(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079577
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】電源装置、及び制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/04 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
H02J9/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053641
(22)【出願日】2022-03-29
(62)【分割の表示】P 2017067269の分割
【原出願日】2017-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】早川 純平
(72)【発明者】
【氏名】木下 孝志
(57)【要約】
【課題】異なる給電系統の切り替えを適切に行う。
【解決手段】電源装置は、外部から交流電力が供給されるバイパス給電線と交流出力の出力線との間に接続され、機械的に接点を開閉する開閉スイッチと、前記開閉スイッチと並列に接続されたサイリスタ又はトライアックである半導体スイッチと、供給された直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、前記バイパス給電線から前記交流出力の出力線に給電するバイパス給電から、前記インバータ部で変換した交流電力を前記交流出力の出力線に給電するインバータ給電に切り替える際に、前記開閉スイッチ及び前記半導体スイッチの制御信号を導通状態から非導通状態にし、前記半導体スイッチの両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、前記インバータ部に交流電力の出力を開始させる制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から交流電力が供給されるバイパス給電線と交流出力の出力線との間に接続され、機械的に接点を開閉する開閉スイッチと、
前記開閉スイッチと並列に接続されたサイリスタ又はトライアックである半導体スイッチと、
供給された直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、
前記バイパス給電線から前記交流出力の出力線に給電するバイパス給電から、前記インバータ部で変換した交流電力を前記交流出力の出力線に給電するインバータ給電に切り替える際に、前記開閉スイッチ及び前記半導体スイッチの制御信号を導通状態から非導通状態にし、前記半導体スイッチの両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、前記インバータ部に交流電力の出力を開始させる制御部と
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記半導体スイッチの両端の電圧差が前記所定の閾値以上である状態が、所定の期間維持された場合に、前記インバータ部に交流電力の出力を開始させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記半導体スイッチの両端の電圧差に基づいて、前記半導体スイッチに異常があるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記インバータ部の出力線と前記交流出力の出力線との間に接続された出力スイッチを備え、
前記制御部は、前記バイパス給電から前記インバータ給電に切り替える際に、前記開閉スイッチ及び前記半導体スイッチの制御信号を導通状態から非導通状態にするとともに、前記出力スイッチの制御信号を導通状態にし、前記半導体スイッチの両端の電圧差が前記所定の閾値以上になった場合に、前記インバータ部の変換を開始させることにより前記インバータ部に交流電力の出力を開始させる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記インバータ部の出力線と前記交流出力の出力線との間に接続された出力スイッチを備え、
前記制御部は、前記バイパス給電から前記インバータ給電に切り替える際に、前記開閉スイッチ及び前記半導体スイッチの制御信号を導通状態から非導通状態にするとともに、前記インバータ部の変換を開始させた状態にし、前記半導体スイッチの両端の電圧差が前記所定の閾値以上になった場合に、前記出力スイッチの制御信号を導通状態から導通状態にして前記インバータ部に交流電力の出力を開始させる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項6】
外部から交流電力が供給されるバイパス給電線と交流出力の出力線との間に接続され、機械的に接点を開閉する開閉スイッチと、前記開閉スイッチと並列に接続されたサイリスタ又はトライアックである半導体スイッチと、供給された直流電力から交流電力に変換するインバータ部と、を備える電源装置を制御する制御装置であって、
前記バイパス給電線から前記交流出力の出力線に給電するバイパス給電から、前記インバータ部で変換した交流電力を前記交流出力の出力線に給電するインバータ給電に切り替える際に、前記開閉スイッチ及び前記半導体スイッチの制御信号を導通状態から非導通状態にする制御信号を出力し、前記半導体スイッチの両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、前記インバータ部に交流電力の出力を開始させる制御部を備える
ことを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インバータ部が変換した交流電力を給電するインバータ給電と、外部から供給される交流電力を給電するバイパス給電とを切り替えて出力可能な電源装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような電源装置では、バイパス給電からインバータ給電に切り替える際に、例えば、リレーなどの機械的に接点を開閉する開閉スイッチと、当該開閉スイッチに並列に接続した半導体スイッチとを用いて行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の電源装置では、半導体スイッチが、例えば、サイリスタなどである場合に、制御信号をオフ状態(非導通状態)にしても半導体スイッチがすぐにオフ状態にならない場合がある。そのため、従来の電源装置では、例えば、バイパス給電からインバータ給電に切り替える際に、半導体スイッチがオフ状態になる前に、インバータ給電をオン状態(導通状態)にしてしまい、バイパス給電の出力と、インバータ給電の出力とが衝突する場合があった。また、半導体スイッチがオフ状態となった後にインバータ給電をオン状態とすると、出力が途切れた切り替えになる場合があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、異なる給電系統の切り替えを適切に行うことができる電源装置、及び制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、外部から交流電力が供給されるバイパス給電線と交流出力の出力線との間に接続され、機械的に接点を開閉する開閉スイッチと、前記開閉スイッチと並列に接続されたサイリスタ又はトライアックである半導体スイッチと、供給された直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、前記バイパス給電線から前記交流出力の出力線に給電するバイパス給電から、前記インバータ部で変換した交流電力を前記交流出力の出力線に給電するインバータ給電に切り替える際に、前記開閉スイッチ及び前記半導体スイッチの制御信号を導通状態から非導通状態にし、前記半導体スイッチの両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、前記インバータ部に交流電力の出力を開始させる制御部とを備えることを特徴とする電源装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記制御部は、前記半導体スイッチの両端の電圧差が前記所定の閾値以上である状態が、所定の期間維持された場合に、前記インバータ部に交流電力の出力を開始させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記制御部は、前記半導体スイッチの両端の電圧差に基づいて、前記半導体スイッチに異常があるか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記インバータ部の出力線と前記交流出力の出力線との間に接続された出力スイッチを備え、前記制御部は、前記バイパス給電から前記インバータ給電に切り替える際に、前記開閉スイッチ及び前記半導体スイッチの制御信号を導通状態から非導通状態にするとともに、前記出力スイッチの制御信号を導通状態にし、前記半導体スイッチの両端の電圧差が前記所定の閾値以上になった場合に、前記インバータ部の変換を開始させることにより前記インバータ部に交流電力の出力を開始させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記インバータ部の出力線と前記交流出力の出力線との間に接続された出力スイッチを備え、前記制御部は、前記バイパス給電から前記インバータ給電に切り替える際に、前記開閉スイッチ及び前記半導体スイッチの制御信号を導通状態から非導通状態にするとともに、前記インバータ部の変換を開始させた状態にし、前記半導体スイッチの両端の電圧差が前記所定の閾値以上になった場合に、前記出力スイッチの制御信号を導通状態から導通状態にして前記インバータ部に交流電力の出力を開始させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、外部から交流電力が供給されるバイパス給電線と交流出力の出力線との間に接続され、機械的に接点を開閉する開閉スイッチと、前記開閉スイッチと並列に接続されたサイリスタ又はトライアックである半導体スイッチと、供給された直流電力から交流電力に変換するインバータ部と、を備える電源装置を制御する制御装置であって、前記バイパス給電線から前記交流出力の出力線に給電するバイパス給電から、前記インバータ部で変換した交流電力を前記交流出力の出力線に給電するインバータ給電に切り替える際に、前記開閉スイッチ及び前記半導体スイッチの制御信号を導通状態から非導通状態にする制御信号を出力し、前記半導体スイッチの両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、前記インバータ部に交流電力の出力を開始させる制御部を備えることを特徴とする制御装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、制御部が、バイパス給電からインバータ給電に切り替える際に、開閉スイッチ及び半導体スイッチを非導通状態にし、半導体スイッチの両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、インバータ給電を開始させる。これにより、例えば、サイリスタやトライアックなどの半導体スイッチが確実に非導通状態になったことを確認した上で、インバータ給電を開始させるため、電源装置は、バイパス給電とインバータ給電との出力が衝突する可能性、及び出力が途切れた切り替えになる可能性を低減することができ、異なる給電系統の切り替えを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態による電源装置の一例を示す機能ブロック図である。
【
図2】第1の実施形態によるインバータ部の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】第1の実施形態による電源装置の切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第1の実施形態による電源装置の切り替え処理の一例を示すタイミングチャートである。
【
図5】第2の実施形態による電源装置の切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第3の実施形態による電源装置の切り替え処理及び異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第3の実施形態による電源装置の異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第4の実施形態による電源装置の切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第4の実施形態による電源装置の切り替え処理の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による電源装置及び制御装置について図面を参照して説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による電源装置1の一例を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、電源装置1は、制御装置10と、開閉スイッチ11と、半導体スイッチ12と、出力スイッチ13と、インバータ部20とを備える。電源装置1は、直流電源3から供給される直流電力をインバータ部20が変換した交流電力と、商用電源2から供給される交流電力とを切り替えて出力可能な電源装置である。ここで、商用電源2は、例えば、100V(ボルト)の交流電源である。
【0016】
なお、以下の説明において、商用電源2から供給された交流電力を、電源装置1の出力線に供給することをバイパス給電と呼び、インバータ部20で変換した交流電力を電源装置1の出力線に供給することをインバータ給電と呼ぶ。また、商用電源2(外部)から交流電力が供給される電源供給線をバイパス給電線L1と呼び、電源装置1の出力線である交流出力の出力線を交流出力線L3と呼ぶ。
【0017】
制御装置10は、電源装置1を制御する装置であって、制御部30を備える。制御装置10は、例えば、インバータ部20の動作を制御するとともに、バイパス給電とインバータ給電との切り替えを制御する。なお、制御部30の詳細については後述する。
【0018】
開閉スイッチ11は、例えば、リレースイッチや開閉器などの機械的に接点を開閉するスイッチである。開閉スイッチ11は、商用電源2(外部)から交流電力が供給されるバイパス給電線L1と交流出力線L3との間に接続されている。開閉スイッチ11は、制御部30から供給される制御信号に基づいて、オフ状態(非導通状態)とオン状態(導通状態)とが切り替えられる。なお、開閉スイッチ11は、機械的に接点を開閉するため、制御信号により、オフ状態又はオン状態に制御された際に、実際に制御された状態になるまでに遅延時間(タイムラグ)が生じる。
【0019】
半導体スイッチ12は、例えば、サイリスタやトライアックなどのスイッチであり、開閉スイッチ11と並列に接続されている。すなわち、半導体スイッチ12は、バイパス給電線L1と交流出力線L3との間に接続されている。半導体スイッチ12は、制御部30から供給される制御信号に基づいて、オフ状態とオン状態とが切り替えられる。
【0020】
なお、半導体スイッチ12は、制御信号によって導通状態に制御された際に、開閉スイッチ11よりも遅延時間(タイムラグ)が短いため、交流出力線L3への給電が途切れないように、開閉スイッチ11と並列に接続されている。また、半導体スイッチ12は、制御信号によってオフ状態に制御された際には、オフ状態になるまでに、交流電流が0(ゼロ)になるまでの期間(交流電流が反転するまでの期間)の遅延時間(タイムラグ)が生じるものとする。すなわち、半導体スイッチ12は、オフ状態に制御された際に、オフ状態になるまでに所定の時間を要し、オフ状態になったか否かを示す状態信号が出力されないスイッチである。
【0021】
出力スイッチ13は、例えば、リレースイッチや開閉器などの機械的に接点を開閉するスイッチである。出力スイッチ13は、インバータ部20の出力線L2と交流出力線L3との間に接続されている。出力スイッチ13は、制御部30から供給される制御信号に基づいて、オフ状態とオン状態とが切り替えられる。
【0022】
インバータ部20は、直流電源3から供給された直流電力を交流電力に変換するインバータユニットである。インバータ部20は、制御部30が出力する制御信号(例えば、出力許可信号などを含む)に基づいて制御され、変換した交流電力を出力線L2に出力する。なお、インバータ部20は、制御部30との間で通信し、制御部30によって制御されてもよい。ここで、
図2を参照して、インバータ部20の構成について説明する。
【0023】
図2は、本実施形態によるインバータ部20の一例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、インバータ部20は、DC/DC変換部21(直流/直流変換部)と、直流フィルタ部22と、DC/AC変換部23(直流/交流変換部)と、交流フィルタ部24と、出力リレー25と、インバータ制御部26とを備える。
【0024】
DC/DC変換部21は、例えば、絶縁型のDC/DCコンバータであり、直流電源3から供給された直流電圧Vdcを所定の直流電圧に変換する。
直流フィルタ部22は、例えば、LCフィルタであり、DC/DC変換部21が変換した直流電圧からリップルを除去する。
【0025】
DC/AC変換部23は、DC/DC変換部21が変換した直流電圧を、例えば、100V、50Hz(ヘルツ)(又は60Hz)の交流電圧Vacに変換するインバータ回路である。DC/AC変換部23は、不図示のスイッチング素子を備え、インバータ制御部26からの制御により、スイッチング素子をスイッチングすることにより、直流電圧(直流電力)を交流電圧(交流電力)に変換する。
【0026】
交流フィルタ部24は、例えば、LCフィルタであり、DC/AC変換部23が変換した交流電圧からリップルを除去する。
出力リレー25は、例えば、リレースイッチであり、交流フィルタ部24の出力線と、交流電圧Vacの出力線L2との間に接続されている。出力リレー25は、インバータ制御部26から供給される制御信号に基づいて、オフ状態とオン状態とが切り替えられる。
【0027】
インバータ制御部26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、インバータ部20を統括的に制御する。インバータ制御部26は、制御装置10から供給される制御信号に基づいて、インバータ部20の制御を行う。インバータ制御部26は、例えば、直流フィルタ部22の出力電圧を検出し、検出した当該電圧が、目標の直流電圧になるように、DC/DC変換部21を制御する。また、インバータ制御部26は、例えば、交流フィルタ部24の出力電圧(交流電圧Vac)を検出し、検出した当該電圧(交流電圧Vac)が、目標の交流電圧になるように、DC/AC変換部23のスイッチングを制御する。
【0028】
また、インバータ制御部26は、制御装置10の制御部30から供給される制御信号に基づいて、例えば、DC/DC変換部21の動作の開始又は停止、DC/AC変換部23の動作の開始又は停止、及び出力リレー25のオフ状態とオン状態との切り替えなどを制御する。
具体的に、インバータ制御部26は、制御部30から供給される制御信号のうちの1つであるインバータ部20の出力許可信号に基づいて、DC/AC変換部23の動作(スイッチング動作)を開始させる。
【0029】
図1の説明に戻り、制御部30は、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、電源装置1を統括的に制御する。制御部30は、例えば、バイパス給電からインバータ給電に切り替える際に、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12をオフ状態にし、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上(例えば、数V程度以上)になった場合に、インバータ給電を開始させる。
【0030】
具体的に、制御部30は、バイパス給電からインバータ給電に切り替える際に、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12をオフ状態にするとともに、出力スイッチ13をオン状態にし、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、インバータ部20の変換を開始させることによりインバータ給電を開始させる。すなわち、制御部30は、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、インバータ部20に出力許可信号を出力する。なお、制御部30は、例えば、不図示のADC(Analog to Digital Converter)を有しており、当該ADCにより、半導体スイッチ12の両端の電圧を検出する。
【0031】
すなわち、制御部30は、開閉スイッチ11をオフ状態にして、開閉スイッチ11がオフ状態になる遅延時間分を待つ。次に、制御部30は、半導体スイッチ12をオフ状態にして、ADCによりバイパス給電線L1の電圧を検出するとともに、交流出力線L3の電圧を検出する。制御部30は、検出したバイパス給電線L1の電圧と交流出力線L3の電圧との電圧差を算出し、当該電圧差が所定の閾値以上であるか否かを判定する。制御部30は、当該電圧差が所定の閾値以上になった場合に、半導体スイッチ12がオフ状態になったと判定して、インバータ部20に出力許可信号を出力する。
【0032】
次に、図面を参照して、本実施形態による電源装置1の動作について説明する。
図3は、本実施形態による電源装置1の切り替え処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、バイパス給電からインバータ給電に切り替える場合における電源装置1の切り替え処理について説明する。また、初期状態では、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12がオン状態であり、インバータ部20が動作を停止しており、出力スイッチ13がオフ状態であるものとする。
【0033】
図3に示すように、電源装置1の制御部30は、まず、出力スイッチ13をオン状態にする(ステップS101)。制御部30は、出力スイッチ13の制御信号により、出力スイッチ13をオン状態にする。なお、この状態では、インバータ部20が停止した状態であり、交流電力をまだ出力していないため、交流出力線L3にバイパス給電とインバータ給電とが衝突することはない。また、インバータ部20の出力リレー25は、予めオン状態にされていてもよいし、ステップS101において、制御部30が、出力リレー25をオン状態にする制御信号をインバータ部20に出力するようにしてもよい。
【0034】
次に、制御部30は、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12をオフ状態にする(ステップS102)。制御部30は、開閉スイッチ11の制御信号により、開閉スイッチ11をオフ状態にして、開閉スイッチ11がオフ状態になる遅延時間分を待った後に、半導体スイッチ12の制御信号により、半導体スイッチ12をオフ状態にする。
【0035】
次に、制御部30は、半導体スイッチ12の両端の電圧を検出する(ステップS103)。制御部30は、例えば、ADCによりバイパス給電線L1の電圧を検出するとともに、交流出力線L3の電圧を検出することで、半導体スイッチ12の両端の電圧を検出する。
【0036】
次に、制御部30は、両端の電圧差が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS104)。制御部30は、検出した半導体スイッチ12の両端の電圧に基づいて、両端の電圧差を算出し、両端の電圧差が所定の閾値以上(例えば、電圧V1以上)であるか否かを判定する。なお、ここでの両端の電圧差は、両端の電圧の差の絶対値とする。また、電圧V1は、例えば、数V程度とする。制御部30は、両端の電圧差が所定の閾値以上である場合(ステップS104:YES)に、処理をステップS105に進める。また、制御部30は、両端の電圧差が所定の閾値未満である場合(ステップS104:NO)に、処理をステップS104に戻す。
【0037】
ステップS105において、制御部30は、インバータ部20の出力許可信号をオン状態にする。制御部30は、インバータ部20に出力許可信号を出力し、インバータ部20のインバータ制御部26が、DC/DC変換部21及びDC/AC変換部23の動作を開始させて、インバータ部20で変換した交流電力を出力線L2に出力する。なお、インバータ制御部26は、例えば、制御部30からの準備指示信号によりインバータ部20のDC/DC変換部21を予め動作させておいて、出力許可信号によりDC/AC変換部23の動作を開始させるようにしてもよい。また、DC/AC変換部23の動作を開始により、交流電力は、出力線L2から出力スイッチ13を介して交流出力線L3に供給される。これにより、バイパス給電からインバータ給電に切り替えが完了する。ステップS105の処理後に、制御部30は、処理を終了する。
【0038】
次に、
図4を参照して、バイパス給電からインバータ給電に切り替える処理について、詳細に説明する。
図4は、本実施形態による電源装置1の切り替え処理の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、上述した
図3の場合と同様に、バイパス給電からインバータ給電に切り替える場合における電源装置1の切り替え処理を示している。また、この図においての初期状態は、半導体スイッチ12及び出力スイッチ13がオン状態であり、インバータ部20が動作を停止しており、開閉スイッチ11がオフ状態であるものとする。
【0039】
図4において、各グラフは、上から順に、半導体スイッチ12前の電圧(商用電圧)の波形W1、半導体スイッチ12後の電圧(出力電圧)の波形W2、半導体スイッチ12の電流の波形W3、インバータ部20の出力電圧の波形W4、半導体スイッチ12両端の電圧差の波形W5、半導体スイッチ12の制御信号の波形W6、半導体スイッチ12の状態ST1、及びインバータ部20の出力許可信号の波形W7を示している。また、各グラフの横軸は、時間を示している。
【0040】
まず、時刻T1において、制御部30は、半導体スイッチ12の制御信号をオフ状態にする(波形W6)。すなわち、制御部30は、半導体スイッチ12の制御信号をH(ハイ)状態からL(ロウ)状態にする。なお、半導体スイッチ12は、交流電流が0(ゼロ)になるまでの期間(交流電流が反転するまでの期間)、オン状態が維持される。
そのため、時刻T2において、半導体スイッチ12がオフ状態になる(状態ST1)。
【0041】
時刻T2において、半導体スイッチ12がオフ状態になると、交流出力線L3へのバイパス給電が停止されるため、半導体スイッチ12の両端に電圧差が発生し始める。制御部30は、ADCによりバイパス給電線L1の電圧を検出するとともに、交流出力線L3の電圧を検出することで、半導体スイッチ12の両端の電圧を検出し、両端の電圧差が所定の閾値以上であるか否かを判定する処理を繰り返し実行する。
【0042】
次に、時刻T3において、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上になると(波形W5)、制御部30は、インバータ部20に出力許可信号を出力して、インバータ給電を開始させる。制御部30は、例えば、インバータ部20に出力許可信号をH状態にして、インバータ給電を開始させる(波形W7)。これにより、インバータ部20から交流電圧が出力され(波形W4)、交流出力線L3にインバータ部20から交流電圧が供給される(波形W2)。
このように、本実施形態による電源装置1では、出力電力が途切れることなくバイパス給電からインバータ給電に切り替えられる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1は、開閉スイッチ11と、半導体スイッチ12と、インバータ部20と、制御部30とを備える。開閉スイッチ11は、外部から交流電力が供給されるバイパス給電線L1と交流出力線L3(交流出力の出力線)との間に接続され、機械的に接点を開閉する。半導体スイッチ12は、開閉スイッチ11と並列に接続されている。インバータ部20は、供給された直流電力を交流電力に変換する。制御部30は、バイパス給電からインバータ給電に切り替える際に、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12をオフ状態(非導通状態)にし、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、インバータ給電を開始させる。ここで、バイパス給電は、バイパス給電線L1から交流出力線L3に給電し、インバータ給電は、インバータ部20で変換した交流電力を交流出力線L3に給電する。
【0044】
これにより、本実施形態による電源装置1は、半導体スイッチ12がオフ状態になったことを確認することで、確実にバイパス給電が停止したことを確認した上で、インバータ給電を開始させる。そのため、本実施形態による電源装置1は、バイパス給電とインバータ給電との出力が衝突する可能性、及び出力が途切れた切り替えになる可能性を低減することができ、異なる給電系統の切り替えを適切に行うことができる。
【0045】
また、本実施形態による電源装置1は、インバータ部20の出力線L2と交流出力線L3との間に接続された出力スイッチ13を備える。制御部30は、バイパス給電からインバータ給電に切り替える際に、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12をオフ状態にするとともに、出力スイッチ13をオン状態(導通状態)にし、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、インバータ部20の変換を開始させることによりインバータ給電を開始させる。
これにより、本実施形態による電源装置1は、予め出力スイッチ13をオン状態にした状態で、バイパス給電の停止を確認した後に、インバータ部20の変換を開始させるため、瞬断を防止しつつ、バイパス給電からインバータ給電に適切に切り替えることができる。
【0046】
また、本実施形態では、制御部30は、開閉スイッチ11をオフ状態にした後に、半導体スイッチ12をオフ状態にし、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、インバータ給電を開始させる。
これにより、本実施形態による電源装置1は、半導体スイッチ12が確実にオフ状態になったことを確認することできる。
【0047】
また、本実施形態による制御装置10は、開閉スイッチ11と、半導体スイッチ12と、インバータ部20と、を備える電源装置1を制御する制御装置であって、制御部30とを備える。制御部30は、バイパス給電からインバータ給電に切り替える際に、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12をオフ状態にし、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、インバータ給電を開始させる。
これにより、本実施形態による制御装置10は、上述した電源装置1と同様に、バイパス給電とインバータ給電との出力が衝突する可能性を低減することができ、異なる給電系統の切り替えを適切に行うことができる。
【0048】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による電源装置1及び制御装置10について説明する。
本実施形態による電源装置1及び制御装置10の構成は、上述した
図1に示す第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。また、本実施形態におけるインバータ部20の構成は、上述した
図2に示す第1の実施形態におけるインバータ部20と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、制御部30によるバイパス給電からインバータ給電に切り替える処理の一部が、第1の実施形態と異なり、制御部30は、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上である状態が、所定の期間維持された場合に、インバータ給電を開始させる。ここで、
図5を参照して、本実施形態におけるバイパス給電からインバータ給電に切り替える処理について説明する。
【0050】
図5は、本実施形態による電源装置1の切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
図5において、初期状態では、
図3と同様に、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12がオン状態であり、インバータ部20が動作を停止しており、出力スイッチ13がオフ状態であるものとする。
【0051】
また、
図5において、ステップS201からステップS203までの処理は、上述した
図3に示すステップS101からステップS103までの処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0052】
ステップS204において、制御部30は、両端の電圧差が所定の閾値以上である状態が、所定の期間以上維持されているか否かを判定する。制御部30は、検出した半導体スイッチ12の両端の電圧に基づいて、両端の電圧差を算出し、当該両端の電圧差が所定の閾値以上である状態が所定の期間以上維持されているか否かを判定する。
【0053】
ここで、所定の期間は、例えば、数百μS(マイクロ秒)程度の期間であって、当該判定により、インバータ給電を開始させても、交流出力線L3への出力断が生じない期間である。また、所定の期間は、例えば、制御部30の電圧の検出周期、又は、両端の電圧差の判定周期に基づいて定められてもよい。例えば、所定の期間は、電圧の検出周期、又は、両端の電圧差の判定周期の1周期分とし、制御部30は、2回連続で両端の電圧差が所定の閾値以上である状態が判定されたか否かで、所定の期間以上維持されているか否かを判定するようにしてもよい。
【0054】
制御部30は、当該両端の電圧差が所定の閾値以上である状態が所定の期間以上維持されている場合(ステップS204:YES)に、処理をステップS205に進める。また、制御部30は、当該両端の電圧差が所定の閾値未満である、又は当該両端の電圧差が所定の閾値以上である状態が所定の期間未満である場合(ステップS204:NO)に、処理をステップS203に戻す。
【0055】
ステップS205の処理は、上述した
図3に示すステップS105の処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、制御部30は、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上である状態が、所定の期間維持された場合に、インバータ給電を開始させる。
これにより、本実施形態による電源装置1及び制御装置10は、ノイズなどによるバイパス給電の停止の誤判定を低減することができる。よって、本実施形態による電源装置1及び制御装置10は、バイパス給電からインバータ給電にさらに適切に切り替えることができる。
【0057】
[第3の実施形態]
次に、図面を参照して、第3の実施形態による電源装置1及び制御装置10について説明する。
本実施形態による電源装置1及び制御装置10の構成は、上述した
図1に示す第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。また、本実施形態におけるインバータ部20の構成は、上述した
図2に示す第1の実施形態におけるインバータ部20と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0058】
本実施形態では、制御部30による処理の一部が、第1の実施形態と異なり、半導体スイッチ12の両端の電圧差に基づいて、半導体スイッチ12に異常があるか否かを判定する異常検出処理を行う場合の一例について説明する。
【0059】
図6は、本実施形態による電源装置1の切り替え処理及び異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
図6において、初期状態では、
図3と同様に、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12がオン状態であり、インバータ部20が動作を停止しており、出力スイッチ13がオフ状態であるものとする。
【0060】
また、
図6において、ステップS301からステップS304までの処理は、上述した
図3に示すステップS101からステップS104までの処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
なお、本実施形態では、ステップS304において、制御部30は、両端の電圧差が所定の閾値以上(例えば、電圧V1以上)である場合(ステップS304:YES)に、処理をステップS305に進める。また、制御部30は、両端の電圧差が所定の閾値未満である場合(ステップS304:NO)に、処理をステップS306に進める。
【0061】
ステップS305において、制御部30は、半導体スイッチ12が正常であると判定し、インバータ部20の出力許可信号をオン状態にする。ステップS305の処理後に、制御部30は、処理を終了する。
【0062】
また、ステップS306において、制御部30は、所定の時間経過したか否かを判定する。すなわち、制御部30は、半導体スイッチ12をオフ状態にしてから所定の時間経過したか否かを判定する。制御部30は、所定の時間経過した場合(ステップS306:YES)に、処理をステップS307に進める。すなわち、制御部30は、両端の電圧差が所定の閾値未満であり、且つ、所定の時間経過した場合に、処理をステップS307に進める。また、制御部30は、所定の時間経過していない場合(ステップS306:NO)に、処理をステップS303に戻す。
【0063】
ステップS307において、制御部30は、半導体スイッチ12が異常であると判定する。制御部30は、半導体スイッチ12がオフ状態にならない異常が生じていると判定し、例えば、異常警告などを電源装置1の外部に出力する。ステップS307の処理後に、制御部30は、処理を終了する。
【0064】
また、
図7は、本実施形態による電源装置1の異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示す一例は、半導体スイッチ12をオン状態にした場合の異常検出処理について説明する。
図7において、初期状態では、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12がオフ状態であるものとする。
【0065】
図7に示すように、電源装置1の制御部30は、まず、半導体スイッチ12をオン状態にする(ステップS401)。制御部30は、半導体スイッチ12の制御信号により、半導体スイッチ12をオン状態にする。
【0066】
次に、制御部30は、半導体スイッチ12の両端の電圧を検出する(ステップS402)。制御部30は、例えば、ADCによりバイパス給電線L1の電圧を検出するとともに、交流出力線L3の電圧を検出することで、半導体スイッチ12の両端の電圧を検出する。
【0067】
次に、制御部30は、両端の電圧差が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS403)。制御部30は、検出した半導体スイッチ12の両端の電圧に基づいて、両端の電圧差を算出し、両端の電圧差が所定の閾値以下(例えば、電圧V2以下)であるか否かを判定する。なお、ここでの両端の電圧差は、両端の電圧の差の絶対値とする。また、電圧V2は、例えば、数V程度とし、上述した電圧V1と等しい値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0068】
制御部30は、両端の電圧差が所定の閾値以下である場合(ステップS403:YES)に、処理をステップS404に進める。また、制御部30は、両端の電圧差が所定の閾値より大きい場合(ステップS403:NO)に、処理をステップS406に進める。
【0069】
ステップS404において、制御部30は、半導体スイッチ12が正常であると判定する。ステップS404の処理後に、制御部30は、処理を終了する。
【0070】
また、ステップS405において、制御部30は、所定の時間経過したか否かを判定する。すなわち、制御部30は、半導体スイッチ12をオン状態にしてから所定の時間経過したか否かを判定する。制御部30は、所定の時間経過した場合(ステップS405:YES)に、処理をステップS406に進める。すなわち、制御部30は、両端の電圧差が所定の閾値より大きく、且つ、所定の時間経過した場合に、処理をステップS406に進める。また、制御部30は、所定の時間経過していない場合(ステップS405:NO)に、処理をステップS402に戻す。
【0071】
ステップS406において、制御部30は、半導体スイッチ12が異常であると判定する。制御部30は、半導体スイッチ12がオン状態にならない異常が生じていると判定し、例えば、異常警告などを電源装置1の外部に出力する。ステップS406の処理後に、制御部30は、処理を終了する。
【0072】
以上説明したように、本実施形態では、制御部30は、半導体スイッチ12の両端の電圧差に基づいて、半導体スイッチ12に異常があるか否かを判定する。
これにより、本実施形態による電源装置1及び制御装置10は、異なる給電系統の切り替えを適切に行いつつ、半導体スイッチ12の異常を適切に検出することができる。
【0073】
[第4の実施形態]
次に、図面を参照して、第4の実施形態による電源装置1及び制御装置10について説明する。
本実施形態による電源装置1及び制御装置10の構成は、上述した
図1に示す第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。また、本実施形態におけるインバータ部20の構成は、上述した
図2に示す第1の実施形態におけるインバータ部20と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0074】
本実施形態では、制御部30によるバイパス給電からインバータ給電に切り替える処理の一部が、第1の実施形態と異なり、制御部30は、インバータ給電を開始させる際に、出力スイッチ13をオン状態にする。制御部30は、バイパス給電からインバータ給電に切り替える際に、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12をオフ状態にするとともに、インバータ部20の変換を開始させる。そして、制御部30は、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、出力スイッチ13をオン状態にしてインバータ給電を開始させる。
ここで、
図8を参照して、本実施形態におけるバイパス給電からインバータ給電に切り替える処理について説明する。
【0075】
図8は、本実施形態による電源装置1の切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
図8において、初期状態では、
図3と同様に、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12がオン状態であり、インバータ部20が動作を停止しており、出力スイッチ13がオフ状態であるものとする。
【0076】
図8に示すように、電源装置1の制御部30は、まず、インバータ部20の出力許可信号をオン状態にする(ステップS501)。制御部30は、インバータ部20に出力許可信号を出力し、インバータ部20のインバータ制御部26が、DC/DC変換部21及びDC/AC変換部23の動作を開始させて、インバータ部20で変換した交流電力を出力線L2に出力する。なお、インバータ制御部26、例えば、制御部30からの準備指示信号によりインバータ部20のDC/DC変換部21を予め動作させておいて、出力許可信号によりDC/AC変換部23の動作を開始させるようにしてもよい。
【0077】
なお、この状態では、出力リレー25がオフ状態であり、交流出力線L3にバイパス給電とインバータ給電とが衝突することはない。また、インバータ部20の出力リレー25は、予めオン状態にされていてもよいし、ステップS501において、制御部30が、出力リレー25をオン状態にする制御信号をインバータ部20に出力するようにしてもよい。
【0078】
続く、ステップS502からステップS504までの処理は、上述した
図3に示すステップS102からステップS104までの処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0079】
ステップS505において、制御部30は、出力スイッチ13をオン状態にする。制御部30は、出力スイッチ13の制御信号により、出力スイッチ13をオン状態にする。これにより、インバータ部20で変換した交流電力が、出力線L2から出力スイッチ13を介して交流出力線L3に供給され、バイパス給電からインバータ給電に切り替えが完了する。ステップS505の処理後に、制御部30は、処理を終了する。
【0080】
次に、
図9を参照して、バイパス給電からインバータ給電に切り替える処理について、詳細に説明する。
図9は、本実施形態による電源装置1の切り替え処理の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、上述した
図8の場合と同様に、バイパス給電からインバータ給電に切り替える場合における電源装置1の切り替え処理を示している。また、この図においての初期状態は、半導体スイッチ12及び出力スイッチ13がオン状態であり、インバータ部20が動作しており、開閉スイッチ11がオフ状態であるものとする。
【0081】
図9において、各グラフは、上から順に、半導体スイッチ12前の電圧(商用電圧)の波形W11、半導体スイッチ12後の電圧(出力電圧)の波形W12、半導体スイッチ12の電流の波形W13、インバータ部20の出力電圧の波形W14、半導体スイッチ12両端の電圧差の波形W15、半導体スイッチ12の制御信号の波形W16、半導体スイッチ12の状態ST11、及び出力スイッチ13の制御信号の波形W17を示している。また、各グラフの横軸は、時間を示している。
【0082】
まず、時刻T11において、制御部30は、半導体スイッチ12の制御信号をオフ状態にする(波形W16)。すなわち、制御部30は、半導体スイッチ12の制御信号をH状態からL状態にする。なお、半導体スイッチ12は、交流電流が0(ゼロ)になるまでの期間(交流電流が反転するまでの期間)、オン状態が維持される。
そのため、時刻T12において、半導体スイッチ12がオフ状態になる(状態ST11)。
【0083】
時刻T12において、半導体スイッチ12がオフ状態になると、交流出力線L3へのバイパス給電が停止されるため、半導体スイッチ12の両端に電圧差が発生し始める。制御部30は、ADCによりバイパス給電線L1の電圧を検出するとともに、交流出力線L3の電圧を検出することで、半導体スイッチ12の両端の電圧を検出し、両端の電圧差が所定の閾値以上であるか否かを判定する処理を繰り返し実行する。
【0084】
次に、時刻T13において、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上になると(波形W15)、制御部30は、出力スイッチ13をオン状態にする制御信号を出力して、出力スイッチ13をオン状態にし、インバータ給電を開始させる。制御部30は、例えば、出力スイッチ13の制御信号に、H状態を出力して、出力スイッチ13をオン状態にし、インバータ給電を開始させる(波形W17)。
【0085】
これにより、インバータ部20の出力線L2と交流出力線L3とがオン状態になり、インバータ部20出力する交流電圧(波形W14)が、交流出力線L3に供給される(波形W12)。
このように、本実施形態による電源装置1では、出力電力が途切れることなくバイパス給電からインバータ給電に切り替えられる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1は、インバータ部20の出力線L2と交流出力線L3との間に接続された出力スイッチ13を備える。制御部30は、バイパス給電からインバータ給電に切り替える際に、開閉スイッチ11及び半導体スイッチ12をオフ状態にするとともに、インバータ部20の変換を開始させる。制御部30は、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、出力スイッチ13をオン状態にしてインバータ給電を開始させる。
これにより、本実施形態による電源装置1は、予めインバータ部20の変換を開始させた状態で、バイパス給電の停止を確認した後に、出力スイッチ13をオン状態にさせるため、瞬断を防止しつつ、バイパス給電からインバータ給電に適切に切り替えることができる。
【0087】
なお、上述した本実施形態では、出力スイッチ13は、オン状態になるまでの遅延時間によって出力が途切れる可能性があるため、例えば、サイリスタやトライアック、電界効果トランジスタなどの半導体スイッチである必要がある。また、出力スイッチ13は、リレースイッチや開閉器などの機械的に接点を開閉するスイッチと半導体スイッチとを並列に接続したものであってもよい。また、制御部30は、半導体スイッチ12の両端の電圧差が所定の閾値以上になった場合に、出力スイッチ13をオン状態にする代わりに、インバータ部20の出力リレー25を半導体スイッチにしてオン状態にして、インバータ給電を開始させるようにしてもよい。
【0088】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、電源装置1は、1つのインバータ部20を備える例を説明したが、これに限定されるものではない。電源装置1は、複数のインバータ部20を備え、各インバータ部20が並列に接続される構成であってもよい。これにより、電源装置1は、インバータ供給可能な交流電力を増大させることができる。
【0089】
また、上記の第2~第4の実施形態において、第1の実施形態に対して各実施形態を適用する例を説明したが、これに限定されるものではなく、各実施形態を他の組み合わせにより組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0090】
また、上記の各実施形態において、電源装置1は、バイパス給電として、100Vの商用電源を直接供給する例を説明したが、200Vなどの交流電圧をバイパス給電として供給してもよい。
【0091】
また、上記の各実施形態において、インバータ部20の構成は、
図2に示す構成に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
また、制御部30によるインバータ部20の指示(制御)は、各種の制御信号によって行われてもよいし、例えば、CAN(Controller Area Network)などの通信ネットワークを利用して行われてもよい。
【0092】
また、上記の各実施形態において、制御部30が出力する制御信号のH状態により制御される状態とL状態により制御される状態とは、上述した実施形態に限定されるものではなく、逆の論理状態により制御されてもよい。
【0093】
なお、上述の電源装置1の制御部30は内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した電源装置1の制御部30による処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0094】
また、上述した電源装置1の制御部30が備える機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 電源装置
2 商用電源
3 直流電源
10 制御装置
11 開閉スイッチ
12 半導体スイッチ
13 出力スイッチ
20 インバータ部
21 DC/DC変換部
22 直流フィルタ部
23 DC/AC変換部
24 交流フィルタ部
25 出力リレー
26 インバータ制御部
30 制御部