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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007987
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】見守りシステムおよび無線タグ
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20220105BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20220105BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220105BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220105BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B25/10 A
G08B21/02
A61B5/00 102A
A61G12/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027574
(22)【出願日】2021-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2020033016
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020175259
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000189486
【氏名又は名称】上田日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝田 宏靖
(72)【発明者】
【氏名】平林 康彦
(72)【発明者】
【氏名】小山田 稔
【テーマコード(参考)】
4C117
4C341
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
4C117XA04
4C117XB04
4C117XC11
4C117XC19
4C117XE26
4C117XE30
4C117XE62
4C117XE64
4C117XF03
4C117XH02
4C117XH16
4C117XJ13
4C117XJ45
4C117XN07
4C117XQ20
4C341LL10
5C086AA22
5C086AA49
5C086BA07
5C086CA01
5C086CA16
5C086CA21
5C086DA08
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA02
5C087AA03
5C087AA32
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD29
5C087DD30
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】本発明は、見守り対象者の状態を適切な条件で判定することを目的とする。
【解決手段】
見守りシステムは、無線タグ10および受信機を備えている。無線タグ10は、3軸加速度センサ22、気圧センサ24、タグ側演算デバイス26および無線回路28を備えている。タグ側演算デバイス26は、気圧センサ24による気圧検出値と、3軸加速度センサ22による加速度検出値を取得する。無線回路28は、気圧検出値および加速度検出値を含むセンサ信号を送信する。受信機は、センサ信号を受信し、気圧検出値と加速度検出値とに基づいて、無線タグ10が取り付けられた見守り対象者の状態を判定する。受信機は、見守り対象者の状態に応じた信号を管理コンピュータに向けて送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気圧センサと、
加速度センサと、
前記気圧センサによって取得された気圧検出値、および前記加速度センサによって取得された加速度検出値を含むセンサ信号を送信する無線回路と、
を備える無線タグと、
前記センサ信号を受信し、前記気圧検出値と前記加速度検出値とに基づいて、前記無線タグが取り付けられた見守り対象者の状態を判定する受信機と、を備え、
前記受信機は、前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする見守りシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の見守りシステムにおいて、
前記見守り対象者の状態に応じた信号は、前記見守り対象者の状態を示すことを特徴とする見守りシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の見守りシステムにおいて、
前記受信機は、前記気圧検出値に基づいて求められる前記無線タグの位置の高さと、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動量とに基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする見守りシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の見守りシステムにおいて、
前記受信機は、修正用気圧センサを備え、前記修正用気圧センサによって取得された修正用気圧検出値、および前記気圧検出値に基づいて前記無線タグの位置の高さを求め、前記無線タグの位置の高さと、前記加速度検出値とに基づいて、前記見守り対象者の状態を判定することを特徴とする見守りシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の見守りシステムにおいて、
前記受信機は、
気圧基準値に対する前記気圧検出値の差異と、修正用気圧基準値に対する前記修正用気圧検出値の差異とに基づいて、前記無線タグの位置の高さを求めることを特徴とする見守りシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の見守りシステムにおいて、
前記気圧基準値および前記修正用気圧基準値は、前記見守り対象者が仰臥位または側臥位にあるときに、前記気圧センサおよび前記修正用気圧センサによって、それぞれ取得された値であることを特徴とする見守りシステム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の見守りシステムにおいて、
前記無線タグは、
前記加速度検出値に応じた頻度で、前記気圧センサによって前記気圧検出値を取得し、
前記無線回路は、
前記加速度検出値に応じた頻度で、前記センサ信号を送信することを特徴とする見守りシステム。
【請求項8】
無線タグであって、
気圧センサと、加速度センサと、
前記気圧センサによって取得された気圧検出値、および前記加速度センサによって取得された加速度検出値に基づいて、前記無線タグが取り付けられた見守り対象者の状態を判定する演算デバイスと、
前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する無線回路と、
を備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項9】
請求項8に記載の無線タグにおいて、
前記見守り対象者の状態に応じた信号は、前記見守り対象者の状態を示すことを特徴とする無線タグ。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の無線タグにおいて、
前記演算デバイスは、前記気圧検出値に基づいて求められる前記無線タグの位置の高さと、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動量とに基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、前記無線回路は、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする無線タグ。
【請求項11】
請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の見守りシステムにおいて、
前記演算デバイスは、前記見守り対象者が仰臥位または側臥位にあるときに、前記気圧センサによって取得された値を気圧基準値とし、気圧基準値と前記気圧検出値の差異に基づいて、前記無線タグの位置の高さを求め、前記無線タグの位置の高さと、前記加速度検出値とに基づいて、前記見守り対象者の状態を判定することを特徴とする無線タグ。
【請求項12】
請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の無線タグにおいて、
前記演算デバイスは、
前記加速度検出値に応じた頻度で、前記気圧センサによって前記気圧検出値を取得し、
前記無線回路は、
前記加速度検出値に応じた頻度で、前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする無線タグ。
【請求項13】
加速度センサと、
前記加速度センサによって取得された加速度検出値を含むセンサ信号を送信する無線回路と、
を備える無線タグと、
前記センサ信号を受信し、前記加速度検出値に基づいて、前記無線タグが取り付けられた見守り対象者の状態を判定する受信機と、を備え、
前記受信機は、前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする見守りシステム。
【請求項14】
請求項13に記載の見守りシステムにおいて、
前記見守り対象者の状態に応じた信号は、前記見守り対象者の状態を示すことを特徴とする見守りシステム。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の見守りシステムにおいて、
前記受信機は、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動量に基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする見守りシステム。
【請求項16】
請求項13または請求項14に記載の見守りシステムにおいて、
前記受信機は、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動回数に基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする見守りシステム。
【請求項17】
請求項13から請求項16のいずれか1項に記載の見守りシステムにおいて、
前記無線回路は、
前記加速度検出値に応じた頻度で、前記センサ信号を送信することを特徴とする見守りシステム。
【請求項18】
無線タグであって、
加速度センサと、
前記加速度センサによって取得された加速度検出値に基づいて、前記無線タグが取り付けられた見守り対象者の状態を判定する演算デバイスと、
前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する無線回路と、
を備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項19】
請求項18に記載の無線タグにおいて、
前記見守り対象者の状態に応じた信号は、前記見守り対象者の状態を示すことを特徴とする無線タグ。
【請求項20】
請求項18または請求項19に記載の無線タグにおいて、
前記演算デバイスは、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動量に基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、前記無線回路は、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする無線タグ。
【請求項21】
請求項18または請求項19に記載の無線タグにおいて、
前記演算デバイスは、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動回数に基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、前記無線回路は、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする無線タグ。
【請求項22】
請求項18から請求項21のいずれか1項に記載の無線タグにおいて、
前記無線回路は、
前記加速度検出値に応じた頻度で、前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする無線タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見守りシステムおよび無線タグに関し、特に、見守り対象者の状態を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設、病院等における見守り対象者(要介護者、要支援者、患者等)の様子を見守るシステムにつき研究開発が行われている。このような見守りシステムには、赤外線センサやカメラによって見守り対象者の行動を認識するものがある。
【0003】
以下の特許文献1および2には、見守りシステムが記載されている。特許文献1に記載の見守りシステムでは、見守り対象者の様子が画像によって取得され、その画像情報が管理機器に送信される。このシステムでは、予め設定された領域外に見守り対象者が移動したことが検出される。特許文献2に記載の見守りシステムでは、ベッドに配置された複数の赤外線受光素子によって見守り対象者が臥位姿勢であるか否かが判定され、判定結果が管理者サーバ装置に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-149003号公報
【特許文献2】特許第6582305号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の見守りシステムには、予め設定された領域外に見守り対象者が移動したことを検出するものがある。しかし、このシステムでは、介護者への通知が遅くなってしまい、介護者が見守り対象者の元に到着したときには、見守り対象者が転倒してしまっていることがある。また、従来の見守りシステムには、見守り対象者が臥位姿勢であるか否かが判定されるものがある。しかし、このシステムでは、見守り対象者が単に寝返りを打ったり、上半身を起こしたりした場合にも介護者に警告等がなされてしまうことがある。
【0006】
本発明は、見守り対象者の状態を適切な条件で判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、気圧センサと、加速度センサと、前記気圧センサによって取得された気圧検出値、および前記加速度センサによって取得された加速度検出値を含むセンサ信号を送信する無線回路と、を備える無線タグと、前記センサ信号を受信し、前記気圧検出値と前記加速度検出値とに基づいて、前記無線タグが取り付けられた見守り対象者の状態を判定する受信機と、を備え、前記受信機は、前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする。
【0008】
望ましくは、前記見守り対象者の状態に応じた信号は、前記見守り対象者の状態を示す。
【0009】
望ましくは、前記受信機は、前記気圧検出値に基づいて求められる前記無線タグの位置の高さと、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動量とに基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する。前記受信機は、当該判断に応じて、前記見守り対象者の状態に応じた信号として警告信号を送信してもよい。
【0010】
望ましくは、前記受信機は、修正用気圧センサを備え、前記修正用気圧センサによって取得された修正用気圧検出値、および前記気圧検出値に基づいて前記無線タグの位置の高さを求め、前記無線タグの位置の高さと、前記加速度検出値とに基づいて、前記見守り対象者の状態を判定する。
【0011】
望ましくは、前記受信機は、気圧基準値に対する前記気圧検出値の差異と、修正用気圧基準値に対する前記修正用気圧検出値の差異とに基づいて、前記無線タグの位置の高さを求める。
【0012】
望ましくは、前記気圧基準値および前記修正用気圧基準値は、前記見守り対象者が仰臥位または側臥位にあるときに、前記気圧センサおよび前記修正用気圧センサによって、それぞれ取得された値である。
【0013】
望ましくは、前記無線タグは、前記加速度検出値に応じた頻度で、前記気圧センサによって前記気圧検出値を取得し、前記無線回路は、前記加速度検出値に応じた頻度で、前記センサ信号を送信する。
【0014】
本発明は、無線タグであって、気圧センサと、加速度センサと、前記気圧センサによって取得された気圧検出値、および前記加速度センサによって取得された加速度検出値に基づいて、前記無線タグが取り付けられた見守り対象者の状態を判定する演算デバイスと、前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する無線回路と、を備えることを特徴とする。
【0015】
望ましくは、前記見守り対象者の状態に応じた信号は、前記見守り対象者の状態を示す。
【0016】
望ましくは、前記演算デバイスは、前記気圧検出値に基づいて求められる前記無線タグの位置の高さと、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動量とに基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、前記無線回路は、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する。前記無線回路は、当該判断に応じて、前記見守り対象者の状態に応じた信号として警告信号を送信してもよい。
【0017】
望ましくは、前記演算デバイスは、前記見守り対象者が仰臥位または側臥位にあるときに、前記気圧センサによって取得された値を気圧基準値とし、気圧基準値と前記気圧検出値の差異に基づいて、前記無線タグの位置の高さを求め、前記無線タグの位置の高さと、前記加速度検出値とに基づいて、前記見守り対象者の状態を判定する。
【0018】
望ましくは、前記演算デバイスは、前記加速度検出値に応じた頻度で、前記気圧センサによって前記気圧検出値を取得し、前記無線回路は、前記加速度検出値に応じた頻度で、前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する。
【0019】
本発明は、加速度センサと、前記加速度センサによって取得された加速度検出値を含むセンサ信号を送信する無線回路と、を備える無線タグと、前記センサ信号を受信し、前記加速度検出値に基づいて、前記無線タグが取り付けられた見守り対象者の状態を判定する受信機と、を備え、前記受信機は、前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信することを特徴とする。
【0020】
望ましくは、前記見守り対象者の状態に応じた信号は、前記見守り対象者の状態を示す。
【0021】
望ましくは、前記受信機は、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動量に基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する。前記受信機は、当該判断に応じて、前記見守り対象者の状態に応じた信号として警告信号を送信してもよい。
【0022】
望ましくは、前記受信機は、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動回数に基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する。前記受信機は、当該判断に応じて、前記見守り対象者の状態に応じた信号として警告信号を送信してもよい。
【0023】
望ましくは、前記無線回路は、前記加速度検出値に応じた頻度で、前記センサ信号を送信する。
【0024】
本発明は、無線タグであって、加速度センサと、前記加速度センサによって取得された加速度検出値に基づいて、前記無線タグが取り付けられた見守り対象者の状態を判定する演算デバイスと、前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する無線回路と、を備えることを特徴とする。
【0025】
望ましくは、前記見守り対象者の状態に応じた信号は、前記見守り対象者の状態を示す。
【0026】
望ましくは、前記演算デバイスは、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動量に基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、前記無線回路は、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する。前記無線回路は、当該判断に応じて、前記見守り対象者の状態に応じた信号として警告信号を送信してもよい。
【0027】
望ましくは、前記演算デバイスは、前記加速度検出値に基づいて求められる前記無線タグの振動回数に基づいて、前記見守り対象者が手助けを必要とする状態であると判断し、前記無線回路は、当該判断に応じて前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する。前記無線回路は、当該判断に応じて、前記見守り対象者の状態に応じた信号として警告信号を送信してもよい。
【0028】
望ましくは、前記無線回路は、前記加速度検出値に応じた頻度で、前記見守り対象者の状態に応じた信号を送信する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、見守り対象者の状態を適切な条件で判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】見守りシステムを示す図である。
図2】無線タグの構成を示す図である。
図3】受信機の構成を示す図である。
図4】要介護者の体位の例を示す図である。
図5】要介護者の離床前の行動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(1)見守りシステムの構成および見守りシステムが実行する基本的な処理
図1には、本発明の実施形態に係る見守りシステム100が示されている。見守りシステム100は、無線タグ10および受信機12を備えている。無線タグ10は要介護者の体に固定されており、要介護者の状態を検知する状態検知器を備えている。無線タグ10は、状態検知器の検出値を含むセンサ信号を送信する。受信機12は、センサ信号を受信し、センサ信号に含まれる検出値によって、要介護者のベッド上での体位等、要介護者の状態を判定する。受信機12はナースコールコネクタ14に接続されている。ナースコールコネクタ14は、ナースコールセンターに通じる通信回線に接続されている。受信機12は、要介護者が離床した等、介護者に注意を促す必要がある(見守り対象者としての要介護者が、手助けを必要とする状態である)と判定したときは警告信号を生成し、警告信号をナースステーションに送信する。ナースステーションには管理コンピュータが設置されており、管理コンピュータは警告信号に応じてアラームを鳴動する等、介護者に注意を促す。管理コンピュータのアラームを認識した介護者は、必要に応じて要介護者の部屋に介護に向かう。
【0032】
なお、管理コンピュータとの間の無線通信回線によって情報の送受信が可能な場合、受信機12はセンサ信号を無線通信回線によって管理コンピュータに送信してもよい。
【0033】
図2には、無線タグ10の構成が示されている。無線タグ10は、状態検知器20、タグ側演算デバイス26、無線回路28、記憶デバイス30およびバッテリ32を備えている。無線タグ10は、バッテリ32が出力する電力によって動作する。状態検知器20は、3軸加速度センサ22および気圧センサ24を備えている。3軸加速度センサ22は、直交するx軸方向、y軸方向およびz軸方向のそれぞれについて、無線タグ10に与えられた加速度に応じた加速度検出値をタグ側演算デバイス26に出力する。無線タグ10は、x軸正方向が要介護者の左方向に対応し、y軸正方向が要介護者の頭に向かう方向に対応し、z軸正方向が要介護者の前方に対応するように、要介護者に固定される。気圧センサ24は、無線タグ10の周囲の気圧を検出し、気圧検出値をタグ側演算デバイス26に出力する。
【0034】
タグ側演算デバイス26は、記憶デバイス30に記憶されたプログラムを実行するプロセッサであってよい。また、タグ側演算デバイス26が実行する処理の過程で得られた数値や処理の結果として得られた数値は、記憶デバイス30に記憶されてよい。記憶デバイス30は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリであってよい。
【0035】
タグ側演算デバイス26は、x軸方向についての加速度検出値、y軸方向についての加速度検出値およびz軸方向についての加速度検出値(以下、それぞれ、x軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値という)と、気圧検出値を含むセンサ信号を生成し、無線回路28に出力する。無線回路28は、センサ信号を無線送信する。
【0036】
図3には、受信機12の構成が示されている。受信機12は、受信機側演算デバイス40、無線回路42、修正用気圧センサ44、記憶デバイス46、および通信インターフェイス48を備えている。通信インターフェイス48は、ナースコールコネクタ14に接続されている。受信機側演算デバイス40は、通信インターフェイス48およびナースコールコネクタ14を介してナースステーションへ通じる通信回線に接続され、管理コンピュータとの間で情報の送受信を行う。通信インターフェイス48およびナースコールコネクタ14は有線通信を行うものであるが、ナースコールコネクタ14からナースステーションへ通じる通信回線には、無線通信回線が含まれていてもよいし、有線通信回線が含まれていてもよい。
【0037】
無線回路42は、無線タグ10から送信されたセンサ信号を受信し、受信機側演算デバイス40に出力する。受信機側演算デバイス40は、記憶デバイス46に記憶されたプログラムを実行するプロセッサを含んでよい。また、受信機側演算デバイス40が実行する処理の過程で得られた数値や処理の結果として得られた数値は、記憶デバイス46に記憶されてよい。記憶デバイス46は、ROM、RAM等のメモリであってよい。
【0038】
受信機側演算デバイス40は、気圧検出値、x軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値をセンサ信号から抽出する。受信機側演算デバイス40は、気圧検出値、x軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値を用いて、後述する体位判定処理を実行し、要介護者の状態を判定する。受信機側演算デバイス40は、要介護者の状態を表す要介護者信号(見守り対象者信号)を生成し、要介護者信号を通信インターフェイス48およびナースコールコネクタ14を介して通信回線に送信する。管理コンピュータは、通信回線から要介護者信号を受信する。介護者は、管理コンピュータが示す情報によって要介護者の状態を把握する。
【0039】
また、受信機側演算デバイス40は、要介護者が離床状態にある場合等、介護者に注意を促す必要がある場合に、要介護者信号に加えて警告信号を生成する。受信機側演算デバイス40は、通信インターフェイス48およびナースコールコネクタ14を介して通信回線に警告信号を送信し、管理コンピュータに警告信号を送信する。管理コンピュータは警告信号に応じてアラームを鳴動する等、介護者に注意を促す。管理コンピュータのアラームを認識した介護者は、必要に応じて要介護者の部屋に介護に向かう。
【0040】
(2)体位判定処理
受信機側演算デバイス40が実行する体位判定処理について説明する。図4には、要介護者の体位の例が示されている。図4(a)~(c)には、それぞれ、仰臥位、半座位および頭を起こした側臥位の状態にある要介護者が示されている。仰臥位は要介護者が仰向けに横たわった体位である。半座位は、水平面から斜めに立ち上がった背もたれに要介護者がもたれかかって座った体位である。頭を起こした側臥位は、腕で上半身を支えて頭を起こしながら、体の前後方向を水平方向に向けて横たわった体位である。図4(d)~(f)には、それぞれ、長座位、端座位および離床の状態にある要介護者が示されている。長座位は、背もたれ等を用いずにベッドの上で上半身を起こした体位が示されている。端座位は、ベッドの縁に腰掛けた体位である。離床は、ベッドの傍らあるいはベッドから離れて起立した体位である。なお、図4には示されていないが、要介護者がベッド上でうつ伏せになった状態もある。
【0041】
一般的な物理現象の下では、気圧センサによる気圧検出値が大きいほど気圧センサは低い位置にあり、気圧検出値が小さいほど気圧センサは高い位置にある。受信機側演算デバイス40は、この物理現象を利用した高さ測定処理によって、気圧検出値に基づいて、無線タグ10の位置の高さHを求める。なお、高さ測定処理については後述する。
【0042】
受信機側演算デバイス40は、次の条件(A)~(F)が所定の判定時間T0を超える時間に亘って成立する場合には、それぞれ、要介護者の状態が、仰臥位、うつ伏せ、側臥位、頭を起こした側臥位、半座位、長座位若しくは端座位の状態にあると判定する。ただし、gは重力加速度であり、Δx、Δzは、判定の際の許容範囲(マージン)である。
【0043】
(A)仰臥位の状態であると判定される条件
z軸検出値≦-g+Δz
(B)うつ伏せの状態であると判定される条件
z軸検出値≧g-Δz
(C)側臥位の状態であると判定される条件
y軸検出値>半座位判定値Y1、かつ、(x軸検出値≧g-Δx、若しくは、x軸判定値≦-g+Δx)
(D)頭を起こした側臥位の状態であると判定される条件
y軸検出値≦半座位判定値Y1、かつ、y軸検出値>長座位判定値Y2、かつ、(x軸検出値≧g-Δx、若しくは、x軸判定値≦-g+Δx)
(E)半座位の状態であると判定される条件
y軸検出値≦半座位判定値Y1、かつ、y軸検出値>長座位判定値Y2、かつ、x軸検出値<g-Δx、かつ、x軸検出値>-g+Δx
(F)長座位若しくは端座位の状態であると判定される条件
y軸検出値≦長座位判定値Y2
【0044】
受信機側演算デバイス40は、上記の条件(A)~(F)に従って、要介護者の状態を判定し、要介護者の状態を表す要介護者信号を生成する。受信機側演算デバイス40は、要介護者信号を通信インターフェイス48およびナースコールコネクタ14を介して通信回線に送信する。管理コンピュータは、通信回線から要介護者信号を受信する。また、受信機側演算デバイス40は、要介護者信号を無線回路42に出力してもよい。この場合、無線回路42は、管理コンピュータに要介護者信号を無線送信する。
【0045】
(3)警告信号の送信
図5(a)~(c)には、要介護者の離床前の行動が示されている。図5(a)は、長座位を維持しながら要介護者が移動する長座位移動が示されている。図5(b)には、頭を起こした側臥位を維持しながら要介護者が移動する側臥位移動が示されている。図5(c)には、端座位の状態から要介護者が立ち上がろうとする立位直前行動が示されている。これらの行動では、所定の半座位判定値H1が示す高さよりも無線タグ10が高い位置にあり、その位置から要介護者が体を動かす時間、すなわち振動する時間が所定時間以上継続する。
【0046】
そこで、受信機側演算デバイス40は、まず、次の条件(G)が所定の判定時間T1を超える時間に亘って成立しているか否かを判定する。条件(G)は、高さHが半座位判定値H1以上であるという高さに関する条件であり、気圧検出値が半座位判定値H1に対応する所定の値以下であるという気圧に関する条件と同等である。
(G)高さに関する条件
高さH≧半座位判定値H1
条件(G)が成立している場合、要介護者は、頭を起こした側臥位の状態、半座位の状態、または長座位若しくは端座位の状態である可能性が高い。
【0047】
受信機側演算デバイス40は、条件(G)が成立したときは、次の条件(H)が成立するか否かを判定する。
(H)要介護者が振動した時間に関する条件
条件(G)が成立した後、要介護者が振動した状態となった時間の合計が判定時間T2を超えたこと。または、条件(G)が成立した状態が判定時間T3を超える時間に亘って続いたこと。
【0048】
要介護者が振動した状態は、例えば、無線タグ10の振動量が振動基準値αsを超えたこととして定義される。無線タグ10の振動量は、例えば、総合加速度検出値の所定時間内の変動幅、所定時間内の最大値から最小値を減算した値等によって定義される。なお、総合加速度検出値は、x軸検出値の自乗、y軸検出値の自乗およびz軸検出値の自乗を加算合計して得られる値の平方根である。
【0049】
このように、高さに関する条件(G)に加えて、要介護者が振動した状態となった時間に基づく判定をすることで、図5(a)の長座位移動や、図5(b)の側臥位移動が迅速に把握される。また、気圧センサ24と3軸加速度センサ22とが組み合わされることで、無線タグ10を要介護者に装着する際に、3軸加速度センサ22において定義された座標軸と要介護者の向きとの関係が任意となる。これによって、無線タグ10を要介護者に取り付ける際に、無線タグ10の向きに注意を払う必要がなくなり、無線タグ10の取り付けが容易になる。
【0050】
要介護者が離床前の行動を起こしているとの判定をした場合、受信機側演算デバイス40は、要介護者が離床前の行動を起こしていることを示す要介護者信号を生成する。受信機側演算デバイス40は、さらに、警告信号を生成し、通信インターフェイス48およびナースコールコネクタ14を介して通信回線に要介護者信号および警告信号を送信し、管理コンピュータに要介護者信号および警告信号を送信する。また、受信機側演算デバイス40は、要介護者信号および警告信号を無線回路42に出力してもよい。無線回路42は、管理コンピュータに要介護者信号および警告信号を無線送信する。介護者は、管理コンピュータが示す情報によって要介護者の状態を把握する。また、管理コンピュータは警告信号に応じてアラームを鳴動する等、介護者に注意を促す。管理コンピュータのアラームを認識した介護者は、必要に応じて要介護者の部屋に介護に向かう。
【0051】
受信機側演算デバイス40は、次の(i)~(v)の条件が成立したときにも警告信号を生成し送信してもよい。
(i)要介護者が立位直前行動を起こしたと判定する条件
上記条件(G)が成立した後に、高さHが所定の判定時間Tx内に判定値Xを超えて増加すること。すなわち、半座位、または長座位若しくは端座位の状態から、高さHが所定の判定時間Tx内に判定値Xを超えて増加すること。なお、条件(G)に代えて、上記(E)の条件、または上記(F)の条件が成立した後に、高さHが所定の判定時間Tx内に判定値Xを超えて増加することを判定してもよい。
(ii)要介護者が転倒したと判定する条件
基準高さH0>高さH、または、所定時間内の高さHの減少>基準減少率D1
(iii)要介護者が離床前の行動を起こしていると判定する条件
上記(D)の条件、上記(E)の条件、または上記(F)の条件のいずれかが成立した後(頭を起こした側臥位の状態、半座位の状態、または長座位若しくは端座位の状態となったと判定された後)に、要介護者が振動した状態となった時間の合計が判定時間T2を超えたこと。または、上記(D)の条件、上記(E)の条件、または上記(F)の条件のいずれかが成立した状態が判定時間T3を超える時間に亘って続いたこと。
(iv)うつ伏せの状態で要介護者の振動が継続したと判定する条件、または、うつ伏せの状態が長時間継続したと判定する条件
上記(B)の条件が成立した後(うつ伏せの状態であると判定された後)、その状態で要介護者が振動した状態となった時間の合計が判定時間T3を超えたこと。または、うつ伏せの状態が継続して判定時間T5を超える時間に亘って続いたこと。
(v)体の動きが停止したと判定する条件
判定時間T6を超える時間に亘って要介護者が振動していないこと。
【0052】
上記の半座位判定値Y1、半座位判定値H1、長座位判定値Y2、許容範囲Δx、Δy、Δz、判定時間T1~T6、基準高さH0、基準減少率D1、判定時間Tx、判定値X、振動基準値αs等の設定値群は、介護者等のユーザの操作に応じて管理コンピュータが読み込んでもよい。この場合、管理コンピュータは、通信回線を介して設定値群を受信機12に送信する。あるいは、管理コンピュータは、無線信号によって設定値群を送信してもよい。この場合、受信機12が備える受信機側演算デバイス40は、無線回路42が受信した信号から設定値群を取得する。
【0053】
設定値群に含まれる各設定値の例は次の通りである。半座位判定値Y1=-5.5[m/s]、半座位判定値H1=20[cm]、長座位判定値Y2=-9.0[m/s]、許容範囲Δx=3.8[m/s]、許容範囲Δz=3.8[m/s]、判定時間T1=0.5[s]、判定時間T2=2[s]、判定時間T3=30[s]、判定時間T4=10[s]、判定時間T5=600[s]、判定時間T6=1200[s]、基準高さH0=-30[cm] 基準減少率D1=10cm/0.5s、判定値X=15[cm]。
【0054】
(4)高さ測定処理
受信機12は、無線タグ10の気圧センサ24によって時間経過と共に順次取得される気圧検出値の時間変動を修正しながら、すなわち、無線タグ10からセンサ信号によって順次送信される気圧検出値の時間変動を修正しながら、無線タグ10の位置の高さを測定してもよい。気圧検出値の時間変動の修正には、修正用気圧センサ44による修正用気圧検出値が用いられる。
【0055】
無線タグ10の位置の高さの測定に際して、受信機側演算デバイス40は気圧基準値を求める。受信機側演算デバイス40は、要介護者が仰臥位にあると判定したとき、すなわち条件(A)が成立すると判定したときの気圧検出値を気圧基準値P0として求めてよい。過去において、要介護者が仰臥位にあると判定されなかった場合には、受信機側演算デバイス40は、要介護者が側臥位にあると判定したとき、すなわち条件(C)が成立すると判定したときの気圧検出値を気圧基準値P0として求めてもよい。また、受信機側演算デバイス40は、気圧基準値P0を所定の時間間隔で更新してもよい。例えば、最新の気圧検出値Pが、直近に求められた気圧基準値よりも大きい場合には、最新の気圧検出値Pを気圧基準値P0として更新してもよい。
【0056】
修正用気圧センサ44は、時間経過と共に順次、受信機12の周辺の気圧を検知し、修正用気圧検出値Qを受信機側演算デバイス40に出力する。受信機側演算デバイス40は、上記の気圧基準値P0が求められた時に修正用気圧センサ44から出力された修正用気圧検出値を修正用気圧基準値Q0とする。受信機側演算デバイス40は、次の(数1)に従い、気圧検出値P、気圧基準値P0、修正用気圧検出値Q、修正用気圧基準値Q0に基づいて、気圧基準値P0に対する気圧増加分ΔPを求める。
【0057】
(数1)ΔP=P-(P0-(Q-Q0))
【0058】
(数1)は、気圧基準値P0の時間変動を、修正用気圧検出値Qから修正用気圧基準値Q0を減算した値によって補償することを意味する。
【0059】
受信機側演算デバイス40は、所定の高さを基準とした気圧センサ24の高さ(高度)が気圧増加分ΔPから求められるテーブルを記憶しており、気圧増加分ΔPに基づいて高さを求める。また、気圧センサ24は、予め定められた関数に対する入力値(独立変数)を気圧増加分ΔPとし、関数の出力値(従属変数)を求めることで高さを求めてもよい。
【0060】
なお、受信機12は、必ずしも修正用気圧センサ44を用いなくてもよい。この場合、受信機側演算デバイス40は、(数1)においてQ-Q0を0とした(数2)に基づいて、気圧増加分ΔPを求める。
【0061】
(数2)ΔP=P-P0
【0062】
(5)間欠動作
タグ側演算デバイス26は、x軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値のいずれについても所定時間内に所定範囲を超える変化がない場合には、時間間隔Tsが経過するごとに3軸加速度センサ22からx軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値を取得する。一方、タグ側演算デバイス26は、x軸検出値、y軸検出値またはz軸検出値のいずれかに所定時間内に所定範囲を超える変化があった場合には、時間間隔Tmが経過するごとに3軸加速度センサ22からx軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値を取得する。時間間隔Tsは時間間隔Tmよりも長い。例えば、時間間隔Tsは秒のオーダーであり、時間間隔Tmはミリ秒のオーダーであってよい。
【0063】
また、無線タグ10における無線回路28は、x軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値のいずれについても所定時間内に所定範囲を超える変化がない場合には、時間間隔Tsが経過するごとにセンサ信号を無線送信する。一方、無線タグ10における無線回路28は、x軸検出値、y軸検出値またはz軸検出値のいずれかに所定時間内に所定範囲を超える変化があった場合には、時間間隔Tmが経過するごとにセンサ信号を無線送信する。
【0064】
このように、無線タグ10は、x軸検出値、y軸検出値またはz軸検出値に応じた時間間隔で、すなわち加速度検出値に応じた頻度で、気圧センサ24によって各気圧検出値を取得する。そして、無線回路28は、x軸検出値、y軸検出値またはz軸検出値に応じた時間間隔で、すなわち加速度検出値に応じた頻度で、センサ信号を送信する。
【0065】
無線タグ10は、タグ側演算デバイス26がx軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値を取得しない間、およびセンサ信号を出力しない間は、タグ側演算デバイス26を構成する内部回路の一部または全部に対する電源電力を遮断してよい。また、無線タグ10は、無線回路28がセンサ信号を無線送信しない間は、無線回路28を構成する内部回路の一部または全部に対する電源電力を遮断してよい。このような間欠動作によって、バッテリ32の電力消費が抑制される。
【0066】
なお、タグ側演算デバイス26は、総合加速度検出値(x軸検出値の自乗、y軸検出値の自乗およびz軸検出値の自乗を加算合計して得られる値の平方根)が所定時間内に所定範囲を超えて変化しない場合に、時間間隔Tsが経過するごとに3軸加速度センサ22からx軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値を取得してもよい。そして、タグ側演算デバイス26は、総合加速度検出値が所定時間内に所定範囲を超えて変化した場合に、時間間隔Tmが経過するごとに3軸加速度センサ22からx軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値を取得してもよい。
【0067】
同様に、無線タグ10における無線回路28は、総合加速度検出値が所定時間内に所定範囲を超えて変化しない場合に、時間間隔Tsが経過するごとにセンサ信号を無線送信してもよい。そして、無線タグ10における無線回路28は、総合加速度検出値が所定時間内に所定範囲を超えて変化した場合に、時間間隔Tmが経過するごとにセンサ信号を無線送信してもよい。
【0068】
(6)タグ側演算デバイスが実行する処理
上記では、受信機側演算デバイス40が、無線タグ10から送信されたセンサ信号から気圧検出値、x軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値を抽出し、これらの検出値と修正用気圧検出値に基づいて、受信機側演算デバイス40が、高さ測定処理および体位判定処理を実行する実施形態について説明した。高さ測定処理および体位判定処理は、タグ側演算デバイス26が実行してもよい。
【0069】
この場合、タグ側演算デバイス26は、気圧センサ24から取得した気圧検出値、3軸加速度センサ22から取得したx軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値に基づいて、高さ測定処理および体位測定処理を実行する。高さ測定処理を実行するに際しては、(数2)を用いることで、受信機12における修正用気圧センサ44による修正気圧検出値を用いる必要がない。なお、無線回路28が受信機12との間で通信を行うことで、修正用気圧測定値を取得し、無線回路28が、タグ側演算デバイス26に修正用気圧測定値を出力してもよい。この場合、タグ側演算デバイス26は、(数1)を用いて高さ測定処理を実行する。
【0070】
タグ側演算デバイス26は、上記の実施形態でセンサ信号を送信することに代えて、要介護者信号または警告信号を送信する。すなわち、タグ側演算デバイス26は、高さ測定処理および体位判定処理を実行することで要介護者信号を生成し、無線回路28に出力する。無線回路28は要介護者信号を送信する。受信機12が備える無線回路42は要介護者信号を受信し、受信機側演算デバイス40に出力する。受信機側演算デバイス40は、要介護者信号を管理コンピュータに送信する。また、タグ側演算デバイス26は、要介護者の状態に応じて警告信号を生成し、無線回路28に出力する。無線回路28は警告信号を送信する。受信機12が備える無線回路42は、警告信号を受信機側演算デバイス40に出力する。受信機側演算デバイス40は、警告信号を管理コンピュータに送信する。
【0071】
(7)気圧センサを用いない処理
上記の項目「(3)警告信号の送信」では、気圧センサ24による気圧検出値を用いて無線タグ10の位置の高さHを求め、高さHが半座位判定値H1以上であるという条件(G)が成立したときに、3軸加速度センサ22による加速度検出値に基づいて、要介護者の状態を判定する処理について説明した。この処理では要介護者が、頭を起こした側臥位の状態、半座位の状態、および長座位若しくは端座位のうちのいずれかの状態であることが判定され、判定結果に応じて要介護者信号および警告信号が生成される。以下に説明するように、受信機側演算デバイス40は、気圧検出値を用いない処理を実行してもよい。
【0072】
受信機側演算デバイス40は、上に掲げられた条件(D)~(F)が成立し、かつ、要介護者が振動した状態(無線タグ10が振動した状態)となった時間の合計が所定の判定時間T7を超えた場合には、離床する行動を要介護者が起こしたと判定する。すなわち、受信機側演算デバイス40は、条件(D)が成立し、かつ、要介護者が振動した状態となった時間の合計が判定時間T7を超えた場合には、頭を起こした側臥位の状態から離床する行動を要介護者が起こしたと判定する。受信機側演算デバイス40は、条件(E)が成立し、かつ、要介護者が振動した状態となった時間の合計が判定時間T7を超えた場合には、半座位の状態から離床する行動を要介護者が起こしたと判定する。受信機側演算デバイス40は、条件(F)が成立し、かつ、要介護者が振動した状態となった時間の合計が判定時間T7を超えた場合には、長座位若しくは端座位の状態から離床する行動を要介護者が起こしたと判定する。
【0073】
また、受信機側演算デバイス40は、上に掲げられた条件(D)~(F)が、所定の判定時間T8を超える時間に亘って成立した場合に、離床する行動を要介護者が起こしたと判定してもよい。
【0074】
また、受信機側演算デバイス40は、上に掲げられた条件(D)~(F)が成立しているときに、要介護者が振動した状態となった回数(要介護者の振動回数)が所定の判定数N以上となった場合に、離床する行動を要介護者が起こしたと判定してもよい。すなわち、受信機側演算デバイス40は、条件(D)が成立しているときに、要介護者の振動回数が判定数N以上となった場合に、頭を起こした側臥位の状態から離床する行動を要介護者が起こしたと判定してもよい。受信機側演算デバイス40は、条件(E)が成立しているときに、要介護者の振動回数が判定数N以上となった場合に、半座位の状態から離床する行動を要介護者が起こしたと判定してもよい。受信機側演算デバイス40は、条件(F)が成立しているときに、要介護者の振動回数が判定数N以上となった場合に、長座位若しくは端座位の状態から離床する行動を要介護者が起こしたと判定してもよい。
【0075】
受信機側演算デバイス40は、離床する行動を要介護者が起こしたとする判定結果に応じて、要介護者の状態を表す要介護者信号、および警告信号を生成する。なお、判定時間T7、T8、判定数N等の設定値は、上記の設定値群と同様の処理によって、受信機側演算デバイス40が取得してよい。
【0076】
受信機側演算デバイス40は、通信インターフェイス48およびナースコールコネクタ14を介して通信回線に要介護者信号および警告信号を送信し、管理コンピュータに要介護者信号および警告信号を送信する。また、受信機側演算デバイス40は、要介護者信号および警告信号を無線回路42に出力してもよい。無線回路42は、管理コンピュータに要介護者信号および警告信号を無線送信する。介護者は、管理コンピュータが示す情報によって要介護者の状態を把握する。また、管理コンピュータは警告信号に応じてアラームを鳴動する等、介護者に注意を促す。管理コンピュータのアラームを認識した介護者は、必要に応じて要介護者の部屋に介護に向かう。
【0077】
このように、気圧検出値に基づかず、加速度検出値に基づく処理を実行する場合、状態検知器20は気圧センサ24を備えていなくてもよい。この場合、タグ側演算デバイス26は、3軸加速度センサ22によるx軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値を含み、気圧検出値を含まないセンサ信号を生成し、無線回路28に出力する。無線回路28は、センサ信号を無線送信する。上記の「(5)間欠動作」では、気圧センサ24および気圧検出値に関連する処理は実行されない。
【0078】
また、体位判定処理と、要介護者信号および警告信号の生成および送信は、受信機側演算デバイス40の代わりに、タグ側演算デバイス26が実行してもよい。この場合、タグ側演算デバイス26は、3軸加速度センサ22から取得したx軸検出値、y軸検出値およびz軸検出値に基づいて体位測定処理を実行する。タグ側演算デバイス26は、上記の実施形態でセンサ信号を送信することに代えて、要介護者信号または警告信号を送信する。すなわち、タグ側演算デバイス26は、体位判定処理を実行することで要介護者信号を生成し、無線回路28に出力する。無線回路28は要介護者信号を送信する。受信機12が備える無線回路42は要介護者信号を受信し、受信機側演算デバイス40に出力する。受信機側演算デバイス40は、要介護者信号を管理コンピュータに送信する。
【0079】
また、タグ側演算デバイス26は、加速度検出値に基づいて判定された要介護者の状態に応じて警告信号を生成し、無線回路28に出力する。無線回路28は警告信号を送信する。受信機12が備える無線回路42は、警告信号を受信機側演算デバイス40に出力する。受信機側演算デバイス40は、警告信号を管理コンピュータに送信する。
【0080】
(8)その他
受信機12には、要介護者を見守る時間帯を選択するための制御スイッチが設けられてもよい。このスイッチは、光センサが設けられ、光センサの検出結果とユーザの操作に応じて動作するものであってもよい。制御スイッチは、光センサによる照度検出値が所定時間τ1を超える時間に亘って所定の基準値β1以下となった場合には、受信機12の電源をオンにする。このとき、ユーザの操作によって制御スイッチに対するオフ操作があったときは、制御スイッチは受信機12の電源をオフにする。また、制御スイッチは、光センサによる照度検出値が所定時間τ1を超える時間に亘って所定の基準値以下となった場合には、受信機12の電源をオンにし、ユーザの操作がないまま所定時間τ2が経過した時に受信機12の電源をオフにする。
【0081】
制御スイッチはタイマー機能を備えていてもよい。この場合、制御スイッチは、予め定められたオン時間帯において受信機12の電源をオンにし、予め定められたオフ時間帯において受信機12の電源をオフにする。
【0082】
上記の基準値β1、時間τ1、時間τ2、オン時間帯、オフ時間帯等を規定する設定情報は、ユーザの操作に応じて管理コンピュータが読み込んでもよい。この場合、管理コンピュータは、通信回線を介して設定情報を受信機12に送信する。あるいは、管理コンピュータは、無線信号によって設定情報を送信してもよい。この場合、受信機12が備える受信機側演算デバイス40は、無線回路42が受信した信号から設定情報を取得する。
【0083】
なお、上記では、要介護者を見守る、あるいは介護する実施形態について説明した。本発明は、要支援者、入院患者等、公的な機関によって要介護認定がされていない見守り対象者を見守るシステムに用いられてもよい。
【0084】
本発明の実施形態に係る見守りシステムによれば、要介護者が手助けを必要とする状態であるかの判定が適切な条件で行われる。これによって、介護者への通知が遅くなってしまうことによる問題が解消される。また、要介護者が単に寝返りを打ったり、上半身を起こしたりした等、問題のない行動を起こした場合に不要な警告等がされてしまうことが回避される。
【符号の説明】
【0085】
10 無線タグ、12 受信機、14 ナースコールコネクタ、20 状態検知器、22 3軸加速度センサ、24 気圧センサ、26 タグ側演算デバイス、28,42 無線回路、30,46 記憶デバイス、32 バッテリ、40 受信機側演算デバイス、44 修正用気圧センサ、48 通信インターフェイス、100 見守りシステム。
図1
図2
図3
図4
図5