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特開2022-80209保護ガード及び保護マスク及び保護ガード付きマイクロホン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080209
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】保護ガード及び保護マスク及び保護ガード付きマイクロホン
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220520BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220520BHJP
   A62B 29/00 20060101ALI20220520BHJP
   H04R 1/08 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
A62B29/00
A41D13/11 E
H04R1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191247
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】510183796
【氏名又は名称】株式会社プラナ
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】松本 忠男
【テーマコード(参考)】
2E185
5D017
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
5D017BE10
(57)【要約】
【課題】従来のフェイスガードに比べて、自分から放出される飛沫の周囲への拡散を減少させることが可能な保護ガード、それを用いた保護マスク及び保護ガード付きマイクロホンを提供する。
【解決手段】顔面から所定の間隔で口及び鼻の前面に配置される保護ガード10であって、前後に配置された複数のガード板11、12、13により構成され、ガード板11,13は中央部が前面側に凸状に膨らんだ形状を有し、ガード板12は中央部が後側に凸状に膨らんだ形状を有している。最後部のガード板11は少なくとも1つの穴11aを有し、複数のガード板により口及び鼻から放出される飛沫の前方への飛散を防ぐとともに、複数のガード板に飛沫を付着させることにより、飛沫の周囲への拡散を減少させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面から所定の間隔で口及び鼻の前面に配置される保護ガードであって、
前後に配置された複数のガード板を有し、
前記複数のガード板は、中央部が前面側に凸状に膨らんだ形状を有する複数の凸状ガード板と、中央部が後側に凸状に膨らんだ形状を有する少なくとも1つの凹状ガード板とを有し、
前記複数のガード板の中の顔に最も近い最後部のガード板は、少なくとも1つの穴を有し、
前記複数のガード板により口及び鼻から放出される飛沫の前方への飛散を防ぐとともに、前記複数のガード板に前記飛沫を付着させることにより、前記飛沫の周囲への拡散を減少させることを特徴とする保護ガード。
【請求項2】
最前部のガード板以外のガード板は前記飛沫が通過する少なくとも1つ以上の穴を有することを特徴とする保護ガード。
【請求項3】
前記最後部のガード板とその前面に配置されたガード板は、周縁部において閉じられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護ガード。
【請求項4】
前記複数のガード板の周縁部の少なくとも一部が開放となるか、又は前記最前部のガード板に少なくとも1つの穴を有することにより、前記最後部のガード板と顔面との間の間隙以外に、前記口及ぶ鼻から排気される空気の外部への通路が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の保護ガード。
【請求項5】
前記複数のガード板は、互いに隣接するガード板の穴の位置が異なるように設定され、後側のガード板の穴の前側のガード板は、前記後側のガード板の穴の前面部分において、前記後側のガード板に対して傾斜を有するように設定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保護ガード。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の保護ガードと、該保護ガードを頭部又は耳又は首に固定する装着部と、により構成されることを特徴とする保護マスク。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の保護ガードと、該保護ガードを手で保持するための保持部と、により構成されることを特徴とする保護マスク。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の保護ガードと、該保護ガードの最後部のガード板の中央部の顔面側に固定されたマイクロホンとを有することを特徴とする保護ガード付きマイクロホン。
【請求項9】
前記マイクロホンは、手で保持することが可能な保持棒の先端に設置されたマイクロホンであって、前記保護ガードは、該保護ガードの中央を貫通する前記保持棒に固定されていることを特徴とする請求項8に記載の保護ガード付きマイクロホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸や発声時に口や鼻から放出される飛沫の周囲への放散を防止するための保護ガード及びその保護ガードを用いた保護マスク及び保護ガード付きマイクロホンに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、新型コロナウィルスに対する感染防止対策が非常に重要となっており、感染者の口や鼻から放出されるウィルスを含む可能性がある飛沫の付着を防止し、また、自分が感染していた場合に自分から発散される飛沫の拡散を防止するためのマスク着用の必要性が広く認識されている。特に、対面での発声を必要とする場合は、発声を妨げないように口及び鼻の前面に配置されるフェイスガード等が使用されることが多い。従来のフェイスガードの一例が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3227067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のフェイスガードは、新型コロナウィルス対策に必要とされる以前は、医療現場用や工業用が主要な用途であって、外部から自分の顔面に向かってくる危険な飛沫などを防御することを主な目的としていた。このため、自分の口や鼻から発生する飛沫の周囲への拡散を防ぐ目的には十分な機能が得られていなかった。すなわち、発声時などにおいて、自分から発生する飛沫がフェイスガードと顔面との間から周囲に拡散することが広く認識されるようになったが、この飛沫の拡散を十分に防ぐことができるフェイスガードは得られていない。
【0005】
そこで、本発明は、係る問題を解決するためになされたものであり、従来のフェイスガードに比べて、自分から放出される飛沫の周囲への拡散を減少させることが可能な保護ガード、その保護ガードを用いた保護マスク及び保護ガード付きマイクロホンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点では、本発明は、顔面から所定の間隔で口及び鼻の前面に配置される保護ガードであって、前後に配置された複数のガード板を有し、前記複数のガード板は、中央部が前面側に凸状に膨らんだ形状を有する複数の凸状ガード板と、中央部が後側に凸状に膨らんだ形状を有する少なくとも1つの凹状ガード板とを有し、前記複数のガード板の中の顔に最も近い最後部のガード板は、少なくとも1つの穴を有し、前記複数のガード板により口及び鼻から放出される飛沫の前方への飛散を防ぐとともに、前記複数のガード板に前記飛沫を付着させることにより、前記飛沫の周囲への拡散を減少させることを特徴とする保護ガードを提供する。
【0007】
本観点の発明の保護ガードでは、先ず、保護ガードを顔面に密着させるのではなく、所定の間隔、例えば、顔面から数センチ離すことにより、保護ガードを装着したままで発声が容易となる。また、通常のマスク装着時の息苦しさからも解放される。
【0008】
本発明の保護ガードは、前後に配置された複数のガード板により構成される。また、これらのガード板は、中央部が前面側に凸状に膨らんだ形状を有する複数の凸状ガード板と、中央部が後側に凸状に膨らんだ形状を有する少なくとも1つの凹状ガード板とを有している。例えば、保護ガードを、中央部が前面側に凸状に膨らんだ形状を有し中央部に穴を有する最後部の第1のガード板と、中央部が後側に凸状に膨らんだ形状を有し周囲に配置された複数の穴を有する第2のガード板と、中央部が前面側に凸状に膨らんだ形状を有する最前部の第3のガード板とからなる3つのガード板により構成した場合について説明する。ここで、第2のガード板の複数の穴は、中心ではなく、その裏面の面方向が外側に広がる方向である部分かその周辺部に配置されているものとする。この場合、先ず、口や鼻から放出される飛沫は、最初に最も手前にある第1のガード板に入る。その飛沫の一部は第1のガード板の内壁に貼りつき、一部は第1のガード板に開けられた中央部の穴を通過して次の第2のガード板の内側へと移動し、残りは顔面との間の隙間より外部に放出される。第2のガード板へ移動した飛沫は、後側に凸状に膨らんだ形状の部分でその形状に沿って中心から周辺部へと向かう方向に流れて行く。この結果、飛沫の一部は第2ガード板の内壁及び第1のガード板の外壁に貼りつき、一部は第1のガード板と第2のガード板との間に留まり、一部は第2のガード板の周囲に配置された穴を通過して第3のガード板の内側へと移動し、残りは第1のガード板と第2のガード板との間と顔面との間の隙間より外部に放出される。第3のガード板へ移動した飛沫の一部は第3ガード板の内壁及び第2のガード板の外壁に貼りつき、一部は第2のガード板と第3のガード板との間に留まり、残りは第2のガード板と第3のガード板との間と顔面との間の隙間より外部に放出される。
【0009】
以上のように、口や鼻から放出される飛沫の一部は各ガード板の内壁、外壁に貼りつき、一部はガード板間に溜まり、一部は顔面との間の隙間から外部へ放出されるが、その飛沫は各ガード板を通過するたびに、拡散力を奪われて分散することにより、放出された飛沫は、遠方への拡散を妨げられ保護ガード付近を漂うことになる。また、一部のエアロゾル化した飛沫も分散され、その量が減少するため、周囲の空中での濃度が薄まる。なお、第2のガード板の中央部が後側に凸状になっている理由は、第1のガード板の穴より侵入した飛沫の流れがよりスムーズに第2のガード板の周囲の穴へと導かれるようにするためである。
【0010】
本発明の保護ガードにおいて、ガード板の素材は、通常のマスクに使われる不織布や布、ガーゼ、紙、透明なアクリル板など様々な素材が可能であるが、通常のマスクやフェイスガードに比べ、各ガード板の内壁、外壁が複数あることで、飛沫が貼りつく表面積が大きくなる。このガード板の素材として、内壁、外壁に凹凸のある素材やカーペットのような毛足の長い繊維、ネットなどを使用することで、飛沫が貼りつく表面積をさらに増やすことも可能となる。
【0011】
また、ガード板に設ける穴の数やその大きさ、穴の位置もある程度任意に設定可能であるが、第2のガード板の穴の位置は、第1のガード板の穴の位置と異なる方が望ましい。同じ位置にある場合は、飛沫は単に2つの穴を直進して通過して第3のガード板へと移動するため、穴の意味が薄れてしまう。すなわち、本発明の保護ガードにおいて、隣り合うガード板が穴を有する場合は、飛沫が直進して進まないように穴の位置は互いに異なるように設定することが望ましい。
【0012】
本発明の中央部が前面側に凸状に膨らんだ形状のガード板の形状は、例えば、顔面側に開放された逆U字に近い形状等のように、ガード板の間から外へと放出される飛沫が自分の顔面側に放出されるような形状を用いることにより、自分が放出した飛沫が他者に届くことをさらに軽減させることができる。この場合、各ガード板の大きさは、外側ほど大きな形状としてもよい。なお、ガード板の形状としては、円錐形状、球面形状など真中が凸に膨らんだ任意の形状が可能である。また、中央部が後側に凸状に膨らんだ形状のガード板の中央部の形状も円錐形状、球面形状など任意の形状が可能である。
【0013】
複数のガード板の連結方法は様々な方法が可能であり、例えば、複数のガード板を貫通し各ガード板を保持固定する構造を有する1つ又は複数の固定部材を使用する方法等がある。保護ガードを用いた保護マスクを構成する場合は、保護ガードの上記の固定部材に従来のフェイスマスクと同様な頭部や耳等への装着具を固定すればよい。この場合、フェイスマスク等と同様に、顔面から所定の間隔を保って保護マスクを固定する手段が必要である。
また、カラオケ用のマイクロホンの棒の部分を保護ガードの中央を貫通させ、その保護ガードの前方に突き出た部分を手で保持するようにすれば、カラオケ用の飛沫防止の保護ガードとなる。一般の講演や舞台上などで用いられるマイクロホンについても、マイクロホンを囲むように保護ガードを設置すれば、飛沫防止に有効である。
【0014】
第2の観点では、本発明は、第1の観点の保護ガードにおいて、最前部のガード板以外のガード板は前記飛沫が通過する少なくとも1つ以上の穴を有することを特徴とする。前述のように、本観点の発明の保護ガードにおいて、ガード板に設ける穴の数や形状は任意に設置できるが、隣り合うガード板が穴を有する場合は、飛沫が直進して進まないように穴の位置は互いに異なるように設定することが望ましい。
【0015】
第3の観点では、本発明は、第1又は第2の観点の保護ガードにおいて、前記最後部のガード板とその前面に配置されたガード板は、周縁部において閉じられていることを特徴とする。本観点の発明においては、顔面の一番近くに配置された第1のガード板とその前に配置された第2のガード板の縁部がすべて閉じられていることにより、第1のガード板と第2のガード板の間に拡散した飛沫が、それらの縁部より顔面側に漏れ出てくるのを防ぐことができる。この場合、その飛沫は第2のガード板に開けられた穴からその前に配置されたガード板、例えば第3のガード板との間に進行する。第1のガード板を通過する飛沫の量が多い場合には、周縁部を閉じることにより第1のガード板と第2のガード板の間でのその飛沫の付着量を増やすことができ、その前側のガード板への拡散を減らすことができる。
【0016】
第4の観点では、本発明は、第1乃至第3の観点の保護ガードにおいて、前記複数のガード板の周縁部の少なくとも一部が開放となるか、又は前記最前部のガード板に少なくとも1つの穴を有することにより、前記最後部のガード板と顔面との間の間隙以外に、前記口及び鼻から排気される空気の外部への通路が形成されていることを特徴とする。飛沫を含んだ口や鼻から排気される空気の前方への通路が塞がっている場合、空気の流れが妨げられ、空気を前方に拡散して前方のガード板に飛沫を付着させるという本発明の効果が妨げられてしまう。本観点の発明は、空気の外部への通路を形成することにより、前側のガード板にも飛沫を付着させるとともに、空気が最後部のガード板と顔面との間に逆流して戻ることを防ぐものである。
【0017】
第5の観点では、本発明は、第1乃至第4の観点の保護ガードにおいて、前記複数のガード板は、互いに隣接するガード板の穴の位置が異なるように設定され、後側のガード板の穴の前側のガード板は、前記後側のガード板の穴の前面部分において、前記後側のガード板に対して傾斜を有するように設定されていることを特徴とする。飛沫を含んだ空気がガード板の穴を通過して前側のガード板に向かうとき、前述のように、その空気がその前側のガード板をそのまま通過してしまわないように前側のガード板の穴の位置は異なるように設定することが望ましい。さらに、本観点の発明では、穴の前側のガード板は、その穴の前面部分において、前記後側のガード板に対して傾斜を有するように設定することにより、穴を通過した空気が前側のガード板で正反射してその穴に戻って来るのを防ぐことができる。
【0018】
第6の観点では、本発明は、前記第1乃至第5の観点の保護ガードと、該保護ガードを頭部又は耳又は首に固定する装着部と、により構成されることを特徴とする保護マスクを提供する。本発明の保護ガードを使用して個人用の保護マスクを構成する場合、例えば、複数のガード板を固定する固定部材に従来のフェイスマスクと同様な頭部や耳等への装着具を固定すればよい。
【0019】
第7の観点では、本発明は、前記第1乃至第5の観点の保護ガードと該保護ガードを手で保持するための保持部と、により構成されることを特徴とする保護マスクを提供する。例えば、食事中に会話を行う場合、保護ガードに手で保持することが可能な保持棒などの保持部を取り付けておくことにより、飲食時は顔の前から保護ガードを外し、会話時だけ扇子のように顔の前に保護ガードを持ってくるような動作を行えば、食事中の会話時の飛沫の防止を簡単に行うことができる。
【0020】
第8の観点では、本発明は、前記第1乃至第5の観点の保護ガードと、該保護ガードの最後部のガード板の中央部の顔面側に固定されたマイクロホンとを有することを特徴とする保護ガード付きマイクロホンを提供する。カラオケや、講演、舞台上などで用いられるマイクロホンについても、マイクロホンを囲むように保護ガードを設置すれば、飛沫防止に有効である。
【0021】
第9の観点では、本発明は、第8の観点の保護ガード付きマイクロホンにおいて、前記マイクロホンは、手で保持することが可能な保持棒の先端に設置されたマイクロホンであって、前記保護ガードは、該保護ガードの中央を貫通する前記保持棒に固定されていることを特徴とする。カラオケや司会、講演等においては、棒状の取手付きのマイクロホンが使用されることが多くあり、その場合、その棒状の取手のマイクロホン側に、マイクロホンを囲むように保護ガードを固定することにより、マイクロホンに向かって発声するときの飛沫を保護ガードにより効率的に捕獲し、飛沫の周囲への拡散を低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
上記のように、本発明により、従来のフェイスガードに比べて、自分から放出される飛沫の周囲への拡散を減少させることが可能な保護ガード、その保護ガードを用いた保護マスク及び保護ガード付きマイクロホンが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例1に係る保護ガードの概略を示す図であり、図1(a)及び(b)はそれぞれ保護ガードの正面図及び側断面図、図1(c)、(d)及び(e)はそれぞれ、保護ガードを構成する第1、第2及び第3のガード板の正面図。
図2】実施例2に係る保護マスクを顔の前面に装着したときの概略を示す側面図。
図3】実施例3に係る保護マスクの側断面図。
図4】実施例4に係る保護ガード付きマイクロホンの概略を示す図であり、図4(a)は保護ガード付きマイクロホンの模式的な側断面図、図4(b)、(c)、(d)、(e)、(f)はそれぞれ、保護ガードを構成する第1、第2、第3、第4及び第5のガード板の正面図。
図5】実施例4の保護ガード付きマイクロホンを手で保持したときの斜視図。
図6】実施例5に係る保護ガード付きマイクロホンの概略を示す図であり、図6(a)は保護ガード付きマイクロホンの模式的な側断面図、図6(b)、(c)、(d)、(e)はそれぞれ、保護ガードを構成する第1、第2、第3、第4のガード板を構成するための平板パターンを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の保護ガード及び保護マスク及び保護ガード付きマイクロホンを実施例により詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、その重複した説明を省略する。
【実施例0025】
図1は、本発明の実施例1に係る保護ガードの概略を示す図であり、図1(a)及び(b)はそれぞれ保護ガードの正面図及び側断面図、図1(c)、(d)及び(e)はそれぞれ、保護ガードを構成する第1、第2及び第3のガード板の正面図を示す。
【0026】
図1において、本実施例の保護ガード10は、顔面から所定の間隔で口及び鼻の前面に配置される保護ガードであって、前後に配置された3個のガード板、すなわち、第1のガード板であるガード板11、第2のガード板であるガード板12、第3のガード板であるガード板13により構成されている。ガード板11、13は、それぞれ中央部を含めた全体が前面側に凸状に膨らんだお椀型の形状を有する凸状ガード板であり、ガード板12は、周辺部が前面に凸状のお椀型を有し、中央部が後側に円錐状に凸状に膨らんだ形状を有する凹状ガード板である。それらのガード板の中の顔に最も近いガード板11は図1(c)に示すように中央に円形状の穴11aを有し、真中のガード板12は、図1(d)に示すように、裏面の面方向が外側に広がる方向である円錐状部分の端からその外側の周辺部に配置されている4つの楕円状の穴12aを有している。
【0027】
本実施例においては、3つのガード板11、12、13を間隔を開けて保持固定して保護ガード10を構成するため、4つの固定部材15を使用している。
【0028】
本実施例の保護ガード10は頭部や耳等への装着や手で保持することによって顔の口や鼻の前面に配置されるものであり、口や鼻から放出される飛沫は、最初にガード板11に入る。その飛沫の一部はガード板11の内壁に貼りつき、一部はガード板11に開けられた穴11aを通過して次のガード板12の内側へと移動し、残りは顔面との間の隙間より外部に放出される。ガード板12の内側へ移動した飛沫は、後側に凸状に膨らんだ円錐形状の部分でその形状に沿って中心から周辺部へと向かう方向に流れて行く。この結果、飛沫の一部はガード板12の内壁及びのガード板11の外壁に貼りつき、一部はガード板11とガード板12との間に留まり、一部はガード板12の穴12aを通過してガード板13の内側へと移動し、残りはガード板11とガード板12との間と顔面との間の隙間より外部に放出される。ガード板13へ移動した飛沫の一部はガード板13の内壁及びガード板12の外壁に貼りつき、一部はガード板12とガード板13との間に留まり、残りはガード板12とガード板13との間と顔面との間の隙間より外部に放出される。
【0029】
以上のように、口や鼻から放出される飛沫の一部は各ガード板の内壁、外壁に貼りつき、一部はガード板間に溜まり、一部は顔面との間の隙間から外部へ放出されるが、その飛沫は各ガード板を通過するたびに、拡散力を奪われて分散することにより、遠方への拡散を妨げられ保護ガード付近を漂うことになる。また、本実施例では、各ガード板の大きさは、外側ほど大きな形状とし、ガード板の間から外へと放出される飛沫が自分の顔面側に放出されるような形状であるので、自分が放出した飛沫が他者に届くことをさらに軽減させることができる。
【0030】
また、本実施例では、図1(c)、(d)に示すように、ガード板11の穴11aの位置が、ガード板12の穴12aの位置と異なるように設定することにより、ガード板11の穴11aを通過した飛沫を含んだ空気がガード板12をそのまま通過するのを妨げている。
【0031】
なお、本実施例の保護ガード10において、ガード板11、12、13の素材は、通常のマスクに使われる不織布や布、紙、アクリル板など様々な素材が可能である。紙や布等を用いる場合、それだけでガード板の形態が保持できる素材が望ましいが、形態を保持できないような柔らかな素材の場合は、必要に応じて筋交い等の補強部材を用いてもよい。
【0032】
また、ガード板の素材として、内壁、外壁に凹凸のある素材、例えば、表面を皴状にした紙やプラスチック、毛足の長い繊維や表面を荒らした板状素材を用いることも可能である。これにより、保護ガード内の空気の流速を減少させるとともに、飛沫が付着する表面積を大きくし、飛沫が保護ガードの外部に拡散されるのを防ぐことができる。
【実施例0033】
図2は、実施例2に係る保護マスクを顔の前面に装着したときの概略を示す側面図であり、保護マスクに用いる保護ガードの部分だけ側断面図で示している。本実施例の保護マスク16に使用する保護ガードは実施例1の保護ガード10である。保護ガード10を用いて保護マスク16を構成するため、図2に示すように、保護ガード10の左右両側の固定部材15に従来のマスクやフェイスマスクと同様な耳へ掛けるための装着バンド17を固定している。さらに、顔面から所定の間隔を保って保護マスクを顔の前面に固定するため、鼻部スペーサ18と顎部スペーサ19をそれぞれ鼻部と顎部に押し当てるように構成している。この場合、装着バンドの固定場所や顎部スペーサの構造を変更すれば、従来の一部のフェイスマスクと同様に鼻部スペーサを不要とすることも可能である。
【実施例0034】
図3は、実施例3に係る保護マスクの側断面図である。本実施例の保護マスク20は、実施例1の保護ガード10と、保護ガード10を手で保持するために取り付けた保持部21とにより構成される。保護ガード10に手で保持することが可能な保持棒などの保持部21を取り付けておくことにより、例えば、食事中に会話を行う場合、飲食時は顔の前から保護ガード10を外し、飲食以外の会話時等のときだけ扇子のように顔の前に保護ガード10を持ってくるような動作を行えば、会食時等の飛沫の防止を簡単に行うことができる。
【実施例0035】
図4及び図5は、本発明の実施例4に係る保護ガード付きマイクロホンの概略を示す図である。図4(a)は保護ガード付きマイクロホンの模式的な側断面図であり、図4(b)、(c)、(d)、(e)、(f)はそれぞれ、保護ガードを構成する第1、第2、第3、第4及び第5のガード板を図4(a)の左側から見たときの模式的な正面図である。図5は、本実施例の保護ガード付きマイクロホンを手で保持したときの斜視図である。
【0036】
図4において、本実施例の保護ガード付きマイクロホン30に使用されるマイクロホン31は手で保持することが可能な保持棒32の先端に設置されたマイクロホンであって、保護ガード38は、第1~第5の5枚のガード板、すなわち、ガード板33、34、35、36、37から構成され、保護ガード38の中央を貫通する保持棒32に固定されている。5枚のガード板33~37は、それぞれ互いに傾斜角度が異なる円錐形状を有し、その中央の頂点部に穴を有している。但し、ガード板33、34、37は前面側に凸状に膨らんだ凸状ガード板であり、ガード板35、36は後側に凸状に膨らんだ凹状ガード板である。
【0037】
顔面側の最後部に配置されるガード板33は、中央部に大きな穴33aを有し、周縁部はより鋭角の傾斜を有するその前のガード板34の周縁部に固定されている。これによりガード板33とガード板34の周縁部は閉じられている。ガード板34は、保持棒32が貫通し保持棒32に固定される中央部の穴34aと、飛沫が通過する横幅の大きな穴34bとを有している。ガード板35は中央部にガード板34に外接する大きな穴35aを有し、ガード板34の穴34bの位置が穴35aの内側となるように構成されている。ガード板35は、同じ後側に凸でより鈍角の傾斜を有するその前のガード板36の周縁部に固定されている。これによりガード板35とガード板36の周縁部は閉じられている。さらに、ガード板36の周縁部は、前側に凸の傾斜を有するその前のガード板37の周縁部にも固定され、ガード板36とガード板37の周縁部も閉じられている。ガード板36は、保持棒32が貫通し保持棒32に固定される中央部の穴36aと、飛沫が通過する周辺部の横幅の大きな穴36bとを有している。最前部のガード板37は、保持棒32が貫通し保持棒32に固定される中央部の穴37aと、口及ぶ鼻から排気される空気の外部への通路となる4つの小さな穴37bとを有している。なお、本実施例において、ガード板36を凹状ガード板にすることにより、ガード板34の穴34bより通過する飛沫がガード板36の裏面に沿って流れて穴36bに流れ込み易くしている。
【0038】
例えば、カラオケなどにおいて、本実施例の保護ガード付きマイクロホン30を使用すれば、マイクロホン31に口を近づけて発声した場合、口や鼻から発生する飛沫を含んだ空気は、5枚のガード板33~37を通過する際にその内壁や外壁に飛沫が付着し、その空気の動きも減少するため、穴37bや顔と保護ガード38の隙間などから保護ガード38の外部に漏れてくる飛沫を大幅に減少させることができる。
【実施例0039】
図6は、本発明の実施例5に係る保護ガード付きマイクロホンの概略を示す図であり、図6(a)は保護ガード付きマイクロホンの模式的な側断面図であり、図6(b)、(c)、(d)、(e)はそれぞれ、保護ガードを構成する4枚のガード板を構成するための平板パターンを示す概略図である。本実施例の保護ガード付きマイクロホン40は、実施例3と同様に、手で保持することが可能な保持棒32の先端にマイクロホン31が設置されたマイクロホンであって、保護ガード41は、4枚のガード板42、43、44、45から構成され、保護ガード41の中央を貫通する保持棒32に固定されている。4枚のガード板42、43、44、45は、それぞれ互いに傾斜角度が異なる円錐形状を有し、その中央の頂点部に穴を有している。ガード板42、43、45は前面側に凸状に膨らんだ凸状ガード板であり、ガード板44は後側に凸状に膨らんだ凹状ガード板である。
【0040】
本実施例においては、ガード板42、43、44、45は、それぞれ、円盤を基本形状として扇型の切込みを有する平板パターン46、47、48、49を使用して組み立てられる。平板パターン46は、図6(b)に示すように、ドーナツ型の円盤に切込みを入れた平板形状を有し、切込みの端部46sと46tを貼り合わせることにより、中央に穴パターン46aから構成される大きな穴を有する凸状の円錐状のガード板42が形成される。平板パターン47は、図6(c)に示すように、切込みの端部47sと47tを貼り合わせることにより、保護ガード41の側面を囲う円筒に近い形状のガード板43が形成される。平板パターン48は、図6(d)に示すように、中央の穴パターン48a、周辺部の幅の広い穴パターン48bを有する円盤に切込みを入れた平板形状を有し、切込みの端部48sと48tを貼り合わせることにより、中央に穴パターン48aから構成される保持棒32が貫通し保持棒32に固定される穴を有し、周辺部に穴パターン48bから構成される幅の広い穴を有し、後側に凸状に膨らんだ凹状のガード板44が形成される。平板パターン49は、図6(e)に示すように、中央の穴パターン49aと小さな4つの穴パターン49bを有する円盤に切込みを入れた平板形状を有し、切込みの端部49sと49tを貼り合わせることにより、中央に穴パターン49aから構成される保持棒32が貫通し保持棒32に固定される穴を有し、小さな4つの穴パターン49bから構成され外部への空気の通路となる4つの小さな穴を有し、前側に凸状の円錐状の凸状のガード板45が形成される。また、図6(a)に示すように、保護ガード41においては、ガード板42の周縁部とガード板43前端部、及び、ガード板43の後端部とガード板44及び45の周縁部は互いに閉じられている。
【0041】
本実施例においては、ガード板42、43、44及び45はそれぞれ平板パターン46、47、48及び49により作成されるので、アクリルやプラスチック等を用いて金型等により円錐型の形状を最初から形成する場合に比べて、製造コストを大幅に低減することができる。ガード板の素材としては、アクリル、プラスチック、紙、布等、広範な材料を用いることができる。上記の構成において、端部や周縁部等の貼り付けは素材に応じた公知の接着方法等を用いることができる。
【0042】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではないことは言うまでもなく、目的や用途に応じて設計変更可能である。例えば、保護ガードを構成するガード板の形状、ガード板の数、配置方法、ガード板に形成する穴の形状やその数及び配置、ガード板の固定方法、ガード板の素材等、目的に合わせて選択可能である。また、保護ガードの頭部、耳、等への装着方法、保護ガード付きマイクロホンを構成する場合のマイクロホンと保護ガードの配置構造や構成等も目的に合わせて選択可能である。
【符号の説明】
【0043】
10,38,41 保護ガード
11,12,13,33,34,35,36,37,42,43,44,45 ガード板
11a,12a,33a,34a,34b,35a,36a,36b,37a,37b 穴
15 固定部材
16,20 保護マスク
17 装着バンド
18 鼻部スペーサ
19 顎部スペーサ
21 保持部
30,40 保護ガード付きマイクロホン
31 マイクロホン
32 保持棒
46,47,48,49 平板パターン
46a,48a,48b,49a,49b 穴パターン
46s,46t,47s,47t,48s,48t,49s,49t 端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6