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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080036
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】引手部材
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/78 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
E06B9/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190977
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高山 幸久
(72)【発明者】
【氏名】金井 亨
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042CA04
(57)【要約】
【課題】ボールチェーンに容易に取り付けられて、ボールチェーンからより外れ難い引手部材を提供する。
【解決手段】ボールチェーンに取り付けられる引手部材であって、中空部を囲む周壁部と、中空部の上方を覆うとともに、外部と中空部とを連通してボール部が挿通されるボール挿通孔を備えた上面部と、ボール挿通孔の下に設けられ、挿通されたボール部を所定方向に案内する案内部と、を有し、案内部は、所定方向における先方側に向かって低くなる傾斜を有するとともに、連結部よりも幅が狭く、連結部が弾性変形しつつ挿通可能なスリットが所定方向に沿って設けられており、案内部と、先方側に位置する周壁部との間にはボール部が通過可能な空隙を備え、案内部と所定方向における後方側に位置する周壁部との間には、ボール部が収容される収容空間が設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボール部が連結部により連結されたボールチェーンに取り付けられる引手部材であって、
中空部を囲む周壁部と、
前記中空部の上方を覆うとともに、外部と前記中空部とを連通して前記ボール部が挿通されるボール挿通孔を備えた上面部と、
前記ボール挿通孔の下に設けられ、挿通された前記ボール部を所定方向に案内する案内部と、
を有し、
前記案内部は、前記所定方向における先方側に向かって低くなる傾斜を有するとともに、前記連結部よりも幅が狭く、前記連結部が弾性変形しつつ挿通可能なスリットが前記所定方向に沿って設けられており、
前記案内部と、前記先方側に位置する前記周壁部との間には前記ボール部が通過可能な空隙を備え、
前記案内部と前記所定方向における後方側に位置する前記周壁部との間には、前記ボール部が収容される収容空間が設けられていることを特徴とする引手部材。
【請求項2】
請求項1に記載の引手部材であって、
前記スリットは、前記先方側の幅が、前記連結部より広く且つ前記ボール部より狭く、前記後方側の幅が、前記連結部より狭いことを特徴とする引手部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の引手部材であって、
前記案内部の下側は、前記先方側から前記後方側に向かって高くなる面を有していることを特徴とする引手部材。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の引手部材であって、
前記先方側に位置する前記周壁部には、当該周壁部と前記案内部との間を通過する前記ボール部の、水平方向の移動を規制する規制部が設けられていることを特徴とする引手部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールチェーンの端部に設けられる引手部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボールチェーンに取り付けられる部材として、例えばボールチェーンの両端を連結する連結部材が知られており、この連結部材は、ボールチェーンへの張力が所定値より小さい場合にコード部またはボール部が外れることを阻止し、ボールチェーンへの張力が所定値以上である場合に連結本体が弾性変形してコード部またはボール部が外れることを許容するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-161325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボールチェーンの端部に設けられる引手部材は、上記の連結部材と異なり、引手部材がボールチェーンから外れる必要はなく、操作の際に用いられるため、寧ろ張力が作用しても外れないことが望ましい。また、引手部材がボールチェーンから外れないように、工具などを用いて取り付ける構造では作業が繁雑である。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ボールチェーンに容易に取り付けられて、ボールチェーンからより外れ難い引手部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための主たる発明は、複数のボール部が連結部により連結されたボールチェーンに取り付けられる引手部材であって、中空部を囲む周壁部と、前記中空部の上方を覆うとともに、外部と前記中空部とを連通して前記ボール部が挿通されるボール挿通孔を備えた上面部と、前記ボール挿通孔の下に設けられ、挿通された前記ボール部を所定方向に案内する案内部と、を有し、前記案内部は、前記所定方向における先方側に向かって低くなる傾斜を有するとともに、前記連結部よりも幅が狭く、前記連結部が弾性変形しつつ挿通可能なスリットが前記所定方向に沿って設けられており、前記案内部と、前記先方側に位置する前記周壁部との間には前記ボール部が通過可能な空隙を備え、前記案内部と前記所定方向における後方側に位置する前記周壁部との間には、前記ボール部が収容される収容空間が設けられていることを特徴とする引手部材である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ボールチェーンに容易に取り付けられて、ボールチェーンからより外れ難い引手部材を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る引手部材を有するスクリーン装置を示す縦断面図である。
図2】本実施形態に係る引手部材を有するスクリーン装置を示す横断面図である。
図3図3は、ボールチェーンに係止された引手部材を上方側から見た斜視図である。
図4図4(a)は、引手部材を上方から見た図であり、図4(b)は、引手部材の縦断面図であり、図4(c)、引手部材を下方から見た図である。
図5】引手部材がレール部に仮固定されている状態を示す斜視図である。
図6図6(a)は、ボール部がボール挿通孔に挿通された状態を示す断面図であり、図6(b)は、図6(a)の状態を上方から見た斜視図であり、図6(c)は、ボール部が空隙から下方に移動した状態を示す断面図であり、図6(d)は、図6(c)の状態を下方から見た図であり、図6(e)は、ボール部が案内部の下に移動した状態を示す断面図であり、図6(f)は、図6(e)の状態を下方から見た図であり、図6(g)は、ボール部が収容空間に収容された状態を示す断面図であり、図6(h)は、図6(g)の状態を下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る引手部材について図面を参照して説明する。
【0010】
本実施形態の引手部材1は、例えば、図1図2に示すような構造体としての建物に取り付けられて窓をなす建具2と共に設けられるスクリーン装置3の操作部として用いられる。
【0011】
本実施形態においては、建具2の屋内側に設けられたスクリーン装置3であって、軸体4aに巻き付けられた網材でなるスクリーン4bが昇降自在に設けられている、所謂ロールスクリーン装置3において、引き出されたスクリーン4bを巻き上げる操作をするために設けられ、ロールスクリーン装置本体4から垂れ下がるボールチェーン5の下端に引手部材1が取り付けられている例について説明する。
【0012】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態のロールスクリーン装置3を屋内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。ロールスクリーン装置3及び引手部材1の各部位であっても、また、ロールスクリーン装置3を構成する各部材については単体の状態であっても、ロールスクリーン装置3が取り付けられた状態で上下方向、左右方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0013】
建具2は、開口を形成する枠体2aと、開口を開閉自在に設けられた障子2bと、を有しており、ロールスクリーン装置3は、建具2の屋内側に設けられている。ロールスクリーン装置3は、枠体2aの上部に配置され軸体4aに巻き付けられたスクリーン4bが収容されているロールスクリーン装置本体4と、枠体2aを構成する左右の縦枠2cに沿って設けられ、引き出されて昇降するスクリーン4bを案内するレール部6と、を有している。
【0014】
ロールスクリーン装置本体4からは、スクリーン4bの操作をするためのボールチェーン5が垂れ下がっている。ボールチェーン5は、複数のボール部5aが連結部5bにより繋がって1本のロープ状をなしており、その下端に設けられたボール部5aに引手部材1が係止されている。
【0015】
レール部6には、図2に示すように、スクリーン4bの左右の端部が収容されて案内されるスクリーン端部収容部6aと、スクリーン4bの下端に設けられた端部バー4cの左右の端部4dを案内する端部バーガイド部6bと、を有している。図2においては、スクリーン4b及び端部バー4cの右端側を破断して示しているが、スクリーン4b及び端部バー4cの右端側も左端側と同様にレール部6と係合している。端部バーガイド部6bは、スクリーン端部収容部6aと、スクリーン端部収容部6aの見込方向における両側となる屋内側と屋外側とに各々間隔を空けて対向する対向片6cとの間に設けられた、上下方向に沿う溝であり、この溝に案内されて端部バー4cが昇降する。
【0016】
屋内側の端部バーガイド部6bを形成する対向片6cに、ボールチェーン5の下端に係止されている引手部材1が仮固定可能である。引手部材1が仮固定される構成については後述する。
以下の引手部材1の説明においては、対向片6cに仮固定された状態で上下方向、左右方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0017】
ボールチェーン5の下端に係止される引手部材1は、図3に示すように、上部が覆われたほぼ円筒状をなす引手本体部10と、引手本体部10の屋外側に向く側に突出された仮固定部15と、を有している。引手部材1は、ほぼ円筒状をなす引手本体部10の長手方向が上下方向に沿う状態で、ボールチェーン5に係止されて吊り下げられる。
【0018】
引手本体部10は、図4に示すように、内側の空間を囲んで中空部1aを形成する周壁部11と、周壁部11と共に中空部1aを形成し当該中空部1aの上方を覆う上面部12と、中空部1aに設けられボール部5aを案内する案内部13と、を有している。
【0019】
上面部12は、ボール部5aが挿通可能なボール挿通孔12aを有している。ボール挿通孔12aは、左右方向の幅がボール部5aの直径よりも僅かに広く形成されており、見込方向の幅は、左右方向の幅よりも僅かに広く形成されている。そして、ボール挿通孔12aは、ほぼ中央に形成されたボール部5aの直径よりも僅かに大きな丸孔の、屋内側の半分と繋がり屋外側に広げられた長孔形状をなしている。
【0020】
上面部12の下には、当該上面部と繋がって案内部13設けられている。案内部13は、見込方向に沿って屋外側に向かって高さが低くなる傾斜を有している。案内部13は、平板状をなしているので、案内部13は、上側も下側も見込方向に沿って屋外側に向かって高さが低くなる傾斜を有している。
【0021】
案内部13には、左右方向におけるほぼ中央にスリット13aが設けられている。スリット13aは、案内部13の上端側から下端側まで繋がっているので、案内部13は、スリット13aにより、左右2つの部位に分割されている。スリット13aは、上端側に設けられ均一の幅をなす均一幅部13bと、下端側に設けられ漸次幅が変化する変幅部13cと、を有している。ここで、スリット13aが設けられている方向、及び、案内部13の傾斜が低くなる方向が所定方向に相当する。以下の説明では、この方向を案内部降下方向と称する。
【0022】
ボール挿通孔12aに挿通されたボール部5aは、案内部13上を案内部13の上端側から下端側に向かって案内されるので、案内部13及びスリット13aにおいては、下端側(本実施形態においては屋外側)が案内部降下方向の先方側となり、上端側(本実施形態においては屋内側)が案内部降下方向の後方側となる。
【0023】
均一幅部13bは、連結部5bの幅より僅かに狭い幅をなしている。変幅部13cは、案内部13の下端において、ボール部5aの直径よりも狭く、かつ、連結部5bの幅より広い幅をなし、上方側に向かって漸次幅が狭くなり、上方に位置する均一幅部13bと繋がっている。
【0024】
周壁部11は、ほぼ円筒状をなしている。案内部降下方向の先方側に位置する周壁部11の内周面(以下、先方側の内周面という)11aと案内部13との間には、ボール部5aが上下方向に挿通可能な空隙S1が設けられている。より具体的には、空隙S1は、案内部13と先方側の周壁部11との間に設けられているので、ボール部5aの一部が変幅部13cに進入しつつ下方に移動できれば構わない。このため、案内部13の下端と先方側の周壁部11との間が、ボール部5aの直径よりも広く空いていなくともよい。また、ボール部5aは、空隙S1を下方に通過する際に、水平断面における直径が最大となる部位が案内部13よりも下に通過すると、水平断面における直径が小さくなるにつれて、ボール部5aは、案内部13の下に移動しつつ変幅部13cを後方側に移動していく。
【0025】
先方側の内周面11aには、空隙S1におけるボール部5aの、案内部降下方向と交差する方向となる左右方向の移動を規制する規制部11bが内側に突出させて設けられている。規制部11bは、ボール部5aが、先方側の内周面11aと案内部13との間の空隙S1に案内される際に、連結部5bが位置するボール部5aの中心が、左右方向においてスリット13aの中心に案内されるように、案内部13の下端よりも高い位置から低い位置まで繋がって設けられている。このため、先方側の内周面11aと案内部13との間の空隙S1をボール部5aが下方に通過する際には、規制部11bにより案内される。
【0026】
周壁部11において案内部降下方向の後方に位置する周壁部11の内周面(以下、後方側の内周面という)11aと、案内部13との間には、案内部13の下側の面によって上方に案内されたボール部5aが収容される収容空間S2が設けられている。後方側の内周面11aには、収容空間S2に案内されるボール部5aの左右方向の移動を規制する後方規制部11cが設けられている。後方規制部11cは、後方側の内周面11aと案内部13との間の収容空間S2に案内されたボール部5aが、左右方向に移動せず、安定するようにボール部5aの移動を規制する。
【0027】
周壁部11の屋外側の部位には、上端側に屋外側に突出する仮固定部15が設けられている。仮固定部15は、周壁部11の上部から屋外側に突出した屋外側突出片15aと、屋外側突出片15aの先端から左右方向の両側に各々延出される延出片15bと、を有している。各延出片15bの周壁部11側の面には、先端部に周壁部11側に突出する突部15cが各々設けられている。
【0028】
周壁部11の外周面において、仮固定部15の延出片15bと対向する部位は、各延出片15bとほぼ平行な面をなすように張り出した張出部11dが設けられている。このとき、延出片15bの周壁部11側の面と、周壁部11の張出部11dとの間隔は、レール部6の対向片6cの厚みとほぼ同じに形成されている。
【0029】
本実施形態のボールチェーン5及び引手部材1は、ロールスクリーン装置3の右側に配置されているので、図2図5に示すように、引手部材1は右側のレール部6に仮固定される。引手部材1は、右側に延出されている延出片15bが、右側のレール部6の屋内側の端部バーガイド部6bに挿入されて仮固定される。このとき、延出片15bと周壁部11の張出部11dとの間に、レール部6の対向片6cが位置している。
【0030】
延出片15bの先端側に突部15cが設けられているので、延出片15bは、屋外側突出片15a側よりも先端側の部位の方が屋外側に位置するように撓むため、延出片15bの弾性により、対向片6cが延出片15bと張出部11dとにより挟持されて引手部材1がレール部6に仮固定される。尚、ボールチェーン5及び引手部材1は、ロールスクリーン装置3の左側に配置されている場合には、左側に延出された延出片15bにより引手部材1が仮固定される。
【0031】
次に、ボールチェーン5に引手部材1を係止する方法を説明する。
まず、図6(a)、図6(b)に示すように、垂れ下がるように配置したボールチェーン5の下から引手部材1を近付ける、または、ボールチェーン5を下げて引手部材1に近付けて、ボール挿通孔12aにボールチェーン5の下端に位置するボール部5aを挿入する。このとき、ボール部5aは案内部13の上面に配置される。
【0032】
次に、図6(c)、図6(d)に示すように、ボールチェーン5を下げる、または、引手部材1を上げる、すなわち、引手部材1の位置をボールチェーン5に対して相対的に上げることにより、案内部13上のボール部5aを案内部13に沿って移動させ、スリット13aの変幅部13cと先方の周壁部11との間の空隙S1からボール部5aを下方に移動させる。このとき、ボール部5aは、先方の周壁部11に設けられた規制部11bに規制されつつ下方に移動する。ボール部5aは、変幅部13cの縁によりボール部5aの周面が案内されて、案内部13上を先方の周壁部11の方向に向かって移動し、ボール部5aの最大径の部位が案内部13の下に移動すると、ボール部5aが変幅部13cを後方側すなわち、均一幅部13b側に移動しつつ下方に移動する。
【0033】
次に、図6(e)、図6(f)に示すように、ボールチェーン5を引き上げる、または、引手部材1を下げる、すなわち、引手部材1の位置をボールチェーン5に対して相対的に下げることにより、ボール部5aが案内部13の下を案内部13に沿って移動する。このとき、連結部5bは、スリット13a内を変幅部13cから均一幅部13bに移動する。均一幅部13bの幅は、連結部の幅より狭いため、連結部5bは、弾性変形して幅を狭めつつ均一幅部13bに進入し、均一幅部13bを抜けたときに、幅が復元する。相対的に引き上げられたボール部5aは、図6(g)、図6(h)に示すように、収容空間S2に収容されて後方規制部11cにより規制されることにより、引手部材1がボールチェーン5に安定した状態で係止される。
【0034】
本実施形態の引手部材1によれば、ボール部5aが収容空間S2に収容された状態では、スリット13aを通過する際に圧縮された連結部5bは、通過後には幅が復元されてスリット13aの幅よりも広くなっており、また、引手部材1はボールチェーン5に吊り下げられてボール部5aが案内部13により先方側への移動が規制されている。このため、ボールチェーン5から外れ難い引手部材1を提供することが可能である。
【0035】
また、ボール部5aをボール挿通孔12aに挿通して案内部13に沿って相対的に下方に移動させ、案内部13よりも下に移動させた後に、連結部5bを弾性変形させてスリット13aを通過させるだけで、引手部材1をボールチェーン5に容易に係止することが可能である。このため、ボールチェーン5に容易に取り付けられて、ボールチェーン5からより外れ難い引手部材1を提供することが可能である。
【0036】
また、スリット13aは、先方側の幅が、連結部5bの幅より広く形成されているので、ボール部5aが、案内部13に案内されて案内部13と先方側に位置する周壁部11との間から案内部13の下に移動するときに、連結部5bは、弾性変形することなくスリット13aに進入することが可能である。このとき、スリット13aの、先方側の幅は、ボール部5aより狭いので、連結部5bがスリット13aに進入したときには、ボール部5aは案内部13の下に移動しているので案内部13の上側には移動できなくなる。
【0037】
さらに、スリット13aの後方側の幅は、連結部5bの幅より狭いので、連結部5bがスリット13aを通過すると連結部5bは、再び圧縮されなければ先方側には移動できない。すなわち、ボール部5aが収容空間S2に収容されて引手部材1が吊り下げられると、ボール部5aは、先方側には移動できないので、連結部5bをスリット13aに進入させる方向に力が作用しない。このため、連結部5bも圧縮されることはないので、ボールチェーン5は引手部材1からより外れ難くなる。このため、ボールチェーン5をより容易に取り付けることができ、かつ、外れ難い引手部材1を提供することが可能である。
【0038】
また、案内部13の下側が、先方側ら後方側に向かって高くなる面を有しているので、連結部5bがスリット13aに進入し、ボール部5aが案内部13の下に移動したボールチェーン5を相対的に引き上げることだけで、ボール部5aを収容空間S2に移動させて係止することが可能である。
【0039】
また、引手部材1には、仮固定部15が設けられているので、垂れ下がるボールチェーン5の下端部に係止されてスクリーン装置3の操作部をなす引手部材1を、仮固定部15によりレール部6に仮固定することにより、引手部材1が風等に煽られて揺動することを防止することができる。このため、引手部材1が建具2等に接触して、引手部材1や建物及び建具2などが損傷すること、或いは、音が発生することを防止することが可能である。
【0040】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
【0041】
複数のボール部が連結部により連結されたボールチェーンに取り付けられる引手部材であって、中空部を囲む周壁部と、前記中空部の上方を覆うとともに、外部と前記中空部とを連通して前記ボール部が挿通されるボール挿通孔を備えた上面部と、前記ボール挿通孔の下に設けられ、挿通された前記ボール部を所定方向に案内する案内部と、を有し、前記案内部は、前記所定方向における先方側に向かって低くなる傾斜を有するとともに、前記連結部よりも幅が狭く、前記連結部が弾性変形しつつ挿通可能なスリットが前記所定方向に沿って設けられており、前記案内部と、前記先方側に位置する前記周壁部との間には前記ボール部が通過可能な空隙を備え、前記案内部と前記所定方向における後方側に位置する前記周壁部との間には、前記ボール部が収容される収容空間が設けられているである。
【0042】
このような引手部材によれば、中空部の上方を覆う上面部に設けられたボール挿通孔を挿通したボール部は、ボール挿通孔の下に設けられて傾斜を有する案内部により所定方向に案内されつつ下方に移動する。そして、ボール部は、案内部と、所定方向における先方側に位置する周壁部との間の空隙から案内部よりも下側に移動する。その後、連結部を弾性変形させて圧縮しつつスリットを挿通させ、ボール部を挿通方向における後方側であって、引手部材に対して相対的に上方に移動させると、ボール部は、案内部と所定方向における後方側の周壁部との間に設けられた収容空間に移動し、連結部がスリットを通過した後に圧縮されていた幅が復元する。
【0043】
このため、ボール部が収容空間に収容された状態では、連結部はスリットを通過して、幅がスリットの幅よりも広くなっており、また、引手部材はボールチェーンに吊り下げられると、ボール部は、所定方向に移動できない。このため、ボールチェーンから外れ難い引手部材を提供することが可能である。
【0044】
また、ボール部をボール挿通孔に挿通して案内部に沿って下方に移動させ、案内部よりも下に移動した後に、連結部を弾性変形させてスリットを通過させつつ、ボール部を引手部材に対して相対的に上方に移動させるだけで、引手部材をボールチェーンに容易に取り付けることが可能である。このため、ボールチェーンに容易に取り付けられて、ボールチェーンからより外れ難い引手部材を提供することが可能である。
【0045】
かかる引手部材であって、前記スリットは、前記先方側の幅が、前記連結部より広く且つ前記ボール部より狭く、前記後方側の幅が、前記連結部より狭いことを特徴とする。
【0046】
このような引手部材によれば、スリットは、先方側の幅が、連結部より広く形成されているので、ボール部が、案内部に案内されて案内部と先方側に位置する周壁部との間から案内部の下側に移動するときに、連結部は、弾性変形することなくスリットに進入することが可能である。このとき、スリットの、先方側の周壁部側の幅は、ボール部より狭いので、連結部がスリットに進入したときには、ボール部は案内部の下に移動しているので案内部の上側には移動できなくなる。さらに、スリットの後方側の幅は、連結部より狭いので、連結部がスリットを通過すると連結部は、再び圧縮されなければ先方側には移動できない。すなわち、ボール部が収容空間に収容されて引手部材が吊り下げられると、ボール部は、先方側には移動できないので、連結部をスリットに進入させる方向に力が作用しない。このため、連結部も圧縮されることはないので、ボールチェーンは引手部材からより外れ難くなる。このため、ボールチェーンをより容易に取り付けることができ、かつ、外れ難い引手部材を提供することが可能である。
【0047】
かかる引手部材であって、前記案内部の下側は、前記先方側から前記後方側に向かって高くなる面を有していることを特徴とする。
【0048】
このような引手部材によれば、案内部の下側が、先方側から後方側に向かって高くなる面を有しているので、連結部がスリットに進入し、ボール部が案内部の下に移動したボール部をより容易に収容空間に移動させることが可能である。
【0049】
かかる引手部材であって、前記先方側に位置する前記周壁部には、当該周壁部と前記案内部との間を通過する前記ボール部の、水平方向の移動を規制する規制部が設けられていることを特徴とする。
【0050】
このような引手部材によれば、先方の周壁部に、ボール部の、水平方向の移動を規制する規制部が設けられているので、ボール部が案内部と、先方側に位置する周壁部との間を通過するときのボール部の位置を安定させることができる。このため、連結部がスリットにより進入し易いので、ボールチェーンにより容易に取り付けることができる引手部材を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 引手部材、1a 中空部、5 ボールチェーン、5a ボール部、
5b 連結部、11 周壁部、11b 規制部、12 上面部、
12a ボール挿通孔、13 案内部、13a スリット、
S1 空隙、S2 収容空間、
図1
図2
図3
図4
図5
図6