(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079558
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】ヒーター管理
(51)【国際特許分類】
A24F 40/53 20200101AFI20220519BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20220519BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/10
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052802
(22)【出願日】2022-03-29
(62)【分割の表示】P 2019503711の分割
【原出願日】2017-07-05
(31)【優先権主張番号】16180977.7
(32)【優先日】2016-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ビラ ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】コロット ギヨーム
(57)【要約】
【課題】ヒーターの空焚きなどの不具合を検出する手段を備える、電気的に作動するエアロゾル発生システムを提供する。
【解決手段】本システムは、エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、電源と、電気ヒーターおよび電源に接続され、メモリを備える電気回路(109)と、を備え、電気回路は、電気ヒーターの初期の電気抵抗(R
1)を測定し、初期の電気抵抗の測定後に電気ヒーターのその後の電気抵抗を測定し、初期の電気抵抗とその後の電気抵抗との間の差(AR)を決定し、その後の電気抵抗と初期の電気抵抗との間の決定された差がメモリ内に保存された最大の閾値の値(AR
max)よりも大きい、または最小の閾値の値(AR
min)よりも小さい時に、不具合を決定し、そして、不具合であることが決定されたかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または、不具合であることが決定された場合に表示を提供するように構成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に作動するエアロゾル発生システムであって、
エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、
電源と、
前記電気ヒーターおよび前記電源に接続され、メモリを備える電気回路であって、
前記電気ヒーターの初期の電気抵抗を測定し、
前記初期の電気抵抗の前記測定後に前記電気ヒーターのその後の電気抵抗を測定し、
前記初期の電気抵抗と前記その後の電気抵抗との間の差を決定し、
前記その後の電気抵抗と前記初期の電気抵抗との間の前記決定された差が前記メモリ内に保存された最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい時に、不具合を決定し、そして、
不具合であることが決定されたかどうかに基づいて前記電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または不具合であることが決定された場合に表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える、電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記システムが装置および取り外し可能なカートリッジを備え、前記電源および前記電気回路が前記装置内にあり、また前記電気ヒーターが前記取り外し可能なカートリッジ内にあり、かつ前記カートリッジが液体エアロゾル形成基体を備える、請求項1に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項3】
ユーザーが前記システムで吸煙している時を検出するための吸煙検出器であって、前記吸煙検出器が前記電気回路に接続され、また前記電気回路が、前記吸煙検出器によって吸煙が検出された時に前記電源から前記発熱体に電力を供給するように構成され、かつ前記電気的回路が、各吸煙の間に不具合があるかどうかを決定するように構成される、吸煙検出器をさらに備える、請求項1または2に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記システムが、
取り外し可能なカートリッジであって、
液体エアロゾル形成基体と、
前記電気ヒーターと、を備える、取り外し可能なカートリッジ、および、
前記取り外し可能なカートリッジを取り外し可能に受けるように構成された装置であって、
ユーザーが前記システムで吸煙している時を検出するための吸煙検出器と、
前記電源と、
前記電気回路であって、前記吸煙検出器および前記電源に接続され、使用時には、前記電気ヒーターに接続され、前記電気回路は、メモリを備え、そして、
前記吸煙検出器によって吸煙が検出される前に前記電気ヒーターの前記初期の電気抵抗を測定し、
前記吸煙検出器によって吸煙が検出される時に前記電源から前記発熱体に電力を供給し、
前記電源から前記電気ヒーターへの前記電力供給が開始された後の所定の期間内の前記電気ヒーターのその後の抵抗を測定し、
前記その後の抵抗と前記初期の電気抵抗との間の差を決定し、
前記その後の抵抗と前記初期の抵抗との間の前記差を前記メモリ内に保存された最大の閾値の値および最小の閾値の値の少なくとも一方と比較し、
前記差が前記最大の閾値の値よりも大きい、または前記最小の閾値の値よりも小さい場合に不具合があると決定し、
不具合であることが決定された場合に吸煙中に前記電気ヒーターに供給される前記電力を制限するか、または、不具合であることが決定された場合に残りの前記吸煙のために電力が前記電気ヒーターに供給されることを防止するように、構成される、電気回路と、を備える、装置、を備える、請求項1に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記電気回路が、
前記電気回路が前記電気ヒーターに接続される時を決定し、
前記電気回路に前記電気ヒーターが接続された後の所定の期間内の前記電気ヒーターの前記初期の抵抗を測定するようにさらに構成される、請求項2または4に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記電気回路が、
前記不具合の決定を前記メモリ内に保存し、
前記保存された不具合の決定に基づいて、連続した不具合の決定の回数を決定し、そして、
前記決定した連続した不具合の決定の回数が最大の閾値の値よりも大きい場合前記に前記カートリッジを無効化するようにさらに構成される、請求項1~5のいずれかに記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項7】
少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、
前記電気ヒーターに接続され、メモリを備える電気回路であって、
前記電気ヒーターの初期の電気抵抗を測定し、
前記初期の電気抵抗の前記測定後に前記電気ヒーターのその後の電気抵抗を測定し、
前記初期の電気抵抗と前記その後の電気抵抗との間の差を決定し、
電気ヒーターの前記その後の電気抵抗と前記初期の電気抵抗との間の前記決定された差が、前記メモリに保存された最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい時を決定し、そして、
不具合であることが決定されたかどうかに基づいて前記電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または不具合がある場合に表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える、ヒーター組立品。
【請求項8】
前記電気的に作動するエアロゾル発生装置は、
電源と、
前記電源に接続され、メモリを備える電気回路であって、
使用時に、前記電気的に作動するエアロゾル発生システムの電気ヒーターに接続し、
前記電気ヒーターの初期の電気抵抗を測定し、
前記初期の電気抵抗の前記測定後に前記電気ヒーターのその後の電気抵抗を測定し、
前記初期の電気抵抗と前記その後の電気抵抗との間の差を決定し、
前記その後の電気抵抗と前記初期の電気抵抗との間の前記決定された差が、前記メモリ内に保存された最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい時に不具合があると決定し、そして、
不具合であることが決定されたかどうかに基づいて前記電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または不具合であることが決定された場合に表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える、請求項4または5に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム用の電気的に作動するエアロゾル発生装置。
【請求項9】
使用時に、前記電気回路は、前記電気的に作動するエアロゾル発生システムの電気ヒーターおよび電源に接続され、前記電気回路は、メモリを備え、そして、
前記電気ヒーターの初期の電気抵抗を測定し、
前記初期の電気抵抗の前記測定後に前記電気ヒーターのその後の電気抵抗を測定し、
前記初期の電気抵抗と前記その後の電気抵抗との間の差を決定し、
前記その後の電気抵抗と前記初期の電気抵抗との間の前記決定された差が、前記メモリに保存された最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい時に不具合を決定し、そして、
不具合であることが決定されたかどうかに基づいて前記電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または不具合であることが決定された場合に表示を提供するように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム用の電気回路。
【請求項10】
使用時に、前記電気回路は、ユーザーが前記システムで吸煙している時を検出するための吸煙検出器にさらに接続され、前記電気回路は、
前記電気回路が前記電気ヒーターに接続される時を決定し、
前記電気ヒーターに前記電気回路が接続された後の所定の期間内の前記電気ヒーターの前記初期の抵抗を測定し、
前記吸煙検出器によって吸煙が検出される時に前記電源から前記発熱体に電力を供給し、
前記電源から前記電気ヒーターへの前記電力供給が開始された後の所定の期間内の前記電気ヒーターの前記その後の抵抗を測定し、
前記その後の抵抗と前記初期の電気抵抗との間の前記差を決定し、
前記その後の抵抗と前記初期の抵抗との間の差を最大の閾値の値および最小の閾値の値の少なくとも一方と比較し、
前記差が前記最大の閾値の値よりも大きい、または前記最小の閾値の値よりも小さい場合に不具合があると決定し、そして、
不具合であることが決定された場合に吸煙中に前記電気ヒーターに供給される前記電力を制限するか、または、不具合であることが決定された場合に残りの前記吸煙のために電力が前記電気ヒーターに供給されることを防止するようにさらに構成される、請求項9に記載の電気回路。
【請求項11】
前記電気回路は、
前記不具合の決定を前記メモリ内に保存し、
前記保存された不具合の決定に基づいて、連続した不具合の決定の回数を決定し、そして、
前記決定した連続した不具合の決定の回数が最大の閾値の値よりも大きい場合に前記カートリッジを無効化するようにさらに構成される、請求項9または10に記載の電気回路。
【請求項12】
電気的に作動するエアロゾル発生システム内の電気ヒーターへの前記電力供給を制御する方法であって、前記システムは、エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーター、および前記電気ヒーターに電力を供給するための電源を備え、前記方法は、
前記電気ヒーターに電力を供給することと、
前記電気ヒーターの初期の抵抗を測定することと、
前記初期の電気抵抗の前記測定後に前記電気ヒーターのその後の電気抵抗を測定することと、
前記初期の電気抵抗と前記その後の電気抵抗との間の差を決定することと、
前記その後の電気抵抗と前記初期の電気抵抗との間の前記決定された差が最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい時に不具合を決定することと、
不具合であることが決定されたかどうかに基づいて前記電気ヒーターに供給される前記電力を制御するか、または不具合であることが決定された場合に表示を提供することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記電気的に作動するエアロゾル発生システムがさらに、取り外し可能なカートリッジおよび前記取り外し可能なカートリッジを受けるように構成される装置を備え、前記取り外し可能なカートリッジが前記電気ヒーターおよび液体エアロゾル形成基体を備え、前記装置が前記電源、前記電気回路、およびユーザーが前記システムで吸煙する時を検出するための吸煙検出器をさらに備え、前記方法はさらに、
前記吸煙検出器によって吸煙が検出される前の前記電気ヒーターの前記初期の抵抗を測定することと、
前記吸煙検出器によって吸煙が検出される時に前記電源から前記発熱体に電力を供給することと、
前記電源から前記電気ヒーターへの前記電力供給が開始された後の所定の期間内の前記電気ヒーターの前記その後の抵抗を測定することと、
前記その後の電気抵抗と前記初期の抵抗との間の差を決定することと、
前記その後の抵抗と前記初期の抵抗との間の前記差を、最大の閾値の値または最小の閾値の値と比較することと、
前記差が前記最大の閾値の値よりも大きい、または前記最小の閾値の値よりも小さい場合に不具合があると決定することと、
不具合であることが決定された場合に吸煙中に前記電気ヒーターに供給される電力を制限するか、または、不具合であることが決定された場合に残りの前記吸煙のために電力が前記電気ヒーターに供給されることを防止することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電気回路が前記電気ヒーターに接続される時を決定することと、
前記電気ヒーターに前記電気回路を接続することが決定された後の所定の期間内の前記電気ヒーターの前記初期の抵抗を測定することと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電気的に作動するエアロゾル発生システム内のマイクロプロセッサ上でコンピュータプログラム製品が実行される時、請求項12~14のいずれか1項に記載の前記工程を実施するように、ソフトウェアコード部分を備えるマイクロプロセッサの前記内部メモリへと直接的にロードできるコンピュータプログラム製品であって、前記システムがエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーター、および電力を前記電気ヒーターに供給するための電源を備え、前記マイクロプロセッサが前記電気ヒーターおよび前記電源に接続される、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒーター管理に関する。開示された特定の実施例は、電気加熱式エアロゾル発生システム内のヒーター管理に関する。本発明の態様は電気加熱式エアロゾル発生システムおよび電気加熱式エアロゾル発生システムを動作するための方法を対象とする。説明される一部の実施例は、ヒーター要素における不具合を示す場合があるヒーター要素の電気抵抗の異常な変化を検出することができるシステムに関する。例えば、不具合は、システム内のエアロゾル形成基体の消耗したレベルを示す場合がある。一部の説明される実施例では、このシステムは異なる電気抵抗を有するヒーター要素に対して有効である場合がある。他の実施例では、電気抵抗の検出された特徴は、どのようにシステムが動作されうるかを決定または選択するために使用されてもよい。本発明の一部の態様および特徴は電気加熱式の喫煙システムに適用されうる。
【背景技術】
【0002】
国際特許公開公報第2012/085203号は、液体エアロゾル形成基体を保存するための液体貯蔵部分と、液体エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、発熱体にかけられた電力と結果として得られる発熱体の温度変化との間の関係に基づいて液体エアロゾル形成基体の消耗を決定するために構成された電気回路と、を備える電気加熱式の喫煙システムを開示している。特に、電気回路は、発熱体の温度上昇の速度を計算するように構成され、速度の高い温度上昇は、液体エアロゾル形成基体をヒーターへ運ぶ芯が乾燥しきったことを示す。システムは、温度上昇の速度を、製造中にメモリ内に保存された閾値の値と比較する。温度上昇の速度が閾値を超える場合、システムはヒーターへの電力の供給を停止する場合がある。
【0003】
国際特許公開公報第2012/085203号のシステムは、発熱体の温度を計算するためにヒーター要素の電気抵抗を使用することができ、これは専用の温度センサーを必要としないという利点を持つ。ところが、システムはヒーター要素の抵抗に依存する閾値の保存を依然として必要とし、そのためシステムは特定の電気抵抗または抵抗の範囲を有するヒーター要素のために最適化される。
【0004】
ところが、システムを異なるヒーターで動作できるようにすることが望ましい場合がある。典型的には国際特許公開公報第2012/085203号で説明されるタイプのシステムでは、ヒーターは分量の液体エアロゾル形成基体とともに使い捨てカートリッジ内に提供される。異なるカートリッジ内のヒーター要素は異なる電気抵抗を有する場合がある。これは同一のタイプのカートリッジ内の製造許容差の結果である場合があり、または異なるユーザー経験を提供するためにシステムで使用するための異なるカートリッジ設計が入手可能であるためである。国際特許公開公報第2012/085203号のシステムは、このシステムで使用されるシステムの製造時に決定される既知の特定の電気抵抗を持つヒーターのために最適化される。
【0005】
電気加熱式エアロゾル発生システムおよび特に異なるヒーターを用いて動作可能なシステムでは、ヒーターが乾燥しきったこと、またはヒーターにおける他の不具合を決定するための、代替的なシステムを持つことが望ましいことになる。
【0006】
恒久的な装置部分およびエアロゾル形成基体を含む消耗品である部分を持つ電気加熱式エアロゾル発生システムでは、消耗品である部分が「純正品」であるか、または装置と適合性があると考えられる消耗品であるかをこの装置の製造者が容易に決定できることが望ましいことになる。これは、ヒーターが消耗部品であるシステムと、ヒーターが恒久的な装置の一部であるシステムとのどちらにも当てはまることである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第一の態様において、電気的に作動するエアロゾル発生システムが提供されており、電気的に作動するエアロゾル発生システムは、
エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、
電源と、
電気ヒーターおよび電源に接続され、メモリを備える電気回路であって、電気回路は、
電気ヒーターの初期の電気抵抗を測定し、
初期の電気抵抗の測定後にその後の電気ヒーターの電気抵抗を測定し、
初期の電気抵抗とその後の電気抵抗との間の差を決定し、
初期の電気抵抗とその後の電気抵抗との間の決定された差が、メモリに保存された最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい時に不具合を決定し、そして、
不具合であることが決定されたかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または不具合であることが決定された場合に表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える。
【0008】
エアロゾル発生システムまたはエアロゾル発生装置での1つの不具合は、ヒーターにおいてエアロゾル形成基体が不十分または消耗していることである。一般論として、気化のためにヒーターに送達されるエアロゾル形成基体がより少ないほど、所与のかけられた電力に対して発熱体の温度がより高くなる。所与の電力について、加熱サイクルの間の発熱体の温度の進化、または複数の加熱サイクルにわたるその進化の変化のしかたを使用して、ヒーターにおいてエアロゾル形成基体の量を消耗しているかどうか、および特にヒーターにおいてエアロゾル形成基体が不十分かどうかを検出することができる。
【0009】
別の不具合は、複製可能なヒーターまたは使い捨てヒーターを持つシステム内での偽造品もしくは適合性がないヒーターまたは損傷されたヒーターの存在である。所与のかけられた電力に対して、ヒーター要素の抵抗が予想されるより迅速に上昇する場合、これはヒーターが偽造品であり、かつ純正品ヒーターとは異なる電気的特性を持つためである場合があり、またはヒーターが何らかのやり方で損傷されたためである場合がある。いずれの場合でも電気回路はヒーターへの電力供給を防止するように構成される場合がある。
【0010】
別の不具合は、偽造品の、適合性がない、または古いもしくは損傷されたエアロゾル形成基体のシステム内での存在である。所与のかけられる電力に対して、ヒーター要素の抵抗が予想されるより迅速に上昇する場合、これはエアロゾル形成基体が偽造品であるかまたは古く、そのために含水量が予想されるより高いまたはより低い場合がある。例えば、固体のエアロゾル形成基体が使用される場合に、この基体が非常に古い、または適切に保存されていなかった場合には乾燥している場合がある。基体が予想されるよりも乾燥している場合、気化に使用されるエネルギーが予想されるより少なく、ヒーター温度がより迅速に上昇することになる。これは結果としてヒーター要素の電気抵抗の予想外の変化をもたらす。
【0011】
電気ヒーターの初期の抵抗とその後の抵抗との間の差を使用することによって、システムは発熱体の実際の温度を決定する必要がなく、またはいかなる予め保存された所与の温度における発熱体の抵抗の知識も持つ必要がない。これは、不具合をトリガすることなく、システム内で承認された異なるヒーターを使用できるようにし、また同一のタイプのヒーターの製造許容差に起因する絶対的な抵抗の変動を可能にする。これは、適合性がないヒーターの検出も可能にする。
【0012】
電気回路は、初期のヒーター要素の電気抵抗、および電源から電気ヒーターへの初期の電力送達後の時点でのヒーター要素の電気抵抗を測定するように構成されてもよい。初期の電気抵抗は、ヒーターを最初に使用する前に測定されてもよい。ヒーターを最初に使用する前に初期の抵抗が測定される場合、ヒーター要素は測定時に室温前後であると仮定することができる。経時的な抵抗の予想される変化はヒーター要素の初期の温度に依存する場合があるため、室温におけるまたは室温に近い温度での初期の抵抗を測定することによって、予想される挙動の帯域をより狭く設定することができる。
【0013】
初期の抵抗は、測定された初期の抵抗から、システム内の他の電気的構成要素および電気接点からもたらされる仮定される寄生抵抗を差し引いたものとして計算されてもよい。
【0014】
システムは装置および装置に取り外し可能なように結合されたカートリッジを備えてもよく、電源および電気回路は装置内にあり、また電気ヒーターおよびエアロゾル形成基体は取り外し可能なカートリッジ内にある。本明細書で使用される場合、カートリッジが装置に「取り外し可能なように結合される」とは、装置またはカートリッジのいずれも著しく損傷することなく、カートリッジおよび装置が互いに結合および分離できることを意味する。
【0015】
電気回路は、カートリッジの装置への挿入および装置からの除去を検出するように構成されてもよい。電気回路は、カートリッジが最初に装置の中へ挿入された時に、しかし著しい加熱が発生する前に、ヒーターの初期の電気抵抗を測定するように構成されてもよい。電気回路は、測定された初期の抵抗を、メモリ内に保存された許容できる電気抵抗の範囲と比較してもよい。初期の抵抗が許容できる抵抗の範囲外である場合、これは偽造品である、適合性がない、または損傷されていると考えられる場合がある。その場合、電気回路は、カートリッジが取り除かれ異なるカートリッジで交換されるまで電力供給を防止するように構成されてもよい。
【0016】
装置には異なる特性を持つカートリッジが使用されてもよい。装置には、例えば、異なるサイズのヒーターを持つ2つの異なるカートリッジが使用されてもよい。より大きいヒーターは、そのような個人的好みを持つユーザーのために、より多くのエアロゾルを送達するために使用される場合がある。
【0017】
カートリッジは、再充填可能であってもよく、またはエアロゾル形成基体が枯渇状態になった時に廃棄されるように構成されていてもよい。
【0018】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出されてもよい。
【0019】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にし、またシステムの作動の使用温度で熱分解に対して実質的に抵抗性のある、任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当技術分野で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリン(最も好ましい)など)である。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0020】
カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体については、基体のある一定の物理的特性、例えば、蒸気圧または粘性は、エアロゾル発生システムで使用するために適切になるように選ばれる。液体は、加熱されると液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。代替的にまたは追加的に、液体は非たばこ材料を含んでもよい。液体は水、エタノール、または他の溶媒、植物エキス、ニコチン溶液、および天然もしくは人工の風味を含む場合がある。液体はさらにエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0021】
液体貯蔵部分を提供することの利点は、液体貯蔵部分内の液体が周囲空気から保護される点である。一部の実施形態では、液体の光誘発性分解を回避できるように、周囲光も同様に液体貯蔵部分に入ることができない。さらに、高いレベルの衛生を維持することができる。
【0022】
液体貯蔵部分は、所定の吸煙回数のための液体を保持するよう配置されることが好ましい。液体貯蔵部分が再充填可能でなく、かつ液体貯蔵部分内の液体を使用しきった場合、ユーザーは液体貯蔵部分を交換する必要がある。こうした交換の間の液体によるユーザーの汚染を防止する必要がある。別の方法として、液体貯蔵部分は再充填可能でもよい。その場合、エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分の一定の回数の再充填の後で交換されてもよい。
【0023】
別の方法として、エアロゾル形成基体は固体の基体であってもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0024】
エアロゾル形成基体が固体のエアロゾル形成基体である場合、固体のエアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこ、キャストリーフたばこ、および膨化たばこのうち1つ以上を含む、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうち1つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にしてもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供してもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0025】
「均質化したたばこ」は本明細書で使用される場合、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。均質化したたばこは、シートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、エアロゾル形成体含有量が乾燥質量基準で5%より多くてもよい。別の方法では、均質化したたばこ材料は、エアロゾル形成体含有量が乾燥質量基準で約5~約30重量パーセントの間であってもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎のうちの一方または両方を粉砕またはその他の方法で細分することによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えば、たばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状たばこ副産物のうち1つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、1つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、1つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはその組み合わせを含みうるが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成剤、湿潤剤、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水系の溶剤およびその組み合わせを含むが限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0026】
随意に、固体のエアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとってもよい。別の方法として、担体は、その内部表面上、またはその外部表面上、またはその内部および外部の表面上の両方に配置された固体基体の薄い層を有する、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば、紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穴あきの金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0027】
固体エアロゾル形成基体は、例えば、シート、発泡体、ゲルまたはスラリーの形態で担体の表面上に配置されてもよい。固体のエアロゾル形成基体は、担体の全表面上に堆積させてもよく、または別の方法として、使用中に均一でない風味送達を提供するためにあるパターンで堆積させてもよい。
【0028】
電気回路は、エアロゾル形成基体の装置への挿入および装置からの除去を検出するように構成されてもよい。電気回路は、エアロゾル形成基体が最初に装置の中へ挿入された時に、しかし著しい加熱が発生する前に、ヒーターの初期の電気抵抗を測定するように構成されてもよい。電気回路は、測定された初期の抵抗を、メモリ内に保存された許容できる電気抵抗の範囲と比較してもよい。初期の抵抗が許容できる抵抗の範囲外である場合、エアロゾル形成基体は偽造品である、適合性がない、または損傷されていると考えられる場合がある。その場合、電気回路は、エアロゾル形成基体が取り除かれ交換されるまで電力供給を防止するように構成されてもよい。
【0029】
電気ヒーターは、単一の発熱体を備える場合がある。別の方法として、電気ヒーターは、複数の発熱体、例えば2個、または3個、または4個、または5個、または6個、またはそれ以上の発熱体を含む場合がある。発熱体(単数または複数)は、最も効果的に液体エアロゾル形成基体を加熱するように適切に配列される場合がある。
【0030】
少なくとも一つの電気発熱体は、電気抵抗性の材料を含むことが好ましい。適切な電気抵抗性の材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とでできた複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープシリコン炭化物が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例には、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロミウム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有の合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。複合材料では、電気抵抗性の材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的性質に応じて、随意に断熱材料に包埋、封入、または断熱材料で被覆されてもよく、もしくはその逆であってもよい。発熱体は、二層の不活性材料の間で絶縁された、金属製でエッチング加工が施された箔を含んでもよい。その場合、不活性材料はKapton(登録商標)、全層ポリイミドまたはマイカ箔を含んでもよい。Kapton(登録商標)は、E.I. du Pont de Nemours and Companyの登録商標である。
【0031】
少なくとも一つの電気発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、少なくとも一つの電気発熱体は加熱用ブレードの形態を取ってもよい。別の方法として、少なくとも1つの電気発熱体は、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを持つケーシングまたは基体の形態をとってもよい。液体貯蔵部分は使い捨て発熱体を組み込んでもよい。別の方法として、液体エアロゾル形成基体を貫通する1つ以上の加熱用の針またはロッドも適切である場合がある。別の方法として、少なくとも1つの電気発熱体は材料の可撓性シートを含んでもよい。他の代替物としては、加熱用のワイヤまたはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケル・クロム)、白金、タングステン、または合金製のワイヤもしくは加熱プレートが挙げられる。随意に、発熱体は剛直な担体材料内またはその上に配置されてもよい。
【0032】
一実施形態では、発熱体は、導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または布を含む。導電性フィラメントはフィラメント間の隙間を画定してもよく、隙間の幅は10μm~100μmとしてもよい。
【0033】
導電性フィラメントは160~600メッシュUS(±10%)(すなわち、1インチ当たりのフィラメント数が160~600個(±10%))のサイズのメッシュを形成してもよい。隙間の幅は25μm~75μmが好ましい。メッシュの合計面積に対する間隙の面積の比であるメッシュの開口部分の面積率は25~56%が好ましい。メッシュは、異なるタイプの織り構造または格子構造を使用して形成されてもよい。別の方法として、導電性フィラメントは、互いに平行に配置されたフィラメントのアレイから成る。
【0034】
導電性フィラメントの直径は10μm~100μmとすることができ、8μm~50μmであることが好ましく、8μm~39μmであることがより好ましい。フィラメントは、丸い断面を有してもよく、または平坦な断面を有してもよい。
【0035】
導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは布の面積は小さくてもよく、25mm2以下であることが好ましく、手持ち式システムへの組み込みが許容されることが好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは布は、例えば5mm×2mmの寸法の長方形であってもよい。導電性フィラメントのメッシュまたはアレイは、ヒーター組立品の面積の10%~50%の面積を覆うことが好ましい。導電性フィラメントのメッシュまたはアレイは、ヒーター組立品の面積の15~25%の面積を覆うことがより好ましい。
【0036】
フィラメントは、シート材料(箔など)のエッチングによって形成されてもよい。これは、ヒーター組立品が平行のフィラメントのアレイを含む時、特に有利である場合がある。発熱体がフィラメントのメッシュまたは布を含む場合、フィラメントは個別に形成され、まとめて編まれてもよい。
【0037】
導電性フィラメント用の好ましい材料は、304、316、304L、および316Lステンレス鋼である。
【0038】
少なくとも1つの発熱体は伝導により液体エアロゾル形成基体を加熱する場合がある。発熱体は、少なくとも部分的に基体と接触する場合がある。別の方法として、発熱体からの熱は熱伝導性要素の手段によって基体に伝導する場合がある。
【0039】
使用時に、エアロゾル形成基体が発熱体と接触することが好ましい。
【0040】
電気的に作動するエアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分から電気ヒーター要素へ液体エアロゾル形成基体を運ぶための毛細管材料をさらに備えることが好ましい。
【0041】
液体貯蔵部分内の液体と接触するように毛細管材料を配置することが好ましい。毛細管芯を液体貯蔵部分の中へと延ばすことが好ましい。その場合、使用時に、液体は毛細管芯内での毛細管作用によって、液体貯蔵部分から電気ヒーターに移動される。一実施形態では、毛細管芯は第一の端と第二の端とを持ち、第一の端はその中の液体と接触するための液体貯蔵部分内に延び、また電気ヒーターは第二の端内の液体を加熱するように配置される。ヒーターが起動されると、毛細管芯の第二の端における液体がヒーターの少なくとも1つの発熱体によって気化され、過飽和蒸気を形成する。過飽和蒸気は気流と混合され、気流中で運ばれる。流れる間に、蒸気は凝縮されてエアロゾルを形成し、エアロゾルはユーザーの口に向かって運ばれる。液体エアロゾル形成基体は、液体が毛細管作用によって毛細管芯を通して運ばれるようにする粘性および表面張力を含む物理的特性を持つ。
【0042】
毛細管芯は繊維質または海綿状の構造を有してもよい。毛細管芯は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管芯は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含む場合がある。繊維または糸は概してエアロゾル発生システムの長軸方向に整列されてもよい。別の方法として、毛細管芯はロッド形状に形成された海綿体様または発泡体様の材料を含む場合がある。ロッド形状はエアロゾル発生システムの長軸方向に沿って延びてもよい。芯の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成し、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管芯は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の実施例は毛細管材料であり、例えば、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管芯は異なる液体物理特性で使用されるように、適切な任意の毛細管および空隙率を有する場合がある。液体は、毛細管作用により毛細管装置を通過して搬送できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を持つ。
【0043】
発熱体は、毛細管芯を取り巻く、および随意に毛細管芯を支持する、加熱ワイヤまたはフィラメントの形態であってもよい。通常の使用中にたくさんのエアロゾル形成基体がある時、芯の毛細管特性は、液体の特性と組み合わせられて、加熱領域内で芯が確実に常に湿潤状態であるようにする。
【0044】
別の方法として、説明されるように、ヒーター要素は、複数の導電性フィラメントから形成されるメッシュを含んでもよい。毛細管材料は、フィラメント間の隙間に延びてもよい。ヒーター組立品は、毛細管作用により液体エアロゾル形成基体を隙間に引き込んでもよい。
【0045】
ハウジングは、二つ以上の異なる毛細管材料を含みうるが、ここでヒーター要素と接触している第一の毛細管材料はより高い熱分解温度を持ち、第一の毛細管材料と接触しているが、ヒーター要素とは接触してない第二の毛細管材料はより低い熱分解温度を持つ。第一の毛細管材料は第二の毛細管材料がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、ヒーター要素を第二の毛細管材料から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。本明細書で使用される場合、「熱分解温度」は、材料が分解を始め、気体状の副産物を発生することにより質量を損失する温度を意味する。第二の毛細管材料は、有利なことに第一の毛細管材料よりも大きな容積を占めてもよく、また第一の毛細管材料よりも多くのエアロゾル形成基体を保持してもよい。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも優れた芯の性能を持ってもよい。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも安価であるか、または高い充填能力を持ってもよい。第二の毛細管材料はポリプロピレンであってもよい。
【0046】
電源は、例えばDC電圧供給源などのいかなる適切な電源としてもよい。一実施形態では、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウムベースの電池、例えばリチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池であってもよい。代替として、電源はコンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は、再充電を必要としてもよく、また1回以上のエアロゾル発生の体験のために十分なエネルギーの蓄積が許容される容量を持つ場合がある。例えば、電源は従来型の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を許容するのに十分な容量を持っていてもよい。別の例では、電源は所定の回数の吸煙、またはヒーターの不連続的な起動を許容するのに十分な容量を持っていてもよい。
【0047】
エアロゾル発生システムはハウジングを含むことが好ましい。ハウジングは細長いことが好ましい。ハウジングは任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料には例えば、金属、合金、プラスチック、もしくはそれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適切な熱可塑性樹脂が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないことが好ましい。
【0048】
電気加熱式エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。電気加熱式エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズであってもよい。電気加熱式エアロゾル発生システムの全長は、およそ30mm~およそ150mmとしうる。電気加熱式エアロゾル発生システムの外径は、およそ5mm~およそ30mmとしうる。
【0049】
電気回路はマイクロプロセッサを備えることが好ましく、またプログラマブルマイクロプロセッサを備えることがより好ましい。システムは、ソフトウェアをマイクロプロセッサ上にアップロードすることができるように、データ入力ポートまたはワイヤレスレシーバーを備えてもよい。電気回路は追加的な電気的構成要素を備えてもよい。システムは温度センサーを備えてもよい。
【0050】
不具合が検出された場合、システムはユーザーに不具合が検出されたことを示す表示を提供する以上のことは行わない。これは視覚的な、聴覚的な、または触覚的な警告を提供することによって行われてもよい。別の方法として、または追加的に、不具合が検出された時、電気回路は、ヒーターに供給される電力を自動的に制限してもよく、またはその他の方法で制御してもよい。
【0051】
不具合が検出された時に電気ヒーターに供給される電力を制御するように電気回路を構成することができる、数多くの可能な方法がある。発熱体に送達されるエアロゾル形成基体が不十分である場合、または固体エアロゾル形成基体が乾燥した状態になる場合、ヒーターへの電力供給を減少させるまたは停止することが望ましい場合がある。これは、ユーザーに一貫した楽しい経験が確実に提供されるようにすることと、過熱およびエアロゾル内に望ましくない化合物が発生する可能性を軽減することと、の両方である場合がある。ヒーターへの電力供給は、停止もしくは制限されてもよい。電力供給が、短い時間停止もしくは制限されてもよい。しかしながら、電力供給は、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで、停止もしくは制限されうることが好ましい。
【0052】
例えば、吸煙中最初にヒーターに6Wのパルスが供給されてもよい。吸煙中に不具合が決定されると、残りの吸煙に対する電力供給は5Wのパルスに制限されうる。一部の実施形態では、電気回路は、さらなる不具合が決定されるまで、その後の吸煙においてヒーターに制限されない6Wのパルスを供給するように構成されてもよい。しかしながら、別の好ましい実施形態では、電気回路は、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで、その後の吸煙においてヒーターに制限された5Wのパルスを供給するように構成されてもよい。
【0053】
システムは、ユーザーがシステムで吸煙している時を検出するための吸煙検出器を備えてもよく、吸煙検出器は電気回路に接続され、また電気回路は吸煙検出器によって吸煙が検出された時、電源からヒーター要素へ電力を供給するように構成され、かつ電気的回路は各吸煙の間に不具合があるかどうかを決定するように構成される。
【0054】
吸煙検出器は、マイクロフォンベースの吸煙検出器などの、装置を通る気流を直接的に測定する専用の吸煙検出器であってもよく、または例えば、装置内の温度変化、またはヒーター要素の電気抵抗の変化に基づいて吸煙を間接的に検出してもよい。
【0055】
電気回路は、所定の電力を、初期の吸煙の検出またはヒーターへの初期の電力供給のその後の期間Δt1の間、ヒーター要素に供給するように構成されてもよく、また電気回路は、各々の吸煙の間の期間t1におけるヒーター要素の電気抵抗の測定に基づいてヒーター要素の電気抵抗の変化を決定するように構成されてもよい。期間Δt1は、初期の吸煙の検出の直後、またはヒーターに最初に電力をかけた直後(の期間)となるように選んでもよい。使い捨てカートリッジの交換に続く最初の使用の間に、回路が適合性のないまたは偽造品のヒーターもしくはエアロゾル形成基体を検出する場合、これは特に有利である。例えば、一般的な吸煙の持続期間は3秒であってもよく、吸煙検出器の応答時間は約100msであってもよい。次いで、Δt1は、ヒーター温度が安定化する前の吸煙の期間中で、100ms~500msとなるように選んでもよい。別の方法として、期間Δt1は、発熱体の温度が安定化すると予想される期間となるように選んでもよい。
【0056】
電気回路は、所定の回数の逐次的または連続したユーザーの吸煙に対して不具合が決定される場合、電源からヒーター要素への電力供給を防止するように構成されてもよい。所定の回数の逐次的または連続した吸煙は、任意の適切な回数としうる。例えば、所定の回数の逐次的または連続した吸煙は、1、2、3、4、5、または6回としうる。所定の回数の逐次的または連続した吸煙は3回であることが好ましい。
【0057】
電気回路は、不具合があるかどうかを継続的に決定し、不具合がある時、ヒーターへの電力供給を制限または防止し、不具合がなくなるまでヒーター要素への電力供給の防止または減少を継続するように、構成されてもよい。
【0058】
液体および芯に基づくシステムでは、ヒーターの近くでは液体を十分迅速に置き換えることができないので、過剰な吸煙は芯の乾燥をもたらす場合がある。これらの状況では、ヒーターが高温になりすぎないように、また望ましくないエアロゾル成分を生成しないように、ヒーターへの電力供給を制限することが望ましい。不具合が検出されるとすぐに、その後のユーザー吸煙まで、ヒーターへの電力は停止されてもよい。
【0059】
同様に、過剰な吸煙は、吸煙と吸煙との間にヒーターを予想されるほど冷まさせない場合があり、結果として吸煙と吸煙の間に徐々に、望ましくないヒーターの温度の上昇をもたらす。これは、液体または固体のエアロゾル形成基体ベースのシステムに当てはまることである。不具合が決定される時、吸煙間のヒーターの望ましくない温度の上昇を減速させるために、電気回路は、残りの吸煙に対する電力供給を防止または制限して、不具合がなくなるまでその後の吸煙に対してヒーター要素への電力の供給を制限し続けるように構成されうる。電気回路は、所定の回数の逐次的または連続したユーザーの吸煙に対して不具合が決定される場合、ヒーター要素を無効化する、または、永久的または不可逆的に、電源からヒーター要素への電力供給を防止または阻害するように構成されてもよい。本明細書で使用される場合、「無効化」という用語は、ヒーター要素を動作不能にすることを意味する。例えば、電気回路は、3回の連続した吸煙に対して不具合が決定される場合に、ヒーター要素に接続されたヒューズを飛ばすように構成されてもよい。
【0060】
電気回路は、不具合がある時、所定の停止期間の間ヒーター要素への電力供給を防止するように構成されてもよい。
【0061】
電気回路は、エアロゾル形成基体を含有する消耗品部分またはヒーターが交換されるまで、ヒーターへの電力供給を防止するように構成されてもよい。
【0062】
代替的に、または追加的に、電気回路は、初期の抵抗とその後の抵抗との間の差が最大の閾値の値または最小の閾値の値に達したかどうかを継続的に計算し、そして差が閾値の値に達するためにかかった時間を保存された時間の値と比較するように構成されてもよく、閾値の値に達するためにかかった時間が保存された時間の値より小さい場合、または差が予想される期間内に閾値の値に達しない場合、不具合があることを決定し、ヒーターへの電力供給を防止または減少する。予想されるより迅速に閾値の値に達した場合、これはヒーター要素の空焚き、もしくは基体の空焚きを示す場合があり、または適合性がないヒーター、偽造品のヒーター、または損傷されたヒーターを示す場合がある。同様に、予想される期間内に閾値の値に達しない場合は、偽造品または損傷されたヒーターもしくは基体を示す場合がある。これは、偽造品の、損傷された、または適合性がないヒーターもしくは基体の素早い決定を可能にする場合がある。
【0063】
不具合を見つけることは、ヒーター要素における乾燥した状態を示すだけでなく、予想される特性範囲外の電気的特性を持つヒーターを示す場合がある。これは、ヒーターに欠陥があるため、ヒーターの上にその製品寿命にわたって物質が累積するため、またはこれが認可されていないヒーターまたは偽造品のヒーターであるため、である場合がある。例えば、製造者がステンレス鋼ヒーター要素を使用した場合、それらのヒーター要素は、特定の電気抵抗の範囲内で室温にて初期の電気抵抗を持つことが予想される。さらに、ヒーターの初期の電気抵抗とその後のヒーターの抵抗との間の差は、ヒーター要素の材料に関連するため特に価値があることが予想される場合がある。電気回路は、ヒーターの初期の電気抵抗とその後のヒーターの電気抵抗との間の差が予想される値の範囲外である時に不具合を決定し、結果に基づいてヒーターへの電力供給を制限または防止するように構成されてもよい。これは一部の認可されていないヒーターの使用を防止しうる。
【0064】
異なる状態に対する異なる制御戦略を生じさせるために、複数の異なる閾値が使用される場合がある。例えば、さらに電力を供給する前に、基体のヒーターの交換を必要とする境界を設定するために、最高の閾値および最低の閾値が使用される場合がある。電気回路は、差が最高の閾値を超える、または最低の閾値より小さい場合、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで、ヒーターへの電力供給を防止するように構成されてもよい。ヒーターにおける乾燥した状態をもたらす過剰な吸煙挙動を検出するために、1つ以上の中間閾値が使用されてもよい。電気回路は、中間閾値を超えたが最高閾値は超えていない場合、特定の期間またはその後のユーザーの吸煙までの間、ヒーターへの電力供給を防止するように構成されてもよい。1つ以上の中間閾値は、エアロゾル形成基体をほとんど消耗して、まもなく交換する必要があることの表示を、ユーザーに対してトリガするためにも使用することができる。電気回路は、中間閾値を超えるが、最高閾値は超えない場合、視覚的、聴覚的、または触覚的でありうる表示を提供するように構成されてもよい。
【0065】
偽造品のヒーター、損傷されたヒーター、または適合性がないヒーターを検出するための1つのプロセスは、ヒーターが最初に使用される時、または装置もしくはシステムに挿入される時に、ヒーターの抵抗またはヒーターの抵抗の変化の速度をチェックすることである。電気回路は、電力がヒーターに供給された後の所定の期間内のヒーター要素の初期の抵抗を測定するように構成されてもよい。所定の期間は、短い期間であってもよく、50ms~200msであってもよい。メッシュ発熱体を備えるヒーターについては、所定の期間はおよそ100msであってもよい。所定の期間は50ms~150msであることが好ましい。電気回路は、ヒーターの初期の抵抗を測定するように構成されてもよく、別個のルーチンとしてよりずっと低い電力を使用してエアロゾル形成基体を加熱するためにヒーターに電力を供給するように構成されてもよく、またはヒーターが起動して著しく加熱が生じる前の最初のわずかの間ヒーターの初期の抵抗を測定してもよい。電気回路は、ヒーターの初期の抵抗を許容できる値の範囲と比較するように構成されてもよく、初期の抵抗が許容できる値の範囲外である場合、電気回路は、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで電気ヒーターへの電力供給を防止するか、または表示を提供するように構成されてもよい。
【0066】
初期の抵抗が許容できる値の範囲内である場合、電気回路は、許容できるヒーターがあることを決定し、そして許容できるヒーターがあるかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または許容できるヒーターがない場合に表示を提供するように構成されてもよい。
【0067】
電気回路は、許容できるヒーターがあることを、ヒーターに電力を最初に供給してから1秒以内に決定するように構成されてもよい。
【0068】
第二の態様では、第一の態様の電気的に作動するエアロゾル発生システム、または電気的に作動するエアロゾル発生装置などの、電気的に作動するエアロゾル発生システムにおいて使用されるヒーター組立品が提供されており、ヒーター組立品は、
少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、
電気ヒーターに接続され、メモリを備える電気回路であって、
電気ヒーターの初期の電気抵抗を測定し、
初期の電気抵抗の測定後にその後の電気ヒーターの電気抵抗を測定し、
初期の電気抵抗とその後の電気抵抗との間の差を決定し、
電気ヒーターのその後の電気抵抗と初期の電気抵抗との間の決定された差が、メモリに保存された最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい時を決定し、そして、
不具合であることが決定されたかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または不具合がある場合に表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える。
【0069】
ヒーター組立品は、エアロゾル発生システム内で使用するために構成されてもよく、また使用時にエアロゾル形成基体を加熱するように構成されてもよい。
【0070】
第三の態様では、第一の態様の電気的に作動するエアロゾル発生システムなどの、電気的に作動するエアロゾル発生システムで使用される電気的に作動するエアロゾル発生装置が提供されており、電気的に作動するエアロゾル発生装置は、
電源と、
電源に接続され、メモリを備える電気回路であって、電気回路は、
使用時に、電気的に作動するエアロゾル発生システムの電気ヒーターに接続され、
電気ヒーターの初期の電気抵抗を測定し、
初期の電気抵抗の測定後にその後の電気ヒーターの電気抵抗を測定し、
初期の電気抵抗とその後の電気抵抗との間の差を決定し、
初期の電気抵抗とその後の電気抵抗との間の決定された差が、メモリに保存された最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい時に不具合があると決定し、そして、
不具合であることが決定されたかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または不具合であることが決定された場合に表示を提供するように構成される、電気回路と、を備える。
【0071】
本発明の第四の態様では、第一の態様の電気的に作動するエアロゾル発生システムなどの、電気的に作動するエアロゾル発生システム、または第三の態様の電気的に作動するエアロゾル発生装置などの、電気的に作動するエアロゾル発生装置のための電気回路が提供されており、使用時に、電気回路は、電気ヒーターおよび電源に接続され、電気回路はメモリを備え、そして、
電気ヒーターの初期の電気抵抗を測定し、
前記初期の電気抵抗の前記測定後にその後の前記電気ヒーターの電気抵抗を測定し、
前記初期の電気抵抗と前記その後の電気抵抗との間の差を決定し、
初期の電気抵抗とその後の電気抵抗との間の決定された差が、メモリに保存された最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい時に不具合を決定し、さらに、
不具合であることが決定されたかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または不具合であることが決定された場合に表示を提供するように構成される。
【0072】
使用時に、電気回路はさらに、ユーザーがシステムで吸煙している時を検出するための吸煙検出器に接続されてもよく、電気回路はさらに、
電気回路が電気ヒーターに接続される時を決定し、
電気ヒーターに電気回路が接続された後の所定の期間内の電気ヒーターの初期の抵抗を測定し、
吸煙検出器によって吸煙が検出される時に電源から発熱体に電力を供給し、
電源から電気ヒーターへの電力供給が開始された後の所定の期間内の電気ヒーターのその後の抵抗を測定し、
その後の抵抗と初期の電気抵抗との間の差を決定し、
その後の抵抗と初期の抵抗との間の差をメモリ内に保存された最大の閾値の値および最小の閾値の値の少なくとも一方と比較し、
差が最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい場合に不具合があると決定し、そして、
不具合であることが決定された場合に吸煙中に電気ヒーターに供給される電力を制限するか、または、不具合であることが決定されたかどうかに基づいて残りの吸煙に対して電力が電気ヒーターに供給されることを防止するように、構成されてもよい。
【0073】
一部の実施形態では、電気回路はさらに、
不具合の決定をメモリ内に保存し、
保存された不具合の決定に基づいて、連続した不具合の決定の回数を決定し、そして、
決定した連続した不具合の決定の回数が最大の閾値の値よりも大きい場合にカートリッジを無効化するように構成されてもよい。
【0074】
電気回路は、任意の適切な手段によってカートリッジを無効化するように構成されうる。例えば、電気回路は、電気ヒーターに接続されたヒューズを飛ばすように構成されてもよい。
【0075】
第五の態様では、第一の態様の電気的に作動するエアロゾル発生システムなどの、電気的に作動するエアロゾル発生システム、または、第三の態様の電気的に作動するエアロゾル発生装置などの、電気的に作動するエアロゾル発生装置の電気ヒーターへの電力供給を制御する方法が提供されており、このシステムまたは方法は、エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体と、電気ヒーターに電力を供給するための電源と、を備え、この方法は、
電気ヒーターに電力を供給することと、
電気ヒーターの初期の電気抵抗を測定することと、
初期の電気抵抗の測定後にその後の電気ヒーターの電気抵抗を測定することと、
初期の電気抵抗とその後の電気抵抗との間の差を決定することと、
その後の電気抵抗と初期の電気抵抗との間の決定された差が、メモリに保存された最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい時に不具合を決定することと、
不具合であることが決定されたかどうかに基づいて電気ヒーターに供給される電力を制御するか、または不具合であることが決定された場合に表示を提供することと、を含む。
【0076】
方法は、初期のヒーター要素の電気抵抗を測定することと、電源から電気ヒーターへの初期の電力送達の後の時点でのヒーター要素の電気抵抗を測定することと、を含んでもよい。
【0077】
方法は、電力が供給される時、ヒーターに一定の電力を供給することを含んでもよい。別の方法として、他の動作パラメータに応じて可変的な電力を供給してもよい。その場合、閾値の値はヒーターに供給される電力に応じてもよい。
【0078】
方法は、ヒーターを最初に使用する前に初期の電気抵抗を決定することを含んでもよい。ヒーターを最初に使用する前に初期の抵抗が決定される場合、ヒーター要素は室温前後であると仮定することができる。経時的な抵抗の予想される変化はヒーター要素の初期の温度に依存する場合があるため、室温におけるまたは室温に近い温度での初期の抵抗を測定することによって、予想される挙動の帯域をより狭く設定することができる。
【0079】
方法は初期の抵抗を測定された初期の抵抗から、システム内の他の電気的構成要素および電気接点からもたらされる仮定される寄生抵抗を差し引いたものとして計算することを含んでもよい。
【0080】
電気的に作動するエアロゾル発生システムは、ユーザーがシステムで吸煙した時を検出するための吸煙検出器を備えてもよく、また方法は吸煙検出器によって吸煙が検出された時、電源からヒーター要素へと電力を供給することと、各々の吸煙の間に不具合があるかどうかを決定することと、所定の回数の連続するユーザー吸煙に対して不具合がある場合に電源からヒーター要素への電力供給を防止することと、を含んでもよい。
【0081】
方法は、不具合がある場合、電源からヒーター要素への電力供給を防止することを含んでもよい。
【0082】
方法は、不具合があるかどうかを継続的に決定することと、不具合がある時、ヒーターへの電力供給を防止し、不具合がなくなるまでヒーター要素への電力供給の防止を継続することと、を含んでもよい。
【0083】
方法は、不具合がある時、所定の停止期間の間ヒーター要素への電力供給を防止することを含んでもよい。
【0084】
代替的に、または追加的に、方法は、差が最大の閾値の値または最小の閾値の値を超えるかどうかを継続的に計算すること、および閾値の値に達するまでにかかった時間を保存された時間の値と比較することを含んでもよく、また閾値の値に達するまでにかかった時間が保存された時間の値より小さい場合、不具合を決定すること、およびヒーターへの電力供給を制御することを含んでもよい。
【0085】
一部の実施形態では、電気的に作動するエアロゾル発生システムはさらに、取り外し可能なカートリッジと、取り外し可能なカートリッジを取り外し可能に受けるように構成される装置とを備えてもよく、移動可能なカートリッジは、電気ヒーターおよび液体エアロゾル形成基体を備え、装置は電源および電気回路を備え、電気回路はユーザーがシステムで吸煙している時を検出するための吸入検出器に接続される。これらの実施形態で、方法はさらに、
吸煙検出器によって吸煙が検出される前に電気ヒーターの初期の抵抗を測定することと、
吸煙検出器によって吸煙が検出される時に電源から発熱体に電力を供給することと、
電源から電気ヒーターへの電力供給が開始された後の所定の期間内のその後の電気ヒーターの抵抗を測定することと、
その後の抵抗と初期の電気抵抗との間の差を決定することと、
その後の抵抗と初期の抵抗との間の差をメモリ内に保存された最大の閾値の値および最小の閾値の値の少なくとも一方と比較することと、
差が最大の閾値の値よりも大きい、または最小の閾値の値よりも小さい場合に不具合があると決定することと、
不具合であることが決定された場合に吸煙中に電気ヒーターに供給される電力を制限するか、または、不具合であることが決定された場合に残りの吸煙に対して電力が電気ヒーターに供給されることを防止することと、を含んでもよい。
【0086】
一部の実施形態で、方法はさらに、
電気回路が電気ヒーターに接続される時を決定することと、
電気ヒーターに接続された後の所定の期間内の電気ヒーターの初期の抵抗を測定することと、を含む。
【0087】
本発明の第六の態様では、第一の態様の電気的に作動するエアロゾル発生システムなどの、電気的に作動するエアロゾル発生システム、または、第三の態様の電気的に作動するエアロゾル発生装置などの、電気的に作動するエアロゾル発生装置の適合性がないヒーターまたは損傷されたヒーターを検出する方法が提供され、システムまたは装置は、エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、電気ヒーターに電力を供給するための電源と、を備え、この方法は、
電気ヒーターに電力を供給することと、
電気ヒーターの初期の電気抵抗を測定することと、
前記初期の電気抵抗の前記測定後にその後の前記電気ヒーターの電気抵抗を測定することと、
前記初期の電気抵抗と前記その後の電気抵抗との間の差を決定することと、
前記初期の電気抵抗と前記その後の電気抵抗との間の差が最大閾値の値より大きい、または最小閾値の値より小さい時、または前記差が予想される期間外にメモリ内に保存された閾値の値に達する時、適合性がないもしくは損傷されたヒーターを決定することと、を含む。
【0088】
方法は、適合性がないヒーターであることが決定された場合、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで、電気ヒーターへの電力供給を防止すること、または表示を提供することを含んでもよい。
【0089】
方法はさらに、電力がヒーターに供給された後の所定の期間内のヒーターの初期の抵抗、またはヒーターの初期の抵抗の変化の速度を測定することと、ヒーターの初期の抵抗またはヒーターの初期の抵抗の変化の速度を許容できる値の範囲と比較することと、初期の抵抗または初期の抵抗の変化の速度が許容できる値の範囲外である場合、ヒーターまたはエアロゾル形成基体が交換されるまで電気ヒーターへの電力供給を防止すること、または表示を提供することと、を含む。
【0090】
所定の期間は、短い期間であってもよく、50ms~200msであってもよい。メッシュ発熱体を備えるヒーターについては、所定の期間はおよそ100msであってもよい。所定の期間は50ms~150msであることが好ましい。
【0091】
所定の期間の間の初期の抵抗の変化の速度を決定することは、所定の期間の間の異なる時点で複数の抵抗測定を行い、複数の抵抗測定に基づいて抵抗の変化の速度を計算することによって達成される場合がある。
【0092】
方法は、ヒーターまたはエアロゾル形成基体がシステムの中へ挿入された時に検出することをさらに含む場合がある。方法は、ヒーターまたはエアロゾル形成基体がシステムの中へと挿入されたことが検出された直後に実施されてもよい。
【0093】
本発明の第七の態様では、電気的に作動するエアロゾル発生システム内のマイクロプロセッサ上でコンピュータプログラム製品が実行される時、第五または第六の態様の工程を実施するように、ソフトウェアコード部分を備えるマイクロプロセッサの内部メモリへと直接的にロードできるコンピュータプログラム製品が提供され、システムはエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、電気ヒーターに電力を供給するための電源とを備え、マイクロプロセッサは電気ヒーターおよび電源に接続される。
【0094】
コンピュータプログラム製品は、ダウンロード可能なソフトウェアの1つとして、またはコンピュータ可読記憶媒体上に記録して提供されてもよい。
【0095】
本発明の第八の態様によると、第七の態様によるコンピュータプログラムがその上に保存されているコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0096】
本発明の一態様に関連して説明した特徴は、発明の他の態様に適用されてもよい。特に、第一の態様に関して説明した特徴は、本発明の第二、第三、および第四の態様に適用されてもよい。本発明の第一、第二、第三、および第四の態様に関して説明した特徴は、本発明の第五、第六、および第七の態様にも適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
本発明は、単なる例証として、添付図面を参照しながら、さらに説明される。
【
図1-1】
図1a~
図1dは、本発明の実施形態によるシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1a~
図1dに示したシステムで使用するカートリッジの分解組立図である。
【
図3】
図3は、フィラメント間の液体エアロゾル形成基体のメニスカスを示す、ヒーターのフィラメントの詳細図である。
【
図4】
図4は、ユーザーの吸煙の間のヒーターの抵抗の変化の概略図である。
【
図5】
図5は発熱体の抵抗を測定しうる方法を示す電気回路図である。
【
図6】
図6は不具合の検出のその後の制御プロセスを図示する。
【
図7】
図7は第一の代替的なエアロゾル発生システムの概略図である。
【
図8】
図8は第二の代替的なエアロゾル発生システムの概略図である。
【
図9】
図9は、認可されていないヒーター、損傷されたヒーター、または適合性がないヒーターを検出するための方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0098】
図1a~1dは、本発明の実施形態によるカートリッジを含む、電気加熱式エアロゾル発生システムの概略図である。
図1aは、エアロゾル発生装置10および別個のカートリッジ20の概略図であり、まとめて、電気加熱式エアロゾル発生システムを形成する。
【0099】
カートリッジ20は、エアロゾル形成基体を含み、装置内のくぼみ18内に受けられるように構成される。カートリッジ20は、カートリッジ内に提供されたエアロゾル形成基体が消耗した時に、ユーザーによって交換可能であるべきである。
図1aは、装置への挿入直前のカートリッジ20を示し、
図1aの矢印1は、カートリッジの挿入方向を示す。
【0100】
エアロゾル発生装置10は携帯型で、従来的な葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを持つ。装置10は、本体11およびマウスピース部分12を含む。本体11は、電池14(リン酸鉄リチウム電池など)、電気回路16、およびくぼみ18を含有する。電気回路16はプログラマブルマイクロプロセッサを備える。マウスピース部分12は、ヒンジ付接続部21によって本体11に接続され、
図1に示す開位置と
図1dに示す閉位置との間で移動可能である。マウスピース部分12は、カートリッジ20の挿入および除去が許容されるように開位置に置かれ、またシステムがエアロゾルの発生に使用される時に閉位置に置かれる。マウスピース部分は、複数の空気吸込み口13および空気出口15を備える。使用時に、ユーザーは出口を吸うかまたは吸入して、空気を空気吸込み口13からマウスピース部分を通して出口15に引き出し、その後、ユーザーの口または肺に入る。内部バッフル17は、マウスピース部分12を通してカートリッジを通過する空気の流れを強制するために提供される。
【0101】
くぼみ18は円形断面を持ち、カートリッジ20のハウジング24を受けるサイズである。電気コネクター19は、制御電子回路16および電池14とカートリッジ20の対応する電気接点との間に電気的接続を提供するために、くぼみ18の側部に提供される。
【0102】
図1bは、カートリッジがくぼみ18に挿入され、カバー26が除去された
図1aのシステムを示す。この位置で、電気コネクターは、カートリッジ上の電気接点に対して置かれている。
【0103】
図1cは、カバー26が完全に除去され、マウスピース部分12が閉位置に移動される
図1bのシステムを示す。
【0104】
図1dは、マウスピース部分12が閉位置にある
図1cのシステムを示す。マウスピース部分12は、留め金機構によって閉位置に保持される。閉位置にあるマウスピース部分12は、システムの向きに関係なく、使用時に良好な電気的接続が維持されるように、カートリッジを電気コネクター19と電気的に接触した状態に保つ。
【0105】
図2は、カートリッジ20の分解組立図である。カートリッジ20は、くぼみ18内に受けられるように選択されるサイズおよび形状を持つ一般的に円柱状のハウジング24を含む。ハウジングは、液体エアロゾル形成基体内に浸された毛細管材料27、28を含む。この例では、エアロゾル形成基体は、39重量パーセントのグリセリン、39重量パーセントのプロピレングリコール、20重量パーセントの水および風味剤、および2重量パーセントのニコチンを含む。毛細管材料は、液体を一方の端から他方の端へと能動的に運ぶ材料であり、任意の適切な材料から作製されてもよい。この例では、毛細管材料はポリエステルから形成される。
【0106】
ハウジングは、ヒーター組立品30が固定される開放端を持つ。ヒーター組立品30は、その中に開口部35が形成された基体34と、基体に固定されかつギャップ33により相互に分離された一対の電気接点32と、開口部を横切って開口部35の反対側にある電気接点に固定された複数の導電性ヒーターフィラメント36とを含む。
【0107】
ヒーター組立品30は、取り外し可能なカバー26によって覆われる。カバーは、ヒーター組立品に接着されるが、簡単に剥がすことができる液体不浸透性プラスチックシートを含む。剥がす時にユーザーがカバーを掴むことができるように、タブがカバーの側面に提供されている。接着は不浸透性プラスチックシートをヒーター組立品に固定する方法として説明されているが、消費者によってカバーが簡単に除去されうる限り、ヒートシールまたは超音波溶接を含めた当業者が精通している他の方法も使用してもよいことが、当業者には明らかとなろう。
【0108】
図2のカートリッジには別個の2つの毛細管材料27、28がある。第一の毛細管材料27のディスクが、使用時にヒーター要素36、32と接触するように提供されている。第二の毛細管材料28の大きい方の本体はヒーター組立品への第一の毛細管材料27の反対側に提供されている。第一の毛細管材料および第二の毛細管材料はどちらも、液体エアロゾル形成基体を保持する。ヒーター要素と接触する第一の毛細管材料27は第二の毛細管材料28よりもより高い熱分解温度(少なくとも160℃以上、例えば約250℃など)を持つ。第一の毛細管材料27は第二の毛細管材料がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、ヒーター要素36、32を第二の毛細管材料28から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。第一の毛細管材料全体での熱勾配は第二の毛細管材料がその熱分解温度を下回る温度に晒されるようにするためである。第二の毛細管材料28は第一の毛細管材料27への優れた芯の性能を持つものを選択でき、単位体積あたり第一の毛細管材料よりも多くの液体を保持でき、また第一の毛細管材料よりも安価なものとしうる。この例では第一の毛細管材料はガラス繊維またはガラス繊維を含む要素などの耐熱素子であり、また第二の毛細管材料は適切な毛細管材料などのポリマーである。例示的な適切な毛細管材料としては、本明細書で考察した毛細管材料が挙げられ、また代替的な実施形態では、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられうる。
【0109】
毛細管材料27、28は、ハウジング24内で液体をヒーター組立品30に運ぶのに有利に方向付けられる。カートリッジが組み立てられる時、ヒーターフィラメント36、37、38は毛細管材料27と接触してもよく、そのためエアロゾル形成基体はメッシュヒーターに直接運ぶことができる。
図3は、ヒーター組立品のフィラメント36の詳細図であり、ヒーターフィラメント36間の液体エアロゾル形成基体のメニスカス40を示す。ヒーター組立品により発生されたほとんどの熱がエアロゾル形成基体内に直接入るように、エアロゾル形成基体はそれぞれのフィラメントのほとんどの表面に接触することがわかる。
【0110】
そのようにして、通常動作では、液体エアロゾル形成基体はヒーターフィラメント36の表面の大きい部分に接触する。ところが、カートリッジ内の液体基体のほとんどが使用された時、ヒーターフィラメントに送達される液体エアロゾル形成基体はより少なくなる。気化する液体がより少ないと、気化のエンタルピーによって取り上げられるエネルギーがより小さくなり、加熱フィラメントに供給されるエネルギーのより多くが、加熱フィラメントの温度を上げることに向けられる。そのようにしてヒーター要素が乾燥すると、所与のかけられた電力に対するヒーター要素の温度上昇の速度が増加する。ヒーター要素は、カートリッジ内のエアロゾル形成基体をほとんど使用しきるため、またはユーザーが非常に長いまたは非常に頻繁な吸煙を行い、かつ液体をヒーターフィラメントに気化するのと同程度に速く送達することができないため、乾燥しきる場合がある。
【0111】
使用時に、ヒーター組立品は抵抗加熱により動作する。電流は、制御電子回路16の制御に基づき、フィラメント36を通過し、フィラメントを望ましい温度範囲内に加熱する。フィラメントのメッシュまたはアレイは、高い温度がフィラメントに局所化されるように電気接点32および電気コネクター19よりも著しく高い電気抵抗を持つ。この実施例では、システムはユーザーの吸煙に応答して電流をヒーター組立品に提供することによって熱を発生するように構成される。別の実施形態では、システムは、装置が「オン」状態にある間に連続的に熱を発生するように構成されてもよい。異なるシステムに対してはフィラメント用の異なる材料が適切である場合がある。例えば、連続的加熱システムでは、比熱容量が比較的低く、かつ低電流の加熱と適合性があるため、Ni-Crフィラメントが適切である。高電流パルスを使用した短時間のバーストで熱が発生される吸煙により作動するシステムでは、高い比熱容量を持つステンレス鋼フィラメントがより適切である場合がある。
【0112】
システムは、マウスピース部分を通してユーザーが空気を吸い込んだ時、検出するように構成された吸煙センサーを含む。吸煙センサー(図示せず)は制御電子回路16に接続され、制御電子回路16は、ユーザーが装置を吸煙していることが判定された時にのみ電流をヒーター組立品30に供給するよう構成される。マイクロフォンまたは圧力センサーなどの、任意の適切な気流センサーが吸煙センサーとして使用されてもよい。
【0113】
この温度変化の速度の増加を検出するために、電気回路16はヒーターフィラメントの電気抵抗を測定するように構成される。この実施例のヒーターフィラメントは、ステンレス鋼から形成され、そのため正の温度抵抗係数を持つ。これは、ヒーターフィラメントの温度が上昇するとその電気抵抗も上昇することを意味する。別の実施形態では、ヒーターフィラメントは、負の抵抗係数を有する材料から形成されてもよく、このために、ヒーターフィラメントの温度が上昇すると、それらの電気抵抗が減少する。
【0114】
図4は、ユーザーの吸煙の間のヒーターの抵抗の変化の概略図である。x軸は、初期のユーザーの吸煙および結果としてもたらされたヒーターへの電力供給の検出後の時間である。y軸はヒーター組立品の電気抵抗である。ヒーター組立品がいかなる加熱も生じる前に初期の抵抗R
1を持つことがわかる。R
1は、電気接点32および電気コネクター19ならびにそれらの間の接点からもたらされる寄生抵抗R
Pと、ヒーターフィラメントの抵抗R
0と、から得られる。ユーザーの吸煙の間に電力がヒーターにかけられると、ヒーターフィラメントの温度が上昇し、ヒーターフィラメントの電気抵抗が上昇する。図示する通り、電源からヒーターへの電力供給からの期間Δt
1後のt
1の時点における、ヒーター組立品の抵抗はR
2である。したがって、初期の抵抗からt
1の時点における抵抗へのヒーター組立品の電気抵抗の変化は、ΔR=R
2-R
1である。
【0115】
この実施例では、ヒーターフィラメントが加熱されても寄生抵抗RPは変化しないと仮定される。これは、RPが電気接点32および電気コネクター19などの加熱されない構成要素を原因とするためである。RPの値はすべてのカートリッジに対して同一になると仮定されており、また値は電気回路のメモリに保存されている。
【0116】
ヒーターフィラメントの温度の急激な上昇を検出するために、ヒーターフィラメントにおける乾燥状態、ヒーターフィラメントの抵抗の変化の表示をモニターしうる。電気回路は、電力がヒーター要素に供給される前、言い換えると吸煙前の、ヒーターフィラメントの初期の電気抵抗R1の測定値と、電力がヒーターフィラメントに供給される時から所定の期間Δt1後のヒーターフィラメントの電気抵抗R2の測定値との間の差を決定することで、抵抗の変化を決定するように構成されうる。さらに、電気回路は、差ΔRを所定の最大の閾値の値ΔRmaxと比較することで、抵抗の変化が受容できないほどの温度の急激な変化を示すかどうかを決定するように構成されうる。
【0117】
R2およびR1は、両方とも測定された値であり、またΔRmaxはメモリ内に保存される。理想的にはR1の値はいかなる加熱も行われる前に、言い換えればヒーターを最初に起動する前に測定される。初期の測定された値は、以前の吸煙に由来する残留熱からもたらされるあらゆるエラーを回避するために、その後のすべての吸煙に対して使用されうる。そのため、いかなる加熱も行われる前の初期の測定された電気抵抗は、R1refと呼ばれうる。
【0118】
R1refは、各々のカートリッジに対して1回のみ測定されてもよく、新しいカートリッジが挿入された時、決定するために検出システムが使用され、またはR1はシステムのスイッチがオンになるたびに測定されてもよい。しかしながら、電気回路は、電力がヒーターフィラメントに供給されない所定の期間後に更新された測定値R1refを周期的に測定するように構成されることが好ましい。所定の期間は一般的には3分であるが、ヒーターフィラメントをその動作温度から室温に戻すのに必要な任意の適切な時間としうる。R1refに対する周期的な更新は、電気回路を再調整して、周囲温度における温度の変化およびヒーターフィラメントの状態の変化を補償してもよい。
【0119】
この実施例では、電気回路内のマイクロプロセッサ上で実行しているソフトウェアは、不具合を決定するために、以下の比較を実施する。
【0120】
R2>R1ref+ΔRmaxである場合、ヒーターにおいて乾燥した状態がある。(1)
ヒーターの空焚き状態を除いた他の不具合も類似の方法で検出される場合がある。例えば、温度抵抗係数が異なる材料から形成されたヒーターを持つカートリッジがシステムで使用される場合、電気回路はそれを検出することができ、かつ電力をこれに供給しないように構成されてもよい。本実施例では、ヒーターフィラメントはステンレス鋼から形成される。Ni-Crから形成されたヒーターを持つカートリッジは、温度抵抗係数がより低いことになり、これはその抵抗が温度の上昇とともによりゆっくり上昇することを意味する。そのため、最小の抵抗閾値の値ΔRminは、電気回路のメモリに保存されてもよく、これは、ステンレス鋼ヒーター要素に対して予想される期間Δt1の最も低い温度上昇に対応する。電気回路は、R2とR1refとの間の抵抗の変化が最小の閾値の値ΔRminよりも小さい場合に、システムに存在する認可されていないカートリッジに対応する不具合を決定するように構成されうる。
【0121】
つまりシステムは、不具合を決定するために、R2およびR1refを保存された高い閾値および保存された低い閾値と比較するように構成されてもよい。R1refは、予想される範囲内であることをチェックするために閾値(複数可)とも比較してもよい。これらは複数の高い保存された閾値であってさえもよく、どの高い閾値を超えたかに応じて異なる措置が講じられる。例えば、最も高い閾値を超えた場合、回路はヒーターおよび/または基体を交換するまでさらなる電力供給を防止する場合がある。これは、基体を完全に消耗したこと、または損傷したヒーターもしくは適合性がないヒーターを示す場合がある。いつ基体がほとんど消耗した状態になるかを決定するために、より低い閾値が使用されてもよい。このより低い閾値を超えるが、より高い閾値を超えない場合、回路は単純にLEDの点灯などの表示を提供する場合があり、まもなく基体を交換する必要があることを示す。
【0122】
R1refとR2との間の差は、吸煙と吸煙との間でヒーターが十分冷めるかどうかを決定するために継続的にモニターされてもよい。ユーザーが非常に頻繁に吸煙するために吸煙と吸煙との間で差が冷却閾値より低くならない場合、差が冷却閾値より下に下がるまで電気回路はヒーターへの電力供給を防止または制限してもよい。別の方法として、十分な冷却が生じているかどうかを決定するために、吸煙の間の差の最大値と吸煙のその後の差に対する最小値との間の比較がなされてもよい。
【0123】
また、R1とR2との間の差が継続的にモニターされてもよく、また閾値の値に達する時間が時間閾値と比較されてもよい。R1refとR2との間の差が閾値にずっとより速く達する場合、または予想されるよりも遅く達する場合、これは適合性がないヒーターなどの不具合を示す場合がある。変化の速度も決定し、かつ閾値と比較することができる。差が非常に迅速にまたは非常にゆっくり上昇する場合、これは不具合を示す場合がある。これらの技法は、適合性がないヒーターを非常に迅速に検出できるようにする場合がある。
【0124】
図5は発熱体の抵抗を測定し得るやり方を示す概略的な電気回路図である。
図5では、ヒーター501は、電圧V2を提供するバッテリー503に接続される。特定の時点で測定されるヒーター抵抗は、R
ヒーターである。ヒーター501と直列に、既知の抵抗rを持つ追加的な抵抗器505が挿入され、電圧V1に接続されるが、これは接地と電圧V2の中間である。マイクロプロセッサ507がヒーター501の抵抗R
ヒーターを測定するために、ヒーター501を通る電流、およびヒーター501の両端にかかる電圧の両方を決定できる。次に、以下の周知の公式を使用して抵抗を決定できる。
【0125】
【数1】
図5で、ヒーターの両端にかかる電圧はV2-V1であり、ヒーターを流れる電流はIである。よって
【数2】
その抵抗rが既知である追加的な抵抗器505を使用して、再び上記の(2)を使用して、電流Iを決定する。抵抗器505を流れる電流はIであり、抵抗器505の両端にかかる電圧はV1である。よって、
【数3】
ゆえに、(5)と(6)を組み合わせると、
【数4】
こうして、マイクロプロセッサ507は、V2およびV1を測定することができ、エアロゾル発生システムが使用されると、rはわかっているため、異なる時点でのヒーターの抵抗R
ヒーターを決定することができる。
【0126】
電気回路は、不具合が検出された後に続いて、ヒーターへの電力供給をいくつかの異なるやり方で制御することができる。別の方法として、または追加的に、電気回路は単純に不具合が検出されたことをユーザーに表示してもよい。システムはLEDもしくはディスプレイを含んでもよく、またはマイクロフォンを備えてもよく、またこれらの構成要素は不具合の警報をユーザーに出すために使用されてもよい。
【0127】
図6は、本発明による吸煙により作動するシステムのための制御プロセスを図示する。
図6は、4回の連続した吸煙、P
1、P
2、P
3、およびP
4を図示する。第一の吸煙P
1は、異常な状態がない一般的な吸煙である。3回のその後の吸煙P
2、P
3、およびP
4はすべて異常な吸煙であり、高い閾値ΔR
maxを超えている。
【0128】
各吸煙は、電力がヒーターフィラメントに供給される、t1の時点において検出される。t1の時点におけるヒーターフィラメントの抵抗がR1で示される。第一の吸煙P1に対するヒーターフィラメントの初期の抵抗R1は、加熱が始まる前に測定された、初期の抵抗R1refに等しい。その後の異常な吸煙P2、P3およびP4は、初期の基準抵抗R1refを上回るt1の時点における初期の抵抗R1を示す。これは、ヒーターフィラメントが吸煙と吸煙との間で室温に戻るのに十分な時間を持っていなかったことを示す。吸煙の検出に続く、所定の期間Δt1後の、t2の時点においてヒーターフィラメントの抵抗が測定される。t3の時点において各吸煙が終了し、吸煙は合計でΔtpuffの期間続く。
【0129】
図6の制御プロセスでは、電気回路は、高い閾値を超えたことが決定されるとすぐにユーザー吸煙の終りまでヒーターへの電力供給を停止する。これは、第二の吸煙P
2、第三の吸煙P
3および第四の吸煙P
4におけるt
hの時点において示される。これは、ユーザーが過剰に吸煙する時でさえ、ヒーターが熱くなりすぎるのを防止するために有用である場合がある。電力を停止するのと同様に、閾値に達したことが表示される可能性がある。
【0130】
新しいユーザー吸煙が検出されると、再度ヒーターに電力が供給される。これは、吸煙P3およびP4において示される。高い閾値を超える単一の事例はユーザーの吸煙が非常に長い結果である可能性があるが、いくつかの連続吸煙でその間に高い閾値を超えるのは、それよりもカートリッジが空になった結果である可能性が高い。したがって、この実施例では、ΔRが特定の回数の連続する吸煙、典型的には3回の吸煙に対して高い閾値ΔRmaxを超える場合に、カートリッジはカートリッジ内のヒューズを飛ばすことで無効化される。カートリッジはその他の方法、例えば、カートリッジが交換または再充填されるまで、あるいはユーザーが再設定操作を実施するまでヒーターフィラメントへのさらなる電力の供給を遮断して無効化されてもよい。
【0131】
多くの実施形態では、カートリッジは、装置から取り外し可能である。ユーザーは、カートリッジの液体エアロゾル形成基体が空であるときに、装置からカートリッジを取り外してカートリッジを廃棄または再充填してもよい。ユーザーはまた、部分的に空であり依然として液体エアロゾル形成基体を含有しているカートリッジを取り外してもよい。
【0132】
ユーザーは、使用済みのカートリッジを装置の中へと挿入してもよい。例えば、ユーザーは、再充填された、または部分的に空であるカートリッジを装置の中へと挿入してもよい。ユーザーが最近に使用したカートリッジを装置の中へと挿入する時、ヒーターは、以前の使用の後に室温まで冷却するのに十分な時間を有さない場合がある。ヒーターフィラメントが依然として高温の時に装置の回路がヒーターフィラメントの初期の抵抗R1refを測定する場合、これは、電気回路による、不具合の決定をゆがめかねず、その結果、ヒーターフィラメントが望ましくない温度にまで加熱される場合がある。
【0133】
したがって、電気回路は、最近に挿入されたカートリッジのヒーターの温度が安定しているかどうかを決定するように構成されうる。言い換えれば、電気回路は、最近に挿入されたカートリッジのヒーターが冷温、一般的には室温にあるかどうかを決定するように構成されうる。これは、電気回路が、ヒーターフィラメントが高温である時にヒーターフィラメントの初期の抵抗R1refを測定することを実質的に防止または阻害しうる。
【0134】
多くの実施形態では、電気回路は、カートリッジが装置内に受けられる時を決定するように構成される。そのため、電気回路は、カートリッジが装置から取り外されるとき、およびカートリッジが装置の中へと挿入される時を決定するように構成される。
【0135】
電気回路がカートリッジが装置の中へと挿入されたと決定する時、電気回路は、ヒーターフィラメントの初期の抵抗Rp1を測定するように構成されうる。電気回路はまた、所定の期間ΔT2、一般的には約1s~約2s後のその後のヒーターフィラメントの初期の抵抗Rp2を測定するように構成されうる。
【0136】
電気回路は次に、測定された初期の抵抗Rp1とRp2との間の差ΔRpを判定するように構成されうる。ヒーターフィラメントの温度が安定している場合、差|ΔRp|の大きさは小さいかゼロである。ただし、差|ΔRp|の大きさが比較的大きい場合、これは、ヒーターフィラメントの温度が安定していないことを示す。差|ΔRp|が比較的大きい場合、これは、ヒーターフィラメントが高温ではなく、期間ΔT2にわたって冷却していっていることを示す。電気回路は、差ΔRpを最小の閾値の値ΔRpminに比較して、比較に基づいてヒーターフィラメントの温度が安定しているかどうかを決定するように構成されうる。電気回路は、差|ΔRp|が最小の閾値の値ΔRpminよりも大きい場合にヒーターフィラメントの温度が安定していないと判定するように構成されうる。電気回路は、以下の比較を実施するように構成されうる:
|Rp2-Rp1|>ΔRpminである場合、ヒーターの温度は安定(6)ではなく、
ここでRp2およびRp1はともに測定された値であり、ΔRpminがメモリに保存される。
【0137】
一部の実施形態では、電気回路は、差|ΔRp|の大きさを最小の閾値の値ΔRpminと比較するように構成されうることが理解される。電気回路は、差|ΔRp|の大きさが最小の閾値の値ΔRpminよりも大きいときに、ヒーターフィラメントの温度が安定していないと判定するように構成されうる。
【0138】
電気回路がヒーターフィラメントの温度が安定していないと決定する場合、電気回路は、電力がヒーターフィラメントに供給されることを防止し、初期の抵抗R1refを測定して保存しなくてもよい。電気回路は、その後の一次抵抗Rp2を周期的または継続的に測定し、初期の一次抵抗Rp1までの差ΔRpを決定して、差が可能な限りゼロに近い、安定した温度におけるヒーターフィラメントの予想されるレベル内となるまで、差ΔRpを最小の閾値ΔRpminに比較するように構成されうる。
【0139】
電気回路がヒーターフィラメントの温度が安定していると判定する場合、電気回路は、初期の基準抵抗R1refを決定し、上記の通常のプロセスを実施するように構成されうる。
【0140】
一部の実施形態では、電気回路は、新たなカートリッジを挿入した後に単一の一次抵抗Rp1を周期的に測定し、一次抵抗Rp1と、以前のカートリッジが取り外される前に以前のカートリッジに対して測定および保存された以前の基準抵抗R1refとの間の差ΔRpを決定するように構成されうる。
【0141】
本発明は、メッシュヒーター付きのカートリッジベースのシステムを参照して説明してきたが、他のエアロゾル発生システムでも同一の不具合の検出方法を使用することができる。
【0142】
図7は、本発明による、これもやはり液体基体および毛細管材料を使用する、代替的なシステムを図示する。
図7の電気加熱式エアロゾル発生システム100は、マウスピース端103および本体端105を持つハウジング101を備える。本体端には、電池107の形態の電源および電気回路109が提供されている。電気回路109と連動する吸煙検出システム111も提供されている。マウスピース端には、液体115を含むカートリッジ113の形態の液体貯蔵部分、毛細管芯117およびヒーター119が提供されている。
図7では、ヒーターは概略的に示しているのみであることに留意されたい。毛細管芯117の一方の端はカートリッジ113内に延び、毛細管芯117の他方の端はヒーター119によって囲まれている。ヒーターは、カートリッジ113の外側に沿って通ってもよい(
図7には図示せず)接続部121を経由して電気回路に接続される。ハウジング101はまた、空気吸込み口123、マウスピース端にある空気出口125、エアロゾル形成チャンバー127を含む。
【0143】
使用時、動作は以下の通りである。液体115は、カートリッジ113からの毛細管作用によって、カートリッジ内に延びる芯117の一方の端からヒーター119によって囲まれる芯の他方の端へ運ばれる。ユーザーがエアロゾル発生システムで空気出口125にて引き出すと、周囲空気が空気吸込み口123を通して引き出される。
図7に示す配置では、吸煙検知システム111は、吸煙を感知し、ヒーター119を起動する。電池107が電気エネルギーをヒーター119に供給して、ヒーターによって囲まれる芯117の端を加熱する。芯117の端にある液体は、ヒーター119によって気化され、過飽和蒸気を生成する。同時に、気化された液体は、毛細管作用により芯117に沿って移動するさらなる液体で置き換えられる。生成された過飽和蒸気は空気吸込み口123からの気流と混合され、気流中で運ばれる。エアロゾル形成チャンバー127内で、蒸気は凝縮して吸入可能なエアロゾルを形成し、これが空気出口125に向かって運ばれ、ユーザーの口内に入る。
【0144】
図7に示す実施形態において、電気回路109および吸煙検出システム111は、
図1a~
図1dの実施形態に示すようにプログラム可能である。
【0145】
毛細管芯は、様々な多孔性または毛細管材料で作成され、公知の予め設定された毛管現象を有するのが好ましい。例として、繊維または焼結粉末の形態のセラミックまたはグラファイトをベースにした材料がある。別の多孔性の芯を使用して、密度、粘度、表面張力および蒸気圧などの物理的特性の異なる液体を収容することができる。この芯は、液体貯蔵部分に十分な液体がある時、要求される液体の量をヒーターに送達できるように適したものでなければならない。
【0146】
ヒーターは、毛細管芯の周囲に延在する少なくとも1つの加熱用のワイヤまたはフィラメントを備える。
【0147】
図1~
図3を参照して説明されるシステムでのように、芯を形成する毛細管材料は、カートリッジ内の液体を使用しきった場合、またはユーザーが非常に長く深い吸煙を行った場合、ヒーターワイヤの近くは乾燥しきる場合がある。
図1~
図3のシステムを参照して説明されるのと同様に、乾燥した芯などの不具合があるかどうかを決定するために、それぞれの吸煙の最初の部分の間のヒーターワイヤの抵抗の変化を使用することができる。
【0148】
図7に図示されたタイプのシステムには、芯の周りを包むヒーターワイヤの長さの変動のために、同一のタイプのカートリッジの間でさえもヒーター抵抗にかなりの変動があってもよい。本発明は、電気回路が閾値として最大ヒーター抵抗値を保存する必要がなく、その代りその初期の測定された抵抗に対する抵抗の増加が使用されるので、特に有利である。
【0149】
図8は、本発明を具体化することができる、なお別のエアロゾル発生システムを図示する。
図8の実施形態は、たばこ系の固体基体が燃焼することなく加熱され、吸入用のエアロゾルを生成する、電気加熱式たばこ装置である。
図8では、エアロゾル発生装置700の構成要素は単純化した様式で示されており、縮尺は正確なものではない。本実施形態の理解に関連性のない要素は、
図8を単純化するために省略されている。
【0150】
電気加熱式エアロゾル発生装置200は、ハウジング203と、例えば、紙巻たばこなどのエアロゾル形成基体210とを備える。エアロゾル形成基体210は、ハウジング203によって形状が決められるくぼみ205内に押し込まれ、ヒーター201と熱的に近接するようになる。エアロゾル形成基体210は、多様な揮発性化合物を異なる温度で放出する。電気加熱式エアロゾル発生装置200の動作温度を一部の揮発性化合物の放出温度よりも低く制御することにより、煙成分の放出または形成が回避されうる。
【0151】
ハウジング203内には、電力供給源207、例えば充電式リチウムイオン電池がある。電気回路209はヒーター201および電力供給源207に接続される。電気回路209は、その温度を調節するためにヒーター201に供給される電力を制御する。エアロゾル形成基体の検出器213は、ヒーター201と熱的に近接したエアロゾル形成基体210の存在および固有性を検出することができ、エアロゾル形成基体210の存在を電気回路209にシグナルとして伝える。基体の検出器を提供することは随意的である。気流センサー211がハウジング内に提供され、電気回路209に接続されて、装置を通過する気流速度を検出する。
【0152】
説明した実施形態では、ヒーター201は、セラミック基体上に堆積された電気抵抗性のあるトラック(複数可)である。セラミック基体は、ブレードの形態であり、使用時にエアロゾル形成基体210の中へと挿入される。ヒーターは装置の一部を形成し、かつ数多くの異なる基体を加熱するために使用されてもよい。ところが、ヒーターは交換可能な構成要素であってもよく、また代替のヒーターの電気抵抗は異なってもよい。
【0153】
図8に説明されるタイプのシステムは、連続的に加熱されるシステムであってもよく、この中では、システムがオンである間、ヒーターの温度は目標温度に維持され、またはこれは、吸煙が検出される期間の間により多くの電力を供給することによってヒーターの温度が上昇される、吸煙により作動するシステムであってもよい。
【0154】
吸煙により作動するシステムの場合には、動作は以前の実施形態を参照して説明されるものと非常に類似している。基体がヒーター付近で乾燥している場合、ヒーター抵抗は、基体がまだ比較的低い温度で気化することができるエアロゾル形成剤を含有する場合よりも、所与のかけられた電力に対してより迅速に上昇する。
【0155】
連続的に加熱されるシステムの場合には、ユーザーがシステムで吸煙した時は、当初、ヒーターを通過する気流の冷却効果に起因したヒーターの温度低下がある。吸煙が最初に検出された時、ヒーター抵抗を測定し、R1として記録することができ、また、説明されているのと類似の様式で、システムがヒーターを目標温度に戻した時に、その後の抵抗R2を、吸煙を検出した後の期間Δt1後において測定することができる。次に、前述のようにΔRを計算することができ、次いで前述のように保存された閾値と比較して、基体がヒーター付近で乾燥しているかどうかを決定することができる。基体は、使用により消耗しているために、または古い、もしくは不適切に保存されていたために、または偽造品であって、含水量が純正品のエアロゾル形成基体とは異なるために乾燥している場合がある。
【0156】
図8のシステムは、電気回路209中に、不具合が検出された時に点灯する警告LED 215を含む。
【0157】
図9は、認可されていないヒーター、損傷されたヒーター、または適合性がないヒーターを検出するための方法を図示するフローチャートである。第一の工程300では、装置の中へのヒーターを含むカートリッジの挿入が検出される。次に、工程300ではヒーターR
1refの電気抵抗が測定される。これは、電力がヒーターに供給された後、100msなどの所定の期間に行われる。工程320では、測定された抵抗R
1を予想される抵抗または許容できる抵抗の範囲と比較する。許容できる抵抗の範囲は、製造許容差ならびに純正品ヒーターおよび基体との間の変動を考慮に入れる。R
1が予想される範囲外である場合、プロセスは工程330に進み、ここでは装置と適合性がないと考えられるため、聴覚的なアラームなどの表示が提供され、かつヒーターへの電力の供給が防止される。その後プロセスは工程300に戻り、新しいカートリッジの挿入の検出を待つ。
【0158】
代替として、または追加として、工程300で初期の抵抗R1refを測定するために、電力がヒーターに供給された後の所定の期間内、例えば100msまでに、初期の抵抗の変化の速度を測定してもよい。これは、所定の期間内に異なる時点で複数の抵抗測定を行い、その後複数の抵抗測定およびそれらの測定が行われた複数の時点から初期の抵抗の変化の速度を計算してもよい。同一のやり方で、ヒーターの特定の設計は、許容できる値の範囲内の初期の抵抗を持つものと予想でき、ヒーターの特定の設計は、所与のかけられた電力に対して抵抗の変化の速度値の許容範囲内の初期の抵抗の変化の速度を持つものと予想されうる。計算された初期の抵抗の変化の速度は、抵抗の変化の速度値の許容範囲と比較することができ、また計算された抵抗の変化の速度が許容範囲外である場合、プロセスは工程330に進む。
【0159】
工程320で、R1refが予想される抵抗の範囲内であることが決定される場合、プロセスは工程340に進む。工程340で、期間Δt1の間ヒーターに電力がかけられ、その後差ΔRが計算される。有利なことに、Δt1はエアロゾルの有意な発生前の短い期間となるように選ばれる。工程350では、ΔRの値は予想される値または許容できる値の範囲と比較される。予想される値の範囲は、この場合もやはり、ヒーターおよび基体組立品の製造での変動を考慮に入れる。ΔRの値が予想される範囲外である場合、ヒーターは適合性がないと考えられ、プロセスは前述のように工程330に行き、次に工程300に戻る。ΔRの値が予想される範囲内である場合、プロセスは工程360に進み、ここでユーザーの要求に応じてエアロゾルを発生できるように電力がヒーターに供給される。
【0160】
本発明は、3つの異なるタイプの電気加熱式エアロゾル発生システムを参照しながら説明してきたが、本発明が他の電気加熱式エアロゾル発生システムに適用可能であることは明らかであろう。
【0161】
本発明は、プログラム可能なコントローラ上で実行するためのコンピュータプログラム製品として、既存のエアロゾル発生システム内に実装されてもよいことも明らかであるべきである。コンピュータプログラム製品は、ダウンロード可能なソフトウェアの一つとして、またはコンパクトディスクなどのコンピュータ可読媒体上に提供されてもよい。
【0162】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことによって、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態も当業者には明らかとなろう。