの材料は、通常、上述のとおり高アスペクト比、しばしば、少なくとも25、特定的に少なくとも40、さらに特定的には少なくとも50を有するであろう。
引裂促進剤の性質によって、しかしながら、小さいアスペクト比の粒子、例えば、少なくとも1.0、少なくとも2.0又は少なくとも2.5、しかし一般には5未満、又は10未満が用いられてもよい。小さいアスペクト比を有する無機材料としては、二酸化チタン、白墨、カルシウムスルファート、バリウムスルファート及びいくつかのゼオライトが挙げられる。所望の効果を達成するため、それらは好ましくは、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシート中に、上述のものと同様少なくとも3.0質量%、好ましくは、少なくとも4.0質量%、好ましい上限は7.5質量%の濃度で存在する。
【0012】
本発明とともに用いるのに適した有機引裂促進剤の例としては、複層構造を有するポリマー、とりわけ、コア層を少なくとも1つの外側シェル層が囲み、少なくとも部分的にコアを覆っている、コア・シェル型と呼ばれる構造を有するものが挙げられる。コア・シェル材料は例えば、JPH02191619、US2010261833、US6337131に開示されている。コア・シェル材料の隣接層は異なるタイプのポリマーで構成されている。通常コアは柔らかいゴム状で、その表面上のシェル部分は硬い状態であり、粉(粒子)状のゴム自体はエラストマーである。コア・シェルゴム中、粒子のほとんどの部分は、スラッシュ成形後であっても、例えば、ビニルポリマーとともに原型を維持している。適切なコア・シェル材料としては、コアがブタジエンタイプのゴムを含み、グラフト層がポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリスチレン(PS)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ABS樹脂(ABS)、及びアクリル樹脂(MMA)を含むもの;上述のようなコアを有するものでグラフト層が更にポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)を含むもの;コアがシリコン-アクリルブレンドゴムを含み、グラフト層がポリカルボナート(PC)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリスチレン(PS)、塩化ビニル樹脂(PVC)を含むものが挙げられる。コア・シェル材料は例えば三菱レーヨンよりいくつかの種類のMETABLENとして商業的に入手可能である。これらの製品は様々な熱可塑性樹脂に最大の分散性を提供するよう設計され、それらの分子量は幅広い範囲で変化し得て、それらは加熱されると簡単に熱可塑性ポリマー分子と、主として物理的相互作用によりからまる。これらコア・シェル材料は通常、4又は5までの小さいアスペクト比を有し、しばしば約1、及び好ましくは本発明の可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシート中に、上述のとおり、少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.5質量%の濃度であるが、最大濃度7.5質量%含まれる。
【0013】
別の好ましい実施形態によれば、引裂促進剤は、シェル内部に別個の分離された層として含有された発泡剤とともにガラス又は伸長可能な熱可塑性材料のいずれかのシェルを有する伸長できるミクロスフェアを含む。そのような伸長可能なミクロスフェアは、製品中で混合され、続いてマトリックス中で膨張するよう加熱された場合、発泡剤として作用することができる材料である。粒子は通常、一般に球形で、粒子の熱可塑性又は軟化温度を下回る温度で液体がガス化する本質的に揮発性有機液体膨張剤から成る別個の分離された液相が、その中にカプセル化されている。粒子は一般に膨張剤を浸透させない。加熱によりポリマーシェルの熱可塑化及び膨張剤の揮発を引き起こし、それにより、単一セルの空洞、一般にガス状の中心を有する球形のシェルを形成するよう粒子を伸長する。伸長可能なミクロスフェアは例えばUS3615972に開示されている。本発明の組成物中に用いられる場合、伸長は、スラッシュ成形時に起こることが期待される。
商業的に入手できる伸長可能なミクロスフェアとしては、伸長可能なオフホワイトミクロスフェア、しばしば6から300μmの平均直径及び900から1400kg/m3の密度のものが当業者に公知である。伸長可能なミクロスフェアは、熱可塑性樹脂の射出成形のような製品中の発泡剤として用いられる。所望の効果を達成するため、伸長可能なミクロスフェアは所望の量のビニルポリマーと混合され、該混合物が可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートを生産するためスラッシュ成形される。該製品は、多くの製品中で軽量充填剤として作用する。
【0014】
シェルは様々なポリマー材料から作ることができ、アルケニル芳香性モノマーから作られたポリマーが好ましい。そのようなアルケニル芳香性モノマーの例としては、スチレン、o-メチルスチレン、 m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルスチレン、 ar-ビニル-キシレン、ar-クロロスチレン、又はar-ブロモスチレンが挙げられる。様々な他のスチレン誘導体化合物、例えば、ビニルベンジルクロリド、p-tert-ブチルスチレン等を用いてもよい。用いてもよい典型的なアクリラート材料には、メチルメタクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、ブチルアクリラート、ブチルメタクリラート、プロピルメタクリラート、ブチルメタクリラート、ラウリルアクリラート、2-エチルヘキシルアクリラート、エチルメタクリラート等がある。塩化ビニル及び塩化ビニリデンのコポリマー、アクリロニトリルと塩化ビニル、臭化ビニル及び同様のハロゲン化されたビニル化合物もまた同様に用いてよい。発泡剤としては、通常、揮発性液体形成剤、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、ブテン、イソブテン、ネオペンタン、アセチレン、ヘキサン、ヘプタン又は1以上のそのような脂肪族炭化水素の混合物を含む脂肪族炭化水素であって、用いられる特定の発泡剤とともに飽和させられた時、ポリマー性材料の軟化点の範囲を下回る沸点を有するものが用いられるであろう。
【0015】
伸長可能なミクロスフェアの存在は、柔軟なスキンの質量を低減させることを許容し、それに非常に細かく極めて均一なセル構造を提供する。それらの存在により引き起こされる製品の向上には、密度の低減、改善された寸法安定性、より良い熱絶縁性及びコスト削減が含まれる。
伸長可能なミクロスフェアは商業的にAsia Pacific Microspheres Sdn Bhd (APM; セランゴールダルールエーサン、マレーシア) 及びExpancel Incから入手可能である。APMは炭酸アンモニウム発泡剤が充填されたフェノール性及びアミノベースのスフェアを生産する。Expancelは、炭化水素発泡剤(典型的にはイソブテン又はイソペンテン(isopentane)をカプセル化する薄い熱可塑性シェル(塩化ビニリデン、アクリロニトリル又はメチルメタクリレートのようなコポリマー)から成る。加熱されると、ポリマー性シェルは徐々に軟化し、液体炭化水素はガス化し始め、膨張する。膨張したミクロスフェアの粒子サイズは、グレードによって、20-150μmの範囲である。完全に膨張すると、ミクロスフェアの体積は40倍を超えて増加する。ミクロスフェアは、噴霧前にポリマーに圧力がかかると変形するが、一度材料が周辺圧力に戻ると、ミクロスフェアはもとの球形に戻る。
典型的な膨張可能なミクロスフェアの装填は、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシート又は、スキンが可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートのみから成る場合の成形スキンの質量に対して、少なくとも0.05質量%、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.15質量%、最も好ましくは0.30質量%及び最大7.5質量%又は最大5.0質量%、好ましくは最大4.0質量%又は3.0質量%、より好ましくは最大2.0質量%である。
【0016】
さらに好ましい実施形態によると、引裂促進剤は少なくとも1つの発泡剤を含んでもよい。適切な発泡剤は当業者に公知であり、化学的な発泡剤同様物理的な発泡剤が含まれる。適切な発泡剤の例としては、微粒子材料の熱分解によりガスを生産することができる化学添加剤が含まれる。発泡剤は有機性又は無機性のものであってよい。適切な発泡剤の例としては、Porofor(登録商標)として商業的に知られLanxessから入手可能なアゾジカルボンアミド、丸紅ヨーロッパから入手可能なFicel(登録商標)、ジアゼンジカルボキサミド、OBSH、TSH、BSH、Tramacoから入手可能なTracel及びUnicellが挙げられるが、当業者により適切と考えられるその他の発泡剤も用いてよい。
ミクロスフェア又は上述の発泡剤を組む込むことで、柔軟なスキン又は可塑化ビニルポリマー材料のシートの密度が低減され、それとともに、柔軟なスキン及びそれを組み込む積層体の質量が低減できるという有利な点を提示する。
2以上のタイプの上述の引裂促進剤の混合物が本発明の柔軟な成形スキン中の引裂促進剤として用いられてもよいことは、本発明の範囲内である。
本発明の範囲内では、広く様々なビニルポリマー及びその他のポリマーとのブレンドが、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシート及び該シートを含む又は該シートから成る柔軟な成形スキンを生産するために用いてもよい。特に、ビニルポリマーはそれ自体、又はポリ塩化ビニル(PVC)及び互換性のあるポリマーであって、塩化ビニル及びビニルアセタート(VC/VA)又は塩化ビニル及びアクリル誘導体(VC/AD)、例えば低級アルキルアクリラート又はメタクリラート、アクリル及びメタクリル酸のコポリマー又はターポリマー、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリエーテルエステル、エチレン/ビニルモノマー(EVA)コポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、溶融加工可能なアクリルエラストマー、ポリアミドブロックとポリエーテルブロック、又はポリエーテルブロックアミドのコポリマー、塩化又はクロロスルホン化ポリエチレン、官能化又は非官能化エチレン/アルキル(メト)アクリラート又は(メト)アクリル酸ポリマー、MBSコアシェルポリマー、SBMブロックターポリマー、PVDF及び粉末状ポリアミドポリマーから選択されるポリマーとの混合物中で用いてもよい。
【0017】
ビニルポリマーは、好ましくはポリ塩化ビニル(PVC)、より好ましくは懸濁又はマイクロサスペンション工程により得られるPVCであるが、エマルション中又はバルク中で製造されたPVCもまた用いてもよい。好ましいPVCポリマーは、K-値が50と80の間、しばしば65と80の間のものである。K値は固有粘度値に密接に関連する経験上の変数であり、しばしば粘度に基づくポリ塩化ビニルの統計的な分子量を推定するために用いられる。欧州で最も一般的に用いられるK値は、は Fikentscher K値 (DIN EN ISO 1628-1参照)であり、希釈溶液粘度計及びFikentscher式を解くことによって得られる。
特に好ましいビニルポリマー粒子は、平均粒子サイズが25.0μmと300.0μmの間であり、より好ましくは50.0μmと300.0μmの間である。ビニルポリマー粒子の平均粒子サイズは通常少なくとも25.0μm、より好ましくは少なくとも50.0μm、最も好ましくは少なくとも75.0μm、特に少なくとも100.0μmであろう。ビニルポリマー粒子の平均粒子サイズは通常400.0μmを下回り、好ましくは最大350.0μm、より好ましくは最大300.0μm、最も好ましくは最大250.0μmであろう。
【0018】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシート又は本発明の柔軟な成形スキン中に存在するビニルポリマー又はビニルポリマーブレンドの量は、幅広い範囲で変わることができ、通常、シートの総質量に対して、40.0及び60.0質量%の間であろう。同様に、本発明の柔軟なスキンを生産するための組成物は、一般に、ビニルポリマー材料組成物の総質量に対して、40.0及び60.0質量%の間の量含まれるであろう。
本発明の可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシート又は柔軟な成形スキンは、1以上のタイプの、通常当業者に公知であろう可塑剤を含む可塑性組成物のシートの質量に対して、更に30から50質量%含んでもよい。好ましい実施形態において、可塑剤の量は、シートの質量に対して、37.0-47.0質量%、好ましくは37.0-45.0質量%で変化する。ポリマー組成物中の可塑剤の量を、これらの上限値を超えて増やすことは、組成物の加工性に悪影響を与えるのみならず、破断伸びを望ましくない値に増加させ、柔軟なスキンの破裂又は引裂はむしろ、速やかな引裂を伴う望ましい弾性のある破裂ではなく、破裂とともにプラスチック材料の変形を伴う粘着性の破裂となるであろう。
【0019】
本発明の範囲において、広く様々な可塑剤を用いてもよい。
適切な可塑剤としては、典型的には、C8からC13アルコール及び飽和でも不飽和でもよく、モノ-又はポリ-有機カルボン酸のいずれかであってよい有機酸のモノマーエステルが挙げられる。本発明の可塑剤中に用いることが適切な有機酸の例としては、トリメリト酸のエステル(例えば、オクチルトリメリタート-TMO)、セバシン酸のエステル(例えばジオクチルセバカート-DOS、ジイソデシルセバカート-DIDS)、アゼライン酸のエステル(例えば、ジオクチルアゼラート-DOZ)、アジピン酸のエステル(例えば、ジオクチルアジパート-DOA、ジイソデシルアジパート-DIDA、ジトリデシルアジパート(DTDA))、フタル酸のエステル(例えば、ジブチルフタラート-DBP、ジオクチルフタラート-DOP、ジウンデシルフタラート-DUP、ジトリデシルフタラート-DTDP)、クエン酸のエステル、安息香酸のエステル、グルタル酸のエステル、フマル酸のエステル、マレイン酸のエステル、オレイン酸のエステル (例えばブチルオレアート)、パルミチン酸のエステル及び酢酸(acetaic acid)のエステル並びにそれらの2以上の混合物が挙げられる。リン酸エステルもまた用いられる場合がある。当業者は、組成物が処理される温度及び可塑剤の揮発性を考慮して、適切な可塑剤を選択することができるだろう。好ましいのは、高分子量のもの、好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも350の可塑剤である。
そのようなモノマー性可塑剤中で用いるのに適したアルコールの例としては、直鎖又は分岐C8からC14アルコールであってもよい。好ましい実施形態では、少なくとも60質量%、又は少なくとも80質量%、しかし最大95質量%の直鎖アルコールを含むC9脂肪族アルコール又はジオールが用いられる。分岐C9アルコールの濃度は、最大40質量%、好ましくは5及び40質量%の間であってよい。該アルコールは、少なくとも15質量%の、第2炭素の位置で分岐を有する分岐ノニルアルコールを含有してもよい。
前述の可塑剤は少なくとも1つのポリマー性可塑剤との組合せで用いてもよい。しかしながら、ポリマー性可塑剤の含有量が、存在する可塑剤の総量に対して、少なくとも10.0質量%であることが好ましい。
【0020】
適切なポリマー性可塑剤としては、ジカルボン酸、トリカルボン酸、又はポリカルボン酸又は2以上の前述のカルボン酸の混合物とジオール、又は様々なカルボン酸二酸の混合物と1以上のジオールの縮合から得られるものが挙げられる。そのようなポリマー性可塑剤の調製のための適切なジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、クエン酸、トリメリト酸等が挙げられる。その他の適切なポリカルボン酸としては、芳香族トリカルボン酸及びその誘導体、特に1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸又はその誘導体の群から選択される脂環式カルボン酸が挙げられる。そのようなポリマー性可塑剤に用いることが適切なジオールの例としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールが挙げられる。
前述の成分から生産されるポリマー性可塑剤は、その低減された揮発性、環境に対する損傷への良い抵抗性及び使用中の極端な温度に対する優れた応答性のため、モノマー性可塑剤に比較して好ましい。本発明とともに使用するためのその他の適切なポリマー性可塑剤としては、特にポリフタラート又はポリアジパートが挙げられる。
好ましい実施形態では、フタル酸エステルが実質的に含まれない可塑剤組成物が用いられる。
【0021】
上述のポリマー性可塑剤の使用は、特にスキンを熱及び/又はUV照射に長期にわたり曝露した影響下での老化中に、PVCスキン層とその下の発泡体層の間に可塑剤が移動することを抑制する能力のため好ましい。これは、柔軟なスキンの老化に伴う薄い押下線のため、エアバッグコンパートメントに面したスキンの表面に適用される可能なエアバッグ引裂線の望まない可視化を引き起こすリスクがあるスキン体積の低減及びスキン張力の発生リスクが克服される場合があるため、有利である。
本発明の柔軟なスキン又は可塑化ビニルポリマー材料のシートは、通常、40.0から60.0質量%の1以上のビニルポリマー、特にK値が50と80の間のPVC樹脂;30.0から50.0質量%の1以上のタイプの可塑剤であって、そのうち少なくとも1つはポリマー性の性質又は重いモノマー性の可塑剤;及び1.0から20.0質量%の添加剤、例えば顔料又は充填剤、安定剤、酸化防止剤、加工助剤及び潤滑剤、及び0.1から7.5質量%の1以上の引裂促進剤、を含むであろう。
【0022】
本発明はまた、熱可塑性ビニルポリマー材料の粒子、引裂促進剤の粒子及び少なくとも1つの可塑剤を含む混合物が生産され、該混合物がスラッシュ成形装置の金型に供給され、該金型は200から250℃の間の温度に加熱され、混合物がビニルポリマーを可塑化するスラッシュ成形に供されて柔軟なスキンを生産し、その後、柔軟なスキンが金型から取り除かれ、冷却するよう放置される、上述の柔軟な成形スキンの生産方法に関する。スラッシュ成形はPVC化合物微粒子の柔軟なシートが特定の形状に成形され得る技術であり、一般に当業者に既知である。PVC化合物のスラッシュ成形のための方法及び装置は、例えば、US-A-4,562,025に開示されている。スラッシュ成形においては、上述のPVC化合物微粒子を収めた粉体箱が加熱された金型部分の下に置かれ、固定され、金型に粉体を供給する。金型は、金型表面上の粉体を溶解するため連続的にひっくり返され、粒子の焼結を誘導する。上昇させた温度でPVC粒子を焼結させて部分を形成した後、該部分は冷却され金型から外される。
【0023】
本発明はまた、1以上の発泡剤粒子、無機鉱物材料、有機充填剤材料及びミクロスフェア又は上述の2以上の前記材料の混合物の群より選択される粒子材料の使用に関連し、該前記粒子材料の粒子は、上述の複合スキン構造のための少なくとも1の可塑化ビニルポリマーのシート、又は下記の通り積層体を含む柔軟な成形スキンを生産するための引裂き促進剤として、平均粒子サイズが0.005及び50μm、好ましくは0.005及び40μmの間であり、該柔軟なシートは200と400%の間の破断伸びを有し、トラウザ形試験片の引裂強さが最大25N/mmである。
【0024】
本発明はまた、上記のとおり、複合スキン構造の柔軟なシートを生産するための少なくとも1の熱可塑性ビニルポリマーを含む組成物中の引裂促進剤としての粒子材料の使用に関連する。好ましい粒子材料は、無機鉱物材料及び有機充填剤材料又は2以上のこれらの混合物の群から選択される。適切な有機引裂促進剤の例としては、シェルの内側に発泡剤が含まれた伸縮可能なミクロスフェア又はいわゆるコア・シェル材料、1以上の発泡剤又は2以上の前述の材料の混合物が挙げられる。適切な無機引裂促進剤の例は、上述のもの又は2以上のそれらの混合物である。前述の粒子材料の粒子は、通常、平均粒子サイズが0.005と50μmの間、好ましくは0.005と40μmの間であろう。
本発明はまた、上述の通り可塑化ビニルポリマー材料の柔軟な成形スキン又はシートを生産するための組成物に関連し、該組成物は、30.0から50.0質量%の上述の可塑剤及び0.1から7.5質量%の上述の引裂促進剤の粒子、通常、40.0-60.0質量%の1以上の上述のビニルポリマー及び1.0-20.0質量%の通常の添加剤を含む100質量%の残部を含む。本発明の組成物は、柔軟なシートのスラッシュ成形における使用を意図しており、一般に、ポリマー粒子、特にビニルポリマー又は上述の更なるポリマーとのブレンド、1以上の上述の可塑剤、及び通常1から20質量%、好ましくは3-10質量%の顔料、充填剤、安定化剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、剥離剤、加工助剤及び潤滑剤のような通常の添加剤を含むであろう。
【0025】
本発明はまた、少なくとも1のエアバッグを受け入れるための少なくとも1の開口部を伴う剛性キャリアを含む積層体に関連し、剛性キャリアの1側面の少なくとも一部にポリマー発泡体の層が接着し、少なくともポリマー発泡体層のキャリアに面する側の反対の側の一部が上述の組成物を上述のとおりスラッシュ成形して生産された柔軟なスキンに接着する。柔軟なスキンは通常連続シートの形状をとり、柔軟なフォームの表面を覆っている。本発明による積層体は、カバーシートが基礎をなすポリマー発泡体から剥離するリスクを最小にして、膨らんだエアバッグがテアシームに沿って柔軟なスキンの速やかな引裂を引き起こす、という有利な点を示す。これは、遊離した粒子が形成され、乗客に向かっていくというリスクを最小化することができるため、重要な有利な点である。
本発明の積層体に含まれるエアバッグ弱化線は、例えばU字形、H字形、又は二重Y字形のように当業者によって適切と考えられる任意の形状を取ってよいが、その他の形状も同様に用いてもよい。本発明の積層体は、エアバッグの膨張に伴い、乗客に向かって動く一つのドアを提供し、自動車の窓に向かって動く他方のドアを提供する、H字形エアバッグの開口部に用いるのに特に適切である。
【0026】
本発明の積層体を構成する材料の層の厚さは、当該技術分野で頻繁に用いられるものであってよい。例えば、本発明の積層体は、
-0.5及び10mmの間、好ましくは0.9及び8mmの間の厚さを有するポリマー発泡体層
-好ましくはビニルポリマー製の柔軟なシート、さらに好ましくは上述の組成物のスラッシュ成形で生産されたポリ塩化ビニルの層で、0.5と2mmの間、好ましくは0.7と1.5mmの間の厚さを有するもの
を含んでよい。
上述の記載から、本発明は、特に、特定の引裂促進剤の、ビニルポリマーの柔軟なシートを生産するための組成物中における使用が、長年にわたる当該技術分野における、柔軟なシートに施された弱化線又は引裂線の可視化の最小化と、低温(例えば-35℃)で十分速やかにエアバッグを開放させつつ飛散粒子の生成リスクを、膨れ及び高温(例えば80℃)における飛散粒子生成のリスクと同様に最小化することとの妥協に解決法を提供することが結論付けられよう。
本発明は更に添付図及びその説明によって例示される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a図1aは、公知の組成物のスラッシュ成形で得られた柔軟なPVCシートを速やかに引裂いたものである。
図1b図1bは、本発明による組成物のスラッシュ成形で得られた柔軟なPVCシートを速やかに引裂いたものである。
【実施例0028】
本発明は更に下記実施例によって説明される。
実施例1-4
柔軟なカバーシートを生産するための組成物を、
-100質量部の、K値が65と70の間であって、平均粒子サイズが100-200μmのポリ塩化ビニルポリマー
-下記表に示されたとおり様々な量のタルク。平均粒子サイズが8.2μm、表面積が5m2/gのタルクを用いた。
-及び通常の添加剤、安定化剤、充填剤、加工助剤及び潤滑剤
をブレンドすることによって調製した。
該組成物を以下の通りスラッシュ成形に供した。
-金型は200と250℃の間の温度に加熱した。
-粉体箱を金型に取り付けた。
-粉体箱と金型は時計回り及び反時計回りに2回まわした。
-金型を180度回転し、粉体箱からクランプを外した。
-このように生産された柔軟なスキンを積極的に室温に冷却し、金型から外した。
引張強さ及び 破断伸びをISO527-2の5A試験片に従って測定し、引裂抵抗をISO34-1のB方法、A手続に従って測定し、柔軟なシートをマニュアル引裂試験に供した。結果は下記表1にまとめている。
【0029】
【表1】

上記表にまとめられた測定結果より、最小量のタルクの存在が、トラウザ形試験片引張強さを減少させ、 破断伸びの減少を引き起こすように見える。材料の強度の代表である引裂抵抗は、しかしながら、減少せず、引裂促進剤の存在によっても悪影響を受けなかった。更に、添付の画像及びマニュアル引裂試験から、最小量のタルクの存在(図1b)はより脆い引裂挙動と材料の開放の円滑化をもたらすことを観察することができる。一方でタルクが存在しないと、図1aに認められるように、引裂線に沿って材料の塑性変形とともにより延性のある引裂挙動が観察された。
【0030】
実施例5-6
実施例1-4を今回は2質量%の下記種類の引裂促進剤を用いて繰り返した。
-メタブレンはコア・シェル材料であり、商業的に三菱レーヨンより入手可能である。
-パラロイドはアクリルポリマーであり、ダウケミカルより入手可能である。
引張強さ、 破断伸び及びトラウザ形試験片引張強さを上述の方法で測定した。結果を下記表2に示す。
【0031】
【表2】

実施例5及び6から、本発明による引裂促進剤をある量組み込むことで、引張強さ、破断伸び及びトラウザ形試験片引張強さが参照例1に比較して減少し、柔軟なPVCスキンを得ることができることを見ることができる。トラウザ形試験片引張強さの減少は、一度引裂が開始すると、スキンが一定の引裂力に供されるとき、引裂が参照例1に比較して高速で進み、進行にあたっては一定の引裂速度に従って小さな力を要することを示す。
破断伸びの減少のため、高温に供された場合は当然スキンが膨らむリスクが低減されよう。これは、柔軟なスキンが下部発泡体構造から剥離し、粒子が車両空間に向かっていくことと関連しうるため、重要である。
【0032】
比較実験
実施例1-4を今回は様々な濃度のCLOISITEを引裂促進剤として用いて繰り返した。結果を下記表3に示す。
【0033】
【表3】
図1a
図1b
【手続補正書】
【提出日】2022-03-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグカバーのための柔軟な成形スキンであって、該スキンは少なくとも1の、引裂促進剤の粒子がその中に分散された可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートを含み、該引裂促進剤粒子は、ビニルポリマー材料の融点を上回る融点を有し、該引裂促進剤の粒子が、1以上の発泡剤粒子、無機鉱物材料、有機充填剤材料及びミクロスフェア又は2以上の前記材料の混合物の群から選択され、該引裂促進剤の粒子はビニルポリマー粒子の外側表面に吸着されており、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートは、少なくとも0.1質量%及び最大7.5質量%の引裂促進剤を含み、かつ可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートは、ISO527-1及び-2試験片5Aに従って室温で測定された200.0%と400.0%の間の破断伸びと、ISO34-1試験方法Aに従って測定された最大25N/mmのトラウザ形試験片引裂強さを有する柔軟な成形スキン。
【請求項2】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、少なくとも215%、好ましくは少なくとも225.0%の破断伸びを有する、請求項1に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項3】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、最大375%、好ましくは最大350%、さらに好ましくは最大325%、最も好ましくは最大300%、特に最大275%の破断伸びを有する、請求項1又は2に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項4】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、最大22.5N/mm、好ましくは最大20N/mm、より好ましくは最大18N/mm、最も好ましくは最大17N/mmのトラウザ形試験片引裂強さを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項5】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、少なくとも5N/mm、好ましくは少なくとも7.5N/mmのトラウザ形試験片引裂強さを有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項6】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、ISO527-2試験片5Aによって測定した、2N/mm2と11N/mm2の間、好ましくは2N/mm2と10N/mm2の間、より好ましくは2N/mm2と9N/mm2の間の引張強さを有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項7】
引裂促進剤が、0.005μmと50μmの間、好ましくは0.005μmと40μmの間の平均粒子サイズを有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項8】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、シートの質量に対して引裂促進剤を、なくとも0.5質量%、ましくは少なくとも1.0質量%、より好ましくは少なくとも1.25質量%、最も好ましくは少なくとも1.50質量%、及び.0質量%未満、ましくは3.0質量%未満、より好ましくは2.75質量%未満含む、請求項1からのいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項9】
引裂促進剤が無機鉱物材料であり、該鉱物引裂促進剤の粒子が細長い形状を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項10】
引裂促進剤が、針状又は板状の無機材料又はその混合物の群から選択される材料を含む、請求項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項11】
引裂促進剤の粒子の最小寸法に対する該粒子の最大寸法のアスペクト比が、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも20、最も好ましくは少なくとも25、特に少なくとも40、より特定的には少なくとも50である、請求項又は10に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項12】
引裂促進剤が、シリケート、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート、マグネシウムアルミニウムカルボナート等のようなカルボナート、特にマイカ、タルク、クレイ、バーミキュライト、珪灰石、ゼオライト、ハイドロタルサイト、石膏又は前記材料の2以上の混合物の群から選択される1以上の無機鉱物材料を含む、請求項から11のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項13】
細長い形状の粒子が、少なくともアスペクト比5.0を有し、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートの総質量に対して、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.5質量%、より好ましくは少なくとも1.0質量%、最も好ましくは少なくとも2.0質量%、及び最大4.0質量%、好ましくは3.0質量%未満、特に2.75質量%未満の量で可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートに含まれる、請求項9から12のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項14】
引裂促進剤が、二酸化チタン、白墨、カルシウムスルファート、バリウムスルファート、又はその2以上の混合物の群から選択され、最大5.0のアスペクト比を有する、1以上の無機材料を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項15】
前記粒子が、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートの質量に対して、少なくとも2.0質量%、好ましくは少なくとも3.0質量%、好ましくは少なくとも4.0質量%、及び7.5質量%未満の量で可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートに含まれる、請求項14に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項16】
引裂促進剤が、最大5.0のアスペクト比を有し、ソフトラバーコアの第1ポリマーが、少なくとも1の異なる組成の第2ポリマーとグラフト化された、1以上のコアシェル材料を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項17】
コアシェル材料の可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシート中の濃度が、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートの質量に対して、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.5質量%、より好ましくは少なくとも1.0質量%、最も好ましくは少なくとも2.0質量%、及び最大7.5質量%、好ましくは最大6.0質量%、より好ましくは最大5.0質量%である、請求項16に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項18】
引裂促進剤が、最大5.0のアスペクト比と、発泡剤を充填した伸縮性熱可塑性材料のシェルを有する、伸縮性ミクロスフェアを含む、請求項1からのいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項19】
伸縮性ミクロスフェアの可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシート中の濃度が、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートの質量に対して、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.15質量%、より好ましくは少なくとも0.3質量%、及び最大7.5質量%、好ましくは最大5.0質量%、より好ましくは最大4.0質量%、最も好ましくは最大3.0質量%、特に最大2.0質量%である、請求項18に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項20】
可塑化ビニルポリマーが、ポリ塩化ビニル、好ましくはK値が少なくとも50及び最大80であるポリ塩化ビニルを含む、請求項1から19のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項21】
可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、少なくとも1の可塑剤組成物を、30質量%-50質量%、好ましくは37.0質量%-47.0質量%、より好ましくは37.0質量%-45.0質量%含む、請求項1から20のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項22】
可塑剤組成物が、アゼラート、トリメリタート、セバカート、アジパート、フタラート、シトラート、ベンゾアート、タラート、グルタラート、フマラート、マレアート、オレアート、パルミタート又はアセタートの群から選択される少なくとも1のモノマー性化合物を含む、請求項21に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項23】
可塑剤組成物が、可塑剤の総量対して、ポリマー性可塑剤又は高分子量モノマー性可塑剤であって分子量が少なくとも350のものを少なくとも10質量%含む、請求項21又は22に記載の柔軟な成形スキン。
【請求項24】
少なくとも1のエアバッグを受け入れるための、少なくとも1の開口部を含む剛性キャリアを含む積層体であって、該剛性キャリアの片側の少なくとも一部に対してポリマー発泡体層が接着し、キャリアに面する側と反対側のポリマー発泡体層の片側の少なくとも一部が請求項1から23のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキンに接着する、積層体。
【請求項25】
ポリマー発泡体がポリウレタンフォームまたはPVCフォームである、請求項24に記載の積層体。
【請求項26】
柔軟な成形スキンが、剛性キャリア中の少なくとも1のエアバッグ開口部の範囲を定める端に対応する位置に少なくとも1の材料弱化線を含む、請求項24又は25に記載の積層体。
【請求項27】
エアバッグ開口部が実質的に、U字型、H字型又は二重Y字型である、請求項24から26のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項28】
請求項1から23のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキンを生産する方法であって、熱可塑性ビニルポリマー材料の粒子、引裂促進剤の粒子及び少なくとも1の可塑剤を含む混合物を生産するステップ、該混合物をスラッシュ成形装置の金型に供給するステップ、該金型を200℃と250℃の間に加熱するステップ、該混合物を、スラッシュ成形してビニルポリマーを可塑化し柔軟なスキンを生産するステップ、及びその後、柔軟なスキンを金型から外し、冷ますステップを含む、方法。
【請求項29】
混合物が、少なくとも1の引裂促進剤の粒子を0.1質量%-7.5質量%、及び少なくとも1の可塑剤を30.0質量%-50.0質量%含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1から23のいずれか1項に記載の柔軟なスキンを生産するための組成物であって、該組成物は、少なくとも1の可塑剤を30.0質量%-50.0質量%、少なくとも1の引裂促進剤の粒子を0.1質量%-7.5質量%、1以上のビニルポリマーを40.0-60.0質量%、及び通常の残部添加剤を1.0-20.0質量%含む、組成物。
【請求項31】
1以上の発泡剤粒子、無機鉱物材料、有機充填剤材料及びミクロスフェア又は前記材料の2以上の混合物の群から選択される粒子材料の使用であって、前記粒子材料の粒子は、平均粒子サイズが0.005μmと50μmの間であり、好ましくは、0.005μmと40μmの間であり、組成物中の引裂促進剤として、請求項1~23のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン又は請求項24から27のいずれか1項に記載の積層体を生産するため、少なくとも1の熱可塑性ビニルポリマーを含み、該柔軟なシートが、200%と400%の間の破断伸び及び最大25N/mmのトラウザ形試験片引裂強さを有する、使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
【表3】
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕エアバッグカバーのための柔軟な成形スキンであって、該スキンは少なくとも1の、引裂促進剤の粒子がその中に分散された可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートを含み、該引裂促進剤粒子は、ビニルポリマー材料の融点を上回る融点を有し、可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートは、ISO527-1及び-2試験片5Aに従って室温で測定された200.0%と400.0%の間の破断伸びと、ISO34-1試験方法Aに従って測定された最大25N/mmのトラウザ形試験片引裂強さを有することで特徴づけられる、柔軟な成形スキン。
〔2〕可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、少なくとも215%、好ましくは少なくとも225.0%の破断伸びを有する、前記〔1〕に記載の柔軟な成形スキン。
〔3〕可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、最大375%、好ましくは最大350%、さらに好ましくは最大325%、最も好ましくは最大300%、特に最大275%の破断伸びを有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の柔軟な成形スキン。
〔4〕可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、最大22.5N/mm、好ましくは最大20N/mm、より好ましくは最大18N/mm、最も好ましくは最大17N/mmのトラウザ形試験片引裂強さを有する、前記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔5〕可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、少なくとも5N/mm、好ましくは少なくとも7.5N/mmのトラウザ形試験片引裂強さを有する、前記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔6〕可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、ISO527-2試験片5Aによって測定した、2N/mm 2 と11N/mm 2 の間、好ましくは2N/mm 2 と10N/mm 2 の間、より好ましくは2N/mm 2 と9N/mm 2 の間の引張強さを有する、前記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔7〕引裂促進剤の粒子が、1以上の発泡剤粒子、無機鉱物材料、有機充填剤材料及びミクロスフェア又は2以上の前記材料の混合物の群から選択される、前記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔8〕引裂促進剤が、0.005μmと50μmの間、好ましくは0.005μmと40μmの間の平均粒子サイズを有する、前記〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔9〕可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、シートの質量に対して引裂促進剤を、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.5質量%、より好ましくは少なくとも1.0質量%、最も好ましくは少なくとも1.25%、特に少なくとも1.50質量%、及び7.5質量%未満、好ましくは5.0質量%未満、より好ましくは3.0質量%未満、特に2.75質量%未満含む、前記〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔10〕引裂促進剤が無機鉱物材料であり、該鉱物引裂促進剤の粒子が細長い形状を有する、前記〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔11〕引裂促進剤が、針状又は板状の無機材料又はその混合物の群から選択される材料を含む、前記〔10〕に記載の柔軟な成形スキン。
〔12〕引裂促進剤の粒子の最小寸法に対する該粒子の最大寸法のアスペクト比が、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも20、最も好ましくは少なくとも25、特に少なくとも40、より特定的には少なくとも50である、前記〔10〕又は〔11〕に記載の柔軟な成形スキン。
〔13〕引裂促進剤が、シリケート、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート、マグネシウムアルミニウムカルボナート等のようなカルボナート、特にマイカ、タルク、クレイ、バーミキュライト、珪灰石、ゼオライト、ハイドロタルサイト、石膏又は前記材料の2以上の混合物の群から選択される1以上の無機鉱物材料を含む、前記〔10〕から〔12〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔14〕引裂促進剤が、二酸化チタン、白墨、カルシウムスルファート、バリウムスルファート、又はその2以上の混合物の群から選択され、最大5.0のアスペクト比を有する、1以上の無機材料を含む、前記〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔15〕引裂促進剤が、最大5.0のアスペクト比を有し、ソフトラバーコアの第1ポリマーが、少なくとも1の異なる組成の第2ポリマーとグラフト化された、1以上のコアシェル材料を含む、前記〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔16〕引裂促進剤が、最大5.0のアスペクト比と、発泡剤を充填した伸縮性熱可塑性材料のシェルを有する、伸縮性ミクロスフェアを含む、前記〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔17〕可塑化ビニルポリマーが、ポリ塩化ビニル、好ましくはK値が少なくとも50及び最大80であるポリ塩化ビニルを含む、前記〔1〕から〔16〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔18〕可塑化熱可塑性ビニルポリマー材料のシートが、少なくとも1の可塑剤組成物を、30質量%-50質量%、好ましくは37.0質量%-47.0質量%、より好ましくは37.0質量%-45.0質量%含む、前記〔1〕から〔17〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン。
〔19〕可塑剤組成物が、アゼラート、トリメリタート、セバカート、アジパート、フタラート、シトラート、ベンゾアート、タラート、グルタラート、フマラート、マレアート、オレアート、パルミタート又はアセタートの群から選択される少なくとも1のモノマー性化合物を含む、前記〔18〕に記載の柔軟な成形スキン。
〔20〕可塑剤組成物が、可塑剤の総量対して、ポリマー性可塑剤又は高分子量モノマー性可塑剤であって分子量が少なくとも350のものを少なくとも10質量%含む、前記〔18〕又は〔19〕に記載の柔軟な成形スキン。
〔21〕少なくとも1のエアバッグを受け入れるための、少なくとも1の開口部を含む剛性キャリアを含む積層体であって、該剛性キャリアの片側の少なくとも一部に対してポリマー発泡体層が接着し、キャリアに面する側と反対側のポリマー発泡体層の片側の少なくとも一部が前記〔1〕から〔20〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキンに接着する、積層体。
〔22〕ポリマー発泡体がポリウレタンフォームまたはPVCフォームである、前記〔21〕に記載の積層体。
〔23〕柔軟な成形スキンが、剛性キャリア中の少なくとも1のエアバッグ開口部の範囲を定める端に対応する位置に少なくとも1の材料弱化線を含む、前記〔21〕又は〔22〕に記載の積層体。
〔24〕エアバッグ開口部が実質的に、U字型、H字型又は二重Y字型である、前記〔21〕から〔23〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔25〕前記〔1〕から〔20〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキンを生産する方法であって、熱可塑性ビニルポリマー材料の粒子、引裂促進剤の粒子及び少なくとも1の可塑剤を含む混合物を生産するステップ、該混合物をスラッシュ成形装置の金型に供給するステップ、該金型を200℃と250℃の間に加熱するステップ、該混合物を、スラッシュ成形してビニルポリマーを可塑化し柔軟なスキンを生産するステップ、及びその後、柔軟なスキンを金型から外し、冷ますステップを含む、方法。
〔26〕混合物が、少なくとも1の引裂促進剤の粒子を0.1質量%-7.5質量%、及び少なくとも1の可塑剤を30.0質量%-50.0質量%含む、前記〔25〕に記載の方法。
〔27〕前記〔1〕から〔20〕のいずれか1項に記載の柔軟なスキンを生産するための組成物であって、該組成物は、少なくとも1の可塑剤を30.0質量%-50.0質量%、少なくとも1の引裂促進剤の粒子を0.1質量%-7.5質量%、1以上のビニルポリマーを40.0-60.0質量%、及び通常の残部添加剤を1.0-20.0質量%含む、組成物。
〔28〕1以上の発泡剤粒子、無機鉱物材料、有機充填剤材料及びミクロスフェア又は前記材料の2以上の混合物の群から選択される粒子材料の使用であって、前記粒子材料の粒子は、平均粒子サイズが0.005μmと50μmの間であり、好ましくは、0.005μmと40μmの間であり、組成物中の引裂促進剤として、前記〔1〕~〔20〕のいずれか1項に記載の柔軟な成形スキン又は前記〔21〕から〔24〕のいずれか1項に記載の積層体を生産するため、少なくとも1の熱可塑性ビニルポリマーを含み、該柔軟なシートが、200%と400%の間の破断伸び及び最大25N/mmのトラウザ形試験片引裂強さを有する、使用。
【外国語明細書】