(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080107
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】エラスチン産生促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20220520BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20220520BHJP
A61K 36/45 20060101ALI20220520BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220520BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220520BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20220520BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220520BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20220520BHJP
C12N 5/0775 20100101ALN20220520BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20220520BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K36/48
A61K36/45
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q1/02
A61P43/00 107
A61Q19/08
C12N5/0775 ZNA
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191095
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 寿
(72)【発明者】
【氏名】村上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩
(72)【発明者】
【氏名】山羽 宏行
【テーマコード(参考)】
4B065
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AC14
4B065AC20
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4B065BB25
4B065BB26
4B065BB31
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4C083AA082
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4C088AB44
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4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZB21
4C088ZC52
(57)【要約】
【課題】チョウマメ及び/又はアルペンローゼの抽出物を含有することを特徴とするエラスチン産生促進剤、筋膜又は腱膜における弾性増強剤、眼瞼下垂を改善又は予防するための組成物を提供する。
【解決手段】本発明はチョウマメ及び/又はアルペンローゼの抽出物を含有することを特徴とする、眼瞼下垂の改善又は予防を目的とする化粧品、医薬品、医薬部外品及び食品である。本発明のチョウマメ及び/又はアルペンローゼの抽出物は、優れたエラスチン産生促進効果及び筋膜又は腱膜における弾性増強効果をもち、眼瞼下垂の改善又は予防効果を示した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョウマメ及び/又はアルペンローゼを含有することを特徴とする筋線維芽細胞におけるエラスチン産生促進剤。
【請求項2】
チョウマメ及び/又はアルペンローゼを含有することを特徴とする筋膜又は腱膜における弾性増強剤。
【請求項3】
チョウマメ及び/又はアルペンローゼを含有することを特徴とする眼瞼下垂を改善又は予防するための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョウマメ及び/又はアルペンローゼを含有することを特徴とする筋線維芽細胞におけるエラスチン産生促進剤、筋膜又は腱膜における弾性増強剤、眼瞼下垂を改善又は予防するための組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筋線維芽細胞は筋膜を構成する細胞の一つである(非特許文献1)。また、腱膜においては、電子顕微鏡観察で存在が確認されている(非特許文献2)。筋線維芽細胞は、エラスチンを発現する主要な細胞集団であり、弾性線維の構築に重要であると考えられている(非特許文献3)。
【0003】
弾性線維は筋膜における弾力性に重要であり(非特許文献4)、組織全体の弾性の決定に寄与する(非特許文献5)。ヒトの筋膜におけるエラスチン量は加齢とともに減るため(非特許文献6)、加齢に伴って筋膜の弾性及び組織全体の弾性が衰えるものと考えられる。
【0004】
まぶたを引き上げる構造として、挙筋腱膜、瞼板前眼輪筋の後筋膜、眼窩隔膜が融合して形成される結合筋膜が瞼板に弾性線維を送り込み、眼輪筋、ミュラー筋とともに機能をさせて瞼板を引き上げる構造が示されている(非特許文献7)。また、上眼瞼のたるみである眼瞼下垂群や加齢群において、挙筋腱膜におけるエラスチン量が減少している(非特許文献8)。従って、挙筋腱膜、瞼板前眼輪筋の後筋膜、眼窩隔膜が融合して形成される結合筋膜におけるエラスチン産生及びそれに伴う弾性の増強が、眼瞼下垂の改善及び予防に重要であると考えられる。眼瞼下垂の治療は広く外科的手術で行われる(非特許文献9)が、外科的手術は痛みを伴うため、非外科的治療が求められている。非外科的治療の方法として投与される組成物には、オキシメタゾリン、フェニレフリン(特許文献1)、及びピロカルピン(特許文献2)が知られている。
【0005】
今までに、チョウマメの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤(特許文献3)、パキシリン刺激剤(特許文献4)等が知られている。また、アルペンローゼの抽出物を用いた毛髪増殖を誘導するための方法(特許文献5)、しわ防止用皮膚外用組成物(特許文献6)等が知られている。しかしながら、チョウマメ又はアルペンローゼを含有することを特徴とする、筋線維芽細胞におけるエラスチン産生促進剤、筋膜又は腱膜における弾性増強剤、眼瞼下垂を改善又は予防するための組成物については知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2014-506927
【特許文献2】特表2018-520176
【特許文献3】特開2007-16003
【特許文献4】特表2013-515054
【特許文献5】特表2015-522083
【特許文献6】特表2015-178464
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】REACH,14-15,100030(2019)
【非特許文献2】Acta.Morphol.Acad.Sci.Hung.,28(1-2),71-82(1980)
【非特許文献3】Scientific Reports,8,8334(2018)
【非特許文献4】Rev.Hosp.Clin.Fac.Med.S.Paulo,57(6),265-270(2002)
【非特許文献5】A Practical Guide to Fascial Manipulation 2017,59-92
【非特許文献6】Gegenbaurs Morphol.Jahrb.,136(6),645-652(1990)
【非特許文献7】Ophthalmic.Plast.Reconstr.Surg.,9,1-10(1993)
【非特許文献8】Archives of Aesthetic Plastic Surgery,21(2),37-42(2015)
【非特許文献9】水野博司,順天堂醫事雑誌,59,321-326(2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決する課題は、エラスチン産生を高める植物由来成分を見出し、作用点が明確であり、且つ優れたエラスチン産生促進剤、筋膜又は腱膜における弾性増強剤、眼瞼下垂を改善又は予防するための組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題の解決に向け鋭意検討を行った結果、チョウマメ及び/又はアルペンローゼ抽出物が筋線維芽細胞における優れたエラスチン産生促進効果を有することを見出した。更に、本発明者らは、チョウマメ又はアルペンローゼ抽出物を含有する組成物に、優れた筋膜又は腱膜における弾性増強効果、眼瞼下垂改善又は予防効果を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、チョウマメ及び/又はアルペンローゼの抽出物を含有することを特徴とする筋線維芽細胞におけるエラスチン産生促進剤、筋膜又は腱膜における弾性増強剤、眼瞼下垂を改善又は予防するための組成物に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のチョウマメ及び/又はアルペンローゼの抽出物は、筋線維芽細胞におけるエラスチン産生促進効果に優れていた。また、この抽出物を含有することを特徴とするエラスチン産生促進剤、筋膜又は腱膜における弾性増強剤、眼瞼下垂を改善又は予防するための組成物は、安全で、眼瞼下垂改善及び予防効果に優れていた。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における筋線維芽細胞は、活性型線維芽細胞とも呼ばれ、線維等の細胞外基質の蓄積、即ち線維化をもたらす。体内では、線維芽細胞がトランスフォーミング増殖因子-β1(TGF-β1)等のサイトカイン、血小板由来増殖因子(PDGF)等の成長因子や、メカニカルストレス等によって作用を受け、α平滑筋アクチンを発現する筋線維芽細胞に分化転換する。
【0013】
本発明における筋膜は、浅筋膜、深筋膜(腱膜筋膜)、筋外膜、筋周膜、筋内膜等を指し、基質の中に、柔軟性と伸張性と形態記憶性に寄与するエラスチン線維と、強度に寄与するコラーゲン線維とを有して、筋線維の滑走の緩衝材として機能する。また、広義の筋膜組織として、高密度平面組織シート(中隔・関節包・腱膜・臓器包・支帯)や靱帯・腱も含む。
【0014】
本発明における腱膜は、骨格筋の両端にあって筋肉を骨に付着させる仲介をしている強力な結合組織線維束であり、特に膜状の腱を指す。
【0015】
本発明におけるエラスチンは、線維状の細胞外マトリクスタンパク質であり、弾性線維の主要成分である。エラスチンは血管、靭帯、肺、皮膚等ほぼ全身の臓器、組織に分布し、弾性の保持に関与している。また、エラスチンはトロポエラスチンとして筋線維芽細胞、線維芽細胞又は平滑筋細胞で合成され、トロポエラスチンの自己集合、及びフィブリリンとの分子間相互作用により生成する。
【0016】
本発明における眼瞼下垂は、腱膜性眼瞼下垂を指し、元来瞼板の前面まで存在しているはずの上眼瞼挙筋腱膜が加齢とともに瞼板から外れてしまい、先端部が瞼板上縁よりも後退する結果、眼瞼の挙上が困難になる症状である。これにより、ミュラー筋の機械受容体を介した固有知覚の発生や交感神経の過緊張が起こり、その結果、眼精疲労、肩こり、頭痛、羞明等多くの自律神経性の症状が発生する。
【0017】
本発明に用いるチョウマメは、マメ目マメ科チョウマメ属の植物であり、学名:Clitoria ternateaである。原産は東南アジアであり、熱帯・亜熱帯地域に分布している。チョウマメはつる性の一年草で、良く伸びると長さ5メートルにもなる。小葉は楕円形、5個から9個の奇数羽状複葉をなす。別名でクリトリア、蝴蝶花、藍胡蝶、バタフライ・ピー、アンチャンとも呼ばれる。
【0018】
本発明におけるチョウマメの抽出物には、チョウマメの植物体が用いられ、部位としては、花、豆果、葉、根等の植物体の一部又は全草から抽出したものを利用することができる。植物を組織培養したカルスを用いても良い。好ましくは、「チョウマメ花エキスBG-50」(香栄興業)が市販されているので、それを用いても良い。
【0019】
本発明に用いるアルペンローゼは、ツツジ目ツツジ科ツツジ属の植物であり、学名:Rhododendron ferrugineumである。アルペンローゼはスイスアルプス植物の一つであり、ヨーロッパ・アルプスやピレネー山脈、ジュラ山脈に分布し、1600-2200メートルの亜高山地帯で生育する。アルペンローゼは多年生の常緑低木で、特徴的な濃いピンクから紫の雌雄同体の花と濃い緑色の楕円形の葉がある。
【0020】
本発明におけるアルペンローゼの抽出物には、アルペンローゼの植物体が用いられる。植物を組織培養したカルスを用いても良い。好ましくは、「アルパインローズ アクティブ」(エイチ・ホルスタイン)が市販されているので、それを用いることができる。
【0021】
本発明に用いるチョウマメ及びアルペンローゼの抽出方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであっても良いし、常温抽出したものであっても良い。また、抽出には、植物体をそのまま使用しても良く、乾燥、粉砕、細切等の処理を行っても良い。抽出溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)、液状多価アルコール類(1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール及び液状多価アルコール等の極性溶媒が良く、特に好ましくは、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール及びプロピレングリコールが良い。これらの溶媒は一種でも二種以上を混合して用いても良い。特に好ましい抽出溶媒としては、水、又は水-エタノール系の混合極性溶媒が挙げられる。溶媒の使用量については、特に限定はなく、例えばチョウマメ及びアルペンローゼの植物体(乾燥重量)に対し、10倍以上、好ましくは20倍以上であれば良いが、抽出後に濃縮を行ったり、単離したりする場合の操作の便宜上100倍以下であることが好ましい。また、抽出温度や時間は、用いる溶媒の種類や抽出時の圧力等によって適宜選択できる。
【0022】
チョウマメ及びアルペンローゼの抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良いが、必要に応じて、本発明の効果を奏する範囲で、濃縮(減圧濃縮、膜濃縮等による濃縮)、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭、エタノール沈殿等の処理を行ってから用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
【0023】
本発明は、上記抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物の効果を損なわない範囲内で、医薬品、医薬部外品、化粧品又は食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、賦形剤、皮膜剤、甘味料、酸味料等の成分が含有されていても良い。
【0024】
本発明は、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品のいずれにも用いることができ、その剤形としては、例えば、軟膏、パップ剤、錠菓、カプセル剤、点眼剤、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、チョコレート、ガム、飴、飲料、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤、坐剤、注射用溶液等が挙げられる。
【0025】
外用の場合、本発明に用いる上記抽出物の含有量は、固形物に換算して0.0001重量%以上が好ましく、0.001~10重量%がより好ましい。更に、0.01~5重量%が最も好ましい。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を越えると、効果の増強は認められにくく不経済である。
【0026】
内用の場合、摂取量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なる。通常、成人1人当たりの1日の摂取量としては、5mg以上が好ましく、10mg~5gがより好ましい。更に、20mg~2gが最も好ましい。
【0027】
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いる抽出物の製造例、処方例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。製造例に示す%とは重量%を、処方例に示す含有量の部とは重量部を示す。
【実施例0028】
本発明のチョウマメの抽出物は、製造例として下記の抽出を行うことができる。
【0029】
(製造例1)チョウマメの50%1,3-ブチレングリコール抽出物の調製
チョウマメの花の乾燥物5gを50mLの50%1,3-ブチレングリコール水溶液に室温で7日間浸漬し抽出を行った。得られた抽出液を濾過してチョウマメの1,3-ブチレングリコール抽出物を49.8g得た。
【0030】
(製造例2)チョウマメの熱水抽出物の調製
チョウマメの花の乾燥物5gに50mLの水を加え、95~100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してチョウマメの熱水抽出物を1.3g得た。
【0031】
(製造例3)チョウマメの50%エタノール抽出物の調製
チョウマメの地上部の乾燥物5gを50mLの50%エタノール水溶液に室温で7日間浸漬し抽出を行った。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固してチョウマメの50%エタノール抽出物を1.18g得た。
【0032】
(製造例4)チョウマメのエタノール抽出物の調製
チョウマメの地上部の乾燥物5gを50mLのエタノールに室温で7日間浸漬し抽出を行った。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固してチョウマメのエタノール抽出物を1.15g得た。
【0033】
(処方例1) 軟膏
処方 含有量(部)
1.チョウマメの50%1,3-ブチレングリコール抽出物(製造例1)0.5
2.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
3.モノステアリン酸グリセリン 10.0
4.流動パラフィン 5.0
5.セタノール 6.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
7.プロピレングリコール 10.0
8.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~5を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び6~8を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0034】
(比較処方例1) 従来の軟膏
処方例1において、チョウマメの50%1,3-ブチレングリコール抽出物を精製水に置き換えたものを、従来の軟膏とした。
【0035】
(処方例2) 軟膏
処方 含有量(部)
1.アルペンローゼの抽出物(エイチ・ホルスタイン) 0.5
2.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
3.モノステアリン酸グリセリン 10.0
4.流動パラフィン 5.0
5.セタノール 6.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
7.プロピレングリコール 10.0
8.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~5を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び6~8を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0036】
(処方例3) クリーム
処方 含有量(部)
1.チョウマメの50%エタノール抽出物(製造例3) 0.1
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.1,3-ブチレングリコール 8.5
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び11~13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0037】
(処方例4) クリーム
処方 含有量(部)
1.アルペンローゼ抽出物(エイチ・ホルスタイン) 0.1
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.1,3-ブチレングリコール 8.5
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び11~13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0038】
(処方例5) 化粧水
処方 含有量(部)
1.チョウマメの熱水抽出物(製造例2) 0.1
2.1,3-ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~6及び11と、成分7~10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。
【0039】
(処方例6) 乳液
処方 含有量(部)
1.チョウマメのエタノール抽出物(製造例4) 0.01
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分10~13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0040】
(処方例7) ゲル剤
処方 含有量(部)
1.チョウマメの50%1,3-ブチレングリコール抽出物(製造例1)0.05
2.アルペンローゼ抽出物(エイチ・ホルスタイン) 0.05
3.エタノール 5.0
4.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
5.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1
6.香料 適量
7.1,3-ブチレングリコール 5.0
8.グリセリン 5.0
9.キサンタンガム 0.1
10.カルボキシビニルポリマー 0.2
11.水酸化カリウム 0.2
12.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~6と、成分1及び7~12をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
【0041】
(処方例8) パック
処方 含有量(部)
1.チョウマメの熱水抽出物(製造例2) 0.05
2.アルペンローゼの抽出物(エイチ・ホルスタイン) 0.05
3.ポリビニルアルコール 12.0
4.エタノール 5.0
5.1,3-ブチレングリコール 8.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
7.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
8.クエン酸 0.1
9.クエン酸ナトリウム 0.3
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~11を均一に溶解し製品とする。
【0042】
(処方例9) ファンデーション
処方 含有量(部)
1.チョウマメの50%エタノール抽出物(製造例3) 0.1
2.ステアリン酸 2.4
3.ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 1.0
4.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.0
5.セタノール 1.0
6.液状ラノリン 2.0
7.流動パラフィン 3.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 6.5
9.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
10.ベントナイト 0.5
11.プロピレングリコール 4.0
12.トリエタノールアミン 1.1
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.二酸化チタン 8.0
15.タルク 4.0
16.ベンガラ 1.0
17.黄酸化鉄 2.0
18.香料 適量
19.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~8を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分19に成分9を良く膨潤させ、続いて、成分1及び10~13を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分14~17を加え、ホモミキサーで撹拌し75℃に保ち水相とする。この油相に水相をかき混ぜながら加え、乳化する。その後、冷却し、45℃で成分18を加え、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0043】
(処方例10) 浴用剤
処方 含有量(部)
1.チョウマメのエタノール抽出物(製造例4) 0.1
2.炭酸水素ナトリウム 50.0
3.黄色202号(1) 適量
4.香料 適量
5.硫酸ナトリウムにて全量を100とする
[製造方法]成分1~5を均一に混合し製品とする。
【0044】
(処方例11) 散剤
処方 含有量(部)
1.チョウマメの熱水抽出物(製造例2) 1.0
2.乾燥コーンスターチ 39.0
3.微結晶セルロース 60.0
[製造方法]成分1~3を混合し、散剤とする。
【0045】
(処方例12) 錠剤
処方 含有量(部)
1.チョウマメのエタノール抽出物(製造例4) 5.0
2.乾燥コーンスターチ 25.0
3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 20.0
4.微結晶セルロース 40.0
5.ポリビニルピロリドン 7.0
6.タルク 3.0
[製造方法]成分1~4を混合し、次いで成分5の水溶液を結合剤として加えて顆粒成型する。成型した顆粒に成分6を加えて打錠する。1錠0.52gとする。
【0046】
(処方例13) 錠菓
処方 含有量(部)
1.チョウマメのエタノール抽出物(製造例4) 2.0
2.乾燥コーンスターチ 49.8
3.エリスリトール 40.0
4.クエン酸 5.0
5.ショ糖脂肪酸エステル 3.0
6.香料 0.1
7.精製水 0.1
[製造方法]成分1~4及び7を混合し、顆粒成型する。成型した顆粒に成分5及び6を加えて打錠する。1粒1.0gとする。
【0047】
(処方例14) 飲料
処方 含有量(部)
1.チョウマメの熱水抽出物(製造例2) 0.05
2.ステビア 0.05
3.リンゴ酸 5.0
4.香料 0.1
5.精製水 94.8
[製造方法]成分2及び3を少量の水に溶解する。次いで、成分1、4及び5を加えて混合する。
【0048】
次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例を挙げる。
【0049】
実験例1 筋線維芽細胞におけるエラスチン発現に及ぼすチョウマメ及びアルペンローゼの抽出物の影響
FBN2(fibrillin 2)及びEMILIN2(elastin microfibril interfacer 2)は弾性線維の形成に関与する糖タンパクであり、これらの発現が上昇することで、エラスチン産生が促進される。そのため、FBN2及びEMILIN2mRNA発現量の測定を行った。ヒト皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を6well plateに播種し、10%FBSを含むDMEM培地にて、37℃、5%CO2条件下で培養した。セミコンフルエントな状態になったところで、最終濃度が2ng/mLのTGF-β1になるように調製した10%FBSを含むDMEM培地に置換し、筋線維芽細胞へと分化させた。その3日後に最終濃度が固形分濃度として200μg/mLになるように調製してFBSを含まないDMEM培地に溶解させたチョウマメ抽出物(製造例1)又はアルペンローゼ抽出物(エイチ・ホルスタイン)を添加した。添加から24時間後に総RNAの抽出を行った。細胞からの総RNAの抽出はRNAiso Plus(タカラバイオ)を用いて行い、総RNA量は分光光度計(NanoDrop)を用いて260nmにおける吸光度により求めた。mRNA発現量の測定は、細胞から抽出した総RNAを基にしてリアルタイムRT-PCR法により行った。リアルタイムRT-PCR法には、High Capacity RNA-to-cDNA Kit(Applied Biosystems)及びSYBR Select Master Mix(Applied Biosystems)を用いた。即ち、500ngの総RNAを逆転写反応後、PCR反応(95℃:15秒間、60℃:60秒間、40cycles)を行った。その他の操作は定められた方法に従い、FBN2及びEMILIN2mRNAの発現量を、内部標準であるβ―アクチンmRNAの発現量に対する割合として求めた。FBN2及びEMILIN2発現促進率は、ヒト線維芽細胞及び筋線維芽細胞のコントロール(試料未添加)群のFBN2及びEMILIN2mRNAの発現量に対する試料添加群のFBN2及びEMILIN2mRNAの発現量の比率として算出した。尚、各遺伝子の発現量の測定に使用したプライマーは次の通りである。
【0050】
FBN2用のプライマーセット
CCCAGTACAAAAAGATATGTCCTC(配列番号1)
AGGGTCTATACAAGAGGTTCCACTG(配列番号2)
EMILIN2用のプライマーセット
AAAGCCACAGATAATGAACCC(配列番号3)
GAACCTTCTCCTCTAGCACC(配列番号4)
β-アクチン用のプライマーセット
CACTCTTCCAGCCTTCCTTCC(配列番号5)
GTGTTGGCGTACAGGTCTTTG(配列番号6)
【0051】
FBN2mRNA発現に及ぼす実験結果を表1に示す。筋線維芽細胞におけるFBN2mRNA発現量は、チョウマメ及びアルペンローゼ抽出物により増加した。また、ヒト線維芽細胞に比べ、筋線維芽細胞で著しく発現量が増加した。尚、チョウマメの抽出物(製造例2、3及び4)にも同等の効果が認められた。
【0052】
【0053】
EMILIN2mRNA発現に及ぼす実験結果を表2に示す。筋線維芽細胞におけるEMILIN2mRNA発現量は、チョウマメ及びアルペンローゼ抽出物により増加した。また、ヒト線維芽細胞に比べ、筋線維芽細胞で著しく発現量が増加した。尚、チョウマメの抽出物(製造例2、3及び4)にも同等の効果が認められた。
【0054】
【0055】
従って、チョウマメ及びアルペンローゼ抽出物は筋線維芽細胞のエラスチン発現を促進した。
【0056】
実験例2 使用試験(眼瞼下垂の改善)
処方例1、2及び比較処方例1で得られる各軟膏を用いて、使用試験を行った。女性被験者20名の瞼に毎朝晩2回、連続3ヶ月間試料を塗布した後、開眼度を測定した。開眼度は、通常時と眼を見開いた時の黒目の大きさの比率より算出した。
【0057】
その結果、比較処方例1の軟膏を使用した場合に比べ、処方例1及び2の軟膏を使用した際に、連用前後で開眼度が著しく上昇した。よって、本願発明に関わるチョウマメ及びアルペンローゼの抽出物は優れた眼瞼下垂改善効果を示した。尚、試験期間中、皮膚トラブルは一人もなく、安全性においても問題なかった。
本発明に関わる、チョウマメ及び/又はアルペンローゼの抽出物を含有することを特徴とするエラスチン産生促進剤、筋膜又は腱膜における弾性増強剤、眼瞼下垂を改善又は予防するための組成物は、各剤の目的に対して優れた改善効果を発揮する。従って、眼瞼下垂の改善又は予防を目的とする医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品を提供することができる。