(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080407
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
G02C 11/00 20060101AFI20220523BHJP
A61B 90/00 20160101ALI20220523BHJP
【FI】
G02C11/00
A61B90/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191455
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】506021949
【氏名又は名称】株式会社長野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】中澤 史博
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BA01
2H006CA00
(57)【要約】
【課題】低コストでの製造、および眼鏡との併用が可能で、かつ頭部の形状や大きさが異なる様々な使用者が快適に使用可能なフェイスシールドを提供する。
【解決手段】可撓性を有する透明なプラスチックシート材で構成されると共に顔面を覆う大きさおよび形状に形成されたシールド本体2と、シールド本体2の左端部を眼鏡10の左方つる部11Lに固定可能な面ファスナ4L(左方固定部材)、およびシールド本体2の右端部を眼鏡10の右方つる部11Rに固定可能な面ファスナ4R(右方固定部材)と、シールド本体2の幅方向に沿ってシールド本体2に配設された形状保持部材3(可逆性形状保持部材)とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する透明なプラスチックシート材で構成されると共に顔面を覆う大きさおよび形状に形成されたシールド本体と、
前記シールド本体の左端部を眼鏡の左方つる部に固定可能な左方固定部材、および当該シールド本体の右端部を当該眼鏡の右方つる部に固定可能な右方固定部材と、
前記シールド本体の幅方向に沿って当該シールド本体に配設された可逆性形状保持部材とを備えているフェイスシールド。
【請求項2】
前記左方固定部材および前記右方固定部材は、それぞれ面ファスナで構成されると共に、当該面ファスナにおけるフック状起毛片およびループ状起毛片のいずれか一方の起毛片が前記シールド本体に固定され、かつ当該フック状起毛片および当該ループ状起毛片の他方の起毛片が当該一方の起毛片に対して取外し可能に取り付けられて、当該一方の起毛片および当該他方の起毛片の間に前記左方つる部および前記右方つる部を挟み込むことによって前記シールド本体を前記眼鏡に対して装着可能に構成されている請求項1記載のフェイスシールド。
【請求項3】
前記可逆性形状保持部材は、前記シールド本体の上端部に配設されている請求項1または2記載のフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の顔面に向かって飛散した飛沫が顔面に付着するのを阻止すると共に、使用者自身が発した飛沫が拡散するのを阻止するフェイスシールドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のフェイスシールドとして、下記の特許文献1に開示されたフェイスシールド(顔面ガードフレーム)が知られている。このフェイスシールドは、手術時に飛散する血液や体液が顔面に付着しないように、またその他の飛来物から顔面を守るためのものである。このフェイスシールドは、フロントフレームおよびフロントフレームの両端側に取り付けられた2つのツルを有する眼鏡タイプであって、このフロントフレームおよび2つのツルに顔全体を覆うことができる透明なプラスチックシート(シールド本体)が取り付けられる構成となっている。また、プラスチックシートを取り付けるための構成として、各ツルの表面には、挟持片が設けられ、さらに挟持片の裏面またはツル表面には少なくとも2つの凸片が所定の間隔をおいて形成されている。
【0003】
このフェイスシールドでは、プラスチックシートをフロントフレームの正面に配置し、このプラスチックシートの各側端部を各挟持片に挟み込むことにより、プラスチックシートがフロントフレームの正面に取り付けられる。この際に、各挟持片の裏面またはツル表面に形成された2つの凸片が、挟持片に挟み込まれたプラスチックシートの側端部に食い込むことで、プラスチックシートは、フロントフレームから外れ落ちることなく、また位置ずれすることなく取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3194865号公報(第4-5頁、第1-4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献に開示のフェイスシールドには、以下の問題点がある。具体的には、上記特許文献に開示のフェイスシールドでは、挟持片が設けられた専用のフロントフレームにプラスチックシートを取り付けた状態で使用する構成が採用されている。この場合、専用のフロントフレームが複雑な構造であり、その製作コストが高騰している。したがって、このフェイスシールドには、製造コストの低減が困難であるという問題点が存在する。
【0006】
また、眼鏡タイプのフロントフレームにプラスチックシートを取り付けた状態で使用する上記のフェイスシールドでは、視覚の矯正や補助などを目的とする眼鏡と共に装着する(眼鏡と併用する)ことができないという問題点も存在する。この場合、上記特許文献には、使用者が装着している眼鏡の上に被せるようにして装着可能なフェイスシールドも開示されている。しかしながら、眼鏡のフレームの形状や大きさは様々である。このため、フェイスシールドを被せるようにして装着することが困難な眼鏡が数多く存在するという問題点もある。
【0007】
さらに、フェイスシールドの使用者における頭部の形状や大きさは様々である。しかしながら、上記のフェイスシールドでは、フロントフレームに沿わせるようにしてプラスチックシートを取り付けて使用する構成のため、例えば、大きな鼻を有する者や、頬が突出している者などがこのフェイスシールドを装着したときには、プラスチックシートの内面に顔面(鼻や頬)が接触するおそれがある。このため、上記のフェイスシールドには、プラスチックシートに顔面が接触する不快感を覚えることがあると共に、皮脂や化粧品などがプラスチックシートに付着して汚れが生じることがあるという問題点も存在する。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、低コストでの製造、および眼鏡との併用が可能で、かつ頭部の形状や大きさが異なる様々な使用者が快適に使用可能なフェイスシールドを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、請求項1記載のフェイスシールドは、可撓性を有する透明なプラスチックシート材で構成されると共に顔面を覆う大きさおよび形状に形成されたシールド本体と、前記シールド本体の左端部を眼鏡の左方つる部に固定可能な左方固定部材、および当該シールド本体の右端部を当該眼鏡の右方つる部に固定可能な右方固定部材と、
前記シールド本体の幅方向に沿って当該シールド本体に配設された可逆性形状保持部材とを備えている。
【0010】
また、請求項2記載のフェイスシールドは、請求項1記載のフェイスシールドにおいて、前記左方固定部材および前記右方固定部材は、それぞれ面ファスナで構成されると共に、当該面ファスナにおけるフック状起毛片およびループ状起毛片のいずれか一方の起毛片が前記シールド本体に固定され、かつ当該フック状起毛片および当該ループ状起毛片の他方の起毛片が当該一方の起毛片に対して取外し可能に取り付けられて、当該一方の起毛片および当該他方の起毛片の間に前記左方つる部および前記右方つる部を挟み込むことによって前記シールド本体を前記眼鏡に対して装着可能に構成されている。
【0011】
さらに、請求項3記載のフェイスシールドは、請求項1または2記載のフェイスシールドにおいて、前記可逆性形状保持部材は、前記シールド本体の上端部に配設されている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のフェイスシールドでは、顔面を覆う大きさおよび形状に形成されたシールド本体と、シールド本体の左端部を眼鏡の左方つる部に固定可能な左方固定部材、およびシールド本体の右端部を眼鏡の右方つる部に固定可能な右方固定部材と、シールド本体の幅方向に沿ってシールド本体に配設された可逆性形状保持部材とを備えている。
【0013】
したがって、請求項1記載のフェイスシールドによれば、視覚の矯正や補助などを目的として眼鏡を常用している者は、常用している眼鏡にフェイスシールドを装着することで、常用している眼鏡を装着した状態でフェイスシールドのシールド本体によって顔面を覆うことができる。また、眼鏡を常用していない者が使用するときには、自らの頭部の形状や大きさに応じた眼鏡を適宜用意し、用意した眼鏡を介してフェイスシールドを装着することでフェイスシールドのシールド本体によって顔面を覆うことができる。この際には、導入コストや趣向姓の観点から任意の眼鏡を選択して眼鏡として使用することができるため、安価な眼鏡を用意するだけでフェイスシールドの使用に要する費用を十分に低減することができ、好みに応じた色、形および大きさの眼鏡を用意するだけで、使用者の好みに応じた美観でフェイスシールドを使用することができる。また、専用のフロントフレームを備えることなく、フェイスシールドを装着することができるため、フェイスシールドの製造コストを十分に低減することができる。さらに、使用者の頭部の形状や大きさに応じてシールド本体を任意の形状に湾曲させ、その湾曲形状を可逆性形状保持部材によって保持させることができるため、様々な使用者に対してフェイスシールドを快適に使用させることができる。
【0014】
請求項2記載のフェイスシールドでは、左方固定部材および左方固定部材が、それぞれ面ファスナで構成されると共に、フック状起毛片およびループ状起毛片のいずれか一方の起毛片がシールド本体に固定され、かつフック状起毛片およびループ状起毛片の他方の起毛片が一方の起毛片に対して取外し可能に取り付けられて、一方の起毛片および他方の起毛片の間に左方つる部および右方つる部を挟み込むことによってシールド本体を眼鏡に対して装着可能に構成されている。
【0015】
したがって、請求項2記載のフェイスシールドによれば、例えば、クリップ状の固定具を左方固定部材および右方固定部材として備えた構成とは異なり、安価に入手可能な面ファスナによってシールド本体を眼鏡に固定可能とすることで、フェイスシールドの製造コストを十分に低減することができ、粘着テープや接着剤を左方固定部材および右方固定部材として備えた構成とは異なり、面ファスナの耐用寿命の範囲内でフェイスシールドを眼鏡に対して複数回に亘って着脱することができる。また、フック状起毛片およびループ状起毛片からなる面ファスナが簡易な構成であることから、左方固定部材および右方固定部材による眼鏡に対するフェイスシールドの固定能力を長期間に亘って維持することができ、しかも、フック状起毛片およびループ状起毛片の結合/結合解除の方法が広く知れ渡っていることから、眼鏡に対してシールド本体を確実かつ容易に着脱させることができる。加えて、フェイスシールドの固定に起因する眼鏡(つる部)の傷付きを好適に回避することができる。
【0016】
請求項3記載のフェイスシールドによれば、シールド本体の上端部に可逆性形状保持部材を配設したことにより、例えば、可逆性形状保持部材をシールド本体の上下方向の中央部に配設した構成とは異なり、フェイスシールド(フェイスシールドを固定した眼鏡)を装着した状態において可逆性形状保持部材が使用者の視覚の妨げとなる事態を好適に回避することができ、可逆性形状保持部材をシールド本体の下端部に配設した構成とは異なり、フェイスシールドを装着した状態の使用者の美観が可逆性形状保持部材によって大きく損なわれる事態を好適に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】眼鏡10に固定した状態のフェイスシールド1の外観斜視図である。
【
図3】フェイスシールド1を固定した眼鏡10を頭部に装着した状態を上方から見た平面図である。
【
図4】フェイスシールド1を固定した眼鏡10を頭部に装着した状態を左方から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、フェイスシールドの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1~5に示すフェイスシールド1は、「フェイスシールド」の一例であって、眼鏡10(「眼鏡」の一例)に取り付けた状態において眼鏡10を介して使用者の頭部に装着することができるように構成されている。この場合、眼鏡10としては、左方つる部11Lおよび右方つる部11R(以下、区別しないときには「つる部11」ともいう)を有する各種の「眼鏡」を使用することができ、後述するように、視覚の矯正や補助などを目的とする「眼鏡」に限定されず、ファッションアイテムとしての「眼鏡」(視覚の矯正や補助などの機能を備えないレンズが取り付けられた眼鏡、または、レンズを備えないフレームだけの眼鏡:いわゆる「伊達メガネ」)」などの広義の「眼鏡」を使用することができる。
【0020】
一方、フェイスシールド1は、シールド本体2、形状保持部材3および一対の面ファスナ4L,4R(以下、区別しないときには「面ファスナ4」ともいう)を備えて構成されている。なお、以下の説明における上下左右の各方向は、使用者の頭部にフェイスシールド1が装着された状態において使用者が認識する方向(使用者にとっての上下左右の方向)を意味する。
【0021】
シールド本体2は、「シールド本体」の一例であって、可撓性を有する透明なプラスチックシート材(例えば、厚みが0.2mm~0.75mm程度のポリエチレンテレフタラート(PET)製のシート材)で構成されている。このシールド本体2は、
図3,4に示すように、眼鏡10を介してフェイスシールド1を頭部に装着した状態において顔面を覆う大きさおよび形状に形成されている。この場合、「シールド本体」を構成するプラスチックシート材の材質については、可撓性を有し、かつ透明なシート材である限り、ポリエチレンテレフタラート以外の各種の合成樹脂製のシート材を使用することができる。また、耐化学薬品性を有する材料で構成することにより、使用時に付着した汚れを洗剤や薬剤等を用いて容易に除去することが可能となる。
【0022】
また、成人の使用を想定したときに、シールド本体2の大きさのうちの左右方向の大きさ(
図2に示す長さLw)については、210mm~270mm程度(一例として、240mm)とし、上下方向の大きさ(
図2に示す長さLh)については、140mm~180mm程度(一例として、160mm)とすることにより、頭部の形状や大きさが相違する様々な使用者の顔面をシールド本体2によって覆うことが可能となる。
【0023】
また、シールド本体2の形状については、
図2に示すように、非装着状態において長方形形状となるような形状とすることで、様々な使用者における顔面を好適に覆うことが可能となるだけでなく、プラスチックシート材からシールド本体2を容易に切り出すことができる。さらに、本例のシールド本体2のように、角部を丸めたり、面取りしたりすることで安全性も向上させることができる。
【0024】
形状保持部材3は、「可逆性形状保持部材」の一例であって、
図1,2,4に示すように、シールド本体2の幅方向に沿ってシールド本体2の上端部に配設されている。この場合、本例のフェイスシールド1では、形状保持部材3が、機能性ポリオレフィンシート(一例として、積水成型工業株式会社製「フォルテ(登録商標)」)を長尺帯状に切断した帯体で構成されている。また、本例のフェイスシールド1では、一例として、シールド本体2における内面側(装着時に使用者の顔面に対向させられる面)に粘着剤(または、接着剤)によって形状保持部材3が固定されている。
【0025】
面ファスナ4Lは、「左方固定部材」の一例であって、シールド本体2の左端部を眼鏡10の左方つる部11Lに固定可能に構成されている。また、面ファスナ4Rは、「右方固定部材」の一例であって、シールド本体2の右端部を眼鏡10の右方つる部11Rに固定可能に構成されている。この場合、面ファスナ4は、
図1,3,5に示すように、フック状起毛片4aおよびループ状起毛片4bをそれぞれ備えている。また、各面ファスナ4(各フック状起毛片4aおよびループ状起毛片4b)は、一例として、幅20mm~30mm(一例として、25mm)で、長さ30mm~50mm(一例として、40mm)の長方形形状に形成されている。
【0026】
さらに、本例のフェイスシールド1では、一例として、フック状起毛片4aが、その長手方向をシールド本体2の上下方向に合わせるようにしてシールド本体2に対して粘着剤(または、接着剤)によって固定されると共に(「一方の起毛片」が「フック状起毛片」である構成)、ループ状起毛片4bがフック状起毛片4aに対して取外し可能に取り付けられている(「他方の起毛片」が「ループ状起毛片」である構成)。これにより、本例のフェイスシールド1では、面ファスナ4Lにおけるフック状起毛片4aとループ状起毛片4bとの間に左方つる部11Lを挟み込み、かつ面ファスナ4Rにおけるフック状起毛片4aとループ状起毛片4bとの間に右方つる部11Rを挟み込むことで、両フック状起毛片4aが固定されているシールド本体2を眼鏡10に対して位置決め固定することが可能となっている。
【0027】
次に、フェイスシールド1の使用方法について、添付図面を参照して説明する。
【0028】
フェイスシールド1の使用に際しては、最初に、使用者が装着可能な眼鏡10にフェイスシールド1を固定する。この場合、視覚の矯正や補助などを目的とする眼鏡を常用している者がフェイスシールド1を使用するときには、常用している眼鏡を眼鏡10として使用する。また、眼鏡を常用していない者がフェイスシールド1を使用するときには、その者の頭部の形状に応じた眼鏡を用意して眼鏡10として使用する。この際には、「つる部11を有している」との条件を満たしている限り、形状や大きさが相違したりするなどの各種の眼鏡10にフェイスシールド1を装着することができるため、導入コストや趣向姓の観点から任意の眼鏡を選択して眼鏡10として使用することができる。
【0029】
眼鏡10に対するフェイスシールド1の固定に際しては、まず、シールド本体2を平面視U字状に湾曲させる。具体的には、
図1,3に示すように、シールド本体2の幅方向中央部を眼鏡10の正面側に位置させ、シールド本体2の左端部を眼鏡10における左方つる部11Lの左方に位置させ、かつシールド本体2の右端部を眼鏡10における右方つる部11Rの右方に位置させることができるようにシールド本体2を湾曲させる。この際には、シールド本体2に配設されている形状保持部材3によってシールド本体2の湾曲形状が保持されるため、使用する眼鏡10の形や大きさに応じてシールド本体2の幅方向における各部の形状をそれぞれ調整することができる。
【0030】
次いで、両面ファスナ4のフック状起毛片4aからループ状起毛片4bをそれぞれ剥がす(フック状起毛片4aに対するループ状起毛片4bの結合を解除する)。この際には、一例として、面ファスナ4における上端部側および下端部側のいずれか一方においてフック状起毛片4aに対するループ状起毛片4bの結合状態を維持しつつ、その他の部位においてフック状起毛片4aに対するループ状起毛片4bの結合を解除することで、眼鏡10に対するフェイスシールド1の装着時にループ状起毛片4bがシールド本体2から落下してループ状起毛片4bに汚れが付着したり、落下したループ状起毛片4bを紛失したりする事態を回避することができる。
【0031】
続いて、
図5に示すように、面ファスナ4Lにおけるフック状起毛片4aおよびループ状起毛片4bの間に眼鏡10の左方つる部11Lを挟み込むようにして面ファスナ4Lのループ状起毛片4bをフック状起毛片4aに結合させると共に、面ファスナ4Rにおけるフック状起毛片4aおよびループ状起毛片4bの間に眼鏡10の右方つる部11Rを挟み込むようにして面ファスナ4Rのループ状起毛片4bをフック状起毛片4aに結合させる。これにより、シールド本体2の左端部が面ファスナ4Lによって左方つる部11Lに固定されると共に、シールド本体2の右端部が面ファスナ4Rによって右方つる部11Rに固定される。
【0032】
次いで、
図3,4に示すように、フェイスシールド1が固定された眼鏡10を頭部に装着する。この際に、シールド本体2が使用者の顔面に接近し過ぎた状態のとき(例えば、使用者の鼻、額および顎などがシールド本体2の内面に接触する状態のとき)には、フック状起毛片4aおよびループ状起毛片4bがつる部11における前方寄りの位置を挟み込んだ状態となるようにつる部11に対して面ファスナ4(すなわち、シールド本体2の左端部および右端部)を移動させる。また、シールド本体2が使用者の顔面から離間し過ぎた状態のとき(例えば、眼鏡10の前方に位置しているシールド本体2が使用者の動作の妨げとなるようなとき)には、フック状起毛片4aおよびループ状起毛片4bがつる部11における後方寄りの位置を挟み込んだ状態となるようにつる部11に対して面ファスナ4(すなわち、シールド本体2の左端部および右端部)を移動させる。
【0033】
これにより、眼鏡10を介して使用者の頭部にフェイスシールド1が装着されて、使用者の顔面がシールド本体2によって覆われた状態となる。この後、上記のようなつる部11に対する面ファスナ4の移動を行うか否かを問わず、使用者の好みに応じて、シールド本体2を再変形させて湾曲形状を適宜調整する。この際には、再変形させたシールド本体2の湾曲形状が形状保持部材3によって保持される。以上により、準備作業が完了し、眼鏡10を介して頭部に装着されたフェイスシールド1のシールド本体2によって使用者の好みに応じた位置および形状で顔面が覆われた状態となり、使用者の顔面に向かって飛散した飛沫が顔面に付着したり、使用者自身が発した飛沫が拡散したりする事態が好適に回避される。
【0034】
この場合、本例のフェイスシールド1では、面ファスナ4におけるフック状起毛片4aがシールド本体2に固定され、そのようなフック状起毛片4aに結合させたループ状起毛片4bが眼鏡10におけるつる部11の内側(使用者の頭部側)に位置するように構成されている。また、一般的な面ファスナ4では、フック状起毛片4aの基部(フック状起毛部が植設されているシート状部)よりも、ループ状起毛片4bの基部(ループ状起毛部が植設されているシート状部)の方が柔らかくなるように構成されている。したがって、フェイスシールド1を固定した眼鏡10を装着した使用者の側頭部に面ファスナ4が接触したとしても、フック状起毛片4aよりも柔らかなループ状起毛片4bが接触することとなるため、不快感を覚えることなく、フェイスシールド1(フェイスシールド1を装着した眼鏡10)を装着することができる。
【0035】
このように、このフェイスシールド1では、顔面を覆う大きさおよび形状に形成されたシールド本体2と、シールド本体2の左端部を眼鏡10の左方つる部11Lに固定可能な面ファスナ4L(左方固定部材)、およびシールド本体2の右端部を眼鏡10の右方つる部11Rに固定可能な面ファスナ4R(右方固定部材)と、シールド本体2の幅方向に沿ってシールド本体2に配設された形状保持部材3(可逆性形状保持部材)とを備えている。
【0036】
したがって、このフェイスシールド1によれば、視覚の矯正や補助などを目的として眼鏡10を常用している者は、常用している眼鏡10にフェイスシールド1を装着することで、常用している眼鏡10を装着した状態でフェイスシールド1のシールド本体2によって顔面を覆うことができる。また、眼鏡10を常用していない者が使用するときには、自らの頭部の形状や大きさに応じた眼鏡10を適宜用意し、用意した眼鏡10を介してフェイスシールド1を装着することでフェイスシールド1のシールド本体2によって顔面を覆うことができる。この際には、導入コストや趣向姓の観点から任意の眼鏡を選択して眼鏡10として使用することができるため、安価な眼鏡10を用意するだけでフェイスシールド1の使用に要する費用を十分に低減することができ、好みに応じた色、形および大きさの眼鏡10を用意するだけで、使用者の好みに応じた美観でフェイスシールド1を使用することができる。また、専用のフロントフレームを備えることなく、フェイスシールド1を装着することができるため、フェイスシールド1の製造コストを十分に低減することができる。さらに、使用者の頭部の形状や大きさに応じてシールド本体2を任意の形状に湾曲させ、その湾曲形状を形状保持部材3によって保持させることができるため、様々な使用者に対してフェイスシールド1を快適に使用させることができる。
【0037】
また、このフェイスシールド1では、「左方固定部材および右方固定部材面(本例では、ファスナ4L,4R)」が、それぞれ「面ファスナ」で構成されると共に、フック状起毛片4a(フック状起毛片およびループ状起毛片のいずれか一方の起毛片)がシールド本体2に固定され、かつループ状起毛片4b(フック状起毛片およびループ状起毛片の他方の起毛片)がフック状起毛片4aに対して取外し可能に取り付けられて、フック状起毛片4aおよびループ状起毛片4bの間に左方つる部11Lおよび右方つる部11Rを挟み込むことによってシールド本体2を眼鏡10に対して装着可能に構成されている。
【0038】
したがって、このフェイスシールド1によれば、例えば、クリップ状の固定具を「左方固定部材および右方固定部材」として備えた構成とは異なり、安価に入手可能な面ファスナ4によってシールド本体2を眼鏡10に固定可能とすることで、フェイスシールド1の製造コストを十分に低減することができ、粘着テープや接着剤を「左方固定部材および右方固定部材」として備えた構成とは異なり、面ファスナ4の耐用寿命の範囲内でフェイスシールド1を眼鏡10に対して複数回に亘って着脱することができる。また、フック状起毛片4aおよびループ状起毛片4bからなる面ファスナ4が簡易な構成であることから、「左方固定部材および右方固定部材」による眼鏡10に対するフェイスシールド1の固定能力を長期間に亘って維持することができ、しかも、フック状起毛片4aおよびループ状起毛片4bの結合/結合解除の方法が広く知れ渡っていることから、眼鏡10に対してシールド本体2を確実かつ容易に着脱させることができる。加えて、フェイスシールド1の固定に起因する眼鏡10(つる部11)の傷付きを好適に回避することができる。
【0039】
さらに、このフェイスシールド1によれば、シールド本体2の上端部に形状保持部材3を配設したことにより、例えば、形状保持部材3をシールド本体2の上下方向の中央部に配設した構成とは異なり、フェイスシールド1(フェイスシールド1を固定した眼鏡10)を装着した状態において形状保持部材3が使用者の視覚の妨げとなる事態を好適に回避することができ、形状保持部材3をシールド本体2の下端部に配設した構成とは異なり、フェイスシールド1を装着した状態の使用者の美観が形状保持部材3によって大きく損なわれる事態を好適に回避することができる。
【0040】
なお、「フェイスシールド」の構成は、上記の例示に係るフェイスシールド1の構成に限定されない。例えば、「シールド本体」の形状については、上記フェイスシールド1におけるシールド本体2のような長方形形状の形状に限定されず、上辺よりも下辺が長い台形形状、下辺よりも上辺が長い台形形状などの任意の形状とすることができる。また、1枚のプラスチックシート材で構成したシールド本体2を備えた例について説明したが、複数枚のシート体を重ねて「シールド本体」を構成することもできる(図示せず)。
【0041】
さらに、面ファスナ4におけるフック状起毛片4aを粘着剤等でシールド本体2に固定してフック状起毛片4aおよびループ状起毛片4bの間につる部11を挟み込むようにしてつる部11にシールド本体2を固定する構成を例に挙げて説明したが、面ファスナ4におけるループ状起毛片4bを粘着剤等でシールド本体2に固定してループ状起毛片4bおよびフック状起毛片4aの間につる部11を挟み込むようにしてつる部11にシールド本体2を固定する構成を採用することもできる。このような構成を採用したときには、シールド本体2に固定されたループ状起毛片4bに対してフック状起毛片4aを結合させたときに、ループ状起毛片4bの一部がフック状起毛片4aからはみ出した状態になったとしても、はみ出した部位の柔らかいループ状起毛が使用者の側頭部に接触する状態となるため、フェイスシールド1を快適に使用することができる。
【0042】
また、「左方固定部材」や「右方固定部材」は、フェイスシールド1における面ファスナ4のような「面ファスナ」で構成したものに限定されず、シールド本体2の左端部を左方つる部11Lに固定すると共にシールド本体2の右端部を右方つる部11Rに固定することができる各種の構成の部材を採用することができる。一例として、フェイスシールド1のシールド本体2における面ファスナ4L,4Rの固定位置に上下方向に並ぶ2つ以上の孔を開口し、開口した孔を通過させた紐状の結束具(図示せず)によってシールド本体2の左右両端部をつる部11にそれぞれ縛り付けて固定する構成や、磁性材料で形成されたつる部11を有する眼鏡10を使用する場合にシールド本体2に固定した磁石によってつる部11にシールド本体2を固定する構成などを採用することもできる。
【0043】
さらに、シールド本体2の左端部および右端部にそれぞれ1つずつ面ファスナ4を配設した構成を例に挙げて説明したが、「左方固定部材」および「右方固定部材」の少なくとも一方をシールド本体2に対して複数配設することもできる(図示せず)。
【0044】
また、シールド本体2の上端部に形状保持部材3を配設したフェイスシールド1の構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)、シールド本体2の上下方向における中央部や下端部に形状保持部材3を配設することもできる(図示せず)。さらに、シールド本体2における内面側に形状保持部材3を固定した構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)、シールド本体2の外面側に形状保持部材3が固定することもできる。また、シールド本体2に対する形状保持部材3の固定については、粘着剤や接着剤による固定に限定されず、溶着や縫製固定によって形状保持部材3を固定することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 フェイスシールド
2 シールド本体
3 形状保持部材
4L,4R 面ファスナ
4a フック状起毛片
4b ループ状起毛片
10 眼鏡
11L 左方つる部
11R 右方つる部
Lh,Lw 長さ