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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080388
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】クランプ装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/16 20060101AFI20220523BHJP
   F16D 49/18 20060101ALI20220523BHJP
   H02K 49/00 20060101ALI20220523BHJP
   H02K 49/10 20060101ALI20220523BHJP
   F16D 121/22 20120101ALN20220523BHJP
   F16D 125/68 20120101ALN20220523BHJP
【FI】
F16D65/16
F16D49/18
H02K49/00 B
H02K49/10 B
F16D121:22
F16D125:68
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191414
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】591082591
【氏名又は名称】三陽工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】本田 武信
【テーマコード(参考)】
3J058
5H649
【Fターム(参考)】
3J058AA03
3J058AA06
3J058AA17
3J058AA25
3J058AA29
3J058AA30
3J058AA34
3J058AA38
3J058BA67
3J058BA68
3J058CA02
3J058CC07
3J058CC13
3J058CC66
3J058CC72
3J058CC76
3J058FA32
3J058FA34
3J058FA42
5H649BB03
5H649BB05
5H649GG02
5H649GG13
5H649HH08
5H649HH18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クランプ装置全体の容積をコンパクト化し、軽量化を図る。
【解決手段】回転軸1の外周1Aに接触可能として配設された横断面円弧状の複数の制動把持片5と、上記回転軸の外周面に対して所定ラジアル方向間隔寸法R4の円環状収納空間10を形成するクランプケーシング4と、上記円環状収納空間内に配設され、かつ、周方向等分配角度θをもって配設される複数のアクチュエータ15とを具備し、電磁コイル16又はバネ17から発生した制動のための付勢力を、力伝達系を介して、回転軸に伝達して該回転軸を停止状態に保つクランプ装置に於て、上記力伝達系の一部に、倍力手段としてのトグル機構Tgを具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁コイル(16)(16Z)又はバネ(17)(17Z)から発生した制動のための付勢力を、力伝達系を介して、回転軸(1)に伝達して該回転軸(1)を停止状態に保つクランプ装置に於て、
上記力伝達系の一部に、倍力手段としてのトグル機構(Tg )を具備することを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
回転軸(1)の外周面(1A)に接触可能として配設された横断面円弧状の複数の制動把持片(5)と、
上記回転軸(1)の外周面(1A)に対して所定ラジアル方向間隔寸法(R4 )の円環状収納空間(10)を形成するクランプケーシング(4)と、
上記円環状収納空間(10)内に配設され、かつ、周方向等分配角度(θ)をもって配設される複数のアクチュエータ(15)とを、具備し、
上記アクチュエータ(15)は、電磁コイル(16)と、バネ(17)と、往復動自在な作動軸体(18)を、有し、
上記作動軸体(18)の往復動によって開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片(21)(22)から成るトグル機構(Tg )を備え、かつ、上記第1板片(21)は上記クランプケーシング(4)の内周面(4D)に圧接自在であり、上記第2板片(22)は上記制動把持片(5)に圧接自在として、上記制動把持片(5)を、上記回転軸(1)の外周面(1A)に圧接自在に構成したことを特徴とするクランプ装置。
【請求項3】
上記トグル機構(Tg )の第1板片(21)が上記クランプケーシング(4)の内周面(4D)に圧接する圧接端縁(21A)、及び、上記作動軸体(18)に圧接する小凹状内縁部(21C)の、各断面が半円凸型に形成され、
上記第2板片(22)が上記制動把持片(5)の凹窪部(5A)に圧接する圧接端縁(22A)、及び、上記作動軸体(18)に圧接する小凹状内縁部(22C)の、各断面が半円凸型に形成されている請求項2記載のクランプ装置。
【請求項4】
横断面円弧状の制動把持片(5)は、周方向に複数枚が順次配設され、隣り合う制動把持片(5)(5)の間隙を増加させる方向に弾発力(F6 )を付与する弾性反撥部材(6)が介設されている請求項2,3又は4記載のクランプ装置。
【請求項5】
回転軸(1)の外周面(1A)に接触可能な内面が断面円弧状の複数の制動把持片(5)を備え、
軸心方向から見て正多角形に組立てられた複数の板バネ(37)から成る把持片保持体(38)の各辺の板バネ(37)の内面に上記制動把持片(5)を固着し、
上記回転軸(1)の外周面(1A)に対して所定ラジアル方向間隔寸法(R4 )の円環状収納空間(10)を形成するクランプケーシング(4)を備え、
上記円環状収納空間(10)内に収納され、かつ、周方向に等分配角度をもって配設される複数のアクチュエータ(15)を、具備し、該アクチュエータ(15)の個数を、上記板バネ(37)の枚数に一致させて、各アクチュエータ(15)を各板バネ(37)に対応させ、
上記アクチュエータ(15)は、電磁コイル(16)と、バネ(17)と、往復動自在な作動軸体(18)を、有し、
上記作動軸体(18)の往復動によって開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片(21)(22)から成るトグル機構(Tg )を構成し、かつ、上記第1板片(21)は上記クランプケーシング(4)の内周面(4D)に圧接自在であり、上記第2板片(22)は上記把持片保持体(38)の板バネ(37)に圧接自在として、該板バネ(37)の内面に固着された上記制動把持片(5)を、上記回転軸(1)の外周面(1A)に圧接分離自在に構成したことを特徴とするクランプ装置。
【請求項6】
制動把持片(5)の内面の横断面形状が、略円弧状であると共に、周方向中央領域に浅い逃げ部(5E)が凹設されている請求項2又は4記載のクランプ装置。
【請求項7】
複数の上記制動把持片(5)の全てを、ラジアル外方から包囲する円筒状の把持片受け輪(23)を設け、
該把持片受け輪(23)には複数の窓部(23A)を貫設し、上記トグル機構(Tg )の第2板片(22)は、上記窓部(23A)を介して上記制動把持片(5)に当接されるよう構成した請求項2又は4記載のクランプ装置。
【請求項8】
上記制動把持片(5)の外周面には、凹窪部(5A)を設け、
上記窓部(23A)を介してラジアル内方向に侵入した上記トグル機構(Tg )の上記第2板片(22)が、上記凹窪部(5A)に嵌込状となるように構成した請求項7記載のクランプ装置。
【請求項9】
上記第2板片(22)と上記制動把持片(5)の外周面(5B)との摺動摩擦係数を、
上記制動把持片(5)の内周面(5C)と回転軸(1)の外周面(1A)との摺動摩擦係数よりも、
小さく設定し、非常緊急停止の際に、第2板片(22)に対して、制動把持片(5)と回転軸(1)が一体に短秒間回転するように構成した請求項7記載のクランプ装置。
【請求項10】
複数の上記第2板片(22)の各々を、把持片受け輪(23)の対応する各窓部(23A)に差込んだ組立状態下で、
上記第2板片(22)と上記窓部(23A)との間に周方向に微小ギャップ(ε)が形成され、
しかも、複数の上記第2板片(22)の内の一群は、回転軸(1)の一方向(M1 )への回転の下流側に上記微小ギャップ(ε)が形成され、
複数の上記第2板片(22)の内の他群は、回転軸(1)の他方向(M2 )への回転の下流側に上記微小ギャップ(ε)が形成されるように、
2つの群に区別して、配設した請求項7記載のクランプ装置。
【請求項11】
回転軸(1)の軸心(L1 )と同一軸心のドーナツ状固定電磁コイル(16Z)及びドーナツ状可動鉄心(19Z)を備え、
上記電磁固定コイル(16Z)及び可動鉄心(19Z)を包囲する、外周壁部(31)と、中心孔部(32)を有する軸心直交壁部(33)とを備えたクランプケーシング(4)を設け、
上記クランプケーシング(4)の上記軸心直交壁部(33)には、周方向等分配角度をもって孔部(35)が貫設され、上記可動鉄心(19Z)に内端が連結されて上記孔部(35)に往復動自在に挿通された作動軸体(18)を設け、さらに、該作動軸体(18)の外端と上記直交壁部(33)との間に介装された圧縮バネ(17Z)を有し、
さらに、上記可動鉄心(19Z)と上記直交壁部(33)の間に形成された円環状収納空間(10)には、上記作動軸体(18)の往復動によって開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片(21)(22)から成るトグル機構(Tg )が内蔵され、かつ、上記円環状収納空間(10)には、上記回転軸(1)に外嵌された制動把持片(5)が設けられ、
上記第1板片(21)は上記クランプケーシング(4)の外周壁部(31)の内周面に圧接自在であり、
上記第2板片(22)は上記制動把持片(5)に圧接自在であり、
1枚の上記可動鉄心(19Z)の作動に伴って、複数本の作動軸体(18)が往復動し、この往復動によって上記トグル機構(Tg )の2枚の第1・第2板片(21)(22)が開脚・閉脚し、上記制動把持片(5)を、回転軸(1)の外周面(1A)に、圧接分離自在に構成したことを特徴とするクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クランプ装置として、図9に示すように、電気モータ81の回転軸82を軸受83を介して枢支するブラケット84を固着し、さらにブラケット84の外面にクランプケーシング85を固着して、そのケーシング85内に、クランプ装置が設けられていた。
このような(従来の)クランプ装置は、回転軸82に一体状に外嵌されたスプラインハブ86と、スプラインハブ86にスプライン結合にて外嵌されたディスク87を有している。かつ、可動鉄心88とバネ89と電磁コイル91を有する制動機構を備え、図9では、電磁コイル91への電流がONの場合に可動鉄心88が吸引されて非制動状態となる。
【0003】
逆に、電磁コイル91への電流がOFFの場合には、バネ89の弾発押圧力にて、可動鉄心88がディスク87を押圧して、サイドプレート92と可動鉄心88によってディスク87を挾圧保持し、クランプされる。
このような構造のクランプ装置は、広く知られている。(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3032499号公報
【特許文献2】特許第3940044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のクランプ装置(図9及び特許文献1,2参照)では、バネ89の押圧力、又は、電磁コイル91による押圧力は、その力の大きさのまま───(1:1)のまま───にて、
ディスク87に伝達される構成である。
従って、大きな電磁石を必要とし、クランプ装置全体の容積が大きくなるという問題、及び、重量が大となるという問題があった。さらに、上述の電気モータ81以外に、工作機械,ロボット等にもクランプ装置は広く利用されるが、その場合、省スペース化が難しいために、設置が至難となるケースがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、電磁コイル又はバネから発生した制動のための付勢力を、力伝達系を介して、回転軸に伝達して該回転軸を停止状態に保つクランプ装置に於て、上記力伝達系の一部に、倍力手段としてのトグル機構を具備している。
【0007】
また、本発明は、回転軸の外周面に接触可能として配設された横断面円弧状の複数の制動把持片と、上記回転軸の外周面に対して所定ラジアル方向間隔寸法の円環状収納空間を形成するクランプケーシングと、上記円環状収納空間内に配設され、かつ、周方向等分配角度をもって配設される複数のアクチュエータとを、具備し、上記アクチュエータは、電磁コイルと、バネと、往復動自在な作動軸体を、有し、上記作動軸体の往復動によって開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片から成るトグル機構を備え、かつ、上記第1板片は上記クランプケーシングの内周面に圧接自在であり、上記第2板片は上記制動把持片に圧接自在として、上記制動把持片を、上記回転軸の外周面に圧接自在に構成したものである。
【0008】
また、上記トグル機構の第1板片が上記クランプケーシングの内周面に圧接する圧接端縁、及び、上記作動軸体に圧接する小凹状内縁部の、各断面が半円凸型に形成され、上記第2板片が上記制動把持片の凹窪部に圧接する圧接端縁、及び、上記作動軸体に圧接する小凹状内縁部の、各断面が半円凸型に形成されている。
また、横断面円弧状の制動把持片は、周方向に複数枚が順次配設され、隣り合う制動把持片の間隙を増加させる方向に弾発力を付与する弾性反撥部材が介設されている。
【0009】
また、本発明は、回転軸の外周面に接触可能な内面が断面円弧状の複数の制動把持片を備え、軸心方向から見て正多角形に組立てられた複数の板バネから成る把持片保持体の各辺の板バネの内面に上記制動把持片を固着し、上記回転軸の外周面に対して所定ラジアル方向間隔寸法の円環状収納空間を形成するクランプケーシングを備え、上記円環状収納空間内に収納され、かつ、周方向に等分配角度をもって配設される複数のアクチュエータを、具備し、該アクチュエータの個数を、上記板バネの枚数に一致させて、各アクチュエータを各板バネに対応させ、上記アクチュエータは、電磁コイルと、バネと、往復動自在な作動軸体を、有し、上記作動軸体の往復動によって開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片から成るトグル機構を構成し、かつ、上記第1板片は上記クランプケーシングの内周面に圧接自在であり、上記第2板片は上記把持片保持体の板バネに圧接自在として、該板バネの内面に固着された上記制動把持片を、上記回転軸の外周面に圧接分離自在に構成した。
また、制動把持片の内面の横断面形状が、略円弧状であると共に、周方向中央領域に浅い逃げ部が凹設されている。
【0010】
また、複数の上記制動把持片の全てを、ラジアル外方から包囲する円筒状の把持片受け輪を設け、該把持片受け輪には複数の窓部を貫設し、上記トグル機構の第2板片は、上記窓部を介して上記制動把持片に当接されるよう構成した。
また、上記制動把持片の外周面には、凹窪部を設け、上記窓部を介してラジアル内方向に侵入した上記トグル機構の上記第2板片が、上記凹窪部に嵌込状となるように構成した。
また、上記第2板片と上記制動把持片の外周面との摺動摩擦係数を、上記制動把持片の内周面と回転軸の外周面との摺動摩擦係数よりも、小さく設定し、非常緊急停止の際に、第2板片に対して、制動把持片と回転軸が一体に短秒間回転するように構成した。
【0011】
また、複数の上記第2板片の各々を、把持片受け輪の対応する各窓部に差込んだ組立状態下で、上記第2板片と上記窓部との間に周方向に微小ギャップが形成され、しかも、複数の上記第2板片の内の一群は、回転軸の一方向への回転の下流側に上記微小ギャップが形成され、複数の上記第2板片の内の他群は、回転軸の他方向への回転の下流側に上記微小ギャップが形成されるように、2つの群に区別して、配設した。
【0012】
また、本発明は、回転軸の軸心と同一軸心のドーナツ状固定電磁コイル及びドーナツ状可動鉄心を備え、上記電磁固定コイル及び可動鉄心を包囲する、外周壁部と、中心孔部を有する軸心直交壁部とを備えたクランプケーシングを設け、上記クランプケーシングの上記軸心直交壁部には、周方向等分配角度をもって孔部が貫設され、上記可動鉄心に内端が連結されて上記孔部に往復動自在に挿通された作動軸体を設け、さらに、該作動軸体の外端と上記直交壁部との間に介装された圧縮バネを有し、さらに、上記可動鉄心と上記直交壁部の間に形成された円環状収納空間には、上記作動軸体の往復動によって開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片から成るトグル機構が内蔵され、かつ、上記円環状収納空間には、上記回転軸に外嵌された制動把持片が設けられ、上記第1板片は上記クランプケーシングの外周壁部の内周面に圧接自在であり、上記第2板片は上記制動把持片に圧接自在であり、1枚の上記可動鉄心の作動に伴って、複数本の作動軸体が往復動し、この往復動によって上記トグル機構の2枚の第1・第2板片が開脚・閉脚し、上記制動把持片を、回転軸の外周面に、圧接分離自在に構成したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のクランプ装置によれば、クランプ装置全体の容積を大きく減少でき、コンパクト化及び軽量化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の一形態を示す正面図である。
図2図1の具体的説明のための図であって、(A)は要部断面図、(B)はトグル機構のベクトル説明図、(C)はトグル機構の第1板片と第2板片の形状説明図である。
図3】要部説明のための図であって、(A)は図2の要部断面正面図、(B)はトグル機構の要部断面図、(C)は変形例を示す要部断面正面図である。
図4】要部の断面図である。
図5】他の実施形態を示す図であって、(A)は要部断面正面図、(B)は要部拡大断面図である。
図6】別の実施形態を示す一部断面正面図である。
図7】さらに他の実施形態を示す一部断面正面図である。
図8】さらに別の実施形態を示す図であって、(A)は全体斜視図、(B)は要部断面図である。
図9】従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
図1図4に示す本発明の実施の一形態に於て、1は回転軸であり、ブラケット2の孔部に挿通され、かつ、軸受3にて回転自在に枢着されている。上記ブラケット2の鉛直外面壁2Aには、クランプケーシング4が、ボルト8等によって、固着されている。
【0016】
5は、回転軸1の外周面1Aに接触可能として配設された横断面円弧状(図3参照)の複数の制動把持片である。そして、隣り合う制動把持片5,5の間隙を増加させる方向に弾発力F6 を付与する弾性反撥部材6が、介設されている。具体的には、上記弾性反撥部材6は、コイルバネや小円柱状弾性ゴム等から成る。
【0017】
また、クランプケーシング4は、円筒外壁4Aと、回転軸1が挿通される円形孔4Cを有する円環状板壁部4Bとを、一体に有する。さらに、この円環状板壁部4Bには、軸心方向に小貫孔7が複数個、配設されている(図1図3では4個の場合を例示する)。
このようにして、回転軸1の外周面1Aに対して、これを包囲する上記クランプケーシング4の円筒外壁4Aは、所定ラジアル方向間隔寸法R4 の円環状収納空間10を形成している。
【0018】
しかも、クランプケーシング4は、アキシャル方向の中間位置に円環状板壁部4Bが設けられており、上記円環状収納空間10は、外収納空間11と内収納空間12とに、区画されている。
【0019】
図1図4にて明らかなように、上記円環状収納空間10内には、周方向等分配角度θをもって、複数のアクチュエータ15が配設されている。
このアクチュエータ15は、図2(A)に示すように、電磁コイル16を有する固定鉄心20と、バネ17と、(往復動自在な)作動軸体18と、この作動軸体18と一体状として往復動する可動鉄心19を、備える。作動軸体18は前記小貫孔7に往復摺動自在として、挿通されている。
【0020】
そして、前記内収納空間12には、トグル機構Tg が収納されている。具体的には、作動軸体18の往復動によって、開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片21,22から、トグル機構Tg が構成されている。
【0021】
図2(C)と図2(A)(B)に示すように、第1板片21と第2板片22の対向辺に、小凹状内縁部21C,22Cが形成され、この凹部21C,22Cによって形成される略円形孔内に作動軸体18が挿入され、かつ、作動軸体18の内端の外鍔部18Aに係止している。言い換えると、作動軸体18は“引き軸”として作用する。
【0022】
また、第1板片21の外周端縁は、クランプケーシング4(円筒外壁4A)の内周面4Dに圧接自在に組立てられている。他方、第2板片22の内周端縁は、制動把持片5に圧接自在である。
【0023】
図2(A)に示すように、電磁コイル16の非通電状態下では、バネ17の弾発付勢にて作動軸体18は、図2(A)の右方向(ラジアル外方向)へ引張力を受け、トグル機構Tg の
第1・第2板片21,22は開脚する方向に作動を起こす。この作動によって、制動把持片5が強力なラジアル内方向の力を受け、回転軸1の外周面1Aに圧接して、制動(クランプ)状態となる。
【0024】
図2(B)に於て、本発明の主要な構成をなすトグル機構Tg の作用等を説明すると、作動軸体18にはバネ17(図2(A)参照)による力(ベクトル)が作用し、これによって、第1板片21と第2板片22の各々には、極めて大きな力(ベクトル)F21,F22が発生することが判る。即ち、図2(B)の角度θ’が90°に近い角度であるが故に、第1板片21・第2板片22によるベクトル(分力)F21,F22は極めて大きくなる。
【0025】
本発明はこのような倍力手段として、トグル機構Tg を、力伝達系の一部に介設している。なお、ここで言う力伝達系とは、図1図3の実施形態では、バネ17の力(制動力発生源からの力)を受ける作動軸体18から制動把持片5の回転軸圧接面までが該当する。
【0026】
ところで、図2図3(A)(C)と図4に於て、複数の制動把持片5の全てを、ラジアル外方から包囲する円筒状の把持片受け輪23が設けられている。なお、図2(A)では、把持片受け輪23の横断面は、コの字型として、制動把持片5の外周面のみならず、アキシャル方向の両側面をも包囲している場合を示す。
【0027】
さらに、把持片受け輪23には、複数の窓部23Aが貫設され、上述のトグル機構Tg の第2板片22が、この窓部23Aを介して、制動把持片5に当接させている。
しかも、図3図4図5に示したように、各制動把持片5の外周面には、凹窪部5Aが設けられ、把持片受け輪23の上記窓部23Aを介してラジアル内方向に侵入したトグル機構Tg の第2板片22が、制動把持片5の外周面の凹窪部5Aに嵌込状となる。従って、固定(静止)した把持片受け輪23に対し、制動把持片5はラジアル方向に移動(回転)しないように、保持されている。
【0028】
また、図3図5に示すように、クランプケーシング4の円筒外壁4Aの内周面には、浅い円弧凹状の係止凹部24が複数設けられ、他方、トグル機構Tg の第1板片21の外端縁を円弧状凸型に形成して、この係止凹部24に嵌合(係合)させている。
【0029】
次に、図2(C)と図3(B)に於て、第1板片21と第2板片22の正面形状と断面形状を示している。
第1板片21がクランプケーシング4の内周面4D(の係止凹部24)に圧接する圧接端縁21A,及び、第2板片22に対応する対応端縁21Bと、それに形成された(作動軸体18に圧接する)小凹状内縁部21Cの、各断面が、半円凸型に形成されている。
他方、第2板片22が、制動把持片5の凹窪部5Aに圧接する圧接端縁22A、及び、第1板片21の上記対応端縁21Bに対応する対応端縁22Bと、それに形成された(作動軸体18に圧接する)小凹状内縁部22Cの、各断面が、半円凸型に形成されている。なお、図3(B)に於て、各断面の半円凸型の半径寸法は、Rをもって示している。
【0030】
なお、図3(C)は変形例を示す。即ち、クランプケーシング4にラジアル方向のネジ孔26を貫設して、係止凹部24に嵌合する第1板片21の圧接端縁21Aに対して、上記ネジ孔26に螺進退自在に螺合するボルト27の内端を押圧保持するようにしている。図3(A)のように、複数のトグル機構Tg が配設されている場合に、均等な力をもって、かつ、同期しつつ、制動把持片5を押圧するように、調整できる。
【0031】
次に、図5に示す他の実施形態について説明すると、各制動把持片5の内面の横断面形状が、回転軸1の円形断面に対応した略円弧状であると共に、周方向中央領域に浅い逃げ部5Eが凹設されている。
図5(B)に於て、制動把持片5の内面が回転軸1の外周面に対し、圧接した状態の接触面圧力P1 を示す。この図5(B)から明らかなように、逃げ部5Eを除く、(周方向の)両端部位5G,5Gの面圧力P1 ,P1 が急峻山型36となる。従って、トグル機構Tg の第2板片22から制動把持片5に作用するラジアル内方向の押圧力F22は有効的に制動力として働く。
【0032】
次に、図6に於て、本発明の別の実施形態を説明する。
回転軸1の外周面1Aに接触可能な内面が断面円弧状の複数(図例では4個)の制動把持片5を備えている。なお、制動把持片5の外面は平坦な平面とする。
そして、軸心方向から見て正多角形(図例では正方形)に組立てられた複数(図例では4枚)の板バネ37から成る把持片保持体38を設ける。この把持片保持体38の各辺の板バネ37の内面に上記制動把持片5を固着する。
【0033】
クランプケーシング4と同心状に小径の固定内筒体39を設けて、上記把持片保持体38の各角部を、止め具40とボルト41にて、固着する。このようにして、固定内筒体39の内部に、把持片保持体38を、固定保持する。
そして、クランプケーシング4の内周面4Dと、回転軸1の外周面1Aの間に、所定ラジアル方向間隔寸法R4 の円環状収納空間10を形成している。
上記円環状収納空間10内に収納され、かつ、周方向に等分配角度をもって配設される複数のアクチュエータ15を、具備し、該アクチュエータ15の個数を、上記板バネ37の枚数に一致させて、各アクチュエータ15を各板バネ37に対応させる。
【0034】
アクチュエータ15は、上述の実施形態と同様に電磁コイル16と、バネ17と、往復動自在な作動軸体18を、有している(図2参照)。
作動軸体18の往復動によって開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片21,22から成るトグル機構Tg を備える。上記第1板片21は上記クランプケーシング4の内周面4Dに圧接自在であり、第2板片22は上記把持片保持体38の板バネ37に圧接自在として、該板バネ37の内面に固着された上記制動把持片5を、上記回転軸1の外周面1Aに圧接分離自在に構成されている。
【0035】
次に、図7に於て、さらに他の実施形態を説明する。
図1図5と基本的構成は同様であるが、相違する点は、以下の通りである。即ち、トグル機構Tg の第2板片22の圧接端縁22Aが円弧凹状である。しかも、制動把持片5の外周面には、図1図5における凹窪部5Aを省略し、かつ、上記第2板片22の圧接端縁22Aが円弧凹状の曲率半径を、制動把持片5の外周面の半径に対応させて、接触させている。
【0036】
さらに、相違する点は、第2板片22と制動把持片5の外周面5Bとの摺動摩擦係数を、制動把持片5の内周面5Cと回転軸1の外周面1Aとの摺動摩擦係数よりも、「小さく」設定して、非常緊急停止の際に、第2板片22に対して、制動把持片5と回転軸1が一体に短秒間、回転を続ける。
このようにして、非常緊急停止時に、急激な制動にて、回転軸1の外周面を傷付けることを防止できる。
なお、制動把持片5の内面に高摩擦材13をライニングして、摺動摩擦係数を大きくするのが好ましい。
【0037】
また、図7に示したように、複数枚の第2板片22を、把持片受け輪23の窓部23Aに差込んだ組立状態下で、各第2板片22と対応する各窓部23Aとの間に、周方向に微小ギャップεを形成する。
しかも、複数(図7では4枚)の第2板片22の内の「一群」は、回転軸1の一方向M1 への回転の「下流側」に微小ギャップεが形成される。例えば、図7に於て、一方向M1 への回転にて下流側に微小ギャップεが形成されているのは、右横位置と真下位置に在る第2板片22,22から成る「一群」が該当する。
【0038】
かつ、複数(図7では4枚)の第2板片22の内の「他群」は、回転軸1の他方向M2 への回転の「下流側」に微小ギャップεが形成される。例えば、図7に於て、他方向M2 への回転にて下流側に微小ギャップεが形成されているのは、左横位置と真上位置に在る第2板片22,22から成る。
【0039】
なお、前記一群を、真上位置と真下位置の第2板片22,22にて構成すると共に、前記他群を、右横位置と左横位置の第2板片22,22にて構成するも、設計変更自由である。
なお、図7では第2板片22を4枚としたが、これを、6枚や8枚とすることも、好ましい。
【0040】
次に、図8に示した本発明のさらに別の実施形態について、以下、説明する。
図8(B)は、図8(A)の点線枠Yにて包囲した部位を拡大して示す断面図である。
回転軸1の軸心L1 と同一軸心廻りに配設されるドーナツ状(大径円環状)の固定電磁コイル16Z、及び、ドーナツ状(大径円環板状)の可動鉄心19Zを、備えている。
【0041】
大径の上記電磁コイル16Z、及び、大径の可動鉄心19Zを包囲するクランプケーシング4を設ける。また、図外の電気モータ等のブラケット2にボルト28等にて固定鉄心29が固着されている。この固定鉄心29の円環状凹所29Aには、上記電磁コイル16Zが嵌着されている。
【0042】
上記クランプケーシング4が、電磁コイル16Z及び可動鉄心19Zを包囲する外周壁部31と、回転軸1等が挿入される中心孔部32を有する軸心直交壁部33とを備える。
そして、クランプケーシング4の外周壁部31は固定鉄心29に外嵌状として、ボルト34等にて固着されている。
また、クランプケーシング4の軸心直交壁部33には、周方向等分配角度をもって6個等の複数の孔部35が貫設されている。
【0043】
図8(B)に示すように、軸心直交壁部33の内面と、可動鉄心19Zとの間には、円環状収納空間10が形成されている。
上記直交壁部33の孔部35には、作動軸体18が(往復動可能に)挿通されている。さらに、作動軸体18の外端と、直交壁部33との間には、圧縮バネ17Zが付設される。
具体的には、この圧縮バネ17Zは皿バネを用いている。しかも、直交壁部33の外面には、浅い凹所43を形成して、この凹所43の底面に皿バネを当接させている。
【0044】
そして、可動鉄心19Zと直交壁部33の間に形成されている円環状収納空間10には、作動軸体18の往復動にて開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片21,22から成るトグル機構Tgが内蔵されている。
しかも、上記空間10には、回転軸1に外嵌された制動把持片5が設けられている。なお、制動把持片5は、(図3図5図7に示した実施形態と同様に)横断面円弧状であり、把持片受け輪23に保持されている。また、第1板片21は、クランプケーシング4の外周壁部31の内周面に圧接自在である。また、第2板片22は、制動把持片5に圧接自在である。
【0045】
なお、(図示省略するが)図8(B)に於て、把持片受け輪23の内周面、及び、制動把持片5の内面と、回転軸1との間隔をやや大き目に形成し、この間隔部位に、短円筒型の(環状)受け座を、配設し、この環状受け座を回転軸に予め固設するのが望ましい。即ち、制動時に、上記制動把持片5が、直接的に回転軸1に圧接せず、上記環状受け座に圧接させることで、軸1の損傷を防止できる。なお、環状受け座は、(焼きばめ等にて)交換自在に固設するのも望ましい。また、図8以外の実施形態にも、環状受け座を同様に適用できる。
【0046】
このような構成によって、図8(A)(B)に示した実施形態のクランプ装置では、1枚の上記可動鉄心19Zの作動に伴って、複数本の作動軸体18が往復動し、この往復動によって上記トグル機構Tg の2枚の第1・第2板片21,22が開脚・閉脚し、上記制動把持片5を、回転軸1の外周面1Aに、圧接分離自在に構成した。
【0047】
ところで、クランプ装置としては、常時、バネ17,17Zの力にて制動状態にクランプするタイプと、電磁コイル16,16Zから発生した力にて制動状態にクランプするタイプとが、周知である。
【0048】
従って、上述のいずれの実施形態のクランプ装置も、電磁コイル16,16Z又はバネ17,17Zのいずれかから発生の付勢力を、力伝達系を介して回転軸1に伝えて停止状態を保つ構成である。
上述のいずれの実施形態に於ても、力伝達系の一部に、トグル機構Tg を介設したことを、基本的構成としている。
【0049】
本発明は、以上詳述したように、電磁コイル16,16Z又はバネ17,17Zから発生した制動のための付勢力を、力伝達系を介して、回転軸1に伝達して該回転軸1を停止状態に保つクランプ装置に於て、上記力伝達系の一部に、倍力手段としてのトグル機構Tg を具備する構成であるので、電磁コイル16,16Zとバネ17,17Zの大きさ(容積)を減少することが可能となり、クランプ装置全体の容積のコンパクト化を図り得る。かつ、全体の重量も低減できる。従って、工作機械やロボット等のクランプ装置として、省スペース化に貢献可能である。
【0050】
また、本発明は、回転軸1の外周面1Aに接触可能として配設された横断面円弧状の複数の制動把持片5と;上記回転軸1の外周面1Aに対して所定ラジアル方向間隔寸法R4 の円環状収納空間10を形成するクランプケーシング4と;上記円環状収納空間10内に配設され、かつ、周方向等分配角度θをもって配設される複数のアクチュエータ15とを、具備し;上記アクチュエータ15は、電磁コイル16と、バネ17と、往復動自在な作動軸体18を、有し;上記作動軸体18の往復動によって開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片21,22から成るトグル機構Tg を備え、かつ、上記第1板片21は上記クランプケーシング4の内周面4Dに圧接自在であり、上記第2板片22は上記制動把持片5に圧接自在として、上記制動把持片5を、上記回転軸1の外周面1Aに圧接自在に構成したので、トグル機構Tg によって、アクチュエータ15の力を大きく倍増できる。従って、アクチュエータ15の容積を小さくでき、(コンパクト化を図ることができ)、しかも、倍力手段自身がコンパクトで済み、クランプ装置全体の容積がコンパクト化される。
【0051】
また、上記トグル機構Tg の第1板片21が上記クランプケーシング4の内周面4Dに圧接する圧接端縁21A、及び、上記作動軸体18に圧接する小凹状内縁部21Cの、各断面が半円凸型に形成され;上記第2板片22が上記制動把持片5の凹窪部5Aに圧接する圧接端縁22A、及び、上記作動軸体18に圧接する小凹状内縁部22Cの、各断面が半円凸型に形成されているので、第1板片21と第2板片22が相手部材に対して、揺動(開閉)作動を行うことができる。故に力伝達系の損失が少なくなり、高い力伝達効率をもって、電磁コイル16,16Z又はバネ17,17Zから発生した付勢力を、有効に、制動把持片5に伝達できて、強力なクランプ作用を行う。
【0052】
また、横断面円弧状の制動把持片5は、周方向に複数枚が順次配設され、隣り合う制動把持片5,5の間隙を増加させる方向に弾発力F6 を付与する弾性反撥部材6が介設されているので、複数の制動把持片5は、常に安定して把持片受け輪23の内周面に当接保持される。
【0053】
また、回転軸1の外周面1Aに接触可能な内面が断面円弧状の複数の制動把持片5を備え;軸心方向から見て正多角形に組立てられた複数の板バネ37から成る把持片保持体38の各辺の板バネ37の内面に上記制動把持片5を固着し;上記回転軸1の外周面1Aに対して所定ラジアル方向間隔寸法R4 の円環状収納空間10を形成するクランプケーシング4を備え;上記円環状収納空間10内に収納され、かつ、周方向に等分配角度をもって配設される複数のアクチュエータ15を、具備し、該アクチュエータ15の個数を、上記板バネ37の枚数に一致させて、各アクチュエータ15を各板バネ37に対応させ;上記アクチュエータ15は、電磁コイル16と、バネ17と、往復動自在な作動軸体18を、有し;上記作動軸体18の往復動によって開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片21,22から成るトグル機構Tg を構成し、かつ、上記第1板片21は上記クランプケーシング4の内周面4Dに圧接自在であり、上記第2板片22は上記把持片保持体38の板バネ37に圧接自在として、該板バネ37の内面に固着された上記制動把持片5を、上記回転軸1の外周面1Aに圧接分離自在に構成したので、制動把持片5は、回転軸1を確実にクランプ(保持)できる。
【0054】
また、制動把持片5の内面の横断面形状が、略円弧状であると共に、周方向中央領域に浅い逃げ部5Eが凹設されているので、図5(B)に示すように、接続面圧力P1 が、急峻山型となり、張力なクランプ力を発揮する。
【0055】
また、複数の上記制動把持片5の全てを、ラジアル外方から包囲する円筒状の把持片受け輪23を設け、該把持片受け輪23には複数の窓部23Aを貫設し、上記トグル機構Tg の第2板片22は、上記窓部23Aを介して上記制動把持片5に当接されるよう構成したので、第2板片22が周方向に動くことを確実に防止され、安定して強力なクランプを行い得る。
【0056】
また、上記制動把持片5の外周面には、凹窪部5Aを設け、上記窓部23Aを介してラジアル内方向に侵入した上記トグル機構Tg の上記第2板片22が、上記凹窪部5Aに嵌込状となるように構成したので、安定して制動把持片5が、受け輪23によって、保持される。
【0057】
また、上記第2板片22と上記制動把持片5の外周面5Bとの摺動摩擦係数を;上記制動把持片5の内周面5Cと回転軸1の外周面1Aとの摺動摩擦係数よりも;小さく設定し、非常緊急停止の際に、第2板片22に対して、制動把持片5と回転軸1が一体に短秒間回転するように構成したので、非常緊急停止の際に、回転軸1の外周面1Aに傷が付くことを防止できる。
【0058】
また、複数の上記第2板片22の各々を、把持片受け輪23の対応する各窓部23Aに差込んだ組立状態下で;上記第2板片22と上記窓部23Aとの間に周方向に微小ギャップεが形成され;しかも、複数の上記第2板片22の内の一群は、回転軸1の一方向M1 への回転の下流側に上記微小ギャップεが形成され;複数の上記第2板片22の内の他群は、回転軸1の他方向M2 への回転の下流側に上記微小ギャップεが形成されるように;2つの群に区別して、配設したので、回転軸1が、一方向M1 と他方向M2 のいずれに回転せんとしても、がたつくことなく確実にクランプ(保持)できる。
【0059】
また、回転軸1の軸心L1 と同一軸心のドーナツ状固定電磁コイル16Z及びドーナツ状可動鉄心19Zを備え;上記電磁固定コイル16Z及び可動鉄心19Zを包囲する、外周壁部31と、中心孔部32を有する軸心直交壁部33とを備えたクランプケーシング4を設け;上記クランプケーシング4の上記軸心直交壁部33には、周方向等分配角度をもって孔部35が貫設され、上記可動鉄心19Zに内端が連結されて上記孔部35に往復動自在に挿通された作動軸体18を設け、さらに、該作動軸体18の外端と上記直交壁部33との間に介装された圧縮バネ17Zを有し;さらに、上記可動鉄心19Zと上記直交壁部33の間に形成された円環状収納空間10には、上記作動軸体18の往復動によって開脚・閉脚する2枚の第1・第2板片21,22から成るトグル機構Tg が内蔵され、かつ、上記円環状収納空間10には、上記回転軸1に外嵌された制動把持片5が設けられ;上記第1板片21は上記クランプケーシング4の外周壁部31の内周面に圧接自在であり;上記第2板片22は上記制動把持片5に圧接自在であり;1枚の上記可動鉄心19Zの作動に伴って、複数本の作動軸体18が往復動し、この往復動によって上記トグル機構Tg の2枚の第1・第2板片21,22が開脚・閉脚し、上記制動把持片5を、回転軸1の外周面1Aに、圧接分離自在に構成したので、各トグル機構Tg 毎に、電磁コイル16と可動鉄心19が(図1図5のように)必要でなくなり、全体の構造が簡素化されて、コストダウンと組立作業が容易かつ迅速となる。
【符号の説明】
【0060】
1 回転軸
1A 外周面
4 クランプケーシング
4D 内周面
5 制動把持片
5A 凹窪部
5B 外周面
5C 内周面
5E 逃げ部
6 弾性反撥部材
10 円環状収納空間
15 アクチュエータ
16 電磁コイル
16Z 電磁コイル
17 バネ
17Z バネ
18 作動軸体
19 可動鉄心
19Z 可動鉄心
20 固定鉄心
21 第1板片
21A 圧接端縁
21C 小凹状内縁部
22 第2板片
22A 圧接端縁
22C 小凹状内縁部
23 把持片受け輪
23A 窓部
31 外周壁部
32 中心孔部
33 軸心直交壁部
35 孔部
37 板バネ
38 把持片保持体
6 弾発力
1 軸心
1 一方向
2 他方向
4 所定ラジアル方向間隔寸法
Tg トグル機構
ε 微小ギャップ
θ 周方向等分配角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9