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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080608
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】船舶、船舶の航行方法
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/20 20060101AFI20220523BHJP
   B63H 21/14 20060101ALI20220523BHJP
   B63H 21/17 20060101ALI20220523BHJP
   B63H 23/10 20060101ALI20220523BHJP
   B63H 23/30 20060101ALI20220523BHJP
   B63B 3/48 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
B63H21/20
B63H21/14
B63H21/17
B63H23/10
B63H23/30
B63B3/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191775
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 一弘
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一つの主機で一軸のプロペラ駆動軸を駆動する構成において、冗長性を確保する。
【解決手段】船舶1は、船体2と、船体内に配置された推進部20と、を備え、推進部は、主機出力軸31を有した主機30と、主機出力軸の回転が増速されて伝達される増速部出力軸62を有した増速部60と、船体の外部に配置されたプロペラ22を回転させるプロペラ駆動軸と、増速部出力軸とプロペラ駆動軸21との接続・非接続を切り換える第一クラッチ70と、第一クラッチで増速部出力軸とプロペラ駆動軸とが非接続状態のときに、プロペラ駆動軸を回転駆動可能な電動機40と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
前記船体内に配置された推進部と、を備え、
前記推進部は、
主機出力軸を有した主機と、
前記主機出力軸の回転が増速されて伝達される増速部出力軸を有した増速部と、
前記船体の外部に配置されたプロペラを回転させるプロペラ駆動軸と、
前記増速部出力軸と前記プロペラ駆動軸との接続・非接続を切り換える第一クラッチと、
前記第一クラッチで前記増速部出力軸と前記プロペラ駆動軸とが非接続状態のときに、前記プロペラ駆動軸を回転駆動可能な電動機と、を備える
船舶。
【請求項2】
前記第一クラッチと前記プロペラ駆動軸との間に配置され、前記第一クラッチで前記増速部出力軸と前記プロペラ駆動軸とが接続状態のときに、前記増速部出力軸の回転を減速させて前記プロペラ駆動軸に伝達する減速部をさらに備える
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記電動機により回転駆動される電動機出力軸と、
前記電動機出力軸と前記プロペラ駆動軸との接続・非接続を切り換える第二クラッチと、をさらに備える
請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
前記主機、及び前記主機出力軸が、前記船体の船幅方向の中心に対して第一側に配置され、
前記増速部出力軸、及び前記電動機が、前記船体の船幅方向の中心に対して第二側に配置されている
請求項1から3のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項5】
前記船体内に、車両を搭載可能な車両搭載甲板を備え、
前記車両搭載甲板は、
前記主機の上部に対して前記船幅方向の第一側に配置された第一車両搭載甲板と、
前記主機の上部に対して前記船幅方向の第二側に配置され、前記第一車両搭載甲板よりも前記船幅方向の幅寸法が大きい第二車両搭載甲板と、を有している
請求項4に記載の船舶。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の船舶の航行方法であって、
前記第一クラッチで前記主機出力軸と前記プロペラ駆動軸とを接続し、前記主機により前記プロペラ駆動軸を回転駆動する工程と、
前記第一クラッチで前記主機出力軸と前記プロペラ駆動軸とを切り離す工程と、
前記電動機により前記プロペラ駆動軸を回転駆動する工程と、
を含む船舶の航行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶、船舶の航行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の推進装置としては、主機によりプロペラを回転させて推力を得るものがある。具体的には、このような主機は、プロペラ駆動軸を回転させるように構成されており、プロペラは、このプロペラ駆動軸と一体に回転することで推力を発生する。
【0003】
客船等をはじめとする大型の船舶においては、主機に不具合が生じた場合に備え、二系統の主機を並列に備えた、いわゆる2機2軸船や2機1軸船がある。このような構成の船舶は、並列に備えた複数の主機で、一軸又は二軸のプロペラ駆動軸(軸系)を回転駆動させている。このような構成では、一方の主機に不具合が生じた場合、不具合が生じていない他方の主機のみによりプロペラ駆動軸を回転させることが可能とされている。このように2機2軸船や2機1軸船では、冗長性が確保されている。
【0004】
しかし、一つの主機で一軸のプロペラ駆動軸を駆動する、いわゆる1機1軸船においては、主機に不具合等が生じた場合、プロペラの回転が停止し、航行を継続することができない。
そこで、例えば、特許文献1には、主機により回転駆動される出力軸と、プロペラを回転させるプロペラ駆動軸と、プロペラ駆動軸を回転駆動させる電動機と、出力軸とプロペラ駆動軸とを断続する軸連結断続部と、を備える構成が開示されている。この特許文献1では、通常時は、軸連結断続部で出力軸とプロペラ駆動軸とを連結し、主機により出力軸を回転駆動する。非常時には、軸連結断続部で出力軸とプロペラ駆動軸とを切り離し、電動機によりプロペラ駆動軸を回転駆動する。これにより、一つの主機で一軸のプロペラ駆動軸を駆動する構成においても、冗長性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-75651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、主機の定格運転時での出力軸の回転速度が、例えば300[rpm]以下といった低速主機では、出力軸の回転トルクが、例えば1500kNを超える非常に大きなものとなる。このような大きな回転トルクを許容する容量を有した軸連結断続部、いわゆるクラッチは、一般的ではなく、特許文献1に開示されたような構成を採用することが困難になる場合がある。そのため、低速主機関を備えた船舶において、一つの主機で一軸のプロペラ駆動軸を駆動する構成の場合、冗長性を確保することが難しいという課題が有る。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、一つの主機で一軸のプロペラ駆動軸を駆動する構成において、冗長性を確保することができる船舶、船舶の航行方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る船舶は、船体と、推進部と、を備える。前記推進部は、前記船体内に配置されている。前記推進部は、主機と、増速部と、プロペラ駆動軸と、第一クラッチと、電動機と、を備えている。前記主機は、主機出力軸を有している。前記増速部は、増速部出力軸を有している。前記増速部出力軸は、前記主機出力軸の回転が増速されて伝達される。前記プロペラ駆動軸は、前記船体の外部に配置されたプロペラを回転させる。前記第一クラッチは、前記増速部出力軸と前記プロペラ駆動軸との接続・非接続を切り換える。前記電動機は、前記第一クラッチで前記増速部出力軸と前記プロペラ駆動軸とが非接続状態のときに、前記プロペラ駆動軸を回転駆動可能とされている。
【0009】
本開示に係る船舶の航行方法は、上記したような船舶の航行方法であって、前記第一クラッチで前記主機出力軸と前記プロペラ駆動軸とを連結し、前記主機により前記プロペラ駆動軸を回転駆動する工程と、前記第一クラッチで前記主機出力軸と前記プロペラ駆動軸とを切り離す工程と、前記電動機により前記プロペラ駆動軸を回転駆動する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示の船舶、船舶の航行方法によれば、一つの主機で一軸のプロペラ駆動軸を駆動する構成において、冗長性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係る船舶の側面図である。
図2】本開示の実施形態に係る船舶の推進部の構成を示す平面図である。
図3】本開示の実施形態に係る船舶の主機と車両搭載甲板との位置関係を示す断面図である。
図4】本開示の実施形態に係る船舶の推進部において、主機によりプロペラ駆動軸を回転駆動させる通常航行モードを示す平面図である。
図5】本開示の実施形態に係る船舶の推進部において、電動機によりプロペラ駆動軸を回転駆動させる非常用航行モードを示す平面図である。
図6】本開示の実施形態に係る船舶の航行方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態に係る船舶、船舶の航行方法について、図1図3を参照して説明する。
(船舶の構成)
図1図2に示すように、船舶1は、船体2と、推進部20と、を主に備えている。船舶1の船種は、特定のものに限られない。船舶1の船種は、例えばフェリー、RORO船(Roll-on/Roll-off船)、PCTC(Pure Car & Truck Carrier)等を例示できる。
【0013】
(船体の構成)
図1図3に示すように、船体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底4と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を有する。船底4は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板を有する。これら一対の舷側3A,3B及び船底4により、船体2の外殻は、船首尾方向FAに直交する断面において、U字状を成している。
【0014】
図1図3に示すように、船体2は、その内部に、複数層の甲板として、乾舷甲板5、上側甲板6、上甲板8をそれぞれ備えている。この実施形態における乾舷甲板5は、満載喫水線よりも上方に配置される全通甲板のうち、最下層に配置される全通甲板である。上側甲板6は、乾舷甲板5の一層上方に配置される甲板である。上甲板8は、船体2の最上層に配置される甲板である。この実施形態における船体2は、更に、乾舷甲板5の下方に、甲板7を備えている。
【0015】
(推進部の構成)
船体2内には、機関室10が形成されている。機関室10は、船体2内の船尾2b側において、甲板7上に形成されている。図2に示すように、推進部20は、船体2内の機関室10に配置されている。推進部20は、プロペラ駆動軸21と、主機30と、電動機40と、軸切換装置50と、を主に備えている。
【0016】
プロペラ駆動軸21は、船首尾方向FAに延びている。プロペラ駆動軸21の後端は、船体2内から船首尾方向FAの船尾2b側に突出している。プロペラ駆動軸21の後端には、プロペラ22が一体に固定されている。プロペラ22は、船体2の外部に配置されている。プロペラ22は、プロペラ駆動軸21がその中心軸C1周りに回転駆動されることで所定方向に回転し、船体2を推進する推力を発揮する。本実施形態におけるプロペラ駆動軸21の中心軸C1は、船体2の船幅方向Dwの中心Dwc上に位置している。
【0017】
主機30は、例えば2サイクル・ディーゼルエンジン等の内燃機関からなる。本実施形態において、主機30は、例えば、定格運転時での回転数が60~300rpmの、低速主機である。主機30は、主機出力軸31を有している。主機出力軸31は、主機30から船首尾方向FAの船尾2b側に向かって延びている。主機出力軸31は、軸受(図示せず)により、その中心軸C2回りに回転自在に支持されている。
この実施形態において、主機30、及び主機出力軸31は、機関室10内で、船幅方向Dwの中心Dwc(言い換えれば、プロペラ駆動軸21の中心軸C1)に対し、船幅方向Dwの第一側(例えば右舷の舷側3B側)にオフセットして配置されている。また、主機出力軸31は、主機30から船首尾方向FAの船尾2b側に突出している。
【0018】
電動機40は、通常航行時は、軸発電機として用いられ、船体2内の各部に電力を供給している。電動機40は、例えば非常航行時等に、プロペラ駆動軸21を回転駆動させて船体2の推進力を発揮する推進電動機として機能する。電動機40は、電動機出力軸41を有している。電動機出力軸41は、船首尾方向FAに延びている。電動機40は、非常時には、船体2内から供給された電力によって、電動機出力軸41をその中心軸C3回りに回転駆動させる。
この実施形態において、電動機40、及び電動機出力軸41は、機関室10内で、船幅方向Dwの中心Dwcに対し、船幅方向Dwの第二側(例えば右舷の舷側3B側)にオフセットして配置されている。また、電動機出力軸41は、電動機40から船首尾方向FAの船首側に突出している。
【0019】
(軸切換装置の構成)
軸切換装置50は、主機出力軸31と、電動機出力軸41と、プロペラ駆動軸21と、の間に配置されている。軸切換装置50は、主機30と電動機40とのうち、少なくとも一方により一軸のプロペラ駆動軸21を回転駆動するために、主機出力軸31と、電動機出力軸41とを、それぞれプロペラ駆動軸21に対して接続状態及び非接続状態にすることが可能となっている。言い換えれば、軸切換装置50は、主機出力軸31とプロペラ駆動軸21とが接続された状態と、電動機出力軸41とプロペラ駆動軸21とが接続された状態とを、選択的に切り換えることが可能となっている。軸切換装置50は、ギヤボックス51内に、増速部60と、第一クラッチ70と、減速部80と、第二クラッチ90と、を少なくとも備えている。ここで、上述した「一軸」とは、主機30で発生した出力をプロペラ22に伝達する軸系の数が一つであることを意味している。
【0020】
(増速部の構成)
増速部60は、複数の増速ギヤ61と、増速部出力軸62と、を備えている。
この実施形態における増速部60は、複数の増速ギヤ61として、第一増速ギヤ61A、第二増速ギヤ61B、及び第三増速ギヤ61Cの三つを備えている。第一増速ギヤ61A、第二増速ギヤ61B、及び第三増速ギヤ61Cは、ギヤボックス51内で、それぞれ船首尾方向FAに延びる中心軸C2、C4、C5回りに回転自在に支持されている。第一増速ギヤ61Aは、主機出力軸31の先端に一体に接合されている。第二増速ギヤ61Bは、第一増速ギヤ61Aに噛み合っている。第三増速ギヤ61Cは、第二増速ギヤ61Bに噛み合っている。第三増速ギヤ61Cには、増速部出力軸62の一端が一体に接合されている。
【0021】
増速部出力軸62は、第三増速ギヤ61Cから船首尾方向FAの船尾2b側に延びている。増速部出力軸62は、ギヤボックス51内に設けられた軸受(図示せず)により、その中心軸C5回りに回転自在に支持されている。
【0022】
増速部60は、主機出力軸31の回転を増速させて増速部出力軸62に伝達するよう、第一増速ギヤ61A、第二増速ギヤ61B、及び第三増速ギヤ61Cによる増速比が設定されている。増速部60における増速比は、例えば、4.0~10.0とすることができる。さらに、増速部60における増速比は、4.0~6.0としてもよい。この実施形態では、増速部60における増速比は、例えば5.0に設定されている。なお、増速部60を構成する増速ギヤ61の数、ギヤ比は、適宜変更してもよい。
【0023】
(第一クラッチの構成)
第一クラッチ70は、増速部出力軸62と、後述する第一減速部入力軸82との間に配置されている。第一クラッチ70は、増速部出力軸62とプロペラ駆動軸21との接続・非接続を切り換える。第一クラッチ70は、パッド71と、ディスク72と、駆動シリンダー(図示せず)と、を備えている。パッド71は、増速部出力軸62の他端に接合されている。パッド71は、増速部出力軸62と一体に回転する。ディスク72は、第一減速部入力軸82の一端に接合されている。ディスク72は、第一減速部入力軸82と一体に回転する。パッド71とディスク72とは、例えば油圧駆動、電動等の駆動シリンダー(図示せず)によって、互いに接近・離間するように船首尾方向FAに進退駆動される。第一クラッチ70は、パッド71とディスク72とが互いに突き合わされることによって、増速部出力軸62と第一減速部入力軸82とが接続された接続状態となる。接続状態では、増速部出力軸62の回転が第一減速部入力軸82に伝達される。第一クラッチ70は、パッド71とディスク72とが離間されることによって、増速部出力軸62と第一減速部入力軸82とが切り離された非接続状態となる。非接続状態では、増速部出力軸62の回転は、第一減速部入力軸82に伝達されない(非伝達)。
【0024】
(減速部の構成)
減速部80は、第一クラッチ70とプロペラ駆動軸21との間に配置されている。減速部80は、複数の減速ギヤ81と、第一減速部入力軸82と、第二減速部入力軸83と、を備えている。
【0025】
この実施形態における減速部80は、複数の減速ギヤ81として、第一減速ギヤ81A、第二減速ギヤ81B、及び第三減速ギヤ81Cを備えている。
第一減速ギヤ81A、第二減速ギヤ81B、第三減速ギヤ81Cは、ギヤボックス51内で、それぞれ船首尾方向FAに延びる中心軸C3、C5、C1回りに回転自在に支持されている。第一減速ギヤ81Aは、第二減速部入力軸83の一端に一体に接合されている。第二減速ギヤ81Bは、第一減速ギヤ81Aに噛み合っている。第二減速ギヤ81Bは、第一減速部入力軸82の他端に一体に接合されている。第三減速ギヤ81Cは、第二減速ギヤ81Bに噛み合っている。第三減速ギヤ81Cには、プロペラ駆動軸21の一端が一体に接合されている。プロペラ駆動軸21は、ギヤボックス51内に配置されたスラスト軸受85を介して中心軸C1回りに回転自在に支持されている。
【0026】
第一減速部入力軸82は、第二減速ギヤ81Bから船首尾方向FAの船首側に延びている。この第一減速部入力軸82は、ギヤボックス51内に設けられた軸受(図示せず)により、その中心軸C5回りに回転自在に支持されている。
第二減速部入力軸83は、第三減速ギヤ81Cから船首尾方向FAの船尾2b側に延びている。第二減速部入力軸83は、電動機出力軸41と同軸状に配置されている。第二減速部入力軸83は、軸受(図示せず)により、その中心軸C3回りに回転自在に支持されている。
【0027】
減速部80は、第一クラッチ70で増速部出力軸62とプロペラ駆動軸21とが接続状態のときに、増速部出力軸62の回転を減速させてプロペラ駆動軸21に伝達する。減速部80は、後述する第二クラッチ90で電動機出力軸41とプロペラ駆動軸21とが接続状態のときに、電動機出力軸41の回転を減速させてプロペラ駆動軸21に伝達する。減速部80は、増速部出力軸62、電動機出力軸41の回転を減速させてプロペラ駆動軸21に伝達するよう、第一減速ギヤ81A、第二減速ギヤ81B、及び第三減速ギヤ81Cによる減速比が設定されている。ここで、増速部60にける増速比と、減速部80における減速比は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0028】
減速部80において、第一減速部入力軸82(増速部出力軸62)とプロペラ駆動軸21との間の第二減速ギヤ81B、第三減速ギヤ81Cによる減速比は、例えば、3.0~10.0とすることができる。さらに、減速部80における第二減速ギヤ81B、第三減速ギヤ81Cによる減速比は、4.0~8.0としてもよい。この実施形態では、減速部80における第二減速ギヤ81B、第三減速ギヤ81Cによる減速比は、例えば4.0に設定されている。
【0029】
減速部80において、第二減速部入力軸83(電動機出力軸41)とプロペラ駆動軸21との間の第一減速ギヤ81A、第二減速ギヤ81B、及び第三減速ギヤ81Cによる減速比は、例えば、2.0~4.0とすることができる。さらに、減速部80における第一減速ギヤ81A、第二減速ギヤ81B、及び第三減速ギヤ81Cによる減速比は、2.0~3.0としてもよい。この実施形態では、減速部80における第一減速ギヤ81A、第二減速ギヤ81B、及び第三減速ギヤ81Cによる減速比は、例えば2.5に設定されている。
なお、減速部80を構成する減速ギヤ81の数、ギヤ比は、適宜変更してもよい。
【0030】
(第二クラッチの構成)
第二クラッチ90は、電動機出力軸41と、減速部80の第二減速部入力軸83との間に配置されている。第二クラッチ90は、電動機出力軸41とプロペラ駆動軸21との接続・非接続を切り換える。第二クラッチ90は、パッド91と、ディスク92と、駆動シリンダー(図示せず)と、を備えている。
【0031】
パッド91は、電動機出力軸41の先端に接合されている。パッド91は、電動機出力軸41と一体に回転する。ディスク92は、第二減速部入力軸83の他端に接合されている。ディスク92は、第二減速部入力軸83と一体に回転する。パッド91とディスク92とは、例えば油圧駆動、電動等の駆動シリンダー(図示せず)によって、互いに接近・離間するように船首尾方向FAに進退駆動される。
【0032】
第二クラッチ90は、パッド91とディスク92とが互いに突き合わされることによって、電動機出力軸41と第二減速部入力軸83とが接続された接続状態となる。接続状態では、電動機出力軸41の回転が第二減速部入力軸83に伝達される。第二クラッチ90は、パッド91とディスク92とが離間されることによって、電動機出力軸41と第二減速部入力軸83とが切り離された非接続状態となる。非接続状態では、電動機出力軸41の回転は、第二減速部入力軸83に伝達されない(非伝達)。
【0033】
図4に示すように、上記のような推進部20では、第一クラッチ70を接続状態とし、第二クラッチ90を非接続状態とすると、主機30の主機出力軸31の回転が、増速部60、第一クラッチ70、減速部80の第二減速ギヤ81B、第三減速ギヤ81Cを介してプロペラ駆動軸21に伝達される。電動機40の電動機出力軸41の回転は、プロペラ駆動軸21に非伝達とされる。これにより、主機30のみにより、プロペラ駆動軸21(プロペラ22)が回転駆動される。なお、電動機40を軸発電機として使用する場合には、第二クラッチ90は接続状態とされ、主機30の主機出力軸31の回転が、増速部60、第一クラッチ70、減速部80の第二減速ギヤ81B、第二減速部入力軸83、及び第二クラッチ90を介して電動機出力軸41に伝達される。
【0034】
図5に示すように、上記のような推進部20では、第一クラッチ70を非接続状態とし、第二クラッチ90を接続状態とし、電動機40を作動させると、電動機出力軸41が回転して、この電動機出力軸41の回転が、第二クラッチ90、減速部80の第一減速ギヤ81A、第二減速ギヤ81B、及び第三減速ギヤ81Cを介してプロペラ駆動軸21に伝達される。主機30の主機出力軸31の回転は、プロペラ駆動軸21に非伝達とされる。これにより、電動機40により、プロペラ駆動軸21(プロペラ22)が回転駆動される。
【0035】
(車両搭載甲板の構成)
図3に示すように、本実施形態の船舶1は、車両搭載甲板101、102を備えている。車両搭載甲板101は、乾舷甲板5である。車両搭載甲板102は、上側甲板6である。
【0036】
この実施形態において、主機30の上部30tは、車両搭載甲板101(乾舷甲板5)よりも上方まで延びている。このため、船体2の船尾2b側の機関室10の上方において、車両搭載甲板101は、第一車両搭載甲板101Aと、第二車両搭載甲板101Bとを備えている。第一車両搭載甲板101Aは、船幅方向Dwの第一側(右舷の舷側3B側)に形成されている。第二車両搭載甲板101Bは、船幅方向Dw第二側(左舷の舷側3A側)に配置されている。第二車両搭載甲板101Bは、第一車両搭載甲板101Aに対して、船幅方向Dwに間隔をあけて配置されている。主機30の上部30tは、第一車両搭載甲板101Aと第二車両搭載甲板101Bとの間の空間に収容されている。
【0037】
この実施形態において、主機30は、船幅方向Dwの中心Dwcに対して船幅方向Dwの第一側にオフセットして配置されている。これに応じて、第一車両搭載甲板101Aの船幅方向Dwの幅寸法W1よりも、第二車両搭載甲板101Bの船幅方向Dwの幅寸法W2の方が大きくなるように形成されている。例えば、第一車両搭載甲板101Aの幅寸法W1は、車両200を船幅方向Dwに2列に並べて搭載できるように設定されている。第二車両搭載甲板101Bの幅寸法W2は、車両200を船幅方向Dwに2列に並べて搭載するとともに、ランプウェイ103を設置できるように設定されている。
【0038】
図1に示すように、ランプウェイ103は、船首尾方向FAに延びている。ランプウェイ103は、車両搭載甲板101と、その直上に配置された車両搭載甲板102との間で斜めに延びている。ランプウェイ103の一端は、第二車両搭載甲板101B(車両搭載甲板101)に接続され、ランプウェイ103の他端は、車両搭載甲板102に接続されている。
【0039】
(船舶の航行方法)
次に、上記船舶1の航行方法について説明する。
図6に示すように、この実施形態における船舶1の航行方法S10は、主機航行工程S11と、不具合発生判定工程S12と、切替工程S13と、電動機航行工程S14と、を含む。
【0040】
主機航行工程S11では、船舶1を、主機30によりプロペラ駆動軸21を回転させる通常航行モードで航行させる。この通常航行モードでは、図4に示すように、第一クラッチ70を接続状態とし、第二クラッチ90を非接続状態とする。すると、主機30の主機出力軸31の回転が、増速部60、第一クラッチ70,減速部80の第二減速ギヤ81B、第三減速ギヤ81Cを介してプロペラ駆動軸21に伝達される。電動機40の電動機出力軸41の回転は、プロペラ駆動軸21に非伝達とされる。これにより、主機30によりプロペラ駆動軸21が回転駆動され、プロペラ22が回転して船舶1が推進される。なお、上述した通り、電動機40を軸発電機として使用する場合は、第二クラッチ90は接続状態としてもよい。
【0041】
不具合発生判定工程S12では、主機30に不具合等が発生しているか否かを判定する。この判定は、船舶1に配置された主機30の監視装置等によって自動的に行ってもよいし、主機30のオペレオーターの判断により行ってもよい。
主機30に不具合等が発生していなければ、主機航行工程S11を継続する。主機30に不具合等が発生している場合、切替工程S13に移行する。
【0042】
切替工程S13では、船舶1の航行モードを、通常航行モードから非常用航行モードに切り替える。すなわち、図5に示すように、第一クラッチ70を非接続状態とし、第二クラッチ90を接続状態とする。
【0043】
切替工程S13の完了後、電動機航行工程S14に移行する。電動機航行工程S14では、船舶1を、非常用航行モードで航行させる。非常用航行モードでは、電動機40を作動させる。すると、電動機40の電動機出力軸41の回転が、第二クラッチ90,減速部80の第一減速ギヤ81A、第二減速ギヤ81B、及び第三減速ギヤ81Cを介してプロペラ駆動軸21に伝達される。この状態では、第一クラッチ70を非接続であるため、主機30の主機出力軸31の回転は、プロペラ駆動軸21に非伝達となる。これにより、電動機40によりプロペラ駆動軸21を回転駆動し、プロペラ22を回転させて船舶1を推進させることができる。
【0044】
(作用効果)
上記実施形態の船舶1によれば、主機出力軸31の回転が、増速部60で増速されて増速部出力軸62に伝達されている。さらに、第一クラッチ70では、増速部出力軸62とプロペラ駆動軸21との接続・非接続が切り換え可能とされている。
これにより、上記実施形態の船舶1では、第一クラッチ70には、主機出力軸31よりも増速されて回転する増速部出力軸62の回転トルクが入力される。そのため、増速部出力軸62の回転トルクは、増速部60における増速比に応じ、主機出力軸31の回転トルクよりも小さくなる。これにより、第一クラッチ70に必要とされるクラッチ容量が小さくて済み、第一クラッチ70を用いて、主機30と電動機40とで、一軸のプロペラ駆動軸21を選択的に回転駆動させる構成を実現可能となる。その結果、主機出力軸31の回転トルクが大きい主機30を備えた船舶1において一つの主機30で一軸のプロペラ駆動軸21を駆動する構成であっても冗長性を確保することが可能となる。
【0045】
上記実施形態では、船舶1は、増速部出力軸62の回転を減速させてプロペラ駆動軸21に伝達する減速部80をさらに備えている。
これにより、第一クラッチ70を経て伝達される増速部出力軸62の回転は、減速部80で減速されてプロペラ駆動軸21に伝達される。そのため、プロペラ駆動軸21、及びプロペラ22を、より大きな回転トルクで回転駆動させることができる。
【0046】
上記実施形態では、船舶1は、電動機出力軸41とプロペラ駆動軸21との接続・非接続を切り換える第二クラッチ90と、をさらに備える。
これにより、必要に応じて、電動機出力軸41をプロペラ駆動軸21に接続することができる。主機30によりプロペラ駆動軸21を回転駆動させる場合には、第二クラッチ90で電動機出力軸41をプロペラ駆動軸21から切り離しておくことができる。また、電動機40によりプロペラ駆動軸21を回転駆動させる場合には、第一クラッチ70で増速部出力軸62(主機出力軸31)をプロペラ駆動軸21から切り離し、第二クラッチ90で電動機出力軸41をプロペラ駆動軸21に接続することができる。
【0047】
上記実施形態では、船舶1は、主機30及び主機出力軸31が、船幅方向Dwの中心Dwcに対して第一側に配置され、増速部出力軸62、及び電動機40が、船幅方向Dwの中心Dwcに対して第二側に配置されている。
これにより、増速部60、第一クラッチ70等を介して接続される主機30及び主機出力軸31と、電動機40とを、船幅方向Dwで異なる位置に配置することができる。これにより、船体2内の空間を有効に利用することが可能となる。
【0048】
上記実施形態では、主機30を船幅方向Dwの中心Dwcよりも第一側に配置することで、船幅方向Dwの第二側に、船幅方向Dwの第一側の第一車両搭載甲板101Aよりも、船幅方向Dwの幅寸法W2が大きい第二車両搭載甲板101Bを配置することができる。したがって、第二車両搭載甲板101Bには、階層が異なる他の甲板に対しての車両200のアクセスを可能とするランプウェイ103を配置しつつ、車両200の搭載スペースをより広く確保することができる。
【0049】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、減速部80を備える構成としたが、増速部60で増速させた増速部出力軸62の回転を減速せずに、そのままプロペラ駆動軸21に伝達するようにしてもよい。このような構成とすれば、プロペラ駆動軸21及びプロペラ22の回転速度が高まる。これにより、推進力を確保しつつ、プロペラ22を小型化することが可能となる。
【0050】
また、上記実施形態では、電動機40の電動機出力軸41を減速部80の第一減速ギヤ81Aに接続し、増速部出力軸62を第二減速ギヤ81Bに接続するようにしたが、これに限られない。電動機出力軸41を第二減速ギヤ81Bに接続し、増速部出力軸62を第一減速ギヤ81Aに接続するようにしてもよい。もちろん、電動機出力軸41、増速部出力軸62を上記以外の減速ギヤ81に接続してもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態では、電動機40の電動機出力軸41と、減速部80の第二減速部入力軸83との間に、第二クラッチ90を配置する場合について説明した。しかし、第二クラッチ90を設けずに、電動機出力軸41と第二減速部入力軸83とを直結するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、電動機40の電動機出力軸41を軸切換装置50の減速部80に接続するようにしたが、これに限られない。例えば、電動機出力軸41は、プロペラ駆動軸21に、直接、又は他の減速機を介して接続するようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、主機30の故障発生時等に、電動機40でプロペラ駆動軸21を回転駆動させるようにしたが、これに限られない。船舶1の通常航行時においても、主機30によるプロペラ駆動軸21の駆動力をアシストするように、主機30と電動機40とで、プロペラ駆動軸21を回転駆動させるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、上下二層の車両搭載甲板101,102を備えるようにしたが、その層数は、適宜変更可能である。また、第一車両搭載甲板101A、第二車両搭載甲板101Bの幅寸法W1,W2も、船舶1の規模に応じて適宜変更可能である。さらに、幅寸法W2が大きい第二車両搭載甲板101Bに、ランプウェイ103を配置するようにしたが、ランプウェイ103以外の各種設備等を配置するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、主機30及び主機出力軸31がプロペラ駆動軸21の中心軸C1に対して船幅方向Dwの第一側にオフセットして配置されている、いわゆる横異芯の場合について説明した。しかし、横異心に限られず、例えば、主機30及び主機出力軸31がプロペラ駆動軸21の中心軸C1に対して船高さ方向にオフセットして配置される、いわゆる縦異芯としてもよい。このように縦異芯とすることで、船体2内において中心軸C1の船高さ方向のスペースを有効利用することが可能となる。
【0054】
<付記>
実施形態に記載の船舶1、船舶1の航行方法は、例えば以下のように把握される。
【0055】
(1)第1の態様に係る船舶1は、船体2と、前記船体2内に配置された推進部20と、を備え、前記推進部20は、主機出力軸31を有した主機30と、前記主機出力軸31の回転が増速されて伝達される増速部出力軸62を有した増速部60と、前記船体2の外部に配置されたプロペラ22を回転させるプロペラ駆動軸21と、前記増速部出力軸62と前記プロペラ駆動軸21との接続・非接続を切り換える第一クラッチ70と、前記第一クラッチ70で前記増速部出力軸62と前記プロペラ駆動軸21とが非接続状態のときに、前記プロペラ駆動軸21を回転駆動可能な電動機40と、を備える。
【0056】
この船舶1において、前記主機出力軸31の回転は、前記増速部60で増速されて増速部出力軸62に伝達される。第一クラッチ70は、増速部出力軸62とプロペラ駆動軸21との接続・非接続を切り換える。そのため、第一クラッチ70には、主機出力軸31よりも増速されて回転する増速部出力軸62の回転トルクが入力される。増速部出力軸62の回転トルクは、増速部60の増速比に応じて主機出力軸31の回転トルクよりも小さくなる。これにより、第一クラッチ70に必要とされるクラッチ容量が小さくて済むので、第一クラッチ70を用いて、主機30と電動機40とで一軸のプロペラ駆動軸21を選択的に回転駆動させる構成を実現可能となる。したがって、主機出力軸31の回転トルクが大きい主機30を備えた船舶1において、一つの主機30で一軸のプロペラ駆動軸21を駆動する構成であっても、冗長性を確保することが可能となる。
【0057】
(2)第2の態様に係る船舶1は、(1)の船舶1であって、前記第一クラッチ70と前記プロペラ駆動軸21との間に配置され、前記第一クラッチ70で前記増速部出力軸62と前記プロペラ駆動軸21とが接続状態のときに、前記増速部出力軸62の回転を減速させて前記プロペラ駆動軸21に伝達する減速部80をさらに備える。
【0058】
これにより、第一クラッチ70を経て伝達される増速部出力軸62の回転は、減速部80で減速されてプロペラ駆動軸21に伝達される。そのため、プロペラ駆動軸21、及びプロペラ22を、より大きな回転トルクで回転駆動させることができる。
【0059】
(3)第3の態様に係る船舶1は、(1)又は(2)の船舶1であって、前記電動機40により回転駆動される電動機出力軸41と、前記電動機出力軸41と前記プロペラ駆動軸21との接続・非接続を切り換える第二クラッチ90と、をさらに備える。
【0060】
これにより、必要に応じて、電動機出力軸41をプロペラ駆動軸21に接続することができる。主機30によりプロペラ駆動軸21を回転駆動させる場合には、第二クラッチ90で電動機出力軸41をプロペラ駆動軸21から切り離しておくことができる。また、電動機40によりプロペラ駆動軸21を回転駆動させる場合には、第一クラッチ70で増速部出力軸62(主機出力軸31)をプロペラ駆動軸21から切り離し、第二クラッチ90で電動機出力軸41をプロペラ駆動軸21に接続することができる。
【0061】
(4)第4の態様に係る船舶1は、(1)から(3)の何れか一つの船舶1であって、前記主機30及び前記主機出力軸31が、前記船体2の船幅方向Dwの中心Dwcに対して第一側に配置され、前記増速部出力軸62、及び前記電動機40が、前記船体2の船幅方向Dwの中心Dwcに対して第二側に配置されている。
【0062】
これにより、増速部60、第一クラッチ70等を介して接続される主機30及び主機出力軸31と、電動機40とを、船幅方向Dwに並列させて配置することができる。これにより、船体2内の空間を有効に利用することが可能となる。
【0063】
(5)第5の態様に係る船舶1、船舶1の航行方法は、(4)船舶1であって、前記船体2内に、車両200を搭載可能な車両搭載甲板101を備え、前記車両搭載甲板101は、前記主機30の上部に対して前記船幅方向Dwの第一側に配置された第一車両搭載甲板101Aと、前記主機30の上部30tに対して前記船幅方向Dwの第二側に配置され、前記第一車両搭載甲板101Aよりも前記船幅方向Dwの幅寸法が大きい第二車両搭載甲板101Bと、を有している。
【0064】
このように主機30を船幅方向Dwの中心Dwcよりも第一側に配置することで、船幅方向Dwの第二側に、船幅方向Dwの第一側の第一車両搭載甲板101Aよりも、船幅方向Dwの幅寸法W2が大きい第二車両搭載甲板101Bを配置することができる。したがって、第二車両搭載甲板101Bには、階層が異なる他の甲板に対しての車両200のアクセスを可能とするランプウェイ103等を配置しつつ、車両200の搭載スペースをより広く確保することができる。
【0065】
(6)第6の態様に係る船舶1の航行方法S10は、(1)から(5)の何れか一つの船舶1の航行方法であって、前記第一クラッチ70で前記主機出力軸31と前記プロペラ駆動軸21とを接続し、前記主機30により前記プロペラ駆動軸21を回転駆動する工程S11と、前記第一クラッチ70で前記主機出力軸31と前記プロペラ駆動軸21とを切り離す工程S13と、前記電動機40により前記プロペラ駆動軸21を回転駆動する工程S14と、を含む。
【0066】
これにより、主機出力軸31の回転トルクが大きい主機30を備えた船舶1において、一つの主機30で一軸のプロペラ駆動軸21を駆動する構成であっても、主機30に不具合等が発生している際に、電動機40によりプロペラ駆動軸21を回転駆動し、船舶1の航行を継続させることが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1…船舶
2…船体
2b…船尾
3A、3B…舷側
4…船底
5…乾舷甲板
6…上側甲板
7…甲板
8…上甲板
10…機関室
20…推進部
21…プロペラ駆動軸
22…プロペラ
30…主機
30t…上部
31…主機出力軸
40…電動機
41…電動機出力軸
50…軸切換装置
51…ギヤボックス
60…増速部
61…増速ギヤ
61A…第一増速ギヤ
61B…第二増速ギヤ
61C…第三増速ギヤ
62…増速部出力軸
70…第一クラッチ
71…パッド
72…ディスク
80…減速部
81…減速ギヤ
81A…第一減速ギヤ
81B…第二減速ギヤ
81C…第三減速ギヤ
82…第一減速部入力軸
83…第二減速部入力軸
85…スラスト軸受
90…第二クラッチ
91…パッド
92…ディスク
101、102…車両搭載甲板
101A…第一車両搭載甲板
101B…第二車両搭載甲板
103…ランプウェイ
200…車両
C1~C5…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6