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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080397
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】難分解性カテナンおよびその利用
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/333 20060101AFI20220523BHJP
   A61K 31/77 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220523BHJP
   C08B 37/16 20060101ALN20220523BHJP
【FI】
C08G65/333
A61K31/77
A61P43/00 111
A61P25/28
C08B37/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191435
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000252300
【氏名又は名称】富士フイルム和光純薬株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
(72)【発明者】
【氏名】東 大志
(72)【発明者】
【氏名】本山 敬一
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 理沙子
(72)【発明者】
【氏名】猪股 悟
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 絢子
【テーマコード(参考)】
4C086
4C090
4J005
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086FA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZC41
4C090AA02
4C090AA09
4C090BA11
4C090BB04
4C090CA46
4C090DA23
4J005AA04
4J005BD05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水などの液体に対して難分解性で、液体中で安定して存在できるシクロデキストリンまたはその誘導体を含む(ポリ)カテナンを提供する。
【解決手段】下式(2)で表される化合物が、特定構造のシクロデキストリンの開口部に串刺し状に貫通している構造のカテナンである。

式(2)中、Lは、下式(3)で示される基を表し、Lは、下式(4)で示される基を表す。


【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
(一般式(1)中、各R~Rはそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、アジド基または炭化水素基を表し、mは、1~3の整数を表す。)で表される化合物、および一般式(2):
{一般式(2)中、x、yおよびzは、2以上の整数を表し、各x、yおよびzは、それぞれ同一または異なっており、nは、1以上の整数を表し、Lは、一般式(3):
(一般式(3)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基または置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)で示される基を表し、Lは、一般式(4):
(一般式(4)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基または置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)で示される基を表し、Zは、一般式(5):
(一般式(5)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルケニレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルケニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよく、置換基を有していてもよいアリールアルキレン基、または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。)で示される基を表す。}で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(2)で表される化合物が、一般式(1)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン。
【請求項2】
前記炭化水素基が、官能基を有していてもよいアルコキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環オキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルケニルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルキニルカーボネート基、置換基を有していてもよいアリールカーボネート基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカーボネート基、置換基を有していてもよい1価の複素環カーボネート基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、官能基を有していてもよいハロゲノアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環アミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルバモイルアミノ基および官能基を有していてもよいトリアルキルシリルオキシ基から選ばれるいずれかの基である、請求項1に記載のカテナン。
【請求項3】
前記置換基が、アルキル基、アルコキシ基、イソシアネート基、ハロゲノ基およびニトロ基から選ばれる1つ以上の基である、請求項1または2に記載のカテナン。
【請求項4】
前記官能基が、エーテル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、アミノカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基およびトリアルキルアンモニウム基から選ばれる1つ以上の基である、請求項2に記載のカテナン。
【請求項5】
一般式(1)で表される化合物におけるmが2である、請求項1に記載のカテナン。
【請求項6】
一般式(2)で表される化合物におけるxが5~200の整数であり、yが5~100の整数であり、zが5~200の整数である、請求項1に記載のカテナン。
【請求項7】
一般式(2)で表される化合物におけるnが1~10の整数である、請求項1に記載のカテナン。
【請求項8】
一般式(1)で表される化合物を1~550個含み、一般式(2)で表される化合物におけるyの総和が5~1000の整数である、請求項1に記載のカテナン。
【請求項9】
一般式(1)で表される化合物を3~35個含む、請求項1に記載のカテナン。
【請求項10】
一般式(2)で表される化合物におけるyの総和が5~100の整数である、請求項1に記載のカテナン。
【請求項11】
一般式(1)で表される化合物における各Rがすべてヒドロキシ基である、請求項1に記載のカテナン。
【請求項12】
一般式(1)で表される化合物における各Rおよび各Rの少なくとも1つが、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である、請求項1に記載のカテナン。
【請求項13】
前記アミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基が、さらにエーテル基を有する、請求項12に記載のカテナン。
【請求項14】
シクロデキストリン類およびポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖を含み、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖が、該シクロデキストリン類の開口部に串刺し状に貫通しているカテナンであって、
該シクロデキストリン類が、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれるシクロデキストリン類であって、その数は、1~550個であり、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖の分子量は、ポリエチレングリコール部分が88~15000であり、ポリプロピレングリコール部分が116~6000であって、ポリエチレングリコール部分の分子量は同一または異なっており、かつ、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖の両端が、アミド結合により結合しているカテナン。
【請求項15】
前記シクロデキストリン類が、アミノ基を有するシクロデキストリンである、請求項14に記載のカテナン。
【請求項16】
前記アミノ基を有するシクロデキストリン中のアミノ基の数が、シクロデキストリン1分子に対して、1~7個である、請求項15に記載のカテナン。
【請求項17】
請求項12または15に記載のカテナンもしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含む、アミロイド線維生成抑制剤。
【請求項18】
請求項17に記載のアミロイド線維生成抑制剤を含有する、アミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロデキストリン(CyD)またはその誘導体を含むカテナンおよび該カテナンの利用方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
シクロデキストリン(CyD)等の環状分子に軸分子が串刺し状に貫通した構造を有する分子集合体として、(ポリ)ロタキサンや(ポリ)カテナンが知られている。(ポリ)ロタキサンやポリカテナンは、環状分子が軸分子に沿って滑車のように移動できるため、スライドリングマテリアルとして注目されており、種々の分野において幅広い応用が試みられている。
【0003】
(ポリ)ロタキサンは、包接した環状分子が直鎖状分子に串刺し状に貫通する構造を持つユニークな分子集合体であり、一般的には、環状分子と、この環状分子の開口部を串刺し状に貫通する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され、環状分子と直鎖状分子との分離を防止する封鎖基を有している。該環状分子は、直鎖状分子に対して、相対にスライド可能であることから、スライドリングマテリアルとして注目されており、様々な材料に種々の機能を付与することが期待され、種々の開発、応用が進められている。
【0004】
一方で、(ポリ)カテナンは、これまで、シクロデキストリン(CyD)を構成成分とするカテナンの合成が試みられてきたが、CyDカテナンの合成は困難であると言われており(非特許文献1)、CyDカテナンに関する報告例は極めて少ない。これは、環状分子に貫通した状態で、軸分子の両末端を結合(環化反応)させることが困難なためと考えられている(非特許文献2)。例えば、非特許文献3では、アントラセンをエンドキャップ分子としたα-CyDポリロタキサンに光を照射し、アントラセンの二量体化反応でポリロタキサンを環化させることにより、ポリカテナンの調製を試みている。しかしながら、この方法で得られるポリカテナンとポリロタキサンの物性が殆ど同様であるため、両者を分離し、ポリカテナンのみを単離することは困難である。従って、非特許文献3では、ポリカテナンの形成を推察したのみで、その単離や物性の測定には至っていない。
【0005】
なお、本発明者らは、細胞内等の還元条件下において、ジスルフィド結合が分解することにより、ポリカテナンからシクロデキストリン(CyD)が放出されることを期待した、シクロデキストリン(CyD)と軸分子とを含むカテナンであって、該軸分子は、該シクロデキストリン(CyD)の開口部に串刺し状に貫通し、かつ、軸分子の両端がジスルフィド結合により結合しているカテナンを報告している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2018/164225号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Nepogodiev SA, Stoddart JF., Cyclodextrin-Based Catenanes and Rotaxanes. Chem. Rev., 98(5), 1959-1976 (1998).
【非特許文献2】Niu Z and Gibson HW., Polycatenanes., Chem. Rev., 109(11), 6024-6046 (2009).
【非特許文献3】M. Okada and A. Harada, Poly(polyrotaxane):Photoreactions of 9-Anthracene-Capped Polyrotaxane, Macromolecules, 36(26), 9701-9703 (2003).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方で、カテナンの用途によっては、軸分子が強固に結合し、水などの液体に安定して存在するカテナンが必要とされるものもあり、軸分子がジスルフィド結合により結合している特許文献1に記載のカテナンでは、液体中での安定性が十分でないという場合があった。
【0009】
本発明は、上述した状況に鑑みなされたものであり、水などの液体に対して難分解性であり、液体中で安定して存在できるという特徴を備え、種々の用途に適用できるシクロデキストリンまたはその誘導体を含む(ポリ)カテナンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の構成よりなる。
[1]一般式(1):
(一般式(1)中、各R~Rはそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、アジド基または炭化水素基を表し、mは、1~3の整数を表す。)で表される化合物、および一般式(2):
{一般式(2)中、x、yおよびzは、2以上の整数を表し、各x、yおよびzは、それぞれ同一または異なっており、nは、1以上の整数を表し、Lは、一般式(3):
(一般式(3)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基または置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)で示される基を表し、Lは、一般式(4):
(一般式(4)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基または置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)で示される基を表し、Zは、一般式(5):
(一般式(5)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルケニレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルケニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよく、置換基を有していてもよいアリールアルキレン基、または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。)で示される基を表す。}で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(2)で表される化合物が、一般式(1)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン(以下、本発明のカテナンと称する場合がある。)。
【0011】
[2]前記炭化水素基が、官能基を有していてもよいアルコキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環オキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルケニルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルキニルカーボネート基、置換基を有していてもよいアリールカーボネート基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカーボネート基、置換基を有していてもよい1価の複素環カーボネート基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、官能基を有していてもよいハロゲノアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環アミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルバモイルアミノ基および官能基を有していてもよいトリアルキルシリルオキシ基から選ばれるいずれかの基である、前記[1]に記載のカテナン。
【0012】
[3]前記置換基が、アルキル基、アルコキシ基、イソシアネート基、ハロゲノ基およびニトロ基から選ばれる1つ以上の基である、前記[1]または[2]に記載のカテナン。
【0013】
[4]前記官能基が、エーテル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、アミノカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基およびトリアルキルアンモニウム基から選ばれる1つ以上の基である、前記[2]に記載のカテナン。
【0014】
[5]一般式(1)で表される化合物におけるmが2である、前記[1]~[4]のいずれか1つに記載のカテナン。
【0015】
[6]一般式(2)で表される化合物におけるxが5~200の整数であり、yが5~100の整数であり、zが5~200の整数である、前記[1]~[5]のいずれか1つに記載のカテナン。
【0016】
[7]一般式(2)で表される化合物におけるnが1~10の整数である、前記[1]~[6]のいずれか1つに記載のカテナン。
【0017】
[8]一般式(1)で表される化合物を1~550個を含み、一般式(2)で表される化合物におけるyの総和が5~1000の整数である、前記[1]~[7]のいずれか1つに記載のカテナン。
【0018】
[9]一般式(1)で表される化合物を3~35個含む、前記[1]~[8]のいずれか1つに記載のカテナン。
【0019】
[10]一般式(2)で表される化合物におけるyの総和が5~100の整数である、前記[1]~[9]のいずれか1つに記載のカテナン。
【0020】
[11]一般式(1)で表される化合物における各Rがすべてヒドロキシ基である、前記[1]~[10]のいずれか1つに記載のカテナン。
【0021】
[12]一般式(1)で表される化合物における各Rおよび各Rの少なくとも1つが、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である、前記[1]~[11]のいずれか1つに記載のカテナン。
【0022】
[13]前記アミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基が、さらにエーテル基を有する、前記[12]に記載のカテナン。
【0023】
[14]シクロデキストリン類およびポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖を含み、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖が、該シクロデキストリン類の開口部に串刺し状に貫通しているカテナンであって、
該シクロデキストリン類が、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれるシクロデキストリン類であって、その数は、1~550個であり、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖の分子量は、ポリエチレングリコール部分が88~15000であり、ポリプロピレングリコール部分が116~6000であって、ポリエチレングリコール部分の分子量は同一または異なっており、かつ、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖の両端が、アミド結合により結合しているカテナン。
【0024】
[15]前記シクロデキストリン類が、アミノ基を有するシクロデキストリンである、前記[14]に記載のカテナン。
【0025】
[16]前記アミノ基を有するシクロデキストリン中のアミノ基の数が、シクロデキストリン1分子に対して、1~7個である、前記[15]に記載のカテナン。
【0026】
[17]前記[12]または前記[15]に記載のカテナンもしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含む、アミロイド線維生成抑制剤(以下、本発明のアミロイド線維生成抑制剤と称する場合がある。)。
【0027】
[18]前記[17]に記載のアミロイド線維生成抑制剤を含有する、アミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬(以下、本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬と称する場合がある。)。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、水などの液体に対して難分解性の(ポリ)カテナンを提供することができる。特に、シクロデキストリン(CyD)のヒドロキシ基に種々の官能基を修飾したシクロデキストリン(CyD)誘導体を有する(ポリ)カテナンは、機能性材料、薬物輸送担体、環動高分子材料等として有用であり、また、液体に対して安定して存在できることから、様々な応用が期待できる化合物である。
【0029】
また、アミノ基を有するシクロデキストリン(アミノ基で修飾したシクロデキストリン(CyD)誘導体)を有する(ポリ)カテナンは、アミロイド線維生成抑制効果を奏し、アミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬になり得る化合物である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】(A)擬ロタキサン(A)、(B)ポリ擬ロタキサン、(C)ロタキサン、(D)ポリロタキサン、(E)カテナンおよび(F)ポリカテナンの概念図である。
図2】カップリング剤として、カルボニルジイミダゾール(CDI)を用いた場合における一般式(2Z)の合成スキームを示す図である。
図3】実施例1で得られたβ-シクロデキストリン(β-CyD)ポリカテナンの1H-NMRスペクトルを示す図である。
図4】β-CyDポリカテナンのGPCチャートを示す図である。
図5】水溶液中におけるポリカテナンからの経過時間毎のβ-CyDの放出率を示す図である。
図6】実施例2で得られたスクシニル化β-CyDポリカテナンの1H-NMRスペクトルを示す図である。
図7】実施例3で得られたアミノ化β-CyDポリカテナンの1H-NMRスペクトルを示す図である。
図8】実施例4で得られたアミノ化β-CyDポリカテナンの1H-NMRスペクトルを示す図である。
図9】本発明のアミノ化β-CyDポリカテナンまたは比較用のアミノ化ポリロタキサン共存下でのアミロイド線維の溶解(破壊)効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書等において、「および/または」は、いずれか一方、あるいは、両方を包含する意味で使用される。数値範囲を表す「~」は、その上限および下限の値を含む範囲を意味する。「・・・(置換基、官能基、酸素原子等)を有していてもよい」とは、「・・・(置換基、官能基、酸素原子等)を有するまたは・・・(置換基、官能基、酸素原子等)を有さない」ことを意味する。本明細書中の発明の詳細な説明の項で引用されるすべての刊行物および特許は、例えば、本発明で使用できる方法や材料等を示すものとして、本明細書の一部を構成する。
【0032】
-本発明のカテナン-
本発明のカテナンは、一般式(1):
(一般式(1)中、各R~Rはそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、アジド基または炭化水素基を表し、mは、1~3の整数を表す。)で表される化合物、および一般式(2):
{一般式(2)中、x、yおよびzは、2以上の整数を表し、各x、yおよびzは、それぞれ同一または異なっており、nは、1以上の整数を表し、Lは、一般式(3):
(一般式(3)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基または置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)で示される基を表し、Lは、一般式(4):
(一般式(4)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基または置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)で示される基を表し、Zは、一般式(5):
(一般式(5)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルケニレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルケニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよく、置換基を有していてもよいアリールアルキレン基、または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。)で示される基を表す。}で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(2)で表される化合物が、一般式(1)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナンである。
【0033】
本明細書において、カテナン(catenane)とは、複数の環が、共有結合を介さずにインターロックされた分子集合体のことを意味し、カテナンを構成する環状分子の数が3以上のものをポリカテナン(polycatenane)と称する。放射状カテナン(radial catenane)とは、複数の小環状分子と、各小環状分子の開口部を串刺し状に貫通する分子であってそれ自身も環状構造をとる大環状分子とを含むカテナンを指し、放射状ポリカテナン(radial polycatenane)とは、1つの大環状分子と2以上の小環状分子とを含むカテナンを意味する。
【0034】
一般式(1)において、R~Rで表される炭化水素基としては、例えば、官能基を有していてもよいアルコキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環オキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルケニルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルキニルカーボネート基、置換基を有していてもよいアリールカーボネート基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカーボネート基、置換基を有していてもよい1価の複素環カーボネート基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、官能基を有していてもよいハロゲノアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環アミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルバモイルアミノ基および官能基を有していてもよいトリアルキルシリルオキシ基等が挙げられ、なかでも、官能基を有していてもよいアルコキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルケニルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルアミノ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルアミノ基が好ましい。
【0035】
官能基を有していてもよいアルコキシ基におけるアルコキシ基(-O-アルキル基)としては、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~14、より好ましくは炭素数1~10のアルコキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2-メチルブトキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基、1-エチルプロポキシ基、シクロペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec-ヘキシルオキシ基、tert-ヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、1,2-ジメチルブトキシ基、2,3-ジメチルブトキシ基、1-エチルブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、シクロノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、シクロデシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-へプタデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-ノナデシルオキシ基、n-イコシルオキシ基、ノルボニルオキシ基(ノルボルナン-χ-イルオキシ基)、ノルボニルメトキシ基(ノルボルナン-χ-イルメトキシ基)、ボルニルオキシ基(ボルナン-χ-イルオキシ基)、ボルニルメトキシ基(ボルナン-χ-イルメトキシ基)、メンチルオキシ基(メンタ-χ-イルオキシ基)、メンチルメトキシ基(メンタ-χ-イルメトキシ基)、アダマンチルオキシ基、アダマンチルメトキシ基、デカヒドロナフチルオキシ基、デカヒドロナフチルメトキシ基等が挙げられる。
【0036】
官能基を有していてもよいアルケニルオキシ基におけるアルケニルオキシ基(-O-アルケニル基)としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~14、より好ましくは炭素数2~10のアルケニルオキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルケニルオキシ基中の二重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、二重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルケニルオキシ基の具体例としては、例えば、ビニルオキシ基、1-プロぺニルオキシ基、2-プロぺニルオキシ基(アリルオキシ基)、イソプロぺニルオキシ基、n-ブテニルオキシ基、イソブテニルオキシ基、sec-ブテニルオキシ基、シクロブテニルオキシ基、n-ペンテニルオキシ基、イソペンテニルオキシ基、sec-ペンテニルオキシ基、tert-ペンテニルオキシ基、2-メチルブテニルオキシ基、1,2-ジメチルプロぺニルオキシ基、1-エチルプロぺニルオキシ基、シクロペンテニルオキシ基、n-ヘキセニルオキシ基、イソヘキセニルオキシ基、sec-ヘキセニルオキシ基、tert-ヘキセニルオキシ基、ネオヘキセニルオキシ基、2-メチルペンテニルオキシ基、1,2-ジメチルブテニルオキシ基、2,3-ジメチルブテニルオキシ基、1-エチルブテニルオキシ基、シクロヘキセニルオキシ基、n-ヘプテニルオキシ基、シクロヘプテニルオキシ基、n-オクテニルオキシ基、シクロオクテニルオキシ基、n-ノネニルオキシ基、シクロノネニルオキシ基、n-デセニルオキシ基、シクロデセニルオキシ基、n-ウンデセニルオキシ基、n-ドデセニルオキシ基、n-トリデセニルオキシ基、n-テトラデセニルオキシ基、n-ペンタデセニルオキシ基、n-ヘキサデセニルオキシ基、n-へプタデセニルオキシ基、n-オクタデセニルオキシ基、n-ノナデセニルオキシ基、n-イコセニルオキシ基等が挙げられる。
【0037】
官能基を有していてもよいアルキニルオキシ基におけるアルキニルオキシ基(-O-アルキニル基)としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~14、より好ましくは炭素数2~10のアルキニルオキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルキニルオキシ基中の三重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、三重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルキニルオキシ基の具体例としては、例えば、エチニルオキシ基、2-プロピニルオキシ基(プロパルギルオキシ基)、n-ブチニルオキシ基、n-ペンチニルオキシ基、イソペンチニルオキシ基、tert-ペンチニルオキシ基、2-メチルブチニルオキシ基、n-ヘキシニルオキシ基、イソヘキシニルオキシ基、sec-ヘキシニルオキシ基、tert-ヘキシニルオキシ基、ネオヘキシニルオキシ基、2-メチルペンチニルオキシ基、1,2-ジメチルブチニルオキシ基、1-エチルブチニルオキシ基、シクロヘキシニルオキシ基、n-へプチニルオキシ基、シクロへプチニルオキシ基、n-オクチニルオキシ基、シクロオクチニルオキシ基、n-ノニニルオキシ基、シクロノニニルオキシ基、n-デシニルオキシ基、シクロデシニルオキシ基、n-ウンデシニルオキシ基、n-ドデシニルオキシ基、n-トリデシニルオキシ基、n-テトラデシニルオキシ基、n-ペンタデシニルオキシ基、n-ヘキサデシニルオキシ基、n-へプタデシニルオキシ基、n-オクタデシニルオキシ基、n-ノナデシニルオキシ基、n-イコシニルオキシ基等が挙げられる。
【0038】
置換基を有していてもよいアリールオキシ基におけるアリールオキシ基(-O-アリール基)としては、炭素数6~14、好ましくは炭素数6~10、より好ましくは炭素数6のアリールオキシ基が挙げられる。このようなアリールオキシ基の具体例としては、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基等が挙げられる。
【0039】
置換基を有していてもよいアリールアルキルオキシ基におけるアリールアルキルオキシ基(-O-アルキル-アリール基)としては、炭素数7~20、好ましくは炭素数7~12、より好ましくは炭素数7のアリールアルキルオキシ基が挙げられ、該アリールアルキルオキシ基中のアルキル基は、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアリールアルキルオキシ基の具体例としては、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基(フェニルエトキシ基)、メチルベンジルオキシ基、フェニルプロポキシ基、1-メチルフェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、2-メチルフェニルプロポキシ基、テトラヒドロナフチルオキシ基、ナフチルメトキシ基、ナフチルエトキシ基、インデニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、アントラセニルメトキシ基(アントリルメトキシ基)、フェナントレニルメトキシ基(フェナントリルメトキシ基)等が挙げられる。
【0040】
置換基を有していてもよい1価の複素環オキシ基における複素環オキシ基(-O-複素環基)としては、炭素数1~14、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6の複素環オキシ基が挙げられる。このような複素環オキシ基の具体例としては、例えば、フラニルオキシ基、テトラヒドロフラニルオキシ基、ピラニルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、ピロリルオキシ基、ピロリジニルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、イミダゾリジニルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、ピラゾリジニルオキシ基、トリアゾリルオキシ基、トリアゾリジニルオキシ基、テトラゾリルオキシ基、テトラゾリジニルオキシ基、ピペリジニルオキシ基、ピリジルオキシ基、ピラジニルオキシ基、ピペラジニルオキシ基、ピリミジニルオキシ基、トリアジニルオキシ基、チエニルオキシ基、テトラヒドロチエニルオキシ基、インドリルオキシ基、カルバゾリルオキシ基、アクリジニルオキシ基、キサンテニルオキシ基、チオキサンテニルオキシ基、モルホリノオキシ基、オキサゾリルオキシ基、オキサゾリジニルオキシ基、イソオキサゾリルオキシ基、イソオキサゾリジニルオキシ基、チアゾリルオキシ基等の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子等のヘテロ原子を有する複素環オキシ基が挙げられる。
【0041】
官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基におけるアルキルカルボニルオキシ基(-OCO-アルキル基)としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~16、より好ましくは炭素数2~12のアルキルカルボニルオキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルキルカルボニルオキシ基の具体例としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、sec-ブチルカルボニルオキシ基、tert-ブチルカルボニルオキシ基、シクロブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、イソペンチルカルボニルオキシ基、sec-ペンチルカルボニルオキシ基、tert-ペンチルカルボニルオキシ基、ネオペンチルカルボニルオキシ基、2-メチルブチルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチルプロピルカルボニルオキシ基、1-エチルプロピルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、n-ヘキシルカルボニルオキシ基、イソヘキシルカルボニルオキシ基、sec-ヘキシルカルボニルオキシ基、tert-ヘキシルカルボニルオキシ基、ネオヘキシルカルボニルオキシ基、2-メチルペンチルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチルブチルカルボニルオキシ基、2,3-ジメチルブチルカルボニルオキシ基、1-エチルブチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、n-ヘプチルカルボニルオキシ基、シクロヘプチルカルボニルオキシ基、n-オクチルカルボニルオキシ基、シクロオクチルカルボニルオキシ基、n-ノニルカルボニルオキシ基、シクロノニルカルボニルオキシ基、n-デシルカルボニルオキシ基、シクロデシルカルボニルオキシ基、n-ウンデシルカルボニルオキシ基、n-ドデシルカルボニルオキシ基、n-トリデシルカルボニルオキシ基、n-テトラデシルカルボニルオキシ基、n-ペンタデシルカルボニルオキシ基、n-ヘキサデシルカルボニルオキシ基、n-へプタデシルカルボニルオキシ基、n-オクタデシルカルボニルオキシ基、n-ノナデシルカルボニルオキシ基、n-イコシルカルボニルオキシ基、ノルボニルカルボニルオキシ基(ノルボルナン-χ-イルカルボニルオキシ基)、ノルボニルメチルカルボニルオキシ基(ノルボルナン-χ-イルメチルカルボニルオキシ基)、ボルニルカルボニルオキシ基(ボルナン-χ-イルカルボニルオキシ基)、ボルニルメチルカルボニルオキシ基(ボルナン-χ-イルメチルカルボニルオキシ基)、メンチルカルボニルオキシ基(メンタ-χ-イルカルボニルオキシ基)、メンチルメチルカルボニルオキシ基(メンタ-χ-イルメチルカルボニルオキシ基)、アダマンチルカルボニルオキシ基、アダマンチルメチルカルボニルオキシ基、デカヒドロナフチルカルボニルオキシ基、デカヒドロナフチルメチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0042】
官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基におけるアルケニルカルボニルオキシ基(-OCO-アルケニル基)としては、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12のアルケニルカルボニルオキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルケニルカルボニルオキシ基中の二重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、二重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルケニルカルボニルオキシ基の具体例としては、例えば、ビニルカルボニルオキシ基、1-プロぺニルカルボニルオキシ基、2-プロぺニルカルボニルオキシ基(アリルカルボニルオキシ基)、イソプロぺニルカルボニルオキシ基、n-ブテニルカルボニルオキシ基、イソブテニルカルボニルオキシ基、sec-ブテニルカルボニルオキシ基、シクロブテニルカルボニルオキシ基、n-ペンテニルカルボニルオキシ基、イソペンテニルカルボニルオキシ基、sec-ペンテニルカルボニルオキシ基、tert-ペンテニルカルボニルオキシ基、2-メチルブテニルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチルプロぺニルカルボニルオキシ基、1-エチルプロぺニルカルボニルオキシ基、シクロペンテニルカルボニルオキシ基、n-ヘキセニルカルボニルオキシ基、イソヘキセニルカルボニルオキシ基、sec-ヘキセニルカルボニルオキシ基、tert-ヘキセニルカルボニルオキシ基、ネオヘキセニルカルボニルオキシ基、2-メチルペンテニルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチルブテニルカルボニルオキシ基、2,3-ジメチルブテニルカルボニルオキシ基、1-エチルブテニルカルボニルオキシ基、シクロヘキセニルカルボニルオキシ基、n-ヘプテニルカルボニルオキシ基、シクロヘプテニルカルボニルオキシ基、n-オクテニルカルボニルオキシ基、シクロオクテニルカルボニルオキシ基、n-ノネニルカルボニルオキシ基、シクロノネニルカルボニルオキシ基、n-デセニルカルボニルオキシ基、シクロデセニルカルボニルオキシ基、n-ウンデセニルカルボニルオキシ基、n-ドデセニルカルボニルオキシ基、n-トリデセニルカルボニルオキシ基、n-テトラデセニルカルボニルオキシ基、n-ペンタデセニルカルボニルオキシ基、n-ヘキサデセニルカルボニルオキシ基、n-へプタデセニルカルボニルオキシ基、n-オクタデセニルカルボニルオキシ基、n-ノナデセニルカルボニルオキシ基、n-イコセニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0043】
官能基を有していてもよいアルキニルカルボニルオキシ基におけるアルキニルカルボニルオキシ基(-OCO-アルキニル基)としては、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12のアルキニルカルボニルオキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルキニルカルボニルオキシ基中の三重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、三重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルキニルカルボニルオキシ基の具体例としては、例えば、エチニルカルボニルオキシ基、2-プロピニルカルボニルオキシ基(プロパルギルカルボニルオキシ基)、n-ブチニルカルボニルオキシ基、n-ペンチニルカルボニルオキシ基、イソペンチニルカルボニルオキシ基、tert-ペンチニルカルボニルオキシ基、2-メチルブチニルカルボニルオキシ基、n-ヘキシニルカルボニルオキシ基、イソヘキシニルカルボニルオキシ基、sec-ヘキシニルカルボニルオキシ基、tert-ヘキシニルカルボニルオキシ基、ネオヘキシニルカルボニルオキシ基、2-メチルペンチニルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチルブチニルカルボニルオキシ基、1-エチルブチニルカルボニルオキシ基、シクロヘキシニルカルボニルオキシ基、n-へプチニルカルボニルオキシ基、シクロへプチニルカルボニルオキシ基、n-オクチニルカルボニルオキシ基、シクロオクチニルカルボニルオキシ基、n-ノニニルカルボニルオキシ基、シクロノニニルカルボニルオキシ基、n-デシニルカルボニルオキシ基、シクロデシニルカルボニルオキシ基、n-ウンデシニルカルボニルオキシ基、n-ドデシニルカルボニルオキシ基、n-トリデシニルカルボニルオキシ基、n-テトラデシニルカルボニルオキシ基、n-ペンタデシニルカルボニルオキシ基、n-ヘキサデシニルカルボニルオキシ基、n-へプタデシニルカルボニルオキシ基、n-オクタデシニルカルボニルオキシ基、n-ノナデシニルカルボニルオキシ基、n-イコシニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0044】
置換基を有していてもよいアリールカルボニルオキシ基におけるアリールカルボニルオキシ基(-OCO-アリール基)としては、炭素数7~15、好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7のアリールカルボニルオキシ基が挙げられる。このようなアリールカルボニルオキシ基の具体例としては、例えば、フェニルカルボニルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基、アントラセニルカルボニルオキシ基、フェナントレニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0045】
置換基を有していてもよいアリールアルキルカルボニルオキシ基におけるアリールアルキルカルボニルオキシ基(-OCO-アルキル-アリール基)としては、炭素数8~20、好ましくは炭素数8~14、より好ましくは炭素数8のアリールアルキルカルボニルオキシ基が挙げられ、該アリールアルキルカルボニルオキシ基中のアルキル基は、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアリールアルキルカルボニルオキシ基の具体例としては、例えば、ベンジルカルボニルオキシ基、フェネチルカルボニルオキシ基(フェニルエチルカルボニルオキシ基)、メチルベンジルカルボニルオキシ基、フェニルプロピルカルボニルオキシ基、1-メチルフェニルエチルカルボニルオキシ基、フェニルブチルカルボニルオキシ基、2-メチルフェニルプロピルカルボニルオキシ基、テトラヒドロナフチルカルボニルオキシ基、ナフチルメチルカルボニルオキシ基、ナフチルエチルカルボニルオキシ基、インデニルカルボニルオキシ基、フルオレニルカルボニルオキシ基、アントラセニルメチルカルボニルオキシ基(アントリルメチルカルボニルオキシ基)、フェナントレニルメチルカルボニルオキシ基(フェナントリルメチルカルボニルオキシ基)等が挙げられる。
【0046】
置換基を有していてもよい1価の複素環カルボニルオキシ基における複素環カルボニルオキシ基(-OCO-複素環基)としては、炭素数2~14、好ましくは炭素数2~12、より好ましくは炭素数2~8の複素環カルボニルオキシ基が挙げられる。このような複素環カルボニルオキシ基の具体例としては、例えば、フラニルカルボニルオキシ基、テトラヒドロフラニルカルボニルオキシ基、ピラニルカルボニルオキシ基、テトラヒドロピラニルカルボニルオキシ基、ピロリルカルボニルオキシ基、ピロリジニルカルボニルオキシ基、イミダゾリルカルボニルオキシ基、イミダゾリジニルカルボニルオキシ基、ピラゾリルカルボニルオキシ基、ピラゾリジニルカルボニルオキシ基、トリアゾリルカルボニルオキシ基、トリアゾリジニルカルボニルオキシ基、テトラゾリルカルボニルオキシ基、テトラゾリジニルカルボニルオキシ基、ピペリジニルカルボニルオキシ基、ピリジルカルボニルオキシ基、ピラジニルカルボニルオキシ基、ピペラジニルカルボニルオキシ基、ピリミジニルカルボニルオキシ基、トリアジニルカルボニルオキシ基、チエニルカルボニルオキシ基、テトラヒドロチエニルカルボニルオキシ基、インドリルカルボニルオキシ基、カルバゾリルカルボニルオキシ基、アクリジニルカルボニルオキシ基、キサンテニルカルボニルオキシ基、チオキサンテニルカルボニルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、オキサゾリルカルボニルオキシ基、オキサゾリジニルカルボニルオキシ基、イソオキサゾリルカルボニルオキシ基、イソオキサゾリジニルカルボニルオキシ基、チアゾリルカルボニルオキシ基等の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子等のヘテロ原子を有する複素環カルボニルオキシ基が挙げられる。
【0047】
官能基を有していてもよいアルキルカーボネート基におけるアルキルカーボネート基(-OCOO-アルキル基)としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~16、より好ましくは炭素数2~12のアルキルカーボネート基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルキルカーボネート基の具体例としては、例えば、メチルカーボネート基、エチルカーボネート基、n-プロピルカーボネート基、イソプロピルカーボネート基、n-ブチルカーボネート基、イソブチルカーボネート基、sec-ブチルカーボネート基、tert-ブチルカーボネート基、シクロブチルカーボネート基、n-ペンチルカーボネート基、イソペンチルカーボネート基、sec-ペンチルカーボネート基、tert-ペンチルカーボネート基、ネオペンチルカーボネート基、2-メチルブチルカーボネート基、1,2-ジメチルプロピルカーボネート基、1-エチルプロピルカーボネート基、シクロペンチルカーボネート基、n-ヘキシルカーボネート基、イソヘキシルカーボネート基、sec-ヘキシルカーボネート基、tert-ヘキシルカーボネート基、ネオヘキシルカーボネート基、2-メチルペンチルカーボネート基、1,2-ジメチルブチルカーボネート基、2,3-ジメチルブチルカーボネート基、1-エチルブチルカーボネート基、シクロヘキシルカーボネート基、n-ヘプチルカーボネート基、シクロヘプチルカーボネート基、n-オクチルカーボネート基、シクロオクチルカーボネート基、n-ノニルカーボネート基、シクロノニルカーボネート基、n-デシルカーボネート基、シクロデシルカーボネート基、n-ウンデシルカーボネート基、n-ドデシルカーボネート基、n-トリデシルカーボネート基、n-テトラデシルカーボネート基、n-ペンタデシルカーボネート基、n-ヘキサデシルカーボネート基、n-へプタデシルカーボネート基、n-オクタデシルカーボネート基、n-ノナデシルカーボネート基、n-イコシルカーボネート基、ノルボニルカーボネート基(ノルボルナン-χ-イルカーボネート基)、ノルボニルメチルカーボネート基(ノルボルナン-χ-イルメチルカーボネート基)、ボルニルカーボネート基(ボルナン-χ-イルカーボネート基)、ボルニルメチルカーボネート基(ボルナン-χ-イルメチルカーボネート基)、メンチルカーボネート基(メンタ-χ-イルカーボネート基)、メンチルメチルカーボネート基(メンタ-χ-イルメチルカーボネート基)、アダマンチルカーボネート基、アダマンチルメチルカーボネート基、デカヒドロナフチルカーボネート基、デカヒドロナフチルメチルカーボネート基等が挙げられる。
【0048】
官能基を有していてもよいアルケニルカーボネート基におけるアルケニルカーボネート基(-OCOO-アルケニル基)としては、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12のアルケニルカーボネート基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルケニルカーボネート基中の二重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、二重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルケニルカーボネート基の具体例としては、例えば、ビニルカーボネート基、1-プロぺニルカーボネート基、2-プロぺニルカーボネート基(アリルカーボネート基)、イソプロぺニルカーボネート基、n-ブテニルカーボネート基、イソブテニルカーボネート基、sec-ブテニルカーボネート基、シクロブテニルカーボネート基、n-ペンテニルカーボネート基、イソペンテニルカーボネート基、sec-ペンテニルカーボネート基、tert-ペンテニルカーボネート基、2-メチルブテニルカーボネート基、1,2-ジメチルプロぺニルカーボネート基、1-エチルプロぺニルカーボネート基、シクロペンテニルカーボネート基、n-ヘキセニルカーボネート基、イソヘキセニルカーボネート基、sec-ヘキセニルカーボネート基、tert-ヘキセニルカーボネート基、ネオヘキセニルカーボネート基、2-メチルペンテニルカーボネート基、1,2-ジメチルブテニルカーボネート基、2,3-ジメチルブテニルカーボネート基、1-エチルブテニルカーボネート基、シクロヘキセニルカーボネート基、n-ヘプテニルカーボネート基、シクロヘプテニルカーボネート基、n-オクテニルカーボネート基、シクロオクテニルカーボネート基、n-ノネニルカーボネート基、シクロノネニルカーボネート基、n-デセニルカーボネート基、シクロデセニルカーボネート基、n-ウンデセニルカーボネート基、n-ドデセニルカーボネート基、n-トリデセニルカーボネート基、n-テトラデセニルカーボネート基、n-ペンタデセニルカーボネート基、n-ヘキサデセニルカーボネート基、n-へプタデセニルカーボネート基、n-オクタデセニルカーボネート基、n-ノナデセニルカーボネート基、n-イコセニルカーボネート基等が挙げられる。
【0049】
官能基を有していてもよいアルキニルカーボネート基におけるアルキニルカーボネート基(-OCOO-アルキニル基)としては、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12のアルキニルカーボネート基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルキニルカーボネート基中の三重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、三重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルキニルカーボネート基の具体例としては、例えば、エチニルカーボネート基、2-プロピニルカーボネート基(プロパルギルカーボネート基)、n-ブチニルカーボネート基、n-ペンチニルカーボネート基、イソペンチニルカーボネート基、tert-ペンチニルカーボネート基、2-メチルブチニルカーボネート基、n-ヘキシニルカーボネート基、イソヘキシニルカーボネート基、sec-ヘキシニルカーボネート基、tert-ヘキシニルカーボネート基、ネオヘキシニルカーボネート基、2-メチルペンチニルカーボネート基、1,2-ジメチルブチニルカーボネート基、1-エチルブチニルカーボネート基、シクロヘキシニルカーボネート基、n-へプチニルカーボネート基、シクロへプチニルカーボネート基、n-オクチニルカーボネート基、シクロオクチニルカーボネート基、n-ノニニルカーボネート基、シクロノニニルカーボネート基、n-デシニルカーボネート基、シクロデシニルカーボネート基、n-ウンデシニルカーボネート基、n-ドデシニルカーボネート基、n-トリデシニルカーボネート基、n-テトラデシニルカーボネート基、n-ペンタデシニルカーボネート基、n-ヘキサデシニルカーボネート基、n-へプタデシニルカーボネート基、n-オクタデシニルカーボネート基、n-ノナデシニルカーボネート基、n-イコシニルカーボネート基等が挙げられる。
【0050】
置換基を有していてもよいアリールカーボネート基におけるアリールカーボネート基(-OCOO-アリール基)としては、炭素数7~15、好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7のアリールカーボネート基が挙げられる。このようなアリールカーボネート基の具体例としては、例えば、フェニルカーボネート基、ナフチルカーボネート基、アントラセニルカーボネート基、フェナントレニルカーボネート基等が挙げられる。
【0051】
置換基を有していてもよいアリールアルキルカーボネート基におけるアリールアルキルカーボネート基(-OCOO-アルキル-アリール基)としては、炭素数8~20、好ましくは炭素数8~14、より好ましくは炭素数8のアリールアルキルカーボネート基が挙げられ、該アリールアルキルカーボネート基中のアルキル基は、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアリールアルキルカーボネート基の具体例としては、例えば、ベンジルカーボネート基、フェネチルカーボネート基(フェニルエチルカーボネート基)、メチルベンジルカーボネート基、フェニルプロピルカーボネート基、1-メチルフェニルエチルカーボネート基、フェニルブチルカーボネート基、2-メチルフェニルプロピルカーボネート基、テトラヒドロナフチルカーボネート基、ナフチルメチルカーボネート基、ナフチルエチルカーボネート基、インデニルカーボネート基、フルオレニルカーボネート基、アントラセニルメチルカーボネート基(アントリルメチルカーボネート基)、フェナントレニルメチルカーボネート基(フェナントリルメチルカーボネート基)等が挙げられる。
【0052】
置換基を有していてもよい1価の複素環カーボネート基における複素環カーボネート基(-OCOO-複素環基)としては、炭素数2~14、好ましくは炭素数2~12、より好ましくは炭素数2~8の複素環カーボネート基が挙げられる。このような複素環カーボネート基の具体例としては、例えば、フラニルカーボネート基、テトラヒドロフラニルカーボネート基、ピラニルカーボネート基、テトラヒドロピラニルカーボネート基、ピロリルカーボネート基、ピロリジニルカーボネート基、イミダゾリルカーボネート基、イミダゾリジニルカーボネート基、ピラゾリルカーボネート基、ピラゾリジニルカーボネート基、トリアゾリルカーボネート基、トリアゾリジニルカーボネート基、テトラゾリルカーボネート基、テトラゾリジニルカーボネート基、ピペリジニルカーボネート基、ピリジルカーボネート基、ピラジニルカーボネート基、ピペラジニルカーボネート基、ピリミジニルカーボネート基、トリアジニルカーボネート基、チエニルカーボネート基、テトラヒドロチエニルカーボネート基、インドリルカーボネート基、カルバゾリルカーボネート基、アクリジニルカーボネート基、キサンテニルカーボネート基、チオキサンテニルカーボネート基、モルホリノカーボネート基、オキサゾリルカーボネート基、オキサゾリジニルカーボネート基、イソオキサゾリルカーボネート基、イソオキサゾリジニルカーボネート基、チアゾリルカーボネート基等の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子等のヘテロ原子を有する複素環カーボネート基が挙げられる。
【0053】
官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基におけるアルキルカルバモイルオキシ基(-OCONH-アルキル基)としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~16、より好ましくは炭素数2~12のアルキルカルバモイルオキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルキルカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、メチルカルバモイルオキシ基、エチルカルバモイルオキシ基、n-プロピルカルバモイルオキシ基、イソプロピルカルバモイルオキシ基、n-ブチルカルバモイルオキシ基、イソブチルカルバモイルオキシ基、sec-ブチルカルバモイルオキシ基、tert-ブチルカルバモイルオキシ基、シクロブチルカルバモイルオキシ基、n-ペンチルカルバモイルオキシ基、イソペンチルカルバモイルオキシ基、sec-ペンチルカルバモイルオキシ基、tert-ペンチルカルバモイルオキシ基、ネオペンチルカルバモイルオキシ基、2-メチルブチルカルバモイルオキシ基、1,2-ジメチルプロピルカルバモイルオキシ基、1-エチルプロピルカルバモイルオキシ基、シクロペンチルカルバモイルオキシ基、n-ヘキシルカルバモイルオキシ基、イソヘキシルカルバモイルオキシ基、sec-ヘキシルカルバモイルオキシ基、tert-ヘキシルカルバモイルオキシ基、ネオヘキシルカルバモイルオキシ基、2-メチルペンチルカルバモイルオキシ基、1,2-ジメチルブチルカルバモイルオキシ基、2,3-ジメチルブチルカルバモイルオキシ基、1-エチルブチルカルバモイルオキシ基、シクロヘキシルカルバモイルオキシ基、n-ヘプチルカルバモイルオキシ基、シクロヘプチルカルバモイルオキシ基、n-オクチルカルバモイルオキシ基、シクロオクチルカルバモイルオキシ基、n-ノニルカルバモイルオキシ基、シクロノニルカルバモイルオキシ基、n-デシルカルバモイルオキシ基、シクロデシルカルバモイルオキシ基、n-ウンデシルカルバモイルオキシ基、n-ドデシルカルバモイルオキシ基、n-トリデシルカルバモイルオキシ基、n-テトラデシルカルバモイルオキシ基、n-ペンタデシルカルバモイルオキシ基、n-ヘキサデシルカルバモイルオキシ基、n-へプタデシルカルバモイルオキシ基、n-オクタデシルカルバモイルオキシ基、n-ノナデシルカルバモイルオキシ基、n-イコシルカルバモイルオキシ基、ノルボニルカルバモイルオキシ基(ノルボルナン-χ-イルカルバモイルオキシ基)、ノルボニルメチルカルバモイルオキシ基(ノルボルナン-χ-イルメチルカルバモイルオキシ基)、ボルニルカルバモイルオキシ基(ボルナン-χ-イルカルバモイルオキシ基)、ボルニルメチルカルバモイルオキシ基(ボルナン-χ-イルメチルカルバモイルオキシ基)、メンチルカルバモイルオキシ基(メンタ-χ-イルカルバモイルオキシ基)、メンチルメチルカルバモイルオキシ基(メンタ-χ-イルメチルカルバモイルオキシ基)、アダマンチルカルバモイルオキシ基、アダマンチルメチルカルバモイルオキシ基、デカヒドロナフチルカルバモイルオキシ基、デカヒドロナフチルメチルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0054】
官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基におけるアルケニルカルバモイルオキシ基(-OCONH-アルケニル基)としては、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12のアルケニルカルバモイルオキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルケニルカルバモイルオキシ基中の二重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、二重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルケニルカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、ビニルカルバモイルオキシ基、1-プロぺニルカルバモイルオキシ基、2-プロぺニルカルバモイルオキシ基(アリルカルバモイルオキシ基)、イソプロぺニルカルバモイルオキシ基、n-ブテニルカルバモイルオキシ基、イソブテニルカルバモイルオキシ基、sec-ブテニルカルバモイルオキシ基、シクロブテニルカルバモイルオキシ基、n-ペンテニルカルバモイルオキシ基、イソペンテニルカルバモイルオキシ基、sec-ペンテニルカルバモイルオキシ基、tert-ペンテニルカルバモイルオキシ基、2-メチルブテニルカルバモイルオキシ基、1,2-ジメチルプロぺニルカルバモイルオキシ基、1-エチルプロぺニルカルバモイルオキシ基、シクロペンテニルカルバモイルオキシ基、n-ヘキセニルカルバモイルオキシ基、イソヘキセニルカルバモイルオキシ基、sec-ヘキセニルカルバモイルオキシ基、tert-ヘキセニルカルバモイルオキシ基、ネオヘキセニルカルバモイルオキシ基、2-メチルペンテニルカルバモイルオキシ基、1,2-ジメチルブテニルカルバモイルオキシ基、2,3-ジメチルブテニルカルバモイルオキシ基、1-エチルブテニルカルバモイルオキシ基、シクロヘキセニルカルバモイルオキシ基、n-ヘプテニルカルバモイルオキシ基、シクロヘプテニルカルバモイルオキシ基、n-オクテニルカルバモイルオキシ基、シクロオクテニルカルバモイルオキシ基、n-ノネニルカルバモイルオキシ基、シクロノネニルカルバモイルオキシ基、n-デセニルカルバモイルオキシ基、シクロデセニルカルバモイルオキシ基、n-ウンデセニルカルバモイルオキシ基、n-ドデセニルカルバモイルオキシ基、n-トリデセニルカルバモイルオキシ基、n-テトラデセニルカルバモイルオキシ基、n-ペンタデセニルカルバモイルオキシ基、n-ヘキサデセニルカルバモイルオキシ基、n-へプタデセニルカルバモイルオキシ基、n-オクタデセニルカルバモイルオキシ基、n-ノナデセニルカルバモイルオキシ基、n-イコセニルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0055】
官能基を有していてもよいアルキニルカルバモイルオキシ基におけるアルキニルカルバモイルオキシ基(-OCONH-アルキニル基)としては、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12のアルキニルカルバモイルオキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルキニルカルバモイルオキシ基中の三重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、三重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルキニルカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、エチニルカルバモイルオキシ基、2-プロピニルカルバモイルオキシ基(プロパルギルカルバモイルオキシ基)、n-ブチニルカルバモイルオキシ基、n-ペンチニルカルバモイルオキシ基、イソペンチニルカルバモイルオキシ基、tert-ペンチニルカルバモイルオキシ基、2-メチルブチニルカルバモイルオキシ基、n-ヘキシニルカルバモイルオキシ基、イソヘキシニルカルバモイルオキシ基、sec-ヘキシニルカルバモイルオキシ基、tert-ヘキシニルカルバモイルオキシ基、ネオヘキシニルカルバモイルオキシ基、2-メチルペンチニルカルバモイルオキシ基、1,2-ジメチルブチニルカルバモイルオキシ基、1-エチルブチニルカルバモイルオキシ基、シクロヘキシニルカルバモイルオキシ基、n-へプチニルカルバモイルオキシ基、シクロへプチニルカルバモイルオキシ基、n-オクチニルカルバモイルオキシ基、シクロオクチニルカルバモイルオキシ基、n-ノニニルカルバモイルオキシ基、シクロノニニルカルバモイルオキシ基、n-デシニルカルバモイルオキシ基、シクロデシニルカルバモイルオキシ基、n-ウンデシニルカルバモイルオキシ基、n-ドデシニルカルバモイルオキシ基、n-トリデシニルカルバモイルオキシ基、n-テトラデシニルカルバモイルオキシ基、n-ペンタデシニルカルバモイルオキシ基、n-ヘキサデシニルカルバモイルオキシ基、n-へプタデシニルカルバモイルオキシ基、n-オクタデシニルカルバモイルオキシ基、n-ノナデシニルカルバモイルオキシ基、n-イコシニルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0056】
置換基を有していてもよいアリールカルバモイルオキシ基におけるアリールカルバモイルオキシ基(-OCONH-アリール基)としては、炭素数7~15、好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7のアリールカルバモイルオキシ基が挙げられる。このようなアリールカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、フェニルカルバモイルオキシ基、ナフチルカルバモイルオキシ基、アントラセニルカルバモイルオキシ基、フェナントレニルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0057】
置換基を有していてもよいアリールアルキルカルバモイルオキシ基におけるアリールアルキルカルバモイルオキシ基(-OCONH-アルキル-アリール基)としては、炭素数8~20、好ましくは炭素数8~14、より好ましくは炭素数8のアリールアルキルカルバモイルオキシ基が挙げられ、該アリールアルキルカルバモイルオキシ基中のアルキル基は、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアリールアルキルカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、ベンジルカルバモイルオキシ基、フェネチルカルバモイルオキシ基(フェニルエチルカルバモイルオキシ基)、メチルベンジルカルバモイルオキシ基、フェニルプロピルカルバモイルオキシ基、1-メチルフェニルエチルカルバモイルオキシ基、フェニルブチルカルバモイルオキシ基、2-メチルフェニルプロピルカルバモイルオキシ基、テトラヒドロナフチルカルバモイルオキシ基、ナフチルメチルカルバモイルオキシ基、ナフチルエチルカルバモイルオキシ基、インデニルカルバモイルオキシ基、フルオレニルカルバモイルオキシ基、アントラセニルメチルカルバモイルオキシ基(アントリルメチルカルバモイルオキシ基)、フェナントレニルメチルカルバモイルオキシ基(フェナントリルメチルカルバモイルオキシ基)等が挙げられる。
【0058】
置換基を有していてもよい1価の複素環カルバモイルオキシ基における複素環カルバモイルオキシ基(-OCONH-複素環基)としては、炭素数2~14、好ましくは炭素数2~12、より好ましくは炭素数2~8の複素環カルバモイルオキシ基が挙げられる。このような複素環カルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、フラニルカルバモイルオキシ基、テトラヒドロフラニルカルバモイルオキシ基、ピラニルカルバモイルオキシ基、テトラヒドロピラニルカルバモイルオキシ基、ピロリルカルバモイルオキシ基、ピロリジニルカルバモイルオキシ基、イミダゾリルカルバモイルオキシ基、イミダゾリジニルカルバモイルオキシ基、ピラゾリルカルバモイルオキシ基、ピラゾリジニルカルバモイルオキシ基、トリアゾリルカルバモイルオキシ基、トリアゾリジニルカルバモイルオキシ基、テトラゾリルカルバモイルオキシ基、テトラゾリジニルカルバモイルオキシ基、ピペリジニルカルバモイルオキシ基、ピリジルカルバモイルオキシ基、ピラジニルカルバモイルオキシ基、ピペラジニルカルバモイルオキシ基、ピリミジニルカルバモイルオキシ基、トリアジニルカルバモイルオキシ基、チエニルカルバモイルオキシ基、テトラヒドロチエニルカルバモイルオキシ基、インドリルカルバモイルオキシ基、カルバゾリルカルバモイルオキシ基、アクリジニルカルバモイルオキシ基、キサンテニルカルバモイルオキシ基、チオキサンテニルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルバモイルオキシ基、オキサゾリルカルバモイルオキシ基、オキサゾリジニルカルバモイルオキシ基、イソオキサゾリルカルバモイルオキシ基、イソオキサゾリジニルカルバモイルオキシ基、チアゾリルカルバモイルオキシ基等の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子等のヘテロ原子を有する複素環カルバモイルオキシ基が挙げられる。
【0059】
官能基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基におけるアルキルスルホニルオキシ基(-OSO-アルキル基)としては、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~14、より好ましくは炭素数1~10のアルキルスルホニルオキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルキルスルホニルオキシ基の具体例としては、例えば、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、n-プロピルスルホニルオキシ基、イソプロピルスルホニルオキシ基、n-ブチルスルホニルオキシ基、イソブチルスルホニルオキシ基、sec-ブチルスルホニルオキシ基、tert-ブチルスルホニルオキシ基、シクロブチルスルホニルオキシ基、n-ペンチルスルホニルオキシ基、イソペンチルスルホニルオキシ基、sec-ペンチルスルホニルオキシ基、tert-ペンチルスルホニルオキシ基、ネオペンチルスルホニルオキシ基、2-メチルブチルスルホニルオキシ基、1,2-ジメチルプロピルスルホニルオキシ基、1-エチルプロピルスルホニルオキシ基、シクロペンチルスルホニルオキシ基、n-ヘキシルスルホニルオキシ基、イソヘキシルスルホニルオキシ基、sec-ヘキシルスルホニルオキシ基、tert-ヘキシルスルホニルオキシ基、ネオヘキシルスルホニルオキシ基、2-メチルペンチルスルホニルオキシ基、1,2-ジメチルブチルスルホニルオキシ基、2,3-ジメチルブチルスルホニルオキシ基、1-エチルブチルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基、n-ヘプチルスルホニルオキシ基、シクロヘプチルスルホニルオキシ基、n-オクチルスルホニルオキシ基、シクロオクチルスルホニルオキシ基、n-ノニルスルホニルオキシ基、シクロノニルスルホニルオキシ基、n-デシルスルホニルオキシ基、シクロデシルスルホニルオキシ基、n-ウンデシルスルホニルオキシ基、n-ドデシルスルホニルオキシ基、n-トリデシルスルホニルオキシ基、n-テトラデシルスルホニルオキシ基、n-ペンタデシルスルホニルオキシ基、n-ヘキサデシルスルホニルオキシ基、n-へプタデシルスルホニルオキシ基、n-オクタデシルスルホニルオキシ基、n-ノナデシルスルホニルオキシ基、n-イコシルスルホニルオキシ基、ノルボニルスルホニルオキシ基(ノルボルナン-χ-イルスルホニルオキシ基)、ノルボニルメチルスルホニルオキシ基(ノルボルナン-χ-イルメチルスルホニルオキシ基)、ボルニルスルホニルオキシ基(ボルナン-χ-イルスルホニルオキシ基)、ボルニルメチルスルホニルオキシ基(ボルナン-χ-イルメチルスルホニルオキシ基)、メンチルスルホニルオキシ基(メンタ-χ-イルスルホニルオキシ基)、メンチルメチルスルホニルオキシ基(メンタ-χ-イルメチルスルホニルオキシ基)、アダマンチルスルホニルオキシ基、アダマンチルメチルスルホニルオキシ基、デカヒドロナフチルスルホニルオキシ基、デカヒドロナフチルメチルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0060】
官能基を有していてもよいハロゲノアルキルスルホニルオキシ基におけるハロゲノアルキルスルホニルオキシ基(-OSO-ハロゲノアルキル基)としては、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~14、より好ましくは炭素数1~10のハロゲノアルキルスルホニルオキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなハロゲノアルキルスルホニルオキシ基の具体例としては、例えば、フルオロメチルスルホニルオキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、フルオロエチルスルホニルオキシ基、ペンタフルオロエチルスルホニルオキシ基、フルオロ-n-プロピルスルホニルオキシ基、へプタフルオロ-n-プロピルスルホニルオキシ基、フルオロイソプロピルスルホニルオキシ基、へプタフルオロイソプロピルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-ブチルスルホニルオキシ基、パーフルオロイソブチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-sec-ブチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-tert-ブチルスルホニルオキシ基、パーフルオロシクロブチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-ペンチルスルホニルオキシ基、パーフルオロイソペンチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-sec-ペンチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-tert-ペンチルスルホニルオキシ基、パーフルオロネオペンチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-2-メチルブチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-1,2-ジメチルプロピルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-1-エチルプロピルスルホニルオキシ基、パーフルオロシクロペンチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-ヘキシルスルホニルオキシ基、パーフルオロイソヘキシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-sec-ヘキシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-tert-ヘキシルスルホニルオキシ基、パーフルオロネオヘキシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-2-メチルペンチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-1,2-ジメチルブチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-2,3-ジメチルブチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-1-エチルブチルスルホニルオキシ基、パーフルオロシクロヘキシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-ヘプチルスルホニルオキシ基、パーフルオロシクロヘプチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-オクチルスルホニルオキシ基、パーフルオロシクロオクチルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-ノニルスルホニルオキシ基、パーフルオロシクロノニルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-デシルスルホニルオキシ基、パーフルオロシクロデシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-ウンデシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-ドデシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-トリデシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-テトラデシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-ペンタデシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-ヘキサデシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-へプタデシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-オクタデシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-ノナデシルスルホニルオキシ基、パーフルオロ-n-イコシルスルホニルオキシ基、パーフルオロノルボニルスルホニルオキシ基(パーフルオロノルボルナン-χ-イルスルホニルオキシ基)、パーフルオロノルボニルメチルスルホニルオキシ基(パーフルオロノルボルナン-χ-イルメチルスルホニルオキシ基)、パーフルオロボルニルスルホニルオキシ基(パーフルオロボルナン-χ-イルスルホニルオキシ基)、パーフルオロボルニルメチルスルホニルオキシ基(パーフルオロボルナン-χ-イルメチルスルホニルオキシ基)、パーフルオロメンチルスルホニルオキシ基(パーフルオロメンタ-χ-イルスルホニルオキシ基)、パーフルオロメンチルメチルスルホニルオキシ基(パーフルオロメンタ-χ-イルメチルスルホニルオキシ基)、パーフルオロアダマンチルスルホニルオキシ基、パーフルオロアダマンチルメチルスルホニルオキシ基、パーフルオロデカヒドロナフチルスルホニルオキシ基、パーフルオロデカヒドロナフチルメチルスルホニルオキシ基等のフルオロアルキルスルホニルオキシ基(-OSO-フルオロアルキル基);例えば、クロロメチルスルホニルオキシ基、トリクロロメチルスルホニルオキシ基、クロロエチルスルホニルオキシ基、ペンタクロロエチルスルホニルオキシ基、クロロ-n-プロピルスルホニルオキシ基、へプタクロロ-n-プロピルスルホニルオキシ基、クロロイソプロピルスルホニルオキシ基、へプタクロロイソプロピルスルホニルオキシ基、パークロロ-n-ブチルスルホニルオキシ基、パークロロイソブチルスルホニルオキシ基、パークロロ-sec-ブチルスルホニルオキシ基、パークロロ-tert-ブチルスルホニルオキシ基、パークロロシクロブチルスルホニルオキシ基等のクロロアルキルスルホニルオキシ基(-OSO-クロロアルキル基);例えば、ブロモメチルスルホニルオキシ基、トリブロモメチルスルホニルオキシ基、ブロモエチルスルホニルオキシ基、ペンタブロモエチルスルホニルオキシ基、ブロモ-n-プロピルスルホニルオキシ基、へプタブロモ-n-プロピルスルホニルオキシ基、ブロモイソプロピルスルホニルオキシ基、へプタブロモイソプロピルスルホニルオキシ基、パーブロモ-n-ブチルスルホニルオキシ基、パーブロモイソブチルスルホニルオキシ基、パーブロモ-sec-ブチルスルホニルオキシ基、パーブロモ-tert-ブチルスルホニルオキシ基、パーブロモシクロブチルスルホニルオキシ基等のブロモアルキルスルホニルオキシ基(-OSO-ブロモアルキル基);例えば、ヨードメチルスルホニルオキシ基、トリヨードメチルスルホニルオキシ基、ヨードエチルスルホニルオキシ基、ペンタヨードエチルスルホニルオキシ基、ヨード-n-プロピルスルホニルオキシ基、へプタヨード-n-プロピルスルホニルオキシ基、ヨードイソプロピルスルホニルオキシ基、へプタヨードイソプロピルスルホニルオキシ基、パーヨード-n-ブチルスルホニルオキシ基、パーヨードイソブチルスルホニルオキシ基、パーヨード-sec-ブチルスルホニルオキシ基、パーヨード-tert-ブチルスルホニルオキシ基、パーヨードシクロブチルスルホニルオキシ基等のヨードアルキルスルホニルオキシ基(-OSO-ヨードアルキル基)が挙げられる。
【0061】
置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基におけるアリールスルホニルオキシ基(-OSO-アリール基)としては、炭素数6~14、好ましくは炭素数6~10、より好ましくは炭素数6のアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。このようなアリールスルホニルオキシ基の具体例としては、例えば、フェニルスルホニルオキシ基、ナフチルスルホニルオキシ基、アントラセニルスルホニルオキシ基、フェナントレニルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0062】
官能基を有していてもよいアルキルアミノ基におけるアルキルアミノ基(-NH-アルキル基または-N(-アルキル)基)としては、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~14、より好ましくは炭素数1~10のアルキルアミノ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルキルアミノ基の具体例としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、シクロブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec-ペンチルアミノ基、tert-ペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、2-メチルブチルアミノ基、1,2-ジメチルプロピルアミノ基、1-エチルプロピルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、イソヘキシルアミノ基、sec-ヘキシルアミノ基、tert-ヘキシルアミノ基、ネオヘキシルアミノ基、2-メチルペンチルアミノ基、1,2-ジメチルブチルアミノ基、2,3-ジメチルブチルアミノ基、1-エチルブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、シクロノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、シクロデシルアミノ基、n-ウンデシルアミノ基、n-ドデシルアミノ基、n-トリデシルアミノ基、n-テトラデシルアミノ基、n-ペンタデシルアミノ基、n-ヘキサデシルアミノ基、n-へプタデシルアミノ基、n-オクタデシルアミノ基、n-ノナデシルアミノ基、n-イコシルアミノ基、ノルボニルアミノ基(ノルボルナン-χ-イルアミノ基)、ノルボニルメチルアミノ基(ノルボルナン-χ-イルメチルアミノ基)、ボルニルアミノ基(ボルナン-χ-イルアミノ基)、ボルニルメチルアミノ基(ボルナン-χ-イルメチルアミノ基)、メンチルアミノ基(メンタ-χ-イルアミノ基)、メンチルメチルアミノ基(メンタ-χ-イルメチルアミノ基)、アダマンチルアミノ基、アダマンチルメチルアミノ基、デカヒドロナフチルアミノ基、デカヒドロナフチルメチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基;例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ-sec-ブチルアミノ基、ジ-tert-ブチルアミノ基、ジシクロブチルアミノ基、ジ-n-ペンチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、ジ-sec-ペンチルアミノ基、ジ-tert-ペンチルアミノ基、ジネオペンチルアミノ基、ジ-2-メチルブチルアミノ基、ビス(1,2-ジメチル)プロピルアミノ基、ジ-1-エチルプロピルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、ジ-n-ヘキシルアミノ基、ジイソヘキシルアミノ基、ジ-sec-ヘキシルアミノ基、ジ-tert-ヘキシルアミノ基、ジネオヘキシルアミノ基、ジ-2-メチルペンチルアミノ基、ビス(1,2-ジメチル)ブチルアミノ基、ビス(2,3-ジメチル)ブチルアミノ基、ジ-1-エチルブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基等のジアルキルアミノ基が挙げられる。
【0063】
官能基を有していてもよいアルケニルアミノ基におけるアルケニルアミノ基(-NH-アルケニル基または-N(-アルケニル)基)としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~14、より好ましくは炭素数2~10のアルケニルアミノ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルケニルアミノ基中の二重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、二重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルケニルアミノ基の具体例としては、例えば、ビニルアミノ基、1-プロぺニルアミノ基、2-プロぺニルアミノ基(アリルアミノ基)、イソプロぺニルアミノ基、n-ブテニルアミノ基、イソブテニルアミノ基、sec-ブテニルアミノ基、シクロブテニルアミノ基、n-ペンテニルアミノ基、イソペンテニルアミノ基、sec-ペンテニルアミノ基、tert-ペンテニルアミノ基、2-メチルブテニルアミノ基、1,2-ジメチルプロぺニルアミノ基、1-エチルプロぺニルアミノ基、シクロペンテニルアミノ基、n-ヘキセニルアミノ基、イソヘキセニルアミノ基、sec-ヘキセニルアミノ基、tert-ヘキセニルアミノ基、ネオヘキセニルアミノ基、2-メチルペンテニルアミノ基、1,2-ジメチルブテニルアミノ基、2,3-ジメチルブテニルアミノ基、1-エチルブテニルアミノ基、シクロヘキセニルアミノ基、n-ヘプテニルアミノ基、シクロヘプテニルアミノ基、n-オクテニルアミノ基、シクロオクテニルアミノ基、n-ノネニルアミノ基、シクロノネニルアミノ基、n-デセニルアミノ基、シクロデセニルアミノ基、n-ウンデセニルアミノ基、n-ドデセニルアミノ基、n-トリデセニルアミノ基、n-テトラデセニルアミノ基、n-ペンタデセニルアミノ基、n-ヘキサデセニルアミノ基、n-へプタデセニルアミノ基、n-オクタデセニルアミノ基、n-ノナデセニルアミノ基、n-イコセニルアミノ基等のモノアルケニルアミノ基;例えば、ジビニルアミノ基、ジ-1-プロぺニルアミノ基、ジ-2-プロぺニルアミノ基(ジアリルアミノ基)、ジイソプロぺニルアミノ基、ジ-n-ブテニルアミノ基、ジイソブテニルアミノ基、ジ-sec-ブテニルアミノ基、ジシクロブテニルアミノ基、ジ-n-ペンテニルアミノ基、ジイソペンテニルアミノ基、ジ-sec-ペンテニルアミノ基、ジ-tert-ペンテニルアミノ基、ジ-2-メチルブテニルアミノ基、ビス(1,2-ジメチル)プロぺニルアミノ基、ジ-1-エチルプロぺニルアミノ基、ジシクロペンテニルアミノ基、ジ-n-ヘキセニルアミノ基、ジイソヘキセニルアミノ基、ジ-sec-ヘキセニルアミノ基、ジ-tert-ヘキセニルアミノ基、ジネオヘキセニルアミノ基、ジ-2-メチルペンテニルアミノ基、ビス(1,2-ジメチル)ブテニルアミノ基、ビス(2,3-ジメチル)ブテニルアミノ基、ジ-1-エチルブテニルアミノ基、ジシクロヘキセニルアミノ基等のジアルケニルアミノ基が挙げられる。
【0064】
官能基を有していてもよいアルキニルアミノ基におけるアルキニルアミノ基(-NH-アルキニル基または-N(-アルキニル)基)としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~14、より好ましくは炭素数2~10のアルキニルアミノ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルキニルアミノ基中の三重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、三重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルキニルアミノ基の具体例としては、例えば、エチニルアミノ基、2-プロピニルアミノ基(プロパルギルアミノ基)、n-ブチニルアミノ基、n-ペンチニルアミノ基、イソペンチニルアミノ基、tert-ペンチニルアミノ基、2-メチルブチニルアミノ基、n-ヘキシニルアミノ基、イソヘキシニルアミノ基、sec-ヘキシニルアミノ基、tert-ヘキシニルアミノ基、ネオヘキシニルアミノ基、2-メチルペンチニルアミノ基、1,2-ジメチルブチニルアミノ基、1-エチルブチニルアミノ基、シクロヘキシニルアミノ基、n-へプチニルアミノ基、シクロへプチニルアミノ基、n-オクチニルアミノ基、シクロオクチニルアミノ基、n-ノニニルアミノ基、シクロノニニルアミノ基、n-デシニルアミノ基、シクロデシニルアミノ基、n-ウンデシニルアミノ基、n-ドデシニルアミノ基、n-トリデシニルアミノ基、n-テトラデシニルアミノ基、n-ペンタデシニルアミノ基、n-ヘキサデシニルアミノ基、n-へプタデシニルアミノ基、n-オクタデシニルアミノ基、n-ノナデシニルアミノ基、n-イコシニルアミノ基等のモノアルキニルアミノ基;例えば、ジエチニルアミノ基、ジ-2-プロピニルアミノ基(ジプロパルギルアミノ基)、ジ-n-ブチニルアミノ基、ジ-n-ペンチニルアミノ基、ジイソペンチニルアミノ基、ジ-tert-ペンチニルアミノ基、ジ-2-メチルブチニルアミノ基、ジ-n-ヘキシニルアミノ基、ジイソヘキシニルアミノ基、ジ-sec-ヘキシニルアミノ基、ジ-tert-ヘキシニルアミノ基、ジネオヘキシニルアミノ基、ジ-2-メチルペンチニルアミノ基、ビス(1,2-ジメチル)ブチニルアミノ基、ジ-1-エチルブチニルアミノ基、ジシクロヘキシニルアミノ基等のジアルキニルアミノ基が挙げられる。
【0065】
置換基を有していてもよいアリールアミノ基におけるアリールアミノ基(-NH-アリール基または-N(-アリール)基)としては、炭素数6~20、好ましくは炭素数6~12、より好ましくは炭素数6のアリールアミノ基が挙げられる。このようなアリールアミノ基の具体例としては、例えば、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アントラセニルアミノ基、フェナントレニルアミノ基等のモノアリールアミノ基;例えば、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基が挙げられる。
【0066】
置換基を有していてもよいアリールアルキルアミノ基におけるアリールアルキルアミノ基(-NH-アルキル-アリール基または-N(-アルキル-アリール)基)としては、炭素数7~20、好ましくは炭素数7~14、より好ましくは炭素数7のアリールアルキルアミノ基が挙げられ、該アリールアルキルアミノ基中のアルキル基は、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアリールアルキルアミノ基の具体例としては、例えば、ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基(フェニルエチルアミノ基)、メチルベンジルアミノ基、フェニルプロピルアミノ基、1-メチルフェニルエチルアミノ基、フェニルブチルアミノ基、2-メチルフェニルプロピルアミノ基、テトラヒドロナフチルアミノ基、ナフチルメチルアミノ基、ナフチルエチルアミノ基、インデニルアミノ基、フルオレニルアミノ基、アントラセニルメチルアミノ基(アントリルメチルアミノ基)、フェナントレニルメチルアミノ基(フェナントリルメチルアミノ基)等のモノアリールアルキルアミノ基;例えば、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基(ビス(フェニルエチル)アミノ基)、ビス(メチルベンジル)アミノ基、ビス(フェニルプロピル)アミノ基、ビス(1-メチルフェニルエチル)アミノ基、ビス(フェニルブチル)アミノ基、ビス(2-メチルフェニルプロピル)アミノ基、ビス(テトラヒドロナフチル)アミノ基等のジアリールアルキルアミノ基が挙げられる。
【0067】
置換基を有していてもよい1価の複素環アミノ基における複素環アミノ基(-NH-複素環基または-N(-複素環)基)としては、炭素数1~14、好ましくは炭素数1~12、より好ましくは炭素数1~6の複素環アミノ基が挙げられる。このような複素環アミノ基の具体例としては、例えば、フラニルアミノ基、テトラヒドロフラニルアミノ基、ピラニルアミノ基、テトラヒドロピラニルアミノ基、ピロリルアミノ基、ピロリジニルアミノ基、イミダゾリルアミノ基、イミダゾリジニルアミノ基、ピラゾリルアミノ基、ピラゾリジニルアミノ基、トリアゾリルアミノ基、トリアゾリジニルアミノ基、テトラゾリルアミノ基、テトラゾリジニルアミノ基、ピペリジニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピラジニルアミノ基、ピペラジニルアミノ基、ピリミジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、チエニルアミノ基、テトラヒドロチエニルアミノ基、インドリルアミノ基、カルバゾリルアミノ基、アクリジニルアミノ基、キサンテニルアミノ基、チオキサンテニルアミノ基、モルホリノアミノ基、オキサゾリルアミノ基、オキサゾリジニルアミノ基、イソオキサゾリルアミノ基、イソオキサゾリジニルアミノ基、チアゾリルアミノ基等の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子等のヘテロ原子を有するモノ複素環アミノ基;例えば、ジフラニルアミノ基、ジテトラヒドロフラニルアミノ基、ジピラニルアミノ基、ジテトラヒドロピラニルアミノ基、ジピロリルアミノ基、ジピロリジニルアミノ基、ジイミダゾリルアミノ基、ジイミダゾリジニルアミノ基、ジピラゾリルアミノ基、ジピラゾリジニルアミノ基、ジトリアゾリルアミノ基、ジトリアゾリジニルアミノ基、ジテトラゾリルアミノ基、ジテトラゾリジニルアミノ基、ジピペリジニルアミノ基、ジピリジルアミノ基、ジピラジニルアミノ基、ジピペラジニルアミノ基、ジピリミジニルアミノ基、ジトリアジニルアミノ基、ジチエニルアミノ基、ジテトラヒドロチエニルアミノ基等の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子等のヘテロ原子を有するジ複素環アミノ基が挙げられる。
【0068】
官能基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基におけるアルキルカルボニルアミノ基(-NHCO-アルキル基または-N(-CO-アルキル)基)としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~16、より好ましくは炭素数2~12のアルキルカルボニルアミノ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n-プロピルカルボニルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノ基、n-ブチルカルボニルアミノ基、イソブチルカルボニルアミノ基、sec-ブチルカルボニルアミノ基、tert-ブチルカルボニルアミノ基、シクロブチルカルボニルアミノ基、n-ペンチルカルボニルアミノ基、イソペンチルカルボニルアミノ基、sec-ペンチルカルボニルアミノ基、tert-ペンチルカルボニルアミノ基、ネオペンチルカルボニルアミノ基、2-メチルブチルカルボニルアミノ基、1,2-ジメチルプロピルカルボニルアミノ基、1-エチルプロピルカルボニルアミノ基、シクロペンチルカルボニルアミノ基、n-ヘキシルカルボニルアミノ基、イソヘキシルカルボニルアミノ基、sec-ヘキシルカルボニルアミノ基、tert-ヘキシルカルボニルアミノ基、ネオヘキシルカルボニルアミノ基、2-メチルペンチルカルボニルアミノ基、1,2-ジメチルブチルカルボニルアミノ基、2,3-ジメチルブチルカルボニルアミノ基、1-エチルブチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、n-ヘプチルカルボニルアミノ基、シクロヘプチルカルボニルアミノ基、n-オクチルカルボニルアミノ基、シクロオクチルカルボニルアミノ基、n-ノニルカルボニルアミノ基、シクロノニルカルボニルアミノ基、n-デシルカルボニルアミノ基、シクロデシルカルボニルアミノ基、n-ウンデシルカルボニルアミノ基、n-ドデシルカルボニルアミノ基、n-トリデシルカルボニルアミノ基、n-テトラデシルカルボニルアミノ基、n-ペンタデシルカルボニルアミノ基、n-ヘキサデシルカルボニルアミノ基、n-へプタデシルカルボニルアミノ基、n-オクタデシルカルボニルアミノ基、n-ノナデシルカルボニルアミノ基、n-イコシルカルボニルアミノ基、ノルボニルカルボニルアミノ基(ノルボルナン-χ-イルカルボニルアミノ基)、ノルボニルメチルカルボニルアミノ基(ノルボルナン-χ-イルメチルカルボニルアミノ基)、ボルニルカルボニルアミノ基(ボルナン-χ-イルカルボニルアミノ基)、ボルニルメチルカルボニルアミノ基(ボルナン-χ-イルメチルカルボニルアミノ基)、メンチルカルボニルアミノ基(メンタ-χ-イルカルボニルアミノ基)、メンチルメチルカルボニルアミノ基(メンタ-χ-イルメチルカルボニルアミノ基)、アダマンチルカルボニルアミノ基、アダマンチルメチルカルボニルアミノ基、デカヒドロナフチルカルボニルアミノ基、デカヒドロナフチルメチルカルボニルアミノ基等のモノアルキルカルボニルアミノ基;例えば、ジメチルカルボニルアミノ基、ジエチルカルボニルアミノ基、ジ-n-プロピルカルボニルアミノ基、ジイソプロピルカルボニルアミノ基、ジ-n-ブチルカルボニルアミノ基、ジイソブチルカルボニルアミノ基、ジ-sec-ブチルカルボニルアミノ基、ジ-tert-ブチルカルボニルアミノ基、ジシクロブチルカルボニルアミノ基、ジ-n-ペンチルカルボニルアミノ基、ジイソペンチルカルボニルアミノ基、ジ-sec-ペンチルカルボニルアミノ基、ジ-tert-ペンチルカルボニルアミノ基、ジネオペンチルカルボニルアミノ基、ジ-2-メチルブチルカルボニルアミノ基、ビス(1,2-ジメチルプロピルカルボニル)アミノ基、ジ-1-エチルプロピルカルボニルアミノ基、ジシクロペンチルカルボニルアミノ基、ジ-n-ヘキシルカルボニルアミノ基、ジイソヘキシルカルボニルアミノ基、ジ-sec-ヘキシルカルボニルアミノ基、ジ-tert-ヘキシルカルボニルアミノ基、ジネオヘキシルカルボニルアミノ基、ジ-2-メチルペンチルカルボニルアミノ基、ビス(1,2-ジメチルブチルカルボニル)アミノ基、ビス(2,3-ジメチルブチルカルボニル)アミノ基、ジ-1-エチルブチルカルボニルアミノ基、ジシクロヘキシルカルボニルアミノ基等のジアルキルカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0069】
官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルアミノ基におけるアルケニルカルボニルアミノ基(-NHCO-アルケニル基または-N(-CO-アルケニル)基)としては、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12のアルケニルカルボニルアミノ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルケニルカルボニルアミノ基中の二重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、二重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルケニルカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、ビニルカルボニルアミノ基、1-プロぺニルカルボニルアミノ基、2-プロぺニルカルボニルアミノ基(アリルカルボニルアミノ基)、イソプロぺニルカルボニルアミノ基、n-ブテニルカルボニルアミノ基、イソブテニルカルボニルアミノ基、sec-ブテニルカルボニルアミノ基、シクロブテニルカルボニルアミノ基、n-ペンテニルカルボニルアミノ基、イソペンテニルカルボニルアミノ基、sec-ペンテニルカルボニルアミノ基、tert-ペンテニルカルボニルアミノ基、2-メチルブテニルカルボニルアミノ基、1,2-ジメチルプロぺニルカルボニルアミノ基、1-エチルプロぺニルカルボニルアミノ基、シクロペンテニルカルボニルアミノ基、n-ヘキセニルカルボニルアミノ基、イソヘキセニルカルボニルアミノ基、sec-ヘキセニルカルボニルアミノ基、tert-ヘキセニルカルボニルアミノ基、ネオヘキセニルカルボニルアミノ基、2-メチルペンテニルカルボニルアミノ基、1,2-ジメチルブテニルカルボニルアミノ基、2,3-ジメチルブテニルカルボニルアミノ基、1-エチルブテニルカルボニルアミノ基、シクロヘキセニルカルボニルアミノ基、n-ヘプテニルカルボニルアミノ基、シクロヘプテニルカルボニルアミノ基、n-オクテニルカルボニルアミノ基、シクロオクテニルカルボニルアミノ基、n-ノネニルカルボニルアミノ基、シクロノネニルカルボニルアミノ基、n-デセニルカルボニルアミノ基、シクロデセニルカルボニルアミノ基、n-ウンデセニルカルボニルアミノ基、n-ドデセニルカルボニルアミノ基、n-トリデセニルカルボニルアミノ基、n-テトラデセニルカルボニルアミノ基、n-ペンタデセニルカルボニルアミノ基、n-ヘキサデセニルカルボニルアミノ基、n-へプタデセニルカルボニルアミノ基、n-オクタデセニルカルボニルアミノ基、n-ノナデセニルカルボニルアミノ基、n-イコセニルカルボニルアミノ基等のモノアルケニルカルボニルアミノ基;例えば、ジビニルカルボニルアミノ基、ジ-1-プロぺニルカルボニルアミノ基、ジ-2-プロぺニルカルボニルアミノ基(ジアリルカルボニルアミノ基)、ジイソプロぺニルカルボニルアミノ基、ジ-n-ブテニルカルボニルアミノ基、ジイソブテニルカルボニルアミノ基、ジ-sec-ブテニルカルボニルアミノ基、ジシクロブテニルカルボニルアミノ基、ジ-n-ペンテニルカルボニルアミノ基、ジイソペンテニルカルボニルアミノ基、ジ-sec-ペンテニルカルボニルアミノ基、ジ-tert-ペンテニルカルボニルアミノ基、ジ-2-メチルブテニルカルボニルアミノ基、ビス(1,2-ジメチルプロぺニルカルボニル)アミノ基、ジ-1-エチルプロぺニルカルボニルアミノ基、ジシクロペンテニルカルボニルアミノ基、ジ-n-ヘキセニルカルボニルアミノ基、ジイソヘキセニルカルボニルアミノ基、ジ-sec-ヘキセニルカルボニルアミノ基、ジ-tert-ヘキセニルカルボニルアミノ基、ジネオヘキセニルカルボニルアミノ基、ジ-2-メチルペンテニルカルボニルアミノ基、ビス(1,2-ジメチルブテニルカルボニル)アミノ基、ビス(2,3-ジメチルブテニルカルボニル)アミノ基、ジ-1-エチルブテニルカルボニルアミノ基、ジシクロヘキセニルカルボニルアミノ基等のジアルケニルカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0070】
官能基を有していてもよいアルキニルカルボニルアミノ基におけるアルキニルカルボニルアミノ基(-NHCO-アルキニル基または-N(-CO-アルキニル)基)としては、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12のアルキニルカルボニルアミノ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルキニルカルボニルアミノ基中の三重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、三重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルキニルカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、エチニルカルボニルアミノ基、2-プロピニルカルボニルアミノ基(プロパルギルカルボニルアミノ基)、n-ブチニルカルボニルアミノ基、n-ペンチニルカルボニルアミノ基、イソペンチニルカルボニルアミノ基、tert-ペンチニルカルボニルアミノ基、2-メチルブチニルカルボニルアミノ基、n-ヘキシニルカルボニルアミノ基、イソヘキシニルカルボニルアミノ基、sec-ヘキシニルカルボニルアミノ基、tert-ヘキシニルカルボニルアミノ基、ネオヘキシニルカルボニルアミノ基、2-メチルペンチニルカルボニルアミノ基、1,2-ジメチルブチニルカルボニルアミノ基、1-エチルブチニルカルボニルアミノ基、シクロヘキシニルカルボニルアミノ基、n-へプチニルカルボニルアミノ基、シクロへプチニルカルボニルアミノ基、n-オクチニルカルボニルアミノ基、シクロオクチニルカルボニルアミノ基、n-ノニニルカルボニルアミノ基、シクロノニニルカルボニルアミノ基、n-デシニルカルボニルアミノ基、シクロデシニルカルボニルアミノ基、n-ウンデシニルカルボニルアミノ基、n-ドデシニルカルボニルアミノ基、n-トリデシニルカルボニルアミノ基、n-テトラデシニルカルボニルアミノ基、n-ペンタデシニルカルボニルアミノ基、n-ヘキサデシニルカルボニルアミノ基、n-へプタデシニルカルボニルアミノ基、n-オクタデシニルカルボニルアミノ基、n-ノナデシニルカルボニルアミノ基、n-イコシニルカルボニルアミノ基等のモノアルキニルカルボニルアミノ基;例えば、ジエチニルカルボニルアミノ基、ジ-2-プロピニルカルボニルアミノ基(ジプロパルギルカルボニルアミノ基)、ジ-n-ブチニルカルボニルアミノ基、ジ-n-ペンチニルカルボニルアミノ基、ジイソペンチニルカルボニルアミノ基、ジ-tert-ペンチニルカルボニルアミノ基、ジ-2-メチルブチニルカルボニルアミノ基、ジ-n-ヘキシニルカルボニルアミノ基、ジイソヘキシニルカルボニルアミノ基、ジ-sec-ヘキシニルカルボニルアミノ基、ジ-tert-ヘキシニルカルボニルアミノ基、ジネオヘキシニルカルボニルアミノ基、ジ-2-メチルペンチニルカルボニルアミノ基、ビス(1,2-ジメチルブチニルカルボニル)アミノ基、ジ-1-エチルブチニルカルボニルアミノ基、ジシクロヘキシニルカルボニルアミノ基等のジアルキニルカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0071】
置換基を有していてもよいアリールカルボニルアミノ基におけるアリールカルボニルアミノ基(-NHCO-アリール基または-N(-CO-アリール)基)としては、炭素数7~22、好ましくは炭素数7~14、より好ましくは炭素数7のアリールカルボニルアミノ基が挙げられる。このようなアリールカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基、アントラセニルカルボニルアミノ基、フェナントレニルカルボニルアミノ基等のモノアリールカルボニルアミノ基;例えば、ジフェニルカルボニルアミノ基、ジナフチルカルボニルアミノ基等のジアリールカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0072】
置換基を有していてもよいアリールアルキルカルボニルアミノ基におけるアリールアルキルカルボニルアミノ基(-NHCO-アルキル-アリール基または-N(-CO-アルキル-アリール)基)としては、炭素数8~24、好ましくは炭素数8~16、より好ましくは炭素数8のアリールアルキルカルボニルアミノ基が挙げられ、該アリールアルキルカルボニルアミノ基中のアルキル基は、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアリールアルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、ベンジルカルボニルアミノ基、フェネチルカルボニルアミノ基(フェニルエチルカルボニルアミノ基)、メチルベンジルカルボニルアミノ基、フェニルプロピルカルボニルアミノ基、1-メチルフェニルエチルカルボニルアミノ基、フェニルブチルカルボニルアミノ基、2-メチルフェニルプロピルカルボニルアミノ基、テトラヒドロナフチルカルボニルアミノ基、ナフチルメチルカルボニルアミノ基、ナフチルエチルカルボニルアミノ基、インデニルカルボニルアミノ基、フルオレニルカルボニルアミノ基、アントラセニルメチルカルボニルアミノ基(アントリルメチルカルボニルアミノ基)、フェナントレニルメチルカルボニルアミノ基(フェナントリルメチルカルボニルアミノ基)等のモノアリールアルキルカルボニルアミノ基;例えば、ジベンジルカルボニルアミノ基、ジフェネチルカルボニルアミノ基(ビス(フェニルエチルカルボニル)アミノ基)、ビス(メチルベンジルカルボニル)アミノ基、ビス(フェニルプロピルカルボニル)アミノ基、ビス(1-メチルフェニルエチルカルボニル)アミノ基、ビス(フェニルブチルカルボニル)アミノ基、ビス(2-メチルフェニルプロピルカルボニル)アミノ基、ビス(テトラヒドロナフチルカルボニル)アミノ基等のジアリールアルキルカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0073】
置換基を有していてもよい1価の複素環カルボニルアミノ基における複素環カルボニルアミノ基(-NHCO-複素環基または-N(-CO-複素環)基)としては、炭素数2~18、好ましくは炭素数2~14、より好ましくは炭素数2~8の複素環カルボニルアミノ基が挙げられる。このような複素環カルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、フラニルカルボニルアミノ基、テトラヒドロフラニルカルボニルアミノ基、ピラニルカルボニルアミノ基、テトラヒドロピラニルカルボニルアミノ基、ピロリルカルボニルアミノ基、ピロリジニルカルボニルアミノ基、イミダゾリルカルボニルアミノ基、イミダゾリジニルカルボニルアミノ基、ピラゾリルカルボニルアミノ基、ピラゾリジニルカルボニルアミノ基、トリアゾリルカルボニルアミノ基、トリアゾリジニルカルボニルアミノ基、テトラゾリルカルボニルアミノ基、テトラゾリジニルカルボニルアミノ基、ピペリジニルカルボニルアミノ基、ピリジルカルボニルアミノ基、ピラジニルカルボニルアミノ基、ピペラジニルカルボニルアミノ基、ピリミジニルカルボニルアミノ基、トリアジニルカルボニルアミノ基、チエニルカルボニルアミノ基、テトラヒドロチエニルカルボニルアミノ基、インドリルカルボニルアミノ基、カルバゾリルカルボニルアミノ基、アクリジニルカルボニルアミノ基、キサンテニルカルボニルアミノ基、チオキサンテニルカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基、オキサゾリルカルボニルアミノ基、オキサゾリジニルカルボニルアミノ基、イソオキサゾリルカルボニルアミノ基、イソオキサゾリジニルカルボニルアミノ基、チアゾリルカルボニルアミノ基等の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子等のヘテロ原子を有するモノ複素環カルボニルアミノ基;例えば、ジフラニルカルボニルアミノ基、ジテトラヒドロフラニルカルボニルアミノ基、ジピラニルカルボニルアミノ基、ジテトラヒドロピラニルカルボニルアミノ基、ジピロリルカルボニルアミノ基、ジピロリジニルカルボニルアミノ基、ジイミダゾリルカルボニルアミノ基、ジイミダゾリジニルカルボニルアミノ基、ジピラゾリルカルボニルアミノ基、ジピラゾリジニルカルボニルアミノ基、ジトリアゾリルカルボニルアミノ基、ジトリアゾリジニルカルボニルアミノ基、ジテトラゾリルカルボニルアミノ基、ジテトラゾリジニルカルボニルアミノ基、ジピペリジニルカルボニルアミノ基、ジピリジルカルボニルアミノ基、ジピラジニルカルボニルアミノ基、ジピペラジニルカルボニルアミノ基、ジピリミジニルカルボニルアミノ基、ジトリアジニルカルボニルアミノ基、ジチエニルカルボニルアミノ基、ジテトラヒドロチエニルカルボニルアミノ基等の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子等のヘテロ原子を有するジ複素環カルボニルアミノ基が挙げられる。
【0074】
官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルアミノ基におけるアルキルカルバモイルアミノ基(-NHCONH-アルキル基または-N(-CONH-アルキル)基)としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~16、より好ましくは炭素数2~12のアルキルカルバモイルアミノ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルキルカルバモイルアミノ基の具体例としては、例えば、メチルカルバモイルアミノ基、エチルカルバモイルアミノ基、n-プロピルカルバモイルアミノ基、イソプロピルカルバモイルアミノ基、n-ブチルカルバモイルアミノ基、イソブチルカルバモイルアミノ基、sec-ブチルカルバモイルアミノ基、tert-ブチルカルバモイルアミノ基、シクロブチルカルバモイルアミノ基、n-ペンチルカルバモイルアミノ基、イソペンチルカルバモイルアミノ基、sec-ペンチルカルバモイルアミノ基、tert-ペンチルカルバモイルアミノ基、ネオペンチルカルバモイルアミノ基、2-メチルブチルカルバモイルアミノ基、1,2-ジメチルプロピルカルバモイルアミノ基、1-エチルプロピルカルバモイルアミノ基、シクロペンチルカルバモイルアミノ基、n-ヘキシルカルバモイルアミノ基、イソヘキシルカルバモイルアミノ基、sec-ヘキシルカルバモイルアミノ基、tert-ヘキシルカルバモイルアミノ基、ネオヘキシルカルバモイルアミノ基、2-メチルペンチルカルバモイルアミノ基、1,2-ジメチルブチルカルバモイルアミノ基、2,3-ジメチルブチルカルバモイルアミノ基、1-エチルブチルカルバモイルアミノ基、シクロヘキシルカルバモイルアミノ基、n-ヘプチルカルバモイルアミノ基、シクロヘプチルカルバモイルアミノ基、n-オクチルカルバモイルアミノ基、シクロオクチルカルバモイルアミノ基、n-ノニルカルバモイルアミノ基、シクロノニルカルバモイルアミノ基、n-デシルカルバモイルアミノ基、シクロデシルカルバモイルアミノ基、n-ウンデシルカルバモイルアミノ基、n-ドデシルカルバモイルアミノ基、n-トリデシルカルバモイルアミノ基、n-テトラデシルカルバモイルアミノ基、n-ペンタデシルカルバモイルアミノ基、n-ヘキサデシルカルバモイルアミノ基、n-へプタデシルカルバモイルアミノ基、n-オクタデシルカルバモイルアミノ基、n-ノナデシルカルバモイルアミノ基、n-イコシルカルバモイルアミノ基、ノルボニルカルバモイルアミノ基(ノルボルナン-χ-イルカルバモイルアミノ基)、ノルボニルメチルカルバモイルアミノ基(ノルボルナン-χ-イルメチルカルバモイルアミノ基)、ボルニルカルバモイルアミノ基(ボルナン-χ-イルカルバモイルアミノ基)、ボルニルメチルカルバモイルアミノ基(ボルナン-χ-イルメチルカルバモイルアミノ基)、メンチルカルバモイルアミノ基(メンタ-χ-イルカルバモイルアミノ基)、メンチルメチルカルバモイルアミノ基(メンタ-χ-イルメチルカルバモイルアミノ基)、アダマンチルカルバモイルアミノ基、アダマンチルメチルカルバモイルアミノ基、デカヒドロナフチルカルバモイルアミノ基、デカヒドロナフチルメチルカルバモイルアミノ基等のモノアルキルカルバモイルアミノ基;例えば、ジメチルカルバモイルアミノ基、ジエチルカルバモイルアミノ基、ジ-n-プロピルカルバモイルアミノ基、ジイソプロピルカルバモイルアミノ基、ジ-n-ブチルカルバモイルアミノ基、ジイソブチルカルバモイルアミノ基、ジ-sec-ブチルカルバモイルアミノ基、ジ-tert-ブチルカルバモイルアミノ基、ジシクロブチルカルバモイルアミノ基、ジ-n-ペンチルカルバモイルアミノ基、ジイソペンチルカルバモイルアミノ基、ジ-sec-ペンチルカルバモイルアミノ基、ジ-tert-ペンチルカルバモイルアミノ基、ジネオペンチルカルバモイルアミノ基、ジ-2-メチルブチルカルバモイルアミノ基、ビス(1,2-ジメチルプロピルカルバモイル)アミノ基、ジ-1-エチルプロピルカルバモイルアミノ基、ジシクロペンチルカルバモイルアミノ基、ジ-n-ヘキシルカルバモイルアミノ基、ジイソヘキシルカルバモイルアミノ基、ジ-sec-ヘキシルカルバモイルアミノ基、ジ-tert-ヘキシルカルバモイルアミノ基、ジネオヘキシルカルバモイルアミノ基、ジ-2-メチルペンチルカルバモイルアミノ基、ビス(1,2-ジメチルブチルカルバモイル)アミノ基、ビス(2,3-ジメチルブチルカルバモイル)アミノ基、ジ-1-エチルブチルカルバモイルアミノ基、ジシクロヘキシルカルバモイルアミノ基等のジアルキルカルバモイルアミノ基が挙げられる。
【0075】
官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルアミノ基におけるアルケニルカルバモイルアミノ基(-NHCONH-アルケニル基または-N(-CONH-アルケニル)基)としては、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12のアルケニルカルバモイルアミノ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルケニルカルバモイルアミノ基中の二重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、二重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルケニルカルバモイルアミノ基の具体例としては、例えば、ビニルカルバモイルアミノ基、1-プロぺニルカルバモイルアミノ基、2-プロぺニルカルバモイルアミノ基(アリルカルバモイルアミノ基)、イソプロぺニルカルバモイルアミノ基、n-ブテニルカルバモイルアミノ基、イソブテニルカルバモイルアミノ基、sec-ブテニルカルバモイルアミノ基、シクロブテニルカルバモイルアミノ基、n-ペンテニルカルバモイルアミノ基、イソペンテニルカルバモイルアミノ基、sec-ペンテニルカルバモイルアミノ基、tert-ペンテニルカルバモイルアミノ基、2-メチルブテニルカルバモイルアミノ基、1,2-ジメチルプロぺニルカルバモイルアミノ基、1-エチルプロぺニルカルバモイルアミノ基、シクロペンテニルカルバモイルアミノ基、n-ヘキセニルカルバモイルアミノ基、イソヘキセニルカルバモイルアミノ基、sec-ヘキセニルカルバモイルアミノ基、tert-ヘキセニルカルバモイルアミノ基、ネオヘキセニルカルバモイルアミノ基、2-メチルペンテニルカルバモイルアミノ基、1,2-ジメチルブテニルカルバモイルアミノ基、2,3-ジメチルブテニルカルバモイルアミノ基、1-エチルブテニルカルバモイルアミノ基、シクロヘキセニルカルバモイルアミノ基、n-ヘプテニルカルバモイルアミノ基、シクロヘプテニルカルバモイルアミノ基、n-オクテニルカルバモイルアミノ基、シクロオクテニルカルバモイルアミノ基、n-ノネニルカルバモイルアミノ基、シクロノネニルカルバモイルアミノ基、n-デセニルカルバモイルアミノ基、シクロデセニルカルバモイルアミノ基、n-ウンデセニルカルバモイルアミノ基、n-ドデセニルカルバモイルアミノ基、n-トリデセニルカルバモイルアミノ基、n-テトラデセニルカルバモイルアミノ基、n-ペンタデセニルカルバモイルアミノ基、n-ヘキサデセニルカルバモイルアミノ基、n-へプタデセニルカルバモイルアミノ基、n-オクタデセニルカルバモイルアミノ基、n-ノナデセニルカルバモイルアミノ基、n-イコセニルカルバモイルアミノ基等のモノアルケニルカルバモイルアミノ基;例えば、ジビニルカルバモイルアミノ基、ジ-1-プロぺニルカルバモイルアミノ基、ジ-2-プロぺニルカルバモイルアミノ基(ジアリルカルバモイルアミノ基)、ジイソプロぺニルカルバモイルアミノ基、ジ-n-ブテニルカルバモイルアミノ基、ジイソブテニルカルバモイルアミノ基、ジ-sec-ブテニルカルバモイルアミノ基、ジシクロブテニルカルバモイルアミノ基、ジ-n-ペンテニルカルバモイルアミノ基、ジイソペンテニルカルバモイルアミノ基、ジ-sec-ペンテニルカルバモイルアミノ基、ジ-tert-ペンテニルカルバモイルアミノ基、ジ-2-メチルブテニルカルバモイルアミノ基、ビス(1,2-ジメチルプロぺニルカルバモイル)アミノ基、ジ-1-エチルプロぺニルカルバモイルアミノ基、ジシクロペンテニルカルバモイルアミノ基、ジ-n-ヘキセニルカルバモイルアミノ基、ジイソヘキセニルカルバモイルアミノ基、ジ-sec-ヘキセニルカルバモイルアミノ基、ジ-tert-ヘキセニルカルバモイルアミノ基、ジネオヘキセニルカルバモイルアミノ基、ジ-2-メチルペンテニルカルバモイルアミノ基、ビス(1,2-ジメチルブテニルカルバモイル)アミノ基、ビス(2,3-ジメチルブテニルカルバモイル)アミノ基、ジ-1-エチルブテニルカルバモイルアミノ基、ジシクロヘキセニルカルバモイルアミノ基等のジアルケニルカルバモイルアミノ基が挙げられる。
【0076】
官能基を有していてもよいアルキニルカルバモイルアミノ基におけるアルキニルカルバモイルアミノ基(-NHCONH-アルキニル基または-N(-CONH-アルキニル)基)としては、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12のアルキニルカルバモイルアミノ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルキニルカルバモイルアミノ基中の三重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、三重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このようなアルキニルカルバモイルアミノ基の具体例としては、例えば、エチニルカルバモイルアミノ基、2-プロピニルカルバモイルアミノ基(プロパルギルカルバモイルアミノ基)、n-ブチニルカルバモイルアミノ基、n-ペンチニルカルバモイルアミノ基、イソペンチニルカルバモイルアミノ基、tert-ペンチニルカルバモイルアミノ基、2-メチルブチニルカルバモイルアミノ基、n-ヘキシニルカルバモイルアミノ基、イソヘキシニルカルバモイルアミノ基、sec-ヘキシニルカルバモイルアミノ基、tert-ヘキシニルカルバモイルアミノ基、ネオヘキシニルカルバモイルアミノ基、2-メチルペンチニルカルバモイルアミノ基、1,2-ジメチルブチニルカルバモイルアミノ基、1-エチルブチニルカルバモイルアミノ基、シクロヘキシニルカルバモイルアミノ基、n-へプチニルカルバモイルアミノ基、シクロへプチニルカルバモイルアミノ基、n-オクチニルカルバモイルアミノ基、シクロオクチニルカルバモイルアミノ基、n-ノニニルカルバモイルアミノ基、シクロノニニルカルバモイルアミノ基、n-デシニルカルバモイルアミノ基、シクロデシニルカルバモイルアミノ基、n-ウンデシニルカルバモイルアミノ基、n-ドデシニルカルバモイルアミノ基、n-トリデシニルカルバモイルアミノ基、n-テトラデシニルカルバモイルアミノ基、n-ペンタデシニルカルバモイルアミノ基、n-ヘキサデシニルカルバモイルアミノ基、n-へプタデシニルカルバモイルアミノ基、n-オクタデシニルカルバモイルアミノ基、n-ノナデシニルカルバモイルアミノ基、n-イコシニルカルバモイルアミノ基等のモノアルキニルカルバモイルアミノ基;例えば、ジエチニルカルバモイルアミノ基、ジ-2-プロピニルカルバモイルアミノ基(ジプロパルギルカルバモイルアミノ基)、ジ-n-ブチニルカルバモイルアミノ基、ジ-n-ペンチニルカルバモイルアミノ基、ジイソペンチニルカルバモイルアミノ基、ジ-tert-ペンチニルカルバモイルアミノ基、ジ-2-メチルブチニルカルバモイルアミノ基、ジ-n-ヘキシニルカルバモイルアミノ基、ジイソヘキシニルカルバモイルアミノ基、ジ-sec-ヘキシニルカルバモイルアミノ基、ジ-tert-ヘキシニルカルバモイルアミノ基、ジネオヘキシニルカルバモイルアミノ基、ジ-2-メチルペンチニルカルバモイルアミノ基、ビス(1,2-ジメチルブチニルカルバモイル)アミノ基、ジ-1-エチルブチニルカルバモイルアミノ基、ジシクロヘキシニルカルバモイルアミノ基等のジアルキニルカルバモイルアミノ基が挙げられる。
【0077】
置換基を有していてもよいアリールカルバモイルアミノ基におけるアリールカルバモイルアミノ基(-NHCONH-アリール基または-N(-CONH-アリール)基)としては、炭素数7~22、好ましくは炭素数7~14、より好ましくは炭素数7のアリールカルバモイルアミノ基が挙げられる。このようなアリールカルバモイルアミノ基の具体例としては、例えば、フェニルカルバモイルアミノ基、ナフチルカルバモイルアミノ基、アントラセニルカルバモイルアミノ基、フェナントレニルカルバモイルアミノ基等のモノアリールカルバモイルアミノ基;例えば、ジフェニルカルバモイルアミノ基、ジナフチルカルバモイルアミノ基等のジアリールカルバモイルアミノ基が挙げられる。
【0078】
置換基を有していてもよいアリールアルキルカルバモイルアミノ基におけるアリールアルキルカルバモイルアミノ基(-NHCONH-アルキル-アリール基または-N(-CONH-アルキル-アリール)基)としては、炭素数8~24、好ましくは炭素数8~16、より好ましくは炭素数8のアリールアルキルカルバモイルアミノ基が挙げられ、該アリールアルキルカルバモイルアミノ基中のアルキル基は、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアリールアルキルカルバモイルアミノ基の具体例としては、例えば、ベンジルカルバモイルアミノ基、フェネチルカルバモイルアミノ基(フェニルエチルカルバモイルアミノ基)、メチルベンジルカルバモイルアミノ基、フェニルプロピルカルバモイルアミノ基、1-メチルフェニルエチルカルバモイルアミノ基、フェニルブチルカルバモイルアミノ基、2-メチルフェニルプロピルカルバモイルアミノ基、テトラヒドロナフチルカルバモイルアミノ基、ナフチルメチルカルバモイルアミノ基、ナフチルエチルカルバモイルアミノ基、インデニルカルバモイルアミノ基、フルオレニルカルバモイルアミノ基、アントラセニルメチルカルバモイルアミノ基(アントリルメチルカルバモイルアミノ基)、フェナントレニルメチルカルバモイルアミノ基(フェナントリルメチルカルバモイルアミノ基)等のモノアリールアルキルカルバモイルアミノ基;例えば、ジベンジルカルバモイルアミノ基、ジフェネチルカルバモイルアミノ基(ビス(フェニルエチルカルバモイル)アミノ基)、ビス(メチルベンジルカルバモイル)アミノ基、ビス(フェニルプロピルカルバモイル)アミノ基、ビス(1-メチルフェニルエチルカルバモイル)アミノ基、ビス(フェニルブチルカルバモイル)アミノ基、ビス(2-メチルフェニルプロピルカルバモイル)アミノ基、ビス(テトラヒドロナフチルカルバモイル)アミノ基等のジアリールアルキルカルバモイルアミノ基が挙げられる。
【0079】
置換基を有していてもよい1価の複素環カルバモイルアミノ基における複素環カルバモイルアミノ基(-NHCONH-複素環基または-N(-CONH-複素環)基)としては、炭素数2~18、好ましくは炭素数2~14、より好ましくは炭素数2~8の複素環カルバモイルアミノ基が挙げられる。このような複素環カルバモイルアミノ基の具体例としては、例えば、フラニルカルバモイルアミノ基、テトラヒドロフラニルカルバモイルアミノ基、ピラニルカルバモイルアミノ基、テトラヒドロピラニルカルバモイルアミノ基、ピロリルカルバモイルアミノ基、ピロリジニルカルバモイルアミノ基、イミダゾリルカルバモイルアミノ基、イミダゾリジニルカルバモイルアミノ基、ピラゾリルカルバモイルアミノ基、ピラゾリジニルカルバモイルアミノ基、トリアゾリルカルバモイルアミノ基、トリアゾリジニルカルバモイルアミノ基、テトラゾリルカルバモイルアミノ基、テトラゾリジニルカルバモイルアミノ基、ピペリジニルカルバモイルアミノ基、ピリジルカルバモイルアミノ基、ピラジニルカルバモイルアミノ基、ピペラジニルカルバモイルアミノ基、ピリミジニルカルバモイルアミノ基、トリアジニルカルバモイルアミノ基、チエニルカルバモイルアミノ基、テトラヒドロチエニルカルバモイルアミノ基、インドリルカルバモイルアミノ基、カルバゾリルカルバモイルアミノ基、アクリジニルカルバモイルアミノ基、キサンテニルカルバモイルアミノ基、チオキサンテニルカルバモイルアミノ基、モルホリノカルバモイルアミノ基、オキサゾリルカルバモイルアミノ基、オキサゾリジニルカルバモイルアミノ基、イソオキサゾリルカルバモイルアミノ基、イソオキサゾリジニルカルバモイルアミノ基、チアゾリルカルバモイルアミノ基等の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子等のヘテロ原子を有するモノ複素環カルバモイルアミノ基;例えば、ジフラニルカルバモイルアミノ基、ジテトラヒドロフラニルカルバモイルアミノ基、ジピラニルカルバモイルアミノ基、ジテトラヒドロピラニルカルバモイルアミノ基、ジピロリルカルバモイルアミノ基、ジピロリジニルカルバモイルアミノ基、ジイミダゾリルカルバモイルアミノ基、ジイミダゾリジニルカルバモイルアミノ基、ジピラゾリルカルバモイルアミノ基、ジピラゾリジニルカルバモイルアミノ基、ジトリアゾリルカルバモイルアミノ基、ジトリアゾリジニルカルバモイルアミノ基、ジテトラゾリルカルバモイルアミノ基、ジテトラゾリジニルカルバモイルアミノ基、ジピペリジニルカルバモイルアミノ基、ジピリジルカルバモイルアミノ基、ジピラジニルカルバモイルアミノ基、ジピペラジニルカルバモイルアミノ基、ジピリミジニルカルバモイルアミノ基、ジトリアジニルカルバモイルアミノ基、ジチエニルカルバモイルアミノ基、ジテトラヒドロチエニルカルバモイルアミノ基等の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子等のヘテロ原子を有するジ複素環カルバモイルアミノ基が挙げられる。
【0080】
官能基を有していてもよいトリアルキルシリルオキシ基におけるトリアルキルシリルオキシ基(-OSi(-アルキル)基)としては、炭素数3~20、好ましくは炭素数3~9、より好ましくは炭素数3~6のトリアルキルシリルオキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなトリアルキルシリルオキシ基の具体例としては、例えば、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ-n-プロピルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert-ブチルジメチルシリルオキシ基、トリ-n-ブチルシリルオキシ基、トリイソブチルシリルオキシ基、トリ-sec-ブチルシリルオキシ基、トリ-tert-ブチルシリルオキシ基、トリシクロブチルシリルオキシ基、トリ-n-ペンチルシリルオキシ基、トリイソペンチルシリルオキシ基、トリ-sec-ペンチルシリルオキシ基、トリ-tert-ペンチルシリルオキシ基、トリネオペンチルシリルオキシ基、トリ-2-メチルブチルシリルオキシ基、トリス(1,2-ジメチルプロピル)シリルオキシ基、トリ-1-エチルプロピルシリルオキシ基、トリシクロペンチルシリルオキシ基、トリ-n-ヘキシルシリルオキシ基、トリイソヘキシルシリルオキシ基、トリ-sec-ヘキシルシリルオキシ基、トリ-tert-ヘキシルシリルオキシ基、トリネオヘキシルシリルオキシ基、トリ-2-メチルペンチルシリルオキシ基、トリス(1,2-ジメチルブチル)シリルオキシ基、トリス(2,3-ジメチルブチル)シリルオキシ基、トリ-1-エチルブチルシリルオキシ基、トリシクロヘキシルシリルオキシ基等が挙げられる。
【0081】
一般式(3)、(4)および(5)において、R、RおよびRで表される鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基としては、炭素数1~12、好ましくは炭素数2~8、より好ましくは炭素数2~6のものが挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このような鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、トリメチレン基、プロピレン基(メチルジメチレン基)、ジメチルメチレン基、シクロプロピレン基、テトラメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基(1,1-ジメチルジメチレン基)、シクロブチレン基、ペンタメチレン基、シクロペンチレン基、ヘキサメチレン基、シクロへキシレン基、へプタメチレン基、シクロへプチレン基、オクタメチレン基、シクロオクチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、アダマンタンジイル基等の(鎖中に酸素原子を有さない)アルキレン基;例えば、-(CHO(CH-基、-(CH[O(CH-]基、-(CH[O(CH-]基、-(CH[O(CH-]基、-(CH[O(CH-]基、-(CHOCH(CH)CH-基、-(CH[O(CH(CH)CH)-]基、-(CH[O(CH(CH)CH)-]基等の鎖中に酸素原子を有するアルキレン基(ただし、酸素原子のみを有する2価の複素環基を除く。)が挙げられる。
【0082】
一般式(3)、(4)および(5)において、R、RおよびRで表される鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基としては、炭素数1~12、好ましくは炭素数2~8、より好ましくは炭素数2~6のものが挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このような鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基の具体例としては、例えば、ジフルオロメチレン基、テトラフルオロエチレン基(テトラフルオロジメチレン基)、パーフルオロトリメチレン基、パーフルオロプロピレン基(パーフルオロメチルジメチレン基)、パーフルオロジメチルメチレン基、パーフルオロシクロプロピレン基、パーフルオロテトラメチレン基、パーフルオロ-1,1-ジメチルエチレン基(パーフルオロ-1,1-ジメチルジメチレン基)、パーフルオロシクロブチレン基、パーフルオロペンタメチレン基、パーフルオロシクロペンチレン基、パーフルオロヘキサメチレン基、パーフルオロシクロへキシレン基、パーフルオロへプタメチレン基、パーフルオロシクロへプチレン基、パーフルオロオクタメチレン基、パーフルオロシクロオクチレン基、パーフルオロノナメチレン基、パーフルオロデカメチレン基、パーフルオロウンデカメチレン基、パーフルオロドデカメチレン基、パーフルオロアダマンタンジイル基等の(鎖中に酸素原子を有さない)パーフルオロアルキレン基;例えば、-(CFO(CF-基、-(CF[O(CF-]基、-(CF[O(CF-]基、-(CF[O(CF-]基、-(CF[O(CF-]基、-(CFOCF(CF)CF-基、-(CF[O(CF(CF)CF)-]基、-(CF[O(CF(CF)CF)-]基等の鎖中に酸素原子を有するパーフルオロアルキレン基が挙げられる。
【0083】
一般式(3)、(4)および(5)において、R、RおよびRで表される置換基を有していてもよいアリーレン基におけるアリーレン基としては、炭素数6~14、好ましくは炭素数6~10、より好ましくは炭素数6のアリーレン基が挙げられる。このようなアリーレン基の具体例としては、例えば、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基等のフェニレン基、1,2-ナフチレン基、1,3-ナフチレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、1,6-ナフチレン基、1,7-ナフチレン基、1,8-ナフチレン基、2,3-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基等のナフチレン基、1,2-アントラセニレン基、1,3-アントラセニレン基、1,4-アントラセニレン基、1,5-アントラセニレン基、1,6-アントラセニレン基、1,7-アントラセニレン基、1,8-アントラセニレン基、1,9-アントラセニレン基、1,10-アントラセニレン基、2,3-アントラセニレン基、2,6-アントラセニレン基、2,7-アントラセニレン基、2,9-アントラセニレン基、2,10-アントラセニレン基等のアントラセニレン基、1,2-フェナントレニレン基、1,3-フェナントレニレン基、1,4-フェナントレニレン基、1,5-フェナントレニレン基、1,6-フェナントレニレン基、1,7-フェナントレニレン基、1,8-フェナントレニレン基、1,9-フェナントレニレン基、1,10-フェナントレニレン基、2,3-フェナントレニレン基、2,4-フェナントレニレン基、2,5-フェナントレニレン基、2,6-フェナントレニレン基、2,7-フェナントレニレン基、2,8-フェナントレニレン基、2,9-フェナントレニレン基、2,10-フェナントレニレン基、3,4-フェナントレニレン基、3,5-フェナントレニレン基、3,6-フェナントレニレン基、3,9-フェナントレニレン基、3,10-フェナントレニレン基、4,5-フェナントレニレン基、4,9-フェナントレニレン基、4,10-フェナントレニレン基、9,10-フェナントレニレン基等のフェナントレニレン基が挙げられる。
【0084】
一般式(5)において、Rで表される鎖中に酸素原子を有していてもよいアルケニレン基としては、炭素数2~12、好ましくは炭素数2~8、より好ましくは炭素数2~6のものが挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、アルケニレン基中の二重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、二重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このような鎖中に酸素原子を有していてもよいアルケニレン基の具体例としては、例えば、-CH=CH-基、-CH-CH=CH-基、-CH-C(=CH)-基、-CH-C(=CH)-基、-CH-CH-CH=CH-基、-CH-CH=CH-CH-基、-CH-CH-C(=CH)-基、-CH=CH-CH=CH-基、-CH-CH-CH-CH=CH-基、-CH-CH-CH=CH-CH-基、-CH-CH-CH-C(=CH)-基、-CH-CH=CH-CH=CH-基、-CH-CH-CH-CH-CH=CH-基、-CH-CH-CH-CH=CH-CH-基、-CH-CH-CH=CH-CH-CH-基、-CH-CH-CH-CH-C(=CH)-基、-CH-CH-CH=CH-CH=CH-基、-CH=CH-CH=CH-CH=CH-基、シクロブテニレン基、シクロペンテニレン基、シクロへキセニレン基等の(鎖中に酸素原子を有さない)アルケニレン基;例えば、-CH=CH-O-(CH-基、-CH=CH-O-CH=CH-基、-CH=CH-[O(CH-]基、-CH=CH-(O-CH=CH-)基、-CH=CH-[O(CH-]基、-CH=CH-(O-CH=CH-)基、-CH=CH-[O(CH-]基、-CH=CH-(O-CH=CH-)基、-CH=CH-[O(CH-]基、-CH=CH-(O-CH=CH-)基、-CH=CH-OCH(CH)CH-基、-CH=CH-O-C(CH)=CH-基、-CH=CH-[O(CH(CH)CH)-]基、-CH=CH-[O-C(CH)=CH-]基、-CH=CH-[O(CH(CH)CH)-]基、-CH=CH-[O-C(CH)=CH-]基等の鎖中に酸素原子を有するアルケニレン基(ただし、酸素原子のみを有する2価の複素環基を除く。)が挙げられる。
【0085】
一般式(5)において、Rで表される鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルケニレン基としては、炭素数2~12、好ましくは炭素数2~8、より好ましくは炭素数2~6のものが挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。また、フルオロアルケニレン基中の二重結合は、鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、二重結合の個数は1つまたは複数存在してもよい。このような鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルケニレン基の具体例としては、例えば、-CF=CF-基、-CF-CF=CF-基、-CF-C(=CF)-基、-CF-C(=CF)-基、-CF-CF-CF=CF-基、-CF-CF=CF-CF-基、-CF-CF-C(=CF)-基、-CF=CF-CF=CF-基、-CF-CF-CF-CF=CF-基、-CF-CF-CF=CF-CF-基、-CF-CF-CF-C(=CF)-基、-CF-CF=CF-CF=CF-基、-CF-CF-CF-CF-CF=CF-基、-CF-CF-CF-CF=CF-CF-基、-CF-CF-CF=CF-CF-CF-基、-CF-CF-CF-CF-C(=CF)-基、-CF-CF-CF=CF-CF=CF-基、-CF=CF-CF=CF-CF=CF-基、パーフルオロシクロブテニレン基、パーフルオロシクロペンテニレン基、パーフルオロシクロへキセニレン基等の(鎖中に酸素原子を有さない)フルオロアルケニレン基;例えば、-CF=CF-O-(CF-基、-CF=CF-O-CF=CF-基、-CF=CF-[O(CF-]基、-CF=CF-(O-CF=CF-)基、-CF=CF-[O(CF-]基、-CF=CF-(O-CF=CF-)基、-CF=CF-[O(CF-]基、-CF=CF-(O-CF=CF-)基、-CF=CF-[O(CF-]基、-CF=CF-(O-CF=CF-)基、-CF=CF-OCF(CF)CF-基、-CF=CF-O-C(CF)=CF-基、-CF=CF-[O(CF(CF)CF)-]基、-CF=CF-[O-C(CF)=CF-]基、-CF=CF-[O(CF(CF)CF)-]基、-CF=CF-[O-C(CF)=CF-]基等の鎖中に酸素原子を有するフルオロアルケニレン基(ただし、酸素原子のみを有する2価の複素環基を除く。)が挙げられる。
【0086】
一般式(5)において、Rで表される鎖中に酸素原子を有していてもよく、置換基を有していてもよいアリールアルキレン基における鎖中に酸素原子を有していてもよいアリールアルキレン基としては、炭素数7~20、好ましくは炭素数7~12、より好ましくは炭素数2~6のものが挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このような鎖中に酸素原子を有していてもよいアリールアルキレン基の具体例としては、例えば、ベンジレン基、フェネチレン基(フェニルエチレン基)、メチルベンジレン基、フェニルプロピレン基、1-メチルフェニルエチレン基、フェニルブチレン基、2-メチルフェニルプロピレン基、テトラヒドロナフチレン基、ナフチルメチレン基、ナフチルエチレン基、インデニレン基、フルオレニレン基、アントラセニルメチレン基(アントリルメチレン基)、フェナントレニルメチレン基(フェナントリルメチレン基)等の(鎖中に酸素原子を有さない)アリールアルキレン基;例えば、フェノキシメチレン基、フェノキシエチレン基、1-メチルフェノキシメチレン基、フェノキシプロピレン基、1-メチルフェノキシエチレン基、フェノキシブチレン基、2-メチルフェノキシプロピレン基、ナフチルオキシメチレン基、ナフチルオキシエチレン基、アントラセニルオキシメチレン基(アントリルオキシメチレン基)、フェナントレニルオキシメチレン基(フェナントリルオキシメチレン基)等の鎖中に酸素原子を有するアリールアルキレン基(ただし、酸素原子のみを有する2価の複素環基を除く。)が挙げられる。
【0087】
一般式(5)において、Rで表される置換基を有していてもよい2価の複素環基における2価の複素環基としては、炭素数1~14、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6の2価の複素環基が挙げられる。このような2価の複素環基の具体例としては、例えば、フラニレン基、テトラヒドロフラニレン基、ピラニレン基、テトラヒドロピラニレン基、ピロリレン基、ピロリジニレン基、イミダゾリレン基、イミダゾリジニレン基、ピラゾリレン基、ピラゾリジニレン基、トリアゾリレン基、トリアゾリジニレン基、テトラゾリレン基、テトラゾリジニレン基、ピペリジニレン基、ピリジレン基、ピラジニレン基、ピペラジニレン基、ピリミジニレン基、トリアジニレン基、チエニレン基、テトラヒドロチエニレン基、インドリレン基、カルバゾリレン基、アクリジニレン基、キサンテニレン基、チオキサンテニレン基、モルホリニレン基、オキサゾリレン基、オキサゾリジニレン基、イソオキサゾリレン基、イソオキサゾリジニレン基、チアゾリレン基等の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子等のヘテロ原子を有する2価の複素環基が挙げられる。
【0088】
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環オキシ基、置換基を有していてもよいアリールカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールカーボネート基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカーボネート基、置換基を有していてもよい1価の複素環カーボネート基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環アミノ基、置換基を有していてもよいアリールカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環カルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよいアリーレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよく、置換基を有していてもよいアリールアルキレン基および置換基を有していてもよい2価の複素環基における、置換基としては、構成原子として、炭素原子、窒素原子、酸素原子および/またはハロゲン原子を含む。また、当該置換基は、アリール基または複素環基中のいずれの位置に存在していてもよく、1つの基に種類の異なる置換基が2種以上存在していてもよいし、1つの基に同一の置換基が複数存在していてもよい。このような置換基の具体例としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、イソシアネート基、ハロゲノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0089】
置換基の具体例として挙げられるアルキル基としては、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~4のアルキル基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0090】
置換基の具体例として挙げられるアルコキシ基としては、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルコキシ基の具体例としては、官能基を有していてもよいアルコキシ基におけるアルコキシ基の具体例と同様のものが挙げられる。
【0091】
置換基の具体例として挙げられるハロゲノ基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等が挙げられ、なかでも、フルオロ基およびクロロ基が好ましく、フルオロ基がより好ましい。
【0092】
官能基を有していてもよいアルコキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルケニルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルキニルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、官能基を有していてもよいハロゲノアルキルスルホニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキニルカルバモイルアミノ基および官能基を有していてもよいトリアルキルシリルオキシ基における、官能基としては、構成原子として、炭素原子、窒素原子および/または酸素原子を含む。また、当該官能基は、各基中のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基の鎖中または鎖の末端のいずれの位置に存在していてもよく、1つの鎖に種類の異なる官能基が2種以上存在していてもよいし、1つの鎖に同一の官能基が複数存在していてもよい。このような官能基の具体例としては、例えば、エーテル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、アミノカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、トリアルキルアンモニウム基等が挙げられ、なかでも、エーテル基、アミノ基、カルボキシ基およびアミノカルボニル基が好ましい。
【0093】
一般式(1)中のRおよびRとしては、ヒドロキシ基、アミノ基、官能基を有していてもよいアルコキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルケニルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルアミノ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルアミノ基が好ましく、なかでも、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基がより好ましく、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基がさらに好ましく、ヒドロキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基;ならびにエーテル基、アミノ基および/またはアミノカルボニル基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基が特に好ましい。
【0094】
一般式(1)中のRとしては、ヒドロキシ基、アミノ基、官能基を有していてもよいアルコキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルケニルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルアミノ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルアミノ基が好ましく、なかでも、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基がより好ましく、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基がさらに好ましく、ヒドロキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基;ならびにエーテル基、アミノ基および/またはアミノカルボニル基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基が特に好ましく、ヒドロキシ基が最も好ましい。
【0095】
一般式(1)中の各Rは、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0096】
一般式(1)中の各Rは、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0097】
一般式(1)中の各Rは、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0098】
一般式(1)中のmとしては、1~3の整数を表し、なかでも、2または3が好ましく、2がより好ましい。
【0099】
一般式(1)中のR~Rの1つ以上がヒドロキシ基以外の基である化合物を含むカテナンは、α-シクロデキストリン(α-CyD)、β-シクロデキストリン(β-CyD)、γ-シクロデキストリン(γ-CyD)等のCyD中のヒドロキシ基を修飾することによって製造することができる。一般式(1)中のR~Rがすべてヒドロキシ基であるシクロデキストリンのうち、反応性が最も高いヒドロキシ基は、Rで示されるヒドロキシル基であり、反応性が最も低いヒドロキシル基は、Rで示されるヒドロキシル基である。そのため、CyDのヒドロキシ基が修飾された修飾CyDを製造する際には、一般的に、R>R>Rの順に修飾される可能性が高いが、本発明のカテナンは、必ずしもこの順序で修飾されたものに限定されない。例えば、一般式(1)で表される化合物を3個含むカテナンであって、当該一般式(1)で表される化合物のR~Rのうちの1つがアルキルカルバモイル基で修飾された(すなわち、アルキルカルバモイルオキシ基である)化合物を含むカテナンとは、一般式(1)で表される化合物3個すべてが、1つのアルキルカルバモイル基で修飾された化合物を含むカテナンのみならず、1つのアルキルカルバモイル基で修飾された化合物が1個と、2つのアルキルカルバモイル基で修飾された化合物が1個と、アルキルカルバモイル基で修飾されていない化合物が1個である合計3個の化合物を含むカテナンであって、平均すると、1つのアルキルカルバモイル基で修飾された化合物を含むカテナンも、上述のカテナンに含まれる。すなわち、本発明のカテナンは、複数の一般式(1)で表される化合物を含む場合において、一般式(1)中のR~Rが、複数の化合物間で同一のものだけでなく、用途や使用目的における機能や効果が同等であれば、複数の化合物間で、一般式(1)中のR~Rが異なるものも、本発明のカテナンに含まれる。
【0100】
本発明のカテナンの一態様として、一般式(1)中の各Rがすべてヒドロキシ基であるカテナンが好ましい場合がある。
【0101】
本発明のカテナンの一態様として、一般式(1)中の各R~Rがすべてヒドロキシ基であるカテナンが好ましい場合がある。
【0102】
本発明のカテナンの一態様として、一般式(1)で表される化合物として、一般式(1)中の各R~Rのうちの1~21個が炭化水素基である化合物が好ましく、なかでも、各R~Rのうちの1~14個が炭化水素基である化合物がより好ましく、各R~Rのうちの1~7個が炭化水素基である化合物がさらに好ましく、各R~Rのうちの2~6個が炭化水素基である化合物が特に好ましく、各R~Rのうちの3~5個が炭化水素基である化合物が最も好ましい場合がある。
【0103】
別の態様として、各R~Rのうちの1~14個が炭化水素基である化合物が好ましく、各Rのうちの1~7個が炭化水素基である化合物がより好ましく、各Rのうちの2~6個が炭化水素基である化合物がさらに好ましく、各Rのうちの3~5個が炭化水素基である化合物が特に好ましい場合がある。
【0104】
一般式(2)中のxとしては、2以上の整数(分子量換算で、分子量88以上)を表し、なかでも、5以上の整数(分子量220以上)が好ましく、10以上の整数(分子量440以上)がより好ましく、15以上の整数(分子量660以上)がさらに好ましい。具体的な一態様において、xは、500以下の整数(分子量22000以下)を表し、なかでも、400以下の整数(分子量17600以下)が好ましく、200以下の整数(分子量8800以下)がより好ましく、150以下の整数(分子量6600以下)がさらに好ましい。また、好ましい態様において、xは、2~500の整数を表し、なかでも、5~200の整数が好ましく、10~200の整数がより好ましく、15~150の整数がさらに好ましい。なお、n個のxは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0105】
一般式(2)中のyとしては、2以上の整数(分子量換算で、分子量116以上)を表し、なかでも、5以上の整数(分子量290以上)が好ましく、10以上の整数(分子量580以上)がより好ましく、30以上の整数(分子量1740以上)がさらに好ましく、50以上の整数(分子量2900以上)が特に好ましい。具体的な一態様において、yは、300以下の整数(分子量17400以下)を表し、なかでも、200以下の整数(分子量11600以下)が好ましく、100以下の整数(分子量5800以下)がより好ましく、80以下の整数(分子量4640以下)がさらに好ましい。また、好ましい態様において、yは、2~300の整数を表し、なかでも、5~100の整数が好ましく、10~100の整数がより好ましく、50~80の整数がさらに好ましい。なお、n個のyは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0106】
一般式(2)中のzとしては、2以上の整数(分子量換算で、分子量88以上)を表し、なかでも、5以上の整数(分子量220以上)が好ましく、10以上の整数(分子量440以上)がより好ましく、15以上の整数(分子量660以上)がさらに好ましい。具体的な一態様において、zは、500以下の整数(分子量22000以下)を表し、なかでも、400以下の整数(分子量17600以下)が好ましく、200以下の整数(分子量8800以下)がより好ましく、150以下の整数(分子量6600以下)がさらに好ましい。また、好ましい態様において、zは、2~500の整数を表し、なかでも、5~200の整数が好ましく、10~200の整数がより好ましく、15~150の整数がさらに好ましい。なお、n個のzは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0107】
一般式(2)中のxとzは、同一の整数であることが好ましい。
【0108】
一般式(2)中のx、yおよびzの好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせが挙げられる。
【0109】
【表1】
【0110】
一般式(2)中のnとしては、1以上の整数を表し、なかでも、1~10の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1~3の整数がさらに好ましく、1が特に好ましい。
【0111】
一般式(2)中のxの総和とは、「n個のxの総和」を意味し、n個のxを、それぞれx、x、x・・・xとした場合、x+x+x+・・・xを意味する。例えば、n=2の場合には、「n個のxの総和」はx+xとなり、n=3の場合には、「n個のxの総和」はx+x+xである。具体的な一態様において、xの総和としては、2以上の整数(分子量88以上)を表し、なかでも、5以上の整数(分子量220以上)が好ましく、10以上の整数(分子量440以上)がより好ましく、15以上の整数(分子量660以上)がさらに好ましい。具体的な一態様において、xの総和は、5000以下の整数(分子量220000以下)を表し、なかでも、2000以下の整数(分子量88000以下)が好ましく、1500以下の整数(分子量66000以下)がより好ましく、1000以下の整数(分子量44000以下)がさらに好ましく、600以下の整数(分子量26400以下)がなお好ましく、450以下の整数(分子量19800以下)がさらに好ましく、200以下の整数(分子量8800以下)が特に好ましく、150以下の整数(分子量6600以下)が最も好ましい。また、好ましい態様において、xの総和は、2~5000の整数を表し、なかでも、5~1000の整数が好ましく、5~600の整数がより好ましく、5~200の整数がさらに好ましく、10~200の整数が特に好ましく、15~150の整数が最も好ましい。
【0112】
一般式(2)中のyの総和とは、「n個のyの総和」を意味し、n個のyを、それぞれy、y、y・・・yとした場合、y+y+y+・・・yを意味する。例えば、n=2の場合には、「n個のyの総和」はy+yとなり、n=3の場合には、「n個のyの総和」はy+y+yである。具体的な一態様において、yの総和としては、2以上の整数(分子量116以上)を表し、なかでも、5以上の整数(分子量290以上)が好ましく、10以上の整数(分子量580以上)がより好ましく、30以上の整数(分子量1740以上)がさらに好ましく、50以上の整数(分子量2900以上)が特に好ましい。具体的な一態様において、yの総和は、3000以下の整数(分子量174000以下)を表し、なかでも、2000以下の整数(分子量116000以下)が好ましく、1000以下の整数(分子量58000以下)がより好ましく、500以下の整数(分子量29000以下)がさらに好ましく、400以下の整数(分子量23200以下)がなお好ましく、300以下の整数(分子量17400以下)がさらに好ましく、100以下の整数(分子量5800以下)が特に好ましく、80以下の整数(分子量4640以下)が最も好ましい。また、好ましい態様において、yの総和は、2~3000の整数を表し、なかでも、5~500の整数が好ましく、5~300の整数がより好ましく、5~100の整数がさらに好ましく、10~100の整数が特に好ましく、50~80の整数が最も好ましい。また、別の好ましい態様において、yの総和は、一般式(1)で表される化合物(CyDまたはその誘導体)の個数の2倍以上の整数が好ましい場合がある。すなわち、本発明のカテナン中に一般式(1)で表される化合物をX個含む場合には、yの総和は2×X個以上の整数が好ましい。
【0113】
一般式(2)中のzの総和とは、「n個のzの総和」を意味し、n個のzを、それぞれz、z、z・・・zとした場合、z+z+z+・・・zを意味する。例えば、n=2の場合には、「n個のzの総和」はz+zとなり、n=3の場合には、「n個のzの総和」はz+z+zである。具体的な一態様において、zの総和としては、2以上の整数(分子量88以上)を表し、なかでも、5以上の整数(分子量220以上)が好ましく、10以上の整数(分子量440以上)がより好ましく、15以上の整数(分子量660以上)がさらに好ましい。具体的な一態様において、zの総和は、5000以下の整数(分子量220000以下)を表し、なかでも、2000以下の整数(分子量88000以下)が好ましく、1500以下の整数(分子量66000以下)がより好ましく、1000以下の整数(分子量44000以下)がさらに好ましく、600以下の整数(分子量26400以下)がなお好ましく、450以下の整数(分子量19800以下)がさらに好ましく、200以下の整数(分子量8800以下)が特に好ましく、150以下の整数(分子量6600以下)が最も好ましい。また、好ましい態様において、zの総和は、2~5000の整数を表し、なかでも、5~1000の整数が好ましく、5~600の整数がより好ましく、5~200の整数がさらに好ましく、10~200の整数が特に好ましく、15~150の整数が最も好ましい。
【0114】
一般式(2)中のx、y、zおよびnの組み合わせ、すなわち、xの総和、yの総和およびzの総和の好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせが挙げられる。
【0115】
【表2】
【0116】
本発明のカテナン中の一般式(1)で表される化合物の数としては、本発明のカテナンの用途や使用目的等によって異なるが、当該用途や使用目的における機能や効果を著しく損なわない限り任意である。一般式(1)で表される化合物の数の具体例としては、例えば、1個以上が挙げられ、なかでも、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。具体的な一態様において、一般式(1)で表される化合物の数としては、1100個以下が挙げられ、なかでも、550個以下が好ましく、275個以下がより好ましく、165個以下がさらに好ましく、110個以下がなお好ましく、55個以下が特に好ましく、35個以下が最も好ましい。また、別の一態様において、一般式(1)で表される化合物の数としては、1000個以下が挙げられ、なかでも、500個以下が好ましく、250個以下がより好ましく、150個以下がさらに好ましく、100個以下がなお好ましく、50個以下が特に好ましく、35個以下が最も好ましい場合がある。さらにまた、好ましい一態様において、一般式(1)で表される化合物の数としては、1~1100個が挙げられ、なかでも、1~550個が好ましく、1~275個がより好ましく、1~165個がさらに好ましく、1~110個がなお好ましく、1~55個が特に好ましく、3~35個が最も好ましい。別の好ましい一態様において、一般式(1)で表される化合物の数としては、1~1000個が挙げられ、なかでも、1~500個が好ましく、1~250個がより好ましく、1~150個がさらに好ましく、1~100個がなお好ましく、1~50個が特に好ましく、3~35個が最も好ましい場合がある。一般式(1)で表される化合物の数を上述の好ましい範囲とすることにより、本発明のカテナンを容易に製造できる等の利点がある。
【0117】
一般式(1)で表される化合物の数と一般式(2)中のnの好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせが挙げられる。
【0118】
【表3】
【0119】
一般式(3)および(4)中のRおよびRとしては、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基および置換基を有していてもよいアリーレン基が好ましく、なかでも、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基がより好ましく、(鎖中に酸素原子を有さない)アルキレン基がさらに好ましい。
【0120】
一般式(3)中のRと一般式(4)中のRは、同一の基であることが好ましい。
【0121】
一般式(5)中のRとしては、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルケニレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルケニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基および鎖中に酸素原子を有していてもよく、置換基を有していてもよいアリールアルキレン基が好ましく、なかでも、(鎖中に酸素原子を有さない)アルキレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)フルオロアルキレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)アルケニレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)フルオロアルケニレン基、(置換基を有さない)アリーレン基および(置換基を有さない)アリールアルキレン基がより好ましく、(鎖中に酸素原子を有さない)アルキレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)フルオロアルキレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)アルケニレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)フルオロアルケニレン基および(置換基を有さない)アリーレン基がさらに好ましく、(鎖中に酸素原子を有さない)アルキレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)アルケニレン基および(置換基を有さない)アリーレン基が特に好ましく、(置換基を有さない)アリーレン基が最も好ましい。
【0122】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、式(1-1)~(1-12)で表される化合物が挙げられる。ただし、これらの具体例は一例であって、一般式(1)で表される化合物は、これらの具体例に限定されない。
【0123】
【0124】
【0125】
一般式(1-4)~(1-9)中、tは、1~3の整数を表し、なかでも、1がより好ましい。
【0126】
式(1-1)~(1-12)で表される化合物のなかでも、式(1-1)~(1-11)で表される化合物が好ましく、式(1-1)~(1-10)で表される化合物がより好ましく、式(1-1)~(1-9)で表される化合物がさらに好ましい。
【0127】
また、一般式(1)で表される化合物の具体例としては、上述した式(1-1)~(1-12)で表される化合物のほかに、国際公開第2018/164225号の段落0101に記載の化合物を援用することができる。
【0128】
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、式(2-1)~(2-10)で表される化合物が挙げられる。ただし、これらの具体例は一例であって、一般式(2)で表される化合物は、これらの具体例に限定されない。
【0129】
(式(2-1)~(2-6)中、L、LおよびZは、上記に同じ。)
【0130】
(式(2-7)~(2-10)中、L、LおよびZは、上記に同じ。)
【0131】
式(2-1)~(2-10)で表される化合物のなかでも、式(2-1)~(2-6)で表される化合物が好ましく、式(2-1)および(2-2)で表される化合物がより好ましく、式(2-1)で表される化合物がさらに好ましい。
【0132】
一般式(3)で示される基の具体例としては、例えば、式(3-1)~(3-4)で示される基が挙げられる。ただし、これらの具体例は一例であって、一般式(3)で示される基は、これらの具体例に限定されない。
【0133】
(式(3-1)中、p1は、1~20の整数を表し、式(3-2)中、p2は、1~10の整数を表し、式(3-3)および(3-4)中、アミノ基は、アミド基に結合している炭素原子に対して、2位、3位および4位のいずれかの位置の炭素原子に結合していることを表す。)
【0134】
式(3-1)中のp1としては、1~20の整数を表し、なかでも、2~10の整数が好ましく、2~6の整数がより好ましく、2~4の整数がさらに好ましく、2が特に好ましい。
【0135】
式(3-2)中のp2としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましい。
【0136】
式(3-1)で示される基の具体例としては、例えば、式(3-1-1)~(3-1-4)で示される基が挙げられる。
【0137】
【0138】
式(3-1-1)~(3-1-4)で示される基のなかでも、式(3-1-1)~(3-1-3)で示される基が好ましく、式(3-1-1)で示される基がより好ましい。
【0139】
式(3-2)で示される基の具体例としては、例えば、式(3-2-1)~(3-2-3)で示される基が挙げられる。
【0140】
【0141】
式(3-2-1)~(3-2-3)で示される基のなかでも、式(3-2-1)示される基が好ましい。
【0142】
式(3-3)で示される基の具体例としては、例えば、式(3-3-1)~(3-3-3)で示される基が挙げられる。
【0143】
【0144】
式(3-3-1)~(3-3-3)で示される基のなかでも、式(3-3-1)示される基が好ましい。
【0145】
式(3-4)で示される基の具体例としては、例えば、式(3-4-1)~(3-4-3)で示される基が挙げられる。
【0146】
【0147】
式(3-4-1)~(3-4-3)で示される基のなかでも、式(3-4-1)示される基が好ましい。
【0148】
式(3-1)~(3-4)で示される基のなかでも、式(3-1)~(3-3)で示される基が好ましく、式(3-1)で示される基がより好ましく、式(3-1-1)で示される基がさらに好ましい。
【0149】
一般式(4)で示される基の具体例としては、例えば、式(4-1)~(4-4)で示される基が挙げられる。ただし、これらの具体例は一例であって、一般式(4)で示される基は、これらの具体例に限定されない。
【0150】
(式(4-1)中、q1は、1~20の整数を表し、式(4-2)中、q2は、1~10の整数を表し、式(4-3)および(4-4)中、アミノ基は、アミド基に結合している炭素原子に対して、2位、3位および4位のいずれかの位置の炭素原子に結合していることを表す。)
【0151】
式(4-1)中のq1としては、1~20の整数を表し、なかでも、2~10の整数が好ましく、2~6の整数がより好ましく、2~4の整数がさらに好ましく、2が特に好ましい。
【0152】
式(4-2)中のq2としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましい。
【0153】
式(4-1)で示される基の具体例としては、例えば、式(4-1-1)~(4-1-4)で示される基が挙げられる。
【0154】
【0155】
式(4-1-1)~(4-1-4)で示される基のなかでも、式(4-1-1)~(4-1-3)で示される基が好ましく、式(4-1-1)で示される基がより好ましい。
【0156】
式(4-2)で示される基の具体例としては、例えば、式(4-2-1)~(4-2-3)で示される基が挙げられる。
【0157】
【0158】
式(4-2-1)~(4-2-3)で示される基のなかでも、式(4-2-1)示される基が好ましい。
【0159】
式(4-3)で示される基の具体例としては、例えば、式(4-3-1)~(4-3-3)で示される基が挙げられる。
【0160】
【0161】
式(4-3-1)~(4-3-3)で示される基のなかでも、式(4-3-1)示される基が好ましい。
【0162】
式(4-4)で示される基の具体例としては、例えば、式(4-4-1)~(4-4-3)で示される基が挙げられる。
【0163】
【0164】
式(4-4-1)~(4-4-3)で示される基のなかでも、式(4-4-1)示される基が好ましい。
【0165】
式(4-1)~(4-4)で示される基のなかでも、式(4-1)~(4-3)で示される基が好ましく、式(4-1)で示される基がより好ましく、式(4-1-1)で示される基がさらに好ましい。
【0166】
一般式(3)で示される基と一般式(4)で示される基の好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせが挙げられる。
【0167】
【表4】
【0168】
一般式(3)で示される基と一般式(4)で示される基の組み合わせのなかでも、式(3-1)で示される基と式(4-1)で示される基の組み合わせがより好ましく、式(3-1-1)で示される基と式(4-1-1)で示される基の組み合わせがさらに好ましい。
【0169】
一般式(5)で示される基の具体例としては、例えば、式(5-1)~(5-4)で示される基が挙げられる。ただし、これらの具体例は一例であって、一般式(5)で示される基は、これらの具体例に限定されない。
【0170】
(式(5-1)中、各Rおよび各Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基またはフルオロ基を表し、同一の炭素原子に結合するRとRとで二重結合を有する基を形成していてもよく、r1は、1~10の整数を表し、式(5-2)中、RおよびR10はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基またはフルオロ基を表し、RとR10とが互いに結合して、脂肪族環を形成していてもよく、式(5-3)中、r2は、1~5の整数を表し、一方のカルボニル基は、もう一方のカルボニル基に結合している炭素原子以外のいずれかの炭素原子に結合していることを表し、式(5-4)中、一方のカルボニル基は、もう一方のカルボニル基に結合している炭素原子に対して、2位、3位および4位のいずれかの位置の炭素原子に結合していることを表す。)
【0171】
式(5-1)および(5-2)において、R~R10で表されるアルキル基としては、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~4のアルキル基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられる。
【0172】
式(5-1)において、同一の炭素原子に結合するRとRとで二重結合を有する基を形成している場合の二重結合を有する基としては、例えば、ビニレン基、アリレン基等が挙げられる。
【0173】
式(5-1)中のr1としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~6の整数がより好ましく、2~4の整数がさらに好ましい。
【0174】
式(5-2)において、RとR10とが互いに結合して、脂肪族環または芳香環を形成している場合の脂肪族環としては、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロへプテン環、シクロオクテン環等の炭素数5~8のシクロアルケン環が挙げられる。
【0175】
式(5-1)中のRおよびRとしては、水素原子、アルキル基およびフルオロ基が好ましく、なかでも、水素原子およびフルオロ基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
【0176】
式(5-1)中の各Rおよび各Rは、すべて同一の基であることが好ましい。
【0177】
式(5-2)中のRおよびR10としては、水素原子、フルオロ基またはRとR10とが互いに結合して、脂肪族環を形成していることが好ましく、なかでも、水素原子がより好ましい。
【0178】
式(5-3)中のr2としては、1~5の整数を表し、なかでも、1~3の整数が好ましく、2~3の整数がより好ましく、3がさらに好ましい。
【0179】
式(5-1)で示される基の具体例としては、例えば、式(5-1-1)~(5-1-12)で示される基が挙げられる。
【0180】
【0181】
式(5-1-1)~(5-1-12)で示される基のなかでも、式(5-1-1)~(5-1-10)および(5-1-12)で示される基が好ましく、式(5-1-1)~(5-1-6)、(5-1-8)および(5-1-9)で示される基がより好ましく、式(5-1-1)~(5-1-6)および(5-1-9)で示される基がさらに好ましく、式(5-1-1)~(5-1-5)で示される基が特に好ましく、式(5-1-2)~(5-1-4)で示される基が最も好ましい。
【0182】
式(5-2)で示される基の具体例としては、例えば、式(5-2-1)~(5-2-6)で示される基が挙げられる。
【0183】
【0184】
式(5-2-1)~(5-2-6)で示される基のなかでも、式(5-2-1)および(5-2-3)~(5-2-6)で示される基が好ましく、式(5-2-1)および(5-2-4)~(5-2-6)で示される基がより好ましく、式(5-2-1)で示される基がさらに好ましい。
【0185】
式(5-3)で示される基の具体例としては、例えば、式(5-3-1)~(5-3-6)で示される基が挙げられる。
【0186】
【0187】
式(5-3-1)~(5-3-6)で示される基のなかでも、式(5-3-2)、(5-3-3)および(5-3-6)で示される基が好ましく、式(5-3-3)で示される基がより好ましい。
【0188】
式(5-4)で示される基の具体例としては、例えば、式(5-4-1)~(5-4-3)で示される基が挙げられる。
【0189】
【0190】
式(5-4-1)~(5-4-3)で示される基のなかでも、式(5-4-1)で示される基が好ましい。
【0191】
式(5-1)~(5-4)で示される基のなかでも、式(5-4)で示される基が好ましく、式(5-4-1)で示される基がより好ましい。
【0192】
一般式(3)で示される基と一般式(4)で示される基と一般式(5)で示される基の好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせが挙げられる。
【0193】
【表5】
【0194】
一般式(3)で示される基と一般式(4)で示される基と一般式(5)で示される基の組み合わせのなかでも、式(3-1)で示される基と式(4-1)で示される基と式(5-4)で示される基の組み合わせがより好ましく、式(3-1-1)で示される基と式(4-1-1)で示される基と式(5-4-1)で示される基の組み合わせがさらに好ましい。
【0195】
本発明のカテナンのなかでも、下記式で表されるカテナンが好ましい。
一般式(1'):
(一般式(1')中、各R1'~R3'はそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、官能基を有していてもよいアルコキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルケニルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルアミノ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルアミノ基を表し、mは、上記に同じ。)で表される化合物、および一般式(2'):
{一般式(2')中、x'およびz'は、5~200の整数を表し、y'は、5~100の整数を表し、各x'、y'およびz'は、それぞれ同一または異なっており、n'は、1~10の整数を表し、L'は、一般式(3'):
(一般式(3')中、R4'は、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基または置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)で示される基を表し、L'は、一般式(4'):
(一般式(4')中、R5'は、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基または置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)で示される基を表し、Z'は、一般式(5'):
(一般式(5')中、R6'は、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルケニレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルケニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、または鎖中に酸素原子を有していてもよく、置換基を有していてもよいアリールアルキレン基を表す。)で示される基を表す。}で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(2')で表される化合物が、一般式(1')で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン。
【0196】
一般式(1')において、R1'~R3'で表される、官能基を有していてもよいアルコキシ基におけるアルコキシ基(-O-アルキル基)の具体例、官能基を有していてもよいアルケニルオキシ基におけるアルケニルオキシ基(-O-アルケニル基)の具体例、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基におけるアルキルカルボニルオキシ基(-OCO-アルキル基)の具体例、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基におけるアルケニルカルボニルオキシ基(-OCO-アルケニル基)の具体例、官能基を有していてもよいアルキルカーボネート基におけるアルキルカーボネート基(-OCOO-アルキル基)の具体例、官能基を有していてもよいアルケニルカーボネート基におけるアルケニルカーボネート基(-OCOO-アルケニル基)の具体例、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基におけるアルキルカルバモイルオキシ基(-OCONH-アルキル基)の具体例、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基におけるアルケニルカルバモイルオキシ基(-OCONH-アルケニル基)の具体例、官能基を有していてもよいアルキルアミノ基におけるアルキルアミノ基(-NH-アルキル基または-N(-アルキル)基)の具体例、官能基を有していてもよいアルケニルアミノ基におけるアルケニルアミノ基(-NH-アルケニル基または-N(-アルケニル)基)の具体例、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基におけるアルキルカルボニルアミノ基(-NHCO-アルキル基または-N(-CO-アルキル)基)の具体例、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルアミノ基におけるアルケニルカルボニルアミノ基(-NHCO-アルケニル基または-N(-CO-アルケニル)基)の具体例、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルアミノ基におけるアルキルカルバモイルアミノ基(-NHCONH-アルキル基または-N(-CONH-アルキル)基)の具体例、および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルアミノ基におけるアルケニルカルバモイルアミノ基(-NHCONH-アルケニル基または-N(-CONH-アルケニル)基)の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられる。
【0197】
官能基を有していてもよいアルコキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルケニルカーボネート基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルアミノ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルアミノ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルアミノ基における、官能基の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられ、好ましい具体例も同様である。
【0198】
一般式(3')、(4')および(5')において、R4'、R5'およびR6'で表される、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基の具体例および置換基を有していてもよいアリーレン基の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられる。
【0199】
一般式(5')において、R6'で表される、鎖中に酸素原子を有していてもよいフルオロアルキレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルケニレン基、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルケニレン基、および鎖中に酸素原子を有していてもよく、置換基を有していてもよいアリールアルキレン基の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられる。
【0200】
置換基を有していてもよいアリーレン基および鎖中に酸素原子を有していてもよく、置換基を有していてもよいアリールアルキレン基における、置換基の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられる。
【0201】
一般式(1')中のR1'およびR2'としては、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基が好ましく、なかでも、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基がより好ましく、ヒドロキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基;ならびにエーテル基、アミノ基および/またはアミノカルボニル基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基がさらに好ましい。
【0202】
一般式(1')中のR3'としては、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基が好ましく、なかでも、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基がより好ましく、ヒドロキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基;ならびにエーテル基、アミノ基および/またはアミノカルボニル基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基がさらに好ましく、ヒドロキシ基が特に好ましい。
【0203】
一般式(1')において、R1'~R3'の好ましい具体例で表される、エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基の具体例としては、例えば、一般式(6-1)および(6-2)で示される基が挙げられる。
【0204】
(一般式(6-1)および(6-2)中、R11は、水素原子、アミノ基またはカルボキシ基を表し、一般式(6-1)中、v1は、1~10の整数を表し、一般式(6-2)中、v2は、1~4の整数を表す。)
【0205】
一般式(1')において、R1'~R3'の好ましい具体例で表される、エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、一般式(7-1)および(7-2)で示される基が挙げられる。
【0206】
(一般式(7-1)および(7-2)中、R12は、水素原子、アミノ基またはカルボキシ基を表し、一般式(7-1)中、v3は、1~10の整数を表し、一般式(7-2)中、v4は、1~4の整数を表す。)
【0207】
一般式(1')において、R1'~R3'の好ましい具体例で表される、エーテル基、アミノ基、カルボキシ基および/またはアミノカルボニル基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、一般式(8-1)~(8-4)で示される基が挙げられる。
【0208】
(一般式(8-1)および(8-2)中、R13は、ビニル基、ビニルアミノ基またはアリルアミノ基を表し、一般式(8-3)および(8-4)中、R14は、水素原子またはメチル基を表し、一般式(8-1)および(8-3)中、v5およびv7は、1~10の整数を表し、一般式(8-2)および(8-4)中、v6およびv8は、1~4の整数を表す。)
【0209】
一般式(6-1)および(6-2)中のR11としては、水素原子およびカルボキシ基が好ましく、なかでも、カルボキシ基がより好ましい。
【0210】
一般式(6-1)中のv1としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0211】
一般式(6-2)中のv2としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0212】
一般式(7-1)および(7-2)中のR12としては、水素原子およびアミノ基が好ましく、なかでも、アミノ基がより好ましい。
【0213】
一般式(7-1)中のv3としては、1~10の整数を表し、なかでも、2~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましい。
【0214】
一般式(7-2)中のv4としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0215】
一般式(8-1)および(8-2)中のR13としては、ビニル基が好ましい。
【0216】
一般式(8-1)中のv5としては、1~10の整数を表し、なかでも、2~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましい。
【0217】
一般式(8-2)中のv6としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0218】
一般式(8-3)中のv7としては、1~10の整数を表し、なかでも、2~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましい。
【0219】
一般式(8-4)中のv8としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0220】
一般式(6-1)および(6-2)で示される基のなかでも、一般式(6-1)で示される基が好ましい。
【0221】
一般式(7-1)および(7-2)で示される基のなかでも、一般式(7-2)で示される基が好ましい。
【0222】
一般式(8-1)~(8-4)で示される基のなかでも、一般式(8-3)および(8-4)で示される基が好ましく、一般式(8-4)で示される基がより好ましい。
【0223】
一般式(1')中の各R1'は、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0224】
一般式(1')中の各R2'は、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0225】
一般式(1')中の各R3'は、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0226】
一般式(1')中のR1'およびR2'で示される基の好ましい具体例としては、ヒドロキシ基、一般式(6-1)、(7-1)、(7-2)、(8-3)および(8-4)で示される基が好ましく、ヒドロキシ基、一般式(6-1)、(7-2)および(8-4)で示される基がより好ましい。
【0227】
一般式(1')中のR3'で示される基の好ましい具体例としては、ヒドロキシ基、一般式(6-1)、(7-1)、(7-2)、(8-3)および(8-4)で示される基が好ましく、ヒドロキシ基、一般式(6-1)、(7-2)および(8-4)で示される基がより好ましく、ヒドロキシ基がさらに好ましい。
【0228】
本発明のカテナンの一態様として、一般式(1')中の各R3'がすべてヒドロキシ基であるカテナンが好ましい場合がある。
【0229】
本発明のカテナンの一態様として、一般式(1')中の各R1'~R3'がすべてヒドロキシ基であるカテナンが好ましい場合がある。
【0230】
本発明のカテナンの一態様として、一般式(1')で表される化合物として、一般式(1')中の各R1'~R3'のうちの1~21個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物が好ましく、なかでも、各R1'~R3'のうちの1~14個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物がより好ましく、各R1'~R3'のうちの1~7個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物がさらに好ましく、各R1'~R3'のうちの2~6個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物が特に好ましく、各R1'~R3'のうちの3~5個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物が最も好ましい場合がある。
【0231】
別の態様として、各R1'~R2'のうちの1~14個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物が好ましく、各R1'のうちの1~7個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物がより好ましく、各R1'のうちの2~6個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物がさらに好ましく、各R1'のうちの3~5個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物が特に好ましい場合がある。
【0232】
一般式(2')中のx'としては、5~200の整数(分子量220~8800)を表し、なかでも、10~200の整数(分子量440~8800)が好ましく、15~150の整数(分子量660~6600)がより好ましい。なお、n'個のx'は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0233】
一般式(2')中のy'としては、5~100の整数(分子量290~5800)を表し、なかでも、10~100の整数(分子量580~5800)が好ましく、50~80の整数(分子量2900~4640)がより好ましい。なお、n'個のy'は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0234】
一般式(2')中のz'としては、5~200の整数(分子量220~8800)を表し、なかでも、10~200の整数(分子量440~8800)が好ましく、15~150の整数(分子量660~6600)がより好ましい。なお、n'個のz'は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0235】
一般式(2')中のx'とz'は、同一の整数であることが好ましい。
【0236】
一般式(2')中のx'、y'およびz'の好ましい組み合わせの具体例としては、一般式(2)中のx、yおよびzの好ましい組み合わせの具体例と同様のものが挙げられる。
【0237】
一般式(2')中のn'としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~5の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましく、1がさらに好ましい。
【0238】
一般式(2')中のx'の総和としては、5~2000の整数(分子量220~88000)を表し、なかでも、5~1000の整数(分子量220~44000)が好ましく、5~600の整数(分子量220~26400)がより好ましく、5~200の整数(分子量220~8800)がさらに好ましく、10~200の整数(分子量440~8800)が特に好ましく、15~150の整数(分子量660~6600)が最も好ましい。
【0239】
一般式(2')中のy'の総和としては、5~1000の整数(分子量290~58000)を表し、なかでも、5~500の整数(分子量290~29000)が好ましく、5~300の整数(分子量290~17400)がより好ましく、5~100の整数(分子量290~5800)がさらに好ましく、10~100の整数(分子量580~5800)が特に好ましく、50~80の整数(分子量2900~4640)が最も好ましい。また、別の好ましい態様において、y'の総和は、一般式(1')で表される化合物(CyDまたはその誘導体)の個数の2倍以上の整数が好ましい場合がある。すなわち、本発明のカテナン中に一般式(1')で表される化合物をX個含む場合には、y'の総和は2×X個以上の整数が好ましい。
【0240】
一般式(2')中のz'の総和としては、5~2000の整数(分子量220~88000)を表し、なかでも、5~1000の整数(分子量220~44000)が好ましく、5~600の整数(分子量220~26400)がより好ましく、5~200の整数(分子量220~8800)がさらに好ましく、10~200の整数(分子量440~8800)が特に好ましく、15~150の整数(分子量660~6600)が最も好ましい。
【0241】
一般式(2')中のx'、y'、z'およびn'の組み合わせ、すなわち、一般式(2')中のx'の総和、y'の総和およびz'の総和の組み合わせの具体例としては、一般式(2)中のx、y、zおよびnの組み合わせの具体例と同様のものが挙げられる。
【0242】
本発明のカテナン中の一般式(1')で表される化合物の数としては、例えば、1~550個が挙げられ、なかでも、1~275個が好ましく、1~165個がより好ましく、1~110個がさらに好ましく、1~55個が特に好ましく、3~35個が最も好ましい。別の好ましい一態様としては、例えば、1~500個が挙げられ、なかでも、1~250個が好ましく、1~150個がより好ましく、1~100個がさらに好ましく、1~50個が特に好ましく、3~35個が最も好ましい場合がある。
【0243】
一般式(1')で表される化合物の数と一般式(2')中のn'の組み合わせの具体例としては、一般式(1)で表される化合物の数と一般式(2)中のnの好ましい組み合わせの具体例と同様のものが挙げられる。
【0244】
一般式(1')で表される化合物の数と一般式(2')中のn'の組み合わせとしては、下記の組み合わせが好ましい場合がある。
【0245】
【表6】
【0246】
一般式(3')および(4')中のR4'およびR5'としては、鎖中に酸素原子を有していてもよいアルキレン基が好ましく、なかでも、(鎖中に酸素原子を有さない)アルキレン基がより好ましい。
【0247】
一般式(3')中のR4'と一般式(4')中のR5'は、同一の基であることが好ましい。
【0248】
一般式(5')中のR6'としては、(鎖中に酸素原子を有さない)アルキレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)フルオロアルキレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)アルケニレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)フルオロアルケニレン基、(置換基を有さない)アリーレン基および(置換基を有さない)アリールアルキレン基が好ましく、なかでも、(鎖中に酸素原子を有さない)アルキレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)フルオロアルキレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)アルケニレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)フルオロアルケニレン基および(置換基を有さない)アリーレン基がより好ましく、(鎖中に酸素原子を有さない)アルキレン基、(鎖中に酸素原子を有さない)アルケニレン基および(置換基を有さない)アリーレン基がさらに好ましく、(置換基を有さない)アリーレン基が特に好ましい。
【0249】
一般式(1')で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば、上述の式(1-1)~(1-12)で表される化合物が挙げられ、なかでも、式(1-1)~(1-11)で表される化合物が好ましく、式(1-1)~(1-10)で表される化合物がより好ましく、式(1-1)~(1-9)で表される化合物がさらに好ましい。
【0250】
一般式(2')で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば、式(2'-1)~(2'-10)で表される化合物が挙げられ、なかでも、式(2'-1)~(2'-6)で表される化合物が好ましく、式(2'-1)および(2'-2)で表される化合物がより好ましく、式(2'-1)で表される化合物がさらに好ましい。
【0251】
(式(2'-1)~(2'-6)中、L'、L'およびZ'は、上記に同じ。)
【0252】
(式(2'-7)~(2'-10)中、L'、L'およびZ'は、上記に同じ。)
【0253】
一般式(3')で示される基の好ましい具体例としては、式(3-1)~(3-4)で示される基が挙げられ、なかでも、式(3-1)~(3-3)で示される基が好ましく、式(3-1)で示される基がより好ましく、式(3-1-1)で示される基がさらに好ましい。
【0254】
一般式(4')で示される基の好ましい具体例としては、式(4-1)~(4-4)で示される基が挙げられ、なかでも、式(4-1)~(4-3)で示される基が好ましく、式(4-1)で示される基がより好ましく、式(4-1-1)で示される基がさらに好ましい。
【0255】
一般式(3')で示される基と一般式(4')で示される基の好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせが挙げられる。
【0256】
【表7】
【0257】
一般式(3')で示される基と一般式(4')で示される基の組み合わせのなかでも、式(3-1)で示される基と式(4-1)で示される基の組み合わせがより好ましく、式(3-1-1)で示される基と式(4-1-1)で示される基の組み合わせがさらに好ましい。
【0258】
一般式(5')で示される基の好ましい具体例としては、式(5-1)~(5-4)で示される基が挙げられ、なかでも、式(5'-1)および(5'-2)ならびに上述の式(5-3)および(5-4)で示される基が好ましく、式(5-4)で示される基がより好ましく、式(5-4-1)で示される基がさらに好ましい。
【0259】
(式(5'-1)中、各R7'および各R8'はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはフルオロ基を表し、同一の炭素原子に結合するRとRとで二重結合を有する基を形成していてもよく、r1'は、1~6の整数を表し、式(5'-2)中、R9'およびR10'はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはフルオロ基を表し、R9'とR10'とが互いに結合して、脂肪族環を形成していてもよい。)
【0260】
式(5'-1)および(5'-2)において、R7'~R10'で表されるアルキル基としては、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~4のアルキル基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられる。
【0261】
式(5'-1)において、同一の炭素原子に結合するR7'とR8'とで二重結合を有する基を形成している場合の二重結合を有する基としては、例えば、ビニレン基、アリレン基等が挙げられる。
【0262】
式(5'-1)中のr1'としては、1~6の整数を表し、なかでも、2~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましい。
【0263】
式(5'-2)において、R9'とR10'とが互いに結合して、脂肪族環または芳香環を形成している場合の脂肪族環としては、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロへプテン環、シクロオクテン環等の炭素数5~8のシクロアルケン環が挙げられる。
【0264】
式(5'-1)中のR7'およびR8'としては、水素原子およびフルオロ基が好ましく、なかでも、水素原子がより好ましい。
【0265】
式(5'-1)中の各R7'および各R8'は、すべて同一の基であることが好ましい。
【0266】
式(5'-2)中のR9'およびR10'としては、水素原子、フルオロ基またはR9'とR10'とが互いに結合して、脂肪族環を形成していることが好ましく、なかでも、水素原子がより好ましい。
【0267】
式(5'-1)で示される基の具体例としては、例えば、式(5-1-1)~(5-1-10)および(5-1-12)で示される基が挙げられ、なかでも、式(5-1-1)~(5-1-6)、(5-1-8)および(5-1-9)で示される基がより好ましく、式(5-1-1)~(5-1-6)および(5-1-9)で示される基がさらに好ましく、式(5-1-1)~(5-1-5)で示される基が特に好ましく、式(5-1-2)~(5-1-4)で示される基が最も好ましい。
【0268】
式(5'-2)で示される基の具体例としては、例えば、式(5-2-1)~(5-2-6)で示される基が挙げられ、なかでも、式(5-2-1)および(5-2-3)~(5-2-6)で示される基が好ましく、式(5-2-1)および(5-2-4)~(5-2-6)で示される基がより好ましく、式(5-2-1)で示される基がさらに好ましい。
【0269】
一般式(3')で示される基と一般式(4')で示される基と一般式(5')で示される基の好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせが挙げられる。
【0270】
【表8】
【0271】
一般式(3')で示される基と一般式(4')で示される基と一般式(5')で示される基の組み合わせのなかでも、式(3-1)で示される基と式(4-1)で示される基と式(5-4)で示される基の組み合わせがより好ましく、式(3-1-1)で示される基と式(4-1-1)で示される基と式(5-4-1)で示される基の組み合わせがさらに好ましい。
【0272】
本発明のカテナンのなかでも、下記式で表されるカテナンがより好ましい。
一般式(1''):
(一般式(1'')中、各R1''~R3''はそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基を表し、mは、上記に同じ。)で表される化合物、および一般式(2''):
(一般式(2'')中、n''は、1~3の整数を表し、x'、y'、z'、L'、L'およびZ'は、上記に同じ。)で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(2'')で表される化合物が、一般式(1'')で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン。
【0273】
一般式(1'')において、R1''~R3''で表される、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基におけるアルキルカルボニルオキシ基(-OCO-アルキル基)の具体例、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基におけるアルケニルカルボニルオキシ基(-OCO-アルケニル基)の具体例、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基におけるアルキルカルバモイルオキシ基(-OCONH-アルキル基)の具体例、および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基におけるアルケニルカルバモイルオキシ基(-OCONH-アルケニル基)の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられる。
【0274】
官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルケニルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基における、官能基の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられ、好ましい具体例も同様である。
【0275】
一般式(1'')中のR1''およびR2''としては、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基が好ましく、ヒドロキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基;ならびにエーテル基、アミノ基および/またはアミノカルボニル基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基がより好ましい。
【0276】
一般式(1'')中のR3''としては、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基および官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基が好ましく、ヒドロキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基;ならびにエーテル基、アミノ基および/またはアミノカルボニル基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基がより好ましく、ヒドロキシ基がさらに好ましい。
【0277】
一般式(1'')において、R1''~R3''で表される、エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基の具体例としては、例えば、上述の一般式(6-1)および(6-2)で示される基が挙げられる。
【0278】
一般式(1'')において、R1''~R3''で表される、エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、上述の一般式(7-1)および(7-2)で示される基が挙げられる。
【0279】
一般式(1'')において、R1''~R3''で表される、エーテル基、アミノ基、カルボキシ基および/またはアミノカルボニル基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、上述の一般式(8-1)~(8-4)で示される基が挙げられる。
【0280】
一般式(1'')中のR1''およびR2''で示される基の好ましい具体例としては、ヒドロキシ基、一般式(6-1)、(7-1)、(7-2)、(8-3)および(8-4)で示される基が好ましく、ヒドロキシ基、一般式(6-1)、(7-2)および(8-4)で示される基がより好ましい。
【0281】
一般式(1'')中のR3''で示される基の好ましい具体例としては、ヒドロキシ基、一般式(6-1)、(7-1)、(7-2)、(8-3)および(8-4)で示される基が好ましく、ヒドロキシ基、一般式(6-1)、(7-2)および(8-4)で示される基がより好ましく、ヒドロキシ基がさらに好ましい。
【0282】
一般式(1'')中の各R1''は、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0283】
一般式(1'')中の各R2''は、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0284】
一般式(1'')中の各R3''は、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0285】
本発明のカテナンの一態様として、一般式(1'')中の各R3''がすべてヒドロキシ基であるカテナンが好ましい場合がある。
【0286】
本発明のカテナンの一態様として、一般式(1'')中の各R1''~R3''がすべてヒドロキシ基であるカテナンが好ましい場合がある。
【0287】
本発明のカテナンの一態様として、一般式(1'')で表される化合物として、一般式(1'')中の各R1''~R3''のうちの1~21個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物が好ましく、なかでも、各R1''~R3''のうちの1~14個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物がより好ましく、各R1''~R3''のうちの1~7個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物がさらに好ましく、各R1''~R3''のうちの2~6個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物が特に好ましく、各R1''~R3''のうちの3~5個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物が最も好ましい場合がある。
【0288】
別の態様として、各R1''~R2''のうちの1~14個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物が好ましく、各R1''のうちの1~7個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物がより好ましく、各R1''のうちの2~6個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物がさらに好ましく、各R1''のうちの3~5個が、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基または官能基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基である化合物が特に好ましい場合がある。
【0289】
一般式(2'')中のx'、y'およびz'の好ましい整数としては、一般式(2')中のx'、y'およびz'の好ましい整数と同様である。また、n''個のx'、y'およびz'は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0290】
一般式(2'')中のx'とz'は、同一の整数であることが好ましい。
【0291】
一般式(2'')中のx'、y'およびz'の好ましい組み合わせの具体例としては、一般式(2)中のx、yおよびzの好ましい組み合わせの具体例と同様のものが挙げられる。
【0292】
一般式(2'')中のn''としては、1~3の整数を表し、なかでも、1が好ましい。
【0293】
一般式(2'')中のx'の総和としては、5~600の整数(分子量220~26400)を表し、なかでも、5~200の整数(分子量220~8800)が好ましく、10~200の整数(分子量440~8800)がより好ましく、15~150の整数(分子量660~6600)がさらに好ましい。
【0294】
一般式(2'')中のy'の総和としては、5~300の整数(分子量290~17400)を表し、なかでも、5~100の整数(分子量290~5800)が好ましく、10~100の整数(分子量580~5800)がより好ましく、50~80の整数(分子量2900~4640)がさらに好ましい。また、別の好ましい態様において、y'の総和は、一般式(1'')で表される化合物(CyDまたはその誘導体)の個数の2倍以上の整数が好ましい場合がある。すなわち、本発明のカテナン中に一般式(1'')で表される化合物をX個含む場合には、y'の総和は2×X個以上の整数が好ましい。
【0295】
一般式(2'')中のz'の総和としては、5~600の整数(分子量220~26400)を表し、なかでも、5~200の整数(分子量220~8800)がさらに好ましく、10~200の整数(分子量440~8800)が特に好ましく、15~150の整数(分子量660~6600)が最も好ましい。
【0296】
一般式(2'')中のx'、y'、z'およびn''の組み合わせ、すなわち、x'の総和、y'の総和およびz'の総和の組み合わせとしては、下記の組み合わせが挙げられる。
【0297】
【表9】
【0298】
本発明のカテナン中の一般式(1'')で表される化合物の数としては、例えば、1~165個が挙げられ、なかでも、1~110個が好ましく、1~55個がより好ましく、3~35個がさらに好ましい。別の好ましい一態様としては、例えば、1~150個が挙げられ、なかでも、1~100個が好ましく、1~50個がより好ましく、3~35個がさらに好ましい場合がある。
【0299】
一般式(1'')で表される化合物の数と一般式(2'')中のn''の好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせが挙げられる。
【0300】
【表10】
【0301】
また、一般式(1'')で表される化合物の数と一般式(2'')中のn''の好ましい組み合わせとして、下記の組み合わせが好ましい場合がある。
【0302】
【表11】
【0303】
一般式(2'')中のL'の好ましい具体例としては、一般式(2')中のL'で表される、一般式(3')で示される基における好ましい具体例と同様のものが挙げられ、より好ましい具体例も同様である。
【0304】
一般式(2'')中のL'の好ましい具体例としては、一般式(2')中のL'で表される、一般式(4')で示される基における好ましい具体例と同様のものが挙げられ、より好ましい具体例も同様である。
【0305】
一般式(2'')中のZ'の好ましい具体例としては、一般式(2')中のZ'で表される、一般式(5')で示される基における好ましい具体例と同様のものが挙げられ、より好ましい具体例も同様である。
【0306】
一般式(1'')で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば、上述の式(1-1)~(1-12)で表される化合物が挙げられ、なかでも、式(1-1)~(1-11)で表される化合物が好ましく、式(1-1)~(1-10)で表される化合物がより好ましく、式(1-1)~(1-9)で表される化合物がさらに好ましい。
【0307】
一般式(2'')で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば、上述の式(2'-1)~(2'-6)で表される化合物が挙げられ、なかでも、式(2'-1)および(2'-2)で表される化合物が好ましく、式(2'-1)で表される化合物がより好ましい。
【0308】
本発明のカテナンの好ましい一態様として、以下のカテナンを例示することができる。
一般式(1A):
(一般式(1A)中、各R1A~R3Aはそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基または官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基を表し、mは、上記に同じ。ただし、各R1Aおよび各R2Aの少なくとも1つが、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基を表す。)で表される化合物、および一般式(2A):
(一般式(2A)中、x'、y'、z'、n''、L'、L'およびZ'は、上記に同じ。)で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(2A)で表される化合物が、一般式(1A)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン。
【0309】
一般式(1A)において、R1A~R3Aで表される、官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基におけるアルキルカルボニルオキシ基(-OCO-アルキル基)の具体例、および官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基におけるアルキルカルバモイルオキシ基(-OCONH-アルキル基)の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられる。
【0310】
官能基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基および官能基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基における、官能基の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられ、好ましい具体例と同様である。
【0311】
一般式(1A)中のR1AおよびR2Aとしては、ヒドロキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基;ならびにエーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基が好ましく、なかでも、ヒドロキシ基;エーテル基および/またはアミノ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基;ならびにエーテル基および/またはアミノ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基がより好ましく、ヒドロキシ基;エーテル基を有していてもよく、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基:ならびにエーテル基を有していてもよく、アミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基がさらに好ましく、ヒドロキシ基;ならびにエーテル基を有していてもよく、アミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基が特に好ましく、ヒドロキシ基;ならびにエーテル基およびアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基が最も好ましい。
【0312】
一般式(1A)中のR3Aとしては、ヒドロキシ基;エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基;ならびにエーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基が好ましく、なかでも、ヒドロキシ基;エーテル基および/またはアミノ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基;ならびにエーテル基および/またはアミノ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基がより好ましく、ヒドロキシ基;エーテル基を有していてもよく、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基:ならびにエーテル基を有していてもよく、アミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基がさらに好ましく、ヒドロキシ基;ならびにエーテル基を有していてもよく、アミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基がなお好ましく、ヒドロキシ基;ならびにエーテル基およびアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基が特に好ましく、ヒドロキシ基が最も好ましい。
【0313】
一般式(1A)において、R1A~R3Aで表される、エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基の具体例としては、例えば、上述の一般式(6-1)および(6-2)で示される基が挙げられる。
【0314】
一般式(1A)において、R1A~R3Aの好ましい具体例で表される、エーテル基および/またはアミノ基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基の具体例としては、例えば、一般式(6A-1)および(6A-2)で示される基が挙げられる。
【0315】
(一般式(6A-1)および(6A-2)中、R11aは、水素原子またはアミノ基を表し、一般式(6A-1)中のv1および一般式(6A-2)中のv2は、上記に同じ。)
【0316】
一般式(1A)において、R1A~R3Aの好ましい具体例で表される、エーテル基を有していてもよく、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基の具体例としては、例えば、一般式(6A-1')および(6A-2')で示される基が挙げられる。
【0317】
(一般式(6A-1')中のv1および一般式(6A-2')中のv2は、上記に同じ。)
【0318】
一般式(1A)において、R1A~R3Aの好ましい具体例で表される、エーテル基、アミノ基および/またはカルボキシ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、上述の一般式(7-1)および(7-2)で示される基が挙げられる。
【0319】
一般式(1A)において、R1A~R3Aの好ましい具体例で表される、エーテル基および/またはアミノ基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、一般式(7A-1)および(7A-2)で示される基が挙げられる。
【0320】
(一般式(7A-1)および(7A-2)中、R12aは、水素原子またはアミノ基を表し、一般式(7A-1)中のv3および一般式(7A-2)中のv4は、上記に同じ。)
【0321】
一般式(1A)において、R1A~R3Aの好ましい具体例で表される、エーテル基を有していてもよく、アミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基の具体例としては、例えば、一般式(7A-1')および(7A-2')で示される基が挙げられる。
【0322】
(一般式(7A-1')中のv3および一般式(7A-2')中のv4は、上記に同じ。)
【0323】
一般式(1A)において、R1A~R3Aの好ましい具体例で表される、エーテル基およびアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基の具体例としては、上述の一般式(7A-2')で示される基が挙げられる。
【0324】
一般式(6A-1)および(6A-2)中のR11aならびに一般式(7A-1)および(7A-2)中のR12aとしては、アミノ基が好ましい。
【0325】
一般式(6A-1)および(6A-1')中のv1の好ましい整数としては、2~6の整数が挙げられ、なかでも、2~4の整数が好ましい。
【0326】
一般式(6A-2)および(6A-2')中のv2の好ましい整数としては、一般式(6-2)中のv2の好ましい整数と同様のものが挙げられ、より好ましい整数も同様である。
【0327】
一般式(7A-1)および(7A-1')中のv3の好ましい整数としては、一般式(7-1)中のv3の好ましい整数と同様のものが挙げられ、より好ましい整数も同様である。
【0328】
一般式(7A-2)および(7A-2')中のv4の好ましい整数としては、一般式(7-2)中のv4の好ましい整数と同様のものが挙げられ、より好ましい整数も同様である。
【0329】
一般式(6A-1)および(6A-2)で示される基のなかでも、一般式(6A-2)で示される基が好ましい。
【0330】
一般式(6A-1')および(6A-2')で示される基のなかでも、一般式(6A-2')で示される基が好ましい。
【0331】
一般式(7A-1)および(7A-2)で示される基のなかでも、一般式(7A-2)で示される基が好ましい。
【0332】
一般式(7A-1')および(7A-2')で示される基のなかでも、一般式(7A-2')で示される基が好ましい。
【0333】
一般式(1A)中のR1AおよびR2Aで示される基の好ましい具体例としては、ヒドロキシ基、一般式(6A-1')、(6A-2')、(7A-1')および(7A-2')で示される基が好ましく、ヒドロキシ基、一般式(6A-2')、(7A-1')および(7A-2')で示される基がより好ましく、ヒドロキシ基、一般式(7A-1')および(7A-2')で示される基がさらに好ましく、ヒドロキシ基、一般式(7A-2')で示される基が特に好ましい。
【0334】
一般式(1A)中のR3Aで示される基の好ましい具体例としては、ヒドロキシ基、一般式(6A-1')、(6A-2')、(7A-1')および(7A-2')で示される基が好ましく、ヒドロキシ基、一般式(6A-2')、(7A-1')および(7A-2')で示される基がより好ましく、ヒドロキシ基、一般式(7A-1')および(7A-2')で示される基がさらに好ましく、ヒドロキシ基、一般式(7A-2')で示される基が特に好ましく、ヒドロキシ基が最も好ましい。
【0335】
一般式(1A)中の各R1Aは、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0336】
一般式(1A)中の各R2Aは、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0337】
一般式(1A)中の各R3Aは、すべて同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0338】
一般式(1A)で表される化合物としては、各R1Aおよび各R2Aの少なくとも1つが、アミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物が好ましく、なかでも、各R1Aの少なくとも1つが、アミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物がより好ましい。
【0339】
一般式(1A)で表される化合物としては、各R1A~R3Aのうちの1~21個が、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物が好ましく、なかでも、各R1A~R3Aのうちの1~14個が、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物がより好ましく、各R1A~R3Aのうちの1~7個が、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物がさらに好ましく、各R1A~R3Aのうちの2~6個が、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物が特に好ましく、各R1A~R3Aのうちの3~5個が、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物が最も好ましい。
【0340】
別の態様として、各R1A~R2Aのうちの1~14個が、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物が好ましく、各R1Aのうちの1~7個が、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物がより好ましく、各R1Aのうちの2~6個が、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物がさらに好ましく、各R1Aのうちの3~5個が、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物が特に好ましい。
【0341】
一般式(1A)中の各R1Aおよび各R2Aの少なくとも1つが、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物を含むカテナンは、α-シクロデキストリン(α-CyD)、β-シクロデキストリン(β-CyD)、γ-シクロデキストリン(γ-CyD)等のCyD中のヒドロキシ基の水素原子をアルキルカルボニル基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイル基に置換することによって製造することができる。一般式(1A)中のR1A~R3Aがすべてヒドロキシ基であるシクロデキストリンのうち、反応性が最も高いヒドロキシ基は、R1Aで示されるヒドロキシル基であり、反応性が最も低いヒドロキシル基は、R3Aで示されるヒドロキシル基である。そのため、CyD中のヒドロキシ基の水素原子が、アミノ基を有するアルキルカルボニル基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイル基で置換された修飾CyD、すなわち、各R1Aおよび各R2Aの少なくとも1つが、アミノ基を有するアルキルカルボニル基オキシまたはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物を製造する際には、一般的に、R1A>R2A>R3Aの順に修飾される可能性が高いが、本発明のカテナンは、必ずしもこの順序で修飾されたものに限定されない。例えば、一般式(1A)で表される化合物を3個含むカテナンであって、当該一般式(1A)で表される化合物の各R1Aおよび各R2Aのいずれか1つが、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物を含むカテナンとは、一般式(1A)で表される化合物3個すべてが、各R1Aのうちの1つがアミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物を含むカテナンのみならず、各R1Aのうちの1つがアミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物が1個と、各R1Aと各R2Aのうちの2つがアミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基である化合物が1個と、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基を有さない化合物が1個の合計3個の化合物を含むカテナンであって、平均すると、1つのアミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基を有する化合物を含むカテナンも、上述のカテナンに含まれる。すなわち、本発明のカテナンは、複数の一般式(1A)で表される化合物を含む場合において、一般式(1A)中の各R1A~R3Aが、複数の化合物間で同一のものだけでなく、用途や使用目的における機能や効果が同等であれば、複数の化合物間で、一般式(1A)中の各R1A~R3Aが異なるものも、本発明のカテナンに含まれる。
【0342】
本発明のカテナンの一態様として、一般式(1A)中の各R3Aがすべてヒドロキシ基であるカテナンが好ましい場合がある。
【0343】
一般式(2A)中のx'、y'およびz'の好ましい整数としては、一般式(2')中のx'、y'およびz'の好ましい整数と同様である。また、n''個のx'、y'およびz'は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0344】
一般式(2A)中のx'とz'は、同一の整数であることが好ましい。
【0345】
一般式(2A)中のx'、y'およびz'の好ましい組み合わせの具体例としては、一般式(2)中のx、yおよびzの好ましい組み合わせの具体例と同様のものが挙げられる。
【0346】
一般式(2A)中のn''としては、1~3の整数を表し、なかでも、1が好ましい。
【0347】
一般式(2A)中のx'の総和としては、一般式(2'')中のx'の総和と同様の整数が挙げられ、好ましい総和も同様である。
【0348】
一般式(2A)中のy'の総和としては、一般式(2'')中のy'の総和と同様の整数が挙げられ、好ましい総和も同様である。また、別の好ましい態様において、y'の総和は、一般式(1A)で表される化合物(CyDまたはその誘導体)の個数の2倍以上の整数が好ましい場合がある。すなわち、本発明のカテナン中に一般式(1A)で表される化合物をX'個含む場合には、y'の総和は2×X'個以上の整数が好ましい。
【0349】
一般式(2A)中のz'の総和としては、一般式(2'')中のz'の総和と同様の整数が挙げられ、好ましい総和も同様である。
【0350】
一般式(2A)中のx'、y'、z'およびn''の組み合わせ、すなわち、x'の総和、y'の総和およびz'の総和の組み合わせの具体例としては、一般式(2'')中のx'の総和、y'の総和および'の総和の好ましい組み合わせの具体例と同様のものが挙げられる。
【0351】
本発明のカテナン中の一般式(1A)で表される化合物の数としては、一般式(1'')で表される化合物の数と同様の整数が挙げられ、好ましい数も同様である。
【0352】
一般式(1A)で表される化合物の数と一般式(2A)中のn''の好ましい組み合わせとしては、一般式(1'')で表される化合物の数と一般式(2'')中のn''の好ましい組み合わせの具体例と同様のものが挙げられる。
【0353】
一般式(2A)中のL'の好ましい具体例としては、一般式(2')中のL'で表される、一般式(3')で示される基における好ましい具体例と同様のものが挙げられ、より好ましい具体例も同様である。
【0354】
一般式(2A)中のL'の好ましい具体例としては、一般式(2')中のL'で表される、一般式(4')で示される基における好ましい具体例と同様のものが挙げられ、より好ましい具体例も同様である。
【0355】
一般式(2A)中のZ'の好ましい具体例としては、一般式(2')中のZ'で表される、一般式(5')で示される基における好ましい具体例と同様のものが挙げられ、より好ましい具体例も同様である。
【0356】
一般式(1A)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば、上述の式(1-4)~(1-6)で表される化合物が挙げられ、なかでも、式(1-4)および(1-5)で表される化合物が好ましい。
【0357】
一般式(2A)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば、上述の式(2'-1)~(2'-6)で表される化合物が挙げられ、なかでも、式(2'-1)および(2'-2)で表される化合物が好ましく、式(2'-1)で表される化合物がより好ましい。
【0358】
上述の一般式(1A)で表される化合物を含むカテナンは、アミロイド線維生成抑制効果を有することから、該カテナンは、アミロイド線維生成抑制剤として期待できる。そのため、一般式(1A)で表される化合物を含むカテナンは、アミロイド線維の形成やアミロイド線維の異常蓄積と関連する疾患の治療や予防等の用途に有用である。
【0359】
本発明のカテナンの異なる態様として、以下のカテナンを例示することができる。
シクロデキストリン類およびポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖を含み、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖が、該シクロデキストリン類の開口部に串刺し状に貫通しているカテナンであって、
該シクロデキストリン類が、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれるシクロデキストリン類であって、その数は、1~550個であり、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖の分子量は、ポリエチレングリコール部分が88~15000であり、ポリプロピレングリコール部分が116~6000であって、ポリエチレングリコール部分の分子量は同一または異なっており、かつ、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖の両端が、アミド結合により結合しているカテナン。
【0360】
上述のシクロデキストリン類としては、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、α-シクロデキストリン誘導体、β-シクロデキストリン誘導体、γ-シクロデキストリン誘導体等のシクロデキストリン誘導体等が挙げられる。
【0361】
シクロデキストリン誘導体としては、例えば、エーテル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、アミノカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、トリアルキルアンモニウム基、(メタ)アクリロイル基等の少なくとも1つの官能基を有するシクロデキストリンが挙げられる。また、これらのシクロデキストリンは、1つの(1分子の)シクロデキストリン中に、同一の官能基を複数有していてもよいし、異なる官能基を複数有していてもよい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を意味する。
【0362】
これらのシクロデキストリン誘導体のなかでも、アミノ基を有するシクロデキストリン、カルボキシ基を有するシクロデキストリンおよび(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリンが好ましい。
【0363】
アミノ基を有するシクロデキストリン、カルボキシ基を有するシクロデキストリンおよび(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリンは、さらにエーテル基、カルボニル基および/またはアミノカルボニル基を有していてもよい。
【0364】
エーテル基を有していてもよく、アミノ基を有するシクロデキストリンの具体例としては、例えば、一般式(9-1)または(9-2)で示される基を有するシクロデキストリンが挙げられ、なかでも、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の水素原子が、一般式(9-1)または(9-2)で示される基に置換されたシクロデキストリンが好ましい。
【0365】
(一般式(9-1)中、v9は、1~10の整数を表し、一般式(9-2)中、v10は、1~4の整数を表す。)
【0366】
一般式(9-1)中のv9としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0367】
一般式(9-2)中のv10としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0368】
エーテル基を有していてもよく、アミノ基およびカルボニル基を有するシクロデキストリンの具体例としては、例えば、一般式(10-1)または(10-2)で示される基を有するシクロデキストリンが挙げられ、なかでも、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の水素原子が、一般式(10-1)または(10-2)で示される基に置換されたシクロデキストリンが好ましい。
【0369】
(一般式(10-1)中、v11は、1~10の整数を表し、一般式(10-2)中、v12は、1~4の整数を表す。)
【0370】
一般式(10-1)中のv11としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0371】
一般式(10-2)中のv12としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0372】
エーテル基を有していてもよく、アミノ基およびアミノカルボニル基を有するシクロデキストリンの具体例としては、例えば、一般式(11-1)または(11-2)で示される基を有するシクロデキストリンが挙げられ、なかでも、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の水素原子が、一般式(11-1)または(11-2)で示される基に置換されたシクロデキストリンが好ましい。
【0373】
(一般式(11-1)中、v13は、1~10の整数を表し、一般式(11-2)中、v14は、1~4の整数を表す。)
【0374】
一般式(11-1)中のv13としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0375】
一般式(11-2)中のv14としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0376】
エーテル基を有していてもよく、カルボキシ基を有するシクロデキストリンの具体例としては、例えば、一般式(12-1)または(12-2)で示される基を有するシクロデキストリンが挙げられ、なかでも、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の水素原子が、一般式(12-1)または(12-2)で示される基に置換されたシクロデキストリンが好ましい。
【0377】
(一般式(12-1)中、v15は、1~10の整数を表し、一般式(12-2)中、v16は、1~4の整数を表す。)
【0378】
一般式(12-1)中のv15としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0379】
一般式(12-2)中のv16としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0380】
エーテル基を有していてもよく、カルボキシ基およびカルボニル基を有するシクロデキストリンの具体例としては、例えば、一般式(13-1)または(13-2)で示される基を有するシクロデキストリンが挙げられ、なかでも、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の水素原子が、一般式(13-1)または(13-2)で示される基に置換されたシクロデキストリンが好ましい。
【0381】
(一般式(13-1)中、v17は、1~10の整数を表し、一般式(13-2)中、v18は、1~4の整数を表す。)
【0382】
一般式(13-1)中のv17としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0383】
一般式(13-2)中のv18としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0384】
エーテル基を有していてもよく、カルボキシ基およびアミノカルボニル基を有するシクロデキストリンの具体例としては、例えば、一般式(14-1)または(14-2)で示される基を有するシクロデキストリンが挙げられ、なかでも、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の水素原子が、一般式(14-1)または(14-2)で示される基に置換されたシクロデキストリンが好ましい。
【0385】
(一般式(14-1)中、v19は、1~10の整数を表し、一般式(14-2)中、v20は、1~4の整数を表す。)
【0386】
一般式(14-1)中のv19としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0387】
一般式(14-2)中のv20としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0388】
エーテル基を有していてもよく、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリンの具体例としては、例えば、一般式(15-1)または(15-2)で示される基を有するシクロデキストリンが挙げられ、なかでも、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の水素原子が、一般式(15-1)または(15-2)で示される基に置換されたシクロデキストリンが好ましい。
【0389】
(一般式(15-1)および(15-2)中、R15は、水素原子またはメチル基を表し、一般式(15-1)中、v21は、1~10の整数を表し、一般式(15-2)中、v22は、1~4の整数を表す。)
【0390】
一般式(15-1)中のv21としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0391】
一般式(15-2)中のv22としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0392】
エーテル基を有していてもよく、(メタ)アクリロイル基およびカルボニル基を有するシクロデキストリンの具体例としては、例えば、一般式(16-1)または(16-2)で示される基を有するシクロデキストリンが挙げられ、なかでも、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の水素原子が、一般式(16-1)または(16-2)で示される基に置換されたシクロデキストリンが好ましい。
【0393】
(一般式(16-1)および(16-2)中、R16は、水素原子またはメチル基を表し、一般式(16-1)中、v23は、1~10の整数を表し、一般式(16-2)中、v24は、1~4の整数を表す。)
【0394】
一般式(16-1)中のv23としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0395】
一般式(16-2)中のv24としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0396】
エーテル基を有していてもよく、(メタ)アクリロイル基およびアミノカルボニル基を有するシクロデキストリンの具体例としては、例えば、一般式(17-1)または(17-2)で示される基を有するシクロデキストリンが挙げられ、なかでも、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の水素原子が、一般式(17-1)または(17-2)で示される基に置換されたシクロデキストリンが好ましい。
【0397】
(一般式(17-1)および(17-2)中、R17は、水素原子またはメチル基を表し、一般式(17-1)中、v25は、1~10の整数を表し、一般式(17-2)中、v26は、1~4の整数を表す。)
【0398】
一般式(17-1)中のv25としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
【0399】
一般式(17-2)中のv26としては、1~4の整数を表し、なかでも、2~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0400】
これらのシクロデキストリン類のなかでも、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、一般式(11-1)または(11-2)で示される基を有する(α-、β-またはγ-)シクロデキストリン、一般式(13-1)または(13-2)で示される基を有する(α-、β-またはγ-)シクロデキストリン、および一般式(17-1)または(17-2)で示される基を有する(α-、β-またはγ-)シクロデキストリンが好ましく、なかでも、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、一般式(11-2)で示される基を有する(α-、β-またはγ-)シクロデキストリン、一般式(13-1)で示される基を有する(α-、β-またはγ-)シクロデキストリン、および一般式(17-2)で示される基を有する(α-、β-またはγ-)シクロデキストリンがより好ましく、β-シクロデキストリン、一般式(11-2)で示される基を有するβ-シクロデキストリン、一般式(13-1)で示される基を有するβ-シクロデキストリン、および一般式(17-2)で示される基を有するβ-シクロデキストリンがさらに好ましい。
【0401】
本発明のカテナンの一態様として、アミノ基を有するシクロデキストリンを含むカテナンは、アミロイド線維生成抑制剤として期待できるという点で好ましい場合がある。
【0402】
本発明に係るシクロデキストリン誘導体としては、シクロデキストリン1分子に対して、1~80個の官能基を有するシクロデキストリンが好ましく、なかでも、シクロデキストリン1分子に対して、1~60個の官能基を有するシクロデキストリンがより好ましく、1~30個の官能基を有するシクロデキストリンがさらに好ましく、2~25個の官能基を有するシクロデキストリンが特に好ましく、3~20個の官能基を有するシクロデキストリンが最も好ましい場合がある。
【0403】
本発明に係るシクロデキストリン誘導体としては、該シクロデキストリンを含むカテナンが、アミロイド線維生成抑制剤として期待できるという点において、アミノ基を有するシクロデキストリン中のアミノ基の数が、シクロデキストリン1分子に対して、1~7個であるシクロデキストリンが好ましく、なかでも、アミノ基を有するシクロデキストリン中のアミノ基の数が、シクロデキストリン1分子に対して、2~6個であるシクロデキストリンが好ましく、3~5個であるシクロデキストリンがより好ましい。
【0404】
本発明に係るシクロデキストリン誘導体としては、別の態様として、カルボキシ基を有するシクロデキストリン中のカルボキシ基の数が、シクロデキストリン1分子に対して、1~7個であるシクロデキストリンが好ましく、なかでも、カルボキシ基を有するシクロデキストリン中のカルボキシ基の数が、シクロデキストリン1分子に対して、2~6個であるシクロデキストリンが好ましく、3~5個であるシクロデキストリンがより好ましい場合がある。
【0405】
本発明に係るシクロデキストリン誘導体としては、別の態様として、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン中の(メタ)アクリロイル基の数が、シクロデキストリン1分子に対して、1~7個であるシクロデキストリンが好ましく、なかでも、(メタ)アクリロイル基を有するシクロデキストリン中の(メタ)アクリロイル基の数が、シクロデキストリン1分子に対して、2~6個であるシクロデキストリンが好ましく、3~5個であるシクロデキストリンがより好ましい場合がある。
【0406】
本発明のカテナン中のシクロデキストリン類の数としては、通常、1~550個が挙げられ、なかでも、1~275個が好ましく、1~165個がより好ましく、1~110個がさらに好ましく、1~55個が特に好ましく、3~35個が最も好ましい。別の一態様において、シクロデキストリン類の数としては、通常、1~500個、1~250個が好ましく、1~150個がより好ましく、1~100個がさらに好ましく、1~50個が特に好ましく、3~35個が最も好ましい場合がある。シクロデキストリン類の数を上述の好ましい範囲とすることにより、本発明のカテナンを容易に製造できる等の利点がある。
【0407】
上述のポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖(PEG-PPG-PEG鎖)とは、ポリプロピレングリコール鎖(PPG鎖)の両末端にポリエチレングリコール鎖(PEG鎖)が連結しており、該ポリエチレングリコール鎖の末端のうち、ポリプロピレングリコール鎖が連結していない末端がアミド結合により結合して、環状構造になっているもののことを指す。
【0408】
ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖(PEG-PPG-PEG鎖)の分子量としては、ポリエチレングリコール部分の重量平均分子量とポリプロピレングリコール部分の重量平均分子量の合計量(平均分子量)で表すことができる。
【0409】
ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖中のポリエチレングリコール部分の重量平均分子量としては、通常、88~220000(構成単位換算で、2~5000個)が挙げられ、なかでも、重量平均分子量220~44000(構成単位:5~1000個)が好ましく、220~26400(構成単位5~600個)がより好ましく、220~8800(構成単位:5~200個)がさらに好ましく、440~8800(構成単位:10~200個)が特に好ましく、660~6600(構成単位:15~150個)が最も好ましい。なお、ポリエチレングリコール部分の分子量は、2つのポリエチレングリコール間で、同一であってもよいし、異なっていてもよく、なかでも、2つのポリエチレングリコール部分が同一の分子量であるポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖が好ましい。
【0410】
ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖中のポリプロピレングリコール部分の重量平均分子量としては、通常、116~174000(構成単位換算で、2~3000個)が挙げられ、なかでも、重量平均分子量290~29000(構成単位:5~500個)が好ましく、290~17400(構成単位5~300個)がより好ましく、290~5800(構成単位:5~100個)がさらに好ましく、580~5800(構成単位:10~100個)が特に好ましく、2900~4640(構成単位:50~80個)が最も好ましい。
【0411】
上述のポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖は、ポリエチレングリコール部分の末端とアミド結合との間に、リンカーを介していてもよい。
【0412】
リンカーとしては、ポリエチレングリコール部分の末端ヒドロキシ基と反応し得る官能基と、上述のアミド結合を形成し得るアミノ基を有する基であれば、特に制限されない。該リンカーの具体例としては、例えば、式(3B-1)~(3B-4)で示される基が挙げられる。ただし、これらの具体例は一例であって、該リンカーは、これらの具体例に限定されない。
【0413】
(式(3B-1)中、p1'は、1~20の整数を表し、式(3B-2)中、p2'は、1~10の整数を表し、式(3B-3)および(3B-4)中、アミノ基は、アミド基に結合している炭素原子に対して、2位、3位および4位のいずれかの位置の炭素原子に結合していることを表し、式(3B-1)~(3B-4)中、*で表される結合手は、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖中のポリエチレングリコール部分の末端ヒドロキシ基中の酸素原子との結合手を表し、**で表される結合手は、アミド結合を構成するカルボニル基との結合手を表す。)
【0414】
式(3B-1)中のp1'としては、1~20の整数を表し、なかでも、2~10の整数が好ましく、2~6の整数がより好ましく、2~4の整数がさらに好ましく、2が特に好ましい。
【0415】
式(3B-2)中のp2'としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましい。
【0416】
式(3B-1)~(3B-4)は、2つの結合手を有する2価の基であり、2つの結合手のうちの*で表される結合手は、ポリエチレングリコール部分の末端ヒドロキシ基(-OH基)から水素原子が脱離した酸素原子(-O-)と結合する結合手を表し、**で表される結合手は、アミド結合を形成する結合手を表す。
【0417】
式(3B-1)で示される基の具体例としては、例えば、式(3B-1-1)~(3B-1-4)で示される基が挙げられる。
【0418】
(式(3B-1-1)~(3B-1-4)中、*で表される結合手および**で表される結合手は、上記に同じ。)
【0419】
式(3B-1-1)~(3B-1-4)で示される基のなかでも、式(3B-1-1)~(3B-1-3)で示される基が好ましく、式(3B-1-1)で示される基がより好ましい。
【0420】
式(3B-2)で示される基の具体例としては、例えば、式(3B-2-1)~(3B-2-3)で示される基が挙げられる。
【0421】
(式(3B-2-1)~(3B-2-3)中、*で表される結合手および**で表される結合手は、上記に同じ。)
【0422】
式(3B-2-1)~(3B-2-3)で示される基のなかでも、式(3B-2-1)示される基が好ましい。
【0423】
式(3B-3)で示される基の具体例としては、例えば、式(3B-3-1)~(3B-3-3)で示される基が挙げられる。
【0424】
(式(3B-3-1)~(3B-3-3)中、*で表される結合手および**で表される結合手は、上記に同じ。)
【0425】
式(3B-3-1)~(3B-3-3)で示される基のなかでも、式(3B-3-1)示される基が好ましい。
【0426】
式(3B-4)で示される基の具体例としては、例えば、式(3B-4-1)~(3B-4-3)で示される基が挙げられる。
【0427】
【0428】
式(3B-4-1)~(3B-4-3)で示される基のなかでも、式(3B-4-1)示される基が好ましい。
【0429】
式(3B-1)~(3B-4)で示される基のなかでも、式(3B-1)~(3B-3)で示される基が好ましく、式(3B-1)で示される基がより好ましく、式(3B-1-1)で示される基がさらに好ましい。
【0430】
ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖は、その両端がアミド結合により結合しているが、当該アミド結合は、連結基を介した結合であってもよい。
【0431】
連結基としては、ポリエチレングリコール部分の末端ヒドロキシ基またはリンカーの末端アミノ基と反応し得る官能基か、あるいは、アミド結合そのものを有する基であれば、特に制限されない。該連結基の具体例としては、例えば、式(5B-1)~(5B-4)で示される基が挙げられる。ただし、これらの具体例は一例であって、該連結基は、これらの具体例に限定されない。
【0432】
(式(5B-1)中、各R7'および各R8'はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基またはフルオロ基を表し、同一の炭素原子に結合するR7'とR8'とで二重結合を有する基を形成していてもよく、r1'は、1~10の整数を表し、式(5B-2)中、R9'およびR10'はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基またはフルオロ基を表し、R9'とR10'とが互いに結合して、脂肪族環を形成していてもよく、式(5B-3)中、r2'は、1~5の整数を表し、一方のカルボニル基は、もう一方のカルボニル基に結合している炭素原子以外のいずれかの炭素原子に結合していることを表し、式(5B-4)中、一方のカルボニル基は、もう一方のカルボニル基に結合している炭素原子に対して、2位、3位および4位のいずれかの位置の炭素原子に結合していることを表し、式(5B-1)~(5B-4)中、*で表される結合手は、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖に含まれるリンカー部分の末端アミノ基との結合手を表す。)
【0433】
式(5B-1)および(5B-2)において、R7'~R10'で表されるアルキル基としては、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~4のアルキル基が挙げられ、直鎖状、分枝状もしくは環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基の具体例としては、上述した具体例と同様のものが挙げられる。
【0434】
式(5B-1)において、同一の炭素原子に結合するR7'とR8'とで二重結合を有する基を形成している場合の二重結合を有する基としては、例えば、ビニレン基、アリレン基等が挙げられる。
【0435】
式(5B-1)中のr1'としては、1~10の整数を表し、なかでも、1~6の整数が好ましく、2~6の整数がより好ましく、2~4の整数がさらに好ましい。
【0436】
式(5B-2)において、R9'とR10'とが互いに結合して、脂肪族環または芳香環を形成している場合の脂肪族環としては、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロへプテン環、シクロオクテン環等の炭素数5~8のシクロアルケン環が挙げられる。
【0437】
式(5B-1)中のR7'およびR8'としては、水素原子、アルキル基およびフルオロ基が好ましく、なかでも、水素原子およびフルオロ基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
【0438】
式(5B-1)中の各R7'および各R8'は、すべて同一の基であることが好ましい。
【0439】
式(5B-2)中のR9'およびR10'としては、水素原子、フルオロ基またはR9'とR10'とが互いに結合して、脂肪族環を形成していることが好ましく、なかでも、水素原子がより好ましい。
【0440】
式(5B-3)中のr2'としては、1~5の整数を表し、なかでも、1~3の整数が好ましく、2~3の整数がより好ましく、3がさらに好ましい。
【0441】
式(5B-1)~(5B-4)は、2つの結合手を有する2価の基であり、*で表される2つの結合手は、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖に含まれるリンカー部分の末端アミノ基と結合手であって、アミド結合を形成する結合手を表す。より具体的には、上述の式(3B-1)~(3B-4)で示される基における**で表される結合手と同一である。
【0442】
式(5B-1)で示される基の具体例としては、例えば、式(5B-1-1)~(5B-1-12)で示される基が挙げられる。
【0443】
【0444】
式(5B-1-1)~(5B-1-12)で示される基のなかでも、式(5B-1-1)~(5B-1-10)および(5B-1-12)で示される基が好ましく、式(5B-1-1)~(5B-1-6)、(5B-1-8)および(5B-1-9)で示される基がより好ましく、式(5B-1-1)~(5B-1-6)および(5B-1-9)で示される基がさらに好ましく、式(5B-1-1)~(5B-1-5)で示される基が特に好ましく、式(5B-1-2)~(5B-1-4)で示される基が最も好ましい。
【0445】
式(5B-2)で示される基の具体例としては、例えば、式(5B-2-1)~(5B-2-6)で示される基が挙げられる。
【0446】
【0447】
式(5B-2-1)~(5B-2-6)で示される基のなかでも、式(5B-2-1)および(5B-2-3)~(5B-2-6)で示される基が好ましく、式(5B-2-1)および(5B-2-4)~(5B-2-6)で示される基がより好ましく、式(5B-2-1)で示される基がさらに好ましい。
【0448】
式(5B-3)で示される基の具体例としては、例えば、式(5B-3-1)~(5B-3-6)で示される基が挙げられる。
【0449】
【0450】
式(5B-3-1)~(5B-3-6)で示される基のなかでも、式(5B-3-2)、(5B-3-3)および(5B-3-6)で示される基が好ましく、式(5B-3-3)で示される基がより好ましい。
【0451】
式(5B-4)で示される基の具体例としては、例えば、式(5B-4-1)~(5B-4-3)で示される基が挙げられる。
【0452】
【0453】
式(5B-4-1)~(5B-4-3)で示される基のなかでも、式(5B-4-1)で示される基が好ましい。
【0454】
式(5B-1)~(5B-4)で示される基のなかでも、式(5B-4)で示される基が好ましく、式(5B-4-1)で示される基がより好ましい。
【0455】
好ましい一態様において、本発明のカテナンとして、以下のカテナンを例示することができる。
シクロデキストリン類およびポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖を含み、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖が、該シクロデキストリン類の開口部に串刺し状に貫通しているカテナンであって、
該シクロデキストリン類が、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれるシクロデキストリン類であって、その数は、1~165個であり、好ましくは1~150個であり、より好ましくは1~110個であり、さらに好ましくは1~100個であり、なお好ましくは1~55個であり、特に好ましくは1~50個であり、最も好ましくは3~35個であり、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖の分子量は、ポリエチレングリコール部分が220~26400であり、好ましくは220~8800であり、より好ましくは440~8800であり、さらに好ましくは660~6600であり、
ポリプロピレングリコール部分が290~17400であり、好ましくは290~5800であり、より好ましくは580~5800であり、さらに好ましくは2900~4640であって、
ポリエチレングリコール部分の分子量は同一または異なっており、かつ、
該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖の両端に、式(3B-1)~(3B-4)で示されるリンカーを含み、該リンカーを含むポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖のリンカーの両端が、式(5B-1)~(5B-4)で示される連結基を介したアミド結合により結合しているカテナン。
【0456】
-本発明のカテナンの製造方法-
本発明のカテナンは、例えば、一般式(2Z):
(一般式(2Z)中、x、y、z、LおよびLは、上記に同じ。)で表される化合物が、前記一般式(1)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通している(包接されている)擬ロタキサン(以下、本発明に係る擬ロタキサンと称する場合がある。)を、一般式(5Z):
(一般式(5Z)中、XおよびXはそれぞれ独立して、ハロゲン原子を表す。)で表される化合物と反応させることにより、製造することができる(製法I)。また、別法として、本発明のカテナンは、例えば、前記一般式(2Z)で表される化合物が、α-シクロデキストリン(α-CyD)、β-シクロデキストリン(β-CyD)またはγ-シクロデキストリン(γ-CyD)の開口部に串刺し状に貫通している(包接されている)擬ロタキサンを、前記一般式(5Z)で表される化合物と反応させた後、(α-、β-またはγ-)シクロデキストリンのヒドロキシ基を修飾することにより、製造することができる(製法II)。なお、これらの反応において、反応液を適宜攪拌してもよい。
【0457】
一般式(5Z)において、XおよびXで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、なかでも、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が好ましく、塩素原子および臭素原子がより好ましく、塩素原子がさらに好ましい。
【0458】
一般式(5Z)において、XおよびXで表されるハロゲン原子は、XおよびX間で、同一のハロゲン原子であってもよいし、異なるハロゲン原子であってもよく、なかでも、XおよびX間で、同一のハロゲン原子であることが好ましい。
【0459】
本発明に係る擬ロタキサンと一般式(5Z)で表される化合物との反応(アミド化反応)において、一般式(5Z)中の1方のカルボニル基は、一般式(2Z)で表される化合物におけるL中のアミノ基と反応してアミド結合を形成し、一般式(5Z)中のもう一方のカルボニル基は、同一の一般式(2Z)で表される化合物におけるL中のアミノ基と反応してアミド結合を形成するか、あるいは、別の一般式(2Z)で表される化合物におけるL中のアミノ基と反応してアミド結合を形成する。すなわち、上述の反応は、アミド結合を介した擬ロタキサンの環化反応であり、該環化反応は、擬ロタキサンの分子内環化であってもよいし、2個以上の擬ロタキサン同士の分子間環化であってもよい。
【0460】
本発明に係る擬ロタキサンと一般式(5Z)で表される化合物との反応(アミド化反応)において、擬ロタキサンは、一種類の擬ロタキサンを用いてもよいし、複数種の擬ロタキサンを用いてもよい。
【0461】
本発明に係る擬ロタキサンと一般式(5Z)で表される化合物との反応(アミド化反応)における一般式(5Z)で表される化合物の具体例としては、例えば、マロン酸ジクロリド、ジメチルマロン酸ジクロリド、コハク酸ジクロリド、テトラフルオロコハク酸ジクロリド、フェニルコハク酸ジクロリド、グルタル酸ジクロリド、パーフルオログルタル酸ジクロリド、アジピン酸ジクロリド、ピメリン酸ジクロリド、スベリン酸ジクロリド、セバシン酸ジクロリド、マレイン酸ジクロリド、シトラコン酸ジクロリド、イタコン酸ジクロリド、シクロヘキセンジカルボン酸ジクロリド、オルトフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジクロリド、ピリジンジカルボン酸ジクロリド、チオフェンジカルボン酸ジクロリド等が挙げられる。該一般式(5Z)で表される化合物は、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの化合物は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
【0462】
本発明に係る擬ロタキサンと一般式(5Z)で表される化合物との反応(アミド化反応)における一般式(5Z)で表される化合物の使用量としては、擬ロタキサン中の一般式(2Z)で表される化合物1モルに対して、通常、0.4~50モル、好ましくは、0.45~30モル、より好ましくは、1~20モルである。なお、これらの一般式(5Z)で表される化合物は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
【0463】
本発明に係る擬ロタキサンと一般式(5Z)で表される化合物との反応(アミド化反応)は、塩基性条件下で行うことが望ましい。塩基性条件の好ましいpHとしては、通常、7を超え14以下が挙げられ、なかでも、8~14がより好ましく、9~13がさらに好ましく、9.5~12が特に好ましい。
【0464】
塩基性条件のpHに調整する際には、必要に応じて塩基性物質を用いてもよい。当該塩基性物質としては、通常この分野で使用できる塩基性物質が挙げられ、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸のアルカリ金属塩、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウム-tert-ブトキシド、ナトリウム-tert-ブトキシド、カリウム-tert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)等の3級アミン、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等の4級アンモニウム塩、例えば、アンモニア等が挙げられる。該塩基性物質は、1種類の塩基性物質を単独で用いてもよいし、2種以上の塩基性物質を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの塩基性物質は、市販のものを用いればよい。
【0465】
塩基性物質の使用量としては、上述したpHとなるように適宜調整すればよい。
【0466】
本発明に係る擬ロタキサンと一般式(5Z)で表される化合物との反応(アミド化反応)は、無溶媒中で行ってもよいし、適当な溶媒中に行ってもよい。本明細書において、無溶媒とは、(反応に不活性な)有機溶媒を添加しないことを意味し、固体同士の反応に限定されることを意味しない。なかでも、該反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒の具体例としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水、超純水等の水、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン等の有機溶媒等が挙げられる。該溶媒は、1種類の溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの溶媒は、市販のものを用いればよい。
【0467】
本発明に係る擬ロタキサンと一般式(5Z)で表される化合物との反応(アミド化反応)で使用される溶媒の使用量としては、擬ロタキサン中の一般式(2Z)で表される化合物1gに対して、通常、1~1000mL、好ましくは、10~800mL、より好ましくは、100~600mLである。
【0468】
本発明に係る擬ロタキサンと一般式(5Z)で表される化合物との反応(アミド化反応)の反応温度は、通常、-100~100℃であり、なかでも、-70~70℃が好ましく、0~50℃がより好ましい。
【0469】
本発明に係る擬ロタキサンと一般式(5Z)で表される化合物との反応(アミド化反応)の反応時間は、通常、0.1~350時間であり、なかでも、1~240時間が好ましく、1~150時間がより好ましく、2~100時間がさらに好ましい。
【0470】
本発明に係る擬ロタキサンと一般式(5Z)で表される化合物との反応(アミド化反応)後の反応産物としては、本発明のカテナンに加えて、本発明に係る擬ロタキサン、カテナンを構成していない一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物、ならびに一般式(2Z)で表される化合物が含まれ得る。そのため、該反応産物に、本発明に係る擬ロタキサン、カテナンを構成していない一般式(1)で表される化合物、または一般式(2Z)で表される化合物が含まれる場合には、これらの化合物を、本発明のカテナンから分離(除去)することが望ましい。
【0471】
上述の反応産物から、本発明のカテナンと、本発明に係る擬ロタキサン、カテナンを構成していない一般式(1)で表される化合物および一般式(2Z)で表される化合物とを分離する方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、本発明のカテナンとの物性(例えば、溶媒に対する溶解度、分子量等)の違いに基づいて、自体公知の方法によって分離することができる。
【0472】
該分離方法の具体例としては、例えば、本発明に係る擬ロタキサンを、カテナンを構成していない一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物に分離させ、次いで、本発明のカテナンを含む反応産物から、カテナンを構成していない一般式(1)で表される化合物および一般式(2Z)で表される化合物を除去する方法が挙げられる。
【0473】
本発明に係る擬ロタキサンを、カテナンを構成していない一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物に分離させる方法の具体例としては、例えば、上述の反応産物を、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)または強塩基性の水に懸濁する方法等が挙げられる。
【0474】
上述の強塩基性の水とは、例えば、pH9以上、好ましくはpH10以上の水が挙げられ、その具体例としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が挙げられるが、所望の効果が得られる限り、これらに限定されない。
【0475】
上述の反応産物から、本発明に係る擬ロタキサン、カテナンを構成していない一般式(1)で表される化合物および一般式(2Z)で表される化合物を分離(除去)する方法の好ましい態様としては、例えば、該反応産物を、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)または強塩基性の水に懸濁した後、水やアセトンを添加し、水やアセトンを含む懸濁液から、水に可溶性の画分(水可溶性画分)およびアセトンに可溶性の画分(アセトン可溶性画分)を除去する方法等が挙げられる。
【0476】
より具体的には、上述の反応産物を、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)または強塩基性の水に懸濁させることで、本発明に係る擬ロタキサンを、カテナンを構成していない一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物に分離できる。次いで、該懸濁液に、必要に応じて水を添加した後、水を含む懸濁液を遠心分離し、水溶性画分を除去することで、反応産物から、カテナンを構成していない一般式(1)で表される化合物を分離(除去)することができ、アセトンを添加した後、アセトンを含む懸濁液を遠心分離しアセトン可溶性画分を除去することで、反応産物から、一般式(2Z)で表される化合物を分離(除去)することができる。また、反応産物に、カテナンを構成していない一般式(2)で表される化合物が含まれる場合にも、水溶性画分およびアセトン可溶性画分を除去することで、反応産物から、該化合物を分離(除去)することができる。
【0477】
遠心分離の条件としては、定法に従って適宜設定すればよい。より具体的には、遠心分離機の回転数としては、通常、4000~20000rpmであり、なかでも、6000~16000rpmが好ましく、8000~14000rpmがより好ましい。遠心分離の分離時間(遠心分離機の回転時間)としては、通常、0.1~120分であり、なかでも、0.5~60分が好ましく、1~30分がより好ましい。なお、遠心分離機としては、通常この分野で使用できる装置を適宜用いればよい。
【0478】
水溶性画分の除去およびアセトン可溶性画分の除去は、上述した方法に限定されず、定法に従い、または実施例に記載の方法に準じて行うことができる。
【0479】
上述の除去工程において、アセトンに代わりに、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、またはテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を使用することができ、該アルコール系溶媒、または該エーテル系溶媒に可溶性の画分を除去することによっても、反応産物から、一般式(2Z)で表される化合物を分離(除去)することができる。
【0480】
水可溶性画分またはアセトン可溶性画分除去後の産物は、本発明のカテナンを含む。本発明のカテナンの純度を上げる等の観点から、該産物を、ゲル浸透クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等の精製工程に供してもよい。
【0481】
このようにして得られる本発明のカテナンは、必要に応じて凍結乾燥してもよい。凍結乾燥の条件としては、定法に従って適宜設定すればよい。
【0482】
本発明に係る擬ロタキサンは、一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物とを混合することにより、製造することができる。
【0483】
一般式(1)で表される化合物((α-、β-またはγ-)シクロデキストリンまたは修飾シクロデキストリン)は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。市販の化合物として、例えば、セルデックス(登録商標)シリーズ(日本食品化工株式会社)、CAVAMAX(登録商標)シリーズおよびCAVASOL(登録商標)シリーズ(株式会社シクロケム)、Captisol(登録商標)(CyDex Pharmaceuticals, Inc.)等を挙げることができる。
【0484】
一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物との混合時における一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物の使用量比としては、特に制限されず、一般式(1)で表される化合物や一般式(2Z)で表される化合物の濃度および反応時間等を適宜設定することにより、本発明に係る擬ロタキサン1分子中における一般式(1)で表される化合物の個数(包接量)を調節してもよい。
【0485】
より具体的には、一般式(1)で表される化合物の飽和溶液に対して、適量の一般式(2Z)で表される化合物を添加することにより、本発明に係る擬ロタキサンを製造でき、好ましい態様として、一般式(2Z)で表される化合物中のyの総和がysumである化合物を用いる場合、一般式(2Z)で表される化合物1モルに対して、一般式(1)で表される化合物を、ysum/2モル~ysumモルを用いることが好ましい。
【0486】
擬ロタキサンの生成反応は、一般に、軸分子と環状分子を、これらの分子が溶解する溶媒中で、溶解状態で混合することにより行われる。該生成反応において、一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物とが共通して溶解する溶媒としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の蒸留水、超純水等の水、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン等の有機溶媒等が挙げられる。該溶媒は、1種類の溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの溶媒は、市販のものを用いればよい。
【0487】
本発明に係る擬ロタキサンの生成反応(一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物との混合)時の反応温度(混合温度)は、反は、通常、-100~100℃であり、なかでも、-70~70℃が好ましく、0~50℃がより好ましい。
【0488】
本発明に係る擬ロタキサンの生成反応(一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物との混合)時の反応時間(混合時間)は、通常、0.1~240時間であり、なかでも、1~120時間が好ましく、1~72時間がより好ましく、2~48時間がさらに好ましい。
【0489】
本発明に係る擬ロタキサンの生成反応(一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物との混合)は、超音波照射下で行ってもよいし、低温条件で行ってもよく、これらの条件下で行うことにより、本発明に係る擬ロタキサンを効率よく生成できる場合がある。
【0490】
本発明に係る擬ロタキサンの生成反応(一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物との混合)において、一般式(1)で表される化合物は、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0491】
本発明に係る擬ロタキサンの生成反応(一般式(1)で表される化合物と一般式(2Z)で表される化合物との混合)において、一般式(2Z)で表される化合物は、1種類の化合物を単独で用いてもよいし、2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0492】
本発明に係る擬ロタキサンは、本明細書の記載に基づいて、T. Higashi, K. Morita, X. Song, J. Zhu, A. Tamura, N. Yui, K. Motoyama, H. Arima, J. Li, One-pot synthesis of cyclodextrin-based radial poly[n]catenanes, Commun. Chem., 2, 78 (2019).に記載の方法等の公知の方法に準じて製造することができる。
【0493】
一般式(2Z)で表される化合物は、例えば、一般式(2Z-1):
(一般式(2Z-1)中、x、yおよびzは、上記に同じ。)で表される化合物の両端にアミノ基を含む基を導入することにより、製造することができる。
【0494】
一般式(2Z-1)で表される化合物の両端にアミノ基を含む基を導入する方法としては、自体公知の方法に準して行えばよく、例えば、一般式(2Z-1)で表される化合物と、カルボニルジイミダゾール(CDI)、炭酸ジ(N-スクシンイミジル)、N-ヒドロキシスクシンイミジルクロロホルメート等のカップリング剤とを反応させて活性化体を得た後、次いで、該活性化体と、一般式(3Z):
(一般式(3Z)中、Rは、上記に同じ。)で表される化合物、または一般式(4Z):
(一般式(4Z)中、Rは、上記に同じ。)で表される化合物とを反応させることにより、一般式(2Z-1)で表される化合物の両端にアミノ基を含む基を導入させることができる。なお、カップリング剤として、カルボニルジイミダゾール(CDI)を用いた場合の反応スキームを図2に示す。
【0495】
一般式(2Z-1)で表される化合物は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。市販の化合物として、例えば、Pluronic(登録商標)P123、Pluronic(登録商標)F127(Sigma-Aldrich社製)等を挙げることができる。
【0496】
一般式(2Z-1)で表される化合物の数平均分子量は、特に制限されないが、通常、500~50000であり、なかでも、1000~30000が好ましく、2000~15000がより好ましい。
【0497】
一般式(2Z-1)で表される化合物とカップリング剤との反応における該カップリング剤の使用量としては、一般式(2Z-1)で表される化合物1モルに対して、通常、1.6~40モル、好ましくは、1.8~30モル、より好ましくは、2~20モルである。なお、カップリング剤は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
【0498】
一般式(2Z-1)で表される化合物とカップリング剤との反応は、アミンの存在下で行うことが望ましい。当該アミンとしては、通常この分野で使用できるアミンが挙げられ、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)等の3級アミン等が挙げられ、なかでも、トリエチルアミンが好ましい。該アミンは、1種類のアミンを単独で用いてもよいし、2種以上のアミンを組み合わせて用いてもよい。なお、これらのアミンは、市販のものを用いればよい。
【0499】
アミンの使用量としては、カップリング剤1モルに対して、通常、0.01~1モル、好ましくは、0.02~0.5モル、より好ましくは、0.03~0.25モルである。
【0500】
一般式(2Z-1)で表される化合物とカップリング剤との反応は、無溶媒中で行ってもよいし、適当な溶媒中に行ってもよく、なかでも、該反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、ピリジン等の有機溶媒等が挙げられる。該溶媒は、1種類の溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの溶媒は、市販のものを用いればよい。
【0501】
一般式(2Z-1)で表される化合物とカップリング剤との反応で使用される溶媒の使用量としては、一般式(2Z-1)で表される化合物1gに対して、通常、0.01~1000mL、好ましくは、0.1~100mL、より好ましくは、1~50mLである。
【0502】
一般式(2Z-1)で表される化合物とカップリング剤との反応においては、上述したアミンが溶媒としての機能を兼ねていてもよい。該溶媒の具体例としては、例えば、ピリジン等が挙げられる。また、アミンが溶媒としての機能を兼ねる場合においては、該アミンの使用量は、一般式(2Z-1)で表される化合物1gに対して、通常、0.01~1000mL、好ましくは、0.1~100mL、より好ましくは、1~50mLである。
【0503】
一般式(2Z-1)で表される化合物とカップリング剤との反応の反応温度は、通常、-100~100℃であり、なかでも、-70~70℃が好ましく、0~50℃がより好ましい。
【0504】
一般式(2Z-1)で表される化合物とカップリング剤との反応の反応時間は、通常、0.1~240時間であり、なかでも、1~240時間が好ましく、1~120時間がより好ましく、2~48時間がさらに好ましい。
【0505】
一般式(2Z-1)で表される化合物とカップリング剤との反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。該不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
【0506】
一般式(2Z-1)で表される化合物とカップリング剤との反応産物である活性化体(図2の一般式(2Z-2)で表される化合物)は、一旦、単離・精製してもよいし、当該活性化体を単離・精製せずに、そのまま次反応(一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物との反応)に付してもよい。
【0507】
活性化体(図2の一般式(2Z-2)で表される化合物)の単離・精製方法としては、自体公知の方法に準して行えばよく、その方法は特に制限されない。
【0508】
活性化体(一般式(2Z-2)で表される化合物)と一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物との反応における一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物の具体例としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン等のアルキレンジアミン、例えば、エチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、プロピレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、ジプロピレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、トリプロピレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、プロピレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ジプロピレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ブチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、ブチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ブチレングリコールビス(4-アミノブチル)エーテル等のアルキレングリコールビス(アミノアルキル)エーテル等が挙げられる。なお、これらの化合物は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
【0509】
活性化体(一般式(2Z-2)で表される化合物)と一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物との反応における一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物の使用量としては、一般式(2Z-1)で表される化合物1モルに対して、通常、1.6~200モル、好ましくは、1.8~150モル、より好ましくは、2~100モルである。
【0510】
活性化体(一般式(2Z-2)で表される化合物)と一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物との反応は、無溶媒中で行ってもよいし、適当な溶媒中に行ってもよく、なかでも、該反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、ピリジン等の有機溶媒等が挙げられる。該溶媒は、1種類の溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの溶媒は、市販のものを用いればよい。
【0511】
活性化体(一般式(2Z-2)で表される化合物)と一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物との反応で使用される溶媒の使用量としては、一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物で表される化合物1mLに対して、通常、0.01~1000mL、好ましくは、0.1~100mL、より好ましくは、1~50mLである。
【0512】
活性化体(一般式(2Z-2)で表される化合物)と一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物との反応の反応温度は、通常、-100~100℃であり、なかでも、-70~70℃が好ましく、0~50℃がより好ましい。
【0513】
活性化体(一般式(2Z-2)で表される化合物)と一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物との反応の反応時間は、通常、0.1~240時間であり、なかでも、1~240時間が好ましく、1~120時間がより好ましく、2~24時間がさらに好ましい。
【0514】
活性化体(一般式(2Z-2)で表される化合物)と一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物との反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。該不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
【0515】
活性化体(一般式(2Z-2)で表される化合物)と一般式(3Z)または一般式(4Z)で表される化合物との反応産物である一般式(2Z)で表される化合物は、定法に従って、単離・精製することができる。より具体的には、例えば、当該反応産物を含む反応液をジクロロメタン等の有機溶媒に希釈し、希釈液に飽和塩化ナトリウム水溶液を添加して抽出し、有機層を減圧濃縮することにより、単離・精製することができる。
【0516】
このようにして得られる一般式(2Z)で表される化合物は、必要に応じて凍結乾燥してもよい。凍結乾燥の条件としては、定法に従って適宜設定すればよい。
【0517】
上述した製法IIにおける、一般式(1)中の各R~Rがすべてヒドロキシ基である化合物((α-、β-またはγ-)シクロデキストリン)を含む本発明のカテナンを用い、該ヒドロキシ基を修飾して、各R~Rのいずれかがヒドロキシ基以外の基で修飾された本発明のカテナンを製造する方法としては、シクロデキストリンのヒドロキシ基を修飾する公知の方法等が挙げられるが、より具体的には、以下の方法を例示することができる。
【0518】
一般式(1)中のR~Rのいずれかが、カルボキシ基を有するアルキルカルボニルオキシ基、カルボキシ基を有するアルケニルカルボニルオキシ基等のカルボキシ基を有する基で修飾された化合物を含むカテナンを製造する方法としては、例えば、一般式(1)中の各R~Rがすべてヒドロキシ基である化合物((α-、β-またはγ-)シクロデキストリン)を含む本発明のカテナンを、アミンの存在下、カルボン酸無水物と反応させる方法等が挙げられる。
【0519】
一般式(1)中の各R~Rがすべてヒドロキシ基である化合物((α-、β-またはγ-)シクロデキストリン)は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。市販の化合物として、例えば、セルデックス(登録商標)シリーズ(日本食品化工株式会社)、CAVAMAX(登録商標)シリーズ等を挙げることができる。
【0520】
上述の反応に用いられるカルボン酸無水物としては、通常この分野で使用できるカルボン酸無水物が挙げられ、例えば、無水コハク酸、テトラフルオロコハク酸無水物、フェニルコハク酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、ピメリン酸無水物、スベリン酸無水物、セバシン酸無水物、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、シクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水フタル酸、ピリジンジカルボン酸無水物、チオフェンジカルボン酸無水物等が挙げられる。該カルボン酸無水物は、1種類のカルボン酸無水物を単独で用いてもよいし、2種以上のカルボン酸無水物を組み合わせて用いてもよい。なお、これらのカルボン酸無水物は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
【0521】
本発明のカテナンとカルボン酸無水物との反応におけるカルボン酸無水物の使用量としては、本発明のカテナンに含まれる一般式(1)で表される化合物中のヒドロキシ基のうち、カルボン酸無水物と反応させるヒドロキシル基のモル数に対して、通常、0.8~30モル、好ましくは、0.9~20モル、より好ましくは、0.95~10モルである。
【0522】
本発明のカテナンとカルボン酸無水物との反応に用いられるアミンとしては、通常この分野で使用できるアミンが挙げられ、具体例としては、一般式(2Z-1)で表される化合物とカップリング剤との反応に用いられるアミンの具体例と同様のものが挙げられ、なかでも、ピリジンが好ましく、無水ピリジンがより好ましい。該アミンは、1種類のアミンを単独で用いてもよいし、2種以上のアミンを組み合わせて用いてもよい。なお、これらのアミンは、市販のものを用いればよい。
【0523】
アミンとしては、カルボン酸無水物1モルに対して、通常、0.8~30モル、好ましくは、0.9~20モル、より好ましくは、0.95~10モルである。
【0524】
本発明のカテナンとカルボン酸無水物との反応は、無溶媒中で行ってもよいし、適当な溶媒中に行ってもよく、なかでも、無溶媒中で行うことが好ましい。また、反応を溶媒中で行う場合の溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒、水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられる。該溶媒は、1種類の溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの溶媒は、市販のものを用いればよい。
【0525】
本発明のカテナンとカルボン酸無水物との反応で溶媒を使用した場合の溶媒の使用量としては、本発明のカテナン1mgに対して、通常、0.001~100mL、好ましくは、0.01~10mL、より好ましくは、0.02~5mLである。
【0526】
本発明のカテナンとカルボン酸無水物との反応においては、上述したアミンが溶媒としての機能を兼ねていてもよい。該溶媒の具体例としては、例えば、ピリジン等が挙げられる。また、アミンが溶媒としての機能を兼ねる場合においては、該アミンの使用量は、本発明のカテナン1mgに対して、通常、0.001~100mL、好ましくは、0.01~10mL、より好ましくは、0.02~5mLである。
【0527】
本発明のカテナンとカルボン酸無水物との反応の反応温度は、通常、-100~100℃であり、なかでも、-70~70℃が好ましく、0~50℃がより好ましい。
【0528】
本発明のカテナンとカルボン酸無水物との反応の反応時間は、通常、0.1~240時間であり、なかでも、1~240時間が好ましく、1~120時間がより好ましく、2~24時間がさらに好ましい。
【0529】
本発明のカテナンとカルボン酸無水物との反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。該不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
【0530】
本発明のカテナンとカルボン酸無水物との反応産物である、後述する一般式(1Z)で表される化合物を含む本発明のカテナンは、定法に従って、単離・精製することができる。より具体的には、例えば、当該反応産物を含む反応液にジエチルエーテル等の有機溶媒を添加した後、ジエチルエーテル等の有機溶媒を含む懸濁液を遠心分離しジエチルエーテル可溶性画分を除去することで、反応産物から、本反応で使用した未反応のカルボン酸無水物やアミン等を分離(除去)することにより、本発明のカテナンを単離・精製することができる。
【0531】
遠心分離の条件としては、定法に従って適宜設定すればよい。より具体的には、遠心分離機の回転数としては、通常、4000~20000rpmであり、なかでも、6000~16000rpmが好ましく、8000~14000rpmがより好ましい。遠心分離の分離時間(遠心分離機の回転時間)としては、通常、0.1~120分であり、なかでも、0.5~60分が好ましく、1~30分がより好ましい。なお、遠心分離機としては、通常この分野で使用できる装置を適宜用いればよい。また、ジエチルエーテル等の有機溶媒を含む懸濁液は、遠心分離に付す前に、ボルテックスミキサー等を用いて攪拌してもよい。
【0532】
このようにして得られる本発明のカテナンは、必要に応じて凍結乾燥してもよい。凍結乾燥の条件としては、定法に従って適宜設定すればよい。
【0533】
一般式(1)中のR~Rのいずれかが、アミノ基を有し、エーテル基を有していてもよいアルキルカルバモイルオキシ基等のアミノ基を有する基で修飾された化合物を含むカテナンを製造する方法としては、例えば、一般式(1)中の各R~Rがすべてヒドロキシ基である化合物((α-、β-またはγ-)シクロデキストリン)を含む本発明のカテナンを、カルボニルジイミダゾール(CDI)、炭酸ジ(N-スクシンイミジル)、N-ヒドロキシスクシンイミジルクロロホルメート等のカップリング剤とを反応させて活性化体を得た後、次いで、該活性化体とジアミン類とを反応させる方法等が挙げられる。
【0534】
本発明のカテナンとカップリング剤との反応における該カップリング剤の使用量としては、本発明のカテナンに含まれる一般式(1)で表される化合物中のヒドロキシ基のうち、カップリング剤と反応させるヒドロキシル基のモル数に対して、通常、0.8~30モル、好ましくは、0.9~20モル、より好ましくは、0.95~10モルである。なお、カップリング剤は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
【0535】
本発明のカテナンとカップリング剤との反応は、アミンの存在下で行ってもよい。当該アミンとしては、通常この分野で使用できるアミンが挙げられ、具体例としては、一般式(2Z-1)で表される化合物とカップリング剤との反応に用いられるアミンの具体例と同様のものが挙げられる。また、その使用量は、定法に従って適宜設定すればよい。
【0536】
本発明のカテナンとカップリング剤との反応は、無溶媒中で行ってもよいし、適当な溶媒中に行ってもよく、なかでも、該反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒等が挙げられ、なかでも、脱水DMSOが好ましい。該溶媒は、1種類の溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの溶媒は、市販のものを用いればよい。
【0537】
本発明のカテナンとカップリング剤との反応で使用される溶媒の使用量としては、本発明のカテナン1mgに対して、通常、0.001~100mL、好ましくは、0.01~10mL、より好ましくは、0.02~5mLである。
【0538】
本発明のカテナンとカップリング剤との反応においては、上述したアミンが溶媒としての機能を兼ねていてもよい。該溶媒の具体例としては、例えば、ピリジン等が挙げられる。また、アミンが溶媒としての機能を兼ねる場合においては、該アミンの使用量は、本発明のカテナン1mgに対して、通常、0.001~100mL、好ましくは、0.01~10mL、より好ましくは、0.02~5mLである。
【0539】
本発明のカテナンとカップリング剤との反応の反応温度は、通常、-100~100℃であり、なかでも、-70~70℃が好ましく、0~50℃がより好ましい。
【0540】
本発明のカテナンとカップリング剤との反応の反応時間は、通常、0.1~240時間であり、なかでも、1~240時間が好ましく、1~120時間がより好ましく、2~48時間がさらに好ましい。
【0541】
本発明のカテナンとカップリング剤との反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。該不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
【0542】
本発明のカテナンとカップリング剤との反応産物である活性化体は、一旦、単離・精製してもよいし、当該活性化体を単離・精製せずに、そのまま次反応(ジアミン類との反応)に付してもよい。
【0543】
活性化体の単離・精製方法としては、自体公知の方法に準して行えばよく、その方法は特に制限されない。
【0544】
活性化体とジアミン類との反応におけるジアミン類の具体例としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン等のアルキレンジアミン、例えば、エチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、プロピレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、ジプロピレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、トリプロピレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、プロピレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ジプロピレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ブチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、ブチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ブチレングリコールビス(4-アミノブチル)エーテル等のアルキレングリコールビス(アミノアルキル)エーテル等が挙げられ、なかでも、アルキレングリコールビス(アミノアルキル)エーテルが好ましく、エチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテルがより好ましい。該ジアミン類は、1種類のジアミン類を単独で用いてもよいし、2種以上のジアミン類を組み合わせて用いてもよい。なお、これらのジアミン類は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
【0545】
活性化体とジアミン類との反応におけるジアミン類の使用量としては、活性化体の前駆物質である本発明のカテナンに含まれる一般式(1)で表される化合物中のヒドロキシ基のうち、カップリング剤を介してジアミン類と反応させるヒドロキシル基のモル数に対して、通常、0.8~30モル、好ましくは、0.9~20モル、より好ましくは、0.95~10モルである。
【0546】
活性化体とジアミン類との反応は、無溶媒中で行ってもよいし、適当な溶媒中に行ってもよく、なかでも、該反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒等が挙げられ、なかでも、脱水DMSOが好ましい。該溶媒は、1種類の溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの溶媒は、市販のものを用いればよい。
【0547】
活性化体とジアミン類との反応で使用される溶媒の使用量としては、ジアミン類1mLに対して、通常、0.01~1000mL、好ましくは、0.1~100mL、より好ましくは、0.5~50mLである。
【0548】
活性化体とジアミン類との反応においては、上述したジアミン類やアミンが溶媒としての機能を兼ねていてもよい。該アミンの具体例としては、例えば、ピリジン等が挙げられる。また、ジアミン類やアミンが溶媒としての機能を兼ねる場合においては、該ジアミン類またはアミンの使用量は、活性化体1mgに対して、通常、0.001~100mL、好ましくは、0.01~10mL、より好ましくは、0.02~5mLである。
【0549】
活性化体とジアミン類との反応の反応温度は、通常、-100~100℃であり、なかでも、-70~70℃が好ましく、0~50℃がより好ましい。
【0550】
活性化体とジアミン類との反応の反応時間は、通常、0.1~240時間であり、なかでも、1~240時間が好ましく、1~120時間がより好ましく、2~48時間がさらに好ましい。
【0551】
活性化体とジアミン類との反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。該不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
【0552】
活性化体とジアミン類との反応産物である、後述する一般式(1Z)で表される化合物を含む本発明のカテナンは、定法に従って、単離・精製することができる。より具体的には、例えば、当該反応産物を含む反応液を、例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水で希釈し、適当な透析膜を用いて透析することで、反応産物から、本反応で使用した未反応のカップリング剤やジアミン類等を分離(除去)することにより、本発明のカテナンを単離・精製することができる。
【0553】
透析に用いられる透析膜としては、通常、分画分子量2000~12000の透析膜が挙げられ、なかでも、3000~10000の透析膜が好ましい。透析時間としては、通常、1~480時間が挙げられ、なかでも、2~240時間が好ましい。なお、透析膜としては、通常この分野で使用できるものを適宜用いればよい。
【0554】
このようにして得られる本発明のカテナンは、必要に応じて凍結乾燥してもよい。凍結乾燥の条件としては、定法に従って適宜設定すればよい。
【0555】
一般式(1)中のR~Rのいずれかが、アミノカルボニル基を有し、エーテル基を有していてもよいアルケニルカルバモイルオキシ基で修飾された化合物を含むカテナンを製造する方法としては、例えば、上述の製法で得られるアミノ基を有する基で修飾された化合物を含むカテナンを、(メタ)アクリル酸クロリド等のアルケニル基含有化合物と反応させ、アミノ基を(メタ)アクリロイル化する方法等が挙げられる。
【0556】
シクロデキストリンのヒドロキシ基を修飾する方法としては、上述した方法のほかに、例えば、米国特許第5134127号明細書、米国特許第6153746号明細書、Tetrahedron Lett., 35(37), 6781-6782, (1994)、Chem. Rev., 98(5), 2045-2076 (1998)、Carbohydr. Res., 344(15), 1999-2004 (2009)、「ナノマテリアルシクロデキストリン、シクロデキストリン学会、米田出版(2005)」、「シクロデキストリン -基礎と応用-、戸田不二緒監修・上野昭彦編集、産業図書(1995)」等に記載の方法が挙げられ、これらの文献を参考に、シクロデキストリンのヒドロキシ基を修飾することができる。
【0557】
上述した方法により得られる、(α-、β-またはγ-)シクロデキストリンのヒドロキシ基が修飾された本発明のカテナンは、以下の式で表すことができる。
一般式(1Z):
(一般式(1Z)中、各R1Z~R3Zはそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、アジド基または炭化水素基を表し、mは、上記に同じ。ただし、各R1Z~R3Zの少なくとも1つが、アミノ基、チオール基、アジド基または炭化水素基を表す。)で表される化合物、および前記一般式(2)で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(2)で表される化合物が、一般式(1Z)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン。
【0558】
一般式(1Z)において、R1Z~R3Zで表される炭化水素基の具体例としては、一般式(1)において、R~Rで表される炭化水素基の具体例と同様のものが挙げられる。
【0559】
-本発明のカテナンを含むアミロイド線維生成抑制剤-
本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、アミノ基を有するシクロデキストリン(アミノ基で修飾されたシクロデキストリン(CyD)誘導体)およびポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖を含み、該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖が、該シクロデキストリンの開口部に串刺し状に貫通し、かつ、該ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール鎖の両端がアミド結合により結合している本発明のカテナンを含むものである。
【0560】
すなわち、本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、一般式(1A):
(一般式(1A)中、各R1A~R3Aおよびmは、上記に同じ。ただし、各R1Aおよび各R2Aの少なくとも1つが、アミノ基を有するアルキルカルボニルオキシ基またはアミノ基を有するアルキルカルバモイルオキシ基を表す。)で表される化合物、および一般式(2A):
(一般式(2A)中、x'、y'、z'、n''、L'、L'およびZ'は、上記に同じ。)で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(2A)で表される化合物が、一般式(1A)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナンを含むものである。
【0561】
本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、アミロイド線維の形成抑制効果やアミロイド線維溶解(破壊)活性を有することから、アミロイド線維の組織沈着を抑制することができる。故に、本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、アミロイドーシスに起因する疾患に対する予防効果および/または治療効果が期待できる。また、本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、脂溶性薬物等の可溶化および安定化等の目的で医薬品の賦形剤として汎用されている安全性の高いシクロデキストリン誘導体を有効成分として含有することから、人体に対して安全性の高い医薬になり得る。
【0562】
すなわち、本明細書においては、アミロイド線維の形成を抑制する作用と、形成されたアミロイド線維を溶解(破壊)する作用のうち、いずれか一方の作用または両方の作用を有する化合物もしくはその塩あるいはそれらの溶媒和物をアミロイド線維生成抑制剤という。特に、本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、形成されたアミロイド線維を溶解(破壊)する作用に優れる。
【0563】
本発明のアミロイド線維生成抑制は、アミロイド線維形成抑制剤またはアミロイド線維破壊促進剤のいずれにもなり得るものである。
【0564】
本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、上述した本発明のカテナンの薬学的に許容される塩であってもよいし、それらの溶媒和物であってもよい。薬学的に許容される塩としては、上述した本発明のカテナンが酸性基を有する場合には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;亜鉛塩等の無機金属塩;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリヒドロキシメチルアミノメタン、アミノ酸等の有機塩基塩等が挙げられ、上述した本発明のカテナンが塩基性基を有する場合には、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。溶媒和物としては、例えば、水和物、エタノール溶媒和物等が挙げられる。また、本発明のアミロイド線維生成抑制剤には、あらゆる態様の結晶形のものが包含される。
【0565】
本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、上述した本発明のカテナンもしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物の有効量を含みさえすれば、固体または液体のいずれの形態で含んでいてもよく、これに薬学上許容される担体または添加剤を配合して、固体状または液体状の医薬組成物として調製することもできる。
【0566】
本発明のアミロイド線維生成抑制剤に含まれる、本発明のカテナンもしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物の割合は、トランスサイレチン(TTR)タンパク質のアミロイド線維の形成を抑制したり、アミロイド線維を溶解(破壊)できる量であれば特に制限されないが、例えば、本発明のアミロイド線維生成抑制剤の質量に対し、80~100質量%である。
【0567】
本発明のアミロイド線維生成抑制剤の濃度は、0.2mg/mLのTTRタンパク質に対して、本発明のアミロイド線維生成抑制剤に含まれる本発明のカテナン基準で、10mM以上が好ましく、40mM以上がより好ましく、100mM以上がさらに好ましい。
【0568】
本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、後述するアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬としてだけでなく、医薬部外品、化粧品、機能性食品、栄養補助剤、飲食物等として使用することができる。医薬部外品または化粧品として使用する場合には、必要に応じて、医薬部外品または化粧品等の技術分野で通常用いられている種々の添加剤とともに使用される。機能性食品、栄養補助剤または飲食物として使用する場合には、必要に応じて、例えば、甘味料、香辛料、調味料、防腐剤、保存料、殺菌剤、酸化防止剤等の食品に通常用いられる添加剤とともに使用してもよい。また、溶液状、懸濁液状、シロップ状、顆粒状、クリーム状、ペースト状、ゼリー状等の所望の形状で、あるいは必要に応じて成形して使用してもよい。これらに含まれる割合は、特に限定されず、使用目的、使用形態および使用量に応じて適宜選択することができる。
【0569】
本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、アミロイド線維の形成を抑制したり、β-シート構造のアミロイド線維を溶解(破壊)するという効果を奏する。また、本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、アミノ基を有するシクロデキストリンを含むカテナンを含むものであり、アミノ基を有するシクロデキストリンを含むロタキサンと比較して、アミロイド線維の形成を抑制する効果やアミロイド線維を溶解する効果が高い。メカニズムの詳細は明らかではないが、このような効果の違いは、本発明のアミロイド線維生成抑制剤中のカテナンが、アミロイド線維の形成抑制やアミロイド線維の溶解になんらか寄与していることが示唆される。
【0570】
-本発明のアミロイド線維生成抑制剤を含有する、アミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬-
本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬は、上述した本発明のアミロイド線維生成抑制剤を含有するものである。
【0571】
本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬の適用対象となるアミロイドーシスとしては、全身性アミロイドーシスおよび限局性アミロイドーシスのいずれも含む。これに限定されないが、具体的な疾患としては、全身性アミロイドーシスとして、免疫グロブリン性アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)、AAアミロイドーシス、透析アミロイドーシス、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)、老人性全身性アミロイドーシス(SSA)等が挙げられ、限局性アミロイドーシスとして、アルツハイマー病、脳アミロイドアンギオパチー、プリオン病等が挙げられる。本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬の対象として、好ましくは、家族性アミロイドーシスポリニューロパチー(FAP)、アルツハイマー病、老人性全身性アミロイドーシス(SSA)、AAアミロイドーシスが挙げられる。
【0572】
例えば、FAPを発病した患者のうち症状が軽度な患者は、本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬を投与することにより症状の進行や悪化を防ぐことが期待できる。症状が重篤な患者に対しても治療効果が期待できる場合がある。また、変異TTRを有する個体は加齢とともにFAPを発症する可能性の高い潜在患者であるが、本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬を投与することによりFAPの発症を予防することが期待できる。また、すでにアミロイドーシスに罹患した患者であっても、本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬を適用すれば、障害が見られる組織を改善することが期待できる。したがって、本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬によれば、アミロイドーシスやアミロイドーシスに関連する疾患の予防およびこれらの疾患による病状の進行や悪化の抑制だけでなく、病状の改善、すなわち、これらの疾患に対する治療効果が期待できる。
【0573】
本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬としては、本発明のアミロイド線維生成抑制剤をそのまま用いてもよいが、通常は有効成分である本発明のアミロイド線維生成抑制剤またはそれを含む混合物と1種または2種以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態を調製して用いることが望ましい。
【0574】
FAPの予防および治療の際には、本発明のアミロイド線維生成抑制剤だけでなく、TTR四量体を安定化する非ステロイド性抗炎症薬、例えば、ジフルニサール等と併用することが望ましい場合がある。
【0575】
本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬は、経口剤または非経口剤のいずれでもよいが、非経口剤が好ましい。経口剤の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤等を挙げることができ、非経口剤の剤形としては、例えば、注射剤、点滴剤、座剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、軟膏剤、クリーム剤、貼付剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤等を挙げることができる。該薬物の製造に用いられる製剤用添加物としては、例えば、乳糖、オリゴ糖等の賦形剤、崩壊剤または崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、抗酸化剤、矯味剤、希釈剤、基剤、溶解剤または溶解補助剤、等張化剤、保存剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、キャリア、薬学的アジュバンド、粘着剤等を挙げることができるが、これらは薬物の形態に応じて適宜選択することができ、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0576】
本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬の好ましい形態として、注射剤が挙げられる。注射剤としては、通常、非水溶媒(または水溶性有機溶媒)を実質的に含まず、媒体が実質的に水である溶媒で溶解または希釈可能である。注射剤は、この分野において公知の方法により調製することができる。例えば、注射剤は、生理食塩水、PBS等の緩衝液、滅菌水等の溶剤に溶解した後、フィルター等で濾過滅菌し、次いで、無菌容器(例えば、アンプル等)に充填することにより調製することができる。この注射剤には、必要に応じて、慣用の薬学的キャリアを含めてもよい。また、非侵襲的なカテーテルを用いる投与方法を用いてもよい。本発明で用いることができるキャリアとしては、中性緩衝化生理食塩水、または血清アルブミンを含む生理食塩水等が挙げられる。
【0577】
また、本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬の好ましい形態として、凍結乾燥製剤(凍結乾燥した注射剤)も挙げることができる。このような凍結乾燥製剤であっても、注射用水(注射用蒸留水)、電解質液(例えば、生理食塩水)等を含む輸液、栄養輸液等から選択された少なくとも1つの液体または溶媒により溶解可能であり、容易に注射液を調製でき、その容器もガラス容器およびプラスチック容器が使用できる。注射剤内容物の100重量部に対して、本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬を0.01重量部以上、好ましくは0.1~10重量部含有することができる。
【0578】
本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬の投与量および投与回数等は特に限定されず、患者の年齢、体重および性別等の条件、ならびに疾患の種類や重篤度、予防または治療の目的等に応じて適宜選択可能である。通常は、非経口投与による場合には、有効成分量として成人一日あたり0.1μg~30gが好ましく、10μg~10gがより好ましく、100μg~1gがより好ましいが、このような投与量を一日数回に分けて投与してもよい。本発明のアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬の投与頻度は、例えば、一日一回~数か月に一回であればよく、特に制限されない。
【0579】
本発明のカテナンの用途の一例として、アミロイド線維生成抑制剤やアミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬が挙げられるが、本発明のカテナンの用途は、これに限定されるものではなく、種々の用途に適用できる。例えば、本発明のカテナンは、エンドキャップフリーで、シクロデキストリンまたはその誘導体を軸分子にトラップできるため、ポリロタキサンの代替として、機能性医用素材や薬物輸送担体となり得る。また、シクロデキストリンまたはその誘導体を含むポリロタキサンは、環動ゲルの成分としてすでに実用化されている。該ポリロタキサンは、ポリロタキサン中のシクロデキストリン類が分子間で架橋されることにより調製され、架橋点が軸分子に沿って可動となるため、滑車効果により環動ケル特性を付与できる。架橋点に本発明のポリカテナンを用いれば、ポリロタキサン中のシクロデキストリン類の1次元的(直線状)な運動に留まらず、シクロデキストリン類の運動を二次元化(環状)でき、多彩な特性を付与できる可能性がある。
【実施例0580】
以下、実施例および実験例に基づいて本発明を具体的に説明するが、実施例は本発明の単なる例示を示すものにすぎず、本発明の範囲をなんら限定するものではない。
【0581】
1.NMRスペクトル
1H-NMRスペクトルおよびNOESYスペクトルは、AVANCE 600(BRUKER製)を用いて、25℃で測定した。溶媒はDMSO-d6またはD2Oを用い、各種サンプルの濃度は1.5 mg/750 μLとした。1H-NMRの化学シフトは、DMSO-d6またはD2Oのピークを用いて表した。
【0582】
2.ゲル浸透クロマトグラフィー
ゲル浸透クロマトグラフィーは、HLC-8120 GPC(Tosoh株式会社製)を用いて測定し、検出器には示差屈折率計を使用した。カラムにはTSKgel Super AW4000およびTSKgel Super AW2500(Tosoh株式会社製)を用い、カラム温度65℃、流速0.15 mL/minにて測定した。移動相には10 mM LiBrを含むDMSOを用いた。β-シクロデキストリンポリカテナン(β-CyDポリカテナン)(10 mg/mL)、Pluronic(登録商標)P123(10 mg/mL)またはβ-CyD(10 mg/mL)を移動相に溶解し、0.22 μmのPTFEフィルターでろ過した後、30 μLを注入した。なお、MnおよびMw/Mnは、ポリエチレンオキシド標準試料より作成した検量線を用いて算出した。
【0583】
実験例1.一般式(2Z)で表される化合物の調製
Pluronic(登録商標)P123 23.2 g(4 mmol、Sigma-Aldrich社製;一般式(2Z-1)中のxおよびzが20、yが70の化合物)、1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)13.2 g(81.4 mmol、富士フイルム和光純薬(株)製)およびトリエチルアミン(TEA)608 mg(6 mmol、ナカライテスク(株)製)をジメチルスルホキシド(DMSO)80 mLに溶解し、窒素ガス雰囲気下、室温で24時間撹拌した。次いで、エチレンジアミン13.508 mL(201.1 mmol、富士フイルム和光純薬(株)製)を含むDMSO 60 mLを滴下後、室温で24時間撹拌した。反応液にジクロロメタン800 mLおよび塩化ナトリウム飽和水溶液1000 mLを添加し、激しく撹拌後、8,000 rpmで5分間遠心分離し、水層を除去した。さらに、塩化ナトリウム飽和水溶液1000 mLを添加し、撹拌、遠心後、水層を除去する操作を2回繰り返した。得られた有機層をジクロロメタンを留去し、凍結乾燥し、一般式(2Z)中のxおよびzが20、yが70であり、Lが前記式(3-1-1)で示される基であり、Lが前記式(3-1-1)で示される基である化合物を得た。
【0584】
実施例1.β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンの調製
合成例1で調製した一般式(2Z)で表される化合物9.52 g(1.6 mmol)を精製水4000 mLに溶解し、β-シクロデキストリン(β-CyD)74.0 g(65.2 mmol、日本食品化工(株)製)を添加し、窒素ガス雰囲気下、室温で24時間撹拌した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、反応液のpHを10にした後、テレフタル酸ジクロリド6.4 g(31.5 mmol、東京化成工業(株)製)を反応液に添加し、室温で72時間撹拌した。沈殿物を含む懸濁液を12,000 rpmで10分間遠心分離後、上清を除去した。次いで、精製水を添加してよく混和し、12,000 rpmで10分間遠心分離した後、上清を除去した。沈殿物を含む懸濁液にDMSOを加えて沈殿物を完全に溶解した後、激しく撹拌しているアセトン中に滴下した。懸濁液を12,000 rpmで10分間遠心分離後、上清を除去した。さらに、精製水を添加してよく混和した後、12,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去する工程を3回繰り返した。次いで、精製水を加えてよく混和した後、12,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を取り除いた後、凍結乾燥し、β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンを得た(収率:7.4%)。
【0585】
評価例1.β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンの評価(NMR測定およびGPC測定)
実施例1で得られた化合物がβ-CyDポリカテナンであることを確認した。すなわち、β-CyDポリカテナンの化学量論を求めるため、β-CyDポリカテナンの固体試料をDMSO-d6に溶解後の1H-NMRスペクトルを測定した(図3)。β-CyDポリカテナンの1H-NMRスペクトルにおいて、ポリエチレングリコール(PEG)鎖、ポリプロピレングリコール(PPG)鎖およびβ-CyD由来のピークが観察された。さらに、PPG鎖由来のピークは、β-CyD擬ポリロタキサンをDMSO-d6に溶解した試料に比べてブロードしたことから、β-CyDポリカテナン中のβ-CyDは、PPG鎖を包接していることが示唆された。
【0586】
β-CyDのアノメリックプロトンおよびPPG鎖のメチルプロトンの積分値より、ポリカテナン1分子中のβ-CyD貫通数を算出した結果、約13であった。Pluronic(登録商標)P123中のPPG鎖(M.W. 3,990)には、最大約34個のβ-CyDが貫通できることから、ポリカテナン中のβ-CyD被覆率は約38%であることが示唆された。さらに、1H-NMRスペクトルの結果より、β-CyDポリカテナンの分子量の理論値を求めた結果、約21,000であった。該分子量と生成物の収量から算出したβ-CyDポリカテナンの収率は約7.4%であった。以上のことから、実施例1のカテナンは、約13個のβ-CyDが貫通したポリカテナンであることが確認できた。これらの結果を表12に示す。
【0587】
【表12】
【0588】
実施例1で得られたβ-CyDポリカテナンの調製を確認するため、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行った。β-CyDポリカテナンの固体試料をDMSOに溶解し、フィルター(0.22 μm)濾過後のGPCチャートを図4に示す。β-CyDポリカテナンのGPCチャートにおいて、保持時間37分付近にβ-CyDポリカテナン由来のピークを与えた。また、保持時間47分付近に遊離のβ-CyDのピークが観察された。以上の結果より、β-CyDポリカテナンの形成が示唆された。
【0589】
評価例2.β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンの安定性試験
β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナン(アミド)、および国際公開第2018/164225号に準じて合成したβ-シクロデキストリン(β-CyD)と軸分子の両端がジスルフィド結合により結合している該軸分子とを含むポリカテナン(-S-S-)の各20 mgをそれぞれ水20 mLに分散後、室温で緩やかに撹拌し、所定時間経過後、試料を10,000 rpmで5分間遠心した。上清を採取後、下記条件にて旋光度を測定し、放出されたCyDを定量した。測定機器:JASCO Polarimeter P-2200、光源:ハロゲンランプ、測定波長:589 nm、積算時間:5秒、繰り返し回数:3回、繰り返し間隔:0秒、セル長:100 mm。その結果を表13と図5に示す。
【0590】
【表13】
【0591】
表13と図5の結果から、軸分子の末端がアミド結合で結合している本発明のカテナンは、軸分子の末端がジスルフィド結合で結合しているカテナン(比較用のカテナン)と比べて、β-CyDの放出率が低い。β-CyDは、カテナン構造が開環することで軸分子から放出されることから、β-CyDの放出率は、カテナン構造の開環のし易さと関係する。すなわち、本発明のカテナンは、水などの液体中で軸分子のアミド結合が切断されにくく、β-CyDが軸分子から放出され難いことから、放出率が低い。故に、本発明のカテナンは、水などの液体中で分解しにくく、安定して存在できることが確認できた。
【0592】
実施例2.スクシニル化β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンの調製
実施例1で合成したβ-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナン27 mg(カテナン1分子中に約13個のシクロデキストリンを含む)を無水ピリジン2 mL(24.8 mmol、富士フイルム和光純薬(株)製)に溶解した後、β-CyDのヒドロキシ基のモル数と無水コハク酸のモル数が1:1となるように、無水コハク酸36.2 mg(362.25 μmol、富士フイルム和光純薬(株)製)を添加し、窒素ガス雰囲気下、室温で24時間撹拌した。次いで、反応液にジエチルエーテル10 mLを添加してよく混和した後、12,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去する工程を3回繰り返した。得られた沈殿物を凍結乾燥し、スクシニル化β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンを得た(収率:81%)。
【0593】
評価例3.スクシニル化β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンの評価(NMR測定)
実施例2で得られた化合物がスクシニル化β-CyDポリカテナンであることを確認した。すなわち、β-CyDポリカテナンの化学量論とスクシニル化率を求めるため、スクシニル化β-CyDポリカテナンの固体試料をD2Oに溶解後の1H-NMRスペクトルを測定した(図6)。スクシニル化β-CyDポリカテナンの1H-NMRスペクトルにおいて、ポリエチレングリコール(PEG)鎖、ポリプロピレングリコール(PPG)鎖、β-CyDおよびスクシニル基由来のピークが観察された。
【0594】
β-CyDのアノメリックプロトンおよびPPG鎖のメチルプロトンの積分値より、ポリカテナン1分子中のβ-CyD貫通数を算出した結果、約11であった。Pluronic(登録商標)P123中のPPG鎖(M.W. 3,990)には、最大約34個のβ-CyDが貫通できることから、ポリカテナン中のβ-CyD被覆率は約34%であることが示唆された。また、β-CyDのアノメリックプロトンおよびスクシニル基のメチレンプロトンの積分値より、β-CyD1分子あたりのカルボキシエチルカルボニル基の修飾数(スクシニル基の置換度)を算出した結果、約3個であった。さらに、1H-NMRスペクトルの結果より、スクシニル化β-CyDポリカテナンの分子量の理論値を求めた結果、約19,000であった。β-CyD貫通数とβ-CyD1分子あたりのスクシニル基の置換度から算出したポリカテナン1ユニット中のスクシニル基の置換度は約36個であった。これらの結果を表14に示す。
【0595】
【表14】
【0596】
実施例3.アミノ化β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンの調製-1
実施例1で合成したβ-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナン20.9 mg(カテナン1分子中に約13個のシクロデキストリンを含む)をDMSO 3 mLに溶解した後、β-CyDのヒドロキシ基のモル数と1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)のモル数が3:1となるように、CDI 14.8 mg(91 μmol、富士フイルム和光純薬(株)製)を添加し、窒素ガス雰囲気下、室温で終夜撹拌した。次いで、エチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル132.9 μL(910 μmol、Sigma-Aldrich社製)を含むDMSO 3 mLを滴下後、室温で終夜撹拌した。得られた反応液を5日間透析(M.W.C.O.=8,000)した後、凍結乾燥することにより、アミノ化β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンを得た(収率:75%)。
【0597】
実施例4.アミノ化β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンの調製-2
実施例1で合成したβ-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナン20.9 mg(カテナン1分子中に約13個のシクロデキストリンを含む)をDMSO 3 mLに溶解した後、β-CyDのヒドロキシ基のモル数と1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)のモル数が1:1となるように、CDI 44.3 mg(273 μmol、富士フイルム和光純薬(株)製)を添加し、窒素ガス雰囲気下、室温で終夜撹拌した。次いで、エチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル398.6 μL(2.73 mmol、Sigma-Aldrich社製)を含むDMSO 3 mLを滴下後、室温で終夜撹拌した。得られた反応液を5日間透析(M.W.C.O.=8,000)した後、凍結乾燥することにより、アミノ化β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンを得た(収率:83%)。
【0598】
評価例4.アミノ化β-シクロデキストリン(β-CyD)を含む本発明のカテナンの評価(NMR測定)
実施例3および4で得られた化合物がアミノ化β-CyDポリカテナンであることを確認した。すなわち、β-CyDポリカテナンの化学量論とアミノ化率を求めるため、アミノ化β-CyDポリカテナンの固体試料をD2Oに溶解後の1H-NMRスペクトルを測定した。アミノ化β-CyDポリカテナンの1H-NMRスペクトルにおいて、ポリエチレングリコール(PEG)鎖、ポリプロピレングリコール(PPG)鎖、β-CyDおよびエチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル由来のピークが観察された。実施例3で得られたアミノ化β-CyDポリカテナンの1H-NMRスペクトル図を図7、実施例4で得られたアミノ化β-CyDポリカテナンの1H-NMRスペクトル図を図8に示す。
【0599】
β-CyDのアノメリックプロトンおよびPPG鎖のメチルプロトンの積分値より、ポリカテナン1分子中のβ-CyD貫通数を算出した結果、実施例3のポリカテナンでは約11、実施例4のポリカテナンでは約16であった。Pluronic(登録商標)P123中のPPG鎖(M.W. 3,990)には、最大約34個のβ-CyDが貫通できることから、ポリカテナン中のβ-CyD被覆率は、それぞれ、約31%、約45%であることが示唆された。また、β-CyDのアノメリックプロトンおよびエチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテルのメチレンプロトンの積分値より、β-CyD1分子あたりの2-アミノエトキシエトキシエチルカルバモイル基の修飾数(アミノ基の置換度)を算出した結果、それぞれ、約1個、約3個であった。さらに、1H-NMRスペクトルの結果より、アミノ化β-CyDポリカテナンの分子量の理論値を求めた結果、それぞれ、約21,000、約31,000であった。β-CyD貫通数とβ-CyD1分子あたりのアミノ基の置換度から算出したポリカテナン1ユニット中のアミノ基の置換度は、それぞれ、約16個、約51個であった。これらの結果を表15に示す。
【0600】
【表15】
【0601】
比較合成例1.アミノ化α-シクロデキストリン(α-CyD)を含むポリロタキサン(NH2-α-PRX)の調製
J. Araki, C. Zhao, K. Ito, Efficient production of polyrotaxanes from α-cyclodextrin and poly(ethylene glycol), Macromolecules 38, 17, 7524-7527 (2005).に記載の方法に準じて調製したα-シクロデキストリン(α-CyD)を含むポリロタキサン(α-PRX)8.41 gをdry DMSO 250 mLに溶解した後、1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI) 8.29 g(51 mmol、富士フイルム和光純薬(株)製)を添加し、窒素ガス雰囲気下、室温で終夜撹拌した。次いで、エチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル75.8 mL(510 mmol、Sigma-Aldrich社製)を滴下後、室温で終夜撹拌した。得られた反応液を透析(M.W.C.O.=10,000)した後、凍結乾燥することにより、アミノ化α-シクロデキストリン(α-CyD)を含むポリロタキサン(NH2-α-PRX)を得た。
【0602】
評価例5.アミロイド線維の溶解試験
グリシン-HCl バッファー(グリシン;50 mM、pH;2.7、富士フイルム和光純薬(株)製)に、終濃度が20 μMとなるように、インスリン(ヒト組み換え体:富士フイルム和光純薬(株)製)を溶解した後、65℃で6時間インキュベートし、アミロイド線維を形成させた。次いで、表16に示す各種添加剤を終濃度が500 μMとなるように添加し(総液量20 μL)、65℃で6時間インキュベートした。インキュベート後、アミロイド線維を、重合したβ-シートに選択的に結合する蛍光プローブであるチオフラビン-Tを用いて検出した。具体的には、チオフラビン-T(終濃度 5 μM)を溶解したグリシン水溶液(グリシン; 50 mM、600 μL)にインキュベーションしたサンプル(3 μL)添加混合し、測定用試料とした。当該試料を蛍光強度を日立蛍光光度計F-4500を用い、以下の条件で測定した。スリット幅:励起側10 nm、蛍光側20 nm、励起波長:442 nm、測定波長:489 nm。評価結果を表16および図9に示す。
【0603】
【表16】
【0604】
コントロールに対する蛍光強度比が低いほど、形成されたアミロイド線維が添加剤の作用で溶解し、残存するアミロイド線維が少なくなっていることを指す。表16および図9の結果から明らかなように、本発明のカテナンを含む本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、アミロイド線維を溶解する作用を有し、アミノ基を有するポリロタキサン(NH2-α-PRX)よりもアミロイド線維溶解効果が高いことがわかった。1ユニット中のアミノ基の数では、本発明のカテナンよりもポリロタキサンの方が多い。しかしながら、アミノ基の置換度に対するアミロイド線維溶解効果は、本発明のカテナンの方が高いことから、1ユニット中のアミノ基の数のみがアミロイド線維溶解効果に寄与しているわけではないことが示唆され、カテナン構造(環状構造)であることも、アミロイド線維溶解効果に寄与していることが示唆される。
【産業上の利用可能性】
【0605】
本発明のカテナンは、高い安定性を備え、機能性材料、薬物輸送担体、環動高分子材料等として有用なものである。また、本発明のアミロイド線維生成抑制剤は、アミロイド線維の形成やアミロイド線維の異常蓄積と関連する疾患の治療や予防等の用途に有用であり、アミロイドーシスに起因する疾患の予防および/または治療薬として有用なものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9