(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008063
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】分岐管形成装置及び分岐管形成方法
(51)【国際特許分類】
F16L 55/00 20060101AFI20220105BHJP
F16L 41/06 20060101ALI20220105BHJP
B23B 51/04 20060101ALI20220105BHJP
B23B 41/08 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F16L55/00 C
F16L41/06
B23B51/04 E
B23B41/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075133
(22)【出願日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2020079115
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020173127
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】堀川 剛
(72)【発明者】
【氏名】桑垣 大介
【テーマコード(参考)】
3C036
3C037
3H019
【Fターム(参考)】
3C036AA18
3C037AA03
3C037AA05
3H019CA01
3H019CB01
3H019CB02
(57)【要約】
【課題】作業効率の高い分岐管形成装置及び分岐管形成方法を提供する。
【解決手段】不断流状態で既設管Wの外周面の一部を穿孔機により穿孔して形成された穿孔口Waと連通する分岐管2を形成するために既設管Wに装着される分岐管形成装置100であって、既設管Wの軸芯Xと分岐管2の軸芯Yが含まれる平面に沿った割面3a,4aを有し、互いに密封状態で締結部材Bにより連結される第一分割部材3および第二分割部材4を備え、第一分割部材3と第二分割部材4との連結部位には、穿孔口Waとカッター収容空間Spを介して対向する連結開口部33,43が形成されており、連結開口部33,43が分岐管2の端部2Aを密封状態で挟持している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不断流状態で既設管の外周面の一部を穿孔機により穿孔して形成された穿孔口と連通する分岐管を形成するために当該既設管に装着される分岐管形成装置であって、
前記既設管の軸芯および前記分岐管の軸芯が含まれる平面に沿った割面を有し、互いに密封状態で締結部材により連結される第一分割部材および第二分割部材を備え、
前記第一分割部材は、前記穿孔機のカッターが通過可能な開口を有する筒部を有しており、
前記第一分割部材と前記第二分割部材との間には、前記平面に垂直な方向に沿って形成された前記穿孔口に隣接する位置で前記カッターを収容可能なカッター収容空間が形成されており、
前記筒部の軸芯は、前記カッター収容空間における前記既設管の外周面よりも前記分岐管の側に位置しており、
前記第一分割部材と前記第二分割部材との連結部位には、前記穿孔口と前記カッター収容空間を介して対向する連結開口部が形成されており、当該連結開口部が前記分岐管の端部を密封状態で挟持している分岐管形成装置。
【請求項2】
前記カッター収容空間には、前記既設管の外径よりも小径の前記カッターが収容される請求項1に記載の分岐管形成装置。
【請求項3】
前記穿孔機のセンタードリルを内挿して案内する筒状の案内筒を更に備え、
前記案内筒は、前記第二分割部材から前記割面よりも前記開口の側に延在している請求項1又は2に記載の分岐管形成装置。
【請求項4】
前記穿孔機のセンタードリルを内挿して案内する筒状の案内筒を更に備え、
前記案内筒の軸芯は、前記割面に対して垂直である請求項1又は2に記載の分岐管形成装置。
【請求項5】
前記穿孔機のセンタードリルを内挿して案内する筒状の案内筒と、
前記第二分割部材の底部に載置されると共に当該案内筒と連結される平板部材と、を更に備え、
前記第二分割部材の前記底部には、前記平板部材を収容する収容凹部と、当該収容凹部の中央に前記案内筒の端部が係合される係合凹部又は係合凸部と、が形成されている請求項1又は2に記載の分岐管形成装置。
【請求項6】
前記平板部材は、分割された複数の分割板で構成されている請求項5に記載の分岐管形成装置。
【請求項7】
前記平板部材の外縁部には、前記穿孔口の側に突出した環状凸部が形成されている請求項5又は6に記載の分岐管形成装置。
【請求項8】
前記案内筒の端部には、径方向外側に突出し前記平板部材と連結される突出部が形成されており、
前記突出部の内部には、前記センタードリルの外周面に形成された環状凹部に係合可能な係合部材と、当該係合部材を前記環状凹部に向かう径方向内側に付勢する付勢部材と、が収容されている請求項5から7のいずれか一項に記載の分岐管形成装置。
【請求項9】
前記係合部材には、前記センタードリルの先端に当接可能なテーパー面が形成されており、
前記センタードリルの先端が前記テーパー面に当接することにより前記付勢部材の付勢力に対抗して前記係合部材が径方向外側に移動する請求項8に記載の分岐管形成装置。
【請求項10】
前記案内筒には、前記既設管の外周面のうち鉛直方向下側に当接するボルトが螺合されている請求項3から9のいずれか一項に記載の分岐管形成装置。
【請求項11】
不断流状態で既設管の外周面の一部を穿孔機により穿孔して形成された穿孔口と連通する分岐管を形成するために当該既設管に装着される分岐管形成装置であって、
互いに密封状態で締結部材により連結される第一分割部材および第二分割部材を備え、
前記第一分割部材と前記第二分割部材との間には、前記穿孔口に隣接する位置で前記穿孔機のカッターを収容可能なカッター収容空間が形成されており、
前記カッターは、切削チップを先端に含む円筒状のホールソーを有しており、
前記ホールソーには、振動を吸収する円盤形状の制振部材が内挿されており、
前記制振部材の外周端面には、前記ホールソーの内周面に当接する弾性部材が固定されている分岐管形成装置。
【請求項12】
前記弾性部材は、前記ホールソーの回転軸芯方向視において前記切削チップと重複しないよう複数に分割されている請求項11に記載の分岐管形成装置。
【請求項13】
前記穿孔口に防食部材を装着する装着治具を更に備え、
前記装着治具は、前記分岐管の軸芯方向から前記防食部材を前記穿孔口に押付可能且つ前記防食部材から離脱可能な伸縮機構を有している請求項1から12のいずれか一項に記載の分岐管形成装置。
【請求項14】
前記防食部材は、前記穿孔口の形状に沿う環状防食シールと、当該環状防食シールの内周面に当接するテーパー面により前記環状防食シールを拡径する拡張部材と、を含んでいる請求項13に記載の分岐管形成装置。
【請求項15】
請求項1から14の何れか一項に記載の分岐管形成装置を用いた分岐管形成方法であって、
前記第一分割部材および前記第二分割部材を前記既設管に配置する分割部材配置工程と、
前記第一分割部材と前記第二分割部材との間に前記分岐管の端部を挟持して、前記第一分割部材と前記第二分割部材とを締結部材により密封状態に連結する分割部材連結工程と、
前記第一分割部材に前記穿孔機を装着する穿孔機装着工程と、
前記分岐管に設けられた仕切弁を閉弁する分岐流路閉塞工程と、
前記カッター収容空間に前記カッターを移動させて、前記カッター収容空間と隣接する位置に前記穿孔口を形成する穿孔口形成工程と、を含む分岐管形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不断流状態で既設管の外周面の一部を穿孔機により穿孔して形成された穿孔口と連通する分岐管を形成するために既設管に装着される分岐管形成装置及び分岐管形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分岐管形成装置は、例えば、老朽化した既設の水道管(既設管)を新設の水道管に不断流状態で更新する際に用いられる。分岐管形成方法とは、次のような方法である。分岐管形成装置を既設の水道管の外周に水密状態で設置し、分岐管形成装置と一体形成された接続管を分岐管と連結する。そして、分岐管形成装置内に設けられたカッター収容空間に穿孔機のカッターを挿入し、既設の水道管の外周面の一部を穿孔(ハーフカット)して穿孔口を形成し、この穿孔口が分岐管と連通することにより、流路を切り替えることが可能となる。そして、既設の水道管に設置された2つの分岐管形成装置の間の既設管を撤去すれば、既設の水道管の老朽化した区間が分岐管(新設の水道管)に更新される。
【0003】
特許文献1に記載された分岐管形成装置(文献では接続ケース)は、既設管の軸芯と分岐管の軸芯が含まれる平面に垂直な方向で分割された半割部材を溶接で接合して形成されており、接続ケースと一体形成された接続管(文献では筒部分)と分岐管との両フランジがボルト,ナットで固定されている。この接続ケースには、弁装置(文献では筒ケース)がフランジ連結され、この弁装置に作業用ケース(文献では有底筒ケース)がフランジ連結されている。この作業用ケースは、穿孔機や穿孔後に接続ケースを閉塞するための蓋挿入器具のケースとして用いられる。また、接続ケースのカッター収容空間には、穿孔機のセンタードリルが挿入されて案内される筒状の案内筒(文献では抱持部材)が、接続ケースの底壁に下方から螺合されるボルトにより固定されている。
【0004】
特許文献2には、従来のような蓋挿入器具としても機能する弁装置が開示されている。
特許文献2に記載の弁装置は、管路(文献では分岐管部)の流路を遮断する弁体として機能すると共に、管路を閉塞する閉塞蓋としても機能する弁体兼用蓋を備えている。この弁体兼用蓋を閉塞蓋として固定する際には、分岐管部のフランジの貫通孔に下方からボルトを挿入し、弁装置の筐体本体の天板の挿入孔に対して上方からナットを挿入し、当該ボルト,ナットを螺合する操作が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60-201808号公報
【特許文献2】特開2018-123963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の分岐管形成装置は、半割部材が溶接で接合されているため、作業効率が低下してしまう。また、分岐管形成装置に接続される分岐管には、地震等により曲げ力や引張力が作用するため、接続ケースの接続管と分岐管とのフランジ連結部分や半割部材の溶接部分から漏水するおそれがあった。
【0007】
そこで、作業効率の高い分岐管形成装置及び分岐管形成方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る分岐管形成装置の特徴構成は、不断流状態で既設管の外周面の一部を穿孔機により穿孔して形成された穿孔口と連通する分岐管を形成するために当該既設管に装着される分岐管形成装置であって、前記既設管の軸芯および前記分岐管の軸芯が含まれる平面に沿った割面を有し、互いに密封状態で締結部材により連結される第一分割部材および第二分割部材を備え、前記第一分割部材は、前記穿孔機のカッターが通過可能な開口を有する筒部を有しており、前記第一分割部材と前記第二分割部材との間には、前記平面に垂直な方向に沿って形成された前記穿孔口に隣接する位置で前記カッターを収容可能なカッター収容空間が形成されており、前記筒部の軸芯は、前記カッター収容空間における前記既設管の外周面よりも前記分岐管の側に位置しており、前記第一分割部材と前記第二分割部材との連結部位には、前記穿孔口と前記カッター収容空間を介して対向する連結開口部が形成されており、当該連結開口部が前記分岐管の端部を密封状態で挟持している点にある。
【0009】
本構成では、分岐管形成装置を構成する第一分割部材および第二分割部材が、既設管の軸芯と分岐管の軸芯が含まれる平面に沿った割面で密封状態に連結されている。このため、例えば、第二分割部材を鉛直方向下側に配置した状態で第二分割部材の上に第一分割部材を装着することが可能となり、第二分割部材の内部のカッター収容空間が視認できると共に締結部材を上側から操作して第一分割部材を第二分割部材に連結させることができる。その結果、既設管を更新する際の作業効率を高めることが可能となる。
【0010】
また、第一分割部材と第二分割部材との連結開口部には分岐管の端部が密封状態で挟持されているため、地震等により分岐管に曲げ力や引張力が作用した場合でも、分岐管が柔軟に微小移動することが可能となり、連結開口部にかかる負荷を低減することができる。しかも、第一分割部材にカッターが通過可能な開口を有する筒部を形成し、両分割部材の割面(連結面)が既設管の軸芯と分岐管の軸芯が含まれる平面に沿っているため、割面(連結面)が該平面に垂直な場合に比べて、穿孔機の振動が割面に直接作用せず、穿孔作業のカッター軸芯のずれが少ない。この筒部の軸芯は、カッター収容空間における既設管の外周面よりも分岐管の側に位置しているため、カッターにより穿孔される穿孔口は既設管の半分以下の断面領域とすることが可能となり、既設管の強度を維持できる。このように、作業効率が高く耐震性能に優れた分岐管形成装置を提供できた。
【0011】
他の特徴構成は、前記カッター収容空間には、前記既設管の外径よりも小径の前記カッターが収容される点にある。
【0012】
本構成によれば、カッター収容空間をコンパクトにすることが可能となるため、分岐管形成装置の小型化を図ることができる。
【0013】
他の特徴構成は、前記穿孔機のセンタードリルを内挿して案内する筒状の案内筒を更に備え、前記案内筒は、前記第二分割部材から前記割面よりも前記開口の側に延在している点にある。
【0014】
本構成のように、案内筒が割面よりもカッターが通過する開口の側まで延在していれば、センタードリルの案内が確実なものとなり、カッター軸芯のずれを無くし、精度よく穿孔口を形成することができる。
【0015】
他の特徴構成は、前記穿孔機のセンタードリルを内挿して案内する筒状の案内筒を更に備え、前記案内筒の軸芯は、前記割面に対して垂直である点にある。
【0016】
本構成のように、案内筒の軸芯が割面に対して垂直であれば、穿孔機の振動が割面に直接作用し難く、穿孔作業のカッター軸芯ずれが少ない。
【0017】
他の特徴構成は、前記穿孔機のセンタードリルを内挿して案内する筒状の案内筒と、前記第二分割部材の底部に載置されると共に当該案内筒と連結される平板部材と、を更に備え、前記第二分割部材の前記底部には、前記平板部材を収容する収容凹部と、当該収容凹部の中央に前記案内筒の端部が係合される係合凹部又は係合凸部と、が形成されている点にある。
【0018】
本構成のように、第二分割部材に平板部材を収容する収容凹部を設け、この収容凹部の中央に案内筒の端部が係合される係合凹部又は係合凸部を設ければ、案内筒の位置決めが容易であり、カッター軸芯のずれを無くし、精度よく穿孔口を形成することができる。しかも、第二分割部材に設けた収容凹部により案内筒の端部が係合されるので、第二分割部材の下方からボルトを螺合して案内筒を固定する必要が無く、作業効率が高い。
【0019】
他の特徴構成は、前記平板部材は、分割された複数の分割板で構成されている点にある。
【0020】
本構成のように、平板部材を分割板で構成すれば、第二分割部材を鉛直方向下側に配置した状態でカッター収容空間を視認しながら、順に分割板を設置することが可能となり、作業効率が向上する。
【0021】
他の特徴構成は、前記平板部材の外縁部には、前記穿孔口の側に突出した環状凸部が形成されている点にある。
【0022】
本構成のように、平板部材の外縁部に穿孔口の側に突出した環状凸部を設ければ、環状凸部の内側空間に、既設管に穿孔口を形成した際に生じる切屑を収容することが可能となるため、切屑を既設管や分岐管に流出させることを防止できる。しかも、平板部材の外縁部に環状凸部を設けるだけで良いので、製造コストを低減できる。
【0023】
他の特徴構成は、前記案内筒の端部には、径方向外側に突出し前記平板部材と連結される突出部が形成されており、前記突出部の内部には、前記センタードリルの外周面に形成された環状凹部に係合可能な係合部材と、当該係合部材を前記環状凹部に向かう径方向内側に付勢する付勢部材と、が収容されている点にある。
【0024】
本構成のように、平板部材と案内筒とを連結するための突出部の内部に、係合部材および付勢部材を設ければ、係合部材をセンタードリルと係合させて、穿孔機を撤去する際に案内筒及び平板部材も同時に回収することが可能となる。しかも、突出部の内部に係合部材及び付勢部材を収容しているため、案内筒の軸長を短縮することが可能となるため、分岐管形成装置の小型化を図ることができる。
【0025】
他の特徴構成は、前記係合部材には、前記センタードリルの先端に当接可能なテーパー面が形成されており、前記センタードリルの先端が前記テーパー面に当接することにより前記付勢部材の付勢力に対抗して前記係合部材が径方向外側に移動する点にある。
【0026】
本構成のように、係合部材にテーパー面を設ければ、センタードリルを案内筒に挿入するだけで案内筒及び平板部材を穿孔機に係合させることが可能となり、作業効率が高まる。
【0027】
他の特徴構成は、前記案内筒には、前記既設管の外周面のうち鉛直方向下側に当接するボルトが螺合されている点にある。
【0028】
本構成のように、既設管の外周面のうち鉛直方向下側に当接するボルトを案内筒に螺合すれば、穿孔機の振動を受けても案内筒の姿勢が安定し、カッター軸芯の位置ずれを確実に防止することができる。
【0029】
本発明に係る分岐管形成装置の特徴構成は、不断流状態で既設管の外周面の一部を穿孔機により穿孔して形成された穿孔口と連通する分岐管を形成するために当該既設管に装着される分岐管形成装置であって、互いに密封状態で締結部材により連結される第一分割部材および第二分割部材を備え、前記第一分割部材と前記第二分割部材との間には、前記穿孔口に隣接する位置で前記穿孔機のカッターを収容可能なカッター収容空間が形成されており、前記カッターは、切削チップを先端に含む円筒状のホールソーを有しており、前記ホールソーには、振動を吸収する円盤形状の制振部材が内挿されており、前記制振部材の外周端面には、前記ホールソーの内周面に当接する弾性部材が固定されている点にある。
【0030】
本構成のように、ホールソーに内挿される制振部材の外周端面にはホールソーの内周面に当接する弾性部材が固定されていれば、この弾性部材がホールソーの振動を吸収するので、ホールソーの振れを抑制して迅速且つ円滑に穿孔作業を実施することができる。このように、作業効率が高い分岐管形成装置となっている。
【0031】
他の特徴構成は、前記弾性部材は、前記ホールソーの回転軸芯方向視において前記切削チップと重複しないよう複数に分割されている点にある。
【0032】
本構成のように、弾性部材が切削チップと重複しない位置に分割配置されていれば、弾性部材を傷つけること無く、制振部材をホールソーの内部に挿入することができる。
【0033】
他の特徴構成は、前記穿孔口に防食部材を装着する装着治具を更に備え、前記装着治具は、前記分岐管の軸芯方向から前記防食部材を前記穿孔口に押付可能且つ前記防食部材から離脱可能な伸縮機構を有している点にある。
【0034】
本構成のように、穿孔口に防食部材を装着する装着治具が伸縮機構を有していれば、穿孔口と対向する連結開口部を活用して、分岐管の軸芯方向から防食部材を穿孔口に押付けることが可能となるため、防食部材を確実に装着できる。また、この伸縮機構により防食部材から装着治具を離脱させて回収すれば、装着治具が分岐管の流路を妨げることも無い。
【0035】
他の特徴構成は、前記防食部材は、前記穿孔口の形状に沿う環状防食シールと、当該環状防食シールの内周面に当接するテーパー面により前記環状防食シールを拡径する拡張部材と、を含んでいる点にある。
【0036】
本構成のように、防食部材が環状防食シールを拡径する拡張部材を含んでいれば、環状防食シールを穿孔口に確実に密着させることができる。
【0037】
本発明に係る分岐管形成方法の特徴は、上記何れかの分岐管形成装置を用いた分岐管形成方法であって、前記第一分割部材および前記第二分割部材を前記既設管に配置する分割部材配置工程と、前記第一分割部材と前記第二分割部材との間に前記分岐管の端部を挟持して、前記第一分割部材と前記第二分割部材とを締結部材により密封状態に連結する分割部材連結工程と、前記第一分割部材に前記穿孔機を装着する穿孔機装着工程と、前記分岐管に設けられた仕切弁を閉弁する分岐流路閉塞工程と、前記カッター収容空間に前記カッターを移動させて、前記カッター収容空間と隣接する位置に前記穿孔口を形成する穿孔口形成工程と、を含む点にある。これにより、作業効率が高い分岐管形成方法となっている。
【0038】
本発明に係る分岐管形成方法の特徴は、不断流状態で既設管の外周面の一部を穿孔機により穿孔して形成された穿孔口と連通する分岐管を形成する分岐管形成方法であって、第一分割部材の割面と第二分割部材の割面とが前記既設管の軸芯および前記分岐管の軸芯が含まれる平面に沿うように、前記第一分割部材および前記第二分割部材を前記既設管に配置する分割部材配置工程と、前記第一分割部材と前記第二分割部材との連結開口部に前記分岐管の端部を挟持して、前記第一分割部材と前記第二分割部材とを締結部材により密封状態に連結する分割部材連結工程と、前記第一分割部材に前記穿孔機を装着する穿孔機装着工程と、前記分岐管に設けられた仕切弁を閉弁する分岐流路閉塞工程と、前記第一分割部材と前記第二分割部材との間に形成されたカッター収容空間に前記穿孔機のカッターを移動させて、前記カッター収容空間と隣接する位置に前記穿孔口を形成する穿孔口形成工程と、を含む点にある。
【0039】
本方法では、分岐管形成装置を構成する第一分割部材および第二分割部材が、既設管の軸芯と分岐管の軸芯が含まれる平面に沿った割面で密封状態に連結されている。このため、例えば、第二分割部材を鉛直方向下側に配置した状態で第二分割部材の上に第一分割部材を装着することが可能となり、第二分割部材の内部のカッター収容空間が視認できると共に締結部材を上側から操作して第一分割部材を第二分割部材に連結させることができる。その結果、既設管を更新する際の作業効率を高めることが可能となる。
【0040】
また、第一分割部材と第二分割部材との連結開口部には分岐管の端部が密封状態で挟持されているため、地震等により分岐管に曲げ力や引張力が作用した場合でも、分岐管が柔軟に微小移動することが可能となり、連結開口部にかかる負荷を低減することができる。しかも、連結開口部に挟持される分岐管に仕切弁を設け、仕切弁を閉弁して分岐流路を閉塞した後に穿孔口を形成するため、既設管に複数の穿孔口を夫々独立して設けることが可能となり、作業効率が高い。このように、作業効率が高く耐震性能に優れた分岐管形成方法を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図2】分岐管形成装置を鉛直方向に切断した断面斜視図である。
【
図3】水道管に分岐管形成装置を装着した状態を示す平面図である。
【
図8】アタッチメントを装着した分岐管形成装置の断面図である。
【
図9】アタッチメント装着工程を示す斜視図である。
【
図10】穿孔工程を示す分岐管形成装置を鉛直方向に切断した断面斜視図である。
【
図17】作業用機器撤去後の分岐管形成装置を鉛直方向に切断した断面斜視図である。
【
図20】水道管に分岐管形成装置を装着した状態を示す平面図である。
【
図21】水道管に分岐管形成装置を装着した状態を示す平面図である。
【
図22】別実施形態1に係る分岐管形成装置の側面図である。
【
図23】別実施形態2に係る分岐管形成装置を用いた穿孔工程を示す断面図である。
【
図24】別実施形態3に係る弁蓋を用いた閉弁工程を示す断面図である。
【
図25】別実施形態4に係る分岐管形成装置に分岐管を装着した状態を示す断面図である。
【
図26】別実施形態4に係る分岐管形成装置に分岐管を装着した状態を示す第二分割部材の平面図である。
【
図27】別実施形態5に係る分岐管形成装置に分岐管を装着した状態を示す断面図である。
【
図28】別実施形態6に係る分岐管形成装置に穿孔機を装着した状態を示す断面図である。
【
図29】別実施形態6に係る穿孔工程を示す断面図である。
【
図30】別実施形態6に係るカッター及び制振部材を示す斜視図である。
【
図31】別実施形態7に係る分岐管形成装置を用いて、穿孔口に防食部材を装着する前の状態を示す断面図である。
【
図32】別実施形態7に係る分岐管形成装置を用いて、穿孔口に防食部材を装着する状態を示す断面図である。
【
図33】別実施形態7に係る分岐管形成装置を用いて、穿孔口に防食部材を装着した後の状態を示す断面図である。
【
図34】別実施形態7に係る防食部材を示す分解斜視図である。
【
図35】別実施形態7に係る環状防食シールを示す図である。
【
図36】別実施形態8に係る密封試験工程を示す断面図である。
【
図37】別実施形態8に係る弁箱装着工程を示す断面図である。
【
図38】別実施形態8に係る弁操作部材を示す拡大斜視図である。
【
図39】別実施形態9に係る蓋交換工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明に係る分岐管形成装置及び分岐管形成方法の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、分岐管形成装置及び分岐管形成方法の一例として、流体配管系を構成する水道管W(既設管の一例)の更新,耐震化工事の際に水道管Wに装着される分岐管形成装置100、及び、分岐管形成装置100を用いた分岐管形成方法として説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0043】
図1及び
図2に示すように、分岐管形成装置100は、不断流状態で水道管W(既設管の一例)の外周面の一部を穿孔機1により穿孔して形成された穿孔口Waと連通する分岐管2を形成するために水道管Wに装着される分割構造の割T字管で構成されている。この分岐管形成装置100は、水道管Wの軸芯Xおよび分岐管2の軸芯Yが含まれる平面に沿った割面3a,4aを有し、互いに密封状態で締結部材Bにより連結される第一分割部材3および第二分割部材4と、第一分割部材3の筒部31(管路の一例)の開口部31a(端部)を閉塞する蓋体5(弁体兼用蓋の一例)と、を備えている。ここで、「水道管Wの軸芯Xおよび分岐管2の軸芯Yが含まれる平面に沿った割面3a,4a」とは、水道管Wの軸芯Xと分岐管2の軸芯Yが含まれる平面上又は該平面と略平行な面上に割面3a,4aがあることを意味する。本実施形態における水道管W,分岐管2及び分岐管形成装置100は、鋳鉄管、鋼管等で構成される同種の材料を用いて成形されている。第一分割部材に開口部31aを形成しているため、第一分割部材3および第二分割部材4に跨って開口を形成する場合に比べて、鋳造が容易である。なお、水道管Wと分岐管2又は分岐管形成装置100とを異なる材料を用いて成形しても良い。
【0044】
本実施形態における分岐管形成装置100は、第一分割部材3が鉛直方向上側に配置されると共に第二分割部材4が鉛直方向下側に配置されるように水道管Wの外周面に沿って装着されており、第一分割部材3の第一割面3aと第二分割部材4の第二割面4aとは、地面に平行な水平面に沿っている。以下、重力方向を下、その反対方向を上として説明することがある。
【0045】
図2及び
図3に示すように、分岐管2の端部フランジ2Aが第一分割部材3及び第二分割部材4の連結開口部33,43に挟持されている。本実施形態における分岐管2は、短管21と仕切弁Vを有する連結管22との両フランジ21a,22aがボルト23,ナット24により連結されている。連結管22のフランジ22aの反対側のフランジ22bには、他の連結管が連結される。
【0046】
図4及び
図6に示すように、第一分割部材3は、半割部材で構成されており、水道管Wの外周面に沿う半円筒状の第一本体部32と、第一本体部32から分岐管2の側に延出し、分岐管2の外周面に沿う半円筒状の第一連結開口部33と、第一本体部32及び第一連結開口部33に跨って上側に延出する円筒状の筒部31と、を有している。
【0047】
第一本体部32は、水道管Wの外周面に沿って湾曲した第一湾曲部32aと、第一湾曲部32aから水道管Wの側方に突出形成した第一フランジ部32bとを有している。この第一湾曲部32aには、平面視で水道管Wの軸芯Xと交差する対角線上に一対の貫通孔部32a1が形成されており、この一対の貫通孔部32a1には、水道管Wの外周面に先端が当接する位置固定ボルト38が挿入され、第一本体部32の内面に回り止め状態で収納されたナット39に螺合される(
図6も参照)。この位置固定ボルト38が水道管Wの外周面に当接することにより、第一分割部材3が回転しないように水道管Wに位置固定される。また、第一フランジ部32bには、締結部材Bを構成するボルトBaが挿入され、このボルトBaが螺合させるナットBbが配置される複数(本実施形態では4箇所)の第一貫通孔部32b1が軸芯Xに沿って形成されている(
図1も参照)。
【0048】
第一連結開口部33は、分岐管2の端部フランジ2Aの外周面に沿って湾曲した第一分岐湾曲部33aと、第一分岐湾曲部33aから水道管Wの軸芯Xに沿って突出した一対の第一分岐フランジ部33bとを有している。この一対の第一分岐フランジ部33bには、締結部材Bを構成するボルトBaが挿入され、このボルトBaが螺合させるナットBbが配置される複数(本実施形態では夫々の第一分岐フランジ部33bに2箇所ずつ)の第一貫通孔部33b1が形成されている(
図1も参照)。
【0049】
これら第一本体部32の第一フランジ部32b及び第一連結開口部33の内面の外縁部には、平面視矩形状の第一割面3aが形成されている。この第一割面3aと第一湾曲部32aの内面とに亘って、第一シール部材S1が嵌合される平面視矩形状の第一シール溝3a1が形成されている。第一シール部材S1が、水道管Wの外周面及び分岐管2の端部フランジ2Aの外周面に密着することにより、第一分割部材3が水道管W及び分岐管2に対して密封状態となる。
【0050】
筒部31は、穿孔機1のホールソー11(カッターの一例)が通過可能な開口を有する開口部31aと、第一本体部32及び第一連結開口部33に連設される基端部31bとを有している。筒部31の軸芯Zは、ホールソー11の回転軸芯と一致しており、水道管Wの軸芯Xよりも分岐管2の側で、且つ、平面視で水道管Wと重複しない位置となっている(
図8及び
図12も参照)。換言すると、筒部31の軸芯Zは、カッター収容空間Spにおける水道管Wの外周面よりも分岐管2の側に位置している。これにより、ホールソー11により穿孔される穿孔口Waは水道管Wの半分以下の断面領域となり、水道管Wの強度を維持できる。開口部31aには、後述する当接ボルトTの先端が当接する環状凹部31a1(端部外周面の一例)が形成されている(
図2も参照)。基端部31bには、後述するアタッチメント7を固定する埋込ボルトUが螺合される孔部31c1を有する複数(本実施形態では周方向に等間隔に配置された4箇所)の柱状部31cが、径方向外側に突出形成されている。これら複数の柱状部31cの天面は、アタッチメント7を載置する座面31c2を構成しており、これら座面31c2は、アタッチメント7の姿勢を水平に維持するために同一平面上に配置されている。
【0051】
図5及び
図6に示すように、第二分割部材4は、半割部材で構成されており、水道管Wの外周面に沿う半円筒状の第二本体部42と、第二本体部42から分岐管2の側に延出し、分岐管2の外周面に沿う半円筒状の第二連結開口部43と、第二本体部42及び第二連結開口部43に跨って内面側から見て下側に平面視円形状に窪んだ底部41と、を有している。
【0052】
第二本体部42は、水道管Wの外周面に沿って湾曲した第二湾曲部42aと、第二湾曲部42aから水道管Wの側方に突出形成した第二フランジ部42bとを有している。この第二湾曲部42aには、平面視で水道管Wの軸芯Xと交差する対角線上に一対の貫通孔部42a1が形成されており、この一対の貫通孔部42a1には、第一分割部材3と同様に水道管Wの外周面に先端が当接する位置固定ボルト38が挿入され、第二本体部42の内面に回り止め状態で収納されたナット39に螺合される。この位置固定ボルト38が水道管Wの外周面に当接することにより、第二分割部材4が回転しないように水道管Wに位置固定される。また、第二フランジ部42bには、締結部材Bを構成するボルトBaが挿入される複数(本実施形態では4箇所)の第二貫通孔部42b1が軸芯Xに沿って形成されている。
【0053】
第二連結開口部43は、分岐管2の端部フランジ2Aの外周面に沿って湾曲した第二分岐湾曲部43aと、第二分岐湾曲部43aから水道管Wの軸芯Xに沿って突出した一対の第二分岐フランジ部43bと、を有している。この一対の第二分岐フランジ部43bには、締結部材Bを構成するボルトBaが挿入される複数(本実施形態では夫々の第二分岐フランジ部43bに2箇所ずつ)の第二貫通孔部43b1が形成されている。
【0054】
これら第二本体部42の第二フランジ部42b及び第二連結開口部43の内面の外縁部には、平面視矩形状の第二割面4aが形成されている。この第二割面4aと第二湾曲部42aの内面とに亘って、第二シール部材S2が嵌合される平面視矩形状の第二シール溝4a1が形成されている。第二シール部材S2が、水道管Wの外周面及び分岐管2の端部フランジ2Aの外周面に密着することにより、第二分割部材4が水道管W及び分岐管2に対して密封状態となる。また、第一割面3aの第一シール溝3a1に嵌合された第一シール部材S1と、第二割面4aの第二シール溝4a1に嵌合された第二シール部材S2とが互いに圧接されることにより、第一分割部材3と第二分割部材4との隙間を密閉する。
【0055】
底部41は、後述する平板部材9を収容する平面視円形状の収容凹部41aと、収容凹部41aの中央に後述する案内筒8の端部が係合される平面視円形状の係合凹部41bとを有している(
図8も参照)。収容凹部41aは、底部41を下側に窪ませて形成されており、係合凹部41bは、収容凹部41aの中央を更に下側に窪ませて形成されている。また、収容凹部41aには、係合凹部41bと隣接する外周側に上側に突出させた平面視円環状の円環状凸部41cが形成されており、この円環状凸部41cの上面は、後述する案内筒8の突出部82が載置される載置面41c1となっている(
図11も参照)。この載置面41c1は、水道管Wの軸芯Xと分岐管2の軸芯Yが含まれる平面と平行な平面である。このような構成から、円環状凸部41cの外周側には円環状溝41dが形成されており、この円環状溝41dに平板部材9が載置されることとなる。
【0056】
図1及び
図2に示すように、第一分割部材3の筒部31の開口部31aを閉塞する蓋体5は、底壁51と底壁51の外縁部から立設する側壁52とを有している。この蓋体5は、管路としての筒部31の流路を遮断する弁体として機能すると共に、筒部31を閉塞する閉塞蓋としても機能する。以下、蓋体5を収容する弁箱6を含めて「弁体兼用蓋」と称する場合がある。
【0057】
底壁51は、平面視円形状の平板部材であり、その外面には、弁操作部材Vkと係合可能な弧状の長溝51a(係合部の一例)が形成されている(
図13~
図14も参照)。弁操作部材Vkの端部が長溝51aの一端から他端まで回動することにより、蓋体5が弁箱6の内部をスライド移動する。その結果、蓋体5が筒部31の開口を閉塞する閉弁状態と、蓋体5が筒部31の開口から離間する開弁状態とに切り替えることができる。また、底壁51の外縁部のうち長溝51aとは反対側の部位には、後述する側壁ピース53を固定する固定ボルトKが挿入される複数(本実施形態では2箇所)の貫通孔51bが形成されている。さらに、底壁51の外縁部の内面には、環状シール部材S3が嵌合される環状シール溝51cが形成されており、この環状シール部材S3が筒部31の開口部31aの上面に密着することにより、蓋体5が第一分割部材3の筒部31を密封する。なお、底壁51は、平面視円形状に限定されず、例えば、平面視矩形状に構成しても良い。
【0058】
側壁52は、底壁51の外縁部の一部に設けられており、底壁51の半円以上(180度以上)の領域に亘って一体的に突出する突出部位で構成されている。底壁51のうち側壁52が存在しない外縁部には、側壁ピース53が装着されている。
【0059】
側壁52には、筒部31の開口部31aの外周面に形成された環状凹部31a1に当接する複数(本実施形態では4つ)の当接ボルトTが螺合される螺子孔52aが、水道管Wの軸芯Xに沿って対向する部位に、夫々2箇所ずつ設けられている。本実施形態では、当接ボルトTが六角穴付きボルトで構成されており、この螺子孔52aに当接ボルトTを螺合することにより、当接ボルトTの先端が環状凹部31a1に食い込んで蓋体5が第一分割部材3の筒部31に固定される(
図19も参照)。なお、筒部31の開口部31aの外周面に環状凹部31a1を形成せずに、当接ボルトTを、筒部31の開口部31aの円滑な外周面に当接させても良い。
【0060】
側壁ピース53は、弧状部材で構成されており、底壁51のうち側壁52が存在しない外縁部に挿入される。この側壁ピース53には、水道管Wの軸芯Xに沿う水平方向に貫通し、当接ボルトTが螺合される第一螺子孔53aと、水道管Wの軸芯Xおよび分岐管2の軸芯Yに垂直な方向に貫通し、固定ボルトKが螺合される複数(本実施形態では2箇所)の第二螺子孔53bとが形成されている(
図18も参照)。底壁51のうち側壁52が存在しない外縁部に挿入された側壁ピース53は、固定ボルトKを底壁51の貫通孔51bから挿入して、第二螺子孔53bに螺合することにより蓋体5と一体化され、第一螺子孔53aに当接ボルトTを螺合することにより、当接ボルトTの先端が環状凹部31a1に食い込んで第一分割部材3の筒部31に固定される(
図19も参照)。なお、当接ボルトTが螺合される第一螺子孔53aを省略しても良い。
【0061】
続いて、分岐管形成装置100を用いた分岐管形成方法に用いられる作業用機器について説明する。本実施形態に用いられる作業用機器としては、
図12に示すように、穿孔機1と、筒部31の流路を遮断する弁体として機能する蓋体5を収容する弁箱6と、弁箱6を安定的に固定するためのアタッチメント7と、穿孔機1のセンタードリル12を案内する案内筒8と、案内筒8と連結される平板部材9と、を備えている。以下、穿孔機1,弁箱6,アタッチメント7,案内筒8,平板部材9の何れかを含めて分岐管形成装置100と称する場合がある。
【0062】
図11及び
図12に示すように、穿孔機1は、切削チップ11aを有する円筒状のホールソー11(カッターの一例)と、ホールソー11の中心位置から切削チップ11aよりも外側に突出するセンタードリル12と、ホールソー11及びセンタードリル12を回転駆動させるモータを含む回転駆動機構13と、ホールソー11及びセンタードリル12を収容する穿孔ケース14とを備えている。なお、回転駆動機構13によりホールソー11のみ回転させて、センタードリル12を回転させない構成であっても良い。
【0063】
本実施形態におけるホールソー11は、その外径が水道管Wの外径よりも小さく構成されており、水道管Wの外周面の一部を切削するものである。ホールソー11及びセンタードリル12は、回転駆動機構13の回転軸13aと連結されており、回転しながら水道管Wの軸芯Xおよび分岐管2の軸芯Yが含まれる平面に対して垂直な方向(上下方向)に進退移動する。回転駆動機構13により、ホールソー11を水道管Wに向かって回転させながら下方向に前進させると、ホールソー11の切削チップ11aにより水道管Wの外周面の一部(側面)が切削され、該垂直な方向に沿った穿孔口Waが形成される(
図2も参照)。水道管Wの軸芯Xおよび分岐管2の軸芯Yが含まれる平面に対して垂直な方向に沿った穿孔口Waは、ホールソー11の外形に合わせた形状となっており、平面視では水道管Wの軸芯Xに沿って半円弧状に形成されている。なお、ホールソー11は、その外径が水道管Wの外径以上に構成されていても良い。
【0064】
回転駆動機構13によりホールソー11及びセンタードリル12を前進移動させたとき、第一分割部材3と第二分割部材4との間には、穿孔口Waに隣接する位置でホールソー11を収容可能なカッター収容空間Spが形成されている。この構成から、第一分割部材3と第二分割部材4との連結部位には、穿孔口Waとカッター収容空間Spを介して対向する連結開口部33,43が形成されており、この連結開口部33,43が分岐管2の端部フランジ2Aを密封状態で挟持している。本実施形態におけるセンタードリル12は、先端部12aの先端面の周方向全域の角部がテーパー形状で形成されており、先端部12aの側面には、環状凹部12a1が形成されている。
【0065】
図12~
図14に示すように、弁箱6は、蓋体5を収容する弁箱本体61と、弁箱本体61より円筒状に延出し、ホールソー11及びセンタードリル12が通過可能な弁箱筒部62とを有している。弁箱本体61は、開弁状態の蓋体5を収容する蓋収容部61Aと、閉弁状態の蓋体5を収容しアタッチメント7に固定される弁箱固定部61Bとを有している。弁箱筒部62の端部には、穿孔機1の穿孔ケース14の穿孔フランジ14aとボルト,ナットで固定される弁箱フランジ62aが円環状に突出形成されている。
【0066】
蓋収容部61Aは、平面視矩形状のボックスであり、上壁に弁操作部材Vkが密封状態で固定されている。この弁操作部材Vkは、操作レバーVk1を回転操作することにより、弁操作部材Vkの端部が長溝51aの一端から他端まで回動して、蓋体5を弁箱6の内部でスライド移動させる。
【0067】
弁箱固定部61Bは、蓋収容部61Aと共に蓋体5の移動空間を形成する平面視円形状の弁箱円筒部63と、弁箱円筒部63からアタッチメント7の外周面に沿って延出した弁箱延出部64とを有している。弁箱円筒部63には、蓋体5を第一分割部材3の筒部31に固定するための六角穴付きボルトで構成される当接ボルトTを螺合操作するための操作工具(不図示)が挿入される操作用貫通孔63aが、複数(本実施形態では4箇所)設けられている。この操作用貫通孔63aには、操作工具を挿入するときを除いて水密状態に閉塞する閉塞ボルト63a1が螺合されている。また、弁箱円筒部63の上壁のうち、筒部31の開口部31aを閉塞した蓋体5の外縁部を押圧する押ボルトPが螺合される押ボルト用貫通孔63bが、複数(本実施形態では2箇所)設けられている。弁箱延出部64には、アタッチメント7の下部に当接する弁箱固定ボルト65が螺合される弁固定用貫通孔64aが、複数(本実施形態では4箇所)設けられている。また、弁箱延出部64の内周面には、弁箱円筒部63との境界部分に環状突出部64bが円環状に突出形成されており、この環状突出部64bと弁箱固定ボルト65とでアタッチメント7を挟み込むことにより、弁箱6がアタッチメント7に固定される。
【0068】
図8~
図9に示すように、アタッチメント7は、第一分割部材3の筒部31の外周面を包囲する円環状部材で構成されている。本実施形態におけるアタッチメント7は、一対の半円部材で構成された分割構造となっており、夫々の半円部材には、アタッチメント7を第一分割部材3に固定するための埋込ボルトUが挿入される固定用貫通孔71が、上下方向に沿って複数(本実施形態では夫々の半円部材に2箇所ずつ)設けられている。この固定用貫通孔71に埋込ボルトUを内挿して、第一分割部材3の柱状部31cの孔部31c1に埋込ボルトUを螺合することにより、アタッチメント7が第一分割部材3に固定される。本実施形態における埋込ボルトUの頭部には、環状のシール溝Uaが設けられており、このシール溝UaにOリングUbが装着されている。また、アタッチメント7の外周面には、上下の外縁部に環状テーパー面72が形成されている。下側の環状テーパー面72に弁箱固定ボルト65の先端部が当接することにより、弁箱6の環状突出部64bと弁箱固定ボルト65とがアタッチメント7を挟み込んで、弁箱6がアタッチメント7に固定される(
図12も参照)。なお、アタッチメント7は、円環状部材に限定されず、例えば平面視で外形多角形状に構成しても良い。
【0069】
図10~
図12に示すように、案内筒8は、穿孔機1のセンタードリル12が挿入されてセンタードリル12の上下方向の進退移動を案内する。案内筒8は、センタードリル12の外径と略同一の内径を有する円筒状の周壁部81と、周壁部81の端部から径方向外側に突出し、平板部材9と連結される円環状の突出部82とを有している。周壁部81の端部は、第二分割部材4の底部41に形成された係合凹部41bに係合することにより、案内筒8が位置決めされる。案内筒8の周壁部81の上端は、割面3a,4aよりも上側に突出しており、筒部31の開口部31aの側に位置している。換言すると、案内筒8は、第二分割部材4から割面3a,4aよりも筒部31の開口部31aの側まで延在している。これにより、センタードリル12の案内が確実なものとなり、カッター軸芯のずれを無くし、精度よく穿孔口Waを形成することができる。また、案内筒8の周壁部81の軸芯は、筒部31の軸芯Zと一致しており、割面3a,4aに対して垂直である。これにより、穿孔機1の振動が割面3a,4aに直接作用し難く、穿孔作業のカッター軸芯ずれが少ない。なお、案内筒8は、センタードリル12の上下方向の進退移動を案内可能な形状であれば、どのような形状であっても良い。
【0070】
周壁部81には、水道管Wの穿孔口Waを形成したときに水道管Wから分離される切断部分Wbを抱持する周壁貫通孔81aが形成されている。この周壁貫通孔81aとホールソー11の内周面との間に切断部分Wbが挟まれて、切断部分Wbが抱持される。また、周壁部81の水道管Wの軸芯Xに沿った両側方には、水道管W(切断部分Wb)の外周面のうち、鉛直方向下側に当接し穿孔機1の軸芯ずれを防止する軸芯保持ボルトJが螺合される一対のブロック部83が突出形成されている。この軸芯保持ボルトJは、水道管W(切断部分Wb)の外周面の鉛直方向下側に当接するため、切断部分Wbの落下を防止する機能も有している。なお、軸芯保持ボルトJに代えて、軸芯保持ピンで構成する等、穿孔機1の軸芯ずれを防止する軸芯保持部材の形態は特に限定されない。
【0071】
突出部82は、外周部分に平板部材9に固定するために挿入される外周固定ボルトGが各別に挿入される複数(本実施形態では4箇所)のボルト挿入孔82aが形成されており、このボルト挿入孔82aの内側には、穿孔機1のセンタードリル12を保持する保持機構84が設けられている。保持機構84は、突出部82に形成された収容ボックス82bと、センタードリル12の外周面に形成された環状凹部12a1に係合可能な係合部材84aと、係合部材84aを環状凹部12a1に向かう径方向内側に付勢する圧縮コイルスプリング84b(付勢部材の一例)とを有している。なお、外周固定ボルトGをピンで構成して、突出部82と平板部材9とをピン嵌合する形態であっても良い。
【0072】
収容ボックス82bは、突出部82の上面に一体形成され、径方向内側に開口を有する一対のボックス状部材であり、該開口から圧縮コイルスプリング84b,係合部材84aの順に挿入して収容している。係合部材84aは、直方体ブロック状部材で構成されており、先端上面には、センタードリル12の先端部12aの先端面に形成されたテーパー状の先端角部に当接可能なテーパー面84a1が形成されている。センタードリル12の先端角部がテーパー面84a1に当接することにより、圧縮コイルスプリング84bの付勢力に対抗して係合部材84aが径方向外側に移動し、更にセンタードリル12を前進移動させると、圧縮コイルスプリング84bの付勢力により係合部材84aが環状凹部12a1に係合し、センタードリル12が保持機構84により保持される。
【0073】
平板部材9は、平面視円環形状に形成されており、第二分割部材4の収容凹部41aに形成された円環状溝41dに載置された状態で案内筒8と連結される。平板部材9には、案内筒8を平板部材9に固定するための外周固定ボルトGが螺合される複数(本実施形態では4箇所)の外周固定ボルト螺合孔91が形成されている。また、平板部材9の外縁部には、穿孔口Waの側に突出した環状凸部92が形成されている。この環状凸部92は、平板部材9の上面に接着等で固定されるゴム等の弾性部材で構成されているが、平板部材9と一体形成しても良い。なお、平板部材9は、平面視円環形状に限定されず、例えば、平面視矩形状に構成しても良い。
【0074】
本実施形態における平板部材9は、一体形成された単一部材で構成されているが、分割された複数(例えば2つ)の分割板で構成することが好ましい。平板部材9を分割板で構成することにより、第二分割部材4の収容凹部41aに挿入する際、一方の分割板を水道管Wに干渉しないように円環状溝41dに載置した後に、水道管Wの下側に回転させることにより、他方の分割板を水道管Wに干渉しないように円環状溝41dに載置することができる。一方、平板部材9を単一部材で構成した場合は、平板部材9を斜めにした状態で第二分割部材4の収容凹部41aに挿入することとなる。
【0075】
続いて、
図6~
図19を用いて、分岐管形成装置100を用いた分岐管形成方法について説明する。本実施形態では、水道管Wの所定の部位に分岐管形成装置100を装着して水道管Wと連通する分岐管2を形成した後、水道管Wの他の部位に他の分岐管形成装置100を装着して水道管Wと連通する分岐管2を形成し、これら分岐管形成装置100どうしの間に位置する老朽化した水道管Wを撤去して、水道管Wを分岐管2(新たな水道管W)に更新するものである。
【0076】
本実施形態における分岐管形成方法は、
図6に示す(1)分割部材配置工程と、
図7に示す(2)分割部材連結工程と、
図8~
図9に示す(3)アタッチメント装着工程と、
図10~
図12に示す(4)穿孔工程と、
図13~
図15に示す(5)閉弁工程と、
図16に示す(6)蓋固定工程と、
図17に示す(7)弁箱撤去工程と、
図18~
図19に示す(8)側壁ピース装着工程とを含んでいる。
【0077】
(1)分割部材配置工程
図6に示すように、第一分割部材3の割面3aと第二分割部材4の割面4aとが水道管Wの軸芯Xと分岐管2の軸芯Yが含まれる平面に沿うように、第一分割部材3および第二分割部材4を水道管Wに配置する。
【0078】
具体的には、まず、第二シール溝4a1に第二シール部材S2を嵌合した第二分割部材4を水道管Wの下側に配置すると共に、第二分割部材4の第二連結開口部43に分岐管2の端部フランジ2Aを配置する。なお、第二分割部材4を水平状態に維持可能な受け台がある場合は、後述する(2)分割部材連結工程における、平板部材9及び案内筒8のカッター収容空間Spへの収納作業を実行しても良い。
【0079】
第二分割部材4の上側に、水道管W及び分岐管2(第二分割部材4の受け台がある場合は平板部材9及び案内筒8も含む)が配置された状態で、第二分割部材4の上方から、第一シール溝3a1に第一シール部材S1を嵌合した第一分割部材3(
図4参照)を接近させ、第一分割部材3の割面3aと第二分割部材4の割面4aとを対向させる。このように、分岐管形成装置100を構成する第一分割部材3および第二分割部材4が、水道管Wの軸芯Xと分岐管2の軸芯Yが含まれる平面に沿った割面3a,4aで構成されているため、第二分割部材4を鉛直方向下側に配置した状態で第二分割部材4の上に第一分割部材3を装着することが容易である。
【0080】
(2)分割部材連結工程
図6~
図7に示すように、第一分割部材3と第二分割部材4との連結開口部33,43に分岐管2の端部フランジ2Aを挟持した状態で、第一分割部材3と第二分割部材4とを締結部材Bにより密封状態に連結する。この締結部材Bは、第一分割部材3の第一フランジ部32b及び第二分割部材4の第二フランジ部42bに4箇所、第一分割部材3の第一分岐フランジ部33b及び第二分割部材4の第二分岐フランジ部43bに4箇所の合計8箇所に配置されることとなる。この締結部材Bによる締結作業により、第一割面3aの第一シール溝3a1に嵌合された第一シール部材S1と、第二割面4aの第二シール溝4a1に嵌合された第二シール部材S2とが互いに圧接されることにより、第一分割部材3と第二分割部材4との隙間が密閉され、水道管W及び分岐管2に対して密封状態となる(
図8も参照)。そして、第一分割部材3の一対の貫通孔部32a1および第二分割部材4の一対の貫通孔部42a1に位置固定ボルト38を挿入して、第一分割部材3および第二分割部材4が回転しないように水道管Wに位置固定しておく。
【0081】
次いで、
図6に示すように、第一分割部材3の筒部31の開口部31a又は分岐管2の開口を介して、平板部材9及び案内筒8をカッター収容空間Spに収納する。具体的には、第二分割部材4の収容凹部41aの円環状溝41dに平板部材9を載置し、この平板部材9を外周固定ボルトGにより案内筒8と連結する(
図11も参照)。次いで、案内筒8のブロック部83に予め挿入された軸芯保持ボルトJを締め込み操作して、軸芯保持ボルトJの先端を水道管W(切断部分Wb)の外周面の鉛直方向下側に当接させる(
図12も参照)。平板部材9と案内筒8との外周固定ボルトGによる連結作業及び軸芯保持ボルトJの締め込み操作は、カッター収容空間Spを臨みながら上方から操作でき、しかも、案内筒8の位置決めは、案内筒8の端部を収容凹部41aの中央に形成された係合凹部41bに係合するだけで良いため、容易である。また、平板部材9の載置に際し、平板部材9を分割板で構成した場合は、第二分割部材4の収容凹部41aに挿入する際、一方の分割板を水道管Wに干渉しないように円環状溝41dに載置した後に、水道管Wの下側に回転させることにより、他方の分割板を水道管Wに干渉しないように円環状溝41dに載置することができる。
【0082】
本実施形態では、分岐管形成装置100を構成する第一分割部材3および第二分割部材4が、水道管Wの軸芯Xと分岐管2の軸芯Yが含まれる平面に沿った割面3a,4aで構成されているため、締結部材Bを上側から操作して第一分割部材3を第二分割部材4に連結させることが可能となり、作業効率を高めることができる。すなわち、水道管W及び分岐管2の下側でのボルト締付作業が不要となる。また、第一分割部材3と第二分割部材4との連結開口部33,43には分岐管2の端部フランジ2Aが密封状態で挟持されているため、地震等により分岐管2に曲げ力や引張力が作用した場合でも、第一分割部材3および第二分割部材4で負荷を受け止めることが可能となり、締結部材Bにかかる負荷を低減できる。また、地震等により分岐管2に曲げ力や引張力が作用した場合でも、分岐管2が柔軟に微小移動することが可能となり、連結開口部33,43にかかる負荷を低減することができる。特に、分岐管形成装置100を構成する第一分割部材3および第二分割部材4が、水道管Wの軸芯Xと分岐管2の軸芯Yが含まれる平面に沿った割面3a,4aで構成されているため、垂直方向の継ぎ目がなく、分岐管2の軸芯Y方向の荷重(引張力)に対して強度が高い。その結果、耐震性能に優れた分岐管形成装置100となっている。
【0083】
(3)アタッチメント装着工程
図8~
図9に示すように、二分割構造のアタッチメント7を夫々、第一分割部材3の筒部31に形成された複数の柱状部31cの座面31c2に載置した状態で、アタッチメント7の固定用貫通孔71に挿入された埋込ボルトUを、柱状部31cの孔部31c1に螺合させる。これら座面31c2は、アタッチメント7の姿勢を水平に維持するよう同一平面上に配置されているため、アタッチメント7の第一分割部材3に対する固定作業が容易である。しかも、分岐管形成装置100を構成する第一分割部材3および第二分割部材4が、水道管Wの軸芯Xと分岐管2の軸芯Yが含まれる平面に沿った割面3a,4aで構成されているため、埋込ボルトUを上側から操作してアタッチメント7を固定することができる。
【0084】
(4)穿孔工程
図10~
図12に示すように、穿孔工程は、第一分割部材3に穿孔機1を装着する穿孔機装着工程と、分岐管2に設けられた仕切弁Vを閉弁する分岐流路閉塞工程(
図3参照)と、第一分割部材3と第二分割部材4との間に形成されたカッター収容空間Spに穿孔機1のホールソー11を移動させて、カッター収容空間Spと隣接する位置に穿孔口Waを形成する穿孔口形成工程と、を有している。
【0085】
穿孔機装着工程では、弁箱6をアタッチメント7(第一分割部材3)に固定し、この弁箱6に穿孔機1を装着する。弁箱6をアタッチメント7に固定する際、弁箱6の弁箱延出部64の弁固定用貫通孔64aに弁箱固定ボルト65を螺合し、弁箱固定ボルト65の先端部をアタッチメント7の下側の環状テーパー面72に当接させる。その結果、弁箱6の環状突出部64bと弁箱固定ボルト65とがアタッチメント7を挟み込んで、弁箱6がアタッチメント7に固定される。そして、弁箱筒部62の弁箱フランジ62aと、穿孔機1の穿孔ケース14の穿孔フランジ14aとをボルト,ナットで固定し、穿孔機1が弁箱6を介して第一分割部材3に装着される。
【0086】
分岐流路閉塞工程では、分岐管2に設けられた仕切弁Vを閉弁することにより、後の穿孔口形成工程により形成された穿孔口Waを介して、水道管Wから分岐管2へと流路が変更されることを防止する(
図3参照)。このように、連結開口部33,43に挟持される分岐管2に仕切弁Vを設け、仕切弁Vを閉弁して分岐管2の分岐流路を閉塞した後に穿孔口Waを形成するため、仕切弁Vよりも下流側の配管施工を事前に行うことが可能となる。つまり、配管施工に支障をきたさず、任意のタイミングで水道管Wに穿孔口Waを形成することが可能となり、作業効率が高い。
【0087】
穿孔口形成工程では、回転駆動機構13によりホールソー11及びセンタードリル12を回転させながら下方向に前進させると、センタードリル12が案内筒8に内挿されながら、ホールソー11の切削チップ11aにより水道管Wの外周面の一部(側面)が切削され、穿孔口Waが形成される。この穿孔口Waの形成により生成された切断部分Wbは、案内筒8の周壁部81に形成された周壁貫通孔81aとホールソー11の内周面との間に挟まれて抱持される。このとき、軸芯保持ボルトJが水道管W(切断部分Wb)の外周面の鉛直方向下側に当接しているため、穿孔機1の軸芯ずれが防止されると共に、切断部分Wbの落下が確実に防止される。また、第一分割部材3にホールソー11が通過可能な開口を有する筒部31を形成し、第一分割部材3および第二分割部材4の割面3a,4aが水道管Wの軸芯Xと分岐管2の軸芯Yが含まれる平面に沿っているため、割面3a,4aが該平面に垂直な場合に比べて、穿孔機1の振動が割面3a,4aに直接作用せず、穿孔作業のカッター軸芯のずれが少ない。しかも、本実施形態では、平板部材9の外縁部に環状凸部92が形成されているため、環状凸部92の内側空間に切屑を収容することが可能となるため、切屑を水道管Wや分岐管2に流出させることを防止できる。
【0088】
穿孔口Waが形成された後も、回転駆動機構13によりホールソー11及びセンタードリル12を下方向に前進させると、センタードリル12の先端角部が係合部材84aのテーパー面84a1に当接することにより、圧縮コイルスプリング84bの付勢力に対抗して係合部材84aが径方向外側に移動する。そして、回転駆動機構13によりホールソー11及びセンタードリル12を下方向に更に前進させると、圧縮コイルスプリング84bの付勢力により係合部材84aが環状凹部12a1に係合し、センタードリル12が案内筒8の保持機構84により保持される。この状態で、回転駆動機構13によりホールソー11及びセンタードリル12を上方向に後退させると、第二分割部材4の収容凹部41aに形成された円環状溝41dに載置された平板部材9と、この平板部材9に固定された案内筒8とが、センタードリル12と共に上方向に移動する。その結果、弁箱6に収容された蓋体5よりも上側に、穿孔機1,平板部材9及び案内筒8を切断部分Wbと共に移動させることができる。
【0089】
(5)閉弁工程
図13~
図15に示すように、閉弁工程は、弁箱6に収容された蓋体5を第一分割部材3の筒部31まで移動させて、筒部31の開口を閉塞する。具体的には、まず、弁操作部材Vkの端部が長溝51aの一端から他端まで回動することにより、蓋体5を弁箱6の内部でスライド移動させ、底壁51のうち側壁52が存在しない部分が筒部31の開口部31aを通過する。このように、底壁51のうち側壁52が存在しない部分を設ければ、側壁52が存在しない部分を筒部31の開口部31aに通過させることが可能となるため、弁体としての蓋体5を弁操作部材Vkによりスライド移動させることができる。次いで、弁箱固定部61Bの押ボルト用貫通孔63bに螺合された押ボルトPにより、蓋体5の外縁部を押圧する。これにより、蓋体5の底壁51の外縁部の内面に設けられた環状シール部材S3が筒部31の開口部31aの上面に密着することにより、蓋体5が第一分割部材3の筒部31を密封する。その結果、第一分割部材3および第二分割部材4の内部が密封され、穿孔機1を撤去することが可能となる。
【0090】
本実施形態では、(5)閉弁工程と(6)蓋固定工程との間に穿孔機撤去工程を設けている。穿孔機撤去工程では、押ボルトPにより蓋体5の外縁部を押圧して第一分割部材3および第二分割部材4の内部を密封した後、穿孔機1,平板部材9及び案内筒8を切断部分Wbと共に撤去する(
図12参照)。つまり、蓋体5よりも上側に穿孔機1,平板部材9及び案内筒8を切断部分Wbと共に移動させた後、穿孔ケース14の穿孔フランジ14aと弁箱フランジ62aを固定していたボルト,ナットを取り外し、穿孔機1,平板部材9及び案内筒8を切断部分Wbと共に撤去する。これにより、
図15に示すように、作業用機器としては、弁箱6とアタッチメント7が残存することとなる。なお、穿孔機撤去工程を、後述する(7)弁箱撤去工程にて実行しても良い。
【0091】
(6)蓋固定工程
図16に示すように、蓋固定工程は、当接ボルトTの先端を第一分割部材3の筒部31の環状凹部31a1に食い込ませて、蓋体5を筒部31に固定する(
図19も参照)。具体的には、操作用貫通孔63aの閉塞ボルト63a1を取り外して不図示の操作工具を挿入し、この操作工具を弁箱6の外部から操作して、六角穴付きボルトで構成される当接ボルトTを蓋体5の側壁52に形成された螺子孔52aに螺合する(
図19も参照)。そして、当接ボルトTの先端が環状凹部31a1に食い込んで蓋体5が第一分割部材3の筒部31に固定される。なお、当接ボルトTを蓋体5の側壁52に予め仮螺合しておいて操作工具により本螺合しても良いし、操作工具の先端に当接ボルトTを取り付けた状態で操作用貫通孔63aに挿入し、当接ボルトTを蓋体5の側壁52に形成された螺子孔52aに螺合させても良い。このように、閉塞蓋として機能する蓋体5を筒部31に固定する場合、外部から当接ボルトTを操作して螺子孔52aに螺合するだけで良いため、作業効率が極めて高い。
【0092】
(7)弁箱撤去工程
図17に示すように、弁箱撤去工程は、第一分割部材3に固定されたアタッチメント7に固定された弁箱6を撤去し、アタッチメント7を含む分岐管形成装置100を残存させる。具体的には、弁箱6をアタッチメント7に固定していた弁箱固定ボルト65を取り外す(
図12も参照)。このとき、(2)分割部材連結工程により、第一分割部材3と第二分割部材4との隙間が密閉され、分岐管形成装置100が水道管W及び分岐管2に対して密封状態となっており、(6)蓋固定工程において筒部31に固定された蓋体5が第一分割部材3および第二分割部材4の内部を閉塞しているため、分岐管形成装置100の外部に漏水することがない。
【0093】
(8)側壁ピース装着工程
図18~
図19に示すように、側壁ピース装着工程は、蓋体5の底壁51のうち側壁52が存在しない外縁部に、側壁ピース53を装着する。側壁ピース装着工程では、(7)弁箱撤去工程においてアタッチメント7を撤去せずに、側壁ピース53を装着した後にアタッチメント7を撤去することが好ましい。これにより、側壁ピース53をアタッチメント7の上面に沿わせて蓋体5に挿入することができる。
【0094】
蓋体5の底壁51のうち側壁52が存在しない外縁部に側壁ピース53を挿入した後、固定ボルトKを底壁51の貫通孔51bから挿入して、第二螺子孔53bに螺合することにより側壁ピース53を蓋体5と一体化する。そして、第一螺子孔53aに当接ボルトTを螺合することにより、当接ボルトTの先端が環状凹部31a1に食い込んで、側壁ピース53が第一分割部材3の筒部31に固定される。次いで、アタッチメント7を第一分割部材3の柱状部31cに固定していた埋込ボルトUを取り外し、分割構造のアタッチメント7を順に撤去する。このように、底壁51のうち側壁52が存在しない外縁部に装着される側壁ピース53を設ければ、閉塞蓋としての蓋体5の固定姿勢が安定する。また、底壁51の貫通孔51bに固定ボルトKを挿入して側壁ピース53を固定すれば、閉塞蓋としての蓋体5を強固に固定できる。しかも、底壁51に貫通孔51bを設ければ、上方から固定ボルトKを操作することが可能となり、作業効率を高めることができる。
【0095】
[その他の実施形態]
以下、その他の実施形態について、上述した実施形態に係る分岐管形成装置100と異なる構成のみ説明する。なお、理解を容易にするため、上述した実施形態に係る分岐管形成装置100と同様の構成については、同一の部材名称及び符号を用いて説明する。
【0096】
(1)上述した実施形態において、案内筒8の周壁部81の端部を、第二分割部材4の底部41に形成された係合凹部41bに係合させた。これに代えて、案内筒8の周壁部81の端部に凹部を設け、第二分割部材4の底部41に形成された凸部(係合凸部)を設け、これら凹部と凸部を係合させても良い。
(2)上述した実施形態では、蓋体5の底壁51の外面に弁操作部材Vkの端部が係合する長溝51aを設けて、弁操作部材Vkにより蓋体5をスライド移動させたが、蓋体5の側壁52に設けた係合溝にプッシャ部材の先端を係合させて、プッシャ部材により蓋体5をスライド移動させても良い。
【0097】
(3)
図20に示すように、分岐管2の端部フランジ2Aが第一分割部材3及び第二分割部材4の連結開口部33,43に挟持されている。本実施形態における分岐管2は、上述した実施形態における短管21を省略して、仕切弁Vを有する連結管22の端部に端部フランジ2Aを有している。連結管22の端部フランジ2Aの反対側のフランジ22bには、他の連結管(不図示)が連結される。
(4)
図21に示すように、分岐管2は管継手28を有する屈曲管で構成されており、分岐管2の端部フランジ2Aが第一分割部材3及び第二分割部材4の連結開口部33,43に挟持されている。本実施形態における分岐管2は、短管21と仕切弁Vを有する連結管22とが管継手28により連結されている。連結管22の管継手28の反対側のフランジ22bには、他の連結管が連結される。
(5)上述した実施形態における既設管は、水道管Wに限定されず、他の流体管であっても良い。
【0098】
(6)
図22には、別実施形態1に係る分岐管形成装置100Aの側面図が示されている。上述した実施形態では、水道管Wの外周面に先端が当接する位置固定ボルト38により、分岐管形成装置100が回転しないように水道管Wに位置固定されていた。これに代えて、
図22に示すように、第一分割部材3の第一湾曲部32a及び第二分割部材4の第二湾曲部42aの内周面に複数(本実施形態では6箇所)の回り止め突起32a2,42a2を設けても良い。これら回り止め突起32a2,42a2は、水道管Wの外周面に沿って等間隔に設けられることが好ましい。なお、これら回り止め突起32a2,42a2は、第一湾曲部32a及び第二湾曲部42aの内面から一体的に膨出させたリブ形状であっても良いし、第一湾曲部32a及び第二湾曲部42aの内面の凹状溝に固定された楔や螺子等の別部材であっても良い。
【0099】
(7)
図23には別実施形態2に係る分岐管形成装置100Bを用いた穿孔工程を示す断面図が示されている。上述した実施形態に係る分岐管形成装置100では、穿孔機1のセンタードリル12を案内する案内筒8を設けた。これに代えて、
図23に示すように、穿孔機1のセンタードリル12を省略し、ホールソー11の回転軸芯を水道管Wの外周接線方向に配置しても良い。また、案内筒8及び案内筒8と連結される平板部材9に代えて、ホールソー11の内側に配置されるカッター案内部材10及びカッター案内部材10の一端(先端)に一体形成された平板部材10aを設けても良い。カッター案内部材10の中途部分には、水道管Wの外周面に沿う湾曲凹部10bが形成されており、カッター案内部材10の他端(基端)には、環状フランジ10cが形成されている。さらに、ホールソー11の内側には、内側に環状に突出した係合部材11bが形成されており、環状フランジ10cには、この係合部材11bに径合可能な被係合部10c1が形成されている。被係合部10c1は、環状フランジ10cに嵌め込まれるロックリングであっても良いし、ばね等の弾性部材により付勢されたブロック状部材であっても良い。ホールソー11が回転しながら下方向に移動することで、係合部材11bの傾斜面11b1が被係合部10c1の傾斜面10c2に当接し、被係合部10c1が径方向内側に移動する。その結果、ホールソー11が環状フランジ10cを通過した後、被係合部10c1が径方向外側に移動して係合部材11bと被係合部10c1とが係合する。平板部材10aは、上述した平板部材9と同様の形状であるので、詳細な説明を省略する。本実施形態では、穿孔機1のセンタードリル12を省略することにより、ホールソー11を水道管W側に寄せることが可能となり、ホールソー11のカッター直径分の開口幅で切削できる。つまり、ホールソー11のカッター径を小さくすることができると共に、カッター収容空間Spを小さくして分岐管形成装置100Bのコンパクト化を図ることができる。
【0100】
分割部材連結工程では、第一分割部材3の筒部31の開口部31a又は分岐管2の開口を介して、カッター案内部材10をカッター収容空間Spに収納する。カッター案内部材10は、カッター収容空間Spに収容しやすいように分割体で構成しても良い。穿孔口形成工程では、回転駆動機構13によりホールソー11を回転させながら下方向に前進させると、ホールソー11がカッター案内部材10に外挿されながら、ホールソー11の切削チップ11aにより水道管Wの外周面の一部(側面)が切削され、穿孔口Waが形成される。このとき、被係合部10c1がホールソー11の内周面と当接することにより、ホールソー11の振れが抑制される。この穿孔口Waの形成により生成された切断部分Wbは、カッター案内部材10の湾曲凹部10bとホールソー11の内周面との間に挟まれて抱持される。穿孔口Waが形成された後も、回転駆動機構13によりホールソー11を下方向に前進させると、ホールソー11の係合部材11bと被係合部10c1とが係合し、ホールソー11がカッター案内部材10に保持される。この状態で、回転駆動機構13によりホールソー11を上方向に後退させると、切断部分Wbを保持したカッター案内部材10が、ホールソー11と共に上方向に移動する。
【0101】
(8)
図24には、別実施形態3に係る蓋体5Aを用いた閉弁工程を示す断面図が示されている。上述した実施形態では、第一分割部材3の筒部31の開口部31aを閉塞する蓋体5が、底壁51と底壁51の外縁部から立設する側壁52とを有していた。これに代えて、
図24に示すように、蓋体5Aは、側壁52を有さない平面視円形状の平板部材54で構成しても良い。本実施形態では、アタッチメント7を着脱可能なフランジとして機能させ、このアタッチメント7に、ボルト等で構成される蓋締結部材73により蓋体5Aを固定する。この蓋体5Aは、管路としての筒部31の流路を遮断する弁体として機能すると共に、筒部31を閉塞する閉塞蓋としても機能する。本実施形態では、第一分割部材3とアタッチメント7とを別体とすることにより、蓋体5Aを固定するために第一分割部材3と一体形成されたフランジを設ける必要が無く、製造コストを低減することができる。
【0102】
(9)
図25及び
図26には、別実施形態4に係る分岐管形成装置100Cに分岐管2を装着した状態を示す断面図及び第二分割部材4の平面図が示されている。本実施形態における分岐管形成装置100Cは、第一分割部材3及び第二分割部材4の連結開口部33,43に、分岐管2のカッター収容空間Spへの移動を阻止するため、端部フランジ2Aに当接する当接突出部34,44を内面から内側(カッター収容空間Sp側)に突出形成させている。これら当接突出部34,44は、連結開口部33,43の一対の側壁から端部フランジ2Aに沿って内側に突出させた湾曲部材で形成されており、分岐管2の分岐流路の水の流れを阻害しないように構成されている。本実施形態では、連結開口部33,43が分岐管2の端部フランジ2Aを密封状態で強固に挟持しているため、地震等により分岐管2に曲げ力や押し込み力が作用した場合でも、分岐管2がカッター収容空間Sp側に入り込むことを防止できる。
【0103】
(10)
図27には、別実施形態5に係る分岐管形成装置100Dに分岐管2を装着した状態を示す断面図が示されている。上述した実施形態では、分岐管2の端部フランジ2Aを連結開口部33,43の内側(カッター収容空間Sp側)に収容した。これに代えて、
図27に示すように、分岐管2を連結開口部33,43に差し込む形態とし、分岐管2の端部フランジ2Aを連結開口部33,43の外側に配置し、この端部フランジ2Aを固定する一対の固定部材35,45を一対の連結開口部33,43に装着しても良い。本実施形態の場合、分岐管形成装置100Dを解体せずに、分岐管2の着脱を行うことができる。
【0104】
(11)
図28~
図30は、別実施形態6に係る分岐管形成装置100E及び制振部材15を示す図である。上述したように、ホールソー11は、切削チップ11aを先端に含む円筒状に形成されている。本実施形態に係るホールソー11には、振動を吸収する円盤形状の制振部材15が内挿されており、制振部材15の外周端面には、ホールソー11の内周面に当接する弾性部材15aが固定されている。
【0105】
図28に示すように、本実施形態に係る分岐管形成装置100Eは、案内筒8Aの周壁部81Aの水道管Wの軸芯Xに沿った両側方には、水道管W(切断部分Wb)の外周面のうち、鉛直方向上側及び鉛直方向下側の夫々に当接し、穿孔機1の軸芯ずれを防止する軸芯保持ボルトJが螺合される一対のブロック部83(合計4つ)が突出形成されている。また、本実施形態における案内筒8Aの周壁部81Aにおける鉛直方向上側の内周面には、センタードリル12の先端部12aのテーパー形状に沿ってガイドするガイド凸部81Aaが周方向に亘って突出形成されている。
【0106】
図30に示すように、制振部材15は、ホールソー11と同種の材料で構成される円盤状本体15bと、円盤状本体15bの外周面に固定されたゴムや樹脂等で構成される複数(本実施形態では4つ)の弾性部材15aとを有している。円盤状本体15bの中央には貫通孔15cが形成されており、この貫通孔15cにカッター機能を有しないセンタードリル12が挿入されることで制振部材15がホールソー11に内挿される。カッター機能を有しないセンタードリル12に円盤状本体15bが支持されることにより、制振部材15が振動により位置ずれしない。複数の弾性部材15aは、ホールソー11の回転軸芯方向視において切削チップ11aと重複しないよう複数に分割されている。このため、制振部材15をホールソー11に内挿する際、切削チップ11aに弾性部材15aが接触して破損することを防止できる。このように、ホールソー11に内挿される制振部材15の外周端面にはホールソー11の内周面に当接する弾性部材15aが固定されているので、この弾性部材15aがホールソー11の振動を吸収する。また、ホールソー11には、穿孔に伴って噴出する流体を通過させる流体通過孔11cが千鳥形状に複数貫通形成されている。なお、弾性部材15aを円盤状本体15bの外周全体に亘って設けても良いし、貫通孔15cとセンタードリル12との間に弾性部材を設けても良いし、円盤状本体15bに複数の肉抜き穴を設けても良い。また、ホールソー11における夫々の切削チップ11aの形状は、
図30に示すように部分的に突出した形状であっても良いし、周方向に沿って傾斜し切削部分が尖った形状であっても良い。
【0107】
図29に示すように、穿孔工程における穿孔口形成工程は、第一分割部材3と第二分割部材4との間に形成されたカッター収容空間Spに穿孔機1のホールソー11を移動させて、カッター収容空間Spと隣接する位置に穿孔口Waを形成する。このとき、ホールソー11に内挿された制振部材15の中央部分(貫通孔15cの周縁部分)が案内筒8Aの上端に当接し、ホールソー11が下方向に進むにつれて制振部材15がホールソー11の内部を上昇する。本実施形態では、制振部材15の外周端面にはホールソー11の内周面に当接する弾性部材15aが固定されているので、この弾性部材15aがホールソー11の内周面に摺動しながら円滑に上昇する。また、この弾性部材15aにより制振部材15の円盤状本体15bがホールソー11の振動を増幅させること無く、ホールソー11の振れを防止する。しかも、円盤状本体15bの中央部分が案内筒8Aの上端に当接するので、制振部材15の移動姿勢が安定化し、ホールソー11の振れを確実に防止することができる。その結果、迅速且つ円滑に穿孔作業を実施することができる。なお、
図28に示すように円盤状本体15bをホールソー11の内側にセットしているが、案内筒8Aの上端にセットしても良い。つまり、ホールソー11で水道管Wを穿孔する時に円盤状本体15bがホールソー11の内側にあれば良い。
【0108】
(12)
図31~
図35は、別実施形態7に係る分岐管形成装置100F及び防食部材93を示す図である。本実施形態における分岐管形成装置100Fは、穿孔口Waに防食部材93を装着する装着治具46を更に備えている。この装着治具46は、分岐管2の軸芯Y方向から防食部材93を穿孔口Waに押付可能且つ防食部材93から離脱可能な伸縮機構46Aと、弁箱6に連結され、伸縮機構46Aを密封状態で収容する治具ケース46Bとを有している。
【0109】
伸縮機構46Aは、雄ねじが外周に形成された操作棒46aと、操作棒46aに螺合されて上下移動可能な一対の可動ブロック46bと、上側の可動ブロック46bの下降又は上昇により拡径又は縮径すると共に下側の可動ブロック46bの上昇又は下降により拡径又は縮径するように可動ブロック46bに一端が固定されたリンク部材46cと、防食部材93を保持する円筒状の保持部材46dと、分岐管2の端部フランジ2Aと当接可能な一対の当接ブロック46eとを含んでいる。一対の保持部材46d及び当接ブロック46eは、リンク部材46cの拡径又は縮径に連動して移動するように、リンク部材46cの他端に固定されている。
【0110】
図34に示すように、防食部材93は、穿孔口Waの形状に沿う端面を有する環状防食シール93Aと、環状防食シール93Aの内周面に当接するテーパー面93Ba1により環状防食シール93Aを拡径する拡張部材93Bと、を含んでいる。環状防食シール93Aは、拡張部材93Bにより拡径するゴム等の弾性変形可能な部材で構成されており、穿孔口Waの内周面に密着する密着部93Aa1が先端に形成された円筒状部93Aaと、円筒状部93Aaから外側に円環状に突出し、穿孔口Waに当接して封止する封止部93Abとを有している。拡張部材93Bは、保持部材46dのフランジ46d1が当接する環状基部93Bbと、円筒状部93Aaの内周面に沿って挿入され、環状基部93Bbから突出した突出筒部93Baとを有している。突出筒部93Baには、円筒状部93Aaの内周面に沿って挿入されるに従って拡径したテーパー面93Ba1が全周に亘って形成されており、先端部93Ba2は、穿孔口Wa及び密着部93Aa1の形状に沿った側面視弓形形状となっている。このように、防食部材93が環状防食シール93Aを拡径する拡張部材93Bを含んでいれば、環状防食シール93Aを穿孔口Waに確実に密着させることができる。
【0111】
図35の正面図に示すように、環状防食シール93Aは、密着部93Aa1の内周面には、先端に向かうほど肉薄となるテーパー面が形成されている。このテーパー面により、密着部93Aa1が穿孔口Waに密着したとき、水道管Wの内周面に沿った形状となるため、流路抵抗を低減できる(
図33参照)。また、
図35の背面図に示すように、環状防食シール93Aは、円筒状部93Aaの内周面が傾斜しておらず、背面視で1つの内周円となるように分岐管2の軸芯Yと平行に形成されている。これにより、拡張部材93Bが円筒状部93Aaに挿入されると、拡張部材93Bのテーパー面93Ba1に沿って、円筒状部93Aaが均等に拡径されていく。さらに、
図35の平面図及び側面図に示すように、環状防食シール93Aは、密着部93Aa1及び封止部93Abが、平面視で凸となる円弧状且つ側面視で凹となる円弧状に形成されている。これにより、密着部93Aa1及び封止部93Abは、穿孔口Waの形状と沿った形状となり、穿孔口Waを確実に防食できる。
【0112】
装着治具46により穿孔口Waに防食部材93を装着する防食部材装着工程は、上述した分岐管形成方法における閉弁工程の後、穿孔機1を撤去してから実行され、装着治具46を撤去した後に再度、閉弁工程及び蓋固定工程が実行される。
図31に示すように、穿孔工程により形成された穿孔口Waに防食部材93が対向するように、装着治具46を設置する。次いで、
図32に示すように、操作棒46aを回転操作すると、上側の可動ブロック46bが下降すると共に下側の可動ブロック46bが上昇し、リンク部材46cの拡径に伴い、保持部材46dを介して防食部材93が穿孔口Waに向かって移動すると共に一対の当接ブロック46eが分岐管2の端部フランジ2Aと当接する。次いで、一対の当接ブロック46eが分岐管2の端部フランジ2Aと当接した状態で、操作棒46aを回転操作すると、
図33に示すように、防食部材93は、拡張部材93Bのテーパー面93Ba1に沿って、円筒状部93Aaが均等に拡径されていき、拡張部材93Bの環状基部93Bbに円筒状部93Aaが当接し、密着部93Aa1及び封止部93Abが穿孔口Waに密着し、固定される。次いで、環状防食シール93A及び拡張部材93Bで構成される防食部材93から装着治具46を離脱させ、装着治具46を撤去する。
【0113】
本実施形態のように、穿孔口Waに防食部材93を装着する装着治具46が伸縮機構46Aを有していれば、穿孔口Waと対向する連結開口部33,43(分岐管2の端部フランジ2A)を活用して、分岐管2の軸芯Y方向から防食部材93を穿孔口Waに押付けることが可能となるため、防食部材93を確実に装着できる。また、この伸縮機構46Aにより防食部材93から装着治具46を離脱させて回収すれば、装着治具46が分岐管2の流路を妨げることも無い。
【0114】
(13)
図36~
図37は、別実施形態8に係る密封試験工程及び弁箱装着工程を示す図である。また、
図38には、別実施形態8に係る弁操作部材VkAの端部が示されている。本実施形態における分岐管形成方法は、上述した分割部材配置工程及び分割部材連結工程と、蓋体5を当接ボルトTにより第一分割部材3の筒部31に固定し、第一分割部材3及び第二分割部材4の内部に水(流体の一例)を供給して密封試験を行う密封試験工程(
図36参照)と、密封試験工程での供給された水を排出した後、当接ボルトTを取り外して、弁箱6Aを装着する弁箱装着工程(
図37参照)と、上述した穿孔機装着工程及び分岐流路閉塞工程と、蓋体5を移動させて筒部31の開口部31a(開口)を形成した後、上述した穿孔口形成工程を実行する。
【0115】
図36に示すように、密封試験工程では、分岐管2の端部を栓止めし(不図示)、開口部31aより注水、エア抜きを行い、弁体及び閉塞蓋として機能する蓋体5を密封試験用として、予め第一分割部材3の筒部31に固定する。そして、蓋体5の水圧ホース接続口55に水圧用カプラ55aを装着し、この水圧用カプラ55aより水圧を負荷して、第一分割部材3及び第二分割部材4の密封状態と蓋体5の密封状態を確認する。この密封確認後、水圧用カプラ55aを取り外して、水圧ホース接続口55を沈みプラグ55hで閉塞する。これにより、穿孔機1等を装着する前に密封試験を行うことが可能となる。なお、水圧ホース接続口55を省略して、分岐管2を介して連結開口部33,43から水圧を負荷しても良い。
【0116】
次いで、
図37に示すように、第一分割部材3及び第二分割部材4の内部にある水を連結開口部33,43から排出し、蓋体5から当接ボルトTを取り外す。次いで、上述したアタッチメント装着工程を実行した後、弁箱6Aをアタッチメント7に装着する。これにより、蓋体5を弁体及び閉塞蓋として機能させることが可能となり、上述した穿孔工程,閉弁工程,蓋固定工程,弁箱撤去工程及び側壁ピース装着工程を実行する。このように、蓋体5を当接ボルトTにより第一分割部材3に固定して密封試験を行った後、当接ボルトTを取り外して弁箱6Aを装着するため、蓋体5を密封試験用としても活用することができる。そして、この蓋体5を移動させて形成された開口を介して穿孔機1のホールソー11を移動させて穿孔口Waを形成するため、作業効率が高い。また、蓋体5を弁箱6A内にセットし忘れることも無い。
【0117】
本実施形態における弁箱6Aは、蓋体5を収容する弁箱本体61と、弁箱本体61に着脱可能に連結された弁操作部材VkAと、弁操作部材VkAよりも外側で弁箱本体61に着脱可能に連結された閉塞プレート66と、を有している。
図37~
図38に示すように、弁操作部材VkAは、弁箱本体61にボルトで固定されるプレート部材67aと、プレート部材67aに形成された貫通孔を含む操作具着脱孔部67bと、端部が長溝51aの一端から他端まで回動する回動部材67cと、回動部材67cと係合して回動操作するための操作部67dと、を有している。本実施形態における回動部材67cの端部は、軸67c2に対して回転自在な回転部材67c1が装着されている。この回転部材67c1は、基端側が円柱形状となっており、先端側がテーパーを有する円錐台形状となっている。この円錐台形状により、回動部材67cは、回転部材67c1が長溝51aに対して円滑に回転しながら摺動抵抗を低くして、蓋体5を移動させることができる。
【0118】
本実施形態における弁箱6Aは、弁箱本体61と弁操作部材VkAと閉塞プレート66とを、夫々分割構造としているため、弁体及び閉塞蓋として機能させる蓋体5を用いて密封試験を行った後、この蓋体5に弁操作部材VkAを係合させることが容易である。
【0119】
(14)
図39は、別実施形態9に係る蓋交換工程を示す図である。穿孔工程を終えた後、閉弁工程や蓋固定工程により蓋体5の止水性能が悪い場合、蓋体5を交換する必要がある。そこで、本実施形態における分岐管形成方法は、流路閉塞治具75を用いた蓋交換工程を更に含んでいる。この蓋交換工程では、蓋体5を開弁して、流路閉塞治具75の止水シール75aを圧縮変形や流体圧等により膨張させて、第一分割部材3の筒部31の内周面を密着させる。次いで、上述した弁箱6Aの閉塞プレート66、弁操作部材VkA及び蓋体5をこの順に取り外す。次いで、新しい蓋体5を用意し、蓋体5、弁操作部材VkA及び閉塞プレート66をこの順に装着し、流路閉塞治具75の止水シール75aを縮小して上昇させた後、閉弁工程や蓋固定工程により新しい蓋体5の止水性能を確認する。本実施形態では、閉塞プレート66を着脱可能に弁箱本体61と連結しているので、蓋体5に不具合があった場合でも、迅速に交換することができる。
【0120】
(15)上述した実施形態で開示した構成は、部分的に又は全体的に組み合わせることができる。
【0121】
先行技術文献で開示した特許文献1に記載の分岐管形成装置のように、蓋挿入器具により接続ケースを閉塞する蓋を装着する場合、作業効率が低下してしまう。一方、先行技術文献で開示した特許文献2に記載の弁装置は、蓋挿入器具を省略できるものの、ボルトを分岐管部のフランジの貫通孔に挿入した状態で、筐体本体の天板の挿入孔に対して上方からナットを挿入して螺合する必要があり、螺合操作に手間を要し、作業効率を高める上で改善の余地があった。そこで、上記実施形態から、下記の構成を有する作業効率の高い弁体兼用蓋、この弁体兼用蓋を備えた分岐管形成装置及びこの分岐管形成装置を用いた分岐管形成方法が想起される。
【0122】
(付記項)
本発明に係る弁体兼用蓋の特徴構成は、管路の流路を遮断する弁体として機能すると共に、前記管路を閉塞する閉塞蓋としても機能する弁体兼用蓋であって、底壁と、前記底壁の外縁部から立設する側壁と、を備え、前記底壁及び前記側壁の少なくとも一方には、弁操作部材と係合可能な係合部が形成されており、前記側壁には、前記管路の端部外周面に当接する当接ボルトが螺合される螺子孔が形成されている点にある。
【0123】
本構成では、底壁及び側壁の少なくとも一方に弁操作部材と係合可能な係合部が形成されている。このため、弁体としての弁体兼用蓋を外部から移動操作部材により移動させて、管路の流路を遮断することが可能となり、作業効率が高い。
【0124】
また、本構成の側壁には、管路の端部外周面に当接する当接ボルトが螺合される螺子孔が形成されている。このため、閉塞蓋としての弁体兼用蓋を管路に固定する場合、外部から当接ボルトを操作して螺子孔に螺合するだけで良いため、作業効率が極めて高い。このように、作業効率の高い弁体兼用蓋を提供できた。
【0125】
他の特徴構成は、前記側壁は、前記底壁の外縁部の一部に設けられており、前記底壁のうち前記側壁が存在しない外縁部に装着される側壁ピースを更に備えた点にある。
【0126】
本構成のように、側壁が存在しない部分を設ければ、側壁が存在しない部分を管路の端部に通過させることが可能となるため、弁体としての弁体兼用蓋を移動操作部材によりスライド移動させることができる。一方、底壁のうち側壁が存在しない外縁部に装着される側壁ピースを設ければ、閉塞蓋としての弁体兼用蓋の固定姿勢が安定する。
【0127】
他の特徴構成は、前記底壁には、前記側壁ピースを固定する固定ボルトが挿入される貫通孔が形成されている点にある。
【0128】
本構成のように、底壁の貫通孔に固定ボルトを挿入して側壁ピースを固定すれば、閉塞蓋としての弁体兼用蓋を管路に強固に固定できる。しかも、底壁に貫通孔を設ければ、上方から固定ボルトを操作することが可能となり、作業効率を高めることができる。
【0129】
本発明に係る分岐管形成装置の特徴構成は、上記弁体兼用蓋を備え、不断流状態で既設管の外周面の一部を穿孔機により穿孔して形成された穿孔口と連通する分岐管を形成するために当該既設管に装着される分岐管形成装置であって、互いに密封状態で締結部材により連結される第一分割部材と当該第一分割部材よりも鉛直方向下側に位置する第二分割部材とを備え、前記第一分割部材は、前記穿孔機のカッターが通過可能な開口を有する筒部を有しており、前記筒部の外周面には、前記当接ボルトの先端が当接する環状凹部が形成されている点にある。
【0130】
本構成では、第二分割部材を鉛直方向下側に配置した状態で第二分割部材の上に第一分割部材を装着することが可能となり、締結部材を上側から操作して第一分割部材を第二分割部材に連結させることができる。その結果、既設管を更新する際の作業効率を高めることが可能となる。しかも、第一分割部材の筒部に当接ボルトの先端が当接する環状凹部を形成すれば、当接ボルトの先端が環状凹部に強固に当接することにより閉塞蓋としての弁体兼用蓋の固定姿勢が安定する。
【0131】
他の特徴構成は、前記弁体兼用蓋を収容する弁箱が装着され、前記筒部の外周面を包囲するアタッチメントを更に備え、前記第一分割部材には、前記アタッチメントを載置する座面を有する柱状部が形成されており、前記アタッチメントは、前記柱状部に螺合されるボルトにより前記第一分割部材に固定される点にある。
【0132】
本構成のようなアタッチメントを設ければ、弁箱の姿勢を安定させることが可能となるため、弁体としての弁体兼用蓋を円滑に移動させることができる。しかも、このアタッチメントは、第一分割部材に設けた柱状部にボルトを螺合するだけで固定されるので、作業効率が極めて高い。
【0133】
他の特徴構成は、前記弁箱は、弁箱本体と、当該弁箱本体に連結された前記弁操作部材と、前記弁操作部材よりも外側で前記弁箱本体に着脱可能に連結された閉塞プレートと、を有する点にある。
【0134】
本構成のように、閉塞プレートを着脱可能に弁箱本体と連結すれば、弁体兼用蓋に不具合があった場合でも、迅速に交換することができる。
【0135】
上記分岐管形成装置を用いた分岐管形成方法の特徴は、前記第一分割部材の割面と前記第二分割部材の割面とが前記既設管の軸芯および前記分岐管の軸芯が含まれる平面に沿うように、前記第一分割部材および前記第二分割部材を前記既設管に配置する分割部材配置工程と、前記第一分割部材と前記第二分割部材との連結開口部に前記分岐管の端部を挟持して、前記第一分割部材と前記第二分割部材とを締結部材により密封状態に連結する分割部材連結工程と、前記弁体兼用蓋を前記当接ボルトにより前記第一分割部材に固定し、前記第一分割部材及び前記第二分割部材の内部に流体を供給して密封試験を行う密封試験工程と、前記密封試験工程での前記流体を排出した後、前記当接ボルトを取り外して、前記弁箱を装着する弁箱装着工程と、前記第一分割部材に前記穿孔機を装着する穿孔機装着工程と、前記分岐管に設けられた仕切弁を閉弁する分岐流路閉塞工程と、前記弁体兼用蓋を移動させて前記開口を形成した後、前記第一分割部材と前記第二分割部材との間に形成されたカッター収容空間に前記穿孔機のカッターを移動させて、前記カッター収容空間と隣接する位置に前記穿孔口を形成する穿孔口形成工程と、を含む点にある。
【0136】
本方法では、分岐管形成装置を構成する第一分割部材および第二分割部材が、既設管の軸芯と分岐管の軸芯が含まれる平面に沿った割面で密封状態に連結されている。このため、例えば、第二分割部材を鉛直方向下側に配置した状態で第二分割部材の上に第一分割部材を装着することが可能となり、第二分割部材の内部のカッター収容空間が視認できると共に締結部材を上側から操作して第一分割部材を第二分割部材に連結させることができる。その結果、既設管を更新する際の作業効率を高めることが可能となる。
【0137】
また、弁体兼用蓋を当接ボルトにより第一分割部材に固定して密封試験を行った後、当接ボルトを取り外して弁箱を装着するため、弁体兼用蓋を密封試験用としても活用することができる。そして、この弁体兼用蓋を移動させて形成された開口を介して穿孔機のカッターを移動させて穿孔口を形成するため、作業効率が高い。このように、作業効率の高い分岐管形成方法を提供できた。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、不断流状態で既設管の外周面の一部を穿孔機により穿孔して形成された穿孔口と連通する分岐管を形成するために既設管に装着される分岐管形成装置及び分岐管形成方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 :穿孔機
2 :分岐管
2A :端部フランジ(端部)
3 :第一分割部材
3a :第一割面(割面)
4 :第二分割部材
4a :第二割面(割面)
5 :蓋体(弁体兼用蓋)
6 :弁箱
7 :アタッチメント
8 :案内筒
9 :平板部材
11 :ホールソー(カッター)
11a :切削チップ
12 :センタードリル
12a1 :環状凹部
15 :制振部材
15a :弾性部材
31 :筒部(管路)
31a :開口部
31a1 :環状凹部(端部外周面)
31c :柱状部
31c2 :座面
33 :第一連結開口部(連結開口部)
41 :底部
41a :収容凹部
41b :係合凹部
43 :第二連結開口部(連結開口部)
46 :装着治具
46A :伸縮機構
51 :底壁
51a :長溝(係合部)
51b :貫通孔
52 :側壁
52a :螺子孔
53 :側壁ピース
82 :突出部
84a :係合部材
84a1 :テーパー面
84b :圧縮コイルスプリング(付勢部材)
92 :環状凸部
93 :防食部材
93A :環状防食シール
93B :拡張部材
93Ba1 :テーパー面
100 :分岐管形成装置
B :締結部材
J :軸芯保持ボルト(ボルト)
K :固定ボルト
Sp :カッター収容空間
T :当接ボルト
V :仕切弁
Vk :弁操作部材
W :水道管(既設管)
Wa :穿孔口
X :軸芯
Y :軸芯
Z :軸芯