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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080425
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】運搬車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/00 20060101AFI20220523BHJP
   B62D 33/077 20060101ALI20220523BHJP
   B62D 55/06 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
B62D33/00 A
B62D33/077
B62D55/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191486
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】519394768
【氏名又は名称】株式会社デザイオ
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】青木 英明
(57)【要約】
【課題】 平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行などいずれの場合においても、安定した走行を行うことができる運搬車両を提供する。
【解決手段】 車体1と、車体1に連結された左右のクローラ2a、2bと、荷台3とを備え、車体1に取り付けられた第1レール51と、第1レール51に摺動可能に取り付けられた第1スライダ部53と、第1レール51と直交して第1スライダ部53に取り付けられた第2レール52と、第2レール52に摺動可能に取り付けられるとともに荷台3に取り付けられる第2スライダ部54とを有する支持部5を介して荷台3が車体1に対して前後左右に移動可能に取り付けられている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体に連結された左右のクローラと、荷台とを備え、
前記荷台は、支持部を介して前記車体に対して前後左右に移動可能に取り付けられている、
運搬車両。
【請求項2】
前記支持部は、前記車体に取り付けられた第1レールと、前記第1レールに摺動可能に取り付けられた第1スライダ部と、前記第1レールと直交して前記第1スライダ部に取り付けられた第2レールと、前記第2レールに摺動可能に取り付けられるとともに前記荷台に取り付けられる第2スライダ部と、を有している請求項1に記載の運搬車両。
【請求項3】
前記第1レールは、前記車体の前後方向に延びる一対のレール部材からなり、前記第2レールは、前記車体の左右方向に延びる一対のレール部材からなる、請求項2に記載の運搬車両。
【請求項4】
前記第1レールは、前記車体の前後方向の中央部を頂点とする上に凸の曲線状に形成され、前記第2レールは、前記車体の左右方向の中央部を頂点とする上に凸の曲線状に形成されている、請求項2又は3に記載の運搬車両。
【請求項5】
前記荷台を前後方向に移動させる前後アクチュエータと、前記荷台を左右方向に移動させる左右アクチュエータと、前記前後アクチュエータ及び左右アクチュエータの駆動を制御する制御装置とをさらに備える、請求項1に記載の運搬車両。
【請求項6】
前記制御装置に指示信号を与える操作装置を有し、前記操作装置による指示入力により、前記制御装置は、前記前後アクチュエータ及び前記左右アクチュエータの駆動を制御する、請求項5に記載の運搬車両。
【請求項7】
前記車体に傾斜センサを設け、
前記制御装置は、前記傾斜センサの出力により、前記荷台の重心を斜面の山側に位置する場所に移動するように、前記前後アクチュエータ及び前記左右アクチュエータの駆動を制御する、請求項5に記載の運搬車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、運搬車両に関し、山林地などの不整地での走行に適した運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内の森林は、持続可能な環境資源として育成、維持、管理していくことが求められている。しかし、その多くが急峻で起伏が多い山岳にある。このような急峻で起伏が多い山林などの不整地での収穫物などの荷物を運搬する車両が求められている。
【0003】
山間部等の傾斜地において、農作物や肥料などを運搬するクローラ式運搬車が特許文献1に提案されている。上記特許文献1に開示されたクローラ式運搬車は、上部に荷台を載置した車体フレームに2つのモータを搭載し、バッテリ、制御回路基板を備え、車体フレームの後方に手押しハンドルを有し、車体フレームの下部前方に左右一対の遊転車輪、後方に左右一対の駆動車輪を取り付け、前後の車輪にクローラベルトを巻回し、モータで左右の駆動車輪を個別に動作させるように構成されている。
【0004】
上記した特許文献1に記載のクローラ式運搬車は、クローラ走行装置を採用したため、圃場等の軟弱な路面や山間地であっても高い牽引力、走破性、走行安定性を有する。
【0005】
上記した特許文献1に記載のクローラ式運搬車においては、荷台を油圧シリンダの伸長動作により、起立、倒伏させることが開示されている。
【0006】
又、非特許文献1には、傾斜地における安全作業をサポートする電動式・移動式作業台車兼運搬車が開示されている。この運搬車は、荷台を前後2つのシリンダを介して車体に取り付け、各シリンダの伸縮量を制御し、登板又は降坂の斜面において、荷台を水平に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-16793号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】平成30年度 イノベーション創出強化研究推進事業 開発 研究ステージ 「30027C 傾斜地における安全作業をサポート知り電動式・移動式作業台車兼運搬車の開発」:www.naro.affc.go.jp/laboratory/brain/innovation/file/kaihatsu3_05.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、山間部等の傾斜地を走行するクローラ式運搬車は、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行など走行する態様が種々変化する。走行態様の変化により、車体の傾き、重力方向が変化する。
【0010】
傾斜地を走行する場合、車体は斜面に沿って傾き、荷台に搭載した荷物などに働く重力により、車体の傾斜方向への安定性が損なわれるという問題があった。
【0011】
上記した特許文献1に記載のクローラ式運搬車においては、荷台を起立、倒伏させることにより、荷台に載置させた荷物を地面に下ろすことができる。しかしながら、傾斜地において、荷台を起立、倒伏させても、荷台に搭載させた荷物に働く重力については十分に対応することはできず、車体の傾斜方向への安定性が損なわれるという問題については何ら解消されない。
【0012】
又、非特許文献1に記載の運搬車においては、登板又は降坂の斜面において荷台を水平方向にすることはできる。しかしながら、この運搬車は、車体の前後方向に対して荷台の角度を変化させることができるだけであり、また、荷台は、運搬車の車体に対して、前後方向には移動しない。このため、斜面横行などのように、運搬車が登板又は降坂以外では、荷台を移動させることができない、さらに、車体に対する荷台の重心位置を変えることもできず、車体の傾斜方向への安定性が損なわれるという問題については何ら解消されない。
【0013】
この発明は、平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行などいずれの場合においても、安定した走行を行うことができる運搬車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、運搬車両の斜面の走行について検討した。運搬車両が斜面を走行する際に、荷台と荷物を含めた重心位置とが車両の安定性に関係することを見出し、重心位置が適切な位置になる構成を考えた。
【0015】
車体は、平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行で大きくその重力方向が変化する。荷物を載置する荷台の重心が斜面の山側に移動すると、車両の安定性が担保されることを見出した。
【0016】
本発明者は、このことを考慮し、斜面に対応して荷台を車体の前後左右方向の所定の位置に移動させることで、安定な走行が得られることを見出した。
【0017】
この発明者は、鋭意検討の結果、以下のような構成に想到した。
【0018】
この発明の一実施形態に係る運搬車両は、車体と、前記車体に連結された左右のクローラと、荷台とを備え、前記荷台は、支持部を介して前記車体に対して前後左右に移動可能に取り付けられている。
【0019】
この発明の一実施形態に係る運搬車両によれば、前記荷台を、前記支持部により前記車体に対して前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に移動自在に支持する。前記荷台を前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に所定量移動した状態で前記荷台の移動を停止させる。これにより、斜面に対応して荷台の重心を斜面の山側の所定の位置に移動させることができ、安定な走行が得られる。
【0020】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る運搬車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記支持部は、前記車体に取り付けられた第1レールと、前記第1レールに摺動可能に取り付けられた第1スライダ部と、前記第1レールと直交して前記第1スライダ部に取り付けられた第2レールと、前記第2レールに摺動可能に取り付けられるとともに前記荷台に取り付けられる第2スライダ部と、を有している。
【0021】
上記構成によれば、前記第1レールに摺動自在に取り付けられた第1スライダ部又は第2レールに摺動自在に取り付けられた第2スライダ部が摺動することで、前記荷台を前後左右に移動させることができる。
【0022】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る運搬車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記第1レールは、前記車体の前後方向に延びる一対のレール部材からなり、前記第2レールは、前記車体の左右方向に延びる一対のレール部材からなる。
【0023】
上記の構成によれば、一対のレール部材でレールを構成しているので、安定した移動が行える。
【0024】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る運搬車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記第1レールは、前記車体の前後方向の中央部を頂点とする上に凸の曲線状に形成され、前記第2レールは、前記車体の左右方向の中央部を頂点とする上に凸の曲線状に形成されている。
【0025】
上記の構成によれば、前記荷台の重心が斜面に近づくように移動して、重心位置が斜面の山側となり、運搬車両の安定性がより向上する。また、荷台も地上の水平面に対して平行または平行に近づく状態となり、荷台の荷物を含めて安定な走行が得られる。
【0026】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る運搬車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記荷台を前後方向に移動させる前後アクチュエータと、前記荷台を左右方向に移動させる左右アクチュエータと、前記前後アクチュエータ及び左右アクチュエータの駆動を制御する制御装置とをさらに備える。
【0027】
上記のように、前記制御装置により前後アクチュエータ及び左右アクチュエータの駆動を制御して、斜面に対応して前記荷台の重心を前記車体の前後左右に移動させて斜面の山側の所定の位置に移動させることができる。
【0028】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る運搬車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記制御装置に指示信号を与える操作装置を有し、前記操作装置による指示入力により、前記制御装置は、前記前後アクチュエータ及び前記左右アクチュエータの駆動を制御する。
【0029】
上記の構成によれば、操作装置を用いて荷台の移動制御を行うことができる。
【0030】
他の観点によれば、この発明の一実施形態に係る運搬車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記車体に傾斜センサを設け、前記制御装置は、前記傾斜センサの出力により、前記荷台の重心を斜面の山側に位置する場所に移動するように、前記前後アクチュエータ及び前記左右アクチュエータの駆動を制御する。
【0031】
上記の構成によれば、前記傾斜センサにより、前記荷台の重心を斜面の山側の最適な位置に前後左右に移動させることができる。これにより、どのような走行状態においても適切な走行姿勢をとることができる。
【0032】
本明細書では、この発明に係る運搬車両の実施形態について説明する。
【0033】
以下の説明では、この発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくてもこの発明を実施できることが明らかである。
【0034】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面又は説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【発明の効果】
【0035】
この発明の運搬車両によれば、平地走行、登坂走行、降坂走行、斜面横行走行などの連続走行が可能となる。又、どのような走行状態においても適切な乗車姿勢をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の斜視図である。
図2図2は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の正面図である。
図3図3は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の側面図である。
図4図4は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の荷台を外した状態の上から見た斜視図である。
図5図5は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の荷台を外した状態の上面図である。
図6図6は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の底面図である。
図7図7は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の荷台を外した状態の正面図である。
図8図8は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の制御ブロック図である。
図9図9は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の走行状態を示し、左クローラ側が高い斜面横行状態を示す正面図である。
図10図10は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の走行状態を示し、右クローラ側が高い斜面横行状態を示す正面図である。
図11図11は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の走行状態を示し、降坂状態を示す側面図である。
図12図12は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の走行状態を示し、登坂状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0038】
以下、図中の矢印Fは、運搬車両の前方向を示す。図中のRRは、運搬車両の後方向を示す。図中の矢印Uは、運搬車両の上方向を示す。又、前後左右の方向は、それぞれ、運搬車両が走行する方向から見た場合の前後左右の方向を意味する。
【0039】
図1は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の斜視図、図2は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の正面図、図3は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の側面図、図4は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の荷台を外した状態の上から見た斜視図、図5は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の荷台を外した状態の上面図、図6は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の底面図、図7は、この発明の一実施形態に係る運搬車両の荷台を外した状態の正面図である。
【0040】
図1図7に示すように、この一実施形態における運搬車両100は、車体1と、左クローラ2a及び右クローラ2bと、荷台3とを有する。荷台3は支持部5を介して車体1に対して前後左右に移動可能に取り付けられている。
【0041】
左クローラ2aは、左駆動スプロケット22aにより駆動され、右クローラ2bは、右駆動スプロケット22bにより駆動され、左クローラ2a及び右クローラ2bは、左右独立して駆動される。左駆動スプロケット22aは、左側電動モータ21aにより駆動され、右駆動スプロケット22bは、右側電動モータ21bにより駆動される。この実施形態においては、左側電動モータ21aに直接左駆動スプロケット22aが取り付けられ、右側電動モータ21bに直接右駆動スプロケット22bが取り付けられている。左クローラ2a及び右クローラ2bは駆動機構も含め、地上高約30cmに収められ、超低重心の駆動機構を実現している。
【0042】
車体1は、車体フレーム10を有する。左クローラ2a及び右クローラ2bは、それぞれ車体1の後方で車体フレーム10に対してクローラ支持部18a、18bを介して回転自在に支持されている。左クローラ2a及び右クローラ2bは、車体1前部の車体フレーム10に取り付けられた左右揺動リンク17を介して懸架されている。これにより、段差乗り越え性や不整地接地性を高くし、凹凸の激しい不整地走行性を確保している。
【0043】
この一実施形態においては、車体フレーム10に前後左右方向に移動自在に荷台3が支持部5によって取り付けられている。荷台3は、前後アクチュエータ55及び左右アクチュエータ56の駆動により、斜面に対応して前後左右に移動され、荷台3の重心が斜面の山側の位置に固定することができる。これにより、斜路走行の必要要件を満足しながら、安定性のよい走行を行うことができる。
【0044】
また、荷台3を前後左右に支持する支持部5を、車体フレーム10に取り付けられた第1レール51と、第1レール51に摺動可能に取り付けられた第1スライダ部53と、第1レール51と直交して第1スライダ部53に取り付けられた第2レール52と、第2レール52に摺動可能に取り付けられるとともに荷台に取り付けられる第2スライダ部54とで構成する。
【0045】
第1レール51は、車体フレーム10の前後方向の中央部を頂点とする上に凸の曲線状に形成され、第2レール52は、車体フレーム10の左右方向の中央部を頂点とする上に凸の曲線状に形成されることにより、荷台3は、荷物を載置する台座部30の上面の水平面が地上の水平面に対して平行若しくは山側に少し傾く位置に保つことができる。この結果、斜路走行の必要要件を満足しながら、安定性のよい走行を行うことができる。以下、この一実施形態に係る運搬車両100を図面に従いさらに説明する。
【0046】
図1図7に示すように、この一実施形態に係る運搬車両100は、車体1の骨組みを形成する車体フレーム10と、車体フレーム10に連結された左クローラ2a及び右クローラと2bと、荷台3と、荷台3を車体フレーム10に前後左右移動自在に支持する支持部5とを備えている。
【0047】
荷台3は、台座部30と、台座部30の左右に取り付けられた枠パイプ31と、枠パイプ31の後部をつなぐ水平パイプ32を有する。台座部30の上面は、荷台3の水平面を構成し、台座部30の上面に荷物が載置される。図1図3においては、台座部30の上面に4つの籠4が乗せられ、この籠4に農作物などが収容される。荷台3の台座部30の下面に支持部5が取り付けられ、支持部5が車体フレーム10に取り付けられる。
【0048】
荷台3の後方にはステップ33が設けられ、操作者が荷台3の台座部30上に乗るときの足掛けとして用いられる。又、このステップ33に操作者が乗ることも可能に構成している。
【0049】
図4及び図5に示すように、車体フレーム10は、車体1の前後方向に延びる左右のサイド部材と、左右のサイド部材の前部側に亘る第1クロス部材と、左右のサイド部材の後端部に亘る第2クロス部材とが溶接されることで、平面視で略矩形形状に形成されている。サイド部材の底面側には底板1aが固定されている。
【0050】
車体フレーム10の両端部には、前後に延びる支持部固定部材50が固定されている。この支持部固定部材50に第1レール51が固定される。第1レール51は、この実施形態においては、車体1の前後方向に延びる左側レール部材51a及び右側レール部材51bの一対のレール部材で構成される。
【0051】
左サイド部材上に左側の支持部固定部材50が固定され、この支持部固定部材50に左側レール部材51aが固定される。右サイド部材上に右側の支持部固定部材50が固定され、この支持部固定部材50に右側レール部材51bが固定される。
【0052】
第1レール51の左側レール部材51aに2個の第1スライダ部53が摺動可能に取り付けられている。同様に、右側レール部材51bに2個の第1スライダ部53が摺動可能に取り付けられている。
【0053】
第1レール51と直交して第1スライダ部53に第2レール52が取り付けられる。この実施形態においては、車体1の左右方向に延びる前側レール部材52a及び後側レール部材52bの一対のレール部材で構成される。
【0054】
第2レール52の前側レール部材52aに2個の第2スライダ部54が摺動可能に取り付けられている。同様に、後側レール部材52bに2個の第2スライダ部54が摺動可能に取り付けられている。
【0055】
第2スライダ部54は取付部材52cを介して荷台3の台座部30の下面に取り付けられる。これにより、荷台3は、車体1に対して前後左右に移動自在に支持される。
【0056】
この実施形態においては、左側レール部材51a及び右側レール部材51bは、車体1の前後方向の中央部を頂点とする上に凸の曲線状、この実施形態においては円弧状に形成されている。又、前側レール部材52a及び後側レール部材52bは、車体1の左右方向の中央部を頂点とする上に凸の曲線状、この実施形態においては円弧状に形成されている。これらレール部材の円弧中心は地表より下に位置するように構成している。
【0057】
第1スライダ部53が左側レール部材51a及び右側レール部材51bに前後方向に移動することにより、第1スライダ部53に取り付けられた前側レール部材52a及び後側レール部材52bが前後方向に移動する。荷台3は、前側レール部材52a及び後側レール部材52bに取り付けられた第2スライダ部54に取付部材52cを介して取り付けられている。このため、第1スライダ部53は前後方向の移動により、荷台3が前後方向に移動することになる。
【0058】
又、第2スライダ部54が前側レール部材52a及び後側レール部材52bに左右方向に移動することにより、第2スライダ部54に取り付けられた荷台3が左右方向に移動する。
【0059】
この実施形態においては、運搬車両100は、斜面に対応して荷台3が前後左右に移動する。例えば、降坂走行の場合には、荷台3は、山側、すなわち後側に移動し、荷台3の重心が斜面の山側に位置する。左側レール部材51a及び右側レール部材51bは、車体1の前後方向の中央部を頂点とする円弧状に形成されているので、荷台3が山側に移動すると、荷台3は、後側の移動等共に後ろ側の荷台3が車体1側に近づくことになる。これにより、荷台3の重心が斜面に近づくように移動して、重心位置が山側となり、運搬車両100の安定性がより向上する。そして、荷台3の水平面と直交する軸方向Cが重力軸に沿った方向に沿って固定される。これにより、荷台3は、荷物を載置する台座部30の上面の水平面が地上の水平面に対して平行若しくは山側に少し傾く位置に保つことができる。
【0060】
例えば、斜面横行走行の場合には、荷台3は、斜面の山側のほうへ左又は右に移動し、荷台3の重心が斜面の山側に位置する。前側レール部材52a及び後側レール部材52bは、車体1の左右方向の中央部を頂点とする円弧状に形成されているので、荷台3が山側に移動すると、荷台3は、さらに車体1側に近づくことになる。これにより、荷台3の重心が斜面に近づくように移動して、重心位置が山側となり、運搬車両100の安定性がより向上する。そして、荷台3の水平面と直交する軸方向Cが重力軸に沿った方向に沿って固定される。これにより、荷台3は、荷物を載置する台座部30の上面の水平面が地上の水平面に対して平行若しくは山側に少し傾く位置に保つことができる。
【0061】
図6に示すように、車体フレーム10は、車体1の左の側方に延びる支軸15a、車体1の右方向に延びる支軸15bを有する。車体フレーム10は、支軸15a、15bを介して左クローラ2a及び右クローラ2bをそれぞれ上下揺動可能に支持するクローラ支持部18a、18bと、左クローラ2a及び右クローラ2bを上下方向に背反揺動可能に連動連結する左右揺動リンク17を有している。
【0062】
左側のクローラ支持部18aは、左側のクローラフレーム20に設けられた前記支軸15aを回転自在に支持する軸受部19aを有する。右側のクローラ支持部18bは、右側のクローラフレーム20に設けられた前記支軸15bを回転自在に支持する軸受部19bを有する。
【0063】
図1図7に示すように、左クローラ2aは、車体1の前後方向に延びるクローラフレーム20、クローラフレーム20の後端部に左側電動モータ21aを介して支持された駆動スプロケット22a、クローラフレーム20の前端部にテンション機構(図示せず)を介して支持されたテンション式の遊輪23、クローラフレーム20の前後中間部にイコライザアーム24を介して支持された前後の転輪25、26、駆動スプロケット22aと遊輪23と前後の転輪25,26とに掛け渡されたクローラベルト27などを有している。
【0064】
左側電動モータ21aは、駆動スプロケット22aに取り付けられたインホイールモータであり、それらの内部にはインバータ(図示せず)と減速機構(図示せず)などが備えられている。
【0065】
同様に、右クローラ2bは、車体1の前後方向に延びるクローラフレーム20、クローラフレーム20の後端部に右側電動モータ21bを介して支持された駆動スプロケット22b、クローラフレーム20の前端部にテンション機構(図示せず)を介して支持されたテンション式の遊輪23、クローラフレーム20の前後中間部にイコライザアーム24を介して支持された前後の転輪25、26、駆動スプロケット22bと遊輪23と前後の転輪25,26とに掛け渡されたクローラベルト27などを有している。右側電動モータ21bは、駆動スプロケット22bに取り付けられたインホイールモータであり、それらの内部にはインバータ(図示せず)と減速機構(図示せず)などが備えられている。
【0066】
左クローラ2a及び右クローラ2bは、左側電動モータ21a、右側電動モータ21bにて独立駆動される電動式に構成されている。後述するように、操作装置80の指示により左側電動モータ21a、右側電動モータ21bの駆動が制御される。これにより、運搬車両100は、左クローラ2a及び右クローラ2bが正回転方向に等速駆動されることで前進方向に直進し、左クローラ2a及び右クローラ2bが逆回転方向に等速駆動されることで後進方向に直進する。
【0067】
運搬車両100は、左クローラ2a及び右クローラ2bが正回転方向に不等速駆動されることにより、前進方向の左右どちらかに旋回する。左クローラ2a及び右クローラ2bが逆回転方向に不等速駆動されることにより、後進方向の左右どちらかに旋回する。運搬車両100は、左クローラ2a及び右クローラ2bの一方のクローラが駆動停止された状態で他方のクローラ2が駆動されることでピボット旋回し、左クローラ2a及び右クローラ2bが正回転方向と逆回転方向とに等速駆動されることでスピン旋回する。
【0068】
図2及び図6に示すように、左クローラ2a及び右クローラ2bは、それらのクローラフレーム20の後部側に備えられた軸受部19a、19bと支軸15a、15bを介して車体フレーム10に連結され、かつ、クローラフレーム20の前部側に備えられた連結部20bが左右揺動リンク17を介して車体フレーム10に連結されている。軸受部19a、19bと支軸15a、15bとの間には、それらの相対回転を許容するベアリングなどが備えられている。
【0069】
図2及び図7に示すように、左右揺動リンク17は、車体1の前後方向に延びる支軸70と、車体フレーム10に支軸70を介して上下方向に天秤揺動可能に支持された天秤アーム71を有している。天秤アーム71における左右の遊端側には、ユニバーサルジョイント72が設けられ、天秤アーム71が車体フレーム10に連結されている。
【0070】
以上の構成により、この運搬車両100は、その車体フレーム10に前述したクローラ支持部18a、18bと左右揺動リンク17とを有することから、例えば、車体左側の左クローラ2aが不整地の隆起部などに乗り上げるときは、そのときの乗り上げに応じて、車体左側の左クローラ2aが車体フレーム10に対して支軸15aを支点にして上昇揺動するとともに、車体右側の右クローラ2bが車体フレーム10に対して支軸15bを支点にして下降揺動する。
【0071】
又、例えば、車体左側の左クローラ2aが不整地の沈降部などに入り込むときは、そのときの入り込みに応じて、車体左側の左クローラ2aが車体フレーム10に対して支軸15aを支点にして下降揺動するとともに、車体右側の右クローラ2bが車体フレーム10に対して支軸15bを支点にして上昇揺動する。
【0072】
このように、左クローラ2a又は右クローラ2bの一方が隆起部などに乗り上げるときや沈降部などに入り込むときには、左クローラ2a又は右クローラ2bが車体フレーム10に対して背反的に上下揺動することから、左クローラ2a又は右クローラ2bの車体フレーム10に対する上下揺動を抑制しながら、左クローラ2a又は右クローラ2bの一方が隆起部などに乗り上げることや沈降部などに入り込むことに起因した車体1の左右傾斜を抑制することができる。その結果、起伏が多い山林地などの不整地での走破性を高めることができる。
【0073】
次に、荷台3の前後左右の移動についてさらに説明する。前述したように、荷台3は支持部5を介して車体フレーム10に対して前後左右に移動自在に支持される。この実施形態においては、荷台3は、左右アクチュエータ56の駆動により左右方向に移動し、前後アクチュエータ55の駆動により前後方向に移動する。
【0074】
前後アクチュエータ55は、一端が車体フレーム10に揺動自在に固定され、他端が第1スライダ部53に揺動自在に固定される。左右アクチュエータ56は、一端が第2スライダ部54に揺動自在に固定され、他端が荷台3の台座部30に揺動自在に固定される。尚、前後アクチュエータ55及び左右アクチュエータ56は、図示しない取付金具によりそれぞれ対応する箇所に固定されている。
【0075】
例えば、前後アクチュエータ55は、本体部内に台形ねじで構成されたアクチュエータを有し、モータよりなるアクチュエータ駆動部を駆動させることにより。台形ねじを回転させ、台形ねじに接続されたロッド部を本体部から伸びる方向に移動させ、又は、縮む方向に移動させる。ロッド部の伸縮により、荷台3が前後方向に移動する。
【0076】
左右アクチュエータ56は、一端が車体フレーム10に揺動自在に固定され、他端が荷台3の台座部30に固定される。
【0077】
例えば、左右アクチュエータ56は、前後アクチュエータ55と同様に本体部内に台形ねじなどを有するアクチュエータを有し、モータよりなるアクチュエータ駆動部を駆動させることにより。台形ねじを回転させ、台形ねじに接続されたロッド部を本体部から伸びる方向に移動させ、又は、縮む方向に移動させる。ロッド部を本体部から伸ばす又は縮めることで、荷台3が左右方向に移動する。
【0078】
この実施形態においては、操作装置80に取り付けられた操作部により、荷台3を前後又は左右に移動させる指示を出す。この実施形態においては、操作部は、例えば、ジョイスティックで構成されている。ジョイスティックの操作により、後述する制御装置63に信号が与えられ、この指示信号に基づいて、制御装置63が前後アクチュエータ55、左右アクチュエータ56の駆動を制御し、ロッド部を所定の長さだけの本体部から出没させて前後アクチュエータ55、左右アクチュエータ56の駆動を停止する。また、後述するように、傾斜センサ91の出力により、制御装置63が前後アクチュエータ55、左右アクチュエータ56の駆動を制御し、荷台3の前後左右の移動を制御する。操作装置80による操作に基づく制御、傾斜センサ91の出力に基づく制御は、操作装置80により切り替え可能に構成している。
【0079】
荷台3を前後又は左右方向に所定量移動させた状態で荷台3の移動が停止する。これにより、荷台3の重心が斜面の山側の位置に固定することができ、斜路走行の必要要件を満足しながら、安定性のよい走行を行うことができる。
【0080】
そして、荷台3は、荷物を載置する台座部30の上面の水平面が地上の水平面に対して平行若しくは山側に少し傾く位置に保つことができる。この結果、斜路走行の必要要件を満足しながら、運搬車両100は、斜面に対して安定性のよい走行を行うことができる。
【0081】
上述したように、この実施形態においては、操作部として、ジョイスティックで構成した場合、ジョイスティックを前後又は左右に移動させた場合には、荷台3は前後又は左右に所定量移動した状態で停止させることができる。ジョイスティックを斜め方向に移動させた場合には、荷台3を前後及び左右に所定量移動させた状態で停止させることができる。
【0082】
このように、ジョイスティックの動作により、荷台3を前後方向又は左右方向若しくは前後左右方向に所定量移動した状態で移動を停止させることができる。これにより、運搬車両100は、どのような走行状態においても安定した走行姿勢をとることができる。
【0083】
図1及び図2に示すように、車体フレーム10は、左側電動モータ21aと、右側電動モータ21bと左右アクチュエータ56と前後アクチュエータ55に電力を供給するバッテリ(図示しない)が搭載されるバッテリ搭載部を有している。バッテリ搭載部6は、車体フレーム10における左クローラ2aと右クローラ2bの中間位置に備えられている。
【0084】
これにより、比較的重量の大きいバッテリを、車体フレーム10における左クローラ2aと右クローラ2bの中間位置、つまり、運搬車両100の左右中央に搭載することができる。その結果、運搬車両100の左右バランスを良好にすることができ、車体1の安定性を向上させることができる。
【0085】
図5に示すように、バッテリ搭載部6の後端部には、左側電動モータ21a及び右側電動モータ21bと左右アクチュエータ56と前後アクチュエータ55の動作を制御する制御装置63が配置されている。制御装置63は、マイクロプロセッサなどを備えた電子制御ユニットや各種の制御プログラムなどを格納したメモリなどによって構成されている。制御装置63は、バッテリ搭載部6やバッテリとともに、車体フレーム10の左右中間位置に備えられている。バッテリ及び制御装置63は、それらの上方に位置するカバーパネル6aによって覆われている。
【0086】
図8に示すように、操作装置80と制御装置63とが無線又は通信ケーブルにより接続される操作装置80からの運搬車両100の動作を制御する制御指令が制御装置63に与えられる。操作装置80は、例えば、ジョイスティックを備え、操作者がジョイスティックを操作し、操作指令を出力する。
【0087】
制御装置63は、操作装置80の操作に基づく操作指令又は傾斜センサ91に応じて左側電動モータ21a及び右側電動モータ21bの回転方向と回転速度とを制御することで、運搬車両100の車速制御と前後進切り替え制御とステアリング制御などを行う。さらに、制御装置63は、操作装置80の操作指令に基づき、左右アクチュエータ56と前後アクチュエータ55の動作を制御し、荷台3を前後方向又は傾斜センサ91の出力に基づき左右方向若しくは前後左右方向に移動させる。
【0088】
図1図7に示すように、各クローラベルト27は、所定数のベルト構成部品が所定数の連結ピンにて連結されることで、所定の周長を有する無端状に形成されている
【0089】
上述したように、この実施形態は、車体1に傾斜センサ91を設けている。この傾斜センサ91の出力を制御装置63に与えられる。
【0090】
制御装置63は、車体1に設けられた傾斜センサ91により、車体1の傾きから運搬車両100の走行状態を判断する。制御装置63は、走行状態が平地走行、登板走行、降坂走行、斜面横行走行などの状態を判断し、その状態に応じて、荷台3の前後左右の角度を算出し、その算出した角度に応じて左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55の駆動を制御し、荷台3の角度を所定角度に移動させた後、左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55の駆動を停止させる。荷台3を所定角度に維持させる。
【0091】
このように構成することで、操作者は、ジョイスティックを操作することなく、最適な荷台3の位置で走行させることができる。
【0092】
傾斜センサ91による制御は、操作装置80において切り替え可能に構成している。傾斜センサ91からの制御を行わないようにすると、操作装置80からの指示により荷台3の前後左右の移動を行えばよい。又、傾斜センサ91を設けない場合には、操作装置80からの指示により荷台3の前後左右の移動を行う。
【0093】
次に、この発明の一実施形態に係る運搬車両100の走行状態と荷台3の状態について、図9図12を参照して説明する。なお、図9図12においては、車体1の構成を簡略し、支持部5の動きの理解を容易にするように記載している。
【0094】
図9図12は、この発明の一実施形態に係る運搬車両100の走行の状態を示し、図9は、左クローラ側が高い斜面横行状態を示す正面図、図10は、右側クローラ側が高い斜面横行状態を示す正面図、図11は、降坂状態を示す側面図、図12は、登坂状態を示す側面図である。
【0095】
この発明の一実施形態に係る運搬車両100の斜面横行走行状態について説明する。図9は、この発明の一実施形態に係る運搬車両100の斜面横行走行状態を示す側面図であり、左クローラ2a側が高い状態である。
【0096】
平地走行又は登坂走行若しくは降坂走行などから斜面横行走行に移行する場合には、操作者は、操作装置80のジョイスティックを横方向、図9に示す状態においては、左方向に移動させ、左右アクチュエータ56を駆動させ、荷台3を左方向に傾ける。操作者は、荷台3の重心が斜面の山側に位置するように左右アクチュエータ56を駆動させる。荷台3の重心が斜面の山側に位置する状態または荷台3の水平面と直交する軸方向Cが重力方向に沿う状態になると、操作者は、ジョイスティックから指を離す。ジョイスティックから指を離すことで、左右アクチュエータ56の駆動が停止する。
【0097】
左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55は駆動が停止されると、荷台3の重心は、斜面の山側に位置した状態で固定され、バランスを保った状態で斜面に対して横行走行が行える。
【0098】
図10は、この発明の一実施形態に係る運搬車両100の斜面横行走行状態を示す側面図であり、右クローラ2b側が高い状態である。
【0099】
平地走行又は登坂走行若しくは降坂走行などから斜面横行走行に移行する場合には、操作者は、操作装置80のジョイスティックを横方向、図10に示す状態においては、右方向に移動させ、左右アクチュエータ56を駆動させ、荷台3を右方向に傾ける。操作者は、荷台3の重心が斜面の山側に位置するように左右アクチュエータ56を駆動させる。荷台3の重心が斜面の山側に位置する状態または荷台3の水平面と直交する軸方向Cが重力方向に沿う状態になると、操作者は、ジョイスティックから指を離す。ジョイスティックから指を離すことで、左右アクチュエータ56の駆動が停止する。
【0100】
左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55は駆動が停止されると、荷台3の重心は、斜面の山側に位置した状態で固定され、バランスを保った状態で斜面Sに対して横行走行が行える。
【0101】
次に、この発明の一実施形態に係る運搬車両100の降坂走行について説明する。図11は、この発明の一実施形態に係る運搬車両100の降坂走行の状態を示す側面図である。
【0102】
平地走行又は登坂走行などから降坂走行に移行する場合には、操作者は、ジョイスティックを後方に移動させ、前後アクチュエータ55を駆動させ、荷台3を後方に傾ける。操作者は、荷台3の重心が斜面の山側に位置するような状態になるまで前後アクチュエータ55を駆動させる。前後アクチュエータ55の駆動により、荷台3の重心が斜面の山側に位置する状態または荷台3の水平面と直交する軸方向Cが後方に移動し重力軸に沿う状態になると、操作者は、ジョイスティックから指を離す。ジョイスティック67から指を離すことで、前後アクチュエータ55の駆動が停止する。
【0103】
左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55は駆動が停止されているので、荷台3の重心は、斜面の山側に位置した状態で固定され、運搬車両100は、降坂走行において、バランスを保った状態で降坂走行が行える。
【0104】
次に、この発明の一実施形態に係る運搬車両100の登坂走行について説明する。図12は、この発明の一実施形態に係る運搬車両100の登坂走行の状態を示す側面図である。
【0105】
平地走行又は登坂走行などから登坂走行に移行する場合には、操作者は、ジョイスティックを前方に移動させ、前後アクチュエータ55を駆動させ、荷台3を前方に傾ける。操作者は、荷台3の重心が斜面の山側に位置するような状態になるまで前後アクチュエータ55を駆動させる。前後アクチュエータ55の駆動により、荷台3の重心が斜面の山側に位置する状態または荷台3の水平面と直交する軸方向Cが前方に移動し重力軸に沿う状態になると、操作者は、ジョイスティックから指を離す。ジョイスティックから指を離すことで、前後アクチュエータ55の駆動が停止する。
【0106】
左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55は駆動が停止されているので、荷台3の重心は、斜面の山側に位置した状態で固定され、運搬車両100は、登坂走行において、バランスを保った状態で降坂走行が行える。
【0107】
次に、この発明の一実施形態に係る運搬車両100の斜面を斜め方向に登板する走行について説明する。
【0108】
平地走行又は登坂走行若しくは降坂走行などから斜面を斜め方向に登板する走行に移行する場合には、操作者は、ジョイスティックを斜め前方に移動させ、左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55を駆動させ、荷台3を斜め前方に傾ける。操作者は、荷台3の重心が斜面の山側に位置するまで左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55を駆動させる。荷台3が斜め前方に移動し重力軸に沿う状態になると、操作者Dは、ジョイスティックから指を離す。ジョイスティック67から指を離すことで、左右アクチュエータ56および前後アクチュエータ55の駆動が停止する。
【0109】
左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55は駆動が停止されているので、荷台3の重心が斜面の山側に位置する状態で固定され、運搬車両100は、バランスを保った状態で走行が行える。
【0110】
また、荷台3の水平面と直交する軸方向Cの角度は、重力軸に完全に一致させる必要はなく、荷台3がバランスを保つことができると認識した状態でジョイスティックから指をはなせばよい。
【0111】
傾斜センサ91に基づく制御を行う場合は、制御装置63は、車体1に設けられた傾斜センサ91により、車体1の傾きから運搬車両100の走行状態を判断する。制御装置63は、走行状態が平地走行、登板走行、降坂走行、斜面横行走行などの状態を判断し、その状態に応じて、荷台3の前後左右の角度を算出し、その算出した角度に応じて左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55の駆動を制御し、荷台3の角度を所定角度に移動させた後、左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55の駆動を停止させる。荷台3を所定角度に維持させる。
【0112】
このように構成することで、操作者は、ジョイスティックを操作することなく、最適な荷台3の位置で走行させることができる。
【0113】
さらに、制御装置63は、荷台3が重力方向より山側に所定角度分オーバーシュートした状態に維持するように、左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55の駆動を制御するように構成してもよい。
【0114】
荷台3が重力方向より山側に所定角度オーバーシュートした状態に維持することで、走行に余裕が生まれる。
【0115】
オフセットする角度は、斜面の傾斜角度により、制御装置63が算出し、その算出結果に応じた角度になるように、制御装置63が左右アクチュエータ56及び前後アクチュエータ55の駆動を制御すればよい。
【0116】
〔別実施形態]
この発明の別実施形態について説明する。
なお、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0117】
上記した運搬車両100においては、第1レール51と第2レール52は、それぞれ一対のレール部材で構成しているが、レール部材の本数は限定されず、第1レール51と第2レール52は、1本のレール部材で構成しても3本以上のレール部材で構成してもよい。
【0118】
上記した運搬車両100においては、第1レール51(左側レール部材51a、右側レール部材51b)は、車体100の前後方向の中央部を頂点とする円弧状に形成され、第2レール52(前側レール部材52a、後側レール部材52b)は、車体100の左右方向の中央部を頂点とする円弧状に形成されているが、これに限らず種々の形状のレール部材を用いることができる。例えば、中央部を頂点とする上に凸のなめらかな曲線状のレール部材、直線上のレール部材を用いてもよい。
【0119】
上記した運搬車両100においては、ステップ33に乗員が乗ることは可能であるが、さらに乗員が搭乗する椅子などを設けた搭乗部を設けてもよい。
【0120】
上記した運搬車両100は、操作装置80は、運搬車両100とは別に用意し、無線又は通信ケーブルにより、運搬車両100の制御装置63と接続しているが、運搬車両100に操作装置80を設けてもよい。
【0121】
上記した運搬車両100は、傾斜センサ91により、荷台3の前後左右の移動を制御しているが、傾斜センサ91を設けずに操作者が前後左右の移動を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 :車体
1a :底板
2a :左クローラ
2b :右クローラ
3 :荷台
5 :支持部
10 :車体フレーム
21a :左側電動モータ
21b :右側電動モータ
50 :支持部固定部材
51 :第1レール
51a :左側レール部材
51b :右側レール部材
52 :第2レール
52a :前側レール部材
52b :後側レール部材
53 :第1スライダ部
54 :第2スライダ部
55 :前後アクチュエータ
56 :左右アクチュエータ
63 :制御装置
80 :操作装置
91 :傾斜センサ
100 :運搬車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12