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特開2022-79901可変焦点眼鏡、可変焦点眼鏡の制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079901
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】可変焦点眼鏡、可変焦点眼鏡の制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/06 20060101AFI20220520BHJP
   G02B 1/06 20060101ALI20220520BHJP
   G02B 3/14 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
G02C7/06
G02B1/06
G02B3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190767
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】592001975
【氏名又は名称】伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】塚本 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】古川 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴置 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和俊
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BD03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザが所望の対象物を明瞭に見るための操作容易な可変焦点眼鏡を提供する。
【解決手段】可変焦点レンズ(111,112)と、可変焦点眼鏡(1)の所定の軸方向についての傾斜角に関連する眼鏡傾斜信号を出力する眼鏡傾斜角センサ(13)と、眼鏡傾斜信号に対応する傾斜角を決定する傾斜角決定部と、決定された傾斜角に対応して可変焦点レンズの焦点距離を切換える切換部と、を有する可変焦点眼鏡(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変焦点眼鏡であって、
可変焦点レンズと、
前記可変焦点眼鏡の所定の軸方向についての傾斜角に関連する眼鏡傾斜信号を出力する眼鏡傾斜角センサと、
前記眼鏡傾斜信号に対応する前記傾斜角を決定する傾斜角決定部と、
前記決定された傾斜角に対応して前記可変焦点レンズの焦点距離を切換える切換部と、
を有する可変焦点眼鏡。
【請求項2】
可変焦点レンズと、
情報表示端末の姿勢を示す姿勢信号を受信する眼鏡受信部と、
前記姿勢信号を取得して、前記情報表示端末の姿勢が所定の条件を満たすか否を決定する姿勢決定部と、
前記姿勢が所定の条件を満たすと決定されたとき、前記可変焦点レンズの焦点距離を切換える切換部と、
を有する可変焦点眼鏡。
【請求項3】
可変焦点レンズと、
情報表示端末の表示中のアプリケーションを示すアプリ信号を受信する眼鏡受信部と、
前記アプリ信号を取得して、前記情報表示端末の前記表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすか否を決定するアプリ決定部と、
前記表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすと決定されたとき、前記可変焦点レンズの焦点距離を切換える切換部と、
を有する可変焦点眼鏡。
【請求項4】
物体の接触に関連する接触信号を出力するタッチセンサと、
前記接触信号に基づいて、前記物体の接触の有無を決定する接触決定部と、
を更に有し、
前記切換部は、前記物体の接触が有りと決定されているときは、前記決定された傾斜角に対応して前記可変焦点レンズの焦点距離を切換え可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の可変焦点眼鏡。
【請求項5】
前記決定された傾斜角に対応して前記可変焦点レンズの焦点距離を切換えに要する時間は、所定の遅延時間を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の可変焦点眼鏡。
【請求項6】
可変焦点レンズと眼鏡傾斜角センサとを有する可変焦点眼鏡を制御する方法であって、
前記眼鏡傾斜角センサが出力する前記可変焦点眼鏡の所定の軸方向についての傾斜角に関連する眼鏡傾斜信号に対応する前記傾斜角を決定することと、
前記決定された傾斜角に対応して前記可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、
を有する方法。
【請求項7】
可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡を制御する方法であって、
情報表示端末の姿勢を示す姿勢信号を受信することと、
前記姿勢信号を取得して、前記情報表示端末の姿勢が所定の条件を満たすか否を決定することと、
前記姿勢が所定の条件を満たすと決定されたとき、前記可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、
を有する方法。
【請求項8】
可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡を制御する方法であって、
情報表示端末の表示中のアプリケーションを示すアプリ信号を受信することと、
前記アプリ信号を取得して、前記情報表示端末の前記表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすか否を決定することと、
前記表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすと決定されたとき、前記可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、
を有する方法。
【請求項9】
可変焦点レンズと眼鏡傾斜角センサとを有する可変焦点眼鏡を制御するプログラムであって、
前記眼鏡傾斜角センサが出力する前記可変焦点眼鏡の所定の軸方向についての傾斜角に関連する眼鏡傾斜信号に対応する前記傾斜角を決定することと、
前記決定された傾斜角に対応して前記可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、
を有する処理をプロセッサに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡を制御するプログラムであって、
情報表示端末の姿勢を示す姿勢信号を受信することと、
前記姿勢信号を取得して、前記情報表示端末の姿勢が所定の条件を満たすか否を決定することと、
前記姿勢が所定の条件を満たすと決定されたとき、前記可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、
を有する処理をプロセッサに実行させるプログラム。
【請求項11】
可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡を制御するプログラムであって、
情報表示端末の表示中のアプリケーションを示すアプリ信号を受信することと、
前記アプリ信号を取得して、前記情報表示端末の前記表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすか否を決定することと、
前記表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすと決定されたとき、前記可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、
を有する処理をプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変焦点眼鏡、可変焦点眼鏡の制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
視力を矯正する器具として眼鏡が広く使用されている。眼鏡はレンズを使用してユーザの視力を矯正するが、使用されるレンズの焦点距離は固定である。例えば、近視症状が変化するにつれて、装着者は新たな眼鏡を購入する必要がある。又、近視である人が老眼となった場合は、近視用眼鏡に加え、近距離にある対象物、例えば新聞、書籍を見るための老眼用眼鏡が必要となる。
【0003】
5m以上の距離で測定される視力を遠見視力といい、近視に対する矯正に関しては、5mの距離での遠見視力が1.0程度になるようにレンズの焦点距離が調整される。処方箋に記載されるレンズ度数は、レンズの焦点距離の逆数である。一方、30cmの距離で測定される視力を近見視力という。30cmの距離で像がぼやけて見える人には、老眼鏡の使用が勧められる。ユーザからユーザが見たい対象物をより明確に見るためには、ユーザの眼と対象物との距離に応じて眼鏡レンズの焦点距離は切換できることが好ましい。
【0004】
焦点距離が固定されたレンズに代えて、焦点距離が変更できる可変焦点レンズを使用した眼鏡が知られている。
【0005】
特許文献1は、硬質光学コンポーネントと透明な伸張性メンブレンとの間にキャビティを構成し、キャビティを満たす可変量の流体と、追加の流体を収容するリザーバとを有するレンズを有する可変焦点眼鏡を開示する。リザーバは、力又は衝撃に応答してキャビティ内への流体の注入又はキャビティからの流体の抜き出し動作を行うことにより焦点を変更することできる。
【0006】
特許文献2は、固定焦点レンズに可変焦点レンズを配した電子眼鏡であって、可変焦点レンズが複数の領域に分割され、可変焦点レンズの複数に分割された領域が、お互いに独立して制御される電子眼鏡を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-045882号公報
【特許文献2】特開2009-251067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、ユーザが所望の対象物を明瞭に見るために、可変焦点眼鏡のレンズ焦点距離をユーザがどのように設定するかについては言及していない。
【0009】
また、特許文献2は、ユーザの眼から対象物までの距離に対して適切な焦点距離を有する可変焦点レンズまで、ユーザは視線を移動せねばならず煩瑣である。
【0010】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、ユーザが対象物を明確に視認できるよう遠近焦点距離の切換が容易な可変焦点眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る可変焦点眼鏡は、可変焦点眼鏡であって、可変焦点レンズと、可変焦点眼鏡の所定の軸方向についての傾斜角に関連する眼鏡傾斜信号を出力する眼鏡傾斜角センサと、眼鏡傾斜信号に対応する傾斜角を決定する傾斜角決定部と、決定された傾斜角に対応して可変焦点レンズの焦点距離を切換える切換部と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る可変焦点眼鏡は、可変焦点レンズと、情報表示端末の姿勢を示す姿勢信号を受信する眼鏡受信部と、姿勢信号を取得して、情報表示端末の姿勢が所定の条件を満たすか否を決定する姿勢決定部と、姿勢が所定の条件を満たすと決定されたとき、可変焦点レンズの焦点距離を切換える切換部と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る可変焦点眼鏡は、可変焦点レンズと、情報表示端末の表示中のアプリケーションを示すアプリ信号を受信する眼鏡受信部と、アプリ信号を取得して、情報表示端末の表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすか否を決定する表示アプリ決定部と、表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすと決定されたとき、可変焦点レンズの焦点距離を切換える切換部と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る可変焦点眼鏡は、物体の接触に関連する接触信号を出力するタッチセンサと、接触信号に基づいて、物体の接触の有無を決定する接触決定部と、を更に有し、切換部は、物体の接触が有りと決定されているときは、決定された傾斜角に対応して可変焦点レンズの焦点距離を切換え可能である、ことが好ましい。
【0015】
本発明に係る可変焦点眼鏡は、決定された傾斜角に対応して可変焦点レンズの焦点距離を切換えに要する時間が、所定の遅延時間を含むことが好ましい。
【0016】
本発明に係る可変焦点眼鏡の制御方法は、可変焦点レンズと眼鏡傾斜角センサとを有する可変焦点眼鏡を制御する方法であって、眼鏡傾斜角センサが出力する可変焦点眼鏡の所定の軸方向についての傾斜角に関連する眼鏡傾斜信号に対応する傾斜角を決定することと、決定された傾斜角に対応して可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る可変焦点眼鏡の制御方法は、可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡を制御する方法であって、情報表示端末の姿勢を示す姿勢信号を受信することと、姿勢信号を取得して、情報表示端末の姿勢が所定の条件を満たすか否を決定することと、姿勢が所定の条件を満たすと決定されたとき、可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る可変焦点眼鏡の制御方法は、可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡を制御する方法であって、情報表示端末の表示中のアプリケーションを示すアプリ信号を受信することと、アプリ信号を取得して、情報表示端末の表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすか否を決定することと、表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすと決定されたとき、可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、を有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る可変焦点眼鏡の制御プログラムは、可変焦点レンズと眼鏡傾斜角センサとを有する可変焦点眼鏡を制御するプログラムであって、眼鏡傾斜角センサが出力する可変焦点眼鏡の所定の軸方向についての傾斜角に関連する眼鏡傾斜信号に対応する傾斜角を決定することと、決定された傾斜角に対応して可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、を有する処理をプロセッサに実行させることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る可変焦点眼鏡の制御プログラムは、可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡を制御するプログラムであって、情報表示端末の姿勢を示す姿勢信号を受信することと、姿勢信号を取得して、情報表示端末の姿勢が所定の条件を満たすか否を決定することと、姿勢が所定の条件を満たすと決定されたとき、可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、を有する処理をプロセッサに実行させることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る可変焦点眼鏡の制御プログラムは、可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡を制御するプログラムであって、情報表示端末の表示中のアプリケーションを示すアプリ信号を受信することと、アプリ信号を取得して、情報表示端末の表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすか否を決定することと、表示中のアプリケーションが所定の条件を満たすと決定されたとき、可変焦点レンズの焦点距離を切換えることと、を有する処理をプロセッサに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本開示に係る可変焦点眼鏡は、ユーザが所望の対象物を明瞭に見るための操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る可変焦点眼鏡の概要を示す図であり、(a)は可変焦点眼鏡の斜視図の一例を示す図であり、(b)は、ユーザが可変焦点眼鏡を装着した状態を示す図である。
図2】可変焦点眼鏡の一例を示す外観斜視図である。
図3】可変焦点眼鏡のブロック構成の一例を示す図である。
図4】眼鏡傾斜角センサの一例の原理を示す図である。
図5】可変焦点眼鏡の焦点切換に関する処理の一例を示すフローチャート図である。
図6】第2実施形態に係る可変焦点眼鏡と情報表示端末との連携の概要を示す図であり、(a)はユーザが手元の情報表示端末を見ている状態を示す図であり、(b)は、情報表示端末に姿勢検出センサが内蔵されている状態を示す図である。
図7】第2実施形態に係る可変焦点眼鏡のブロック構成の一例を示す図である。
図8】情報表示端末のブロック構成の一例を示す図である。
図9】可変焦点眼鏡の焦点切換に関する処理の一例を示すフローチャート図である。
図10】第3実施形態に係る可変焦点眼鏡と情報表示端末との連携の概要を示す図である。
図11】第3施形態に係る可変焦点眼鏡のブロック構成の一例を示す図である。
図12】情報表示端末のブロック構成の一例を示す図である。
図13】可変焦点眼鏡の焦点切換に関する処理の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の一側面に係る可変焦点眼鏡について、図を参照しつつ説明する。但し、本開示の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。尚、以下の説明及び図において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る可変焦点眼鏡の概要を示す図であり、(a)は可変焦点眼鏡の斜視図の一例を示す図であり、(b)は、ユーザが可変焦点眼鏡を装着した状態を示す図である。可変焦点眼鏡1は、焦点距離が変更可能な2つの例えば液晶レンズ111、112と、液晶レンズを保持する2つのレンズ枠121、122を有するフレーム12を有する。液晶レンズ111、112は、液晶層に印加する電圧により焦点距離を制御可能としたレンズである。可変焦点レンズは、液晶レンズに限られず液体間の境界面を変化させ、焦点を変更することができるものであればよい。フレーム12はつる部123、124を有し、例えば、つる部123には、眼鏡制御部(不図示)が内蔵されていて、可変焦点眼鏡1の焦点距離の制御処理を行う。
【0026】
フレーム12のフロント上端の中央には、眼鏡傾斜角センサ13が設けられている。眼鏡傾斜角センサ13は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、又は加速度センサとジャイロセンサを組み合わせたものである。眼鏡傾斜角センサ13は、ユーザが可変焦点眼鏡1を装着しているときの可変焦点眼鏡1の眼鏡傾斜角、例えば水平方向に対する傾きθを計測するために使用される。
【0027】
ユーザ2が可変焦点眼鏡1を装着して遠方を見ている状態では、眼鏡傾斜角θは0°の近傍であり、眼鏡制御部(不図示)は、可変焦点レンズ111、112の焦点距離を遠距離用焦点距離に設定する。ユーザ2が手元の対象物、例えば、情報表示端末3、新聞、本を見ている状態では、眼鏡傾斜角θは大きくなる。眼鏡制御部(不図示)は、眼鏡傾斜角θが所定の閾値θth以上となると、可変焦点レンズ111、112の焦点距離を近距離用焦点距離に切換える。情報表示端末3は、例えば、電子ブック、スマートフォン、タブレット端末である。ユーザが対象物を明確に視認できるよう遠近焦点距離の切換が容易な可変焦点眼鏡を提供することが可能となる。
【0028】
[可変焦点眼鏡]
図2は、可変焦点眼鏡の一例を示す外観斜視図である。可変焦点眼鏡1は、装着するユーザの左右の眼に対応する2つの液晶レンズ111、112とフレーム12を有する。2つの液晶レンズ111、112は、フレーム12の2つのレンズ枠121、122にそれぞれはめ込まれている。液晶レンズ111、112は、各液晶レンズに印加される電圧によってレンズの焦点距離が変更できる可変焦点レンズである。
【0029】
フレーム12のフロント上端の中央には、眼鏡傾斜角センサ13が設けられ、ユーザが可変焦点眼鏡1を装着しているときの可変焦点眼鏡1の眼鏡傾斜角、例えば水平方向に対する傾きθを計測するために使用される。眼鏡傾斜角センサ13は、例えば、3軸加速度センサ、ジャイロセンサ、又は加速度センサとジャイロセンサを組み合わせたものである。眼鏡傾斜角センサ13の取り付け位置はフロント上端の中央に限られない。
【0030】
2つのつる部123、124のいずれかには、眼鏡操作部14が設けられる。眼鏡操作部14は、例えば、1つ又は複数のタッチスイッチ、プッシュスイッチ、スライドスイッチを有する。ユーザは、眼鏡操作部14を操作して、例えば、可変焦点眼鏡1を動作状態にさせる。つる部123、124のいずれかには、眼鏡操作部14と接続される眼鏡制御部15が内蔵されていて、例えば、可変焦点レンズ111、112の焦点距離の切換処理を行う。
【0031】
つる部123、124のいずれかには、眼鏡制御部15に接続された電源部16が内蔵されている。各つる部123,124には電源部16と眼鏡制御部15に接続された2つの電圧回路171、172が内蔵されている。2つの電圧回路171、172は、それぞれ液晶レンズ111、112に接続され、液晶レンズに電圧を印加するために使用される。電源部16は、眼鏡制御部15を動作させるための電源と、液晶レンズ111、112に電圧を印加するための電源を、別々に有してもよい。更に、つる部123、124のいずれかのユーザの耳に接触する部分には、タッチセンサ18を設けてもよい。ユーザが可変焦点眼鏡1を装着していることを検出して誤動作を防止するためのである。
【0032】
図3は、可変焦点眼鏡のブロック構成の一例を示す図である。つる部123、124のいずれかに内蔵される眼鏡制御部15は、フレーム12のフロント上端の中央に設けられた眼鏡傾斜角センサ13、及びつる部123、124のいずれかに設けられた眼鏡操作部14に接続している。電源部16は、眼鏡傾斜角センサ13、眼鏡制御部15、及び2つの電圧回路171と172に接続され、各部に電力を供給する。電圧回路171は、液晶レンズ111の電極117、118に接続される。同様に電圧回路172は、液晶レンズ112の電極117、118に接続される。
【0033】
眼鏡操作部14は、可変焦点眼鏡1の外部に設けられてもよい。例えば、腕に装着するスマートリング、スマートウォッチに眼鏡操作部14を設け、眼鏡操作部14は眼鏡通信インターフェース(不図示)、例えば、ブルートゥース(登録商標)・インターフェースを介して眼鏡制御部15を操作してもよい。又、眼鏡操作部14は、情報表示端末3のソフトキーとして定義してもよい。
【0034】
眼鏡制御部15は、各電圧回路を制御して、各液晶レンズの電極117、118への印加電圧を変更することができる。各液晶レンズの電極117、118への印加電圧が変化すると、各液晶レンズの焦点が変化する。
【0035】
眼鏡制御部15は、眼鏡記憶部151と眼鏡処理部152を有する。眼鏡記憶部151は、1又は複数の半導体メモリにより構成される。例えば、RAMや、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性メモリの少なくとも一つを有する。眼鏡記憶部151は、眼鏡処理部152による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0036】
例えば、眼鏡記憶部151は、ドライバプログラムとして、眼鏡傾斜角センサ13を制御するデバイスドライバプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて眼鏡記憶部151にインストールされてもよい。また、プログラムサーバ等からダウンロードしてインストールしてもよい。
【0037】
更に、眼鏡記憶部151は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶することができる。眼鏡記憶部151は、液晶レンズの焦点距離を所定の値に設定するための印加電圧に関する焦点・電圧ファイル1511、情報表示端末3とのペアリング等のための型名・識別IDファイル1512を記憶する。更に、眼鏡記憶部151は、現在の焦点距離設定状態、各種設定閾値や通信パラメータを記憶するパラメータファイル1513等を記憶する。
【0038】
眼鏡処理部152は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。眼鏡処理部152は、可変焦点眼鏡1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、MCU(Micro Controller Unit)である。
【0039】
眼鏡処理部152は、眼鏡記憶部151に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、眼鏡処理部152は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行してもよい。眼鏡処理部152は、操作処理部1521、傾斜角決定部1522、切換部1523、切換決定部1524、遅延部1525、接触決定部1526等を有する。
【0040】
切換部1523は、可変焦点レンズの焦点を切換える処理を行うが、焦点距離の切換決定部1524と遅延部1525を有してもよい。切換決定部1524が焦点距離の切換を決定した後、遅延部1525は焦点距離の切換処理を所定時間ホールドする。ユーザが意図せず下を向いたときの遠近焦点距離切換の誤動作を回避するためである。更に、接触決定部1526を有してもよい。接触決定部1526は、タッチセンサ18からの接触信号を取得し、接触の有無を決定する。切換部1523は、接触決定部1526が接触有りと判定している間、遠近焦点距離の切換を行うようにしてもよい。ユーザが可変焦点眼鏡1を装着しているか否かを検出して誤動作を防止するためのである。
【0041】
眼鏡処理部152が有するこれらの各部は、独立した集積回路、回路モジュール、マイクロプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はファームウェアとして眼鏡制御部15に実装されてもよい。
【0042】
図4は、眼鏡傾斜角センサの一例の原理を示す図である。眼鏡傾斜角センサ13は、例えば、3軸加速度センサである。3軸加速度センサが水平な状態のときは、X軸とY軸は水平面を基準とする直交軸である、X軸は可変焦点眼鏡1のフレームに垂直な軸であり、Y軸は、フレームに平行な軸である。Z軸は鉛直方向の軸であり、X軸とY軸に直交している。各軸加速度センサは各軸方向の加速度を検出する。3軸加速度センサが水平な状態のときは、鉛直方向下向きに重力加速度gがかかっている。X軸を中心にセンサが回転すれば、Y軸方向にも加速度がかかり始める。又、Y軸を中心にセンサが回転すれば、X軸方向に加速度がかかり始める。Y軸中心の回転角θy、加速度Ayとすると、Ay=g・sinθyの関係が成り立つ。X軸の検出加速度Ax、Z軸の検出加速度Azとすると、重力加速度は、g=((Az)+(Ax)1/2である。したがって、θyは、θy=Arcsin(Ay/((Az)+(Ax)1/2)となる。3軸方向の加速度が検出されると、各軸の回転角が算出される。眼鏡傾斜角センサ13は、1軸、2軸、3軸以上の加速度センサであってもよい。
【0043】
眼鏡傾斜角センサ13は、ジャイロセンサであってもよい。ジャイロセンサはセンサにかかっている角速度を出力するので、例えば、Y軸の傾きは、次のように角速度の時間積分で求めることができる。
【数1】
【0044】
加速度センサとジャイロセンサを組み合わせることにより、傾斜角度の精度が更に高められる。眼鏡傾斜角センサは、傾斜角に関連する加速度又は角速度を眼鏡傾斜信号として眼鏡制御部に出力する。眼鏡傾斜角センサ内で加速度又は角速度を角度信号に変換してもよい。
【0045】
図5は、可変焦点眼鏡の焦点切換に関する処理の一例を示すフローチャート図である。図5に示す処理は、眼鏡記憶部151に予め記憶されたコンピュータプログラムに従って眼鏡制御部15にて周期的に実行される。なお、眼鏡傾斜角センサ13が図4に示すように取りつけられているとすると、Y軸中心の回転は反時計回りが正である。ユーザ2が手元の方を見たとき、θyは正方向に変化する。
【0046】
傾斜角決定部1522は、所定のサイクルで眼鏡傾斜角センサ13から出力される眼鏡傾斜信号を取得する(ST501)。切換部1523は、眼鏡記憶部151から、遠距離用焦点距離Ff、近距離用焦点距離Fn、眼鏡傾斜角閾値θyth、及び現在の焦点距離設定状態を取得する(ST502)。傾斜角決定部1522は、取得した眼鏡傾斜信号に対応する傾斜角θyを決定する(ST503)。切換部1523の切換決定部1524は、傾斜角θyが閾値θyth以上であるか否かを判定する(ST504)。ここで眼鏡傾斜角センサ13が図4に示すように取りつけられているとすると、Y軸中心の回転は反時計回りが正である。ユーザ2が手元の方を見たとき、θyは正方向に変化する。
【0047】
傾斜角θyが閾値θyth以上であるとき(ST504:YES)、更に、切換決定部1524は、現在の焦点距離設定状態が遠距離用焦点に設定されているか否かを判定する(ST505)。現在の焦点距離設定状態が遠距離用焦点に設定されているとき(ST505:YES)、切換決定部1524は、焦点距離設定を近距離用焦点に切換える決定をする(ST506)。切換決定部1524が焦点距離の切換を決定した後、遅延部1525は、切換処理の実行を所定時間ホールドする(ST507)。遠近焦点距離切換の誤動作を回避するためである。ホールド時間が所定の時間以上経過したときは、切換部は、焦点距離の切換を行う(ST508)。切換部1523は、眼鏡記憶部の現在の焦点距離設定状態を遠距離用焦点に切換する(ST509)。処理は終了する(エンド)。
【0048】
現在の焦点距離設定状態が遠距離用焦点に設定されていないとき(ST505:NO)、既に近距離用焦点に設定されているので焦点距離の切換は行われず、処理は終了する(エンド)。
【0049】
傾斜角θyが閾値θyth以上でないとき(ST504:NO)、更に、切換決定部1524は、現在の焦点距離設定状態が遠距離用焦点に設定されているか否かを判定する(ST510)。現在の焦点距離設定状態が遠距離用焦点に設定されているとき(ST510:YES)、焦点距離の切換は行われず、処理は終了する(エンド)。現在の焦点距離設定状態が遠距離用焦点に設定されていないとき(ST510:NO)、切換決定部1524は、焦点距離設定を遠距離用焦点に切換える決定をする(ST511)。切換決定部1524が焦点距離の切換を決定した後、遅延部1525は、切換処理の実行を所定時間ホールドする(ST512)。ホールド時間が所定の時間以上経過したときは、切換部1523は、焦点距離の切換を行う(ST513)。切換部は、眼鏡記憶部の現在の焦点距離設定状態を遠距離用焦点に変更する(ST514)。処理は終了する(エンド)。
【0050】
[第2実施形態]
第1実施形態では、可変焦点眼鏡は、可変焦点眼鏡自身の傾斜角に対応して、遠近焦点距離の切換を行ったが、第2実施形態では、手元の情報表示端末の姿勢に対応して可変焦点眼鏡の遠近焦点距離の切換を行う。
【0051】
図6は、第2実施形態に係る可変焦点眼鏡と情報表示端末との連携の概要を示す図であり、(a)はユーザが手元の情報表示端末を見ている状態を示す図であり、(b)は、情報表示端末に姿勢検出センサが内蔵されている状態を示す図である。
【0052】
ユーザ2が可変焦点眼鏡5をかけた状態で手元の情報表示端末3を見ているとき、ユーザ2は、表示画面を見やすくするため、情報表示端末3を正立させ又は傾ける。可変焦点眼鏡5は、近距離無線通信、例えばブルートゥース(登録商標)、Wi-Fiを介し、情報表示端末3の傾斜角φyを含む姿勢信号を取得する。Y軸中心の傾斜角φyが、情報表示端末3を正立又は傾斜した状態を示す所定の範囲にあれば、可変焦点眼鏡5は、可変焦点レンズの焦点距離を近距離用焦点距離に切換えることができる。情報表示端末3の傾斜角φyは、情報表示端末3に内蔵された端末傾斜角センサ31により計測される。第1実施形態と同様に、端末傾斜角センサ31は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、又は加速度センサとジャイロセンサを組み合わせたものである。情報表示端末3のY軸中心の傾斜角φyが所定の範囲にあるときは、ユーザ2は情報表示端末3を見ていると判定する。
【0053】
情報表示端末3が可変焦点眼鏡5に送信する姿勢信号は、Y軸中心の傾斜角φyに加え、X軸中心の傾斜角φx、Z軸中心の傾斜角φzを含むことが好ましい。多軸の傾斜角により判定精度が向上するからである。姿勢信号は、情報表示端末3が表示状態にあるか否かを示す表示モードを含むことができる。表示状態になければ、可変焦点眼鏡5は可変焦点レンズの焦点距離の切換えを行わないようにすることができる。
【0054】
情報表示端末3が縦横表示切換機能を有している場合、姿勢信号は、縦表示状態で表示しているのか横表示状態で表示しているのかを示す縦/横モードを含むことができる。縦表示状態では、傾斜角φyに対応して、情報表示端末3が正立又は傾斜している状態が判定され、横表示状態では。傾斜角φzに対応して、情報表示端末3が正立又は傾斜している状態が判定される。
【0055】
[可変焦点眼鏡]
図7は、第2実施形態に係る可変焦点眼鏡のブロック構成の一例を示す図である。説明を簡単にするため、第1実施形態に係る可変焦点眼鏡1と異なる部分を説明する。
【0056】
可変焦点眼鏡5は、眼鏡通信アンテナ51を介して情報表示端末3からの姿勢信号を受信するための眼鏡通信インターフェース(I/F)52を有する。眼鏡通信I/F52は。眼鏡制御部55に接続されている。
【0057】
眼鏡制御部55は、各電圧回路を制御して、各液晶レンズの電極117、118への印加電圧を変更することができる。各液晶レンズの電極117、118への印加電圧が変化すると、各液晶レンズの焦点が変化する。
【0058】
眼鏡制御部55は、眼鏡記憶部551と眼鏡処理部552を有する。眼鏡記憶部551は、1又は複数の半導体メモリにより構成される。例えば、RAMや、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性メモリの少なくとも一つを有する。眼鏡記憶部151は、眼鏡処理部552による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0059】
例えば、眼鏡記憶部551は、ドライバプログラムとして、眼鏡通信I/F52を制御するデバイスドライバプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて眼鏡記憶部151にインストールされてもよい。また、プログラムサーバ等からダウンロードしてインストールしてもよい。
【0060】
更に、眼鏡記憶部551は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶することができる。眼鏡記憶部551は、液晶レンズの焦点距離を所定の値に設定するための印加電圧に関する焦点・電圧ファイル5511、情報表示端末3とのペアリング等のための型名・識別IDファイル5512を記憶する。更に、眼鏡記憶部551は、現在の焦点距離設定状態、各種設定閾値や通信パラメータを記憶するパラメータファイル5513、情報表示端末3に関する姿勢条件を設定したファイルである。姿勢条件ファイル5514等を記憶する。
【0061】
眼鏡処理部552は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。眼鏡処理部552は、可変焦点眼鏡1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、MCU(Micro Controller Unit)である。
【0062】
眼鏡処理部552は、眼鏡記憶部551に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、眼鏡処理部552は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行してもよい。眼鏡処理部552は、操作処理部5521、眼鏡通信I/F52を介して姿勢信号を受信する眼鏡受信部5522、情報表示端末3の姿勢が所定の条件を満たすかを決定する姿勢決定部5523、切換部5524、切換決定部5525、遅延部5526、接触決定部5527等を有する。
【0063】
[情報表示端末]
情報表示端末3は、各種ソフトウェア使用し、デジタルコンテンツ、例えば、ドキュメント、ウェブページ、画像、ビデオの表示を行う。情報表示端末3は、例えば、電子ブック、スマートフォン、タブレット端末である。コンテンツを表示している情報表示端末3は、情報表示端末3の姿勢を示す姿勢信号を可変焦点眼鏡に送信する。可変焦点眼鏡5は、受信した姿勢信号に対応して可変焦点レンズの焦点距離の切換を行う。情報表示端末3と可変焦点眼鏡5とが連携することにより、ユーザが情報表示端末に表示されているコンテンツを明確に視認できるよう、遠近焦点距離の切換が容易な可変焦点眼鏡を提供することが可能となる。
【0064】
図8は、情報表示端末のブロック構成の一例を示す図である。情報表示端末3は、端末傾斜角センサ31と可変焦点眼鏡5と無線通信するための第1端末通信インターフェース321を有する。インターネット上のクラウドサーバと無線通信するための第2端末通信インターフェース322を有してもよい。情報表示端末3は、端末傾斜角センサ31、第1端末通信インターフェース321、及び第2端末通信インターフェースに接続する端末制御部33を有する。第1端末通信インターフェース321は、例えば、ブルートゥース(登録商標)用アンテナ341に接続している。第2端末通信インターフェース322は、例えば、Wi-Fi用アンテナ342、移動通信用アンテナ343に接続している。
【0065】
情報表示端末3は、端末制御部33に接続する表示部35と端末操作部36とを有する。表示部35は、例えば液晶ディスプレイである。端末操作部36は、例えば、表示部と一体化したタッチパネルディスプレイである。情報表示端末3は、端末制御部33に接続する外部記憶部37、例えば、SDメモリカードを有することができる。
【0066】
端末制御部33は、端末記憶部331と端末処理部332を有する。端末記憶部331は、1又は複数の半導体メモリにより構成される。例えば、RAMや、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性メモリの少なくとも一つを有する。端末記憶部331は、端末処理部332による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0067】
例えば、端末記憶部331は、ドライバプログラムとして、表示部35を制御するデバイスドライバや、第1端末通信インターフェース321,第2端末通信インターフェース322を制御するデバイスドライバプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて端末記憶部331にインストールされてもよい。また、プログラムサーバ等からダウンロードしてインストールすることができる。
【0068】
更に、端末記憶部331は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶することができる。端末記憶部331は、ユーザに関する登録データファイル3311、可変焦点眼鏡5とのペアリング等のための型名・識別IDファイル3312、各種閾値、表示設定条件に関するパラメータファイル3313等を記憶する。
【0069】
端末処理部332は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。端末処理部332は、情報表示端末3の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、MCU(Micro Controller Unit)である。
【0070】
端末処理部332は、端末記憶部331に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、端末処理部332は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行してもよい。端末処理部332は、表示データ取得部3321、表示処理部3322、姿勢判定部3323、端末送信部3324等を有する。
【0071】
表示データ取得部3321は、外部記憶部37又はクラウドサーバから表示データを取得する。表示処理部3322は、取得した表示データを表示データの特性と情報表示端末3の姿勢に合わせ表示部35に表示する。姿勢判定部3323は、端末傾斜角センサ31からの傾斜角信号に対応して情報表示端末3の姿勢を判定する。端末送信部3324は、姿勢信号を可変焦点眼鏡5に送信する。
【0072】
端末処理部332が有するこれらの各部は、独立した集積回路、回路モジュール、マイクロプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はファームウェアとして眼鏡制御部15に実装されてもよい。
【0073】
図9は、可変焦点眼鏡の焦点切換に関する処理の一例を示すフローチャート図である。図9に示す処理は、眼鏡記憶部551に予め記憶されたコンピュータプログラムに従って眼鏡制御部55にて周期的に実行される。
【0074】
眼鏡受信部5522は、情報表示端末3からの姿勢信号を受信する(ST901)。姿勢決定部5523は、姿勢信号を取得して情報表示端末3の姿勢が所定の条件を満たしているか否かを判定する(ST902)。情報表示端末3の姿勢が所定の条件を満たしていないとき(ST902:NO)、処理は終了する。情報表示端末3の姿勢が所定の条件を満たしているとき(ST902:YES)、切換部5524の切換決定部5525は、現在の焦点距離設定状態が遠距離用焦点に設定されているか否かを判定する(ST903)。現在の焦点距離設定状態が遠距離用焦点に設定されているとき(ST903:YES)、切換決定部5525は、焦点距離設定を近距離用焦点に切換える決定をする(ST904)。切換決定部5525が焦点距離の切換を決定した後、遅延部5526は、切換処理の実行を所定時間ホールドする(ST905)。遠近焦点距離切換の誤動作を回避するためである。ホールド時間が所定の時間以上経過したときは、切換部は、焦点距離の切換を行う(ST906)。切換部5524は、眼鏡記憶部の現在の焦点距離設定状態を遠距離用焦点に切換する(ST907)。処理は終了する(エンド)。
【0075】
[第3実施形態]
第2実施形態では、手元の情報表示端末の姿勢に対応して可変焦点眼鏡の遠近焦点距離の切換を行った。第3実施形態では、情報表示端末に表示されているアプリケーションに対応して、可変焦点眼鏡が、遠近焦点距離の切換を行なう例を説明する。
【0076】
図10は、第3実施形態に係る可変焦点眼鏡と情報表示端末との連携の概要を示す図である。可変焦点眼鏡8を装着したユーザ2は、情報表示端末9の表示画面を見る。情報表示端末9は、様々なアプリケーションを表示できる。将棋ゲームアプリケーションを表示した表示画面の例と、読書アプリケーションを表示した例が示されている。ゲームアプリケーションは表示オブジェクトが比較的に大きいので、近距離用焦点距離への切換は不要であり、読書アプリケーションは、表示される文字が小さいので、近距離用焦点距離への切換が必要となる。そこで、情報表示端末9は、近距離無線通信、例えばブルートゥース(登録商標)、Wi-Fiを介し、情報表示端末3が表示しているアプリケーションを示すアプリ信号を送信する。可変焦点眼鏡5は、受信したアプリ信号に対応して、可変焦点レンズの焦点距離を近距離用焦点距離に切換えることができる。
【0077】
アプリ信号は、情報表示端末の表示画面サイズを含んでもよい。表示画面サイズが大きければ、可変焦点眼鏡5は、可変焦点レンズの焦点距離を遠距離用焦点距離から近距離用焦点距離に切換える必要ないがことがある。又、情報表示端末3が縦横表示切換機能を有している場合、アプリ信号は、縦表示状態で表示しているのか横表示状態で表示しているのかを示す縦/横モードを含むことができる。例えば、スマートフォンでムービーを横画面モードで表示している場合、近距離用焦点距離への切換は不要になることがあるからである。なお、近距離用焦点距離への切換は、個人差があるので、ユーザ個人個人が表示アプリケーションについて切換設定ができることが好ましい。
【0078】
[可変焦点眼鏡]
図11は、第3施形態に係る可変焦点眼鏡のブロック構成の一例を示す図である。説明を簡単にするため、第2実施形態に係る可変焦点眼鏡5と異なる部分を説明する。
【0079】
可変焦点眼鏡8は、眼鏡通信アンテナ51を介して情報表示端末3からの姿勢信号を受信するための眼鏡通信インターフェース(I/F)52を有し、眼鏡制御部85に接続されている。
【0080】
眼鏡制御部85は、眼鏡記憶部851と眼鏡処理部852を有する。眼鏡記憶部851は、1又は複数の半導体メモリにより構成される。例えば、RAMや、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性メモリの少なくとも一つを有する。眼鏡記憶部851は、眼鏡処理部552による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0081】
例えば、眼鏡記憶部851は、ドライバプログラムとして、眼鏡通信I/F52を制御するデバイスドライバプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて眼鏡記憶部151にインストールされてもよい。また、プログラムサーバ等からダウンロードしてインストールしてもよい。
【0082】
更に、眼鏡記憶部851は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶することができる。眼鏡記憶部851は、液晶レンズの焦点距離を所定の値に設定するための印加電圧に関する焦点・電圧ファイル8511、情報表示端末3とのペアリング等のための型名・識別IDファイル8512を記憶する。眼鏡記憶部851は、現在の焦点距離設定状態、各種設定閾値や通信パラメータを記憶するパラメータファイル8513を記憶する。眼鏡記憶部851は、情報表示端末3が表示しているアプリケーションに対応して、焦点距離を切換えるか否かを決定するアプリ条件ファイル8514等を記憶する。
【0083】
眼鏡処理部852は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。眼鏡処理部552は、可変焦点眼鏡1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、MCU(Micro Controller Unit)である。
【0084】
眼鏡処理部852は、眼鏡記憶部851に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、眼鏡処理部552は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行してもよい。眼鏡処理部852は、操作処理部8521、眼鏡通信I/F92を介してアプリ信号を受信する眼鏡受信部8522、情報表示端末3のアプリケーションが所定の条件を満たすかを決定するアプリ決定部8523、切換部8524、切換決定部8525、遅延部8526、接触決定部8527等を有する。
【0085】
[情報表示端末]
【0086】
図12は、第3施形態に係る情報表示端末のブロック構成の一例を示す図である。説明を簡単にするため、第2実施形態に係る情報表示端末3と異なる部分を説明する。
【0087】
端末制御部93は、端末記憶部931と端末処理部932を有する。端末記憶部931は、1又は複数の半導体メモリにより構成される。例えば、RAMや、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性メモリの少なくとも一つを有する。端末記憶部931は、端末処理部932による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0088】
例えば、端末記憶部931は、ドライバプログラムとして、表示部35を制御するデバイスドライバや、第1端末通信インターフェース321,第2端末通信インターフェース322を制御するデバイスドライバプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて端末記憶部931にインストールされてもよい。また、プログラムサーバ等からダウンロードしてインストールすることができる。
【0089】
端末記憶部931は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶することができる。端末記憶部931は、ユーザに関する登録データファイル9311、可変焦点眼鏡5とのペアリング等のための型名・識別IDファイル9312、各種閾値、表示設定条件に関するパラメータファイル9313等を記憶する。
【0090】
端末処理部932は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。端末処理部932は、情報表示端末3の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、MCU(Micro Controller Unit)である。
情報表示端末9の端末処理部932は、表示アプリケーションを示すアプリ信号を端末送信部9324に出力するアプリ判定部9325を有する。端末送信部9324は、アプリ信号を可変焦点眼鏡8に送信する。アプリ信号は、表示画面の大きさ、又は、画面の縦/横表示を含んでもよい。表示アプリケーション、表示画面の大きさ、又は、画面の縦/横表示に対応して、可変焦点眼鏡8は、遠近焦点切換を行うことが可能である。
【0091】
図13は、可変焦点眼鏡の焦点切換に関する処理の一例を示すフローチャート図である。図13に示す処理は、眼鏡記憶部851に予め記憶されたコンピュータプログラムに従って眼鏡制御部85にて周期的に実行される。
【0092】
眼鏡受信部8522は、情報表示端末3からの姿勢信号を受信する(ST1301)。アプリ決定部8523は、アプリ信号を取得して情報表示端末3の表示アプリケーションが所定の条件を満たしているか否かを判定する(ST1302)。情報表示端末3の表示アプリケーションが所定の条件を満たしていないとき(ST1302:NO)、処理は終了する。情報表示端末3の姿勢が所定の条件を満たしているとき(ST1302:YES)、切換部8524の切換決定部8525は、現在の焦点距離設定状態が遠距離用焦点に設定されているか否かを判定する(ST1303)。現在の焦点距離設定状態が遠距離用焦点に設定されているとき(ST1303:YES)、切換決定部8525は、焦点距離設定を近距離用焦点に切換える決定をする(ST1304)。切換決定部8525が焦点距離の切換を決定した後、遅延部8526は、切換処理の実行を所定時間ホールドする(ST1305)。遠近焦点距離切換の誤動作を回避するためである。ホールド時間が所定の時間以上経過したときは、切換部は、焦点距離の切換を行う(ST1306)。切換部8524は、眼鏡記憶部の現在の焦点距離設定状態を遠距離用焦点に切換する(ST1307)。処理は終了する(エンド)。
【0093】
可変焦点眼鏡に関する発明の第1~3実施形態を説明したが、本発明は、各実施形態に限られず、それらを組み合わせた実施形態に及ぶ。
【0094】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換、及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0095】
1、5、8 可変焦点眼鏡
111、112 可変焦点レンズ
12 フレーム
13 眼鏡傾斜角センサ
14 眼鏡操作部
15 眼鏡制御部
16 電源部
171、172 電圧回路
3、9 情報表示端末
31 端末傾斜角センサ
321 第1端末通信インターフェース
322 第2端末通信インターフェース
93 端末制御部
341、342、343、344 アンテナ
35 表示部
36 端末操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13