(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079520
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】投薬キットを用いて医薬品を送達するための装置、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20220519BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61J1/05 310
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022041520
(22)【出願日】2022-03-16
(62)【分割の表示】P 2018557892の分割
【原出願日】2017-05-05
(31)【優先権主張番号】62/332,412
(32)【優先日】2016-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/282,732
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514194716
【氏名又は名称】セルタ ドース,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】カレブ ヘルナンデス
(57)【要約】
【課題】本開示は、医薬品を送達するためのシステムを開示する。
【解決手段】1つの形態において、開示は、一連の変動する幅を持つゾーンを含むラベルを持つ投薬装置を含むキットに関するものであり、ゾーンの各々は、患者の身体的特性の1つに相関する薬剤の設定体積用量に対応する。1つの具体的実施例において、ラベルは、更に、投与される薬剤の最小用量が、薬剤が供給されるとき通過する開口部に近接する第1ゾーンに対応するように、投薬装置に貼付される。
【選択図】
図7D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を含むバイアルと、
前記バイアルから前記薬剤を受け取って、前記薬剤を患者へ送達するように構成された投薬装置であって、前記投薬装置に、設定された薬剤用量に対応する変動する幅を持つ複数のコード化用量ゾーンがマークされる、投薬装置と、
前記コード化用量ゾーンの1つに前記患者を関連付ける器具とを備える、治療キット。
【請求項2】
前記投薬装置に取り付けるため、及び前記複数のコード化用量ゾーンの前記1つに対応する用量の前記薬剤を前記投薬装置に充填するために前記バイアルから投与される前記薬剤を引き出すための充填針をさらに備える、請求項1に記載の治療キット。
【請求項3】
前記投薬装置がシリンジである、請求項1に記載の治療キット。
【請求項4】
前記シリンジが永久的に針に取り付けられる、請求項3に記載の治療キット。
【請求項5】
前記薬剤の前記バイアル及び前記投薬装置に、前記薬剤の名前のラベルが付けられる、請求項1に記載の治療キット。
【請求項6】
前記薬剤の前記バイアル及び前記投薬装置に、前記薬剤の濃度のラベルが付けられる、請求項5に記載の治療キット。
【請求項7】
前記薬剤の前記バイアル及び前記投薬装置に、各々、シンボルがマークされ、前記シンボルが前記薬剤及び前記薬剤の濃度に対応する、請求項1に記載の治療キット。
【請求項8】
前記器具がカラーコード化計測テープである、請求項1に記載の治療キット。
【請求項9】
前記患者が、前記投薬装置が前記薬剤で充填されるべき前記コード化用量ゾーンを決定するために前記カラーコード化計測テープで計測される、請求項8に記載の治療キット。
【請求項10】
前記薬剤を投与するためのステップを含む指示書を更に備える、請求項1に記載の治療キット。
【請求項11】
前記設定された薬剤用量及び前記複数のコード化用量ゾーンの前記幅が前記薬剤に対応する、請求項1に記載の治療キット。
【請求項12】
第2薬剤の第2バイアルと、
前記第2バイアルから前記第2薬剤を受け取って、前記第2薬剤を前記患者へ送達するように構成された第2投薬装置であって、前記第2投薬装置に、第2設定薬剤用量に対応する第2の変動する幅を持つ第2の複数のコード化用量ゾーンがマークされる、第2投薬装置とを更に備える、請求項1に記載の治療キット。
【請求項13】
前記第2設定薬剤用量及び前記第2の複数のコード化用量ゾーンが、前記第1設定薬剤用量及び前記コード化用量ゾーンと異なる、請求項12に記載の治療キット。
【請求項14】
前記バイアル及び前記投薬装置に、各々第1シンボルがマークされ、前記第1シンボルが前記薬剤及び前記薬剤の濃度に対応し、
前記第2バイアル及び前記第2投薬装置に、各々第2シンボルがマークされ、前記第2シンボルが、第2薬剤及び前記第2薬剤の濃度に対応し、前記第2シンボルが前記第1シンボルと異なる、請求項12に記載の治療キット。
【請求項15】
前記第2薬剤が前記薬剤と異なる濃度である、請求項12に記載の治療キット。
【請求項16】
前記第2薬剤が前記患者に投与される前に前記第1薬剤が前記患者に投与されることを明示する指示書を更に含む、請求項12に記載の治療キット。
【請求項17】
複数の薬剤を患者に投与する方法において、前記方法が、
治療キットの中に含まれる器具を用いて第1の複数のコード化用量ゾーンの1つに前記患者を関連付ける段階と、
第1薬剤が入っている第1バイアルを前記治療キットから選択する段階と、
前記治療キットの中に含まれる第1投薬装置に第1用量の前記第1薬剤を充填するために前記第1バイアルから前記第1薬剤を引き出すことであって、前記第1用量が前記第1の複数のコード化用量ゾーンの前記1つに対応し、前記第1投薬装置に、前記第1の複数のコード化用量ゾーンがマークされ、前記第1の複数のコード化用量ゾーンが第1の変動する幅を持つ、第1薬剤を引き出す段階と、
第2薬剤が入っている第2バイアルを前記治療キットから選択する段階と、
前記治療キットの中に含まれる第2投薬装置に第2用量の前記第2薬剤を充填するために前記第2バイアルから前記第2薬剤を引き出すことであって、前記第2用量が第2の複数のコード化用量ゾーンの前記1つに対応し、前記第2投薬装置に、前記第2の複数のコード化用量ゾーンがマークされ、前記第2の複数のコード化用量ゾーンが第2の変動する幅を持つ、第2薬剤を引き出す段階と、
前記第1投薬装置及び前記第2投薬装置を用いて前記第1薬剤及び前記第2薬剤を前記患者に投与することであって、前記第1薬剤及び前記第2薬剤の投与の順序が前記治療キットに関連する指示によって示される、前記第1薬剤及び第2薬剤を投与する段階とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年5月5日に提出された「投薬キッドを用いて医薬品を送達するための装置、方法及びシステム」と題する米国仮特許出願第62/332412号に対する優先権及びその利益を主張する。前記出願は、2016年9月30日に提出された「計量された投薬量を送達するための装置、方法及びシステム」と題する米国特許出願第15/282732号の一部継続出願であり、かつ2015年9月2日に提出された「医薬品を送達するためのシステム」と題する米国特許出願第14/392087号(2013年1月30日に提出された「医薬品を送達するためのシステム」と題する国際出願第PCT/US2013/023873号の国内移行手続き)の一部継続出願であり、後者出願は、2012年2月1日に提出された「医薬品を送達するためのシステム」と題する米国仮出願第61/593674号及び2012年10月23日に提出された「医薬品を送達するためのシステム」と題する米国仮出願第61/717474号に対する優先権を主張する。上記の出願は全て、参照により本明細書において援用される。
【0002】
本開示は、投薬装置(medicine-dosing device)、特に救急又は重症者治療現場において適量の医薬を投与するための事前ラベル付き投薬装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
救急及び集中治療現場において正確かつ効率的に適量の薬剤を投与することは非常に重要である。たとえ小さい投薬ミスでも不幸な結果を導きかねないので、小児患者が関わる救急又は重症者治療現場において、適量の薬剤の投与は特に重要である。しかし、たとえ最良の状況でも医療従事者がどれだけ努力しようと、投薬プロセスには複数のステップが含まれるので、時には不注意による間違いが起きることがある。具体的には、典型的状況において、適切な薬剤用量をまず決定しなければならず、決定には、通常、複数の数学的算定ステップが含まれる。その後、実際の投薬プロセスには複数のステップが含まれ、その中には、例えば、投与される正確な医薬及び使用される投薬装置の選択が含まれる。各ステップは、全体的投薬プロセスにエラーを導く可能性を含んでいるので、実行すべきステップの数を減少することは、プロセスの全体的正確性及び効率を著しく増大できる。
【0004】
薬剤用量は、従来、患者の体重に基づいて決定される。しかし、この方法は、時には、特に救急及び重症者治療現場においては不適切で不正確になる可能性がある。したがって、時には、患者の身長は、薬剤用量の迅速かつ効率的な決定を可能にするので、これを使用でき、患者の身長を測定するためにカラーコード化計測テープが使用される。具体的には、Broselow(登録商標)Pediatric Emergency Tapeは、容易に入手可能な患者の身長を薬剤用量に関連付ける周知の機器である。この器具の詳細及びその使用方法は、ある特許文献(参照により本開示において援用される)において開示される(例えば、特許文献1及び2参照。)。概略的に、前記方法は、患者の身長を計測してテープ上に示されるカラーゾーンの1つに患者の身長をコード化し、カラーコード化された身長を用いて患者に投与される薬剤用量を決定することを含む。典型的に使用されるインチ又はセンチメートルではなく複数のカラーコードゾーンへ区分化することによって(各カラーゾーンは所与の身長範囲に対応する)、患者の身長をセンチメートル又はインチによる具体的な計測値ではなく特定の色として容易に読み取って、記録できる。言い換えると、各カラーコード化身長ゾーンは、メートル又はインチ単位で計測される実際の身長の特定の設定範囲に対応する。例えば、テープの灰色ゾーンは、42.20cm~60.79cmの身長範囲に対応し、テープのピンクゾーンは、60.80cm~67.79cmの身長ゾーンに対応する。このようにして、身長が第1身長範囲に属する患者は、灰色としてコード化され、身長が第2身長範囲に属する患者は、ピンクとしてコード化される。2人の患者の適切な薬剤用量は、テープに列記された設定薬剤用量のリストから選択される。他の市販の身長/体重に基づくテープ(Pedia Tape及びHandtevy Tapeなど)も、同様に使用される。
【0005】
薬剤用量を決定するステップは、上記の方法の使用によって大幅に単純化されたが、投薬エラーにつながることが多い又は投薬プロセスを非効率的にする他の多くの問題がまだ残っている。例えば、投薬量が決定された後に投与すべき正確な用量の医薬を得るためには、例えば医薬品の濃度に係る計算などの他の多くの計算を実施する必要がある。更に、正しい医薬又は適切な投薬装置の選択、又は投薬装置への医薬品の正確な設定量の引込みは、各々、エラーを引き起こすか又は患者への投薬プロセスを遅くする可能性がある。投薬量が、例えば患者の年齢、体表面積又体積など従来の体重に基づくシステム以外の用量計量(dosing)システムに基づく状況においても、このようなシステムに使用される目盛り調整のタイプのために、用量計量が不正確である可能性がある。特に、典型的に使用される用量の定増分変化は、このようなシステムが使用される場合、必要とされる用量計量の正確性の欠如を生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4716888号明細書
【特許文献2】米国特許第6132416号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、薬剤用量決定及び投与のプロセスを単純化するように設計された様々な技法を入手できるが、それでも、治療が施される際の環境及び時間の制約並びに使用される用量計量システムのタイプが原因でエラーが生じる可能性が存在する。従って、救急又は重症者治療現場において特に小児患者に対して正確かつ効率的に薬剤を送達するための装置及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複雑な医学的問題の処置を容易にできる治療キットを、本明細書において開示する。開示するキットは、各々、典型的に固有の医学的問題の治療を標的としており、このような治療は、医薬品の固有の順序が正確な順番及び用量で与えられることを要求する。特定の高リスクの状況においては、関係する医学的問題は、人を危険にさらし、ミスは命に係わる可能性がある。このような状況において、正確な用量計量及び送達は人命を救う可能性がある。
【0009】
治療キットは、薬剤を含むバイアルと投薬装置とを提供できる。投薬装置は、バイアルから薬剤を受け取って患者へ薬剤を送達するように構成できる。更に、投薬装置に、コード化用量ゾーンをマークすることができる。用量ゾーンは、変化する幅を持つことができ、設定された薬剤用量に相当する。キットは、患者をコード化用量ゾーンの1つに関連付けるための器具も含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、キットは、コード化用量ゾーンの1つに対応する用量の薬剤を投薬装置に充填するために、投薬装置に取り付けて投与される薬剤をバイアルから引き出すように構成される充填針を含むことができる。又は、針は、永久的にシリンジに取り付けできる。
【0011】
投薬装置は、シリンジとすることができ、いくつかの実現形態において、シリンジは永久的に針に取り付けできる。
【0012】
薬剤のバイアル及び投薬装置は、ラベル付きとすることができる。いくつかの実施形態において、バイアル及び投薬装置には、薬剤の名前及び/又は薬剤の濃度をマークすることができる。それに加えて又はその代わりに、バイアル及び投薬装置に、シンボルのラベルを付けることができ、シンボルは薬剤及び/又は薬剤の濃度に対応できる。
【0013】
いくつかの実現形態において、コード化用量ゾーンの1つに患者を関連付けするための器具は、カラーコード化計測テープとすることができる。患者は、投薬装置に薬剤を充填する際のカラーコード化用量ゾーンを決定するためにカラーコード化計測テープで計測できる。
【0014】
治療キットは、更に、薬剤を投与するためのステップを示す指示票を備えることができる。
【0015】
設定薬剤用量及び/又は投薬装置にマークされたコード化用量ゾーンの幅は、バイアルに含まれる薬剤に対応できる。
【0016】
いくつかの実施形態において、キットは、第2薬剤の第2バイアルと、第2バイアルから第2薬剤を受け取って患者へ第2薬剤を送達するように構成される第2投薬装置を提供できる。第2投薬装置に、第2設定薬剤用量に対応する第2の変化する幅を持つコード化用量ゾーンをマーク付することができる。第2設定薬剤用量及び第2コード化用量ゾーンは、前記設定薬剤用量及びコード化用量ゾーンと異なる場合がある。
【0017】
更に、バイアル及び投薬装置に、第1シンボルをマークすることができ、第1シンボルは、薬剤及び薬剤の濃度に対応できる。第2バイアル及び第2投薬装置には、第2シンボルをマークすることができ、第2シンボルは、第2薬剤及び第2薬剤の濃度に対応できる。第2シンボルは第1シンボルと異なることができる。
【0018】
いくつかの実現形態において、第2薬剤は第1薬剤と異なる濃度とすることができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、キットは、指示票も含むことができる。指示票は、第2薬剤を患者に投与する前に第1薬剤を患者に投与すべきことを明示できる。
【0020】
複数の薬剤を1人の患者へ投与する方法も開示する。方法は、治療キットに含まれる器具を用いて複数のコード化用量ゾーンの1つに患者を関連付けることを含む。第1薬剤が入れられた第1バイアルを医療キットから選択し、治療キットに含まれる第1投薬装置に第1用量の第1薬剤を充填するために、第1バイアルから第1薬剤を引き出せる。第1用量は、第1の複数のコード化用量ゾーンの1つに対応でき、第1投薬装置には、第1の複数のコード化用量ゾーンがマークされ、第1の複数のコード化用量ゾーンは、第1の変化する幅を持つ。第2薬剤が入れられた第2バイアルを治療キットから選択でき、治療キットに含まれる第2投薬装置に第2用量の第2薬剤を充填するために、第2バイアルから第2薬剤を引き出せる。第2用量は、第2の複数のコード化用量ゾーンの1つに対応でき、第2投薬装置には、第2の複数のコード化用量ゾーンがマークされる。第2の複数のコード化用量ゾーンは、第2の変化する幅を持つことができる。第1薬剤及び第2薬剤は、第1投薬装置及び第2投薬装置を用いて患者に投与できる。第1薬剤及び第2薬剤の投与の順序は、治療キットに関連付けられる指示によって示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】本開示の1つの実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図1B】本開示の1つの実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図1C】本開示の1つの実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図1D】本開示の1つの実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図1E】本開示の1つの実施形態に従った投薬装置の別の実施形態の斜視図である。
【
図2A】本開示の別の実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図2B】本開示の別の実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図2C】本開示の別の実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図2D】本開示の別の実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図3A】カラーコード化投薬量を示すラベルの平面図である。
【
図3B】カラーコード化投薬量を示すラベルの平面図である。
【
図3C】カラーコード化投薬量を示すラベルの平面図である。
【
図3D】カラーコード化投薬量を示すラベルの平面図である。
【
図4】カラーコード化投薬量ラベルを決定し印刷する方法を示すフローチャートである。
【
図5】開示する予充填マーク付き投薬装置を用いて医薬品を投与する方法を示すフローチャートである。
【
図6】患者のカラーコード化された身長を測定するために使用される計測器具を示す。
【
図7A】事前マークされた投薬装置を含む救急治療キットを用いて医薬品を投与する方法を示す。
【
図7B】本開示の1つの実施形態に従った医薬品を投与するための救急治療キットを示す。
【
図7C】アナフィラキシ、アレルギー及び/又は喘息を治療するために医薬品を投与するための好ましい治療キットを示す。
【
図7D】迅速導入挿管に対応する医薬品を投与するための好ましい治療キットを示す。
【
図7E】成人用シリンジの好ましい実施形態を示す。
【
図7F】成人用シリンジの好ましい実施形態を示す。
【
図8A】本開示のシステム及び方法を用いた薬剤送達の改良を示すデータを含む。
【
図8B】本開示のシステム及び方法を用いた薬剤送達の改良を示すデータを含む。
【
図8C】本開示のシステム及び方法を用いた薬剤送達の改良を示すデータを含む。
【
図8D】本開示のシステム及び方法を用いた薬剤送達の改良を示すデータを含む。
【
図8E】本開示のシステム及び方法を用いた薬剤送達の改良を示すデータを含む。
【
図8F】本開示のシステム及び方法を用いた薬剤送達の改良を示すデータを含む。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願は、適切な用量の医薬品を患者に投与するための装置、システム及び方法を説明する。装置及びシステムは、医薬送達の5つのright(正当)即ち、正当な時に正当なルートで正当な用量の正当な薬剤を正当な患者に与えること、に対処するように構成される。特に、救急及び重症者治療現場において投薬ミスを最小限に抑えかつ医薬品投与の全体的正確性及び効率を改良するように設計された事前マーク付き医薬用量計量/小分け供給装置が提供される。
【0023】
下で詳細に論じるように、1つの実施形態において、投薬装置10は、設定されたカラーコード化された医薬体積用量100がマークされた細長い胴部30とプランジャ50とを含むシリンジ15である。1つの実施形態に従った投薬装置には、更に、患者に投与されるべき医薬品に対応する流体105を予充填できる。様々なファクタに基づいて複数の医薬品の具体的な体積用量を決定する方法も、開示する。特に、1つの実施形態によれば、方法は、例えば投薬装置の体積容量及び/又は薬剤濃度に基づいて決定される用量を示すラベルを作成すること又は用量を投薬装置にマークすることを含む。
【0024】
また、事前マーク付き投薬装置を用いて適切な投薬量を投与するための方法について論じる。開示する方法は、1回の投薬量を決定し患者に投与するために必要な時間を著しく減少でき、同時に、前記の用量が計算違いされる又は誤投与されるリスクを減少する。
【0025】
装置
事前ラベル付き医薬計量/小分け供給装置10の第1実施形態について詳細に論じるために、
図1A~1Dを参照する。
図1Aに示すように、1つの実施形態に従った投薬装置10は、近位端部25と、近位端部の反対側の遠位端部20と、を含むシリンジ15である。シリンジは、投与される医薬を中に保持するための遠位端部のシリンジバレル30などの容器と、シリンジバレルの近位端部35に配置された開口部36から近位方向に近位端部25のプランジャの近位端部55まで延びるプランジャ50と、を含む。シリンジバレル及びプランジャは、両方とも、不活性の又は内部の流体の化学的バランスを乱さないプラスチック、ガラス又はその他の任意の適切な透明の医療用材料から製造される。
【0026】
図1Bに示すように、シリンジバレル30は、細長く、実質的に円筒形であり、遠位端部31と近位端部35とを含む。シリンジバレルは、更に、外側円周面37と内側円周面38とを含む。プランジャを受け入れて流体を中に保持できるチェンバ32は、遠位端部31と近位端部35との間でバレルの内側円周面38によって形成される。シリンジの扱いを容易にするためのフィンガーグリップとして役立つフランジ33は、バレルの近位端部と一体的に形成され、プランジャを受け入れるための開口部36を形成する。開口部36に近接して、バレルの内側面に沿って、リッジ34(
図1C)があり、プランジャがバレルと係合するとプランジャがバレルから滑って外れるのを防止する。
【0027】
開口部36は、チェンバ32及びシリンジバレルの遠位端部20に配置された孔39と流通する。針、ノズル又はシリンジバレル30内に入れられた液体を排出するための管類を取り付けるための先端部30は、バレルの遠位端部20と一体的に形成され、孔39と流通する。先端部は、同軸に位置付けられた内側部材41と外側部材42とを含むことができる。1つの実施形態によれば、先端部は、ルアーテーパー取付け部を含むことができる。いくつかの実施形態において、先端部は、送達のためにシリンジが使用される薬剤のタイプに基づいて構成できる。例えば、口内医薬用に構成されたシリンジには、口内用先端部を使用でき、特に、口内用先端部は、静脈内(IV)又は筋肉間(IM)用先端部とは異なり、それによって、医薬が正しいルートによって送達されるようにできる。同様に、IV及びIM薬剤用に構成されたシリンジは、それぞれ正しいルートで送達できるように、IV及びIM先端部を持つように構成できる。
【0028】
図1Bに示す1つの実施形態に従ったプランジャ50は、プランジャロッド51と、プランジャロッドの遠位端部56に取り付けられたゴム又はプラスチックのガスケット又はストッパ52と、を含む。ガスケットは、シリンジの中身がシリンジの後から出ないようにするために、バレルの内側面とプランジャとの間の密封を形成する。環状フランジ53は、プランジャロッドの近位端部55と一体的に形成される。プランジャ50は、チェンバ30の形状と相補的な細長い形状を有し、チェンバ(円筒形バレル又はチューブの内部)に沿って押して、シリンジが先端部又はバレルの遠位端部の孔39を介して流体を排出できるように設計される。又は、プランジャは、チェンバ30内部から先端部40又は孔39を介して流体を押し出せる他の構成を含むことができる。
【0029】
本開示の1つの実施形態によれば、投薬装置は、予選択された薬剤を予充填できる。当初、投薬装置が予充填され、シリンジが投薬前位置にあるとき、プランジャロッドの実質長さは、シリンジバレルの外部に長手方向に延びる。言い換えると、
図1Aに示すように、医薬投与前、プランジャロッドのガスケット52及び遠位端部56のみが当初はバレルの近位端部35においてシリンジバレル内部にあり、プランジャの近位端部55が最も伸張した状態にあるようにプランジャの長さの残りは、バレルの外部に在る。
【0030】
又は、投薬装置は予充填されない。投薬装置には、例えば、薬剤名、濃度、体積マーク、カラーコード化ゾーン及びこれに類似するものをマークできる。医療従事者は、適切な体積マーキング及び/又はカラーコード化ゾーンに達するように、適切な濃度の薬剤(即ち、装置に名前がマークされた薬剤)を投薬装置の中へ引き込める。いくつかの実施形態において、投薬装置は、投与される薬剤が入っている医薬容器を含むキットの一部として得られる。医薬容器の中の薬剤は、投薬プロセスの直前に投薬装置の中へ引き込める。このような実施形態において、プランジャロッドは、薬剤がシリンジの中へ引き込まれるまで、シリンジバレル内部に留まっていることができる。どの薬剤にどのシリンジを使用するかについて混乱を避けるために、投薬装置に明確にマーク付けできる。下でさらに論じるように、このようなマーク付けは、混乱を避けるために異なる色のプランジャを含むことができる。具体的実施例として、エトミデート及びスクシノコリンを含むキットは、エトミデートに使用するための赤いプランジャを持ち、スクシノコリンに使用するための青いプランジャを持つことができる。
【0031】
図2Aに示す別の実施形態によれば、シリンジ15は、細長いバレル70と、設定されたカラーコード化医薬体積用量がマークされ、患者に投与される医薬品に対応する流体105が予充填されたプランジャ80と、を含むことができる。この構成において、
図2Cに示すように、シリンジバレルは、円筒形バレルのより大きい直径と概ね同軸に整列する内側管状体75を含む。内側管状体は、内側管状体内部に同軸に位置付けられかつ内側管状体と長手方向に整列した針76を有する。
図2Dに示すプランジャ80は、実質的に円筒形部材又はバイアル81とストッパ82とを含む。シリンジバレル及びプランジャは、
図2Bに示すように、当初分離しているので、医薬品投与前に、ストッパ82が内側管状体75及び針76と充分に係合するように、プランジャ60をシリンジバレルの近位端部35の中へ挿入する必要がある。
【0032】
本開示の更に別の実施形態によれば、プランジャ及び/又はプランジャストッパは、バレルの中に入れられた医薬品に基づいてコラーコード化できる。このようなプランジャのカラーコード化は、更に医薬品投与の効率を増すことができ、プランジャの視覚検査は投与される医薬品の正確性を素早く検証できるようにするので、投与を更にエラーの生じにくいものにできる。カラーコード化プランジャ及び/又はプランジャストッパの代わりに又はそれに加えて、プランジャ及び/又はプランジャストッパに、更にミスが生じる可能性を制限するために、更に薬剤の名前及び/又は濃度をマークできる。
【0033】
又は、投薬装置は、例えば、チューブ、バイアル、バッグ又は瓶など、中に所望の医薬を入れてこれから所望の医薬を排出できる任意の容器を含むことができる。例えば、投薬装置は、IV流体を入れたバッグとすることができる。この実施形態によれば、バッグには、従来の体積マーキングに沿って一連のカラーコード化ゾーンをマークすることができる。従来の体積マーキングと組み合わせて使用する場合、カラーコード化ゾーンは、患者のカラーゾーンに基づいて患者に与えることができる各医薬品の正確な体積を医療従事者に思い出させるものとして役立つことができる。カラーコード化ゾーンは、また、所与の医薬品についてIVポンプの中へ小分け供給される正確な総体積を入れるためのヒントとしても使用できる。
【0034】
次に、投薬装置の表面のマーキングについて説明する。シリンジの場合、マーキングは、シリンジバレル又はプランジャの円周面に沿って配置できる。
図1~3に示すように、マーキングは、患者に投与される可能な医薬用量を示す一連の実質的に半透明のバンド又はゾーン100を含む。図に示すマーキングは、一連のカラーコード化ゾーンを含むが、マーキングは、様々なゾーン、テクスチャなどを持つゾーンも含むことができる。使用されるマーキングのタイプに関係なく、マーキングは、投薬装置の内面又は外面に、直接、プリント、塗装、エッチング又は染色するか、又は投薬装置の外面に付着又は配置できるラベル又はスリーブを作成できる。付けられたマーキングは、装置が充填されたときマーキングを透過して流体レベルを容易に見ることができるようなものである。
【0035】
図3Aは、本開示の1つの実施形態に従った複数のラベルを示す。各ラベル300は、実質的に長方形であり、ラベルが付着される投薬装置の体積容量に基づくサイズを持つ。言い換えると、投薬装置によって体積が変動するので、装置の外側円周面の変動の結果として、ラベルのサイズ又は寸法は、これに応じて、投薬装置の外側面を適切に被覆するように調節される。例えば、ラベルが2つの異なるバレル体積容量を持つシリンジ用に作られる場合、ラベルサイズは、バレルの外側面の変化に対処するために長さ及び幅の両方で増減される。
【0036】
ラベルサイズの変化とともに、これに対応するラベルに印刷されるカラー帯又はゾーンの幅の適切な変化も、医薬品を供給するために使用される投薬装置に応じて加えられる。具体的には、投薬装置(medicine-dispensing device)の体積の変動を考慮に入れて、様々な投薬装置間で同じ医薬体積用量を維持するために、カラー帯又はゾーンの幅に変更を加える必要がある。例えば、
図3Bに示すように、10ccのペンサと5ccの投薬装置に装填される同じ医薬のラベルは、両方の投薬装置について医薬用量を同一に維持するために、各々のカラー帯又はゾーンについて異なる2つの幅を有する。言い換えると、5cc投薬装置を用いる場合と比較して10ccの投薬装置を使用する医薬品を同量供給するために、10ccの装置のラベル310上のカラー帯351A~351Aの幅は、患者に同量の医薬品を送達するために、5cc投薬装置のラベル305上のカラー帯351B~359Bより小さくなる。
【0037】
同様に、使用される医薬品の濃度も、ラベル上に印刷されるカラー帯又はゾーンの幅に影響を与える。具体的には、カラー帯又はゾーンの幅は、医薬品の濃度に基づいて決定され、より高い濃度の医薬品は、低い濃度の医薬品より小さい体積用量又はより小さい帯幅に対応する。
【0038】
図3Cに示すように、ラベル300は、対向する平行側面315と320、及び対抗する平行端部325と330を有し、特定の特性を持つ患者用の投薬量に対応して変動する幅を持つ一連の連続的カラー帯又はゾーン351~359を含む。特性は、患者の身長(上述の通り)、体重、年齢、体表面積/体積及び/又はこれに類似するものに対応する。具体的には、各カラー帯は、ラベルの対向する端部325と330に対して平行の前縁335と後縁340によって形成されかつラベルが投薬装置に付着されたとき予画定されたカラーコード化範囲内に属する特性を有する患者に適する設定用量の医薬の体積に対応する幅を有する。言い換えると、ラベル上の各カラー帯又はゾーンは、それぞれのカラーコード化身長範囲、体重範囲、年齢範囲、体表面積/体積範囲又はその他の生理学的特性に相関された投薬量を表す。
【0039】
更に、
図3Cを参照すると、1つの実施形態によれば、9つの別個のカラーコード化された患者の特性範囲に対応する9つの異なる投薬量を区別するために、9つの別個のカラー帯351~359を使用できる。具体的には、色の各々は、固有の医薬品の9つの異なる用量の1つに対応する。
図3Cに示すように、1つの特定の実現形態において、帯の色は、灰色351、ピンク352、赤353、紫354、黄色355、白356、青357、橙358及び緑359を含み、灰色の帯は、最も少ない投薬量に対応し、緑色の帯は送達できる最大投薬量に対応する。黒の実線365は、下でさらに詳細に論じるように、薬剤投与のプロセスを容易にするために様々なカラー帯又はゾーンの間の境界に利用できる。説明は
図3A~3Cに示す具体的色を参照して行うが、他の色又はマーキングを使用できることが分かるはずである。その代わりに又はそれに加えて、色に加えて又は色の代わりにカラー帯又はゾーン内に色名を印刷できる。
【0040】
図3Dに示す更に別の実施形態に従えば、ラベルは、10の異なるカラー帯を含み、10番目のカラー帯は送達できる最大投薬量に対応する。この特定の実施形態において、最大用量は、その特性(例えば、身長、体重など)が前に開示したカラー範囲外に属する任意の患者に送達できるユニバーサル用量に対応できる。例えば、この実施形態に従ったユニバーサルラベルは、小児患者及び成人患者の両方に使用できるユニバーサル投薬装置に貼付できるので、2つの別個の患者群のために2つの別個の投薬システムを持つ必要をなくす。但し、上述の実施例において、固有の数のカラー帯について論じたが、より精密な投薬を可能にする任意の数のカラー帯を使用できることが分かるはずである。いくつかの事例において、事前に画定された帯又はゾーンは、より精密な投薬を可能にするために、更に、小帯又はサブゾーンに細分できる。非限定的実施例として、いくつかの実施形態において、9つのカラーゾーン内に36のマーキング(サブゾーン)を含むことができる。これは、患者に薬剤を投与する際の精密度を増大できる。
【0041】
又、本開示の別の実施形態によれば、
図3Cに示すように、ラベルの縁の一方は、ラベルがシリンジ又はプランジャに正確に付着又は位置決めされるようにするためにマーク370を含むことができる。例えば、ラベルを逆方向にバレルに付着して、後に不正確な用量が投与されることになるのを防止するために、シリンジバレルの遠位端部と整列されるラベルの縁にマーク付けできる。例えば、最小用量に対応するカラー帯を持つラベルの縁は、その前縁に、シリンジバレルの遠位端部とラベルの整列を容易にするマークを含むことができる。
【0042】
更に、
図3Aに示す別の実施形態によれば、ラベルは、投与される医薬品の名前または患者に正確な医薬品を投与するようにするためにおそらく重要な他の任意の情報を含むことができる。特に、医薬品の名前は、ラベルの長さに沿って又は投薬装置の中の医薬の正確性を容易に検証できるようにする限り他の任意の位置に刻印できる。更に、時間間隔を置いて投与される薬剤の場合、ラベルに、対応する時間間隔をマークするか、又は、患者及び/又は医療従事者が投薬間隔を追跡できるように別個のカレンダ(紙又は電子の)を設置できる。
【0043】
投薬情報の測定及び生成の方法
次に、複数の医薬品の医薬用量及び投薬装置を決定するための方法400について論じる。
図4に示す1つの特定の実施例において、選択された投薬装置に貼付できるコラーコード化用量ラベルの作成を含むことができる。
図4に示すように、方法400は、作成される用量ラベルの対象の医薬の選択が行われるステップ401から始まる。救急又は重症者治療に関するので、最も一般的に使用される医薬品のいくつかの例として、例えばアトロピン、リドカイン、フェンタニル、エピネフリン、エトミデート、ケタミン、スクシニルコリン、ロクロニウム及びミダゾラムを上げることができる。但し、方法は、開示する投薬装置を用いて投与できる他の任意の医薬品にも方法を同様に応用できることが分かるはずである。
【0044】
作成されるラベルの対象の医薬品が特定されたら、上述のカラーコード化特性(例えば、身長、体重など)ゾーンの各々について薬剤用量が、ステップ402において決定される。薬剤に応じて、カラーコード化ゾーンの幅は異なる可能性がある。下の表1は、上に列記した薬剤のいくつかについて用量(単位mg)を示す。表1から分かるように、各薬剤の用量は、薬剤のタイプに基づいてだけではなく患者の身長(即ち特性)に応じて異なる。したがって、例えば、表1に示すように、黄色のカラーコード化身長ゾーンに属する患者の用量は、スクシニルコリンについては26mgであり、ロクロニウムについては13mgである。その身長が2つの異なるカラーコード化身長に属する2人の異なる患者に同じ薬剤が投与される場合、2つの異なる投薬量が使用される。例えば、エピネフリンの場合、赤にコード化される体調の患者と青にコード化される患者の場合、各患者に投与される投薬量は、それぞれ0.085mg及び0.21mgである。又は、薬剤の用量は、患者の身長に基づく以外の投薬量勧奨例えば患者の体重、年齢、体表面積/体積及び/又はこれに類似するものに基づいて決定できる。
【0045】
患者へ投与すべき用量がステップ402において決定された後、ステップ401において選択された薬剤の薬剤濃度が、ステップ403において決定される。薬剤濃度は、投与される必要のある体積に直接比例する。言い換えると、同じ医薬品の低濃度の溶液の場合より高濃度の溶液の場合、投与する必要がある体積は、より小さい。
【0046】
次のステップ即ちステップ404は、ラベルが付けられる投薬装置の選択に関係する。上述のように、投薬装置は様々な体積サイズで入手されるので、投薬装置の長さ及び幅及び/又は医薬品の濃度に基づく投薬装置変換係数を使用して、作成されるラベルの対象の様々な投薬装置のサイズ及び/又は形状の変動を考慮に入れることができる。このように、選択された医薬品を投与するために特定の体積の投薬装置が選択されたら、表1に列記される対応する変換係数を用いて、決定された投薬量に対応する個々のカラー帯/ゾーン及び全体の帯幅の両方を算定できる。具体的には、決定された投薬量に対応する各カラー帯/ゾーンの幅は、投与される薬剤用量、溶液濃度及び投薬装置の体積容量に基づいて算定される。1つの実施形態によれば、計算の全ては、使用者の入力に応じてコンピュータ処理ユニット(CPU)によって実施できる。
【0047】
投薬装置へのラベル付けは、各カラー帯又はゾーンの幅が決定されてラベルが印刷されたら実施できる。例えば、バレル及びプランジャを有するシリンジにラベルが付けられ、供給される医薬を保持するようにバレルが設計される場合、ラベルは、最小用量のカラー帯に対応するラベルの縁の一方を投薬装置10のシリンジバレルの遠位縁部と整列することによってバレルの外側円周面に沿って配置できる。又は、プランジャが医薬を保持するための容器として作用するシリンジにおいて、ラベルは、最小用量のカラー帯に対応するラベルの縁の一方を投薬装置の近位端部と整列することによって、プランジャの外側円酒面に沿って配置できる。
【0048】
選択された医薬品、投薬装置の体積容量及び溶液濃度の各々について予計算された帯/ゾーンは、投薬装置に付けられるラベルに印刷できるが、投薬情報は、直接、投薬装置に刻印、エッチング、染色又は塗装することもできる。又は、投薬情報は、投薬装置に被せて配置できるスリーブ上に印刷できる。
【0049】
実施形態に応じて、適切にラベル付けされた投薬装置に、所望の医薬品を予充填でき、流体体積は、例えば身長が最大身長ゾーンに属する患者へ投与できる最大用量に対応する。投薬装置に選択された医薬品が予充填されるとき、ラベルは、投薬装置の充填前に又はその後に貼付できる。投薬装置が投薬装置と投与される薬剤が充填された容器とを含むキットの一部として含まれる場合のように、投薬プロセス直前に選択された医薬品が投薬装置に充填される場合、事前にラベル付けされた空の投薬装置が、使用のために供給される。したがって、投与直前に、容器から、所与の患者について設定された用量に対応する流体体積を事前ラベル付き投薬装置の中へ引き込める。
【表1-1】
【表1-2】
【0050】
薬剤投与の方法
上述のステップに従って組み立てられた投薬装置は、安全かつ効率よく薬剤を送達するために使用できる。
図5は、1つの実施形態に従って開示された投薬装置10を用いて患者に薬剤を投与する方法のフローチャート500である。この特定の実施例において、開示される方法は、予充填され事前マーク付けされた投薬装置から選択された医薬を患者へ効率よく投与するためのステップを含む。図に示すように、方法は、ステップ501から始まり、このステップにおいて、患者のカラーコード化身長又はその他の任意の身体的特性が測定される。身長の場合、ブローズロウテープ又はカラーコード化身長範囲を示すその他の任意の同様のタイプの器具を、このステップにおいて使用できる。
図6に示すように、テープ601に沿って患者600を置き、テープ上で患者のカラーコード化身長を書き留めることによって、カラーコード化身長を得ることができる。又は、カラーコード化でして投薬量に関連付けできる例えば体重、年齢、体表面積又は体積など他の任意の生理学的特性を使用できる。
【0051】
患者の身長又はその他の任意の生理学的特性が測定されかつ/又は固有のカラー範囲にコード化されたら、投与される医薬品が入っている予充填された投薬装置10が、ステップ502において選択される。医薬品の選択は、予充填された投薬装置の外側面に沿って刻印された医薬品の名前を読み取るか又は上述のようにプランジャロッドの色を確認することによって、検証できる。
【0052】
患者身長又は他の特性のカラーコードが測定され書き留められ、投与される医薬が正確であることが確認されたら、送達される適切な投薬量又はこれに応じた体積が、ステップ503において決定される。適切な用量は、少なくとも1つの患者の特性に基づいて適切な用量を計算する医師又はその他の医療従事者によって決定できる。算定された用量は、投与される薬剤の正確な量とすることができる。これに加えて、医薬品を投与する医師又はその他の医療従事者は、少なくとも1つの患者特性に基づいて患者のカラーコードを決定できる。例えば、患者身長又はその他の特性が計測テープの青色範囲に属すると測定される場合、患者に投与される医薬品の体積は、投薬装置上の青のカラー帯内の体積である。
【0053】
(この実施形態において)投薬装置には医薬品が予充填されるので、医薬の適切な用量は、ステップ504に示すように医薬品の決定/算定された体積(用量)に達するまで予充填されたシリンジから過剰な医薬品を排出することによって得ることができる。言い換えると、投薬装置の予充填体積は、患者に投与できる最大用量に対応できる。したがって、算定用量が最大可能用量でない限り、薬剤投与前に、予充填された投薬装置から医薬品の一部を排出しなければならない。
【0054】
このように、1つの実施形態によれば、プランジャは、プランジャ54の近位端部が算定用量に達するまでバレルの遠位端部31へ向かってバレルの内部に沿って押される。投薬する医療従事者が、投薬装置の中に算定用量のみが残るように余分な医薬を排出したら、医療従事者は、算定用量及び投薬装置の中に残る医薬品の量が患者について決定されたカラーコード化範囲内であることを確認する。例えば、身長又はその他の特性が青にコード化された上記の患者の場合、青色帯はバレルの遠位端部に近接する前縁とバレルの近位端部に近接する後縁とを有するので、プランジャは、プランジャの遠位端部が算定用量と整列するまでバレルの遠位端部へ向かって押され、その後、投薬従事者は、プランジャが青色帯の前縁と後縁との間に在ることを確認する。ステップ504において、余分な液体の全てが予充填投薬装置から排除されたら、ステップ505において医薬用量の正確さが確認され、ステップ506において医薬が患者に投与される。
【0055】
投薬キット
小児患者への薬剤投与は、特に、救急医療現場において問題となる。上述のように、小児患者の投薬量決定には、まず、その体重及び/又は身長に基づく患者へ投与する薬剤のキログラム数の決定が関わる。次に、患者に与える薬剤のミリリットル数を、医薬品の濃度に基づいて決定しなければならない。その結果として、適切な用量を決定するために必要な計算を実施する際に人間がエラーする危険がある。更に、エラーは、救急現場においてしばしば、医療従事者は、算定によって想定されるのとは異なる単位を有するシリンジをつかむ又は選択する際に生じる可能性がある。これらのエラーは、一連の薬剤で患者を治療する際即ち複数の医薬品が投与されるとき複合化する可能性がある。
【0056】
更に、特定の事例において、一連の複数の薬剤を特定の順番で投与しなければならない。したがって、上述のエラーに加えて、不正確な順序で複数の医薬を送達した結果として、更なるエラーが生じる可能性がある。更に、特定の医薬品を医療スタッフがすぐに入手できないと言うリスクもあり、この医薬品の入手の遅れが患者にとって害となる可能性がある。例えば、過剰な鎮静剤が患者に送達された場合、過剰摂取を逆転し患者への害を防止するために解毒剤を使用できる。但し、鎮静剤が与えられ、解毒剤が容易に入手できない場合、時間の遅れは患者にとって有害になる可能性がある。
【0057】
本明細書において説明するタイプのキットを使用することによって、上記のリスクのいくつか又は全てを減少できる。例えば、このようなキットの使用は、正確なタイミング及び順序を用いて正確な用量を投与できるようにする助けとなる。更に、本キットを使用することにより、用量計量または順序にエラーが生じたとき、適切な解毒剤及びこれに類似するものを入手できるようにする。いくつかの実施形態において、キットは、投与される薬剤及び/又は施される治療に基づいて入手できる。
【0058】
キットの実施形態には、医薬品、複数の医薬品、投薬装置及び/又はこれに類似するものの1つ又はそれ以上を含むことができる。キットは、又、指示書及びブローズロウテープ又は
図6を参照して上に論じたようにカラーコード化身長を示す他の任意の同様のタイプの装置も含むことができる。一連の薬剤を必要とする治療の場合、医薬品及び/又は投薬装置には、これに応じてラベル付けできる。例えば、最初に投与される医薬品及びこれに応用する投薬装置には“1”のラベルを、第2の医薬品及びこれに対応する投薬装置には“2”のラベルを、その後同様のラベルを付けることができる。更に、薬剤(又は薬剤の1つ)に対する解毒剤が提供される実施形態においては、解毒薬及び解毒剤投薬装置にもこれに応じてラベル付けできる。
【0059】
キット内において、医薬品はバイアルの中に保存でき、投薬装置は、
図1~3に関連して上で論じるシリンジなどのシリンジとすることができる。いくつかの実施形態において、医薬品1つ又は全てをシリンジ内に保存できる。シリンジは、各薬剤に合わせて作ることができる。医薬品に応じて異なる体積容量を持つシリンジを使用できる。更に、ラベルサイズ及びカラー帯又はゾーンの幅は、薬剤及び/又は薬剤の濃度に応じて変動する。従って、シリンジに使用される医薬品の名前及び医薬品の濃度を、シリンジ(又はシリンジに貼られたラベル)上に印刷できる。
【0060】
いくつかの実施形態において、投薬装置は、
図7Aに示す方法に従って患者に薬剤を投与するために使用できる。特に、薬剤投与のための方法は、患者に投与される薬剤を含む救急治療キットの選択(ステップ701)から開始できる。
図7Bに示すように、治療キットは、外面に特に容器の中に入れられた医薬品の名前を含むラベルが付けられた箱、袋、ポーチ又は中に投薬装置を保持できるその他の任意の適切な容器などの容器を含むことができる。例えば、1つの実施形態に従えば、ラベルに薬剤の名前が記載される他に、ラベルは、薬剤の濃度に関する情報及び/又は薬剤投与のためにキットをどのように使用するかの指示も含むことができる。治療キットは、更に、選択された薬剤のための様々な薬剤用量に合わせて目盛り調整されたカラーコード化ゾーンを持つシリンジなどの事前マーク付き投薬装置を含むことができる。シリンジのマーキングは、送達される薬剤の名前または、薬剤が正しく患者へ送達されるようにするのに役立つその他の任意の情報を含むこともできる。治療キットは、又、プラスチックの又はその他の任意の適切な材料で作られた先が尖っていない充填針など、シリンジの中への薬剤の引込みを容易にするための針も含むことができる。治療キットは、又、容器の外面に薬剤名のラベルが付けられた、薬剤を保持するためのビン、バイアルなどの容器を含むこともできる。容器は、薬剤を容器内部に収容するのを助けるストッパ又は蓋を含むことができる。ストッパ又は蓋は、容器から薬剤を容易に投薬装置へ引き込めるように、例えばゴム又は充填針で容易に穿孔できるその他の任意の適切な材料で作ることができる。
【0061】
複数の薬剤がキットに含まれる場合、各薬剤に対応するバイアル及びシリンジは、どのバイアルがどのシリンジに対応するかについて混乱がないようにパッケージ内で配置できる。更に、異なる色付きプランジャを使用して、正しい医薬品が正しい順番で患者に与えられるようにできる。例えば、2つの薬剤が指定の順番で投与される状況において、キットは、第1バイアルの中に第1薬剤を含み、第1シリンジには第1薬剤のためのカラーゾーンがマークされ、第2バイアルの中に第2薬剤を含み、第2シリンジには第2薬剤のためのカラーゾーンがマークされる。第1バイアル及び第1シリンジが第2バイアル及び第2シリンジと混合されないように、シリンジの中のプランジャに色付けできる。第1バイアルのラベル及び/又は蓋は、第1シリンジのプランジャと同じ色でマークすることができ、第2バイアルのラベル及び/又は蓋は、第2シリンジのプランジャと同じ色でマークできる。このように、薬剤が投与されるとき、投薬する医療従事者は、正しいバイアル/薬剤-シリンジの組合せが使用されていることを容易に確認できる。
【0062】
その代わりに又はそれに加えて、薬剤を特定の順番で送達する必要がある場合、薬剤を送達する順番を示すために、プランジャの端部に数字をマークできる。例えば、最初に投与される薬剤が緑のプランジャを有し、2番目に投与される薬剤が黄色のプランジャを持つ場合、緑のプランジャの端部は、端部に数字“1”を持ち、黄色のプランジャの端部は、端部に数字“2”を持つことができる。バイアルにも数字をマークできる。
【0063】
薬剤用量が患者の身長に基づく場合、患者のカラーコード化身長は、ブローズロウテープ又は
図6を参照して上に論じたようにカラーコード化身長範囲を示す他の同様のタイプの装置などの器具を用いて測定できる(ステップ702)。又は、他の患者特性を用いてカラーコード化範囲を決定できる。投薬される薬剤の適切な体積は、その後、患者の身長に基づいて決定でき、患者の身長は、カラーコードに相関できる(ステップ703)。決定された薬剤の体積は、その後投薬装置の中へ引き込め(ステップ704)、投与を行う医療従事者は、決定された薬剤体積が患者に対応するカラーコード内に在ることを確認する(ステップ705)。用量が確認されたら、薬剤を患者へ投与できる(ステップ706)。
図7Bに示す1つの実施形態に従えば、投薬装置が、事前取付けされた充填針を持つシリンジの場合、充填針は、投薬前に処分できる。
【0064】
図7Cは、アナフィラキシを治療するように構成できる好ましいキット720を示す。これは、アレルギー及び/又は喘息も治療できる。このようなキットは、特定の濃度を有するエピネフリンのバイアル725を含むことができる。例えば、エピネフリンは、1:1000mg/mlの濃度を持つ。シリンジ730(投薬装置)は、投薬が間違って静脈内に与えられないようにするために、永久的に取り付けられた針を備えることができる。シリンジは、最大体積0.33mlを持つことができる。シリンジの最大体積は、エピネフリンの最大小児用量とするか、又は最大体積は、エピネフリンの最大小児用量よりわずかに大きくできる。シリンジには、正確な用量を示すために上述のカラーコードをマークできる。いくつかの実施形態において、正確な用量は、子供の体重、年齢、体表面積及び/又は身長に基づいて決定できる。ブローズロウテープ又は(
図6を参照して上で論じたような)カラーコード化身長範囲を示すその他の任意の同様のタイプの装置などの器具735も、キットに含めることができる。指示書740もキットに含めることができる。キットは、容器/パッケージ745内に梱包できる。いくつかの実施形態において、少なくともパッケージの前面は、中身が見えてかつ特定の順番であるように、透明の硬質プラスチックとすることができる。
【0065】
別の好ましいキット750を
図7Dに示す。キット750は、迅速導入挿管のために構成でき、エトミデート、スクシニルコリン、アトロピン及びリドカインなど一連の医薬品を含むことができる。
図7D実施形態において、キット750は3つの医薬品を含む。各医薬品は、バイアル755a、755b、755cの中に保存でき、各バイアル755a、755b、755cは、対応するシリンジ760a、760b、760cを有する。シリンジ760a、760b、760cは、各々、医薬品の1つに合わせて目盛り調整され、シリンジ760aは、バイアル755aの中の医薬品に合わせて、シリンジ760bはバイアル755bの中の医薬品に合わせて、シリンジ760cは、バイアル755cの中の医薬品に合わせて目盛り調整される。目盛り調整は、カラーコード化に基づいて行われ、カラーコード化は、子供の体重、年齢、体表面積及び/又は身長に相関する。いくつかの実施形態において、ブローズロウテープ又はカラーコード化身長範囲(例えば、
図6を参照して上で説明するように)を示すその他の任意の同様のタイプの装置などの器具765も、キットに含めることができる。器具765は、医薬品をバイアルに充填する際のカラー範囲を決定するために使用される。指示書770も提供できる。指示書770は、下記のステップの1つ又はそれ以上を示すことができる。即ち、子供の体重、年齢、体表面積及び/又は身長を計測すること、計測に基づいて色を決定すること、適切な色に基づいて医薬品1を与えること、適切なカラーに基づいて医薬品2を与えること、適切な色に基づいて医薬品3を与えること。
【0066】
いくつかの実施形態において、各対応するバイアル-シリンジの対は、バイアル-シリンジ対が混同されないようにするために、別のパッケージのセット内に含めることができる。その代わりに又はそれに加えて、バイアル-シリンジ対に、数字でラベル付けするか(例えば、第1医薬品を持つバイアル及びこれに対応するシリンジは、各々数字1のラベルを持ち、以下同様である)、かつ/又はシリンジには、対応する薬剤及び濃度をマークできる。バイアル-シリンジ対には、固有の符号をマークでき、固有の符号は、バイアル―シリンジの適合のためにのみ使用されるか、又は固有の符号は、特定の濃度の単一の薬剤のためにのみ使用される。したがって、薬剤を投与する者は、薬剤投与の前に符号、数字などが適合するようにチェックしなければならない。
【0067】
キットは、小児の症状のために様々な組合せの医薬品を含むように構成できる。別の好ましいキットは、正確な濃度のアトロピンのバイアル、1xmg/kgの第1用量用のシリンジ、2xmg/kgの第2用量用の第2シリンジ、指示書、中身を適切に維持するための容器及び/又はこれに類似する物を含む上室性心悸亢進キットとすることができる。他の好ましいキットは、意識下鎮静、急性の痛み及びその他の処置のために構成できる。
【0068】
いくつかの実現形態において、キットは、成人のサイズ、体重などに基づいて変化する治療/医薬品など、成人を治療するためにも作成できる。いくつかの医薬品について、成人の用量は万能的であり、他の医薬品においては、用量は患者のサイズに応じて変わる。概念は、小児患者と同じであり、より大きい患者はより大きい用量となり、より小さい患者はより小さい用量となる。サイズの区別は、患者の体重、身長、体表面積、年齢及び/又はこれに類似するものに基づくことができる。例えば、いくつかの医薬品は、2つの用量、大柄な成人用と小柄な成人用、を持つことができる。したがって、薬剤送達装置は、2つのゾーンを持つことができる。他の医薬品は、患者のサイズに応じてもっと精密さを必要とする可能性があるので、薬剤送達装置は、2つ超えのゾーンを持つことができる。いくつかの実現形態において、ゾーンは、カラーコード化(
図7E)され、他の実現形態において、ゾーンは透明(
図7F)とすることができる。
【0069】
上述のキットと同様のキットは、子供ではなく成人用に構成されたバイアル及び/又はシリンジを含むように構成できる。したがって、投薬装置、薬剤及び/又は薬剤濃度は、成人用に構成できる。キットは、成人用キットであるか小児用キットであるかを示すために明確にラベル付けできる。
【0070】
別の実施形態において、キットは、小児用シリンジと成人用シリンジの両方を含むことができる。したがって、成人と子供が同じ薬剤を同じ濃度で摂取する医薬品の場合、キットは、薬剤のバイアル、小児患者用の対応するシリンジ、及び成人患者用の対応するシリンジを含むことができる。シリンジは、成人用又は小児用シリンジとして明確にラベル付けできる。シリンジは、成人用又は小児用であることを示すためにカラー又は符号の表示を持つこともできる。例えば、成人用シリンジは青いプランジャを持ち、小児用シリンジは赤いプランジャを持ち、かつ/又は、成人用シリンジには、adultの“A”のラベルを付け、小児用シリンジには、pediatricの“P”又はchild(ren)の“C”のラベルを付けることができる。
【0071】
全ての図面を参照して開示するように、事前ラベル付き投薬装置及びこれを製造し使用する方法は、現在使用されるシステム及び方法に比べていくつかの利点を持つ。まず、事前マーク付き投薬装置は、現在利用できるシステムのいずれよりも正確に医薬品を投与できるようにする。更に、
図8A及び8Bに示すように、ストレスの大きい環境において投与する必要のある用量を計算するステップを排除し、かつ適切な投薬装置を選択するステップを排除することは、従来の装置及び方法が使用されるときに通常生じる危険な用量過多又は危険な用量不足などの危険な投薬エラーを排除するのを助ける。また、従来の方法と比べて重大ではないエラーの頻度及び深刻度を、
図8C及び8Dに示すように減少できる。又、
図8E及び8Fに示すように、医薬品を準備し送達するための時間並びに迅速導入挿管(RSI)のために準備するときの医薬品を送達するための時間は、本開示に従った投薬装置を使用する場合、従来の装置に比べて著しく減少できる。したがって、開示する実施形態に従って設計され使用される事前ラベル付き投薬装置は、救急及び重症者治療現場においてより単純化され、正確かつ効率的な薬剤送達を可能にする。
【0072】
本明細書において、装置、システム及び方法の実施形態例を説明した。他の部分から分かるように、これらの実施形態は、限定的ではなく例示としてのみ説明される。本明細書に含まれる教示から明らかな他の実施形態も可能であり、開示に含まれる。したがって、開示の範囲は、上述の実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、本開示及びその同等物によって支持される請求項に従ってのみ規定されるべきである。更に、本開示の実施形態は、科学的データ交換に対応するあらゆる特徴を含めて他の開示される任意の方法、システム及び装置のあらゆる要素/特徴を含むことができる。言い換えると、1つ及び/又は別の開示される実施形態の特徴は、他の開示される実施形態の特徴と交換可能であり、後者の実施形態は、更に、他の実施形態に対応する。更に、開示される実施形態の1つ又は複数の特徴/要素は、取り除くことができ、それでも特許可能な内容である(したがって、本開示の更なる実施形態となる)。更に、いくつかの実施形態は、先行技術に見られる1つ又は複数の特徴を明確に持たないので、先行技術から区別可能である。言い換えると、本開示のいくつかの実施形態の主張は、主張される実施形態が先行技術において開示される少なくとも1つの構造、要素及び/又は特徴を持たないことを明確に示すために1つ又は複数の除くクレーム(negative limitation)を含むことができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を含むバイアルと、
前記バイアルから前記薬剤を受け取って、前記薬剤を患者へ送達するように構成された投薬装置であって、前記投薬装置に、設定された薬剤用量に対応する変動する幅を持つ複数のコード化用量ゾーンがマークされる、投薬装置と、
前記コード化用量ゾーンの1つに前記患者を関連付ける器具とを備える、治療キット。
【外国語明細書】