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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080116
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】レーザシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/24 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
G01N29/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191109
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】591114803
【氏名又は名称】公益財団法人レーザー技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 義則
(72)【発明者】
【氏名】オレグ コチャエフ
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA06
2G047AA10
2G047BC09
2G047CA04
2G047EA10
2G047GD01
(57)【要約】
【課題】第2レーザ光の進行方向に対する第1レーザ光の進行方向のチルト角の精度を向上させる。
【解決手段】ミラー3は、第2レーザ2から出射された第2レーザ光L2を反射する。第1ウェッジプリズム4では、第1レーザ1から出射された第1レーザ光L1が第1入射面41に入射する。第2ウェッジプリズム5の第2入射面51が第1ウェッジプリズム4の第1出射面42に対向している。ハーフミラー6は、第2ウェッジプリズム5から見て第1ウェッジプリズム4とは反対側において第2ウェッジプリズム5から離れている。ハーフミラー6は、第1レーザ光L1を透過しミラー3で反射された第2レーザ光L2を第2ウェッジプリズム5側とは反対側へ反射する。制御装置7は、第1ウェッジプリズム4を第1厚さ方向D1に沿った第1回転中心軸を中心として回転させ、第2ウェッジプリズム5を第2厚さ方向D2に沿った第2回転中心軸を中心として回転させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レーザ光を出射する第1レーザと、
第2レーザ光を出射する第2レーザと、
前記第2レーザから出射された前記第2レーザ光を反射するミラーと、
第1厚さ方向に交差する第1入射面及び第1出射面を有し、前記第1レーザから出射された前記第1レーザ光が前記第1入射面に入射する第1ウェッジプリズムと、
第2厚さ方向に交差する第2入射面及び第2出射面を有し、前記第2入射面が前記第1出射面に対向している第2ウェッジプリズムと、
前記第2ウェッジプリズムから見て前記第1ウェッジプリズムとは反対側において前記第2ウェッジプリズムから離れており、前記第1レーザ光を透過し前記ミラーで反射された前記第2レーザ光を前記第2ウェッジプリズム側とは反対側へ反射するハーフミラーと、
前記第1ウェッジプリズムを前記第1厚さ方向に沿った第1回転中心軸を中心として回転させ、前記第2ウェッジプリズムを前記第2厚さ方向に沿った第2回転中心軸を中心として回転させる制御装置と、を備える、
レーザシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ハーフミラーから見て前記第2ウェッジプリズムとは反対側において前記第2レーザ光を中心として前記第1レーザ光が前記第2レーザ光の周りを回転するように前記第1ウェッジプリズム及び前記第2ウェッジプリズムを制御する、
請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1ウェッジプリズムと前記第2ウェッジプリズムとを独立して回転させる独立動作モードを有する、
請求項1又は2に記載のレーザシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1ウェッジプリズム及び前記第2ウェッジプリズムを同時に同じ方向或いは逆方向に回転させる同時動作モードを有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記第1ウェッジプリズムでは、
前記第1出射面が前記第1厚さ方向に直交する平面状であり、
前記第1入射面が前記第1出射面に対して第1ウェッジ角度で傾斜している平面状であり、
前記第2ウェッジプリズムでは、
前記第2入射面が前記第2厚さ方向に直交する平面状であり、
前記第2出射面が前記第2入射面に対して第2ウェッジ角度で傾斜している平面状であり、
前記第1出射面と第2入射面とが平行である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記第1レーザ光は、検査対象物の表面を振動させるための衝撃波励起用レーザ光であり、
前記第2レーザ光は、前記検査対象物の前記表面の振動を検出するためのプローブ光である、
請求項1~5のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、レーザシステムに関し、より詳細には、2つのレーザを備えるレーザシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非破壊検査装置として、コンクリート構造物、金属構造物等の検査対象物の内部欠陥の有無や深さなどの検査が可能なレーザ超音波リモートセンシング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されている非破壊検査装置は、検査対象物に弾性波(超音波)を励起させるためのパルスレーザ光からなる励起光(衝撃ビーム)を出力する弾性波励起用レーザと、連続出力のレーザ光からなる信号光(プローブビーム)を出力する検出用レーザと、信号光を検査対象物の表面で走査させる可動ミラーと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-147813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レーザシステムでは、第1レーザ光(衝撃ビーム)の経路上又は第2レーザ光(プローブビーム)の経路上に制御可能なミラーを用いて、一方のレーザ光の方向を他方のレーザ光の方向に対して変化させる構成を採用することがある。レーザシステムでは、例えば、角度制御可能なミラーを第2レーザ光の経路上に配置された構成を採用することがある。
【0006】
しかしながら、制御可能なミラーを採用したレーザシステムでは、例えば、ミラーを含むミラーユニットは堅牢ではなく、振動等によるミラーの角度のずれの影響を受けやすく、ミラーの角度のずれによって第2レーザ光に対する第1レーザ光のチルト角が変わりやすく、検査対象物の表面上の第1レーザ光の照射位置と第2レーザ光の照射位置との距離が変化しやすいという問題があった。また、このレーザシステムでは、例えば、検査対象物の表面において第1レーザ光の照射位置と第2レーザ光の照射位置との一方を基準位置として他方の照射位置を基準位置からの距離を維持しながら変えることが難しかった。
【0007】
本開示の目的は、第2レーザ光の進行方向に対する第1レーザ光の進行方向のチルト角の精度を向上させることが可能なレーザシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る一態様のレーザシステムは、第1レーザと、第2レーザと、ミラーと、第1ウェッジプリズムと、第2ウェッジプリズムと、ハーフミラーと、制御装置と、を備える。前記第1レーザは、第1レーザ光を出射する。前記第2レーザは、第2レーザ光を出射する。前記ミラーは、前記第2レーザから出射された前記第2レーザ光を反射する。前記第1ウェッジプリズムは、前記第1ウェッジプリズムの第1厚さ方向に交差する第1入射面及び第1出射面を有する。前記第1ウェッジプリズムでは、前記第1レーザから出射された前記第1レーザ光が前記第1入射面に入射する。前記第2ウェッジプリズムは、前記第2ウェッジプリズムの第2厚さ方向に交差する第2入射面及び第2出射面を有する。前記第2ウェッジプリズムでは、前記第2入射面が前記第1出射面に対向している。前記ハーフミラーは、前記第2ウェッジプリズムから見て前記第1ウェッジプリズムとは反対側において前記第2ウェッジプリズムから離れている。前記ハーフミラーは、前記第1レーザ光を透過し前記ミラーで反射された前記第2レーザ光を前記第2ウェッジプリズム側とは反対側へ反射する。前記制御装置は、前記第1ウェッジプリズムを前記第1厚さ方向に沿った第1回転中心軸を中心として回転させ、前記第2ウェッジプリズムを前記第2厚さ方向に沿った第2回転中心軸を中心として回転させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示のレーザシステムでは、第2レーザ光の進行方向に対する第1レーザ光の進行方向のチルト角の精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るレーザシステムの構成図である。
図2図2は、同上のレーザシステムにおける第1ウェッジプリズム及び第2ウェッジプリズムの斜視図である。
図3図3は、同上のレーザシステムの動作説明図である。
図4図4は、同上のレーザシステムの動作説明図である。
図5図5は、同上のレーザシステムの動作説明図である。
図6図6は、同上のレーザシステムの動作説明図である。
図7図7は、実施形態の変形例に係るレーザシステムの構成図である。
図8図8は、同上のレーザシステムの動作説明図である。
図9図9は、同上のレーザシステムの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記の実施形態等において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
(実施形態1)
以下では、実施形態1に係るレーザシステム10について図1~6に基づいて説明する。
【0013】
(1.1)概要
レーザシステム10は、図1~6に示すように、第2レーザ2から出射される第2レーザ光L2の光路を第1レーザ1から出射される第1レーザ光L1の光路に近づけるために、ミラー3及びハーフミラー6を備えている。また、レーザシステム10は、ハーフミラー6から見て第1レーザ1側とは反対側における第2レーザ光L2の進行方向に対する第1レーザ光L1の進行方向のチルト角θを変えるために、第1レーザ1とハーフミラー6との間に、第1レーザ光L1を偏向する第1ウェッジプリズム4及び第2ウェッジプリズム5を備えている。
【0014】
レーザシステム10は、例えば、検査対象物100のリアルタイムでの非破壊検査の用途に用いられる。検査対象物100は、例えば、土木構造物である。土木構造物は、例えば、トンネルのコンクリート構造物、橋梁等であるが、これらに限らない。
【0015】
レーザシステム10を備える非破壊検査システムは、パルスレーザを含む第1レーザ1から出射した第1レーザ光L1を検査対象物100に照射して検査対象物100の表面に振動を発生させ、CWレーザを含む第2レーザ2から検査対象物100に第2レーザ光L2を照射して振動を検出することによって、検査対象物100の検査を行う。第1レーザ光による検査対象物100の振動特性は、検査対象物100の状態(例えば、欠陥の有無、大きさ、位置等)に関する情報を提供する。
【0016】
(1.2)レーザシステムの構成
レーザシステム10は、図1に示すように、第1レーザ1と、第2レーザ2と、ミラー3と、第1ウェッジプリズム4と、第2ウェッジプリズム5と、ハーフミラー6と、制御装置7と、を備える。また、レーザシステム10は、走査ミラー8を更に備える。
【0017】
(1.2.1)第1レーザ
第1レーザ1は、第1レーザ光L1を出射する。第1レーザ光L1は、例えば、検査対象物100の表面を振動させるための衝撃波励起用レーザ光である。第1レーザ1は、例えば、パルスレーザを含む。第1レーザ光L1は、パルスレーザ光である。第1レーザ1は、例えば、パルス幅が10nsのパルスレーザ光を出力するNd:YAGレーザ(基本波)を採用しているが、これに限らない。第1レーザ1は、準単色光を放射する光源である。準単色光とは、狭い波長範囲(例えば、10nm)に含まれる光である。
【0018】
(1.2.2)第2レーザ
第2レーザ2は、第2レーザ光L2を出射する。第2レーザ光L2は、例えば、検査対象物100の表面の振動を検出するためのプローブ光である。第2レーザ2は、例えば、CWレーザを含む。第2レーザ2は、例えば、波長532nmのレーザ光を連続出力するNd:YAGレーザ(2倍高調波)を採用しているが、これに限らない。第2レーザ2は、準単色光を放射する光源である。準単色光とは、狭い波長範囲(例えば、10nm)に含まれる光である。
【0019】
(1.2.3)ミラー
ミラー3は、第2レーザ2から出射された第2レーザ光L2を反射する。ミラー3は、第2レーザ2からの第2レーザ光L2をハーフミラー6に向けて反射するように配置されている。ミラー3は、第2レーザ光L2を反射する反射面31を有する。レーザシステム10は、ミラー3を含むミラーユニットを備えている。ミラーユニットは、ミラー3の角度が制御されないミラーユニットであるが、これに限らず、ミラー3の角度を制御可能なミラーユニットであってもよい。
【0020】
(1.2.4)第1ウェッジプリズム及び第2ウェッジプリズム
第1ウェッジプリズム4は、第1ウェッジプリズム4の第1厚さ方向D1に交差する第1入射面41及び第1出射面42を有する。第1ウェッジプリズム4では、第1レーザ1から出射された第1レーザ光L1が第1入射面41に入射する。第1ウェッジプリズム4では、第1出射面42が第1厚さ方向D1に直交する平面状であり、第1入射面41が第1出射面42に対して第1所定角度(第1ウェッジ角度)で傾斜している平面状である。第1ウェッジ角度は、例えば、3度以上20度以下である。第1ウェッジプリズム4は、第1厚さ方向D1に直交する一方向(図1の紙面に直交する方向)から見て、当該一方向と第1厚さ方向D1とに直交する方向において厚さが一様に変化している。
【0021】
第1ウェッジプリズム4は、第1厚さ方向D1から見て円形状である。したがって、第1ウェッジプリズム4は、第1レーザ1から見て円形状である。
【0022】
第2ウェッジプリズム5は、第2ウェッジプリズム5の第2厚さ方向D2に交差する第2入射面51及び第2出射面52を有する。レーザシステム10では、第2ウェッジプリズム5は、第2厚さ方向D2が第1ウェッジプリズム4の第1厚さ方向D1と揃うように配置されている。第2ウェッジプリズム5では、第2入射面51が第1ウェッジプリズム4の第1出射面42に対向している。第2ウェッジプリズム5では、第2入射面51が第2厚さ方向D2に直交する平面状であり、第2出射面52が第2入射面51に対して第2所定角度(第2ウェッジ角度)で傾斜している平面状である。第2ウェッジ角度は、例えば、3度以上20度以下である。第2ウェッジプリズム5は、第2厚さ方向D2に直交する一方向(図1の紙面に直交する方向)から見て、当該一方向と第2厚さ方向D2とに直交する方向において厚さが一様に変化している。
【0023】
第2ウェッジプリズム5は、第2厚さ方向D2から見て円形状である。したがって、第2ウェッジプリズム5は、第1レーザ1から見て円形状である。
【0024】
レーザシステム10では、第1ウェッジプリズム4の第1出射面42と第2ウェッジプリズム5の第2入射面51とが平行である。これにより、レーザシステム10では、第1ウェッジプリズム4と第2ウェッジプリズム5との距離を、より短くすることができる。第1ウェッジプリズム4の第1出射面42と第2ウェッジプリズム5の第2入射面51とが平行であるとは、厳密に平行である場合だけに限らず、略平行(例えば、第1出射面42と第2入射面51とのなす角度が2度以下)であればよい。
【0025】
また、レーザシステム10では、第1ウェッジプリズム4の第1ウェッジ角度と第2ウェッジプリズム5の第2ウェッジ角度とが同じであるが、これに限らず、異なっていてもよい。
【0026】
また、レーザシステム10では、第1ウェッジプリズム4の第1厚さ方向D1から見た第1ウェッジプリズム4の直径と第2厚さ方向D2から見た第2ウェッジプリズム5の直径とが同じであるが、これに限らず、異なっていてもよい。
【0027】
(1.2.5)ハーフミラー
ハーフミラー6は、第2ウェッジプリズム5から見て第1ウェッジプリズム4とは反対側において第2ウェッジプリズム5から離れている。ハーフミラー6は、第1レーザ光L1を透過しミラー3で反射された第2レーザ光L2を第2ウェッジプリズム5側とは反対側へ反射する。
【0028】
ハーフミラー6は、平板状である。ハーフミラー6は、その厚さ方向に交差する第1主面61及び第2主面62を有する。ハーフミラー6は、第1主面61に入射した第1レーザ光L1を第2主面62から出射させる。ハーフミラー6は、ミラー3で反射されて第2主面62に入射した第2レーザ光L2を第2ウェッジプリズム5側とは反対側に反射させる。ここで、ハーフミラー6は、第2レーザ光L2を第2ウェッジプリズム5の第2厚さ方向D2に沿った方向において第2ウェッジプリズム5側とは反対側に反射する。レーザシステム10は、ハーフミラー6を含むハーフミラーユニットを備えている。ハーフミラーユニットは、ハーフミラー6の角度が制御されないハーフミラーユニットであるが、これに限らず、ハーフミラー6の角度を制御可能なハーフミラーユニットであってもよい。
【0029】
(1.2.6)制御装置
制御装置7は、第1ウェッジプリズム4を第1厚さ方向D1に沿った第1回転中心軸40を中心として回転させる。第1ウェッジプリズム4の第1回転方向R1は、第1ウェッジプリズム4の外周に沿った方向であり、第1レーザ1側から見て時計周り方向及び半時計周り方向を含む。
【0030】
また、制御装置7は、第2ウェッジプリズム5を第2厚さ方向D2に沿った第2回転中心軸50を中心として回転させる。第2ウェッジプリズム5の第2回転方向R2は、第2ウェッジプリズム5の外周に沿った方向であり、第1レーザ1側から見て時計周り方向及び半時計周り方向を含む。
【0031】
制御装置7は、第1ウェッジプリズム4と第2ウェッジプリズム5とを有するプリズムユニット9を制御する。プリズムユニット9は、第1ウェッジプリズム4を保持している電動式の第1回転ステージと、第2ウェッジプリズム5を保持している電動式の第2回転ステージと、を有する。
【0032】
制御装置7は、プリズムユニット9の第1回転ステージ及び第2回転ステージを制御する。
【0033】
制御装置7は、プリズムユニット9の第1回転ステージを制御することにより、第1ウェッジプリズム4を、第1回転中心軸40を中心として任意の回転角度だけ回転させることができる。制御装置7は、第1ウェッジプリズム4を、第1基準位置(例えば、図3参照)から第1方向R1に任意の回転角度で回転させた位置に静止させることができる(例えば、図4及び5参照)。
【0034】
制御装置7は、プリズムユニット9の第2回転ステージを制御することにより、第2ウェッジプリズム5を、第2回転中心軸50を中心として任意の回転角度だけ回転させることができる。制御装置7は、第2ウェッジプリズム5を、第2基準位置(例えば、図3参照)から第1方向R1に任意の回転角度で回転させた位置に静止させることができる(例えば、図4及び5参照)。
【0035】
制御装置7は、動作モードとして、第1ウェッジプリズム4と第2ウェッジプリズム5とを独立して回転させる独立動作モードを有する。また、制御装置7は、動作モードとして、第1ウェッジプリズム4及び第2ウェッジプリズム5を同時に同じ方向或いは逆方向に回転させる同時動作モードを有する。
【0036】
レーザシステム10では、独立動作モードにおいて、例えば、図4に示すように、第1ウェッジプリズム4と第2ウェッジプリズム5とのうち第1ウェッジプリズム4のみを回転させると、第1レーザ光L1の進行方向を第2レーザ光L2の進行方向に対して所定のチルト角θだけ傾けることができる。これにより、レーザシステム10では、図6に示すように、検査対象物100の表面上の第1レーザ光L1の照射位置P1と第2レーザ光L2の照射位置P2との距離DS2を所定距離にすることが可能となる。
【0037】
レーザシステム10では、同時動作モードにおいて、例えば、図5に示すように、第1ウェッジプリズム4と第2ウェッジプリズム5との両方を同時に回転させると、第2レーザ光L2の進行方向に対する第1レーザ光L1の進行方向のチルト角θを同じとしたまま、第2レーザ光L2の周りで第1レーザ光L1を円形状に動かすことができる。これにより、レーザシステム10では、図6に示すように、検査対象物100の表面上の第2レーザ光L2の照射位置P2を中心として第1レーザ光L1の照射位置P1を仮想円VR1の円周上の任意の位置に動かすことができる。仮想円VR1の半径は、上記所定距離である。
【0038】
また、制御装置7は、第1レーザ1及び第2レーザ2を制御する。
【0039】
制御装置7は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御装置7としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0040】
(1.2.7)走査ミラー
走査ミラー8は、ハーフミラー6から見て第2ウェッジプリズム5側とは反対側に配置されており、ハーフミラー6から離れている。
【0041】
走査ミラー8は、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を走査する。これにより、検査対象物100の表面において第1レーザ光L1の照射位置P1(図6参照)及び第2レーザ光L2の照射位置P2(図6参照)を変えることができる。走査ミラー8は、制御装置7によって制御されるが、これに限らない。
【0042】
(1.2.8)その他の構成要素
レーザシステム10は、エアーサスペンション付きの光学定盤を更に備える。レーザシステム10では、第1レーザ1と、第2レーザ2と、プリズムユニット9と、ミラー3を含むミラーユニットと、ハーフミラー6を含むハーフミラーユニットと、走査ミラー8を含む走査ミラーユニットと、が、光学定盤上に設置されている。
【0043】
また、レーザシステム10は、制御装置7に接続された表示装置(例えば、液晶ディスプレイ等)及び入力装置(例えば、キーボード、ポインティングデバイス等)を備えていてもよい。この場合、ユーザが入力装置を適宜操作することによって制御装置7の動作設定、検査対象物100の検査位置等の設定を行うことができるようになっている。
【0044】
(2)レーザシステムの動作
レーザシステム10では、検査対象物100の表面の任意の検査対象領域に第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2が照射されるように制御装置7が走査ミラー8を制御する。
【0045】
レーザシステム10は、第1レーザ1から第1レーザ光L1を出射させ、第2レーザ2から第2レーザ光L2を出射させる。第1レーザ1から出射された第1レーザ光L1は、第1ウェッジプリズム4及び第2ウェッジプリズム5で偏向された後、ハーフミラー6を透過する。第2レーザ2から出射された第2レーザ光L2は、ミラー3でハーフミラー6に向けて反射された後、ハーフミラー6で第2ウェッジプリズム5側とは反対側に向けて反射される。
【0046】
レーザシステム10では、制御装置7が、第1ウェッジプリズム4を第1厚さ方向D1に沿った第1回転中心軸40を中心として回転させ、第2ウェッジプリズム5を第2厚さ方向D2に沿った第2回転中心軸50を中心として回転させる。
【0047】
図3では、第1ウェッジプリズム4が第1基準位置にあり、第2ウェッジプリズム5が第2基準位置にある場合の第1レーザ光L1の進行経路(第1光路)と第2レーザ光L2の進行経路(第2光路)とを模式的に示してある。この場合、レーザシステム10では、ハーフミラー6から見て第2ウェッジプリズム5側とは反対側において、第2レーザ光L2の進行経路に対する第1レーザ光L1の進行経路のチルト角θが略0度であり、第1レーザ光L1の進行経路と第2レーザ光L2の進行経路とが平行である。この場合、レーザシステム10では、ハーフミラー6から見て第2ウェッジプリズム5側とは反対側において、第2レーザ光L2の進行経路と第1レーザ光L1の進行経路とを一致させることができる。したがって、図3の場合、検査対象物100の表面上の第2レーザ光L2の照射位置P2と第1レーザ光l1の照射位置P1と同一点とすることができる。レーザシステム10は、図3の状態で、ハーフミラー6から見て第2ウェッジプリズム5側とは反対側において、水平面に対する第1レーザ光L1の及び第2レーザ光L2の角度を初期方位角とすることができる。
【0048】
図4では、第1ウェッジプリズム4が第1基準位置から180度回転した位置にあり、第2ウェッジプリズム5が第2基準位置にある場合の第1レーザ光L1の進行経路と第2レーザ光L2の進行経路とを模式的に示してある。この場合、レーザシステム10では、第2レーザ光L2の進行経路に対する第1レーザ光L1の進行経路のチルト角θが最大角度となるように、第1レーザ光L1が第1ウェッジプリズム4と第2ウェッジプリズム5とのペアによって偏向される。この場合、ハーフミラー6から見て第2ウェッジプリズム5側とは反対側において、第1レーザ光L1の進行経路が第2レーザ光L2の進行経路に対して斜め上方向に傾いている。
【0049】
図5では、第1ウェッジプリズム4が第1基準位置にあり、第2ウェッジプリズム5が第2基準位置から180度回転した位置にある場合の第1レーザ光L1の進行経路と第2レーザ光L2の進行経路とを模式的に示してある。この場合、レーザシステム10では、第2レーザ光L2の進行経路に対する第1レーザ光L1の進行経路のチルト角θが最大角度となるように、第1レーザ光L1が第1ウェッジプリズム4と第2ウェッジプリズム5とのペアによって偏向される。この場合、ハーフミラー6から見て第2ウェッジプリズム5側とは反対側において、第1レーザ光L1の進行経路が第2レーザ光L2の進行経路に対して斜め下方向に傾いている。
【0050】
図6では、検査対象物100の表面上の第1レーザ光L1の照射位置P1及び第2レーザ光L2の照射位置P2を模式的に示してある。レーザシステム10では、制御装置7が第1ウェッジプリズム4の第1基準位置からの回転角及び第2ウェッジプリズム5の第2基準位置からの回転角をそれぞれ変えることにより、第2レーザ光P2の進行方向に対する第1レーザ光P1の進行方向のチルト角θを変えることができる。これにより、レーザシステム10は、検査対象物100の表面上において、第1レーザ光L1の照射位置P1を変えずに、第1レーザ光L1の照射位置P1と第2レーザ光L2の照射位置P2との距離DS2を一定距離に維持しつつ照射位置P1と照射位置P2との相対的な位置関係を変えることができる。レーザシステム10は、図6に示すように、第11レーザ光L1の照射位置P1を、第2レーザ光L2の照射位置P2を中心とする仮想円VR1の円周上の任意の位置とすることができる。図6では、第1レーザ光L1の照射位置P1を3か所図示してあるが、3つの照射位置P1のうち照射位置P11が、図4の場合の第1レーザ光L1の照射位置P1を示している。また、図6では、3つの照射位置P1のうち照射位置P13が、図5の場合の第1レーザ光L1の照射位置P1を示している。また、図6では、3つの照射位置P1のうち照射位置P12が、第1ウェッジプリズム4を第1基準位置から反時計周り方向に90度回転させ停止させるとともに第2ウェッジプリズム5を第2基準位置から時計周り方向に90度回転させ停止させた場合の第1レーザ光L1の照射位置P1を示している。
【0051】
レーザシステム10を非破壊検査の用途に用いる場合、非破壊検査システムでは、検査対象物100に第1レーザ光L1を照射して検査対象物100の表面を振動させ、検査対象物100の表面で第2レーザ光L2が反射され変調された信号光に含まれる上記振動の情報に基づいて欠陥の有無等を検査する。この場合、例えば、ハーフミラー6(第1ハーフミラー6)から見て第2ウェッジプリズム5側とは反対側に第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を透過し、検査対象物100からの信号光を反射する第2ハーフミラーと、第2ハーフミラーで反射された信号光を利用して欠陥の有無等を検査する信号処理部と、を備える。第2ハーフミラーは、第1ハーフミラー6と走査ミラー8との間に配置される。
【0052】
レーザシステム10では、第1レーザ光L1の照射位置P1と第2レーザ光L2の照射位置P2との距離DS2が短ければ短いほど、検査対象物100の表面で反射される第2レーザ光L2が第1レーザ光L1の強い影響を受けてしまう。このため、図3のように第1レーザ光L1の進行経路と第2レーザ光L2の進行経路とが一致或いは近接している場合には、検査対象物100の表面での第1レーザ光L1の照射位置P1と第2レーザ光L2の照射位置P2との距離DS2が上記仮想円VR1の半径よりも短くなりすぎ、検査対象物100の検査精度が低くなりやすい。一方、検査対象物100の表面での第1レーザ光L1の照射位置P1と第2レーザ光L2の照射位置P2との距離DS2の増加は、第2レーザ光L2の照射位置P2から離れた第1レーザ光L1の照射位置P1への第1レーザ光L1の照射によって開始される振動に関連する情報の減少をもたらす。従って、レーザシステム10では、検査対象物100の表面上の第1レーザ光L1の照射位置P1と第2レーザ光L2の照射位置P2との距離DS2を適切な距離に設定することが重要であり、検査中に検査対象物100の表面上の第1レーザ光L1の照射位置P1と第2レーザ光L2の照射位置P2との相対的な位置関係を変えた場合でも照射位置P1と照射位置P2との距離DS2を一定に維持することが重要である。
【0053】
実施形態に係るレーザシステム10は、制御装置7が第1ウェッジプリズム4及び第2ウェッジプリズム5を任意の回転角で回転させることにより、検査中に検査対象物100の表面上の第1レーザ光L1の照射位置P1と第2レーザ光L2の照射位置P2との相対的な位置関係を変えた場合でも照射位置P1と照射位置P2との距離DS2を一定に維持する。
【0054】
(3)効果
実施形態に係るレーザシステム10は、上述のように、第1レーザ1と、第2レーザ2と、ミラー3と、第1ウェッジプリズム4と、第2ウェッジプリズム5と、ハーフミラー6と、制御装置7と、を備える。実施形態に係るレーザシステム10では、制御装置7が、第1ウェッジプリズム4を第1厚さ方向D1に沿った第1回転中心軸40を中心として回転させ、第2ウェッジプリズム5を第2厚さ方向D2に沿った第2回転中心軸50を中心として回転させる。よって、実施形態に係るレーザシステム10では、ハーフミラー6から見て第2ウェッジプリズム5側とは反対側において、第2レーザ光L2の進行方向に対する第1レーザ光L1の進行方向のチルト角θの精度を向上させることが可能となる。
【0055】
実施形態に係るレーザシステム10は、例えば、非破壊検査システムに適用される。この場合、第1レーザ光L1は、検査対象物100の表面を振動させるための衝撃波励起用レーザ光であり、第2レーザ光L2は、検査対象物100の表面の振動を検出するためのプローブ光である。これにより、実施形態に係るレーザシステム10は、検査対象物100の表面上のプローブ光(第2レーザ光L2)の照射位置を中心としてプローブ光(第2レーザ光L2)の照射位置と衝撃波励起用レーザ光(第1レーザ光L1)の照射位置との距離(距離DS2)を一定に維持しながら、プローブ光(第2レーザ光L2)の照射位置と衝撃波励起用レーザ光(第1レーザ光L1)の照射位置との相対的な位置関係を変えることが可能となり、検査対象物100の検査精度の向上を図ることが可能となる。
【0056】
(4)変形例
上記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0057】
例えば、レーザシステム10では、図7~9に示すように、第1ウェッジプリズム4の第1出射面42が第1ウェッジプリズム4の第1厚さ方向D1に直交する平面に対して傾斜しており、第2ウェッジプリズム5の第2入射面51が第2ウェッジプリズム5の第2厚さ方向D2に直交する平面に対して傾斜していてもよい。
【0058】
図7では、図3と同様、第1ウェッジプリズム4が第1基準位置にあり、第2ウェッジプリズム5が第2基準位置にある場合の第1レーザ光L1の進行経路と第2レーザ光L2の進行経路とを模式的に示してある。
【0059】
図8では、図4と同様、第1ウェッジプリズム4が第1基準位置から180度回転した位置にあり、第2ウェッジプリズム5が第2基準位置にある場合の第1レーザ光L1の進行経路と第2レーザ光L2の進行経路とを模式的に示してある。
【0060】
図9では、図5と同様、第1ウェッジプリズム4が第1基準位置にあり、第2ウェッジプリズム5が第2基準位置から180度回転した位置にある場合の第1レーザ光L1の進行経路と第2レーザ光L2の進行経路とを模式的に示してある。
【0061】
また、レーザシステム10では、第1ウェッジプリズム4の第1入射面41が第1厚さ方向D1に直交する平面状であるとともに、第2ウェッジプリズム5の第2出射面52が第2厚さ方向D2に直交する平面状であり、第1ウェッジプリズム4の第1出射面42と第2ウェッジプリズム5の第2入射面51とが対向していてもよい。
【0062】
また、レーザシステム10では、第1ウェッジプリズム4と第2ウェッジプリズム5とを第1厚さ方向D1と第2厚さ方向D2とに直交する1つの回転中心軸を中心として回転可能に構成されていてもよい。
【0063】
第1ウェッジプリズム4は、第1厚さ方向D1から見て円形状である場合に限らず、例えば、四角形状又は多角形状であってもよい。また、第2ウェッジプリズム5は、第2厚さ方向D2から見て円形状である場合に限らず、例えば、四角形状又は多角形状であってもよい。
【0064】
(態様)
以上説明した実施形態及び変形例等から本明細書には以下の態様が開示されている。
【0065】
第1の態様に係るレーザシステム(10)は、第1レーザ(1)と、第2レーザ(2)と、ミラー(3)と、第1ウェッジプリズム(4)と、第2ウェッジプリズム(5)と、ハーフミラー(6)と、制御装置(7)と、を備える。第1レーザ(1)は、第1レーザ光(L1)を出射する。第2レーザ(2)は、第2レーザ光(L2)を出射する。ミラー(3)は、第2レーザ(2)から出射された第2レーザ光(L2)を反射する。第1ウェッジプリズム(4)は、第1ウェッジプリズム(4)の第1厚さ方向(D1)に交差する第1入射面(41)及び第1出射面(42)を有する。第1ウェッジプリズム(4)では、第1レーザ(1)から出射された第1レーザ光(L1)が第1入射面(41)に入射する。第2ウェッジプリズム(5)は、第2厚さ方向(D2)に交差する第2入射面(51)及び第2出射面(52)を有する。第2ウェッジプリズム(5)では、第2入射面(51)が第1ウェッジプリズム(4)の第1出射面(42)に対向している。ハーフミラー(6)は、第2ウェッジプリズム(5)から見て第1ウェッジプリズム(4)とは反対側において第2ウェッジプリズム(5)から離れている。ハーフミラー(6)は、第1レーザ光(L1)を透過しミラー(3)で反射された第2レーザ光(L2)を第2ウェッジプリズム(5)側とは反対側へ反射する。制御装置(7)は、第1ウェッジプリズム(4)を第1厚さ方向(D1)に沿った第1回転中心軸(40)を中心として回転させ、第2ウェッジプリズム(5)を第2厚さ方向(D2)に沿った第2回転中心軸(50)を中心として回転させる。
【0066】
第1の態様に係るレーザシステム(10)では、第2レーザ光(L2)の進行方向に対する第1レーザ光(L1)の進行方向のチルト角(θ)の精度を向上させることが可能となる。
【0067】
第2の態様に係るレーザシステム(10)では、第1の態様において、制御装置(7)は、ハーフミラー(6)から見て第2ウェッジプリズム(5)とは反対側において第2レーザ光(L2)を中心として第1レーザ光(L1)が第2レーザ光(L2)の周りを回転するように第1ウェッジプリズム(4)及び第2ウェッジプリズム(5)を制御する。
【0068】
第2の態様に係るレーザシステム(10)では、ハーフミラー(6)から見て第2ウェッジプリズム(5)とは反対側において第2レーザ光(L2)を中心として第1レーザ光(L1)を第2レーザ光(L2)の周りを回転させるように動かすことが可能となる。
【0069】
第3の態様に係るレーザシステム(10)では、第1又は2の態様において、制御装置(7)は、第1ウェッジプリズム(4)と第2ウェッジプリズム(5)とを独立して回転させる独立動作モードを有する。
【0070】
第3の態様に係るレーザシステム(10)では、例えば、第1ウェッジプリズム(4)と第2ウェッジプリズム(5)とのうち第1ウェッジプリズム(4)のみを回転させると、第1レーザ光(L1)の進行方向を第2レーザ光(L2)の進行方向に対して所定のチルト角(θ)だけ傾けることができる。
【0071】
第4の態様に係るレーザシステム(10)では、第1~3の態様のいずれか一つにおいて、制御装置(7)は、第1ウェッジプリズム(4)及び第2ウェッジプリズム(5)を同時に同じ方向或いは逆方向に回転させる同時動作モードを有する。
【0072】
第4の態様に係るレーザシステム(10)では、例えば、第1ウェッジプリズム(4)と第2ウェッジプリズム(5)との両方を同時に回転させることにより、第2レーザ光(L2)の進行方向に対する第1レーザ光(L1)の進行方向のチルト角(θ)を同じとしたまま、第1レーザ光(L1)の周りで第2レーザ光(L2)を円形状に動かすことができる。
【0073】
第5の態様に係るレーザシステム(10)は、第1~4の態様のいずれか一つに基づく。第1ウェッジプリズム(4)では、第1出射面(42)が第1厚さ方向(D1)に直交する平面状であり、第1入射面(41)が第1出射面(42)に対して第1ウェッジ角度で傾斜している平面状である。第2ウェッジプリズム(5)では、第2入射面(51)が第2厚さ方向(D2)に直交する平面状であり、第2出射面(52)が第2入射面(51)に対して第2ウェッジ角度で傾斜している平面状である。第1出射面(42)と第2入射面(51)とが平行である。
【0074】
第5の態様に係るレーザシステム(10)では、ハーフミラー(6)から見て第2ウェッジプリズム(5)とは反対側において第1レーザ光(L1)の光路と第2レーザ光(L2)の光路とを一致させることが可能となる。
【0075】
第6の態様に係るレーザシステム(10)では、第1~5の態様のいずれか一つにおいて、第1レーザ光(L1)は、検査対象物(100)の表面を振動させるための衝撃波励起用レーザ光である。第2レーザ光(L2)は、検査対象物(100)の表面の振動を検出するためのプローブ光である。
【0076】
第6の態様に係るレーザシステム(10)では、検査対象物(100)の表面上のプローブ光(第2レーザ光L2)の照射位置を中心としてプローブ光(第2レーザ光L2)の照射位置と衝撃波励起用レーザ光(第1レーザ光L1)の照射位置との距離を一定に維持しながら、プローブ光(第2レーザ光L2)の照射位置と衝撃波励起用レーザ光(第1レーザ光L1)の照射位置との相対的な位置関係を変えることが可能となり、検査対象物(100)の検査精度の向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
1 第1レーザ
2 第2レーザ
3 ミラー
31 反射面
4 第1ウェッジプリズム
40 第1回転中心軸
41 第1入射面
42 第1出射面
5 第2ウェッジプリズム
50 第2回転中心軸
51 第2入射面
52 第2出射面
6 ハーフミラー
61 第1主面
62 第2主面
7 制御装置
8 走査ミラー
9 プリズムユニット
10 レーザシステム
100 検査対象物
D1 第1厚さ方向
D2 第2厚さ方向
DS2 距離
L1 第1レーザ光
L2 第2レーザ光
P1 照射位置
P2 照射位置
R1 第1回転方向
R2 第2回転方向
θ チルト角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9