(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080487
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】表示パネルの継ぎ目が視認されない情報端末装置
(51)【国際特許分類】
H04N 13/128 20180101AFI20220523BHJP
H04N 13/305 20180101ALI20220523BHJP
H04N 13/31 20180101ALI20220523BHJP
G02B 30/22 20200101ALI20220523BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220523BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20220523BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220523BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
H04N13/128
H04N13/305
H04N13/31
G02B30/22
G09F9/00 366A
G09F9/00 313
G09G5/36 510V
G09G5/00 510V
G09G5/00 550C
G09G5/38 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191586
(22)【出願日】2020-11-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】306043688
【氏名又は名称】矢野 隆志
(72)【発明者】
【氏名】矢野 隆志
【テーマコード(参考)】
2H199
5C061
5C182
5G435
【Fターム(参考)】
2H199BA03
2H199BA04
2H199BA08
2H199BA09
2H199BB04
2H199BB09
2H199BB43
5C061AA07
5C061AA08
5C061AB12
5C061AB14
5C061AB18
5C182AA28
5C182AC46
5C182BA01
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA29
5C182BA55
5C182BA65
5C182BB04
5C182BB05
5C182BB17
5C182CB42
5G435AA01
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE14
5G435EE16
5G435GG06
5G435HH02
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】 表示パネルの継ぎ目が視認されない、表示パネルの継ぎ目によって映像の視認が妨げられることのない、表示パネルの折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置を有する情報端末装置を実現すること。
【解決手段】 立体視光学系を用いて、表示パネルの継ぎ目による右目映像の視認できない領域と左目映像の視認できない領域が重複しないように相対的にシフトした右目映像と前記左目映像を生成して表示することにより、表示パネルの継ぎ目を見えなくし、表示パネルの継ぎ目による映像の消失を防ぐことである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折畳み展開、スライド展開、回転展開等によって表示面積を拡張できる表示パネル(2)を有する情報端末装置であって、
前記情報端末装置は、立体視光学系を用いて、表示パネルの継ぎ目(8)による右目映像の視認できない領域(23e)と左目映像の視認できない領域(24e)が重複しないように相対的にシフトした右目映像(23)と左目映像(24)を生成して表示することにより、前記表示パネルの継ぎ目(8)の視認を防ぎ、前記表示パネルの継ぎ目(8)による映像の消失を防ぐこと、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項2】
請求項1の情報端末装置において、
前記表示パネル(2)の左右方向の座標軸をX軸、上下方向の座標軸をY軸、前後方向(奥行方向)の座標軸をZ軸として、
前記表示パネル(2)はX軸方向に拡張できること、
前記情報端末装置は、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH を表示パネルの継ぎ目のX軸方向の幅WoH より大きくした前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示すること、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項3】
請求項1の情報端末装置において、
前記表示パネル(2)の左右方向の座標軸をX軸、上下方向の座標軸をY軸、前後方向(奥行方向)の座標軸をZ軸として、
前記表示パネル(2)はY軸方向に拡張できること、
前記情報端末装置は、右目映像と左目映像のY軸方向の相対的シフト量SiV を表示パネルの継ぎ目のY軸方向の幅WoV より大きくした前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示すること、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項4】
請求項2または3の情報端末装置において、
前記情報端末装置は、右目位置と左目位置を測定する目位置測定装置(10)を有し、前記表示パネル(2)はレンチキュラー光学系、パララックスバリア(イメージスプリッター)光学系等のストライプ映像を表示する立体視光学系を用いた表示パネルであること、
前記情報端末装置は、前記目位置測定装置(10)を制御して前記右目位置と前記左目位置を測定すること、
前記右目位置と前記左目位置の情報、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH の情報と右目映像と左目映像のY軸方向の相対的のシフト量SiV の情報のいずれかの情報または双方の情報、前記立体視光学系の情報、前記表示パネル(2)の表示画素の配置の情報に基づき、前記立体視光学系を介して、右目(21)で前記右目映像(23)が、左目(22)で前記左目映像(24)が正しく視認されるように、前記右目映像(23)と前記左目映像(24)をストライプ状に分解して右目ストライプ映像(23a)と左目ストライプ映像(24a)に再構成して表示すること、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項5】
請求項2ないし4の情報端末装置において、
前記情報端末装置は、右目映像と左目映像のx軸方向の相対的シフト量SiH を右目と左目のX軸方向の距離We と等しいかより小さい範囲、かつ表示パネルのX軸方向の長さWpxと等しいかより小さい範囲で必要に応じて大きくして、前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示すること、
前記右目映像(23)は、右目映像のみが存在する右目映像のウィンドウ違反領域(23c)と右目映像と左目映像の双方が存在する右目映像のウィンドウ違反のない領域(23d)からなり、
前記左目映像(24)は、左目映像のみが存在する左目映像のウィンドウ違反領域(24c)と右目映像と左目映像の双方が存在する左目映像のウィンドウ違反のない領域(24d)からなること、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項6】
請求項2ないし5の情報端末装置において、
前記情報端末装置は、前記表示パネルの継ぎ目(8)の視認の防止と前記表示パネルの継ぎ目(8)による映像の消失の防止のための立体視光学系用いて立体視が可能な前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示すること、
前記パネルの継ぎ目(8)に対する右目(21)の視角である第1輻輳虚像禁止空間(28a)と前記表示パネルの継ぎ目(8)に対する左目(22)の視角である第2輻輳虚像禁止空間(28b)で区切られた共通の空間である第3輻輳虚像禁止空間(28c)に輻輳映像(26,27)を生成しない前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示すること、
を特徴とする情報端末装置。
【請求項7】
請求項2ないし5の情報端末装置において、
操作者が右目(21)と左目(22)で主に視認に用いる方を利き目とし、前記右目映像(23)と前記左目映像(24)の内利き目に対応した方を利き目映像とすること、
前記情報端末装置は、さらに、タッチパネル(19a)が装着された表示パネル(2)を有すること、
操作者がタッチパネル入力を行う時に、タッチパネル入力の位置検出を前記利き目映像で行うこと、
を特徴とする情報端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
表示パネルの折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置を有する情報端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置を有する情報端末装置について、最も開発が進められているのは折畳み展開方式であり、四つの折畳み展開方式がある。
第1の方式は突合せ表示パネル方式であり、 細いベゼルの二枚の表示パネルを展開時に付き合わせることにより表示パネルの継ぎ目を見えにくくする。実用性が高いが継ぎ目を完全になくすことができない。(特許文献1(シャープ)、特許文献2(シャープ))
第2の方式は曲率半径の大きな山折り表示パネル方式であり、展開時の継ぎ目はないが、折畳み時に表示パネルの保護が困難である課題がある。(特許文献3(ファーウェイ)、WO2018090888、Huawei社Mate X)
第3の方式は曲率半径の大きな谷折り表示パネル方式であり、展開時の継ぎ目はないが、折畳み時に表示パネルを収納するスペースのため筐体の厚みが大きくなる課題がある。(ZTE社Axon M、Samsung社 Galaxy Z Flip)
第4の方式は曲率半径の小さな谷折り表示パネル方式であり、展開時も折畳み時も他方式のような課題はないが表示パネルの耐久性の課題がある。(US9612621、Samsung社Galaxy Fold)
【0003】
本発明が用いる立体視技術について説明する。
本発明は、レンチキュラー光学系方式、パララックスバリア(イメージスプリッター)光学系方式、液晶シャッター (めがね) 方式、偏光フィルター (めがね) 方式等の立体視技術を用いることができる。
表示パネルの継ぎ目が上下方向の場合および、積極的にウィンドウ違反を行うの場合、表示パネルの継ぎ目による視認阻害部分が重複しないように左右方向に相対的にシフトした右目映像と左目映像を生成して表示し、操作者は表示パネル面から離れた位置に生成される輻輳虚像を視認することができる。右目映像と左目映像は同じ映像であり、両目視差は不要であり、下記の二つの特徴を有する。
1) 両目視差はないのでパナムの融合領域(Panum’s fusion area)の制限は受けない。(視差と輻輳による3D表示を行うモデルを除く)
2) 右目映像と左目映像は同じ映像なのでウィンドウ違反の制限を受けない。(視差と輻輳による3D表示を行うモデルを除く)
【0004】
人間は目ではなく脳で視覚している。右目で視認され右目映像と左目で視認された左目映像は異なる映像であっても、脳はそれらが同じだとの仮定で映像の再構成を行うことがある。
表示パネルの継ぎ目が上下方向の場合、表示パネルの継ぎ目による視認阻害部分が重複しないように左右方向に相対的にシフトした右目映像と左目映像を生成して表示すると、操作者の脳は右目映像と左目映像を同じと仮定して左右方向の相対的シフトのない映像の再構成を行い、操作者は表示パネル面から離れた位置に生成される輻輳虚像を視認することになる。
表示パネルの継ぎ目が左右方向の場合、表示パネルの継ぎ目による視認阻害部分が重複しないように上下方向に相対的にシフトした右目映像と左目映像を生成して表示すると、操作者の脳は右目映像と左目映像を同じと仮定して上下方向の相対的シフトのない映像の再構成を行う。
【0005】
特許文献1の技術が解決しようとする課題は「要約」によると、「折畳み式携帯端末の第1及び第2の筐体の開閉途中において、表示装置の表面を連続させながら、開閉操作をスムーズに行う。」である。
【0006】
特許文献1の技術の解決手段について説明する。
「要約」によると、「第1の表示装置2を有する第1の筐体3と、第2の表示装置4を有する第2の筐体5とを、ヒンジ部6を中心に折畳み開閉可能に接続する。このヒンジ部6により、第1の筐体3と第2の筐体5とを開閉する際に、側面視で、第1固定プレート7の表面側角部7a(第1の表示装置2の表面側角部)と、第2固定プレート8の表面側角部8a(第2の表示装置4の表面側角部)とを、互いに当接した状態でヒンジ部6に対して直線状の軌跡で移動させる。」である。
請求項1によると、「第1の表示装置を有する第1の筐体と、第2の表示装置を有する第2の筐体とが、ヒンジ部を中心に折畳み開閉可能に接続された折畳み式携帯端末において、上記ヒンジ部は、上記第1の筐体と第2の筐体とを開閉する際に、側面視で、上記第1の表示装置の表面側角部と、上記第2の表示装置の表面側角部とが、互いに当接した状態で該ヒンジ部に対して直線状の軌跡で移動するように、該第1の筐体と第2の筐体とを接続している」である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-119830 (シャープ)
【特許文献2】特開2011-119831 (シャープ)
【特許文献3】特開2019-506651 (ファーウェイ)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、表示パネルの継ぎ目が視認されない、表示パネルの継ぎ目によって映像の視認が妨げられることのない、表示パネルの折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置を有する情報端末装置を実現することである。
【0009】
特許文献1と本発明の解決しようとする課題の差異について説明する。
特許文献1の解決しようとする課題は、表示パネルの継ぎ目によって映像の視認が妨げられることは解決できないとして、表示パネルの折畳み展開の過程(開閉途中)の継ぎ目が大きくならないようにすることである。
本発明の解決しようとする課題は、表示パネルの折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置の表示パネルの継ぎ目を小さくすることでも無くすことでもない。表示パネルの継ぎ目を見えなくし、表示パネルの継ぎ目による映像の消失を防ぐことである。
すなわち、特許文献1と本発明は解決しようとする課題が異なる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決手段は、表示パネルの折畳み展開、スライド、回転等によって表示面積を拡張できる表示装置を有する情報端末装置のための、立体視光学系を用いて、表示パネルの継ぎ目による視認阻害部分が重複しない右目映像と左目映像を生成して表示することにより、表示パネルの継ぎ目を見えなくし、表示パネルの継ぎ目による映像の消失を防ぐことである。
表示パネルの継ぎ目が上下方向の場合は右目映像と左目映像の左右方向の相対的シフト量を継ぎ目の幅より大きくし、(Model 431) 左右方向の場合は右目映像と左目映像の上下方向の相対的シフト量を継ぎ目の幅より大きくする。(Model432)
【0011】
特許文献1と本発明の解決手段の差異について説明する。
特許文献1の解決手段は機構学的なものであり、本発明の解決手段は光学てきなものである。すなわち、特許文献1と本発明は解決手段が異なる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の効果は、表示パネルの継ぎ目を見えなくし、表示パネルの継ぎ目による映像の消失がない表示装置を有する情報端末装置を実現したことである。(Model43)
第2の効果は、表示パネルの継ぎ目が上下方向と左右方向のどちらでも継ぎ目による映像の消失がない表示装置を有する情報端末装置を実現したことである。(Model431, Model 432)
第3の効果は、積極的にウィンドウ違反を行うことにより、表示パネルよりも大きな映像の表示が可能な表示装置を有する情報端末装置を実現したことである。(Model43_2)
第4の効果は、立体視光学系を用いるので、立体表示情報端末装置、AR情報端末装置としての展開が可能な表示装置を有する情報端末装置を実現したことである。(Model43_3)
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】Model 43, Model 431の原理を示す図である。
【
図2】Model 43の表示パネル展開方式の概要(1)を説明する図である。
【
図3】Model 43の表示パネル展開方式の概要(2)を説明する図である。
【
図4】Model 43の偏光フィルター(眼鏡)方式の構成を説明する図である。
【
図5】Model 43のレンチキュラー光学系方式の構成を説明する図である。
【
図6】Model 43のモデル一覧を示す図である。
【
図7】Model 43の各モデルに対応したシステムの構成を説明する図である。
【
図8】Model 432の原理を説明する図である。
【
図9】Model 4311, Model 4321の制御の概要を説明する図である。
【
図10】Model 4311の第3ステップ、第4ステップの制御を説明する図である。
【
図11】Model 4321の第3ステップ、第4ステップの制御を説明する図である。
【
図12】Model 43_2の原理と効果(ウィンドウ違反なし)を説明する図である。
【
図13】Model 43_2の原理と効果(積極的ウィンドウ違反)を説明する図である。
【
図14】Model 43_3の3D表示領域を説明する図である。
【
図15】Model 43_4の原理を説明する図である。
【
図16】Model 43_41の制御を説明する図である。
【
図17】Model 43_43の制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
Model 43は、表示パネル2の、折畳み展開、スライド展開、回転展開、接続展開等によって表示面積を拡張できる情報端末装置20であって、立体視光学系を用いて、表示パネルの継ぎ目8による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複しない右目映像23と左目映像24を生成して表示することにより、表示パネルの継ぎ目8による映像が視認できなくなるのを防ぐことができる。
図1は本発明の情報端末装置Model 43の原理を説明する図である。
Model 43は、立体視光学系を用い、表示パネルの継ぎ目8による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複しないように、表示パネル2上で右目映像23と左目映像24を相対的にシフトして表示することにより、表示パネルの継目8による映像の消失を防ぐことが可能な情報端末装置2である。
表示パネル2の左右方向の座標軸をX軸、上下方向の座標軸をY軸、前後方向(奥行方向)の座標軸をZ軸とし、操作者の目のZ軸方向の位置をZe、右目のZ軸方向の位置をZeR、左目のZ軸方向の位置をZeL、右目と左目のX軸方向の距離をWe、表示パネルのZ軸方向の位置をZp、表示パネルの継ぎ目のX軸方向の幅をWoHとし、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量をSiH とする。
SiH>WoH であれば、表示パネルの継ぎ目8による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複せず、映像の消失を防ぐことが可能である。
右目映像23と左目映像24はX軸方向にSiH だけシフトしていて同一の映像ではないが、人間の脳は右目映像23と左目映像24を同じと仮定してX軸方向の相対的シフトのない映像の再構成を行い、操作者は表示パネル2から離れた位置に生成される輻輳虚像26,27を視認することになる。右目輻輳虚像の視認できない領域26eと左目輻輳虚像の視認できない領域27eは重複しない。
【0015】
図2と
図3はModel 43の表示パネル展開方式の概要を説明する図である。
図2aは左右方向折畳み展開方式であり、表示面積はX軸方向に拡張され、表示パネルの継ぎ目8はY軸方向である。
図2bは上下方向折畳み展開方式であり、表示面積はY軸方向に拡張され、表示パネルの継ぎ目8はX軸方向である。
図3cは左右方向接続展開方式であり、表示面積はX軸方向に拡張され、表示パネルの継ぎ目8はY軸方向である。
【0016】
立体視光学系としては液晶シャツター(眼鏡)方式、偏光フィルター(眼鏡)方式方式、レンチキュラー (イメージスプリッター) 光学系方式がある。
液晶シャツター(眼鏡)方式は、眼鏡の左右の液晶シャッターに同期して右目映像23と左目映像24を交互に表示パネル2に表示する方式である。右目映像23は右目21によってのみ視認され、左目映像24は左目22によってのみ視認される。
図4は偏光フィルター(眼鏡)方式の構成を説明する図(XZ平面の平面図)である。眼鏡は右目偏光フィルター14と左目偏光フィルター15を有し、表示パネル2の表面にはストライプ状の右目偏光フィルター14と左目偏光フィルター15が交互に配置される。右目映像23と左目映像24をストライプ状に分割し、右目映像23を右目偏光フィルター14配置部に、左目映像24を左目偏光フィルター15配置部に表示する。右目映像23は表示パネル2の右目偏光フィルター14と眼鏡の右目偏光フィルター14を通過してと右目21によってのみ視認され、左目映像24,24cは表示パネル2の左目偏光フィルター15と眼鏡の左目偏光フィルター15を通過して左目22によってのみ視認される。
【0017】
図5はレンチキュラー光学系方式の構成を説明する図(XZ平面の平面図)である。表示パネル2の表面にはレンチキュラープレート16が貼られている。
右目映像23と左目映像24を右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aに分割し、レンチキュラープレート16を介してそれぞれ右目21と左目22で視認される位置に生成し、レンチキュラープレート16によって、右目ストライプ映像23aは右目21によってのみ視認され、左目ストライプ映像24aは左目22によってのみ視認される。
表示パネル2のX軸方向の中心位置では
図5aに示すように、右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aをレンチキュラープレート16のシリンドリカルレンズに対して左右対称位置に生成する。また、表示パネル2のX軸方向の中心から離れた位置では
図5bに示すように、右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aをレンチキュラープレート16のシリンドリカルレンズに対してオフセットした位置に生成する。パララックスバリア(イメージスプリッター)光学系方式でも同様に実現できる。
【0018】
図6はModel 43のモデル一覧を示す図である。
Model 431とModel 432は、表示パネルの継ぎ目8の方向に関するモデルである。
Model 431は、左右方向展開方式のモデルである。継ぎ目の幅はX軸方向で、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH を表示パネルの継ぎ目のX軸方向の幅WoHより大きくする。
Model 432は、上下方向展開方式のモデルである。継ぎ目の幅はY軸方向で、右目映像と左目映像のY軸方向の相対的シフト量SiV を表示パネルの継ぎ目のY軸方向の幅WoVより大きくする。
Model 43_1からModel 43_4はModel 431とModel 432の機能追加モデルである。
Model 43_1は、特にレンチキュラー(イメージスプリッター)光学系方式のための、右目位置(XeR, YeR, ZeR) と左目位置(XeL, YeL,ZeL) を測定して、右目位置(XeR, YeR, ZeR) から正しく視認される右目映像23と左目位置(XeL, YeL, ZeL) から正しく視認される左目映像24を生成するモデルである。
Model 43_2は、積極的にウィンドウ違反を行うモデルである。右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH を右目と左目のX軸方向の距離We より小さい範囲で大きくする。
Model 43_3は、表示パネルの継ぎ目8による映像の消失を防ぐ目的の立体視光学系用いて、視差と輻輳による3D表示を行うモデルである。
Model 43_4は、タッチパネル19aを装着した表示パネル2を有し、利き目映像の情報に対応したタッチパネル入力を行うモデルである。ウィンドウ違反領域ではウィンドウ違反映像を優先する。
Model 43_41、Model 43_42、Model 43_43はModel 43_4の機能追加モデルである。
Model 43_41は、タッチパネル入力時に利き目映像のみを表示するように表示の切換えを行うモデルである。
Model 43_42は、利き目映像にのみGUIボタン25を表示するモデルである。ウィンドウ違反領域ではウィンドウ違反映像にGUIボタン25を表示する。
Model 43_43は、利き目検出ボタン25aを表示して利き目検出を行う利き目検出モードを有するモデルである。
【0019】
図7はModel 43の各モデルに対応したシステムの構成を説明する図である。
情報端末装置20は全体の制御を行う情報端末制御装置20aと表示の制御を行う表示制御装置6を有し、表示制御装置6には、記憶装置3、演算装置4、画像生成装置5、光学式目位置測定装置10、タッチパネル制御装置19が接続される。
画像生成装置5は表示パネル2に接続され、光学式目位置測定装置10は目位置センサー(右)10aと目位置センサー(左)10bに接続される。
タッチパネル制御装置19は表示パネル2に設けられたタッチパネル19aに接続される。
【実施例0020】
実施例1はModel 431であり、左右方向展開方式のモデルであり、表示面積はX軸方向に拡張され、表示パネルの継ぎ目8はY軸方向であり、表示パネルの継ぎ目の幅WoHはX軸方向である。
Model 431の表示パネルの継目8による映像の消失を防ぐ原理について段落0013よりも詳細に説明する。
図1aは操作者の右目21、左目22、表示パネル2、表示パネルの継目8の位置関係を示す立体図であり、
図1bは同じく位置関係を示すXZ平面の平面図である。
右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量SiH を、右目と左目のX軸方向の距離We より小さい範囲、表示パネルのX軸方向の長さWpx より小さい範囲で、表示パネルの継ぎ目のX軸方向の幅WoHより大きくした右目映像23と左目映像24を生成して表示すると、表示パネルの継ぎ目8による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複せず、全ての元の映像は右目映像23または左目映像24が視認され、表示パネルの継ぎ目8による映像の消失を防ぐことができる。
WoH = 2 mm We = 62.5 mm Wpx = 80mm とすると
62.5mm > SiH > 2mm となる。
操作者の脳は、X軸方向にシフトした右目映像23と左目映像24を同じものと仮定して映像の再構成を行い、表示パネル2から離れた位置に輻輳虚像26, 27を視認することになる。輻輳虚像26,27は右目輻輳虚像の視認できない領域26eと左目輻輳虚像の視認できない領域27eは重複しないので、操作者は、表示パネルの継ぎ目8による消失のない輻輳虚像26,27を視認することになる。