(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007975
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】文書出力装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0483 20130101AFI20220105BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G06F3/0483
G06F3/12 356
G06F3/12 304
G06F3/12 385
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020037
(22)【出願日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2020109846
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】濱口 秀司
(72)【発明者】
【氏名】三浦 洋介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 篤
(72)【発明者】
【氏名】鈩 優介
(72)【発明者】
【氏名】江藤 元彦
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA04
5E555AA26
5E555BA01
5E555BA04
5E555BA13
5E555BA71
5E555BA81
5E555BB01
5E555BB04
5E555BB13
5E555BC04
5E555CA01
5E555CB01
5E555CB36
5E555CC03
5E555DA01
5E555DA03
5E555DB43
5E555DC05
5E555DC09
5E555DD07
5E555EA08
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】各種文書の共有に好適な高い利便性を有した出力装置を提供する。
【解決手段】文書のデータを受信する文書受信部101と、受信した複数の文書のデータを格納する文書格納部102と、ユーザによる、文書格納部102にデータを格納している複数の文書のページのうちディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるべきページを選択する入力操作を受け付けるものであり、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作を受け付けることのできる入力受付部103と、入力受付部103を介して選択を受け付けたページをディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるものであり、ページ送りまたは戻し操作を受け付けたときに、表示させるページをある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに遷移させるページ表示制御部104とを具備する文書出力装置1を構成した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用する情報処理装置から複数のページを含んだ文書のデータを受信する文書受信部と、
前記文書受信部を介して受信した複数の文書のデータを格納する文書格納部と、
ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページのうちディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させるべきページを選択する入力操作を受け付けるものであり、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作を受け付けることのできる入力受付部と、
前記入力受付部を介して選択を受け付けたページをディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させるものであり、前記ページ送りまたは戻し操作を受け付けたときに、ディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させるページを、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに遷移させるページ表示制御部と
を具備する文書出力装置。
【請求項2】
前記入力操作部で受け付ける、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作は、同一の文書のあるページからこれに続く他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作と共通の操作である請求項1記載の文書出力装置。
【請求項3】
前記入力受付部は、ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページをディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させる際の表示順を設定する入力操作を受け付けることができ、
前記ページ表示制御部は、前記入力受付部を介してあるページから他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作を受け付けたときに、先に設定された表示順に従ってディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させるページを遷移させる請求項1または2記載の文書出力装置。
【請求項4】
前記ページ表示制御部が、当該文書出力装置と電気通信回線を介して接続している一または複数の情報処理装置に対し、表示させるべきページのデータまたはそのページを投影した画面のデータを送信し、そのページを情報処理装置のディスプレイに表示させることができる請求項1、2または3記載の文書出力装置。
【請求項5】
ユーザが使用する情報処理装置からページを含んだ文書のデータを受信する文書受信部と、
前記文書受信部を介して受信した複数の文書のデータを格納する文書格納部と、
ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページのうちプリンタで印刷するべきページを選択する入力操作を受け付けるものであり、ある文書のあるページ及び他の文書の他のページを一括して印刷するべき旨の操作を受け付けることのできる入力受付部と、
前記入力受付部を介して選択を受け付けたページをプリンタに印刷させるものであり、前記操作を受け付けたときに、ある文書のあるページ及び他の文書の他のページを連続的にプリンタに印刷させる印刷制御部と
を具備する文書出力装置。
【請求項6】
前記入力受付部は、ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページをプリンタに印刷させる際の印刷順を設定する入力操作を受け付けることができ、
前記印刷制御部は、前記入力受付部を介して複数のページを一括して印刷するべき旨の操作を受け付けたときに、先に設定された印刷順に従って複数のページを連続的にプリンタに印刷させる請求項5記載の文書出力装置。
【請求項7】
前記入力受付部は、ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページのうち単一のファイルに統合するべきページを選択した上で当該ファイルを前記文書格納部に格納しまたはユーザが使用する情報処理装置に送信するべき旨の入力操作を受け付けることができ、
前記入力受付部を介して選択を受け付けたページを単一のファイルに統合したものを生成して前記文書格納部に格納しまたは情報処理装置に送信するファイル出力制御部をさらに具備する請求項1、2、3、4、5または6記載の文書出力装置。
【請求項8】
前記入力受付部は、ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページを単一のファイルに統合する際の当該ファイル内でのページ順を設定する入力操作を受け付けることができ、
前記ファイル出力制御部は、前記入力受付部を介して複数のページを単一のファイルに統合して前記文書格納部に格納しまたはユーザが使用する情報処理装置に送信するべき旨の操作を受け付けたときに、先に設定されたページ順に従って複数のページを配列したファイルを生成して前記文書格納部に格納しまたはユーザが使用する情報処理装置に送信する請求項7記載の文書出力装置。
【請求項9】
前記文書受信部は、ユーザが使用する情報処理装置から発せられるプリンタに対する印刷命令の形で文書のデータを受信する請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の文書出力装置。
【請求項10】
ユーザが使用する情報処理装置またはカメラから出力される静止画像または動画像を受信する画像受信部と、
前記画像受信部を介して受信した静止画像または動画像をディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させる画像表示制御部とをさらに具備し、
前記入力受付部は、ユーザによる、現在ディスプレイ若しくはプロジェクタが表示している静止画像または動画像をキャプチャするべき旨の入力操作を受け付けることができ、
前記画像表示制御部は、前記入力受付部を介して前記入力操作を受け付けたときに、現在ディスプレイ若しくはプロジェクタが表示している静止画像または動画像をキャプチャして得た画像を文書のページのデータとして前記文書格納部に格納する請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の文書出力装置。
【請求項11】
請求項1記載の文書出力装置を構成するために用いられるものであって、コンピュータを、
ユーザが使用する情報処理装置から複数のページを含んだ文書のデータを受信する文書受信部、
前記文書受信部を介して受信した複数の文書のデータを格納する文書格納部、
ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページのうちディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させるべきページを選択する入力操作を受け付けるものであり、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作を受け付けることのできる入力受付部、並びに、
前記入力受付部を介して選択を受け付けたページをディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させるものであり、前記ページ送りまたは戻し操作を受け付けたときに、ディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させるページを、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに遷移させるページ表示制御部
として機能させるプログラム。
【請求項12】
前記ページ表示制御部が、当該文書出力装置と電気通信回線を介して接続している一または複数の情報処理装置に対し、表示させるべきページのデータまたはそのページを投影した画面のデータを送信し、そのページを情報処理装置のディスプレイに表示させることができる請求項11記載のプログラム。
【請求項13】
請求項5記載の文書出力装置を構成するために用いられるものであって、コンピュータを、
ユーザが使用する情報処理装置からページを含んだ文書のデータを受信する文書受信部、
前記文書受信部を介して受信した複数の文書のデータを格納する文書格納部、
ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページのうちプリンタで印刷するべきページを選択する入力操作を受け付けるものであり、ある文書のあるページ及び他の文書の他のページを一括して印刷するべき旨の操作を受け付けることのできる入力受付部、並びに、
前記入力受付部を介して選択を受け付けたページをプリンタに印刷させるものであり、前記操作を受け付けたときに、ある文書のあるページ及び他の文書の他のページを連続的にプリンタに印刷させる印刷制御部
として機能させるプログラム。
【請求項14】
前記入力受付部は、ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページのうち単一のファイルに統合するべきページを選択した上で当該ファイルを前記文書格納部に格納しまたはユーザが使用する情報処理装置に送信するべき旨の入力操作を受け付けることができ、
さらに、コンピュータを、前記入力受付部を介して選択を受け付けたページを単一のファイルに統合したものを生成して前記文書格納部に格納しまたは情報処理装置に送信するファイル出力制御部としても機能させる請求項11、12または13記載のプログラム。
【請求項15】
さらに、コンピュータを、ユーザが使用する情報処理装置またはカメラから出力される静止画像または動画像を受信する画像受信部、並びに、
前記画像受信部を介して受信した静止画像または動画像をディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させる画像表示制御部としても機能させ、
前記入力受付部は、ユーザによる、現在ディスプレイ若しくはプロジェクタが表示している静止画像または動画像をキャプチャするべき旨の入力操作を受け付けることができ、
前記画像表示制御部は、前記入力受付部を介して前記入力操作を受け付けたときに、現在ディスプレイ若しくはプロジェクタが表示している静止画像または動画像をキャプチャして得た画像を文書のページのデータとして前記文書格納部に格納する請求項11、12、13または14記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の文書、ファイルまたはデータを、あたかも一つに統合されたものであるかのように取り扱い出力することが可能な出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のメンバーが集う会議室等に設置され、各メンバーが同時に視聴し情報を共有することができる大型ディスプレイや液晶プロジェクタが周知である(例えば、下記先行技術文献を参照)。一般に、ディスプレイやプロジェクタにはパーソナルコンピュータその他の情報処理装置を接続することができ、その情報処理装置が出力する映像信号をディスプレイ若しくはプロジェクタに入力し、情報処理装置が表示させる画面をディスプレイ若しくはプロジェクタにより投影して、メンバーに提示することが可能となっている。
【0003】
会議等に参加するメンバーは、通常、各人が専有する情報処理装置を使用して、会議等の場で提示するべき種々の資料その他の文書(狭義の文書や図表のみならず、プレゼンテーション用のスライド、静止画像、動画像等が含まれる)を作成する。そして、メンバーがめいめい自己の情報処理装置(特に、携行可能なノートブック型コンピュータ等)を会議室等に持ち込み、自身の作成した文書を他のメンバーに提示する段になって、自己の情報処理装置をディスプレイ若しくはプロジェクタに接続し、当該情報処理装置上の画面を投影して他のメンバーに見せる、という手順を踏む。要するに、プレゼンターとなるメンバーが入れ替わる都度、各人の情報処理装置をディスプレイ若しくはプロジェクタに繋ぎ直す作業が発生する。これは実際に煩瑣である。
【0004】
ディスプレイ若しくはプロジェクタにサーバとして機能する共用の情報処理装置を接続し、かつそのサーバと各人が使用する情報処理装置とを電気通信回線を介して通信可能に設定しておき、各人が作成した文書のデータファイルを各情報処理装置から当該サーバにアップロードして集積し、当該サーバ上で文書を表示させた画面をディスプレイ若しくはプロジェクタに投影することも考えられる。さすれば、メンバー毎に情報処理装置を逐一繋ぎ直す迂遠な手間を省くことができる。
【0005】
だが、それでもなお、あるファイルを開いて投影する状態と、他のファイルを開いて投影する状態との間に、一旦操作の切れ目、時間的な切れ目が生じることは避けられない。ファイル単位で管理を行うシステムでは、ある文書ファイルを表示する状態から他の文書ファイルを表示する状態へと遷移する際、それまで開いていた前者のファイルを閉じる操作を行い、次いで後者のファイルを選択して開く操作を改めて行う。そうして初めて、他のファイルの最初のページまたはスライド等が表れる。換言すれば、複数のファイルに分属するページやスライド等を、あたかも単一のファイルのものであるかのように連続的に表示させてメンバーに提示することはできない。
【0006】
また、メンバー毎に、文書を作成する際に用いているアプリケーションプログラムが異なっていると、サーバ上でファイルを展開するためにそれらアプリケーションプログラムを予めサーバにインストールしておく必要も生じる。
【0007】
一方、個々のメンバーが作成した文書を共有するにあたっては、各人が他のメンバー分を含めたハードコピーを取っておき、それを会議等の場で配布することが専らであった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“液晶モニター”,カウネット2020年カタログ,株式会社カウネット,令和2年2月,p.658-659
【非特許文献2】“プロジェクター”,カウネット2020年カタログ,株式会社カウネット,令和2年2月,p.514-516
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、各種文書の共有に好適な高い利便性を有した出力装置を提供することを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、ユーザが使用する情報処理装置から複数のページを含んだ文書のデータを受信する文書受信部と、前記文書受信部を介して受信した複数の文書のデータを格納する文書格納部と、ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページのうちディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させるべきページを選択する入力操作を受け付けるものであり、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページ(表示順や印刷順、ページ順において、あるページの直前または直後にあるページ。典型的には、ある文書の最終ページと他の文書の最初のページとの関係であるが、ユーザが予め他の文書の一部のページをある文書中に挿入する設定を行ったような場合には、「ある文書のあるページ」はある文書の最終ページでないことがあり、「他の文書の他のページ」は他の文書の最初のページでないことがある)に遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作を受け付けることのできる入力受付部と、前記入力受付部を介して選択を受け付けたページをディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させるものであり、前記ページ送りまたは戻し操作を受け付けたときに、ディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させるページを、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに遷移させるページ表示制御部とを具備する文書出力装置を構成した。
【0011】
前記入力操作部で受け付ける、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作は、同一の文書のあるページからこれに続く他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作と共通の操作であることが好ましい。
【0012】
前記入力受付部は、ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページをディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させる際の表示順を設定する入力操作を受け付けることができ、前記ページ表示制御部は、前記入力受付部を介してあるページから他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作を受け付けたときに、先に設定された表示順に従ってディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させるページを遷移させるものとすることが好ましい。
【0013】
前記ページ表示制御部が、当該文書出力装置と電気通信回線を介して接続している一または複数の情報処理装置に対し、表示させるべきページのデータまたはそのページを投影した画面のデータを送信し、そのページを情報処理装置のディスプレイに表示させるようにしてもよい。
【0014】
また、本発明では、ユーザが使用する情報処理装置からページを含んだ文書のデータを受信する文書受信部と、前記文書受信部を介して受信した複数の文書のデータを格納する文書格納部と、ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページのうちプリンタで印刷するべきページを選択する入力操作を受け付けるものであり、ある文書のあるページ及び他の文書の他のページを一括して印刷するべき旨の操作を受け付けることのできる入力受付部と、前記入力受付部を介して選択を受け付けたページをプリンタに印刷させるものであり、前記操作を受け付けたときに、ある文書のあるページ及び他の文書の他のページを連続的にプリンタに印刷させる印刷制御部とを具備する文書出力装置を構成した。
【0015】
前記入力受付部は、ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページをプリンタに印刷させる際の印刷順を設定する入力操作を受け付けることができ、前記印刷制御部は、前記入力受付部を介して複数のページを一括して印刷するべき旨の操作を受け付けたときに、先に設定された印刷順に従って複数のページを連続的にプリンタに印刷させるものとすることが好ましい。
【0016】
加えて、前記入力受付部が、ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページのうち単一のファイルに統合するべきページを選択した上で当該ファイルを前記文書格納部に格納しまたはユーザが使用する情報処理装置に送信するべき旨の入力操作を受け付けることができ、前記入力受付部を介して選択を受け付けたページを単一のファイルに統合したものを生成して前記文書格納部に格納しまたは情報処理装置に送信するファイル出力制御部をさらに具備する文書出力装置を構成することも考えられる。
【0017】
前記入力受付部は、ユーザによる、前記文書格納部にデータを格納している複数の文書のページを単一のファイルに統合する際の当該ファイル内でのページ順を設定する入力操作を受け付けることができ、前記ファイル出力制御部は、前記入力受付部を介して複数のページを単一のファイルに統合して前記文書格納部に格納しまたはユーザが使用する情報処理装置に送信するべき旨の操作を受け付けたときに、先に設定されたページ順に従って複数のページを配列したファイルを生成して前記文書格納部に格納しまたはユーザが使用する情報処理装置に送信するものとすることが好ましい。
【0018】
特に、前記文書受信部は、ユーザが使用する情報処理装置から発せられるプリンタに対する印刷命令の形で文書のデータを受信するものとすることが好適である。
【0019】
並びに、ユーザが使用する情報処理装置またはカメラから出力される静止画像または動画像を受信する画像受信部と、前記画像受信部を介して受信した静止画像または動画像をディスプレイ若しくはプロジェクタに表示させる画像表示制御部とをさらに具備し、前記入力受付部は、ユーザによる、現在ディスプレイ若しくはプロジェクタが表示している静止画像または動画像をキャプチャするべき旨の入力操作を受け付けることができ、前記画像表示制御部は、前記入力受付部を介して前記入力操作を受け付けたときに、現在ディスプレイ若しくはプロジェクタが表示している静止画像または動画像をキャプチャして得た画像を文書のページのデータとして前記文書格納部に格納する文書出力装置を構成することも考えられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、各種文書の共有に好適な高い利便性を有した出力装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の文書出力装置を含むシステムの全体概要を示す図。
【
図2】同実施形態の文書出力装置が備えているハードウェア資源を示す図。
【
図3】同実施形態の文書出力装置の機能ブロック図。
【
図4】同実施形態の文書出力装置と通信可能に接続する情報処理装置が備えているハードウェア資源を示す図。
【
図5】同実施形態の文書出力装置が格納する文書の複数のページの並び順(表示順、印刷順または単一ファイルに統合するときのページ順)を規定する配列情報を例示する図。
【
図6】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図7】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図8】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図9】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図10】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図11】同実施形態の文書出力装置においてユーザが行うことのできるページの並び順の操作の内容を説明する図。
【
図12】同実施形態の文書出力装置においてユーザが行うことのできるページの並び順の操作の内容を説明する図。
【
図13】同実施形態の文書出力装置においてユーザが行うことのできるページの並び順の操作の内容を説明する図。
【
図14】同実施形態の文書出力装置においてユーザが行うことのできるページの並び順の操作の内容を説明する図。
【
図15】同実施形態の文書出力装置においてユーザが行うことのできるページの並び順の操作の内容を説明する図。
【
図16】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図17】同実施形態の文書出力装置においてユーザが行うことのできるページの並び順の操作の内容を説明する図。
【
図18】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図19】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図20】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図21】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図22】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図23】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【
図24】同実施形態の文書出力装置が格納する文書のページの画面表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の文書出力装置1は、複数人が集う会議室等の空間に備え付けられる既知のディスプレイ若しくはプロジェクタ3に、後付けで接続して使用できるものである。ディスプレイ若しくはプロジェクタ3は、大型の表示画面または投影画面を有しており、その画面に表示した内容を複数人が同時に目視しまたは閲読することが可能である。
【0023】
本実施形態の文書出力装置1の本体11は、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3の入力インタフェースに差し込み接続し、またディスプレイ若しくはプロジェクタ3から脱離させることが可能な、可搬のドングル形状をなしている。尤も、文書出力装置1の本体11の形状は、ドングル状でなくとも構わない。文書出力装置1の本体11が、予めディスプレイ若しくはプロジェクタ3に内蔵されている態様をとることを妨げるものでもない。
【0024】
図2に示すように、本実施形態の文書出力装置1は、プロセッサ(Central Procesing Unit)1a、メインメモリ1b、補助記憶デバイス1c、ビデオコーデック1d、オーディオコーデック1e、出力インタフェース1f、通信インタフェース1g、操作入力デバイス1h等のハードウェア資源を備え、これらがシステムコントローラやI/Oコントローラ等1iにより制御されて連携動作するものである。
【0025】
補助記憶デバイス1cは、フラッシュメモリやハードディスクドライブ等である。ビデオコーデック1dは、プロセッサ1aより受けた描画指示をもとに表示させるべき画面を生成し、その映像信号を出力インタフェース1gを介してディスプレイ若しくはプロジェクタ3に向けて送出するGPU(Graphics Processing Unit)、画面や画像のデータを一時的に格納しておくビデオメモリ等を要素とする。オーディオコーデック1eは、符号化されている音声データを復号化し、その音声信号を出力インタフェース1gを介してスピーカに向けて送出する。スピーカは、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に内蔵されていることもあれば、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3とは別個独立していることもある。ビデオコーデック1d及びオーディオコーデック1eはそれぞれ、ハードウェアでなくソフトウェアとして実装することも可能である。
【0026】
出力インタフェース1fは、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3、スピーカと有線及び/または無線で接続し、映像信号をディスプレイ若しくはプロジェクタ3に与え、また音声信号をスピーカに与えるためのデバイスである。出力インタフェース1fは、例えば、HDMI(High-Difinition Multimedia Interface。HDMIは登録商標)等の映像信号及び音声信号を一括して送出するインタフェースである。そして、そのオスコネクタをディスプレイ若しくはプロジェクタ3、スピーカに実装された対応する入力インタフェースのメスコネクタに直接差し込み、または双方のコネクタをケーブルで繋ぐことにより、本文書出力装置1をディスプレイ若しくはプロジェクタ3、スピーカに接続せしめる。スピーカがディスプレイ若しくはプロジェクタ3に内蔵されている場合、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に映像信号を送出する出力インタフェース1fと、スピーカに音声信号を送出する出力インタフェース1fとが同一であることがある。また、文書出力装置1からディスプレイ、プロジェクタまたはスピーカに向けて、映像信号または音声信号を無線送信する態様をとることもできる。なお、出力インタフェース1fは、下記通信インタフェース1gと共通化していることがあり得る。
【0027】
通信インタフェース1gは、文書出力装置1が外部の情報処理装置2やプリンタ4その他の機器類との間で有線及び/または無線で情報通信を行うためのデバイスであり、典型的には、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等といった電気通信回線3を通じてデータ信号を送受信するデバイスである。通信インタフェース1fには、無線LANや携帯電話網、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)網、Bluetooth(登録商標)等を介した無線通信を具現する無線トランシーバや、有線LAN等を介した有線通信を具現するNIC(Network Interface Controller)、USB(Universal Serial Bus)等が含まれる。
【0028】
操作入力デバイス1hは、文書出力装置1のユーザが手指で操作する押下ボタン、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、またはユーザが肉声により指令を入力するマイク等である。
図1に示しているように、操作入力デバイス1hは、文書出力装置1の本体11から独立し、本体11と有線または無線で接続しているリモートコントローラ12の形態をとり得る。操作入力デバイス1hは、既製の無線マウスや、プレゼンテーション用プログラム等を操作するリモート機能が付加されたレーザポインタ等であることがある。操作入力デバイス1hの要素となるタッチパネルセンサは、リモートコントローラ12上に実装されることがあり、ディスプレイ3の画面に重ね合わせて実装されることもある。集音マイクもまた、リモートコントローラ12上に実装されることがあり、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に実装されることもあり得る。あるいは、無線LANやBluetooth等を介して文書出力装置1の本体11に接続している、ユーザの使用するパーソナルコンピュータやタブレット型コンピュータ、スマートフォン等の情報処理装置2を、操作入力デバイス1hとして援用する態様も考えられる。
【0029】
文書出力装置1の本体11に対する必要な電力の供給は、オフィス等に敷設されている電灯線の給電コンセントから行ってもよいし、本体11を接続しているディスプレイ若しくはプロジェクタ3から(USB等のインタフェースを介して)行ってもよい。リモートコントローラ12の形態をとる操作入力デバイス1hに対する電力の供給は、通常、当該リモートコントローラ121hに内蔵した電池から行う。
【0030】
本文書出力装置1において、プロセッサ1aにより実行されるべきプログラムは補助記憶デバイス1cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス1cからメインメモリ1bに読み込まれ、プロセッサ1aによって解読される。コンピュータ1は、プログラムに従って上記ハードウェア資源を作動させ、
図3に示す文書受信部101、文書格納部102、入力受付部103、ページ表示制御部104、印刷制御部105、ファイル出力制御部106としての機能を発揮する。
【0031】
他方、各ユーザは、会議等の場でディスプレイ若しくはプロジェクタ3を介して他人に提示するべき種々の資料その他の文書を、自己の専有する情報処理装置2を使用して作成する。本実施形態にあって、「文書」とは、ワードプロセッサアプリケーションプログラムを用いて作成される文書のファイルや、表計算アプリケーションプログラムを用いて作成される表(シート)やグラフを含むファイル、プレゼンテーション用アプリケーションプログラムを用いて作成されるプレゼンテーション用ファイル、PDF(Portable Document Format)その他の可用性の高い汎用的な文書ファイル、電子メールファイル、CAD(Computer-Aided Design)アプリケーションプログラムを用いて作成されるファイル、静止画像ファイル、動画像ファイル等の、表示したり印刷したりしてユーザに目視または閲読させることができるもの一般を包含する概念である。換言すれば、「文書」のファイル形式や当該ファイルを取り扱うアプリケーションプログラムは、一意に限定されず任意である。
【0032】
そして、「文書のページ」とは、ワードプロセッサにより作成された文書やPDF等のファイルにおける個々のページ、表計算プログラムにより作成された個々の表やグラフ、プレゼンテーションプログラムにより作成されたプレゼンテーションの個々のスライド、一通一通の電子メールまたはその集合、CADプログラムにより作成されたデータファイルが含む複数の表示レイアウトの各々、個々の静止画像または動画像、またはそれらのデータファイルをプリンタ4を介して印刷出力する際に複数枚のページ(用紙)に跨って印刷される場合における個々のページ、等を包含する概念である。各「文書」はそれぞれ、一または複数の「ページ」を含んでいる。
【0033】
ユーザは複数人存在することが想定され、ユーザが使用する情報処理装置2も複数台存在することが想定される。各ユーザの使用する情報処理装置2は、例えば、既知の汎用的なパーソナルコンピュータ、ワークステーション、タブレット型コンピュータやスマートフォン等の携帯情報端末または携帯電話端末である。各情報処理装置2はそれぞれ、電気通信回線3を介して文書出力装置1と通信可能に接続する。
図4に示すように、情報処理装置2は、プロセッサ2a、メインメモリ2b、補助記憶デバイス2c、ビデオコーデック2d、オーディオコーデック2e、通信インタフェース2f、操作入力デバイス2g等のハードウェア資源を備え、これらがシステムコントローラやI/Oコントローラ等2hにより制御されて連携動作するものである。
【0034】
情報処理装置2において、プロセッサ2aにより実行されるべきプログラムは補助記憶デバイス2cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス2cからメインメモリ2bに読み込まれ、プロセッサ2aによって解読される。情報処理装置2には、既知のOS(Operating System)プログラムやこれに付帯する各種デバイスドライバプログラムが予めインストールされ、アプリケーションプログラムによるハードウェア資源の利用を仲介する。デバイスドライバは、アプリケーションプログラムにより作成した文書を、プリンタ4により印刷出力させることのできるデータ形式に変換するプリンタドライバを含む。
【0035】
以降、本実施形態の文書出力装置1の各部の機能を詳述する。文書受信部101は、通信インタフェース1gを介して、ユーザが使用する情報処理装置2から送信される文書のデータを受信する。本実施形態では、文書出力装置1の文書受信部101が、各ユーザの使用する情報処理装置2から見て、仮想的なプリンタまたはプリントサーバであるかのように振る舞う。それとともに、各情報処理装置2は、文書出力装置1に向けて送信するべき文書を、既知のプリンタ4において印刷出力可能な、またはプリントサーバがこれを受け取りプリンタ4から印刷出力させることが可能な形式のデータに変換した上で、文書出力装置1に送信する。即ち、情報処理装置2のユーザは、通常のパーソナルコンピュータ上での操作と同様に、文書を作成したアプリケーションプログラムからプリンタ4に向けて印刷命令(印刷キュー)を発するような形で、その文書のデータを文書出力装置1に送信する。このとき、情報処理装置2にインストールされているOS及び/またはデバイスドライバ(OSが提供し、様々なプリンタ4に対応可能な汎用的な既知の共通プリンタドライバ(標準ドライバ)であってもよく、本実施形態の文書出力装置1または特定のプリンタ4に特化したプリンタドライバであってもよい)の機能により、情報処理装置2から文書出力装置1に送信される文書が、プリンタ4において印刷出力可能な汎用的なEMF(Enhanced Meta File)ファイル、RAWファイル、Postscript(登録商標)ファイル、PDF(Portable Document Format)ファイル、ビットマップ(ラスタ)画像ファイル等のデータ形式に変換される。文書受信部101は、そのように変換された文書のデータファイルを受信する。
【0036】
尤も、文書受信部101が、各ユーザが情報処理装置2及びアプリケーションプログラムを使用して作成した元の文書データファイルそのもの、例えばワードプロセッサや表計算、プレゼンテーションのファイルや、PDFファイル、静止画像ファイル、動画像ファイル等を情報処理装置2から受信することを妨げない。また、文書出力装置1の本体11をUSB等のインタフェース1gを介して情報処理装置2に直に接続できるのであれば、ちょうどいわゆるUSBメモリのように、情報処理装置2から文書出力装置1に文書のデータを受け渡しすることも可能である。
【0037】
文書格納部102は、メインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域を利用し、文書受信部101を介して受信した複数の文書のデータを格納する。文書格納部102は、各情報処理装置2からもたらされた各文書または各印刷命令に含まれるEMF等のデータファイルをそのまま一つ一つのファイルとして(いわば、文書ファイル単位で)格納することがあり、あるいは、それらデータファイルに含まれる個々のページをそれぞれ一つ一つのファイルとして(いわば、ページ単位で)格納することがある。各文書の各ページをそれぞれ一つのファイルとして格納する場合、それらファイルは文書単位ではなくなるが、個々のページがどの文書に属していたかは、各ページのファイル名の中に記述したり、各ページのファイルと各文書との関連付け(各ページがそれぞれどの文書に属するものであるか)をテーブル情報として記述してこれを別途文書格納部102に記憶保持したりすることが考えられる。
【0038】
入力受付部103は、操作入力デバイス1hを介して、ユーザによる各種操作の手入力または音声入力を受け付ける。ユーザが行う操作に関しては、後述する。
【0039】
ページ表示制御部104は、文書格納部102に格納している文書に含まれている一または複数のページをディスプレイ若しくはプロジェクタ3の画面に表示して投影させ、ユーザによる視聴に供する。
図6ないし
図9に、文書のページの画面表示例を示す。既に述べた通り、本実施形態の文書出力装置1は、各ユーザが使用する情報処理装置2から、各ユーザが作成した文書を、プリンタ4において印刷出力可能な汎用的なEMF、RAW、Postscript、PDF、ビットマップ画像等のデータ形式で受け取り格納している。ページ表示制御部104は、既知のプリンタまたはプリントサーバの如く、このようなデータをビットマップ画像に変換するラスタイメージプロセッサをソフトウェア及び/またはハードウェアとして有しており、そのラスタイメージプロセッサを用いて文書のページをビットマップ画像に変換した上、これをディスプレイ若しくはプロジェクタ3の画面に表示出力する。この仕組みによれば、種々のアプリケーションプログラムが作成する様々な形式の文書データファイルを展開する機能を、文書出力装置1に実装しておかずに済む。換言すれば、ユーザが文書の作成に用いる種々のアプリケーションプログラムを予め文書出力装置1にインストールしておかなくてもよくなる。
【0040】
文書出力装置1が、ユーザの使用する情報処理装置2からアプリケーションプログラムが作成した元の文書データファイルを受け取って文書格納部102に格納している場合には、ページ表示制御部104が、アプリケーションプログラムが作成した元の文書データファイルを解釈して開く機能を有し、そのような処理を担うことになる。
【0041】
ページ表示制御部104は、文書のある一ページの全体を画面に表示することもできるし、一ページの一部分のみを拡大して画面に表示することもできる。
図24は、
図7に示したページP2の一部分を拡大表示している例である。ユーザによる、ページのどの部分を画面に表示させるかについての指定や、そのときの表示倍率の選択等は、入力受付部103を介して受け付ける。
【0042】
本実施形態の文書出力装置1の大きな特徴として、複数のページからなる複数の文書のファイルを、あたかも一つのファイルに一体に統合されたページ群であるかのように取り扱うことが可能な点が挙げられる。
【0043】
従前、既存のパーソナルコンピュータ等をディスプレイ若しくはプロジェクタ3に接続し、それに格納している複数の文書ファイルを順に画面に表示させて投影し提示する場合には、ユーザが、まずある文書ファイルをこれに対応するアプリケーションプログラムにより開く操作を行い、当該文書ファイル中の各ページを順次画面に表示させた後、当該文書ファイルを閉じ、続いて次の文書ファイルをこれに対応するアプリケーションプログラムにより開く操作を行い、当該文書ファイル中の各ページを順次画面に表示させる、というような手順を踏む必要があった。つまり、ある文書ファイルを提示する期間と、その次の文書ファイルを提示する期間との間に、一旦操作の切れ目または時間的な切れ目、即ちある文書ファイルを閉じて次の文書ファイルを改めて開くというクローズ/オープン操作の手間が生じることが避けられなかった。
【0044】
これに対し、本実施形態の文書出力装置1では、簡便なページ送り操作またはページ戻し操作により、ある文書に属するページを表示している状態から、当該文書とは別の他の文書に属すページを表示する状態へと直接に遷移することを可能としている。身近な例で言うと、従来のパーソナルコンピュータ等のシステムでは、あるプレゼンテーション用ファイルの最後のページ(スライド)と、これとは別のプレゼンテーション用ファイルの最初のページ(スライド)との間で、ページ送りまたはページ戻し操作のみによってページを連続的に切り替えて表示させることはできない。だが、本文書出力装置1においては、ユーザがページ送り操作を行うことで、あるファイルの最後のページを表示している状態から、これに続く別のファイルの最初のページを表示する状態へと遷移することができ、並びに、ユーザがページ戻し操作を行うことで、後者のファイルの最初のページを表示している状態から、これに先んじる前者のファイルの最後のページを表示する状態へと遷移することができる。
【0045】
入力受付部103は、ユーザによる、文書格納部102にデータを格納している複数の文書のページのうちディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるべきページを選択する入力操作を受け付ける。入力操作には、上述したページ送り操作及びページ戻し操作が含まれる。具体的には、入力受付部103が、ページ送り操作として、操作入力デバイス1hが有する特定のボタンやキーボードをユーザが手指で押下する操作や、タッチパネルセンサ上でユーザが所定の方向に手指を滑らせるスワイプ操作、マイクにより集音するユーザの肉声での特定の発音(例えば、「次」等)の入力を受け付ける。また、ページ戻し操作として、操作入力デバイス1hが有する(ページ送り操作とは別の)特定のボタンやキーボードをユーザが手指で押下する操作や、タッチパネルセンサ上でユーザが(ページ送り操作とは異なる)所定の方向に手指を滑らせるスワイプ操作、ユーザの肉声での特定の発音(例えば、「前」等)の入力を受け付ける。
【0046】
ページ表示制御部104は、入力受付部103を介して受け付けた入力に基づき、ユーザにより選択された一または複数のページを、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3の画面に表示させる。さらに、ページ表示制御部104は、入力受付部103がページ送り操作を受け付けたときに、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるページを、ある文書D1のあるページP1(
図6に示している状態)から、これに続く他の文書D2の他のページP2(
図7に示している状態)へと、それら両ページP1、P2以外の表示を経由することなく直接に遷移させる。並びに、ページ表示制御部104は、入力受付部103がページ戻し操作を受け付けたときに、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるページを、(ある文書D1のあるページP1に続く)他の文書D2の他のページP2(
図7に示している状態)から、これに先んじるある文書D1のあるページP1(
図6に示している状態)へと、それら両ページP2、P1以外の表示を経由することなく直接に遷移させる。
【0047】
入力受付部103で受け付ける、ある文書D1のあるページP1からこれに続く他の文書D2の他のページP2に遷移するべき旨のページ送り操作は、同一の文書中のあるページから次のページに遷移するべき旨のページ送り操作と同じ操作である。即ち、同一の文書内であるページから別のページに順方向に遷移するためにユーザが押下するボタンやスワイプ操作の方向、または肉声による発音と、別々の文書D1、D2に跨がってページP1、P2を順方向に遷移するためにユーザが押下するボタンやタッチパネル上でのスワイプ操作の方向、または肉声による発音とが、共通となっている。より噛み砕いて言えば、同一の文書中のあるページからその次のページに遷移するときにユーザが「右」ボタンを押下する場合、ある文書D1のあるページP1からそれに続く他の文書D2のページP2に遷移するときにもユーザが「右」ボタンを押下する。あるいは、同一の文書中のあるページからその次のページに遷移するときにユーザが「次」と発声する場合、ある文書D1のあるページP2からそれに続く他の文書D2のページP2に遷移するときにもユーザが「次」と発声する。
【0048】
同様に、ある文書D1のあるページP1に続く他の文書D2の他のページP2から、ある文書D1のあるページP1に遡って遷移するべき旨のページ戻し操作は、同一の文書中のあるページからその前のページに遡って遷移するべき旨のページ戻し操作と同じ操作である。即ち、同一の文書内であるページから別のページに逆方向に遷移するためにユーザが押下するボタンやスワイプ操作の方向、または肉声による発音と、別々の文書D2、D1に跨がってページP2、P1を逆方向に遷移するためにユーザが押下するボタンやタッチパネル上でのスワイプ操作の方向、または肉声による発音とが、共通となっている。より噛み砕いて言えば、同一の文書中のあるページからその前のページに遷移するときにユーザが「左」ボタンを押下する場合、ある文書D2のあるページP2からその直前にある他の文書D1のページP1に遷移するときにもユーザが「左」ボタンを押下する。あるいは、同一の文書中のあるページからその前のページに遷移するときにユーザが「前」と発声する場合、ある文書D2のあるページP2からその直前にある他の文書D1のページP1に遷移するときにもユーザが「前」と発声する。
【0049】
このように、同一の文書内でのページ送りまたは戻し操作と、複数の文書D1、D2に跨ったページ送りまたは戻し操作とが同じ操作であることにより、相異なる別々の文書D1、D2であることをユーザに特に意識させることなく、ある文書D1のページP1と他の文書D2のページP2との間で連続的に、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3の画面に表示させるページP1、P2を切り換えることが可能である。
【0050】
文書格納部102には、複数の文書のデータとともに、それら文書が有する複数のページの表示順を記述した情報である配列情報を格納している。
図5に、文書格納部102に記憶保持する配列情報を例示する。配列情報は、各文書の個々のページを識別する識別子の順列を含み、当該識別子により指し示されるページの表示順を規定するものである。各文書のページを識別する識別子は、例えば、文書を識別する識別子であるファイル名等と、当該ファイル名等により指し示される文書内におけるページを識別するページ番号、スライド番号等との組である。なお、文書を識別する識別子は、文書名(または、題名)や文書の作成者名(文書名や作成者名は、文書出力装置1が受信した文書のデータ自体または同文書に付されるメタデータに含まれ、それを抽出して得ることがある)、文書のデータを送信した情報処理装置2またはそのユーザを識別する識別子(情報処理装置2の名前やIP(Internet Protocol)アドレス、ドメインネーム等であることがある)、文書が作成された日時のタイムスタンプ(文書出力装置1が受信した文書のデータ自体または同文書に付されるメタデータに含まれ、それを抽出して得ることがある)、文書出力装置1が文書を受信した日時のタイムスタンプ等であってもよい。
【0051】
補足として、本実施形態の文書出力装置1は、文書受信部101を介して情報処理装置2から文書のデータを受信したときに、その文書の仮の最初のページとなるデータを自動で生成し、その生成したページのデータとともに受信した文書のページのデータを文書格納部102に格納することがある。このとき、その文書の元々の最初のページは、自動生成した仮の最初のページの直後のページとなる。生成する仮の最初のページのデータは、同ページを所定の表示形式(形状、寸法、文字の大きさや書体、レイアウト、背景の色や模様等)でディスプレイ若しくはプロジェクタ3の画面に表示させたり、プリンタ4から印刷させたりすることのできるデータである。仮の最初のページは、例えば、対象の文書のファイル名、文書名、文書の作成者名、文書のデータを送信した情報処理装置2またはそのユーザを識別する識別子、文書が作成された日時または文書出力装置1が文書を受信した日時のタイムスタンプ等のうちの少なくとも一部の情報を含み、それを表示するものとなる。仮の最初のページは、ある文書とこれに続く他の文書との間を区切る仕切りのような役割を担う(この仮の最初のページは、ある文書に続く他の文書の先頭のページになる)。
【0052】
図8に示すように、情報処理装置2から受信した文書D2に、自動生成した仮の最初のページP0を付与している場合において、当該文書D2及びこれに先んじる別の文書D1の各ページの並びは、(ページの順序をユーザが入れ替えていない限り)文書D1の最後のページP1、文書D2に付与した仮の最初のページP0、文書D2の元々の最初のページP2の順となる。そして、ページ表示制御部104は、入力受付部103がページ送り操作を受け付けたときに、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるページを、文書D1のページP1(
図6に示している状態)から、これに続く文書D2のページP0(
図8に示している状態)へと、それら両ページP1、P0以外の表示を経由することなく直接に遷移させる。入力受付部103がさらなるページ送り操作を受け付けたときには、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるページを、文書D2のページP0(
図8に示している状態)から、同文書D2のページP2(
図7に示している状態)へと、それら両ページP0、P2以外の表示を経由することなく直接に遷移させる。
【0053】
入力受付部103がページ戻し操作を受け付けたときには、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるページを、(文書D2のページP0に続く)文書D2のページP2(
図7に示している状態)から、これに先んじるページP0(
図8に示している状態)へと、それら両ページP2、P0以外の表示を経由することなく直接に遷移させる。入力受付部103がさらなるページ戻し操作を受け付けたときには、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるページを、(文書D1のページP1に続く)文書D2のページP0(
図8に示している状態)から、これに先んじる文書D1のページP1(
図6に示している状態)へと、それら両ページP0、P1以外の表示を経由することなく直接に遷移させる。
【0054】
文書出力装置1において、情報処理装置2から受信した文書に仮の最初のページのデータを自動生成して付与するか否かは、ユーザが任意に選択することができる。例えば、ユーザは、入力受付部103を介して、その選択の入力を文書出力装置1に与える。これを受けた文書出力装置1は、ユーザによる選択、即ち仮の最初のページを生成して付与するか否かを示す情報を、メインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cに記憶保持し、以後、その選択に従って、情報処理装置2から受信した文書に仮の最初のページを付与するか否かを判断する。
【0055】
ページ表示制御部104は、ユーザによるページ送りまたはページ戻し操作を受けてディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるページを切り替える際、配列情報を参照して、これまで表示していたページに続いてこれから表示するべきページがどれであるのかを知得し、そのページに係るデータを文書格納部102から読み出して、当該ページの内容をディスプレイ若しくはプロジェクタ3を介して出力し投影する。情報処理装置2から受信した文書に仮の最初のページを自動生成して付与している場合には、その仮の最初のページについても配列情報に記述して規定することとなる。
【0056】
ページ表示制御部104がユーザによって選択された文書のページP1、P2、P0をディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるとき、
図6ないし
図8に示している「プレゼンテーションモード」の他、
図9(I)に示す「アンビエントモード」、
図9(II)に示す「コラボレーションモード」を選ぶことができる。プレゼンテーションモードでは、原則として、対象のページP1、P2、P0以外の情報を表示させない。このことから、プレゼンテーションモードでは、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3の表示可能領域を目一杯使ってページP1、P2、P0を大きく拡大することができる。
【0057】
アンビエントモードでは、対象のページP1以外の最小限の情報を表示させる領域Xを設ける。領域Xに表示させる情報の例として、現在表示している文書が含んでいるページ数、そのうちの何ページ目を現在表示しているか、当該文書のファイル名、文書名、作成者名その他の識別子、順次表示することとなる(ユーザにより表示させるべきものとして選定された)文書の総数及び/またはページの総数、等が挙げられる。また、領域Xに、文書出力装置1が受け付けた操作または実行した処理を端的に示す情報、例えば、情報処理装置2から文書を受信したときにその旨及び当該文書のファイル名等を表示させたり、文書のページを印刷出力するための印刷命令をプリンタ4に送信したときにその旨及び当該文書のファイル名及び当該ページの番号等を表示させたりすることも考えられる。プレゼンテーションモードと比較して、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に領域Xを表示させる分、文書のページP1を表示させる領域が狭まり、ページP1が縮小される。
【0058】
コラボレーションモードでは、最小限の情報を表示させる領域Xに加えて、他の表示領域Yを設ける。当該領域Yには、例えば、ユーザが操作することのできる機能を示すアイコンSや、チャットまたはメモ(コメント)T等を表示させる。チャットまたはメモTの内容は、ユーザが文書出力装置1または情報処理装置2に付随する操作入力デバイス1h、2gを介して入力したものである。アンビエントモードと比較して、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に領域Yを表示させる分、文書のページP1を表示させる領域が狭まり、ページP1が縮小される。
【0059】
また、
図9(II)に例示しているように、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させている文書のページP1の上に、ユーザが仮想的な書き込みWを行うこともできる。この書き込みWは、ユーザが文書出力装置1または情報処理装置2に付随する操作入力デバイス1h、2gを介して行ったものである。本文書出力装置1の入力受付部103は、そのようなユーザによる書き込みWの操作入力(書き込みWの位置や筆跡等)を受け付け、ページ表示制御部104がこれを文書のページP1に重ねるようにして表示させる。さらに、文書格納部102に、対象のページP1に書き込みWを加えた状態のページのデータを格納することもできる。そのページは、以後、他の文書のページと同様に取り扱うことができる。
【0060】
文書格納部102に格納した複数の文書の各ページを順次ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるにあたり、本実施形態の文書出力装置1では、それら各ページの表示順を、ユーザが任意に設定することができる。換言すれば、ユーザが任意に配列情報を書き換えることができる。特に、一つの文書の中で同文書に属する複数のページの表示順を任意に設定できるだけでなく、ある文書に属するあるページの直前または直後に他の文書に属する他のページを挿入して配列し、その配列した順序で各ページを順に表示させるようなことができる。いわば、個々の文書の間の「垣根」を越えることが可能である。
【0061】
なお、「ある文書に属するあるページの直前または直後に他の文書に属する他のページを挿入して配列」するとは、あるページの最後のページの直後に他の文書の何れかのページまたは他の文書全体を配列(ある文書に続いて他の文書の一部または全部を順方向に連続するように配置)したり、あるページの最初のページの直前に他の文書の何れかのページまたは他の文書全体を配列(ある文書の前に他の文書の一部または全部を逆方向に連続するように配置)したりすることのみに限定されるものではなく、ある文書の最初のページ及び最後のページ以外の中間のページの直前または直後に他の文書の何れかのページまたは他の文書全体を配列(ある文書の中途に他の文書の一部または全部を挿入)するようなことも該当する。
【0062】
図10に、ユーザが各ページの表示順を設定する操作を行うときのインタフェースとなるディスプレイ若しくはプロジェクタ3の画面表示例を示す。文書出力装置1のページ表示制御部104は、文書格納部102に格納している、一または複数の文書D1、D2に属する複数のページPのデータを読み出し、それらページPをディスプレイ若しくはプロジェクタ3の画面に一覧表示して、その中の任意のページPをユーザが指定できるようにする。ユーザが行うことのできる、ページの表示順の設定操作の具体的内容を、以下に列挙する。
・ページの移動または挿入:
図11に示すように、ある文書D1に属するあるページP1の位置を、同文書D1の中で前または後ろに移動させる。または、
図12に示すように、ある文書D1に属するあるページP1を、同文書D1から外に抜き出し、他の文書D2の中の任意の位置に挿入し、あるいは当該他の文書D2の中で前または後ろに移動させる。このとき、入力受付部103は、移動または挿入の対象となるページP1を指定する操作、並びに、対象のページP1の移動先となる文書D1、D2及び当該文書D1、D2の中で対象のページP1を配列するべき位置を指定する操作を受け付ける。
・ページの複製:
図13に示すように、ある文書D1に属するあるページP1を複製する。このとき、入力受付部103は、複製の対象となる文書D1及びそのページP1を指定する操作を受け付ける。複製したページP1は、上記の移動または挿入操作を通じて、任意の文書中の任意の位置に配置することが可能である。
・ページの削除:
図14に示すように、ある文書D1に属するあるページP1を削除する。このとき、入力受付部103は、削除の対象となる文書D1及びそのページP1を指定する操作を受け付ける。なお、削除の対象となったページP1のデータは、文書格納部102から削除することになる。
・ページの入れ替え:
図15に示すように、ある文書D1に属するあるページP1を、同文書D1中の任意の位置に、または他の文書D2中の任意の位置に移動させる。それとともに、その移動先の位置にあったページP2を、移動させたページP1が元々所在していた位置に移動させる。要するに、前者のページP1と後者のページP2とを入れ替える。このとき、入力受付部103は、前者のページP1が属する文書D1及びそのページP1を指定する操作、及び後者のページP2が属する文書D2及びそのページP2を指定する操作を受け付ける。
・ページの上書き:ある文書D1に属するあるページP1を、同文書D1中の任意の位置に、または他の文書D2中の任意の位置に移動させる。それとともに、その移動先の位置にあったページP2を削除する。要するに、前者のページP1により後者のページP2を上書きする。このとき、入力受付部103は、前者のページP1が属する文書D1及びそのページP1を指定する操作、及び後者のページP2が属する文書D2及びそのページP2を指定する操作を受け付ける。
・ページの表示/非表示の切り替え(格納している各ページをそれぞれ表示の対象とするか否かの設定):あるページP1を、存在しないものとして表示させないようにする。または、存在しないものとして表示させないようにしていたページP1を、再び表示させるようにする。このとき、入力受付部103は、非表示とするべき対象となる文書D1のページP1、または表示するべき対象となる文書D1のページP1を指定する操作を受け付ける。なお、ページの削除と異なり、非表示の対象となったページP1のデータは、文書格納部102から削除せず保持し続ける。非表示のページP1はあくまでも、会議等のプレゼンテーションの場においてディスプレイ若しくはプロジェクタ3が投影し表示しないというだけであり、そのページP1のデータを事後に再利用することは可能である。
・ページの表示態様の変更:あるページP1をディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させる態様を変更する。表示の態様の具体例としては、元来カラーであるページP1をモノクロまたはグレースケールで表示する、
図16に示すように対象のページP1にウォータマークその他の画像や文字Mを重ね合わせて表示する、等が挙げられる。対象のページP1に重ね合わせる画像や文字Mのデータは、予め文書格納部102に格納しており、ページP1をディスプレイ若しくはプロジェクタ3に投影したり印刷したりする際に読み出して用いる。このとき、入力受付部103は、表示態様を変更する対象となる文書D1のページP1を指定する操作、及びその対象のページの表示態様を指定する操作を受け付ける。
・複数のページのグループ化及びその解除(ステープル機能):
図17に示すように、ある文書D1に属し、または複数の文書D1、D2に跨って分属している複数のページPを、単一のグループGに纏める。単一グループ化した複数のページP、即ち同一グループGに属する複数のページPは、以降、一つのページであるかのように取り扱い、上掲の移動または挿入、複製、削除、入れ替え、上書き、表示/非表示の切り替え、表示態様の変更の操作を行うことが可能となる。また、複数のページPのグループ化を解除し、当該グループGに属していた複数のページPを個別のページとしてばらばらに取り扱うように元に戻すこともできる。このとき、入力受付部103は、単一のグループGに纏める複数のページPを指定する操作、またはグループ化を解除して複数のページPに分解するべきグループGを指定する操作を受け付ける。
【0063】
ユーザによる上掲の操作を入力受付部103を介して受け付けた文書出力装置1は、その受け付けた操作に基づいて文書格納部102に格納している配列情報を書き換え更新し、ユーザが設定した表示順及び表示態様にて複数の文書のページを順次表示できるようにする。
【0064】
加えて、本実施形態の文書出力装置1は、文書格納部102に格納している文書に含まれている一または複数のページを、当該文書出力装置1と通信可能に接続するプリンタ4を介して印刷出力することができる。
【0065】
文書出力装置1の印刷制御部105は、印刷するべき対象の一または複数のページのデータを文書格納部102から読み出し、そのデータを基に当該ページをプリンタ4から印刷させるための印刷命令を、同プリンタ4または同プリンタ4を統御するプリントサーバとなる情報処理装置2に送信する。既に述べた通り、本実施形態の文書出力装置1は、各ユーザが使用する情報処理装置2から、各ユーザが作成した文書を、プリンタ4において印刷出力可能な汎用的なEMF、RAW、Postscript、PDF、ビットマップ画像等のデータ形式で受け取り、文書格納部102に格納している。印刷制御部105は、そのような汎用的な形式のデータをそのまま援用して印刷命令を生成し、プリンタ4または当該プリンタ4を制御するプリントサーバとなる情報処理装置2に送信することができる。
【0066】
あるいは、印刷制御部105が、文書格納部102に格納している文書のページのデータをビットマップ画像に変換するラスタイメージプロセッサをソフトウェア及び/またはハードウェアとして有していることがある。この場合、ラスタイメージプロセッサを用いて文書のページをビットマップ画像に変換し、これを含む印刷命令をプリンタ4またはプリントサーバとなる情報処理装置2に送信することができる。
【0067】
文書格納部102に、ユーザがアプリケーションプログラムを使用して作成した元の文書データファイルを格納している場合には、印刷制御部105が、アプリケーションプログラムが作成した元の文書データファイルを解釈して開き、対象のページをプリンタ4において印刷出力可能な、またはプリントサーバがこれを受け取りプリンタ4から印刷出力させることが可能な形式のデータに変換した上で、それを含む印刷命令をプリンタ4またはプリントサーバとなる情報処理装置2に送信することとなる。
【0068】
しかして、本実施形態では、ある文書に属するページと、当該文書とは別の他の文書に属するページとを、プリンタ4から一度に印刷させることが可能である。例えば、ある文書ファイルの5ページ目から10ページ目と、他の文書ファイルの1ページ目から7ページ目とを一括に連続印刷して、一つの紙の書類に纏めるようなことを実現できる。
【0069】
文書格納部102には、
図5に例示しているような、複数の文書がそれぞれ有する複数のページの印刷順を記述した情報である配列情報を格納している。配列情報は、各文書の個々のページを識別する識別子(例えば、文書を識別するファイル名や文書名等、並びに当該ファイル名等により指し示される文書内におけるページを識別するページ番号、スライド番号等)の順列を含み、当該識別子により指し示されるページの印刷順を規定する。情報処理装置2から受信した文書に仮の最初のページを自動生成して付与している場合には、その仮の最初のページについても配列情報に記述して規定することとなる。複数のページの印刷順を規定する配列情報は、複数のページをディスプレイ若しくはプロジェクタ3により表示させる際の表示順を規定する配列情報とは別個独立したものとしてもよく、表示順を規定する配列情報と共通のものとしてもよい。
【0070】
印刷制御部105は、複数のページをプリンタ4を介して印刷出力する際、配列情報を参照して、どの文書に属するどのページが印刷するべき対象であるのか、そして印刷するべきページの並び順を知得し、それらページに係るデータを文書格納部102から読み出して、当該ページを印刷させるための印刷命令を生成、印刷命令をプリンタ4またはプリントサーバとなる情報処理装置2に送信する。
【0071】
文書格納部102に格納した複数の文書の各ページを印刷出力するにあたり、本実施形態の文書出力装置1では、それら各ページの印刷順を、ユーザが任意に設定することができる。換言すれば、ユーザが任意に配列情報を書き換えることができる。特に、一つの文書の中で同文書に属する複数のページの印刷順を任意に設定できるだけでなく、ある文書に属するあるページの直前または直後に他の文書に属する他のページを挿入して配列し、その配列した順序で各ページを順に印刷させるようなことができる。いわば、個々の文書の間の「垣根」を越えることが可能である。
【0072】
ユーザが各ページの印刷順を設定するために行うことのできる操作は、各ページの表示順を設定するために行うことのできる操作と同様である。即ち、ユーザは、入力受付部103を介して、ページの移動または挿入、ページの複製、ページの削除、ページの入れ替え、ページの上書き、ページの印刷/非印刷の切り替え(表示/非表示の切り替えと同じように、格納している各ページをそれぞれ印刷の対象とするか否かの設定)、ページの印刷態様の変更(元来カラーであるページをモノクロまたはグレースケールで印刷する、対象のページにウォータマークその他の画像や文字Mを重ね合わせて印刷する、等)、複数のページのグループ化及びその解除(ステープル機能)、等を行い得る。ユーザによる上掲の操作を入力受付部103を介して受け付けた文書出力装置1は、その受け付けた操作に基づいて文書格納部102に格納している配列情報を書き換え更新し、ユーザが設定した印刷順及び印刷態様にて複数の文書のページを順次印刷できるようにする。
【0073】
なお、実際に文書のページを印刷出力するときには、ユーザが、設定した印刷順に配列された一連の複数のページのうちの任意の一部または全部を、印刷するべき対象として指定することがある。これは、既知の情報処理装置2の使用時における、いわゆる印刷範囲の指定(2ページ目から10ページ目のみを印刷、奇数ページまたは偶数ページのみを印刷、2、3及び5ページ目のみを印刷、等々)に近しい。ユーザによる印刷範囲の指定の操作を入力受付部103を介して受け付けた文書出力装置1は、その指定されたページのみを印刷するような印刷命令を生成し、プリンタ4またはプリントサーバとなる情報処理装置2に送信する。
【0074】
印刷するべき対象の文書のページに動画像が含まれている場合には、当該動画像中の特定の一フレームを一ページとし、または当該動画像中の複数のフレーム(単位時間毎に抽出した複数のフレームであることがある)を複数のページとして取り扱い、印刷を実行する。
【0075】
また、本実施形態の文書出力装置1は、文書格納部102に格納している文書に含まれている一または複数のページを、単一のデータファイルに統合してユーザに提供することができる。
【0076】
文書出力装置1のファイル出力制御部106は、単一ファイルに統合するべき対象の一または複数のページのデータを文書格納部102から読み出し、そのデータを基に、対象のページを含むデータファイルを生成する。既に述べた通り、本実施形態の文書出力装置1は、各ユーザが使用する情報処理装置2から、各ユーザが作成した文書を、プリンタ4において印刷出力可能な汎用的なEMF、RAW、Postscript、PDF、ビットマップ画像等のデータ形式で受け取り、文書格納部102に格納している。ファイル出力制御部106は、そのような汎用的な形式のデータから、対象のページを所定の形式、例えばPDF等に変換し、対象のページを統合した単一のファイルを生成する。
【0077】
ファイル出力制御部106が、文書格納部102に格納している文書のページのデータをビットマップ画像に変換するラスタイメージプロセッサをソフトウェア及び/またはハードウェアとして有している場合、そのラスタイメージプロセッサを用いて対象のページをビットマップ画像に変換し、対象のページを統合した単一のPDFファイル等を生成することがあり得る。
【0078】
文書格納部102に、ユーザがアプリケーションプログラムを使用して作成した元の文書データファイルを格納している場合には、ファイル出力制御部106が、アプリケーションプログラムが作成した元の文書データファイルを解釈して開き、対象のページを所定の形式、例えばPDF等に変換した上で、それを含む単一のファイルを生成することとなる。
【0079】
しかして、本実施形態では、ある文書に属するページと、当該文書とは別の他の文書に属するページとを、単一のデータファイルに統合することが可能である。例えば、ある文書ファイルの5ページ目から10ページ目と、他の文書ファイルの1ページ目から7ページ目とを、単一のファイルに纏めるようなことを実現できる。
【0080】
文書格納部102には、
図5に例示しているような、複数の文書がそれぞれ有する複数のページを単一のファイルに統合する際の当該ファイル内でのページ順を記述した情報である配列情報を格納している。配列情報は、各文書の個々のページを識別する識別子(例えば、文書を識別するファイル名や文書名等、並びに当該ファイル名等により指し示される文書内におけるページを識別するページ番号、スライド番号等)の順列を含み、当該識別子により指し示されるページのページ順を規定する。情報処理装置2から受信した文書に仮の最初のページを自動生成して付与している場合には、その仮の最初のページについても配列情報に記述して規定することとなる。複数のページのページ順を規定する配列情報は、複数のページをディスプレイ若しくはプロジェクタ3により表示させる際の表示順を規定する配列情報や、複数のページを印刷出力する際の印刷順を規定する配列情報とは別個独立したものとしてもよく、表示順または印刷順を規定する配列情報と共通のものとしてもよい。
【0081】
ファイル出力制御部106は、複数のページを統合して単一ファイル化する際、配列情報を参照して、どの文書に属するどのページが統合の対象であるのか、そして単一ファイルに統合するべきページの当該ファイル内での並び順を知得し、それらページに係るデータを文書格納部102から読み出して、当該ページを所定の形式に変換し、変換した当該ページを含む単一のファイルを生成する。
【0082】
文書格納部102に格納した複数の文書の各ページを単一のファイルに統合するにあたり、本実施形態の文書出力装置1では、それら各ページのファイル内でのページ順を、ユーザが任意に設定することができる。換言すれば、ユーザが任意に配列情報を書き換えることができる。特に、一つの文書の中で同文書に属する複数のページの並び順を任意に設定できるだけでなく、ある文書に属するあるページの直前または直後に他の文書に属する他のページを挿入して配列し、その配列した順序で各ページを順に並べて単一ファイルに統合するようなことができる。いわば、個々の文書の間の「垣根」を越えることが可能である。
【0083】
ユーザが各ページのファイル内でのページ順を設定するために行うことのできる操作は、各ページの表示順または印刷順を設定するために行うことのできる操作と同様である。即ち、ユーザは、入力受付部103を介して、ページの移動または挿入、ページの複製、ページの削除、ページの入れ替え、ページの上書き、ページの出力/非出力の切り替え(表示/非表示の切り替えと同じように、格納している各ページをそれぞれ単一ファイルに統合して出力する対象とするか否かの設定)、ページの出力態様の変更(元来カラーであるページをモノクロまたはグレースケールに変換して出力する、対象のページにウォータマークその他の画像や文字Mを重ね合わせたものを出力する、等)、複数のページのグループ化及びその解除(ステープル機能)、等を行い得る。ユーザによる上掲の操作を入力受付部103を介して受け付けた文書出力装置1は、その受け付けた操作に基づいて文書格納部102に格納している配列情報を書き換え更新し、ユーザが設定したページ順及び出力態様にて複数の文書のページを順次単一のファイルに出力できるようにする。
【0084】
なお、実際に文書のページを単一ファイルとして出力するときには、ユーザが、設定したページ順に配列された一連の複数のページのうちの任意の一部または全部を、単一ファイルに出力するべき対象として指定することがある。これは、既知の情報処理装置2の使用時における、いわゆる印刷範囲の指定に近しい。ユーザによる対象のページの範囲の指定の操作を入力受付部103を介して受け付けた文書出力装置1は、その指定されたページのみを含んだ単一ファイルを生成する。
【0085】
単一ファイルに統合するべき対象の文書のページに動画像が含まれている場合には、当該動画像中の特定の一フレームを一ページとし、または当該動画像中の複数のフレーム(単位時間毎に抽出した複数のフレームであることがある)を複数のページとして取り扱い、単一ファイルへの統合を実行する。
【0086】
ファイル出力制御部106は、複数のページを統合して単一ファイル化したデータファイルを、文書格納部102に格納する。さらには、そのようなデータファイルを、外部の情報処理装置2に向けて送信することも可能である。ファイル出力制御部106は、外部の情報処理装置2に対して、データファイルをプッシュ型で送信してもよいし、プル型で送信してもよい。プッシュ型で送信する場合、ファイル出力制御部106は、本文書出力装置1のメインメモリ1bまたは補助記憶デバイスに予め記憶している宛先のURI(Uniform Resource Identifier。例えば、送信の宛先となる電子メールアドレスや、宛先となる情報処理装置2(FTP(File Transfer Protocol)サーバやウェブサーバ等であることがある)及びディレクトリを指定する文字列(パス)、ファクシミリ番号等がこれに該当する)に向けて、またはユーザが入力受付部103を介して入力若しくは選択したURIに向けて、生成したデータファイルを、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)、FTP、HTTP(HyperText Transfer Protocol)、SMB(Server Message Block)その他所定の通信プロトコルに則って送信する。
【0087】
プル型で送信する場合、ファイル出力制御部106は、既知のFTPサーバやウェブサーバ等のように振る舞い、ユーザが使用する情報処理装置2からもたらされるFTPリクエスト、HTTPリクエスト、SMBリクエスト等を受信し、当該リクエストに対するレスポンスとして、文書格納部102に格納しているデータファイルを、当該リクエストをもたらした情報処理装置2に向けて返信する。また、文書出力装置1の本体11をUSB等のインタフェース1gを介して情報処理装置2に直に接続できるのであれば、ちょうどいわゆるUSBメモリのように、文書出力装置1から情報処理装置2にデータファイルを受け渡しすることも可能である。
【0088】
本実施形態では、ユーザが使用する情報処理装置2から複数のページを含んだ文書のデータを受信する文書受信部101と、前記文書受信部101を介して受信した複数の文書のデータを格納する文書格納部102と、ユーザによる、前記文書格納部102にデータを格納している複数の文書のページのうちディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるべきページを選択する入力操作を受け付けるものであり、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作を受け付けることのできる入力受付部103と、前記入力受付部103を介して選択を受け付けたページをディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるものであり、前記ページ送りまたは戻し操作を受け付けたときに、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるページを、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに、それらページ以外の表示を経由することなく直接に遷移させるページ表示制御部104とを具備する文書出力装置1を構成した。本文書出力装置1によれば、複数のページからなる複数の文書ファイルの各ページを、あたかも一つのファイルに一体に統合されたページ群であるかのように操作することが可能な表示機能を具現することができる。専らファイル単位で管理を行う従来の情報処理装置2のシステムでは、ある文書のページを表示する状態から他の文書のページを表示する状態へと遷移する際、一旦ある文書ファイルを閉じ、格納している複数の文書ファイルの一覧(各ファイルを模擬するアイコンやサムネイル画像等)を表示する状態に遷移し、しかる後他の文書ファイルの最初のページを表示することになる。本文書出力装置1では、そのようなファイルのクローズ/オープン操作が介在せず、複数ファイルの一覧に戻るような操作も必須でなく、ある文書のあるページから他の文書の他のページへと、あたかもこれら文書が一体のまたは単一の文書ファイルであるかのような操作感で、連続的に遷移させることができる。いわば、複数の文書に跨ったページ送りまたはページ戻しを具現できる。
【0089】
前記入力受付部103で受け付ける、ある文書のあるページからこれに続く他の文書の他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作は、同一の文書のあるページからこれに続く他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作と共通の操作である。つまり、同一の文書内でのページ送りまたは戻し操作と、複数の文書に跨ったページ送りまたは戻し操作とが同じ操作(例えば、ページ送りにおいて同じボタンを一回押下する、タッチパネルセンサ上で指を所定の方向に一回スワイプする、等)であり、別々の文書であることをユーザに特に意識させることなく、連続的に表示させるページを切り換えることが可能となり、高い利便性がもたらされる。
【0090】
前記入力受付部103は、ユーザによる、前記文書格納部102にデータを格納している複数の文書のページをディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させる際の表示順を設定する入力操作を受け付けることができ、前記ページ表示制御部104は、前記入力受付部103を介してあるページから他のページに遷移するべき旨のページ送りまたは戻し操作を受け付けたときに、先に設定された表示順に従ってディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させるページを遷移させる。本文書出力装置1は、ページの表示順を任意に設定できる上、ある文書のあるページの直前または直後に他の文書の他のページを並べ、文書ファイルの垣根を越えることを可能にする。
【0091】
並びに、本実施形態では、ユーザが使用する情報処理装置2からページを含んだ文書のデータを受信する文書受信部101と、前記文書受信部101を介して受信した複数の文書のデータを格納する文書格納部102と、ユーザによる、前記文書格納部102にデータを格納している複数の文書のページのうちプリンタ4で印刷するべきページを選択する入力操作を受け付けるものであり、ある文書のあるページ及び他の文書の他のページを一括して印刷するべき旨の操作を受け付けることのできる入力受付部103と、前記入力受付部103を介して選択を受け付けたページをプリンタ4に印刷させるものであり、前記操作を受け付けたときに、ある文書のあるページ及び他の文書の他のページを連続的にプリンタ4に印刷させる印刷制御部105とを具備する文書出力装置1を構成した。本文書出力装置1によれば、複数のページからなる複数の文書ファイルの各ページを、あたかも一つのファイルに一体に統合されたページ群であるかのように一時に印刷する機能を具現することができる。例えば、ある文書ファイルの5ページ目から10ページ目と、他の文書ファイルの1ページ目から7ページ目とを一括に連続印刷して、一つの紙の書面に纏めるようなことが可能となる。
【0092】
前記入力受付部103は、ユーザによる、前記文書格納部102にデータを格納している複数の文書のページをプリンタ4に印刷させる際の印刷順を設定する入力操作を受け付けることができ、前記印刷制御部105は、前記入力受付部103を介して複数のページを一括して印刷するべき旨の操作を受け付けたときに、先に設定された印刷順に従って複数のページを連続的にプリンタ4に印刷させる。本文書出力装置1は、ページの印刷順を任意に設定できる上、ある文書のあるページの直前または直後に他の文書の他のページを並べ、文書ファイルの垣根を越えることを可能にする。
【0093】
さらに、本実施形態では、前記入力受付部103が、ユーザによる、前記文書格納部102にデータを格納している複数の文書のページのうち単一のファイルに統合するべきページを選択した上で当該ファイルを前記文書格納部102に格納しまたはユーザが使用する情報処理装置2に送信するべき旨の入力操作を受け付けることができ、前記入力受付部103を介して選択を受け付けたページを単一のファイルに統合したものを生成して前記文書格納部102に格納しまたは情報処理装置2に送信するファイル出力制御部106をさらに具備する文書出力装置1を構成した。本文書出力装置1によれば、複数のページからなる複数の文書ファイルの各ページを、単一のファイルに統合した上でユーザに提供することができる。
【0094】
前記入力受付部103は、ユーザによる、前記文書格納部102にデータを格納している複数の文書のページを単一のファイルに統合する際の当該ファイル内でのページ順を設定する入力操作を受け付けることができ、前記ファイル出力制御部106は、前記入力受付部103を介して複数のページを単一のファイルに統合して前記文書格納部102に格納しまたはユーザが使用する情報処理装置2に送信するべき旨の操作を受け付けたときに、先に設定されたページ順に従って複数のページを配列したファイルを生成して前記文書格納部102に格納しまたはユーザが使用する情報処理装置2に送信する。本文書出力装置1は、生成する単一ファイル内での各ページの並び順を任意に設定できる上、ある文書のあるページの直前または直後に他の文書の他のページを並べ、文書ファイルの垣根を越えることを可能にする。
【0095】
本実施形態にあって、前記文書受信部101は、ユーザが使用する情報処理装置2から発せられるプリンタ4に対する印刷命令の形で文書のデータを受信する。即ち、ユーザが使用する情報処理装置2にインストールされているOS及びプリンタドライバの機能を利用し、文書を予めEMF、RAW、Postscript、PDF、ビットマップ画像等の特定のファイル形式に変換した上で受信する。このことから、本実施形態の文書出力装置1は、ユーザが文書作成に使用しているアプリケーションプログラムの種類に拘束されない。つまるところ、文書出力装置1の側に(様々なアプリケーションプログラムで作成された)様々な形式のファイルを展開する機能を実装する必要がない。文書出力装置1の側には、上記の印刷命令が包含している汎用的かつ特定の形式のデータを解釈して必要であれば変換する機能を実装しておけば済む。従って、様々なアプリケーションプログラムにより作成された様々な文書に対応できるようになる。
【0096】
本実施形態の文書出力装置1の本体11は、会議室等に設置されているディスプレイ若しくはプロジェクタ3に対して着脱自在である。この本体11の文書格納部102に必要な文書のデータを格納した上でこれを出張先や営業先まで持参し、そこにあるディスプレイ若しくはプロジェクタ3に接続すれば、ページ表示制御部104の機能により、文書格納部102に格納している文書をディスプレイ若しくはプロジェクタ3に投影出力することができる。あちこちを移動するビジネスパーソンにとって、重量のあるノートブック型コンピュータ等を常時持ち運ぶことなく、より小形軽量な文書出力装置1を持ち歩いて必要な文書を各所で提示することが可能となる。
【0097】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、文書出力装置1(の本体11)が、各ユーザの使用する情報処理装置2から、各ユーザが作成した文書のデータを受信して格納していた。換言すれば、文書それ自体は予めユーザの手により完成されていた。
【0098】
これ以外に、会議等の場において、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3が現在投影している静止画像または動画像Iをキャプチャし、そのキャプチャした静止画像または動画像Iを文書のページPのデータとして格納し、以後の利用に供することも考えられる。ディスプレイ若しくはプロジェクタ3が投影する画像Iは、ユーザが使用する情報処理装置2またはカメラ6からもたらされる。カメラ6は、電気通信回線5に接続可能な既知のウェブカメラであることもあれば、情報処理装置2に内蔵されているものであることもある。このとき、
図18に示すように、文書出力装置1は、上記の情報処理装置2またはカメラ6と、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3との間を中継する役割を担う。そのために、文書出力装置1は、プログラムに従い、
図3に示す画像受信部107及び画像表示制御部108としての機能をも発揮する。
【0099】
画像受信部107は、ユーザが使用する情報処理装置2またはカメラ6から出力される静止画像または動画像Iを受信する。受信する静止画像または動画像Iは、情報処理装置2が表示させる画面であることもあれば、カメラ6が過去に撮影して保存しまたは現在リアルタイムに撮影している画像であることもある。情報処理装置2またはカメラ6と文書出力装置1とは、有線で接続してもよいし、無線で接続してもよい。情報処理装置2またはカメラ6を文書出力装置1に有線接続するためには、文書出力装置1(の本体11)に、例えばHDMI等の入力インタフェースを実装しておく。そして、その入力インタフェースのコネクタと、情報処理装置2またはカメラ6に実装された対応する出力インタフェースのコネクタとをケーブルで繋ぐことにより、情報処理装置2またはカメラ6を文書出力装置1に接続せしめる。
【0100】
情報処理装置2またはカメラ6を文書出力装置1に無線接続するのであれば、両者を無線LANやその他の電気通信回線3を介して通信可能に接続することになる。この場合において、文書出力装置1(の画面受信部及び画像表示制御部108)は、Miracast(Wi-Fi Allianceが策定した、一対一での無線通信による画面伝送技術のオープン規格。情報処理装置2やカメラ6のパソコンや画面を無線で伝送し、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に投影させることが可能。既存のOSのディスプレイドライバがこれに対応している)やAirPlay(登録商標)等に則ったワイヤディスプレイアダプタとして機能することがある。
【0101】
因みに、情報処理装置2またはカメラ6は、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3が設置された会議等の場から離れた遠隔地に所在していることがあり得る。その場合には、情報処理装置2またはカメラ6が、LAN、WAN、インターネット等の電気通信回線3を経由して、投影するべき静止画像または動画像Iを文書出力装置1に向けて送出し、ひいては当該文書出力装置1を介してディスプレイ若しくはプロジェクタ3に入力することとなる。
【0102】
画像表示制御部108は、画像受信部107を介して受信した静止画像または動画像Iを、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させる。さらに、画像表示制御部108は、ユーザによる、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3が表示している静止画像または動画像Iをキャプチャするべき旨の入力操作を入力受付部103を介して受け付けたときに、現在ディスプレイ若しくはプロジェクタ3が表示している静止画像または動画像Iをキャプチャし、得た画像を文書のページPのデータとして文書格納部102に格納する。入力受付部103が受け付ける、現在表示している画像Iをキャプチャするべき旨の入力操作は、操作入力デバイス1hが有する特定のボタンやキーボードをユーザが手指で押下する操作であったり、タッチパネルセンサ上の所定の箇所をユーザが手指でタッチする操作であったり、マイクにより集音するユーザの肉声での特定の発音であったりする。
【0103】
現在の画像Iをキャプチャするべき旨の入力操作を受け付けた場合、画像表示制御部108は、その時点でディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させていた画像Iを、静止画像としてビットマップ画像またはPDF等の所定の形式のデータに変換し、文書格納部102に格納する。あるいは、入力操作を受け付けた時点を起点とする所定時間中にディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させていた画像I、または、ユーザがある特定の入力操作(キャプチャ(録画)ボタンを押下する等)を行ってからある特定の入力操作(キャプチャボタンまたは停止(録画終了)ボタンを押下する等)を行うまでの期間中にディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させていた画像Iを、動画像として所定の形式のデータに変換し、文書格納部102に格納する。動画像Iをキャプチャして文書のページPとして格納することにより、例えば、複数のスライドを順次表示させるプレゼンテーション等の再現が可能になる。
【0104】
画像表示制御部108によりキャプチャし、文書格納部102に格納した静止画像または動画像Iは、以後、他の文書のページと同様に取り扱うことができる。
【0105】
本発明に係る文書出力装置1は、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3に後付けで接続されるドングル等の専用の装置の形態をとるとは限られない。専用の装置ではなく、汎用的なパーソナルコンピュータやタブレット型コンピュータ、スマートフォン等の情報処理装置2を、有線または無線でディスプレイ若しくはプロジェクタ3に接続するとともに、これを文書受信部101、文書格納部102、入力受付部103、ページ表示制御部104、印刷制御部105、ファイル出力制御部106、画像受信部107及び画像表示制御部108として機能させるプログラムを当該情報処理装置2にインストールして、本発明に係る文書出力装置1を構成することも当然に可能である。
【0106】
図19に示すように、文書出力装置1のページ表示制御部104が、当該文書出力装置1と直結しているディスプレイ若しくはプロジェクタ3に文書のページP1を表示させるだけでなく、当該文書出力装置1と電気通信回線5を介して接続している一または複数の情報処理装置2に対し、表示させるべきページP1のデータまたはそのページP1を投影した画面(画像)のデータを送信し、そのページP1を情報処理装置2のディスプレイに表示させることも可能である。
【0107】
例えば、
図20に示すように、ある場所の文書出力装置1(の本体11)と、他の場所の文書出力装置1(の本体11)とを電気通信回線5を介して接続し、前者の文書出力装置1が表示させるページP1のデータ(文書出力装置1または情報処理装置2においてその内容を解釈し対象のページP1をディスプレイ若しくはプロジェクタ3に表示させることができるようなデータ。汎用的なデータ形式、例えばEMF、RAW、Postscript、PDF、ビットマップ画像等のデータであることがある。またこれは、前者の文書出力装置1の文書格納部102に格納している、対象のページP1を含む文書のデータであることがある)またはそれを投影した画面のデータ(典型的には、前者の文書出力装置1において対象のページP1をディスプレイ若しくはプロジェクタ3に投影するために生成したビットマップ画像)を、後者の文書出力装置1に送信する。これを受信した後者の文書出力装置1は、接続しているディスプレイ若しくはプロジェクタ3に対象のページP1を投影する。さすれば、双方の場所に各々設置されたディスプレイ若しくはプロジェクタ3に、同じページP1を表示させることができる。この場合、後者の場所にあるディスプレイ若しくはプロジェクタ3及び文書出力装置1が、上述の情報処理装置2に該当する。後者の場所は、前者の場所から遠く離れている(前者の文書出力装置1と後者のそれとがWANやインターネット等5を介して接続している)こともあれば、同一の建物内または同一室内にある(前者の文書出力装置1と後者のそれとがLAN等5を介して接続している)こともある。
【0108】
図21に示すように、ある場所の文書出力装置1(の本体11)から同場所に配された情報処理装置2に向けて、有線または無線(LAN等の電気通信回線5を含む)でページP1のデータまたはそれを投影した画面のデータを送信する。そして、当該情報処理装置2から、これと電気通信回線5を介して接続している他の場所に配された情報処理装置2に向けて、同ページP1のデータまたはそれを投影した画面のデータを送信する。これを受信した後者の情報処理装置2は、そのディスプレイに対象のページP1を投影する。さすれば、双方の場所に各々設置された情報処理装置2のディスプレイに、同じページP1を表示させることができる。他の場所にある後者の情報処理装置2と、同場所にあるディスプレイ若しくはプロジェクタ3とがHDMI等を介して接続されているならば、そのディスプレイ若しくはプロジェクタ3にも同じページP1を表示(特に、ミラーリング)させることができる。
【0109】
図22に示すように、ユーザが所在する各場所に配された情報処理装置2と、汎用的なコンピュータ(特に、サーバコンピュータ)等2を主体とする文書出力装置1とを電気通信回線5を介して接続したシステムを構築し、文書出力装置1を介して、各場所の情報処理装置2及びこれを使用するユーザが文書を共有する態様をとることも考えられる。各場所の情報処理装置2は、種々の文書のデータを文書出力装置1にアップロード送信する。文書出力装置1は、文書のデータを文書受信部101により受信し、文書格納部102に格納、蓄積する。
【0110】
その上で、ユーザは、自己が使用する情報処理装置2の操作入力デバイス2gを介して、ディスプレイに表示させるべきページを選択する入力操作を行う。ここに言う入力操作は、ページ送りまたは戻し操作を含む。これを受けた情報処理装置2は、その入力操作に関する情報を含むリクエストを文書出力装置1に向けて送信する。文書出力装置1は、入力受付部103の機能としてそのリクエストを受信するとともに、当該リクエストに対するレスポンスとして、ディスプレイに表示させるべきものとして選択された対象のページP1のデータまたはそれを投影した画面のデータを、当該リクエストをもたらした情報処理装置2に向けて送信する。このレスポンスを受信した情報処理装置2は、ディスプレイの画面に対象のページP1を表示させる。
【0111】
図23に示すように、電気通信回線5を介して通信可能に接続している複数の情報処理装置2のうち少なくとも一つが文書出力装置1の役割を担う態様において、それら複数の情報処理装置2が既知のビデオ会議(ウェブ会議)システムに参加する場合、文書出力装置1たる情報処理装置2のディスプレイ上に所要の文書のページP1を表示させた状態で、ビデオ会議システムに実装されているいわゆる「画面共有」機能を用いることにより、他の情報処理装置2のディスプレイ上に当該文書のページP1を表示させることも可能である。あるいは、本発明に係る文書出力装置1の各部の機能を、ビデオ会議システム(のサーバアプリケーションまたはクライアントアプリケーション)に組み込むことも考えられる。
【0112】
図19ないし
図23に示した各例において、文書出力装置1または文書出力装置1の役割を担う情報処理装置2が、文書受信部101、文書格納部102、入力受付部103、ページ表示制御部104、印刷制御部105、ファイル出力制御部106、画像受信部107及び画像表示制御部108として機能し得ることは言うまでもない。つまり、本発明の特徴的な操作感である、個々の文書の間の「垣根」を越えたページ送りまたはページ戻し操作を実現しながら、複数の場所で文書を共有できるのである。
【0113】
図19ないし
図23に示した各例において、ディスプレイ若しくはプロジェクタ3またはある情報処理装置2のディスプレイに表示させるページと、それ以外の情報処理装置2のディスプレイに表示させるページとが、常に同じであるとは限られず、ユーザの選択操作に応じて、同時期に別々のページを表示させることもあり得る。
【0114】
その他、各部の具体的な構成や処理の内容、手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0115】
1…文書出力装置
101…文書受信部
102…文書格納部
103…入力受付部
104…ページ表示制御部
105…印刷制御部
106…ファイル出力制御部
107…画像受信部
108…画像表示制御部
2…情報処理装置
3…ディスプレイ若しくはプロジェクタ
4…プリンタ
5…電気通信回線
6…カメラ
D1、D2…文書
I…静止画像または動画像
P、P0、P1、P2…ページ