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特開2022-80166心拍情報取得装置および心拍情報取得プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080166
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】心拍情報取得装置および心拍情報取得プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0245 20060101AFI20220520BHJP
   A61B 5/026 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A61B5/0245 100A
A61B5/026 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191186
(22)【出願日】2020-11-17
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】深井 誠一
(72)【発明者】
【氏名】中島 啓介
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA10
4C017AA11
4C017AA20
4C017AB02
4C017AC31
4C017BC11
4C017BC20
4C017DD14
4C017FF05
(57)【要約】
【課題】血流情報を取得する装置においては、所定数の心拍に対応する複数の心拍波形の近似度に基づいて、当該波形の取得を制御することが好ましい。
【解決手段】1または複数の患者の心拍波形を取得する波形取得部と、波形取得部により取得された心拍波形の特徴量を算出する特徴量算出部と、特徴量算出部により算出された心拍波形の特徴量の近似度を算出する近似度算出部と、波形取得部による心拍波形の取得を制御する制御部と、を備え、特徴量算出部は、1人の患者において、予め定められた数の連続的な心拍波形における一の心拍波形の特徴量および他の心拍波形の特徴量を算出し、近似度算出部は、一の心拍波形の特徴量と、他の心拍波形の特徴量との近似度を算出し、制御部は、近似度算出部により算出された近似度に基づいて、波形取得部による心拍波形の取得を制御する、心拍情報取得装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の患者の心拍波形を取得する波形取得部と、
前記波形取得部により取得された前記心拍波形の特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記特徴量算出部により算出された前記心拍波形の特徴量の近似度を算出する近似度算出部と、
前記波形取得部による前記心拍波形の取得を制御する制御部と、
を備え、
前記特徴量算出部は、1人の前記患者において、予め定められた数の連続的な心拍波形における一の心拍波形の特徴量および他の心拍波形の特徴量を算出し、
前記近似度算出部は、前記一の心拍波形の特徴量と、前記他の心拍波形の特徴量との近似度を算出し、
前記制御部は、前記近似度算出部により算出された前記近似度に基づいて、前記波形取得部による前記心拍波形の取得を制御する、
心拍情報取得装置。
【請求項2】
前記特徴量は、前記心拍波形の振幅を含み、
前記特徴量算出部は、前記一の心拍波形の振幅と、前記他の心拍波形の振幅とを算出し、
前記近似度算出部は、前記一の心拍波形の振幅と、前記他の心拍波形の振幅との振幅近似度を算出し、
前記制御部は、前記振幅近似度が予め定められた振幅近似度以上である場合、前記波形取得部による前記心拍波形の取得を停止する、
請求項1に記載の心拍情報取得装置。
【請求項3】
前記特徴量は、前記心拍波形の周波数を含み、
前記特徴量算出部は、前記一の心拍波形の周波数と、前記他の心拍波形の周波数とを算出し、
前記近似度算出部は、前記一の心拍波形の周波数と、前記他の心拍波形の周波数との周波数近似度を算出し、
前記制御部は、前記周波数近似度が予め定められた周波数近似度以上である場合、前記波形取得部による前記心拍波形の取得を停止する、
請求項1または2に記載の心拍情報取得装置。
【請求項4】
前記特徴量は、前記心拍波形の周期を含み、
前記特徴量算出部は、前記一の心拍波形の周期と、前記他の心拍波形の周期とを算出し、
前記近似度算出部は、前記一の心拍波形の周期と、前記他の心拍波形の周期との周期近似度を算出し、
前記制御部は、前記周期近似度が予め定められた周期近似度以上である場合、前記波形取得部による前記心拍波形の取得を停止する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の心拍情報取得装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記近似度が予め定められた近似度未満である場合、前記波形取得部による前記心拍波形の取得を継続する、請求項1から4のいずれか一項に記載の心拍情報取得装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記波形取得部による前記心拍波形の取得を継続した後、前記近似度が予め定められた近似度以上となった場合、前記波形取得部による前記心拍波形の取得を停止する、請求項5に記載の心拍情報取得装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記予め定められた近似度よりも小さい予め定められた他の近似度に基づいて、前記波形取得部による前記心拍波形の取得を制御する、請求項5に記載の心拍情報取得装置。
【請求項8】
前記波形取得部により取得した心拍波形を記憶する記憶部をさらに備え、
前記特徴量算出部は、前記記憶部に記憶された前記心拍波形における特徴量を算出し、
前記近似度算出部は、前記一の心拍波形の特徴量と、前記記憶部に記憶された前記心拍波形の特徴量との近似度を算出し、
前記制御部は、前記一の心拍波形の特徴量と、前記記憶部に記憶された前記心拍波形の特徴量との前記近似度に基づいて、前記連続的な心拍波形における予め定められた数を制御する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の心拍情報取得装置。
【請求項9】
前記特徴量算出部は、1人の前記患者において、前記予め定められた数の連続的な心拍波形における第1心拍波形の特徴量と、前記第1心拍波形の次の心拍波形である第2心拍波形の特徴量と、前記第2心拍波形の次の心拍波形である第3心拍波形の特徴量とを算出し、
前記近似度算出部は、前記第1心拍波形の特徴量と前記第2心拍波形の特徴量との近似度と、前記第2心拍波形の特徴量と前記第3心拍波形の特徴量との近似度とを算出し、
前記制御部は、前記第1心拍波形の特徴量と前記第2心拍波形の特徴量との前記近似度と、前記第2心拍波形の特徴量と前記第3心拍波形の特徴量との前記近似度とが、予め定められた近似度以上である場合、前記波形取得部による前記心拍波形の取得を停止する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の心拍情報取得装置。
【請求項10】
前記波形取得部は、第1の患者の心拍波形と、第2の患者の心拍波形とを取得し、
前記特徴量算出部は、前記第1の患者の心拍波形における第1特徴量と、前記第2の患者の心拍波形における第2特徴量とを算出し、
前記近似度算出部は、前記第1特徴量の近似度と、第2特徴量の近似度とを算出し、
前記制御部は、前記第1特徴量の近似度が予め定められた第1近似度以上である場合、前記波形取得部による前記第1の患者における心拍波形の取得を停止し、前記第2特徴量の近似度が予め定められた第2近似度以上である場合、前記波形取得部による前記第2の患者における心拍波形の取得を停止し、
前記第1近似度と前記第2近似度とは、異なる、
請求項1から9のいずれか一項に記載の心拍情報取得装置。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1から10のいずれか一項に記載の心拍情報取得装置として機能させるための心拍情報取得プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心拍情報取得装置および心拍情報取得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、生体情報取得装置およびプログラムに関する。特許文献1には、「また、判定処理部90の加算平均回数が十分であるとの判定結果に応じて、信号処理部50による加算平均の実行を停止してもよい。」と記載されている(段落0066)。
特許文献2は、超音波診断装置等に関する。特許文献2には、「例えば、プローブ100が患者から離れると、非接触入力デバイス200は、現在利用可能な画像をフリーズさせるため、装置本体1000に対する入力信号を生成する。」と記載されている(段落0020)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2019-76374号公報
[特許文献2] 特開2013-180207号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、心拍情報取得装置を提供する。心拍情報取得装置は、1または複数の患者の心拍波形を取得する波形取得部と、波形取得部により取得された心拍波形の特徴量を算出する特徴量算出部と、特徴量算出部により算出された心拍波形の特徴量の近似度を算出する近似度算出部と、波形取得部による心拍波形の取得を制御する制御部と、を備える。特徴量算出部は、1人の患者において、予め定められた数の連続的な心拍波形における一の心拍波形の特徴量および他の心拍波形の特徴量を算出する。近似度算出部は、一の心拍波形の特徴量と、他の心拍波形の特徴量との近似度を算出する。制御部は、近似度算出部により算出された近似度に基づいて、波形取得部による心拍波形の取得を制御する。
【0004】
特徴量は、心拍波形の振幅を含んでよい。特徴量算出部は、一の心拍波形の振幅と、他の心拍波形の振幅とを算出してよい。近似度算出部は、一の心拍波形の振幅と、他の心拍波形の振幅との振幅近似度を算出してよい。制御部は、振幅近似度が予め定められた振幅近似度以上である場合、波形取得部による心拍波形の取得を停止してよい。
【0005】
特徴量は、心拍波形の周波数を含んでよい。特徴量算出部は、一の心拍波形の周波数と、他の心拍波形の周波数とを算出してよい。近似度算出部は、一の心拍波形の周波数と、他の心拍波形の周波数との周波数近似度を算出してよい。制御部は、周波数近似度が予め定められた周波数近似度以上である場合、波形取得部による心拍波形の取得を停止してよい。
【0006】
特徴量は、心拍波形の周期を含んでよい。特徴量算出部は、一の心拍波形の周期と、他の心拍波形の周期とを算出してよい。近似度算出部は、一の心拍波形の周期と、他の心拍波形の周期との周期近似度を算出してよい。制御部は、周期近似度が予め定められた周期近似度以上である場合、波形取得部による心拍波形の取得を停止してよい。
【0007】
制御部は、近似度が予め定められた近似度未満である場合、波形取得部による心拍波形の取得を継続してよい。
【0008】
制御部は、波形取得部による心拍波形の取得を継続した後、近似度が予め定められた近似度以上となった場合、波形取得部による心拍波形の取得を停止してよい。
【0009】
制御部は、予め定められた近似度よりも小さい予め定められた他の近似度に基づいて、波形取得部による心拍波形の取得を制御してよい。
【0010】
心拍情報取得装置は、波形取得部により取得した心拍波形を記憶する記憶部をさらに備えてよい。特徴量算出部は、記憶部に記憶された心拍波形における特徴量を算出してよい。近似度算出部は、一の心拍波形の特徴量と、記憶部に記憶された心拍波形の特徴量との近似度を算出してよい。制御部は、一の心拍波形の特徴量と、記憶部に記憶された心拍波形の特徴量との近似度に基づいて、連続的な心拍波形における予め定められた数を制御してよい。
【0011】
特徴量算出部は、1人の患者において、予め定められた数の連続的な心拍波形における第1心拍波形の特徴量と、第1心拍波形の次の心拍波形である第2心拍波形の特徴量と、第2心拍波形の次の心拍波形である第3心拍波形の特徴量とを算出してよい。近似度算出部は、第1心拍波形の特徴量と第2心拍波形の特徴量との近似度と、第2心拍波形の特徴量と第3心拍波形の特徴量との近似度とを算出してよい。制御部は、第1心拍波形の特徴量と第2心拍波形の特徴量との近似度と、第2心拍波形の特徴量と第3心拍波形の特徴量との近似度とが、予め定められた近似度以上である場合、波形取得部による心拍波形の取得を停止してよい。
【0012】
波形取得部は、第1の患者の心拍波形と、第2の患者の心拍波形とを取得してよい。特徴量算出部は、第1の患者の心拍波形における第1特徴量と、第2の患者の心拍波形における第2特徴量とを算出してよい。近似度算出部は、第1特徴量の近似度と、第2特徴量の近似度とを算出してよい。制御部は、第1特徴量の近似度が予め定められた第1近似度以上である場合、波形取得部による第1の患者における心拍波形の取得を停止し、第2特徴量の近似度が予め定められた第2近似度以上である場合、波形取得部による第2の患者における心拍波形の取得を停止してよい。第1近似度と第2近似度とは、異なっていてよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、心拍情報取得プログラムを提供する。心拍情報取得プログラムは、コンピュータを心拍情報取得装置として機能させる。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一つの実施形態に係る心拍情報取得装置100のブロック図の一例を示す図である。
図2】患者22の身体の少なくとも一部分の一例を示す図である。
図3】波形取得部10により取得された心拍波形12の一例を示す図である。
図4】波形取得部10により取得された心拍波形12の他の一例を示す図である。
図5】波形取得部10により取得された心拍波形12の他の一例を示す図である。
図6】波形取得部10により取得された心拍波形12の他の一例を示す図である。
図7】波形取得部10により取得された心拍波形126の一例を示す図である。
図8】心拍波形12-1の一例を示す図である。
図9】心拍波形12-2の一例を示す図である。
図10】本発明の一つの実施形態に係る心拍情報取得方法の一例を示す図である。
図11図10における段階S104および段階S108の詳細の一例を示す図である。
図12】本発明の心拍情報取得装置100が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る心拍情報取得装置100のブロック図の一例を示す図である。心拍情報取得装置100は、波形取得部10、特徴量算出部20、近似度算出部30および制御部40を備える。心拍情報取得装置100は、例えばCPU、メモリおよびインターフェース等を備えるコンピュータである。
【0018】
心拍情報取得装置100は、入力部70、画像表示部50および記憶部60を備えてよい。画像表示部50は、例えばコンピュータのモニタ、ディスプレイ等である。入力部70は、例えばコンピュータのキーボード、マウス等である。記憶部60は、コンピュータハードディスク等である。記憶部60は、コンピュータ内臓のハードディスク等であってよく、コンピュータに外付けのハードディスク等であってもよい。心拍情報取得装置100がコンピュータである場合、当該コンピュータには当該コンピュータを心拍情報取得装置100として機能させるための心拍情報取得プログラムがインストールされていてよい。
【0019】
心拍情報取得装置100は、血流音取得部80を備えてよい。血流音取得部80は、患者の血流音を取得する。血流音取得部80は、例えば聴診器である。血流音取得部80は、電子聴診器であってよい。血流音取得部80は、取得した血流音を波形取得部10に送信する。
【0020】
波形取得部10は、1または複数の患者の心拍波形を取得する。心拍波形とは、患者の心臓の心拍により心臓から送り出される血流の音の波形である。当該血流音は、血流音取得部80により取得されてよい。本例においては、波形取得部10は、血流音取得部80により取得された血流音から、当該血流音の波形を取得する。波形取得部10により取得された心拍波形は、画像表示部50に表示されてよい。
【0021】
特徴量算出部20は、波形取得部10により取得された心拍波形の特徴量を算出する。心拍波形の特徴量とは、後述するとおり、例えば心拍波形の振幅、周波数および周期の少なくとも一つである。近似度算出部30は、特徴量算出部20により算出された、心拍波形の特徴量の近似度を算出する。制御部40は、波形取得部10による心拍波形の取得を制御する。制御部40は、例えばCPUである。
【0022】
図2は、患者22の身体の少なくとも一部分の一例を示す図である。本例において、患者22は人工透析治療を受けているとする。本例においては、患者22の身体の少なくとも一部分は、患者22の腕である。患者22の身体の少なくとも一部分は、患者22の利き腕ではない方の腕であってよい。
【0023】
人工透析治療においては、患者22の身体にシャント24を設けることにより、患者22の血液を患者22の体外に導き出す。シャント24は、患者22の身体に埋め込まれていてよい。シャント24は、患者22の身体の内部において、患者22の血管26と接続されていてよい。血管26は、患者22の静脈および動脈の少なくとも一方である。図2において、血管26およびシャント24が、それぞれが破線および実線にて示されている。
【0024】
シャント24が患者22の身体に埋め込まれている場合、シャント24は視認されない。図2においては、患者22の身体においてシャント24が設けられた位置を表示するため、シャント24が可視的に示されている。
【0025】
看護師、臨床検査技師、医者および患者22の少なくとも一人は、患者22の血管26を検査する場合がある。本明細書において、看護師、臨床検査技師、医者および患者22の少なくとも一人を看護師等と称する。看護師等は、患者22の血管26に血管狭窄が生じているか否かを検査してよい。
【0026】
血管26は、血流音取得部80(図1参照)により聴診されてよい。血管26は、聴診により検査されてよい。血管26に血管狭窄が生じているか否かは、聴診により検査されてよい。血流音取得部80は、シャント音を取得してよい。シャント音とは、シャント24を流れる血液の血流音である。血流音取得部80は、血管26の血流音を取得してもよい。
【0027】
患者の心拍を、心拍Hbとする。患者の複数の連続的な心拍Hbのうち、4つの連続的な心拍Hbを心拍Hb1~心拍Hb4とする。心拍Hb1~心拍Hb4が連続的であるとは、心拍Hb2が心拍Hb1の次の心拍であり、心拍Hb3が心拍Hb2の次の心拍であり、心拍Hb4が心拍Hb3の次の心拍であることを指す。
【0028】
図3は、波形取得部10により取得された心拍波形12の一例を示す図である。心拍波形12は、患者の心拍Hbを測定した場合における、複数の連続的な心拍Hbに対応する心拍波形である。心拍波形13は、心拍波形12のうち1つの心拍Hbに対応する心拍波形である。図3においては、複数の連続的な心拍Hbのうち、4つの連続的な心拍Hbに対応する心拍波形13が示されている。心拍波形13-1~心拍波形13-4は、それぞれ心拍Hb1~心拍Hb4に対応している。心拍波形13-1~心拍波形13-4を、それぞれ第1心拍波形13-1~第4心拍波形13-4とする。
【0029】
特徴量算出部20(図1参照)は、1人の患者22において、予め定められた数の連続的な心拍波形13における一の心拍波形13の特徴量および他の心拍波形13の特徴量を算出する。本例においては、特徴量算出部20は、第1心拍波形13-1の特徴量、第2心拍波形13-2の特徴量および第3心拍波形13-3の特徴量を算出する。心拍波形13の特徴量とは、1つの心拍Hb(心拍Hb1)に対応する一の心拍波形13(第1心拍波形13-1)と、他の1つの心拍Hb(心拍Hb2)に対応する他の心拍波形13(第2心拍波形13-2)とが相互に近似しているか否かの判断基準となる特徴量である。
【0030】
一の心拍波形13は、第1心拍波形13-1~第4心拍波形13-4の少なくとも1つであってよい。他の心拍波形13は、第1心拍波形13-1~第4心拍波形13-4の少なくとも1つであって、当該一の心拍波形13とは異なる他の心拍波形13であってよい。本例においては、一の心拍波形13を第1心拍波形13-1とし、他の心拍波形13を第2心拍波形13-2および第3心拍波形13-3とする。
【0031】
近似度算出部30(図1参照)は、一の心拍波形13の特徴量と、他の心拍波形13の特徴量との近似度を算出する。本例においては、第1心拍波形13-1の特徴量と第2心拍波形13-2の特徴量との近似度、および、第1心拍波形13-1の特徴量と第3心拍波形13-3の特徴量との近似度を算出する。即ち、本例において、近似度算出部30は、連続する3つの心拍波形13から選択される2つの心拍波形13の近似度を、異なる心拍波形13の組み合わせについて算出する。
【0032】
一の心拍波形13の特徴量と、他の心拍波形13の特徴量との近似度を、近似度Csとする。第1心拍波形13-1の特徴量と第2心拍波形13-2の特徴量との近似度を、近似度Cs1とする。第2心拍波形13-2の特徴量と第3心拍波形13-3の特徴量との近似度を、近似度Cs2とする。
【0033】
制御部40は、近似度算出部30により算出された、心拍波形13の特徴量の近似度Csに基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御する。本例においては、制御部40は、近似度Cs1および近似度Cs2に基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御する。制御部40は、心拍波形13の特徴量の近似度Csに基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよく、継続してもよい。制御部40は、近似度Cs1および近似度Cs2に基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよく、継続してもよい。
【0034】
本例において、近似度算出部30は、第1心拍波形13-1の特徴量と第2心拍波形13-2の特徴量のみを算出してもよい。即ち、近似度算出部30は、連続する2つの心拍Hb1およびHb2に対応する、連続する2つの心拍波形13の近似度のみを算出してもよい。制御部40は、近似度Cs1のみに基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御してもよい。ただし、看護師等が患者22のシャント24および血管26の状態を検査し得る心拍波形12を、波形取得部10が取得するためには、制御部40は、近似度Cs1および近似度Cs2に基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御することが好ましい。
【0035】
近似度算出部30は、第3心拍波形13-3の特徴量と第1心拍波形13-1の特徴量との近似度を、さらに算出してもよい。当該近似度を、近似度Cs3とする。制御部40は、近似度Cs1、近似度Cs2および近似度Cs3に基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御してもよい。制御部40が近似度Cs1、近似度Cs2および近似度Cs3に基づいて心拍波形12の取得を制御する場合、近似度Cs1および近似度Cs2に基づいて心拍波形12の取得を制御する場合よりも、制御部40は、より精密に波形取得部10による心拍波形12の取得を制御できる。
【0036】
人工透析治療においては、心拍波形12に基づいて、患者22の血管26およびシャント24の状態が判断される。看護師等が患者22の血管26およびシャント24の状態を判断するためには、心拍波形12に含まれる複数の連続的な心拍波形13において、一の心拍波形13の特徴量と他の心拍波形13の特徴量とが、予め定められた近似度以上であることが好ましい。即ち、看護師等が患者22の血管26およびシャント24の状態を判断するためには、心拍波形12に含まれる予め定められた複数の連続的な心拍波形13の形状が、相互に近似していることが好ましい。
【0037】
心拍波形13の特徴量の予め定められた近似度を、近似度Cdとする。本例の心拍情報取得装置100においては、心拍波形13の特徴量の近似度Csが近似度Cd以上である場合、制御部40は、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止する。このため、看護師等は、心拍波形12の取得を手動で停止しなくてよい。
【0038】
制御部40は、心拍波形13の特徴量の近似度Csが近似度Cd未満である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を継続してよい。制御部40は、心拍波形12の取得を継続した後、心拍波形13の特徴量の近似度Csが近似度Cd以上となった場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよい。制御部40は、心拍波形12に含まれる複数の連続的な心拍波形13において、一の心拍波形13の特徴量と他の心拍波形13の特徴量との近似度Csが近似度Cd未満である場合、近似度Csが近似度Cd以上になるまで、心拍波形12の取得を継続してよい。
【0039】
本例の心拍情報取得装置100においては、心拍波形13の特徴量の近似度Csが近似度Cd未満である場合、制御部40は波形取得部10による心拍波形12の取得を継続し、近似度Csが近似度Cd以上となった場合、制御部40は心拍波形12の取得を停止する。このため、看護師等は、心拍波形12の取得を継続または停止するかを判断しなくてよい。
【0040】
制御部40が波形取得部10による心拍波形12の取得を継続した場合において、制御部40は、近似度Cdよりも小さい予め定められた他の近似度に基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御してよい。当該予め定められた他の近似度を、近似度Cd'とする。制御部40が波形取得部10による心拍波形12の取得を継続した場合において、制御部40は、心拍波形13の特徴量の近似度Csが近似度Cd'以上となった場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよい。
【0041】
心拍波形13のpeak-to-peakの振幅を、振幅Apとする。振幅Apは、心拍波形13の電圧[V]の振幅であってよく、心拍波形13に係る血流音の強度[dB]の振幅であってもよい。
【0042】
第1心拍波形13-1~第4心拍波形13-4のpeak-to-peakの振幅を、それぞれ振幅Ap1~振幅Ap4とする。特徴量算出部20により算出された心拍波形13の特徴量は、心拍波形13の振幅(振幅Ap)を含んでよい。心拍波形13の当該振幅は、心拍波形13のpeak-to-peakの振幅であってよく、心拍波形13のrmsの振幅であってもよい。
【0043】
特徴量算出部20は、一の心拍波形13の振幅と、他の心拍波形13の振幅とを算出してよい。本例においては、特徴量算出部20は、第1心拍波形13-1の振幅Ap1を算出し、第2心拍波形13-2の振幅Ap2および第3心拍波形13-3の振幅Ap3を算出する。近似度算出部30は、一の心拍波形13の振幅と、他の心拍波形13の振幅との振幅近似度を算出してよい。本例においては、近似度算出部30は、第1心拍波形13-1の振幅Ap1と第2心拍波形13-2の振幅Ap2との振幅近似度、および、第1心拍波形13-1の振幅Ap1と第3心拍波形13-3の振幅Ap3との振幅近似度を算出する。
【0044】
振幅近似度とは、一の心拍波形13の振幅が他の心拍波形13の振幅よりも大きい場合、一の心拍波形13の振幅に対する他の心拍波形13の振幅の割合であってよい。本例において、当該場合の振幅近似度は、Vp2/Vp1およびVp3/Vp1である。振幅近似度とは、一の心拍波形13の振幅が他の心拍波形13の振幅よりも小さい場合、他の心拍波形13の振幅に対する一の心拍波形13の振幅の割合であってよい。本例において、当該場合の振幅近似度は、Vp1/Vp2およびVp1/Vp3である。なお、一の心拍波形13の振幅と他の心拍波形13の振幅とが等しい場合は、振幅近似度は100%である。
【0045】
一の心拍波形13の振幅と、他の心拍波形13の振幅との近似度を、振幅近似度Csaとする。第1心拍波形13-1の振幅と第2心拍波形13-2の振幅との振幅近似度を、振幅近似度Csa1とする。第1心拍波形13-1の振幅と第3心拍波形13-3の振幅との振幅近似度を、振幅近似度Csa2とする。
【0046】
制御部40は、振幅近似度Csa1および振幅近似度Csa2に基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御してよい。制御部40は、振幅近似度Csa1および振幅近似度Csa2に基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよく、継続してもよい。
【0047】
心拍波形13の振幅の予め定められた近似度を、振幅近似度Cdaとする。制御部40は、振幅近似度Csaが振幅近似度Cda以上である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよい。制御部40は、振幅近似度Csaが振幅近似度Cda未満である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を継続してよい。振幅近似度Cdaは、80%以上100%以下であってよく、90%以上100%以下であってもよく、95%以上100%以下であってもよい。
【0048】
振幅近似度Cdaは、記憶部60に記憶されていてよい。振幅近似度Cdaは、シャント24および血管26の状態の検査ごとに、更新されてよい。振幅近似度Cdaは、看護師等により更新されてよい。制御部40は、振幅近似度Csaが、更新された振幅近似度Cda以上である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよい。記憶部60は、複数の患者22ごとに、振幅近似度Cdaを記憶していてもよい。
【0049】
心拍波形13の周波数を、周波数fとする。心拍波形13の周波数fは、心拍波形13のパワースペクトル密度における第1の面積S1であって、予め定められた第1の周波数帯域fb1の面積であってよい。心拍波形13の周波数fは、心拍波形13のパワースペクトル密度における第2の面積S2に占める第1の面積S1の割合であってもよい。第2の面積S2は、予め定められた第2の周波数帯域fb2の面積であってよい。第2の周波数帯域fb2は、第1の周波数帯域fb1を包含してよい。心拍波形13の周波数fとは、心拍波形13のパワースペクトル密度における、周波数fごとの面積のうち、最大の面積に対応する周波数fを指してもよい。
【0050】
第1心拍波形13-1~第4心拍波形13-4の周波数fを、それぞれ周波数f1~周波数f4とする。特徴量算出部20により算出された心拍波形13の特徴量は、心拍波形13の周波数fを含んでよい。
【0051】
特徴量算出部20は、一の心拍波形13の周波数fと、他の心拍波形13の周波数fとを算出してよい。本例においては、特徴量算出部20は、第1心拍波形13-1の周波数f1を算出し、第2心拍波形13-2の周波数f2および第3心拍波形13-3の周波数f3を算出する。近似度算出部30は、一の心拍波形13の周波数fと、他の心拍波形13の周波数fとの周波数近似度を算出してよい。本例においては、近似度算出部30は、第1心拍波形13-1の周波数f1と第2心拍波形13-2の周波数f2との周波数近似度、および、第1心拍波形13-1の周波数f1と第3心拍波形13-3の周波数f3との周波数近似度を算出する。
【0052】
周波数近似度とは、一の心拍波形13の周波数fが他の心拍波形13の周波数fよりも大きい場合、一の心拍波形13の周波数fの大きさに対する他の心拍波形13の周波数fの大きさの割合であってよい。本例において、当該場合の周波数近似度は、f2/f1およびf3/f1である。周波数近似度とは、一の心拍波形13の周波数fが他の心拍波形13の周波数fよりも小さい場合、他の心拍波形13の周波数fの大きさに対する一の心拍波形13の周波数fの大きさの割合であってよい。本例において、当該場合の周波数近似度は、f1/f2およびf1/f3である。なお、一の心拍波形13の周波数fと他の心拍波形13の周波数fとが等しい場合は、周波数近似度は100%である。
【0053】
一の心拍波形13の周波数と、他の心拍波形13の周波数との近似度を、周波数近似度Csfとする。第1心拍波形13-1の周波数f1と第2心拍波形13-2の周波数f2との周波数近似度を、周波数近似度Csf1とする。第1心拍波形13-1の周波数f1と第3心拍波形13-3の周波数f3との周波数近似度を、周波数近似度Csf2とする。
【0054】
制御部40は、周波数近似度Csf1および周波数近似度Csf2に基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御してよい。制御部40は、周波数近似度Csf1および周波数近似度Csf2に基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよく、継続してもよい。
【0055】
心拍波形13の周波数の予め定められた近似度を、周波数近似度Cdfとする。制御部40は、周波数近似度Csfが周波数近似度Cdf以上である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよい。制御部40は、周波数近似度Csfが周波数近似度Cdf未満である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を継続してよい。周波数近似度Cdfは、80%以上100%以下であってよく、90%以上100%以下であってもよく、95%以上100%以下であってもよい。
【0056】
周波数近似度Cdfは、記憶部60に記憶されていてよい。周波数近似度Cdfは、シャント24および血管26の状態の検査ごとに、更新されてよい。周波数近似度Cdfは、看護師等により更新されてよい。制御部40は、周波数近似度Csfが、更新された周波数近似度Cdf以上である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよい。記憶部60は、複数の患者22ごとに、周波数近似度Cdfを記憶していてもよい。
【0057】
心拍波形13の周期を、周期Tとする。波形取得部10は、血流音の時間変化に基づいてエンベロープ波形を算出してよい。波形取得部10は、当該エンベロープ波形の微分波形を算出してよい。波形取得部10は、当該微分波形の振幅と予め定められた閾値thとを比較してよい。当該微分波形の振幅が予め定められた閾値th以上である場合、制御部40は、1つの心拍Hbを検出したと判断してよい。心拍波形13の周期Tの大きさは、制御部40が1つの心拍Hbを検出したと判断した時刻から、当該1つの心拍Hbの次の心拍Hbを検出したと判断した時刻までの時間間隔であってよい。心拍波形13の周期Tの始期は、心拍波形13の振幅が最大となる時刻であってよく、最小となる時刻であってもよい。
【0058】
第1心拍波形13-1~第4心拍波形13-4の周期Tを、それぞれ周波数T1~周波数T4とする。特徴量算出部20により算出された心拍波形13の特徴量は、心拍波形13の周期Tを含んでよい。
【0059】
特徴量算出部20は、一の心拍波形13の周期Tと、他の心拍波形13の周期Tとを算出してよい。本例においては、特徴量算出部20は、第1心拍波形13-1の周期T1を算出し、第2心拍波形13-2の周期T2および第3心拍波形13-3の周期T3を算出する。近似度算出部30は、一の心拍波形13の周期Tと、他の心拍波形13の周期Tとの周期近似度を算出してよい。本例においては、近似度算出部30は、第1心拍波形13-1の周期T1と第2心拍波形13-2の周期T2との周期近似度、および、第1心拍波形13-1の周期T1と第3心拍波形13-3の周期T3との周期近似度を算出する。
【0060】
周期近似度とは、一の心拍波形13の周期Tが他の心拍波形13の周期Tよりも大きい場合、一の心拍波形13の周期Tに対する他の心拍波形13の周期Tの割合であってよい。本例において、当該場合の周期近似度は、T2/T1およびT3/T1である。周期近似度とは、一の心拍波形13の周期Tが他の心拍波形13の周期Tよりも小さい場合、他の心拍波形13の周期Tに対する一の心拍波形13の周期Tの割合であってよい。本例において、当該場合の周期近似度は、T1/T2およびT1/T3である。なお、一の心拍波形13の周期Tと他の心拍波形13の周期Tとが等しい場合は、周期近似度は100%である。
【0061】
一の心拍波形13の周期と、他の心拍波形13の周期との近似度を、周期近似度CsTとする。第1心拍波形13-1の周期T1と第2心拍波形13-2の周期T2との周期近似度を、周期近似度CsT1とする。第1心拍波形13-1の周期T1と第3心拍波形13-3の周期T3との周期近似度を、周期近似度CsT2とする。
【0062】
制御部40は、周期近似度CsT1および周期近似度CsT2に基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御してよい。制御部40は、周期近似度CsT1および周期近似度CsT2に基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよく、継続してもよい。
【0063】
心拍波形13の周期の予め定められた近似度を、周期近似度CdTとする。制御部40は、周期近似度CsTが周期近似度CdT以上である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよい。制御部40は、周期近似度CsTが周期近似度CdT未満である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を継続してよい。周期近似度CsTは、80%以上100%以下であってよく、90%以上100%以下であってもよく、95%以上100%以下であってもよい。
【0064】
周期近似度CdTは、記憶部60に記憶されていてよい。周期近似度CdTは、シャント24および血管26の状態の検査ごとに、更新されてよい。周期近似度CdTは、看護師等により更新されてよい。制御部40は、周期近似度CsTが、更新された周期近似度CdT以上である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を停止してよい。記憶部60は、複数の患者22ごとに、周期近似度CdTを記憶していてもよい。
【0065】
図4は、波形取得部10により取得された心拍波形12の他の一例を示す図である。本例の心拍波形12においては、第3心拍波形13-3の振幅が図3に示される第3心拍波形13-3の振幅と異なる。本例の第3心拍波形13-3のpeak-to-peak振幅を、振幅Ap3'とする。本例においては、振幅Ap3'は振幅Ap3よりも大きい。
【0066】
図3の例と同様に、一の心拍波形13を第1心拍波形13-1とし、他の心拍波形13を第2心拍波形13-2および第3心拍波形13-3とする。図3の例と同様に、第1心拍波形13-1の振幅(振幅Ap1)と第2心拍波形13-2の振幅(振幅Ap2)との振幅近似度を、振幅近似度Csa1とする。本例においては、第1心拍波形13-1の振幅(振幅Ap1)と第3心拍波形13-3の振幅(振幅Ap3')との振幅近似度を、振幅近似度Csa2'とする。
【0067】
制御部40は、一の心拍波形13の振幅と、他の心拍波形13の振幅との振幅近似度Csaが振幅近似度Cda未満である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を継続してよい。本例においては、振幅近似度Csa1は振幅近似度Cda以上であるが、振幅近似度Csa2'は振幅近似度Cda未満であるとする。振幅近似度Csa2'が振幅近似度Cda未満である場合、制御部40は、波形取得部10による心拍波形12の取得を継続する。なお、血流音取得部80が聴診器である場合であって、当該聴診器が患者22の身体における予め定められた場所からずれた場合、図4に示される第3心拍波形13-3のような心拍波形13が観測されやすい。
【0068】
図5は、波形取得部10により取得された心拍波形12の他の一例を示す図である。本例の心拍波形12においては、第3心拍波形13-3が観測されていない。本例の心拍波形12は、この点で図3に示される第3心拍波形13-3と異なる。本例の第2心拍波形13-2の周期Tを、周期T2'とする。周期T2'は周期Tよりも大きい。
【0069】
本例においては、一の心拍波形13を第1心拍波形13-1とし、他の心拍波形13を第2心拍波形13-2とする。第1心拍波形13-1の周期T1と第2心拍波形13-2の周期T2との周期近似度を、周期近似度CsT1'とする。
【0070】
制御部40は、一の心拍波形13の周期Tと、他の心拍波形13の周期Tとの周期近似度CsTが周期近似度CdT未満である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を継続してよい。本例においては、周期近似度CsT1'は周期近似度CdT未満であるとする。周期近似度CsT1'が周期近似度CdT未満である場合、制御部40は、波形取得部10による心拍波形12の取得を継続する。なお、患者22の心拍Hbに不整脈がある場合、図5に示される第2心拍波形13-2のような心拍波形13が観測されやすい。
【0071】
図6は、波形取得部10により取得された心拍波形12の他の一例を示す図である。本例の心拍波形12においては、第3心拍波形13-3の周波数fが図3に示される第3心拍波形13-3の周波数f3と異なる。本例の第3心拍波形13-3の周波数fを、周波数f3'とする。周波数f3'は、周波数f3よりも小さい。なお、血管26(図2)に血管狭窄が生じた場合における心拍波形13の周波数特性と、血管狭窄が生じる前における心拍波形13の周波数特性とは、異なる場合がある。図6に示される心拍波形12は、血管26に血管狭窄が生じた場合に、観測され得る。
【0072】
図3の例と同様に、一の心拍波形13を第1心拍波形13-1とし、他の心拍波形13を第2心拍波形13-2および第3心拍波形13-3とする。図3の例と同様に、第1心拍波形13-1の周波数f1と第2心拍波形13-2の周波数f2との周波数近似度を、周波数近似度Csf1とする。本例においては、第1心拍波形13-1の周波数f1と第3心拍波形13-3の周波数f3との振幅近似度を、周波数近似度Csf2'とする。
【0073】
制御部40は、一の心拍波形13の周波数fと、他の心拍波形13の周波数fとの周波数近似度Csfが周波数近似度Cdf未満である場合、波形取得部10による心拍波形12の取得を継続してよい。本例においては、周波数近似度Csf1は周波数近似度Cdf以上であるが、周波数近似度Csf2'は周波数近似度Cdf未満であるとする。周波数近似度Csf2'が周波数近似度Cdf未満である場合、制御部40は、波形取得部10による心拍波形12の取得を継続する。なお、血流音取得部80が、心拍情報取得装置100の外部のノイズを取得した場合、図6に示される第3心拍波形13-3のような心拍波形13が観測されやすい。
【0074】
制御部40は、振幅近似度Csa、周波数近似度Csfおよび周期近似度CsTの少なくとも一つに基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御してよい。制御部40は、振幅近似度Csa、周波数近似度Csfおよび周期近似度CsTから選択される複数の近似度Csに基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御してもよい。制御部40が当該複数の近似度Csに基づいて波形取得部10を制御する場合、1つの近似度Csに基づいて波形取得部10を制御する場合よりも、制御部40は心拍波形12の取得および継続を、精密に制御できる。
【0075】
図7は、波形取得部10により取得された心拍波形126の一例を示す図である。心拍情報取得装置100は、心拍波形126を記憶する記憶部60(図1参照)をさらに備えてよい。即ち、心拍波形126は、記憶部60に記憶された心拍波形である。看護師等が患者22を検査する場合において、心拍波形126は、心拍波形12とは異なるタイミングで取得された心拍波形である。心拍波形12(図3図6参照)は、例えば、現在の検査において波形取得部10により取得された心拍波形である。心拍波形126は、例えば、現在よりも数日前の検査において波形取得部10により取得された心拍波形である。
【0076】
本例においては、現在の検査において図3に示される心拍波形12が取得され、現在よりも数日前の検査において心拍波形126が取得されているとする。心拍波形126における1つの心拍波形を、心拍波形136とする。心拍波形136-1~心拍波形136-4の振幅を、それぞれ振幅Ap1''~ 振幅Ap4''とする。本例においては、心拍波形136-1~心拍波形136-4の振幅(振幅Ap1''~ 振幅Ap4'')は、第1心拍波形13-1~第4心拍波形13-4の振幅(振幅Ap1~振幅Ap4)よりも小さい。
【0077】
特徴量算出部20は、心拍波形126における特徴量を算出してよい。特徴量算出部20は、心拍波形126における1つの心拍波形136の特徴量を算出してよい。近似度算出部30は、一の心拍波形13の特徴量と、心拍波形136の特徴量との近似度を算出してよい。当該近似度を、近似度Csdとする。
【0078】
制御部40は、近似度Csdに基づいて、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御してよい。制御部40は、心拍波形126の取得後において波形取得部10が心拍波形12を取得するか否かを、近似度Csdに基づいて制御してよい。近似度Csdは、近似度Csと異なっていてよい。近似度Csは、上述したとおり、1つの心拍波形12における2つの心拍波形13の近似度である。
【0079】
制御部40は、近似度Csdに基づいて、連続的な心拍波形13における予め定められた数を制御してよい。心拍波形126の取得時における、心拍波形136の予め定められた数を波形数N1とする。心拍波形126の取得後における、心拍波形13の予め定められた数を波形数N2とする。制御部40は、近似度Csdに基づいて、波形数N2を波形数N1よりも大きくするか、小さくするかを制御してよく、波形数N2を波形数N1と同じにするかを制御してよい。特徴量算出部20は、連続的な心拍波形13において、一の心拍波形13の特徴量および他の心拍波形13の特徴量を算出してよい。
【0080】
看護師等が患者22を検査後、例えば数日後においては、患者22のシャント24または血管26の状態は、血管狭窄の進行等により変化している場合がある。シャント24または血管26の状態が変化した場合においては、シャント24または血管26の状態の検査に必要とされる、連続的な心拍波形13の数が変化する場合がある。本例の心拍情報取得装置100においては、シャント24または血管26の状態が変化した場合においても、制御部40は、波形取得部10による心拍波形12の取得を制御できる。
【0081】
波形取得部10は、複数の患者22の心拍波形12を取得してもよい。複数の患者22から選択される第1の患者22および第2の患者22を、それぞれ患者22-1および患者22-2とする。患者22-1の心拍波形12を、心拍波形12-1とする。患者22-2の心拍波形12を、心拍波形12-2とする。
【0082】
図8は、心拍波形12-1の一例を示す図である。心拍波形12-1における1つの心拍波形13を心拍波形23とする。心拍波形23-1~心拍波形23-4の振幅を、それぞれ振幅Ap21~ 振幅Ap24とする。
【0083】
図9は、心拍波形12-2の一例を示す図である。心拍波形12-2における1つの心拍波形13を心拍波形33とする。心拍波形33-1~心拍波形33-4の振幅を、それぞれ振幅Ap31~ 振幅Ap34とする。本例においては、心拍波形33-1~心拍波形33-4の振幅(振幅Ap31~ 振幅Ap34)は、心拍波形23-1~心拍波形23-4の振幅(振幅Ap21~振幅Ap24)よりも小さい。
【0084】
特徴量算出部20は、心拍波形12-1における第1特徴量と、心拍波形12-2における第2特徴量とを算出してよい。即ち、特徴量算出部20は、患者22ごとに、心拍波形12の特徴量を算出してよい。
【0085】
近似度算出部30は、第1特徴量の近似度と、第2特徴量の近似度とを算出してよい。即ち、近似度算出部30は、患者22ごとに、心拍波形13の近似度を算出してよい。第1特徴量の当該近似度を、近似度Csp1とする。第2特徴量の当該近似度を、近似度Csp2とする。近似度Csp1は、複数の連続的な心拍波形23における一の心拍波形23(例えば心拍波形23-1)と、他の心拍波形23(例えば心拍波形23-2)との近似度である。近似度Csp2は、複数の連続的な心拍波形33における一の心拍波形33(例えば心拍波形33-1)と、他の心拍波形33(例えば心拍波形33-2)との近似度である。
【0086】
制御部40は、近似度Csp1に基づいて、波形取得部10による心拍波形12-1の取得を制御してよい。制御部40は、近似度Csp2に基づいて、波形取得部10による心拍波形12-2の取得を制御してよい。
【0087】
制御部40は、近似度Csp1が予め定められた第1近似度以上である場合、波形取得部10による心拍波形12-1の取得を停止してよい。当該第1近似度を、第1近似度C1とする。第1近似度C1は、患者22-1の固有の近似度であってよい。制御部40は、近似度Csp2が予め定められた第2近似度以上である場合、波形取得部10による心拍波形12-2の取得を停止してよい。当該第2近似度を、第2近似度C2とする。第2近似度C2は、患者22-2の固有の近似度であってよい。
【0088】
第1近似度C1と第2近似度C2とは、異なっていてよい。心拍波形12の形状は、患者22ごとに異なりやすい。このため、患者22のシャント24または血管26の状態を検査可能と判断される心拍波形13の形状も、患者22ごとに異なりやすい。本例においては、制御部40は、患者22-1に固有の第1近似度C1により、波形取得部10による心拍波形12-1の取得を制御し、患者22-2に固有の第2近似度C2により、波形取得部10による心拍波形12-2の取得を制御する。このため、本例の心拍情報取得装置100においては、制御部40は患者22ごとに心拍波形12の取得の停止および継続を制御できる。
【0089】
図10は、本発明の一つの実施形態に係る心拍情報取得方法の一例を示す図である。図10は、心拍情報取得装置100が使用された場合における心拍情報取得方法の一例である。図10において、心拍情報取得装置100のユーザが実行する段階、血流音取得部80が実行する段階および心拍情報取得装置100が実行する段階が、それぞれ粗い破線で区切られている。当該ユーザは、看護師等であってよい。
【0090】
段階S100は、ユーザが患者22の血流音の録音を開始する段階である。当該血流音は、患者22の心拍Hbにより心臓から送り出される血流の音である。段階S100は、ユーザが心拍情報取得装置100および血流音取得部80を稼働可能な状態にする(オンにする)段階であってよい。
【0091】
段階S102は、血流音取得部80が患者22の血流音を心拍情報取得装置100に送信する段階である。血流音取得部80は、電子聴診器であってよい。
【0092】
段階S104は、波形取得部10が心拍波形12を取得する段階である。段階S104において、波形取得部10は、血流音取得部80により取得された血流音から、当該血流音の波形を取得する。
【0093】
段階S106は、心拍波形12から1つの心拍Hbを検出したか否かを判断する段階である。段階S106において、制御部40が1つの心拍Hbを検出したか否かを判断してよい。段階S106において、1つの心拍Hbが検出されないと判断された場合、本例の心拍情報取得方法は段階S102に戻る。
【0094】
段階S108は、特徴量算出部20が心拍波形12の特徴量を算出する段階である。上述したとおり、当該特徴量は、心拍波形13の振幅、周波数および周期の少なくとも一つであってよい。心拍波形13は、心拍波形12のうち1つの心拍Hbに対応する心拍波形である。
【0095】
段階S110は、特徴量算出部20がn個の特徴量を算出したか否かを判断する段階である。段階S110において、制御部40が、n個の特徴量を算出したか否かを判断してよい。特徴量算出部20は、患者22の心拍波形12において、予め定められた数の連続的な心拍波形13の特徴量を、心拍波形13ごとに算出する。n個とは、当該予め定められた数を指す。nは、2以上の整数である。nは、例えば3である。段階S110において、n個の特徴量が算出されたと判断されない場合、本例の心拍情報取得方法は段階S102に戻る。
【0096】
段階S112は、近似度算出部30が特徴量の近似度Csを算出する段階である。上述のnが3の場合において、近似度算出部30は、第1心拍波形13-1(図3参照)の特徴量と第2心拍波形13-2(図3参照)の特徴量との近似度Cs1、および、第2心拍波形13-2(図3参照)の特徴量と第3心拍波形13-3(図3参照)の特徴量との近似度Cs2を、算出してよい。
【0097】
段階S114は、特徴量が近似しているか否かを判断する段階である。段階S114において、制御部40が、特徴量が近似しているか否かを判断してよい。上述のnが3の場合においては、制御部40は、上述した予め定められた近似度Cdと近似度Cs1とを比較し、且つ、近似度Cdと近似度Cs2とを比較することにより、特徴量が近似しているか否かを判断してよい。段階S114において、特徴量が近似していると判断されない場合、本例の心拍情報取得方法は段階S102に戻る。
【0098】
段階S116は、波形取得部10による心拍波形12の取得の停止を命令する段階である。段階S116において、制御部40が波形取得部10に、心拍波形12の取得の停止を命令してよい。段階S116において、制御部40が血流音取得部80に、心拍波形12の送信の停止を命令してよい。
【0099】
段階S117は、血流音取得部80が、心拍情報取得装置100への血流音の送信を停止する段階である。血流音取得部80は、段階S116における心拍波形12の送信停止の命令を受けた後、血流音の送信を停止してよい。
【0100】
段階S118は、波形取得部10が心拍波形12の取得を停止する段階である。波形取得部10は、段階S116における心拍波形12の送信停止の命令を受けた後、心拍波形12の取得を停止してよい。
【0101】
段階S120は、取得した心拍波形12を解析する段階である。段階S120において、制御部40が、心拍波形12を解析してよい。
【0102】
段階S122は、心拍波形12が解析された結果を画像表示部50(図1参照)に表示する段階である。段階S122において、制御部40が当該結果を画像表示部50に表示してよい。段階S124は、画像表示部50に表示された解析結果をユーザが確認する段階である。
【0103】
図11は、図10における段階S104および段階S108の詳細の一例を示す図である。段階S104は、波形取得部10が心拍波形12を取得する段階である。本例において、段階S104は、段階S1042、段階S1044、段階S1046および段階S1048を有する。段階S108は、特徴量算出部20が心拍波形12の特徴量を算出する段階である。本例において、段階S108は、段階S1082、段階S1084、段階S1085、段階S1086、段階S1087および段階S1088を有する。
【0104】
段階S1042は、血流音取得部80により送信された血流音を、波形取得部10が受信する段階である。段階S1044は、波形取得部10が、当該血流音の時間変化に基づいて、エンベロープ波形を算出する段階である。当該エンベロープ波形を、エンベロープ波形Weとする。
【0105】
段階S1046は、波形取得部10が、エンベロープ波形Weの微分波形を算出する段階である。当該微分波形を、微分波形dWeとする。段階S1047は、波形取得部10が、予め定められた閾値thと微分波形dWeとを比較する段階である。段階S1047は、波形取得部10が、閾値thと微分波形dWeの振幅とを比較する段階であってよい。当該振幅は、微分波形dWeのpeak-to-peakの振幅であってよく、微分波形dWeのrmsの振幅であってもよい。当該振幅が、微分波形dWeのpeak-to-peakの振幅である場合、当該振幅は、予め定められた時刻tにおけるpeak-to-peakの振幅であってよい。当該振幅が、微分波形dWeのrmsの振幅である場合、当該振幅は、予め定められた時刻tから予め定められた時間Tの間におけるrmsの振幅であってよい。
【0106】
段階S1048は、波形取得部10が、微分波形dWeが閾値th以上であるか否かを判断する段階である。段階S1048において、波形取得部10が、微分波形dWeが閾値th以上であると判断しない場合(閾値th未満であると判断した場合)、本例の心拍情報取得方法は段階S1042に戻る。
【0107】
段階S106は、上述したとおり、心拍波形12から1つの心拍Hbを検出したか否かを判断する段階である。段階S106において、制御部40が1つの心拍Hbを検出したか否かを判断してよい。本例においては、段階S1048において、波形取得部10が、微分波形dWeが閾値th以上であると判断した場合、段階S106において、制御部40は1つの心拍Hbを検出したと判断する。
【0108】
段階S1082は、特徴量算出部20が心拍波形13を取得する段階である。心拍波形13は、心拍波形12のうち1つの心拍Hbに対応する心拍波形である。
【0109】
段階S1084は、特徴量算出部20が心拍波形13の振幅を算出する段階である。当該振幅は、心拍波形13のpeak-to-peakの振幅であってよく、心拍波形13のrmsの振幅であってもよい。本例において、特徴量算出部20により算出された当該振幅を、特徴量F1とする。
【0110】
段階S1085は、特徴量算出部20が心拍波形13の周期Tを算出する段階である。本例において、特徴量算出部20により算出された周期Tを、特徴量F2とする。
【0111】
段階S1086~段階S1088は、特徴量算出部20が心拍波形13の周波数fを算出する段階である。段階S1086は、特徴量算出部20が心拍波形13に窓関数を適用する段階である。窓関数とは、入力値を演算して出力値を計算する関数において、入力値における予め定められた範囲以外の値がゼロである関数である。入力値を窓関数により演算することにより、当該予め定められた範囲以外の出力値の値は、ゼロとなる。
【0112】
段階S1087は、特徴量算出部20が、窓関数による演算結果に基づいて、心拍波形13のパワースペクトル密度を推定する段階である。特徴量算出部20は、心拍波形13に含まれる周波数fの成分ごとに、心拍波形13のパワースペクトル密度を推定してよい。
【0113】
段階S1088は、特徴量算出部20が、心拍波形13の推定されたパワースペクトル密度に基づいて、心拍波形13における特定の周波数fの面積を算出する段階である。特徴量算出部20は、心拍波形13に含まれる周波数fの成分ごとに、当該面積を算出してよい。特徴量算出部20は、周波数fの成分ごとの当該面積のうち、予め定められた第1の周波数帯域fb1の第1の面積S1を、心拍波形13の特徴量としてよく、第2の面積S2に占める第1の面積S1の割合を、心拍波形13の特徴量としてもよい。第2の面積S2は、予め定められた第2の周波数帯域fb2の面積であってよい。第2の周波数帯域fb2は、第1の周波数帯域fb1を包含してよい。特徴量算出部20は、周波数fの成分ごとの当該面積のうち、最大の面積に対応する周波数fを、心拍波形13の特徴量としてもよい。当該特徴量を、特徴量F3とする。
【0114】
段階S108において、特徴量F1、特徴量F2および特徴量F3から選択される1つの特徴量が算出されてもよい。例えば、段階S108において特徴量F1のみが算出される場合、段階S108は、段階S1085~段階S1088を有さなくてよい。
【0115】
段階S108において、特徴量F1、特徴量F2および特徴量F3から選択される2つの特徴量が算出されてもよい。例えば、段階S108において特徴量F1および特徴量F2のみが算出される場合、段階S108は、段階S1086~段階S1088を有さなくてよい。
【0116】
本発明の様々な実施形態は、 フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよい。本発明の様々な実施形態において、ブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。
【0117】
特定の段階が、専用回路、プログラマブル回路またはプロセッサによって実行されてよい。特定のセクションが、専用回路、プログラマブル回路またはプロセッサによって実装されてよい。当該プログラマブル回路および当該プロセッサは、コンピュータ可読命令と共に供給されてよい。当該コンピュータ可読命令は、コンピュータ可読媒体上に格納されてよい。
【0118】
専用回路は、デジタルハードウェア回路およびアナログハードウェア回路の少なくとも一方を含んでよい。専用回路は、集積回路(IC)およびディスクリート回路の少なくとも一方を含んでもよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NORまたは他の論理操作のハードウェア回路を含んでよい。プログラマブル回路は、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでもよい。
【0119】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。コンピュータ可読媒体が当該有形なデバイスを含むことにより、当該デバイスに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。
【0120】
コンピュータ可読媒体は、例えば電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等であってよい。コンピュータ可読媒体は、より具体的には、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等であってよい。
【0121】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、ソースコードおよびオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。当該ソースコードおよび当該オブジェクトコードは、オブジェクト指向プログラミング言語および従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されてよい。オブジェクト指向プログラミング言語は、例えばSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等であってよい。手続型プログラミング言語は、例えば「C」プログラミング言語であってよい。
【0122】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供されてよい。汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路は、図10および図11に示されるフローチャート、または、図1に示されるブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサは、例えばコンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等であってよい。
【0123】
図12は、本発明の心拍情報取得装置100が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の一例を示す図である。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る心拍情報取得装置100に関連付けられる操作または心拍情報取得装置100の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、またはコンピュータ2200に、本発明の心拍情報取得方法に係る各段階(図10および図11参照)を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載されたフローチャート(図10および図11)およびブロック図(図1)におけるブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0124】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216およびディスプレイデバイス2218を含む。CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216およびディスプレイデバイス2218は、ホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200は、通信インターフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226およびICカードドライブ等の入出力ユニットをさらに含む。通信インターフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226およびICカードドライブ等は、入出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータは、ROM2230およびキーボード2242等のレガシの入出力ユニットをさらに含む。ROM2230およびキーボード2242等は、入出力チップ2240を介して入出力コントローラ2220に接続されている。
【0125】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作することにより、各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはRAM2214の中に、CPU2212によって生成されたイメージデータを取得することにより、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0126】
通信インターフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、読み取ったプログラムまたはデータを、RAM2214を介してハードディスクドライブ2224に提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取るか、または、プログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0127】
ROM2230は、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、または、コンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ2240は、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ2220に接続してよい。
【0128】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い、情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0129】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0130】
CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにしてよい。CPU2212は、RAM2214上のデータに対し、様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は、次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0131】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理されてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示に記載された、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索または置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は、結果をRAM2214に対しライトバックしてよい。
【0132】
CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、第2の属性値を読み取ることにより、予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0133】
上述したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能である。プログラムは、当該記録媒体によりコンピュータ2200に提供されてよい。
【0134】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0135】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0136】
10・・・波形取得部、12・・・心拍波形、13・・・心拍波形、20・・・特徴量算出部、22・・・患者、23・・・心拍波形、24・・・シャント、26・・・血管、30・・・近似度算出部、33・・・心拍波形、40・・・制御部、50・・・画像表示部、60・・・記憶部、70・・・入力部、80・・・血流音取得部、100・・・心拍情報取得装置、126・・・心拍波形、136・・・心拍波形、2200・・・コンピュータ、2201・・・DVD-ROM、2210・・・ホストコントローラ、2212・・・CPU、2214・・・RAM、2216・・・グラフィックコントローラ、2218・・・ディスプレイデバイス、2220・・・入出力コントローラ、2222・・・通信インターフェース、2224・・・ハードディスクドライブ、2226・・・DVD-ROMドライブ、2230・・・ROM、2240・・・入出力チップ、2242・・・キーボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12