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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079829
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】ボンネルコイルマットレス
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/06 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
A47C27/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190646
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】511137530
【氏名又は名称】株式会社 コスパクリエーション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】上田 敬太郎
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB07
3B096AD02
3B096AD06
3B096AD07
(57)【要約】
【課題】寝心地が改善された、ボンネルコイルを用いたマットレスを提供すること。
【解決手段】本発明は、頭部ゾーンと、腰部ゾーンと、脚部ゾーンと、を備えたボンネルコイルマットレスであって、前記頭部ゾーンには、複数の第1タイプのボンネルコイル要素が用いられており、前記腰部ゾーンには、複数の第2タイプのボンネルコイル要素が用いられており、前記脚部ゾーンには、複数の前記第1タイプのボンネルコイル要素が用いられており、前記第2タイプのボンネルコイル要素の硬度は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の硬度よりも高いことを特徴とするボンネルコイルマットレスである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部ゾーンと、腰部ゾーンと、脚部ゾーンと、を備えたボンネルコイルマットレスであって、
前記頭部ゾーンには、複数の第1タイプのボンネルコイル要素が用いられており、
前記腰部ゾーンには、複数の第2タイプのボンネルコイル要素が用いられており、
前記脚部ゾーンには、複数の前記第1タイプのボンネルコイル要素が用いられており、
前記第2タイプのボンネルコイル要素の硬度は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の硬度よりも高い
ことを特徴とするボンネルコイルマットレス。
【請求項2】
前記第2タイプのボンネルコイル要素の巻き数は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の巻き数と等しく、
前記第2タイプのボンネルコイル要素の上部コイル径及び下部コイル径は、それぞれ、前記第1タイプのボンネルコイル要素の上部コイル径及び下部コイル径と等しく、
前記第2タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径の105%~115%であり、
前記第2タイプのボンネルコイル要素の線径は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の線径の105%~115%である
ことを特徴とする請求項1に記載のボンネルコイルマットレス。
【請求項3】
前記第2タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径の108%~112%であり、
前記第2タイプのボンネルコイル要素の線径は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の線径の108%~112%である
ことを特徴とする請求項2に記載のボンネルコイルマットレス。
【請求項4】
前記第2タイプのボンネルコイル要素の高さは、前記第1タイプのボンネルコイル要素の高さよりも高い
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のボンネルコイルマットレス。
【請求項5】
前記第1タイプのボンネルコイル要素の巻き数、及び、前記第2タイプのボンネルコイル要素の巻き数は、5巻であり、
前記第1タイプのボンネルコイル要素の上部コイル径及び下部コイル径、並びに、前記第2タイプのボンネルコイル要素の上部コイル径及び下部コイル径は、互いに等しく、60~70mmの範囲内であり、
前記第1タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径は、40~44mmの範囲内であり、
前記第2タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径は、42~52mmの範囲内であり、
前記第1タイプのボンネルコイル要素の線径は、2.0mm~2.2mmの範囲内であり、
前記第2タイプのボンネルコイル要素の線径は、2.1mm~2.5mmの範囲内であり、
前記第1タイプのボンネルコイル要素の高さは、130mm~135mmの範囲内であり、
前記第2タイプのボンネルコイル要素の高さは、前記第1タイプのボンネルコイル要素の高さよりも、1~3mmだけ高い
ことを特徴とする請求項4のいずれかに記載のボンネルコイルマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンネルコイルを用いたマットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
クッション性のよいマットレスとして、スプリングコイルが略全面に広がるように内蔵されたマットレスが広く知られている。スプリングコイルとしては、ポケットコイルとボンネルコイルが知られている。
【0003】
一方で、収納スペースを小さくできるため、丸めてロール状に変形させることが可能なウレタン製マットレスも広く知られている。しかしながら、ウレタン製マットレスの寝心地は、スプリングコイル内蔵マットレスの寝心地と比較すると、顕著に劣る。
【0004】
スプリングコイル内蔵マットレスを丸めてロール状に変形させることができれば、収納時あるいは搬送時のスペースを小さくできるため、大変に画期的である。本件出願人は、そのような観点から鋭意検討を重ね、丸めてロール状に変形させることが可能なスプリングコイル内蔵マットレスをすでに開発している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2015-533587
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件発明者は、寝心地の更なる向上を目指して、鋭意検討を重ねてきた。そして、マットレスを、頭部ゾーンと、腰部ゾーンと、脚部ゾーンと、に分かれた構成として、腰部ゾーンに硬めのコイルスプリングを配置することで、負担の掛りやすい腰部分の過度な沈み込みを防止できることに着目した。
【0007】
ポケットコイルを用いたマットレス(コイル要素の1つ1つが不織布の袋に覆われていて、それらがボンドで接着される)では、既にそのような構成を備えた製品が販売されている。しかしながら、ポケットコイルを用いる場合、製品単価が高くなってしまう。
【0008】
本件発明者は、ボンネルコイルを用いたマットレス(コイル要素がヘリカルワイヤによって連結される)において、そのような構成を実現できないか検討を進めてきた。
【0009】
そして、本件発明者は、脚部ゾーンにおけるボンネルコイル要素の線径及び中央コイル径(業界では「芯径」と呼ばれているパラメータ)を、他のゾーンにおけるボンネルコイル要素の線径及び中央コイル径の約1割増しとすることで、硬度バランスが良いマットレスとなって寝心地が極めて向上することを見出した。
【0010】
更に、本件発明者は、そのように開発されたマットレスについて、圧縮してから丸めてロール状に変形させること、及び、当該ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な状態に復帰させることが可能であることも確認した。
【0011】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、寝心地が更に改善された、ボンネルコイルを用いたマットレスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、頭部ゾーンと、腰部ゾーンと、脚部ゾーンと、を備えたボンネルコイルマットレスであって、前記頭部ゾーンには、複数の第1タイプのボンネルコイル要素が用いられており、前記腰部ゾーンには、複数の第2タイプのボンネルコイル要素が用いられており、前記脚部ゾーンには、複数の前記第1タイプのボンネルコイル要素が用いられており、前記第2タイプのボンネルコイル要素の硬度は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の硬度よりも高いことを特徴とするボンネルコイルマットレスである。
【0013】
本発明によれば、腰部ゾーンに用いられる第2タイプのボンネルコイル要素の硬度が、頭部ゾーン及び脚部ゾーンに用いられる第1タイプのボンネルコイル要素の硬度よりも高いため、負担の掛りやすい腰部分の過度な沈み込みを効果的に防止できる。
【0014】
本件発明者の実験結果によれば、前記第2タイプのボンネルコイル要素の巻き数は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の巻き数と等しく、前記第2タイプのボンネルコイル要素の上部コイル径及び下部コイル径は、それぞれ、前記第1タイプのボンネルコイル要素の上部コイル径及び下部コイル径と等しく、前記第2タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径の105%~115%であり、前記第2タイプのボンネルコイル要素の線径は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の線径の105%~115%であることが好ましい。
【0015】
このような条件が採用される場合、硬度バランスが良好となり、寝心地が格段に向上する。
【0016】
更に詳細には、前記第2タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径の108%~112%であり、前記第2タイプのボンネルコイル要素の線径は、前記第1タイプのボンネルコイル要素の線径の108%~112%であることが好ましい。
【0017】
このような条件が採用される場合、硬度バランスが最良となり、寝心地が顕著に向上する。
【0018】
また、前記第2タイプのボンネルコイル要素の高さは、前記第1タイプのボンネルコイル要素の高さよりも高いことが好ましい。
【0019】
本件発明者は、より硬度の高いボンネルコイル要素について、それとトレードオフの関係で耐久性は低いことを知見した。すなわち、より硬度の高いボンネルコイル要素は、変形した状態から復帰する力が比較的早期に弱くなる傾向がある。そして、本件発明者は、この点について更に検討した結果、より硬度の高いボンネルコイル要素(第2タイプのボンネルコイル要素)の高さを高くしておくことで、例えば圧縮してから丸めてロール状に変形させた状態で梱包、搬送した後、変形状態を開放して元の平坦な状態に戻した時に、マットレス全体の高さバランスが良くなることを知見した。予め設けておく高さの差は、1~3mm程度であることが好ましい。
【0020】
より具体的な仕様の例としては、例えば、前記第1タイプのボンネルコイル要素の巻き数、及び、前記第2タイプのボンネルコイル要素の巻き数は、5巻であり、前記第1タイプのボンネルコイル要素の上部コイル径及び下部コイル径、並びに、前記第2タイプのボンネルコイル要素の上部コイル径及び下部コイル径は、互いに等しく、60~70mmの範囲内であり、前記第1タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径は、40~44mmの範囲内であり、前記第2タイプのボンネルコイル要素の中央コイル径は、42~52mmの範囲内であり、前記第1タイプのボンネルコイル要素の線径は、2.0mm~2.2mmの範囲内であり、前記第2タイプのボンネルコイル要素の線径は、2.1mm~2.5mmの範囲内であり、前記第1タイプのボンネルコイル要素の高さは、130mm~135mmの範囲内であり、前記第2タイプのボンネルコイル要素の高さは、前記第1タイプのボンネルコイル要素の高さよりも、1~3mmだけ高い。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、腰部ゾーンに用いられる第2タイプのボンネルコイル要素の硬度が、頭部ゾーン及び脚部ゾーンに用いられる第1タイプのボンネルコイル要素の硬度よりも高いため、負担の掛りやすい腰部分の過度な沈み込みを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施の形態におけるマットレスを示す斜視図である。
図2】本実施の形態のマットレスの概略縦断面図である。
図3】本実施の形態のマットレスのボンネルコイル部を示す斜視図である。
図4】第1タイプのボンネルコイル要素の概略斜視図である。
図5】第1タイプのボンネルコイル要素を上方から撮った写真である。
図6】第2タイプのボンネルコイル要素の概略斜視図である。
図7】ボンネルコイル部を上方から撮った写真である。
図8】ボンネルコイル部を斜め上方から撮った写真である。
図9】本実施の形態のマットレスの梱包状態の図である。
図10】本実施の形態のマットレスの梱包開放手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(構成)
以下、図面を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態のマットレス100を示す斜視図であり、図2は、本実施の形態のマットレス100の概略縦断面図であり、図3は、本実施の形態のマットレス100のボンネルコイル部50を示す斜視図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態のマットレス100の外観は、デザイン上の意匠性は別として(別途、意匠登録出願をしている)、概ね直方体状の一般的なものである。サイズは、シングルベッド用で97cm×195cm×16cmとなっているが、ダブルベッド用では140cm×195cm×16cm、キングベッド用では180cm×195cm×16cm等、用途に合わせて選択可能である。
【0025】
続いて、図2に示すように、本実施の形態のマットレス100は、複数のボンネルコイル要素10、20(詳しくは後述する)がヘリカルワイヤ31、32によって平坦板状に連結されてなるボンネルコイル部50と、当該ボンネルコイル部50の表側に設けられた表生地部60と、当該ボンネルコイル部50の裏側に設けられた裏生地部70と、の3層構造からなっている。
【0026】
本実施形態の表生地部60は、表側(露出面側)から、表生地布(厚さ約3mm、160g/m2)、100g樹脂綿(厚さ約5mm、100g/m2)、D20プロファイル加工ウレタン(厚さ20mm)、不織布(厚さ約0.5mm)、及び、500g圧縮ポリファイバー(厚さ約7mm、500g/m2)が積層された構造となっている。
【0027】
一方、本実施形態の裏生地部70は、裏側(露出面側)から、不織布(厚さ約0.5mm)、及び、500g圧縮ポリファイバー(厚さ約1mm、500g/m2)、が積層された構造となっている。
【0028】
図3に示すように、本実施の形態のマットレス100のボンネルコイル部50は、頭部ゾーン51及び脚部ゾーン53と、腰部ゾーン52とで、用いられるボンネルコイル要素が異なっている。この点が、従来のボンネルコイルマットレスとは異なる点である。
【0029】
頭部ゾーン51及び脚部ゾーン53には、それぞれ、11(縦)×10(横)の行列状に連結された第1タイプのボンネルコイル要素10が用いられており、腰部ゾーン52には、10(縦)×10(横)の行列状に連結された複数の第2タイプのボンネルコイル要素20が用いられている。(ダブルベッド用の場合、横の個数が15個となり、キングベッド用の場合、横の個数が19個となるが、それぞれの縦の個数は変わらない。)そして、第2タイプのボンネルコイル要素20は、その硬度が第1タイプのボンネルコイル要素10の硬度よりも高い、というように設計及び製造されている。
【0030】
図4は、第1タイプのボンネルコイル要素10の概略斜視図であり、図5は、第1タイプのボンネルコイル要素10を上方から撮った写真である。
【0031】
図4及び図5に示すように、本実施形態の第1タイプのボンネルコイル要素10は、巻き数が5巻であり、上部コイル径(最上の1巻きが描く軌道を円で近似した時の当該円の直径)及び下部コイル径(最下の1巻きが描く軌道を円で近似した時の当該円の直径)は、互いに等しく、66mmであり、中央コイル径(真ん中の1巻き(3巻き目)が描く軌道を円で近似した時の当該円の直径)は、42.5mmである。本実施形態では、平面視で、上部コイル径の中心と下部コイル径の中心とは略一致しているが、中央コイル径の中心はそれらとは僅かにずれている(3mm程度)。また、本実施形態の第1タイプのボンネルコイル要素10の線径は、2.1mmである。
【0032】
また、本実施形態の第1タイプのボンネルコイル要素10は、高さが133mmとなっている。
【0033】
一方、図6は、第2タイプのボンネルコイル要素20の概略斜視図である。
【0034】
図6に示すように、本実施形態の第2タイプのボンネルコイル要素20も、巻き数が5巻であり、上部コイル径(最上の1巻きが描く軌道を円で近似した時の当該円の直径)及び下部コイル径(最下の1巻きが描く軌道を円で近似した時の当該円の直径)は、互いに等しく、66mmである。しかしながら、第2タイプのボンネルコイル要素20では、第1タイプのボンネルコイル要素10とは異なり、中央コイル径(真ん中の1巻き(3巻き目)が描く軌道を円で近似した時の当該円の直径)は、47mmである。本実施形態では、平面視で、上部コイル径の中心と下部コイル径の中心とは略一致しているが、中央コイル径の中心はそれらとは僅かにずれている(3mm程度)。また、本実施形態の第2タイプのボンネルコイル要素20線径は、2.3mmである。
【0035】
また、本実施形態の第2タイプのボンネルコイル要素20は、高さが135mmとなっている。
【0036】
以上のような本実施形態の仕様は、本件発明者によって見出された「硬度バランスが最良となり、寝心地が顕著に向上する」条件を満たすものである。すなわち、第2タイプのボンネルコイル要素20の中央コイル径(47mm)は、第1タイプのボンネルコイル要素10の中央コイル径(42.5mm)の108%~112%(110.5%)であり、第2タイプのボンネルコイル要素20の線径(2.3mm)は、第1タイプのボンネルコイル要素10の線径(2.1mm)の108%~112%(109.5%)である。
【0037】
更に、以上のような本実施形態の仕様は、本件発明者によって見出された「圧縮してから丸めてロール状に変形させた状態で梱包、搬送した後、変形状態を開放して元の平坦な状態に戻した時に、マットレス全体の高さバランスが良くなる」条件を満たすものである。すなわち、第2タイプのボンネルコイル要素20の高さ(135mm)は、第1タイプのボンネルコイル要素10の高さ(133mm)よりも、1~3mm程度(2mm)高くなっている。
【0038】
以上のような2種類のボンネルコイル要素10、20は、従来のボンネルコイルマットレスの製造方法と略同様の工程に従って、最上の1巻きの部分が、横方向に平行に延びる上部ヘリカルワイヤ31によって連結されており、同様に、最下の1巻きの部分が、横方向に平行に延びる下部ヘリカルワイヤ32によって連結されている。図7は、ボンネルコイル部50を上方から撮った写真であり、図8は、ボンネルコイル部50を斜め上方から撮った写真である。各ボンネルコイル要素10、20は、その始点及び終点(1巻きした領域に2周巻き付けられている:図6乃至図8参照)が同一方向に位置するように(例えば前後方向(縦方向)の中央の左側(に位置するように)整列されて連結されている。
【0039】
上部ヘリカルワイヤ31は、例えば、線径が1.6mmで、外径8.6mm、ピッチ8.6mmの螺旋軌道を描くものであり、前後方向(縦方向)に隣接するボンネルコイル要素10、20の最上の1巻きの部分(上下に重なるように配置される)を共通に巻き付ける(絡め取る)ように延びている。当該巻き付きの巻き数は、図7及び図8に示すように、重なりの上方側の1巻きの部分に対しては3巻きとなっており、重なりの下方側の1巻きの部分に対しては4巻きとなっている。
【0040】
下部ヘリカルワイヤ32も、例えば、線径が1.6mmで、外径8.6mm、ピッチ8.6mmの螺旋軌道を描くものであり、前後方向(縦方向)に隣接するボンネルコイル要素10、20の最下の1巻きの部分(上下に重なるように配置される)を共通に巻き付ける(絡め取る)ように延びている。当該巻き付きの巻き数も、上部ヘリカルワイヤ31について説明したのと同様、重なりの上方側の1巻きの部分に対しては3巻きとなっており、重なりの下方側の1巻きの部分に対しては4巻きとなっている。
【0041】
一方、左右方向(横方向)については、ボンネルコイル要素10、20は間隔を空けて配置されている。上部ヘリカルワイヤ31及び下部ヘリカルワイヤ32は、それぞれ、あるボンネルコイル要素10、20(の前後方向に隣接する組)に対する巻き付けの後、次のボンネルコイル要素10、20(の前後方向に隣接する組)に対する巻き付けを開始するまで、5巻き分のフリー区間がある。
【0042】
なお、図8に示すように、上部ヘリカルワイヤ31の各端部は、左右の各端のボンネルコイル要素10、20(の前後方向に隣接する組)に対する巻き付けの終了位置で、滑らかに曲げられて、危険な突出部が残存しないようになっている。図示は省略するが、下部ヘリカルワイヤ32の各端部についても、同様に、左右の各端のボンネルコイル要素10、20(の前後方向に隣接する組)に対する巻き付けの終了位置で、滑らかに曲げられて、危険な突出部が残存しないようになっている。
【0043】
(製造時の工夫)
以上のようなヘリカルワイヤ31、32によるボンネルコイル要素10、20の連結は、従来のボンネルコイルマットレスの製造装置(例えば装置:SX-820i、製造会社:ZHEJIANG HUAJIAN INTELLIGENT EQUIPMENT LTD

(http://www.hj7.cn/product/content_1)を微調整することによって実現される。当該製造装置によれば、本実施形態の2種類のボンネルコイル要素10、20の連結に対して、同一仕様のヘリカルワイヤ31、32を共通に採用することができる。なお、前記微調整の頻度を抑えるために、ボンネルコイル部50を、各ゾーン(頭部ゾーン51、腰部ゾーン52及び脚部ゾーン53)毎に製造しておいて(同一ゾーン内では同一のボンネルコイル要素が用いられるため微調整は不要)、それらを最後に連結する方法を採用することが好適である。
【0044】
(作用)
以上のような本実施形態のマットレス100によれば、腰部ゾーンに用いられる第2タイプのボンネルコイル要素20の硬度が、頭部ゾーン及び脚部ゾーンに用いられる第1タイプのボンネルコイル要素10の硬度よりも高いため、負担の掛りやすい腰部分の過度な沈み込みを効果的に防止できる。
【0045】
また、以上のような本実施形態のマットレス100では、第2タイプのボンネルコイル要素20の巻き数は、第1タイプのボンネルコイル要素10の巻き数と等しく、5巻きであり、第2タイプのボンネルコイル要素20の上部コイル径及び下部コイル径は、それぞれ、第1タイプのボンネルコイル要素10の上部コイル径及び下部コイル径と等しく、66mmであり、第2タイプのボンネルコイル要素20の中央コイル径は、47mmであって、第1タイプのボンネルコイル要素10の中央コイル径である42.5mmの105%~115%の範囲内となっており、第2タイプのボンネルコイル要素20の線径は、2.3mmであって、第1タイプのボンネルコイル要素10の線径である2.1mmの105%~115%の範囲内となっている。
【0046】
すなわち、本実施形態のマットレス100では、本件発明者が見出した2種類のボンネルコイル要素10、20の中央コイル径及び線径に関する好適な条件が採用されているため、硬度バランスが良好となり、寝心地が格段に向上する。
【0047】
更に、本実施形態のマットレス100では、第2タイプのボンネルコイル要素20の中央コイル径は、47mmであって、第1タイプのボンネルコイル要素10の中央コイル径である42.5mmの108%~112%の範囲内となっており、第2タイプのボンネルコイル要素20の線径は、2.3mmであって、第1タイプのボンネルコイル要素10の線径である2.1mmの108%~112%の範囲内となっている。
【0048】
すなわち、本実施形態のマットレス100では、本件発明者が見出した2種類のボンネルコイル要素10、20の中央コイル径及び線径に関する最適条件が採用されているため、硬度バランスが最良となり、寝心地が顕著に向上する。
【0049】
また、本実施形態のマットレス100では、第2タイプのボンネルコイル要素20の高さが、第1タイプのボンネルコイル要素10の高さよりも、2mmだけ高くなっている。これにより、本実施形態のマットレス100は、圧縮してから(35mmの厚さまで圧縮される)丸めてロール状に変形させた状態で梱包、搬送した後、変形状態を開放して元の平坦な状態に戻した時に(圧縮期間は最大4ヶ月、復元時間は48時間(2日間)を想定)、マットレス全体の高さバランスが良くなる。図9は、本実施の形態のマットレス100の梱包状態の図であり、図10は、本実施の形態のマットレス100の梱包開放手順を説明する図である。
【符号の説明】
【0050】
10 第1タイプのボンネルコイル要素
20 第2タイプのボンネルコイル要素(硬度が高く、初期高さも高い)
31 上部ヘリカルワイヤ
32 下部ヘリカルワイヤ
50 ボンネルコイル部
51 頭部
52 腰部
53 脚部
60 表生地部
70 裏生地部
100 マットレス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10