(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080627
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/12 20060101AFI20220523BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191812
(22)【出願日】2020-11-18
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発/高温動作可能なシリコンフォトニクス光モジュール技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】517177464
【氏名又は名称】アイオーコア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 茂
(72)【発明者】
【氏名】芝 和宏
(72)【発明者】
【氏名】栗原 充
(72)【発明者】
【氏名】藏田 和彦
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AA05
2H137AB01
2H137AB08
2H137AB11
2H137AC05
2H137BA04
2H137BA31
2H137BA34
2H137BA36
2H137BA42
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2H137BA53
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2H137BB25
2H137BC16
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2H137DB14
2H137EA02
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2H137EA05
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2H137HA05
2H147AB02
2H147AB04
2H147AB05
2H147AB09
2H147AB10
2H147AB15
2H147BB02
2H147BB03
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2H147BG04
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2H147CA15
2H147CA18
2H147CB01
2H147CB03
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2H147DA10
2H147DA15
2H147EA10D
2H147EA13C
2H147EA16A
2H147EA16B
2H147FB03
2H147FC08
2H147FC09
2H147FE02
2H147GA19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板上の機能素子に対する光結合効率の高い光モジュールを提供する。
【解決手段】光モジュール100は、基板102と平行に配設された第1光導波路104と、第1光導波路内を伝搬された光を基板へ向けて反射させ集光させるように構成された集光ミラー112aと、集光ミラーによって反射された光を基板の表面近傍へ導く第2光導波路106であって、基板に向かって細くなるテーパー形状に形成された第2光導波路と、第2光導波路から出射された光が入射されるように基板上に配置された光機能部108と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と平行に配設された第1光導波路と、
前記第1光導波路内を伝搬された光を前記基板へ向けて反射させ集光させるように構成された集光ミラーと、
前記集光ミラーによって反射された光を前記基板の表面近傍へ導く第2光導波路であって、前記基板に向かって細くなるテーパー形状に形成された第2光導波路と、
前記第2光導波路から出射された光が入射されるように前記基板上に配置された光機能部と、
を備える光モジュール。
【請求項2】
前記集光ミラーは、前記第1光導波路の端面に形成されたミラーである、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記集光ミラーは、前記第1光導波路の前記端面を全反射面とするミラーである、請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記集光ミラーは、前記第1光導波路の出射端面に接して配置されたプリズムの内部反射面である、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記集光ミラーと空気との間に金属膜または誘電体膜を有する、請求項2から4のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記集光ミラーは、前記第1光導波路の出射端面から離れて配置され、前記集光ミラーと前記第1光導波路の前記出射端面との間に透明固体媒質が充填される、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記光モジュールはさらに、前記基板上に透明膜を備え、
前記第2光導波路は、前記基板の表面に対して垂直または斜めに立設し、
前記光機能部は、受光素子であり、
前記第2光導波路からの出射光は、前記透明膜を介して前記受光素子へ入射し、
前記第2光導波路の前記基板側における端部の径は、前記受光素子の有効受光径よりも小さい、
請求項1から6のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記第2光導波路の前記基板側における端部の径は、前記端部から出射された光の前記受光素子上におけるスポットサイズが前記受光素子の前記有効受光径と同じまたは同程度となるように設定されている、請求項7に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記光モジュールはさらに、前記基板上に透明膜を備え、
前記第2光導波路は、前記基板の表面に対して垂直または斜めに立設し、
前記光機能部は、受光素子であり、
前記透明膜は、前記受光素子に対応する部分に穴または凹部を有し、
前記第2光導波路の前記基板側における端部は、前記透明膜の前記穴または凹部に入り込んでいる、
請求項1から6のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記透明膜は、UV吸収膜である、請求項7から9のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項11】
基板と平行に配設された第1光導波路と、
前記基板の表面に対して垂直または斜めに立設した第2光導波路と、
前記第1光導波路と前記第2光導波路との間で光を伝達する球面または非球面ミラーと、
を備える光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光電気混載基板に設けた送受信機において、光信号を検出する光受光素子は高速化に伴い有効受光面積が小さくなる。そのため薄型かつ限られたスペースの中で高効率な光接続を実現することが求められる。また、光電気混載基板上の受光素子の上面に光電気混載基板作製の際に不可欠なUV吸収層が付加されているが、光結合においてはこのUV吸収層が損失増加の一因となっている。さらに、光電気混載基板は他の電気回路基板とともに用い、高速動作のため半導体素子の発熱が著しく、不活性液体に浸漬する液浸冷却が求められることがある。その際、空気中の空間光学系を用いていると、媒質が空気から不活性液体に置き換わる。そのため媒質の屈折率が変わりレンズの集光性能が劣化し動作不良が容易に発生することが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/012213号
【特許文献2】国際公開第2014/156962号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、基板上の機能素子に対する光結合効率の高い光モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、基板と平行に配設された第1光導波路と、前記第1光導波路内を伝搬された光を前記基板へ向けて反射させ集光させるように構成された集光ミラーと、前記集光ミラーによって反射された光を前記基板の表面近傍へ導く第2光導波路であって、前記基板に向かって細くなるテーパー形状に形成された第2光導波路と、前記第2光導波路から出射された光が入射されるように前記基板上に配置された光機能部と、を備える光モジュールである。
【0006】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記集光ミラーは、前記第1光導波路の端面に形成されたミラーである。
【0007】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記集光ミラーは、前記第1光導波路の前記端面を全反射面とするミラーである。
【0008】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記集光ミラーは、前記第1光導波路の出射端面に接して配置されたプリズムの内部反射面である。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記集光ミラーと空気との間に金属膜または誘電体膜を有する。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記集光ミラーは、前記第1光導波路の出射端面から離れて配置され、前記集光ミラーと前記第1光導波路の前記出射端面との間に透明固体媒質が充填される。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記光モジュールはさらに、前記基板上に透明膜を備え、前記第2光導波路は、前記基板の表面に対して垂直または斜めに立設し、前記光機能部は、受光素子であり、前記第2光導波路からの出射光は、前記透明膜を介して前記受光素子へ入射し、前記第2光導波路の前記基板側における端部の径は、前記受光素子の有効受光径よりも小さい。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記第2光導波路の前記基板側における端部の径は、前記端部から出射された光の前記受光素子上におけるスポットサイズが前記受光素子の前記有効受光径と同じまたは同程度となるように設定されている。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記光モジュールはさらに、前記基板上に透明膜を備え、前記第2光導波路は、前記基板の表面に対して垂直または斜めに立設し、前記光機能部は、受光素子であり、前記透明膜は、前記受光素子に対応する部分に穴または凹部を有し、前記第2光導波路の前記基板側における端部は、前記透明膜の前記穴または凹部に入り込んでいる。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記透明膜は、UV吸収膜である。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、基板と平行に配設された第1光導波路と、前記基板の表面に対して垂直または斜めに立設した第2光導波路と、前記第1光導波路と前記第2光導波路との間で光を伝達する球面または非球面ミラーと、を備える光モジュールである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板上の機能素子に対する光結合効率の高い光モジュールが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る光モジュール100の断面構成図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る光モジュール200の断面構成図である。
【
図3】本発明の第3実施形態に係る光モジュール300の断面構成図である。
【
図4】本発明の第4実施形態に係る光モジュール400の断面構成図である。
【
図5】本発明の第5実施形態に係る光モジュール500の断面構成図である。
【
図6】本発明の第6実施形態に係る光モジュール600の断面構成図である。
【
図7】本発明の第7実施形態に係る光モジュール700の断面構成図である。
【
図8】本発明の第8実施形態に係る光モジュール800の断面構成図である。
【
図9】本発明の第9実施形態に係る光モジュール900の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る光モジュール100の断面構成図である。光モジュール100は、基板102と、第1光導波路104と、第2光導波路106と、受光素子108と、プリズム112とを備える。
図1は光モジュール100をその断面方向から見た図であるため1組の第1光導波路104、第2光導波路106、受光素子108、およびプリズム112しか描かれていないが、複数組の第1光導波路104、第2光導波路106、受光素子108、およびプリズム112が、
図1における断面と垂直な方向に配列されていてもよい。
【0020】
基板102は、Si(シリコン)基板またはSOI(Silicon on Insulator)基板であり、その表面にシリコンフォトニクス技術を用いて受光素子108やその他の機能素子が集積されている。その他の機能素子の例は、光変調器、Si導波路、グレーティングカプラ等である。半導体レーザが基板102上に実装されていてもよい。
【0021】
基板102上には、高屈折率の第2光導波路106と、低屈折率のクラッド層107が形成されている。第2光導波路106は、基板102に対して垂直または斜めに立設して形成され、その周囲をクラッド層107が取り囲んでいる。第2光導波路106の基板102に対する傾斜角は、例えば0~10°の範囲である。第2光導波路106の基板102側の端部は、第2光導波路106の当該端部から出射された光が受光素子108に入るように、受光素子108の直上に位置している。このような基板102に立設した第2光導波路106は、例えば、基板102上に所定厚で塗布したUV硬化性樹脂に基板102の上方向から細いUV光ビームを照射して、UV硬化性樹脂を、UV光ビームが通った部分だけ柱状に硬化させることによって、作製することができる。なお、第2光導波路106が基板102に対して斜めに立設して形成される態様においては、UV光ビームが基板102表面で斜め方向に反射することによりUV硬化性樹脂の意図しない部分までもが硬化してしまうことを避けるために、好適には、基板102の表面に、UV光ビームを吸収しその反射を抑えるためのUV吸収膜114があらかじめ形成される。
【0022】
第2光導波路106の基板102と反対側の端部の上には、プリズム112が、その互いに直角な2つの端面のうちの一方を基板102側に向けて配置される。さらに、プリズム112の互いに直角な2つの端面のうちの他方に接して、第1光導波路104が、基板102と平行に配設される。第1光導波路104は、光ファイバや、基板102上に成膜されたポリマー、ガラス、Si等を微細加工した導波路など、任意のタイプの光導波路であってよい。
【0023】
上記のような構成により、第1光導波路104内をプリズム112の方向へ伝搬した光は、プリズム112内でプリズム112の斜面112aによって反射(全反射)されて第2光導波路106に入り、第2光導波路106の反対側(すなわち基板102側)の端部から出射して受光素子108へと入射される。
【0024】
ここで、第1光導波路104には、例えば、コア径が50μm程度であるマルチモード光導波路(例えばマルチモード光ファイバ)が用いられる。一方、受光素子108(フォトダイオード)は、一般にその受光径が小さいほどキャパシタンスが小さいため高速な応答が可能である。例えば、10Gbpsの光信号を受信できるように設計されたフォトダイオードは25μm程度の受光径を有し、50Gbps用のフォトダイオードでは受光径は10μm程度となる。したがって、高速応答可能な受光素子108の受光径は第1光導波路104のコア径よりも小さいため、受光素子108における受光効率(例えば、第1光導波路104を伝送される光のパワーに対する、受光素子108に取り込まれた光のパワーの割合として定義される)が低下しないようにすることが求められる。
【0025】
第1光導波路104を通って伝送された光を受光素子108に高効率に結合するために、第2光導波路106は、基板102に向かってその径が細くなるテーパー形状に形成される。第1光導波路104からの出射光は、このような形状の第2光導波路106を通ることでそのスポットサイズが絞り込まれ、第2光導波路106の基板102側の端部から出射される。受光素子108は、この絞り込まれた光を無駄なく受け取ることができる。
【0026】
第2光導波路106のテーパー角(あるいは第2光導波路106の単位長さ当りの径の変化量)は、第1光導波路104のコア径と受光素子108の受光径との差に応じて決定される。しかしながら、このテーパー角がある角度よりも大きくなると(すなわち第2光導波路106の単位長さ当りの径の変化量が所定のある値よりも大きくなると)、第2光導波路106内を基板102側へ向かって進む光の複数のモードのうちの一部が、第2光導波路106とクラッド層107との界面で全反射されずに第2光導波路106の外部、すなわちクラッド層107へと漏れ出すことが起こり得る。例えば、プリズム112の内部反射面112aが平面である場合には、そのような光の漏れ出しはより顕著となる。このように、テーパー形状の第2光導波路106を用いるだけでは、受光素子108における受光効率の低下を完全に抑えることは困難である。
【0027】
高速応答可能な受光素子108(すなわち受光径の小さな受光素子108)が採用された光モジュール100においてもテーパー形状の第2光導波路106からクラッド層107への光の漏れ出しを低減するために、プリズム112の斜面112aは、球面または非球面の凸面(プリズム112内部から見ると凹面)に形成される。すなわち、プリズム112の内部反射面112aは、球面または非球面の集光ミラーとして機能するように構成されている。したがって、第1光導波路104から出射されてプリズム112の内部反射面112aで反射(全反射)された光は、集光された光となって第2光導波路106内を伝搬する。これにより、第2光導波路106内を基板102側へ向かって進む光の各モードは、第2光導波路106とクラッド層107との界面により浅い角度で入射するようになり、当該界面で全反射される。よって、第2光導波路106のテーパー角が大きくても、すなわち受光径の小さな受光素子108が用いられた構成であっても、第2光導波路106からクラッド層107への光の漏れ出しが防止または低減され、その結果、第2光導波路106から受光素子108へ高効率に光を結合させることができる。
【0028】
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係る光モジュール200の断面構成図である。
図2において、前述の第1実施形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付す。光モジュール200は、プリズム112の反射面112aの外面に反射膜112bを備える。反射膜112bは、例えば金属膜または誘電体多層膜である。
【0029】
光モジュール200は、各種の電気部品・電気回路(例えば、基板102上に集積または実装された受光素子108や半導体レーザを動作させるためのIC等)とともに不図示のインターポーザ基板あるいはマザーボード上に搭載されることが可能である。このようにして組み立てられた光電気混載モジュールは、実使用の際に、発熱するIC等を効率良く冷却するために、不活性液体中に浸漬されることがある(液浸冷却)。光電気混載モジュールが液体中に浸漬されると、光モジュール200の内部にも液体が浸入し、プリズム112の反射面112aの外面が液体で覆われてしまうおそれがある。
【0030】
前述した第1実施形態に係る光モジュール100では、プリズム112の反射面112aの外面に反射膜112bが設けられていないので、浸入した液体が直接、プリズム112の反射面112aに接する。そのため、空気とは屈折率の異なる液体がプリズム112の界面に存在することによって、プリズム112の反射面112aにおける光の反射角が変化し、第1光導波路104からの光が正しく第2光導波路106に結合しなくなる。
【0031】
一方、第2実施形態に係る光モジュール200によれば、プリズム112上に設けられた反射膜112bがプリズム112の反射面112aでの反射を制御し、モジュール内部に浸入した不活性液体がプリズム112内の光の伝搬に影響を与えることはない。したがって、第2実施形態に係る光モジュール200が搭載された光電気混載モジュールは、液浸冷却によって効率良く冷却することが可能である。
【0032】
<第3実施形態>
図3は、本発明の第3実施形態に係る光モジュール300の断面構成図である。
図3において、前述の第1実施形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付す。光モジュール300は、プリズム112を備える代わりに、第1光導波路104の端面に形成された全反射ミラー104aを備える。
【0033】
ミラー104aは、第1光導波路104の端面を球面または非球面の凸面に研磨することによって形成することができる。これにより、第1光導波路104の端面104aは、球面または非球面の集光ミラーとして機能する。したがって、第1光導波路104内を進む光は、導波路端面の全反射ミラー104aで反射されるとともに集光されて、第2光導波路106を基板102方向へと進行する。これにより、第1実施形態と同様に、第2光導波路106のテーパー角が大きくても第2光導波路106からクラッド層107への光の漏れ出しが防止または低減され、その結果、第2光導波路106から受光素子108へ高効率に光を結合させることができる。
【0034】
<第4実施形態>
図4は、本発明の第4実施形態に係る光モジュール400の断面構成図である。
図4において、前述の第3実施形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付す。光モジュール400は、第1光導波路104の端面に形成された全反射ミラー104aの外面に反射膜104bを備える。反射膜104bは、例えば金属膜または誘電体多層膜である。
【0035】
前述した第2実施形態と同様に、第4実施形態に係る光モジュール400によれば、第1光導波路104の端面上に形成された反射膜104bが当該端面(すなわちミラー104a)での光反射を制御し、光モジュール400の内部に浸入した不活性液体が当該端面での光反射に影響を与えることはない。したがって、第4実施形態に係る光モジュール400が搭載された光電気混載モジュールは、液浸冷却によって効率良く冷却することが可能である。
【0036】
<第5実施形態>
図5は、本発明の第5実施形態に係る光モジュール500の断面構成図である。
図5において、前述の第1実施形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付す。光モジュール500は、プリズム112の代わりに、第1光導波路104の出射端面から離れて配置されたミラー116を備える。
【0037】
ミラー116は、例えば、金属製部材を鏡面研磨したミラー、あるいは樹脂製部材の表面に金属膜または誘電体多層膜を形成したミラーであってよい。ミラー116の反射面は、球面または非球面の凹面を有する。すなわち、ミラー116は、球面または非球面の集光ミラーである。したがって、第1光導波路104から出射された光は、ミラー116で反射されるとともに集光されて、第2光導波路106を基板102方向へと進行する。これにより、第1実施形態と同様に、第2光導波路106のテーパー角が大きくても第2光導波路106からクラッド層107への光の漏れ出しが防止または低減され、その結果、第2光導波路106から受光素子108へ高効率に光を結合させることができる。
【0038】
ミラー116と第1光導波路104の出射端面との間の空間には、固体、ゲル、液体、または空気からなる透明媒質117が充填されている。なかでも、透明媒質117は、固体またはゲル(例えば透明な樹脂)であることが好ましい。透明媒質117が固体またはゲルである構成においては、光モジュール500が液体に浸漬されても、第1光導波路104から出射された光が第2光導波路106に入射されるまでの光路中にその液体が入り込むことはない。したがって、第5実施形態に係る光モジュール500が搭載された光電気混載モジュールは、液浸冷却によって効率良く冷却することが可能である。
【0039】
<第6実施形態>
図6は、本発明の第6実施形態に係る光モジュール600の断面構成図である。
図6において、前述の第1実施形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付す。
図6は、第2光導波路106の基板102側の端部と受光素子108の近傍を拡大して示している。本実施形態の構成は、前述した第1~第5実施形態の各光モジュールに適用することが可能である。
【0040】
図6に示されるように、第2光導波路106の基板102側の端部はUV吸収膜114の上面に位置しており、第2光導波路106内を基板102側へ向かって伝搬し当該端部から出射された光は、UV吸収膜114を通過して受光素子108に入射する。UV吸収膜114の屈折率は、通常、第2光導波路106の屈折率よりも小さいので、第2光導波路106の端部からの出射光は、UV吸収膜114内を進むにつれてそのスポットサイズが拡がる。第2光導波路106からの出射光の受光素子108上におけるスポットサイズが受光素子108の受光面よりも大きくなると、一部の光が受光素子108に入らなくなり受光効率が低下する。
【0041】
UV吸収膜114内でスポットサイズが拡がることによる受光効率の低下を防ぐために、第2光導波路106の基板102側の端部の径(すなわち、テーパー構造の最も細い部分の径)は、受光素子108の受光径(すなわち、光を取り込むことができる窓の径)よりも小さく形成されている。これにより、第2光導波路106の基板102側の端部の径が受光素子108の受光径と同じであるような構成と比べて、第2光導波路106からの出射光の受光素子108上におけるスポットサイズが小さくなり、受光効率の低下を抑えることができる。
【0042】
より好適には、第2光導波路106の基板102側の端部の径φは、第2光導波路106からの出射光の受光素子108上におけるスポットサイズが受光素子108の受光径φPDと同じか同程度となるように設定される。これにより、受光素子108は第2光導波路106からの出射光を無駄なく受け取ることができ、受光効率の低下が防止される。
【0043】
<第7実施形態>
図7は、本発明の第7実施形態に係る光モジュール700の断面構成図である。
図7において、前述の第1実施形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付す。
図7は、第2光導波路106の基板102側の端部と受光素子108の近傍を拡大して示している。本実施形態の構成は、前述した第1~第5実施形態の各光モジュールに適用することが可能である。
【0044】
図7に示されるように、UV吸収膜114は、受光素子108の上部に穴115を有している。穴115の径は、受光素子108の受光径と同程度かそれよりやや大きい。第2光導波路106の基板102側の端部は、UV吸収膜114に設けられた穴115の中に入り込んでおり、受光素子108の表面(受光面)に接している。なお、受光素子108の表面と第2光導波路106の先端との間にごく薄い(例えば1μm以下)膜が存在していてもよい。また、穴115はUV吸収膜114を貫通しない凹部であってもよい。凹部115は、例えば、UV吸収膜114の厚さの半分以上の深さを有するのが好ましい。
【0045】
このような構成により、第2光導波路106の端部からの出射光は、受光素子108に直接、または薄い膜(例えば凹部115の底部に残っているUV吸収膜114の薄い部分)を介して入射される。したがって、当該出射光のスポットサイズが受光素子108上で拡がることを防止または抑えることができ、これにより受光効率の低下が防止される。
【0046】
なお、UV吸収膜114の穴または凹部115は、基板102上に第2光導波路106を作製するのに先立って、例えば、UV吸収膜114にフォトリソグラフィーまたはレーザアブレーション加工を施すことによって形成することができる。前述したように、UV吸収膜114は第2光導波路106を作製する際に基板102からのUV光の反射によってUV硬化性樹脂の意図しない部分が硬化してしまうことを避けるためのものであるが、穴115の部分のUV吸収膜114が無かったとしても、基板102からのUV反射光は穴115の周囲のUV吸収膜114によって吸収されるので、UV吸収膜114の目的は損なわれない。
【0047】
<第8実施形態>
図8は、本発明の第8実施形態に係る光モジュール800の断面構成図である。
図8において、前述の第1実施形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付す。本実施形態は、前述した第1~第7実施形態に対する変形例を提供する。
【0048】
光モジュール800は、第2光導波路106の基板102側の端部の下に、受光素子108ではなくグレーティングカプラ118を備える。グレーティングカプラ118は、第1~第7実施形態における受光素子108とは異なる光機能部の例である。グレーティングカプラ118は、第3光導波路120(例えばSi導波路)に接続され、第3光導波路120の他端には、受光素子108が配置される。グレーティングカプラ118、第3光導波路120、および受光素子108は、基板102の表面に形成されている。
【0049】
第2光導波路106の基板102側の端部から出射された光は、グレーティングカプラ118によって回折されて第3光導波路120を伝搬し、受光素子108へ入射する。受光素子108は、光の入射方向が光吸収層と平行な導波路型フォトダイオードである(これに対し、第1~第7実施形態における受光素子108は、光の入射方向が光吸収層と垂直な面型フォトダイオードである)。本実施形態の光モジュール800も、第1~第7実施形態と同様の効果を奏する。
【0050】
<第9実施形態>
図9は、本発明の第9実施形態に係る光モジュール900の断面構成図である。
図9において、上述の第8実施形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付す。本実施形態は、第8実施形態に対するさらなる変形例を提供する。
【0051】
光モジュール900は、第3光導波路120の他端に配置された受光素子108の代わりに半導体レーザ122を備える。本実施形態の光モジュール900においても、光機能部(グレーティングカプラ118)と第1光導波路104との間の光結合効率を高めることが可能である。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
100 光モジュール
102 基板
104 第1光導波路
104a ミラー
106 第2光導波路
107 クラッド層
108 受光素子
112 プリズム
112a 内部反射面
114 UV吸収膜
115 穴または凹部
116 ミラー
117 透明媒質
118 グレーティングカプラ
120 第3光導波路
122 半導体レーザ