(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079813
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】診療用装置および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
A61C 19/00 20060101AFI20220520BHJP
A61B 1/24 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A61C19/00 B
A61B1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190618
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】390011121
【氏名又は名称】株式会社モリタ東京製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】釜口 昌平
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】細川 洋一
【テーマコード(参考)】
4C052
4C161
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052GG17
4C052LL02
4C161AA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】診療者が診療用機器を用いて診療を行う際の作業性を向上させる診療用装置を提供する。
【解決手段】制御装置61は、カメラにより得られた映像に映っている、診療者の動作に基づき、診療用機器の制御を行う。具体的には、制御装置61は、例えば、診療者の身体のうちの予め定められた部分の特定の動きに基づき、診療用機器の制御を行う。より具体的には、制御装置61は、例えば、カメラにより得られた映像に映っている、診療者の手指の動きが、親指を上に向ける動きである場合、例えば、診療台2の支持部200を上昇させる制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科についての診療を行う診療者に触れずに、当該診療者の動作の検出に用いられる情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された情報に基づき、前記診療者の特定の動作を検出する動作検出手段と、
前記動作検出手段により検出された前記特定の動作に基づき、前記診療に用いられる診療用機器の制御を行う制御手段と、
を備える診療用装置。
【請求項2】
前記情報取得手段は、前記診療者を撮影する撮影手段により構成され、
前記動作検出手段は、前記撮影手段により得られた映像を解析して、前記特定の動作を検出する請求項1に記載の診療用装置。
【請求項3】
前記撮影手段は、診療が行われる患者の口腔の撮影に用いられる撮影手段であり、
前記動作検出手段は、口腔の撮影を行う前記撮影手段により得られた映像を解析して、前記特定の動作を検出する請求項2に記載の診療用装置。
【請求項4】
前記診療者が予め定められた動作を行うと、前記口腔の撮影に用いられる前記撮影手段の撮影条件が、前記特定の動作の撮影に適した撮影条件に変更される請求項3に記載の診療用装置。
【請求項5】
前記動作検出手段は、前記診療者の予め定められた部分の特定の動きを検出し、
前記制御手段は、前記動作検出手段により検出された、前記予め定められた部分の前記特定の動きに基づき、前記診療用機器の制御を行う請求項1に記載の診療用装置。
【請求項6】
前記撮影手段により得られた映像の一部分を表示する表示装置を更に備え、
前記撮影手段により得られる映像のうちの前記表示装置には映らない領域に前記特定の動作が映っている場合であっても、当該特定の動作に基づく制御が前記制御手段により行われる請求項2に記載の診療用装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記診療者が予め定められた動作を行った場合に、前記動作検出手段により検出される前記特定の動作に基づく前記診療用機器の制御を行う請求項1に記載の診療用装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記動作検出手段により検出される前記特定の動作が予め定められた箇所で行われた場合に、当該特定の動作に基づく前記診療用機器の制御を行う請求項1に記載の診療用装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記動作検出手段により検出される前記特定の動作が患者の身体から予め定められた距離を超えて離れた箇所にて行われた場合に、当該特定の動作に基づく前記診療用機器の制御を行い、当該特定の動作が当該予め定められた距離を超えていない箇所にて行われた場合、当該診療用機器の制御を行わない請求項8に記載の診療用装置。
【請求項10】
前記動作検出手段により検出される前記特定の動作が第1の箇所にて行われた場合と、当該特定の動作が当該第1の箇所とは異なる第2の箇所にて行われた場合とで、前記制御手段による制御内容が異なる請求項1に記載の診療用装置。
【請求項11】
前記動作検出手段により検出される前記特定の動作が、患者の身体から予め定められた距離を超えて離れた箇所にて行われた場合と、当該特定の動作が、当該予め定められた距離を超えていない箇所にて行われた場合とで、前記制御手段による制御内容が異なる請求項10に記載の診療用装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記動作検出手段により検出される前記特定の動作に基づき、前記診療用機器の作動を開始する場合、当該診療用機器が予め定められた状態にある場合に、当該診療用機器の作動を開始する請求項1に記載の診療用装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記診療用機器が患者の口腔の内部にある場合に、当該診療用機器の作動を開始する請求項12に記載の診療用装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記診療用機器が患者の口腔の外部にある場合に、当該診療用機器の作動を開始する請求項12に記載の診療用装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記動作検出手段により検出された、前記診療者の複数の箇所の特定の動きに基づき、前記診療用機器の制御を行う請求項1に記載の診療用装置。
【請求項16】
歯科についての診療を行う診療者の動作の検出に用いられる情報を当該診療者に触れずに取得する情報取得手段が取得した情報に基づき、当該診療者の特定の動作を検出する動作検出手段と、
前記動作検出手段により検出された前記特定の動作に基づき、前記診療に用いられる診療用機器の制御の内容を決定する決定手段と、
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療用装置および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、口腔内カメラの動作を示す1つ以上の動作信号を得るステップと、得られた動作信号を既定の動作パターンに対応するオペレータ指示として解釈するステップと、オペレータ指示に従って少なくとも画像コンテンツの表示を変更するステップとを含む、口腔内画像を得るための方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯科についての診療を行う診療者は、診療用機器を用いて診療を行うことが一般的である。
ここで、診療用機器を作動させたり、診療用機器の出力を変化させたりする際、診療者は、例えば、スイッチまで腕を伸ばしてこのスイッチの操作を行い、診療用機器の作動や診療用機器の出力の変化を行う。このようにスイッチの操作を行う場合、診療者は、診療の対象となっている部位から目を離す必要が生じ、作業性が低下しやすい。
本発明の目的は、診療者が診療用機器を用いて診療を行う際の作業性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明が適用される診療用装置は、歯科についての診療を行う診療者に触れずに、当該診療者の動作の検出に用いられる情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段により取得された情報に基づき、前記診療者の特定の動作を検出する動作検出手段と、前記動作検出手段により検出された前記特定の動作に基づき、前記診療に用いられる診療用機器の制御を行う制御手段と、を備える診療用装置である。
【0006】
ここで、前記情報取得手段は、前記診療者を撮影する撮影手段により構成され、前記動作検出手段は、前記撮影手段により得られた映像を解析して、前記特定の動作を検出することを特徴とすることができる。
また、前記撮影手段は、診療が行われる患者の口腔の撮影に用いられる撮影手段であり、前記動作検出手段は、口腔の撮影を行う前記撮影手段により得られた映像を解析して、前記特定の動作を検出することを特徴とすることができる。
また、前記診療者が予め定められた動作を行うと、前記口腔の撮影に用いられる前記撮影手段の撮影条件が、前記特定の動作の撮影に適した撮影条件に変更されることを特徴とすることができる。
また、前記動作検出手段は、前記診療者の予め定められた部分の特定の動きを検出し、前記制御手段は、前記動作検出手段により検出された、前記予め定められた部分の前記特定の動きに基づき、前記診療用機器の制御を行うことを特徴とすることができる。
また、前記撮影手段により得られた映像の一部分を表示する表示装置を更に備え、前記撮影手段により得られる映像のうちの前記表示装置には映らない領域に前記特定の動作が映っている場合であっても、当該特定の動作に基づく制御が前記制御手段により行われることを特徴とすることができる。
また、前記制御手段は、前記診療者が予め定められた動作を行った場合に、前記動作検出手段により検出される前記特定の動作に基づく前記診療用機器の制御を行うことを特徴とすることができる。
また、前記制御手段は、前記動作検出手段により検出される前記特定の動作が予め定められた箇所で行われた場合に、当該特定の動作に基づく前記診療用機器の制御を行うことを特徴とすることができる。
また、前記制御手段は、前記動作検出手段により検出される前記特定の動作が患者の身体から予め定められた距離を超えて離れた箇所にて行われた場合に、当該特定の動作に基づく前記診療用機器の制御を行い、当該特定の動作が当該予め定められた距離を超えていない箇所にて行われた場合、当該診療用機器の制御を行わないことを特徴とすることができる。
また、前記動作検出手段により検出される前記特定の動作が第1の箇所にて行われた場合と、当該特定の動作が当該第1の箇所とは異なる第2の箇所にて行われた場合とで、前記制御手段による制御内容が異なることを特徴とすることができる。
また、前記動作検出手段により検出される前記特定の動作が、患者の身体から予め定められた距離を超えて離れた箇所にて行われた場合と、当該特定の動作が、当該予め定められた距離を超えていない箇所にて行われた場合とで、前記制御手段による制御内容が異なることを特徴とすることができる。
また、前記制御手段は、前記動作検出手段により検出される前記特定の動作に基づき、前記診療用機器の作動を開始する場合、当該診療用機器が予め定められた状態にある場合に、当該診療用機器の作動を開始することを特徴とすることができる。
また、前記制御手段は、前記診療用機器が患者の口腔の内部にある場合に、当該診療用機器の作動を開始することを特徴とすることができる。
また、前記制御手段は、前記診療用機器が患者の口腔の外部にある場合に、当該診療用機器の作動を開始することを特徴とすることができる。
また、前記制御手段は、前記動作検出手段により検出された、前記診療者の複数の箇所の特定の動きに基づき、前記診療用機器の制御を行うことを特徴とすることができる。
【0007】
また、本発明を情報処理システムと捉えた場合、本発明が適用される情報処理システムは、歯科についての診療を行う診療者の動作の検出に用いられる情報を当該診療者に触れずに取得する情報取得手段が取得した情報に基づき、当該診療者の特定の動作を検出する動作検出手段と、前記動作検出手段により検出された前記特定の動作に基づき、前記診療に用いられる診療用機器の制御の内容を決定する決定手段と、を備える情報処理システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、診療者が診療用機器を用いて診療を行う際の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】歯科の診療に用いられる歯科用の診療用装置を示した図である。
【
図3】制御装置のハードウエアの構成を示した図である。
【
図4】診療用装置の制御装置により実現される機能部を示した図である。
【
図6】(A)、(B)は、診療者の動きの一例を示した図である。
【
図7】カメラにより得られる映像を説明する図である。
【
図9】
図1のIX-IX線における支持部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、歯科の診療に用いられる歯科用の診療用装置100を示した図である。
図1にて示すこの診療用装置100では、床面の上に、患者を下方から支持する歯科用の診療台2が設けられている。診療台2には、患者を下方から支持する支持部200と、この支持部200を昇降させる昇降機構250とが設けられている。
昇降機構250には、モータなどの駆動源(不図示)が設けられ、この駆動源が駆動することで支持部200が昇降する。
【0011】
支持部200には、座板2bが設けられている。さらに、診療台2には、背もたれ2cが設けられている。背もたれ2cは、一端が座板2bに取り付けられ、この一端を中心に回転する。
さらに、診療台2には、背もたれ2cに取り付けられ、患者の頭を支えるヘッドレスト2dが設けられている。
また、診療台2には、患者の脚部を支持する脚部支持部2eが設けられている。
【0012】
本実施形態では、座板2bの表面が、患者の臀部を支持する支持面2fとなっており、診療の際には、まず、座板2bの上に患者が座る。
なお、この際(患者が座る際)、背もたれ2cは、
図1にて示している状態とは異なり、立った状態(起きた状態)となっている。また、患者が座る際、脚部支持部2eは、
図1にて示している状態とは異なり、垂れ下がった状態となっている。
その後、本実施形態では、座板2bが上昇し、さらに、背板2cが倒れるようになる。また、脚部支持部2eが、一端部2gを中心に回転し、脚部支持部2eの他端部2hが、上昇する。
【0013】
また、診療用装置100には、映像を表示する表示装置300が設けられている。この表示装置300は、例えば、液晶ディスプレイにより構成される。
表示装置300は、診療用装置100が設置された部屋の壁(不図示)に固定されている。なお、表示装置300は、壁に固定するのに限らず、トレーテーブル3など、診療用装置100の一部を構成する部材に取り付けてもよい。
さらに、本実施形態では、歯科医師などの診療者の足により操作されるフットコントローラ400が設けられている。
【0014】
また、診療用装置100には、診療台2の脇に、医師用のトレーテーブル3が設けられ、さらに、医師用のインスツルメントホルダ10が設けられている。さらに、診療台2を挟みトレーテーブル3の反対側には、アシスタント用のインスツルメントホルダ4が設けられている。
さらに、可動する支持腕13が設けられており、トレーテーブル3、インスツルメントホルダ10は、この支持腕13により支持されている。これにより、トレーテーブル3、インスツルメントホルダ10は、水平方向に移動可能となっている。
また、診療用装置100には、患者の口腔への光照射を行う歯科用照明装置90、歯科用照明装置90を支持するアーム6b、アーム6bを支持する支柱6cが設けられている。
【0015】
図2は、歯科用照明装置90の正面図である。
歯科用照明装置90には、光源90Aが設けられている。また、歯科用照明装置90には、光源90Aの他に、カメラ91が設けられている。
情報取得手段、撮影手段の一例としてのこのカメラ91は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を含んで構成され、診療が行われる患者の口腔の部分を撮影する。
【0016】
ドクター用のインスツルメントホルダ10(
図1参照)及びアシスタント用のインスツルメントホルダ4には、診療用機器の一例としての治療用器具11が抜差し自在に保持される(
図1では、アシスタント用の治療用器具11のみを図示)。
ドクター用の治療用器具11としては、例えば、エアタービンハンドピース、マイクロモータハンドピース、スケーラ、スリーウェーシリンジ、根管長測定器、根管拡大器、口腔内カメラを挙げることができる。
また、アシスタント用の治療用器具11としては、例えば、患者の口腔内の唾液、血液、切削屑など(以下、「廃液」と称することがある)を吸引する吸引用器具20を挙げることができる。
【0017】
なお、
図1では、インスツルメントホルダ4によって、吸引用器具20の一例としてのサクションシリンジ(バキュームシリンジ)21、サライバエジェクタ22が保持されている。
なお、吸引用器具20の各々は、真空ポンプやコンプレッサーなどの不図示の吸気源(後述)に接続されており、この吸気源にて吸気が行われることで、上記廃液の吸引を行う。
【0018】
また、診療台2の脇(周囲)には、患者がうがいに用いるコップ(不図示)に水を供給する供給装置5が設けられている。
供給装置5には、患者の口腔内から排出された廃液を受ける廃液受け部52、コップに対し水を供給するコップ用給水部53、清掃用の水を廃液受け部52に供給する清掃用給水部54が設けられている。
【0019】
さらに、供給装置5には、その内部に、廃液を収容する収容容器(サクションタンク)60が設けられている。
収容容器60には、上記吸引用器具20(サクションシリンジ21、サライバエジェクタ22等)によって吸引された廃液(患者の口腔内から吸引された廃液)が収容される。
また、供給装置5の内部には、診療用装置100の各部の制御を行う制御装置61が設けられている。
【0020】
図3は、制御装置61のハードウエアの構成を示した図である。
診療用装置100に設けられた制御装置61は、コンピュータにより構成され、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103を備える。さらに、ハードディスク装置などにより構成される情報記憶装置104を備える。
【0021】
ROM102は、CPU101により実行されるプログラムを記憶する。CPU101は、ROM102に記憶されているプログラムを読み出し、RAM103を作業エリアにして、プログラムを実行する。
CPU101によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、診療用装置100へ提供し得る。
また、CPU101によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて診療用装置100にダウンロードしてもよい。
【0022】
本実施形態では、診療用装置100についての各種の処理が、診療用装置100に設けられている制御装置61により行われる場合を説明する。
本実施形態では、制御装置61が設けられている部分が、診療用装置100についての情報の処理を行う情報処理システムとして機能し、この情報処理システムにより、診療用装置100の制御が行われる。
【0023】
なお、これに限らず、診療用装置100についての各種の処理の一部又は全部は、診療用装置100とは別に設けられたサーバ装置などの外部装置にて行ってもよい。言い換えると、診療用装置100についての各種の処理の一部又は全部は、診療用装置100とは別に設けられた外部の情報処理システムにて行ってもよい。
また、外部の情報処理システムにて処理を行う場合、1つの情報処理装置で処理を行ってもよいし、複数の情報処理装置を用い処理を分散してもよい。
【0024】
図4は、制御装置61により実現される機能部を示した図である。なお、
図4では、診療用機器の制御に関連する機能部のみを表示している。
制御装置61は、撮影手段の一例であるカメラ91により得られた映像(動画)に映っている診療者の動作に基づき、診療に用いられる各種の診療用機器の制御を行う。
カメラ91は、診療者に触れずにこの診療者の動作の検出に用いられる情報を取得する情報取得手段の一例である。カメラ91は、診療者に触れずに、診療者の動作の検出に用いられる情報として、各種の動作を行う診療者が映った映像(動画)を取得する。
【0025】
なお、本実施形態では、情報取得手段として、カメラ91を用いる場合を一例に説明するが、情報取得手段としてはカメラ91に限られない。
情報取得手段としては、その他に、例えば、赤外線やミリ波レーダを診療者に対して出射しさらにこの診療者からの反射波やこの診療者を通過した通過波を受信する機器なども一例に挙げられる。
この機器を用いる場合、診療者の動作に応じて反射波や通過波が異なるようになり、この反射波や通過波を解析することで、診療者が行った動作を検出できる。
【0026】
カメラ91や、赤外線やミリ波レーダを用いる機器は、光、赤外線、ミリ波レーダなどの電磁波を用いて、診療者の動作の検出に用いられる情報を取得する。
具体的には、カメラ91は、診療者からの電磁波(反射光)を検出して、診療者の動作の検出に用いられる情報を取得する。
また、赤外線やミリ波レーダを用いる機器は、診療者から反射された電磁波(反射波)や診療者を通過した電磁波(通過波)を検出して、診療者の動作の検出に用いられる情報を取得する。
【0027】
また、その他に、情報取得手段としては、音波など、電磁波以外を用いる機器も一例に挙げられる。
音波を用いる場合も、診療者の動作に応じて、診療者からの反射波や診療者を通過した通過波が異なるようになり、この反射波や通過波を検出することで、診療者の動作の検出に用いられる情報を取得できる。
【0028】
制御装置61による制御の対象となる診療用機器には、患者の歯の治療に直接用いる上記の治療用器具11のみならず、診療台2、歯科用照明装置90、供給装置5なども含まれる。
制御装置61は、カメラ91により得られた映像に映っている診療者の動作や、上記の反射波や透過波などに基づき、治療用器具11、診療台2、歯科用照明装置90、供給装置5などの制御を行う。
なお、以下の説明では、カメラ91により得られた映像に映っている診療者の動作に基づき、制御装置61が制御を行う場合を説明する。
【0029】
制御装置61は、動作検出部111と、制御内容決定部112と、機器制御部113として機能する。
本実施形態では、CPU101が、ROM102に記憶されているプログラムを読み出し、RAM103を作業エリアにしてプログラムを実行することで、これらの機能部が実現される。
【0030】
動作検出手段の一例としての動作検出部111は、診療者の特定の動作を検出する。
より具体的には、動作検出部111は、情報取得手段の一例であるカメラ91により取得された、診療者の動作の検出に用いられる情報に基づき、診療者の特定の動作を検出する。より具体的には、動作検出部111は、カメラ91が取得した映像(動画)に基づき、診療者の特定の動作を検出する。
より具体的には、動作検出部111は、診療者についての情報を得るカメラ91が得た映像(動画)を解析して、この診療者の特定の動作を検出する。
【0031】
ここで、動作検出部111は、既存の技術を用い、診療者の特定の動作を検出する。具体的には、動作検出部111は、例えば、PoseNetやキネクトなどで用いられているアルゴリズムを用い、診療者の特定の動作を検出する。
より具体的には、動作検出部111は、カメラ91が取得した映像に含まれる情報に、特定の動作を表す情報が含まれているか否かを判断し、この情報が含まれている場合に、診療者の特定の動作を検出する。
なお、動作検出部111は、上記のように反射波や通過波が得られる場合は、この反射波や通過波に、特定の動作を表す情報が含まれているか否かを判断し、この情報が含まれている場合に、特定の動作を検出する。
【0032】
動作検出部111が、診療者の特定の動作を検出すると、制御手段の一例である、制御内容決定部112および機器制御部113が、動作検出部111により検出された、診療者の特定の動作に基づき、診療に用いられる診療用機器の制御を行う。
具体的には、動作検出部111が、診療者の特定の動作を検出すると、まず、決定手段として機能する制御内容決定部112が、動作検出部111により検出された特定の動作に基づき、制御の対象となる診療用機器を特定し、また、特定したこの診療用機器の制御の内容を決定する。
【0033】
より具体的には、本実施形態では、
図5(対応テーブルを示した図)に示すように、診療者の特定の動作の内容と、制御対象となる診療用機器と、この診療用機器の制御内容とが互いに対応付けられた対応テーブルが予め生成され、この対応テーブルが、情報記憶装置104(
図3参照)に予め格納されている。
制御内容決定部112は、動作検出部111により検出された特定の動作についての情報を得ると、この対応テーブルを参照して、制御対象となる診療用機器を特定し、さらに、この診療用機器の制御内容を把握して、把握したこの制御内容を、診療用機器の制御内容として決定する。
【0034】
次いで、本実施形態では、機器制御部113が、制御内容決定部112により決定された制御内容に基づき、制御信号を生成し、この制御信号を、制御内容決定部112により特定された診療用機器に対して出力する。
これにより、本実施形態では、診療者の特定の動作に応じて、この特定の動作に対応付けられた診療用機器が、この特定の動作に対応付けられた制御内容で作動する。
【0035】
本実施形態では、カメラ91によって、患者の口腔とともに診療者が撮影される。「診療者」には、歯科医師に限らず、歯科衛生士など、歯科医師以外の者も含まれる。
そして、本実施形態では、制御装置61が、上記の通り、カメラ91により得られた映像に映っているこの診療者の特定の動作に基づき、診療に用いられる診療用機器の制御を行う。
本実施形態では、診療者は、診療用機器を作動させたり、診療用機器の出力を変化させたりする場合に、予め定められた特定の動作(ジャスチャー)を行う。これにより、本実施形態では、この予め定められた特定の動作に応じて、診療用機器の制御が行われる。
【0036】
本実施形態では、患者の口腔の撮影を行うカメラ91を利用して、診療者の動作についての情報を取得する。このように、口腔の撮影のためのカメラ91を利用する場合、診療者の動作の撮影のための専用のカメラを設置せずにすみ、コストの低減を図れる。
なお、動作を撮影するための専用のカメラの設置を排除するものではなく、診療者の動作を撮影するための専用のカメラを設置して、この専用のカメラで、診療者の動作の撮影を行ってもよい。
【0037】
制御装置61は、上記の通り、カメラ91により得られた映像に映っている、診療者の動作に基づき、診療用機器の制御を行う。
より具体的には、制御装置61は、例えば、診療者の身体のうちの予め定められた部分の特定の動きに基づき、診療用機器の制御を行う。より具体的には、制御装置61は、例えば、診療者の手指の特定の動きに基づき、診療用機器の制御を行う。
より具体的には、本実施形態では、動作検出部111が、診療者の予め定められた部分の特定の動きを検出する。そして、本実施形態では、この予め定められた部分の特定の動きに基づき、診療用機器の制御が行われる。
【0038】
より具体的には、制御装置61は、例えば、カメラ91により得られた映像に映っている、診療者の手指の動きが、例えば、
図6(診療者の動きの一例を示した図)の(A)に示すように、親指を上に向ける動きである場合、例えば、診療台2の支持部200(
図1参照)を上昇させる制御を行う。
また、制御装置61は、例えば、カメラ91により得られた映像に映っている、診療者の手指の動きが、例えば、
図6(B)に示すように、親指を下に向ける動きである場合、診療台2の支持部200(
図1参照)を下降させる制御を行う。
より具体的には、この場合、制御装置61の機器制御部113から、診療台2に設けられた昇降機構250(
図1参照)に対して制御信号が出力され、診療台2が上昇又は下降する。
【0039】
なお、ここでは、診療台2を上昇させたり下降させたりする場合を一例に説明したが、診療用機器の制御の内容としては、その他に、例えば、診療台2に設けられた背もたれ2c(
図1参照)を倒したり起立させたりする処理が挙げられる。
また、診療用機器の制御の内容としては、その他に、例えば、治療用器具11のオン/オフ制御(作動を開始させたり停止させたりする制御)や、治療用器具11の出力を増減させる制御が挙げられる。
ここで、治療用器具11の出力を増減させる制御としては、例えば、治療用器具11の一例としてのエアタービンハンドピース、マイクロモータハンドピースの回転数を増減させる処理が一例に挙げられる。
【0040】
また、診療用機器の制御の内容としては、その他に、例えば、歯科用照明装置90のオン/オフ制御や、歯科用照明装置90の出力(明るさ)を増減させる制御が挙げられる。
また、ここでは、診療者の親指の動き(向き)に基づき、診療用機器の制御を行う場合を一例に説明したが、人差し指など、他の指の動きに基づき、診療用機器の制御を行ってもよい。また、手の平や、手の甲の向きに基づき、診療用機器の制御を行ってもよい。
【0041】
また、ここでは、「診療者の予め定められた部分」として、診療者の手指を一例に挙げたが、「診療者の予め定められた部分」としては、これ以外に、診療者の腕部や、診療者の脚部や、診療者の顔、診療者の頭部を挙げることができる。
例えば、診療者が、肘を上げたり、片足を上げたりした場合に、診療用機器の制御を行うようにしてもよい。また、例えば、診療者が、片目を閉じたり口を開けたりするなど表情を変化させた場合に、診療用機器の制御を行うようにしてもよい。また、その他に、例えば、診療者が、頭を傾けるなどの動作を行った場合に、診療用機器の制御を行うようにしてもよい。
【0042】
本実施形態のように、カメラ91により得られた映像に映っている、診療者の特定の動きに基づき、診療用機器の制御を行う場合、診療者は、物理的なスイッチに触れずに、対象となる診療用機器の制御を行える。
また、カメラ91により得られた映像に映っている、診療者の特定の動きに基づき診療用機器の制御を行う場合、診療者は、患者の患部から目を離さずに、診療用機器の制御を行える。
【0043】
図7は、カメラ91により得られる映像を説明する図である。
本実施形態では、符号7Aで示す範囲が、カメラ91の画角となっており、本実施形態では、この画角の範囲内に存する撮影対象についての映像が取得される。
本実施形態では、画角の範囲内に収まっている撮影対象の全てが、表示装置300(
図1参照)に表示されるのではなく、この撮影対象の一部分が表示装置300に表示される。
具体的には、本実施形態では、符号7Bで示す領域内に位置する撮影対象についての映像が、表示装置300に表示され、符号7Cで示す領域内に存する撮影対象についての映像は、表示装置300に表示されない構成となっている。
【0044】
本実施形態では、カメラ91により得られる映像のうちの、表示装置300には映らない映像に、診療者の特定の動作が映っている場合であっても、動作検出部111によりこの特定の動作が検出される。
そして、この特定の動作に基づく制御が、制御手段の一例としての制御内容決定部112および機器制御部113により行われる。
より具体的には、符号7Cで示す領域にて、診療者の特定の動作が行われた場合であっても、この特定の動作に基づく制御が、制御内容決定部112および機器制御部113によって行われる。
【0045】
これにより、本実施形態では、診療者が、表示装置300には映らない領域にて特定の動作を行うことで、表示装置300に表示されている口腔の映像が、この特定の動作の映像によって見えにくくなることが抑制される。
本実施形態は、診療者が、表示装置300に映る領域にて特定の動作を行うと、この特定の動作の背後に、患者の口腔が位置する状態となり、この口腔が見えにくくなる。
これに対し、診療者が、表示装置300には映らない領域にて特定の動作を行うと、口腔とカメラ91とを結ぶ線上から外れた箇所にて、この特定の動作が行われる形となる。この場合、表示装置300に表示されている口腔の映像が、この特定の動作の映像によって見えにくくなることが起きにくくなる。
【0046】
(他の処理例)
制御装置61は、映像に映っている特定の動作に基づく診療用機器の制御を一律に行うのではなく、制御装置61は、診療者が予め定められた動作を行った場合に、映像に映っている特定の動作に基づく診療用機器の制御を行ってもよい。
言い換えると、動作検出部111により検出される特定の動作に基づく診療用機器の制御は、診療者が予め定められた動作を行った場合に行ってもよい。
【0047】
より具体的には、制御装置61は、診療者がフットコントローラ400(
図1参照)に対する操作を行うなど、予め定められた動作を行い、そのうえで、診療用機器の制御のための特定の動作(動作検出部111による検出対象となっている特定の動作)を行った場合に、診療用機器の制御を行うようにしてもよい。
これにより、この場合、診療者が、例えば、フットコントローラ400を踏んだことを条件として、診療用機器の制御が行われる。
より具体的には、診療者が、例えば、フットコントローラ400を踏んだことを条件として、診療用機器の作動が開始されたり、診療用機器の出力の変化が行われたりする。
【0048】
この場合、診療者は、フットコントローラ400を踏まないと、自身の特定の動作(動作検出部111による検出対象となっている特定の動作)に基づく診療用機器の制御を行えないようになる。
この場合、カメラ91の前で行う特定の動作(動作検出部111による検出対象となっている特定の動作)のみに基づいて、診療用機器の制御を行う場合に比べ、意図しない診療用機器の作動や出力の変更が起きにくくなる。
【0049】
言い換えると、この処理例では、診療者は、診療用機器の制御のための特定の動作をカメラ91の前で行うだけではなく、この特定の動作とは別の動作を行う必要が生じる。
この場合、この特定の動作のみに基づいて診療用機器の制御を行う場合に比べ、特定の動作の誤検出等に起因する、診療用機器の意図しない作動や、診療用機器の意図しない出力の変更が起きにくくなる。
【0050】
なお、制御装置61は、フットコントローラ400に対する診療者の操作があったか否かの判断は、例えば、このフットコントローラ400からの出力に基づき行う。また、制御装置61は、カメラ91により得られた映像を解析することで、フットコントローラ400に対する診療者の操作があったか否かを判断してもよい。
【0051】
また、本実施形態では、上記の「別の動作」として、フットコントローラ400に対する操作を一例に挙げたが、その他に、例えば、診療者が予め定められた音声を発する動作や、予め定められたスイッチを操作する動作なども、この「別の動作」の一例として挙げられる。
また、その他に、例えば、診療者が自身の身体の一部を動かす動作も、「別の動作」の一例として挙げられる。
【0052】
ここで、診療者が予め定められた音声を発する動作を行ったか否かは、例えば、診療用装置100にマイクを設置するようにし、このマイクからの出力に基づき、診療者が予め定められた音声を発する動作を行ったかを判断する。
また、診療者が、予め定められたスイッチを操作する動作を行ったか否かは、例えば、このスイッチからの出力を得るようにし、スイッチから予め定められた出力があった場合に、診療者が、スイッチを操作する動作を行ったと判断する。また、その他に、カメラ91により得られた映像を解析して、診療者がスイッチを操作する動作を行ったか否かを判断してもよい。
また、診療者が、自身の身体の一部を動かす動作を行ったか否かについては、例えば、カメラ91により得られた映像を解析することで、この一部を動かす動作を行ったか否かを判断する。
【0053】
(他の処理例)
その他に、制御装置61は、映像に映っている特定の動作が予め定められた特定の箇所で行われた場合に、この特定の動作に基づく診療用機器の制御を行うようにしてもよい。
言い換えると、制御装置61は、映像に映っている特定の動作が予め定められた特定の箇所で行われた場合に、この特定の動作に対応付けられている制御を開始するようにしてもよい。
より具体的には、動作検出部111が特定の動作を検出し、さらに、この特定の動作が予め定められた特定の箇所にて行われたと動作検出部111が判断した場合に、この特定の動作に基づく診療用機器の制御を開始するようにしてもよい。
【0054】
より具体的には、例えば、制御装置61は、映像に映っている特定の動作が患者の身体から予め定められた距離を超えて離れた箇所にて行われた場合に、この特定の動作に基づく診療用機器の制御を行う。
より具体的には、制御装置61は、映像に映っている特定の動作が患者の身体から予め定められた距離を超えて離れた箇所にて行われた場合に、この特定の動作に対応付けられている診療用機器の作動を開始したり、この診療用機器の出力を増加させたりする制御を行う。
【0055】
その一方で、制御装置61は、映像に映っている特定の動作がこの予め定められた距離を超えていない箇所にて行われた場合、診療用機器の制御を行わない処理を行う。
具体的には、この場合、制御装置61は、例えば、映像に映っている特定の動作が患者の身体から予め定められた距離を超えていない箇所にて行われた場合、この特定の動作に対応付けられている診療用機器の作動を開始せず、あるいは、この診療用機器の出力を増加させないようにする。
【0056】
より具体的には、この処理を行う場合は、まず、制御装置61の動作検出部111が、カメラ91により得られた映像を解析して、診療者が行った特定の動作を検出する。さらに、動作検出部111は、映像を解析し、この特定の動作が行われた箇所と、患者の身体のうちのこの特定の動作が行われた箇所に最も近い部分との距離を把握する。
そして、動作検出部111が把握したこの距離が、予め定められた距離を超えていない場合、機器制御部113は、この特定の動作に対応付けられている診療用機器の作動を開始せず、あるいは、この診療用機器の出力を増加させない制御を行う。
なお、特定の動作が行われた箇所と、患者の身体などの予め定められた基準との距離は、公知の映像解析技術を利用して把握すればよい。
【0057】
ここで、例えば、診療者が行う特定の動作が、手指を動かす動作である場合、診療者は、治療用器具11を手に持った状態で、手指を動かす場合も想定される。
この場合において、手指を動かすこの動作が、患者の身体の近くで行われ、且つ、例えば、手指を動かすこの動作に基づき行われる制御の内容が、支持部200(
図1参照)を上昇させる制御である場合、治療用器具11が患者に触れるなどの事態が生じるおそれがある。
これに対し、本実施形態のように、映像に映っている特定の動作が、患者の身体から予め定められた距離を超えて離れた箇所にて行われた場合に、診療用機器の制御を行う場合は、治療用器具11が患者に触れるなどの事態が生じにくくなる。
【0058】
(他の処理例)
また、その他に、映像に映っている特定の動作が第1の箇所にて行われた場合と、この特定の動作がこの第1の箇所とは異なる第2の箇所にて行われた場合とで、この特定の動作に基づき行う制御の内容を異ならせてもよい。
より具体的には、動作検出部111が特定の動作を検出し且つこの特定の動作が第1の箇所にて行われたと判断した場合と、動作検出部111が特定の動作を検出し且つこの特定の動作がこの第1の箇所とは異なる第2の箇所にて行われたと判断した場合とで、この特定の動作に基づき行う制御の内容を異ならせてもよい。
【0059】
この処理を行う場合は、
図8(対応テーブルの他の一例を示した図)に示すように、特定の動作の内容と、特定の動作が行われた箇所と、制御の対象となる診療用機器と、制御の内容とを予め対応付けたうえで、これらの情報を対応テーブルに登録しておく。
制御装置61は、この対応テーブルを参照し、映像に映っている特定の動作が行われた箇所に応じて、この特定の動作に基づき行う制御の内容(制御の対象となる診療用機器、および、制御内容)を決定する。
【0060】
具体的には、例えば、
図9(
図1のIX-IX線における支持部200の断面図)に示すように、映像に映っている特定の動作(動作検出部111により検出される特定の動作)が、患者の身体から予め定められた距離Lを超えて離れた箇所にて行われた場合と、この特定の動作が、この予め定められた距離Lを超えていない箇所にて行われた場合とで、この特定の動作に基づき行う制御の内容を異ならせるようにする。
【0061】
より具体的には、例えば、支持部200を上昇させるための特定の動作を診療者が行った場合に、且つ、この特定の動作が、上記の距離Lを超えていない箇所にて行われた場合、支持部200の上昇速度を小さくする制御を行う。
また、例えば、逆に、この特定の動作が、上記の距離Lを超えた箇所にて行われた場合、支持部200の上昇速度を大きくする制御を行う。
【0062】
上記と同様、例えば、診療者が、治療用器具11を手に持った状態で、自身の手指を動かす特定の動作を行う場合が想定される。
この場合に、手指を動かすこの特定の動作が患者の身体の近くで行われ、且つ、例えば、手指を動かすこの特定の動作に基づく制御が、支持部200を上昇させる制御である場合、治療用器具11が患者に接触するなどの事象が生じるおそれがある。
【0063】
このような場合、本実施形態では、支持部200の上昇速度が小さくなり、治療用器具11が患者に接触したとしてもその影響が小さくなる。
その一方で、本実施形態では、手指を動かす特定の動作が、上記の距離Lを超えた箇所にて行われた場合(患者の身体から離れた箇所にて行われた場合)は、支持部200はより速い速度で上昇する。
この場合、治療用器具11が患者に触れるなどの事態の発生を抑えつつ、支持部200をより素早く上昇させられる。
【0064】
(その他の処理)
また、その他に、制御装置61は、映像に映っている特定の動作(動作検出部111により検出される特定の動作)に基づき、診療用機器の作動を開始する場合、この診療用機器が予め定められた状態にある場合に、この診療用機器の作動を開始するようにしてもよい。
言い換えると、制御装置61は、映像に映っている特定の動作が、診療用機器の作動を開始することを指示する動作である場合、この診療用機器が予め定められた状態にある場合に、この診療用機器の作動を開始するようにしてもよい。
【0065】
より具体的には、制御装置61は、例えば、映像に映っている特定の動作が、治療用器具11の作動を開始することを指示する動作である場合、この治療用器具11が患者の口腔の内部にある状態にある場合に、この治療用器具11の作動を開始するようにする。
より具体的には、制御装置61は、例えば、映像に映っている特定の動作が、患者の歯の切削に用いる治療用器具11を作動させることを指示する動作であった場合、この治療用器具11の一部(先端部)が患者の口腔の内部にある状態にある場合に、この治療用器具11の作動を開始するようにする。
ここで、治療用器具11が患者の口腔の内部にある状態とは、治療用器具11の全ての部分が、患者の口腔の内部にある状態に限らず、治療用器具11の一部が、患者の口腔の内部にある状態も含む。その一方で、制御装置61は、この治療用器具11が患者の口腔に入っていない場合には、この治療用器具11の作動を開始しないようにする。
【0066】
より具体的には、この場合、制御内容決定部112が、カメラ91により得られた映像を解析して、治療用器具11が患者の口腔に入っているか否かを判断する。そして、制御内容決定部112は、治療用器具11が患者の口腔に入っていると判断した場合、治療用器具11の作動を開始する、を旨とする決定を行う。
その一方で、制御内容決定部112は、治療用器具11が患者の口腔に入っていないと判断した場合は、治療用器具11の作動を開始しない、を旨とする決定を行う。この場合、機器制御部113は、治療用器具11の作動を開始しない。
【0067】
これにより、この処理例では、患者の口腔内に治療用器具11が入っていない状態で治療用器具11の作動が開始されることが防止される。
ここで、患者の口腔内に治療用器具11(具体的には、患者の歯の切削に用いる治療用器具11)が入っていない状態(口腔の外部にある状態)でこの治療用器具11の作動が開始される場合、作動している状態の治療用器具11を、患者の口腔内に入れることになる。この場合、作動している状態のこの治療用器具11が患者の口唇等に触れるおそれがあり、好ましくない。
これに対して、治療用器具11が患者の口腔の内部にある場合に、この治療用器具11の作動を開始する場合、作動している状態の治療用器具11が、患者の口唇等に触れる事態が起きにくくなる。
【0068】
なお、その他に、制御装置61は、例えば、映像に映っている特定の動作が、治療用器具11の作動を開始することを指示する動作である場合、この治療用器具11が患者の口腔の外部にある状態にある場合に、この治療用器具11の作動を開始するようにしてもよい。
より具体的には、制御装置61は、例えば、映像に映っている特定の動作が、歯の切削に用いる治療用器具11以外の治療用器具11を作動させることを指示する動作であった場合、この治療用器具11が患者の口腔の外部にある状態にある場合に、この治療用器具11の作動を開始するようにする。
その一方で、制御装置61は、この治療用器具11が患者の口腔に入っている場合には、この治療用器具11の作動を開始しないようにする。
【0069】
なお、ここでは、カメラ91により得られた映像を解析することで、患者の口腔内に治療用器具11が入っているか否かを判断する場合を一例に説明した。言い換えると、ここでは、カメラ91により得られた映像を解析することで、治療用器具11などの診療用機器が、予め定められた状態にあるか否かを判断する場合を一例に説明した。
ところで、これに限らず、診療用機器が予め定められた状態にあるか否かは、診療用機器からの出力に基づき判断してもよい。
【0070】
(その他の処理)
また、制御装置61は、映像に映っている診療者の複数の箇所の特定の動きに基づき(動作検出部111により検出された、診療者の複数の箇所の特定の動きに基づき)、診療用機器の制御を行ってもよい。
具体的には、制御装置61は、例えば、診療者の右手の特定の動きおよび左手の特定の動きに基づき、診療用機器の制御を行ってもよい。
【0071】
より具体的には、制御装置61は、例えば、診療者の右手の親指が上方を向き、且つ、左手の親指が上方を向いた場合に、支持部200を上昇させる制御を行う。
また、これ以外に、例えば、制御装置61は、診療者の右手の親指が上方を向き、且つ、左手の親指が上方を向いた場合に、治療用器具11の回転数を上昇させる制御を行う。
これにより、映像に映っている、診療者の1つの箇所の特定の動きのみに基づき、診療用機器の制御を行う場合に比べ、特定の動きの誤検出等に起因する、診療用機器の意図しない作動や、診療用機器の意図しない出力の変更が起きにくくなる。
【0072】
なお、ここでは、複数の箇所の組み合わせの一例として、診療者の右手および左手を一例に挙げたが、複数の箇所の組み合わせはこれに限らない。
複数の箇所の組み合わせとしては、その他に、例えば、手と足、手と顔の表情、足と顔の表情、右足と左足なども一例に挙げられる。
【0073】
(その他の処理)
また、その他に、制御装置61は、例えば、診療者が予め定められた動作を行った場合に、カメラ91の撮影条件を、診療者の特定の動作の撮影に適した撮影条件に変更してもよい。
具体的には、例えば、制御装置61は、診療者が、フットコントローラ400(
図1参照)に対する操作を行ったり、予め定められた手指の動きを行ったり、「撮影条件を変更して」などの音声による指示を行った場合に、カメラ91の撮影条件を、診療者の特定の動作の撮影に適した撮影条件に変更する。
【0074】
ここで、撮影条件を変更するための上記の「予め定められた動作」は、カメラ91によりその映像が取得される動作に限られない。
この「予め定められた動作」は、上記の通り、フットコントローラ400に対する操作や、音声による指示など、カメラ91によりその映像が取得される動作以外の動作であってもよい。
【0075】
制御装置61は、診療者の特定の動作の撮影に適した撮影条件への変更のための制御として、例えば、カメラ91の解像度を増加させたり、カメラ91の内部のレンズを移動させてカメラ91の画角を拡げたりする制御を行う。
これにより、カメラ91の撮影条件が、診療者の特定の動作の撮影に適した条件となる。
言い換えると、撮影条件を変更すると、本実施形態のように、口腔の撮影のためのカメラ91を用いる場合であっても、カメラ91の撮影条件を、診療者の特定の動作の撮影に適した条件とすることができる。
【符号の説明】
【0076】
2…診療台、5…供給装置、11…治療用器具、61…制御装置、90…歯科用照明装置、91…カメラ、100…診療用装置、111…動作検出部、112…制御内容決定部、113…機器制御部、300…表示装置