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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079879
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】水栓取付構造
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20220520BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
E03C1/042 E
F16L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190736
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船戸 博文
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BB01
2D060BF01
(57)【要約】
【課題】水栓本体を壁面に対して簡便に固定配管に流路接続した状態に取り付けられる水栓取付構造を提供すること。
【解決手段】水栓本体2を壁面Wに臨む固定配管Pに一体的に流路接続する水栓取付構造Sであって、固定配管Pに一体的に流路接続される壁側管継手5と、水栓本体2に設けられる湯又は水の流入口を成す水栓側管継手6と、水栓本体2を壁面Wに固定する固定ブラケット7と、を有する。水栓側管継手6は、壁側管継手5の接続口5Bに対し管軸方向の差し込みにより流路接続され、固定ブラケット7を介して壁側管継手5に接続された状態に保持される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体を壁面に臨む固定配管に一体的に流路接続する水栓取付構造であって、
前記固定配管に一体的に流路接続される壁側管継手と、
前記水栓本体に設けられる湯又は水の流入口を成す接続管部であって、前記壁側管継手の接続口に対し管軸方向の差し込みにより流路接続される前記接続管部と、
前記水栓本体を前記壁面又は前記壁側管継手に固定する固定ブラケットと、を有する水栓取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の水栓取付構造であって、
前記固定ブラケットが、前記壁面に当てられてねじ締結される立板部と、前記水栓本体の底面に当てられてねじ締結される底板部と、を有するL字板から成る水栓取付構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の水栓取付構造であって、
前記接続管部が、前記壁側管継手の管内に差し込まれて流路接続される水栓取付構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の水栓取付構造であって、
前記壁側管継手と前記接続管部とが、互いに前記壁面に直交する方向を管軸方向とする同一軸線方向に真っ直ぐ延びる管形状とされる水栓取付構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の水栓取付構造であって、
前記接続管部が、前記水栓本体にねじ込みにより取り付けられる、前記水栓本体とは別の部材から成る水栓取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓取付構造に関する。詳しくは、水栓本体を壁面に臨む固定配管に一体的に流路接続する水栓取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、浴室の壁面に取り付けられる壁付タイプの混合水栓が開示されている。上記混合水栓は、クランク状に折れ曲がった左右一対の偏心管を介して、壁面に臨む湯水の供給用の固定配管とそれぞれ流路接続される構成とされる。各偏心管と対応する各固定配管との接続は、それぞれ、ねじ込みによる螺合により行われる。各偏心管のねじ込み部には、それぞれ、ねじ込み後のシール性を高めるためのシールテープが巻かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2-47261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、各偏心管のねじ込み部を対応する各固定配管にねじ込み過ぎた場合、それを戻すとシールテープが破損し、施工不良を招くおそれがある。そこで、本発明は、水栓本体を壁面に対して簡便に固定配管に流路接続した状態に取り付けられる水栓取付構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の水栓取付構造は次の手段をとる。すなわち、水栓本体を壁面に臨む固定配管に一体的に流路接続する水栓取付構造であって、固定配管に一体的に流路接続される壁側管継手と、水栓本体に設けられる湯又は水の流入口を成す接続管部と、水栓本体を壁面又は壁側管継手に固定する固定ブラケットと、を有する。接続管部は、壁側管継手の接続口に対し管軸方向の差し込みにより流路接続される。
【0006】
上記構成によれば、水栓本体を壁面に対して固定配管に流路接続した状態に簡便に取り付けることができる。詳しくは、水栓本体を固定ブラケットにより壁面又は壁側管継手に固定することで、併せて、壁側管継手に差し込んだ水栓本体の接続管部の抜け止めをすることができる。したがって、上記の接続構造を差し込みタイプの簡便な構成にしても、水栓本体の壁面への固定により、接続管部と壁側管継手とを適切に流路接続した状態に保持することができる。また、接続管部と壁側管継手との差し込み深さの調整により、水栓本体の壁面に対する取り付け位置の調整も行えるようになる。
【0007】
また、本発明の水栓取付構造は、更に次のように構成されていてもよい。固定ブラケットが、壁面に当てられてねじ締結される立板部と、水栓本体の底面に当てられてねじ締結される底板部と、を有するL字板から成る。
【0008】
上記構成によれば、固定ブラケットにより、重量物である水栓本体を適切に下支えした状態にして壁面に固定することができる。
【0009】
また、本発明の水栓取付構造は、更に次のように構成されていてもよい。接続管部が、壁側管継手の管内に差し込まれて流路接続される。
【0010】
上記構成によれば、差し込みの相手側となる壁側管継手が大径側となるため、取り付けの施工者が接続管部を壁側管継手に差し込む作業をより簡便に行えるようになる。
【0011】
また、本発明の水栓取付構造は、更に次のように構成されていてもよい。壁側管継手と接続管部とが、互いに壁面に直交する方向を管軸方向とする同一軸線方向に真っ直ぐ延びる管形状とされる。
【0012】
上記構成によれば、壁側管継手及び/又は接続管部がクランク状に折れ曲がる偏心管から成る構成と比べて、これらを管軸方向にも径方向にも小型に形成することができる。なおかつ、水栓本体の壁面に対する取付強度を、固定ブラケットにより適切に確保することができる。
【0013】
また、本発明の水栓取付構造は、更に次のように構成されていてもよい。接続管部が、水栓本体にねじ込みにより取り付けられる、水栓本体とは別の部材から成る。
【0014】
上記構成によれば、接続管部を水栓本体に一体成形する構成と比べて簡素に形成することができる。また、接続管部を施工仕様に合わせた長さや形を有するものに適宜選択的に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る水栓取付構造の概略を表す斜視図である。
図2図1の底面図である。
図3】水栓本体の壁面への接続構造を表す部分断面斜視図である。
図4】水栓取付構造の分解斜視図である。
図5図4を後側から見た分解斜視図である。
図6】壁側管継手と固定ブラケットとを壁面側に取り付けた状態を表す斜視図である。
図7】水栓側管継手を水栓本体に取り付けた状態を表す斜視図である。
図8】水栓本体の壁面への接続構造を表す部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
《第1の実施形態》
(水栓取付構造Sの概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る水栓取付構造Sの構成について、図1図8を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、図1図8のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0018】
図1図3に示すように、本実施形態に係る水栓取付構造Sは、浴室の壁面Wに混合水栓1を取り付けるための取付構造とされる。詳しくは、水栓取付構造Sは、上記混合水栓1の水栓本体2を、浴室の壁面Wに臨む湯水の供給用の各固定配管Pの接続口Paとそれぞれ流路接続した状態として壁面Wに一体的に取り付けられるようにする取付構造とされる。
【0019】
各固定配管Pは、図3図4に示すように、それぞれ、図示しない湯水の供給源から浴室の壁面Wの裏側を通って敷設されている。そして、各固定配管Pは、それらの延設された先の端部開口を成す丸孔状の各接続口Paを、浴室の壁面Wに穿たれた左右一対の丸孔Waからそれぞれ露出させるように壁面W内に通されている。本実施形態では、右側の固定配管Pが水の供給用とされ、左側の固定配管Pが湯の供給用とされる。
【0020】
図1図2に示すように、上記混合水栓1は、各固定配管Pから供給される湯と水とを内部で混合して吐出することのできる機能を備える。具体的には、混合水栓1は、上記供給される湯と水との混合割合を内部で調節することが可能な温調機能を備える。また、混合水栓1は、上記混合した湯水の吐水/止水を切り替えることが可能な切替機能と、吐出する湯水の量を調節することが可能な吐出量の調節機能と、を備える。
【0021】
上記湯水の混合割合の調節は、水栓本体2の向かって左側の側部に取り付けられた略円筒型の温度調節ハンドル2Aの操作によって行われる。また、吐水/止水の切り替え及び吐出量の調節は、水栓本体2の向かって右側の側部に取り付けられた略円筒型の切替ハンドル2Bの操作によって行われる。
【0022】
具体的には、使用者が温度調節ハンドル2Aを所望の回転位置へと回すことで、水栓本体2の内部で混合される湯水の混合割合が上記の回転位置に応じた設定温度となるように調節される。また、使用者が切替ハンドル2Bを所定の止水位置から上向き又は下向きに回すことで、その回転移動量に応じた量の湯水が、水栓本体2に流路接続されたシャワーホース3又はカラン4から選択的に吐出される。
【0023】
本実施形態では、切替ハンドル2Bが上向きに回されることでシャワーホース3から不図示のシャワーヘッドへと湯水が吐出され、切替ハンドル2Bが下向きに回されることでカラン4から湯水が吐出される構成とされる。また、上記混合水栓1は、水栓本体2を前、左右及び上側から覆う樹脂製の本体カバー2Cを有する。本体カバー2Cは、水栓本体2に一体的に組み付けられて、水栓本体2及び水栓本体2と壁面Wとの間の隙間を外部に対して被覆する構成とされる。
【0024】
詳しくは、本体カバー2Cは、その左右両側面と天板面とが、それぞれ、壁面Wとの間の隙間を適切に詰められるように水栓本体2から後方に延び出した形状とされる。このような構成とされていても、本体カバー2Cは、水栓本体2が水栓取付構造Sを介して壁面Wに対して適切に前後方向に位置決めされた状態に取り付けられるようになっていることから、壁面Wとの間の隙間を適切に詰めた状態にセットされる構成とされる。
【0025】
(水栓取付構造Sの各部の構成について)
以下、水栓取付構造Sの各部の具体的な構成について詳しく説明する。すなわち、水栓取付構造Sは、図3図4及び図6に示すように、上述した壁面Wに臨む各固定配管Pの接続口Paに前方からねじ込まれて流路接続される左右一対の段付き円管形状の壁側管継手5を有する。
【0026】
また、水栓取付構造Sは、図3図5及び図7に示すように、水栓本体2の背面(後面)の左右2箇所に形成された各接続口2Dに後方から流路接続される左右一対の略円管形状の水栓側管継手6を有する。各水栓側管継手6は、図3に示すように、対応する各壁側管継手5に前方から差し込まれて流路接続される構成とされる。ここで、各水栓側管継手6が、それぞれ、本発明の「接続管部」に相当する。また、水栓取付構造Sは、図2図4及び図6に示すように、水栓本体2を壁面Wに固定するための略L字板形状の固定ブラケット7を有する。
【0027】
左右一対の壁側管継手5は、図3図4及び図6に示すように、それぞれ、前後方向に管軸方向を真っ直ぐ向ける段付き円管形状とされる。各壁側管継手5は、互いに同一構造を備える共通部品から成る。具体的には、各壁側管継手5は、それぞれの後端部に、前述した壁面Wに臨む各固定配管Pの接続口Paに前方からねじ込まれて螺合される雄ねじ部5Aを有する。
【0028】
各雄ねじ部5Aは、各壁側管継手5の後端部の外周面に、管軸方向に延びる螺旋状の雄ねじが切られた構成から成る。各雄ねじ部5Aは、各固定配管Pの接続口Pa内に前方からねじ込まれることで、各接続口Paの内周面に形成された雌ねじにそれぞれ螺合されて結合される。詳しくは、各雄ねじ部5Aは、それらの雄ねじが形成された外周面に不図示のシールテープが巻き付けられて、各接続口Paに対して適切にシールされた状態に螺合される構成とされる。
【0029】
各雄ねじ部5Aは、各壁側管継手5の前端部の外形と比べて小径に形成されている。各雄ねじ部5Aは、それらの基端部に形成された段差状に外径寸法が変化する円環状の段差部5Cが壁面Wに前方から当接する位置までねじ込まれることで、壁面Wに対して一体的に締結される。
【0030】
各雄ねじ部5Aが各接続口Pa内にねじ込まれて締結されることで、各壁側管継手5が対応する各固定配管Pと一体的に流路接続される。上記接続により、各壁側管継手5は、図6に示すように、それらの前端部に、対応する各水栓側管継手6を前方から差し込み可能な丸孔状の接続口5Bを露出させた状態として、壁面Wに一体的に取り付けられた状態となる。
【0031】
左右一対の水栓側管継手6は、図3図5及び図7に示すように、それぞれ、前後方向に管軸方向を真っ直ぐ向ける略円管形状とされる。各水栓側管継手6は、互いに同一構造を備える共通部品から成る。具体的には、各水栓側管継手6は、それぞれの前端部に、前述した水栓本体2の背面(後面)の左右2箇所に形成された各接続口2Dに後方からねじ込まれて螺合される雄ねじ部6Aを有する。
【0032】
各雄ねじ部6Aは、各水栓側管継手6の前端部の外周面に、管軸方向に延びる螺旋状の雄ねじが切られた構成から成る。各雄ねじ部6Aは、水栓本体2の背面に形成された対応する各接続口2D内に後方からねじ込まれることで、各接続口2Dの内周面に形成された雌ねじにそれぞれ螺合されて結合される。詳しくは、各雄ねじ部6Aは、それらの雄ねじが形成された外周面に不図示のシールテープが巻き付けられて、水栓本体2の各接続口2Dに対して適切にシールされた状態に螺合される構成とされる。
【0033】
各雄ねじ部6Aは、それらの基端部に形成された径方向の外側に円環状に張り出すフランジ6Cが水栓本体2の背面に後方から当接する位置までねじ込まれることで、水栓本体2に対して一体的に締結される。各雄ねじ部6Aが水栓本体2の各接続口2D内にねじ込まれて締結されることで、各水栓側管継手6が水栓本体2の図示しない内部流路と一体的に流路接続される。
【0034】
上記接続により、各水栓側管継手6は、図8に示すように、それらの後端部に、対応する各壁側管継手5の接続口5Bに前方から差し込まれる差込部6Bを後方に延設させた状態として、水栓本体2に一体的に取り付けられた状態となる。各差込部6Bの外周部には、それらの前後2箇所の位置に、シール部材としてのOリング6Dがそれぞれ装着されている。各Oリング6Dは、各差込部6Bの外周部に形成された円環状の各環状溝6E内に嵌め込まれて、各差込部6Bの外周面から全周に亘って環状に張り出した状態に設けられる。
【0035】
各水栓側管継手6は、上記のように水栓本体2に取り付けられた後、各差込部6Bが壁面Wに取り付けられた対応する各壁側管継手5の接続口5B内に前方から差し込まれる(図3参照)。これにより、各差込部6Bが、各壁側管継手5の接続口5B内にOリング6Dを介して適切にシールされた状態に流路接続される。
【0036】
各水栓側管継手6は、図3に示すように、それらの差込部6Bが各壁側管継手5の接続口5B内の段差部5Cに前方から突き当たる位置、或いは各水栓側管継手6のフランジ6Cが各壁側管継手5の接続口5Bの開口端面に前方から突き当たる位置まで対応する各接続口5B内に差し込める構成とされる。
【0037】
上記接続により、水栓本体2の図示しない内部流路と各固定配管Pとが互いに流路接続される。上述した各水栓側管継手6を対応する各壁側管継手5の接続口5B内に差し込む作業は、例えば、取り付けの施工者が、水栓本体2を把持して壁面Wに近づけるように移動させるといった簡便な作業のみで行うことができる。
【0038】
固定ブラケット7は、図4及び図6に示すように、浴室の壁面Wに当てられてビスB1でねじ締結される立板部7Aと、水栓本体2の底面に当てられてビスB2でねじ締結される底板部7Bと、を有するL字板から成る。立板部7Aは、壁面Wの各壁側管継手5の間の中間箇所に前方から当てられて、その上下左右の4隅の各箇所が、それぞれビスB1により壁面Wにねじ締結されて一体的に固定される。
【0039】
詳しくは、立板部7Aは、その上下左右の4隅の各箇所に、高さ方向に延びる長孔状の通し孔7A1がそれぞれ形成され、これら通し孔7A1に前方からビスB1が通されて壁面Wに締結される構成とされる。上記構成により、立板部7Aは、壁面Wに対する高さ方向の取付位置を調整することができる構成とされる。
【0040】
底板部7Bは、図2に示すように、水栓本体2の底面に下方から当てられて、その前部の左右2箇所が、それぞれビスB2により底面にねじ締結されて一体的に固定される。詳しくは、底板部7Bは、その前部の左右2箇所の位置に、左右方向に延びる長孔状の通し孔7B1がそれぞれ形成され、これら通し孔7B1に下方からビスB2が通されて水栓本体2の底面に締結される構成とされる。上記構成により、底板部7Bは、水栓本体2に対する左右方向の取付位置を調整することができる構成とされる。
【0041】
<水栓本体2を壁面Wに取り付ける手順について>
上記水栓取付構造Sは、次の手順により、水栓本体2を浴室の壁面Wに対して湯水の各固定配管Pとそれぞれ流路接続した状態として一体的に取り付けられるようになっている。すなわち、先ず、図4に示すように、壁面W上に各固定配管Pの接続口Paが露出するように施工された状態から、取り付けの施工者が、図6に示すように、各壁側管継手5を対応する各固定配管Pの接続口Pa内にねじ込んで壁面Wに取り付ける。
【0042】
併せて、固定ブラケット7の立板部7Aを、壁面WにビスB1でねじ締結して固定した状態に取り付ける。これらの取り付けにより、各壁側管継手5と固定ブラケット7とが、それぞれ、壁面Wに固定された状態となる。更に、図7に示すように、各水栓側管継手6を、水栓本体2の背面に形成された対応する各接続口2Dにねじ込んで水栓本体2に取り付ける。
【0043】
次に、図8の状態から、施工者が水栓本体2を把持して壁面Wに近づけるなどして、水栓本体2に取り付いた各水栓側管継手6の差込部6Bを、対応する各壁側管継手5の接続口5B内に前方から差し込む(図3参照)。この差し込みにより、水栓本体2は、その底面が固定ブラケット7の底板部7B上に載置された状態にセットされる。
【0044】
次に、図2に示すように、固定ブラケット7の底板部7Bを、その上部にセットされた水栓本体2の底面にビスB2でねじ締結して固定する。その際、水栓本体2と固定ブラケット7の底板部7Bとの間の前後方向の位置関係は、各水栓側管継手6の壁側管継手5に対する差し込み量の深さに応じて変化する。したがって、各水栓側管継手6の壁側管継手5に対する差し込み深さを調整することで、上記のねじ締結を適切に行える位置に調節することができる。
【0045】
故に、水栓本体2を壁面Wに対して予め定めた前後位置に適切に取り付けることができる。したがって、水栓本体2に取り付く本体カバー2Cを、壁面Wに対して、適切に隙詰めした状態にセットすることができる。すなわち、上記の取り付け位置を適切に定められなければ、水栓本体2と壁面Wとの間の隙間を外部に対して被覆するための別体のカバーを本体カバー2Cとラップさせるように設けるなどして、上記の隙間を適切に被覆できるようにする工夫が必要となる。
【0046】
しかし、本実施形態のように、水栓本体2を壁面Wに対して固定ブラケット7を介して適切に予め定めた前後位置に取り付けることができる構成であれば、上記のような別体のカバーを必要とすることなく、水栓本体2と壁面Wとの間の隙間を外部に対して適切に被覆することができる。
【0047】
(まとめ)
以上をまとめると、第1の実施形態に係る水栓取付構造Sは、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0048】
すなわち、水栓取付構造(S)は、水栓本体(2)を壁面(W)に臨む固定配管(P)に一体的に流路接続するものであって、固定配管(P)に一体的に流路接続される壁側管継手(5)と、水栓本体(2)に設けられる湯又は水の流入口を成す接続管部(6)と、水栓本体(2)を壁面(W)に固定する固定ブラケット(7)と、を有する。接続管部(6)は、壁側管継手(5)の接続口(5B)に対し管軸方向の差し込みにより流路接続される。
【0049】
上記構成によれば、水栓本体(2)を壁面(W)に対して固定配管(P)に流路接続した状態に簡便に取り付けることができる。詳しくは、水栓本体(2)を固定ブラケット(7)により壁面(W)に固定することで、併せて、壁側管継手(5)に差し込んだ水栓本体(2)の接続管部(6)の抜け止めをすることができる。したがって、上記の接続構造を差し込みタイプの簡便な構成にしても、水栓本体(2)の壁面(W)への固定により、接続管部(6)と壁側管継手(5)とを適切に流路接続した状態に保持することができる。また、接続管部(6)と壁側管継手(5)との差し込み深さの調整により、水栓本体(2)の壁面(W)に対する取り付け位置の調整も行えるようになる。
【0050】
また、固定ブラケット(7)が、壁面(W)に当てられてねじ締結される立板部(7A)と、水栓本体(2)の底面に当てられてねじ締結される底板部(7B)と、を有するL字板から成る。上記構成によれば、固定ブラケット(7)により、重量物である水栓本体(2)を適切に下支えした状態として壁面(W)に固定することができる。
【0051】
また、接続管部(6)が、壁側管継手(5)の管内に差し込まれて流路接続される。上記構成によれば、差し込みの相手側となる壁側管継手(5)が大径側となるため、取り付けの施工者が接続管部(6)を壁側管継手(5)に差し込む作業をより簡便に行えるようになる。
【0052】
また、壁側管継手(5)と接続管部(6)とが、互いに壁面(W)に直交する方向(前後方向)を管軸方向とする同一軸線方向に真っ直ぐ延びる管形状とされる。上記構成によれば、壁側管継手(5)及び/又は接続管部(6)がクランク状に折れ曲がる偏心管から成る構成と比べて、これらを管軸方向にも径方向にも小型に形成することができる。なおかつ、水栓本体(2)の壁面(W)に対する取付強度を、固定ブラケット(7)により適切に確保することができる。
【0053】
また、接続管部(6)が、水栓本体(2)にねじ込みにより取り付けられる水栓本体(2)とは別の部材から成る。上記構成によれば、接続管部(6)を水栓本体(2)に一体成形する構成と比べて簡素に形成することができる。また、接続管部(6)を施工仕様に合わせた長さや形を有するものに適宜選択的に変更することが可能となる。
【0054】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0055】
1.本発明の水栓取付構造は、水栓本体を浴室以外の設備の壁面に取り付けるものであっても良い。また、水栓取付構造は、混合水栓の他、単水栓の水栓本体を壁面に取り付けるものであっても良い。また、水栓取付構造は、混合水栓の湯又は水のうちのどちらか一方の固定配管への接続を上記実施形態で示したような差し込み式の接続構造とし、他方の固定配管への接続はナットを用いたねじ込み式の接続構造とするものであっても良い。
【0056】
2.壁側管継手と接続される水栓本体側の接続管部は、鋳造等により水栓本体と一体成形されるものであっても良い。また、壁側管継手及び/又は接続管部は、クランク状に折れ曲がる偏心管から成る構成であっても良い。接続管部は、壁側管継手の管内に差し込まれるものの他、壁側管継手を管内に差し込んで流路接続するものであっても良い。
【0057】
上記接続管部の壁側管継手に対する差し込み方向は、上下方向であっても良い。すなわち、壁側管継手と接続管部とが共にエルボ(L字状に折れ曲がった接続管)から成り、接続管部を壁側管継手に対して上方或いは下方から差し込んでこれらを流路接続するものであっても良い。壁側管継手は、壁面に臨む固定配管に対し、ねじ込みの他、クイックファスナによる結合により一体的に流路接続されるものであっても良い。
【0058】
3.接続管部と壁側管継手との接続部間に介設されるシール部材は、Oリングの他、シールテープやシール接着剤から成るものであっても良い。Oリングは、差し込みの雄側となる管部の外周面に環状溝を形成するなどして装着されるものの他、差し込みの雌側となる管部の内周面に環状溝を形成するなどして装着されるものであっても良い。
【0059】
4.水栓本体を壁面又は壁側管継手に固定する固定ブラケットは、水栓本体の底面にではなく、水栓本体の背面や上面や側面に取り付けられる構成であっても良い。また、固定ブラケットは、壁面にではなく、壁面に固定される壁側管継手に取り付けられる構成であっても良い。固定ブラケットの水栓本体及び/又は壁面への固定は、接着や爪嵌合等のねじ締結以外の結合手段により行われるものであっても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 混合水栓
2 水栓本体
2A 温度調節ハンドル
2B 切替ハンドル
2C 本体カバー
2D 接続口
3 シャワーホース
4 カラン
5 壁側管継手
5A 雄ねじ部
5B 接続口
5C 段差部
6 水栓側管継手(接続管部)
6A 雄ねじ部
6B 差込部
6C フランジ
6D Oリング
6E 環状溝
7 固定ブラケット
7A 立板部
7A1 通し孔
7B 底板部
7B1 通し孔
W 壁面
Wa 丸孔
P 固定配管
Pa 接続口
B1,B2 ビス
S 水栓取付構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8