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特開2022-80264内燃機関、排気システム、及び内燃機関を運転する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080264
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】内燃機関、排気システム、及び内燃機関を運転する方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/02 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
F01N3/02 101A
F01N3/02 101H
F01N3/02 101J
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021149021
(22)【出願日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】20207948.9
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21184689.4
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515191442
【氏名又は名称】ヴィンタートゥール ガス アンド ディーゼル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ シュピッヒャー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク シュナイター
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA04
3G091AA18
3G091AA19
3G091AA21
3G091BA36
3G091HB05
3G091HB06
(57)【要約】
【課題】安定した燃焼を提供し且つ省スペースを実現する内燃機関、排気処理ユニット、及び内燃機関を運転する方法を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、内燃機関100は、掃気ガスをシリンダ1内に導入する吸気システム3と、シリンダ1内で発生した排気ガスを排出する排気システム101とを有し、排気システムは、排気ガスを排出するための排気出口25を介してシリンダ1に接続された排気ガス・レシーバ4と、排気処理ユニット5とを含み、排気処理ユニット5は、少なくとも1つの排気ガス・クーラ6を有し、水などの冷却媒体を導くためのダクト・システム7を有する。排気システムは、少なくとも1つの熱交換器11a、11bを有し、熱交換器は、ダクト・システム7に流体接続された、又は流体接続可能な第1の流体ライン12a、12bを有し、且つ少なくとも1つの排気ガス・クーラ6から冷却媒体を受け取るように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシリンダ(1)を有する内燃機関(100)、好ましくは少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダ(1)を備えた大型船舶用機関、好ましくは低圧燃料ガス機関又はデュアル・フューエル機関であって、
シリンダ(1)を有し、前記シリンダ(1)は、シリンダ壁(2)を通して低圧燃料ガスを直接前記シリンダ(1)内に噴射するための少なくとも1つのガス給入弁(24)を有し、
前記内燃機関(100)は、吸気システム(3)であって、前記吸気システム(3)から掃気ガスが前記シリンダ(1)内に導入される、吸気システム(3)と、
排気システム(101)であって、前記シリンダ(1)内で発生した排気ガスが前記排気システム(101)を通して排出される、排気システム(101)と
をさらに有し、
前記排気システム(101)が、
前記シリンダ(1)から排気ガスを排出するための排気出口(25)を介して前記シリンダ(1)に接続された排気ガス・レシーバ(4)と、
少なくとも1つの排気ガス・クーラ(6)、好ましくは3つの排気ガス・クーラ(6)を有し、且つ水などの冷却媒体を導くためのダクト・システム(7)を有する排気処理ユニット(5)と
を有している、内燃機関(100)において、
前記排気システム(101)は、少なくとも1つの熱交換器(11a、11b)を有し、前記熱交換器(11a、11b)は、前記ダクト・システム(7)に流体接続された、又は接続可能な第1の流体ライン(12a、12b)を有し、且つ前記少なくとも1つの排気ガス・クーラ(6)から前記冷却媒体を受け取るように構成されていることを特徴とする、内燃機関(100)。
【請求項2】
前記内燃機関(100)は、好ましくは前記排気処理ユニット(4)の上流に配置されたタービン(9)を有するターボチャージャ(8)であって、前記吸気システム(3)の上流に配置された圧縮機(10)を駆動するターボチャージャ(8)をさらに有する、請求項1に記載の内燃機関(100)。
【請求項3】
前記内燃機関(100)は、前記ダクト・システム(7)と前記第1の流体ライン(12a、12b)とを有する冷却媒体回路(13)を有し、前記冷却媒体回路(13)は好ましくはポンプ(14)を有し、前記ポンプ(14)は、特に前記熱交換器(11a、11b)の上流且つ前記排気ガス・クーラ(6)の下流に配置される、請求項1又は2に記載の内燃機関(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの熱交換器(11a、11b)のうちの少なくとも1つは、ガス・モード熱交換器(11a)であり、前記ガス・モード熱交換器(11a)は、燃料ガスを加熱するための調温流体、特にグリコールを導くように構成された調温流体ライン(15a)を有する、請求項1、2又は3に記載の内燃機関(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの熱交換器(11a、11b)のうちの少なくとも1つは、ディーゼル・モード熱交換器(11b)であり、前記ディーゼル・モード熱交換器(11b)は、前記機関中央冷却回路の水を導くように構成された水流体ライン(15b)を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の内燃機関(100)。
【請求項6】
前記内燃機械(100)は、排気処理ユニット(5)及び吸気システム(3)に流体接続する排気ガス再循環ダクト(16)を有し、前記排気ガス再循環ダクト(16)は、好ましくは前記ターボチャージャ(8)の低圧側に配置される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の内燃機関(100)。
【請求項7】
前記内燃機械は、前記排気ガス再循環ダクト(16)内の排気圧を設定するための排気ガス流量制限デバイス(17)を有し、好ましくは、前記排気ガス流量制限デバイス(17)は排気ガス背圧弁であり、前記排気ガス背圧弁は、制御可能な開口部を特に有し、それにより、好ましくは5~100ミリバールの間の範囲において、排気ガス再循環率を制御するために適合可能な背圧を提供する、請求項6に記載の内燃機関(100)。
【請求項8】
前記排気処理ユニット(5)は、好ましくは前記排気ガス・クーラ(6)の下流に配置された水分離器(18)を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の内燃機関(100)。
【請求項9】
前記排気処理ユニット(5)は、好ましくは前記排気ガス・クーラ(6)の上流に配置された少なくとも1つの排気浄化要素(19)、例えばスクラバを有する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の内燃機関(100)。
【請求項10】
前記排気処理ユニット(5)及び前記排気ガス・レシーバ(4)は隣接して配置され、好ましくは共通のフレーム(20)及び/又は共通のハウジング(21)を有する、請求項1から9までのいずれか一項に記載の内燃機関(100)。
【請求項11】
前記排気処理ユニット(5)は制御ユニット(22)を有し、前記制御ユニット(22)は、前記少なくとも熱交換器(11a、11b)を通る冷却水の前記流れを調節するための少なくとも1つの出力ライン(24a、24b)を有し、前記出力ライン(24a、24b)は、前記第1の流体ライン(12a、12b)を開閉するための弁(23a、23b)に接続されている又は接続可能である、請求項1から10までのいずれか一項に記載の内燃機関(100)。
【請求項12】
少なくとも1つのシリンダ(1)を有する内燃機関(100)、好ましくは請求項1から11までの一項に記載の内燃機関(100)、好ましくは少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダ(1)を備えた大型船舶用機関、好ましくは低圧燃料ガス機関又はデュアル・フューエル機関であって、
前記内燃機関(100)は、吸気システム(3)であって、掃気ガスが前記吸気システム(3)から前記シリンダ(1)内に導入される、吸気システム(3)と、
排気システム(101)であって、前記シリンダ(1)内で発生した排気ガスが前記排気システム(101)を通して排出される、排気システム(101)と
をさらに有し、
前記内燃機関(100)は、前記吸気システム(3)の上流に配置された圧縮機(10)を駆動する、タービン(9)を有するターボチャージャ(8)をさらに有し、
前記内燃機械(100)は、前記排気システム(101)及び前記吸気システム(3)に流体接続する排気ガス再循環ダクト(16)を有し、前記排気ガス再循環ダクト(16)は、好ましくは前記ターボチャージャ(8)の低圧側に配置されている、内燃機関(100)において、
水分離器(18)を有する除水装置(40.1、40.2)が、前記ターボチャージャの前記圧縮機(10)の上流に且つ前記圧縮機(10)に隣接して前記ガス再循環ダクト(16)に配置され、それにより排気ガスは、新鮮な空気との混合前に除湿され得ることを特徴とする、内燃機関(100)。
【請求項13】
前記除水装置(40、40.1、40.2)は、除水装置(40、40.1、40.2)の流出方向が前記圧縮機(10)の軸方向(39)又は前記圧縮機(10)の半径方向(41)であるように配置される、請求項12に記載の内燃機関(100)。
【請求項14】
前記除水装置(40、40.1、40.2)は、加熱要素を有する、請求項12又は13に記載の内燃機関(100)。
【請求項15】
前記除水装置(40、40.1、40.2)は流路(42、43)を有し、そこで水が重力及び/又は遠心力によって前記排気ガスから分離される、請求項12、13又は14に記載の内燃機関(100)。
【請求項16】
内燃機関(100)のための排気システム(101)、好ましくは請求項1から15までのいずれか一項に記載の内燃機関(100)のための排気システム(101)であって、前記排気システム(101)は、少なくとも1つの排気ガス・クーラ(6)を備えた排気処理ユニット(5)と排気ガス・レシーバ(4)とを有し、前記排気処理ユニット(5)及び前記排気ガス・レシーバ(4)は隣接して配置され、好ましくは共通のフレーム(20)及び/又は共通のハウジング(21)を有する、排気システム(101)。
【請求項17】
少なくとも1つのシリンダ(1)を有する内燃機関(100)、好ましくは少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダ(1)を備えた大型船舶用機関、好ましくはシリンダ壁(2)を通して低圧燃料ガスを直接前記シリンダ(1)内に噴射するための少なくとも1つのガス給入弁(24)を有するシリンダを備えた低圧燃料ガス機関又はデュアル・フューエル機関、好ましくは請求項1から11までの一項に記載の内燃機関を運転する方法であって、
水などの冷却媒体で動作する少なくとも1つの排気ガス・クーラ(6)内で排気ガスを冷却するステップと、
少なくとも1つの熱交換器(11a、11b)を通して前記冷却媒体を導くステップであって、前記冷却媒体の熱が、燃料ガスを加熱するための調温流体、特にグリコールに、又は前記機関中央冷却回路の水に伝達される、ステップと
を含む、内燃機関(100)を運転する方法。
【請求項18】
排気ガスが前記シリンダ(1)内に再循環され、特に排気ガス・レシーバ(4)からターボチャージャ(8)のタービン(9)に、及び前記排気ガス・クーラ(6)から前記ターボチャージャ(8)の前記圧縮機(10)に導かれる、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関、排気システム、及び内燃機関を運転する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、好ましくは、大型の船舶用機関又は定置式機関のような内燃機関に関し、そのシリンダは、少なくとも200mmの内径を有する。機関は、好ましくは、2ストローク機関又は2ストローク・クロスヘッド機関である。機関は、ガス機関、デュアル・フューエル機関、又はマルチ・フューエル機関であってもよい。このような機関では、液体燃料及び/又は気体燃料の燃焼が可能であり、自己着火又は強制点火も可能である。
【0003】
内燃機関は、縦型フラッシュ式2ストローク機関であり得る。
【0004】
内燃機関という用語は、燃料の自己着火を特徴とするディーゼル・モードだけでなく、燃料のポジティブ点火を特徴とするオットー・モード、又はその2つの混合モードでも運転可能な大型機関も指す。さらに、内燃機関という用語は、特にデュアル・フューエル機関や、燃料の自己着火を他の燃料のポジティブ点火に利用する大型機関を含む。
【0005】
機関回転数は、特に4ストローク機関では800RPM未満が好ましく、特に2ストローク機関では、低速機関の指定を示す200RPM未満がより好ましい。
【0006】
燃料は、ディーゼル油、船舶用ディーゼル油、重油、エマルション、スラリー、メタノール、エタノールだけでなく、液化天然ガス(LNG:liquid natural gas)、液化石油ガス(LPG:liquid petrol gas)などのような気体であってもよい。
【0007】
要求に応じて、さらに追加可能な燃料は、液化バイオガス(LBG:Liquefied biogas)、生物燃料(例えば藻類又は海藻から作られた油)、アンモニア、水素、二酸化炭素から作られる合成燃料(例えばパワー・トゥ・ガス又はパワー・トゥ・リキッドによって作られる)である。
【0008】
大型船、特に商品を輸送する船は、通常、内燃機関によって、特にディーゼル及び/又はガス機関、ほとんどが2ストローク・クロスヘッド機関によって動く。重油、船舶用ディーゼル油、ディーゼル又は他の液体のような液体燃料の場合だけでなく、LNG、LPG又はその他のような気体燃料の場合も、機関によって燃焼され、この燃焼過程から生じる排気は、国際海事機構第3次規制(IMO Tier III)などの現行の規則に適合させるために浄化する必要がある。
【0009】
ガス/空気混合物の反応性及びメタン・スリップを減少させるために、例えば欧州特許出願公開第3722572(A1)号に示されるように、低圧の排気ガス再循環(EGR:exhaust gas recirculation)を提供することが知られている。燃焼を安定させるためには、再循環された排気ガスを冷却することが好都合である。
【0010】
ターボチャージャの圧縮機は、排気ガスの水分によって衝撃を与えられたり、腐食したりすることがある。中国特許出願公開第112628033(A)号は、凝縮液分離構成要素及びミキサを備えたEGRシステムを提案している。排気ガスと新鮮なガスとが混合され、水分が除去されるため、システムを配置するための可能性は限られている。
【0011】
米国特許第10,054,085(B2)号は、単段の熱交換器又は2段の熱交換器であるEGRクーラを有する動力系統を示している。動力系統のための燃料を気化させるために使用される熱は、熱交換器によって提供され得る。排気ガスは、熱交換器の中を通って導かれなければならない。
【0012】
通常、低圧EGR溶液は、機関・ルーム内に追加的なスペースを必要とする。さらに、低圧EGR溶液によって、機関後の排気エンタルピーが低くなり、その結果、蒸気が少なくなる。蒸気量の減少によって、標準的な排気ガス・エコノマイザに問題が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3722572(A1)号
【特許文献2】中国特許出願公開第112628033(A)号
【特許文献3】米国特許第10,054,085(B2)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、従来技術の欠点をなくすことであり、特にエンタルピーを損なうことなく安定した燃焼を提供しながら省スペースを実現し、好ましくは凝縮水の有害な作用を防止する内燃機関と、排気処理ユニットと、内燃機関を運転する方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、独立請求項に記載の内燃機関及び内燃機関を運転する方法によって達成される。
【0016】
内燃機関は、少なくとも1つのシリンダを有する。特に、内燃機関は、少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダを備えた大型船舶用機関であり、好ましくは、低圧燃料ガス機関又はデュアル・フューエル機関である。
【0017】
少なくとも1つのシリンダは、シリンダ壁を介して低圧燃料ガスを直接シリンダ内に噴射するための少なくとも1つのガス給入弁(ガス・アドミッション・バルブ)を有する。
【0018】
少なくとも1つのシリンダは、少なくとも1つの排気出口を有する。排出弁は、排気出口内に配置されていてもよい。
【0019】
内燃機関は、掃気ガスがシリンダ内に導入される吸気システムをさらに有する。
【0020】
吸気システムは、シリンダの吸気口に流体接続されているパイプを有していてもよい。
【0021】
吸気システムは、掃気レシーバを有していてもよい。ガスは、掃気レシーバに入る前に、掃気クーラの中を通って導かれてもよい。掃気は、シリンダ壁内の掃気口を介してシリンダに入ることができる。
【0022】
内燃機関は、シリンダ内で発生した排気ガスが排出される排気システムをさらに有する。排気システムは、シリンダから排気ガスを排出するための排気出口を介してシリンダに接続された排気ガス・レシーバを含む。
【0023】
シリンダの排気出口は、例えば、複数のシリンダの排気ガスを収集する排気ガス・レシーバにつながる排気導管に接続されていてもよい。
【0024】
排気ガス・レシーバは、好ましくは、例えば、金属薄板で構成される細長い中空の円筒状の本体を有している。金属薄板は、熱損失を避けるために断熱材の層によって覆われていてもよい。
【0025】
排気ガス・レシーバは、好ましくは、機関の全長に沿って(シリンダの軸線に垂直方向に)延在し、好ましくは、排気ガス・レシーバ内に延在する独立排気導管を経由して、すべてのシリンダから排気ガスを受容する。
【0026】
排気システムは、少なくとも1つの排気ガス・クーラ、好ましくは3つの排気ガス・クーラを有した排気処理ユニットをさらに含む。
【0027】
複数の排気ガス・クーラは、凝縮水が重力によって排気ガス・クーラ同士の間に流れ出る場合があるため、単一の排気ガス・クーラよりも効果的である。
排気ガス・クーラは、チューブ式及びフィン式であってもよい。排気ガスは、フィンに接触し、排気ガスからの熱は、チューブに導かれることがある冷却媒体に伝達され得る。
【0028】
クーラは、機関のサイズに応じて、好ましくは、全体的に500~5000mの大きな断面を有し、その結果、圧力損失を最小限に抑えることができる。
【0029】
排気処理ユニットは、水などの冷却媒体を導くためのダクト・システムを有する。ダクト・システムは、排気ガス・クーラのチューブを有していてもよい。
【0030】
排気ガスからの熱は、排気ガス・クーラに送られてもよく、ダクト・システムに導かれた冷却媒体によってクーラの外に伝達されてもよい。
【0031】
排気システムは、ダクト・システムに流体接続された、又は接続可能な第1の流体ラインを有する少なくとも1つの熱交換器を有する。少なくとも1つの熱交換器は、少なくとも1つの排気ガス・クーラから冷却媒体を受け取るように構成されている。
【0032】
冷却媒体によって排気ガス・クーラから伝達された熱は、熱交換器内に放出されてもよい。
【0033】
内燃機関は、吸気システムの上流側に配置された圧縮機を駆動するタービンを有するターボチャージャをさらに有してよい。
【0034】
タービンは、好ましくは、排気処理ユニットの上流側に配置される。排気ガスは、排気処理ユニット内で処理されずに、排気ガス・レシーバからタービンへ直接導かれることがある。
【0035】
したがって、好ましくは、排気ガス・レシーバ及び排気処理ユニットは、圧力及び温度に関しては、互いに分離されている。
【0036】
内燃機関は、冷却媒体回路を有していてもよく、冷却媒体回路は、ダクト・システム及び第1の流体ラインを有する。
【0037】
冷却媒体は、閉鎖回路を通って導かれてもよい。
【0038】
冷却媒体回路は、好ましくは、ポンプを有する。ポンプは、熱交換器の上流側に配置され、排気ガス・クーラの下流側に配置されてもよい。ポンプは、ダクト・システムから冷却媒体を引き入れてよく、熱交換器の第1の流体ラインの中にそれを押し込んでよい。
【0039】
有益な実施例では、少なくとも1つの熱交換器のうちの少なくとも1つは、ガス・モード熱交換器である。ガス・モード熱交換器は、燃料ガスを加熱するための調温流体(tempering fluid)、特にグリコールを導くように構成された調温流体ラインを有する。
【0040】
調温流体は、冷却媒体によってガス・モード熱交換器内に伝達された熱を吸収することができる。
【0041】
ガス・モード熱交換器又は調温流体ラインは、燃料ガス供給システムのLNG気化回路の一部であってもよい。調温流体、例えばグリコールは、燃料ガスが加熱される際に、エコノマイザによって提供される蒸気の代わりになったり、蒸気をサポートしたりしてもよい。
【0042】
少なくとも1つの熱交換器のうちの少なくとも1つは、ディーゼル・モード熱交換器であってもよい。ディーゼル・モード熱交換器は、機関中央冷却回路の水を受け取るように構成された水流体ラインを有することがある。
【0043】
好ましくは、内燃機関は、ガス・モード熱交換器及びディーゼル・モード熱交換器を有する。機関がガスによって駆動されている限り、ガス・モード熱交換器が使用され得る。機関がディーゼルによって駆動される場合は、ディーゼル・モード熱交換器が使用され得る。
【0044】
有利な実施例では、内燃機械は、排気ガス再循環ダクトを有しており、その排気ガス再循環ダクトは、排気処理ユニット及び吸気システムに流体接続していて、好ましくはターボチャージャの低圧側に配置されている。
【0045】
排気ガスは、ターボチャージャのタービンの下流側で排気ラインから分岐されることがあり、その結果、排気ガスの一部が排気処理ユニットに導かれ、そこからターボチャージャの圧縮機を経由して吸気システムに導かれ得る。
【0046】
排気ガス再循環ダクトは、排気ガス・レシーバと吸気システムとの間に延在するEGRシステムの一部であってもよく、EGRシステムは、排気処理ユニットを有する。EGRシステムは、排気ガスの一部をタービンから排気処理ユニットに向け、そこから排気ガス再循環ダクトを経由して吸気システムに向けるEGR導管を有する。
【0047】
内燃機械は、EGRシステム内に、特に排気ガス再循環ダクト内に送風機を有していてもよい。
【0048】
或いは又はそれに加えて、内燃機械は、排気ガス再循環ダクト内の排気圧を設定するための排気ガス流量制限デバイスを有していてもよい。
【0049】
好ましくは、前記排気ガス流量制限デバイスは、排気ガス背圧弁であり、排気ガス再循環率を制御するための適合可能な背圧を提供するために、特に、制御可能な開口部を有している。好ましくは、排気ガス再循環ダクト内の排気圧は、5~100ミリバールの範囲に設定されてもよい。
【0050】
排気ガス流量制限デバイスは、分岐点に、又は分岐点の近くに配置されてもよく、排気ガスの第1の部分は、ターボチャージャのタービンの下流側の排気ラインから分岐し、第2の部分は、エコノマイザに、及び/又はファンネルに導かれる。
【0051】
排気処理ユニットは、水分離器を有していてもよく、好ましくは、排気ガス・クーラの下流側に配置されていてもよい。水分離器は、例えば、お互いから一定距離、好ましくは1~3mの距離を有し得る排気ガス・クーラ同士の間に流れ出る凝縮水を収集する。
【0052】
水分離器は、水ミスト・キャッチャであってもよい。
【0053】
収集された水は、排出前に水処理デバイスで浄化されてもよい。
【0054】
水分離器は、わずかな圧力損失のみが、好ましくは50mmWGよりも小さい(0.098ミリバールに相当する)圧力損失が生じるように設計される。流れ偏光板は、慣性によって、水滴の分離を引き起こすことがある。
【0055】
排気処理ユニットは、好ましくは、排気ガス・クーラの上流側に配置された少なくとも1つの排気浄化要素、例えば、スクラバを有していてもよい。
【0056】
有益な実施例では、排気処理ユニット及び排気ガス・レシーバは、隣接して配置され、好ましくは、共通のフレーム及び/又は共通のハウジングを有する。
【0057】
排気ガス・レシーバ・ユニット及び排気ガス・レシーバは、両方とも、細長い中空の本体を有することができ、同じ方向に延在し、及び/又は1つの共通の壁を共有することができる。
【0058】
このように、排気システムは、シリンダ上に直接取り付けることができるコンパクトな要素及び省スペース型要素である。
【0059】
排気処理ユニットは、制御ユニットを有していてもよい。
【0060】
制御ユニットは、少なくとも1つの熱交換器を通る冷却水の流れを調節するための少なくとも1つの出力ラインを有していてもよく、この出力ラインは、第1の流体ラインを開閉するための弁に接続されているか、又は接続可能である。したがって、制御ユニットは、少なくとも1つの熱交換器での熱交換を可能にするか、又は防止することができる。
【0061】
好ましくは、排気処理ユニットは、熱交換器のそれぞれのための弁を有し、制御ユニットは、弁のそれぞれを制御するための出力ラインを有する。
【0062】
したがって、排気処理ユニットは、例えば、ガス・モード熱交換器の第1の流体ラインを通る冷却媒体の流れを可能にする弁を閉じることによって、且つ、ディーゼル・モード熱交器の第1の流体ラインを通る冷却媒体の流れを可能にする弁を開くことによって、ガス・モードからディーゼル・モードに切り替えられてもよい。
【0063】
制御ユニットは、排気ガス再循環ダクト内の背圧を設定するための出力ラインをさらに有していてもよく、出力ラインは、排気ガス流量制限デバイスに接続されているか、又は接続可能である。制御ユニットは、排気ガス背圧弁の開口部を配置することによって、EGR率を制御することができる。
【0064】
好ましくは上述のように、水分離器を有する除水装置を備えた内燃機関によって、目的が達成される。
【0065】
内燃機関は、少なくとも1つのシリンダを有し、好ましくは、少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダを備えた大型船舶用機関である。内燃機関は、好ましくは、低圧燃料ガス機関又はデュアル・フューエル機関である。
【0066】
内燃機関は、掃気ガスがシリンダ内に導入される吸気システムと、シリンダ内で発生した排気ガスが排出される排気システムとをさらに有する。
【0067】
排気システムは、シリンダから排気ガスを排出するための排気出口を介してシリンダに接続された排気ガス・レシーバを含んでいてもよい。排気システムは、好ましくは、除水装置の上流側に、クーラをさらに含んでもよい。
【0068】
内燃機関は、吸気システムの上流側に配置された圧縮機を駆動するタービンを有するターボチャージャを有する。
【0069】
内燃機械は、排気システム及び吸気システムに流体接続している排気ガス再循環ダクトを有する。
【0070】
好ましくは、排気ガス再循環ダクトは、ターボチャージャの低圧側に配置されており、その結果、排気ガスは最初にターボチャージャのタービンを通って、次に圧縮機を通って導かれる。
【0071】
或いは、高圧排気ガスは、圧縮機を通って導かれてもよい。
【0072】
除水装置は、ターボチャージャの圧縮機の上流側且つ圧縮機の隣のガス再循環ダクトに配置されている。
【0073】
したがって、少なくとも凝縮水によるインペラへの衝突のリスクを低減するために、水は、圧縮機に入る前に排気ガスから除去される。
【0074】
好ましくは、除水装置は、圧縮機に隣接して配置され、その結果、除水装置と圧縮機との間の流路は短く、排気は湿気を再び吸収することはできない。
【0075】
除水装置は、排気ガスを新鮮な空気と混合する前に除湿できるように配置されてもよい。
【0076】
排気ガスは、最初に、圧縮機で新鮮な空気と接触することができ、排気ガス及び新鮮な空気は、圧縮機内で混合される。或いは、除水装置は、圧縮機の上流側に配置されてもよく、その結果、除湿された排気ガスは、新鮮な空気と合流して、新鮮な空気とともに圧縮機に導かれる。
【0077】
内燃機械はまた、新鮮な空気のために別の除水装置を有していてもよい。
【0078】
除水装置は、ミストを捕集及び/又は水を収集するための水分離器を有する。除水装置は、水及び粒子状物質を除去する効率を向上させるためのさらなる構成要素を有していてもよい。
【0079】
除水装置は、除水装置の流出方向が、圧縮機の軸方向又は圧縮機の半径方向であるように配置されてもよい。
【0080】
流出部が軸方向に配置されることで、コンパクトなデザインが可能になる。
【0081】
除水装置は、加熱及び/又は冷却要素を有していてもよい。
好ましくは、水分離器は、特定の体積流量に対応する効率性を有している。水分離器で収集されない残留水滴を除去する必要性がある場合がある。
【0082】
水ミスト除去は、残留水滴を気化させることによって改善することができる。これは、水分離器の上流側の排気を冷却すること、及び/又は水分離器の下流側の排気を加熱することによって達成することができる。
【0083】
したがって、排気ガスが圧縮機に入る前に、水全体を確実に除去することができる。
【0084】
加熱要素は、電気加熱要素であってもよい。
【0085】
加熱要素は、水又はガスなどの調温流体を導くための導管を有していてもよい。
【0086】
加熱及び/又は冷却要素は、水分離器の上流側の熱を吸収して水分離器の下流側の熱を放出する調温流体を導くための、好ましくは、閉鎖された導管システムを有していてもよい。
【0087】
導管システムは、排気ガス・クーラの冷却媒体を導くためのダクト・システムに接続されるか、又は上述のような熱交換器に接続されてもよい。熱交換器は、水分離器の下流側の排気ガスを加熱するための調温流体を導くように構成された調温流体ラインを有していてもよい。
【0088】
加熱要素は、マイクロ波、赤外線波、及び/又はヒート・ポンプを使用することもできる。
【0089】
除水装置は、重力及び/又は遠心力によって水を排気ガスから分離する流路を有していてもよい。
【0090】
流路は、重力方向に垂直に配置することができ、その結果、排気ガスは水平方向に導かれ、除去された水は垂直方向に流れ出る。
【0091】
流路は湾曲していてもよく、その結果、排気ガスは湾曲路に沿って導かれる。同伴水は、遠心力によって半径方向外側に吹き飛ばされ、排気ガスから分離されてもよい。
【0092】
好ましくは上述のように、内燃機関のための排気システムによっても、目的が達成される。排気システムは、少なくとも1つの排気ガス・クーラを備えた排気処理ユニットと、排気ガス・レシーバとを有する。排気処理ユニット及び排気ガス・レシーバは隣接して配置され、好ましくは、共通のフレーム及び/又は共通のハウジングを有する。
【0093】
排気処理ユニットは、少なくとも1つの熱交換器に接続可能であり得る、冷却媒体を導くためのダクト・システムを有していてもよい。
【0094】
排気システムは、複数のシリンダに1つの部品として直接取り付けることができる省スペース型ユニットを形成してもよい。
【0095】
少なくとも1つのシリンダを有する内燃機関を運転する方法によっても、目的が達成される。好ましくは、内燃機関は、少なくとも200mmの内径を有する少なくとも1つのシリンダを備えた大型船舶用機関であり、好ましくは、シリンダ壁を介して低圧燃料ガスを直接シリンダ内に噴射するための少なくとも1つのガス給入弁を有するシリンダと、排気ガスを排出する排気出口とを備えた、低圧燃料ガス機関又はデュアル・フューエル機関であり、好ましくは、上述のような内燃機関である。
【0096】
この方法は、以下のステップを含む。
【0097】
排気ガスは、水などの冷却媒体で動作する少なくとも1つの排気ガス・クーラ内で冷却される。
【0098】
冷却媒体は、少なくとも1つの熱交換器を通って導かれ、熱交換器では、冷却媒体の熱が、燃料ガスを加熱するための調温流体、特にグリコールに、又は機関中央冷却回路の水に伝達される。
【0099】
排気ガスは、シリンダ内に再循環されてもよい。
【0100】
特に、排気ガスは、排気ガス・レシーバからターボチャージャのタービンに、及び、排気ガス・クーラからターボチャージャの圧縮機に導かれる。より好ましくは、排気ガスは、ターボチャージャのタービンから排気ガス・クーラに導かれる。
【0101】
以下、本発明を、実施例で図面を用いてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図1】内燃機関を示す側面図である。
図2】シリンダの概略図である。
図3】本発明による内燃機関の第1の実例の概略図である。
図4】本発明による内燃機関の第2の実例の概略図である。
図5】本発明による内燃機関の第3の実例の概略図である。
図6a】除水装置の第1の配置の概略図である。
図6b】除水装置の第2の配置の概略図である。
図7a】除水装置の第1の実例の概略図である。
図7b】除水装置の第2の実例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
図1は、内燃機関100を側面図で示す。内燃機関100は、少なくとも200mmの内径を有する4つのシリンダ1を備えた大型船舶用のデュアル・フューエル機関である。
【0104】
内燃機関100は、シリンダ1内で発生した排気ガスが排出される排気システム101を有する。
【0105】
排気システム101は、シリンダ1から排気ガスを排出するための排気出口25を介してシリンダ1に接続された排気ガス・レシーバ4と、排気処理ユニット5を含む。
【0106】
図2は、シリンダ1の概略図である。シリンダ1は、シリンダ壁2を介して低圧燃料ガスを直接シリンダ1内に噴射するための2つのガス給入弁24を有する。
【0107】
掃気は、シリンダ壁2内の掃気口27を介して吸気システム3からシリンダ1に入ることができる。排気ガスは、排気出口25を通ってシリンダ1から排出され得る。排出弁26は、排気出口25内に配置されている。
【0108】
ピストン32は、シリンダ1内に往復動自在に取り付けられる。
【0109】
図3は、内燃機関100の第1の実例の概略図である。
【0110】
内燃機関100は、シリンダ1(図1及び図2参照)内で発生した排気ガスが導かれる排気システム101を有している。排気ガス・レシーバ4は、排気出口25を介してシリンダ1に接続されている(図1及び図2参照)。
【0111】
排気処理ユニット5は、共通のフレーム20上で、及び共通のハウジング21内で、排気ガス・レシーバ4に対して隣接して配置される。
【0112】
排気処理ユニット5は、連続して配置された3つの排気ガス・クーラ6を有している。排気処理ユニット5はまた、排気処理ユニット5内の排気ガスの流れ方向Fに対して、排気ガス・クーラ6から上流側に配置された排気浄化要素19を有している。
【0113】
排気処理ユニット5は、クーラ6の下流側に水分離器18をさらに有している。水分離器18内で分離された水は、水処理デバイス30内で浄化することができる。
【0114】
排気ガスは、排気ガス・レシーバ4から排気ライン28を通って、ターボチャージャ8の圧縮機10を駆動するターボチャージャ8のタービン9に導かれる。
排気ガスの一部は分岐して排気処理ユニット5を通って導かれ、シリンダ1内に再循環される。排気処理ユニット5では、排気ガスは、排気浄化要素19内で、例えば水スプレーを配置することによって浄化される。排気ガスは、その後、排気ガス・クーラ6内で冷却され、排気ガス再循環ダクト16を通ってターボチャージャ8の圧縮機10及び吸気システム3に導かれる。圧縮機10の上流側で、排気ガスは新鮮な空気と混合される。
【0115】
排気ガス再循環ダクト16内の圧力は、排気ガス背圧弁17によって設定されてもよい。排気ガス再循環は、EGR経路33内の排気処理ユニット5の上流側及び下流側に配置された弁29を閉じることによって防止され得る。
【0116】
排気システム101は、冷却回路13を通って冷却水を導くためのダクト・システム7を有する。ダクト・システム7は、クーラ6に配置されたチューブ(明示的には図示せず)を有する。
【0117】
ダクト・システムは、ガス・モード熱交換器11aの第1の流体ライン12aに接続され、且つ、ディーゼル・モード熱交換器11bの第1の流体ライン12bに接続され、その結果、冷却水は、ガス・モード熱交換器11a及び/又はディーゼル・モード熱交換器11bを通って導かれることができる。
【0118】
ガス・モード熱交換器11aは、グリコールを導くように構成された調温流体ライン15aを有する。グリコールは、燃料ガスを加熱するために使用される。
【0119】
ディーゼル・モード熱交換器11bは、機関中央冷却回路の水を導くように構成された水流体ライン15bを有する。
弁23aは、排気処理ユニット5からの冷却媒体の流れがガス・モード熱交換器11aの第1の流体ライン12aを通るのを可能にする、又は防止することができる。
【0120】
弁23bは、排気処理ユニット5からの冷却媒体の流れがディーゼル・モード熱交換器11bの第1の流体ライン12bを通るのを可能にする、又は防止することができる。
【0121】
冷却回路13は、冷却媒体の流れ方向を決定するポンプ14を有する。排気処理ユニット5では、冷却媒体は、排気ガスの流れ方向Fの反対方向に流れる。ポンプ14は、排気処理ユニット5の下流側、及び、熱交換器11a、11bの上流側に配置される。
【0122】
排気処理ユニット5は、制御ユニット22を有する。制御ユニット22は、ガス・モード熱交換器11aを通る冷却水の流れを調節するための出力ライン24aを有する。出力ライン24aは、ガス・モード熱交換器11aの第1の流体ライン12aを開閉するための弁23aに接続されている。
【0123】
制御ユニット22は、ディーゼル・モード熱交換器11bを通る冷却水の流れを調節するための出力ライン24bをさらに有する。出力ライン24bは、ディーゼル・モード熱交換器11bの第1の流体ライン12bを開閉するための弁23bに接続されている。
【0124】
制御ユニット22は、ガス・モードとディーゼル・モードとの間で切り替わるように適合されており、冷却媒体は、ガスを加熱するためのガス・モード熱交換器11aに導かれるか、冷却水が機関中央冷却回路の水によって冷却されるディーゼル・モード熱交換器11bに導かれる。
制御ユニットは、背圧弁17を設定するための出力ライン31をさらに有していてもよい。背圧弁17を開閉することによって、多かれ少なかれ、排気ガスはシリンダ1内に再循環される。
【0125】
ガス・モード熱交換器11aに入るときのグリコールの温度は、およそ20℃であってもよい。グリコールは、ガス・モード熱交換器11a内で30~35℃に加熱してもよい。
【0126】
ディーゼル・モード熱交換器11bに入るときの機関中央冷却回路の水の温度は、およそ36℃であってもよい。機関中央冷却回路の水は、ディーゼル・モード熱交換器11b内で約5℃以上加熱されてもよい。
【0127】
冷却水は、排気処理ユニットに入るときに38~40℃の温度を有していてもよい。
排気ガスは、200~280℃の温度から40~50℃の温度まで冷却される。
【0128】
排気ガス再循環により、メタン・スリップのリスクが低くなる。内燃機関がガス・モードで運転されるとき、すなわち、燃料ガスがシリンダ1内に直接噴射されるとき、排気ガスの約50%が再循環される。
【0129】
燃焼を安定させるために、排気ガスは冷却されなければならない。シリンダ内への高温ガスの給入によって、過早着火、不安定な着火(erratic ignitions)、及び不要な圧力変動のリスクが生じることがある。
【0130】
図4は、内燃機関100の第2の実例の概略図である。
【0131】
内燃機関100は、水分離器18を有する除水装置40をさらに有する。除水装置40は、圧縮機10の上流側且つ圧縮機10の隣に配置されており、排気ガスに同伴される可能性のある水を圧縮機内に導入することを防止する。凝縮液は、コンペラに腐食又は衝撃を与える可能性があるため、避けなければならない。
【0132】
図5は、シリンダ1を備えた内燃機関100の第3の実例の概略図である。
【0133】
内燃機関100は、掃気ガスがシリンダ1内に導入される吸気システム3を有する。
内燃機関100は、シリンダ1内で発生した排気ガスが排出される、排気ガス・レシーバ4を含む排気システム101を有する。
【0134】
弁34、35の設定に応じて、排気ガスは、ターボチャージャ8のタービン9を通って、及び/又はバイパス管36を通って導かれてもよい。
【0135】
弁37が開いているとき、排気ガス再循環ダクト16は、排気システム101及び吸気システム3に流体接続している。
【0136】
再循環された排気ガスは、ターボチャージャ8の圧縮機10に入る前に、除水装置40を通って導かれる。
【0137】
図6a及び図6bは、ターボチャージャ8に対する除水装置40の2つの可能な配置を示す図である。
【0138】
図6aに示す第1の配置では、除水装置40は、流出方向38がターボチャージャ8の軸方向39になるように配置される。
【0139】
図6bに示す第2の配置では、除水装置40は、流出方向38がターボチャージャ8の半径方向41になるように配置される。除水装置40は、流出方向38がターボチャージャ8の接線方向になるように配置されてもよい(図示せず)。
【0140】
図7aは、除水装置40.1の第1の実例の概略図であり、除水装置40.1は、水平に、重力の方向43に対して垂直に配置された流路42を有する。
【0141】
水滴及び粒子状物質を含む排気ガスは、除水装置40.1に入る。付着粒子を有する凝縮水は、水ミスト・キャッチャ18内に収集され、除水装置40.1から流れ出ることができる。
【0142】
図7bは、除水装置40.2の第2の実例の概略図である。除水装置40.2は、水滴及び粒子状物質の収集を改善する湾曲流路43を有する。
【0143】
同伴水は、半径方向44への遠心力によって、排気ガスから分離される。粒子状物質が付着した残りの水滴は、水ミスト・キャッチャ18によって収集され、除水装置40.2から流れ出ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
【外国語明細書】