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特開2022-80552乗客コンベアの制動機及びその動作確認治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080552
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】乗客コンベアの制動機及びその動作確認治具
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/00 20060101AFI20220523BHJP
【FI】
B66B29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191686
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 和仁
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321EA14
3F321EB02
3F321EB03
3F321EC01
(57)【要約】
【課題】動作確認を容易に行うことができるエスカレーターの制動機及びその動作確認治具を提供する。
【解決手段】主軸17を駆動する駆動チェーン18上に載置され、駆動チェーン18が破断した場合に降下するシュー31と、先端部にシュー31が設けられ、シュー31が降下することによって回動するシューレバー32と、シューレバー32が回動する連結軸33の他端部に設けられるラチェットポール34と、主軸17と連動して回動し、ラチェットポール34が噛合することによって主軸17の回動を停止するラチェットホイール35と、を備え、シューレバー32は、シューレバー32の先端部が駆動チェーン18よりも間口方向の外側にオフセットするように配置され、シュー31は、シューレバー32の先端部において通常時は間口方向の内側に設けられ、動作確認時には間口方向の外側に付け替え可能に構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏段が設けられた踏段チェーンを回動させる主軸と、前記主軸に駆動力を伝達する駆動チェーンと、を有する乗客コンベアの制動機であって、
前記駆動チェーン上に載置され、前記駆動チェーンが破断した場合に降下するシューと、
先端部に前記シューが設けられ、前記シューが降下することによって回動するシューレバーと、
前記シューの間口方向に沿って設けられ、一端部に前記シューレバーが設けられる連結軸と、
前記連結軸の他端部に設けられ、前記シューレバーの回動と連動して回動するラチェットポールと、
前記主軸と連動して回動し、前記ラチェットポールが噛合することによって前記主軸の回動を停止するラチェットホイールと、
を備え、
前記シューレバーは、前記シューレバーの先端部が前記駆動チェーンよりも前記間口方向の外側にオフセットするように配置され、
前記シューは、前記シューレバーの先端部において前記間口方向の内側に設けられ、前記間口方向の外側に付け替え可能に構成される、
乗客コンベアの制動機。
【請求項2】
請求項1に記載の乗客コンベアの制動機の動作確認を行う際に用いられる治具であって、
前記シューが取り外された前記シューレバーの先端部において前記間口方向の外側に密着して取り付けられ、前記連結軸に前記シューが設けられる場合と同等のモーメント荷重を作用させ、前記シューが前記間口方向の外側に付け替えられた場合よりも前記間口方向の幅が小さくなるように構成される錘片を備える、
治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアの制動機及び乗客コンベアの制動機の動作確認治具に関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアの一つであるエスカレーターでは、機械室に設けられた駆動機の駆動力が駆動チェーンによって主軸に伝達され、主軸が踏段チェーンを回動することによって踏段が上部乗降口と下部乗降口との間を昇降する。エスカレーターは、駆動チェーンが破断した場合に、利用者の重量によって踏段が下降しないように主軸の回動を機械的に制止させる制動機を備える(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記制動機は、駆動チェーン上に載置され、駆動チェーンが破断した場合に降下するシューと、先端部にシューが設けられ、シューが降下することによって回動するシューレバーと、シューの間口方向に沿って設けられ、一端部にシューレバーが設けられる連結軸と、連結軸の他端部に設けられ、シューレバーの回動と連動して回動するラチェットポールと、シューレバーの回動と連動して回動するラチェットポールと、主軸と連動して回動し、ラチェットポールが噛合することによって主軸の回動を停止するラチェットホイールとを備える。
【0004】
上記制動機では、正常に作動するかどうかを定期的に確認する動作確認を行う必要がある。動作確認では、駆動チェーンが破断した状況となるように、シューレバーを下方へ回動させ、シューレバーの回動にラチェットポールが連動して回動し、ラチェットポールがラチェットホイールに噛合することによって主軸の回動が停止するまでの動作を確認する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-197142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記制動機では、シューレバーと駆動チェーンとが間口方向において同位置に配置され、シューレバーを下方へ回動させると駆動チェーンに接触する場合が多く、動作確認において駆動チェーンが破断した状況と同様にシューレバーを下方へ回動させることが困難である。
【0007】
現状では、上記制動機の動作確認において、シューレバーを連結軸から取り外し、連結軸にシューレバーが取り付けられていたときと同等のモーメント荷重が作用するように短いテスト片を取り付けて動作を確認している。しかし、シューレバーを再度取り付ける際には、シューレバーの取付位置及び取付角度を調整する作業が必要であって作業工数が多かった。
【0008】
また、シューレバーを連結軸から取り外せない構成の制動機の動作確認では、シューレバーを駆動チェーンの上方に移動させ、ラチェットポール側にテスト片を取り付けて、シューレバーが正常位置のときと同等のモーメント荷重が作用するように調整して動作を確認している。つまり、現状の制動機の動作確認では、制動機の構成により異なった治具が必要であった。
【0009】
本発明の目的は、動作確認を容易に行うことができる乗客コンベアの制動機及びその動作確認治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る乗客コンベアの制動機は、踏段が設けられた踏段チェーンを回動させる主軸と、主軸に駆動力を伝達する駆動チェーンと、を有する乗客コンベアの制動機であって、駆動チェーン上に載置され、駆動チェーンが破断した場合に降下するシューと、先端部にシューが設けられ、シューが降下することによって回動するシューレバーと、シューの間口方向に沿って設けられ、一端部にシューレバーが設けられる連結軸と、連結軸の他端部に設けられ、シューレバーの回動と連動して回動するラチェットポールと、主軸と連動して回動し、ラチェットポールが噛合することによって主軸の回動を停止するラチェットホイールと、を備え、シューレバーは、シューレバーの先端部が駆動チェーンよりも間口方向の外側にオフセットするように配置され、シューは、シューレバーの先端部において間口方向の内側に設けられ、間口方向の外側に付け替え可能に構成される。
【0011】
本発明に係る乗客コンベアの制動機の動作確認に用いる治具であって、シューが取り外されたシューレバーの先端部において間口方向の外側に密着して取り付けられ、連結軸にシューが設けられる場合と同等のモーメント荷重を作用させ、シューが間口方向の外側に付け替えられた場合よりも間口方向の幅が小さくなるように構成される錘片を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る乗客コンベアの制動機及びその動作確認治具によれば、容易に動作確認を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る制動機を備えるエスカレーターを示す模式図である。
図2】実施形態の一例である制動機を示す平面図である。
図3】実施形態の一例である制動機のラチェットポールとラチェットホイールとの関係を示す側面図である。
図4】実施形態の一例である制動機の駆動チェーンとシューとの関係を示す側面図である。
図5】シューレバーを示す正面図である。
図6】制動機の動作確認が行われる様子を示す平面図である。
図7】実施形態の一例である治具を示す(A)側面図、(B)(A)のD矢視図である。
図8】実施形態の他の一例である治具を示す(A)側面図、(B)(A)のE矢視図である。
図9】実施形態の他の一例である治具を示す(A)側面図、(B)(A)のF矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一例について詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、方向、数値等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができる。
【0015】
図1を用いて、実施形態に係る乗客コンベアとしてのエスカレーター10について説明する。図1は、エスカレーター10を示す模式図である。
【0016】
乗客コンベアとしてのエスカレーター10は、利用客が建物の各階に移動する階段状の昇降装置である。エスカレーター10は、隣接する上下階床間に架け渡されて、エスカレーター10の自重及び積載荷重を支持する主枠11と、主枠11の上階側の上部乗降口12の床下に設けられる上部機械室13と、主枠11の下階側の下部乗降口14の床下に設けられる下部機械室15とを備える。
【0017】
エスカレーター10は、上部機械室13に収容された駆動機16の駆動力が駆動チェーン18によって主軸17に伝達され、主軸17によって踏段チェーン19を回動することによって踏段20を上部乗降口12と下部乗降口14との間で移動(昇降)させる。エスカレーター10は、詳細は後述するが、駆動チェーン18が破断した場合に、利用客の重量によって踏段20が下降しないように主軸17の回動を機械的に制止させる制動機30を備える(図2から図4参照)。
【0018】
駆動機16の出力軸には、駆動鎖歯車21が設けられる。主軸17は、上部機械室13内に回動自在に設けられ、主枠11の間口方向に軸方向が配置される。主軸17には、主軸17と連動して回動する主軸駆動鎖歯車22が設けられる。駆動チェーン18は、駆動鎖歯車21と主軸駆動鎖歯車22とに巻き掛けられ、主軸駆動鎖歯車22を介して駆動機16の駆動力を主軸17に伝達する。
【0019】
主軸17は、主軸17と連動して回動する上部踏段鎖歯車23がさらに設けられる。踏段チェーン19は、上部踏段鎖歯車23と下部機械室15に収容される下部踏段鎖歯車24とに巻き掛けられ、駆動機16の駆動力により駆動される無端状のチェーンである。踏段20は、踏段チェーン19に一定間隔毎に取り付けられた各踏段軸(図示なし)に設けられ、踏段チェーン19の移動によって上部乗降口12と下部乗降口14との間を循環移動する。
【0020】
エスカレーター10は、主枠11の両側に立設された欄干25と、欄干25に支持され、上部乗降口12と下部乗降口14との間を循環移動する無端状の移動手摺26と、駆動機16の駆動力によって移動手摺26を駆動する移動手摺駆動装置27と、上部機械室13内に収容され、エスカレーター10の各機器を制御する制御盤28とをさらに備える。
【0021】
図2から図4を用いて、実施形態の一例である制動機30について説明する。図2は、制動機30を示す正面図(図1のA矢視図)である。図3は、制動機30のラチェットポール34とラチェットホイール35との関係を示す側面図(図2のB矢視図)である。図4は、制動機30の駆動チェーン18とシュー31との関係を示す側面図(図2のC矢視図)である。
【0022】
以下では、説明を分かり易くするため、主軸17に沿った間口方向を幅方向とし、鉛直方向を上下方向とし、幅方向および上下方向と直交する方向を奥行方向とする。幅方向において、図2の紙面と対向したときの左右をそれぞれ左右側とする。
【0023】
制動機30は、上述したようにエスカレーター10の駆動チェーン18が破断した場合に、利用客の重量によって踏段20が下降しないように主軸17の回動を機械的に制止させる装置である。制動機30によれば、詳細は後述するが、制動機30の動作確認を容易に行うことができる。
【0024】
図2から図4に示すように、制動機30は、駆動チェーン18上に載置され、駆動チェーン18が破断した場合に降下するシュー31と、先端側にシュー31が設けられ、シュー31が降下することによって回動するシューレバー32と、シュー31の幅方向に沿って設けられ、右端部にシューレバー32が設けられる連結軸33と、連結軸33の左端部に設けられ、シューレバー32の回動と連動して回動するラチェットポール34と、主軸17と連動して回動し、ラチェットポール34が噛合することによって主軸17の回動を停止するラチェットホイール35とを備える。
【0025】
シュー31は、シューレバー32の先端側に回動自在に支持され、駆動チェーン18上に載置されている。シューレバー32は、連結軸33の右端部に設けられたレバー支持部37に着脱自在に設けられる。シューレバー32の取付位置及び取付角度は調整可能であることが好ましい。シューレバー32について詳細は後述する。
【0026】
連結軸33は、支持部材36によって主枠11に回動自在に支持される。連結軸33は、幅方向を軸方向として配置される。連結軸33の右端部には、シューレバー32が設けられ、連結軸33の左端部には、ラチェットポール34が設けられる。これにより、シューレバー32、ラチェットポール34及び連結軸33は、連動して回動する。
【0027】
ラチェットホイール35は、ラチェットポール34が噛合する傾斜した歯を有する歯車である。ラチェットホイール35は、主軸17の左端部に設けられる。また、上述したように、主軸17の右端部には、上部踏段鎖歯車23が設けられる。これにより、ラチェットホイール35、上部踏段鎖歯車23及び主軸17は、連動して回動する。
【0028】
制動機30の動作として駆動チェーン18が破断した場合には、駆動チェーン18上に載置されていたシュー31が下降し、シュー31が下降することによってシューレバー32が所定方向に回動し、シューレバー32の回動に連動して連結軸33が所定方向に回動する。そして、ラチェットポール34が連結軸33に連動して所定方向に回動し、ラチェットポール34の先端部がラチェットホイール35に噛合することによって主軸17の回動を制止する。
【0029】
図5を用いて、シューレバー32について詳細に説明する。図5は、シューレバー32を拡大して示す正面図である。
【0030】
シューレバー32は、上述したように、制動機30の構成部品であって、シュー31が降下することによって回動し、連結軸33を回動させるレバーである。シューレバー32は、シューレバー32が回動したときに、シューレバー32の先端部(後述するシュー支持部32C)が駆動チェーン18よりも幅方向の外側にオフセットするように配置される。これにより、詳細は後述するが、制動機30の動作確認を容易に行うことができる。
【0031】
図5に示すように、シューレバー32は、上述したように、連結軸33の右端部において所定方向に突出して連結軸33と一体的に設けられたレバー支持部37に着脱自在に設けられる。シューレバー32は、正面視においてZ状に形成され、レバー支持部37に取り付けられる取付部32Aと、幅方向の沿って形成される水平部32Bと、先端側でシュー31を支持するシュー支持部32Cを含む。
【0032】
取付部32Aとレバー支持部37とは、例えばボルト及びナットで締結して固定される。取付部32Aには、長孔が形成され、レバー支持部37に対する取付位置及び取付角度が調整できることが好ましい。水平部32Bは、取付部32Aとシュー支持部32Cとを連結する部分である。
【0033】
シュー支持部32Cは、シューレバー32が回動したときに、駆動チェーン18よりも幅方向の外側にオフセットするように配置される。シュー支持部32Cは、駆動チェーン18よりも幅方向の外側に設けられることが好ましい。これにより、シューレバー32が回動したときに、駆動機16に接触することがない。また、シュー31は、シュー支持部32Cの幅方向の内側に設けられることが好ましい。
【0034】
本例では、駆動チェーン18が1列のエスカレーター10を想定しているが、駆動チェーン18が2列のエスカレーターの場合であっても同様に、シュー支持部32Cは、シューレバー32が回動したときに、駆動チェーン18よりも幅方向の外側にオフセットするように配置される。
【0035】
図6を用いて、制動機30の動作確認の手順について説明する。図6は、制動機30の動作確認が行われる様子を示す正面図である。
【0036】
制動機30では、正常に作動するかどうかを定期的に確認する動作確認を行う必要がある。動作確認では、駆動チェーン18が破断した状況となるように、シューレバー32を下方へ回動させ、シューレバー32の回動にラチェットポール34が連動して回動し、ラチェットポール34がラチェットホイール35に噛合し、主軸17が制止されるまでの動作を確認する。
【0037】
まず、作業者は、シューレバー32のシュー支持部32Cからシュー31を取り外し、シュー支持部32Cの反対側(幅方向の外側)にシュー31を取り付ける。この状態では、シューレバー32を回動した場合でもシュー31及びシュー支持部32Cが駆動チェーン18に接触することがない。
【0038】
次に、作業者は、シュー31が駆動チェーン18に載置されていた位置でシュー31を手に持って支持し、シュー31を手放すことによってシュー31を降下させて、シューレバー32を下方へ回動させ、シューレバー32の回動にラチェットポール34が連動して回動してラチェットポール34がラチェットホイール35に噛合し、主軸17が制止されるまでの動作を確認する。
【0039】
本例の制動機30のシューレバー32によれば、シュー31をシューレバー32の内側から外側に付け替えることによって制動機30の動作確認を容易に行うことができる。
【0040】
しかし、制動機30の形式によっては、シューレバー32の外側にシュー31を取り付けるスペースがなく、シューレバー32の外側にシュー31を取り付けることができない場合がある。この場合には、シューレバー32からシュー31を取り外し、詳細は後述する治具40、50、60を用いて上述したように制動機30の動作確認を行う。以下に、治具40、50、60についてそれぞれ説明する。
【0041】
図7を用いて、実施形態の一例である治具40について説明する。図7は、治具40を示す(A)側面図、(B)(A)のD矢視図である。
【0042】
治具40は、上述したように、シューレバー32の外側にシュー31を取り付けるスペースがない場合に、シュー31の代わりにシューレバー32に取り付けて制動機30の動作確認を行うための治具である。治具40によれば、詳細は後述するが、制動機30の動作確認を容易に行うことができる。
【0043】
図7(A)及び図7(B)に示すように、治具40は、シュー31が取り外されたシュー支持部32Cの側面に密着して取り付けられ、シュー31が設けられる場合と同等のモーメント荷重を連結軸33に作用させ、シュー31が幅口方向の外側に付け替えられた場合よりも幅方向の大きさが小さくなるように構成される錘片41を備える。錘片41は、シューレバー32に係合するC字状に形成され、開放側をシューレバー32の外側に向けて取り付けられることは好ましい。
【0044】
治具40は、錘片41の開放側を貫通するストッパピン42と、シューレバー32の基端側に固定される固定バンド43と、錘片41と固定バンド43とを連結する紐44とをさらに備える。固定バンド43は、例えばシューレバー32の基端側の突起部等に引っかけて固定されることが好ましい。
【0045】
治具40を用いた制動機30の動作確認では、シューレバー32のシュー支持部32Cからシュー31を取り外し、固定バンド43をシュー支持部32Cの基端側に固定して、錘片41をシューレバー32に係合させ、ストッパピン42を錘片41に貫通させる。このとき、錘片41の重さ及び紐44の長さを調整することによって、シュー31が設けられる場合と同等のモーメント荷重を連結軸33に作用させる。
【0046】
図8を用いて、実施形態の他の一例である治具50について説明する。図8は、治具50を示す(A)側面図、(B)(A)のE矢視図である。
【0047】
治具50は、上述したように、シューレバー32の外側にシュー31を取り付けるスペースがない場合に、シュー31の代わりにシューレバー32に取り付けて制動機30の動作確認を行うための治具である。治具50によれば、詳細は後述するが、制動機30の動作確認を容易に行うことができる。
【0048】
図8(A)及び図8(B)に示すように、治具50は、シュー31が取り外されたシュー支持部32Cの側面に密着して取り付けられ、シュー31が設けられる場合と同等のモーメント荷重を連結軸33に作用させ、シュー31が幅口方向の外側に付け替えられた場合よりも幅方向の大きさが小さくなるように構成される錘片51を備える。錘片51は、クリップ機構として構成され、シュー支持部32Cのシュー取付孔に係合する凸部51Aを有することが好ましい。
【0049】
治具50を用いた制動機30の動作確認試験では、シューレバー32のシュー支持部32Cからシュー31を取り外し、錘片51の凸部51Aを取付孔に係合させて錘片51をシュー支持部32Cに取り付けることによって、シュー31が設けられる場合と同等のモーメント荷重を連結軸33に作用させる。
【0050】
図9を用いて、実施形態の他の一例である治具60について説明する。図9は、治具60を示す(A)側面図、(B)(A)のF矢視図である。
【0051】
治具60は、上述したように、シューレバー32の外側にシュー31を取り付けるスペースがない場合に、シュー31の代わりにシューレバー32に取り付けて制動機30の動作確認を行うための治具である。治具60によれば、詳細は後述するが、制動機30の動作確認を容易に行うことができる。
【0052】
図9(A)及び図9(B)に示すように、治具60は、シュー31が取り外されたシュー支持部32Cの側面に密着して取り付けられ、シュー31が設けられる場合と同等のモーメント荷重を連結軸33に作用させ、シュー31が幅口方向の外側に付け替えられた場合よりも幅方向の大きさが小さくなるように構成される錘片61を備える。錘片61は、切替スイッチ61Aによって励磁状態又は消磁状態を切り替え可能な磁石機構によって構成される。また、治具60は、重さを調整可能な磁石である調整錘62を有することが好ましい。
【0053】
治具60を用いた制動機30の動作確認試験では、シューレバー32のシュー支持部32Cからシュー31を取り外し、錘片61を励磁状態としてのシュー支持部32Cに磁着させることによって、シュー31が設けられたときと同等のモーメント荷重を連結軸33に作用させる。このとき、調整錘62を追加することによって、シュー31が設けられる場合と同等のモーメント荷重を連結軸33に作用させる。
【0054】
なお、本発明は上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
10 エスカレーター、11 主枠、12 上部乗降口、13 上部機械室、14 下部乗降口、15 下部機械室、16 駆動機、17 主軸、18 駆動チェーン、19 踏段チェーン、20 踏段、21 駆動鎖歯車、22 主軸駆動鎖歯車、23 上部踏段鎖歯車、24 下部踏段鎖歯車、25 欄干、26 移動手摺、27 移動手摺駆動装置、28 制御盤、30 制動機、31 シュー、32 シューレバー、32A 取付部、32B 水平部、32C シュー支持部、33 連結軸、34 ラチェットポール、35 ラチェットホイール、36 支持部材、37 レバー支持部、40 治具、41 錘片、42 ストッパピン、43 固定バンド、44 紐、50 治具、51 錘片、51A 凸部、60 治具、61 錘片、61A 切替スイッチ、62 調整錘
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9