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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079883
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/28 20060101AFI20220520BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
E06B7/28 C
F21V33/00 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190742
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】木村 聡志
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014PB05
(57)【要約】
【課題】扉体の屋外側に照明部を容易に設け、照明部により、扉体の屋外側の表面部に設けられる機能部品の視認性を向上させる。
【解決手段】建具1は、屋外側の表面部に機能部品30が設けられた扉体4を備えている。扉体4は、屋外側に設けられた化粧部材40と照明部50を備えている。化粧部材40は、扉体4の屋外側の表面部において屋外側に張り出して、機能部品30に向けて配置される張出部41を有する。照明部50は、張出部41に設けられて機能部品30を照らす。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉体の屋外側の表面部に機能部品が設けられた建具であって、
前記扉体は、前記表面部において屋外側に張り出して前記機能部品に向けて配置される張出部を有する化粧部材と、前記張出部に設けられて前記機能部品を照らす照明部と、を備えた建具。
【請求項2】
請求項1に記載された建具において、
前記機能部品は、前記扉体の戸先側の箇所に設けられ、
前記化粧部材は、前記機能部品に対して前記扉体の戸先の反対側に位置する建具。
【請求項3】
請求項2に記載された建具において、
前記化粧部材は、上下方向に沿って延び、
前記張出部は、前記扉体の戸先側に向けて配置されて、上下方向に沿って延びる建具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された建具において、
前記扉体は、前記照明部の光を前記扉体の屋内側へ透過させる採光部を備えた建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉体の屋外側の表面部に機能部品が設けられた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具である玄関のドアでは、扉体の屋外側の表面部に、鉤部品や把手等の機能部品が設けられている。扉体の解錠と施錠時には、鉤部品が操作され、扉体の開閉時には、把手が操作される。また、従来、戸先框に設けられた照明部から光を照射する戸体が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の戸体では、戸先框の室外側の部分と室内側の部分に照明部収容凹部が形成され、2つの照明部収容凹部のそれぞれに発光素子が配置されている。また、カバー材が戸先框に固定されて、カバー材により、照明部収容凹部が覆われている。照明部は、2つの照明部収容凹部内の発光素子により、戸体の室外側と室内側のそれぞれに光を照射する。しかしながら、従来の戸体では、照明部の構造が複雑であり、戸体への照明部の設置に手間がかかる。また、照明部は、戸体の内部から戸体の室外側と室内側に向かって光を照射する。そのため、照明部の光により、機能部品を照らせずに、機能部品の視認性を確保できない虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-105828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、扉体の屋外側に照明部を容易に設けるとともに、照明部により、扉体の屋外側の表面部に設けられる機能部品の視認性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、扉体の屋外側の表面部に機能部品が設けられた建具であって、
前記扉体は、前記表面部において屋外側に張り出して前記機能部品に向けて配置される張出部を有する化粧部材と、前記張出部に設けられて前記機能部品を照らす照明部と、を備えた建具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、扉体の屋外側に照明部を容易に設けられるとともに、照明部により、扉体の屋外側の表面部に設けられる機能部品の視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の建具の正面図である。
図2】本実施形態の建具の縦断面図である。
図3】本実施形態の建具の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の建具の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の建具は、開閉可能なドアであり、建物の開口部に取り付けられて、建物の屋内(室内)と屋外(室外)の間に設置される。以下では、建具が玄関に設置される開き戸である場合を例にとり、本実施形態の建具について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の建具1の正面図であり、建物2に設置された建具1を屋外側からみて示している。図2は、本実施形態の建具1の縦断面図であり、図3は、本実施形態の建具1の横断面図である。
図示のように、建具1は、開口部3Aを形成する枠体3と、枠体3の開口部3Aに配置される開閉可能な扉体4と、扉体4を枠体3に連結するヒンジ5を備えている。枠体3が建物2に設置されて、扉体4の開閉(回動)により、枠体3の開口部3Aが開閉される。
【0011】
なお、建物2に設けた建具1を正面からみたときに(図1参照)、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向は水平方向である。屋内外方向S(図2図3参照)は、建物2に設けた建具1における屋内外方向(室内外方向)である。このように、建具1に関する方向は、建具1を建物2に設けた状態での方向で特定する。また、建具1に関して屋内側、屋外側とは、建具1を建物2に設けた状態での屋内側、屋外側である。
【0012】
枠体3は、方形状の開口枠であり、互いに組み合わされた4つの枠10~13(上枠10、下枠11、一対の縦枠12、13)を有し、枠10~13により、方形状の開口部3Aを形成している。枠10~13は、枠体3を構成する枠材であり、例えば、押出成形により形成された形材からなる。上枠10と下枠11は、枠体3の上下の横枠であり、枠体3の上部と下部で左右方向(横方向)に沿って延びる。一対の縦枠12、13は、枠体3の左右の側部で上下方向(縦方向)に沿って延びる。上枠10、下枠11、及び、左右の縦枠12、13が枠組みされて、枠10~13の端部同士が接続されている。
【0013】
扉体4は、回動可能な方形状のパネル体であり、屋外側と枠体3側とに回動して開閉する。また、扉体4は、扉体4の左右方向の一方側と他方側とに位置して上下方向に延びる戸先4A及び吊元4Bを有している。扉体4の回動時(開閉時)に、扉体4の吊元4Bがヒンジ5の軸心(回動軸)を中心に回動して、扉体4の戸先4Aが屋外側と枠体3側とに移動する。
【0014】
枠体3の一対の縦枠12、13のうち、一方の縦枠12は、扉体4の戸先4A側に位置する戸先側縦枠であり、他方の縦枠13は、扉体4の吊元4B側に位置する吊元側縦枠である。縦枠12は、扉体4の戸先4Aに隣接して配置されて、扉体4の戸先4Aに沿って延びる。縦枠13は、扉体4の吊元4Bに隣接して配置されて、扉体4の吊元4Bに沿って延びる。ヒンジ5は、扉体4の吊元4B側の端部と縦枠13に取り付けられて、扉体4を枠体3の縦枠13に回動可能(開閉可能)に連結している。
【0015】
扉体4は、戸先4Aと吊元4Bの間に設けられた採光部20、機能部品30、化粧部材40、及び、照明部50を備えている。採光部20は、ガラスパネル21を有し、扉体4の上端4Cと下端4Dの間で、上下方向に沿って延びる。採光部20のガラスパネル21は、扉体4を屋内外方向Sに貫通する採光孔4E(図3参照)に配置されて、扉体4に嵌め込まれている。扉体4の屋外側の光は、採光部20を屋外側から屋内側へ透過する。採光部20により、屋外の光が扉体4の屋内側に取り入れられる。
【0016】
機能部品30は、建具1における各種の機能を実現するために用いられる部品であり、扉体4に設けられている。また、機能部品30は、扉体4の屋内側では、扉体4の屋内側に位置する屋内面部4Fに設けられ、扉体4の屋外側では、扉体4の屋外側に位置する屋外面部4Gに設けられている。屋内面部4Fは、扉体4の屋内側の表面部であり、扉体4が閉じた状態で、屋内側に向けて配置される。屋外面部4Gは、扉体4の屋外側の表面部であり、扉体4が閉じた状態で、屋外側に向けて配置される。屋内面部4Fと屋外面部4Gは、扉体4が閉じた状態で、左右方向と上下方向を含む平面に沿って配置されて、屋内外方向Sと交差する。
【0017】
ここでは、機能部品30は、把手31と鉤部品32であり、左右方向における扉体4の戸先4A側の箇所に設けられている。把手31と鉤部品32は、建具1の操作に用いられる操作部品であり、かつ、扉体4の戸先4A寄りの位置に設けられる戸先側機能部品である。把手31と鉤部品32は、扉体4の屋外側で、屋外面部4Gにおける戸先4Aに隣接する部分(扉体4の戸先4Aの周辺部)に設けられて、戸先4Aに隣接して配置されている。
【0018】
把手31は、扉体4の開閉操作機能を有する機能部品であり、鉤部品32は、扉体4の鉤機能を有する機能部品である。ここでは、把手31は、扉体4の屋外面部4Gから屋外側に突出するハンドルであり、扉体4の開閉操作に用いられる。鉤部品32は、扉体4の電気錠を操作する操作ボタンであり、把手31の一部として扉体4の屋外面部4Gに設けられて、扉体4の施錠と解錠に用いられる。
【0019】
化粧部材40は、扉体4の屋外面部4Gに設けられた装飾部材であり、屋外面部4Gを装飾して化粧する。ここでは、化粧部材40は、屋外面部4Gに取り付けられた化粧モール材であり、屋外面部4Gから屋外側に突出する。化粧部材40は、扉体4の上端4Cと下端4Dの間で、上下方向に沿って延びる。化粧部材40と採光部20は、互いに隣接して配置され、化粧部材40は、採光部20に沿って延びる。
【0020】
化粧部材40は、扉体4の屋外面部4Gにおいて屋外側に張り出す張出部41と、照明部50を収容する凹状の収容部42を有している。張出部41は、扉体4の屋外面部4Gから屋外側に張り出し、化粧部材40の長手方向(上下方向)の全体にわたって形成されている。収容部42は、張出部41に形成された溝部であり、張出部41の長手方向(上下方向)の全体にわたって形成されている。張出部41及び収容部42は、採光部20の屋外側の位置に配置されて、上下方向に沿って延びる。
【0021】
照明部50は、発光素子(例えば、発光ダイオード(LED))を有し、張出部41の収容部42内に配置されて、収容部42に収容されている。また、照明部50は、張出部41の上下方向の全体又は一部に設けられて、張出部41に取り付けられている。ここでは、照明部50は、張出部41の上下方向の全体に設けられて、張出部41及び収容部42に沿って上下方向に延びる。照明部50の配線(図示せず)は、張出部41に形成された配線用孔43及び扉体4の内部を通って、照明部50を制御する制御部(図示せず)に接続されている。
【0022】
扉体4の面内方向(ここでは、左右方向)において、機能部品30は、扉体4の戸先4Aと採光部20の間、及び、扉体4の戸先4Aと化粧部材40の張出部41(照明部50)の間に位置している。張出部41は、化粧部材40の機能部品30側(扉体4の戸先4A側)の部分に設けられて、機能部品30に向けて配置されている。収容部42は、扉体4の戸先4A側に位置する機能部品30に向かって開放されている。照明部50は、張出部41に設けられて、扉体4の戸先4A側及び機能部品30に向けて配置される。
【0023】
張出部41の少なくとも一部及び照明部50の少なくとも一部は、左右方向において機能部品30と対向しており、張出部41(照明部50)の機能部品30と対向する部分と機能部品30の間の箇所は、空所になっている。張出部41及び照明部50は、扉体4の屋外面部4Gよりも屋外側の位置に設けられて、機能部品30に向けて配置されている。照明部50は、光を照射する光照射部であり、扉体4の面内方向(ここでは、左右方向)に向けて光を照射する。また、照明部50は、機能部品30に向けて光を照射して、機能部品30を照らす。
【0024】
化粧部材40の張出部41及び照明部50は、左右方向において、機能部品30及び採光部20に対して、扉体4の戸先4Aの反対側(吊元4B側)に位置している。採光部20は、左右方向において、化粧部材40の張出部41及び照明部50に対して、扉体4の戸先4A側(機能部品30側)に位置し、化粧部材40の張出部41(照明部50)と機能部品30の間に配置されている。また、採光部20は、照明部50に対して、照明部50による光の照射方向の前方側に位置し、化粧部材40の張出部41及び照明部50に隣接して配置されている。
【0025】
照明部50から照射された光は、扉体4の屋外側から屋内側に向かって採光部20を透過して、扉体4の屋内側まで到達する。そのため、採光部20を透過した照明部50の光は、扉体4の屋内側の照明にもなり、扉体4の屋内側において視認される。また、照明部50は、制御部(図示せず)により制御されて、扉体4の状態に応じて、照明の仕方を変える。例えば、扉体4が施錠状態であるときと扉体4が解錠状態であるときとで、照明部50による照明が変化する。その際、照明部50は、照明の色を変更し、又は、照明の点灯と点滅とを切り換えて、照明の仕方を変える。これにより、扉体4の屋外側及び屋内側で、扉体4の状態が容易に判別される。
【0026】
以上説明した建具1では、化粧部材40の張出部41に照明部50を設けており、化粧部材40を備えた扉体4のデザインに影響せずに、扉体4の屋外側に照明部50を容易に設けることができる。また、照明部50の照明により、扉体4の屋外面部4Gに設けられる機能部品30の視認性を向上させることができる。これにより、機能部品30を容易に操作することができる。扉体4の採光部20は、照明部50の光を扉体4の屋内側へ透過させる。そのため、扉体4の採光部20を有効に活用して、扉体4の屋外側の照明部50の光を扉体4の屋内側における照明としても用いることができる。
【0027】
化粧部材40は、扉体4の戸先4A側の機能部品30に対して戸先4Aの反対側に位置する。そのため、化粧部材40の張出部41に設けた照明部50により、扉体4の戸先4A側に設けられた機能部品30の視認性を確保して、機能部品30を容易に視認させることができる。また、扉体4の戸先4A側における機能部品30の位置、又は、形状の影響を受けずに、化粧部材40及び照明部50を扉体4の屋外面部4Gに設けることができる。
【0028】
化粧部材40及び張出部41は、上下方向に沿って延び、張出部41は、扉体4の戸先4A側に向けて配置される。これにより、機能部品30の視認性を確保しつつ、扉体4の意匠性を向上させることができる。照明部50を機能部品30(例えば、鉤部品32)の箇所で上下に分割する必要がなく、照明部50を張出部41の上下方向の全体又は一部に容易に設けることもできる。
【0029】
なお、機能部品30である鉤部品32は、操作ボタン以外の鉤部品(例えば、鍵穴を有するシリンダ)であってもよい。また、機能部品30は、把手31と鉤部品32に限定されず、例えば、建具1への信号の入力に用いられる入力機能を有する入力部であってもよい。化粧部材40は、化粧モール材以外の化粧部材(例えば、採光部20の周囲に設けられる額縁材)であってもよい。扉体4は、採光部20を備えていない扉体であってもよい。化粧部材40は、機能部品30の上方又は下方に設けられていてもよく、左右方向に沿って延びるようにしてもよい。
【0030】
本発明は、開き戸に限定されず、扉体を備えた種々の建具に適用することができる。例えば、建具が引戸であるときには、扉体は、左右方向の一方側と他方側に戸先と戸尻を有する。この場合には、扉体の戸先の反対側は、戸尻側であり、扉体の機能部品である把手は、引手である。
【0031】
以上のとおり、建具は、扉体の屋外側の表面部に機能部品が設けられた建具であって、
前記扉体は、前記表面部において屋外側に張り出して前記機能部品に向けて配置される張出部を有する化粧部材と、前記張出部に設けられて前記機能部品を照らす照明部と、を備えた建具である。
従って、扉体の屋外側に照明部を容易に設けられるとともに、照明部により、扉体の屋外側の表面部に設けられる機能部品の視認性を向上させることができる。
【0032】
前記機能部品は、前記扉体の戸先側の箇所に設けられ、
前記化粧部材は、前記機能部品に対して前記扉体の戸先の反対側に位置する。
従って、化粧部材の張出部に設けた照明部により、扉体の戸先側に設けられた機能部品の視認性を確保して、機能部品を容易に視認させることができる。
【0033】
前記化粧部材は、上下方向に沿って延び、
前記張出部は、前記扉体の戸先側に向けて配置されて、上下方向に沿って延びる。
従って、機能部品の視認性を確保しつつ、扉体の意匠性を向上させることができる。
【0034】
前記扉体は、前記照明部の光を前記扉体の屋内側へ透過させる採光部を備える。
従って、扉体の採光部を有効に活用して、扉体の屋外側の照明部の光を扉体の屋内側における照明としても用いることができる。
【符号の説明】
【0035】
1・・・建具、2・・・建物、3・・・枠体、3A・・・開口部、4・・・扉体、4A・・・戸先、4B・・・吊元、4C・・・上端、4D・・・下端、4E・・・採光孔、4F・・・屋内面部、4G・・・屋外面部、5・・・ヒンジ、10・・・上枠、11・・・下枠、12・・・縦枠、13・・・縦枠、20・・・採光部、21・・・ガラスパネル、30・・・機能部品、31・・・把手、32・・・鉤部品、40・・・化粧部材、41・・・張出部、42・・・収容部、43・・・配線用孔、50・・・照明部、S・・・屋内外方向。
図1
図2
図3