IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 清水建設株式会社の特許一覧

特開2022-7988電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法
<>
  • 特開-電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法 図1
  • 特開-電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法 図2
  • 特開-電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法 図3
  • 特開-電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法 図4A
  • 特開-電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法 図4B
  • 特開-電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法 図5
  • 特開-電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法 図6
  • 特開-電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法 図7
  • 特開-電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法 図8
  • 特開-電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法 図9
  • 特開-電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007988
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20220105BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220105BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20220105BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02J7/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028707
(22)【出願日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】P 2020099075
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020184961
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】山根 俊博
(72)【発明者】
【氏名】池田 恭彰
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HA13
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA07
5G503EA05
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】蓄電装置を有するシステムであっても電源トラッキングを可能とする。
【解決手段】複数のノードが接続されるブロックチェーンと、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力とを充電可能な蓄電装置を有する需要家施設の当該蓄電装置とに接続される電力管理装置であって、再生可能エネルギーによって発電された電力を測定した測定結果と蓄電装置から出力される電力を測定した測定結果とを取得する電力情報取得部と、蓄電装置の充電時には、電力情報取得によって得られた測定結果に基づいて、蓄電装置の充電率のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、買電電力に由来して充電された充電率と、を表すトラッキング情報を生成するトラッキング情報生成部と、生成されたトラッキング情報を複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする登録要求部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノードが接続されるブロックチェーンと、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力とを充電可能な蓄電装置を有する需要家施設の当該蓄電装置とに接続される電力管理装置であって、
前記再生可能エネルギーによって発電された電力を測定した測定結果と前記蓄電装置から出力される電力を測定した測定結果とを取得する電力情報取得部と、
前記蓄電装置から放電する場合には、前記電力情報取得部によって得られた測定結果に基づいて、
前記蓄電装置の充電率のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、買電電力に由来して充電された充電率と、
蓄電装置からの出力電力のうち、再生可能エネルギーに由来する出力電力と、買電電力に由来する出力電力と、
を含むトラッキング情報を生成するトラッキング情報生成部と、
前記生成されたトラッキング情報を前記複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする登録要求部と、
を有する電力管理装置。
【請求項2】
複数のノードが接続されるブロックチェーンと、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力とを充電可能な蓄電装置を有する需要家施設の当該蓄電装置とに接続される電力管理装置であって、
前記再生可能エネルギーによって発電された電力を測定した測定結果と前記蓄電装置から出力される電力を測定した測定結果とを取得する電力情報取得部と、
前記蓄電装置を充電する場合には、前記電力情報取得部によって得られた測定結果に基づいて、
前記蓄電装置の充電率のうち、
蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、
買電電力に由来して充電された充電率と、
を表すトラッキング情報を生成するトラッキング情報生成部と、
前記生成されたトラッキング情報を前記複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする登録要求部と、
を有する電力管理装置。
【請求項3】
前記トラッキング情報生成部は、前記蓄電装置を充電する場合において、
すべて再生可能エネルギーに由来して前記蓄電装置に充電する場合、
再生可能エネルギーに由来する充電率を次の(1)式に基づいて求め、
買電電力に由来する充電率を次の(2)式に基づいて求め、
少なくとも買電電力に由来して前記蓄電装置に充電する場合、
再生可能エネルギーに由来する充電率を次の(3)式に基づいて求め、
買電電力に由来する充電率を次の(4)式に基づいて求める
請求項1または請求項2に記載の電力管理装置。
【数1】
【請求項4】
前記トラッキング情報生成部は、前記蓄電装置から放電する場合において、
再生可能エネルギーに由来する充電率を次の(5)式に基づいて求め、
買電電力に由来する充電率を次の(6)式に基づいて求める
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の電力管理装置。
【数2】
【請求項5】
前記トラッキング情報生成部は、前記蓄電装置から放電する場合に、
蓄電装置からの出力電力について、
再生可能エネルギーに由来する出力電力を次の式(7)に基づいて求め、
買電電力に由来する出力電力を次の式(8)に基づいて求める
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の電力管理装置。
【数3】
【請求項6】
前記蓄電装置は、前記買電電力と前記再生可能エネルギーに基づく電力と発電機から得られる電力とを含みうる第1から第mまでの電源mから充電可能であり、
前記トラッキング情報生成部は、前記蓄電装置を充電する場合において、
時刻nにおける電源mに由来する充電率を次の式(9)に基づいて求める
請求項1または請求項2に記載の電力管理装置。
【数4】
【請求項7】
前記蓄電装置は、前記買電電力と前記再生可能エネルギーに基づく電力と発電機から得られる電力とを含みうる第1から第mまでの電源mから充電可能であり、
前記トラッキング情報生成部は、前記蓄電装置から放電する場合において、
時刻nにおける電源mに由来する充電率と放電電力を次の式(10)に基づいて求める 請求項1、請求項2、請求項6のうちいずれか1項に記載の電力管理装置。
【数5】
【請求項8】
前記蓄電装置から放電または前記蓄電装置に対して充電を行っていない場合において、当該蓄電装置の充電率に変動がある場合には、次の式(11)に基づいて充電率を補正する
請求項6または請求項7に記載の電力管理装置。
【数6】
【請求項9】
前記蓄電装置は、前記買電電力と前記再生可能エネルギーに基づく電力と発電機から得られる電力とを含みうる複数の電源から充電可能であり、いずれの電源から当該充電を行うかについて、優先順位に従った順に充電を行うものであり、
前記トラッキング情報生成部は、前記蓄電装置を充電する場合において、
蓄電池のトータル残量の変化分から、最も優先度の高い電源から蓄電池に対して供給された電力で充電した場合の容量を減算し、減算された後のトータル残量の変化分から、次に優先度の高い電源から得られた電力で充電した場合の容量を減算し、これを優先度が最も低い電源となるまで順に計算を行い、
得られた計算結果に基づいて、トラッキング情報を生成する
請求項1または請求項2に記載の電力管理装置。
【請求項10】
前記蓄電装置は、前記買電電力と前記再生可能エネルギーに基づく電力と発電機から得られる電力とを含みうる複数の電源から充電可能であり、いずれの電源に由来する電力から放電を行うかについて、優先順位に従った順に放電を行うものであり、
前記トラッキング情報生成部は、前記蓄電装置から充電する場合において、
蓄電池のトータル残量の変化分から、最も優先度の高い電源に由来して充電された蓄電池容量から負荷に対して放電された容量分を減算し、減算された後のトータル残量の変化分から、次に優先度の高い電源に由来して充電された蓄電池容量から負荷に対して放電された容量分を減算し、これを優先度が最も低い電源となるまで順に計算を行い、
得られた計算結果に基づいて、トラッキング情報を生成する
請求項1、請求項2、請求項9のうちいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項11】
複数のノードが接続されるブロックチェーンと、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力とを充電可能な蓄電装置を有する需要家施設の当該蓄電装置とに接続される電力管理装置とを含む電力管理システムであって、
前記電力管理装置は、
前記再生可能エネルギーによって発電された電力を測定した測定結果と前記蓄電装置から出力される電力を測定した測定結果とを取得する電力情報取得部と、
前記蓄電装置から放電する場合には、前記電力情報取得部によって得られた測定結果に基づいて、
前記蓄電装置の充電率のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、買電電力に由来して充電された充電率と、
蓄電装置からの出力電力のうち、再生可能エネルギーに由来する出力電力と、買電電力に由来する出力電力と、
を含むトラッキング情報を生成するトラッキング情報生成部と、
前記生成されたトラッキング情報を前記複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする登録要求部と、
を有する電力管理システム。
【請求項12】
複数のノードが接続されるブロックチェーンと、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力とを充電可能な蓄電装置を有する需要家施設の当該蓄電装置とに接続される電力管理装置とを含む電力管理システムであって、
前記電力管理装置は、
前記再生可能エネルギーによって発電された電力を測定した測定結果と前記蓄電装置から出力される電力を測定した測定結果とを取得する電力情報取得部と、
前記蓄電装置を充電する場合には、前記電力情報取得部によって得られた測定結果に基づいて、
前記蓄電装置の充電率のうち、
蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、
買電電力に由来して充電された充電率と、
を表すトラッキング情報を生成するトラッキング情報生成部と、
前記生成されたトラッキング情報を前記複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする登録要求部と、
を有する電力管理システム。
【請求項13】
複数のノードが接続されブロックチェーンと、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力とを充電可能な蓄電装置を有する需要家施設の当該蓄電装置とに接続される電力管理装置において実行される電力管理方法であって、
前記電力管理装置の電力情報取得部が、前記再生可能エネルギーによって発電された電力を測定した測定結果と前記蓄電装置から出力される電力を測定した測定結果とを取得し、
前記電力管理装置のトラッキング情報生成部が、前記蓄電装置からの放電時には、前記電力情報取得部によって得られた測定結果に基づいて、前記蓄電装置の充電率のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、買電電力に由来して充電された充電率と、蓄電装置からの出力電力のうち、再生可能エネルギーに由来する出力電力と、買電電力に由来する出力電力と、を含むトラッキング情報を生成し、
前記電力管理装置の登録要求部が、前記生成されたトラッキング情報を前記複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする
電力管理方法。
【請求項14】
複数のノードが接続されブロックチェーンと、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力とを充電可能な蓄電装置を有する需要家施設の当該蓄電装置とに接続される電力管理装置において実行される電力管理方法であって、
前記電力管理装置の電力情報取得部が、前記再生可能エネルギーによって発電された電力を測定した測定結果と前記蓄電装置から出力される電力を測定した測定結果とを取得し、
前記電力管理装置のトラッキング情報生成部が、前記蓄電装置の充電時には、前記電力情報取得部によって得られた測定結果に基づいて、前記蓄電装置の充電率のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、買電電力に由来して充電された充電率と、を表すトラッキング情報を生成し、
前記電力管理装置の登録要求部が、前記生成されたトラッキング情報を前記複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする
電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気候変動をもたらす温室効果ガスの大幅削減が求められる中、大手企業は社会と自社の持続可能な発展のため、環境経営の取組みを強化する動きが活発化してきた。例えば、企業が事業活動で使う電気全量の再生可能エネルギー(以下、再エネと称す)化を目指す国際的な企業連合「RE100」への参加企業数は年々増加傾向にあり、世界では288社、うち国内では50社(2021年2月時点)が参加している。
参加企業は、事業運営を100%再生可能エネルギーで賄う計画・目標を宣言する必要があることから、再エネ利用率向上へのニーズが急上昇する兆しが見える。企業が再エネ利用率を向上するには、再エネに由来しているという環境価値が証明されている電力を調達する必要がある。
【0003】
再エネ電力の調達方法としては、(a)自社敷地内に再エネ発電所を設けて消費、(b)オフサイトに自社で再エネ発電所を設けて自己託送、(c)小売電気事業者からの調達、が想定される。また、再エネ電力の環境価値の証明の方法としては、例えばブロックチェーンによる電源トラッキングが考えられる。
自社敷地内や外部から供給した再エネ電力の環境価値を証明可能であることから、環境価値を失うことなく信頼性の高い再エネ利用率の管理が実現できる。
電源トラッキングに関する公知事例としては、例えば余剰電力を有する電力設備もしくは発電設備と蓄電設備が直接取引する電力取引システムがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-153275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電源トラッキングでは、系統内に蓄電池のような蓄電装置が存在する場合、トラッキングが難しいという課題がある。例えば、太陽光発電装置と商用系統の双方に接続された蓄電池に充電を行った後、この蓄電池から電力を出力する場合、その電力が買電由来の電力であるか太陽光の電力であるか特定することができない。そのため、電源トラッキングが困難となり、再エネ電力の利用状況の証明が難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、蓄電装置を有するシステムであっても電源トラッキングを可能とする電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、複数のノードが接続されるブロックチェーンと、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力とを充電可能な蓄電装置を有する需要家施設の当該蓄電装置とに接続される電力管理装置であって、前記再生可能エネルギーによって発電された電力を測定した測定結果と前記蓄電装置から出力される電力を測定した測定結果とを取得する電力情報取得部と、前記蓄電装置から放電する場合には、前記電力情報取得部によって得られた測定結果に基づいて、前記蓄電装置の充電率のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、買電電力に由来して充電された充電率と、蓄電装置からの出力電力のうち、再生可能エネルギーに由来する出力電力と、買電電力に由来する出力電力と、を含むトラッキング情報を生成するトラッキング情報生成部と、前記生成されたトラッキング情報を前記複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする登録要求部と、を有する。
【0008】
本発明の一態様は、複数のノードが接続されるブロックチェーンと、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力とを充電可能な蓄電装置を有する需要家施設の当該蓄電装置とに接続される電力管理装置であって、前記再生可能エネルギーによって発電された電力を測定した測定結果と前記蓄電装置から出力される電力を測定した測定結果とを取得する電力情報取得部と、前記蓄電装置を充電する場合には、前記電力情報取得部によって得られた測定結果に基づいて、前記蓄電装置の充電率のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、買電電力に由来して充電された充電率と、を表すトラッキング情報を生成するトラッキング情報生成部と、前記生成されたトラッキング情報を前記複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする登録要求部と、を有する。
【0009】
本発明の一態様は、複数のノードが接続されるブロックチェーンと、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力とを充電可能な蓄電装置を有する需要家施設の当該蓄電装置とに接続される電力管理装置において実行される電力管理方法であって、前記電力管理装置の電力情報取得部が、前記再生可能エネルギーによって発電された電力を測定した測定結果と前記蓄電装置から出力される電力を測定した測定結果とを取得し、前記電力管理装置のトラッキング情報生成部が、前記蓄電装置からの放電時には、前記電力情報取得部によって得られた測定結果に基づいて、前記蓄電装置の充電率のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、買電電力に由来して充電された充電率と、蓄電装置からの出力電力のうち、再生可能エネルギーに由来する出力電力と、買電電力に由来する出力電力と、を含むトラッキング情報を生成し、前記電力管理装置の登録要求部が、前記生成されたトラッキング情報を前記複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする電力管理方法である。
【0010】
本発明の一態様は、複数のノードが接続されるブロックチェーンと、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力とを充電可能な蓄電装置を有する需要家施設の当該蓄電装置とに接続される電力管理装置において実行される電力管理方法であって、前記電力管理装置の電力情報取得部が、前記再生可能エネルギーによって発電された電力を測定した測定結果と前記蓄電装置から出力される電力を測定した測定結果とを取得し、前記電力管理装置のトラッキング情報生成部が、前記蓄電装置の充電時には、前記電力情報取得部によって得られた測定結果に基づいて、前記蓄電装置の充電率のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、買電電力に由来して充電された充電率と、を表すトラッキング情報を生成し、前記電力管理装置の登録要求部が、前記生成されたトラッキング情報を前記複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする電力管理方法である。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、この発明によれば、蓄電装置を有するシステムであっても電源トラッキングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施形態による電源トラッキングシステム1の構成を示す概略ブロック図である。
図2】電力管理装置231の機能を説明する概略ブロック図である。
図3】電力管理装置231の動作について説明するフローチャートである。
図4A】蓄電池の由来について説明する図である。
図4B】蓄電池の由来について説明する図である。
図5】他の実施形態による電源トラッキングシステム1の構成を示す概略ブロック図である。
図6】電力管理装置231Aの機能を説明する概略ブロック図である。
図7】電力小売りの電源トラッキングに適用する場合について説明する図である。
図8】電源トラッキングシステム1Bの構成を示す概略ブロック図である。
図9】電力管理装置231Bの計算結果の例を示す図である。
図10】電力管理装置231Bの計算結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による電源トラッキングシステム1について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態による電源トラッキングシステム1の構成を示す概略ブロック図である。
電源トラッキングシステム1は、ブロックチェーンプラットフォーム10と、需要家施設20と、商用電源30と、ネットワーク40を含む。
ブロックチェーンプラットフォーム10と需要家施設20は、ネットワーク40を介して通信可能に接続される。需要家施設20と商用電源30は、電力線を介して接続される。
【0014】
≪ブロックチェーンプラットフォーム10≫
ブロックチェーンプラットフォーム10は、複数のノード101(ノード101a、ノード101b、ノード101c、ノード101d、ノード101e、ノード101f。以下、特に識別しない場合には単にノード101と称する)、がネットワーク102を介して通信可能に接続される。
複数のノード101は、それぞれコンピュータによって構成される。各ノード101は、自ノードに接続された需要家施設のコンピュータから送信される、電力の使用状況を示すデータを一定時間毎に受信する毎にこのデータのハッシュ値を求め、他のノードへ送信する分散型台帳の形態を有する。このようなブロックチェーン技術を用いられることで、各需要家施設における電力の使用状況が改ざんされないように保存される。
【0015】
需要家施設20は、電力メータ201と、負荷202と、計測装置203と、PV(Photovoltaic)パネル211と、PCS(Power Conditioning Subsystem)212と、蓄電池221と、電力管理装置231とが、ケーブル241を介して接続される。ケーブル241は、電力線や通信線を含み得る。
【0016】
≪商用電源30≫
商用電源30は、電力会社の発電設備において発電された電力を供給する。
商用電源30は、買電電力の供給源の一例である。
【0017】
≪電力メータ201≫
電力メータ201は、商用電源30とケーブル241とに接続され、商用電源30から負荷や蓄電池に221に供給される電力を計測し、計測結果を電力管理装置231にケーブル241を介して送信する。電力メータ201は、計測結果を電力管理装置231に対して無線によって送信するようにしてもよい。
【0018】
≪負荷202≫
負荷202は、商用電源30から供給される電力、蓄電池221から供給される電力、PCS212を介してPVパネル211から供給される電力のうち少なくともいずれか1つが供給されることで稼働する。
【0019】
≪計測装置203≫
計測装置203は、負荷に供給される電力を計測し、計測結果を電力管理装置231に出力する。
【0020】
≪PVパネル211≫
PVパネル211は、太陽光発電装置であり、太陽光を太陽電池によって電力に変換することで得られる再生可能エネルギーをPCS212を介して蓄電池221または負荷202に出力する。
PVパネル211は、負荷202と同一敷地内に設置された設備、オフサイトの自社設備、再生可能エネルギー提供事業者が所有する設備、のいずれであってもよい。
【0021】
≪PCS212≫
PCS212は、PVパネル211から供給される直流の電力(再生可能エネルギー)を交流の電力に変換して負荷や蓄電池221に供給する。ここでPCS212は、交流の電力を蓄電池221に供給するようにしてもよいし、交流の電力を蓄電池221に供給してもよい。
また、PCS212は、PVパネル211から得られる電力を計測し、計測結果を電力管理装置231に送信するコントローラを有する。
【0022】
≪蓄電池221≫
蓄電池221は、PVパネル211によって発電された電力と、商用電源30から供給される電力とのうち少なくともいずれか一方から供給される電力を蓄積し、蓄積された電力を負荷202に供給する。
蓄電池221には、コントローラが設けられている。このコントローラは、蓄電池から出力する出力電力を計測し計測結果を電力管理装置231に送信する機能、外部から供給される電力(再生可能エネルギーまたは商用電源)を充電する充電電力を計測し計測結果を電力管理装置231に送信する機能、蓄電池221のSOCを測定し計測結果を電力管理装置に231に送信する機能、を有する。
【0023】
この蓄電池221は、蓄電装置の一例であり、電力を蓄積することが可能であれば他の蓄電装置であってもよい。他の蓄電装置としては、例えば、水の電気分解を行うことで得られる水素を貯蔵しておき発電時において燃料電池を用いて出力する水素システム、電気エネルギーを回転運動の物理的エネルギーに変換して蓄積しておき発電時において回転運動の物理的エネルギーから電気エネルギーに変換して出力するフライホイール、電力を利用して水を上部に汲み上げておき発電時において上部から水を供給することで発電する揚水発電装置であってもよい。
また、蓄電池221は、PVパネル211から供給される電力によって充電することができるため、再生可能エネルギーを蓄積しておき、放電が必要なタイミングで負荷202に供給する。これにより、需要家施設20においては、PVパネル211から供給される再生可能エネルギーを蓄電池221に一旦充電した後で放電することで需要家施設20内(例えば負荷202)において利用することができる。
なお、需要家施設20においては、PVパネル211から供給される再生可能エネルギーを蓄電池221に充電することなく負荷202に供給することも可能である。
【0024】
≪電力管理装置231≫
電力管理装置231は、需要家施設20内(例えば負荷202)において使用される電力の由来(再生可能エネルギーであるか商用電源であるか)を判定する機能を有し、この判定結果に基づいて、蓄電池221の充放電電力に電力のトラッキング情報を付加してブロックチェーンプラットフォーム10に送信する機能を有する。
需要家施設20内において使用される電力を電力管理装置231からブロックチェーンプラットフォーム10に送信することで、需要家施設20内において使用される電力のうち再生可能エネルギーに由来した電力によってどの程度賄うことができたかをブロックチェーンプラットフォーム10に通知することができる。ブロックチェーンプラットフォーム10においては、この通知を基に分散台帳に電子的に記憶することで、再生可能エネルギーの環境価値の証明に用いることが可能となる。
【0025】
図2は、電力管理装置231の機能を説明する概略ブロック図である。
電力管理装置231は、電力情報取得部2311、トラッキング情報生成部2312、登録要求部2313、記憶部2314を含む。これら電力情報取得部2311、トラッキング情報生成部2312、登録要求部2313は、例えばCPU(中央処理装置)等の処理装置若しくは専用の電子回路で構成されてよい。
【0026】
電力情報取得部2311は、時刻nにおける買電電力[kW]、時刻nにおける負荷電力[kW]、時刻nにおけるPV電力[kW]、時刻nにおける蓄電池出力(放電正)[kW]、時刻nにおけるSOC測定値[%]を取得する。これらの変数は次の(1)に示す通りである。
【数1】
【0027】
電力情報取得部2311は、時刻nにおける買電電力[kW]について、電力メータ201から取得し、時刻nにおける負荷電力[kW]について、計測装置203から取得し、時刻nにおけるPV電力[kW]について、PCS212のコントローラから取得し、時刻nにおける蓄電池出力(放電正)[kW]と時刻nにおけるSOC測定値[%]について、蓄電池221に設けられたコントローラから取得する。
【0028】
トラッキング情報生成部2312は、蓄電装置への電力の蓄積または蓄電装置から外部への放電を行う場合に、電力情報取得部2311から得られるデータに基づいて、蓄電装置の充電率のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、買電電力に由来して充電された充電率と、を含むトラッキング情報を生成する。例えば、このトラッキング情報に含まれる情報を利用することで、例えば、現在の蓄電装置の充電率が80%であって、その充電率A%のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率がA1%であり、買電電力に由来して充電された充電率がA2%であることが把握できる(充電率A=A1+A2)。
また、トラッキング情報生成部2312は、蓄電装置から電力を放電する場合に、電力情報取得部2311から得られるデータに基づいて、蓄電装置の充電率のうち、蓄電装置において再生可能エネルギーに由来して充電された充電率と、買電電力に由来して充電された充電率と、を含むとともに、蓄電装置からの出力電力のうち、再生可能エネルギーに由来する出力電力と、買電電力に由来する出力電力と、を含むトラッキング情報を生成する。
【0029】
登録要求部2313は、生成されたトラッキング情報を複数のノードのうち第1ノードに送信するとともに分散台帳への登録要求をする。
トラッキング情報を送信する対象となる第1ノードは、ブロックチェーンプラットフォーム10を構成するノードであればいずれであってもよい。この実施形態においては、第1ノードがノード101eである場合について説明する。
【0030】
記憶部2314は、各種情報を記憶する。例えば、記憶部2314は、蓄電池の定格容量WBATを記憶する。
また、記憶部2314は、電力管理装置231から第1ノードに送信したトラッキング情報を記憶する。
記憶部2314は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。この記憶部2314は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
【0031】
次に、上述した電力管理装置231の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。電力管理装置231は、トラッキング情報をノードに送信するタイミングが到来する毎にこのフローチャートに示す処理を実行する。例えば、電力管理装置231は、ブロックチェーンプラットフォーム10においてブロックを生成する時間間隔に合うタイミングで順次トラッキング情報を送信する。
電力管理装置231の電力情報取得部2311は、時刻nにおける買電電力[kW]、時刻nにおける負荷電力[kW]、時刻nにおけるPV電力[kW]、時刻nにおける蓄電池出力(正:放電,負:充電)[kW]、時刻nにおけるSOC測定値[%]を取得する(ステップS101)。SOC測定値は、SOC(State Of Charge)を測定した値であり、充電率を測定した測定結果である。
【0032】
次に、トラッキング情報生成部2312は、時刻nにおける蓄電池出力が0未満であるか否かを判定することで、充電、放電のいずれであるかを判定する(ステップS102)。例えば、トラッキング情報生成部2312は、時刻nにおける蓄電池出力が0未満である場合には、時刻nにおいて蓄電池が充電状態であると判定し、時刻nにおいて蓄電池出力が0以上である場合には放電状態であると判定する。
トラッキング情報生成部2312は、蓄電池221の稼動状態が充電であると判定した場合には、蓄電池221のSOCのうち、再生可能エネルギーに由来して充電された分のSOCの値と、買電(商用電源30から供給された電力)に由来して充電された分のSOCの値と、を求める(ステップS103)。
ここで、トラッキング情報生成部2312は、現在、蓄電池221に対して充電している充電電力が全て再生可能エネルギーに由来するものであるか、充電電力のうち少なくとも一部に買電電力に由来するものであるかに応じて、異なる算出方法にて算出する。蓄電池221に対して充電している充電電力が全て再生可能エネルギーである場合とは、蓄電池221の充電を行うための充電電力が、全てPVパネル211において発電されPCS212を介して供給された電力である場合である。すなわち、商用電源30から供給を受けずに蓄電池221を充電している場合ともいえる。
【0033】
《全て再生可能エネルギーに由来する場合》
蓄電池221の充電を行うための充電電力が、全てPVパネル211において発電され供給された電力であるか、充電電力のうち少なくとも一部に買電電力に由来するものであるかについては、例えば、下記の式(2)または式(5)を用いて判定することができる。
トラッキング情報生成部2312は、電力情報取得部2311から得られたデータを用い、下記の(2)式が成立する場合には、全て再生可能エネルギーに由来して充電されている場合であると判定する。
【数2】
【0034】
ここで、PV電力の蓄電優先度Xは、0から1の範囲におけるいずれかの数が用いられる。例えば、PVパネル211から供給される電力(PV電力)をすべて蓄電して余剰分を負荷に使う場合はX=1、PV電力の半分を極力蓄電する場合はX=0.5、PV電力を極力負荷で直接利用して余剰分を蓄電する場合はX=0が用いられる。PV電力の蓄電優先度Xは、数が大きいほど、蓄電池221に蓄電される優先度合いが高い。
【0035】
トラッキング情報生成部2312は、この式(2)を用いることで、1つ前の時刻において得られるSOCの測定値と、現在時刻において得られるSOCの測定値との差と、蓄電池定格容量との積を計測時間刻みで割った値を求め、この値と、PV電力の蓄電優先度と時刻nにおけるPVパネルの発電電力との積と、を比較し、当該積の方が大きい場合に、蓄電池221の充電を行うための充電電力が、全てPVパネル211において発電され供給された電力である、と判定することができる。例えば、ある時間において増加したSOCより、蓄電優先度に応じて蓄電側に供給されたPVパネルからの電力の方が大きい場合には、全てPVパネル211において発電され供給された電力である、と判定することができる。
【0036】
全てPVパネル211において発電され供給された電力である、と判定された場合、トラッキング情報生成部2312は、再生可能エネルギーに由来する充電率を次の(3)式に基づいて求める。
【数3】
また、トラッキング情報生成部2312は、買電電力に由来する充電率を次の(4)式に基づいて求める。
【数4】
【0037】
なお、再生可能エネルギーに由来する充電率の初期値と、買電電力に由来する充電率の初期値は、蓄電池221を買電電力のみまたは再生可能エネルギーのみで満充電にした状態にしてき、この状態に応じた値を初期値として与えるようにしてもよい。また、蓄電池221のSOCが0(%)にした状態にしておき、この状態に応じた値を初期値として与えるようにしてもよい。
【0038】
《少なくとも一部が買電電力に由来する場合》
トラッキング情報生成部2312は、電力情報取得部2311から得られたデータを用い、下記の(5)式が成立する場合には、少なくとも一部が買電電力に由来して充電されている場合であると判定する。
【数5】
【0039】
トラッキング情報生成部2312は、この式(5)を用いることで、1つ前の時刻において得られるSOCの測定値と、現在時刻において得られるSOCの測定値との差と、蓄電池定格容量との積を計測時間刻みで割った値を求め、この値と、PV電力の蓄電優先度と時刻nにおけるPVパネルの発電電力との積と、を比較し、当該値が当該積以上の値である場合に、蓄電池221の充電を行うための充電電力が、少なくとも一部について買電電力に由来している電力である、と判定することができる。例えば、ある時間において増加したSOCが、蓄電優先度に応じて蓄電側に供給されたPVパネルからの電力以上である場合には、少なくとも一部について買電電力に由来している、と判定する。
【0040】
少なくとも一部について買電電力に由来している電力である、と判定された場合、トラッキング情報生成部2312は、再生可能エネルギーに由来する充電率を次の(6)式に基づいて求める。
【数6】
また、トラッキング情報生成部2312は、買電電力に由来する充電率を次の(7)式に基づいて求める。
【数7】
【0041】
登録要求部2313は、トラッキング情報生成部2312によって、再生可能エネルギーに基づくSOCと、買電由来のSOCとが求められると、求められた再生可能エネルギーに基づくSOCと、買電由来のSOCとを含む情報をトラッキング情報として、第1ノードに対し、分散台帳に登録するよう要求する命令とともに送信する(ステップS105)。
ここでは、登録要求部2313は、需要家施設20における時刻nにおける買電電力、時刻nにおける負荷電力、時刻nにおける太陽光発電出力(PV電力)、蓄電池の充放電電力(出力電力)、蓄電池のSOC値(PV由来のSOC、買電由来のSOC)も含めた情報をトラッキング情報として、第1ノードに分散台帳への登録要求とともに送信するようにしてもよい。
【0042】
ステップS102において、トラッキング情報生成部2312は、蓄電池221の稼動状態が放電であると判定した場合には、時刻nにおける再生可能エネルギーもしくは買電由来のSOCの値と、出力電力の値と、を求める。
ここで、トラッキング情報生成部2312は、時刻nにおける再生可能エネルギーを下記の(8)式に基づいて求める。
【数8】
【0043】
また、トラッキング情報生成部2312は、買電由来のSOCの値を、下記の(9)式に基づいて求める。
【数9】
【0044】
また、トラッキング情報生成部2312は、出力電力を下記の(10)式に基づいて求める。
【数10】
【0045】
また、トラッキング情報生成部2312は、出力電力を下記の(11)式に基づいて求める。
【数11】
【0046】
登録要求部2313は、トラッキング情報生成部2312によって、再生可能エネルギーに由来するSOCと、買電電力に由来するSOCと、再生可能エネルギーに由来する出力電力と、買電電力に由来する出力電力とが求められると、これらをトラッキング情報として、第1ノードに対し、分散台帳に登録するよう要求する命令とともに送信する(ステップS105)。ここでは、トラッキング情報生成部2312は、蓄電池221が放電状態であることを示す情報と、再生可能エネルギーに由来するSOCと、買電電力に由来するSOCとをトラッキング情報として送信してもよい。
ここでは、登録要求部2313は、需要家施設20における時刻nにおける買電電力、時刻nにおける負荷電力、時刻nにおける太陽光発電出力(PV電力)、蓄電池の充放電電力(出力電力)、蓄電池のSOC値(PV由来のSOC、買電由来のSOC)を含む情報をトラッキング情報として、第1ノードに分散台帳への登録要求とともに送信するようにしてもよい。
【0047】
上述した実施形態によれば、蓄電池221のSOCについて、再生可能エネルギーに由来するSOCと、買電電力に由来するSOCとを求め、トラッキング情報としてブロックチェーンプラットフォーム10に送信するようにした。このトラッキング情報の送信は、ブロックチェーンプラットフォーム10においてブロック生成をする時間間隔に応じたタイミングが到来する毎に行われる。これにより、蓄電池のSOCの増減時(充放電時)における電力が、再生可能エネルギー由来、もしくは買電由来の電力であるかを把握することが可能となり、管理対象の需要家施設が蓄電装置を含む場合であって、蓄電装置から出力された電力に再生可能エネルギーに由来する電力がどの程度含まれているかを把握することが可能となる。そして、トラッキング情報をブロックチェーンプラットフォーム10において管理することで、トラッキング情報を台帳情報として保存し、管理することが可能となるため、環境価値を証明することが可能となる。
【0048】
また、ブロックチェーン技術が用いられることから、トラッキング情報は改ざんされにくい。
また、上述した実施形態によれば、蓄電装置において自己放電により蓄電量が減少した場合や充放電ロスが生じた場合もトラッキング情報として管理することも対応可能となる。
なお、上述した実施形態において、需要家施設において、蓄電装置がないシステムである場合、電力管理装置231は、太陽光発電出力と買電電力から負荷へ供給される電力の由来をトラッキング情報としてノードに送信し、ブロックチェーン上に書き込まれるようにしてもよい。
【0049】
以上説明した実施形態においては、図4Aに示すように、蓄電池のSOCの増減時(充放電時)における電力が、再生可能エネルギー由来(PV由来)、もしくは買電由来の電力を含む場合であっても、再生可能エネルギー由来(PV由来)、もしくは買電由来の電力のいずれであるかを把握することが可能となる。これにより、蓄電池を含むシステムにおいても、環境価値を照明することができる場合について説明した。
【0050】
次に、他の実施形態として、図4Bに示すように、蓄電池のSOCの増減時(充放電時)における電力が、複数種類の電源(商用系統、再エネ(PV由来、風力発電)、発電機等を含む)のうちいずれに由来するかを管理することにより、蓄電池を含むシステムの場合であっても、環境価値を証明することを可能とする場合について説明する。
すなわち、電源は、商用系統、PV発電の他にも、風力発電、発電機等も利用される場合がある。このように多種の電源が組み合わされたシステムにおいて蓄電池に充電を行った場合、充電された蓄電量が買電、PV、風力発電、発電機のうちのどの電源由来であるかを特定できない場合には、電源トラッキングが困難となる。そのため、蓄電池のような蓄エネルギー装置を有するシステムにおいて、複数種類の電源が用いられる場合には、電源トラッキングを可能とするシステムが求められている。
【0051】
図5は、他の実施形態による電源トラッキングシステム1の構成を示す概略ブロック図である。この他の実施形態においては、図1に示す電源トラッキングシステム1と共通する機能については同一の符号を付し、異なる部分について説明する。
図1に示す電源トラッキングシステム1では、ケーブル241に、商用電源30、蓄電池221、PVパネル211の電源が接続され、蓄電池221は、商用電源30とPVパネル211とから充電が可能であったが、この他の実施形態においては、ケーブル241に、商用電源30、蓄電池221、PVパネル211だけでなく、他の電源として風力発電装置222、発電機225の電源が接続され、蓄電池221は、商用電源30、PVパネル211、風力発電装置222、発電機225から充電が可能である。
【0052】
風力発電装置222は、風力を受けて風車を回し、その動力を発電機によって電力に変換することで得られる再生可能エネルギーを蓄電池221または負荷202に出力する。計測装置223は、風力発電装置222によって発電される電力を計測し、計測結果を電力管理装置231Aに出力する。
発電機225は、発電することで得られる電力を蓄電池221または負荷202に出力する。計測装置226は、発電機225によって発電される電力を計測し、計測結果を電力管理装置231Aに出力する。
【0053】
ここでは、蓄電池221に充電可能な電源は、商用電源30、PVパネル211、風力発電装置222、発電機225を用いる場合について説明するが、これに限られるものではなく、買電電力と再生可能エネルギーに基づく電力と発電機から得られる電力とを含みうる第1から第mまでの電源mから充電可能である。
例えば、蓄電池221を充電する電源は、複数の再生可能エネルギーに基づく電力であってもよい。この場合、例えばPVパネル211と風力発電装置222とであってもよい。
また、例えば、蓄電池221を充電する電源は、1つまたは複数の再生可能エネルギーに基づく電力と、1つまたは複数の再生可能エネルギーに基づく電力とは異なる電力とであってもよい。この場合、再生可能エネルギーに基づく電力が、複数の電源(PVパネル211と風力発電装置222)であって、再生可能エネルギーに基づく電力とは異なる電力が、1つの電源(例えば商用電源30)である場合であってもよい。また、例えば、再生可能エネルギーに基づく電力が、1つの電源(PVパネル211)であって、再生可能エネルギーに基づく電力とは異なる電力が、複数の電源(商用電源30と2台以上の発電機225等)が用いられる場合であってもよい。また、例えば、再生可能エネルギーに基づく電力が、複数の電源(複数のPVパネル211と風力発電装置222)であって、再生可能エネルギーに基づく電力とは異なる電力が、複数の電源(商用電源30、複数の発電機225)が用いられる場合であってもよい。
また、例えば、蓄電池221を充電する電源は、複数の再生可能エネルギーに基づく電力とは異なる電力であってもよい。この場合、複数の再生可能エネルギーに基づく電力とは異なる電力が、商用電源30と、発電機225とであってもよい。
【0054】
図6は、電力管理装置231Aの機能を説明する概略ブロック図である。
電力管理装置231Aは、電力情報取得部2311A、トラッキング情報生成部2312A、登録要求部2313、記憶部2314を含む。これら電力情報取得部2311A、トラッキング情報生成部2312A、登録要求部2313は、例えばCPU(中央処理装置)等の処理装置若しくは専用の電子回路で構成されてよい。登録要求部2313、記憶部2314については、図2に示す登録要求部2313、記憶部2314と同様の機能を有する。
【0055】
電力情報取得部2311Aは、時刻n-1~nにおける蓄電池充放電電力量(放電正)[kWh]、時刻n-1~nにおける電源m由来の蓄電池充放電電力量(放電正)[kWh]、時刻nにおける蓄電池SOC値(測定値)[%]、時刻nにおける電源m由来の蓄電池SOC値(計算値)[%]、時刻nにおけるSOC測定値[%]を取得する。これらの変数は次の(12)に示す通りである。
【数12】
【0056】
ここで、電力情報取得部2311Aは、時刻n-1~nにおける蓄電池充放電電力量(放電正)[kWh]は、下記の式(13)に基づいて求めることができる。
【数13】
【0057】
また、電力情報取得部2311Aは、時刻nにおける蓄電池SOC値(測定値)[%]は、下記の式(14)から求めることができる。
【数14】
【0058】
電力情報取得部2311Aは、時刻n-1~nにおける電源m由来の蓄電池充放電電力量(放電正)[kWh]について、蓄電池221の充電時においては、電源mから蓄電池221に対して供給される電力を電源mに設けられた計測装置から得る。例えば、この例では電源mは、商用電源30、PVパネル211、風力発電装置222、発電機225の4つ(m=4)である。商用電源30から蓄電池221に供給される電力は、電力メータ201の計測値から求める。PVパネル211から蓄電池221に供給される電力は、PCS212の計測値から求める。風力発電装置222から蓄電池221に供給される電力は、計測装置223の計測値から求める。発電機225から蓄電池221に供給される電力は、計測装置226の計測値から求める。
【0059】
電力情報取得部2311Aは、蓄電池221の充電時においては、時刻nにおける電源m由来の蓄電池SOC値(計算値)[%]については、下記の式(15)に基づいて求める。また、電力情報取得部2311Aは、蓄電池221の放電時においても、時刻nにおける電源m由来の蓄電池SOC値(計算値)[%]について、下記の式(15)に基づいて求めることができる。
【数15】
【0060】
ここで、電力情報取得部2311Aは、時刻n-1~nにおける電源m由来の蓄電池充放電電力量(放電正)[kWh]について、蓄電池221の放電時においては、下記の式(16)に基づいて求める。
【数16】
【0061】
また、電力情報取得部2311Aは、各電源mの時刻n-1からnの電力の瞬時電力の平均値は、上記の式(16)によって得られる、時刻nにおける電源m由来の蓄電池充放電電力量(放電正)[kWh]をΔtで除するにより算出することができる。
【0062】
ここで、蓄電池221は、自己放電やSOCの測定誤差等が生じた場合には、充電も放電も行っていないにもかかわらす、SOCが変動する。この場合、電力情報取得部2311Aは、下記の式(17)に基づいて補正することができる。
【数17】
このように、電力情報取得部2311Aは、充電及び放電を行っていない状態において、SOCが変動したことを検出した場合には、このような補正を行うことで、蓄電池221が自己放電等により蓄電量が減少した場合や充放電ロスが生じた場合であっても対応可能となる。
【0063】
トラッキング情報生成部2312Aは、時刻nにおいて、蓄電装置への電力の充電を行う場合、及び蓄電装置から外部への放電を行う場合、電力情報取得部2311Aから得られるデータに基づいて、各電源mのそれぞれから出力される電力量、蓄電装置の充放電電力量、蓄電池のSOC値を求め、各電源mのそれぞれから出力される電力量、蓄電装置の充放電電力量、蓄電池のSOC値を含むトラッキング情報を生成する。
これにより、蓄電装置のSOCに、複数の電源mの由来を付与することができる。例えば、このトラッキング情報に含まれる情報を利用することで、現在の蓄電装置の充電率が80%であって、その充電率A%のうち、蓄電装置においてPVパネル211に由来して充電された充電率がA1%、風力発電装置222に由来して充電された充電率がA2%、商用電源30に由来して充電された充電率がA3%、発電機225に由来して充電された充電率がA4%であることが把握できる(充電率A=A1+A2+A3+A4)。このようなトラッキング情報の送信は、ブロックチェーンプラットフォームに対してブロックを送信するタイミングが到来する毎に行われる。
【0064】
図7は、上述の電源トラッキングシステム1Aでは、建物内での電源トラッキングを想定した場合を一例として説明したが、図7に示すように、電力小売りの電源トラッキングに適用することもできる。この場合、小売りされた電力が、どの電源mにどの程度由来しているかを把握することができる。
【0065】
以上説明した他の実施形態によれば、蓄エネルギー装置を含むシステムにおいても複数の電源mのそれぞれについてトラッキングが可能となり、再エネの環境価値証明が可能となる。
【0066】
次に、他の実施形態について説明する。
図5の電源トラッキングシステム1Aでは、蓄電装置に対する充放電制御を行うにあたり、蓄電装置に対する充電時においては、小売事業者が定めたルールに基づいて任意の電源から充電され、蓄電装置からの放電時においては、直前の充電状態(充電残量全体に占める各電源の比率)に従って均等に放電される場合について説明した。均等に放電する以外にも、放電の仕方がある。例えば、ユーザーによって、複数ある電源のうち、充放電時には特定の電源を優先的に使用したい場合がある。こうした場合には、以下のような構成を採用することで、複数の蓄電装置において優先順位に従って充電または放電を行った場合であっても、トラッキング情報を生成することができる。
【0067】
図8は、他の実施形態による電源トラッキングシステム1Bの構成を示す概略ブロック図である。
この図においては、電源トラッキングシステム1Bでは、ケーブル241Bに、複数の電源と、負荷と、蓄電池とが接続される。また、この図において図示が省略されているが、電源トラッキングシステム1Bには、電力メータ、計測装置、ブロックチェーンプラットフォーム、ノード等について図1図5等と同様に設けられる。
複数の電源のそれぞれから蓄電池221に供給される電力は、図5に示す電源トラッキングシステム1Aと同様に、計測装置によって計測され、計測結果が電力管理装置231Bに出力される。これにより、電力管理装置231Bは、各電源から蓄電池221に供給される電力を把握できるようになっている。
【0068】
複数の電源は、ここでは、電源1、電源2、電源3、電源4の4つの電源が接続されており、それぞれ異なる種類の電源が用いられる。例えば、商用電源、PVパネル、風力発電装置、発電機等を用いることができる。
蓄電池221は、充電時においては、電源1、電源2、電源3、電源4から供給される電源を利用して充電することができ、放電時においては、負荷202Bに電力を供給する。
負荷202Bは、電源1、電源2、電源3、電源4、蓄電池221のいずれからから供給される電力によって稼働する。
【0069】
電力管理装置231Bは、電力管理装置231または電力管理装置231Aの機能を有するとともに、複数の電源に設定された優先順位に従い、充電または放電を行った場合における蓄電池221における各電源に由来する充電または放電の量を計算することができる。
【0070】
〈変数および定数の定義〉
ここでは、各変数は次の(18)に示す通りである。
【数18】
【0071】
〈変数および定数の定義〉
電力管理装置231Bは、まず、
ΔC=C-Ct-Δt
を計算する。ここで、Cは、蓄電池221に設けられたコントローラによって蓄電池221の残量を計測することで得られる。
電力管理装置231Bは、ΔCが求まると、得られたΔCの値に応じた計算を行う。
【0072】
〈ΔC=0のとき〉
ΔC=0の場合は、蓄電池221の残量に変化がない場合に該当する。
この場合、電力管理装置231Bは、下記の式(19)に基づいて、時刻tにおける電源n由来の蓄電池残量を求める。
【数19】
【0073】
〈ΔC>0のとき〉
ΔC>0の場合は、蓄電池221の残量が増加した場合に該当する。
この場合、電力管理装置231Bは、電源1、電源2、電源3、電源4からの受電電力について、充電優先順位を決定する。例えば、優先度が高い順として、電源4、電源3、電源2、電源1とし、電源4の優先度を最も高いとして決定することができる。この優先度は、予め電力管理装置231Bの記憶部に記憶しておくようにし、これを読み出し、読み出された優先度に基づいて、優先順位を決定してもよい。
例えば、優先順位が電源4、電源3、電源2、電源1の順である場合、その変数で表すと下記の(20)の通りである。
【数20】
【0074】
優先順位が決定されると、電力管理装置231Bは、決定された優先順位にて以下の計算を行う。
【数21】
【0075】
電力管理装置231Bのトラッキング情報生成部は、蓄電池221のトータル残量の変化分から、最も優先度の高い電源から蓄電池に対して供給された電力で充電した場合の容量を減算する。次に、減算された後のトータル残量の変化分から、次に優先度の高い電源から得られた電力で充電した場合の容量を減算する。これを優先度が最も低い電源となるまで順に計算を行う。電源から蓄電池に対して供給される電力は、計測装置から得ることができる。
電力管理装置231Bが優先順位に従って各電源についての計算を完了するとΔC=0となる。ただし、受電データの欠損等によりΔC>0となる場合が考えられる。この場合、電力管理装置231Bは、あらかじめ指定した電源(たとえば商用電源)由来の蓄電池残量を割り当てる。
これにより、蓄電池221に充電した電力のうち、いずれの電源からどの程度の電力が充電されたかを求めることができる。
【0076】
電力管理装置231Bのトラッキング情報生成部は、このようにして得られたΔCに基づいて各電源に由来する充電電力を求めることで、いずれの電源からどの程度の電力が供給されることで充電されたかを示す情報を得ることができる。
トラッキング情報生成部は、これを用いて、時刻tにおいて、蓄電池221への電力の充電を行う場合、電力情報取得部から得られるデータに基づいて、各電源nのそれぞれから出力される電力量、蓄電装置の充放電電力量、蓄電池のSOC値を求め、各電源nのそれぞれから出力される電力量、蓄電池221の充放電電力量、蓄電池のSOC値を含むトラッキング情報を生成する。
これにより、蓄電池221のSOCに、複数の電源の由来を付与することができる。このようなトラッキング情報の送信は、ブロックチェーンプラットフォームに対してブロックを送信するタイミングが到来する毎に行われる。
【0077】
〈ΔC<0のとき〉
ΔC<0の場合は、蓄電池221の残量が減少した場合に該当する。
この場合、電力管理装置231Bは、電源1、電源2、電源3、電源4由来の蓄電池残量について、放電優先順位を決定する。
例えば、優先度が高い順として、電源1、電源2、電源3、電源4とし、電源1によって充電された電力からの放電の優先度が最も高いとして決定することができる。この優先度は、予め電力管理装置231Bの記憶部に記憶しておくようにし、これを読み出し、読み出された優先度に基づいて、優先順位を決定してもよい。
例えば、優先順位が電源1、電源2、電源3、電源4の順である場合、その変数で表すと下記の(22)の通りである。
【数22】
【0078】
優先順位が決定されると、電力管理装置231Bは、決定された優先順位にて以下の計算を行う。
【数23】
【0079】
電力管理装置231Bのトラッキング情報生成部は、蓄電池221のトータル残量の変化分から、最も優先度の高い電源に由来して充電された蓄電池容量から負荷に対して放電された容量分を減算し、減算された後のトータル残量の変化分から、次に優先度の高い電源に由来して充電された蓄電池容量から負荷に対して放電された容量分を減算し、これを優先度が最も低い電源となるまで順に計算を行う。ここで、充電から放電に切り替わった際において、時刻tにおける電源n由来の蓄電池残量は、充電時に上記の式(21)を用いて、充電から放電に切り替わる直前に求められた値を用いてもよい。
電力管理装置231Bが優先順位に従って各電源についての計算を完了すると、ΔC=0となる(計算の仕様上、必ず0になる)。
これにより、蓄電池221から負荷に放電された電力のうち、いずれの電源に由来する蓄電池残量から放電されたかを求めることができる。
【0080】
電力管理装置231Bのトラッキング情報生成部は、このようにして得られたΔCに基づいて各電源に由来する放電電力を求めることで、いずれの電源に由来する充電電力から放電された(負荷に供給された)かを示す情報を得ることができる。
トラッキング情報生成部は、これを用いて、時刻tにおいて、蓄電池221から放電を行う場合、各電源nのそれぞれから出力される電力量、蓄電装置の充放電電力量(いずれの電源に由来する充電電力から放電されたかを示す放電電力)、蓄電池のSOC値を求め、各電源nのそれぞれから出力される電力量、蓄電池221の充放電電力量(いずれの電源に由来する充電電力から放電されたかを示す放電電力)、蓄電池のSOC値を含むトラッキング情報を生成する。
これにより、蓄電池221のSOCに、複数の電源の由来を付与することができる。このようなトラッキング情報の送信は、ブロックチェーンプラットフォームに対してブロックを送信するタイミングが到来する毎に行われる。
【0081】
図9及び図10は、この実施形態における電力管理装置231Bの計算結果の例を示す図である。図9は、電力の時系列での推移を表しており、図10は、蓄電池残量の時系列での推移を表している。なお条件は7:00から14:00まで180kWで充電し、19:00から23:30まで50kWで放電を行った場合である。
充電優先順位は、電源4>電源3>電源2>電源1(電源4の優先順位が最も高い)、放電優先順位は、電源1>電源2>電源3>電源4(電源1の優先順位が最も高い)である。
図10を参照すること、充電時はc4を中心にc3、c2の順で蓄電残量が増加していることが確認できる。また、放電時は先にc1、c2の順で蓄電池残量を消費していることを確認することができる。
【0082】
上述した実施形態における電力管理装置231をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0083】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1,1A,1B…電源トラッキングシステム、10…ブロックチェーンプラットフォーム、20…需要家施設、30…商用電源、40…ネットワーク、101,101a,101b,101c,101d,101e,101f…ノード、102…ネットワーク、201…電力メータ、202…負荷、203,223,226…計測装置、211…PVパネル、221…蓄電池、222…風力発電装置、225…発電機、231,231A,231B…電力管理装置、241…ケーブル、2311,2311A…電力情報取得部、2312,2312A…トラッキング情報生成部、2313…登録要求部、2314…記憶部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10