(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080239
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】マスクケース
(51)【国際特許分類】
A45C 11/00 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
A45C11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020202286
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】520479939
【氏名又は名称】池田 実
(72)【発明者】
【氏名】池田 実
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA00
3B045CE06
3B045CE09
(57)【要約】
【課題】収納したマスクに対して効果的な抗菌、抗ウイルス効果を発揮し、小さなマスクケースでマスクを収納できるようにし、必要に応じて使いやすい場所に着装が可能なマスクケースを提供する。
【解決手段】マグネットを止着手段として活用し、さらにマスクケースを着衣の上に装着できる構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の蓋2と裏蓋3の2つの平面が交わる一辺の一部に前記蓋2と前記裏蓋3の間に線状の屈曲可能部であるヒンジ4が設けられ、前記蓋2と前記裏蓋3が前記ヒンジ4で開閉可能に構成され、
前記蓋2と前記裏蓋3の中央近傍に、前記蓋2にマグネット5、前記裏蓋3に裏マグネット6をお互いに吸引する位置と向きに配設し、
前記蓋2と前記裏蓋3は、収納対象物である市販の衛生マスクの本体部より小さいことを特徴とするマスクケース。
【請求項2】
少なくとも前記蓋2と前記裏蓋3に内接する2面には抗菌、抗ウイルス剤7を塗布するか、または前記蓋2と前記裏蓋3の構成基材に抗菌、抗ウイルス剤を塗り込むことを特徴とする請求項1に記載のマスクケース。
【請求項3】
前記ヒンジ4の両端部の近傍から前記蓋2と前記裏蓋3上に垂直で平行な2本の縦ヒンジ8と9を設けることを特徴とする請求項1と請求項2に記載のマスクケース。
【請求項4】
円環状の紐で、首から下げられる形態のストラップ11の下端にマグネット10を接続し、前記マグネット10を利用者の着衣の裏側に置き、着衣の表側に前記裏マグネット6を置き、互いを吸引させ前記マスクケース1を着衣の上に着脱可能に固定すること特徴とするマスクストラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衛生用に使用するマスクにおいて、食事や体憩などで一時的にマスクを外す際に簡単に素早く利用が可能なマスクケースに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマスクケースは実用新案登録第3157946が公知で、そこでは2つ折にしたシートに抗菌不織布を介してマスクを収納し、ケースの蓋を上下の2か所で面ファースナ等を使って止着することが示されている。これらの止着方式では、抗菌、抗ウイルス手段とマスク間の圧着が間接的であり効果が限定的と言う問題がある。
【0003】
同様に特開第2011-103940には類似の構成で左右に面ファースナを配設して止着することが示されている。何れの発明もマスクが置かれる外側に配設した面ファースナなどで止着している。
【0004】
これまでのマスクケースで用いられていたスナップボタンや面ファースナなどの止着手段は、雌雄の止着具の間にマスクがあると止着不能である。
そのため、マスクより外側に止着手段を設けざるを得ないので、マスクケースは収納対象のマスクより小さくすることはできなかった。
【0005】
マスクケースをより柔軟で多様な利用を可能とする必要があるが、従来、箱様あるいは袋体のままで、マスクケース自身には係止手段が設けられていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3157946号広報
【特許文献2】特開2011-103940号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、抗菌、抗ウイルス機能がより確実に収納対象であるマスクに働くようにすること。
多様なサイズのマスクで利用でき、嵩張らずコンパクトであること。
また、頻繁なマスクのかけ外しが必要な場合、利用に先立って毎回バッグやポケットから出さなくても済むマスクケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、シート状の蓋2と裏蓋3の2つの平面が交わる一辺の一部に蓋2と裏蓋3の間にヒンジ4が設けられ、蓋2と裏蓋3がヒンジ4で開閉可能に構成され、
蓋2と裏蓋3の中央近傍にマグネット5と裏マグネット6がお互いに吸引する位置と向きに配設される。
収納されるマスクは中央近傍のマグネット5と裏マグネット6のみで固定される。そのため、蓋2と裏蓋3を大きくする必要はなく、市販の衛生マスクの本体部より小さい構造とすることが可能である。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、少なくとも蓋2と裏蓋3に内接する2面には抗菌、抗ウイルス剤7を塗布するか、または蓋2と裏蓋3の構成基材に抗菌、抗ウイルス剤を塗り込むことで収納されたマスクに付着した菌やウイルスの減少を図る構造としている。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、ヒンジ4の両端部の近傍で蓋2と裏蓋3の横幅を略3等分に分ける位置に、蓋2と裏蓋3に垂直で平行な2本の縦ヒンジ8,9を設ける。
蓋2と裏蓋3はヒンジ4以外はどこにも固定されておらず自由なので、マスクが収納されているかどうかに無関係に、蓋2と裏蓋3は縦ヒンジ8,9の位置で折りたためる構造としている。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、円環状の紐で、首から下げられる形態のストラップ11の下端にマグネット10を接続し、マグネット10を利用者の着衣の裏側に置き、着衣の表側に裏マグネット6を置き、互いを吸引させマスクケース1を着衣の上に着脱自由な形で装着できる構造としている。
【発明の効果】
【0012】
マグネットを止着具としてマスクケース1の中央近傍に配設し、蓋2と裏蓋3でマスクの本体部分を直接的に圧着することで、マスクに対して抗菌や抗ウイルス効果をより確実に発揮できる。
【0013】
上記により、マスクの本体部分が挟持され、マスクの外側に止着手段を設ける必要はないため、収納物のマスクより小さいサイズのマスクケース1を実現できる。
【0014】
また、従来マスクケースは独立した容器として構成され、それ自体に係止手段を持たない。そのため、利用の度にマスクケースを収めたポケットやバッグから出さなくてはならないが、頻繁に利用する場合は不便である。
本発明では、マスクの止着に利用した裏マグネット6を活用して、マスクケース1を着衣の上に着脱可能な形で様々な場所への装着が可能にしている。マスクケース1を首から下げる、ズボンのベルトやバッグの肩紐などへの装着を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による、マスクケース1の横断面図である。
【
図2】マスクケース1にマスクを収納した状態の全体斜視図である。
【
図4】マスクケース1の蓋2、裏蓋3の先端部を後ろに折った上面図である。
【
図5】マスクケース1とマスクストラップ11で着衣の上に装着した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態としてのマスクケースを図面1から図面5を用いて説明する。
図1に示すように本実施例に関わるマスクケース1は、適度に弾性を備えたプラスチック、金属、布あるいは革などの基材、またはその組み合わせで構成される2面のシート体から成り、底辺の一部にヒンジ4を備える。
ヒンジ4は蓋2,裏蓋3を構成する基材によって、浅い溝や、硬い芯材を抜くなど、他の部分に比べ柔らかく屈曲可能な部分として構成するか、あるいは金属製またはプラスチック製の丁番を接続する。
【0017】
蓋2、裏蓋3の中央近傍にマグネット5と裏マグネット6が配設される。これによって、蓋2と裏蓋3を近接すると、マグネット同士が吸着することで自動的に閉じる。
この場合、一方が非マグネットの場合は中心から外れて吸着する場合があり、充分な吸着力を発揮しない恐れがあるのでマグネット5,6はともにネオジュームマグネットであることが望ましい。
上記のほか、マグネット5と裏マグネット6の位置や数は変更可能であり、シート状のマグネットでも構わない。
【0018】
また
図2は、マスクを収納した状態の斜視図で、収納対象のマスクは市販の衛生用途の製品であれば特に選ばない。
マスクは、左右の略中央で二つに折った状態で収納され、蓋2と裏蓋3によって挟持され、マグネット5と裏マグネット6で圧着固定される。
蓋2、裏蓋3は略長円または楕円形で、ヒンジ4以外の辺はどこにも固定されていず自由である。
収納されたマスクは、中央近傍に配設されたマグネット5と裏マグネット6およびヒンジ4で支えられる。
【0019】
公知のマスクケースの止着手段としてはスナップボタンや面ファースナの利用が知られているが、それらは雌雄の止着手段同士が直接対面しないと閉じることができない。
しかし、本発明のマグネットを用いる止着手段ではマグネットの配設場所は自由であり、本実施例では蓋2と裏蓋3の中央近傍にマグネット5と裏マグネット6を配設してマスクの本体部分を直接的に圧着し挟持している。
それにより、マスクケース1の大きさは、収納対象のマスクの本体部より小さくすることが可能である。
【0020】
また、少なくとも蓋2と裏蓋3が内接する2面には、4級アンモニウム塩や銀系無機抗菌剤その他の薬剤を塗布または、基材に塗り込んで抗菌、抗ウイルス機能性を持たせる。
蓋2と裏蓋3をプロピルピレン、塩化ビニール、ポリカーボネートなど透明性を有する素材で構成した場合は、光触媒をベースにした抗菌、抗ウイルスの殺菌や不活性化に有効とされる手段が好適である。
蓋2、裏蓋3を閉じると、マグネット5と裏マグネット6の吸着によって収納されたマスクは蓋2と裏蓋3に両面から直接的に圧着され、蓋2、裏蓋3に施されている抗菌、抗ウイルス機能がマスクに対して効果的に働くことが期待できる。
【0021】
図3は、ヒンジ4を開いた状態の展開図で、ヒンジ4の両端の近傍で蓋2と裏蓋3を水平方向に略3等分した位置に、縦方向に2本の縦ヒンジ8,9を設ける。縦ヒンジ8,9は蓋2,裏蓋3を構成する基材によって、薄い溝であったり、硬い芯材を抜いたりなどそれぞれに向いた手段で、他の部分に比べ柔らかく屈曲可能な部分として構成するか、あるいは独立した丁番を接続する。
【0022】
図4は、上面図で、縦ヒンジ8,9は、マスクケース1をポケットに仕舞う時などに蓋2と裏蓋3の左右の両端の半円部分を後方に折りたたみ小さくすることを可能にしている。
蓋2と裏蓋3は、ヒンジ4以外の辺はどこにも固定されず自由なので、マスクを収納した状態か否かに関わらず容易に後方に折りたたみコンパクトにすることができ、携帯利用に利便を提供する。
【0023】
図5において、裏マグネット6の後方は利用者が着用している着衣で、その裏側にフックマグネット10を置く。
この裏マグネット6とフックマグネット10が服地を挟んで吸着することにより、マスクケース1が服の外側に装着され、以降はその場でマスクの出し入れができる。
そのため、裏マグネット6とフックマグネット10は十分な吸着力を持つ必要がありネオジュームマグネットが適切である。
【0024】
フックマグネット10にはストラップ11が接続され、裏マグネット6からフックマグネット10を切り離した際にフックマグネット10が服の内側で落下するのを防止する。ストラップ11はループ状で、首から下げる場合を例示している。
【0025】
裏マグネット6とフックマグネット10の間に着衣を挟まずに、ストラップ11を着衣の上に出して、服の表側で裏マグネット6とフックマグネット10を直接に吸着固定しても良い。
【0026】
ストラップ11は、長さ調整が可能でストッパーが付いたゴムバンドあるいはベルトや面ファースナ等で構成して、利用者の腰のベルト通しやバッグの肩紐に固定する利用形態でも良い。また、ストラップ11のフックマグネット10の反対側近傍にクリップを設けて、襟などに留められるようにしても良い。
【0027】
何れも一度マスクケース1を着衣上に装着してしまえば、その後はマスクケース1をポケットやバッグなどの別の収納場所に出し入れすることが不要で、その場でマスクケース1を利用できる。ストラップ11を腰のベルト通しやバッグの肩紐に着けた場合も同様に利用の都度マスクケース1を別の収納手段に出し入れすることは不要である。
【符号の説明】
【0028】
1 マスクケース
2 蓋
3 裏蓋
4 ヒンジ
5 マグネット
6 裏マグネット
7 抗菌、抗ウイルス剤
8、9 縦ヒンジ
10 フックマグネット
11 ストラップ