(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080668
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】車載器取付用ステー及び車載器
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20220523BHJP
B60R 1/00 20220101ALI20220523BHJP
F16M 11/00 20060101ALI20220523BHJP
F16M 11/10 20060101ALI20220523BHJP
F16M 11/12 20060101ALI20220523BHJP
F16M 11/18 20060101ALI20220523BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
B60R1/00 A
F16M11/00 Z
F16M11/10 Z
F16M11/12 Z
F16M11/18 Z
F16B5/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191870
(22)【出願日】2020-11-18
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大野 光介
(72)【発明者】
【氏名】植田 尚彦
【テーマコード(参考)】
3D020
3J001
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD09
3J001FA15
3J001JA10
3J001KA19
3J001KB01
(57)【要約】
【課題】アーム部のロック操作位置を変更できる車載器取付用ステーを提供する。
【解決手段】本開示は、第1突出部及び第2突出部と、アーム部と、支持部とを備える車載器取付用ステーである。支持部は、第1突出部、第2突出部及びアーム部に挿通される軸部と、軸部に取り付けられた鍔部と、鍔部と共に第1突出部及び第2突出部を挟む保持部とを有する。第1突出部及び第2突出部の少なくとも一方は、アーム部へ押し当てられることにより、アーム部の第1突出部及び第2突出部に対する揺動を規制する規制部を有する。保持部は、軸部に着脱可能であると共に、軸方向において第1突出部よりも第2突出部に近い第1領域と第2突出部よりも第1突出部に近い第2領域とのいずれにも配置可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台部と、
前記土台部から突出する第1突出部及び第2突出部と、
前記第1突出部と前記第2突出部との間に配置されるアーム部と、
前記アーム部を前記第1突出部及び前記第2突出部に対して揺動可能に支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、
前記第1突出部、前記第2突出部及び前記アーム部に挿通される軸部と、
前記軸部に取り付けられた鍔部と、
前記鍔部と共に、前記第1突出部及び前記第2突出部を前記軸部の軸方向に挟む保持部と、
を有し、
前記第1突出部及び前記第2突出部の少なくとも一方は、前記鍔部及び前記保持部によって前記軸方向において前記アーム部へ押し当てられることにより、前記アーム部の前記第1突出部及び前記第2突出部に対する揺動を規制する規制部を有し、
前記保持部は、前記軸部に着脱可能であると共に、前記軸方向において前記第1突出部よりも前記第2突出部に近い第1領域と前記第2突出部よりも前記第1突出部に近い第2領域とのいずれにも配置可能である、車載器取付用ステー。
【請求項2】
請求項1に記載の車載器取付用ステーであって、
前記第1突出部及び前記第2突出部は、それぞれ、前記規制部が着脱可能な規制部取付孔が設けられたフレームを有する、車載器取付用ステー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車載器取付用ステーであって、
前記軸部は、ネジ山を有するボルトであり、
前記保持部は、前記軸部に螺合可能なナットである、車載器取付用ステー。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載器取付用ステーであって、
前記支持部は、前記軸部の端部に連結されたつまみ部を有する、車載器取付用ステー。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載器取付用ステーであって、
前記保持部は、前記軸方向から視て多角形状の外面を有し、
前記第1突出部及び前記第2突出部は、それぞれ、前記保持部が前記軸方向に挿入可能な多角形状の保持部取付孔を有する、車載器取付用ステー。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載器取付用ステーと、
前記アーム部に連結された車載器本体と、
を備える、車載器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載器取付用ステー及び車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばドライブレコーダ等の車載器を車両内に固定するためのスタンド装置(つまりステー)として、車載器が取り付けられるアーム部の角度を調整可能としたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このスタンド装置は、アーム部を回転可能に支持する支持部と、アーム部と接触することでアーム部のスタンド本体に対する回転をロックするアームストッパとを有する。支持部は、アームストッパにはめ込まれたナットと、ナットに螺合することでアームストッパをアーム部に押し当てるボルトとを有する。
【0004】
このスタンド装置では、ボルトを回転させてナットの螺合位置を変えることで、アームストッパがアーム部を規制するロック状態とアーム部を規制しないロックフリー状態とに切り替わる。ロックフリー状態では、アーム部は任意の位置まで回転することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のスタンド装置では、ナットがアームストッパにはめ込まれているため、ボルトの回転操作によるアーム部のロック状態とロックフリー状態との切り替え(以下、「ロック操作」ともいう。)は、アーム部を挟んでアームストッパと反対側においてのみ可能である。
【0007】
つまり、従来のスタンド装置は、アーム部に対して左右のいずれか一方でのみ、アーム部のロック操作が可能である。そのため、車載器の取り付け位置、車載器の形状等の条件によっては、アーム部のロック操作が困難な場合がある。
【0008】
本開示の一局面は、アーム部のロック操作位置を変更できる車載器取付用ステーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、土台部と、土台部から突出する第1突出部及び第2突出部と、第1突出部と第2突出部との間に配置されるアーム部と、アーム部を第1突出部及び第2突出部に対して揺動可能に支持する支持部と、を備える車載器取付用ステーである。支持部は、第1突出部、第2突出部及びアーム部に挿通される軸部と、軸部に取り付けられた鍔部と、鍔部と共に、第1突出部及び第2突出部を軸部の軸方向に挟む保持部と、を有する。
【0010】
第1突出部及び第2突出部の少なくとも一方は、鍔部及び保持部によって軸方向においてアーム部へ押し当てられることにより、アーム部の第1突出部及び第2突出部に対する揺動を規制する規制部を有する。保持部は、軸部に着脱可能であると共に、軸方向において第1突出部よりも第2突出部に近い第1領域と第2突出部よりも第1突出部に近い第2領域とのいずれにも配置可能である。
【0011】
このような構成によれば、軸部に着脱される保持部が第1領域と第2領域とのいずれにも配置可能であるため、車載器の取り付け位置、車載器の形状等の条件に合わせて、アーム部の回転軸方向における両側(つまり第1突出部の外側及び第2突出部の外側)のいずれかにロック操作位置を変更できる。その結果、車載器取付用ステーにおけるアーム部のロック切り替えの操作性を高めることができる。
【0012】
本開示の一態様では、第1突出部及び第2突出部は、それぞれ、規制部が着脱可能な規制部取付孔が設けられたフレームを有してもよい。このような構成によれば、保持部の着脱位置と共に、規制部の位置も変更できる。そのため、例えば第1突出部及び第2突出部に対するアーム部の向きを反転させることができる。その結果、アーム部に連結された車載器の取り付け角度の調整幅を大きくすることができる。
【0013】
本開示の一態様では、軸部は、ネジ山を有するボルトであってもよい。保持部は、軸部に螺合可能なナットであってもよい。このような構成によれば、アーム部のロック操作が容易に行える。
【0014】
本開示の一態様では、支持部は、軸部の端部に連結されたつまみ部を有してもよい。このような構成によれば、ロック操作における軸部の回転操作が容易に行える。
【0015】
本開示の一態様では、保持部は、軸方向から視て多角形状の外面を有してもよい。第1突出部及び第2突出部は、それぞれ、保持部が軸方向に挿入可能な多角形状の保持部取付孔を有してもよい。このような構成によれば、アーム部の回転軸周りにおける保持部の回転が第1突出部又は第2突出部によって規制されるため、軸部への保持部の着脱が容易となる。
【0016】
本開示の別の態様は、上記車載器取付用ステーと、アーム部に連結された車載器本体と、を備える車載器である。このような構成によれば、車載器本体の取付角度の調整を行うためのアーム部のロック切り替えの操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態における車載器の模式的な正面図である。
【
図3】
図3Aは、
図2Aの車載器取付用ステーにおいてアーム部が第1姿勢で取り付けられると共に保持部が第1領域に配置される状態を示す模式的な分解斜視図であり、
図3Bは、
図2Aの車載器取付用ステーにおいてアーム部が第2姿勢で取り付けられると共に保持部が第1領域に配置される状態を示す模式的な分解斜視図である。
【
図5】
図5Aは、
図2Aの車載器取付用ステーにおいてアーム部が第1姿勢で取り付けられると共に保持部が第2領域に配置される状態を示す模式的な分解斜視図であり、
図5Bは、
図2Aの車載器取付用ステーにおいてアーム部が第2姿勢で取り付けられると共に保持部が第2領域に配置される状態を示す模式的な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す車載器1は、車両内に配置される機器である。車載器1は、車載器本体2と、車載器取付用ステー3とを備える。
【0019】
車載器本体2は、カメラを備えた電子機器(例えばドライブレコーダ)である。車載器本体2は、車載器取付用ステー3によって、例えば、車両のフロントガラス、ダッシュボード等に取り付けられる。
【0020】
図2A及び
図2Bに示すように、車載器取付用ステー3は、土台部31と、第1突出部32と、第2突出部33と、アーム部34と、支持部35とを備える。
【0021】
本実施形態では、アーム部34の回転軸と平行な方向を左右方向とし、第1突出部32及び第2突出部33の土台部31からの突出方向を上下方向とし、左右方向及び上下方向の双方に直交する方向を前後方向とする。ただし、これらの方向は、車両の左右方向、上下方向及び前後方向とは必ずしも一致しない。
【0022】
<土台部>
土台部31は、プレート状の部材である。土台部31の第1板面31Aは、例えば両面テープ等の接着部材によって車両に固定される。土台部31の第2板面31Bには、第1突出部32及び第2突出部33が設けられている。
【0023】
<突出部>
第1突出部32及び第2突出部33は、それぞれ、土台部31の第2板面31Bから突出している。第1突出部32及び第2突出部33は、左右方向に離れて配置されている。第1突出部32は、第2突出部33の右側に配置されている。
【0024】
図3Aに示すように、第1突出部32は、第1フレーム32Aと、規制部32Cとを有する。第1フレーム32Aは、土台部31と連結された部位であり、土台部31と一体化されている。
【0025】
第1フレーム32Aは、第1フレーム32Aを左右方向に貫通する第1規制部取付孔32Bを有する。第1規制部取付孔32Bは、左右方向から視て多角形(例えば正六角形)状の内周面を有する。
【0026】
規制部32Cは、第1フレーム32Aの第1規制部取付孔32Bに着脱可能である。規制部32Cは、第1規制部取付孔32Bに装着された状態でアーム部34へ押し当てられることにより、アーム部34の第1突出部32及び第2突出部33に対する揺動を規制する。
【0027】
図4A及び
図4Bに示すように、規制部32Cは、第1フランジ部321と、第1挿入部322と、第1保持部取付孔323と、第1軸受324と、第1ローレット部325とを有する。
【0028】
第1フランジ部321は、支持部35の鍔部35Bと第1フレーム32Aとによって左右方向に挟まれる円環状の部位である。
【0029】
第1挿入部322は、第1フランジ部321から突出した筒状の部位である。第1挿入部322は、第1規制部取付孔32Bに挿入される。第1挿入部322は、左右方向(つまり第1規制部取付孔32Bへの挿入方向)から視て第1規制部取付孔32Bの形状に対応する多角形状の外周面を有する。
【0030】
第1保持部取付孔323は、第1挿入部322の内周面で画定され、第1フランジ部321の中空部に連通している。第1保持部取付孔323は、第1挿入部322の軸方向から視て保持部35Cの形状に対応する多角形状の内周面を有する。
【0031】
第1軸受324は、支持部35の軸部35Aを軸回転可能に支持するスリーブである。第1軸受324は、第1挿入部322の第1フランジ部321とは反対側の端部に設けられている。
【0032】
第1ローレット部325は、後述するアーム部34の第2ローレット部34Dと噛み合う複数の歯を有する。第1ローレット部325の複数の歯は、第1挿入部322の径方向に延伸し、第1挿入部322の周方向に沿って一定間隔で配置されている。
【0033】
第1ローレット部325は、規制部32Cの第1フランジ部321とは反対側の端面に設けられている。規制部32Cが第1規制部取付孔32B又は後述する第2規制部取付孔33Bに装着された状態で、第1ローレット部325は、第2ローレット部34Dと対向又は接触する。
【0034】
図3Aに示すように、第2突出部33は、第2フレーム33Aと、ダミー規制部33Cとを有する。第2フレーム33Aは、土台部31と連結された部位であり、土台部31と一体化されている。
【0035】
第2フレーム33Aは、第2フレーム33Aを左右方向に貫通する第2規制部取付孔33Bを有する。第2規制部取付孔33Bは、左右方向から視て多角形(例えば正六角形)状の内周面を有する。
【0036】
第2規制部取付孔33Bの形状は、第1突出部32の第1規制部取付孔32Bと同じである。また、第2フレーム33Aは、左右方向と直交する仮想面に対し第1フレーム32Aと対称な形状を有する。
【0037】
ダミー規制部33Cは、第2フレーム33Aの第2規制部取付孔33Bに着脱可能である。
図4C及び
図4Dに示すように、ダミー規制部33Cは、第2フランジ部331と、第2挿入部332と、第2保持部取付孔333と、第2軸受334とを有する。
【0038】
ダミー規制部33Cは、第1ローレット部325を除いて、規制部32Cと同じ形状である。換言すれば、ダミー規制部33Cは、規制部32Cから第1ローレット部325を取り除いた部材である。
【0039】
第2フランジ部331は、支持部35の鍔部35Bと第2フレーム33Aとによって左右方向に挟まれる円環状の部位である。
【0040】
第2挿入部332は、第2フランジ部331から突出した筒状の部位である。第2挿入部332は、第2規制部取付孔33Bに挿入される。第2挿入部332は、左右方向から視て第2規制部取付孔33Bの形状に対応する多角形状の外周面を有する。
【0041】
ダミー規制部33Cの第2挿入部332の外周面の形状は、規制部32Cの第1挿入部322の外周面の形状と同じである。そのため、
図3Bに示すように、ダミー規制部33Cは、第1突出部32の第1規制部取付孔32Bにも着脱可能である。同様に、規制部32Cは、第2突出部33の第2規制部取付孔33Bに着脱可能である。
【0042】
このように、規制部32Cとダミー規制部33Cとは、第1突出部32及び第2突出部33に対して互いの位置を取り換えることができる。換言すれば、本実施形態の車載器取付用ステー3は、第1突出部32が規制部32Cを有する第1形態(
図3A参照)と、第2突出部33が規制部32Cを有する第2形態(
図3B参照)とに切り替えることができる。
【0043】
図4Cに示す第2保持部取付孔333は、第2挿入部332の内周面で画定され、第2フランジ部331の中空部に連通している。第2保持部取付孔333は、第2挿入部332の軸方向から視て保持部35Cの形状に対応する多角形状の内周面を有する。ダミー規制部33Cの第2保持部取付孔333の形状は、規制部32Cの第1保持部取付孔323と同じである。
【0044】
第2軸受334は、支持部35の軸部35Aを軸回転可能に支持するスリーブである。第2軸受334は、第2挿入部332の第2フランジ部331とは反対側の端部に設けられている。
【0045】
<アーム部>
図3A及び
図3Bに示すアーム部34は、第1突出部32と第2突出部33との間に配置される。
【0046】
アーム部34は、回転部34Aと、挿通孔34Bと、連結部34Cと、第2ローレット部34Dとを有する。
【0047】
回転部34Aは、左右方向において第1突出部32と第2突出部33とに挟まれる筒状の部位である。挿通孔34Bは、回転部34Aの中空部によって構成されている。挿通孔34Bには、軸部35Aが挿通される。回転部34Aは、挿通孔34Bに挿通された軸部35Aによって、回転可能に支持される。
【0048】
連結部34Cは、回転部34Aから回転部34Aの径方向に突出する部位である。連結部34Cには、車載器本体2を固定するための構造(例えばローレット、ネジ孔等)が設けられている。
【0049】
第2ローレット部34Dは、規制部32Cの第1ローレット部325と噛み合う複数の歯を有する。第2ローレット部34Dの複数の歯は、回転部34Aの径方向に延伸し、回転部34Aの周方向に沿って一定間隔で配置されている。
【0050】
第2ローレット部34Dは、回転部34Aの一方の端面(
図3Bにおける左側端面)に配置されている。また、回転部34Aの他方の端面(
図3Aにおける左側端面)には規制部32Cによって規制を受ける(つまり第1ローレット部325と噛み合う)ローレットは設けられていない。
【0051】
アーム部34は、
図3A及び
図5Aに示す第2ローレット部34Dが右側に配置された第1姿勢と、
図3B及び
図5Bに示す第2ローレット部34Dが左側に配置された第2姿勢との双方の姿勢で、第1突出部32及び第2突出部33の間に配置可能である。
【0052】
アーム部34が第1姿勢のときは、規制部32Cが第1規制部取付孔32Bに挿入されると共に、ダミー規制部33Cが第2規制部取付孔33Bに挿入される。つまり、第1突出部32が規制部32Cを有する。
【0053】
一方、アーム部34が第2姿勢のときは、規制部32Cが第2規制部取付孔33Bに挿入されると共に、ダミー規制部33Cが第1規制部取付孔32Bに挿入される。つまり、第2突出部33が規制部32Cを有する。
【0054】
<支持部>
支持部35は、アーム部34を第1突出部32及び第2突出部33に対して揺動可能に支持する。支持部35は、軸部35Aと、鍔部35Bと、保持部35Cと、つまみ部35Dとを有する。
【0055】
軸部35Aは、第1突出部32、第2突出部33及びアーム部34に挿通される棒状の部位である。具体的には、軸部35Aは、規制部32Cの第1軸受324と、アーム部34の回転部34Aと、ダミー規制部33Cの第2軸受334とに挿通される。
【0056】
本実施形態では、軸部35Aは、少なくとも先端部にネジ山を有するボルトである。軸部35Aは、規制部32Cの第1軸受324と、ダミー規制部33Cの第2軸受334とによって、軸回転可能に支持される。
【0057】
鍔部35Bは、軸部35Aよりも外径が大きい円盤状の部位であり、軸部35Aに取り付けられている。具体的には、鍔部35Bは、軸部35Aが挿通される開口を中央に有すると共に、ワッシャ351によって軸部35Aの軸方向における移動が規制されている。
【0058】
鍔部35Bは、軸部35Aのうち、規制部32C、アーム部34及びダミー規制部33Cに挿通される先端部とは反対側の部位に配置されている。軸部35Aは、鍔部35Bが規制部32C又はダミー規制部33Cに当接する位置まで挿入される。
【0059】
保持部35Cは、鍔部35Bと共に、第1突出部32及び第2突出部33を軸部35Aの軸方向(つまり左右方向)に挟む。保持部35Cは、軸部35Aに着脱可能に構成されている。
【0060】
保持部35Cは、軸部35Aに装着されることで、軸部35Aの第1突出部32及び第2突出部33からの抜け出しを防ぐと共に、鍔部35Bを規制部32C又はダミー規制部33Cに押し付ける。また、保持部35Cを軸部35Aから脱離することで、軸部35Aの第1突出部32及び第2突出部33からの抜き出しが可能となる。
【0061】
本実施形態では、保持部35Cは、軸部35Aに螺合可能なナットである。具体的には、保持部35Cは、軸部35Aの先端部を覆うキャップ状のナットである。保持部35Cは、軸方向から視て多角形(例えば正六角形)状の外面を有する。なお、保持部35Cは、軸部35Aと引き付け合う磁力を有してもよい。
【0062】
保持部35Cは、規制部32Cの第1保持部取付孔323及びダミー規制部33Cの第2保持部取付孔333の双方に挿入可能である。つまり、保持部35Cは、軸方向において第1突出部32よりも第2突出部33に近い第1領域(
図3A参照)と、第2突出部33よりも第1突出部32に近い第2領域(
図5A参照)とのいずれにも配置可能である。
【0063】
図3A及び
図3Bにおいて保持部35Cが配置される第1領域は、第2突出部33の左側の領域である。第1領域に保持部35Cが配置される場合、軸部35Aは、右側から第1突出部32及び第2突出部33に挿入される。また、鍔部35Bは、規制部32C又はダミー規制部33Cを右側から押圧する。
【0064】
図5A及び
図5Bにおいて保持部35Cが配置される第2領域は、第1突出部32の右側の領域である。第2領域に保持部35Cが配置される場合、軸部35Aは、左側から第2突出部33及び第1突出部32に挿入される。また、鍔部35Bは、規制部32C又はダミー規制部33Cを左側から押圧する。
【0065】
第1領域に保持部35Cが配置された場合及び第2領域に保持部35Cが配置された場合の双方において、鍔部35B及び保持部35Cによって規制部32C(具体的には第1ローレット部325)が左右方向においてアーム部34(具体的には第2ローレット部34D)へ押し当てられる。
【0066】
つまみ部35Dは、軸部35Aの保持部35Cが装着される先端部とは反対側の端部に連結されている。つまみ部35Dは、軸部35Aを保持部35Cに対して軸回転させる際に使用者が把持する部位である。
【0067】
<組立方法>
以下、車載器取付用ステー3の組立方法について説明する。まず、つまみ部35Dを右側に配置する(つまり保持部35Cを第1領域に配置する)場合の第1の組立方法について説明する。
【0068】
第1の組立方法では、アーム部34を第1姿勢及び第2姿勢のうち任意の姿勢で第1突出部32及び第2突出部33の間に配置する。
【0069】
図3Aのようにアーム部34を第1姿勢とした場合は、第1規制部取付孔32Bに規制部32Cを挿入し、第2規制部取付孔33Bにダミー規制部33Cを挿入する。さらに、第2保持部取付孔333に保持部35Cを挿入する。つまり、保持部35Cを第1領域に配置する。
【0070】
一方、
図3Bのようにアーム部34を第2姿勢とした場合は、第2規制部取付孔33Bに規制部32Cを装着し、第1規制部取付孔32Bにダミー規制部33Cを装着する。さらに、第1保持部取付孔323に保持部35Cを挿入する。つまり、保持部35Cを第1領域に配置する。
【0071】
規制部32C、ダミー規制部33C及び保持部35Cが装着された状態で、軸部35Aを右側から第1突出部32、アーム部34及び第2突出部33に挿通させ、軸部35Aの先端部を保持部35Cに接触させる。
【0072】
この状態で保持部35Cを軸方向に押さえながら、つまみ部35Dを回すことで軸部35Aを保持部35Cに螺合させる。なお、保持部35Cの回転は、多角形状の第1保持部取付孔323又は第2保持部取付孔333によって規制される。
【0073】
第1ローレット部325が第2ローレット部34Dに噛み合う位置まで軸部35Aが保持部35Cに螺合することで、アーム部34の土台部31に対する回転が規制されたロック状態が得られる。
【0074】
なお、第1ローレット部325が第2ローレット部34Dに噛み合った状態で、規制部32Cの第1フランジ部321と第1フレーム32Aとの間、又は第1フランジ部321と第2フレーム33Aとの間には、クリアランスが形成される。このクリアランスによって、ロックフリー状態において第1フレーム32A又は第2フレーム33Aとの接触によるアーム部34の角度調整の阻害が抑制される。
【0075】
ロック状態において、つまみ部35Dを回して第1ローレット部325の第2ローレット部34Dへの噛み合いが解除される位置まで軸部35Aを移動させることで、アーム部34を土台部31に対し回転させる(つまりアーム部34の角度を調整する)ことができるロックフリー状態が得られる。
【0076】
アーム部34の角度の調整後、軸部35Aを保持部35Cに向かって送る方向につまみ部35Dを回すことで、ロックフリー状態をロック状態に戻すことができる。このように、つまみ部35Dの回転操作によって、車載器取付用ステー3をロック状態とロックフリー状態とに切り替えることができる。
【0077】
つまみ部35Dを左側に配置する場合の第2の組立方法は、保持部35Cを第2領域に配置し、軸部35Aを左側から第2突出部33、アーム部34及び第1突出部32に挿通させる点を除いて、第1の組立方法と同じである。
【0078】
このように、第1の組立方法と第2の組立方法との使い分けによって、アーム部34の角度を調整する際に操作するつまみ部35Dを、右側及び左側のいずれかに配置することができる。
【0079】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)軸部35Aに着脱される保持部35Cが第1領域と第2領域とのいずれにも配置可能であるため、車載器1の取り付け位置、車載器本体2の形状等の条件に合わせて、アーム部34の回転軸方向における両側(つまり第1突出部32の外側及び第2突出部33の外側)のいずれかにロック操作位置を変更できる。その結果、車載器取付用ステー3におけるアーム部34のロック切り替えの操作性を高めることができる。
【0080】
(1b)第1突出部32及び第2突出部33がそれぞれ規制部取付孔32B,33Bを有することで、保持部35Cの着脱位置と共に、規制部32Cの位置も変更できる。そのため、例えば第1突出部32及び第2突出部33に対するアーム部34の向きを反転させることができる。その結果、アーム部34に連結された車載器本体2の取り付け角度の調整幅を大きくすることができる。
【0081】
(1c)軸部35Aがボルトであり、保持部35Cがナットであることで、アーム部34のロック操作が容易に行える。
(1d)つまみ部35Dによって、ロック操作における軸部35Aの回転操作が容易に行える。
【0082】
(1e)アーム部34の回転軸周りにおける保持部35Cの回転が第1突出部32又は第2突出部33によって規制されるため、軸部35Aへの保持部35Cの着脱が容易となる。
【0083】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0084】
(2a)上記実施形態の車載器取付用ステーにおいて、支持部は、必ずしもつまみ部を有しなくてもよい。軸部は、例えばドライバ等の公知の工具を用いて回転されるように構成されてもよい。
【0085】
(2b)上記実施形態の車載器取付用ステーにおいて、軸部は必ずしもボルトでなくてもよく、保持部は必ずしもナットでなくてもよい。例えば、軸部は、軸方向への挿入によって保持部に嵌合するように構成されてもよい。また、保持部は、磁力によって軸部に装着されるように構成されてもよい。
【0086】
(2c)上記実施形態の車載器取付用ステーにおいて、第1突出部及び第2突出部の双方が規制部を有してもよい。また、第1突出部及び第2突出部が有する規制部は、必ずしもフレームに対して着脱可能でなくてもよく、規制部とフレームとが一体化されていてもよい。また、アーム部は、左右両側にローレット部がそれぞれ設けられてもよい。
【0087】
(2d)上記実施形態の車載器において、アーム部は、車載器本体と一体化されていてもよい。例えば、アーム部は、車載器本体の筐体(つまりケース)の一部で構成されてもよい。
【0088】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0089】
1…車載器、2…車載器本体、3…車載器取付用ステー、31…土台部、
31A…第1板面、31B…第2板面、32…第1突出部、32A…第1フレーム、
32B…第1規制部取付孔、32C…規制部、33…第2突出部、
33A…第2フレーム、33B…第2規制部取付孔、33C…ダミー規制部、
34…アーム部、34A…回転部、34B…挿通孔、34C…連結部、
34D…第2ローレット部、35…支持部、35A…軸部、35B…鍔部、
35C…保持部、35D…つまみ部、321…第1フランジ部、322…第1挿入部、
323…第1保持部取付孔、324…第1軸受、325…第1ローレット部、
331…第2フランジ部、332…第2挿入部、333…第2保持部取付孔、
334…第2軸受、351…ワッシャ。