(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080292
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】前炉システムのための酸素燃料バーナ
(51)【国際特許分類】
C03B 5/235 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
C03B5/235
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185469
(22)【出願日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】16/950,502
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア・ジェイコブ・ウィーバー
(72)【発明者】
【氏名】カーティス・リン・テイラー
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AF00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】前炉システム、それを含むガラス製造システムおよび前炉システム内で酸素燃料バーナを動作させる方法を提供する。
【解決手段】前炉システムは、溶融ガラスタンクを構成する耐火レンガを含む上部構造を含み、バーナブロックが、溶融ガラスタンクの上の上部構造内にある耐火材料から形成されたその遠位端へと延在している放出スロートを含む。少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナは、バーナ本体と、燃料を受容するための燃料入口104及び燃料出口を有するバーナ本体内の燃料パイプ101と、酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有するバーナ本体内の酸素パイプ102と、を含むバーナブロック内にある。酸素パイプが、燃料パイプの外側に同軸上に位置付けられる。燃料出口が、酸素パイプを超えて、かつバーナ本体を超えて延在し、それにより、酸素が最初に燃料に到達し、ひいては、動作中に、炎が放出スロートまで遅延される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前炉システム(200)であって、
溶融ガラスタンクを構成する複数の耐火レンガを備える上部構造と、
バーナブロック(210)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(210)と、
長さ方向に沿った長軸を有する前記バーナブロック内の少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナ(100)であって、前記酸素燃料前炉バーナが、
バーナ本体(135)と、
燃料を受容するための燃料入口(104)及び燃料出口を有する前記バーナ本体内の燃料パイプ(101)と、
酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する前記バーナ本体内の酸素パイプ(102)であって、前記酸素パイプが、前記燃料パイプの外側に同軸上に位置付けられる、酸素パイプ(102)と、を備え、
前記燃料出口が、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、それにより、前記酸素が最初に前記燃料に到達し、ひいては、動作中に、炎(107)が遅延される、酸素燃料前炉バーナ(100)と、を備える、前炉システム(200)。
【請求項2】
ガラス製造システム(300)であって、
ガラス溶融炉(315)と、
溶融ガラスタンクを構成する複数の耐火レンガを含む上部構造を備える前炉システム(200)と、
バーナブロック(320)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235、255)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(320)と、
長さ方向に沿った長軸を有する前記バーナブロック内の少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナ(100)であって、前記酸素燃料前炉バーナが、
バーナ本体(135)と、
燃料を受容するための燃料入口(104)及び燃料出口を有する前記バーナ本体内の燃料パイプ(101)と、
酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する前記バーナ本体内の酸素パイプ(102)であって、前記酸素パイプが、前記燃料パイプの外側に同軸上に位置付けられ、
前記燃料パイプが、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、それにより、前記酸素が最初に前記燃料に到達し、ひいては、動作中に、炎(107)が遅延される、酸素パイプ(102)と、
前記酸素燃料前炉バーナによって行われる熱処理後の溶融ガラスを受容するために結合されるガラス形成装置と、を備える、酸素燃料前炉バーナ(100)と、を備える、ガラス製造システム(300)。
【請求項3】
溶融ガラスタンクを構成する複数の耐火レンガを含む上部構造と、バーナブロック(210)であって、前記バーナブロックの遠位端へと延在している放出スロート(235)を含む前記溶融ガラスタンクの上の前記上部構造内に耐火材料を含む、バーナブロック(210)と、を備える、前炉システム(200)内で少なくとも1つの酸素燃料バーナ(100)を動作させる方法であって、
バーナ本体であって、前記バーナ本体内に、酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有する酸素パイプ(102)を有する、バーナ本体を備える、前記酸素燃料前炉バーナを提供することを含み、前記酸素パイプが、燃料出口を有する燃料パイプ(101)の外側に同軸上に位置付けられ、前記燃料出口が、前記酸素パイプを超え、かつ前記バーナ本体を超えて延在し、
前記酸素が最初に前記燃料に到達し、それにより、動作中に、炎(107)が前記放出スロートまで遅延される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される態様は、ガラス製造システムの前炉システムのための酸素燃料バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製造システムは、ガラスの生産において使用されており、ガラス溶融炉において溶融ガラスが生成され、次いで溶融ガラスが連続ストリームで前炉システム(又は前炉セクション)に沿ってフィーダーボウルに送り、そこから溶融ガラスが金型充填剤又は塊でガラス形成装置に送給される。ガラス形成装置は、受容した溶融ガラスを所望の形態又は形状に処理する。
【0003】
前炉システムは、ガラス溶融炉とガラス形成装置との間の搬送中に溶融ガラスを調整するように設計され、溶融ガラスを形成又は成形により適するようにする。具体的には、前炉システムは、ガラス形成装置によって処理するために必要とされる温度まで溶融ガラスを加熱又は冷却するように設計される。いくつかのガラス製品場合、前炉システムによる処理後の溶融ガラスの温度は、ガラス形成装置の入口において、約1200℃などの目標温度の約1℃以内に維持することを必要とする。
【0004】
従来の前炉システムは、前炉ダクトの両側に長手方向に配置された一連の比較的小型の酸素燃料前炉バーナを通して、温度制御を提供する。それぞれの酸素燃料前炉バーナ間の間隔は、典型的に6~18インチである。単一の前炉システムは、数百の酸素燃料前炉バーナを収容することができ、単一のガラス炉が、1つ又は複数の前炉システムを有し得る。典型的な前炉システムは、それに沿って溶融ガラスが流れ、一般に断熱クラウン又はルーフを備える、耐火材料(例えば、アルミナジルコンシリカ)で構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本概要は、提示される図面を含む以下の「発明を実施するための形態」で更に詳述される、簡潔に選定された開示の態様を単純な形態で紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の範囲を限定することを意図するものではない。
【0006】
開示される態様は、ガラス溶融炉を設計することと比較して、ガラス製造システムの前炉システムが、いくつかの方法では、酸素燃料前炉バーナのための設計をより困難にすることを認識している。これらの設計の課題としては、酸素燃料前炉バーナを適切に冷却すること、並びに燃料及び酸素の放出速度を効果的かつ効率的に管理することが挙げられる。
【0007】
開示される一態様は、溶融ガラスタンクを構成する複数の耐火レンガを含む上部構造を備える前炉システムを備える。耐火材料で構成されるバーナブロックは、その遠位端へと延在している放出スロートを含み、バーナブロックは、溶融ガラスタンクの上の上部構造内にある。少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナが、長さ方向に沿った長軸を有するバーナブロック内にある。燃料パイプが、一方の端部の燃料を受容するための燃料入口及び反対側の端部の燃料出口を有するバーナ本体内にある。酸素パイプが、酸素を受容するための酸素入口及び酸素出口を有するバーナ本体内にある。酸素パイプが、燃料パイプの外側に同軸上に位置付けられる。燃料出口が、酸素パイプ及びバーナ本体を超えて延在し、それにより、酸素が最初に燃料に到達し、ひいては、動作中に、炎が放出スロートまで遅延される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、例示的な一態様による、ガラス製造システムの前炉システムのための酸素燃料前炉バーナの一例の断面図を示す。酸素燃料前炉バーナは、酸素とともに燃料を燃焼させて、制御された長さの炎を生成して、ガラスを熱処理するための制御された様式で熱を供給するように設計される。
【0009】
【
図2A】
図2Aは、前炉システムのための典型的なバーナブロックを示す配設の断面図をそれぞれ示す。バーナブロックは、各々が耐火材料を備え、各々がその中に位置付けられた単一の開示される酸素燃料前炉バーナを有するように示される。
【
図2B】
図2Bは、前炉システムのための典型的なバーナブロックを示す配設の断面図をそれぞれ示す。バーナブロックは、各々が耐火材料を備え、各々がその中に位置付けられた単一の開示される酸素燃料前炉バーナを有するように示される。
【0010】
【
図3】
図3は、例示的な一態様による、未処理のガラスをガラス溶融炉に提供する原材料コンテナと、放出スロートを有するガラス溶融炉から出力される溶融ガラスを受容する、バーナブロック内の複数の開示される酸素燃料前炉バーナと、を含み、放出スロートがガラス形成装置に結合される、例示的なガラス製造システムを表す。
【0011】
【
図4】
図4は、下の「実施例」セクションで説明する酸素燃料前炉バーナの動作データを生成するために使用した、作動中の前炉システムの構成要素を表す。
【0012】
【
図5A】
図5Aは、開示される酸素燃料前炉バーナの性能と、現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナと見なされ得るものとを比較した、比較の酸素燃料前炉バーナの動作結果を要約した表である。
【0013】
【
図5B】
図5Bは、右側が、開示される酸素燃料前炉バーナによって生成された炎を示し、左側が、現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナと見なされるものによって生成された炎を示す、走査画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照して、開示される態様を説明するが、類似又は同等の要素を示すために、図面全体にわたって同じ参照番号を使用する。図面は、縮尺どおりに描かれておらず、それらは、特定の開示される態様を単に例証するために提供される。いくつかの開示される態様は、例証のための例示的な用途に言及しながら以下に記載される。開示される態様の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細、関係、及び方法が記載されることを理解するべきである。
【0015】
図1は、ガラス製造システムの前炉システムセクションのための、100で示される例示的な酸素燃料前炉バーナの断面図を示す。酸素燃料前炉バーナ100は、典型的にステンレス鋼で構成されるバーナ本体135を備える。酸素燃料前炉バーナ100は、一般に、バーナブロックが酸素燃料前炉バーナ100の周囲に位置付けられるなどの、耐火材料で構成されるバーナブロック内に設置される。例示的なバーナブロックは、下で説明する
図2A及び
図2Bに示されている。酸素燃料前炉バーナ100はまた、一般に、燃料の流量及び酸素の流量を制御するための少なくとも1つの流量コントローラも含む。
【0016】
酸素燃料前炉バーナ100について示されている配設は、内側に配置された燃料パイプ101及び外側に配置された酸素パイプ102を含む同軸パイプ配設であり、燃料パイプ101は、酸素パイプ102の内側に収容される。この配設は、酸素燃料前炉バーナ100の燃焼プロセス(炎107に反映される)を遅延させ、それにより、最初に、一般にバーナブロックの放出スロート内にあるバーナ本体135を超えて燃焼が生じる(下で説明する
図2A及び
図2Bに示される放出スロートを含むバーナブロックを参照されたい)。
【0017】
酸素又は酸素含有ガスは、酸素燃料前炉バーナ100及び酸素パイプ102の長さ方向に対して直角に任意選択的に配向されて示されている酸素パイプ102通して形成される入口経路103を通して、バーナ本体135に進入する。燃料は、同じくバーナ本体135内に形成された燃料入口104を通して、軸方向(長さ方向)に燃料パイプ101に進入する。燃料は、一般に、主にメタン又はプロパンであることが知られている天然ガスを含み、酸素源は、一般にO2を含む。
【0018】
燃料パイプ101は、一般に酸素パイプ102を大体0.25’’(インチ)~6’’の距離、長さ方向109に、バーナ本体135を超えて、かつ酸素パイプ102を超えて延在しているように見ることができる。燃料と酸素との燃焼によって生じる炎107は、一般に、炎107を取り囲んで示されるO2 105の低速層流層を有する。放出スロートは、大気に直接放出することと置き換えることが可能であり得る。燃料出口101aから現れる炎107の近く又はその中心に導入される、106で示される燃料パイプ101によって出力される燃料の層流は、一般に、75~300ft/秒の速度で移動する。
【0019】
開示される態様は、ガラス製造システムの前炉システムのための酸素燃料前炉バーナの設計において補償されるべき、2つの要因があることをと認識している。ガラス製造システム内に少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナを含む前炉システムの機能は、溶融ガラスの温度を維持すること、又はガラス溶融炉から受容する溶融ガラスを僅かに冷却することである。本明細書では、前炉システムに必要とされる熱入力は、ガラス溶融炉に必要とされる熱入力と比較して、大幅に少ないことが認識される。結果的に、より少ない容積の燃料及び酸素ガスが酸素燃料前炉バーナ(複数可)を通過する。
【0020】
このより少ない容積の反応ガスの流量は、反応物質の流量によってほぼ完全に冷却されるように設計された酸素燃料前炉バーナの課題を提示し、反応物質は、O2又は酸素含有ガス混合物、及び燃料である。未燃のガスの流量が少なくなるにつれて、酸素燃料前炉バーナから運び去られ得る総熱量も少なくなる。この課題は、開示される酸素燃料前炉バーナによって、以下で説明するように対処される。
【0021】
ガラス製造システムの前炉システムの酸素燃料バーナのための現在の最新技術は、前炉環境における酸素燃料バーナの一意の課題に十分に対処しておらず、そのことが、過熱し得、したがって早期に故障し得る酸素燃料前炉バーナをもたらすことも認識される。開示される態様を適用することによって、酸素燃料前炉バーナ100は、本質的にあらゆる合理的な動作状態において、上述のように一般にステンレス鋼で構成されるバーナ本体135の材料を含む構築材料の動作限界の範囲内のままであること、更には、通常ガラス製造システムの寿命にわたって動作することを期待吸うことができる。
【0022】
前炉システムの現在の最新技術はまた、顧客が使用し得るバーナブロックの様々な形状に十分に対処していないことも認識される。顧客が独自の前炉バーナブロックを設計することが一般的である。これらの顧客設計のバーナブロックは、現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナと組み合わせた場合、意図しない結果が生じ得る。十分に適合していない酸素燃料前炉バーナ及びバーナブロックは、不十分な流動力学によって作成されるバーナブロックの極端に高い温度のため、酸素燃料前炉バーナを早期に故障させ得る。開示される前炉バーナは、一般に、バーナブロックの特定の形状に対して本質的に不変であり、一般に、酸素燃料前炉バーナの特定の設置にかかわらず、より低温での動作を確実にする。
【0023】
上で説明したように、少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナを備える前炉システムは、ガラス溶融炉から受容した溶融ガラスをガラス形成装置へと運搬する。したがって、前炉システムは、ガラスの品質及び温度に影響を及ぼす最後の機会であると認識される。溶融ガラスの温度均一性は、前炉システムに重要であることが認識される。酸素燃料前炉バーナには、温度制御及び温度均一性の両方に対して有意な効果を有し得る。酸素燃料前炉バーナが最高炎輝度のために設計された場合、燃焼によって生成されるより多くの熱が、熱放射を通して溶融ガラスの頂部によって吸収される。したがって、溶融ガラスの頂部分は、バーナブロックと接触している溶融ガラスの底部と比較して、より多くの熱を入力する必要があることが認識される。これは、ガラス形成装置によって受容されている溶融ガラスのより均一な温度を作成する。
【0024】
溶融ガラスの温度均一性を超えて、開示される酸素燃料前炉バーナによって提供される輝炎(明るく見える燃焼炎)の別の主な利益は、消費される燃料の単位当たりに生成されるより多くの有用な熱の生成である。黄色の輝炎を有する酸素燃料前炉バーナと、青色の炎を有する酸素燃料前炉バーナをと比較した場合、黄色の輝炎(相対的により低い温度)を有する酸素燃料前炉バーナは、より低い流量のO2及び燃料で動作させることができ、それでも、同じ容積の溶融ガラスを加熱することができる。
【0025】
酸素燃料前炉バーナが、酸素燃料前炉バーナに、更には潜在的に炉を通って移動するガラスバッチに破滅的な損傷を与え得る過熱を前炉環境内に生じさせないことを確実にするために、酸素及び燃料が酸素燃料前炉バーナ内で混合されるべきでないことが認識される。これは、一般に、酸素燃料前炉バーナの燃焼チャンバとして金属パイプを使用したときに生成される熱を排除するのに十分な容積流量が存在していないことが認識されるからである。既知の酸素燃料前炉バーナは、最高輝度を有する炎の作成を可能にしないことが認識される。酸素燃料前炉バーナに最高炎輝度を提供するために、本明細書では、炎が比較的長くなるように構成されるべきであること、及び燃料が比較的低い速度で酸素に導入されるべきであることが認識される。
【0026】
上述のように典型的にステンレス鋼で構成されるバーナ本体135の材料が、その安全動作温度の範囲内にとどまることを確実にするために、本明細書に開示されるように、O2の燃料への導入は、バーナ本体135を超えてバーナブロックの放出スロートの中へ延在している燃料パイプ101によって遅延される。したがって、燃料点火点は、O2の注入点と同じではない。代わりに、O2は、酸素燃料前炉バーナの後ろで酸素燃料前炉バーナに注入されるが、燃料は、酸素燃料前炉バーナの後まで(放出スロートの中へ)導入されず、燃料点火点もまた、酸素燃料前炉バーナのバーナ本体135から十分な距離にあるべきであり、これは、酸素燃料前炉バーナをより低温に保つ役割を果たす。酸素燃料燃焼中に輝炎を作成するために、本明細書では、75~300ft/秒などの定義された速度範囲の範囲内であるように燃料速度を制御するべきであることが認識される。
【0027】
図2A及び
図2Bは、各々が、前炉システムの典型的なバーナブロック内に位置付けられた、100で示される開示される酸素燃料前炉バーナを示す、それぞれ200及び250で示される配設の断面図を示し、バーナブロックは、それぞれ、210及び220で示される。バーナブロック210、220は、各々が、(セラミック又は耐火金属又は耐火金属合金などの)耐火材料で構成され、簡単にするために、バーナブロックの入力側に位置付けられた単一の酸素燃料前炉バーナ100を有するように示されている。バーナブロックは、
図2Aに示される放出スロート235、210と、
図2Bに示されるバーナブロック220の放出スロート255と、を含む。放出スロート235及び235の遠位端は、280で示される前炉システム環境に結合される。溶融ガラスは、一般に、下で説明する
図4に示すように、バーナブロック210及び220の下側になる。
【0028】
図3は、例示的な態様による、例示的なガラス製造システム300を示す。ガラス製造システム300は、未処理のガラスをガラス溶融炉315に提供する原材料コンテナ310を含み、ガラス溶融炉315から出力された溶融ガラスを受容するバーナブロック320に位置付けられた複数の開示される酸素燃料前炉バーナ100が存在し、バーナブロック320は、放出スロート235又は255を含む。放出スロート235又は255は、ガラス形成装置330に結合される。
【実施例0029】
開示される態様は、以下の特定の実施例によって更に例証され、これは、任意の方法で本開示の範囲又は内容を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0030】
上で説明した酸素燃料前炉バーナ100に類似する前炉システムのプロトタイプ酸素燃料前炉バーナは、
図4に示される作動中の前炉システム400のバーナブロック210又は220に設置された上で説明した特徴とともに構築した。複数の耐火レンガ406で構成された上部構造と、ガラス溶融物431として示される溶融ガラスをその中に有する溶融ガラスタンク428の上の上部構造内のバーナブロック210又は220と、バーナブロック210又は220に位置付けられた少なくとも1つの酸素燃料前炉バーナ100と、を含む、前炉システム400が示されている。上部構造の耐火レンガ406は、クラウン(又はルーフ)416、底部419、及び側壁417に提供するように、並びに冷却孔418を画定するように構成され、底部419及び側壁417は、溶融ガラスタンク428を画定する。冷却孔418の上には、ダンパブロック423が存在する。
【0031】
顧客は、前炉システム400のゾーン全体を、
図1に示される酸素燃料前炉バーナ100の設計に類似する開示される酸素燃料前炉バーナと交換し、温度センサ及び流量センサを使用して、酸素燃料前炉バーナ及びガラス溶融物に関連した様々なデータ点を取得した。顧客はまた、現在の最新技術による酸素燃料前炉バーナもまた、同じ前炉システム内に有した。現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナは、O
2及び燃料を一緒にバーナ本体の内部に導入し、したがって、酸素が燃料(一般に天然ガスを含む)と接触するバーナ本体の地点で炎が生成される。現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナの内部構造は、本明細書で輝炎に寄与しないと認識される比較的高い速度で、酸素及び燃料を一緒に導入する。
【0032】
顧客は、酸素燃料前炉バーナ100(
図5Aで「新型バーナ」と表記する)の性能と、現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナ(
図5Aで「交換前」と表記する)の性能とを比較し、燃料は、天然ガスであり、
図5Aは、これらの酸素燃料前炉バーナの動作結果の比較を要約した表である。このデータから、開示される酸素燃料前炉バーナ100の場合、現在の最新技術酸素燃料前炉バーナと比較したときに、同じガラス温度を維持するために、天然ガスの流量が約2%少ないことが証明される。この試験によって実証された他の性能要因としては、(上述のように典型的にステンレス鋼である)バーナ本体材料の安全な動作温度限度の範囲内にとどめる、開示される酸素燃料前炉バーナの能力が挙げられる。
【0033】
顧客は、
図5Bに示されるスキャンされた画像に示すことができるそれらの評価コメントによって、このことに注目した。開示される酸素燃料前炉バーナ100からの輝きは、右側に示され、炎がバーナ本体を超えて始まっていることを見ることができ、現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナからの白熱光は、左側に示されている。左側では、酸素燃料前炉バーナのバーナ本体から現れることが示される炎の燈色の輝きが見られ、バーナ本体のステンレス鋼の動作限度に勝り得ることを示した。この現在の最新技術の酸素燃料前炉バーナは、過剰な温度に起因するバーナ本体のステンレス鋼の耐腐食性の低下及び物理的な弱化のため、早期に故障する可能性がある。
【0034】
様々な開示された実施形態について上述してきたが、それらは単なる例として提示されており、限定するものではないことを理解されたい。本開示に開示される主題に対する多くの変更は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱せずに、本開示に従ってなされ得る。加えて、特定の特徴はいくつかの実施例のうちの1つのみに関して開示されている場合があるが、かかる特徴は、任意の所定の又は特定の用途にとって望ましく、有利であり得るため、他の実施例のうちの1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。