(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079969
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】インソールおよび履物
(51)【国際特許分類】
A43B 17/00 20060101AFI20220520BHJP
A43B 13/14 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A43B17/00 E
A43B13/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190878
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】507159957
【氏名又は名称】各務 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】各務 和宏
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050AA15
4F050AA22
4F050BA29
4F050EA05
4F050HA17
4F050HA38
4F050HA53
4F050HA55
4F050HA73
4F050LA01
4F050LA06
4F050LA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】継続的な使用により良い姿勢を保つための筋肉が鍛えられ理想的な歩行や姿勢が形成され、次第に偏平足や外反母趾が改善して腰痛や膝痛も改善されていくと共に、長時間の歩行による疲れや立ち上がりの際の足腰への負担を軽減させ歩行を補助することができるインソールおよび履物を提供する。
【解決手段】インソール1は、足裏と接する板状体2と、板状体2の下部に配され湾曲させると反発弾性を生じる剛性を備えたプレート3と、プレート3の下部に設けられプレート3の湾曲を支持する湾曲支持体4とを備えている。また、本発明の履物は、本発明の各種インソールの構造を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足裏と接する板状体と、該板状体の下部に配され、湾曲させると反発弾性を生じる剛性を備えたプレートと、該プレートの下部に設けられ前記プレートの湾曲を支持する湾曲支持体とを備えたことを特徴とするインソール。
【請求項2】
前記プレートは、カーボンプレートにて形成されている請求項1に記載のインソール。
【請求項3】
前記湾曲支持体は、使用者の土踏まずの前方付近に位置する部位に設けられた第1湾曲支持体と、使用者の土踏まずの後方付近に位置する部位に設けられた第2湾曲支持体とを有している請求項1または2に記載のインソール。
【請求項4】
前記第1湾曲支持体および前記第2湾曲支持体は、使用者の足裏を内外に横断するように配されている請求項3に記載のインソール。
【請求項5】
前記第1湾曲支持体および前記第2湾曲支持体は内側が外側に比して高く形成されている請求項3または4に記載のインソール。
【請求項6】
前記第1湾曲支持体および前記第2湾曲支持体の内側には、湾曲させると反発弾性を生じる剛性を備えた第2のプレートが架設されている請求項3ないし5のいずれかに記載のインソール。
【請求項7】
前記請求項1ないし6のいずれかに記載のインソールの構造を備えたことを特徴とする履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継続的な使用により理想的な歩行や姿勢が形成され次第に腰痛や膝痛等が改善されるインソールおよび履物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、履物の底部構造に工夫を凝らすことで使用者の腰痛や膝痛等を予防または改善するものが種々提案されている。例えば、そのようなものとして、低弾性の充填材により直接的な強い衝撃を緩和して膝痛、腰痛の発生を抑制するもの(特開2004-248942号)、爪先部を踵部より高くすることで、前傾姿勢を解消して内臓の機能低下、腰痛等を改善するもの(特開2005-160560号)などがある。
【0003】
しかし、前者の低弾性のインソールは、低弾性の充填材により衝撃を軽減するため歩行の度に体が沈むことから正しい姿勢で歩きながら手を振ることができづらくなる傾向にあった。他方、後者の爪先部を踵部より高くするものも、前へ進む歩行自体が妨げられるため、理想的な歩行が困難になる傾向があった。
【0004】
ところで、現代人はアスファルトの上を歩き平らな床で生活しているため、足の指が使われず指の力が弱く、土踏まずが反り上がった縦アーチが形成されない傾向にある。その結果、偏平足気味の足で指を使わず、踵部側に重心を置き、かつ爪先が外側に開いた、いわゆるO脚で歩行するため、その衝撃で腰痛や膝痛が誘発されることが指摘されている。また、利き足側に重心が偏るため、肩の高さが左右で異なるなど姿勢がアンバランスとなって腰痛や膝痛がさらに悪化していくことが指摘されている。
【0005】
理想的な歩行は、踵部側で軽く着地した後、前足部側へ体重が移動して、足の指(特に親指)で地面を蹴り上げるようにして手を振って前に移動するものであり、そのような歩行を実現するためには(1)足裏に
図18に示す縦アーチ41および横アーチ42ができて立体的な足の形となることで足の指先が良く動くこと、(2)
図16に示すような前屈みな姿勢(顎が前に出て、背中が丸まり猫背になり、下腹が出て、膝が曲がる姿勢)ではなく、
図17に示すような、膝、腰、頭が真っすぐ伸びた良い姿勢(目線が上がり、背筋が伸びて、下腹が引っ込み、膝が伸びる姿勢)で両手を振って歩けることなどが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-248942号公報
【特許文献2】特開2005-160560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明者は、上記のような理想的な歩行を繰り返すことができるインソールおよび履物によって、良い姿勢を保つための筋肉が鍛えられ、偏平足や外反母趾が改善され次第に腰痛や膝痛が改善されていくことに着眼し、長期に渡る試行錯誤を繰り返す中で本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の課題は、継続的な使用により良い姿勢を保つための筋肉が鍛えられ理想的な歩行や姿勢が形成され、次第に偏平足や外反母趾が改善して腰痛や膝痛も改善されていくと共に、長時間の歩行による疲れや立ち上がりの際の足腰への負担を軽減させ歩行を補助することができるインソールおよび履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するものは、足裏と接する板状体と、該板状体の下部に配され湾曲させると反発弾性を生じる剛性を備えたプレートと、該プレートの下部に設けられ前記プレートの湾曲を支持する湾曲支持体とを備えたことを特徴とするインソールである(請求項1)
【0009】
前記プレートは、カーボンプレートにて形成されていることが好ましい(請求項2)。前記湾曲支持体は、使用者の土踏まずの前方付近に位置する部位に設けられた第1湾曲支持体と、使用者の土踏まずの後方付近に位置する部位に設けられた第2湾曲支持体とを有していることが好ましい(請求項3)。前記第1湾曲支持体および前記第2湾曲支持体は、使用者の足裏を内外に横断するように配されていることが好ましい(請求項4)。前記第1湾曲支持体および前記第2湾曲支持体は内側が外側に比して高く形成されていることが好ましい(請求項5)。前記第1湾曲支持体および前記湾曲第2支持体の内側には、湾曲させると反発弾性を生じる剛性を備えた第2のプレートが架設されていることが好ましい(請求項6)。
【0010】
また、上記課題を解決するものは、前記請求項1ないし6のいずれかに記載のインソールの構造を備えたことを特徴とする履物である(請求項7)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のインソールによれば、継続的な使用により良い姿勢を保つための筋肉が鍛えられ理想的な歩行(足裏に縦アーチや横アーチが形成されて指や母指球を使用した歩行)や姿勢が形成され、次第に偏平足や外反母趾が改善して腰痛や膝痛も改善されていくと共に、長時間の歩行による疲れや立ち上がりの際の足腰への負担を軽減させ歩行を補助することができる。
請求項2に記載のインソールによれば、上記請求項1の効果をより奏することができるインソールを構成できる。
請求項3に記載のインソールによれば、プレートが縦方向に湾曲し易くなり、足裏に土踏まずや縦アーチが形成され易いインソールを構成できる。
請求項4に記載のインソールによれば、プレートが縦方向に湾曲し易くなり、足裏に土踏まずや縦アーチが形成され易いインソールを構成できる。
請求項5に記載のインソールによれば、内側(母指球側)を高くすることで理想的な歩行に重要な母指球の動きの自由度を高めることができると共に、足裏に土踏まずや縦アーチおよび横アーチが形成され易いインソールを構成できる。
請求項6に記載のインソールによれば、第2のプレートが縦方向に湾曲して、足裏に土踏まずや縦アーチがより形成され易く、さらに第2のプレートの反発弾性によってより立ち上がり易く歩き易いインソールを構成できる。
請求項7に記載の履物によれば、継続的な使用により良い姿勢を保つための筋肉が鍛えられ理想的な歩行や姿勢が形成され、次第に偏平足や外反母趾が改善して腰痛や膝痛も改善されていくと共に、長時間の歩行による疲れや立ち上がりの際の足腰への負担を軽減させ歩行を補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のインソールの一実施例の平面図である。
【
図4】
図1の背面図(つま先側から視た図)である。
【
図5】本発明のインソールの作用を説明するための背面図(つま先側から視た図)である。
【
図6】本発明のインソールの作用を説明するための右側面図である。
【
図8】本発明のインソールの他の実施例の平面図である。
【
図11】
図8の背面図である(つま先側から視た図)。
【
図12】本発明のインソールの他の実施例の平面図である。
【
図16】本発明のインソールおよび履物の作用効果を説明するための説明図であり、人間の悪い立姿勢を説明するための説明図である。
【
図17】本発明のインソールおよび履物の作用効果を説明するための説明図であり、人間の理想的な立姿勢を説明するための説明図である。
【
図18】本発明のインソールおよび履物の作用効果を説明するための説明図であり、縦アーチおよび横アーチを説明するための人間の足の透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明では、足裏と接する板状体2と、板状体2の下部に配され湾曲させると反発弾性を生じる剛性を備えたプレート3と、プレート3の下部に設けられプレート3の湾曲を支持する湾曲支持体4とを備えているため、プレート3が湾曲支持体4を支点として撓ることで足の形が立体的となり、足裏に縦アーチ41および横アーチ42が形成され、さらにプレート3の反発弾性により楽に歩行ができるようになり、継続的な使用により良い姿勢を保つための筋肉が鍛えられ理想的な歩行や姿勢が形成され、次第に偏平足や外反母趾が改善して腰痛や膝痛も改善されていくと共に、長時間の歩行による疲れや立ち上がりの際の足腰への負担を軽減させることができるインソールおよび履物を実現した。
【実施例0014】
本発明のインソールを
図1ないし
図6に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例のインソール1は、
図1ないし
図4に示すように、足裏と接する板状体2と、板状体2の下部に配され、湾曲させると反発弾性を生じる剛性を備えたプレート3と、プレート3の下部に設けられプレート3の湾曲を支持する湾曲支持体4とを備えている。以下、各構成について順次詳述する。
【0015】
この実施例のインソール1は、スリッパ、運動靴、革靴、ナースシューズなどの靴全般の他、サンダルまたは草履など、履物全般の底部に配して使用するものである。
【0016】
板状体2は、インソール1の基体部を構成する部位であり、上面は足裏と接する部位であり、配置する履物の底部形状に対応した平面形状に形成されている。板状体2を形成する材料としては、例えばゴム材、合成樹脂、木材、紙材、発泡体またはそれらの複合体などであるが、この実施例では発泡体にて形成されている。
【0017】
この実施例の板状体2の厚みは約4mmに形成されているが、これに限定されるものではなく、使用される履物等に応じて適宜設計変更可能である。
【0018】
プレート3は、板状体2の下部(この実施例では板状体2の下面)に配される板材であり、歩行による体重移動で縦横に湾曲して足裏に縦アーチおよび横アーチが形成されることを補助すると共に、その反発弾性力により上方に跳ね上がって、立ち上がりや歩行自体を補助するためのものである。
【0019】
プレート3は湾曲させると反発弾性を生じる剛性を備えた板材で形成されており、この実施例のプレート3はカーボンプレートにて形成されている。ただし、本発明におけるプレートはカーボンプレートに限定されるものではなく、歩行に伴なう体重移動により湾曲可能であって、かつ、湾曲させると反発弾性を生じる剛性を備えた板材であればどのようなものでもよい。
【0020】
プレート3は、
図1または
図2に示すように、使用者の前足部側の各指の関節(内側の母指球から外側の小指球に至る部位)の下部付近から踵部の下部付近まで一枚の板として配されている。そして、使用者の指先の下部付近には、各指の自由の動きを阻害することなく各指を使用した歩行が確保されるようにプレート3は設けられておらず、各指の基部の手前付近で先端部が指先側に向って弧状(山形)に形成されている。
【0021】
この実施例のプレート3の厚みは、約1.5mmに形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば1~2.5mm程度で板状体の厚みや使用される履物等に応じて適宜設計変更可能である。
【0022】
湾曲支持体4は、プレート3の湾曲を支持すると共に湾曲の支点となるものであり、湾曲支持体4はプレート3の下部(この実施例ではプレート3の下面)に設けられ、歩行に際してプレート3が使用者の母指球や踵部などにより上から押圧されると、この湾曲支持体4の上部で山形に湾曲するように作用する。
【0023】
この実施例の湾曲支持体4は、
図1または
図2に示すように、使用者の土踏まずの前方付近に位置する部位に設けられた第1湾曲支持体4aと、使用者の土踏まずの後方付近に位置する部位に設けられた第2湾曲支持体4bとを有している。これにより、母指球を含む前足部でプレート3が押圧される部位の後方に第1湾曲支持体4が設けられ、踵部を含む後足部でプレート3が押圧される部位の前方に湾曲を支持する部位に第2湾曲支持体4bが設けられるため、プレート3が縦方向(長さ方向)に湾曲し易くなり、母指球を使用した歩きをより体感できると共に、足裏に土踏まずや縦アーチが形成され易いインソール1を構成できる。
【0024】
この実施例の第1湾曲支持体4aおよび第2湾曲支持体4bは帯状体に形成され、使用者の足裏を内外(幅方向)に横断するように配されている。これにより、プレート3が縦方向(長さ方向)により湾曲し易くなり、足裏に土踏まずや縦アーチが形成され易いインソールが構成される。
【0025】
この実施例の第1湾曲支持体4aは、
図1に示すように、平面視で帯状体の外側から後足部側に向かって斜め下(
図1中斜め下方に向って)に延在するように配されている。これにより、プレート3の内側の方(母指球が押圧する側)が外側より湾曲するため内側がより撓り易く構成されている。これにより、足裏に横アーチが形成されると共に、母指球を使用した理想的な歩行がより可能となる。なお、プレート3の内側の方(母指球が押圧する側)を外側に比してより湾曲させる構造は、これに限定されるものではなく、例えば第1湾曲支持体を外側から中央付近まで設けて内側には設けない構造などでもよい。また、内外両側を湾曲させるように中央部にのみ第1湾曲支持体を設けた構造などでもよい。さらに、第1湾曲支持体を形成する帯状体が斜めではなく、長さ方向に直交する方向に延在するように設けたものも本発明の範疇に包含される。
【0026】
また、この実施例の第2湾曲支持体4bは、
図1に示すように、平面視で帯状体の外側が内側に比して幅広に形成(
図1中長さ方向に長く形成)されているため、踵部の圧力によりプレート3の後方部も内側がより撓ることで、足裏に縦アーチを形成し易くなるように構成されている。ただし、本発明の第2湾曲支持体の構造は、これに限定されるものではなく、例えば第2湾曲支持体を外側から中央付近まで設けて内側には設けない構造などでもよい。また、内外両側を湾曲させるように中央部にのみ第2湾曲支持体を設けた構造などでもよい。さらに、第2湾曲支持体を形成する帯状体が斜めではなく、長さ方向に直交する方向に延在するように設けたものも本発明の範疇に包含される。
【0027】
この実施例の第1湾曲支持体4aおよび第2湾曲支持体4bは、厚みは約4mm、幅は約10ないし20mm程度に形成されているが、これに限定されるものではなく、板状体やプレートの厚みまたは使用される履物等に応じて適宜設計変更可能である。
【0028】
この実施例の第1湾曲支持体4aおよび第2湾曲支持体4bは、端部(または両端部)がプレート3の湾曲に追随して多少湾曲するように弾性体(硬質ゴム)にて形成されているが、これに限定されるものではなく、プレート3の湾曲を支持すると共に湾曲の支点となるものであればどのようなものでもよい。
【0029】
つぎに、本発明のインソール1の作用効果について説明する。
歩行に際して、踵部側で軽く着地した後、前足部側へ体重が移動すると、前足部(特に内側の母指球)がインソール1を押圧することで、
図5に示すように、板状体2およびプレート3が湾曲(特に内側が下方に湾曲)する。これにより、使用者の前足部の足裏に横アーチが形成される。
【0030】
また、踵部側で軽く着地した後、前足部側へ体重が徐々に移動する際には、前足部側では特に内側の母指球がインソール1を押圧し、後足部側では踵部がインソール1を押圧することで、
図6に示すように、板状体2およびプレート3が長さ方向の両側において下方に湾曲する。これにより、使用者の足裏の前足部と後足部の間には、土踏まずが反り上がった縦アーチが形成される。
【0031】
さらに、足の指(特に親指)で地面を蹴り上げるようにして前に移動する際には、プレート3の反発弾性力によってプレート3の長さ方向の両側が反発して上方に跳ね上がり足裏を押し上げるため、歩行が楽になり長時間の歩行による疲れや立ち上がりの際の足腰への負担を軽減させることができると共に、歩行が補助されて正しい姿勢で自然に手を振って歩くことができるように作用する。また、立ち上がる際に背筋を伸ばした感覚を体感でき、この背筋を伸ばした状態のまま歩いたり、或いは走ったりすることで、正しい姿勢を保つ筋肉が形成されていく。そして、継続的な使用により理想的な歩行や姿勢が形成され次第に偏平足や外反母趾も改善されると共に腰痛や膝痛も改善される。
【0032】
なお、
図1ないし
図6に示したインソール1は左足用のものであり、右足用は、左足用と平面視線対称の関係にある形態に構成され、両者で一対のインソールとして提供される。
【0033】
つぎに、
図7に示した本発明の履物の一実施例について説明する。
この実施例の履物10は、前記インソール1を底部11上面に配した履物である。以下、各構成について説明するが、前述したインソール1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0034】
この実施例の履物10はサンダルであるが、本発明の履物はこれに限定されるものではなく、本発明の各種インソールの構造を備えた履物を広く包含するものであり、履物であればどのようなものでもよく、例えば運動靴、革靴、ナースシューズなど靴全般の他、草履やスリッパなども広く本発明の履物に包含される。さらに、この実施例の履物10は、インソール1を底部11の上面に固着したものであるが、本発明の履物はこれに限定されるものではなく、本発明のインソールの構成を履物の底部に一体的に形成したものも本発明の履物の範疇に包含される。さらに、この履物10はサンダルであるため、
図7に示すように、底部11と、底部11に取り付けられた甲当て12とを有している。
【0035】
底部11や甲当て12の形成材料としては、公知の材料が使用できるが、例えばゴム材、合成樹脂、革材、発泡体などが好適に使用できる。また、底部11の先端部は、先端側に向かって反り上がるように形成されていてもよく、これにより歩行に際して底部11の先端部が床等に引っ掛かって転倒することをより防止できる。
【0036】
さらに、
図8ないし
図11に示した本発明のインソールの他の実施例について説明する。
この実施例のインソール20と前述したインソール1との相違点は、インソール20の第1湾曲支持体4aおよび第2湾曲支持体4bの内側が外側に比して高く形成されている点のみであり他は同様である。インソール1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0037】
具体的には、この実施例のインソール20は、インソール20の第1湾曲支持体4aおよび第2湾曲支持体4bの内側下面にそれぞれ肉厚片部21(21a,21b)が設けられていることにより、第1湾曲支持体4aおよび第2湾曲支持体4bの内側が外側に比して高く形成されている。これにより、内側(母指球側)が高くなり正しい歩行に重要な母指球の動きの自由度をより高めることができると共に、足裏に土踏まずや縦アーチがより形成され易いインソールを構成できる。
【0038】
さらに、
図12ないし
図15に示した本発明のインソールの他の実施例について説明する。
この実施例のインソール30と前述したインソール1との相違点は、インソール30では、第1湾曲支持体4aおよび第2湾曲支持体4bの内側に、湾曲させると反発弾性を生じる剛性を備えた第2のプレート31が架設されている点のみであり他はインソール1と同様である。インソール1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0039】
具体的には、第1湾曲支持体4aおよび第2湾曲支持体4bの内側に、湾曲させると反発弾性を生じる剛性を備えた第2のプレート31、例えば前述したプレート3と同様のカーボンプレートが、第1湾曲支持体4aおよび第2湾曲支持体4bの下面に掛け渡すように固着されている。そして、この第2のプレート31が縦方向で上方に向って山なりに湾曲することで、足裏に土踏まずや縦アーチがより形成され易く、さらに反発弾性によってより立ち上がり易く歩き易いインソールが構成される。なお、この実施例の第2のプレート31の厚みは、約1.5mmに形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば1~2.5mm程度で、板状体の厚みや使用される履物等に応じて適宜設計変更可能である。
【0040】
なお、この実施例のインソール30では、第2のプレート31が、第1湾曲支持体4aおよび第2湾曲支持体4bの下面に直接固着されているが、インソール20と同様に、インソール20の第1湾曲支持体4aおよび第2湾曲支持体4bの内側下面にそれぞれ肉厚片部21(21a,21b)が設けられ、肉厚片部21(21a,21b)の下面に第2のプレート31が固着されたものも本発明のインソールの範疇に包含される。これにより、足裏に土踏まずや縦アーチがさらに形成され易く、反発弾性によってさらに立ち上がり易く歩き易いインソールを構成できる。