(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079996
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】ホースブリッジ
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
F16L57/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190917
(22)【出願日】2020-11-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】391001169
【氏名又は名称】櫻護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 哲治
(72)【発明者】
【氏名】石川 拓哉
【テーマコード(参考)】
3H024
【Fターム(参考)】
3H024AA01
3H024AB02
3H024AB03
(57)【要約】
【課題】 より作業性の優れたホースブリッジを提供する。
【解決手段】 本発明の一態様に係るホースブリッジは、ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護する。当該ホースブリッジは、前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備えている。前記ガイド部材は、流体を収容する袋体を有し、前記袋体に前記流体が供給された状態において、前記袋体には地面側に位置する設置面と、前記地面と反対側に位置し前記車両が走行する走行面とが形成され、前記走行面は、前記進行方向における前記ホース側に位置する第1端部から前記第1端部と反対側に位置する第2端部に向かって前記設置面に近づくように傾斜している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護するホースブリッジであって、
前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、流体を収容する袋体を有し、
前記袋体に前記流体が供給された状態において、前記袋体には地面側に位置する設置面と、前記地面と反対側に位置し前記車両が走行する走行面とが形成され、
前記走行面は、前記進行方向における前記ホース側に位置する第1端部から前記第1端部と反対側に位置する第2端部に向かって前記設置面に近づくように傾斜する、
ホースブリッジ。
【請求項2】
前記袋体は、内部に前記流体を収容する第1袋体と、前記第1袋体の外周を覆う第2袋体とを有する、
請求項1に記載のホースブリッジ。
【請求項3】
前記袋体は、保護層と、前記保護層の内面に設けられたライニング層と、を有する、
請求項1に記載のホースブリッジ。
【請求項4】
ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護するホースブリッジであって、
前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、地面に設置される設置板と、前記地面と反対側に位置する走行板と、前記設置板と前記走行板の端部を回動可能に接続するヒンジ部と、前記設置板と前記走行板との間に位置し、流体を収容する袋体と、を有し、
前記ガイド部材を前記地面に設置した状態において、前記袋体に前記流体を供給し前記袋体が膨張すると、前記走行板は、前記ヒンジ部によって前記地面と反対側に向けて回動する、
ホースブリッジ。
【請求項5】
ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護するホースブリッジであって、
前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記ホースに対して平行に並べられ、前記ホースから離れるにつれ外径が小さくなる複数の円筒部材と、前記複数の円筒部材の外周面を覆う保護部材と、を有し、
前記複数の円筒部材は、前記保護部材から取り外し可能であり、
前記複数の円筒部材に流体が供給された状態において、前記保護部材には地面と反対側に位置し前記車両が走行する走行面が形成される、
ホースブリッジ。
【請求項6】
前記進行方向に沿って前記ガイド部材に掛け渡され、前記ホース上を覆うカバー部材をさらに備える、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のホースブリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースブリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
消火活動などで消防用ホースを展張する際に消火対象と水源の位置関係によっては、消防用ホースが道路上に横断して設置されることがある。救急車や消防車などの車両は消火活動中であっても道路を通行しなければならないため、車両から消防用ホースを保護し、車両が道路を通行できるようにするホースブリッジが知られている。
【0003】
近年、呼称100を超える消防用ホースが活用されており、特に呼称150の消防用ホースが消防機関で運用される機会が増加している。大口径の消防用ホースに対応したホースブリッジも存在しているが、消防用ホースの口径に応じてホースブリッジも大型化し、重量も大きくなるため、消火活動などの現場におけるホースブリッジの運搬、設置などの作業には労力を要する。
【0004】
複数の車線を有するような幅が広い道路をホースが横断する場合、車線数に合わせてホースブリッジが準備されることある。しかし、車線数に合わせてホースブリッジを準備すると運搬、設置などのために必要な作業は増加する。この点に関し、特許文献1において作業性の向上を図るためのホースブリッジが提案されている。
【0005】
特許文献1に開示されたホースブリッジは、ホースを固定するために円弧状の断面に形成された固定部を有する複数の第1ブロックと、互いに連結された第1ブロックの両側または片側に配置され、互いに連結されることにより上面に車両の走行スペースが形成される複数の第2ブロックとを備えている。第1ブロックおよび第2ブロックは、複数に分割して形成されるため、一つ一つのブロックの寸法および重量を適宜決定することができる。そのため、ブロックの設置時には車載クレーン等を用いなくとも人力で設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に開示されたホースブリッジを踏まえても、ホースブリッジの作業性の向上に関しては未だに種々の改善の余地がある。例えば、特許文献1に開示されたホースブリッジであっても、消防用ホースの口径に応じてホースブリッジは大型化するため、各ブロックの寸法や重量は大きくなり、現場での作業性を十分に向上させることはできない。
【0008】
そこで、本発明は、より作業性の優れたホースブリッジを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るホースブリッジは、ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護する。当該ホースブリッジは、前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備えている。前記ガイド部材は、流体を収容する袋体を有し、前記袋体に前記流体が供給された状態において、前記袋体には地面側に位置する設置面と、前記地面と反対側に位置し前記車両が走行する走行面とが形成され、前記走行面は、前記進行方向における前記ホース側に位置する第1端部から前記第1端部と反対側に位置する第2端部に向かって前記設置面に近づくように傾斜している。
【0010】
前記袋体は、内部に前記流体を収容する第1袋体と、前記第1袋体の外周を覆う第2袋体とを有してもよい。前記袋体は、保護層と、前記保護層の内面に設けられたライニング層と、を有してもよい。
【0011】
本発明の一態様に係るホースブリッジは、ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護する。当該ホースブリッジは、前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備えている。前記ガイド部材は、地面に設置される設置板と、前記地面と反対側に位置する走行板と、前記設置板と前記走行板の端部を回動可能に接続するヒンジ部と、前記設置板と前記走行板との間に位置し、流体を収容する袋体と、を有している。前記ガイド部材を前記地面に設置した状態において、前記袋体に前記流体を供給し前記袋体が膨張すると、前記走行板は、前記ヒンジ部によって前記地面と反対側に向けて回動する。
【0012】
本発明の一態様に係るホースブリッジは、ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護する。当該ホースブリッジは、前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備えている。前記ガイド部材は、前記ホースに対して平行に並べられ、前記ホースから離れるにつれ外径が小さくなる複数の円筒部材と、前記複数の円筒部材の外周面を覆う保護部材と、を有している。前記複数の円筒部材は、前記保護部材から取り外し可能であり、前記複数の円筒部材に流体が供給された状態において、前記保護部材には地面と反対側に位置し前記車両が走行する走行面が形成される。
【0013】
当該ホースブリッジは、前記進行方向に沿って前記ガイド部材に掛け渡され、前記ホース上を覆うカバー部材をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より作業性の優れたホースブリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るホースブリッジの設置状況の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るホースブリッジの設置状況の他の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るガイド部材の概略的な斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るガイド部材の概略的な側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態との比較例に係るホースブリッジの設置状況の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係るホースブリッジが備えるガイド部材の概略的な側面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係るホースブリッジが備えるガイド部材の概略的な斜視図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係るホースブリッジが備えるガイド部材の概略的な斜視図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態に係るホースブリッジの設置状況の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、キャップの変形例を示す概略的な側面図である。
【
図12】
図12は、キャップの変形例を示す概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のいくつかの実施形態につき図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
本実施形態においては、主に消防分野での使用が想定される消防用ホースを保護するホースブリッジを例示する。ただし、当該ホースブリッジは、消防用ホース以外にも排水用や工業用、農業用、工事用などに使用される種々のホースやケーブルなどにも適用することができる。
【0017】
図1は、第1実施形態に係るホースブリッジ100の設置状況の一例を示す模式図である。ホースブリッジ100は、消防用ホースH1の両側に設置されたガイド部材10A,10Bと、ガイド部材10A,10Bに掛け渡されたカバー部材20とを備えている。ガイド部材10A,10Bは、車両の進行方向Dxに沿って地面Gに設置されている。ガイド部材10A,10Bとカバー部材20により、消防用ホースH1が通される挿通部が形成されている。
【0018】
進行方向Dxは、消防用ホースH1の長手方向と交差する方向である。消防用ホースH1の長手方向を幅方向Dyと定義する。地面Gからの鉛直方向を高さ方向Dzと定義する。
【0019】
ガイド部材10A,10Bの各々は、注入ホースH2によって、消防用ホースH1を接続する媒介具1と接続されている。ガイド部材10A,10Bには、注入ホースH2によって消防用ホースH1を流れる流体が供給される。供給される流体は、例えば水などの液体である。ガイド部材10A,10Bは後述の袋体30を有しており、供給された流体が袋体30に収容されることで膨張する。
【0020】
図1の例においては、ガイド部材10A,10Bは流体が供給された状態である。ここで、流体が供給された状態とは、ガイド部材10A,10Bが収容された流体の圧力により膨張している状態をいう。例えば、ガイド部材10A,10Bが最大に膨張している状態をいう。一方、ガイド部材10A,10Bに流体が供給されていない状態とは、ガイド部材10A,10Bに流体が収容されていない状態をいう。ガイド部材10A,10Bは内部が空洞であるため、流体が供給されていない状態において、コンパクトにすることができる。コンパクトにするとは、例えば折り畳んだり、丸めたりすることをいう。
【0021】
ホースブリッジ100は、例えば幅方向Dyにさらに1つ設置される。一対のホースブリッジ100は、例えば中心間の距離が幅方向Dyにおける走行する車両が有するタイヤの中心間の距離とおよそ等しくなるように設置される。1つのタイヤに対して1列のホースブリッジ100が設置されてもよいし、タイヤの大きさに応じて2列以上のホースブリッジ100が設置されてもよい。
【0022】
次に、ガイド部材10A,10Bについて説明する。ガイド部材10A,10Bは、後述の袋体30に流体が供給された状態において、側面視で三角形状である。ガイド部材10A,10Bには、地面G側に位置する設置面11と、地面Gと反対側に位置し、車両が走行する走行面12とが形成されている。走行面12は、進行方向Dxにおける第1端部12aと、第1端部12aと反対側に位置する第2端部12bとを有している。走行面12は、設置面11と第2端部12bにおいて接続され、第1端部12aから第2端部12bに向かって設置面11(地面G)に近づくように傾斜している。
【0023】
ガイド部材10A,10Bは、幅方向Dyにおける側面13a,13bと、進行方向Dxにおける側面13cをさらに有している。側面13a,13bは進行方向Dxと平行であり、側面13cは幅方向Dyと平行である。側面13a~13cは、設置面11と走行面12とを接続している。
図1の例において、ガイド部材10A,10Bは、第1端部12aが消防用ホースH1側に位置し、消防用ホースH1を挟んでガイド部材10Aの側面13cと、ガイド部材10Bの側面13cとが対向するように設置されている。
【0024】
側面13cにおける高さ方向Dzの長さは、保護される消防用ホースH1の口径に応じて決定される。側面13cにおける高さ方向Dzの長さは、例えば消防用ホースH1の満水状態における外径と同じ程度であることが好ましい。設置面11における進行方向Dxの長さや幅方向Dyの長さは、任意に決定することができる。
【0025】
設置面11と走行面12とがなす角度は、設置面11における進行方向Dxの長さと側面13cにおける高さ方向Dzの長さにより決定される。ホースブリッジ100が対応可能な口径としては、例えば消防用ホースH1の呼称65から呼称300や呼称400であるが、さらに大口径の消防用ホースH1にも対応できる。
【0026】
ガイド部材10Aは、流体が供給される注入管14と、流体やガスなどが排出される排出管15とを側面13aに有している。ガイド部材10Bは、注入管14と、排出管15とを側面13bに有している。注入管14および排出管15は、側面13a,13bのどちらか一方に設けられていればよく、両方に設けられてもよい。注入管14および排出管15は、側面13cに設けられてもよい。
【0027】
注入管14は、先端に設けられた接続具14Aと、注入管14の流路を開閉するハンドル14Hとを備えている。接続具14Aは、注入ホースH2の接続具H2Aと接続することが可能である。ハンドル14Hは、注入管14の流路を開閉する弁体を操作するためのものである。排出管15は、排出管15の流路を開閉するハンドル15Hを備えている。ハンドル15Hは、排出管15の流路を開閉する弁体を操作するためのものである。排出管15には、流路を閉じるためにプラグなどが設けられてもよい。
【0028】
注入管14は設置面11側に設けられるのが好ましく、排出管15は設置面11から高さ方向Dzにおいて離れた位置(例えば、第1端部12aの近傍)に設けられるのが好ましい。注入管14が設置面11側に設けられることで、設置面11側から効率的にガイド部材10A,10Bに流体を供給することができる。また、排出管15が第1端部12aの近傍に設けられることで、流体が供給される際にガイド部材10A,10Bの内部の気体が排出管15から効率的に外部に排出することができる。
【0029】
カバー部材20は、進行方向Dxに沿って消防用ホースH1上を覆うようにガイド部材10A,10Bに掛け渡されている。カバー部材20は、車両が走行するカバー面20aを有している。カバー部材20は、例えば鋼板、アルミ板、縞板、ゴム板、および樹脂板などで形成される。カバー部材20は、例えば面ファスナーやマグネットシート、ボタンなどでガイド部材10A,10Bと着脱可能に連結される。カバー部材20は、予めガイド部材10A,10Bのうちどちらか一方と連結されてもよいし、両方と連結されてもよい。
【0030】
ホースブリッジ100が設置された消防用ホースH1は、媒介具1によって他の消防用ホースH1と接続されている。消防用ホースH1は、それぞれ端部に接続具H1Aを有している。媒介具1は、筒体2と、接続具2Aと、分岐管3とを備えている。接続具2Aは、消防用ホースH1の接続具H1Aと接続されている。媒介具1の各部は、例えば金属材料で形成することができる。ただし、媒介具1は、樹脂などの非金属材料で形成された部材を含んでもよい。
【0031】
筒体2は、例えば円筒状であり、消防用ホースH1内の流路と接続可能な流路を内部に有している。接続具2Aは筒体2の両端部に設けられており、接続具H1Aと接続可能な構造を有している。接続具2Aおよび接続具H1Aには、様々な形状を適用することができる。接続具2Aおよび接続具H1Aは、例えば雌雄の区別のない同一の構造を有してもよいし、反対に雌雄の区別のある構造を有してもよい。第1実施形態において、他の接続具(接続具14A、接続具H2Aおよび後述の接続具3A)においても、接続具2Aおよび接続具H1Aと同様の構造を有している。
【0032】
接続具2Aと接続具H1Aが接続した状態において、筒体2の軸2Xと接続具H1Aの軸とが一致する。筒体2の軸2Xから遠ざかる方向を半径方向Rと定義する。接続具2Aの外周面は半径方向Rにおいて、筒体2の外周面よりも突出している。
【0033】
分岐管3は、筒体2の外周面から半径方向Rに向けて設けられている。
図1の例において、媒介具1は、筒体2の軸2Xを中心に180°位相がずれた位置に配置された2つの分岐管3を備えている。分岐管3は、筒体2が内部に有する流路と連通された流路を有している。
【0034】
分岐管3は、先端に設けられた接続具3Aと、分岐管3の流路を開閉するハンドル3Hとを備えている。接続具3Aは、注入ホースH2の接続具H2Aと接続することが可能である。ハンドル3Hは、分岐管3の流路を開閉する弁体を操作するためのものである。
【0035】
注入ホースH2は、両端部に接続具H2Aを有している。
図1の例において、注入ホースH2の一端に位置する接続具H2Aが分岐管3の接続具3Aと接続され、他端に位置する接続具H2Aが注入管14の接続具14Aと接続されている。
【0036】
図1の例において、進行方向Dxに沿って走行してきた車両は、ガイド部材10Aの第2端部12bからガイド部材10Aに乗り上げ、ガイド部材10Aの走行面12、カバー部材20のカバー面20a、ガイド部材10Bの走行面12の順に走行し、消防用ホースH1上を通過する。車両は消防用ホースH1上を通過する際にホースブリッジ100上を走行するため、消防用ホースH1を車両から保護することができる。
【0037】
図1のように媒介具1によって接続される消防用ホースH1に対するホースブリッジ100の設置方法を説明する。
【0038】
まず、設置された消防用ホースH1の両側に流体が供給されていない状態のガイド部材10A,10Bを進行方向Dxに沿って設置する。この際、流体が供給された状態でガイド部材10Aの側面13cと、ガイド部材10Bの側面13cとが対向するようにガイド部材10A,10Bを設置する。
【0039】
ガイド部材10A,10Bは、媒介具1の近くに設置されるほうが好ましい。ガイド部材10A,10Bが媒介具1の近くに設置されることで、注入ホースH2の長さが短くなり、注入ホースH2の接続やガイド部材10A,10Bへの流体の供給を容易に行うことができる。ガイド部材10A,10Bが折り畳まれたり、丸めたりされている場合には、流体が供給される前に予め広げておくほうが好ましい。
【0040】
次に、注入ホースH2の接続具H2Aを分岐管3の接続具3Aと注入管14の接続具14Aにそれぞれ接続する。注入ホースH2と接続する際、分岐管3および注入管14の流路は予め閉じておくほうが好ましい。
【0041】
消防用ホースH1に流体が流れている状態において、分岐管3および注入管14の流路を開ける。分岐管3の流路が開けられると、消防用ホースH1を流れる流体は媒介具1の分岐管3から注入ホースH2に流入する。注入ホースH2に流入した流体は、注入管14からガイド部材10A,10Bに流入する。
【0042】
ガイド部材10A,10Bに流体が供給された状態で、排出管15の流路と注入管14の流路を閉じる。これにより、ガイド部材10A,10Bへの流体の供給を停止し、ガイド部材10A,10Bに収容された流体の圧力を保持することができる。収容された流体の圧力を保持することで、ガイド部材10A,10Bの形状が保持される。
【0043】
分岐管3の流路を閉じることでガイド部材10A,10Bへの流体の供給を停止してもよい。また、ガイド部材10A,10Bに流体が供給された状態において、分岐管3および注入管14の流路を閉じなくてもよい。この場合、消防用ホースH1を流れる流体の圧力に応じて、ガイド部材10A,10Bに収容される流体の圧力を変化させることができる。
【0044】
ガイド部材10A,10Bへの流体の供給を停止した後に、ガイド部材10Aおよびガイド部材10Bにカバー部材20を連結することで、ホースブリッジ100が設置される。カバー部材20は、ガイド部材10A,10Bに流体を供給する前に予め連結しておいてもよい。
【0045】
ガイド部材10A,10Bは流体が供給された状態においては収容される流体により十分な重量を有するため、安定して設置することができ車両の走行時に位置がずれることもない。また、ガイド部材10A,10Bは、収容される流体の圧力により走行する車両から加わる荷重に耐えることができる。
【0046】
ホースブリッジ100を撤収する際は、注入管14に接続された注入ホースH2を外し注入管14から流体を外部に排出させたり、排出管15から流体を外部に排出させたりする。流体が排出されるとガイド部材10A,10Bは流体が供給されていない状態となり、コンパクトにすることができる。
【0047】
図1の例において、媒介具1は2つの分岐管3を備えていたが、媒介具1は分岐管3を1つ以上備えていればよい。例えば媒介具1が備える分岐管3が1つの場合、注入ホースH2を分岐させてガイド部材10A,10Bに流体を供給してもよい。1つの媒介具1から1つのホースブリッジ100に流体を供給するだけでなく、1つの媒介具1から2つ以上のホースブリッジ100に流体を供給してもよい。媒介具1が必要な場合には、消防用ホースH1の長さを変更し新たに追加してもよい。
【0048】
図2は、第1実施形態に係るホースブリッジ100の設置状況の他の一例を示す模式図である。ホースブリッジ100は、3本の消防用ホースH1を保護するように設置されている。ホースブリッジ100は、
図1に示したカバー部材20とは異なるカバー部材21を備えている。カバー部材21は、3本の消防用ホースH1上を覆うことができる長さを有している。カバー部材21は、進行方向Dxにおける長さ以外はカバー部材20と同様である。
【0049】
図2においては、消防用ホースH1が3本の場合を例示したが、ホースブリッジ100により保護される消防用ホースH1は、1本や3本に限られず、2本や4本以上であってもよい。例えば、カバー部材20,21がガイド部材10A,10Bと着脱可能に連結される場合、ガイド部材10A,10Bを変更することなく、カバー部材20,21を変更することで保護できる消防用ホースH1の本数を変更することができる。
【0050】
図3は、第1実施形態に係るガイド部材10Aの概略的な斜視図である。
図4は、第1実施形態に係るガイド部材10Aの概略的な側面図である。
図3および
図4の例において、ガイド部材10Aは、流体が供給された状態である。
図3および
図4にはガイド部材10Aが例示されているが、ガイド部材10Bにおいても注入管14や排出管15が設けられる位置以外は同様である。
【0051】
ガイド部材10Aは、内部に流体を収容する第1袋体31と、第1袋体31の外周を覆う第2袋体32とを備える袋体30を有している。設置面11、走行面12および側面13a~13cは、第2袋体32に位置している。
図1を用いて説明した注入管14および排出管15は、第2袋体32の側面13aに設けられており、注入管14および排出管15の流路は第1袋体31と連通されている。第1袋体31と第2袋体32は内部が空洞であるため、流体が供給されていない状態において軽量である。そのため、同サイズのガイド部材が合成ゴムや金属などで形成された場合と比較して、ガイド部材10Aは流体が供給されていない状態において軽量に形成される。
【0052】
第1袋体31は、液密性および柔軟性を有し、例えば合成樹脂やゴムなどの樹脂材料で形成される。柔軟性とは、例えば折り畳まれた状態や丸められた状態、膨らんだ状態にもなり得ることをいう。これは、第2袋体32についても同様である。第1袋体31は、内部に収容される流体の圧力に耐える耐圧性をさらに有してもよい。
【0053】
第2袋体32は、例えば合成樹脂やゴムなどの樹脂材料で形成される。第2袋体32は、例えばたて糸およびよこ糸を含む糸材を織ることで形成されてもよい。たて糸やよこ糸は例えば繊維(アラミド繊維等)や金属線、合成樹脂線状体などである。例えば、たて糸が繊維で、よこ糸が金属線状体または合成樹脂線状体である。第2袋体32は、例えば第1袋体31よりも厚く形成される。
【0054】
第2袋体32は、柔軟性と、第1袋体31に収容される流体の圧力に耐える耐圧性と、耐外傷性を有している。耐外傷性とは、例えば走行する車両や地面G上の凹凸などにより穴などの傷がつかないことをいう。
【0055】
第2袋体32が耐外傷性を有するため、第1袋体31は耐外傷性を有しなくてもよい。この場合、第1袋体31は薄く形成することができる。第1袋体31を薄く形成することができれば、ガイド部材10A,10Bはさらに軽量化でき、流体が供給されていない状態においてさらにコンパクトにすることができる。
【0056】
注入管14から第1袋体31に流体を供給し、第1袋体31を収容される流体の圧力により膨張させることで、第2袋体32が膨張する。第1袋体31が膨張したときの最大寸法は、第2袋体32が膨張したときの最大寸法よりも大きいことが好ましい。さらに、第1袋体31は、第2袋体32よりも柔軟性に優れているほうが好ましい。
【0057】
この場合、
図4に示すように第1袋体31が膨張する際に第1袋体31の外周面31aが第2袋体32の内周面32aと接触し、第2袋体32を確実に膨張させることができる。第1袋体31は第2袋体32の最大寸法よりも膨張することはできないため、ガイド部材10Aの形状は主に第2袋体32により決定される。
【0058】
図5は、第1実施形態との比較例に係るホースブリッジHBの設置状況の一例を示す模式図である。
図5の例においては、消防用ホースH1が複数の車線TRを横断するように設置されている。消防用ホースH1に対して、一対のホースブリッジHBが各車線TRに設置されている。車線数に合わせて一対のホースブリッジHBを設置すると、ホースブリッジHBは合成ゴムや金属などで形成されているため重量が大きく、運搬、設置などの作業には多大な労力が必要となる。特に大口径の消防用ホースH1の場合には、ホースブリッジHBも大型化し重量も大きくなるため、運搬、設置などの作業にはさらに労力を要する。
【0059】
ガイド部材10A,10Bは、流体が供給されていない状態において軽量でコンパクトにすることができるため、運搬、設置などの作業に必要な労力を削減することができる。また、消防用ホースH1が
図1で説明した媒介具1によって接続される場合、消防用ホースH1から流体を容易に供給することができる。
【0060】
複数の車線TRを横断するように消防用ホースH1が設置される場合、一対のホースブリッジ100を車線数に応じて設置するだけでなく、ホースブリッジ100の幅方向Dyの長さを長くすることで、1つの車線TRを覆うようにしてもよいし、複数の車線TRを有する道路の全幅を覆うようにしてもよい。
【0061】
以上説明した第1実施形態によれば、従来品より作業性の優れたホースブリッジ100を提供することができる。つまり、ガイド部材10A,10Bは流体が供給されていない状態において軽量でコンパクトにすることができるため扱いやすく、運搬や設置などの作業に必要な労力を削減し、作業性の向上を図ることができる。作業に必要な労力を削減することで、作業時間を短縮することもできる。
【0062】
ガイド部材10A,10Bは内部が空洞であるため、流体が供給されていない状態において同サイズの合成ゴムや金属などで形成されたガイド部材と比較して軽量である。流体が供給されていない状態においてガイド部材10A,10Bはコンパクトにすることができるため、収納に必要なスペースを削減することができる。そのため、車両での運搬時などにおいて一度に多くのホースブリッジ100を運ぶことができる。
【0063】
ガイド部材10A,10Bは内部が空洞であるため、進行方向Dxの長さや幅方向Dyの長さを長くして大型化させた場合であっても質量が増加しにくく、人力で運搬することができるため、運搬のためにクレーンなどの重機が必要とならない。大型化されたガイド部材10A,10Bであっても流体が供給されていない状態でコンパクトにすることができるため、収納するために広いスペースが必要とならない。
【0064】
第1実施形態の変形例として、第2袋体32は、外周面にゴムや合成樹脂などで形成されたライニング層をさらに有してもよい。設置面11や走行面12は、ライニング層を有することで地面Gや車両との間にグリップ力を確保することができる。また、設置面11や走行面12には、地面Gや車両との間でグリップ力を確保するために凹凸などを設けてもよい。
【0065】
第1実施形態のさらに他の変形例として、ガイド部材10A,10Bには、ホースブリッジ100を撤収する際などに流体を排出する排出弁がさらに設けられてもよい。排出弁を設けることで、ホースブリッジ100を撤収する際にガイド部材10A,10Bから流体を外部に効率的に排出することができる。
【0066】
第1実施形態のさらに他の変形例として、媒介具1とガイド部材10A,10Bとの間に減圧弁をさらに設けてもよい。減圧弁を設けることで、消防用ホースH1を流れる流体の圧力よりも低い圧力をガイド部材10A,10Bに供給することができる。例えば、軽い乗用車や自転車などホースブリッジ100を走行する車両が予め決まっている場合等に適用できる。
【0067】
第1実施形態のさらに他の変形例として、袋体30は、第2袋体32から第1袋体31が取り外し可能な構造であってもよい。この場合、第1袋体31が損傷しても、第1袋体31のみを交換することができる。
【0068】
第1実施形態のさらに他の変形例として、袋体30は、進行方向Dxや幅方向Dyに分割できる構造であってもよい。この場合、分割された袋体は、面ファスナーやマグネットシート、ボタンなどで連結させてもよい。
【0069】
第1実施形態において、ホースブリッジ100はカバー部材20,21を備えるが、カバー部材20,21を備えずにガイド部材10A,10Bのみを備えることで、車両が消防用ホースH1上を通過するようにしてもよい。
【0070】
第1実施形態において、消防用ホースH1からガイド部材10A,10Bへ流体を供給する場合を説明したが、ガイド部材10A,10Bへの流体の供給はポンプ車などからであってもよい。ガイド部材10A,10Bに供給される流体は、水などの液体に限られず圧縮空気などであってもよい。
【0071】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0072】
図6は、第2実施形態に係るホースブリッジ200が備えるガイド部材40の概略的な側面図である。ホースブリッジ200は、消防用ホースH1の両側に進行方向Dxに沿って地面Gに設置されるガイド部材40と、ガイド部材40に掛け渡され、消防用ホースH1上を覆うカバー部材20とを備えている。カバー部材20は、第1実施形態と同様の手段によりガイド部材40と連結されている。
図6の例においては、消防用ホースH1の片側に設置されたガイド部材40とカバー部材20とを示している。
【0073】
ガイド部材40は、後述の袋体50に流体が供給された状態である。流体が供給された状態や流体が供給されていない状態とは、第1実施形態で説明した状態と同様である。ガイド部材40には、第1実施形態で説明した媒介具1や注入ホースH2などによって消防用ホースH1から注入管14を介して流体が供給される。ガイド部材40は、後述の袋体50に流体が供給された状態において、側面視で三角形状である。
【0074】
ガイド部材40には、地面G側に位置する設置面41と、地面Gと反対側に位置し、車両が走行する走行面42とが形成されている。走行面42は、進行方向Dxにおける第1端部42aと、第1端部42aと反対側に位置する第2端部42bとを有している。ガイド部材40は、第1端部42aが消防用ホースH1側に位置するように設置されている。
【0075】
走行面42は、設置面41と第2端部42bにおいて接続され、第1端部42aから第2端部42bに向かって設置面41(地面G)に近づくように傾斜している。ガイド部材40は、進行方向Dxと平行な側面43aをさらに有している。第1実施形態で説明した注入管14や排出する排出管15は、例えば側面43aに設けられる。
【0076】
ガイド部材40は、保護層51と、保護層51の内面に設けられたライニング層52とを有する袋体50を有している。保護層51は、たて糸およびよこ糸を含む糸材を織ることで形成される。たて糸やよこ糸は例えば繊維(アラミド繊維等)や金属線、合成樹脂線状体などである。例えば、たて糸が繊維で、よこ糸が金属線状体または合成樹脂線状体である。設置面41、走行面42および側面43aは、保護層51に位置している。
【0077】
ライニング層52は、例えば合成樹脂やゴムなどの樹脂材料で形成される。ライニング層52は、例えば保護層51の内面に図示しない接着層によって接着される。ライニング層52は液密性や柔軟性を有し、保護層51は柔軟性、耐圧性および耐外傷性を有している。
【0078】
第2実施形態に係るホースブリッジ200であれば、ガイド部材40が袋体50のみを有するため、流体が供給されていない状態において軽量に形成できるだけでなく、よりコンパクトにすることができる。また、ホースブリッジ200は第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
第2実施形態の袋体50は、第1実施形態に係る第2袋体32に適用することができる。この場合、第1袋体31が損傷した場合であっても袋体50がライニング層52を有するため、流体が外部に流出することなく、ガイド部材40の形状を保持することができる。
【0080】
第2実施形態においてホースブリッジ200は、カバー部材20を備えるが、カバー部材20を備えずにガイド部材40のみを備えることで、車両が消防用ホースH1上を通過するようにしてもよい。また、第1実施形態で説明した変形例を第2実施形態においても適用することができる。
【0081】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。上述の各実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0082】
図7は、第3実施形態に係るホースブリッジ300が備えるガイド部材60の概略的な斜視図である。ホースブリッジ300は、消防用ホースの両側に進行方向Dxに沿って地面Gに設置されるガイド部材60と、ガイド部材60に掛け渡され、消防用ホースH1上を覆うカバー部材20とを備えている。カバー部材20は、第1実施形態と同様の手段によりガイド部材60と連結されている。
図7の例においては、消防用ホースH1の片側に設置されたガイド部材60とカバー部材20とを示している。
【0083】
ガイド部材60は、地面Gに設置される設置板61と、地面Gと反対側に位置する走行板62と、ヒンジ部63と、流体を収容する袋体64と、を有している。
図7の例においては、ガイド部材60は、流体が供給された状態である。ここで、流体が供給された状態とは、袋体64が収容された流体の圧力により膨張している状態をいう。例えば、袋体64が最大に膨張している状態をいう。一方、袋体64に流体が供給されていない状態とは、袋体64に流体が収容されていない状態をいう。ガイド部材60は、袋体64に流体が供給された状態において、側面視で三角形状である。
【0084】
設置板61および走行板62は、例えば矩形状の板材であり、鋼板、アルミ板、縞板、ゴム板、および樹脂板などで形成される。設置板61および走行板62は、例えば同材料であって、同寸法で形成される。設置板61および走行板62は、同寸法であって異なる材料で形成されてもよいし、同材料であって異なる寸法で形成されてもよいし、異なる材料で異なる寸法で形成されてもよい。例えば、設置板61と走行板62が同材料、同寸法で形成されることで、設置板61と走行板62を区別することなく設置することができる。
【0085】
設置板61は、地面Gに設置される下面61Bと、下面61Bと反対側に位置する上面61Uとを有している。設置板61は、進行方向Dxにおける第1端部61aと、第1端部61aの反対側に位置する第2端部61bとを有している。走行板62は、地面G側に位置する下面62Bと、下面62Bと反対側に位置する上面62Uとを有している。走行板62は、進行方向Dxにおける第1端部62aと、第1端部62aの反対側に位置する第2端部62bとを有している。車両は、走行板62の上面62U上を第2端部62b側から進行方向Dxに沿って走行する。
【0086】
図7の例において、ヒンジ部63は、プレート63a,63bと、プレート63aおよびプレート63bを回動可能に接続する軸部63cとを有している。プレート63aは設置板61の第2端部61bに設けられ、プレート63bは走行板62の第2端部62bに設けられている。この場合、設置板61と走行板62は、ヒンジ部63によって回動可能に接続されている。ヒンジ部63の構造は上述の例に限られず、他の構造を適用することもできる。
図7の例において、ヒンジ部63は幅方向Dyにおいて2つ設けられているが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0087】
袋体64は、設置板61の上面61Uと走行板62の下面62Bとの間に設けられている。袋体64には、第1実施形態で説明した注入管14や排出管15が設けられている。袋体64は、液密性および柔軟性を有し、例えば合成樹脂やゴムなどの樹脂材料で形成される。袋体64は、設置板61と走行板62の間に設けられており、地面Gや車両と接触しにくいため、耐外傷性を有しなくてもよい。袋体64には、第1実施形態で説明した袋体30や第2実施形態で説明した袋体50を適用することもできる。袋体64は、例えば面ファスナーやマグネットシート、ボタンなどで設置板61や走行板62と接続されている。
【0088】
袋体64には、第1実施形態で説明した媒介具1や注入ホースH2などによって消防用ホースH1から注入管14を介して流体が供給される。流体が供給され袋体64が膨張すると、設置板61は地面G上に設置されているため、袋体64が設置板61の上面61Uや走行板62の下面62Bを押し、走行板62はヒンジ部63によって地面Gと反対側(第1端部62aが第1端部61aから離れる方向)に向けて回動する。
【0089】
この場合、走行板62は第1端部62aから第2端部62bに向かって設置板61(地面G)に近づくように傾斜する。
図7において、走行板62の回動方向Drを定義する。走行板62は、袋体64に供給される流体量に応じて回動する。つまり、袋体64に供給される流体量に応じて設置板61と走行板62とがなす角度を調整することができる。
【0090】
ガイド部材60は、設置板61の第1端部61aと走行板62の第1端部62aの近傍に、上面61Uと下面62Bとに接続されたストッパー65をさらに有している。ストッパー65は、例えば金属製のワイヤやチェーンなどである。ストッパー65は、例えば幅方向Dyに沿って2つ設けられている。ストッパー65を有することで走行板62の回動範囲が制限されるため、設置板61と走行板62とがなす角度はストッパー65の長さにより調整することもできる。ストッパー65が設けられる位置は、第2端部61bと走行板62の第2端部62bの近傍に設けてもよい。
【0091】
第3実施形態に係るホースブリッジ300であれば、消防用ホースH1の口径に応じて袋体64に供給される流体量やストッパー65の長さを調整することにより、設置板61と走行板62とがなす角度を調整することができる。
【0092】
第3実施形態の変形例として、下面61Bや上面62Uには、地面Gや車両との間でグリップ力を確保するために凹凸などを設けてもよい。第3実施形態において、ホースブリッジ300は、カバー部材20を備えるが、カバー部材20を備えずにガイド部材60のみを備えることで、車両が消防用ホースH1上を通過するようにしてもよい。
【0093】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。上述の各実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0094】
図8は、第4実施形態に係るホースブリッジ400が備えるガイド部材70の概略的な斜視図である。ホースブリッジ400は、消防用ホースH1の両側に進行方向Dxに沿って地面Gに設置されるガイド部材70と、ガイド部材70に掛け渡され、消防用ホースH1上を覆うカバー部材20とを備えている。カバー部材20は、第1実施形態と同様の手段によりガイド部材70と連結されている。
図8の例においては、消防用ホースH1の片側に設置されたガイド部材70とカバー部材20を示している。
【0095】
ガイド部材70は、消防用ホースH1に対して平行に並べられた複数の円筒部材71~75と、複数の円筒部材71~75の外周面71S~75Sを覆う保護部材76とを有している。円筒部材71~75は、進行方向Dxにおいて消防用ホースH1から離れるにつれ外径が小さくなっている。
図8の例において、円筒部材71の外径が一番大きく、円筒部材75の外径が一番小さい。円筒部材71~75は、例えば消防用ホースや、ゴムや合成樹脂で形成されるチューブなどである。円筒部材71~75は、液密性、柔軟性および耐圧性を有している。円筒部材71~75の長さは、例えば保護部材76の幅方向Dyの長さよりも長い。
【0096】
保護部材76は、例えば円筒状に形成されており、内側に円筒部材71~75を設置することができる。保護部材76は、例えばゴムや合成樹脂などの材料で形成されてもよいし、たて糸およびよこ糸を含む糸材を織ることで形成されてもよい。たて糸やよこ糸は例えば繊維(アラミド繊維等)や金属線、合成樹脂線状体などである。例えば、たて糸が繊維で、よこ糸が金属線状体または合成樹脂線状体である。保護部材76は、柔軟性や耐外傷性を有している。円筒部材71~75は、保護部材76と取り外し可能に接続されている。保護部材76から円筒部材71~75を取り外すことで、保護部材76や円筒部材71~75の各々をコンパクトにすることができる。
【0097】
円筒部材71~75は、一端に接続具71A~75Aを有し、他端にキャップC11~C15を有している。接続具71A~75Aは、第1実施形態で説明した接続具2Aおよび接続具H1Aと同様の構造を有している。円筒部材71~75の他端は、キャップC11~C15により閉じられている。円筒部材71~75には、接続具71A~75Aに接続される後述の注入ホースH41~H45により流体が供給される。円筒部材71~75は、供給された流体が内部に収容されることで膨張する。
【0098】
図8の例においては、ガイド部材70は、流体が供給された状態である。ここで、流体が供給された状態とは、円筒部材71~75が収容される流体の圧力により膨張している状態をいう。例えば、円筒部材71~75が最大に膨張している状態をいう。一方、流体が供給されていない状態とは、円筒部材71~75に流体が収容されていない状態をいう。
【0099】
保護部材76には、地面G側に位置する設置面76Bと、地面Gと反対側に位置し、車両が走行する走行面76Uとが形成されている。ガイド部材70は、進行方向Dxにおける第1端部70aと、第1端部70aと反対側に位置する第2端部70bとを有している。ガイド部材70は、第1端部70aが消防用ホースH1側に位置するように設置されている。円筒部材71~75が膨張すると、円筒部材71~75の外周面71S~75Sが保護部材76の内周面76Sを押すことで、保護部材76は広がる。
【0100】
円筒部材71~75は進行方向Dxにおいて消防用ホースH1から離れるにつれ外径が小さくなっているため、走行面76Uは第1端部70aから第2端部70bに向かって設置面76B(地面G)に近づくように傾斜している。円筒部材71~75は保護部材76に取り外し可能に接続されているため、保護する消防用ホースH1の口径などに応じて設置する円筒部材の口径や本数を変更することができる。
【0101】
保護する消防用ホースH1の口径などに応じて1つの保護部材76に対して円筒部材の口径や本数を変更することで、例えば設置面76Bと走行面76Uとがなす角度や進行方向Dxにおける長さを調整することができる。
図8の例において、ガイド部材70は5本の円筒部材71~75を有するが、ガイド部材70が有する円筒部材は、4本以下であってもよいし、6本以上であってもよい。
【0102】
続いて、キャップC11~C15について説明する。
図9は、
図8に示すキャップC11の概略的な側面図である。
図9の例においては、円筒部材71に設けられたキャップC11を例示する。キャップC12~C15においても、口径以外はキャップC11と同様の構造である。
【0103】
キャップC11は、本体80と、バルブV1とを有している。本体80は、円筒部材71の端部に挿入される装着部81を第1端部C1a側に有する。バルブV1は、軸方向CXにおいて、第1端部C1aと反対側に位置する第2端部C1bに設けられている。
【0104】
図9の例においては、装着部81の外周面には円筒部材71を抜け止めするために、軸方向CXに並ぶ複数の環状の段差が形成されている。装着部81を円筒部材71の端部に挿入することで、円筒部材71にキャップC11を直接設けることができる。
【0105】
本体80の内部には、軸方向CXに沿って流路が形成されている。バルブV1は、本体80の内部の流路と連通する流路を内部に有しており、バルブV1が有するハンドルVHを操作することで、弁体によりバルブV1の流路を開閉することができる。円筒部材71にキャップC11が設けられた状態でバルブV1を操作することで、流体を供給する際に円筒部材71の内部の気体を外部に排出したり、撤収する際に内部の流体を外部に排出したりすることができる。
【0106】
続いて、ホースブリッジ400の設置方法を説明する。
図10は、第4実施形態に係るホースブリッジ400の設置状況の一例を示す模式図である。
図10の例においては、消防用ホースH1の片側に設置されたガイド部材70とカバー部材20とを示している。
【0107】
設置された消防用ホースH1の両側に保護部材76を進行方向Dxに沿って設置する。保護する消防用ホースH1の口径に応じて、円筒部材の口径や本数を決定する。
図10の例においては、5本の円筒部材71~75である。円筒部材71~75を保護部材76の内側に消防用ホースH1に対して平行に並べる。この際、円筒部材71~75を進行方向Dxにおいて消防用ホースH1から離れるにつれ外径が小さくなるように並べる。円筒部材71~75の口径に応じて、円筒部材71~75の一端に接続具71A~75Aを設け、他端にキャップC11~C15を設ける。
【0108】
次に、円筒部材71~75の接続具71A~75Aに、注入ホースH41~45の接続具41A~45Aを接続する。接続具41A~45Aは、円筒部材71~75の接続具71A~75Aと接続可能な構造を有している。注入ホースH41~H45の口径は、例えば円筒部材71~75の口径に応じて決定される。
図10の例においては、注入ホースH41~H45の口径は、円筒部材71~75の口径とそれぞれ等しい。注入ホースH41~H45の口径は、円筒部材71~75の口径とそれぞれ等しくなくてもよい。また、注入ホースH41~H45の口径がすべて等しくてもよい。
【0109】
注入ホースH41~H45の接続具41A~45Aが設けられた端部と反対側の端部は、例えば第1実施形態で説明した媒介具1と接続されている。媒介具1と接続されることで、消防用ホースH1を流れる流体を円筒部材71~75に供給することができる。媒介具1が備える分岐管3が1つの場合などは、媒介具1に接続される他の注入ホースを分岐させて、注入ホースH41~H45を接続させてもよい。
【0110】
円筒部材71~75に流体を供給する際は、バルブV1~V5の流路を予め開けておく。バルブV1~V5の流路を開けておくことで、流体が供給される際に円筒部材71~75の内部の気体を外部に排出することができる。次に、注入ホースH41~H45から流体を円筒部材71~75に供給する。流体を供給し円筒部材71~75が膨張すると、円筒部材71~75の外周面71S~75Sが保護部材76の内周面76Sを押すことで、保護部材76は広がる。円筒部材71~75に流体が供給された状態で、バルブV1~V5の流路を閉じることで円筒部材71~75の内部の圧力を保持することができる。
【0111】
円筒部材71~75への流体の供給は、媒介具1が備える分岐管3の流路を閉じることで停止してもよい。また、注入ホースH41~45と円筒部材71~75との間に別途バルブなどを設け、当該バルブなどを操作することで円筒部材71~75への流体の供給を停止してもよい。
【0112】
円筒部材71~75への流体の供給を停止した後に、ガイド部材70にカバー部材20を連結することで、ホースブリッジ400が設置される。カバー部材20は、ガイド部材70に流体を供給する前に予め連結しておいてもよい。
【0113】
ガイド部材70は流体が供給された状態においては円筒部材71~75に収容される流体により十分な重量を有するため、安定して設置することができ車両の走行時に位置がずれることもない。また、ガイド部材70は、円筒部材71~75の内部に収容される流体の圧力により走行する車両から加わる荷重に耐えることができる。
【0114】
ガイド部材70を撤収する際は、バルブV1~V5の流路を開けたり、接続された注入ホースH41~H45を外したりすることで流体を円筒部材71~75から外部に排出する。流体が排出されると円筒部材71~75は流体が供給されていない状態となり、保護部材76から円筒部材71~75を取り外すことで、保護部材76や円筒部材71~75をコンパクトにすることができる。
【0115】
第4実施形態に係るホースブリッジ400であれば、円筒部材71~75および保護部材76の内部が空洞であるため、流体が供給されていない状態において軽量である。円筒部材71~75は保護部材76から取り外し可能であるため、円筒部材71~75と保護部材76とが接続されている場合と比較してよりコンパクトにすることができる。
【0116】
1つの保護部材76に対して円筒部材の口径や本数を変更することで、口径の異なる消防用ホースH1に対応することができる。また、円筒部材71~75が消防用ホースである場合、円筒部材71~75として使用しない際には消防用ホースとして使用することができる。
【0117】
第4実施形態に適用し得るキャップC11の変形例について説明する。
図11および
図12は、キャップC11の変形例を示す概略的な側面図である。
図11および
図12においては、円筒部材71に設けられるキャップについて例示するが、口径の異なる円筒部材に設けられるキャップにおいても同様の構造を適用することができる。
【0118】
図11の例において、キャップC21は、本体82と、接続具83と、バルブV1とを有している。本体82は、例えば円盤状である。接続具83は、例えば第1実施形態で説明した雌雄の区別のない構造を有している。
【0119】
図11の例において、接続具83は、本体82の端部から突出する複数の凸部831と、隣り合う凸部831の間の凹部832と、リング状のシール材833とを有している。円筒部材71の端部に接続具83と接続可能な接続具を設けることで、キャップC21を円筒部材71に設けることができる。
【0120】
図12の例において、キャップC31は、接続具84と、バルブV1とを有している。バルブV1は、軸方向CXにおいて円筒部材71と接続される側に位置する第1端部C3aと反対側に位置する第2端部C3bに設けられている。
【0121】
接続具84は、例えば、JIS B9911に規定される消防用ホースの差込み式結合金具と同様の構造を有している。
図12の例において、接続具84は、接続具84の内側に向けて付勢された複数の爪を有しており、差し金具の先端に設けられる環状の凸部と係合可能な構造である。円筒部材71の端部に接続具84と接続可能な接続具を設けることで、キャップC31を円筒部材71に設けることができる。
【0122】
第4実施形態の変形例として、保護部材76は、外周面にゴムや合成樹脂などで形成されたライニング層を有してもよい。例えば、ゴムで形成されたライニング層を有することで、設置面76Bや走行面76Uは、地面Gや車両との間にグリップ力を確保することができる。設置面76Bや走行面76Uには、地面Gや車両との間でグリップ力を確保するために凹凸などを設けてもよい。
【0123】
第4実施形態の他の変形例として、保護部材76は、シート状に形成されてもよい。この場合、保護部材76は円筒部材71~75の上面のみを覆い、流体が供給された状態において走行面76Uが形成される。
【0124】
第4実施形態において、ホースブリッジ400は、カバー部材20を備えるが、カバー部材20を備えずにガイド部材70のみを備えることで、車両が消防用ホースH1上を通過するようにしてもよい。
【0125】
以上の実施形態は、本発明の範囲を各実施形態にて開示した構成に限定するものではない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0126】
100,200,300,400…ホースブリッジ、1…媒介具、10A,10B,40,60,70…ガイド部材、11,41…設置面、12,42…走行面、12a,42a…第1端部、12b,42b…第2端部、20,21…カバー部材、30,50…袋体、31…第1袋体、32…第2袋体、51…保護層、52…ライニング層、61…設置板、62…走行板、63…ヒンジ部、64…袋体、71~75…円筒部材、71S~75S…外周面、76…保護部材、76B…設置面、76U…走行面、H1…消防用ホース。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護するホースブリッジであって、
前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、流体を収容する袋体を有し、
前記袋体に前記流体が供給された状態において、前記袋体には地面側に位置する設置面と、前記地面と反対側に位置し前記車両が走行する走行面とが形成され、
前記走行面は、前記進行方向における前記ホース側に位置する第1端部から前記第1端部と反対側に位置する第2端部に向かって前記設置面に近づくように傾斜する、
ホースブリッジ。
【請求項2】
前記袋体は、内部に前記流体を収容する第1袋体と、前記第1袋体の外周を覆う第2袋体とを有する、
請求項1に記載のホースブリッジ。
【請求項3】
前記袋体は、保護層と、前記保護層の内面に設けられたライニング層と、を有する、
請求項1に記載のホースブリッジ。
【請求項4】
ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護するホースブリッジであって、
前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、地面に設置される設置板と、前記地面と反対側に位置する走行板と、前記設置板と前記走行板の端部を回動可能に接続するヒンジ部と、前記設置板と前記走行板との間に位置し、流体を収容する袋体と、を有し、
前記ガイド部材を前記地面に設置した状態において、前記袋体に前記流体を供給し前記袋体が膨張すると、前記走行板は、前記ヒンジ部によって前記地面と反対側に向けて回動する、
ホースブリッジ。
【請求項5】
前記進行方向に沿って前記ガイド部材に掛け渡され、前記ホース上を覆うカバー部材をさらに備える、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のホースブリッジ。