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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079993
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20220520BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20220520BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
B41J2/165 207
B41J2/17 207
B41J2/14 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190912
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 敏郎
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EC08
2C056EC23
2C056EC24
2C056EC31
2C056EC35
2C056EC54
2C056FA10
2C056JA01
2C056JA13
2C056JC23
2C057AF75
2C057AG16
(57)【要約】
【課題】フラッシングにおいて最後にノズルからの液体を吐出させるときのキャリッジの位置を、被吐出媒体への液体の吐出を行うときの位置に極力近い位置にする。
【解決手段】キャリッジを走査方向の右側に移動させつつ、フラッシングを行わせてから第2記録パスを行わせるときに、フラッシングにおいてノズルから第1吐出回数K1インクを吐出させる場合には、キャリッジが走査方向の位置Ia1に到達したときに、インクジェットヘッドの最も右側のノズル列を構成するノズルからのインクの吐出を開始させる。フラッシングにおいてノズルから第1吐出回数K1よりも少ない第2吐出回数K2インクを吐出させる場合には、キャリッジが走査方向の位置Ia1よりも右側の位置Ib1に到達したときに、インクジェットヘッドの最も右側のノズル列を構成するノズルからのインクの吐出を開始させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを搭載し、走査方向に移動するキャリッジと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記走査方向における所定のフラッシング領域で前記キャリッジを前記走査方向の一方側に移動させつつ、前記液体吐出ヘッドに前記ノズルから液体を吐出させるフラッシング、を行わせてから、
前記フラッシング領域よりも前記走査方向の前記一方側に位置する吐出領域で前記キャリッジを前記走査方向の前記一方側に移動させつつ、前記液体吐出ヘッドに前記複数のノズルから被吐出媒体に向けて液体を吐出させる吐出動作、を行わせ、
前記フラッシングにおいて、
前記ノズルから第1吐出回数液体を吐出させる場合には、前記キャリッジが前記走査方向の第1吐出開始位置に到達したときに、前記ノズルからの液体の吐出を開始させ、
前記ノズルから前記第1吐出回数よりも少ない第2吐出回数液体を吐出させる場合には、前記キャリッジが前記走査方向の第1吐出開始位置よりも前記一方側の第2吐出開始位置に到達したときに前記ノズルからの液体の吐出を開始させることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記キャリッジが前記フラッシング領域に位置している状態で前記ノズルと対向する対向部材、を備え、
前記制御装置は、
前記フラッシングにおいて、前記液体吐出ヘッドに前記ノズルから前記対向部材に向けて液体を吐出させ、
前記対向部材の、前記ノズルと対向する対向面は、前記走査方向の前記一方側に向かうほど、前記ノズルに近づくように、前記走査方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記フラッシングにおいて前記ノズルから前記第1吐出回数液体を吐出させるか、前記のノズルから前記第2吐出回数液体を吐出させるかによらず、前記走査方向の同じ移動開始位置から前記キャリッジの移動を開始させて、前記フラッシング及び前記吐出動作を行わせることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記フラッシングを開始させるまでに、前記キャリッジを所定速度まで加速させ、
前記キャリッジが前記所定速度で移動している状態で前記フラッシング及び前記吐出動作を行わせることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記吐出動作を開始させるまでに、前記キャリッジを所定速度まで加速させ、
前記キャリッジの加速中の期間を含む期間に前記フラッシングを行わせ、
前記キャリッジが前記所定速度で移動している状態で前記吐出動作を行わせることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記吐出動作を開始させるまでに、前記キャリッジを所定速度まで加速させ、
前記キャリッジの加速中の期間を含む期間に前記フラッシングを行わせ、
前記キャリッジが前記所定速度で移動している状態で前記吐出動作を行わせ、
前記フラッシングにおいて、
前記ノズルから第1吐出回数液体を吐出させる場合には、前記キャリッジを前記走査方向の第1移動開始位置から移動を開始させて、前記フラッシング及び前記吐出動作を行わせ、
前記ノズルから前記第2吐出回数液体を吐出させる場合には、前記キャリッジが前記走査方向の第1移動開始位置よりも前記一方側の第2移動開始位置から移動を開始させて、前記フラッシング及び前記吐出動作を行わせることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記フラッシングにおいて最後に前記ノズルから液体を吐出させるまでに、前記キャリッジを所定速度まで加速させ、
前記キャリッジが前記所定速度で移動している状態で前記吐出動作を行わせ、
前記第1吐出開始位置は、前記フラッシングにおいて前記ノズルから前記第1吐出回数液体を吐出させる場合に、当該フラッシングにおいて最後に前記ノズルから液体を吐出させるときの前記キャリッジの前記走査方向の位置が所定の吐出完了位置となるように設定された位置であり、
前記第2吐出開始位置は、前記フラッシングにおいて前記ノズルから前記第2吐出回数液体を吐出させる場合に、当該フラッシングにおいて最後に前記ノズルから液体を吐出させるときの前記キャリッジの前記走査方向の位置が前記吐出完了位置となるように設定された位置であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッドは、
前記ノズルとして、第1ノズルと第2ノズルと第3ノズルとを有し、
前記走査方向において、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間隔が、前記第1ノズルと前記第3ノズルとの間隔、及び、前記第2ノズルと前記第3ノズルの間隔よりも小さく、
制御装置は、
前記フラッシングにおいて、
前記第1ノズルと前記第2ノズルとで、吐出タイミングを同じとし、
前記第1ノズル及び前記第2ノズルと、前記第3ノズルとで、吐出タイミングを異ならせることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を吐出する液体吐出装置の一例として、特許文献1には、ノズルからインク吐出させて記録を行うプリンタが記載されている。特許文献1に記載のプリンタには、廃液タンク、廃液タンクにインクを案内するガイド部材などを含むインク受け部が設けられている。そして、特許文献1のプリンタでは、インクジェットヘッドにノズルからガイド部材に向けてインクを吐出させるフラッシングを行わせている。
【0003】
また、特許文献1のプリンタでは、印刷指令が入力されてからインクジェットヘッドがインク吐出動作を開始する前、所定のパス数毎、所定枚数の記録用紙への印刷の完了後次の記録用紙への印刷の開始前などに、フラッシングを行わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-68488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述したようなタイミングでフラッシングを行わせるのは、ノズル内の増粘したインクを印刷の直前に排出するためである。そのため、このフラッシングにおいては、それまでのノズルからのインクの吐出量、印刷を行っていない待機時間の長さ等の、インクの増粘の程度に関連する条件によってノズルからのインクの吐出回数を異ならせて、適切な量のインクを排出させるようにすることがある。
【0006】
この場合、フラッシングにおけるインクの吐出回数によらず、同じタイミングでフラッシングにおけるノズルからのインクの吐出を開始させると、吐出回数が少ない場合に、フラッシングにおいて最後のインクを吐出するときのインクジェットヘッドの位置が、用紙に向けてインクを吐出させるときの位置から大きく離れてしまう。その結果、例えば、インクジェットヘッドの移動方向における用紙の下流側の部分にのみ画像を印刷する場合に、フラッシングにおける最後のインクの吐出から、用紙への記録のための最初の吐出までの時間が長くなってしまい、この間にノズル内のインクの増粘が進行してしまう虞がある。そのため、フラッシングにおいて最後にインク吐出させるときのインクジェットヘッドの位置は、用紙へのインクの吐出を行わせるときの位置に極力近いことが好ましい。
【0007】
本発明の目的は、フラッシングにおいて最後にノズルから液体を吐出させるときのキャリッジの位置を、被吐出媒体への液体の吐出を行うときの位置に極力近くすることが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体吐出装置は、ノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドを搭載し、走査方向に移動するキャリッジと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記走査方向における所定のフラッシング領域で前記キャリッジを前記走査方向の一方側に移動させつつ、前記液体吐出ヘッドに前記ノズルから液体を吐出させるフラッシング、を行わせてから、前記フラッシング領域よりも前記走査方向の前記一方側に位置する吐出領域で前記キャリッジを前記走査方向の前記一方側に移動させつつ、前記液体吐出ヘッドに前記複数のノズルから被吐出媒体に向けて液体を吐出させる吐出動作、を行わせ、前記フラッシングにおいて、前記ノズルから第1吐出回数液体を吐出させる場合には、前記キャリッジが前記走査方向の第1吐出開始位置に到達したときに、前記ノズルからの液体の吐出を開始させ、前記ノズルから前記第1吐出回数よりも少ない第2吐出回数液体を吐出させる場合には、前記キャリッジが前記走査方向の第1吐出開始位置よりも前記一方側の第2吐出開始位置に到達したときに前記ノズルからの液体の吐出を開始させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、フラッシングにおける液体の吐出回数によらず、フラッシングにおいて最後に液体を吐出させるときのキャリッジの位置を、被吐出媒体に向けて液体を吐出させるときの位置に極力近い位置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
図2図1のインクジェットヘッドにおけるノズルの配置を示す図である。
図3】搬送方向の下流側から見たときの、キャリッジ、インクジェットヘッド、プラテン及びフラッシング受け部の位置関係を示す図である。
図4】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図5】記録時の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】(a)は図5の準備処理の流れを示すフローチャートであり、(b)は第1吐出開始位置を説明するための図であり、(c)は第2吐出開始位置を説明するための図である。
図7】(a)は吐出回数Kを第1吐出回数K1に設定する場合の、フラッシングにおけるインクの吐出位置を説明するための図であり、(b)は吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定する場合の、フラッシングにおけるインクの吐出位置を説明するための図である。
図8】(a)は吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定するときに、フラッシングでの吐出開始位置及びキャリッジ2の移動開始位置を、第1吐出回数K1に設定するときと同じとした場合を説明するための図であり、(b)は吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定するときに、キャリッジの移動開始位置のみを、第1吐出回数K1に設定するときと同じとした場合を説明するための図である。
図9】(a)は変形例1の図7(a)に対応する図であり、(b)は変形例1の図7(b)に対応する図である。
図10】本発明に関連する別の実施形態の、図3に対応する図である。
図11】上記別の実施形態における、記録時の処理の流れを示すフローチャートである。
図12】(a)は図11の準備処理の流れを示すフローチャートであり、(b)は上記別の実施形態における第1吐出開始位置を説明するための図であり、(c)は上記別の実施形態における第2吐出開始位置を説明するための図である。
図13】(a)は上記別の実施形態において、吐出回数Kを第1吐出回数K1に設定する場合の、フラッシングにおけるインクの吐出位置を説明するための図であり、(b)は上記別の実施形態において、吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定する場合の、フラッシングにおけるインクの吐出位置を説明するための図である。
図14】上記別の実施形態において、吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定する場合に、吐出開始位置を第1吐出開始位置とした場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0012】
<プリンタの全体構成>
図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、キャリッジ2と、リニアエンコーダ9と、インクジェットヘッド3と、搬送ローラ対4,5と、プラテン6と、パージユニット7と、フラッシング受け部8とを備えている。
【0013】
キャリッジ2は、水平な走査方向に延びた2つのガイドレール11,12に支持されている。キャリッジ2は、図示しないベルト等を介して図4に示すキャリッジモータ56に接続されている。キャリッジモータ56を駆動させると、キャリッジ2がガイドレール11,12に沿って走査方向に移動する。なお、以下では、図1に示すように走査方向の右側及び左側を定義して説明を行う。
【0014】
リニアエンコーダ9は、エンコーダストリップ13と、エンコーダセンサ14とを備えている。エンコーダストリップ13は、ガイドレール12に設けられ、走査方向に延びている。エンコーダストリップ13には、走査方向に等間隔に並んだ図示しない複数のスリットが形成されている。
【0015】
エンコーダセンサ14は、キャリッジ2に搭載されている。エンコーダセンサ14は、発光部14aと受光部14bとを有する。発光部14aと受光部14bとは、搬送方向に間隔をあけて対向している。また、上述のエンコーダストリップ13は、搬送方向における発光部14aと受光部14bとの間を通って、走査方向に延びている。発光部14aは、受光部14bに向けて光を照射し、受光部14bは発光部14aからの光を受信する。
【0016】
そして、リニアエンコーダ9では、キャリッジ2が走査方向に移動すると、発光部14aから照射された光が、エンコーダストリップ13のスリットを透過して受光部14bがこの光を受信する状態と、発光部14aから照射された光が、エンコーダストリップ13のスリットが形成されていない部分によって遮られて、受光部14bがこの光を受信しない状態とが、交互に切り換わる。これにより、上記2つの状態が切り換わった回数に基づいて、キャリッジ2の走査方向の位置の情報を取得することができる。また、上記2つの状態が切り換わる時間間隔に基づいて、キャリッジ2の移動速度の情報を取得することができる。
【0017】
<インクジェットヘッド>
インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載され、その下面に形成された複数のノズル10からインクを吐出する。より詳細に説明すると、図2に示すように、インクジェットヘッド3では、複数のノズル10が、水平で且つ走査方向と直交する搬送方向に一定の間隔Eで配列されることによって、ノズル列20を形成している。さらに、インクジェットヘッド3では、4列のノズル列20が走査方向に配列されることによって、ノズル群21を形成している。さらに、インクジェットヘッド3は、走査方向に並んだ4つのノズル群21を有している。
【0018】
また、各ノズル群21において、4列のノズル列20のうち、走査方向の左から2番目のノズル列20Cを構成するノズル10は、走査方向の最も右側のノズル列20Aを構成するノズル10に対して、搬送方向の下流側に(E/4)ずれて配置されている。また、走査方向の右から2番目のノズル列20Bを構成するノズル10は、ノズル列20Cを構成するノズル10に対して、搬送方向の下流側に(E/4)ずれて配置されている。また、走査方向の最も左側のノズル列20Dを構成するノズル10は、ノズル列20Bを構成するノズル10に対して、搬送方向の下流側に(E/4)ずれて配置されている。これにより、各ノズル群21では、4つのノズル列20を形成する複数のノズル10が、搬送方向において、(E/4)の間隔で配置されている。
【0019】
また、各ノズル群21において、ノズル列20Aを構成するノズル10とノズル列20Bを構成するノズル10との走査方向の間隔、及び、ノズル列20Cを構成するノズル10とノズル列20Dを構成するノズル10との走査方向の間隔が、間隔J1である。また、ノズル列20Bを構成するノズル10とノズル列20Cを構成するノズル10との走査方向の間隔が、間隔J1よりも大きい間隔J2である。また、隣接する2つのノズル群21のうち、左側のノズル群21のノズル列20Aを構成するノズル10と、右側のノズル群21のノズル列20Dを構成するノズル10との走査方向の間隔は、間隔J2よりも大きい間隔J3である。
【0020】
そして、4つのノズル群21のうち最も右側のノズル群21Aを構成するノズル10からは、ブラックのインクが吐出される。4つのノズル群21のうち右から2番目のノズル群21Bを構成するノズル10からは、イエローのインクが吐出される。4つのノズル群21のうち左から2番目のノズル群21Cを構成するノズル10からは、シアンのインクが吐出される。4つのノズル群21のうち最も左側のノズル群21Dを構成するノズル10からは、マゼンタのインクが吐出される。
【0021】
図1に戻って、搬送ローラ対4は、インクジェットヘッド3よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ対5は、インクジェットヘッド3よりも搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラ対4,5は、それぞれ、搬送方向に延び、鉛直方向に並んだ一対のローラによって形成されている。搬送ローラ対4,5を構成する一対のローラのうち一方のローラがそれぞれ、駆動ローラであり、図示しないギヤなどを介して、図4に示す搬送モータ57に接続されている。搬送ローラ対4,5を構成する一対のローラのうち他方のローラは、従動ローラである。そして、搬送モータ57を駆動させると、搬送ローラ対4,5において、上記駆動ローラが回転し、これに伴って上記従動ローラが連れ回りする。これにより、記録用紙Pが、搬送ローラ対4,5を構成する一対のローラに鉛直方向から挟まれた状態で搬送方向に搬送される。
【0022】
プラテン6は、搬送方向において搬送ローラ対4と搬送ローラ対5との間に配置され、インクジェットヘッド3の下方に位置している。プラテン6は、キャリッジ2とともに走査方向に移動するインクジェットヘッド3の複数のノズル10と対向可能となっている。プラテン6は、搬送ローラ対4,5に搬送される記録用紙Pの全長にわたって走査方向に延び、記録用紙Pを下方から支持する。
【0023】
そして、プリンタ1では、キャリッジ2を走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッド3の複数のノズル10からインクを吐出させる記録パスと、搬送ローラ対4,5に記録用紙Pを搬送させる搬送動作とを繰り返し行わせることによって、記録用紙Pに記録を行うことができる。
【0024】
<パージユニット>
パージユニット7は、キャップ31と、切換ユニット32と、吸引ポンプ33と、廃液タンク34とを備えている。キャップ31は、走査方向において、プラテン6よりも右側に配置されている。キャップ31は、走査方向に並んだ2つのキャップ部31a,31bを有し、キャップ部31bがキャップ部31aの左側に位置している。キャリッジ2をインクジェットヘッド3の複数のノズル10がプラテン6と対向する位置よりも走査方向の右側のメンテナンス位置に位置させると、ノズル群21Aを構成する複数のノズル10がキャップ部31aと対向し、ノズル群21B~21Dを構成する複数のノズル10がキャップ部31bと対向する。
【0025】
また、キャップ31は、図4に示すキャップ昇降機構58によって鉛直方向に昇降可能となっている。キャリッジ2が上記メンテナンス位置に位置している状態で、キャップ昇降機構58によってキャップ31を上昇させると、ノズル群21Aを構成する複数のノズル10がキャップ部31aに覆われ、ノズル群21B~21Dを構成する複数のノズル10がキャップ部31bに覆われた、キャピング状態となる。
【0026】
切換ユニット32は、キャップ部31a,31b及び吸引ポンプ33と接続されている。切換ユニット32は、キャップ部31a,31bのいずれかを選択的に吸引ポンプ33と接続させる。吸引ポンプ33は、チューブポンプ等であり、廃液タンク34と接続されている。
【0027】
そして、プリンタ1では、上記キャッピング状態とし、切換ユニット32によりキャップ部31aと吸引ポンプ33とを接続させたうえで、吸引ポンプ33を駆動させることにより、ノズル群21Aを構成する複数のノズル10からインクジェットヘッド3内のブラックインクを排出させるブラックパージを行わせることができる。
【0028】
また、プリンタ1では、上記キャッピング状態とし、切換ユニット32によりキャップ部31bと吸引ポンプ33とを接続させたうえで、吸引ポンプ33を駆動させることにより、ノズル群21B~21Dを構成する複数のノズル10からインクジェットヘッド3内のイエロー、シアン、マゼンタインク、すなわちカラーインクを排出させるカラーパージを行わせることができる。
【0029】
ブラックパージ及びカラーパージによってインクジェットヘッド3から排出されたインクは、廃液タンク34に貯留される。
【0030】
<フラッシング受け部>
フラッシング受け部8は、走査方向において、プラテン6よりも左側に配置されている。図3に示すように、フラッシング受け部8は、フォーム41と、フラッシングガイド42と、廃液タンク43とを備えている。
【0031】
フォーム41は、例えばスポンジ等のインクを吸収可能な材料からなり、プラテン6の走査方向における左側に配置されている。フォーム41は、直方体の部材であり、その上面である対向面41aが、キャリッジ2とともに走査方向に移動するインクジェットヘッド3の複数のノズル10と対向可能となっている。また、対向面41aは水平、すなわち走査方向及び搬送方向と平行であり、キャリッジ2の走査方向の位置によらず、ノズル10と対向面41aとの鉛直方向の距離は一定である。
【0032】
フラッシングガイド42は、走査方向における、プラテン6とフォーム41との間に配置されている。フラッシングガイド42は、板状の部材であり、その上面が、キャリッジ2とともに走査方向に移動するインクジェットヘッド3の複数のノズル10と対向可能な対向面42aとなっている。対向面42aは、走査方向の右側に向かうほど、上方に向かう、すなわちノズル10に近づくように、走査方向に対して傾いている。
【0033】
廃液タンク43は、フラッシングガイド42よりも下方に配置されている。また、廃液タンク43は、フラッシングガイド42の走査方向における左側の端部と鉛直方向に重なっている。
【0034】
そして、プリンタ1では、複数のノズル10がフォーム41及びフラッシングガイド42と対向する範囲でキャリッジ2を走査方向の一方側に移動させつつ、ノズル群21Aを構成する複数のノズル10からフラッシングガイド42の対向面42aに向けてブラックインクを吐出させ、ノズル群21B~21Dを構成する複数のノズル10からフォーム41の対向面41aに向けてカラーインクを吐出させる、フラッシングを行うことができる。
【0035】
ここで、インクの成分の違いから、ブラックインクはカラーインクよりも固化しやすい。そのため、フラッシングにおいて、ノズル10からフォーム41に向けてブラックインクを吐出させると、フォーム41に付着したブラックインクが対向面41a及びその近傍で固化してしまい、フォーム41においてインクを吸収できなくなってしまう虞がある。
【0036】
そこで、本実施形態では、フラッシングにおいて、カラーインクをフォーム41の対向面41aに向けて吐出させ、ブラックインクをフラッシングガイド42の対向面42aに向けて吐出させている。フラッシングガイド42の対向面42aに着弾したブラックインクは、対向面42aに沿って廃液タンク43に流れ、廃液タンク43に貯留される。
【0037】
<プリンタの電気的構成>
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。図4に示すように、プリンタ1は、制御装置50を備えている。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、フラッシュメモリ54、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)55を有し、キャリッジモータ56、インクジェットヘッド3、搬送モータ57、キャップ昇降機構58、切換ユニット32、吸引ポンプ33等の動作を制御する。また、制御装置50は、エンコーダセンサ14からの信号に基づいて、キャリッジ2の走査方向の位置、及び、キャリッジ2の移動速度の情報を取得する。
【0038】
なお、制御装置50は、CPU51のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC55のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU51とASIC55とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御装置50は、1つのCPU51が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU51が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御装置50は、1つのASIC55が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC55が処理を分担して行うものであってもよい。
【0039】
<記録時の制御>
次に、プリンタ1において記録用紙Pに記録を行うときの制御装置50による制御について説明する。プリンタ1において記録用紙Pに記録を行うときには、制御装置50は、図5のフローに沿って処理を行う。
【0040】
図5のフローについてより詳細に説明すると、制御装置50は、まず、給紙処理を実行する(S101)。給紙処理では、制御装置50は、図示しない給紙機構、及び、搬送モータ57を制御して、給紙機構に記録用紙Pを供給させ、搬送ローラ対4,5に、供給された記録用紙Pを、1回目の記録パスで画像が記録される部分が、搬送方向において複数のノズル10と同じとなる位置まで搬送させる。
【0041】
続いて、制御装置50は、アンキャッピング処理を実行する(S102)。ここで、プリンタ1では、記録用紙Pへの記録などを行っていない待機時に、ノズル10内のインクの乾燥を抑えるために、上記キャッピング状態となっている。アンキャッピング処理では、制御装置50は、キャップ昇降機構58を制御してキャップ31を降下させることによって、複数のノズル10がキャップ31で覆われていないアンキャッピング状態にする。
【0042】
続いて、制御装置50は、変数Nを0にリセットする(S103)。変数Nは、S103又は後述のS113で、最後に値が0にリセットされた時点からの、後述する第1記録パス処理の実行回数に対応している。
【0043】
続いて、制御装置50は、準備処理を実行する(S104)。図6(a)に示すように、準備処理では、制御装置50は、まず、変数Nに1を加えた(N+1)が所定値Na以上であるか否かを判定する(S201)。
【0044】
(N+1)が所定値Na以上である場合には(S201:YES)、制御装置50は、ノズル10内のインクの増粘の程度に応じて、フラッシングでのノズル10からのインクの吐出回数Kを、第1吐出回数K1、及び、第1吐出回数K1よりも少ない第2吐出回数K2のいずれかに設定する(S202)。例えば、制御装置50は、それまでの記録パス処理でのノズル10からのインクの吐出量が所定量未満である場合、ノズル10からインクが吐出されない待機時間が所定時間以上である場合など、ノズル10内のインクの増粘の程度がある程度大きいと推定される場合に、吐出回数Kを第1吐出回数K1に設定する。また、上記インクの吐出量が所定量以上である場合、上記待機時間が所定時間未満である場合など、ノズル10内のインクの増粘の程度がそれほど大きくないと推定される場合に吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定する。
【0045】
吐出回数Kを第1吐出回数K1に設定した場合には(S203:YES)、制御装置50は、S104の準備処理の直後に実行する後述の第1記録パス処理で行わせる第1記録パスにおいて、記録用紙Pに向けてインクを吐出させた後にキャリッジ2を停止させる停止位置を、図7(a)に示す第1停止位置U1に設定する(S204)。続いて、制御装置50は、後述するS112のフラッシング処理で行わせるフラッシングにおける、各ノズル10からのインクの吐出を開始させるときのキャリッジ2の走査方向の位置である吐出開始位置を第1吐出開始位置に設定する(S205)。
【0046】
ここで、第1吐出開始位置について説明する。図6(b)に示すように、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、プラテン6よりも走査方向の左側の位置Ia1である。また、ノズル群21Aのノズル列20Bを構成するノズル10についての第1吐出開始位置も、位置Ia1である。
【0047】
また、ノズル群21Aのノズル列20C,20Dを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、位置Ia1から右側にΔI1ずれた位置(Ia1+ΔI1)である。ΔI1は、間隔J2、キャリッジ2の移動速度などによって決められたものである。なお、ΔI1は正の値であり、位置(Ia1+ΔI1)は、必ず、位置Ia1よりも右側の位置である。
【0048】
また、ノズル群21B~21Dのノズル列20A,20Bを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、位置Ia1から右側にΔI2ずれた位置(Ia1+ΔI2)である。ΔI2は、フォーム41とフラッシングガイド42との位置関係、間隔J3、キャリッジ2の移動速度などによって決められたものである。ここで、ΔI2は、正の値、0、負の値のいずれであってもよい。ΔI2が正の値の場合には、位置(Ia1+ΔI2)は、位置Ia1から右側に|ΔI2|ずれた位置である。ΔI2が0の場合には、位置(Ia1+ΔI2)は、位置Ia1と同じ位置である。ΔI2が負の値の場合には、位置(Ia1+ΔI2)は、位置Ia1から左側に|ΔI2|ずれた位置である。
【0049】
また、ノズル群21B~21Dのノズル列20C,20Dを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、位置(Ia1+ΔI2)から右側にΔI2ずれた位置(Ia1+ΔI2+ΔI1)である。
【0050】
吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定した場合には(S203:NO)、制御装置50は、キャリッジ2の上記停止位置を、図7(b)に示す、プラテン6よりも走査方向における左側で、且つ、第1停止位置U1よりも走査方向における右側の第2停止位置U2に設定する(S206)。続いて、制御装置50は、フラッシングにおける上記吐出開始位置を第2吐出開始位置に設定する(S207)。
【0051】
ここで、第2吐出開始位置について説明する。図6(c)に示すように、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10についての第2吐出開始位置は、プラテン6よりも左側で且つ位置Ia1よりも右側の位置Ib1である。また、ノズル群21Aのノズル列20Bを構成するノズル10についての第2吐出開始位置も、位置Ib1である。
【0052】
また、ノズル群21Aのノズル列20C,20Dを構成するノズル10についての第2吐出開始位置は、位置(Ib1+ΔI1)である。また、ノズル群21B~21Dのノズル列20A,20Bを構成するノズル10についての第2吐出開始位置は、位置(Ia1+ΔI2)である。また、ノズル群21B~21Dのノズル列20C,20Dを構成するノズル10についての第2吐出開始位置は、位置(Ib1+ΔI2+ΔI1)である。
【0053】
(N+1)が所定値Na未満である場合には(S201:NO)、制御装置50は、キャリッジ2の上記停止位置をプラテン6よりも走査方向の左側の第3停止位置に設定する(S208)。第3停止位置は、第1停止位置及び第2停止位置のいずれかと同じであってもよいし、第1停止位置及び第2停止位置のいずれとも異なってもよい。
【0054】
ここで、上述の第1停止位置U1及び第2停止位置U2は、後述するように、S105の第1記録パス処理の後に、S112のフラッシング処理及びS114の第2記録パス処理を実行するときのキャリッジ2の移動の開始位置となる。また、第3停止位置は、後述するように、S105の第1記録パス処理の後に、S112のフラッシング処理を実行することなく、S114の第2記録パス処理を実行するときのキャリッジ2の移動の開始位置となる。
【0055】
図5に戻って、S104の準備処理の後、制御装置50は、第1記録パス処理を実行する(S105)。第1記録パス処理では、制御装置50は、記録パスとして、キャリッジモータ56を制御してキャリッジ2を走査方向の左側に移動させつつ、インクジェットヘッド3を制御して複数のノズル10からプラテン6上の記録用紙Pに向けてインクを吐出させる第1記録パスを行わせる。
【0056】
また、第1記録パス処理では、制御装置50は、プラテン6上の記録用紙Pへのインクの吐出の完了後、キャリッジ2を、S104の準備処理のS204,S206,S208のいずれかで設定した停止位置まで移動させ、停止位置で停止させる。そして、第1記録パス処理の完了後、制御装置50は、変数Nを1増加させる(S106)。
【0057】
続いて、制御装置50は、記録用紙Pへの記録が完了したか否かを判定する(S107)。記録用紙Pへの記録が完了した場合には(S107:YES)、制御装置50は、排紙処理を実行する(S108)。排紙処理では、制御装置50は、搬送モータ57を制御して、搬送ローラ対4,5に記録用紙Pを搬送方向に搬送させることによって、記録用紙Pを排出させる。
【0058】
続いて、制御装置50は、キャッピング処理を実行する(S109)。キャッピング処理では、制御装置50は、キャリッジモータ56を制御してキャリッジ2をメンテナンス位置まで移動させたうえで、キャップ昇降装置58を制御してキャップ31を上昇させることによって上記キャッピング状態にする。
【0059】
記録用紙Pへの記録が完了していない場合には(S107:NO)、制御装置50は、続いて、搬送処理を実行する(S110)。搬送処理では、制御装置50は、搬送モータ57を制御して、搬送ローラ対4,5に記録用紙Pを所定距離搬送させる。
【0060】
変数Nが所定値Na未満の場合には(S111:NO)、制御装置50は、第2記録パス処理を実行する(S114)。変数Nが所定値Na以上の場合には(S111:YES)、制御装置50は、フラッシング処理を実行し(S112)、変数Nを0にリセットしてから(S113)、第2記録パス処理を実行する(S114)。
【0061】
S112のフラッシング処理では、制御装置50は、キャリッジモータ56を制御して、停止位置で停止しているキャリッジ2を右側へ移動させつつ、インクジェットヘッド3を制御して、ノズル10からインクを吐出させることによって、フラッシングを行わせる。
【0062】
このとき、キャリッジ2が各ノズル10についての吐出開始位置に到達するタイミングで、それぞれのノズル10からのインクの吐出を開始させる。そして、フラッシング処理においては、各ノズル10について、上述したようにノズル10からのインクの吐出を開始させてから、一定の時間間隔で各ノズル10からインクを吐出させることによって、各ノズル10からS104の準備処理で設定した吐出回数Kインクを吐出させる。
【0063】
また、フラッシング処理では、キャリッジ2を所定速度Vまで加速させ、キャリッジ2が所定速度Vに達した後、キャリッジ2を所定速度Vで移動させる。そして、フラッシングにおいて、全てのノズル10について、キャリッジ2の加速の途中でインクの吐出を開始させるように、上述の停止位置や吐出開始位置を設定している。
【0064】
また、本実施形態では、フラッシングにおける、全てのノズル10についての最後のインクの吐出までにキャリッジ2が所定速度Vに達するように、上述の停止位置や吐出開始位置を設定している。
【0065】
また、本実施形態では、ノズル群21Aを構成する全てのノズル10について、フラッシングにおける最初のインクの吐出から最後のインクの吐出までの期間、走査方向において、ノズル10がフラッシングガイド42の配置されている範囲内に位置するように、上述の停止位置や吐出開始位置を設定している。また、本実施形態では、ノズル群21B~21Dを構成する全てのノズル10について、フラッシングにおける最初のインクの吐出から最後のインクの吐出までの期間、走査方向において、ノズル10がフォーム41の配置されている範囲内に位置するように、上述の停止位置や吐出開始位置を設定している。
【0066】
また、本実施形態では、吐出回数Kが第1吐出回数K1に設定され、停止位置が第1停止位置U1に設定され、吐出開始位置が第1吐出開始位置に設定された場合と、吐出回数Kが第2吐出回数K2に設定され、停止位置が第2停止位置U2に設定され、吐出開始位置が第2吐出開始位置に設定された場合のいずれにおいても、フラッシングにおいて最後のノズル10からインクが吐出されるときのキャリッジ2の位置が同じとなるように、上述の停止位置や吐出開始位置を設定している。
【0067】
第2記録パス処理では、制御装置50は、記録パスとして、キャリッジモータ56を制御してキャリッジ2を走査方向の右側に所定速度Vで移動させつつ、インクジェットヘッド3を制御して複数のノズル10からプラテン6上の記録用紙Pに向けてインクを吐出させる第2記録パスを行わせる。
【0068】
ここで、フラッシング処理を実行せずに、第2記録パス処理を実行する場合には、上述の第3停止位置で停止しているキャリッジ2を、プラテン6よりも左側において所定速度Vまで加速させ、キャリッジ2を所定速度Vで移動させた状態で第2記録パスを行わせる。フラッシング処理を実行してから第2記録パス処理を実行する場合には、フラッシング処理で所定速度Vまで加速させたキャリッジ2の、所定速度Vでの移動を継続したまま、第2記録パスを行わせる。
【0069】
続いて、制御装置50は、記録用紙Pへの記録が完了したか否かを判定する(S115)。記録用紙Pへの記録が完了した場合には(S115:YES)、制御装置50は、排紙処理を実行し(S108)、続いて、キャッピング処理を実行する(S109)。記録用紙Pへの記録が完了していない場合には(S115:NO)、制御装置50は、続いて、S110と同様の搬送処理を実行し(S116)、S104に戻る。
【0070】
<フラッシング時の動作>
次に、図5のフローに沿って処理を行ったときのフラッシング時の動作について詳細に説明する。以下では、第1吐出回数K1が12回であり、第2吐出回数K2が6回である場合を例に挙げて説明を行う。
【0071】
S202で吐出回数Kが第1吐出回数K1に設定され、S204で停止位置が第1停止位置U1に設定され、S205で吐出開始位置が第1吐出開始位置に設定された場合には、図7(a)に示すように、キャリッジ2は、第1停止位置U1から右側への移動が開始され、所定速度Vまで加速され、その後所定速度Vで移動する。そして、キャリッジ2が、位置Ia1~Ia12に到達したときに、それぞれ、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成する複数のノズル10からインクを吐出させる。キャリッジ2は、位置Ia1~Ia3に位置している状態では加速中であり、位置Ia4~Ia12に位置している状態では所定速度Vで移動している。
【0072】
これにより、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成する複数のノズル10から吐出されたインクは、フラッシングガイド42の対向面42aにおける、キャリッジ2が位置Ia1に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qa1と、キャリッジ2が位置Ia12に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qb12との間の、走査方向の長さがR1の範囲に着弾する。そして、この場合には、フラッシングにおいて、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10から最後にインクを吐出させるときのキャリッジ2の位置Ia12と、記録用紙Pを支持するプラテン6との間の走査方向の距離が距離L1となる。
【0073】
S202で吐出回数Kが第2吐出回数K2に設定され、S206で停止位置が第2停止位置U2に設定され、S207で吐出開始位置が2吐出開始位置に設定された場合には、図7(b)に示すように、キャリッジ2は、第2停止位置U2から右側への移動が開始され、所定速度Vまで加速され、その後所定速度Vで移動する。そして、キャリッジ2が、位置Ib1~Ib6に到達したときに、それぞれ、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成する複数のノズル10からインクを吐出させる。キャリッジ2は、位置Ib1~Ib3に位置している状態では加速中であり、位置Ib4~Ib6に位置している状態では所定速度Vで移動している。
【0074】
これにより、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成する複数のノズル10から吐出されるインクは、フラッシングガイド42の対向面42aにおける、キャリッジ2が位置Ib1に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qb1と、キャリッジ2が位置Ib6に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qb6との間の、走査方向の長さがR2の範囲に着弾する。また、位置Ib6と位置Ia12とが同じ位置となる。
【0075】
次に、本実施形態と異なり、S202で吐出回数Kが第2吐出回数K2に設定された場合に、停止位置を第1停止位置U1に設定し、吐出開始位置を第1吐出開始位置に設定する場合を考える。この場合には、図8(a)に示すように、キャリッジ2が位置Ia1~Ia6に到達したときに、それぞれ、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成する複数のノズル10からインクが吐出される。この場合には、位置Ia6が、位置Ib6よりも走査方向の左側の位置となるため、位置Ia6とプラテン6との間の走査方向の距離L3は、位置Ib6とプラテン6との間の走査方向の距離L2よりも大きくなる。
【0076】
さらに、この場合には、フラッシングガイド42における、キャリッジ2が位置Ia1に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qa1と、キャリッジ2が位置Ia6に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qa6との間の、走査方向の長さがR3の範囲に着弾する。長さR3は、長さR2とほぼ同じであるが、フラッシングガイド42の対向面42aの、上記長さR3の範囲に位置する部分は、図7(b)の走査方向の長さがR2の範囲に位置する部分よりも走査方向の左側に位置し、鉛直方向におけるノズル10との距離が大きい。
【0077】
したがって、本実施形態の図7(b)の場合には、図8(a)の場合と比較して、フラッシングにおいて、フラッシングガイド42の対向面42aの、走査方向におけるより右側の部分、すなわち、ノズル10との距離が小さい部分に向けてインクを吐出させることができる。
【0078】
次に、本実施形態と異なり、S202で吐出回数Kが第2吐出回数K2に設定された場合に、停止位置を第1停止位置U1に設定し、且つ、フラッシングにおいて、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10から最後にインクが吐出されるときのキャリッジ2の走査方向の位置Ic6が、上述の位置Ia12と同じとなるように吐出開始位置を設定する場合を考える。位置Ic1~Ic6は、この場合の、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10からインクが吐出させるときのキャリッジ2の走査方向の位置である。
【0079】
この場合には、図8(b)に示すように、キャリッジ2が所定速度Vまで加速した後に、フラッシングにおいて、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10からのインクの吐出が開始される。そのため、図8(b)の場合には、図7(b)の場合と比較して、フラッシングを行うときのキャリッジ2の平均の移動速度が速い。そのため、フラッシングに必要なキャリッジ2の移動距離が長く、吐出開始位置Ic1を位置Ib1よりも左側の位置に設定する必要がある。
【0080】
そして、図8(b)の場合には、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成する複数のノズル10から吐出されたインクは、フラッシングガイド42における、キャリッジ2が位置Ic1に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qc1と、キャリッジ2が位置Ic6に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qc6との間の、走査方向の長さR4の範囲に着弾する。長さR4は、長さR2よりも長い。このことから、本実施形態の図7(b)の場合と、図8(b)の場合とを比較した場合、本実施形態の場合の方が、フラッシングにおいて、フラッシングガイド42の対向面42aのより右側の部分、すなわち、ノズル10との距離が小さい部分に向けてインクを吐出させることができる。
【0081】
なお、本実施形態の第2停止位置U2よりも左側の位置からキャリッジ2の移動を開始させる場合において、図8(b)とは異なり、キャリッジ2の加速中に、フラッシングにおいて、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10からのインクの吐出が開始されるようにすることも可能である。この場合でも、本実施形態の図7(b)の場合と比較して、キャリッジ2の速度が、加速中のより速くなっているタイミングで、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10からのインクの吐出が開始される。したがって、本実施形態の図7(b)の場合は、この場合と比較しても、フラッシングにおいて、フラッシングガイド42のより右側の部分、すなわち、ノズル10との距離が小さい部分に向けてインクを吐出させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、フラッシングにおいて、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10以外のノズル10からのインクの吐出を開始させるときのキャリッジ2の走査方向の位置は、上述したように、ノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10のからのインクの吐出を開始させるときのキャリッジ2の走査方向の位置Ia1,Ib1によって決まる。
【0083】
したがって、いずれのノズル10についても、上述したのと同様に、吐出回数Kが第1吐出回数K1に設定された場合と、第2吐出回数K2に設定された場合とで、キャリッジ2が、フラッシングにおいて最後にインクを吐出するときの位置を同じ位置とすることができる。
【0084】
また、ノズル群21Aのノズル列20B~20Dを構成するノズル10についても、上述したのと同様に、吐出回数Kが第2吐出回数K2に設定された場合に、第1吐出回数K1に設定された場合よりも、フラッシングにおいて、フラッシングガイド42の対向面42aのより右側の部分、すなわち、ノズル10との距離が小さい部分に向けてインクを吐出させることができる。
【0085】
<効果>
本実施形態では、フラッシングにおいて、ノズル10から第1吐出回数K1インクを吐出させる場合に、キャリッジ2が第1吐出開始位置に到達したときにノズル10からのインクの吐出を開始させる。また、フラッシングにおいて、第1吐出回数K1よりも少ない第2吐出回数K2インクを吐出させる場合に、キャリッジ2が第1吐出開始位置よりも走査方向の右側の第2吐出開始位置に到達したときにノズル10からのインクの吐出を開始させる。これにより、フラッシングにおけるインクの吐出回数Kによらず、フラッシングにおいて最後にノズル10からインクを吐出させるときのキャリッジ2の位置を、プラテン6に極力近い位置、すなわち、記録用紙Pに向けてインクを吐出させるときの位置に極力近い位置とすることができる。その結果、フラッシングにおけるインクの吐出回数Kによらず、フラッシングが完了してから、第2記録パスにおけるノズル10からのインクの吐出が開始されるまでの間のノズル10内のインクの増粘を極力抑えることができる。
【0086】
また、本実施形態では、フラッシングによりノズル10からインクを吐出させたときに、ノズル10から当該インクに続いて、サテライトと呼ばれる微小なインクが吐出されることがある。ノズル10とフラッシングガイド42の対向面42aとの距離が大きい場合には、このサテライトがフラッシングガイド42の対向面42aに着弾せずに空間に舞い、いわゆるミストとなってしまうことがある。
【0087】
また、本実施形態では、フラッシングにおいてキャリッジ2を走査方向の右側に移動させており、フラッシングガイド42の対向面42aが、走査方向の右側に向かうほどノズル10に近づくように走査方向に対して傾いている。
【0088】
また、本実施形態では、上述したように、フラッシングにおいて、ノズル10から第1吐出回数K1インクを吐出させる場合に、キャリッジ2が第1吐出開始位置に到達したときにノズル10からのインクの吐出を開始させる。また、フラッシングにおいて、ノズル10から第2吐出回数K2インクを吐出させる場合に、キャリッジ2が第2吐出開始位置に到達したときにノズル10からのインクの吐出を開始させる。
【0089】
これにより、本実施形態では、上述したように、フラッシングにおいて、対向面42aの極力ノズル10に近い部分に向けてインクを吐出させることができる。その結果、サテライトが対向面42aに着弾しやすくなり、ミストを発生しにくくすることができる。
【0090】
また、本実施形態では、キャリッジ2の加速中の期間を含む期間にフラッシングを行わせるが、このような場合に、フラッシングにおけるインクの吐出回数Kによらず、フラッシングにおいて最後にノズル10からインクを吐出させるときのキャリッジ2の位置を、プラテン6に極力近い位置、すなわち、記録用紙Pに向けてインクを吐出させるときの位置に極力近い位置とすることができる。
【0091】
また、本実施形態のように、キャリッジ2の加速中の期間を含む期間にフラッシングを行わせるときに、フラッシングにおいて、ノズル10から第1吐出回数K1インクを吐出させる場合には、第1停止位置U1からキャリッジ2の移動を開始させて、フラッシング及び第2記録パスを行わせる。また、ノズル10から第2吐出回数K2インクを吐出させる場合には、第1停止位置U1よりも走査方向の右側の第2停止位置U2からキャリッジ2の移動を開始させて、フラッシング及び第2記録パスを行わせる。
【0092】
これにより、フラッシングにおいて、ノズル10から第2吐出回数K2インクを吐出させる場合に、第1停止位置U1からキャリッジ2の移動を開始させる場合と比較して、キャリッジ2の移動の開始からフラッシングにおけるノズル10からのインクの吐出の開始までの時間が短くなる。これにより、フラッシングにおいて、キャリッジ2の移動速度が極力遅い状態でノズル10からインクを吐出させることができる。この場合、フラッシングにおいて、フラッシングに必要な走査方向の長さが短くなる。その結果、フラッシングにおけるノズル10からのインクの吐出の開始をより遅らせて、フラッシングガイド42の対向面42aのノズル10に近い部分に向けてインクを吐出させることができる。
【0093】
また、本実施形態では、フラッシングにおけるノズル10からの最後のインクの吐出までにキャリッジ2の加速が完了して、所定速度Vに到達している。また、フラッシングにおいて、ノズル10から第1吐出回数K1及び第2吐出回数K2のどちらの吐出回数Kインクを吐出させるかによらず、ノズル10から最後にインクを吐出させるときのキャリッジ2の走査方向の位置を同じ位置としている。これにより、フラッシングにおけるインクの吐出回数Kによらず、フラッシングにおいて最後にノズル10からインクを吐出させるときのキャリッジ2の位置を、プラテン6に極力近い位置、すなわち、記録用紙Pに向けてインクを吐出させるときの位置に極力近い位置とすることができる。その結果、フラッシングにおけるインクの吐出回数Kによらず、フラッシングが完了してから、第2記録パスにおけるノズル10からのインクの吐出が開始されるまでの間のノズル10内のインクの増粘を確実に抑えることができる。
【0094】
また、本実施形態では、各ノズル群21において、ノズル列20Bを構成するノズル10とノズル列20Cを構成するノズル10との走査方向の間隔である間隔J2が、ノズル列20Aを構成するノズル10とノズル列20Bを構成するノズル10との走査方向の間隔、及び、ノズル列20Cを構成するノズル10とノズル列20Dを構成するノズル10との走査方向の間隔である間隔J1よりも大きい。
【0095】
そこで、本実施形態では、各ノズル群21において、ノズル列20Aとノズル列20Bとで、フラッシングでのノズル10からのインクの吐出タイミングを同じとし、ノズル列20Cとノズル列20Dとで、フラッシングでのノズル10からのインクの吐出タイミングを同じとし、ノズル列20A,20Bとノズル列20C,20Dとで、フラッシングでのノズル10からのインクの吐出タイミングを異ならせている。
【0096】
これにより、走査方向の間隔が近いノズル列20Aを構成するノズル10とノズル列20Bを構成するノズル10、及び、ノズル列20Cを構成するノズル10とノズル列20Dを構成するノズル10について、それぞれ、フラッシングでのインクの吐出タイミングを同じとして、フラッシングのための制御を簡単にしつつも、吐出タイミングが適切なタイミングから大きくずれてしまうことがない。また、走査方向の距離が遠いノズル列20A,20Bを構成するノズル10と、ノズル列20C,20Dを構成するノズル10とで、フラッシングにおけるインクの吐出タイミングを異ならせることにより、各ノズル10について、フラッシングにおける吐出タイミングを適切なものとすることができる。
【0097】
なお、本実施形態では、プリンタ1が本発明の「液体吐出装置」に相当する。また、インクジェットヘッド3が本発明の「液体吐出ヘッド」に相当する。また、フォーム41及びフラッシングガイド42が本発明の「対向部材」に相当する。また、記録用紙Pが、本発明における「被吐出媒体」に相当する。
【0098】
また、各ノズル群21において、ノズル列20A,20Bを構成するノズル10が、それぞれ、本発明の「第1ノズル」及び「第2ノズル」に相当する。また、この場合において、ノズル列20C,20Dを構成するノズル10が、本発明の「第3ノズル」に相当する。
【0099】
あるいは、各ノズル群21において、ノズル列20C,20Dを構成するノズル10が、それぞれ、本発明の「第1ノズル」及び「第2ノズル」に相当する。また、この場合において、ノズル列20A,20Bを構成するノズル10が、本発明の「第3ノズル」に相当する。
【0100】
また、本実施形態では、走査方向の右側が、本発明の「走査方向の一方側」に相当し、走査方向の左側が、本発明の「走査方向の他方側」に相当する。また、第2記録パスが、本発明の「吐出動作」に相当する。また、第1停止位置U1が、本発明の「第1移動開始位置」に相当し、第2停止位置U2が、本発明の「第2移動開始位置」に相当する。
【0101】
また、本実施形態では、ノズル群21Aのノズル列20A,20Bを構成するノズル10についての位置Ia12,Ib6など、各ノズル10についての、フラッシングにおいて、ノズル10から最後にインクを吐出させるときのキャリッジ2の位置が、本発明の「吐出完了位置」に相当する。
【0102】
また、本実施形態では、ノズル群21Aを構成するノズル10がフラッシングガイド42と鉛直方向に重なり、ノズル群21B~21Dを構成するノズル10がフォーム41と鉛直方向に重なるときの、キャリッジ2の移動領域が、本発明の「フラッシング領域」に相当する。また、本実施形態では、上記フラッシング領域よりも右側の、インクジェットヘッド3の複数のノズル10がプラテン6と鉛直方向に重なるときの、キャリッジ2の移動領域が、本発明の「吐出領域」に相当する。
【0103】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0104】
上述の実施形態では、フラッシングにおけるノズル10からの最後のインクの吐出が完了するまでに、キャリッジ2の加速が完了して、キャリッジ2の速度が所定速度Vに到達するようにしたが、これには限られない。例えば、フラッシングにおけるノズル10からの最後のインクの吐出が完了した後、第2記録パスにおける最初のノズル10からのインクの吐出が開始されるまでに、キャリッジ2の加速が完了して、キャリッジ2の速度が所定速度Vに到達するようにしてもよい。
【0105】
また、上述の実施形態では、キャリッジ2の加速中を含む期間に、フラッシングにおける複数のノズル10からのインクの吐出を行わせたが、これには限られない。
【0106】
変形例1では、図9(a),(b)に示すように、吐出回数Kを第1吐出回数K1及び第2吐出回数K2のいずれに設定する場合にも、キャリッジ2の加速が完了し、キャリッジ2の速度が所定速度Vに到達してから、フラッシングにおけるノズル10からのインクの吐出を開始させている。図9(a)の位置Id1~Id12は、変形例1において、吐出回数Kを第1吐出回数K1に設定した場合の、フラッシングにおいてノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10からインクを吐出させるときのキャリッジ2の位置である。図9(b)の位置Ie1~Ie6は、変形例1において、吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定した場合の、フラッシングにおいてノズル群21Aのノズル列20Aを構成するノズル10からインクを吐出させるときのキャリッジ2の位置である。
【0107】
また、変形例1では、例えば、位置Id12と位置Ie6とが同じ位置となる等、吐出回数Kを第1吐出回数K1に設定する場合と、吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定する場合とで、各ノズル10についての、フラッシングにおいてノズル10から最後にインクを吐出させるときのキャリッジ2の走査方向の位置が同じとなるように、第1、第2吐出開始位置を設定する。
【0108】
そして、変形例1のように、キャリッジ2の加速が完了してキャリッジ2が所定速度Vで移動しているときにフラッシングを行わせる場合でも、上述の実施形態で説明したのと同様に、フラッシングにおけるインクの吐出回数Kによらず、フラッシングにおいて最後にノズル10からインクを吐出させるときのキャリッジ2の位置を、プラテン6に極力近い位置、すなわち、記録用紙Pに向けてインクを吐出させるときの位置に極力近い位置とすることができる。
【0109】
また、変形例1では、吐出回数Kを第1吐出回数K1及び第2吐出回数K2のうち、いずれか一方に設定する場合にのみ、キャリッジ2の加速が完了して、キャリッジ2の速度が所定速度Vに到達してフラッシングにおけるノズル10からのインクの吐出を開始させるようにしてもよい。
【0110】
また、上述の実施形態では、吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定する場合に、吐出回数Kを第1吐出回数K1に設定する場合よりも、フラッシング及び第2記録パスを行わせるときのキャリッジ2の移動開始位置、すなわち、その直前の第1記録パスにおけるキャリッジ2の停止位置を、走査方向の右側の位置としたが、これには限られない。
【0111】
変形例2では、例えば図7(a)、図8(b)に示すように、吐出回数Kを第1吐出回数K1に設定する場合と、吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定する場合とで、キャリッジ2の移動開始位置を同じ位置U1に設定する。
【0112】
変形例2の場合には、吐出回数Kによらず、フラッシング及び第2記録パスを行わせるときのキャリッジ2の移動開始位置が同じであるため、フラッシングを行わせるための制御を簡単にすることができる。
【0113】
また、上述の実施形態では、例えば位置Ia12と位置Ib6とが同じ位置である等、吐出回数Kを、第1吐出回数K1に設定する場合と、第2吐出回数K2に設定する場合とで、フラッシングにおいて最後にノズル10からインクを吐出させるときのキャリッジ2の走査方向の位置を同じとしたが、これには限られない。
【0114】
例えば、位置Ia12と位置Ib6とが走査方向に多少ずれている等、吐出回数Kを、第1吐出回数K1に設定する場合と、第2吐出回数K2に設定する場合とで、フラッシングにおいて最後にノズル10からインクを吐出させるときのキャリッジ2の走査方向の位置が多少ずれていてもよい。
【0115】
また、上述の実施形態では、フラッシングにおいて、ブラックインクを吐出するノズル群21Aを構成するノズル10からフラッシングガイド42に向けてインクを吐出させ、カラーインクを吐出するノズル群21B~21Dを構成するノズル10からフォーム41に向けてインクを吐出させたが、これには限られない。
【0116】
例えば、フォーム41がなく、フラッシングにおいて、全てのノズル10からフラッシングガイド42に向けてインクを吐出させてもよい。この場合、フラッシングにおいて、例えば、ノズル群21B,21C,21Dのノズル列20A~20Dについてのノズル10からインクを吐出させるときのキャリッジ2の位置を、それぞれ、ノズル群21Aのノズル列20A~20Dを構成するノズル10からインクを吐出させるときの位置から、距離J3等に応じた所定距離ずつ右側にずらした位置としてもよい。
【0117】
あるいは、フラッシングガイド42及び廃液タンク43及びフラッシングガイド42がなく、フラッシングにおいて、全てのノズル10からフォーム41に向けてインクを吐出させてもよい。なお、この場合には、フラッシングにおいて、例えば、ノズル群21A~21Dのノズル列20A,20Bについてのノズル10からインクを吐出させるときのキャリッジ2の位置を同じとし、ノズル群21A~21Dのノズル列20C,20Dについてのノズル10からインクを吐出させるときのキャリッジ2の位置を同じとしてもよい。
【0118】
また、上述の実施形態では、フラッシングにおいて、各ノズル群21A~21Dにおいて、それぞれ、ノズル列20Aとノズル列20Bとで、ノズル10からのインクの吐出タイミングを同じとし、ノズル列20Cとノズル列20Dとでノズル10からのインクの吐出タイミングを同じとし、ノズル列20A,20Bとノズル列20C,20Dとで、ノズル10からのインクの吐出タイミングを異ならせたが、これには限られない。
【0119】
例えば、フラッシングにおいて、各ノズル群21A~21Dについて、それぞれ、ノズル列20A~20D間でノズル10からのインクの吐出タイミングを異ならせてもよい。あるいは、例えば、フラッシングにおいて、各ノズル群21A~21Dについて、それぞれ、全てのノズル10からのインクの吐出タイミングを同じとしてもよい。このとき、ノズル群21A~21D間で、ノズル10からのインクの吐出タイミングを同じとしてもよいし、異ならせてもよい。
【0120】
また、以上の例では、インクジェットヘッド3の全てのノズル10について一律に吐出回数Kを設定したが、これには限られない。例えば、ノズル群21毎に個別に吐出回数Kを設定し、個別に設定した吐出回数Kに合わせて、ノズル群21毎に吐出開始位置を設定してもよい。
【0121】
あるいは、ノズル列20毎に個別に吐出回数Kを設定し、個別に設定した吐出回数Kに合わせて、ノズル列20毎に吐出開始位置を設定してもよい。あるいは、ノズル10毎に個別に、吐出回数を設定し、個別に設定した吐出回数Kに合わせて、ノズル10毎に吐出開始位置を設定してもよい。
【0122】
また、以上の例では、フラッシングにおける吐出回数Kが、第1吐出回数K1及び第2吐出回数K2の、2種類の吐出回数のいずれかにのみ設定されたが、これには限られない。フラッシングにおける吐出回数Kが、3種類以上の異なる吐出回数のいずれかに設定されるようにしてもよい。そして、この場合に、例えば、吐出回数Kが少ない場合ほど、フラッシングにおける、各ノズル列20についての、ノズル10からのインクの吐出を開始させるときのキャリッジ2の位置を、走査方向の右側の位置としてもよい。
【0123】
なお、この場合には、上記3種類以上の異なる吐出回数のうち、任意の2種類の吐出回数について、それぞれ、多い方の吐出回数が本発明の「第1吐出回数」に相当し、少ない方の吐出回数が本発明の「第2吐出回数」に相当する。
【0124】
また、以上では、ノズルからインクを吐出して記録用紙に記録を行うプリンタに本発明を適用したが、これには限られない。記録用紙以外の被吐出媒体にインク以外の液体を吐出する、プリンタ以外の液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。
【0125】
<別の実施形態>
次に、本発明に関連する別の実施形態について説明する。
【0126】
この別の実施形態に係るプリンタは、上述の実施形態に係る図1のプリンタ1において、フラッシング受け部8を、図10に示すフラッシング受け部101に置き換えたものである。また、この別の実施形態に係るプリンタは、記録時の制御が上述の実施形態と異なる。なお、以下では、フラッシング受け部101以外の構成について、上述の実施形態と同じ符号を用いて説明することがある。
【0127】
<フラッシング受け部>
フラッシング受け部101は、フラッシングガイド102と廃液タンク103とを有する。フラッシングガイド102は、板状の部材であり、プラテン6よりも左側に配置され、その上面である対向面102aが、走査方向の左側に向かうほど、上方に向かうすなわちノズル10に近づくように、走査方向に対して傾斜している。廃液タンク103は、フラッシングガイド102よりも下方に位置し、フラッシングガイド102の走査方向の右端部と鉛直方向に重なっている。
【0128】
<記録時の制御>
そして、この別の実施形態では、プリンタにおける記録用紙への記録時に、制御装置50が、図11のフローに沿って処理を行う。
【0129】
より詳細に説明すると、制御装置50は、上述の実施形態のS101~S103と同様に、給紙処理を実行し(S301)、アンキャッピング処理を実行し(S302)、変数Nを0にリセットする(S303)。続いて、制御装置50は、上述の実施形態のS105と同様の第1記録パス処理を実行し(S304)、変数Nを1増加させる(S305)。
【0130】
変数Nが所定値Na未満の場合には(S306:NO)、S310に進む。変数Nが所定値Na以上の場合には(S306:YES)、制御装置50は、準備処理を実行し(S307)、フラッシング処理を実行し(S308)、変数Nを0にリセットしてから(S309)、S310に進む。
【0131】
S307の準備処理では、図12(a)に示すように、制御装置50は、上述の実施形態のS202と同様、フラッシングでの吐出回数Kを、第1吐出回数K1及び第2吐出回数K2のいずれかに設定する(S401)。
【0132】
吐出回数Kを第1吐出回数K1に設定した場合には(S402:YES)、制御装置50は、フラッシングにおける吐出開始位置を第1吐出開始位置に設定する(S403)。
【0133】
ここで、第1吐出開始位置について説明する。図12(b)に示すように、ノズル群21Dのノズル列20Dを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、プラテン6よりも左側の位置If1である。また、ノズル群21Dのノズル列20Cを構成するノズル10についての第1吐出開始位置も、位置If1である。また、ノズル群21Dのノズル列20A,20Bを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、位置If1よりもΔI3左側にずれた位置(If1+ΔI3)である。なお、ΔI3は正の値であり、位置(If1+ΔI3)は、必ず、位置If1よりも左側の位置である。
【0134】
また、ノズル群21Cのノズル列20C,20Dを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、位置If1よりもΔI4左側にずれた位置(If1+ΔI4)である。なお、ΔI4は正の値であり、位置(If1+ΔI4)は、必ず、位置If1よりも左側の位置である。また、ノズル群21Cのノズル列20A,20Bを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、位置(If1+ΔI3)よりもΔI4左側にずれた位置(If1+ΔI3+ΔI4)である。
【0135】
また、ノズル群21Bのノズル列20C,20Dを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、位置(If1+ΔI4)よりもΔI4左側にずれた位置(If1+2×ΔI4)である。また、ノズル群21Bのノズル列20A,20Bを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、位置(If1+ΔI3+ΔI4)よりもΔI4左側にずれた位置(If1+ΔI3+2×ΔI4)である。
【0136】
また、ノズル群21Aのノズル列20C,20Dを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、位置(If1+2×ΔI4)よりもΔI4左側にずれた位置(If1+3×ΔI4)である。また、ノズル群21Aのノズル列20A,20Bを構成するノズル10についての第1吐出開始位置は、位置(If1+ΔI3+2×ΔI4)よりもΔI4左側にずれた位置(If1+ΔI3+3×ΔI4)である。
【0137】
吐出回数Kを第2吐出回数K2に設定した場合には(S402:NO)、制御装置50は、フラッシングにおける吐出開始位置を第2吐出開始位置に設定する(S404)。
【0138】
ここで、第2吐出開始位置について説明する。図12(c)に示すように、ノズル群21Dのノズル列20C,20Dを構成するノズル10についての第2吐出開始位置は位置If1よりも左側の位置Ig1である。また、ノズル群21Dのノズル列20A,20Bを構成するノズル10についての第2吐出開始位置も、位置(Ig1+ΔI3)である。
【0139】
また、ノズル群21Cのノズル列20C,20Dを構成するノズル10についての第2吐出開始位置は、位置(Ig1+ΔI4)である。また、ノズル群21Cのノズル列20A,20Bを構成するノズル10についての第2吐出開始位置は、位置(Ig1+ΔI3+ΔI4)である。
【0140】
また、ノズル群21Bのノズル列20C,20Dを構成するノズル10についての第2吐出開始位置は、位置(Ig1+2×ΔI4)である。また、ノズル群21Bのノズル列20A,20Bを構成するノズル10についての第2吐出開始位置は、位置(Ig1+ΔI3+2×ΔI4)である。
【0141】
また、ノズル群21Aのノズル列20C,20Dを構成するノズル10についての第2吐出開始位置は、位置(Ig1+3×ΔI4)である。また、ノズル群21Aのノズル列20A,20Bを構成するノズル10についての第2吐出開始位置は、位置(Ig1+ΔI3+3×ΔI4)である。
【0142】
図11に戻って、S308のフラッシング処理では、制御装置50は、キャリッジモータ56を制御して、S304の第1記録パス処理でのキャリッジ2の移動を継続しつつ、インクジェットヘッド3を制御して、複数のノズル10からフラッシングガイド102に向けてインクを吐出させるフラッシングを行わせる。
【0143】
このとき、キャリッジ2が各ノズル10についての吐出開始位置に到達するタイミングで、対応するノズル10からのインクの吐出を開始させ、一定の時間間隔で各ノズル10からインクを吐出させることによって、各ノズル10からS307の準備処理で設定した吐出回数Kインクを吐出させる。
【0144】
S310では、記録用紙Pへの記録が完了しているか否かを判定する。記録用紙Pへの記録が完了している場合には(S310:YES)、制御装置50は、上述の実施形態のS108と同様の排紙処理を実行し(S311)、上述の実施形態のS109と同様のキャッピング処理を実行する(S312)。
【0145】
記録が完了していない場合には(S310:NO)、制御装置50は、上述の実施形態のS110と同様の搬送処理を実行してから(S313)、上述の実施形態のS114と同様の第2記録パス処理を実行する(S314)。
【0146】
そして、記録用紙Pへの記録が完了している場合には(S315:YES)、排紙処理及びキャッピング処理を実行する(S311,S312)。記録用紙Pへの記録が完了していない場合には(S315:NO)、S313と同様の搬送処理を実行し(S316)、S304に戻る。
【0147】
<フラッシング時の動作>
次に、図11のフローに沿って処理を行ったときのフラッシング時の動作について詳細に説明する。以下では、第1吐出回数K1が12回であり、第2吐出回数K2が6回である場合を例に挙げて説明を行う。
【0148】
S402で吐出回数Kが第1吐出回数K1に設定され、S403で吐出開始位置が第1吐出開始位置に設定された場合には、図13(a)に示すように、キャリッジ2は、第1記録パスの後、所定速度Vで走査方向の左側に移動しながら、キャリッジ2が位置If1~If12に到達したときに、ノズル群21Dのノズル列20Dを構成する複数のノズル10からインクを吐出させる。これにより、ノズル群21Dのノズル列20Dを構成する複数のノズル10から吐出されたインクは、フラッシングガイド102の対向面102aにおける、キャリッジ2が位置If1に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qf1と、キャリッジ2が位置If12に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qf12との間の、走査方向の長さがR5の範囲に着弾する。
【0149】
S402で吐出回数Kが第2吐出回数K2に設定され、S404で吐出開始位置が第2吐出開始位置に設定された場合には、図13(b)に示すように、キャリッジ2は第1記録パスの後、所定速度Vで移動しながら、キャリッジ2が位置Ig1~Ig6に到達したときに、ノズル群21Dのノズル列20Dを構成する複数のノズル10からインクを吐出させる。これにより、ノズル群21Dのノズル列20Dを構成する複数のノズル10から吐出されるインクは、フラッシングガイド102の対向面102aにおける、キャリッジ2が位置Ig1に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qg1と、キャリッジ2が位置Ib6に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qg6との間の、走査方向の長さがR6の範囲に着弾する。長さR6は、長さR5よりも短い。
【0150】
次に、上記別の実施形態と異なり、S402で吐出回数Kが第2吐出回数K2に設定された場合に、吐出回数Kが第1吐出回数K1に設定された場合と同様に、吐出開始位置が第1吐出開始位置に設定される場合を考える。この場合には、図14に示すように、キャリッジ2が位置If1~If6に到達したときに、それぞれ、ノズル群21Dのノズル列20Dを構成する複数のノズル10からインクが吐出される。
【0151】
この場合には、フラッシングガイド42における、キャリッジ2が位置If1に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qf1と、キャリッジ2が位置If6に位置しているときに吐出されたインクが着弾する部分Qf6との間の、走査方向の長さがR7の範囲に着弾する。長さR7は、長さR6とほぼ同じであるが、フラッシングガイド102の対向面102aの、上記長さR7の範囲に位置する部分は、図13(b)の走査方向の長さがR6の範囲に位置する部分よりも走査方向の右側に位置し、ノズル10との距離が大きい。
【0152】
したがって、この別の実施形態の図13(b)の場合には、図14の場合と比較して、フラッシングにおいて、フラッシングガイド102の対向面102aの、走査方向におけるより左側の部分、すなわち、ノズル10との距離が小さい部分に向けてインクを吐出させることができる。
【0153】
また、この別の実施形態では、上述したように、フラッシングにおける、ノズル群21Dのノズル列20Dを構成するノズル10以外のノズル10についての、フラッシングにおける吐出開始位置は、ノズル群21Dのノズル列20Dを構成するノズル10についての、フラッシングおける吐出開始位置である位置If1,Ig1によって決まる。
【0154】
したがって、いずれのノズル10についても、上述したのと同様に、第2吐出回数K2に設定された場合に、第1吐出回数K1に設定された場合よりも、フラッシングにおいて、フラッシングガイド102の対向面102aのより左側の部分、すなわち、ノズル10との距離が小さい部分に向けてインクを吐出させることができる。
【0155】
<効果>
この別の実施形態では、フラッシングにおいてキャリッジ2を走査方向の左側に移動させており、フラッシングガイド102の対向面102aが、走査方向の左側に向かうほどノズル10に近づくように走査方向に対して傾いている。
【0156】
また、上述したように、フラッシングにおいて、ノズル10から第1吐出回数K1インクを吐出させる場合に、キャリッジ2が第1吐出開始位置に到達したときにノズル10からのインクの吐出を開始させる。また、ノズル10から第2吐出回数K2インクを吐出させる場合に、キャリッジ2が第1吐出開始位置よりも走査方向の左側の第2吐出開始位置に到達したときにノズル10からのインクの吐出を開始させる。
【0157】
これにより、フラッシングにおいて、対向面102aの極力ノズル10に近い部分に向けてインクを吐出させることができる。その結果、ミストを発生しにくくすることができる。
【0158】
上記別の実施形態に係るプリンタは、
「ノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを搭載し、走査方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジが、前記走査方向における所定のフラッシング領域に位置している状態で前記ノズルと対向する対向部材と、
制御装置と、を備え、
前記対向部材の前記ノズルと対向する対向面は、前記走査方向の一方側に向かうほど、前記ノズルに近づくように、前記走査方向に対して傾斜しており、
前記制御装置は、
前記フラッシング領域よりも前記走査方向の他方側に位置する吐出領域で前記キャリッジを前記走査方向の前記一方側に移動させつつ、前記液体吐出ヘッドに前記複数のノズルから被吐出媒体に向けて液体を吐出させる吐出動作、を行わせた後に、
前記フラッシング領域で前記キャリッジを前記走査方向の前記一方側に移動させつつ、前記液体吐出ヘッドに前記ノズルから前記対向部材に向けて液体を吐出させるフラッシング、を行わせ、
前記フラッシングにおいて、
前記ノズルから第1吐出回数液体を吐出させる場合には、前記キャリッジが前記走査方向の第1吐出開始位置に到達したときに、前記ノズルからの液体の吐出を開始させ、
前記ノズルから前記第1吐出回数よりも少ない第2吐出回数液体を吐出させる場合には、前記キャリッジが前記走査方向の前記第1吐出開始位置よりも前記一方側の第2吐出開始位置に到達したときに前記ノズルからの液体の吐出を開始させることを特徴とする液体吐出装置」の一例である。
【0159】
なお、この別の実施形態では、走査方向の左側が「走査方向の一方側」に相当し、走査方向の右側が「走査方向の他方側」に相当する。また、第1記録パスが、本発明の「吐出動作」に相当する。
【0160】
また、この別の実施形態では、フラッシングにおいて、全てのノズル10からフラッシングガイド102に向けてインクを吐出させたが、これには限られない。例えば、フラッシング受け部101がフォームを有し、フラッシングにおいて、ノズル群21Aを構成するノズル10からフラッシングガイド102の対向面102aに向けてインクを吐出させ、ノズル群21B~21Dを構成するノズル10からフォームに向けてインクを吐出させてもよい。
【符号の説明】
【0161】
1 プリンタ
2 キャリッジ
3 インクジェットヘッド
10 ノズル
41 フォーム
42 フラッシングガイド
42a 対向面
50 制御装置
102 フラッシングガイド
102a 対向面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14