(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080295
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】機能的なタックインされたヤーンを含むダブルニットアッパー
(51)【国際特許分類】
D04B 1/00 20060101AFI20220520BHJP
A43B 23/02 20060101ALI20220520BHJP
D04B 1/18 20060101ALI20220520BHJP
D04B 1/16 20060101ALI20220520BHJP
D04B 1/22 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
D04B1/00 B
A43B23/02 101A
D04B1/00 A
D04B1/18
D04B1/16
D04B1/22
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021185630
(22)【出願日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】10 2020 214 449.4
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】フローリン フィリペスク
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ポェーグル
(72)【発明者】
【氏名】マティアス リンツ
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ゴルデンベルグ
【テーマコード(参考)】
4F050
4L002
【Fターム(参考)】
4F050BC00
4F050HA18
4F050HA21
4F050HA30
4F050HA56
4F050JA01
4L002AA00
4L002AA05
4L002AB02
4L002AC00
4L002AC01
4L002AC03
4L002BA00
4L002BA04
4L002BA05
4L002BB01
4L002BB02
4L002BB05
4L002DA00
4L002EA00
4L002EA01
4L002EA06
4L002FA00
(57)【要約】
【課題】二重層編みエレメントを提供すること。
【解決手段】本発明は、二重層編みエレメント、とりわけ、スポーツ用品のための二重層編みエレメントであって、二重層編みエレメントは、第1のヤーンを含む第1の層と、第2のヤーンを含む第2の層と、第1の層と第2の層との間に少なくとも部分的に配置されている第3のヤーンであって、第3のヤーンは、複数のタックステッチによって第1および第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられており、第3のヤーンの2つの連続するタックステッチの間に、少なくとも1つのミスステッチが存在している、第3のヤーンとを含む、二重層編みエレメントに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重層編みエレメント、とりわけ、スポーツ用品のための二重層編みエレメントであって、前記二重層編みエレメントは、
a. 第1のヤーンを含む第1の層と;
b. 第2のヤーンを含む第2の層と;
c. 前記第1の層と前記第2の層との間に少なくとも部分的に配置されている第3のヤーンであって、前記第3のヤーンは、複数のタックステッチによって前記第1および前記第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられており、前記第3のヤーンの2つの連続するタックステッチの間に、少なくとも1つのミスステッチが存在している、第3のヤーンと
を含む、二重層編みエレメント。
【請求項2】
前記第3のヤーンは、機能的ヤーンを含む、請求項1に記載の二重層編みエレメント。
【請求項3】
前記機能的ヤーンは、メルティングヤーン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)ヤーン、撥水性ヤーン、ボリューム/パフヤーン、天然繊維ヤーン、セルロースヤーン、ハイブリッドヤーン、銅、亜鉛、銀のような抗菌性ヤーン、弾性ヤーン、導電性ヤーンのうちの少なくとも1つ、または、耐熱性、UV保護、吸湿性、耐水性、保温性、耐薬品性、難燃性、吸湿発散能力のうちの少なくとも1つを備えたヤーンのうちの少なくとも1つ、または、圧縮、収縮性、クッション性、導電性、絶縁性、耐久性特性を備えたヤーンのうちの少なくとも1つである、請求項2に記載の二重層編みエレメント。
【請求項4】
前記第3のヤーンは、前記第1および前記第2の層のうちの1つのみに、前記それぞれの層の中のタックステッチによって取り付けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
【請求項5】
前記第3のヤーンは、直接連続するタックステッチによって、前記第1の層および前記第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
【請求項6】
前記タックステッチの数と前記ミスステッチの数との間の比は、コースまたは列の中で可変である、請求項1から5のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
【請求項7】
前記タックステッチの数と前記ミスステッチの数との間の前記比は、1:1、1:2、または1:3のうちの少なくとも1つである、請求項1から6のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
【請求項8】
2つの連続するタックステッチの間の距離は、2.54cm未満である、請求項1から7のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
【請求項9】
前記第1の層の前記第1のヤーンは、前記第2の層に取り付けられており、および/または、タックステッチまたはループステッチによって、前記第2の層の前記第2のヤーンは、前記第1の層に取り付けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
【請求項10】
前記第3のヤーンは、2つのニッティング列の間で少なくとも2回編まれている、請求項1から9のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
【請求項11】
前記第3のヤーンは、前記ニッティング列の特定の部分の中で部分的に編まれている、請求項1から10のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
【請求項12】
前記第3のヤーンの太さは、前記編みエレメントの中で変化する、請求項1から11のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
【請求項13】
前記タックインされた第3のヤーンは、反復構造、ジャカード構造、またはスペーサーベースの構造で提供される、請求項1から12のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
【請求項14】
前記エレメントは、インターシャ、インターロック、プレーティング、逆プレーティング、および/またはインレイ技法によって製造されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
【請求項15】
シューズのための、とりわけ、スポーツシューズのためのアッパーであって、前記アッパーは、請求項1から14のいずれか一項に記載の二重層編みエレメントを含む、アッパー。
【請求項16】
シューズ、とりわけ、スポーツシューズであって、前記シューズは、
a. 請求項15に記載のアッパーと;
b. 前記アッパーに取り付けられているソールと
を含む、シューズ。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか一項に記載の二重層編みエレメントを製造する方法であって、前記方法は、
a. 第1のヤーンを含む第1の層を提供するステップと;
b. 第2のヤーンを含む第2の層を提供するステップと;
c. 前記第1の層と前記第2の層との間に第3のヤーンを少なくとも部分的に配置するステップであって、前記第3のヤーンは、複数のタックステッチによって前記第1および前記第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられており、前記第3のヤーンの2つの連続するタックステッチの間に、少なくとも1つのミスステッチが存在している、ステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重編みエレメント(double knitted element)、とりわけ、スポーツ用品に関し、そのような二重編みエレメントを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッティング(knitting)を通して剛性、伸縮性、回復特性、または圧縮特性などの所望の機能的な特性を備えた編みエレメントを提供するために、さまざまな製造方法が存在している。
【0003】
とりわけ、剛性は、通常、メルティングヤーンをベースヤーン(たとえば、ポリエステル)とともにプレーティングするか、または、単に、ベースヤーンとともにメルティングヤーンを同じヤーンフィーダーの中へ混合することによって実現される。剛性を実現するための別の可能性は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)ヤーンを編むことによって、または、ポリエステルおよびメルティングヤーンの混合物を表すハイブリッドヤーンを編むことによって提供される。そのうえ、伸縮特性、回復特性、または圧縮特性は、通常、カバーされた弾性ヤーンをインレイする(in-lay)ことによって、または、スパンデックスヤーンをベースヤーン(たとえば天然繊維、人工繊維、合成繊維)とともに直接的にフィーダーの中へプレーティングもしくは混合することによって、または、カバーされた弾性ヤーンを編むことによって実現される。
【0004】
タックインされた(tucked-in)ヤーンは、通常、単層ニットベースの上に、たとえば、フリース生地の中で使用される。これらの生地において、ヤーンは、通常のニッティングには太すぎるので、したがって、タッキング(tucking)によって生地の中へ挿入される。そのうえ、弾性ヤーンは、インレイとして使用され得、または、ソックニッティングのためのタックフロート構造体の中でも使用され得るが、この使用は、シングルジャージーまたはシングルニットレイヤーに関してのみ知られている。
【0005】
したがって、本発明は、解決されるべきさまざまな課題を取り扱う。
【0006】
剛性を実現するためにプレーティングまたは混合を使用するときには、メルティングヤーンは、ベースヤーンと同じニッティングシーケンスにしたがう。さらに、メルティングヤーンの量は、制御することが困難である。その理由は、それがニッティング構造体に依存するからである。加えて、メルティングヤーンが生地の片面のみに必要とされる場合には、ニッティングシーケンスがそれに応じて修正される必要があり、それは、生地の異なる視覚的な外観または特性を結果として生じさせる。メルティングヤーンがベースヤーンとともに混合されるときには、2つのヤーンのうちのどちらが生地の表面に現れることとなるかを制御することは不可能である。メルティングヤーンをプレーティングすることは、この欠点を改善することが可能であるが、編み機の上でそれを設定することは、通常、困難であるかまたは時間がかかる。とりわけ、プレーティングは、通常、編み機の上で調節するには困難である。
【0007】
インレイされたヤーンとして伸縮、回復、または圧縮を実現するために弾性ヤーンを使用するときには、弾性ヤーンを引き抜くリスクが常に存在している。その理由は、それが生地に接続されていないからである。とりわけ、インレイされたヤーンは、単に、二重層ニットの内側の長いフロートである。
【0008】
したがって、本発明によって解決されるべき課題は、ニット生地、および、ニット生地の中に強化された機能的な特性を実現するためのそれぞれの製造方法を提供することである。とりわけ、ニッティングシーケンスから独立してニットの中に機能的な特性を生成させ、インレイされた糸を引き抜く可能性を回避し、追加された機能的な特性を備えるが、生地の外観をそのままに維持し、および/または、ニット生地のターゲットとされる場所においてメルティングヤーンを活性化させる必要性が存在している。
【0009】
米国特許出願公開第2017/0029989A1号明細書は、可溶性フィラメントによって形成されたテキスタイル構築体に関する。とりわけ、この文献は、テキスタイル構築物に関し、そこでは、熱可塑性のヤーンまたは繊維が溶融され、その構築物の1つの側部または層の上に溶解されたフィルムを形成し、一方では、別の側部または層が、個別の編まれた構造体の中に維持されている。溶解されたフィルムは、防水性、耐水性、耐風性、および通気性のうちの1つまたは複数などのような、所望の属性を有する、膜の側部または層を提供することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0029989A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、独立請求項によって定義される。
【0012】
第1の態様によれば、上記の課題は、二重層編みエレメント、とりわけ、スポーツ用品のための二重層編みエレメントによって解決される。二重層編みエレメントは、第1のヤーンを含む第1の層と、第2のヤーンを含む第2の層と、第1の層と第2の層との間に少なくとも部分的に配置されている第3のヤーンであって、第3のヤーンは、複数のタックステッチによって第1および第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられており、第3のヤーンの2つの連続するタックステッチの間に、少なくとも1つのミスステッチ(miss stitch)が存在している、第3のヤーンとを含む。
【0013】
一般的に、第3のヤーンは、タックに起因して生地にロックされている。本発明のタックインされた第3のヤーンと比較して、インレイストランドは、二重層生地の内側に自由に浮遊しており、引っ張られる場合には、編まれた生地から除去され得る。
【0014】
第3のヤーンは、メインニッティング構造体から独立しており、それに影響を及ぼさないが、ニットの特性をさらに強化する。実際に、編まれた層のうちの1つの表面の上に見ることができるタックステッチは最小限であり、したがって、それらは、その編まれた層の表面仕上げにそれほど大きな影響を与えない。加えて、第3のヤーンは2つの層の間に挟まれているので、第3のヤーンの追加的な保護が提供される。これは、試験(摩耗、色移りなど)に不合格することとなるヤーンが、依然としてタックインされ、二重層編みエレメントに追加の機能を提供することができるということを意味している。
【0015】
二重編みエレメントの第3のヤーンは、機能的ヤーンを含むことが可能である。第3のヤーンとしての機能的ヤーンの使用は、ニッティングシーケンスから独立してニットの中に機能的な特性を生成させることを可能にする。
【0016】
第1の層の第1のヤーン、および、第2の層の第2のヤーンは、同じタイプのヤーンであることが可能であるが、それは、2つの異なるタイプのヤーンであることも可能である。
【0017】
機能的ヤーンは、メルティングヤーン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)ヤーン、撥水性ヤーン、ボリューム/パフヤーン、天然繊維ヤーン(たとえば、ウールおよびコットン)、セルロースヤーン、ハイブリッドヤーン、銅、亜鉛、銀のような抗菌性(抗バクテリア性)ヤーン、弾性ヤーン、導電性ヤーンのうちの少なくとも1つ、または、耐熱性、UV保護、保温性、吸湿性、耐水性、耐薬品性、難燃性、吸湿発散能力のうちの少なくとも1つを備えたヤーンのうちの少なくとも1つ、または、圧縮、収縮性、クッション性、導電性、絶縁性、耐久性特性を備えたヤーンのうちの少なくとも1つであることが可能である。
【0018】
有利には、第3のヤーンとして機能的ヤーンを使用することによって、二重層編みエレメントは、ヤーンの機能性に応じて、異なる特性を提供され得る。たとえば、二重層編みエレメントの伸縮特性、回復特性、または圧縮特性が、機能的ヤーンとして弾性ヤーンを使用することによって影響を及ぼされ得る。他方では、剛性は、メルティングヤーン、TPUヤーン、またはハイブリッドヤーンを機能的ヤーンとして使用することによって実現され得る。たとえば、メルティングまたはTPU機能的ヤーンは、アッパーのヒールエリアおよびトゥキャップエリアを強化するために使用され得、そこでは、弾性的な機能的ヤーンが、インステップエリアの中にまたは生地のカラーの中に伸縮または回復を生成させるために使用され得る。一般的に、エラストマー材料を使用することは、熱を加えた後に、補強されたエリアを発生させる。
【0019】
追加的な利点は、ベースヤーンとともに機能的ヤーンをヤーンフィーダーの中へプレーティングまたは混合することの使用、または、インレイされた機能的ヤーンの使用が必要ないという事実によって与えられる。
【0020】
第3のヤーンは、第1および第2の層のうちの1つのみに、それぞれの層の中のタックステッチによって取り付けられ得る。
【0021】
第3のヤーンが、タックステッチを使用することによって第1または第2の層のうちの1つのみに取り付けられているときには、第3のヤーンは、それぞれの他の層において見ることができない。したがって、1つの層のトップの外観は、そのままに維持され、所望の機能的な特性が、第3のヤーンによって提供される。さらに、編まれた層のうちの1つの表面の上に見ることができるタックステッチは最小限であり、したがって、それらは、その編まれた層の表面仕上げにそれほど大きな影響を与えない。実際に、第3のヤーンは、メインニッティング構造体から多かれ少なかれ独立しており、それに影響を及ぼさない。むしろ、編まれた層のうちの1つの表面の上に見ることができるタックステッチは最小限であり、したがって、それらは、その編まれた層の表面仕上げにそれほど大きな影響を与えず、同時に、他の編まれた層の表面仕上げは、全く影響を受けない。
【0022】
加えて、メルティングヤーンが、第1の層と第2の層との間に提供されており、1つの層のみに取り付けられている場合には、2つの層のうちの1つの内側のみにおいてメルティングヤーンを活性化させることが可能である。たとえば、メルティングヤーンが、熱活性化の後に、バックサイド層に接続されている(タックされている)場合には、メルティングヤーンは、バックサイド層によってほとんど吸収されることとなるが、フロント層の外側は、メルティングヤーンの痕跡を見せないことが可能である。したがって、さらなる後工程が、溶融されたヤーンを使用/再活性化させることなく、生地のトップサイドに適用され得る。
【0023】
第3のヤーンは、直接連続するタックステッチによって、第1および第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられ得る。
【0024】
タックステッチの数とミスステッチの数との間の比は、コースまたは列の中で可変であり得る。
【0025】
とりわけ、二重層編みエレメントのそれぞれのエリアの中のサポートの量は、タック-ミス比によって調整され得る。より多くのタックが互いに近くにあることは、それぞれのエリアの中により多くのヤーンを追加することとなる。異なるエリアの中の第3のヤーンのタック-ミス比を変化させることは、異なる伸縮性または剛性特性を提供することが可能である。それとは対照的に、インレイストランドは、その幅に沿って同じ特性を有することとなる。
【0026】
タックステッチの数とミスステッチの数との間の比は、1:1、1:2、または1:3のうちの少なくとも1つであることが可能である。1つのミスステッチは、1つのニードルがニードルベッドの中でスキップされ、第3のヤーンが2つのタックステッチの間のその1つのニードルの上に浮遊させられるということを意味している。したがって、たとえば、1:2のタック-ミス比は、2つのニードルがスキップされ、第3のヤーンが2つのタックステッチの間のその2つのニードルの上に浮遊させられるということを意味している。
【0027】
一般的に、二重層編みエレメントのサポートは、タック-ミス比によって調整され得る。より多くのタックが互いに近くにあることは、より高い量の第3のヤーンを提供する。したがって、1:1のタック-ミス比は、1:2よりも高いサポートを提供し、1:2は、1:3よりも高いサポートを提供し、以下同様である。
【0028】
2つの連続するタックステッチの間の距離は、2.54cm未満であることが可能である。一般的に、編み機のニードルベッドの2.54cmは、ゲージ14マシンの上の14ニードル、または、ゲージ7マシンの上の7ニードルに対応しており、編み機のゲージは、2.54cm(1インチ)の中のニードルの数に対応している。安全上の理由のために、フロートは、通常、2.54cmよりも短く維持される。フロートがより長い場合には、ニードルがヤーンに引っ掛からないリスクが存在している。
【0029】
第1の層の第1のヤーンは、第2の層に取り付けられ得、および/または、第2の層の第2のヤーンは、タックステッチまたはループステッチによって第1の層に取り付けられ得る。
【0030】
第3のヤーンは、2つのニッティング列(knitting row)の間で少なくとも2回編まれ得る。換言すれば、2つのニッティング列の間で編まれた第3のヤーンの少なくとも2つのコースが存在している。
【0031】
したがって、同じタック-ミス比を維持するが、2つのニッティング列の間で第3のヤーンを複数回編むことによって、増加したサポートが提供され得る。たとえば、2つのニッティング列の間で第3のヤーンを数回編むことは、生地の特定のエリアにおける(たとえば、アッパーのヒールにおける)剛性を増加させるために使用され得る。
【0032】
第3のヤーンは、2つのニッティング列の間で部分的に編まれ得る。
【0033】
部分的に編むことは、第3のヤーンが二重層編みエレメントの異なるエリアにおいて異なる量で提供されることを可能にする。それは、とりわけ、第3のヤーンが2つのニッティング列の間で部分的に複数回編まれているときである。したがって、異なるサポートが、第3のヤーンの量に応じて、異なるエリアの中に提供され得る。したがって、特定のエリアまたはゾーンの提供されるサポートは、同じタック-ミス比を維持するが、特定のエリアの中で第3のヤーンを部分的に1回または複数回編むことによって調整され得る。
【0034】
さらに、第3のヤーンを部分的に編むことは、インレイストランドと比較して技術的により容易である。その理由は、第3のヤーンがタックによって生地に接続されており、それは、ニッティング方向が変化させられるときに飛び出すこととならないからである。
【0035】
第3のヤーンの太さは、編みエレメントの中で変化することが可能である。
【0036】
第3のヤーンの太さを変化させることによって、二重層編みエレメントのサポートも影響を及ぼされ得る。
【0037】
第3のヤーンは、反復構造、ジャカード構造、またはスペーサーベースの構造で提供され得る。
【0038】
したがって、反復構造、ジャカード構造、またはスペーサーベースの構造のような構造体は、機能的ヤーンを使用することによって調整され得、構造体の少なくとも1つの層の外観は、同じままである。
【0039】
エレメントは、インターシャ、インターロック、プレーティング、逆プレーティング、および/またはインレイ技法によって製造され得る。
【0040】
したがって、異なる構造および機能的な特性を有するさまざまな二重層エレメントが、本発明によって提供され得る。
【0041】
本発明のさらなる態様は、シューズのための、とりわけ、スポーツシューズのためのアッパーであって、アッパーは、本明細書で説明されているような二重層編みエレメントを含む、アッパーに関する。
【0042】
本発明のさらなる態様は、シューズ、とりわけ、スポーツシューズであって、シューズは、本明細書で説明されているようなアッパー、すなわち、本発明による編みエレメントを備えるアッパーと、アッパーに取り付けられているソールとを含む、シューズに関する。
【0043】
したがって、二重層編みエレメントの以前に説明された有益な特性を含む、アッパーまたはシューズが提供される。
【0044】
本発明の別の態様によれば、以前の態様のうちの1つによる二重層編みエレメントを製造する方法が提供される。とりわけ、方法は、第1のヤーンを含む第1の層を提供するステップと、第2のヤーンを含む第2の層を提供するステップと、第1の層と第2の層との間に第3のヤーンを少なくとも部分的に配置するステップであって、第3のヤーンは、複数のタックステッチによって第1および第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられており、第3のヤーンの2つの連続するタックステッチの間に、少なくとも1つのミスステッチが存在している、ステップとを含む。
【0045】
以下では、本発明の態様が、添付の図を参照して、より詳細に説明されることとなる。これらの図は、以下を示している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1A~
図1Cは、2つの層と第3のタックインされたヤーンとを備えた二重層編みエレメントのためのニッティングスキームを示す図である。
【
図2】
図2は、2つの層と、2つのニッティング列の間に2回編まれた第3のタックインされたヤーンとを備えた二重層編みエレメントのためのニッティングスキームを示す図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、2つの層と、タックステッチの数とミスステッチの数との間の異なる比を有する第3のタックインされたヤーンとを備えた二重層編みエレメントのためのニッティングスキームを示す図である。
【
図4】
図4は、2つのニッティング列の間で2回編まれた第3のタックインされたヤーンを備えた二重層編みエレメントのためのニッティングスキームを示す図である。
【
図5】
図5は、ジャカード構造および第3のタックインされたヤーンを備えた二重層編みエレメントのためのニッティングスキームを示す図である。
【
図6】
図6A~
図6Cは、異なるニッティング技法を使用する二重層編みエレメントのためのニッティングスキームを示す図である。
【
図7】
図7は、スペーサーおよび第3のタックインされたヤーンを備えた二重層編みエレメントのためのニッティングスキームを示す図である。
【
図8】
図8は、二重層編みエレメント、および、同じコースの中でタックステッチの数とミスステッチの数との間の変化する比を有する第3のタックインされたヤーンのためのニッティングスキームを示す図である。
【
図9】
図9は、二重層編みエレメントおよび部分的にタックインされた第3のヤーンのためのニッティングスキームを示す図である。
【
図10】
図10A及び
図10Bは、インターシャニッティング技法を使用する二重層編みエレメントおよびタックインされた第3のヤーンのニッティングスキームを示す図である。
【
図11】本発明の二重層編みエレメントを製造する方法を図示するフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下では、本発明の実施形態および変形例が、とりわけ、スポーツ用品のための二重層編みエレメントを参照して、より詳細に説明されている。しかし、本発明は、その他の方法でも使用され得、たとえば、本発明は、外観に影響を及ぼすことなく、剛性、弾性、伸縮性、回復、または圧縮のようなさまざまな機能的な特性が必要とされる、シューズアッパー、衣類、またはアクセサリーに関して使用され得る。
【0048】
第3のタックインされたヤーンの使用は、二重編みエレメントが所望の機能的な特性を含むが、一方では、それが依然として外見に影響を受けていないということを可能にする。さまざまな機能的な特性は、たとえば、剛性、弾性、伸縮性、回復、または圧縮を含む。そのような特性または機能を実現するために使用される技法が、以下で説明される。
【0049】
説明されている技法は、第3のヤーンのタックステッチおよびミスステッチの数の異なる組み合わせ、ならびに、繊維およびヤーンの選択を含む、適切なニッティング技法を含む。これらの技法が適用されるシューズアッパーの実施形態が説明される前に、これらのおよび他の技法が、以下で説明される。
【0050】
図1A~
図1Cは、二重層編み構造体のニッティングスキームを示しており、そこでは、ドットは、ニッティング列における編み機のニードル位置を表している。とりわけ、
図1A~
図1Cのニッティングスキームは、列の中に提供された2筋のニードルを含む。
【0051】
図1Aは、第1のヤーン110を含む第1の層100(たとえば、フロント層)と、第2のヤーン210を含む第2の層200(たとえば、バック層)と、第1の層100と第2の層200との間に少なくとも部分的に配置されている第3のヤーン310とを図示しており、第3のヤーン310は、複数のタックステッチ311によって第2の層200に取り付けられている。代替的な実施形態において、第3のヤーン310は、複数のタックステッチによって第1の層100に取り付けられ得る。
図1Aに図示されているように、第3のヤーンの2つの連続するタックステッチ311の間に、少なくとも1つのミスステッチ312が存在している。この実施形態では、タックステッチの数とミスステッチの数との間の比は、タック-ミス比に対応し、1:1である。
【0052】
一般的に、メイン二重層編み構造体は、タックインされたヤーンから独立している。タックインされたヤーンは、既存の構造体への追加であり、2つの層の間に挟まれている。
【0053】
さらに、
図1Aは、第3のヤーン310が、直接連続するタックステッチ311によって第2の層200のみに取り付けられており、第3のヤーン310は、第1の層100に取り付けられていないことを図示している。
【0054】
特定の実施形態において、第3のヤーン310としてメルトヤーンまたはTPUヤーンを使用するときには、剛性は、2つの層のうちの一方のみに適用され得る。
【0055】
別の実施形態では、剛性は、その外観に影響を与えることなく、生地の中に実現される。
【0056】
本発明の実施形態において、第1のヤーン110および第2のヤーン210は、異なっていることが可能である。
【0057】
別の実施形態では、第1のヤーン110および第2のヤーン210は、等しくなっていることが可能である。
【0058】
図1Aに図示されている実施形態では、第1の層100は、タックステッチによって第2の層200に接続されている。
【0059】
図1Bは、第1のヤーン110を含む例示的な二重編みエレメントのフロント層100の断面を図示しており、
図1Cは、第2のヤーン210を含むバック層200の断面を図示している。
図1Bおよび
図1Cにおいて、メルティングヤーン310は、バック層200に接続されている(タックされている)。とりわけ、メルティングヤーン310は、熱活性化の後に、ほとんどバック層200によって(少しフロント層100の内側によっても)吸収される。フロント層100の外部側は、
図1Bに示されているように、メルティングヤーン310を提示しない。したがって、さらなる後工程が、フロント層100の下に溶融されたヤーン310を使用または再活性化させることなく、生地のフロント側に適用され得る。
図1Cの例に示されているように、フロント層100の第1のヤーン110は、タックステッチまたはループステッチによってバック層200に取り付けられ得る。
【0060】
一般的に、第3のヤーンは、タックに起因して生地にロックされている。本発明のタックインされた第3のヤーンと比較して、インレイストランドは、二重層生地の内側に自由に浮遊することとなり、引っ張られる場合には、編まれた生地から除去され得る。
【0061】
さらに、本発明のさまざまな実施形態において、第3のヤーンは、機能的ヤーンを含むことが可能である。
【0062】
いくつかの実施形態において、機能的ヤーンは、メルティングヤーン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)ヤーン、撥水性ヤーン、ボリューム/パフヤーン、天然繊維ヤーン(たとえば、ウールおよびコットン)、セルロースヤーン、ハイブリッドヤーン、銅、亜鉛、銀のような抗菌性(抗バクテリア性)ヤーン、弾性ヤーン、導電性ヤーンのうちの少なくとも1つ、または、耐熱性、UV保護、保温性、吸湿性、耐水性、耐薬品性、難燃性、吸湿発散能力のうちの少なくとも1つを備えたヤーンのうちの少なくとも1つ、または、圧縮、収縮性、クッション性、導電性、絶縁性、耐久性特性を備えたヤーンのうちの少なくとも1つであることが可能である。
【0063】
とりわけ、導電性ヤーンを編むことの用途は、アッパーの特定の部分を加熱すること、または、アッパーもしくはツーリング(tooling)の中のLEDライトに電気を伝達することが可能であり、ウールヤーンは、アッパーを加熱することが可能であり、コットンヤーンは、湿分を吸収することが可能である。
【0064】
図2は、例示的な実施形態を示しており、そこでは、第3のヤーン310aは、第1のニッティングステップにおいて、第1の層100の中に、すなわち、列110からフロントステッチの上にタックされ得、第3のヤーン310bは、第2のニッティングステップにおいて、直接連続するタックステッチによって、第2の層200の中に、すなわち、以前の列210からバックステッチの上に(ここでは示されていない)タックされ得る。
【0065】
図3Aおよび
図3Bは、ニッティングスキームを図示しており、それは、第3のヤーン310のタックステッチの数とミスステッチの数との間に異なる比を有している。
図3Aに図示されているように、第3のヤーン310の2つの連続するタックステッチ311の間に、2つのミスステッチ312が存在しており、タックステッチ311の数とミスステッチ312の数との間の比は、1:2である。
図3Bは、ニッティングスキームを示しており、それは、第3のヤーン310の2つの連続するタックステッチ311の間に3つのミスステッチ312を備えており、タックステッチ311の数とミスステッチ312の数との間の比は、1:3である。
【0066】
一般的に、二重層編みエレメントのサポート(剛性特性または伸縮特性に関して)は、タック-ミス比によって調整され得る。より多くのタックが互いに近くにあることは、より高い量の第3のヤーン310を提供する。したがって、1:1のタック-ミス比は、1:2よりも高いサポートを提供し、1:2は、1:3と比較して、より高いサポートを提供し、以下同様である。
【0067】
特定の実施形態において(ここでは示されていない)、2つの連続するタックステッチの間の距離は、2.54cm(1インチ)未満であることが可能である。とりわけ、編み機のニードルベッドの2.54cmは、ゲージ14マシンの上の14ニードル、または、ゲージ7マシンの上の7ニードルに対応しており、編み機のゲージは、1インチに対応する2.54cmの中のニードルの数に対応している。安全上の理由のために、フロートは、通常、2.54cmよりも短く維持される。フロートがより長い場合には、ニードルがヤーンに引っ掛からないリスクが存在している。
【0068】
さらに、
図3Aおよび
図3Bは、例を提供しており、そこでは、第1の層100は、ループステッチによって第2の層200に取り付けられている。
図3Aおよび
図3Bの実施形態において、第3のヤーン310は、第2の層200への直接連続するタックステッチ311によって、第2の層200のみに取り付けられており、すなわち、第1の層100の中に第3のヤーン310のタックステッチは存在していない。
【0069】
他の実施形態において、第3のヤーンは、タックステッチによって第1および第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられている。たとえば、第3のヤーン310は、第1の層100および第2の層200にタックされ得る。他の実施形態において、第3のヤーンは、直接連続するタックステッチによって第1の層のみにタックされ得る。
【0070】
図4は、別の実施形態を図示しており、第3のヤーン310は、2つのニッティング列の間で少なくとも2回編まれる。この実施形態では、2つのニッティング列の間で編まれた第3のヤーン310の少なくとも2つのコースが存在している。とりわけ、第3のヤーン310は、第1のニッティングシーケンス301(たとえば、右へ行くタック-ミス)でおよび第2のニッティングシーケンス302(左へ行くミス-タック)で編まれており、それは、二重層編みエレメントの上での第3のヤーン310のサポートを増加させる。
【0071】
2つのニッティング列の間で第3のヤーン310を数回編むことは、たとえば、生地の剛性を増加させるために使用され得る。
【0072】
また、サポートの量は、より細いまたはより太いヤーン(150デニールから900デニール)を使用することによって調整され得る。メルトヤーンに関して、2,000デニールさえも可能であり、ソックニット(sock knit)に関して、さらにそれ以上が可能である。とりわけ、デニールが高いほど、太いヤーンを意味している。
【0073】
図4は、例を提供しており、そこでは、第1の層100は、ループステッチによって第2の層200に取り付けられている。
【0074】
図4の実施形態では、第3のヤーン310は、第1の層ではなく第2の層200への直接連続するタックステッチ311によって、第2の層200のみに取り付けられている。
【0075】
別の実施形態では(ここでは明示的に示されていない)、第3のヤーン310は、第1の層100のみにタックされ得るか、または、タックステッチを使用することによって第1の層100および第2の層200にタックされ得る。
【0076】
一般的に、第3のヤーンは、すべての二重層編み構造体から独立しており、また、それと組み合わせられ得る。それは、構造が同じままであることが可能であるが、機能(伸縮性/剛性/導電性ヤーン)がアッパーのさまざまな場所に適用されるということを意味している。
【0077】
いくつかの実施形態において、第3のヤーンは、
図1~
図4に示されているように、反復構造で挿入され得、または、
図5に示されているように、ジャカード構造で挿入され得る。
【0078】
さらなる実施形態において、タックインされた第3のヤーンは、部分的なニッティング、インターシャ(ゾーンニッティング)、プレーティング、逆プレーティング、デボレ(devore)、インレイなどのニッティング技法と組み合わせられ得る。
【0079】
機能的な第3のヤーン310を使用するいくつかの追加的なニッティング構造が、
図6A~
図6Cに示されている。たとえば、
図6Cは、第3のヤーンを備えたインターロック構造体を図示している。
【0080】
他の実施形態において、第3のヤーンは、また、
図7に示されているように、スペーサーベースの構造で挿入され得る。
図7では、スペーサー層400および第3のヤーン310は、第1の層100および第2の層200の2つのニッティング列の間で交互に編まれている。
【0081】
図8は、本発明の実施形態を図示しており、そこでは、タックステッチの数とミスステッチの数との間の比が、コースまたは列の中で可変である。とりわけ、ニッティングエレメントの同じ列の中での異なる部分(510、520)の中のサポートの量は、タック-ミス比によって調整され得る。とりわけ、
図8の例は、1:3のタック-ミス比を有する第1の部分(510)、および、1:1のタック-ミス比を有する第2の部分(520)を提示している。より多くのタックが互いに近くにあることは、その特定の部分の中により多くのヤーンを追加することとなる。
【0082】
異なるエリアにおける第3のヤーンのタック-ミス比の変化は、それぞれのエリアにおいて異なる伸縮特性または剛性特性を提供することが可能である。それとは対照的に、インレイストランドは、その幅に沿って同じ特性を有している。
【0083】
いくつかの実施形態において、タックステッチの数とミスステッチの数との間の比は、1:1、1:2、または1:3のうちの少なくとも1つであることが可能である。
【0084】
図9は、実施形態を図示しており、そこでは、第3のヤーン310は、ニッティング列の特定の部分の中で部分的に編まれている。
図9では、第3のヤーン310は、第1の部分530の中で1回提供されており、第3のヤーンは、別の部分540の中で複数回(たとえば、3回)提供されている。
【0085】
図9に示されているような第3のヤーンを部分的に編むことは、同じタック-ミス比を維持するが、二重層エレメントのニッティング列またはエリアの特定の部分の中で異なる量の第3のヤーン310を編むことによって、異なるサポートを提供することが可能である。
【0086】
さらに、第3のヤーンを部分的に編むことは、インレイストランドと比較して技術的により容易である。その理由は、第3のヤーンがタックによって生地に接続されており、それは、ニッティング方向が変化させられるときに飛び出すこととならないからである。
【0087】
図10A~
図10Bは、インターシャニッティングを使用することによって二重編みエレメントの中での第3のヤーン310の効率的な設置を伴う実施形態を図示している。一般的に、特別なゾーンは、インターシャを通して特別な特性を有するように、編みエレメントの上に調整され得る。
図10Aの特定の実施形態では、第3のヤーン310は、ダブルジャージーニットで、フロント層100とバック層200との間の編みエレメントの一部分において、直接連続するコースで複数回編まれている。加えて、第3のヤーン310は、交互のタック-ミスステッチによって、第1の層100および第2の層200に取り付けられている。
【0088】
特定の実施形態において、エラストマー材料を備えた第3のヤーン310は、熱を加えた後に、補強されたエリアを発生させるために使用され得る。エラストマーの他に、熱、圧力、または他の処理の適用に対する補強効果を提供する、他のポリマーベースのヤーンも使用され得る。
【0089】
さらに、ニッティング方法に起因して、材料を事前にツイストすることは必要とされず、手作業が低減され、高性能アッパー材料が生成され得る。
【0090】
図10Bは、ダブルジャージーニットにおいて、インターシャニッティングを使用することによる二重編みエレメントの断面を示しており、そこでは、第3のヤーン310は、交互のタック-ミスステッチによって、第1の層100および第2の層200に取り付けられている。両方の層への第3のヤーン310のタック-ステッチを使用することによって、第3のヤーン310は、両方の層(たとえば、
図10Bの第1の層100)の中に見ることができる。
【0091】
さらなる実施形態において、シューズ、とりわけ、スポーツシューズ、のためのアッパーが提供され得、それは、本発明による二重層編みエレメントを含む。
【0092】
加えて、シューズ、とりわけ、スポーツシューズ、は、本発明の二重層編みエレメントを含むアッパーとアッパーに取り付けられているソールとを含むことが可能である。
【0093】
図11は、本発明による、および、より詳細に上記に説明されているような、二重層編みエレメントを製造する方法を図示するフローダイアグラムを示している。ステップ1110において、第1のヤーンを含む第1の層が提供される。ステップ1120において、第2のヤーンを含む第2の層が提供される。ステップ1130において、第3のヤーンが、第1の層と第2の層との間に少なくとも部分的に配置され、第3のヤーンは、複数のタックステッチによって第1および第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられ、第3のヤーンの2つの連続するタックステッチの間に、少なくとも1つのミスステッチが存在している。
【0094】
以下において、本願発明の理解を促進するために更なる実施形態が記載される。
1. 二重層編みエレメント、とりわけ、スポーツ用品のための二重層編みエレメントであって、前記二重層編みエレメントは、
a. 第1のヤーンを含む第1の層と;
b. 第2のヤーンを含む第2の層と;
c. 前記第1の層と前記第2の層との間に少なくとも部分的に配置されている第3のヤーンであって、前記第3のヤーンは、複数のタックステッチによって前記第1および前記第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられており、前記第3のヤーンの2つの連続するタックステッチの間に、少なくとも1つのミスステッチが存在している、第3のヤーンと
を含む、二重層編みエレメント。
2. 前記第3のヤーンは、機能的ヤーンを含む、実施形態1に記載の二重層編みエレメント。
3. 前記機能的ヤーンは、メルティングヤーン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)ヤーン、撥水性ヤーン、ボリューム/パフヤーン、天然繊維ヤーン、セルロースヤーン、ハイブリッドヤーン、銅、亜鉛、銀のような抗菌性ヤーン、弾性ヤーン、導電性ヤーンのうちの少なくとも1つ、または、耐熱性、UV保護、吸湿性、耐水性、保温性、耐薬品性、難燃性、吸湿発散能力のうちの少なくとも1つを備えたヤーンのうちの少なくとも1つ、または、圧縮、収縮性、クッション性、導電性、絶縁性、耐久性特性を備えたヤーンのうちの少なくとも1つである、実施形態2に記載の二重層編みエレメント。
4. 前記第3のヤーンは、前記第1および前記第2の層のうちの1つのみに、前記それぞれの層の中のタックステッチによって取り付けられている、実施形態1から3のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
5. 前記第3のヤーンは、直接連続するタックステッチによって、前記第1の層および前記第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられている、実施形態1から4のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
6. 前記タックステッチの数と前記ミスステッチの数との間の比は、コースまたは列の中で可変である、実施形態1から5のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
7. 前記タックステッチの数と前記ミスステッチの数との間の前記比は、1:1、1:2、または1:3のうちの少なくとも1つである、実施形態1から6のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
8. 2つの連続するタックステッチの間の距離は、2.54cm未満である、実施形態1から7のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
9. 前記第1の層の前記第1のヤーンは、前記第2の層に取り付けられており、および/または、タックステッチまたはループステッチによって、前記第2の層の前記第2のヤーンは、前記第1の層に取り付けられている、実施形態1から8のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
10. 前記第3のヤーンは、2つのニッティング列の間で少なくとも2回編まれている、実施形態1から9のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
11. 前記第3のヤーンは、前記ニッティング列の特定の部分の中で部分的に編まれている、実施形態1から10のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
12. 前記第3のヤーンの太さは、前記編みエレメントの中で変化する、実施形態1から11のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
13. 前記タックインされた第3のヤーンは、反復構造、ジャカード構造、またはスペーサーベースの構造で提供される、実施形態1から12のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
14. 前記エレメントは、インターシャ、インターロック、プレーティング、逆プレーティング、および/またはインレイ技法によって製造されている、実施形態1から13のいずれか一項に記載の二重層編みエレメント。
15. シューズのための、とりわけ、スポーツシューズのためのアッパーであって、前記アッパーは、実施形態1から14のいずれか一項に記載の二重層編みエレメントを含む、アッパー。
16. シューズ、とりわけ、スポーツシューズであって、前記シューズは、
a. 実施形態15に記載のアッパーと;
b. 前記アッパーに取り付けられているソールと
を含む、シューズ。
17. 実施形態1から14のいずれか一項に記載の二重層編みエレメントを製造する方法であって、前記方法は、
a. 第1のヤーンを含む第1の層を提供するステップと;
b. 第2のヤーンを含む第2の層を提供するステップと;
c. 前記第1の層と前記第2の層との間に第3のヤーンを少なくとも部分的に配置するステップであって、前記第3のヤーンは、複数のタックステッチによって前記第1および前記第2の層のうちの少なくとも1つに取り付けられており、前記第3のヤーンの2つの連続するタックステッチの間に、少なくとも1つのミスステッチが存在している、ステップと
を含む、方法。
図面中に描かれたまたは上記の構成要素の異なる配置、ならびに示されていないかまたは記載されていない構成要素およびステップが、可能である。同様に、いくつかの特徴およびサブコンビネーションが有用であり、他の特徴およびサブコンビネーションと無関係に用いてもよい。本発明の実施形態は例証を目的として記載されており、制限目的ではなく、本特許の読者には代替的実施形態が明らかとなるであろう。したがって、本発明は上記または図面に描かれた実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲から逸脱せずに様々な実施形態および修正が行われ得る。
【符号の説明】
【0095】
100 第1の層
110 第1のヤーン
200 第2の層
210 第2のヤーン
301 第1のニッティングシーケンス
302 第2のニッティングシーケンス
310 第3のヤーン
310a 第3のヤーン
310b 第3のヤーン
311 タックステッチ
312 ミスステッチ
400 スペーサー層
530 第1の部分
540 別の部分
【外国語明細書】