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特開2022-80487表示パネルの継ぎ目が視認されない情報端末装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080487
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】表示パネルの継ぎ目が視認されない情報端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/128 20180101AFI20220523BHJP
   H04N 13/305 20180101ALI20220523BHJP
   H04N 13/31 20180101ALI20220523BHJP
   G02B 30/22 20200101ALI20220523BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220523BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20220523BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220523BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
H04N13/128
H04N13/305
H04N13/31
G02B30/22
G09F9/00 366A
G09F9/00 313
G09G5/36 510V
G09G5/00 510V
G09G5/00 550C
G09G5/38 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191586
(22)【出願日】2020-11-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】306043688
【氏名又は名称】矢野 隆志
(72)【発明者】
【氏名】矢野 隆志
【テーマコード(参考)】
2H199
5C061
5C182
5G435
【Fターム(参考)】
2H199BA03
2H199BA04
2H199BA08
2H199BA09
2H199BB04
2H199BB09
2H199BB43
5C061AA07
5C061AA08
5C061AB12
5C061AB14
5C061AB18
5C182AA28
5C182AC46
5C182BA01
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA29
5C182BA55
5C182BA65
5C182BB04
5C182BB05
5C182BB17
5C182CB42
5G435AA01
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE14
5G435EE16
5G435GG06
5G435HH02
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】 表示パネルの継ぎ目が視認されない、表示パネルの継ぎ目によって映像の視認が妨げられることのない、表示パネルの折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置を有する情報端末装置を実現すること。
【解決手段】 立体視光学系を用いて、表示パネルの継ぎ目による右目映像の視認できない領域と左目映像の視認できない領域が重複しないように相対的にシフトした右目映像と前記左目映像を生成して表示することにより、表示パネルの継ぎ目を見えなくし、表示パネルの継ぎ目による映像の消失を防ぐことである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折畳み展開、スライド展開、回転展開等によって表示面積を拡張できる表示パネル(2)を有する情報端末装置であって、
前記情報端末装置は、立体視光学系を用いて、表示パネルの継ぎ目(8)による右目映像の視認できない領域(23e)と左目映像の視認できない領域(24e)が重複しないように相対的にシフトした右目映像(23)と左目映像(24)を生成して表示することにより、前記表示パネルの継ぎ目(8)の視認を防ぎ、前記表示パネルの継ぎ目(8)による映像の消失を防ぐこと、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項2】
請求項1の情報端末装置において、
前記表示パネル(2)の左右方向の座標軸をX軸、上下方向の座標軸をY軸、前後方向(奥行方向)の座標軸をZ軸として、
前記表示パネル(2)はX軸方向に拡張できること、
前記情報端末装置は、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH を表示パネルの継ぎ目のX軸方向の幅WoH より大きくした前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示すること、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項3】
請求項1の情報端末装置において、
前記表示パネル(2)の左右方向の座標軸をX軸、上下方向の座標軸をY軸、前後方向(奥行方向)の座標軸をZ軸として、
前記表示パネル(2)はY軸方向に拡張できること、
前記情報端末装置は、右目映像と左目映像のY軸方向の相対的シフト量SiV を表示パネルの継ぎ目のY軸方向の幅WoV より大きくした前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示すること、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項4】
請求項2または3の情報端末装置において、
前記情報端末装置は、右目位置と左目位置を測定する目位置測定装置(10)を有し、前記表示パネル(2)はレンチキュラー光学系、パララックスバリア(イメージスプリッター)光学系等のストライプ映像を表示する立体視光学系を用いた表示パネルであること、
前記情報端末装置は、前記目位置測定装置(10)を制御して前記右目位置と前記左目位置を測定すること、
前記右目位置と前記左目位置の情報、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH の情報と右目映像と左目映像のY軸方向の相対的のシフト量SiV の情報のいずれかの情報または双方の情報、前記立体視光学系の情報、前記表示パネル(2)の表示画素の配置の情報に基づき、前記立体視光学系を介して、右目(21)で前記右目映像(23)が、左目(22)で前記左目映像(24)が正しく視認されるように、前記右目映像(23)と前記左目映像(24)をストライプ状に分解して右目ストライプ映像(23a)と左目ストライプ映像(24a)に再構成して表示すること、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項5】
請求項2ないし4の情報端末装置において、
前記情報端末装置は、右目映像と左目映像のx軸方向の相対的シフト量SiH を右目と左目のX軸方向の距離We と等しいかより小さい範囲、かつ表示パネルのX軸方向の長さWpxと等しいかより小さい範囲で必要に応じて大きくして、前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示すること、
前記右目映像(23)は、右目映像のみが存在する右目映像のウィンドウ違反領域(23c)と右目映像と左目映像の双方が存在する右目映像のウィンドウ違反のない領域(23d)からなり、
前記左目映像(24)は、左目映像のみが存在する左目映像のウィンドウ違反領域(24c)と右目映像と左目映像の双方が存在する左目映像のウィンドウ違反のない領域(24d)からなること、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項6】
請求項2ないし5の情報端末装置において、
前記情報端末装置は、前記表示パネルの継ぎ目(8)の視認の防止と前記表示パネルの継ぎ目(8)による映像の消失の防止のための立体視光学系用いて立体視が可能な前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示すること、
前記パネルの継ぎ目(8)に対する右目(21)の視角である第1輻輳虚像禁止空間(28a)と前記表示パネルの継ぎ目(8)に対する左目(22)の視角である第2輻輳虚像禁止空間(28b)で区切られた共通の空間である第3輻輳虚像禁止空間(28c)に輻輳映像(26,27)を生成しない前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示すること、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項7】
請求項2ないし5の情報端末装置において、
操作者が右目(21)と左目(22)で主に視認に用いる方を利き目とし、前記右目映像(23)と前記左目映像(24)の内利き目に対応した方を利き目映像とすること、
前記情報端末装置は、さらに、タッチパネル(19a)が装着された表示パネル(2)を有すること、
操作者がタッチパネル入力を行う時に、タッチパネル入力の位置検出を前記利き目映像で行うこと、
を特徴とする情報端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
表示パネルの折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置を有する情報端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置を有する情報端末装置について、最も開発が進められているのは折畳み展開方式であり、四つの折畳み展開方式がある。
第1の方式は突合せ表示パネル方式であり、 細いベゼルの二枚の表示パネルを展開時に付き合わせることにより表示パネルの継ぎ目を見えにくくする。実用性が高いが継ぎ目を完全になくすことができない。(特許文献1(シャープ)、特許文献2(シャープ))
第2の方式は曲率半径の大きな山折り表示パネル方式であり、展開時の継ぎ目はないが、折畳み時に表示パネルの保護が困難である課題がある。(特許文献3(ファーウェイ)、WO2018090888、Huawei社Mate X)
第3の方式は曲率半径の大きな谷折り表示パネル方式であり、展開時の継ぎ目はないが、折畳み時に表示パネルを収納するスペースのため筐体の厚みが大きくなる課題がある。(ZTE社Axon M、Samsung社 Galaxy Z Flip)
第4の方式は曲率半径の小さな谷折り表示パネル方式であり、展開時も折畳み時も他方式のような課題はないが表示パネルの耐久性の課題がある。(US9612621、Samsung社Galaxy Fold)
【0003】
本発明が用いる立体視技術について説明する。
本発明は、レンチキュラー光学系方式、パララックスバリア(イメージスプリッター)光学系方式、液晶シャッター (めがね) 方式、偏光フィルター (めがね) 方式等の立体視技術を用いることができる。
表示パネルの継ぎ目が上下方向の場合および、積極的にウィンドウ違反を行うの場合、表示パネルの継ぎ目による視認阻害部分が重複しないように左右方向に相対的にシフトした右目映像と左目映像を生成して表示し、操作者は表示パネル面から離れた位置に生成される輻輳虚像を視認することができる。右目映像と左目映像は同じ映像であり、両目視差は不要であり、下記の二つの特徴を有する。
1) 両目視差はないのでパナムの融合領域(Panum’s fusion area)の制限は受けない。(視差と輻輳による3D表示を行うモデルを除く)
2) 右目映像と左目映像は同じ映像なのでウィンドウ違反の制限を受けない。(視差と輻輳による3D表示を行うモデルを除く)
【0004】
人間は目ではなく脳で視覚している。右目で視認され右目映像と左目で視認された左目映像は異なる映像であっても、脳はそれらが同じだとの仮定で映像の再構成を行うことがある。
表示パネルの継ぎ目が上下方向の場合、表示パネルの継ぎ目による視認阻害部分が重複しないように左右方向に相対的にシフトした右目映像と左目映像を生成して表示すると、操作者の脳は右目映像と左目映像を同じと仮定して左右方向の相対的シフトのない映像の再構成を行い、操作者は表示パネル面から離れた位置に生成される輻輳虚像を視認することになる。
表示パネルの継ぎ目が左右方向の場合、表示パネルの継ぎ目による視認阻害部分が重複しないように上下方向に相対的にシフトした右目映像と左目映像を生成して表示すると、操作者の脳は右目映像と左目映像を同じと仮定して上下方向の相対的シフトのない映像の再構成を行う。
【0005】
特許文献1の技術が解決しようとする課題は「要約」によると、「折畳み式携帯端末の第1及び第2の筐体の開閉途中において、表示装置の表面を連続させながら、開閉操作をスムーズに行う。」である。
【0006】
特許文献1の技術の解決手段について説明する。
「要約」によると、「第1の表示装置2を有する第1の筐体3と、第2の表示装置4を有する第2の筐体5とを、ヒンジ部6を中心に折畳み開閉可能に接続する。このヒンジ部6により、第1の筐体3と第2の筐体5とを開閉する際に、側面視で、第1固定プレート7の表面側角部7a(第1の表示装置2の表面側角部)と、第2固定プレート8の表面側角部8a(第2の表示装置4の表面側角部)とを、互いに当接した状態でヒンジ部6に対して直線状の軌跡で移動させる。」である。
請求項1によると、「第1の表示装置を有する第1の筐体と、第2の表示装置を有する第2の筐体とが、ヒンジ部を中心に折畳み開閉可能に接続された折畳み式携帯端末において、上記ヒンジ部は、上記第1の筐体と第2の筐体とを開閉する際に、側面視で、上記第1の表示装置の表面側角部と、上記第2の表示装置の表面側角部とが、互いに当接した状態で該ヒンジ部に対して直線状の軌跡で移動するように、該第1の筐体と第2の筐体とを接続している」である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-119830 (シャープ)
【特許文献2】特開2011-119831 (シャープ)
【特許文献3】特開2019-506651 (ファーウェイ)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、表示パネルの継ぎ目が視認されない、表示パネルの継ぎ目によって映像の視認が妨げられることのない、表示パネルの折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置を有する情報端末装置を実現することである。
【0009】
特許文献1と本発明の解決しようとする課題の差異について説明する。
特許文献1の解決しようとする課題は、表示パネルの継ぎ目によって映像の視認が妨げられることは解決できないとして、表示パネルの折畳み展開の過程(開閉途中)の継ぎ目が大きくならないようにすることである。
本発明の解決しようとする課題は、表示パネルの折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置の表示パネルの継ぎ目を小さくすることでも無くすことでもない。表示パネルの継ぎ目を見えなくし、表示パネルの継ぎ目による映像の消失を防ぐことである。
すなわち、特許文献1と本発明は解決しようとする課題が異なる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決手段は、表示パネルの折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置を有する情報端末装置のための、立体視光学系を用いて、表示パネルの継ぎ目による視認阻害部分が重複しない右目映像と左目映像を生成して表示することにより、表示パネルの継ぎ目を見えなくし、表示パネルの継ぎ目による映像の消失を防ぐことである。
表示パネルの継ぎ目が上下方向の場合は右目映像と左目映像の左右方向の相対的シフト量を継ぎ目の幅より大きくし、(Model 431) 左右方向の場合は右目映像と左目映像の上下方向の相対的シフト量を継ぎ目の幅より大きくする。(Model432)
【0011】
特許文献1と本発明の解決手段の差異について説明する。
特許文献1の解決手段は機構学的なものであり、本発明の解決手段は光学てきなものである。すなわち、特許文献1と本発明は解決手段が異なる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の効果は、表示パネルの継ぎ目を見えなくし、表示パネルの継ぎ目による映像の消失がない表示装置を有する情報端末装置を実現したことである。(Model43)
第2の効果は、表示パネルの継ぎ目が上下方向と左右方向のどちらでも継ぎ目による映像の消失がない表示装置を有する情報端末装置を実現したことである。(Model431, Model 432)
第3の効果は、積極的にウィンドウ違反を行うことにより、表示パネルよりも大きな映像の表示が可能な表示装置を有する情報端末装置を実現したことである。(Model43_2)
第4の効果は、立体視光学系を用いるので、立体表示情報端末装置、AR情報端末装置としての展開が可能な表示装置を有する情報端末装置を実現したことである。(Model43_3)
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】Model 43, Model 431の原理を示す図である。
図2】Model 43の表示パネル展開方式の概要(1)を説明する図である。
図3】Model 43の表示パネル展開方式の概要(2)を説明する図である。
図4】Model 43の偏光フィルター(眼鏡)方式の構成を説明する図である。
図5】Model 43のレンチキュラー光学系方式の構成を説明する図である。
図6】Model 43のモデル一覧を示す図である。
図7】Model 43の各モデルに対応したシステムの構成を説明する図である。
図8】Model 432の原理を説明する図である。
図9】Model 4311, Model 4321の制御の概要を説明する図である。
図10】Model 4311の第3ステップ、第4ステップの制御を説明する図である。
図11】Model 4321の第3ステップ、第4ステップの制御を説明する図である。
図12】Model 43_2の原理と効果(ウィンドウ違反なし)を説明する図である。
図13】Model 43_2の原理と効果(積極的ウィンドウ違反)を説明する図である。
図14】Model 43_3の3D表示領域を説明する図である。
図15】Model 43_4の原理を説明する図である。
図16】Model 43_41の制御を説明する図である。
図17】Model 43_43の制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
Model 43は、表示パネル2の、折畳み展開、スライド展開、回転展開、接続展開等によって表示面積を拡張できる情報端末装置20であって、立体視光学系を用いて、表示パネルの継ぎ目8による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複しない右目映像23と左目映像24を生成して表示することにより、表示パネルの継ぎ目8による映像が視認できなくなるのを防ぐことができる。
図1は本発明の情報端末装置Model 43の原理を説明する図である。
Model 43は、立体視光学系を用い、表示パネルの継ぎ目8による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複しないように、表示パネル2上で右目映像23と左目映像24を相対的にシフトして表示することにより、表示パネルの継目8による映像の消失を防ぐことが可能な情報端末装置2である。
表示パネル2の左右方向の座標軸をX軸、上下方向の座標軸をY軸、前後方向(奥行方向)の座標軸をZ軸とし、操作者の目のZ軸方向の位置をZe、右目のZ軸方向の位置をZeR、左目のZ軸方向の位置をZeL、右目と左目のX軸方向の距離をWe、表示パネルのZ軸方向の位置をZp、表示パネルの継ぎ目のX軸方向の幅をWoHとし、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量をSiH とする。
SiH>WoH であれば、表示パネルの継ぎ目8による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複せず、映像の消失を防ぐことが可能である。
右目映像23と左目映像24はX軸方向にSiH だけシフトしていて同一の映像ではないが、人間の脳は右目映像23と左目映像24を同じと仮定してX軸方向の相対的シフトのない映像の再構成を行い、操作者は表示パネル2から離れた位置に生成される輻輳虚像26,27を視認することになる。右目輻輳虚像の視認できない領域26eと左目輻輳虚像の視認できない領域27eは重複しない。
【0015】
図2図3はModel 43の表示パネル展開方式の概要を説明する図である。
図2aは左右方向折畳み展開方式であり、表示面積はX軸方向に拡張され、表示パネルの継ぎ目8はY軸方向である。図2bは上下方向折畳み展開方式であり、表示面積はY軸方向に拡張され、表示パネルの継ぎ目8はX軸方向である。
図3cは左右方向接続展開方式であり、表示面積はX軸方向に拡張され、表示パネルの継ぎ目8はY軸方向である。
【0016】
立体視光学系としては液晶シャツター(眼鏡)方式、偏光フィルター(眼鏡)方式方式、レンチキュラー (イメージスプリッター) 光学系方式がある。
液晶シャツター(眼鏡)方式は、眼鏡の左右の液晶シャッターに同期して右目映像23と左目映像24を交互に表示パネル2に表示する方式である。右目映像23は右目21によってのみ視認され、左目映像24は左目22によってのみ視認される。
図4は偏光フィルター(眼鏡)方式の構成を説明する図(XZ平面の平面図)である。眼鏡は右目偏光フィルター14と左目偏光フィルター15を有し、表示パネル2の表面にはストライプ状の右目偏光フィルター14と左目偏光フィルター15が交互に配置される。右目映像23と左目映像24をストライプ状に分割し、右目映像23を右目偏光フィルター14配置部に、左目映像24を左目偏光フィルター15配置部に表示する。右目映像23は表示パネル2の右目偏光フィルター14と眼鏡の右目偏光フィルター14を通過してと右目21によってのみ視認され、左目映像24,24cは表示パネル2の左目偏光フィルター15と眼鏡の左目偏光フィルター15を通過して左目22によってのみ視認される。
【0017】
図5はレンチキュラー光学系方式の構成を説明する図(XZ平面の平面図)である。表示パネル2の表面にはレンチキュラープレート16が貼られている。
右目映像23と左目映像24を右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aに分割し、レンチキュラープレート16を介してそれぞれ右目21と左目22で視認される位置に生成し、レンチキュラープレート16によって、右目ストライプ映像23aは右目21によってのみ視認され、左目ストライプ映像24aは左目22によってのみ視認される。
表示パネル2のX軸方向の中心位置では図5aに示すように、右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aをレンチキュラープレート16のシリンドリカルレンズに対して左右対称位置に生成する。また、表示パネル2のX軸方向の中心から離れた位置では図5bに示すように、右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aをレンチキュラープレート16のシリンドリカルレンズに対してオフセットした位置に生成する。パララックスバリア(イメージスプリッター)光学系方式でも同様に実現できる。
【0018】
図6はModel 43のモデル一覧を示す図である。
Model 431とModel 432は、表示パネルの継ぎ目8の方向に関するモデルである。
Model 431は、左右方向展開方式のモデルである。継ぎ目の幅はX軸方向で、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH を表示パネルの継ぎ目のX軸方向の幅WoHより大きくする。
Model 432は、上下方向展開方式のモデルである。継ぎ目の幅はY軸方向で、右目映像と左目映像のY軸方向の相対的シフト量SiV を表示パネルの継ぎ目のY軸方向の幅WoVより大きくする。
Model 43_1からModel 43_4はModel 431とModel 432の機能追加モデルである。
Model 43_1は、特にレンチキュラー(イメージスプリッター)光学系方式のための、右目位置(XeR, YeR, ZeR) と左目位置(XeL, YeL,ZeL) を測定して、右目位置(XeR, YeR, ZeR) から正しく視認される右目映像23と左目位置(XeL, YeL, ZeL) から正しく視認される左目映像24を生成するモデルである。
Model 43_2は、積極的にウィンドウ違反を行うモデルである。右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH を右目と左目のX軸方向の距離We より小さい範囲で大きくする。
Model 43_3は、表示パネルの継ぎ目8による映像の消失を防ぐ目的の立体視光学系用いて、視差と輻輳による3D表示を行うモデルである。
Model 43_4は、タッチパネル19aを装着した表示パネル2を有し、利き目映像の情報に対応したタッチパネル入力を行うモデルである。ウィンドウ違反領域ではウィンドウ違反映像を優先する。
Model 43_41、Model 43_42、Model 43_43はModel 43_4の機能追加モデルである。
Model 43_41は、タッチパネル入力時に利き目映像のみを表示するように表示の切換えを行うモデルである。
Model 43_42は、利き目映像にのみGUIボタン25を表示するモデルである。ウィンドウ違反領域ではウィンドウ違反映像にGUIボタン25を表示する。
Model 43_43は、利き目検出ボタン25aを表示して利き目検出を行う利き目検出モードを有するモデルである。
【0019】
図7はModel 43の各モデルに対応したシステムの構成を説明する図である。
情報端末装置20は全体の制御を行う情報端末制御装置20aと表示の制御を行う表示制御装置6を有し、表示制御装置6には、記憶装置3、演算装置4、画像生成装置5、光学式目位置測定装置10、タッチパネル制御装置19が接続される。
画像生成装置5は表示パネル2に接続され、光学式目位置測定装置10は目位置センサー(右)10aと目位置センサー(左)10bに接続される。
タッチパネル制御装置19は表示パネル2に設けられたタッチパネル19aに接続される。
【実施例0020】
実施例1はModel 431であり、左右方向展開方式のモデルであり、表示面積はX軸方向に拡張され、表示パネルの継ぎ目8はY軸方向であり、表示パネルの継ぎ目の幅WoHはX軸方向である。
Model 431の表示パネルの継目8による映像の消失を防ぐ原理について段落0013よりも詳細に説明する。
図1aは操作者の右目21、左目22、表示パネル2、表示パネルの継目8の位置関係を示す立体図であり、図1bは同じく位置関係を示すXZ平面の平面図である。
右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH を、右目と左目のX軸方向の距離We より小さい範囲、表示パネルのX軸方向の長さWpx より小さい範囲で、表示パネルの継ぎ目のX軸方向の幅WoHより大きくした右目映像23と左目映像24を生成して表示すると、表示パネルの継ぎ目8による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複せず、全ての元の映像は右目映像23または左目映像24が視認され、表示パネルの継ぎ目8による映像の消失を防ぐことができる。
WoH = 2 mm We = 62.5 mm Wpx = 80mm とすると
62.5mm > SiH > 2mm となる。
操作者の脳は、X軸方向にシフトした右目映像23と左目映像24を同じものと仮定して映像の再構成を行い、表示パネル2から離れた位置に輻輳虚像26, 27を視認することになる。輻輳虚像26,27は右目輻輳虚像の視認できない領域26eと左目輻輳虚像の視認できない領域27eは重複しないので、操作者は、表示パネルの継ぎ目8による消失のない輻輳虚像26,27を視認することになる。
【実施例0021】
実施例2はModel 432であり、上下方向展開方式のモデルであり、表示面積はY軸方向に拡張され、表示パネルの継ぎ目8はX軸方向であり、表示パネルの継ぎ目の幅WoVはY軸方向である。
図8はModel 432の原理、表示パネルの継目8による映像の消失を防ぐ原理を説明する図である。
図8aは操作者の右目21、左目22、表示パネル2、表示パネルの継目8の位置関係を示す立体図である。
図8bは右目映像23と左目映像24のXY平面の平面図である。
右目映像と左目映像のY軸方向の相対的シフ量トSiV を表示パネルの継ぎ目のY軸方向の幅WoV より大きくした右目映像23と左目映像24を生成して表示すると、
表示パネルの継ぎ目8による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複せず、全ての元の映像は右目映像23または左目映像24として視認され、表示パネルの継ぎ目8による映像の消失を防ぐことができる。
WoV = 1 mm とすると
SiV > 1mm となる。
操作者の脳は、図8bに示すように、Y軸方向にシフトした右目映像23と左目映像24を同じものと仮定して映像の再構成を行い、右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eはY軸方向にシフトして表示パネルの継ぎ目8による映像の消失を防ぐことができる。
【実施例0022】
実施例3はModel 43_1であり、レンチキュラー光学系方式のための正確な映像を生成するモデルである。
Model 43_1はModel 431とModel 432の表示システムに適用可能である。
段落0016と図5で説明したように、レンチキュラー光学系方式においては、正確な右目映像23と左目映像24を生成するためには右目位置(XeR, YeR,ZeR) と左目位置(XeL, YeL, ZeL) が必要である。
段落0018と図7で説明したように、表示制御装置6には光学式目位置測定装置10が接続され、光学式目位置測定装置10には目位置センサー(右)と10aと目位置センサー(左)10bが接続されている。
Model 43_1は、測定した右目位置(XeR, YeR, ZeR) と左目位置(XeL, YeL, ZeL) の情報、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的のシフト量SiHの情報と右目映像と左目映像のY軸方向の相対的のシフト量SiV の情報、レンチキュラー光学系の情報から、レンチキュラー光学系を介して正確に視認される右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aを生成する。
光学式目位置測定装置10には、目位置センサー(右)10aと目位置センサー(左)10bによる方式だけでなく、単眼のセンサーでも、例えば焦点距離の情報を用いることにより、また例えば右目と左目のX軸方向の距離We= 62.5mm の情報を用いることにより単眼のセンサーでも可能である。
【0023】
図9はModel 4311とModel 4321の制御の概要を説明する図である。
図10aはModel 4311の第3ステップ(映像位置の決定)の制御、図10bは第4ステップ(ストライプ映像の表示)の制御を説明する図である。
第1ステップ(制御の開始) : 表示制御装置6は、表示システムが作動すると第2ステップに移行する。
第2ステップ(目位置の測定) : 表示制御装置6は、光学式目位置測定装置10を制御して、目位置センサー(右)10a、目位置センサー(左)10bが撮影した映像を画像処理して操作者の右目21と左目22を認識し、右目位置(XeR,YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)を記憶装置3に記憶し、第3ステップに移行する。
第3ステップ(映像位置の決定) : 表示制御装置6は、記憶装置3の情報を読み込み、予め記憶された右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH の情報を読み込み、演算装置4を制御して、右目映像位置(XiR,YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)を決定して記憶装置3に記憶し、第4ステップに移行する。
第4ステップ(ストライプ映像の表示) : 表示制御装置6は記憶装置3の情報を読み込み、演算装置4を制御して、右目位置(XeR, YeR, ZeR) と左目位置(XeL,YeL, ZeL) の情報、右目映像位置(XiR, YiR, ZiR) と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL) の情報、予め記憶されたレンチキュラープレート16の情報(レンチキュラー光学系のシリンドリカルレンズの形状や屈折率等の光学的情報と位置情報)、表示パネル2の表示画素の形状情報と位置情報に基づき、右目位置(XeR,YeR, ZeR) から右目映像23が左目位置(XeL, YeL, ZeL) から左目映像24が正確に視認されるように、右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aの形状とその位置を算出し、映像生成装置5を制御して右目映像23と左目映像24をストライプ状に分割して右目ストライプ映像23bと左目ストライプ映像24bとして再構成し、表示装置1を制御して表示パネル2に表示し、第5ステップに移行する。
第5ステップ(制御の繰り返し) : 表示システムが作動していると第2ステップに移行し、第2ステップから第5ステップを繰り返す。表示システムが停止すると第6ステップに移行する。
第6ステップ(制御の終了) : 表示制御装置6は制御を終了する。
【0024】
Model 4321の制御はModel 4311の制御と比べて第3ステップと第4ステップの制御が異なる。
Model 4321の制御は右目映像と左目映像のY軸方向の相対的シフト量SiV の制御であるが、同時に右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH の制御を行うことは容易であり、SiH(SiH=0 を含む)とSiV の制御を行うものとする。
これによって、Model 4321を含むModel 43_1は、後述するModel 43_2の積極的にウィンドウ違反を行うモデルやModel 43_3の3D表示を行うモデルが実現できる利点がある。
Model 4321の第3ステップと第4ステップの制御について説明する。
図11aはModel 4321の第3ステップ(映像位置の決定)の制御、図11bはModel 4321の第4ステップ(ストライプ映像の表示)の制御を説明する図である。
第3ステップ(映像位置の決定) : 表示制御装置6は、記憶装置3から、予め記憶された右目映像と左目映像のY軸方向の相対的シフト量SiV と右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiHの情報を読み込み、演算装置4を制御して、右目映像位置(XiR, YiR, ZiR) と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL) を決定して記憶装置3に記憶し、第4ステップに移行する。
第4ステップ(ストライプ映像の表示) : 表示制御装置6は、記憶装置3から、右目位置(XeR, YeR, ZeR) と左目位置(XeL, YeL, ZeL) の情報、右目映像位置(XiR,YiR, ZiR) と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL) の情報、予め記憶されたレンチキュラー光学系方式のシリンドリカルレンズの光学的情報と位置情報、表示パネル2の表示画素の情報を読み込み、演算装置4を制御して、右目位置(XeR,YeR, ZeR) から右目映像23が左目位置(XeL, YeL, ZeL) から左目映像24が正確に視認されるように、ストライプ状に分割された右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aを決定し、映像生成装置5を制御して右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aを生成し、表示パネル2に右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aを表示し、第5ステップに移行する。
【0025】
Model 43_1の右目位置(XeR, YeR, ZeR) と左目位置(XeL, YeL, ZeL) について説明する。
Model 43_1が必要とするのは右目の位置(XeR, ZeR) と左目の位置(XeL, ZeL) であるが、右目の位置(XeR,YeR, ZeR) と左目の位置(XeL, YeL, ZeL) の測定を行うことによって測定精度の高い右目位置(XeR, ZeR) と左目位置(XeL,ZeL) が得られる。
Model 43_1の右目映像位置(XiR, YiR, ZiR) と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL) について説明する。
Model 4311が必要とするのは右目映像位置(XiR) と左目映像位置(XiL) であり、Model 4321が必要とするのは右目映像位置(YiR またはXiR,YiR) と左目映像位置(YiL またはXiL, YiL) である。
【実施例0026】
実施例4はModel 43_2であり、積極的にウィンドウ違反を行うモデルであり、図12図13はModel 43_2の原理と効果(積極的ウィンドウ違反)を説明する図である。
図12に示すウィンドウ違反なしの場合は、右目映像23は右目映像のウィンドウ違反のない領域23dからなり、左目映像24は左目映像のウィンドウ違反のない領域24dからなる。右目輻輳虚像26は右目輻輳虚像のウィンドウ違反のない領域26dからなり、左目輻輳虚像27は左目輻輳虚像のウィンドウ違反のない領域27dからなる。右目映像の無映像領域23bと左目映像の無映像領域24bには映像が存在しない。
右目映像の無映像領域23bと左目映像の無映像領域24bの長さは、映像のシフトによる無映像領域の長さSiH/2 と映像のシフトによる映像の消失した領域23f,24fに対応して削除した無映像領域の長さSiH/2 の和の領域である。
図13に示すModel 43_2の積極的ウィンドウ違反の場合は、右目映像23は右目映像のウィンドウ違反のない領域23d、右目映像のウィンドウ違反領域23c、映像が表示パネル2からはみ出した右目映像の消失した領域23fからなり、左目映像24は左目映像のウィンドウ違反のない領域24d、左目映像のウィンドウ違反領域24c、映像が表示パネル2からはみ出した左目映像の消失した領域24fからなる。
右目映像のウィンドウ違反領域23cと左目映像のウィンドウ違反領域24cの長さは、映像のシフトによって生成されたウィンドウ違反領域の長さSiH/2 と映像のシフトによる映像の消失した領域23f,24fに対応して生成されたウィンドウ違反領域の長さSiH/2 の和の領域である。
輻輳虚像26, 27は、右目輻輳虚像のウィンドウ違反領域26c、左目輻輳虚像のウィンドウ違反領域27c、右目輻輳虚像と左目輻輳虚像が存在する輻輳虚像のウィンドウ違反のない領域26d,27dからなる。
輻輳虚像のX軸方向の長さ(ウィンドウ違反なし)Wva は、
右目映像の無映像領域23bと左目映像の無映像領域24bの長さはSiH であり、右目映像のウィンドウ違反のない領域23dと左目映像のウィンドウ違反のない領域24dの長さはWpx-SiHであるから、
Wva = (Wpx-SiH)×(Ze-Zv)/(Ze-Zp) である。
輻輳虚像のX軸方向の長さ(積極的ウィンドウ違反)Wvb は、右目映像のウィンドウ違反領域23cと左目映像のウィンドウ違反領域24cの長さはSiH であり、右目映像のウィンドウ違反のない領域23dと右目映像のウィンドウ違反のない領域24dの長さはWpx-SiHであから、
Wvb = (Wpx-SiH)×(Ze-Zv)/(Ze-Zp) + SiH×(Ze-Zv)/(Ze-Zp) + SiH×(Ze-Zv)/(Ze-Zp)
= (Wpx+SiH)×(Ze-Zv)/(Ze-Zp) である。
以上から、輻輳虚像のX軸方向の長さ(積極的ウィンドウ違反)Wvb は輻輳虚像のX軸方向の長さ(ウィンドウ違反なし)Wva に比べて、
Wvb-Wva = (Wpx+SiH)×(Ze-Zv)/(Ze-Zp)-(Wpx-SiH)×(Ze-Zv)/(Ze-Zp)
= 2SiH ×(Ze-Zv)/(Ze-Zp)
= 2SiH ×We/(We-Si) だけ大きい。
SiH ≦ We の範囲でSi が大きくなると、Wvb-Wva はさらに大きくなり、積極的にウィンドウ違反の効果は大きいことが分かる。
【実施例0027】
実施例5はModel 43_3である。Model 431、Model 432は表示パネルの継ぎ目8による映像の消失を防ぐために立体視光学系用いるが、Model43_3は。この立体視光学系を用いて視差と輻輳による3D表示を行うものである。
図14はModel 4313の3D表示領域を説明する図である。表示パネルの継ぎ目8はY軸方向、表示パネルの継ぎ目の幅はX軸方向である。
3D表示は右目映像23と左目映像24が必要とするので、少なくともABCDEで示される輻輳虚像空間28でのみ可能である。さらに、輻輳虚像領空間28の中に三つの3D表示が不可能な空間、第1輻輳虚像禁止空間28a、第2輻輳虚像禁止空間28b、第3輻輳虚像禁止空間28cが存在する。
輻輳虚像領空間28は表示パネルの継ぎ目8のない場合に輻輳映像26, 27の生成が可能な空間である。
第1輻輳虚像禁止空間28aは輻輳虚像領空間28の表示パネルの継ぎ目8に対する右目21の視角で区切られた空間であり、右目輻輳虚像26のない空間である。
第2輻輳虚像禁止空間28bは輻輳虚像領空間28の表示パネルの継ぎ目8に対する左目22の視角で区切られた空間であり、左目輻輳虚像27のない空間である。
第1輻輳虚像禁止空間28aと第2輻輳虚像禁止空間28bは、その空間が小さければ、人間の脳は連続した輻輳映像26, 27を再構成することが可能である。
第3輻輳虚像禁止空間28cは表示パネルの継ぎ目8に対する右目21の視角と表示パネルの継ぎ目8に対する左目22の視角で区切られた共通の空間であり、右目輻輳虚像26と左目輻輳虚像27が両方がないので、人間の脳は連続した輻輳映像26,27を再構成することはできない。
従がって、第3輻輳虚像禁止空間28cに輻輳映像26, 27を生成するような右目映像23と左目映像24を生成しないようにする必要がある。
【0028】
Model 4323は、表示パネルの継ぎ目8がX軸方向、表示パネルの継ぎ目の幅はY軸方向であって、第1輻輳虚像禁止空間28a、第2輻輳虚像禁止空間28b、第3輻輳虚像禁止空間28cは存在せず、3D表示は輻輳虚像空間28の全域で可能である。
【実施例0029】
実施例6はModel 43_4であり、段落0018と図7で説明したように、表示制御装置6にはタッチパネル制御装置19が接続され、タッチパネル制御装置19はタッチパネル19aに接続され、タッチパネル入力を可能にするモデルである。
図15はModel 43_4の原理を説明する図である。
Model 4314においては、図15aに示すように、右目映像23の「ABCDE」 と左目映像24の「ABCDE」 はX軸方向に相対的にSiH シフトしている。
Model 4324においては、図15bに示すように、右目映像23の「ABCDE」 と左目映像24の「ABCDE」 はY軸方向に相対的にSiV シフトしている。
視覚に関する人間の脳の三つの特質について説明する。
人間の脳の第1の特質は、Model 43が利用している特質である。右目映像23と左目映像24を同じと仮定して相対的シフトのない映像の再構成を行う。Model431においては、操作者は表示パネル2から離れた位置に生成される輻輳虚像26, 27を視認することになる。Model 432においては、操作者は表示パネル2の位置に生成される相対的シフトのない映像23,24を視認することになり、表示パネルの継ぎ目8による映像の消失を防ぐことができる。
【0030】
人間の脳の第2の特質は、実世界に存在する物体である指やペンを注視することにより人間の脳の第1の特質がなくなることである。
タッチパネル入力時に表示パネル2の表面に位置する指やペンを注視すると、人間の脳は相対的シフトのない映像23, 24の再構成を行ことができず、映像23, 24が二重に視認され、表示パネルの継ぎ目8が視認されてしまう。また、右目映像23と左目映像24が相対的にシフトしているために、タッチパネル入力の位置検出ができない。これが、Model43_4が解決する課題である。
人間の脳の第3の特質は、Model 43が利用する特質である利き目である。人間の脳は右目21と左目22のどちらかを利き目として主に利き目で視認する特質である。右目21が利き目の場合は右目映像23を利き目映像とし、左目22が利き目の場合は左目映像24を利き目映像とする。
映像23, 24が二重に視認されている場合でも利き目映像を主として視認し、操作者がタッチパネル入力を行う時には利き目映像が指やペンによって指示される。
Model 43_4は、タッチパネル入力の位置検出を利き目映像で行うことによりこの課題を解決する。例えば図15aに示すModel 4314において、右目映像23が利き目映像で、操作者は「D」を指で指示しようとする場合、操作者の指は右目映像23の「D」 の上に位置し、右目映像23の「D」 は視認できないが、人間の脳は左目映像24の「D」 を右目映像23の「D」の位置に再構成する。
【実施例0031】
実施例7はModel 43_41であり、Model 43_4の映像23, 24が二重に視認される課題を解決するモデルである。Model 43_4は、タッチパネル入力時に利き目映像のみを表示するタッチパネル入力モードに切換え、映像23,24が二重に視認されることを防止する。
Model 43_41のタッチパネル入力モードにおいてはでは、表示パネルの継ぎ目8が視認されてしまうことは防止できないが、操作者は指やペンを注視しているので、表示パネルの継ぎ目8の視認は許容できる。
タッチパネル入力モードの切換え制御には、タッチパネルに指やペンが触れたことを検出する方式と予めタッチパネルモードへの切換えを行う方式がある。前者の方がタッチパネル入力モードの時間を短くすることができる。
タッチパネル入力モードの表示制御、すなわち利き目映像のみを表示する制御には、右目映像23と左目映像24の双方に利き目映像を表示する方式と右目映像23と左目映像24の内利き目映像でない方の表示を停止する方式がある。
Model 43_2の積極的ウィンドウ違反を行うモデルとの組合せのモデルにおいては、指やペンが触れた領域が映像のウィンドウ違反領域23c, 24cである場合は、利き目映像であるかに係わらず、右目映像のウィンドウ違反領域23cの場合は右目映像23を、左目映像のウィンドウ違反領域24cの場合は左目映像24を表示する。
【0032】
図16はModel 43_41の制御を説明する図である。タッチパネル入力モードの切換え制御はタッチパネルに指やペンが触れたことを検出する方式、タッチパネル入力モードの表示制御は右目映像23と左目映像24の双方に利き目映像を表示する方式の制御について説明する。
第1ステップ(タッチパネル入力モードの開始) : 表示制御装置6は、タッチパネル制御装置19がタッチパネル19aへの入力を検出するとすなわち指やペンが触れたことを検出すると第2ステップに移行する。
第2ステップ(利き目映像の表示) : 表示制御装置6は、記憶装置3から、予め記憶されている利き目映像が右目映像23と左目映像24のいずれであるかを示す情報を読み込み、映像生成装置5を制御して利き目映像を右目映像23と左目映像24として生成し、表示パネル2に右目映像23と左目映像24を表示し、第3ステップに移行する。
第3ステップ(入力位置情報の検出) : 表示制御装置6は、タッチパネル制御装置19を制御してタッチパネル19aへの入力位置情報を検出するとそれを情報端末制御装置20aに伝達し、第4ステップに移行する。
第4ステップ(入力位置情報検出の繰り返し) : 表示制御装置6は、一定時間にタッチパネル制御装置19がタッチパネル19aへの入力を検出しないと第5ステップに移行する。検出すると第3ステップに移行する。
第5ステップ(タッチパネル入力モードの終了) : 表示制御装置6は、映像生成装置5を制御して通常の右目映像23と左目映像24を生成し、表示パネル2に表示し、第1ステップに移行する。
【実施例0033】
実施例8はModel 43_42であり、Model 43_4のGUIボタン25の表示に関するモデルである。
Model 43_42は、映像23, 24の一種であるGUIボタン25を予め右目映像23と左目映像24のどちらか一方にのみ、通常利き目映像に表示することにより、GUIボタン25が二重に視認されることを防止する。GUIボタン25の位置が、右目映像のウィンドウ違反領域23cに位置する場合は、左目映像24は存在しないので右目映像23に表示し、左目映像のウィンドウ違反領域24cに位置する場合は右目映像23は存在しないので左目映像24に表示する。
【実施例0034】
実施例9はModel 43_43であり、Model 43_4の利き目の検出を可能にするモデルである。Model 43_42は利き目検出ボタン25aを表示し、それに対する操作者の操作により利き目を検出するモデルである。
図17はModel 43_43の制御を説明する図である。
第1ステップ(利き目検出制御の開始) : 表示制御装置6は、利き目検出モードが選択されたことを検出すると、第2ステップに移行する。
第2ステップ(利き目検出ボタンの表示) : 表示制御装置6は、映像生成装置5を制御して右目映像23と左目映像24に利き目検出ボタン25aを生成し、表示パネル2にそれを表示する。
第3ステップ(利き目映像の決定) : 表示制御装置6は、操作者が指やペンで指示した利き目検出ボタン25bの映像を利き目映像として決定して記憶装置3に記憶し、第4ステップに移行する。
第4ステップ(制御の終了) : 表示制御装置6は制御を終了する。
【符号の説明】
【0035】
2 表示パネル
3 記憶装置
4 演算装置
5 映像生成装置
6 表示制御装置
8 表示パネルの継目
10 光学式目位置測定装置
10a 目位置センサー(右)
10b 目位置センサー(左)
14 右目偏光フィルター
15 左目偏光フィルター
16 レンチキュラープレート
19 タッチパネル制御装置
19a タッチパネル
20 情報端末装置
30a 情報端末制御装置
21 右目
22 左目
23 右目映像
23a 右目ストライプ映像
23b 右目映像の無映像領域
23c 右目映像のウィンドウ違反領域
23d 右目映像のウィンドウ違反のない領域
23e 右目映像の視認できない領域
23f 左目映像の消失した領域
24 左目映像
24a 左目ストライプ映像
24b 左目映像の無映像領域
24c 左目映像のウィンドウ違反領域
24d 左目映像のウィンドウ違反のない領域
24e 左目映像の視認できない領域
24f 左目映像の消失した領域
25 GUIボタン
25a 利き目検出ボタン
26 右目輻輳虚像
26c 右目輻輳虚像のウィンドウ違反領域
26d 右目輻輳虚像のウィンドウ違反のない領域
26e 右目輻輳虚像の視認できない領域
27 左目輻輳虚像
27c 左目輻輳虚像のウィンドウ違反領域
27d 左目輻輳虚像のウィンドウ違反のない領域
27e 左目輻輳虚像の視認できない領域
28 輻輳虚像空間
28a 第1輻輳虚像禁止空間
28b 第2輻輳虚像禁止空間
28c 第3輻輳虚像禁止空間
Wpx 表示パネルのX軸方向の長さ
Zp 表示パネルのZ軸方向の位置
WoH 表示パネルの継ぎ目のX軸方向の幅
WoV 表示パネルの継ぎ目のY軸方向の幅
Ze 目のZ軸方向の位置
XeR 右目のX軸方向の位置
YeR 右目のY軸方向の位置
ZeR 右目のZ軸方向の位置
XeL 左目のX軸方向の位置
YeL 左目のY軸方向の位置
ZeL 左目のZ軸方向の位置
We 右目と左目のX軸方向の距離
XiR 右目映像のX軸方向の位置
YiR 右目映像のY軸方向の位置
ZiR 右目映像のZ軸方向の位置
XiL 左目映像のX軸方向の位置
YiL 左目映像のY軸方向の位置
ZiL 左目映像のZ軸方向の位置
SiH 右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量
SiV 右目映像と左目映像のY軸方向の相対的シフト量
Zv 輻輳虚像のZ軸方向の位置
Wva 輻輳虚像のX軸方向の長さ(ウィンドウ違反なし)
Wvb 輻輳虚像のX軸方向の長さ(積極的ウィンドウ違反)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17