(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080232
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】パンクしにくいタイヤ(通称:サバイバル(SV)タイヤ)
(51)【国際特許分類】
B60C 5/08 20060101AFI20220520BHJP
B60C 19/12 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
B60C5/08 A
B60C19/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020201349
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】519021015
【氏名又は名称】中島 好雄
(72)【発明者】
【氏名】中島 好雄
(72)【発明者】
【氏名】平部 久嗣
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB06
3D131BC05
3D131BC13
3D131BC23
3D131BC55
3D131CB11
(57)【要約】
【課題】タイヤにとってパンクの克服は技術的に可能なものであるが、特に自動二輪車用として商品化する上で考慮すべき要素である耐パンク性、乗り心地、操縦安定性、製造コスト等の調和は難しく2020年11月現在において商品化された自動二輪車用のノーパンクタイヤは存在しない。そこで完全なノーパンクタイヤではないものの、空気タイヤ単体よりも耐パンク性を高めた上で、その他の要素を従来の空気タイヤと同等のレベルとし、入手しやすい材料を用いたシンプルな製造法により比較的安価でユーザに提供できる「SVタイヤ」を製作する。
【解決手段】「SVタイヤ」はタイヤの外皮内側にタイヤの接地面に応じた大きさに成形したゴムベルトを接着することにより製作し、タイヤ外皮とゴムベルトの二層構造で肉厚が増加すること及び二層構造により釘類の貫通時間が抑制されることで従来の空気タイヤよりも耐パンク性能を大きく向上させている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ外皮の内側にゴムベルトを接着し耐パンク性能を向上させたサバイバルタイヤ
【請求項2】
タイヤ外皮の内側にゴムベルトを接着し耐パンク性能を向上させたサバイバルタイヤの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの内側にゴムベルトを接着することで耐パンク性能を向上させたタイヤ及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車が使用している空気タイヤは、構造上パンクが避けられず。パンクが発生すると普段修理を専門店に依頼している利用者には大きな負担がかかる。釘類が刺さっても走行可能なタイヤはリムとタイヤ基体の間の空間にウレタン樹脂又はエポキシ樹脂等が充填された物等があるが、現時点(令和2年11月現在)で自動二輪車用として市販されているものは存在しない。
【0003】
自動二輪車のタイヤには自転車用と比較すれば高速であるため更なる操縦安定性が求められ、自動車用と比較すれば低コストで性能を実現しなければならないことから実用化が進んでいないものと推察する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-98985公報
【特許文献2】特開2010-111378公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたノーパンクタイヤはタイヤチューブに液状のウレタン樹脂やエポキシ樹脂を注入して硬化させている。この液状樹脂は密度が高いためタイヤの総重量が重くなることから、自動二輪車用として採用した場合、乗り心地及び操縦安定性の悪化が懸念される。
【0006】
特許文献2に記載されたノーパンクタイヤでは、タイヤ外皮断面積より若干大きい断面積を有するエラストマーチューブを別途製造してチューブの代わりにタイヤ内にはめ込むものであるが。タイヤのサイズ毎にチューブを製造する必要があるためコストが高くなる。
【0007】
時速30キロメートルで走行中に直径2ミリメートルの釘を踏んだ場合、釘に荷重がかかる時間は計算上0.14秒である。速度の上昇に従いこの時間は短縮される。実証実験において直径2ミリメートルの釘を100キログラムの荷重で0.14秒掛けた場合、タイヤ外皮の到達深度は3~5ミリメートルであった。
【0008】
実際のパンクは、タイヤに釘類が5ミリメートル前後刺さった状態で走行することにより、タイヤの回転で何度も荷重がかかって貫通に至る。
【0009】
本発明は、ノーパンク性能は謳えないものの、簡単な加工により高い耐パンク性能を持たせたコストパフォーマンスに優れたタイヤを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るパンクしにくいタイヤ(以下「SVタイヤ」という。)はタイヤ外皮(1)内側にタイヤの接地面に応じた大きさに成形したゴムベルト(2)を接着することにより製作する。(
図1参照)
【0011】
SVタイヤ外皮(1)内側はゴムベルト(2)を接着した後も十分な空間を保持しているため、チューブタイプのものは従来通りチューブを入れて、チューブレスタイプのものはそのまま空気を充填することができるのでSVタイヤの取り扱いは従来の空気タイヤと同一である。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、タイヤの外皮(1)と内側に接着したゴムベルト(2)の二重構造と物理的な肉厚増加により耐パンク性能を向上させている。
【0013】
長い釘類はタイヤと路面の接地抵抗で挫屈するため、概ね10ミリメートル前後の深さで止まるものと考えられる。また、二重構造の肉厚を越える釘(約3センチ)による耐パンク性検証試験を複数回実施したがパンクには至らなかった。タイヤ外皮(1)とゴムベルト(2)の2層構造により貫通速度が抑制され貫通を抑制したものと判断できる。
【0014】
SVタイヤは、市販のタイヤ及び入手可能な材料を利用し低コストで高い耐パンク性能を実現した。試作タイヤにおいて5000キロメートルを越える実走試験を実施したが従来の空気タイヤと同様に空気を充填する構造であることもあり、乗り心地及び操縦安定性について問題となる点はなかった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【産業上の利用可能性】
【0016】
一般の自動二輪ユーザーによるツーリングの他、各種配達業務、郵便業務に活用できる可能性がある。
【0017】
災害時における自動二輪車の活用にも繋がることから、官公庁が保有する二輪車への装着の可能性がある。
【0018】
本発明のサバイバルタイヤは、自動二輪車用に開発したものではあるが自動二輪車に限定されず、タイヤ外皮(1)とリム(4)によって形成される空間を有し、その空間に空気を充填するタイヤにはすべて適用することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 タイヤ外皮
2 ゴムベルト
3 空気チューブ又は空気層
4 リム