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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080139
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】飛沫防止パネル
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20220520BHJP
   A47B 17/00 20060101ALI20220520BHJP
   A47B 96/04 20060101ALI20220520BHJP
   A47G 5/00 20060101ALI20220520BHJP
   A47F 9/02 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A47B13/00 Z
A47B17/00 Z
A47B96/04 Z
A47G5/00 A
A47F9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191145
(22)【出願日】2020-11-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売開始日:2020年8月26日 販売場所:第一工業株式会社(静岡県浜松市東区大島町955番地の9) 掲載開始年月日:2020年8月26日 掲載アドレス:https://www.gakkoubihin.com/ 公開者:第一工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000208684
【氏名又は名称】第一工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】丹野 多喜夫
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NQ09
3B053SE10
(57)【要約】
【課題】横幅の異なる設置面上にも各設置面の横幅に合わせて設置することができる飛沫防止パネルを提供する。
【解決手段】飛沫防止パネル100は、前面パネル101に対して右側折り部110、左側折り部120をそれぞれ介して右側面パネル130および左側面パネル140がそれぞれ一体的に繋がって形成されている。前面パネル101は、透明な方形板状に形成されている。右側折り部110および左側折り部120は、第1折り線111,121、中間パネル112,122および第2折り線115,125を備えて構成されている。第1折り線111,121および第2折り線115,125は、折り癖によって構成されている。中間パネル112,122は、透明な方形板状に形成されている。右側面パネル130および左側面パネル140は、透明な方形板状に形成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に延びて起立する平板壁状の前面パネルと、
前記前面パネルの左右の両端部側にそれぞれ配置されて垂直方向に延びて起立する平板壁状の側面パネルと、
前記前面パネルと前記側面パネルとの間に形成されて前記前面パネルに対して前記側面パネルを折り易くするための折り部とを備えた飛沫防止パネルであって、
前記折り部は、
前記前面パネルと前記側面パネルとの間に垂直方向に線状に延びる折り線を備えており、
前記折り線は、
前記前面パネルと前記側面パネルとの間に複数形成されていることを特徴とする飛沫防止パネル。
【請求項2】
請求項1に記載した飛沫防止パネルにおいて、
前記折り部は、
互いに隣接し合う2つの前記折り線間に平板壁状の中間パネルを備えることを特徴とする飛沫防止パネル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した飛沫防止パネルにおいて、
前記折り線に隣接する部分に同部分の剛性を強化するための折り部補強部が設けられていることを特徴とする飛沫防止パネル。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した飛沫防止パネルにおいて、
前記前面パネルおよび前記側面パネルのうちの少なくとも一方は、
外縁部に隣接する部分に同部分の剛性を強化するためのパネル外縁補強部が設けられていることを特徴とする飛沫防止パネル。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した飛沫防止パネルにおいて、
前記前面パネルおよび前記側面パネルのうちの少なくとも一方は、
パネル面を横断および/または縦断した状態で同パネル面の剛性を強化するためのパネル面補強部が設けられていることを特徴とする飛沫防止パネル。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した飛沫防止パネルにおいて、
前記前面パネルおよび前記側面パネルのうちの少なくとも一方は、
外縁部に隣接する部分に同部分の剛性を強化するために線状に延びるパネル外縁補強部と、
パネル面を横断および/または縦断した状態で同パネル面の剛性を強化するために線状に延びるパネル面補強部とを備え、
前記パネル面補強部は、
前記パネル外縁補強部よりも細い線幅で形成されていることを特徴とする飛沫防止パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対向する二者間に配置されて飛沫が飛び交うことを防止する飛沫防止パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、面談する二者間で飛沫が飛び交うことを防止するための防具として飛沫防止パネルが提案されている。例えば、下記特許文献1には、略矩形状に形成された透明な正面板の左右の両端部にそれぞれ透明な左右面板が屈曲自在に繋がって形成された飛沫防止パネルとしての対面用防護パネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3152493号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載した飛沫防止パネルにおいては、2つの左右面板が正面板の左右の両端部に繋がって形成されているため、2つの左右面板間の間隔が固定されて正面板の横幅以上の横幅の設置面に合わせて設置することができないという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、横幅の異なる設置面上にも各設置面の横幅に合わせて設置することができる飛沫防止パネルを提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、垂直方向に延びて起立する平板壁状の前面パネルと、前面パネルの左右の両端部側にそれぞれ配置されて垂直方向に延びて起立する平板壁状の側面パネルと、前面パネルと側面パネルとの間に形成されて前面パネルに対して側面パネルを折り易くするための折り部とを備えた飛沫防止パネルであって、折り部は、前面パネルと側面パネルとの間に垂直方向に線状に延びる折り線を備えており、折り線は、前面パネルと側面パネルとの間に複数形成されていることを特徴とする飛沫防止パネル。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、飛沫防止パネルは、前面パネルと側面パネルとの間に垂直方向に線状に延びて形成されて前面パネルに対して側面パネルを折り易くするための折り線が複数形成されているため、使用者は設置面の横幅に応じた折り線を選択して折り曲げることで飛沫防止パネルの横幅を拡大または縮小することができ、横幅の異なる設置面上にも各設置面の横幅に合わせて設置することができる。
【0008】
ここで、折り線は、前面パネルに対して左側の左側面パネルとの間および/または前面パネルに対して右側の右側面パネルとの間に少なくとも2つ以上形成することができる。また、折り線は、前面パネルおよび/または側面パネルにおける厚さ方向の一部が切断されるとともに他の一部が切り残されたハーフカット、各パネルの高さ方向に沿って断続的に形成される貫通孔からなるミシン目または折り癖で構成することができる。また、前面パネルおよび/または側面パネルは、一部または全部を不透明体、半透明体または透明体で構成することができる。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、前記飛沫防止パネルにおいて、折り部は、互いに隣接し合う2つの折り線間に平板壁状の中間パネルを備えることにある。
【0010】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、飛沫防止パネルは、互いに隣接し合う2つの折り線間に平板壁状の中間パネルを備えているため、複数の折り線を互いに近接した位置に形成した場合に比べて折り線と折り線との間における視認性を高めることができる。また、飛沫防止パネルは、中間パネルの両側に存在する2つの折り線をそれぞれ鈍角で折り曲げることで前面パネルに対する側面パネルの折り曲げ部分が直角に形成されることを防止して飛沫防止パネルの周辺に存在する物の引っ掛かりまたは接触した際における損傷を抑制することができる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、前記飛沫防止パネルにおいて、折り線に隣接する部分に同部分の剛性を強化するための折り部補強部が設けられていることにある。
【0012】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、飛沫防止パネルは、折り線に隣接する部分に同部分の剛性を強化するための折り部補強部が設けられているため、折り線が形成される部分の剛性の低下を防止して前面パネルおよび側面パネルを精度良く安定的に起立させることができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、前記飛沫防止パネルにおいて、前面パネルおよび側面パネルのうちの少なくとも一方は、外縁部に隣接する部分に同部分の剛性を強化するためのパネル外縁補強部が設けられていることにある。
【0014】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、飛沫防止パネルは、前面パネルおよび側面パネルのうちの少なくとも一方の外縁部に隣接する部分に同部分の剛性を強化するためのパネル外縁補強部が設けられているため、前面パネルおよび/または側面パネルの剛性の低下を防止して前面パネルおよび側面パネルを精度良く安定的に起立させることができる。
【0015】
また、本発明の他の特徴は、前記飛沫防止パネルにおいて、前面パネルおよび側面パネルのうちの少なくとも一方は、パネル面を横断および/または縦断した状態で同パネル面の剛性を強化するためのパネル面補強部が設けられていることにある。
【0016】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、飛沫防止パネルは、前面パネルおよび側面パネルのうちの少なくとも一方のパネル面を横断および/または縦断した状態で同パネル面の剛性を強化するためのパネル面補強部が設けられているため、前面パネルおよび/または側面パネルの剛性の低下を防止して前面パネルおよび側面パネルを精度良く安定的に起立させることができる。
【0017】
また、本発明の他の特徴は、前記飛沫防止パネルにおいて、前面パネルおよび側面パネルのうちの少なくとも一方は、外縁部に隣接する部分に同部分の剛性を強化するために線状に延びるパネル外縁補強部と、パネル面を横断および/または縦断した状態で同パネル面の剛性を強化するために線状に延びるパネル面補強部とを備え、パネル面補強部は、パネル外縁補強部よりも細い線幅で形成されていることにある。
【0018】
このように構成した本発明の特徴によれば、飛沫防止パネルは、前面パネルおよび側面パネルのうちの少なくとも一方の外縁部に隣接する部分に同部分の剛性を強化するために線状に延びるパネル外縁補強部を備えるとともに、パネル面を横断および/または縦断した状態で同パネル面の剛性を強化するために線状に延びるパネル面補強部とを備えているため、前面パネルおよび/または側面パネルの剛性の低下を防止して前面パネルおよび側面パネルを精度良く安定的に起立させることができる。また、飛沫防止パネルは、パネル面補強部がパネル外縁補強部よりも細い線幅で形成されているため、前面パネルおよび/または側面パネルの視認性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る飛沫防止パネルの使用状態における外観構成の概略を示す斜視図である。
図2】(A),(B)は、図1に示す飛沫防止パネルを展開した状態を示しており、(A)は飛沫防止パネルの内側面側から見た展開図であり、(B)は(A)に示すA-A線から見た断面の状態を模式的に示した断面図である。
図3図1に示す飛沫防止パネルを学習机に配置した使用状態における外観構成の概略を示す斜視図である。
図4】(A)~(C)は、図1に示す飛沫防止パネルを学習机上に配置した使用状態を模式的に示しており、(A)は横幅が短い天板上に配置した状態を示す平面図であり、(B)は横幅が長い天板上に配置した状態を示す平面図であり、(C)は横幅が(A)に示した天板よりも長くかつ(B)に示した天板よりも短い横幅の天板上に配置した状態を示す平面図である。
図5図1に示す飛沫防止パネルを折り畳んで学習机のフックに引っ掛けた状態を学習机の側面側から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る飛沫防止パネルの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る飛沫防止パネル100の使用状態における外観構成の概略を示す斜視図である。図2(A),(B)は、図1に示す飛沫防止パネル100を展開した状態を示しており、(A)は飛沫防止パネル100の内側面側から見た展開図であり、(B)は(A)に示すA-A線から見た断面の状態を模式的に示した断面図である。
【0021】
この飛沫防止パネル100は、互いに向き合う二者(図示せず)の間の設置面上に配置されて飛沫が飛び交うことを防止するための防具である。ここで、設置面は、飛沫防止パネル100を載置する台であり、互いに向き合う二者間に配置される机、テーブルまたはカウンターなどである。本実施形態においては、設置面は、小学校や中学校などの教育施設などにおいて児童や生徒が教室で図示しない椅子とともに使用する学習机90の天板91である。この学習机90は、天板91が4つのパイプ状の脚93によって支持されている。
【0022】
(飛沫防止パネル100の構成)
飛沫防止パネル100は、前面パネル101を備えている。前面パネル101は、互いに向き合う二者間に配置される部分であり、透明な板状に形成されている。本実施形態においては、前面パネル101は、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)材を横幅が490mm、高さが480mm、厚さが3.5mmの正面視で略長方形の透明な板状に形成して構成されている。
【0023】
ここで、前面パネル101の横幅とは、前面パネル101を互いに向き合う二者間に配置したとき、同二者の左右方向である。この場合、前面パネル101の右側とは、平面視でコ字状に設置される飛沫防止パネル100の前面パネル101、右側面パネル130および左側面パネル140によって囲まれた領域(内側領域)に位置する使用者の右側であり、前面パネル101の左側とは、前記使用者の左側である。また、前面パネル101の内側面とは、平面視でコ字状に設置される飛沫防止パネル100の前面パネル101、右側面パネル130および左側面パネル140によって囲まれた領域側の壁面であり、前面パネル101の外側面とは前記内側面の反対側の壁面である。
【0024】
この前面パネル101は、上辺102における左右の両端部102a,102bを凹状に凹ませて高さを低くしている。本実施形態においては、両端部102a,102bは、上辺102から10mmだけ下方に凹んで形成されている。これにより、飛沫防止パネル100は、組み立てられた際に角部が上辺102に対して下方に形成されることで周辺物に対する引っ掛かりを防止することができる。この前面パネル101には、パネル外縁補強部103、パネル面補強部104および折り部補強部105がそれぞれ形成されている。
【0025】
パネル外縁補強部103は、前面パネル101の外縁部を補強することで前面パネル101の全体を補強するための部分であり、前面パネル101の外縁部に沿って形成されている。具体的には、パネル外縁補強部103は、前面パネル101の4辺に沿って連続的に凹状に凹む溝状に形成されている。この場合、パネル外縁補強部103は、前面パネル101の内側面において凹状に凹む一方で、前面パネル101の外側面において凸状に突出して形成されており、正面視で方形の環状に形成されている。本実施形態においては、パネル外縁補強部103は、幅が7mm、深さが3mmの断面形状が半円形に形成されている。
【0026】
パネル面補強部104は、前面パネル101の中心部から外縁部に掛けてのパネル面(換言すれば壁面)の内側部分を補強することで前面パネル101の全体を補強するための部分であり、前面パネル101のパネル面の全体に亘って形成されている。具体的には、パネル面補強部104は、面状部104aと線状部104bとで構成されている。
【0027】
面状部104aは、前面パネル101のパネル面の一部が面状に凹んで(または突出して)形成された部分である。本実施形態においては、面状部104aは、前面パネル101のパネル面の一部が内側面から外側面に向かって正面視で略長方形状に凹んで形成されている。また、面状部104aは、本実施形態においては、6つの面状部104aが前面パネル101の上下方向に3つでかつ左右方向に2つ並んで形成されている。
【0028】
線状部104bは、前面パネル101のパネル面の一部が線状に突出して(または凹んで)形成された部分である。本実施形態においては、線状部104bは、前記6つの面状部104aの各間にそれぞれ内側面から突出して形成されている。すなわち、線状部104bは、本実施形態においては、前面パネル101の左右方向に中央部に上下方向に延びて1つの線状部104bが形成されているとともに、前面パネル101の上下方向を3等分した位置に左右方向(水平方向)に延びて2つの線状部104bが形成されている。この場合、これら3つの線状部104bは、前記パネル面補強部104の溝幅よりも狭い幅でかつパネル面補強部104の溝深さよりも浅い高さに形成されている。この線状部104bは、幅が3mm、高さが1.5mmの断面形状が方形に形成されている。
【0029】
折り部補強部105は、後述する第1折り線111,121をそれぞれ補強するための部分であり、第1折り線111,121にそれぞれ隣接する位置に第1折り線111,121に沿ってそれぞれ形成されている。具体的には、折り部補強部105は、第1折り線111,121に沿って連続的に凹状に凹む溝状に形成されている。この場合、折り部補強部105は、前面パネル101の内側面において凹状に凹む一方で、前面パネル101の外側面において凸状に突出して形成されており、垂直方向に直線状に形成されている。本実施形態においては、折り部補強部105は、幅が7mm、深さが3mmの断面形状が半円形に形成されている。また、折り部補強部105は、本実施形態においては、前面パネル101の上端部および下端部にそれぞれ達しない長さに形成されている。
【0030】
この前面パネル101の左右方向の両端部には、右側折り部110および左側折り部120をそれぞれ介して右側面パネル130および左側面パネル140がそれぞれ形成されている。
【0031】
右側折り部110は、前面パネル101に対して右側面パネル130を折り易くするための部分であり、前面パネル101と右側面パネル130との間に形成されている。この右側折り部110は、前面パネル101と同じ材料で構成されており、主として、第1折り線111、中間パネル112および第2折り線115をそれぞれ備えて構成されている。
【0032】
第1折り線111は、前面パネル101に対して中間パネル112を折り易くするための部分であり、垂直方向に連続的な直線状に延びる折り癖で構成されている。ここで、折り癖とは、右側折り部110を構成する材料を予め線状に折り曲げておくことで以後折り曲げ易くしたものである。
【0033】
中間パネル112は、前面パネル101、右側面パネル130、または前面パネル101と右側面パネル130との間のコーナ部として機能する部分であり、透明な板状に形成されている。本実施形態においては、中間パネル112は、前記前面パネル101と同じ材料(PET樹脂)材を横幅が65mm、高さが480mm、厚さが3.5mmの正面視で略長方形の透明な板状に形成して構成されている。この場合、中間パネル112は、左右の両端部112a,112bが前面パネル101の両端部102a,102bとそれぞれ同じ高さにそれぞれ形成されるとともに中央部が円弧状に突出して形成されている。
【0034】
この中間パネル112には、折り部補強部113,114がそれぞれ形成されている。折り部補強部113は、第1折り線111を補強するための部分であり、第1折り線111に隣接する位置に第1折り線111に沿って形成されている。折り部補強部114は、第2折り線115を補強するための部分であり、第2折り線115に隣接する位置に第2折り線115に沿って形成されている。これらの折り部補強部113,114は、それぞれ前記折り部補強部105と同じ形状に形成されている。
【0035】
第2折り線115は、中間パネル112に対して右側面パネル130を折り易くするための部分であり、垂直方向に連続的な直線状に延びる折り癖で構成されている。
【0036】
左側折り部120は、前面パネル101に対して左側面パネル140を折り易くするための部分であり、前面パネル101と左側面パネル140との間に形成されている。この左側折り部120は、前記右側折り部110と同様に形成されている。すなわち、左側折り部120は、右側折り部110における第1折り線111、中間パネル112、両端部112a,112b、折り部補強部113,114および第2折り線115と左右対称に構成された第1折り線121、中間パネル122、両端部122a,122b、折り部補強部123,124および第2折り線125をそれぞれ備えて構成されている。したがって、左側折り部120の説明は省略する。
【0037】
右側面パネル130は、飛沫防止パネル100の内側から見て右側に起立した状態で設けられる部分であり、透明な板状に形成されている。本実施形態においては、右側面パネル130は、前記前面パネル101と同じ材料(PET樹脂)材を横幅が211mm、高さが480mm、厚さが3.5mmの正面視で略長方形の透明な板状に形成して構成されている。この場合、右側面パネル130の上辺における右側折り部110側の端部130aは、前面パネル101の両端部102a,102bと同じ高さに凹んで形成されている。この右側面パネル130には、パネル外縁補強部131、パネル面補強部132、折り部補強部133および延長部134がそれぞれ形成されている。
【0038】
パネル外縁補強部131は、パネル外縁補強部103と同様に、右側面パネル130の外縁部を補強することで右側面パネル130の全体を補強するための部分であり、右側面パネル130の外縁部に沿って形成されている。具体的には、パネル外縁補強部131は、右側面パネル130の4辺および延長部134との境界部分にそれぞれ沿って連続的に凹状に凹む溝状に形成されている。この場合、パネル外縁補強部131は、右側面パネル130の内側面において凹状に凹む一方で、右側面パネル130の外側面において凸状に突出して形成されている。本実施形態においては、パネル外縁補強部131は、幅が7mm、深さが3mmの断面形状が半円形に形成されている。
【0039】
パネル面補強部132は、パネル面補強部104と同様に、右側面パネル130の中心部から外縁部に掛けてのパネル面の内側部分を補強することで右側面パネル130の全体を補強するための部分であり、右側面パネル130のパネル面の全体に亘って形成されている。具体的には、パネル面補強部132は、右側面パネル130のパネル面の一部が線状に凹んで(または突出して)形成されている。本実施形態においては、パネル面補強部132は、前記パネル外縁補強部131の内側で水平方向に延びる溝状に形成されている。この場合、パネル面補強部132は、右側面パネル130内で上下方向に2つ並んで形成されており、互いに対向し合う2つのパネル外縁補強部131の溝同士を互いに連通させている。このパネル面補強部132は、パネル外縁補強部131の溝形状と同じ溝形状に形成されている。
【0040】
折り部補強部133は、折り部補強部114と同様に、第2折り線115を補強するための部分であり、第2折り線115に隣接する位置に第2折り線115に沿って形成されている。この折り部補強部133は、前記折り部補強部114と同じ形状に形成されている。
【0041】
延長部134は、右側面パネル130を学習机90に設けられたフック92上で支持するための部分であり、右側面パネル130の下端部の一部に下方に向かって張り出す透明な板状に形成されている。本実施形態においては、延長部134は、前記前面パネル101と同じ材料(PET樹脂)材を横幅が140mm、高さが90mm、厚さが3.5mmの正面視で略長方形状に形成されている。この延長部134には、引掛け部135、パネル外縁補強部136およびパネル面補強部137がそれぞれ形成されている。
【0042】
引掛け部135は、飛沫防止パネル100を折り畳んだ際に学習机90のフック92に引っ掛けるための部分であり、正面視で長方形状の貫通孔で構成されている。この引掛け部135は、右側面パネル130を前面パネル101に重ねるように折り曲げた際に、前面パネル101に重ねるように折り曲げられた左側面パネル140に形成された引掛け部145に重なる大きさおよび位置に形成されている。本実施形態においては、引掛け部135は、延長部134の四隅のうちの右側面パネル130のパネル面の左右方向の最も外側かつ下方位置となる隅部に形成されている。
【0043】
パネル外縁補強部136は、パネル外縁補強部131と同様に、延長部134の外縁部を補強することで延長部134の全体を補強するための部分であり、延長部134の外縁部に沿って形成されている。具体的には、パネル外縁補強部136は、前記引掛け部135を避けた延長部134の3辺および右側面パネル130との境界部分にそれぞれ沿って連続的に凹状に凹む溝状に形成されている。
【0044】
この場合、パネル外縁補強部136は、前記パネル外縁補強部131と繋がって形成されている。また、パネル外縁補強部136は、延長部134の内側面において凹状に凹む一方で、延長部134の外側面において凸状に突出して形成されている。本実施形態においては、パネル外縁補強部136は、幅が7mm、深さが3mmの断面形状が半円形に形成されている。
【0045】
パネル面補強部137は、パネル面補強部132と同様に、延長部134の中心部から外縁部に掛けてのパネル面の内側部分を補強することで延長部134の全体を補強するための部分であり、延長部134のパネル面の全体に亘って形成されている。具体的には、パネル面補強部137は、延長部134のパネル面の一部が線状に凹んで(または突出して)形成されている。本実施形態においては、パネル面補強部137は、延長部134の内側で水平方向に延びる溝状に形成されている。この場合、パネル面補強部137は、延長部134内で上下方向中央部に水平方向に延びて形成されており、互いに対向し合う2つのパネル外縁補強部136の溝同士を互いに連通させている。このパネル面補強部137は、パネル外縁補強部136の溝形状と同じ溝形状に形成されている。
【0046】
左側面パネル140は、飛沫防止パネル100の内側から見て左側に起立した状態で設けられる部分であり、透明な板状に形成されている。この左側面パネル140は、前記右側面パネル130と同様に形成されている。すなわち、左側面パネル140は、右側面パネル130における端部130a、パネル外縁補強部131、パネル面補強部132、折り部補強部133、延長部134、引掛け部135、パネル外縁補強部136およびパネル面補強部137と左右対称に構成された端部140a、パネル外縁補強部141、パネル面補強部142、折り部補強部143、延長部144、引掛け部145、パネル外縁補強部146およびパネル面補強部147をそれぞれ備えて構成されている。したがって、左側面パネル140の説明は省略する。
【0047】
このように構成された飛沫防止パネル100は、樹脂材料を射出成形することで前面パネル101、右側折り部110、左側折り部120、右側面パネル130および左側面パネル140が一体的に成形される。また、第1折り線111,121および第2折り線115,125は、
【0048】
(飛沫防止パネル100の作動)
次に、このように構成した飛沫防止パネル100の作動について説明する。飛沫防止パネル100を使用する使用者(図示せず)は、図3に示すように、飛沫防止パネル100を用意して学習机90の天板91上に設置する。具体的には、使用者は、自らの正面に前面パネル101を天板91上に起立した状態で配置する。
【0049】
次に、使用者は、飛沫防止パネル100の右側折り部110および左側折り部120をそれぞれ折り曲げることによって右側面パネル130および左側面パネル140を前面パネル101と使用者との間の右側および左側にそれぞれ配置する。この場合、使用者は、学習机90の天板91の横幅の大きさに応じて右側折り部110および左側折り部120をそれぞれ折り曲げることができる。
【0050】
具体的には、使用者は、図4(A)に示すように、天板91の横幅が短い場合には右側折り部110および左側折り部120における各第1折り線111,121をそれぞれ折り曲げることができる。これにより、飛沫防止パネル100は、中間パネル112および右側面パネル130が使用者の右側に起立するとともに、中間パネル122および左側面パネル140が使用者の右側に起立する。すなわち、中間パネル112,122は、右側面パネル130および左側面パネル140の各一部として機能する。
【0051】
一方、使用者は、使用者は、図4(B)に示すように、天板91の横幅が長い場合には右側折り部110および左側折り部120における各第2折り線115,125をそれぞれ折り曲げることができる。これにより、飛沫防止パネル100は、中間パネル112,122がそれぞれ使用者の前方に起立するとともに右側面パネル130および左側面パネル140が使用者の右側および左側にそれぞれ起立する。すなわち、中間パネル112,122は、前面パネル101の一部として機能する。
【0052】
さらに、使用者は、図4(C)に示すように、天板91の横幅が前記短い場合よりも長くかつ前記長い場合よりも短い中間の長さの場合に右側折り部110および左側折り部120における各第1折り線111,121および各第2折り線115,125をそれぞれ折り曲げることができる。これにより、飛沫防止パネル100は、中間パネル112,122がそれぞれ使用者の右側および左側の斜め前方に起立するとともに右側面パネル130および左側面パネル140が使用者の右側および左側にそれぞれ起立する。すなわち、中間パネル112,122は、前面パネル101と右側面パネル130または左側面パネル140との間で斜め方向に延びるコーナ部として機能する。
【0053】
また、使用者は、右側面パネル130および左側面パネル140を天板91上に配置する場合には、右側面パネル130および左側面パネル140における前面パネル101側の各下辺を天板91上に配置するとともに延長部134,144の各下辺を天板91の左右の各下方にそれぞれ設けられたフック92上に配置する。この場合、使用者は、右側面パネル130および左側面パネル140をそれぞれ外側に僅かに撓ませることで延長部134,144を天板91上の外側に位置させてフック92上に配置することができる。
【0054】
ここで、フック92は、学習机90において使用者のカバンなどを吊下げるために設けられたJ字状の引掛け具である。このフック92は、天板91の下方であってかつ天板91の左右の端部よりも内側に設けられている。これにより、右側面パネル130および左側面パネル140は、延長部134,144がフック92と天板91の左右の端部との間で僅かにS字状に撓んだ状態で挟まれることで天板91に保持される。
【0055】
これにより、使用者は、飛沫防止パネル100を天板91上に起立した状態で設置することができる。そして、使用者は、展開した飛沫防止パネル100の内側に位置することで飛沫防止パネル100の外側に位置する対面者(図示せず)との間で聴講、面談または会話する。この場合、飛沫防止パネル100は、前面パネル101、右側面パネル130および左側面パネル140によって使用者と対面者との間で飛沫が飛び交うことを防止することができる。また、飛沫防止パネル100は、延長部134,144がフック92と天板91とで保持されることで使用中における天板91上からの脱落または位置ずれが効果的に防止される。
【0056】
次に、使用者は、飛沫防止パネル100の使用を終える場合には、飛沫防止パネル100全体を天板91の上方に持ち上げる。これにより、飛沫防止パネル100は、延長部134,144がフック92と天板91との間から引き抜かれて天板91上から離脱する。次に、使用者は、右側面パネル130および左側面パネル140を第1折り線111,121を介して前面パネル101の内側面側に折り曲げることで前面パネル101に対して右側面パネル130および左側面パネル140を重ねた状態で対向配置して折り畳むことができる。
【0057】
この場合、飛沫防止パネル100は、右側面パネル130の延長部134に形成された引掛け部135と左側面パネル140の延長部144に形成された引掛け部145とが互いに重なる。したがって、使用者は、図5に示すように、飛沫防止パネル100の天地を逆にして互いに重なった延長部134,144を学習机90のフック92に引っ掛けることで飛沫防止パネル100を学習机90に保持させることができる。また、使用者は、互いに重なった延長部134,144を把持することで飛沫防止パネル100を持ち運ぶこともできる。
【0058】
なお、使用者は、折り畳んだ飛沫防止パネル100を必ずしも学習机90に引っ掛ける必要はなく別途の収納スペースに収納するようにしてもよい。また、使用者は、右側面パネル130および左側面パネル140を第2折り線115,125で折り曲げて折り畳むことで保管することもできる。また、使用者は、右側面パネル130および左側面パネル140を折り畳むことなく前面パネル101と同一平面に展開した状態で保管することもできる。
【0059】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、飛沫防止パネル100は、前面パネル101と右側面パネル130との間および前面パネル101と左側面パネル140との間に垂直方向に線状に延びて形成されて前面パネル101に対して右側面パネル130および左側面パネル140をそれぞれ折り易くするための第1折り線111,121および第2折り線115,125が形成されている。このため、使用者は、設置面となる天板91の横幅に応じた折り線を選択して折り曲げることで飛沫防止パネル100の横幅を拡大または縮小することができ、横幅の異なる天板91上にも各天板91の横幅に合わせて設置することができる。
【0060】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態においては、飛沫防止パネル100は、全体をポリエチレンテレフタレート樹脂で構成した。しかし、飛沫防止パネル100は、ポリエチレンテレフタレート樹脂以外の樹脂材、例えば、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂またはアクリル樹脂などで構成することもできる。また、飛沫防止パネル100は、全体または一部を半透明または不透明で構成することもできる。また、飛沫防止パネル100は、全体または一部をプラスチック段ボールで構成することもできる。
【0062】
また、上記実施形態においては、飛沫防止パネル100は、前面パネル101、右側折り部110、左側折り部120、右側面パネル130および左側面パネル140を共通の材料で一体的に成形した。しかし、飛沫防止パネル100は、前面パネル101、右側折り部110、左側折り部120、右側面パネル130および左側面パネル140を同一または異種の材料で独立して成形した後、これらの各部品同士を粘着テープまたは接着剤で貼り付けて一体的に形成することもできる。
【0063】
また、上記実施形態においては、飛沫防止パネル100は、パネル外縁補強部103,131,141、パネル面補強部104,132,142および折り部補強部105,113,114,123,124をそれぞれ備えて構成した。これにより、飛沫防止パネル100は、前面パネル101、中間パネル112,122、右側面パネル130、延長部134、左側面パネル140および延長部144の各剛性を向上させることができる。しかし、飛沫防止パネル100は、パネル外縁補強部103,131,141、パネル面補強部104,132,142および折り部補強部105,113,114,123,124のうちの一部または全部を省略して構成することもできる。
【0064】
また、上記実施形態においては、パネル面補強部104は、面状部104aと線状部104bとで構成した。これにより、飛沫防止パネル100は、前面パネル101の剛性を向上させることができる。しかし、パネル面補強部104は、面状部104aおよび線状部104bのうちの少なくとも一方で構成することができる。
【0065】
また、上記実施形態においては、線状部104bは、パネル外縁補強部103の線幅(溝幅)よりも細い線幅に形成した。これにより、飛沫防止パネル100は、前面パネル101の剛性を高めつつ前面パネル101を介した視認性を高めることができる。しかし、線状部104bは、パネル外縁補強部103の線幅(溝幅)と同じ線幅またはパネル外縁補強部103の線幅(溝幅)より広い線幅に形成することもできる。
【0066】
また、上記実施形態においては、右側折り部110および左側折り部120は、第1折り線111,121、中間パネル112,122および第2折り線115,125をそれぞれ備えて構成した。すなわち、右側折り部110および左側折り部120は本発明に係る折り部に相当し、第1折り線111,121および第2折り線115,125は本発明に係る折り線に相当する。そして、この折り線は、少なくとも2つ以上の折り線を備えて構成されていればよい。したがって、右側折り部110および左側折り部120は、第1折り線111,121および第2折り線115,125を備えつつ中間パネル112,122を省略して構成することができる。また、少なくとも2つ以上の折り線は、蛇腹で構成することもできる。
【0067】
また、上記実施形態においては、右側面パネル130および左側面パネル140は、延長部134,144をそれぞれ備えて構成した。これにより、飛沫防止パネル100は、学習机90におけるフック92と天板91との間に延長部134,144を配置することで右側面パネル130および左側面パネル140を安定的に起立させることができる。しかし、右側面パネル130および左側面パネル140は、延長部134,144をそれぞれ省略して構成することもできる。この場合、使用者は、右側面パネル130および左側面パネル140の各下辺の全体を天板91上に載置することで飛沫防止パネル100を天板91上に設置することができる。
【0068】
また、上記実施形態においては、第1折り線111,121および第2折り線115,125は、折り癖で構成した。しかし、第1折り線111,121および第2折り線115,125は、右側面パネル130および左側面パネル140を前面パネル101に対しており易く構成されていればよい。したがって、第1折り線111,121および第2折り線115,125は、切込み線を形成したハーフカット、ミシン目または両面テープによって屈曲するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0069】
90…学習机、91…天板、92…フック、93…脚、
100…飛沫防止パネル、101…前面パネル、102…上辺、102a,102b…両端部、103…パネル外縁補強部、104…パネル面補強部、104a…面状部、104b…線状部、105…折り部補強部、
110…右側折り部、111…第1折り線、112…中間パネル、112a,112b…両端部、113,114…折り部補強部、115…第2折り線、
120…左側折り部、121…第1折り線、122…中間パネル、122a,122b…両端部、123,124…折り部補強部、125…第2折り線、
130…右側面パネル、130a…端部、131…パネル外縁補強部、132…パネル面補強部、133…折り部補強部、134…延長部、135…引掛け部、136…パネル外縁補強部、137…パネル面補強部、
140…左側面パネル、140a…端部、141…パネル外縁補強部、142…パネル面補強部、143…折り部補強部、144…延長部、145…引掛け部、146…パネル外縁補強部、147…パネル面補強部。
図1
図2
図3
図4
図5