(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080516
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】ウエブ処理機
(51)【国際特許分類】
B65H 18/26 20060101AFI20220523BHJP
【FI】
B65H18/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191638
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000151667
【氏名又は名称】株式会社東伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】岩田 哲
(72)【発明者】
【氏名】栗塚 隆臣
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 崇
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 祐治
【テーマコード(参考)】
3F055
【Fターム(参考)】
3F055AA01
3F055AA05
3F055AA10
3F055CA01
3F055EA01
3F055EA04
3F055EA15
3F055FA05
(57)【要約】
【課題】装置をコンパクトにする。
【解決手段】スリッターやリワインダーなどのウエブ処理機10には、巻き取り部20に巻取調整ローラ36が設けられている。巻取調整ローラ36は、ウエブ12が巻かれて形成される処理済ロール16に近接または接触するように配置されて、処理済ロール16へ向かうウエブ12が巻き掛けられている。巻取調整ローラ36は、上下方向へ直線的に移動するように構成されており、処理済ロール16の巻径の変化に合わせて移動して、処理済ロール16に巻き込む空気量を調節するようになっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエブが巻かれて形成されるロールに近接または接触するように配置され、前記ロールへ向かう前記ウエブが巻き掛けられる調整ローラを備え、
前記調整ローラが、上下方向へ直線的に移動するように構成されている
ことを特徴とするウエブ処理機。
【請求項2】
前記調整ローラは、ウエブ流れ方向上流側にある直前の本体ローラよりもウエブ処理機内側にずれた位置に配置されている請求項1記載のウエブ処理機。
【請求項3】
前記調整ローラを支持する一対のフレームと、
前記一対のフレームに支持され、駆動手段によって回転する回転軸と、
前記回転軸に離して設けられた一対のピニオンと、
前記一対のピニオンのそれぞれに対応して設けられ、該ピニオンと噛み合うラックと、を備えている請求項1または2記載のウエブ処理機。
【請求項4】
前記調整ローラを前記ロールに近接するように支持するフレームに、前記ロールに接するタッチローラが該フレームに対して揺動可能に設けられ、
前記調整ローラと前記タッチローラとがユニット化されている請求項1~3の何れか一項に記載のウエブ処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウエブを巻き取ってロールを形成可能なウエブ処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウエブを巻き取ってロールを形成する巻き取り装置は、ロールの直前に配置された近接ローラまたはロールに接するように設置された接触ローラによって、ロールに巻き込まれる空気を制限し、スリップや型崩れが生じることを防止している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の装置は、上端を軸支して垂下する揺動アームの下端に近接ローラ(接触ローラ)を設け、揺動アームに連結したエアシリンダによって揺動アームを揺動させることで、ロールの巻径の増大につれて近接ローラ(接触ローラ)をロールから離れるようにスイング移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置は、近接ローラ(接触ローラ)を支持する揺動アームが前後方向へスイングするスペースや、揺動アームを動かすエアシリンダを設置するスペースなどが必要である。このように、近接ローラ(接触ローラ)に関連する機構が場所をとることで、装置自体の大型化に繋がっている。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、コンパクトなウエブ処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明のウエブ処理機は、
ウエブが巻かれて形成されるロールに近接または接触するように配置され、前記ロールへ向かう前記ウエブが巻き掛けられる調整ローラを備え、
前記調整ローラが、上下方向へ直線的に移動するように構成されていることを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、調整ローラを直線的に上下移動するように構成することで、調整ローラを支持するための機構および該機構が移動するためのスペースを小さくすることができる。これにより、ウエブ処理機をコンパクトにすることができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記調整ローラは、ウエブ流れ方向上流側にある直前の本体ローラよりもウエブ処理機内側にずれた位置に配置されていることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、調整ローラが直線的に上下移動する構成であることで、調整ローラが直前の本体ローラに対してウエブ処理機内外方向の位置が変化せず、調整ローラに対するウエブの巻き角を確保し易くできる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記調整ローラを支持する一対のフレームと、
前記一対のフレームに支持され、駆動手段によって回転する回転軸と、
前記回転軸に離して設けられた一対のピニオンと、
前記一対のピニオンのそれぞれに対応して設けられ、該ピニオンと噛み合うラックと、を備えていることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、一対のラックアンドピニオン機構によって、調整ローラを安定して上下方向へ直線的に移動させることができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記調整ローラを前記ロールに近接するように支持するフレームに、前記ロールに接するタッチローラが該フレームに対して揺動可能に設けられ、
前記調整ローラと前記タッチローラとがユニット化されていることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、調整ローラとタッチローラとをユニット化することで、部品点数を減らすことができると共に、タッチローラを支持するための機構を小型化することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るウエブ処理機によれば、コンパクトにできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係るリワインダーを示す概略側面図である。
【
図2】実施例のリワインダーを巻き取り部側から示す正面図である。
【
図3】実施例のダンサーローラユニットを示す平面図である。
【
図4】実施例のダンサーローラユニットを示す正面図である。
【
図5】(a)は
図3のA矢視図であり、(b)は
図3のB矢視図である。
【
図7】実施例の巻き取り部の要部を示す概略斜視図である。
【
図8】実施例の巻き取り部の要部を示す正面図である。
【
図9】実施例の巻き取り部の要部を示す平面図である。
【
図10】実施例の巻き取り部の要部を示す側面図であり、(a)は巻取調整ローラが上側にあり、(b)は巻取調整ローラが下側にある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係るウエブ処理機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【0013】
ウエブに所定の処理を施すウエブ処理機としては、ウエブを必要な幅にカットしてロール状に巻き取る加工を行うスリッターや、加工ラインにおいて一旦巻き取ったウエブを仕上げ加工や2次加工や検査などの処理をした後に再び巻き取るリワインダーなどが挙げられる。以下の実施形態では、リワインダーを例示して説明する。また、ウエブとしては、合成樹脂からなるフィルム、ペーパー、アルミニウムなどの金属箔等を挙げることができ、ウエブを巻芯に巻き掛けたロール状物をロールという。そして、特に区別する場合は、ウエブが繰り出される処理前のロールを「原反ロール」といい、所定処理後のウエブを巻き取って形成されるロールを「処理済ロール」という。
【実施例0014】
(リワインダーの概要)
図1に示すように、実施形態に係るリワインダー(ウエブ処理機)10は、原反ロール14を支持する繰り出し部18と、繰り出し部18から繰り出されたウエブ12を巻き取って処理済ロール16とする巻き取り部20とを備えている。リワインダー10には、繰り出し部18と巻き取り部20との間に設置された複数の本体ローラRによって、ウエブ12が繰り出し部18から巻き取り部20に向かって走行するパスラインが構成されている。実施例のリワインダー10は、パスラインの途中に設けられて、図示しないカメラ等によってウエブに施された印刷の不備などを所定の検査を行う第1処理部22と、パスラインにおける第1処理部22よりもウエブ流れ方向下流側に設けられ、目視によって所定の検査を行う第2処理部24とを備えている。実施例のリワインダー10は、繰り出し部18に支持された原反ロール14から繰り出されたウエブ12を、パスラインの途中の第1処理部22および第2処理部24でそれぞれ検査を行った後に、巻き取り部20で巻芯13に巻き取って、処理済ロール16を得るように構成されている。
【0015】
図1に示すように、リワインダー10には、パスラインの一部を構成するダンサーローラ30,32が設けられている。リワインダー10は、ダンサーローラ30,32がウエブ12の張力に応じて往復移動することで、原反ロール14および/または処理済ロール16の巻径の大小にかかわらずにウエブ12を一定の張力に保ったり、ウエブ12の急激なテンション変動を吸収したりするなどができるようになっている。
【0016】
図1に示すように、リワインダー10は、巻き取り部20において、巻取軸26に保持された巻芯13に巻き取るウエブ12を整える巻取調整ローラ(調整ローラ)36を備えている。実施例のリワインダー10において、巻取調整ローラ36がパスラインの一部を構成している。また、リワインダー10は、繰り出し部18において、繰出軸に保持された原反ロール14から引き出されるウエブ12を整える繰出調整ローラ(調整ローラ)40を備えている。実施例のリワインダー10において、繰出調整ローラ40がパスラインの一部を構成している。
【0017】
以下の説明では、リワインダー10において、繰り出し部18が設けられる側を前側とし、巻き取り部20が設けられる側を後側として、前後方向を指称する。従って、実施形態では、繰り出し部18において該繰り出し部18に作業員がアクセスする正面側が、リワインダー10の前面であり、巻き取り部20において該巻き取り部20に作業員がアクセスする正面側が、リワインダー10の後面である。また、リワインダー10では、前後方向と交差する水平方向を左右方向といい、左右方向が巻芯13の軸方向になるように原反ロール14および処理済ロール16が支持されて、ウエブ12の幅方向が左右方向になっている。そして、繰り出し部18からパスラインを経て巻き取り部20に向かうウエブ12の走行方向を、ウエブ12の流れ方向といい、
図1に示すように、ウエブ12の流れ方向は本体ローラRや調整ローラ36,40やダンサーローラ30,32等に案内されて向きが変化する。
【0018】
(ダンサーローラ)
図3~
図6を主に参照して、ダンサーローラ30,32について説明する。
【0019】
図1に示すように、実施例のリワインダー10は、繰り出し部18および第1処理部22の間に設けられた第1ダンサーローラ30を備えている。第1ダンサーローラ30は、直線的に往復移動可能に構成されて、繰り出し部18に保持された原反ロール14から引き出されたウエブ12の張力を調節している。ここで、実施例の第1ダンサーローラ30は、前後方向へ直線的に往復移動するようになっている。また、実施例のリワインダー10は、第2処理部24および巻き取り部20の間に設けられた第2ダンサーローラ32を備えている。第2ダンサーローラ32は、直線的に往復移動可能に構成されて、巻き取り部20に保持された処理済ロール16へ向かうウエブ12の張力を調節している。ここで、実施例の第2ダンサーローラ32は、前後方向へ直線的に往復移動するようになっている。第1ダンサーローラ30と、第1ダンサーローラ30の流れ方向下流側に設けられた第2ダンサーローラ32とが、互いに独立して往復移動可能である。なお、実施例では、第1ダンサーローラ30および第2ダンサーローラ32が1つのダンサーローラユニット28として構成されている。
【0020】
図3に示すように、第1ダンサーローラ30は、左右に離して配置された一対の第1支持フレーム(第1フレーム)42,42の間に回転可能に支持されている。また、第2ダンサーローラ32は、左右に離して配置された一対の第2支持フレーム(第2フレーム)44,44の間に回転可能に支持されている(
図3および
図4参照)。左右の第1支持フレーム42,42のそれぞれは、本体フレームFに取り付けられた棒状の支持部46に往復移動可能に支持されている。同様に、左右の第2支持フレーム44,44のそれぞれは、本体フレームFに取り付けられた棒状の支持部46に往復移動可能に支持されている。このように、第1ダンサーローラ30を往復移動可能に支持する左右の支持部46,46に、第2ダンサーローラ32が往復移動可能に支持されている(
図3および
図5参照)。
【0021】
図3に示すように、左右の第1支持フレーム42,42のそれぞれに、第1ピニオン48が設けられ、左右の第1ピニオン48,48が第1連係軸で繋がっている。また、左右の第2支持フレーム44,44のそれぞれに、第2ピニオン52が設けられ、左右の第2ピニオン52,52が第2連係軸54で繋がっている(
図3および
図4参照)。第1ピニオン48および第2ピニオン52は、本体フレームFに取り付けられたラック56に噛み合っている。このように、第1ダンサーローラ30は、左右の第1ピニオン48,48が左右のラック56,56に噛み合って、平行状態を保ったまま往復移動するように構成されている。同様に、第2ダンサーローラ32は、左右の第2ピニオン52,52が左右のラック56,56に噛み合って、平行状態を保ったまま往復移動するように構成されている。
【0022】
図3に示すように、第1ダンサーローラ30は、第1連係軸50に連結する駆動手段としての第1シリンダ58によって往復移動が制御される。第1ダンサーローラ30は、比較的後方(巻き取り部20側)に位置するほどウエブ12を張ることができ、反対に比較的前方(繰り出し部18側)に位置するほどウエブ12を緩めることができる(
図6参照)。また、第2ダンサーローラ30は、第2連係軸54に連結する駆動手段としての第2シリンダ60によって往復移動が制御される。第2ダンサーローラ32は、比較的前方(繰り出し部18側)に位置するほどウエブ12を張ることができ、反対に比較的後方(巻き取り部20側)に位置するほどウエブ12を緩めることができる(
図6参照)。
【0023】
このように、ダンサーローラ30,32が直線的に往復移動するように構成することで、アームの先端に設けたダンサーローラを振り子状に揺動させる従来構成と比べて、アームの揺動に要する分のスペースや、アームを揺動させるための駆動部分に要するスペースを減らすことができる。従って、リワインダー10をコンパクトにすることができる。また、ダンサーローラ30,32が直線的に往復移動する構成であると、ダンサーローラ30,32によるウエブ12の張力調節を行い易くなり、例えばウエブ12の急加速時であってもダンサーローラ30,32を円滑に追従させてウエブ12の暴走を防止することができる。更に、シリンダ58,60によってダンサーローラ30,32の移動を制御する場合、ダンサーローラ30,32が直線的に往復移動する構成であると、制御が簡易になり、ウエブ12に対して円滑かつ精密な張力制御を行うことができる。
【0024】
リワインダー10は、第1ダンサーローラ30と、第1ダンサーローラ30の流れ方向下流側に設けられた第2ダンサーローラ32とを備えている。そして、第1ダンサーローラ30と第2ダンサーローラ32とが互いに独立して往復移動可能であるので、ウエブ12に対して円滑かつ精密な張力制御を行うことができる。実施例のリワインダー10では、繰り出し部18の原反ロール14から繰り出されたウエブ12を、処理部22,24に至る前に第1ダンサーローラ30によって適度に張ることができ、処理部22,24における検査等の処理を行い易くすることができる。また、リワインダー10では、処理部22,24での処理を終えたウエブ12を、巻き取り部20に至る前に第2ダンサーローラ32によって適度に張ることができ、巻き取り部20におけるウエブ12のきれいな巻き取りに寄与することができる。特に、第1ダンサーローラ30と第2ダンサーローラ32とを水平(往復移動方向)に並べて配置しているので、装置をコンパクトにできる。
【0025】
前述したように、第1ダンサーローラ30および第2ダンサーローラ32を、共通する支持部46によって支持する構成とすることで、部品点数を減らすことができると共に、ダンサーローラユニット28に要するスペースをよりコンパクトにすることができる。
【0026】
第1ダンサーローラ30を支持する第1支持フレーム42に設けられた第1ピニオン48と、第2ダンサーローラ32を支持する第2支持フレーム44に設けられた第2ピニオン52とが、共通するラック56に噛み合っている。このような構成とすることで、部品点数を減らすことができると共に、ダンサーローラユニット28に要するスペースをよりコンパクトにすることができる。
【0027】
(調整ローラ)
次に、
図7~
図10を主に参照して、巻き取り部20におけるウエブ12の巻き取り時に巻き込まれる空気量を制限することで、処理済ロール16を整える巻取調整ローラ36について説明する。なお、実施例の調整ローラ36は、処理済ロール16(巻芯13)の近くに処理済ロール16に巻かれたウエブ12に接触しないように配置されて、ウエブ12を処理済ロール16(巻芯13)の直前で案内する、近接ローラやニアローラとも呼ばれるものである。
【0028】
図2に示すように、巻取調整ローラ36は、ウエブ12を巻取軸26に支持された巻芯13に巻き取って処理済ロール16を形成する巻き取り部20に設けられている。巻取調整ローラ36は、上下方向へ直線的に移動するように構成されている(
図1参照)。巻取調整ローラ36は、巻取軸26に支持された巻芯13の直上または巻芯13の上側において巻芯13からウエブ処理機10内側(前側)にずれた位置(実施例)に配置されている(
図10参照)。実施例の巻取調整ローラ36は、巻取軸26に支持された巻芯13に近接する下側位置(
図10(b)参照)から、巻芯13にウエブ12が巻き取られて処理済ロール16の巻径が増大するにつれて上側へ直線的に移動するようになっている(
図10(a)参照)。なお、巻取調整ローラ36は、巻径の演算や図示しないセンサによる巻径の検知などに基づいて移動が制御される。
【0029】
図7~
図9に示すように、巻取調整ローラ36は、左右方向に離して配置された一対のユニットフレーム62,62の間に配置され、左右方向に延びる軸周りに回転可能である。左右のユニットフレーム62,62は、左右に離して配置されて上下方向に延びる一対のユニットステー64,64にそれぞれ支持されている。また、左右のユニットフレーム62,62には、駆動手段としてのモータ66に回転される回転軸68が架け渡されている。回転軸68には、左右方向に離間配置した一対のユニットピニオン70,70が、各ユニットフレーム62の左右方向外側にそれぞれ位置するように設けられている。そして、各ユニットピニオン70は、左右方向に離して配置されて上下方向に延びる一対のユニットラック72にそれぞれ噛み合っている。モータ66によって回転軸68が回転されることで、回転するユニットピニオン70とユニットラック72との噛み合いにより、左右のユニットフレーム62,62が同期してユニットステー64に沿って上下方向に移動する。このように、巻取調整ローラ36は、左右のラックアンドピニオン機構によって、水平を保ったまま上下方向へ直線的に移動可能になっている。
【0030】
図7~
図10に示すように、巻取調整ローラ36を支持する左右のユニットフレーム62,62に、処理済ロール16に接する巻取タッチローラ(タッチローラ)74が設けられている。実施例において、巻取調整ローラ36および巻取タッチローラ74が、1つの巻取ローラユニット34として構成されている。より具体的には、巻取タッチローラ74は、該巻取タッチローラ74を回転可能に支持する左右のローラアーム76,76の一端部に回転可能に支持されている。ローラアーム76,76の他端部が、左右のユニットフレーム62,62の間に架設されたローラステー76に支持されている。巻取タッチローラ74は、ローラステー76を回転中心として揺動可能に構成されている。なお、巻取タッチローラ74は、ローラステー76をアクチュエータ80によって回転することで、揺動姿勢を制御可能である。
【0031】
図10に示すように、巻取タッチローラ74は、巻取調整ローラ36よりも手前側(後側)に配置されている。また、巻取タッチローラ74は、巻取軸26に支持された巻芯13の直上または巻芯13の上側において巻芯13からウエブ処理機10手前側(後側)にずれた位置(実施例)に配置されている。実施例では、巻芯13よりも奥側に巻取調整ローラ36が配置されて、巻芯13よりも手前側に巻取タッチローラ74が配置されている。また、実施例の巻取タッチローラ74は、巻取調整ローラ36よりも幅狭に設定されている。
【0032】
図10に示すように、巻取ローラユニット34は、処理済ロール16の巻径の増大変化に応じてモータ66を駆動制御することで、巻取調整ローラ36が直線的に上昇すると共に巻取タッチローラ74が上昇する。このとき、巻取タッチローラ74は、処理済ロール16の巻径の増大変化に応じて巻き取り部20の手前側へ変位するように揺動する。このように巻取タッチローラ74は、処理済ロール16の巻径が小さくなるほど、処理済ロール16における巻芯13の直上に近い部位に接して、処理済ロール16の巻径が大きくなるほど、処理済ロール16における巻芯13の直上から遠い部位に接するようになる。
【0033】
図1に示すように、実施例のリワインダー10は、繰出調整ローラ40および繰出タッチローラ82を有する繰出ローラユニット38を、繰り出し部20に備えている。繰出ローラユニット38は、原反ロール14の巻径の減少変化に応じてモータ66を駆動制御することで、繰出調整ローラ40が直線的に下降すると共に繰出タッチローラ82が下降する。このとき、繰出タッチローラ82は、原反ロール14の巻径の減少変化に応じて繰り出し部18の手前側へ変位するように揺動する。なお、繰出ローラユニット38は、繰出調整ローラ40および繰出タッチローラ82の関係が、巻取調整ローラ36および巻取タッチローラ74の関係と前後対称であり、巻取ローラユニット34と基本的構成が同じである。従って、繰出ローラユニット38は、巻取ローラユニット34と同様の構成について、巻取ローラユニット34の構成と同じ符号を付して説明を省略している。
【0034】
リワインダー10は、巻取調整ローラ36を直線的に上下移動するように構成することで、アームの先端に設けた近接ローラを振り子状に揺動させる従来構成と比べて、アームの揺動に要する分のスペースや、アームを揺動させるための駆動部分に要するスペースを減らすことができる。従って、リワインダー10をコンパクトにすることができる。
【0035】
巻取調整ローラ36が直線的に往復移動する構成であると、処理済ロール16の巻径の変化に応じた巻取調整ローラ36による処理済ロール16の空気量調節等の処理を行い易くなる。より具体的には、巻取調整ローラ36が直線的に往復移動する構成であると、処理済ロール16の巻径の増大に応じて上方へ直線的に移動するだけで、処理済ロール16の巻芯13に対する前後方向の位置が変化しない。すなわち、巻取調整ローラ36は、処理済ロール16に対する精密な位置制御を行い易くすることができる。例えば、アームの先端に設けた近接ローラを振り子状に揺動させる従来構成であると、処理済ロール16の巻径の増大に応じて処理済ロール16から離すように移動した場合、上方へ移動しつつ前方へもすることになり、近接ローラの位置制御が難しくなる。
【0036】
巻取調整ローラ36が直線的に上下移動する構成であることで、巻取調整ローラ36が直前の本体ローラRに対して前後(ウエブ処理機内外)方向の位置が変化せず、巻取調整ローラ36に対するウエブ12の巻き角を確保し易くできる。従って、巻取調整ローラ36が上側位置および下側位置の何れであっても、ウエブ12の巻き角を保つために、本体ローラRを増やしたり、本体ローラRの配置が制限されたりするなどを避けることができる。従って、例えば本体ローラRを減らして、リワインダー10をよりコンパクトにすることができる。
【0037】
巻取調整ローラ36は、処理済ロール16に接するタッチローラとして用いた場合、直線的に移動する構成であるので、アームの先端に設けた近接ローラを振り子状に揺動させる従来構成と比べて、処理済ロール16に対する押し付け力の変化を小さくすることができる。この場合、巻取調整ローラ36によって処理済ロール16を適当な力で押し付けて空気量を制限することができるので、ウエブ12がきれいに巻かれた処理済ロール16を得ることができる。
【0038】
巻取ローラユニット34は、巻取調整ローラ36を支持する一対のユニットフレーム62が、左右のラックアンドピニオン機構によって上下移動する構成であるので、巻取調整ローラ36を安定して上下移動させることができる。
【0039】
巻取ローラユニット34は、巻取調整ローラ36と巻取タッチローラ74とを共通のユニットフレーム62で支持してユニット化しているので、部品点数を減らすことができると共に、巻取タッチローラ74を支持するための機構を小型化することができる。
【0040】
実施例のリワインダー10は、前後方向中央部に配置された本体ローラRを挟んで、第1ダンサーローラ30および第2ダンサーローラ32が前後対称に配置されると共に、繰出ローラユニット38および巻取ローラユニット34が前後対称に配置されている。実施例のリワインダー10は、巻き取り部20からウエブ12を繰り出して繰り出し部18でウエブ12を巻き取るように役割を変えることができ、役割を代えてもダンサーローラ30,32による張力調節および調整ローラ36,40による空気量調節などを好適に行うことができる。
【0041】
(変更例)
前述した構成に限らず、例えば、以下のように変更してもよい。
(1)実施例では、リワインダーを例示して説明したが、例えばスリッターであってもよい。
(2)実施例では、調整ローラとして近接ローラを例示して説明したが、例えばロールに接するように配置されるローラであってもよい。
(3)実施例では、巻き取り部に1基の調整ローラを設ける例を説明したが、例えば上下2段などの複数段にウエブを振り分けて巻き取る場合、各段に対応して調整ローラを設けてもよい。