(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080138
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220520BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
G06F3/041 470
G06F3/041 412
G06F3/041 512
G06F3/044 124
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191143
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岸田 克彦
(57)【要約】
【課題】タッチ感度とノイズ耐性の両立を図った表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、操作入力が行われるカバーパネルと、前記カバーパネルの背面側に配置されるシールド膜と、前記シールド膜の背面側に配置される液晶パネルと、前記液晶パネルの共通電極の静電容量に基づいて、前記カバーパネルに操作入力が行われた位置を検出する位置検出部と、前記シールド膜の抵抗値を時分割で切り替える切替部とを含み、前記切替部は、前記位置検出部が前記共通電極の静電容量に基づいて前記カバーパネルに操作入力が行われた位置を検出する第1期間には、前記シールド膜の抵抗値を第1抵抗値に切り替え、前記液晶パネルを駆動する第2期間には、前記第1抵抗値よりも低い第2抵抗値に切り替える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力が行われるカバーパネルと、
前記カバーパネルの背面側に配置されるシールド膜と、
前記シールド膜の背面側に配置される液晶パネルと、
前記液晶パネルの共通電極の静電容量に基づいて、前記カバーパネルに操作入力が行われた位置を検出する位置検出部と、
前記シールド膜の抵抗値を時分割で切り替える切替部と
を含み、
前記切替部は、前記位置検出部が前記共通電極の静電容量に基づいて前記カバーパネルに操作入力が行われた位置を検出する第1期間には、前記シールド膜の抵抗値を第1抵抗値に切り替え、前記液晶パネルを駆動する第2期間には、前記第1抵抗値よりも低い第2抵抗値に切り替える、表示装置。
【請求項2】
前記切替部は、
前記シールド膜に接続され、前記シールド膜の抵抗値を前記第1抵抗値又は前記第2抵抗値に切り替えるスイッチと、
前記スイッチを切り替える切替制御部と
を有し、
前記切替制御部は、前記第1期間には前記シールド膜の抵抗値が前記第1抵抗値になるように前記スイッチを切り替え、前記第2期間には前記シールド膜の抵抗値が前記第2抵抗値になるように前記スイッチを切り替える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1抵抗値は、前記位置検出部が前記共通電極の静電容量に基づいて前記カバーパネルに操作入力が行われた位置を検出可能な抵抗値である、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1抵抗値は、前記シールド膜を電気的に開放させた状態で得られる抵抗値である、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2抵抗値は、前記液晶パネルのノイズ耐性を実現可能な抵抗値である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2抵抗値は、前記シールド膜を電気的に短絡させた状態で得られる抵抗値である、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2期間は、表示制御のために前記液晶パネルを垂直方向に走査する垂直走査を連続して所定回数行う期間であり、前記所定回数は、平面視で1つの前記共通電極と重なる垂直方向の画素数で表される回数であり、
前記第1期間は、前記第2期間の前又は後に設けられる期間である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インセル方式の表示タッチパネルに接続される半導体装置であって、以下のように構成されるものがある。インセル方式の表示タッチパネルは、表示駆動期間に表示用の基準電圧が印加され、タッチ検出期間にセンサ電極として機能する複数の共通電極を有する。半導体装置は、表示駆動期間に基準電圧を表示タッチパネルの共通電極に供給し、タッチ検出期間には直流レベルをシフトされたトグル信号を複数の共通電極のうち少なくとも一部の共通電極に供給するガード動作を行う。基準電圧は、接地電圧よりも低い。トグル駆動回路は、トグル信号の直流レベルが基準電圧に近くなるようにトグル信号を生成する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の表示タッチパネルのようにインセル方式で液晶パネルの共通電極を位置検出用の電極としても用いる表示装置には、液晶パネルよりも操作面側にシールド層が設けられる。シールド層は、液晶パネルの外部ノイズに対する耐性を向上させるために設けられる。
【0005】
しかしながら、共通電極で位置検出を行う観点からすると、共通電極よりも操作面側にシールド層が存在するため、位置検出時の感度(タッチ感度)が低くなる。このように、インセル方式の表示装置では、タッチ感度とノイズ耐性の両立が容易ではない。
【0006】
そこで、タッチ感度とノイズ耐性の両立を図った表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の表示装置は、操作入力が行われるカバーパネルと、前記カバーパネルの背面側に配置されるシールド膜と、前記シールド膜の背面側に配置される液晶パネルと、前記液晶パネルの共通電極の静電容量に基づいて、前記カバーパネルに操作入力が行われた位置を検出する位置検出部と、前記シールド膜の抵抗値を時分割で切り替える切替部とを含み、前記切替部は、前記位置検出部が前記共通電極の静電容量に基づいて前記カバーパネルに操作入力が行われた位置を検出する第1期間には、前記シールド膜の抵抗値を第1抵抗値に切り替え、前記液晶パネルを駆動する第2期間には、前記第1抵抗値よりも低い第2抵抗値に切り替える。
【発明の効果】
【0008】
タッチ感度とノイズ耐性の両立を図った表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】表示装置100の断面構成と回路構成を示す図である。
【
図3】表示装置100における液晶パネル120の駆動方法を示す図である。
【
図4】タッチ感度のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の表示装置を適用した実施形態について説明する。
【0011】
<実施形態>
図1は、実施形態の表示装置100を示す図である。
図2は、表示装置100の断面構成と回路構成を示す図である。
図2に示す断面構成は、
図1におけるA-A矢視断面のものである。以下では、XYZ座標系を定義して説明する。また、以下では、説明の便宜上、-Z方向側を下側又は下、+Z方向側を上側又は上と称すが、普遍的な上下関係を表すものではない。また、以下では平面視とはXY面視をいう。
【0012】
表示装置100は、筐体110、液晶パネル120、シールド膜130、偏光板140、透明接着層150、カバーガラス160、IC(Integrated Circuit)チップ170を含む。これらのうち、カバーガラス160は、カバーパネルの一例である。表示装置100は、液晶パネル120で画像を表示するとともに、液晶パネル120の共通電極124を静電検出電極として利用して、利用者が指先等でカバーガラス160に触れて操作入力を行う位置を検出する電子機器である。すなわち、表示装置100は、いわゆるインセル方式で液晶パネル120の共通電極124を静電検出電極として利用する。
図1には、液晶パネル120の一部の構成要素とICチップ170とを透過的に示す。また、ここでは、液晶パネル120を背面側から照光するバックライト等を省略する。
【0013】
筐体110は、底面側と4つの側面側とを覆う壁部を有し、上面側に開口部を有する直方体状のケースである。筐体110は、
図1に示すように液晶パネル120、シールド膜130、偏光板140、透明接着層150、及びICチップ170を内部に収容し、上面側はカバーガラス160によって覆われている。
【0014】
液晶パネル120は、アクティブマトリクス型であり、基板121、配線122、ビア122A、絶縁層123、共通電極124、絶縁層125、画素電極126、液晶127、カラーフィルタ128を有する。
図1には、液晶パネル120のうちの配線122、ビア122A、共通電極124を透過的に示し、その他の構成要素を省略する。また、ここではソース線及びゲート線等を省略するが、ゲート線はX方向に沿って延在し、ソース線はY方向に沿って延在している。液晶パネル120の水平方向はX方向であり、垂直方向はY方向である。
【0015】
基板121の上面には、配線122、絶縁層123、共通電極124、絶縁層125、画素電極126が形成される。配線122は、液晶パネル120の内部では絶縁層123を貫通するビア122Aを介して共通電極124に接続されるとともに、液晶パネル120の外部ではICチップ170のIC部170Aに接続される。絶縁層123は、配線122と共通電極124との間を絶縁している。
【0016】
共通電極124は、液晶パネル120の共通電極である。表示装置100はインセル方式で位置検出を行うため、共通電極124は、操作入力を行う利用者の指先等のカバーガラス160への接触(タッチ)を検出する期間(第1期間)には静電検出電極として利用され、液晶パネル120の表示を更新する期間(第2期間)に液晶駆動用の所定の電圧が印加される。共通電極124は、ビア122A及び配線122を介して、ICチップ170のIC部170Aに接続される。共通電極124の電位は、IC部170AのTDDI171の位置検出部171A及び表示制御部171Bによって時分割で制御される。
【0017】
一例として、液晶パネル120が12インチの場合、共通電極124は、X方向に48個、Y方向に20個配列される。また、1つの共通電極124と重なる部分には、一例として、水平方向に40個の画素(RGBを表示可能な画素)が配置され、垂直方向に36個の画素(RGBを表示可能な画素)が配置されることとする。このため、液晶パネル120の全体では、RGBを表示可能な画素は、水平方向に1920個配列され、垂直方向に720個配列されることになる。
【0018】
絶縁層125は、共通電極124と画素電極126とを絶縁する。画素電極126は、絶縁層125を介して共通電極124の上に形成されている。画素電極126は、実際にはA-A矢視断面に示す1つの共通電極124があるY方向の範囲内に複数配置されるが、ここでは簡略化して1つの層として示す。画素電極126は、配線等を介してICチップ170のIC部170Aに接続される。画素電極126の電位は、IC部170AのTDDI171の表示制御部171Bによって制御される。
【0019】
液晶127は、図示しない配向膜等を介して画素電極126の上の空間に封止されている。カラーフィルタ128は、図示しない配向膜等を介して液晶127が封止される空間の上に設けられている。
【0020】
シールド膜130は、カラーフィルタ128の上に設けられている。シールド膜130は、透明な抵抗膜であればよく、一例としてITO(Indium Tin Oxide)膜で構成される。シールド膜130は、ICチップ170のスイッチ173の端子173Aに接続されている。シールド膜130の抵抗値は、切替制御部172がスイッチ173の端子173Aの接続先を切り替えることによって変更可能である。シールド膜130の抵抗値は、TDDI171の位置検出部171Aが共通電極124の静電容量に基づいて操作入力の位置を検出する第1期間には切替制御部172によって第1抵抗値に切り替えられ、TDDI171の表示制御部171Bが共通電極124に液晶パネル120の駆動用の電圧を印加する第2期間には切替制御部172によって第1抵抗値よりも低い第2抵抗値に切り替えられる。なお、第1期間及び第2期間の詳細については、
図3を用いて説明する。
【0021】
第1抵抗値は、スイッチ173の端子173Aを端子173Bに接続して開放(OPEN)して得られる抵抗値であり、ハイインピーダンスの状態における抵抗値である。第2抵抗値は、スイッチ173の端子173Aを端子173Cに接続して接地して(GNDに接続して)得られる抵抗値であり、第1抵抗値よりも非常に小さい抵抗値である。
【0022】
第1期間にシールド膜130の抵抗値を非常に大きい第1抵抗値に設定することにより、利用者が操作入力を行うためにカバーガラス160に指先等で接触することによる静電容量の変化を共通電極124において高感度で検出できる状態になる。換言すれば、第1期間にシールド膜130の抵抗値を非常に大きい第1抵抗値に設定することにより、シールド膜130が存在しない状態とあまり変わらない状態にすることによって、共通電極124において高感度で検出できる状態にする。このようにして、タッチ感度(位置検出時の感度)の向上を図る。
【0023】
また、第2期間にシールド膜130の抵抗値を非常に小さい第2抵抗値に設定することにより、シールド膜130で外部のノイズを効率的に吸収し、画像を制御するために共通電極124及び画素電極126を駆動する際のノイズ耐性を向上させる。このようにして、ノイズ耐性の向上を図る。第2抵抗値は、第1抵抗値よりも小さい抵抗値である。
【0024】
なお、ここでは、第1期間にシールド膜130の抵抗値を開放状態で得られるハイインピーダンス(第1抵抗値)に設定し、第2期間にシールド膜130の抵抗値を接地状態で得られる非常に小さい抵抗値(第2抵抗値)に設定する形態について説明する。しかしながら、第1抵抗値と第2抵抗値は、このような抵抗値に限定されるものではない。例えば、端子173Bに抵抗値の高い抵抗器を接続するとともに、端子173Cに抵抗値の低い抵抗器を接続して、第1期間にはシールド膜130を抵抗値の高い抵抗器に接続し、第2期間にはシールド膜130を抵抗値の低い抵抗器に接続してもよい。
【0025】
偏光板140は、シールド膜130の上に設けられ、光シャッターとして用いられる。透明接着層150は、偏光板140とカバーガラス160を接着する透明な接着層である。カバーガラス160は、透明なガラスであり、利用者が液晶パネル120に表示される画像を視認可能である。利用者が液晶パネル120の画像を見ながら指先等でカバーガラス160に触れながら操作入力を行うことが可能である。なお、ここではカバーパネルの一例としてカバーガラス160を用いる形態について説明するが、カバーガラス160の代わりに、例えば透明な樹脂製のパネルを用いてもよい。
【0026】
ICチップ170は、TDDI171、切替制御部172、及びスイッチ173を有する。TDDI171は、位置検出部171A及び表示制御部171Bを有する。切替制御部172及びスイッチ173は、切替部の一例である。TDDI171及び切替制御部172は、ICチップ170のうちのIC部170Aに含まれる。IC部170Aは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含むコンピュータによって実現される。TDDI171、位置検出部171A、表示制御部171B、切替制御部172は、IC部170Aがプログラムを実行することによって実現されるファンクションを機能ブロックとして表したものである。
【0027】
TDDI171は、位置検出部171A及び表示制御部171Bを有し、カバーガラス160に行われる操作入力の位置の検出と、液晶パネル120が表示する画像の制御とを行う。位置検出は位置検出部171Aが行い、表示画像の制御は表示制御部171Bが行う。
【0028】
位置検出部171Aは、第1期間において、水平方向に配列される(1行分の)48個の共通電極124を利用して位置検出を行い、表示制御部171Bは、第1期間の後の第2期間において、直前の第1期間において利用した(1行分の)48個の共通電極124を利用して、液晶パネル120の垂直方向において表示を更新する垂直走査を36回行って表示画像を制御する(画像を書き込む)。1つの共通電極124と重なる部分に一例として垂直方向に36個の画素が設けられ、36回の垂直走査が行われるからである。また、第2期間は、垂直走査を36回行う期間に相当することになる。
【0029】
位置検出部171A及び表示制御部171Bは、このような第1期間及び第2期間の走査を垂直方向に20回行う。共通電極124は、垂直方向に20個(20行)配列されているからである。なお、これらについては後に
図3を用いて説明する。
【0030】
位置検出部171Aは、第1期間において、共通電極124を静電検出電極として駆動して共通電極124の静電容量を検出し、検出した静電容量に基づいて操作入力が行われている位置を検出する。位置検出部171Aは、一例として自己容量式で位置を検出する。表示制御部171Bは、第2期間において、共通電極124及び画素電極126と、図示しないソース線及びゲート線等とに駆動電圧を印加してこれらの電位を制御することによって、表示画像の制御を行う(画像を書き込む)。また、表示制御部171Bは、第1期間と第2期間を管理し、第1期間と第2期間が切り替わるタイミングを位置検出部171Aと切替制御部172に通知する。なお、ここでは、表示制御部171Bが第1期間と第2期間を管理し、切り替わるタイミングを位置検出部171Aと切替制御部172に通知する形態について説明するが、表示制御部171B以外が管理と通知を行ってもよい。
【0031】
切替制御部172は、表示制御部171Bが管理する第1期間と第2期間に同期して、スイッチ173の端子173Aの接続先を切り替える。切替制御部172は、第1期間において、スイッチ173の端子173Aを端子173Bに接続するように切り替え、第2期間において、スイッチ173の端子173Aを端子173Cに接続するように切り替える。
【0032】
スイッチ173は、一例として3端子スイッチであり、端子173A、173B、173Cを有する。端子173AはIC部170Aに接続されており、端子173Bは開放されており(OPENの状態であり)、端子173Cは接地されている(GND電位に保持される)。スイッチ173の端子173Aの接続先は、切替制御部172によって切り替えられる。
【0033】
図3は、表示装置100における液晶パネル120の駆動方法を示す図である。
図3には、表示装置100及び垂直方向におけるタイミングチャートをともに示す。
図3では、
図1に対して表示装置100を反時計回りに90度回転して示す。
【0034】
液晶パネル120に画像を表示する際は、一例として、プログレッシブ方式によって、-X方向側で+Y方向側の角の画素から+X方向に水平走査を行い、1行ずつ-Y方向にずらす垂直走査を行いながら各画素の走査を行う。
【0035】
また、ここでは、一例としてX方向に48個、Y方向に20個配列される共通電極124を+Y方向側の端の1行目の48個から、-Y方向側の端の20行目の48個に分けて説明する。また、ここでは、Y方向に20行配列される共通電極124の各行を利用して位置検出を行う第1期間を第1期間TP1~TP20として区別する。また、第1期間TP1~TP20の各々の後で表示制御を行う第2期間をTD1~TD20として区別する。ただし、
図3には、液晶パネル120の1フレームを更新する期間の半分の期間(半フレーム)に含まれる第1期間TP1~TP10と、第2期間TD1~TD10とを示す。
図3に示す半フレームは、1行目の共通電極124から10行目の共通電極124を利用して垂直走査を行う期間である。第1期間TP1~TP10は、一例として120Hzの周期で行われる。
【0036】
まず、位置検出部171Aは、第1期間TP1において、1行目の48個の共通電極124を利用して位置検出を行う。一例として、第1期間TP1を4分割して1番目の期間から4番目の期間に分けるとともに、1行目の48個の共通電極124を-X方向側から6個ずつの8つの組(第1組~第8組)に分ける。そして、一例として、第1期間TP1のうちの1番目の期間では、第1組の6個の共通電極124と、第5組の6個の共通電極124とを用いて位置検出を行う。第1期間TP1のうちの2番目の期間では、第2組の6個の共通電極124と、第6組の6個の共通電極124とを用いて位置検出を行う。第1期間TP1のうちの3番目の期間では、第3組の6個の共通電極124と、第7組の6個の共通電極124とを用いて位置検出を行う。第1期間TP1のうちの4番目の期間では、第4組の6個の共通電極124と、第8組の6個の共通電極124とを用いて位置検出を行う。
【0037】
このように第1期間TP1を4分割して第1組~第8組のうちの2組ずつの12個の共通電極124を選択して位置検出を行うことは、第1期間TP2~TP20においても同様である。第1期間TP2~TP20において、20行の共通電極124の各行において、X方向において離れた2組ずつを選択して位置検出を行うことにより、より短い期間に効率的に位置検出を行うことができる。
【0038】
次に、表示制御部171Bは、第2期間TD1において、1行目の48個の共通電極124を利用して、水平走査を行いながら垂直走査を36回行って液晶パネル120の表示画像を制御する(画像を書き込む)。1つの共通電極124と重なる部分に一例として垂直方向に36個の画素が設けられ、36回の垂直走査が行われるからである。
【0039】
位置検出部171A及び表示制御部171Bは、このような第1期間と第2期間における走査を1行目から20行目の共通電極124を順番に利用して行う。すなわち、位置検出部171Aが第1期間で位置検出を行うと、第1期間に続く第2期間において、表示制御部171Bが36回の垂直走査を行い、液晶パネル120のすべての画素の表示を更新する(画像を書き込む)までに、第1期間と第2期間を20回繰り返すことになる。なお、第1期間TP1~TP20を第2期間TD1~TD20のそれぞれの後に設けてもよい。
【0040】
切替制御部172は、第1期間TP1~TP20においてスイッチ173の端子173Aを端子173Bに接続するように切り替えるため、操作入力の位置の検出は、シールド膜130の抵抗値が第1抵抗値であるハイインピーダンスの状態で行われる。これにより、タッチ感度の向上が図られる。
【0041】
また、切替制御部172は、第2期間TD1~TD20において、スイッチ173の端子173Aを端子173Cに接続するように切り替えるため、表示画像の制御は、シールド膜130の抵抗値が第2抵抗値である非常に小さい抵抗値に設定された状態で行われる。これにより、ノイズ耐性の向上が図られる。
【0042】
図4は、タッチ感度のシミュレーション結果を示す図である。
図4(A)、
図4(B)は、指先をカバーガラス160に接触させた状態でのXY平面における静電容量の分布を示す。縦軸は静電容量を表す。このような静電容量の分布は電磁界シミュレーションで得たものである。
【0043】
図4(A)には、第1期間においてスイッチ173の端子173Aを端子173B(OPEN)に接続してシールド膜130の抵抗値が高い状態にしたときのタッチ感度を示す。指先でカバーガラス160に接触している位置(指先の下の位置)では静電容量が大きく増大している。このようにタッチ感度が良好であるため、第1期間において位置検出を行うことが可能である。
【0044】
図4(B)には、第2期間においてスイッチ173の端子173Aを端子173C(GND)に接続してシールド膜130の抵抗値が低い状態にしたときのタッチ感度を示す。指先でカバーガラス160に接触しても、
図4(A)に比べると静電容量の増加は殆ど生じていない状態である。シールド膜130の抵抗値が低い状態であるため、ノイズ耐性を向上させることができる。
【0045】
以上のように、第1期間TP1~TP20と第2期間TD1~TD20を交互に設け、1行目から20行目の共通電極124を順番に選択し、位置検出を行う第1期間TP1~TP20ではシールド膜130の抵抗値が高くなるようにスイッチ173を切り替え、表示制御を行う第2期間TD1~TD20ではシールド膜130の抵抗値が低くなるようにスイッチ173を切り替える。これにより、第1期間では良好なタッチ感度が得られ、第2期間ではノイズ耐性を向上させることができる。
【0046】
したがって、タッチ感度とノイズ耐性の両立を図った表示装置100を提供することができる。また、シールド膜130の抵抗値をスイッチ173で切り替える構成であるので、第1期間と第2期間でシールド膜130の抵抗値を確実に切り替えることができ、信頼性の高い表示装置100を提供することができる。
【0047】
また、第1期間におけるシールド膜130の第1抵抗値は、操作入力が行われた位置を検出可能な高い抵抗値であり、シールド膜30を電気的に開放させた状態で得られる抵抗値であるため、簡易な構成で容易にタッチ感度が良好な状態を得ることができる。
【0048】
また、第2期間におけるシールド膜130の第2抵抗値は、第1抵抗値よりも小さく、液晶パネル120のノイズ耐性を向上させることが可能な抵抗値であり、シールド膜130を電気的に短絡させた状態で得られる低い抵抗値であるため、簡易な構成で容易にノイズ耐性が高い状態を得ることができる。
【0049】
また、第2期間は、表示制御のために液晶パネル120を垂直方向に走査する垂直走査を連続して所定回数行う期間であり、所定回数は、平面視で1つの共通電極124と重なる垂直方向の画素数で表される回数である。上述した形態では、所定回数は一例として36回である。また、第1期間は、第2期間の前又は後に設けられる期間である。このため、第1期間と第2期間で同じ行の共通電極124を利用して、表示装置100全体での位置検出と、液晶パネル120の垂直走査とを効率的に行うことができる。
【0050】
なお、以上では、スイッチ173がICチップ170の内部に設けられる構成について説明したが、スイッチ173はICチップ170の外部に設けられていてもよい。また、スイッチ173は、3端子型のスイッチに限られるものではなく、シールド膜130の抵抗値を高い状態と低い状態に切替可能であれば、どのような構成であってもよい。
【0051】
以上、本発明の例示的な実施形態の表示装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
100 表示装置
120 液晶パネル
124 共通電極
126 画素電極
130 シールド膜
160 カバーガラス
170 ICチップ
171 TDDI
171A 位置検出部
171B 表示制御部
172 切替制御部
173 スイッチ