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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080380
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】スタッドレスタイヤ用ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20220523BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220523BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20220523BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20220523BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20220523BHJP
   B60C 11/14 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
C08L9/00
C08L101/00
C08L21/00
B60C1/00 A
B60C11/00 D
B60C11/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191394
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000188951
【氏名又は名称】松本油脂製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】中川 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】喜夛 裕
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131BA01
3D131BA07
3D131BA18
3D131BA20
3D131BB11
3D131BC12
3D131BC15
3D131BC18
3D131BC33
3D131ED02U
4J002AA00Z
4J002AC00Y
4J002AC01X
4J002AC03U
4J002AC03W
4J002AC11W
4J002BG03Z
4J002BK00U
4J002CE00U
4J002DA030
4J002DE146
4J002DE236
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002FD016
4J002FD096
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】 氷上性能および耐摩耗性を改良するスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】 ポリブタジエンを30質量%以上および天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、白色充填剤を30質量部以上、樹脂粒子を0.5~30質量部、重量平均分子量が1,000~100,000である液状ゴムを10質量部以上配合してなることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリブタジエンを30質量%以上および天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、白色充填剤を30質量部以上、樹脂粒子を0.5~30質量部、重量平均分子量が1,000~100,000である液状ゴムを10質量部以上配合してなることを特徴とするスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
JIS K6253、デュロメータのタイプA、20℃のゴム硬度が60以下であることを特徴とする請求項1に記載のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
ガラス転移温度が-30℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを含む非架橋性モノマーと、架橋性モノマーからなるモノマー混合物の重合体からなり、前記非架橋性モノマーに占める前記(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの質量割合が85~100質量%であり、前記モノマー混合物に占める前記架橋性モノマーの質量割合が2~5質量%であり、前記樹脂粒子の平均粒子径が15~50μmであり、前記樹脂粒子のガラス転移温度が-50~-30℃であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
前記ジエン系ゴムが変性ブタジエンゴムを含むことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
更に芳香族変性テルペン樹脂を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、氷上性能および耐摩耗性を改良するスタッドレスタイヤ用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッドレスタイヤの氷上性能を向上させるため、トレッドゴムの表面粗さ(凹凸)を大きくすることが知られている。表面粗さを大きくすると、凹部が氷上に存在する水膜を取り込み凸部が氷上面と接触することで、平滑な表面を備えたトレッドゴムより氷上面との接触面積を大きくする効果があると考えられる。このためトレッドゴムに発泡剤や熱膨張性マイクロカプセルなどを配合することでゴム全体の粗さを増加させる手法が一般的である(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、表面粗さが大きいゴムは水膜を取り込んで排出することによりウェット性能を改良するが、一方で氷上面と接触可能な面積が減少するため、表面粗さによる氷上性能を改良する効果には限界があるといえる。また、発泡剤や熱膨張性マイクロカプセルなどを配合すると、トレッドゴムの耐摩耗性が低下するといった課題がある。更に、ジエン系ゴム中に、熱膨張性マイクロカプセルを良好に分散させないと、破断強度の低下に伴い、耐摩耗性が却って悪化する場合があることが懸念される。
【0004】
以上のとおり、近年の技術的進歩にも拘わらず、スタッドレスタイヤにおける氷上性能および耐摩耗性の向上に求められる要求はより高度のものであり更なる改良が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-123209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、氷上性能および耐摩耗性を改良するスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、ポリブタジエンを30質量%以上および天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、白色充填剤を30質量部以上、樹脂粒子を0.5~30質量部、重量平均分子量が1,000~100,000である液状ゴムを10質量部以上配合してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、樹脂粒子とともに重量平均分子量が1,000~100,000である液状ゴムを配合するようにしたので、ジエン系ゴム中の樹脂粒子の分散性を改良し、氷上性能および耐摩耗性を従来レベル以上に向上することができる。
【0009】
スタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、JIS K6253、デュロメータのタイプA、20℃のゴム硬度が60以下、および/または、ガラス転移温度が-30℃以下であるとよく、氷上性能をより優れたものにするカーボンブラックことができる。
【0010】
前記樹脂粒子は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを含む非架橋性モノマーと、架橋性モノマーからなるモノマー混合物の重合体からなり、前記非架橋性モノマーに占める前記(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの質量割合が85~100質量%であり、前記モノマー混合物に占める前記架橋性モノマーの質量割合が2~5質量%であり、前記樹脂粒子の平均粒子径が15~50μmであり、前記樹脂粒子のガラス転移温度が-50~-30℃であるとよい。このように架橋したアクリル系樹脂粒子を用いることにより、氷上性能および耐摩耗性をより優れたものにすることができる。
【0011】
前記ジエン系ゴムが変性ブタジエンゴムを含むことが好ましく、更にスタッドレスタイヤ用ゴム組成物が芳香族変性テルペン樹脂を含むことが好ましい。これらにより、樹脂粒子の分散性が向上し、耐摩耗性がより優れたものになる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を組成するジエン系ゴムは、ポリブタジエンおよび天然ゴムを必ず含む。ポリブタジエンを含むことにより、低温時の柔軟性を確保できる。ポリブタジエンは、ジエン系ゴム100質量%中、30質量%以上含有され、好ましくは30~70質量%、より好ましくは35~65質量%である。ポリブタジエンが30質量%未満であると、低温での柔軟性が確保できない。ポリブタジエンは、未変性のポリブタジエン、変性されたポリブタジエン(変性ブタジエンゴム)から選ばれる少なくとも1つであり、未変性のポリブタジエンおよび変性ブタジエンゴムの両方をふくむとき、両者の合計が30質量%以上であればよい。
【0013】
変性ブタジエンゴムは、特に限定されるものではなく、樹脂粒子、とりわけ架橋したアクリル系樹脂粒子との親和性があればよい。変性ブタジエンゴムが有する変性基として、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、アルコキシ基、シリル基、アミド基、オルガノシロキサン基、等を挙げることができる。なかでもオルガノシロキサン基、カルボキシル基、が好ましい。
【0014】
天然ゴムは、特に限定されるものではなく、通常、スタッドレスタイヤ用ゴム組成物に用いられるものを含有することができる。天然ゴムは、ジエン系ゴム100質量%中、好ましくは30~70質量%、より好ましくは35~65質量%含有するとよい。天然ゴムを30質量%以上含有することにより、耐摩耗性に優れる。また、天然ゴムを70質量%以下含有することにより、低温での柔軟性に優れる。
【0015】
ジエン系ゴムは、ポリブタジエン、天然ゴム以外の他のジエン系ゴムを含有することができる。他のジエン系ゴムとして、例えばイソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム等が挙げられる。なかでもスチレン-ブタジエンゴムが好ましい。これら他のジエン系ゴムは、未変性でもよいが、その分子鎖の末端および/または側鎖がエポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シリル基、アミド基等により、変性された変性ジエン系ゴムでもよい。
【0016】
スタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、白色充填剤を含有する。白色充填剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、30質量部以上、好ましくは30~100質量部、より好ましくは40~90質量部、さらに好ましくは45~80質量部である。白色充填剤の配合量を30質量部以上にすることによりゴム組成物の機械的特性を改良し耐摩耗性を向上することができる。また白色充填剤の配合量を100質量部以下にすることにより、ゴム組成物のしなやかさを維持し氷上性能を確保することができる。またタイヤにしたとき重量の増加を抑制することができる。
【0017】
白色充填剤として、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウムを挙げることができる。これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。なかでもシリカが好ましく氷上性能をより優れたものにすることができる。
【0018】
シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。シリカのCTAB吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは80~260m/g、より好ましくは140~200m/gであるとよい。シリカのCTAB吸着比表面積を80m/g以上にすることにより、ゴム組成物の耐摩耗性を確保することができる。またシリカのCTAB吸着比表面積を200m/g以下にすることにより、ウェット性能および低転がり抵抗性を良好にすることができる。本明細書において、シリカのCTAB比表面積は、ISO 5794により測定された値とする。
【0019】
本発明では、シリカと共にシランカップリング剤を配合するとよい。シランカップリング剤を配合することにより、ジエン系ゴムに対するシリカの分散性を向上し、耐摩耗性および氷上性能のバランスをより高くすることができる。
【0020】
シランカップリング剤の種類は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤を例示することができる。
【0021】
シランカップリング剤の配合量は、シリカの重量に対し、好ましくは3~15質量%を配合すると良く、より好ましくは5~10質量%にすると良い。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の3質量%未満であるとシリカの分散を十分に改良することができない虞がある。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の15質量%を超えるとシランカップリング剤同士が縮合し、ゴム組成物における所望の硬度や強度を得ることができない。
【0022】
スタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、任意にカーボンブラックを配合することができる。カーボンブラックを配合するとき、白色充填剤およびカーボンブラックの配合量の合計が、ジエン系ゴム100質量部に対し、好ましくは30質量部を超え100質量部以下、より好ましくは40~90質量部、さらに好ましくは45~80質量部であるとよい。カーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、HMF、SRF等のファーネスカーボンブラックが挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは70~240m/g、より好ましくは90~200m/gであるとよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積を70m/g以上にすることにより、ゴム組成物の機械的特性および耐摩耗性を確保することができる。またカーボンブラックの窒素吸着比表面積を240m/g以下にすることにより、氷上性能を良好にすることができる。本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2に準拠して、測定するものとする。
【0023】
スタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、樹脂粒子を配合することにより、氷上性能および耐摩耗性を改良する。樹脂粒子は、例えばエチレン性不飽和基を1分子中に少なくとも2つ有する架橋性モノマーと、エチレン性不飽和基を1分子中に1つ有する非架橋性モノマーからなるモノマー混合物を懸濁重合、シード重合または分散重合により重合させて調製することができる。また、樹脂粒子が、ジエン系ゴムに相溶しない樹脂粒子であると好ましい。ここで、「ジエン系ゴムに相溶しない」とは、ジエン系ゴムに包含される全ての種類のゴム成分に対し非相溶という意味ではなく、スタッドレスタイヤ用ゴム組成物に含有された具体的なジエン系ゴムに対し非相溶であればよい。ジエン系ゴムに相溶しない特定の樹脂粒子が、ジエン系ゴムと相分離構造を形成することにより、氷上性能を優れたものにすることができる。
【0024】
樹脂粒子は、ジエン系ゴム100質量部に対し、0.5~30質量部、好ましくは1~20質量部、より好ましくは2~15質量部配合する。樹脂粒子が0.5質量部未満であると、氷上性能を改良することができない。また、樹脂粒子が30質量部を超えると、耐摩耗性が低下する。
【0025】
樹脂粒子は、平均粒子径が好ましくは15~50μm、ガラス転移温度が好ましくは-50~-30℃であるとよい。
【0026】
樹脂粒子の平均粒子径は好ましくは15~50μm、より好ましくは20~45μm、更に好ましくは25~40μmであるとよい。樹脂粒子の平均粒子径が15μm以上であると氷上面の微小な凹凸に対応するようにトレッドゴムの表面を変形させ氷上性能を改良することができる。しかし樹脂粒子の平均粒子径が50μmを超えると、樹脂粒子がトレッドゴムの表面から抜け落ち耐摩耗性が悪化する。本明細書において、樹脂粒子の平均粒子径は、1000~5000倍で撮像した顕微鏡観察画像から、少なくとも100個の樹脂粒子の粒子径を測定した平均値である。なお樹脂粒子の画像が円形でないとき、その投影面積から求められる円相当径を粒子径にすることができる。
【0027】
樹脂粒子のガラス転移温度は、好ましくは-50℃~-30℃、より好ましくは-50℃~-35℃、更に好ましくは-50℃~-38℃であるとよい。樹脂粒子のガラス転移温度を-30℃以下にすることにより、低温下でのゴムコンパウンドのしなやかさを維持し、氷面に対する凝着力を高くするので、スタッドレスタイヤのトレッド部に好適に使用することができる。またガラス転移温度を-50℃以上にすることにより、剛性を確保することができる。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。
【0028】
樹脂粒子を形成する材料として、ガラス転移温度が-50℃~-30℃という特性を満たすのであれば特に制限されないが、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを含む非架橋性モノマーと架橋性モノマーからなるモノマー混合物の重合体であると好ましい。
【0029】
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、エチレン性不飽和基を1分子中に1つ有する非架橋性の単官能(メタ)アクリル酸エステルを意味する。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸アルキルエステルがさらに好ましく、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルが特に好ましい。
なお、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0030】
非架橋性モノマーに占める(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、85~100質量%の割合で使用されると好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの質量割合が85質量%未満であると、ゴム組成物に樹脂粒子を添加した際、ソフトな触感を維持しつつ、表面のベト付いた触感をなくすことができないことがある。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの質量割合は、より好ましくは90~100質量%、より好ましくは92.5~100質量%、特に好ましくは95~100質量%である。
【0031】
非架橋性モノマーとして、上述した(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外に、これと共重合可能なその他の非架橋性モノマー(以下、その他の非架橋性モノマーと称する)を、樹脂粒子の性能が低下しない範囲で含んでいてもよい。
その他の非架橋性モノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、ニトリル系モノマー、カルボキシル基含有モノマー、ビニル系モノマー、ビニリデン系モノマー、アミド基含有モノマー、マレイミド系モノマー等が挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン等が、ニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が、カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が、ビニル系モノマーとしては、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルメチルエーテル等が、ビニリデン系モノマーとしては、塩化ビニリデン等が、アミド基含有モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が、マレイミド系モノマーとしては、N-フェニルマレイミド、N-ラウリルマレイミド等が挙げられる。その他の単官能モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非架橋性モノマーに占めるその他の非架橋性モノマーの質量割合は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7.5質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。
【0032】
モノマー混合物は、非架橋性モノマーと架橋性モノマーからなるものであり、モノマー混合物に占める架橋性モノマーの質量割合が2~5質量%であると好ましい。
架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル系モノマー;メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上の(メタ)アクリレート系モノマー等が挙げられる。これらの架橋性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートが好ましく、エチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
【0033】
モノマー混合物に占める架橋性モノマーの質量割合は、上述のように2~5質量%で使用されると好ましい。モノマー混合物に占める架橋性モノマーの質量割合が2質量%未満であると、樹脂粒子を乾燥させる際、樹脂粒子の架橋度が低いことで樹脂粒子が凝集しやすくなりハンドリング性が悪化する。一方、該質量割合が5質量%を超えると、樹脂粒子が硬くなり、ゴム組成物に添加した際、ソフトな触感が損なわれる。
モノマー混合物に占める架橋性モノマーの質量割合は、より好ましくは2.3~4.7質量%、さらに好ましくは2.6~4.4質量%、特に好ましくは3.0~4.0質量% である。
【0034】
樹脂粒子は従来公知の方法を用いて製造することができ、例えば懸濁重合法によれば、モノマー混合物を水性分散媒中に分散させて重合させることにより簡便に樹脂粒子を製造することができる。懸濁重合の際、必要に応じて、重合開始剤、電解質、分散剤、界面活性剤等が使用される。
【0035】
重合開始剤としては、油溶性の過酸化物又はアゾ化合物が好ましく、具体的には、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジラウロイルパーオキサイド等の油溶性過酸化物、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等の油溶性アゾ化合物が挙げられる。電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。分散剤としては、コロイダルシリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機化合物、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子が挙げられる。界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アジピン酸-ジエタノールアミン縮合物等のノニオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤を挙げることができる。上記の重合開始剤、電解質、分散剤および界面活性剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組合わせて使用することができる。
【0036】
重合反応は、所定粒子径の球状油滴が調製されるようにモノマー混合物を水性分散媒中に分散させた後、攪拌しながら昇温して行われる。モノマー混合物を水性分散媒中に分散させる方法としては、例えばホモミキサー、スタティックミキサー等の乳化分散機を使用して分散させる方法、超音波分散機を用いて分散させる方法、膜乳化法を利用する方法等が挙げられる。重合温度は40~100℃が好ましく、重合時間は1~20時間が好ましい。
【0037】
スタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、樹脂粒子とともに、重量平均分子量が1,000~100,000である液状ゴムを配合することにより、ジエン系ゴム中の樹脂粒子の分散性を改良し、耐摩耗性を改良する。液状ゴムの重量平均分子量は1,000~100,000、好ましくは2,000~90,000、より好ましくは3,000~80,000である。液状ゴムの重量平均分子量が1,000未満であると、他の部材への移行が起こりやすくなる。また液状ゴムの重量平均分子量が100,000を超えると、樹脂の分散効果が低下する。なお、液状ゴムの重量平均分子量は、溶媒がテトラヒドロフランで、RI検出器を用いた、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
【0038】
液状ゴムとして、特に制限されるものではないが、例えば液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状スチレンブタジエンゴム、液状エチレンプロピレン系ゴム、液状ニトリルゴム、液状クロロプレンゴム、液状アクリルゴム、液状エピクロルヒドリンゴム等を挙げることができる。好ましくは、液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状スチレンブタジエンゴムがよい。
【0039】
液状ゴムは、ジエン系ゴム100質量部に対し、10質量部以上、好ましくは12~50質量部、より好ましくは14~40質量部配合する。液状ゴムが10質量部未満であると、樹脂粒子の分散性を改良し、耐摩耗性を改良することができない。また、樹脂粒子の配合量に対する液状ゴムの配合量の質量比(液状ゴムの配合量/樹脂粒子の配合量)は、好ましくは1~100、より好ましくは2~50であるとよい。質量比(液状ゴムの配合量/樹脂粒子の配合量)が1未満であると、樹脂粒子の分散性を改良し、耐摩耗性を改良することができない。また、質量比(液状ゴムの配合量/樹脂粒子の配合量)が50を超えると、他の部材への移行が起こりやすくなる。
【0040】
スタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、芳香族変性テルペン樹脂を配合することにより、樹脂粒子の分散性を改良し、耐摩耗性を改良することができる。芳香族変性テルペン樹脂は、ジエン系ゴム100質量部に対し、好ましくは1~20質量部、より好ましくは2~15質量部配合するとよい。芳香族変性テルペン樹脂が1質量部未満であると、樹脂粒子の分散性を改良し、耐摩耗性を改良する効果が十分には得られない。芳香族変性テルペン樹脂が20質量部を超えると、耐摩耗性が悪化する。
【0041】
芳香族変性テルペン樹脂は、テルペンと芳香族化合物とを重合することにより得られる。テルペンとしては、例えばα-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネンなどが例示される。芳香族化合物としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、インデンなどが例示される。なかでも芳香族変性テルペン樹脂としてスチレン変性テルペン樹脂が好ましい。
【0042】
スタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、熱膨張性マイクロカプセルが配合されてもよい。熱膨張性マイクロカプセルは、例えばポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂で形成された殻材中に、熱膨張性物質を内包した構成のものが挙げられる。この熱膨張性マイクロカプセルが加熱されると、殻材に内包された熱膨張性物質が膨張して殻材の粒径を大きくし、トレッドゴム中に多数の樹脂被覆気泡を形成する。このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えばスェーデン国エクスパンセル社製の商品名「EXPANCEL 091DU-80」又は「EXPANCEL 092DU-120」等、或いは松本油脂製薬社製の商品名「マイクロスフェアー F-85」又は「マイクロスフェアー F-100」等を挙げることができる。
熱膨張性マイクロカプセルの配合量は特に制限されるものではないが、ジエン系ゴム100質量部に対し、好ましくは2.5質量部以上、より好ましくは3.5~20質量部配合するとよい。熱膨張性マイクロカプセルを2.5質量部以上配合することにより、ゴム組成物の表面を適切に粗くし氷上性能、雪上性能を向上することができる。また熱膨張性マイクロカプセルの配合量が20質量部を超えると氷上性能、雪上性能およびウェット性能が却って低下する虞がある。
【0043】
スタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、JIS K6253、デュロメータのタイプA、20℃のゴム硬度が、好ましくは60以下、より好ましくは40~57であるとよい。ゴム硬度を60以下にすることにより、高い氷上摩擦力を得ることができる。
【0044】
また、スタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、ガラス転移温度が好ましくは-60℃以下、より好ましくは-100~-62℃であるとよい。スタッドレスタイヤ用ゴム組成物のガラス転移温度を-60℃以下にすることにより、低温下でのゴムコンパウンドのしなやかさを維持し、氷面に対する凝着力を高くするので、スタッドレスタイヤのトレッド部に好適に使用することができる。なおガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。
【0045】
本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で配合することができる。またかかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。スタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
【0046】
本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、スタッドレスタイヤのトレッド部を形成するのに好適である。本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物でトレッドゴムを構成したスタッドレスタイヤは、氷上性能および耐摩耗性を従来レベル以上に向上することができる。
【0047】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0048】
樹脂粒子(樹脂粒子-AおよびB)の調製
樹脂粒子-A
イオン交換水200質量部に、塩化ナトリウム50質量部、低分子ノニオン界面活性剤であるアジピン酸-ジエタノールアミン縮合物(濃度50質量%)0.5質量部、シリカ有効成分20質量%であるコロイダルシリカ20質量部およびエチレンジアミン四酢酸・4Na塩0.02質量部を加えて混合した後、pHを2.8~3.2に調整することで水性分散媒を調製した。
これとは別にアクリル酸n-ブチル97.5質量部、エチレングリコールジメタクリレート2.5質量部、有効成分70%のジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート3質量部を混合、溶解し油性混合物とした。
上記で得られた水性分散媒および油性混合物をTKホモミキサー2.5型(プライミクス社製)で攪拌(8000rpm×1分)して懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.2MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度65℃で15時間重合を行い、樹脂粒子を含む水性分散液を得た。得られた樹脂粒子を含む水性分散液を濾過、乾燥して、樹脂粒子-Aを得た。
得られた樹脂粒子-Aは、真球状の粒子であり、平均粒径25μm、ガラス転移温度-45℃であった。
【0049】
樹脂粒子-B
イオン交換水200質量部に、塩化ナトリウム50質量部、低分子ノニオン界面活性剤であるアジピン酸-ジエタノールアミン縮合物(濃度50質量%)0.5質量部、シリカ有効成分20質量%であるコロイダルシリカ30質量部およびエチレンジアミン四酢酸・4Na塩0.02質量部を加えて混合した後、pHを2.8~3.2に調整することで水性分散媒を調製した。
これとは別にアクリル酸n-ブチル92.5質量部、アクリル酸エチル5質量部、エチレングリコールジメタクリレート2.5質量部、有効成分70%のジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート3質量部を混合、溶解し油性混合物とした。
上記で得られた水性分散媒および油性混合物をTKホモミキサー2.5型(プライミクス社製)で攪拌(7000rpm×1分)して懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.2MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度65℃で15時間重合を行い、樹脂粒子を含む水性分散液を得た。得られた樹脂粒子を含む水性分散液を濾過、乾燥して、樹脂粒子-Bを得た。
得られた樹脂粒子-Bは、真球状の粒子であり、平均粒径35μm、ガラス転移温度-39℃であった。
【0050】
スタッドレスタイヤ用ゴム組成物の調製および評価
表2に記載の共通組成を有し、表1に記載の樹脂粒子を配合した14種類のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物(実施例1~9、比較例1~5)を調製するにあたり、硫黄、加硫促進剤および樹脂粒子を除く成分を1.7Lのバンバリーミキサーで5分間混練し、145℃に達したとき放出しマスターバッチとした。得られたマスターバッチに、硫黄、加硫促進剤および樹脂粒子を加えて70℃のオープンロールで混練することにより、14種類のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を得た。なお、表2に記載の標準処方の配合量は、表1に記載のジエン系ゴム100質量部に対する質量部として表されている。
【0051】
得られたスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を、所定形状の金型(内寸;長さ150mm、幅150mm、厚さ2mm)を用いて170℃、10分間加硫し、加硫ゴム試験片を作成した。得られた加硫ゴム試験片を使用して、以下に示す試験方法で引張破断強度および氷上摩擦性能を測定した。
【0052】
引張破断強度
得られた加硫ゴム試験片をJIS K6251に準拠してJIS3号ダンベル型試験片を切り出した。JIS K6251に準拠し引張破断強度を測定し、得られた結果は、比較例1の値を100とする指数として表1の「破断強度」の欄に示した。この指数が大きいほど耐摩耗性が優れることを意味する。
【0053】
氷上摩擦性能
得られた加硫ゴム試験片を偏平円柱状の台ゴムに貼り付け、インサイドドラム型氷上摩擦試験機を用いて、測定温度-1.5℃、荷重5.5kg/cm、ドラム回転速度25km/hの条件で氷上摩擦係数を測定した。得られた氷上摩擦係数を、比較例1の値を100とする指数にして、「氷上性能」の欄に示した。この指数値が大きいほど氷上摩擦係数が大きく氷上性能が優れることを意味する。
【0054】
【表1】
【0055】
なお、表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
・天然ゴム:RSS#3
・ポリブタジエン:日本ゼオン(株)製ポリブタジエンゴムNipol BR1220
・変性ブタジエンゴム:JSR社製BR54
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製カーボンブラックシースト6、窒素吸着比表面積が115m/g
・シリカ:日本シリカ工業(株)製Nipsil AQ
・カップリング剤:硫黄含有シランカップリング剤、デクサ社製Si69
・樹脂粒子-Aおよび-B:上述した調製方法により得た樹脂微粒子
・液状ゴム-1:重量平均分子量が30000の液状ブタジエンゴム、日本ゼオン社製
・液状ゴム-2:重量平均分子量が5000の液状ブタジエンゴム、クラレ社製LBR302
・変性テルペン樹脂:芳香族変性テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製TO-125
【0056】
【表2】
【0057】
なお、表2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:NOF社製ビーズステアリン酸
・老化防止剤:フレキシス社製6PPD
・アロマオイル:富士興産(株)製アロマオイル
・ワックス:大内新興化学工業(株)社製サンノック
・硫黄:鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製ノクセラー CZ-G
【0058】
表1から明らかなように実施例1~9のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、引張破断強度および氷上性能を従来レベル以上に改良することが確認された。
【0059】
比較例2のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、樹脂粒子を配合しないので、氷上性能を改良することができない。
比較例3のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、液状ゴムを配合しないので、引張破断強度が劣る。
比較例4のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、液状ゴムが10質量部未満なので、引張破断強度が劣る。
比較例5のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、樹脂粒子が30質量部を超えるので、引張破断強度が劣る。