(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079496
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】貨幣払出管理システム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20220519BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20220519BHJP
G06Q 20/20 20120101ALI20220519BHJP
【FI】
G07G1/12 321P
G07G1/12 341Z
G07G1/00 331A
G06Q20/20
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038915
(22)【出願日】2022-03-14
(62)【分割の表示】P 2017232032の分割
【原出願日】2017-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】黒塚 浩史
(57)【要約】
【課題】複数用途での貨幣の払出を円滑に行うこと。
【解決手段】POSレジ20は、現金で引き出す引出金額の入力を受け付けると(S1)、引出可否判定要求を釣銭機30に送信する(S2a)。釣銭機30は、引出可否判定要求に示された引出金額と、在高データと、釣銭用確保量データとを用いて引出可否を判定し(S2b)、判定結果をPOSレジ20に送信する(S2c)。POSレジ20は、判定結果が「引出不可」であれば、貨幣の払出が行えない旨を報知する。判定結果が「引出可」であれば、デビット端末70への決済要求金額通知(S3)、デビットカードの読取(S4)、管理サーバ100への決済要求(S5)、決済許可の受信(S6、S7)、釣銭機30への出金指示(S8)を経て、釣銭機30からの現金が払い出される(S9)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入対象となる商品を登録する登録手段と、前記登録手段により登録された商品の合計金額を算出する算出手段とを有する金銭登録機と、前記金銭登録機から出力された情報に基づいて貨幣を払い出す貨幣処理装置とを備え、
前記金銭登録機は、
キャッシュアウトサービスにおける引出金額を引き落とす際の金種と枚数の情報を取得する受付手段と、
顧客が提示した媒体の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記媒体の情報に基づいて前記引出金額の引出処理に対応可能な残高が顧客の口座に存在するか否かの確認を要求する要求手段と、
前記引出金額の情報を出力する決済処理手段とを有し、
前記貨幣処理装置は、
前記決済処理手段により出力された前記引出金額の情報を入力し、入力した前記引出金額の情報に基づいて貨幣を払い出す
貨幣払出管理システム。
【請求項2】
前記貨幣処理装置は複数設けられ、
前記金銭登録機は、前記決済処理手段により出力されたキャッシュアウトサービスを行うべき貨幣処理装置の案内情報を含むレシートを印字する印字手段を有する請求項1に記載の貨幣払出管理システム。
【請求項3】
前記印字手段は、前記引出金額の情報を含むレシートを印字し、
前記貨幣処理装置は、
前記レシートを読み取る読取手段を備え、前記読取手段が読み取った前記引出金額の情報に基づいて貨幣を払い出す請求項2に記載の貨幣払出管理システム。
【請求項4】
購入対象となる商品を登録する登録手段と、前記登録手段により登録された商品の合計金額を算出する算出手段とを有する金銭登録機と、前記金銭登録機から出力された情報に基づいて貨幣を払い出す複数の貨幣処理装置と、管理装置とを備え、
前記金銭登録機は、
キャッシュアウトサービスにおける引出金額を引き落とす際の金種と枚数の情報を取得する受付手段と、
顧客が提示した媒体の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記媒体の情報に基づいて前記引出金額の引出処理に対応可能な残高が顧客の口座に存在するか否かの確認を要求する要求手段と、
前記引出金額の情報を出力する決済処理手段とを有し、
前記管理装置は、
前記決済処理手段により出力された前記引出金額の情報を入力し、入力した前記引出金額の情報に基づいて前記複数の貨幣処理装置のうち前記引出金額の情報に基づいて貨幣の払い出しが可能な貨幣処理装置を判定する
貨幣払出管理システム。
【請求項5】
購入対象となる商品を登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された商品の合計金額を算出する算出手段と、
前記登録手段から出力された情報に基づいて貨幣を払い出す複数の貨幣処理装置と、
キャッシュアウトサービスにおける引出金額を引き落とす際の金種と枚数の情報を取得する受付手段と、
顧客が提示した媒体の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記媒体の情報に基づいて前記引出金額の引出処理に対応可能な残高が顧客の口座に存在するか否かの確認を要求する要求手段と、
前記引出金額の情報を出力する決済処理手段と
を有し、
前記貨幣処理装置は、
前記決済処理手段により出力された前記引出金額の情報を入力し、入力した前記引出金額の情報に基づいて貨幣を払い出す
貨幣払出管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POSレジ等の登録装置を用いて効率的にキャッシュアウトを行うことができる貨幣払出管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の各種店舗には、販売時点管理機能を有する金銭登録機(以下、「POSレジ」と言う)と、該POSレジと通信可能に接続された貨幣処理装置(以下、「釣銭機」と言う)とが配設されることが多い。例えば、店員がPOSレジのバーコードリーダにより商品に付されたバーコードを読み取って商品の価格を特定するとともに、店員が顧客から受け取った貨幣を釣銭機に投入すると、該釣銭機から釣銭が出金される。
【0003】
また、このような商品購入の決済用途に加え、POSレジ及び釣銭機を他の用途に用いることも考えられている。例えば、特許文献1には、顧客のデビットカードを用いて、顧客の銀行の預金口座から引き落とした現金を顧客に提供することができるキャッシュアウト処理システムを開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のものは、顧客が購入する商品とともに、レジカウンタに持参した商品札からキャッシュアウトを希望する金額を読み取り、読み取った金額と、顧客が購入する商品の差額にあたる現金を、現金決済端末から払い出すものであるため、商品札の利用が前提となり、効率的ではない。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、POSレジ等の登録装置を用いて効率的にキャッシュアウトを行うことができる貨幣払出管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、購入対象となる商品を登録する登録手段と、前記登録手段により登録された商品の合計金額を算出する算出手段とを有する金銭登録機と、前記金銭登録機から出力された情報に基づいて貨幣を払い出す貨幣処理装置とを備え、前記金銭登録機は、キャッシュアウトサービスにおける引出金額を引き落とす際の金種と枚数の情報を取得する受付手段と、顧客が提示した媒体の情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記媒体の情報に基づいて前記引出金額の引出処理に対応可能な残高が顧客の口座に存在するか否かの確認を要求する要求手段と、前記引出金額の情報を出力する決済処理手段とを有し、前記貨幣処理装置は、前記決済処理手段により出力された前記引出金額の情報を入力し、入力した前記引出金額の情報に基づいて貨幣を払い出す。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記貨幣処理装置は複数設けられ、前記金銭登録機は、前記決済処理手段により出力されたキャッシュアウトサービスを行うべき貨幣処理装置の案内情報を含むレシートを印字する印字手段を有する。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記印字手段は、前記引出金額の情報を含むレシートを印字し、前記貨幣処理装置は、前記レシートを読み取る読取手段を備え、前記読取手段が読み取った前記引出金額の情報に基づいて貨幣を払い出す。
【0010】
また、本発明は、購入対象となる商品を登録する登録手段と、前記登録手段により登録された商品の合計金額を算出する算出手段とを有する金銭登録機と、前記金銭登録機から出力された情報に基づいて貨幣を払い出す複数の貨幣処理装置と、管理装置とを備え、前記金銭登録機は、キャッシュアウトサービスにおける引出金額を引き落とす際の金種と枚数の情報を取得する受付手段と、顧客が提示した媒体の情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記媒体の情報に基づいて前記引出金額の引出処理に対応可能な残高が顧客の口座に存在するか否かの確認を要求する要求手段と、前記引出金額の情報を出力する決済処理手段とを有し、前記管理装置は、前記決済処理手段により出力された前記引出金額の情報を入力し、入力した前記引出金額の情報に基づいて前記複数の貨幣処理装置のうち前記引出金額の情報に基づいて貨幣の払い出しが可能な貨幣処理装置を判定する。
【0011】
また、本発明は、購入対象となる商品を登録する登録手段と、前記登録手段により登録された商品の合計金額を算出する算出手段と、前記登録手段から出力された情報に基づいて貨幣を払い出す複数の貨幣処理装置と、キャッシュアウトサービスにおける引出金額を引き落とす際の金種と枚数の情報を取得する受付手段と、顧客が提示した媒体の情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記媒体の情報に基づいて前記引出金額の引出処理に対応可能な残高が顧客の口座に存在するか否かの確認を要求する要求手段と、前記引出金額の情報を出力する決済処理手段とを有し、前記貨幣処理装置は、前記決済処理手段により出力された前記引出金額の情報を入力し、入力した前記引出金額の情報に基づいて貨幣を払い出す。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、POSレジ等の登録装置を用いて効率的にキャッシュアウトを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施例に係る貨幣払出管理システムの概念を説明するための説明図である。
【
図2】
図2は、POSレジ、釣銭機及びデビット端末の外観構成を示す外観構成図である。
【
図3】
図3は、POSレジ及び釣銭機の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、紙幣処理ユニットの構成を示す構成図である。
【
図5】
図5は、硬貨処理ユニットの構成を示す構成図である。
【
図6】
図6は、デビット端末の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、POSレジの引出に係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、デビット決済に係る処理手順の説明図である。
【
図9】
図9は、釣銭機における表示例についての説明図である。
【
図10】
図10は、POSレジが引出可否判定を行う場合の説明図である。
【
図11】
図11は、店舗に設けられた管理装置が引出可否判定を行う場合の説明図である。
【
図12】
図12は、管理装置が複数の釣銭機の在高を管理する構成についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0014】
以下、添付図面を参照して、本実施例に係る貨幣払出管理システムの好適な実施例を詳細に説明する。本実施例では、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店内に配設された貨幣払出管理システムに本発明を適用した場合を示すこととする。
【0015】
<本発明に係る貨幣払出管理システムの概念>
図1は、本実施例に係る貨幣払出管理システムの概念を説明するための説明図である。コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗内には、販売時点管理機能を有する金銭登録機であるPOSレジ20と、POSレジ20に接続され、顧客から店員が受け取った現金に応じた釣銭を出金すると共に受け取った現金を収納する釣銭機30とが設置されている。
【0016】
POSレジ20は、顧客による商品の購入に伴って、取引処理を実行する。具体的には、まず、POSレジ20は、顧客が購入する商品データの入力を受け付けて、商品の価格の合計である購入金額を算定する。また、釣銭機30は、顧客から店員が受け取った貨幣の投入を受け付け、その合計金額を投入貨幣金額としてPOSレジ20に通知する。POSレジ20は、投入貨幣金額が購入金額を超える場合には、釣銭機30に釣銭の払い出しを行わせる。
【0017】
また、
図1に示した構成では、POSレジ20及び釣銭機30に加え、デビット端末70を配置している。デビット端末70は、POSレジ20に接続されるとともに、店舗10の外部の管理サーバ100と接続され、デビット決済に係る処理を実行する。
【0018】
デビット決済とは、金融機関等の預金口座に対応付けられたデビットカードを用い、預金口座から決済金額を引き落とすことで行う決済である。顧客が商品の購入を行う場合には、購入金額が決済金額となる。このように、商品の購入にデビットカードを用いる他、本実施例に係る貨幣払出管理システムでは、デビットカードを現金の引き出し、すなわちキャッシュアウトに用いることを可能としている。
【0019】
具体的には、POSレジ20は、現金で引き出す引出金額の入力を受け付けると(S1)、引出金額を含む引出可否判定要求を釣銭機30に送信する(S2a)。釣銭機30は、自装置の内部に収納された貨幣の金種別数量である在高を在高データとして記憶するとともに、釣銭用に確保するべき金種別の貨幣の枚数を釣銭用確保量として示す釣銭用確保量データを記憶している。そして、引出可否判定要求を受信したならば、釣銭機30は、引出可否判定要求に示された引出金額と、在高データと、釣銭用確保量データとを用いて引出可否を判定する(S2b)。
【0020】
具体的には、釣銭機30は、引出金額分の貨幣を払い出した場合に、在高が釣銭用確保量を下回る金種が存在するならば、貨幣の払出を行えない、すなわち引出不可と判定する。一方、引出金額分の貨幣を払い出しても全ての金種の在高が釣銭用確保量以上であるならば、貨幣の払い出しが可能、すなわち引出可と判定する。釣銭機30は、引出可否判定を行ったならば、引出可否判定の結果をPOSレジ20に送信する(S2c)。
【0021】
POSレジ20は、釣銭機30から引出不可との判定結果を受信したならば、貨幣の払出が行えない旨の報知を行う。この報知は、例えばPOSレジ20の表示部に表示制御することで行ってもよいし、釣銭機30の表示部に表示制御させることで行ってもよい。また、POSレジ20が釣銭機30に表示制御させるのではなく、引出不可と判定した時点で釣銭機30が貨幣の払出が行えない旨の報知を実行するとともに、POSレジ20に引出不可を通知する構成であってもよい。
【0022】
一方、釣銭機30から引出可との判定結果を受信したならば、POSレジ20は、引出金額を決済要求金額としてデビット端末70に通知する(S3)。デビット端末70は、POSレジ20から決済要求金額の通知を受けると、利用者である顧客の提示したデビットカードから識別情報を読み取り(S4)、デビットカードの識別情報と決済要求金額とを含む決済要求を管理サーバ100に送信する(S5)。
【0023】
管理サーバ100は、デビット端末70から決済要求を受信すると、デビットカードの識別情報に対応付けられた預金口座から決済要求金額の引き落しが可能であるか否かを判定する。決済要求金額の引き落としが可能であれば、決済要求金額を決済金額として預金口座から引き落とし、決済許可をデビット端末70に送信する(S6)。
【0024】
デビット端末70は、管理サーバ100から受信した決済許可をPOSレジ20に通知する(S7)。POSレジ20は、デビット端末70から決済許可を受信すると、釣銭機30に引出金額分の出金指示を送信する(S8)。釣銭機30は、POSレジ20からの出金指示を受けて引出金額分の現金を払い出す(S9)。
【0025】
このように、本実施例に係る貨幣払出管理システムでは、釣銭機30が貨幣の在高を示す在高データを記憶するとともに、第1の用途である釣銭のために確保すべき貨幣の数量を釣銭用確保量データとして記憶し、POSレジ20が第2の用途であるキャッシュアウト用の引出金額を受け付けた場合に、在高データ及び釣銭用確保量データに基づいて引出金額分の貨幣の払出の可否を判定し、引出金額分の貨幣の払出を行えないと判定した場合には貨幣の払出が行えない旨の報知を行う。このため、キャッシュアウトにより釣銭用の貨幣が不足して以降の取引における現金決済処理が阻害される事態を防止し、円滑な貨幣の払出を実現することができる。
【0026】
なお、引出金額の受付は、POSレジ20の操作者である店員が入力することとしてもよいが、引出金額を示すコードを含んだカードをレジ横等に設置しておき、顧客が指定したカードの読取操作を店員が行う構成とすることが好適である。
【0027】
また、
図1では、引出金額分の貨幣を払い出した場合に、在高が釣銭用確保量を下回る金種が存在するならば、貨幣の払出を行えない、すなわち引出不可と判定している。これに限らず、引出金額分の貨幣を払い出した場合に、在高が釣銭用確保量を下回る金種が存在するときに直ちに引出不可と判定するのではなく、引出に制限を設けるよう構成してもよい。例えば、引出回数に制限を設定したならば、在高が釣銭用確保量を下回る金種が存在する状態となった後、所定回数(例えば1回)のみ引出が可能となり、所定回数に達した後、引出不可と判定することになる。
【0028】
かかる構成を用いれば、引出不可と判定されるタイミングを事前に店員が把握できるため、引出に係る処理を開始する前に顧客に引出が行えない旨を伝えることができる。なお、制限の設定や、設定後の引出の実行状況については、POSレジ20などを介して報知することが望ましい。
【0029】
<装置の構成>
次に、各装置の構成について説明する。
図2は、POSレジ20、釣銭機30及びデビット端末70の外観構成を示す外観構成図である。
図2に示すように、POSレジ20は、操作者用の表示部21a、顧客用の表示部21b、操作キー等の操作部21c及びバーコードリーダ22を有する。また、デビット端末70は、カードリーダ72、表示部73及び操作部74を有する。
【0030】
釣銭機30は、紙幣処理ユニット40と、紙幣処理ユニット40の隣に並ぶよう配置された硬貨処理ユニット50とを備えており、紙幣処理ユニット40及び硬貨処理ユニット50の上方にPOSレジ20を載置することができる。
【0031】
紙幣処理ユニット40は、紙幣の入出金処理を行うユニットであり、紙幣挿入口41a及び紙幣払出口42aを有する。また、紙幣処理ユニット40は、後述する出金リジェクト部43及びカセット装着部44を有する。
【0032】
硬貨処理ユニット50は、硬貨の入出金処理を行うユニットであり、硬貨投入口51及び硬貨払出口55を有する。さらに、硬貨処理ユニット50は、釣銭機30の表示操作部56が設けられている。
【0033】
図3は、POSレジ20及び釣銭機30の機能構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、POSレジ20は、表示操作部21、バーコードリーダ22、カードリーダ23、印字部24、通信部25及びPOS制御部26を有する。
【0034】
表示操作部21は、表示部21a、表示部21b及び操作部21cによって操作者や顧客に対する情報出力と、操作者からの入力受付とを行う。バーコードリーダ22は、商品に付されたバーコードを読み取ることで商品の名称や価格等の情報を取得することができる。また、バーコードリーダ22は、引出金額を示すキャッシュアウト用のカードの読取にも用いられる。カードリーダ23は、クレジットカードやプリペイドカード等のペイメントカードによる精算時に用いられる。なお、ペイメントカードのうち、デビットカードについてはデビット端末70を用いる。
【0035】
印字部24は、取引内容を印字したレシートの発行に用いられる。レシートに印字される取引内容は、例えば日時、登録された商品の名称、価格、投入された貨幣の金額、釣銭の金額などである。通信部25は、釣銭機30、デビット端末70、外部のサーバなどとの通信を行う通信インタフェースである。
【0036】
POS制御部26は、POSレジ20を全体制御する制御部であり、購入商品登録部26a、購入金額算定部26b、決済処理部26c及び引出受付部26dを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、購入商品登録部26a、購入金額算定部26b、決済処理部26c及び引出受付部26dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0037】
購入商品登録部26aは、購入対象となる商品の登録を行う処理部である。具体的には、バーコードリーダ22が商品に付されたバーコードを読み取って商品の名称や価格等の情報を取得した場合に、購入商品登録部26aは、取得された情報を用いて商品の登録を行い、登録した商品を表示部21aなどに表示する。
【0038】
購入金額算定部26bは、購入商品登録部26aにより登録された全ての商品の価格を合計することで購入金額を算定し、表示部21aなどに表示する処理を行う。
【0039】
決済処理部26cは、購入金額算定部26bにより算定された購入金額の決済を行って取引を完了し、レシートの発行を行う処理部である。購入金額の決済は、ペイメントカードにより行ってもよいし、現金により行ってもよい。
【0040】
具体的には、決済処理部26cは、ペイメントカードによる決済が選択された場合には、カードリーダ23に挿入されたペイメントカードからカードID等の情報を取得し、購入金額とともに外部のサーバに送信することで決済を行う。デビット決済を用いる場合には、決済処理部26cは、購入金額を決済要求金額としてデビット端末70に通知することで決済を行う。
【0041】
また、決済処理部26cは、現金による決済が選択された場合には、釣銭機30に購入金額を送信し、釣銭機30が受け付けた貨幣の合計金額を受信し、必要に応じて釣銭分の貨幣の出金指示を釣銭機30に送信して決済を完了する。
【0042】
引出受付部26dは、バーコードリーダ22がキャッシュアウト用のカードに付されたコードから引出金額を取得したならば、引出金額を含む引出可否判定要求を釣銭機30に送信する。そして、釣銭機30から引出不可との判定結果を受信したならば、貨幣の払出が行えない旨を表示操作部21に表示制御することで報知する。もしくは、釣銭機30に表示制御の指示を送信することで報知を行わせてもよい。なお、釣銭機30が貨幣の払出が行えない旨の報知を実行する場合には、引出受付部26dは、が貨幣の払出が行えない旨の報知を行う必要は無い。
【0043】
引出受付部26dが釣銭機30から引出可との判定結果を受信したならば、決済処理部26cは、引出金額を決済要求金額としてデビット端末70に通知する。そして、デビット端末70から決済許可を受信したならば、決済処理部26cは、釣銭機30に引出金額分の出金指示を送信する。
【0044】
釣銭機30は、紙幣処理ユニット40及び硬貨処理ユニット50で構成されている。紙幣処理ユニット40は、紙幣を金種別に収納するユニットであり、硬貨処理ユニット50は硬貨を金種別に収納するユニットである。
【0045】
紙幣処理ユニット40は、通信部49a、紙幣受入部41、周回搬送部45、紙幣識別部46、紙幣収納部47、出金リジェクト部43、紙幣払出部42、カセット装着部44、紙幣記憶部48及び紙幣釣銭制御部49を備えている。通信部49aは、通信線を通して硬貨処理ユニット50とのデータ通信を行うためのインタフェース部である。紙幣処理ユニット40はPOSレジ20と直接通信線で接続されていないが、硬貨処理ユニット50を経由することによってPOSレジ20と通信することができるよう構成されている。
【0046】
紙幣記憶部48は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスであり、紙幣在高データ48aと、釣銭用確保量データ48bとを記憶する。
【0047】
紙幣在高データ48aは、紙幣処理ユニット40に収納されている紙幣の金種別の数量である収納在高と、出金可能な紙幣の金種別の数量である出金可能在高とを示すデータである。例えば、搬送異常等が発生した場合には、該当の紙幣は収納在高には含まれるが、出金可能在高には含まれない。具体例として、一万円札の収納在高100枚であるときに、3回の重送が発生したならば、出金可能在高は「100枚-2枚×3回=94枚」となる。また、認識不良により識別できなかった紙幣や、収納部等の容量を超えたなどに理由により繰り出し不能な領域に収納された紙幣も出金可能在高には含まれない。
【0048】
釣銭用確保量データ48bは、釣銭用に確保するべき金種別の紙幣の枚数を釣銭用確保量として示す。釣銭用確保量は、任意に設定可能であり、金種別に個別に設定してもよい。また、在高と比較して釣銭の補充を促すための閾値であるニアエンプティの値を釣銭用確保量として用いてもよい。
【0049】
紙幣釣銭制御部49は、紙幣処理ユニット40を制御する制御部であり、入金処理部49b及び出金処理部49cを有する。
【0050】
入金処理部49bは、紙幣の入金処理を行う処理部である。入金処理部49bは、POSレジ20から購入金額を受信した場合に、紙幣処理ユニット40に対する紙幣の挿入を許可する。
【0051】
その後、入金処理部49bは、紙幣処理ユニット40から挿入された紙幣の金種別の枚数を取得し、挿入された紙幣の合計金額を算定し、硬貨処理ユニット50の通信部を介してPOSレジ20に通知を送信する。
【0052】
出金処理部49cは、紙幣の出金処理を行う処理部である。具体的には、出金処理部49cは、硬貨処理ユニット50の通信部59aを介してPOSレジ20から出金指示を受けた場合に、出金指示に示された金額に応じて払い出すべき金種と枚数を決定し、紙幣の出金処理を行う。そして、釣銭の出金が正常に終了した場合には、硬貨処理ユニット50の通信部59aを介してPOSレジ20に通知する。
【0053】
硬貨処理ユニット50は、通信部59a、硬貨投入口51、入金硬貨搬送部52、硬貨識別部52a、硬貨収納部53、出金硬貨搬送部54、硬貨払出口55、表示操作部56、硬貨記憶部58及び硬貨釣銭制御部59を備えている。通信部59aは、通信線を通してPOSレジ20及び紙幣処理ユニット40とのデータ通信を行うためのインタフェース部である。
【0054】
硬貨記憶部58は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスであり、硬貨在高データ58aと、釣銭用確保量データ58bとを記憶する。硬貨在高データ58aは、硬貨処理ユニット50に収納されている硬貨の金種別の数量である収納在高と、出金可能な硬貨の金種別の数量である出金可能在高とを示すデータである。例えば、搬送異常等が発生した場合には、該当の硬貨は収納在高には含まれるが、出金可能在高には含まれない。釣銭用確保量データ58bは、釣銭用に確保するべき金種別の硬貨の枚数を釣銭用確保量として示す。
【0055】
硬貨釣銭制御部59は、硬貨処理ユニット50を制御する制御部であり、入金処理部59b、出金処理部59c及び引出制御部59dを有する。
【0056】
入金処理部59bは、硬貨の入金処理を行う処理部である。入金処理部59bは、POSレジ20から購入金額を受信した場合に、硬貨処理ユニット50に対する硬貨の投入を許可する。
【0057】
その後、入金処理部59bは、硬貨処理ユニット50に投入された硬貨の金種別の枚数を取得し、投入された硬貨の合計金額を算定し、POSレジ20に通知を送信する。
【0058】
出金処理部59cは、硬貨の出金処理を行う処理部である。具体的には、出金処理部59cは、POSレジ20から出金指示を受けた場合に、出金指示に示された金額に応じて払い出すべき金種と枚数を決定し、硬貨の出金処理を行う。そして、出金が正常に終了した場合には、POSレジ20に通知する。
【0059】
引出制御部59dは、引出に係る処理を行う処理部である。具体的には、引出制御部59dは、POSレジ20から引出可否判定要求を受信したならば、引出可否判定要求に示された引出金額と、在高データと、釣銭用確保量データとを用いて引出可否判定を行う。ここで、在高データとしては、紙幣在高データ48a及び硬貨在高データ58aを必要に応じて使用する。また、釣銭用確保量データとしては、釣銭用確保量データ48b及び釣銭用確保量データ58bを必要に応じて使用する。例えば、指定された出金金額により特定される貨幣が紙幣のみであるならば、紙幣在高データ48aと釣銭用確保量データ48bを用いて引出可否判定を行うことになる。
【0060】
引出可否判定においては、引出制御部59dは、引出金額分の貨幣を払い出した場合に、出金可能在高が釣銭用確保量を下回る金種が存在するならば、貨幣の払出を行えない、すなわち引出不可と判定する。一方、引出金額分の貨幣を払い出しても全ての金種の出金可能在高が釣銭用確保量以上であるならば、貨幣の払い出しが可能、すなわち引出可と判定する。
【0061】
引出制御部59dは、引出可否判定の結果をPOSレジ20に送信する。また、引出不可と判定した場合には、引出可否判定の結果をPOSレジ20に送信するとともに、貨幣の払出が行えない旨の表示を表示操作部66に表示させることで報知を行ってもよい。
【0062】
また、引出可否判定要求に示された引出金額について引出不可と判定した場合に、金額や貨幣構成の変更を顧客に提示することも可能である。例えば、5万円の引出を要求されたが、一万円札は4枚しか払い出せない場合に、「4万円なら引出可能です」のように金額の変更を提示したり、「一万円札4枚と千円札10枚なら引出可能です」のように貨幣構成の変更を提示するのである。
【0063】
かかる構成を用いる場合には、まず、引出制御部59dが出金可能在高及び釣銭用確保量に基づいて引出可能な金額や貨幣構成を求め、POSレジ20に通知する。通知を受けたPOSレジ20は、引出可能な金額や貨幣構成について店員や顧客に報知し、顧客による承認を示す操作を受け付けたならば、変更された金額や貨幣構成に基づいてデビット決済を実行し、貨幣の払出を行う。
【0064】
また、引出制御部59dは、出金可能在高と釣銭用確保量との差分を引出可能な貨幣の枚数、すなわちキャッシュアウト可能枚数として表示操作部56に表示制御することができる。このキャッシュアウト可能枚数の表示は、常時行ってもよいし、所定の操作を受け付けた場合に表示することとしてもよい。
【0065】
また、引出制御部59dは、引出の促進に係る判定と報知を行うことができる。貨幣は金種別に収納されるが、いずれかの貨幣の収納枚数が対応する収納部の上限に達すると、商品購入の決済に支障を生ずるため、釣銭機30の使用を停止し、該当する貨幣の回収作業を行うことが求められる。
【0066】
そこで、貨幣の収納枚数が上限に近づいた貨幣について引出を促し、引出により収納枚数を減少させることで、貨幣の回収作業を削減し、釣銭機30の運用を効率化することができる。
【0067】
具体的には、引出制御部59dは、収納在高を促進判定閾値と比較することで、引出の促進を行うか否かを判定する。促進判定閾値は、任意に設定可能であり、金種別に個別に設定してもよい。また、在高と比較して貨幣の回収を促すための閾値であるニアフルの値を促進判定閾値として用いてもよい。判定の結果、収納在高が促進判定閾値以上である金種が存在するならば、引出制御部59dは、該当する金種の引出を促進するキャッシュアウト促進表示を表示操作部56に表示制御する。
【0068】
なお、引出の促進に係る判定は、特定の金種について選択的に行うことも可能である。例えば、最高額の貨幣である一万円札は釣銭として払い出されることがないため、一万円札についてのみ引出の促進に係る判定と報知を行うこととしてもよい。
【0069】
次に、紙幣処理ユニット40及び硬貨処理ユニット50の詳細について説明する。
図4は、紙幣処理ユニット40の構成を示す構成図である。
図4に示すように、紙幣処理ユニット40は、紙幣受入部41と、紙幣払出部42と、出金リジェクト部43と、カセット装着部44と、周回搬送部45と、紙幣識別部46と、金種別の紙幣収納部47とを有する。
【0070】
紙幣受入部41は、紙幣挿入口41aに対する紙幣の投入を受け付け、1枚ずつ周回搬送部45に繰り出す処理部である。紙幣払出部42は、周回搬送部45から1枚ずつ搬送された紙幣を一時的に貯留し、払い出すべき全ての紙幣が揃った場合に紙幣払出口42aから投出することで紙幣を払い出す処理部である。
【0071】
出金リジェクト部43は、金種が識別できない等、出金に適さない紙幣を内部に集積する。例えば、出金処理時において紙幣収納部47から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により紙幣識別部46で識別することができなかった紙幣は出金リジェクト部43に搬送される。なお、紙幣受入部41から取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により紙幣識別部46で識別することができなかった紙幣は、入金リジェクト紙幣として紙幣払出部42に返却される。
【0072】
カセット装着部44は、売上金の回収や釣銭の補充に用いる紙幣カセット60を着脱可能である。
【0073】
複数の紙幣収納部47は、それぞれ対応する金種が設定されており、設定された金種の紙幣を収納するとともに、収納されている紙幣を1枚ずつ繰出可能である。
【0074】
周回搬送部45は、中央に周回搬送路を有しており、紙幣受入部41、紙幣払出部42、出金リジェクト部43、カセット装着部44及び複数の紙幣収納部47と周回搬送路との間には接続搬送路が設けられている。また、周回搬送路には、紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う紙幣識別部46が設けられている。
【0075】
周回搬送部45は、
図4における時計回りの方向及び反時計回りの方向に周回搬送路を回転駆動することで、紙幣を1枚ずつ搬送することができる。具体的には、紙幣を紙幣収納部47に収納する場合には、周回搬送路を
図4における時計回りに回転駆動し、紙幣を紙幣収納部47から繰り出す場合には、周回搬送路を
図4における反時計回りに回転駆動することになる。この回転駆動の制御に加え、周回搬送路と各接続搬送部との間で紙幣の搬送経路を切り換えることで、周回搬送部45は、紙幣の搬送先を制御する。
【0076】
図5は、硬貨処理ユニット50の構成を示す構成図である。
図5に示すように、硬貨処理ユニット50は、硬貨投入口51、入金硬貨搬送部52、金種別の硬貨収納部53、出金硬貨搬送部54及び硬貨払出口55を有する。また、入金硬貨搬送部52には硬貨識別部52aが設けられている。
【0077】
入金硬貨搬送部52は、硬貨投入口51に投入された硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体内に取り込む。具体的には、入金硬貨搬送部52には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構が設けられており、硬貨投入口51に対する硬貨の投入を検知すると、硬貨繰出機構が駆動されることにより硬貨が1枚ずつ繰り出される。
【0078】
硬貨識別部52aは、入金硬貨搬送部52に繰り出された硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う。入金硬貨搬送部52は、硬貨識別部52aの識別結果に基づいて、硬貨の搬送先を決定する。このとき、真正と識別できない、汚損があるなど、硬貨収納部53での収納に適さない硬貨は、リジェクト硬貨として硬貨払出口55が搬送先となる。硬貨収納部53での収納に適する硬貨であれば、金種の識別結果に対応する硬貨収納部53が搬送先となる。
【0079】
複数の硬貨収納部53は、それぞれ対応する金種が設定されており、設定された金種の硬貨を収納するとともに、収納されている硬貨を1枚ずつ出金硬貨搬送部54に繰り出することができる。出金硬貨搬送部54は、硬貨収納部53から繰り出された硬貨を搬送して硬貨払出口55に投出する。
【0080】
図6は、デビット端末70の機能構成を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、デビット端末70は、通信部71、カードリーダ72、表示部73、操作部74及び制御部75を有する。通信部71は、POSレジ20及び管理サーバ100との通信を行う通信インタフェースである。
【0081】
カードリーダ72は、デビットカードからの識別情報の読み取りに用いられる。表示部73は、デビット端末70の動作状態の表示などに用いられる。操作部74は、顧客からの暗証番号の入力などに用いられる。
【0082】
制御部75は、デビット端末70の全体を制御する制御部であり、認証データ受付部75a及びデビット決済処理部75bを有する。認証データ受付部75aは、操作部74により入力された暗証番号などを認証データとして受け付ける。
【0083】
デビット決済処理部75bは、POSレジ20から通知された決済要求金額と、カードリーダ72が読み取ったデビットカードの識別情報と、認証データ受付部75aが受け付けた認証データとを含む決済要求を管理サーバ100に送信する。そして、管理サーバ100から送信された決済結果をPOSレジ20に通知する。決済結果は、決済が可能である旨を示す決済許可、決済要求ができない旨を示す決済不可のいずれかである。
【0084】
<処理の説明>
次に、POSレジ20の引出に係る処理手順について説明する。
図7は、POSレジ20の引出に係る処理手順を示すフローチャートである。POSレジ20の引出受付部26dが引出金額の入力を受け付ける(ステップS101)と、引出金額を含む引出可否判定要求を釣銭機30に送信し、釣銭機30に引出可否判定を行わせる(ステップS102)。
【0085】
引出受付部26dは、釣銭機30から引出不可との判定結果を受信したならば(ステップS103;No)、貨幣の払出が行えない旨を表示操作部21に表示制御することで引出不可を報知し(ステップS107)、処理を終了する。
【0086】
一方、引出受付部26dが釣銭機30から引出可との判定結果を受信したならば(ステップS103;Yes)、決済処理部26cは、引出金額を決済要求金額としてデビット端末70に通知する(ステップS104)。
【0087】
その後、デビット端末70から決済許可でなく、決済不可を受信したならば(ステップS105;No)、決済処理部26cは、貨幣の払出が行えない旨を表示操作部21に表示制御することで引出不可を報知し(ステップS107)、処理を終了する。
【0088】
一方、デビット端末70から決済許可を受信したならば(ステップS105;Yes)、決済処理部26cは、引出金額の出金指示を釣銭機30に送信して(ステップS106)、処理を終了する。
【0089】
なお、
図8では、引出金額分の貨幣を払い出した場合に、在高が釣銭用確保量を下回る金種が存在するならば、貨幣の払出を行えない、すなわち引出不可と判定する処理を示した。これに限らず、引出金額分の貨幣を払い出した場合に、在高が釣銭用確保量を下回る金種が存在するときに直ちに引出不可と判定するのではなく、引出に制限を設ける処理を用いてもよい。例えば、引出回数に制限を設定したならば、在高が釣銭用確保量を下回る金種が存在する状態となった後、所定回数(例えば1回)のみ引出が可能となり、所定回数に達した後、引出不可と判定することになる。
【0090】
かかる処理を用いれば、引出不可と判定されるタイミングを事前に店員が把握できるため、引出に係る処理を開始する前に顧客に引出が行えない旨を伝えることができる。なお、制限の設定や、設定後の引出の実行状況については、POSレジ20などを介して報知することが望ましい。
【0091】
次に、デビット決済に係る処理手順について説明する。
図8は、デビット決済に係る処理手順の説明図である。まず、デビット端末70は、POSレジ20から決済要求金額の通知を受信し(ステップS201)、デビットカードから識別情報を読み取り(ステップS202)、認証データを受け付ける(ステップS203)。そして、決済要求金額、デビットカードの識別情報及び認証データを含む決済要求を管理サーバ100に送信する(ステップS204)。
【0092】
管理サーバ100は、デビット端末70から受信した決済要求に基づいて、デビット決済依頼を加盟店管理銀行の銀行サーバ110に送信する(ステップS211)。銀行サーバ110は、デビット決済依頼を受信して、デビット決済を実行する(ステップS221)。このデビット決済において、銀行サーバ110は、デビット決済依頼に示されたデビットカードの識別情報から預金口座を特定し、デビット決済依頼に示された認証データを用いて認証を行う。銀行サーバ110は、認証に成功し、預金口座の残高が決済要求金額以上であれば、決済許可と判定する。認証に失敗した場合、若しくは預金口座の残高が決済要求金額に満たない場合には、銀行サーバ110は決済不可と判定する。銀行サーバ110は、決済結果を管理サーバ100に送信する(ステップS222)。
【0093】
管理サーバ100は、銀行サーバ110から受信した決済結果をデビット端末70に送信する(ステップS212)。デビット端末70は、管理サーバ100から受信した決済結果をPOSレジ20に送信して(ステップS205)、処理を終了する。
【0094】
次に、釣銭機30における表示例について説明する。
図9は、釣銭機30における表示例についての説明図である。
図9に示した表示例は、釣銭機30が表示操作部56にキャッシュアウト可能枚数の表示とキャッシュアウト促進表示を行った状態を示している。
【0095】
具体的には、
図9では、一万円札のキャッシュアウト可能枚数が50枚であり、五千円札のキャッシュアウト可能枚数が10枚であり、千円札のキャッシュアウト可能枚数が60枚であり、五百円硬貨のキャッシュアウト可能枚数が20枚であり、百円硬貨のキャッシュアウト可能枚数が120枚であり、五十円硬貨のキャッシュアウト可能枚数が50枚であり、十円硬貨のキャッシュアウト可能枚数が35枚であり、五円硬貨のキャッシュアウト可能枚数が20枚であり、一円硬貨のキャッシュアウト可能枚数が30枚である状態を示している。また、一万円札と千円札について引出を促進するキャッシュアウト促進表示を行っている。
【0096】
<変形例>
これまでの説明では、釣銭機30が引出可否判定を行う構成を例示したが、引出可否判定は必ずしも釣銭機30が行う必要は無く、POSレジ20など他の装置が引出可否判定を行うことも可能である。
【0097】
図10は、POSレジ20が引出可否判定を行う場合の説明図である。
図10に示した構成では、釣銭機30が自装置に係る在高データを記憶するとともに、釣銭機30の在高を示す在高データをPOSレジ20が記憶する。また、POSレジ20は、釣銭機30の在高データに加え、釣銭用確保量データを記憶する。なお、この構成では、釣銭機30は釣銭用確保量データを記憶する必要は無い。
【0098】
図10に示す構成の動作を説明すると、まず、POSレジ20が引出金額の入力を受け付け(S11)、自装置で記憶した在高データ及び釣銭用確保量データと引出金額とを用いて引出可否を判定する(S12)。
【0099】
POSレジ20は、引出不可と判定したならば、貨幣の払出が行えない旨の報知を行う。引出可と判定したならば、引出金額を決済要求金額としてデビット端末70に通知する(S13)。デビット端末70は、POSレジ20から決済要求金額の通知を受けると、利用者である顧客の提示したデビットカードから識別情報を読み取り(S14)、デビットカードの識別情報と決済要求金額とを含む決済要求を管理サーバ100に送信する(S15)。
【0100】
管理サーバ100は、デビット端末70から決済要求を受信すると、デビットカードの識別情報に対応付けられた預金口座から決済要求金額の引き落しが可能であるか否かを判定する。決済要求金額の引き落としが可能であれば、決済要求金額を決済金額として預金口座から引き落とし、決済許可をデビット端末70に送信する(S16)。
【0101】
デビット端末70は、管理サーバ100から受信した決済許可をPOSレジ20に通知する(S17)。POSレジ20は、デビット端末70から決済許可を受信すると、釣銭機30に引出金額分の出金指示を送信する(S18)。釣銭機30は、POSレジ20からの出金指示を受けて引出金額分の現金を払い出す(S19)。
【0102】
図11は、店舗10に設けられた管理装置80が引出可否判定を行う場合の説明図である。
図11に示した構成では、釣銭機30が自装置に係る在高データを記憶するとともに、釣銭機30の在高を示す在高データを管理装置80が記憶する。また、管理装置80は、釣銭機30の在高データに加え、釣銭用確保量データを記憶する。なお、この構成では、釣銭機30は釣銭用確保量データを記憶する必要は無い。
【0103】
図11に示す構成の動作を説明すると、まず、POSレジ20が引出金額の入力を受け付け(S21)、引出金額を含む引出可否判定要求を管理装置80に送信する(S22a)。管理装置80は、引出可否判定要求に示された引出金額と、在高データと、釣銭用確保量データとを用いて引出可否判定を行い(S22b)、引出可否判定の結果をPOSレジ20に送信する(S22c)。
【0104】
POSレジ20は、管理装置80から引出不可との判定結果を受信したならば、貨幣の払出が行えない旨の報知を行う。一方、管理装置80から引出可との判定結果を受信したならば、POSレジ20は、引出金額を決済要求金額としてデビット端末70に通知する(S23)。デビット端末70は、POSレジ20から決済要求金額の通知を受けると、利用者である顧客の提示したデビットカードから識別情報を読み取り(S24)、デビットカードの識別情報と決済要求金額とを含む決済要求を管理サーバ100に送信する(S25)。
【0105】
管理サーバ100は、デビット端末70から決済要求を受信すると、デビットカードの識別情報に対応付けられた預金口座から決済要求金額の引き落しが可能であるか否かを判定する。決済要求金額の引き落としが可能であれば、決済要求金額を決済金額として預金口座から引き落とし、決済許可をデビット端末70に送信する(S26)。
【0106】
デビット端末70は、管理サーバ100から受信した決済許可をPOSレジ20に通知する(S27)。POSレジ20は、デビット端末70から決済許可を受信すると、釣銭機30に引出金額分の出金指示を送信する(S28)。釣銭機30は、POSレジ20からの出金指示を受けて引出金額分の現金を払い出す(S29)。
【0107】
次に、管理装置80が複数の釣銭機30の在高を管理する構成について説明する。
図12は、管理装置80が複数の釣銭機30の在高を管理する構成についての説明図である。
図12に示すように、店舗に複数のPOSレジ20及び釣銭機30が設けられている場合には、管理装置80は、複数の釣銭機30の在高を個別に管理することができる。
【0108】
図12では、3台のPOSレジ20(POSレジ20a、POSレジ20b及びPOSレジ20c)が設けられており、各POSレジ20に対応する釣銭機30(釣銭機30a、釣銭機30b及び釣銭機30c)と、対応するデビット端末70(デビット端末70a、デビット端末70b及びデビット端末70c)が接続されている。
【0109】
また、POSレジ20a、POSレジ20b及びPOSレジ20cは管理装置80と接続されており、管理装置80はPOSレジ20a、POSレジ20b及びPOSレジ20cを介して釣銭機30a、釣銭機30b及び釣銭機30cの在高データを取得し、釣銭機別在高データとして記憶する。さらに、管理装置80は、釣銭用確保量データを記憶する。この釣銭用確保量データは、複数の釣銭機30で共用してもよいし、釣銭機30ごとに釣銭用確保用データを設けてもよい。
【0110】
管理装置80は、いずれかのPOSレジ20から引出可否判定要求を受けて引出可否判定を行うのであるが、引出可否判定要求の送信元に対応する釣銭機30の在高が不十分で引出が行えないときには、他の釣銭機30からの引出を行わせることができる。
【0111】
図12では、POSレジ20aが引出金額の入力を受け付けて(S31)、引出金額を含む引出可否判定要求を管理装置80に送信し、管理装置80が引出可否判定を行っている(S32)。ここで、釣銭機30aの在高が不十分で引出金額分の払出ができない場合には、管理装置80は、他の釣銭機30の在高を参照し、引出金額分の払出が可能であるか否かを判定する。
図12では、釣銭機30cからの払出が可能であるため、管理装置80は釣銭機30cから払出が可能である旨の判定結果をPOSレジ20aに送信する。
【0112】
POSレジ20aは、釣銭機30cからの払出が可能である旨の判定結果を受信したならば、デビット端末70aにデビットカードの識別情報を読み取らせ(S33)、払出用のコードを生成し、印字部24により発行する(S34)。払出用のコードは、デビットカードの識別情報と引出金額を暗号化して生成する。
図12では、払出用のコードとして1次元のバーコードを例示しているが、2次元バーコードであってもよいし、文字列などをコードとして用いてもよい。また、この払出用のコードとともに、釣銭機30c及びPOSレジ20cの位置を示す案内情報等をさらに印刷してもよい。
【0113】
その後、POSレジ20cが払出用のコードを読み取ると(S35)、POSレジ20cは、デビット端末70cにデビットカードの識別情報と引出金額を送信し、デビット端末70cが図示しない管理サーバ100と通信してデビット決済を実行する。すなわち、デビット端末70cは、デビットカードを読み取ることなくデビット決済を実行することができる。なお、デビット決済のための認証データの取得、すなわち暗証番号の入力受付は、デビット端末70cが行う。このデビット決済において決済が許可されたならば、釣銭機30cから引出金額分の現金が払い出される(S36)。
【0114】
このように、管理装置80が複数の釣銭機30の在高を管理し、引出金額を受け付けたPOSレジ20aに接続された釣銭機30の在高が不十分である場合には、他のPOSレジ20に接続された釣銭機30から払出を可能とすることで、キャッシュアウトの利用に係る機会損失を減少させることができる。また、引出金額を受け付けたPOSレジ20が払出用のコードを発行することで、払出時にデビットカードの読取が不要となり、操作性が向上する。
【0115】
上述してきたように、本実施例によれば、釣銭機30が貨幣の在高を示す在高データを記憶するとともに、第1の用途である釣銭のために確保すべき貨幣の数量を釣銭用確保量データとして記憶し、POSレジ20が第2の用途であるキャッシュアウト用の引出金額を受け付けた場合に、在高データ及び釣銭用確保量データに基づいて引出金額分の貨幣の払出の可否を判定し、引出金額分の貨幣の払出を行えないと判定した場合には貨幣の払出が行えない旨の報知を行う。このため、キャッシュアウトにより釣銭用の貨幣が不足して以降の取引における現金決済処理が阻害される事態を防止し、円滑な貨幣の払出を実現することができる。
【0116】
貨幣の払出が行えない旨の報知については、POSレジ20が行なう構成としてもよいし、釣銭機30が行なう構成としてもよい。また、変形例に示したように、在高データ及び釣銭用確保量データの記憶と払出の可否の判定は、POSレジ20、釣銭機30、管理装置80など、任意の装置で行うことができる。
【0117】
また、在高データについては、出金が可能な貨幣についての在高を用いることが好適であり、引出金額分の貨幣を払い出した場合に、出金が可能な貨幣の在高が釣銭用確保量データに示された金種別数量を下回るならば貨幣の払出を行えないと判定することになる。
【0118】
また、引出金額を受け付けていない状態であっても、キャッシュアウト可能枚数の表示を行うことが可能である。また、所定の収容数を超えた金種の貨幣について、キャッシュアウトを促す報知を行うことができる。かかるキャッシュアウトの促進は、釣銭として出金されることない一万円札などの特定の金種について選択的に行うこととしてもよい。また、引出金額分の貨幣の払出が行えない場合には、金額や貨幣構成を変更して払出を行うこともできる。
【0119】
なお、本実施例では、引出金額を受け付けてキャッシュアウトを行う場合を例に説明を行ったが、金種と枚数の指定を受け付けてキャッシュアウトを行うことも可能である。
【0120】
また、本実施例では、説明を簡明にするためにキャッシュアウトを単独で行う場合を例に説明を行ったが、商品の購入とともにキャッシュアウトを行うこともできる。商品の購入とともにキャッシュアウトを行う場合には、キャッシュアウト分について払出可否の判定を行い、商品の購入金額とキャッシュアウト分の引出金額の合計を決済金額としてデビット決済を行うことになる。
【0121】
また、本実施例では、硬貨処理ユニット50に引出制御部を設ける構成を例示したが、紙幣処理ユニット40に引出制御部を設ける構成としてもよい。また、硬貨処理ユニット50及び紙幣処理ユニット40に接続される上位制御ユニットを設け、上位制御ユニットに引出制御部の機能を持たせてもよい。
【0122】
また、本実施例では、紙幣処理ユニット40に紙幣記憶部48を設け、硬貨処理ユニット50に硬貨記憶部58を設けて、紙幣記憶部48と硬貨処理ユニット50にそれぞれ在高と釣銭用確保量を記憶させる構成を例示したが、本発明はかかる構成に限定されるものではない。例えば、紙幣処理ユニット40と硬貨処理ユニット50とで共用する記憶部を設ける構成であってもよい。共用の記憶部は、硬貨処理ユニット50又は紙幣処理ユニット40のいずれかに設けてもよいし、硬貨処理ユニット50及び紙幣処理ユニット40と接続される上位制御ユニットに設けてもよい。
【0123】
また、本実施例では、硬貨処理ユニット50をPOSレジ20と通信接続し、紙幣処理ユニット40は硬貨処理ユニット50を介してPOSレジ20と通信する構成を例に説明を行ったが、本発明はかかる構成に限定されるものではない。例えば、紙幣処理ユニット40をPOSレジ20と通信接続し、硬貨処理ユニット50は紙幣処理ユニット40を介してPOSレジ20と通信する構成であってもよい。また、硬貨処理ユニット50と紙幣処理ユニット40のそれぞれをPOSレジ20と通信接続し、POSレジ20と直接通信可能となるよう構成してもよい。
【0124】
また、本実施例では、釣銭とキャッシュアウトの2つの用途で貨幣を払い出す釣銭機を例示し、主たる用途である釣銭の払出が阻害されることを防止して円滑な貨幣の払出を実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、駅の券売機でキャッシュアウトを行う場合や、釣銭機で商品の払い戻しを行う場合にも適用することができる。また、釣銭機での両替、両替機でのキャッシュアウトのように、貨幣の払出の用途とその組み合わせは限定されない。さらに、釣銭機で両替とキャッシュアウトを行うなど、3以上の用途で貨幣を払い出す装置に適用することも可能である。
【0125】
また、上記の実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。