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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080712
(43)【公開日】2022-05-30
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20220523BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20220523BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
B41J15/04
B41J29/13
B41J3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191926
(22)【出願日】2020-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】野嵜 剛
(72)【発明者】
【氏名】穀田 博
【テーマコード(参考)】
2C055
2C060
2C061
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C060BA04
2C060BA05
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AS06
2C061AS07
2C061AS08
2C061AS11
2C061AS14
2C061BB12
2C061BB21
2C061CD07
2C061CD11
2C061CD12
2C061CD14
(57)【要約】
【課題】プリンタにおいて印字媒体の交換作業性を良好としつつ、プリンタの動作時において印字媒体を安定的に保持できるようにする。
【解決手段】本発明の一実施形態は、印字媒体を収容又は挿通させる収容室を有する本体ケースと、収容室を開放する開放位置と、収容室を閉鎖する閉鎖位置と、の間で移動可能なプリンタカバーと、収容室に配置され、印字媒体の両側面をガイドする一対の用紙ガイドと、一対の用紙ガイドの間隔を狭くする方向の一対の用紙ガイドの移動を規制する第1規制部と、プリンタカバーが閉鎖位置にあるときに、一対の用紙ガイドの間隔を少なくとも広くする方向の一対の用紙ガイドの移動を規制する第2規制部と、を備えたプリンタである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字媒体を収容又は挿通させる収容室を有する本体ケースと、
前記収容室を開放する開放位置と、前記収容室を閉鎖する閉鎖位置と、の間で移動可能なプリンタカバーと、
前記収容室に配置され、前記印字媒体の両側面をガイドする一対の用紙ガイドと、
前記一対の用紙ガイドの間隔を狭くする方向の前記一対の用紙ガイドの移動を規制する第1規制部と、
前記プリンタカバーが閉鎖位置にあるときに、前記一対の用紙ガイドの間隔を少なくとも広くする方向の前記一対の用紙ガイドの移動を規制する第2規制部と、
を備えたプリンタ。
【請求項2】
前記一対の用紙ガイドの間隔を狭くする方向に前記一対の用紙ガイドを付勢する付勢部材を有し、
前記第1規制部は、前記付勢部材の付勢力に抗して前記一対の用紙ガイドの移動を規制する、
請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記一対の用紙ガイドの各々に連結され、各用紙ガイドと連動して移動する一対の可動部材を備え、
前記第1の規制部は、前記一対の可動部材の進行方向において可動範囲が制限された係合部材を有し、
前記係合部材は、所定の操作に応じて、前記一対の可動部材のいずれかと係合して前記一対の用紙ガイドの移動を規制する、
請求項1又は2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記第1の規制部は、前記係合部材が前記一対の可動部材のいずれとも係合しない場合には前記可動範囲の一端である第1位置にあるように前記係合部材を付勢する付勢部材を有し、
前記係合部材は、前記前記一対の可動部材のいずれかと係合した場合には、前記第1位置から前記可動範囲の他端である第2位置に向けて移動可能である、
請求項3に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記一対の可動部材の各々は、第1ラックギアを有し、
前記一対の可動部材の少なくとも一方は、第2ラックギアを有し、
前記一対の可動部材の前記第1ラックギア同士が第1ピニオンギアと噛み合うことで、前記一対の用紙ガイドの間隔を狭くする方向、又は広くする方向に移動可能であり、
前記係合部材は、前記所定の操作に応じて前記第2ラックギアと噛み合う第2ピニオンギアを有する、
請求項3又は4に記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記一対の用紙ガイドの一方は、前記一対の用紙ガイドのガイド面に直交する仮想軸の回りを回転可能な回転部材を有し、
前記第2規制部は、前記回転部材に設けられた第1係合部と、前記収容室内に設けられた第2係合部と、を有し、
前記プリンタカバーが前記開放位置から前記閉鎖位置に移動する間に、前記プリンタカバーが前記回転部材と当接して回転することで、前記第1係合部が前記第2係合部とロックする、
請求項1から5のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項7】
前記回転部材は、第1回転位置と第2回転位置の間を移動可能であって、
前記回転部材が前記第2回転位置にある場合に、前記第1係合部が前記第2係合部とロックし、
前記第2規制部は、前記回転部材を前記第2回転位置から前記第1回転位置に向けて付勢する第2付勢部材を有する、
請求項6に記載されたプリンタ。
【請求項8】
前記プリンタカバーが閉鎖位置にあるときに前記一対の用紙ガイドに外力が加わった場合に、前記第1係合部と前記第2係合部のロックが解除されるように構成されている、
請求項6又は7に記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の連続紙をロール状に巻回したロール紙を収容し、ロール紙から連続紙を引き出して印字を行うプリンタにおいて、様々な幅のロール紙に対応できるようにしたものが知られている。
例えば特許文献1には、用紙収納部内において用紙幅方向にスライド自在に設けられた一対のガイドフェンスを有するプリンタが記載されている。一方のガイドフェンスには、レバーが回動自在に取り付けられており、レバーの回動によって、一対のガイドフェンスのスライド移動を規制し、あるいはスライド移動を規制しないようにする構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-173353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された一対のガイドフェンス(ロール紙ガイド)のスライド移動の規制方法では、ロール紙を交換するときの作業性が良好ではない場合がある。特に、ロール紙の紙管内でロール紙を保持する突出部がロール紙ガイドに設けられている場合、同じ幅のロール紙を交換する場合であっても一対のロール紙ガイドの間隔を少し広げる必要があり、レバーの操作が必要となる。そのため、ロール紙を交換するときの作業性の向上が求められる。
他方、プリンタカバーを閉め、プリンタを動作させるときには、ロール紙ガイドによりロール紙を安定して保持することも求められる。
【0005】
そこで、本発明は、プリンタにおいて印字媒体の交換作業性を良好としつつ、プリンタの動作時において印字媒体を安定的に保持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、印字媒体を収容又は挿通させる収容室を有する本体ケースと、前記収容室を開放する開放位置と、前記収容室を閉鎖する閉鎖位置と、の間で移動可能なプリンタカバーと、前記収容室に配置され、前記印字媒体の両側面をガイドする一対の用紙ガイドと、前記一対の用紙ガイドの間隔を狭くする方向の前記一対の用紙ガイドの移動を規制する第1規制部と、前記プリンタカバーが閉鎖位置にあるときに、前記一対の用紙ガイドの間隔を少なくとも広くする方向の前記一対の用紙ガイドの移動を規制する第2規制部と、を備えたプリンタである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、プリンタにおいて印字媒体の交換作業性を良好としつつ、プリンタの動作時において印字媒体を安定的に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは、実施形態に係るプリンタについてプリンタカバーが閉鎖状態である場合の斜視図であり、図1Bは、実施形態に係るプリンタについてプリンタカバーが開放状態である場合の斜視図である。
図2】実施形態のプリンタについて、プリンタカバーが開放状態であり、剥離ユニットが開放状態であり、ロール紙が収容されていない状態の斜視図である。
図3】実施形態の用紙ガイドユニットの斜視図である。
図4】実施形態の用紙ガイドユニットの斜視図である。
図5】実施形態の用紙ガイドユニットの一部を拡大して示す斜視図である。
図6】用紙ガイドの分解斜視図である。
図7】例示的なガイドコアの斜視図である。
図8】例示的な回転部材の斜視図である。
図9】実施形態の用紙ガイドユニットの斜視図である。
図10】移動制限ユニットの分解斜視図である。
図11】移動制限ユニットの動作を説明する図である。
図12】移動制限ユニットの動作を説明する図である。
図13】変形例に係る用紙ガイドユニットの斜視図である。
図14】変形例に係る用紙ガイドユニットの一部の正面図である。
図15図15A及び図15Bは共に、載置部材に設けられた係合部、及び、用紙ガイドに設けられた係合部の断面の一部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[プリンタ1の概略構成]
本発明の一実施形態に係るプリンタ1は、連続発行と剥離発行を切り替え可能に構成されたラベルプリンタである。以下、プリンタ1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図では、例えば図1A及び図1Bの斜視図に示すように、上(UP)、下(DN)、左(LH)、右(RH)、前(FR)、後(RR)の方向を定義しているが、この方向の定義は、専ら図面の説明の便宜のためであり、本発明のプリンタの使用時の姿勢を限定する意図はない。
この方向の定義では、「プリンタ前後方向」とは、プリンタ1の前後の方向を意味する。左方向及び右方向は、横方向を意味する。
【0010】
図1A図1B及び図2は、それぞれ実施形態のプリンタ1の斜視図である。図1Aは、プリンタカバー3が閉鎖状態の場合を示し、図1B及び図2は、プリンタカバー3が開放状態の場合を示している。図1Bは、ロール紙Rがセットされた状態を示し、図2は、ロール紙R、及び、ロール紙Rがセットされる前のプリンタ1の状態を示している。
【0011】
図1Aに示すように、プリンタ1は、本体ケース2とプリンタカバー3によって内部の機能部品が保護されている。プリンタ1の上面には、ラベルを排出する排出部20が設けられている。
なお、プリンタ1は、排出部20側を上に向けた状態(横置き)で使用することも可能であるが、プリンタ1の底面に設けられたベルトフック(図示せず)を操作者のベルトに引っかけたり、ショルダーベルト(図示せず)を装着して操作者の肩に掛けたりすることにより排出部20側を横に向けた状態(縦保持)で使用することも可能である。
本体ケース2において排出部20よりも前方には、表示パネル15が設けられている。表示パネル15は、操作者による操作入力を受け付けるタッチパネル入力機構を備えてもよい。表示パネル15は、プリンタ1の内部の回路基板に接続されており、回路基板から供給される表示信号に基づいて、例えばプリンタ1の動作状態やプリンタ1の操作に関するユーザインタフェースを示す画像を出力する。
【0012】
図示しないが、本体ケース2とプリンタカバー3によって包囲されているプリンタ1の内部には、様々な機能部品を支持又は保持するための内部フレームが配置されている。この内部フレームと、本体ケース2及びプリンタカバー3とは、プリンタ本体に相当する。
【0013】
プリンタカバー3は、プリンタ1の内部を開放する開放位置と、プリンタ1の内部を閉鎖する閉鎖位置と、の間で揺動可能に構成される。
本体ケース2に設けられたカバー開放用ボタン51bを操作すると、図1Bに示すように、プリンタカバー3が開放する。プリンタカバー3を開放することで、ロール紙収容室9が露出する。ロール紙収容室9は、ロール紙R(印字媒体の一例)を収容する空間である。
【0014】
図2に示すように、ロール紙Rは、帯状の連続紙Pがロール状に紙管RCの回りに巻回されたものである。連続紙Pは、帯状の台紙PMと、台紙PM上に予め決められた間隔毎に仮着された複数枚のラベルPLとを有している。台紙PMのラベル貼付面には、ラベルPLを容易に剥離することが可能なようにシリコーン等のような剥離剤が被覆されている。また、台紙PMのラベル貼付面の裏面には、予め決められた間隔毎にラベルPLの基準位置を示す位置検出マークMが形成されている。
ラベルPLの表側は情報が印字される印字面であり、予め決められた温度領域に達すると特定の色に発色する感熱発色層が形成されている。印字面の裏側は接着剤によって被覆された接着面であり、当該接着面が台紙PMのラベル貼付面に貼り付けられることでラベルPLが台紙PMに仮着されている。
【0015】
ロール紙収容室9には、用紙ガイドユニット6が設置される。用紙ガイドユニット6は、一対の用紙ガイド60L,60Rを含む。一対の用紙ガイド60L,60Rは、ロール紙Rの両側面に接触した状態でロール紙Rを回転自在の状態で支持してロール紙Rから引き出される連続紙の搬送をガイドする部材であり、ロール紙Rの幅に応じて位置を変えられるようにロール紙Rの幅方向に沿って移動可能である。
用紙ガイドユニット6については、後に詳しく説明する。
【0016】
図2に示すように、プリンタカバー3が開放位置と閉鎖位置の間で本体ケース2に対して揺動可能となるように、プリンタカバー3が本体ケース2に対してヒンジ8で軸支されている。ヒンジ8はヒンジ軸81を有し、ヒンジ軸81には、プリンタカバー3を閉鎖位置から開放位置に向けて付勢する捩りばね(図示せず)が設けられている。
【0017】
図2に示すように、プリンタカバー3の先端には、プラテンローラ10が正逆方向に回動自在の状態で軸支されている。プラテンローラ10は、ロール紙Rから引き出される連続紙Pを搬送する搬送手段であり、連続紙Pの幅方向に沿って延在した状態で形成されている。このプラテンローラ10のプラテン軸10aの一端には、ギア10bが連結されている。このギア10bは、プリンタカバー3が閉鎖位置のときに本体ケース2内に配置されるギア22bと係合し、ギア22bを介してローラ駆動用のステッピングモータ(図示せず)等に機械的に接続されるようになっている。
【0018】
図2に示すように、プリンタカバー3には、プラテンローラ10の近傍において剥離バー12がプラテンローラ10に沿って設置されている。この剥離バー12は、台紙PMからラベルPLを剥離する剥離部材であり、その両端はプリンタカバー3の両側壁に固定されている。なお、剥離バー12は、プラテン軸10aの両端に固定してもよい。
【0019】
本体ケース2内には、プリンタカバー3を閉鎖したときにプラテンローラ10のプラテン軸10aを保持するプラテン保持ブラケット27が設けられる。プラテン保持ブラケット27の前方には、サーマルヘッド28が配置される。
【0020】
サーマルヘッド28は、例えば、文字、記号、図形またはバーコード等の情報を、ロール紙Rから搬送される台紙PMに仮着されているラベルPLに印字する印字手段である。サーマルヘッド28は、プリンタカバー3が閉鎖状態のときにプラテンローラ10に対向するように設けられている。
サーマルヘッド28は、連続紙Pの幅方向に沿って配列される複数の発熱素子(発熱抵抗体)を備え、回路基板から送信される信号に基づいて複数の発熱素子を選択的に通電することで印字を行う。
【0021】
図2に示すように、サーマルヘッド28の前方には、コイルばね55が配置される。コイルばね55の後方の一端はサーマルヘッド28に当接し、コイルばね55の前方の他端は内部フレームに当接している。コイルばね55は、印字時にサーマルヘッド28をプラテンローラ10に向けて付勢し、それによってサーマルヘッド28が印字に最適な圧力でプラテンローラ10に押圧される。
【0022】
プリンタカバー3には、センサ35が設けられている。センサ35は、プリンタカバー3の閉鎖時において、ロール紙Rから引き出された連続紙Pがプラテンローラ10に達するまでの間の通紙ルートに配置され、ラベルPLの位置を検出する。このセンサ35の検出結果に基づいて、連続紙Pの搬送量を制御することが好ましい。
【0023】
図示しないが、連続発行後の連続紙Pの台紙PMを切断するカッタを設けるとよい。カッタを設ける場合、カッタは、排出部20において連続紙Pの幅方向に沿って延在した状態で設置される。
【0024】
[用紙ガイドユニット6の構成]
次に、用紙ガイドユニット6の概要について、図3及び図4を参照して説明する。
図3及び図4はともに、一実施形態に係る用紙ガイドユニット6の斜視図であるが、異なる視点から見た図である。
図3に示すように、用紙ガイドユニット6は、載置部材61と、一対の用紙ガイド60L,60Rとを備える。載置部材61は、図示しない内部フレームに例えば締結手段によって固定され、一対の用紙ガイド60L,60Rを載置して横方向に摺動可能とする部材である。用紙ガイドユニット6では、ユーザの操作によって用紙ガイド60L,60Rの間隔を自在に狭くする、又は広くすることが可能であるが、後述する機能が働くことによって用紙ガイド60L,60Rの移動が規制される場合がある。
【0025】
用紙ガイド60L,60Rの各々は、ガイド面60aが形成され、ガイド面60aから突出する突出部60bを有する。各用紙ガイドのガイド面60a及び突出部60bは、互いに対向している。用紙ガイド60L,60Rの間にロール紙Rがセットされた場合、ガイド面60aはロール紙Rの側面が当接する面であり、突出部60bはロール紙Rの紙管RC(図2参照)の中空部分に挿入されてロール紙Rを支持する。
【0026】
用紙ガイドユニット6については、以下の3機能を発揮するように構成されている。
【0027】
(機能I)一対の用紙ガイド60L,60Rの間隔を狭くするように用紙ガイド60L,60Rを付勢する機能
この機能によって、用紙ガイドユニット6に最初にロール紙Rをセットする場合や、用紙ガイドユニット6にセットするロール紙Rのサイズ(幅)を変更する場合に、ロール紙Rを適切に支持することができる。
【0028】
(機能II)所定の操作に応じて機能Iを無効とし、一対の用紙ガイド60L,60Rの間隔を狭くする方向の一対の用紙ガイド60L,60Rの移動を規制する機能
この機能によって、同一サイズのロール紙Rを使用し続ける場合にロール紙Rの交換がしやすくなるという利点がある。つまり、同一サイズのロール紙Rに交換する場合であっても、各用紙ガイドの突出部60bをロール紙Rの紙管RC内に挿入するために、用紙ガイド60L,60Rの間隔を僅かに広げる必要がある。このとき、機能IIによって、所定のサイズのロール紙Rに対応する用紙ガイド60L,60Rの間隔から広げる方向への用紙ガイド60L,60Rの移動は可能である一方、狭くする方向への移動が規制される。そのため、ユーザは、ロール紙Rを交換する際に、用紙ガイド60L,60Rの間隔を広げる方向に用紙ガイド60L,60Rを僅かに移動させて、新しいロール紙Rを挿入するだけでよい。この交換作業時に、仮に、用紙ガイド60L,60Rが左方向及び右方向のいずれにも移動しないとしたならば、ロール紙Rを用紙ガイド60L,60Rの間に挿入することが困難となる。
また、交換対象のロール紙Rを用紙ガイドユニット6から取り除いたときに用紙ガイド60L,60Rが内側に移動しないため、同一サイズのロール紙Rの交換の都度に用紙ガイド60L,60Rを大きく移動させる必要がなく、ロール紙Rの交換作業性に優れる。
【0029】
(機能III)プリンタカバー3が閉鎖位置にあるときに、一対の用紙ガイド60L,60Rの間隔を少なくとも広くする方向の一対の用紙ガイド60L,60Rの移動を規制する機能
この機能によって、ロール紙Rを用紙ガイドユニット6にセットした後にプリンタカバー3を閉じてプリンタ1の使用を開始する場合に、用紙ガイド60L,60Rは、その間隔が狭くなる方向の移動はもとより、その間隔が広くなる方向の移動も規制される。そのため、プリンタ1の使用時にロール紙Rが横方向に移動してしまうことがなく、プリンタ1を安定的に動作させることができる。
【0030】
図3及び図4は、一対の用紙ガイド60L,60Rの間隔を最も広げた状態の用紙ガイドユニット6を示している。
図3に示すように、載置部材61の表面612には、開口61La,61Raが形成されている。この開口61La,61Raを通して、用紙ガイド60L,60Rはそれぞれ、図4に示す可動部材65L,65Rと連結されている。
図4に示すように、可動部材65L,65Rは、横方向に長尺状の部材であり、それぞれラックギア65Lg,65Rgを有する。ラックギア65Lg,65Rgは、ギア支持部66に支持されたピニオンギア66p(図4では不可視)に嵌合し、ラックアンドピニオン機構を構成する。つまり、用紙ガイド60L,60Rの移動に連動してラックギア65Lg,65Rgが自転するピニオンギア66pに嵌合し、それによって可動部材65L,65Rが横方向に移動可能となっている。
【0031】
可動部材65Rは、ラックギア65Rgとは反対側にラックギア65Rg2を有する。ラックギア65Rg2は、後述するように、移動制限ユニット62と係合するために設けられている。
【0032】
図4に示すように、コイルばね652L(付勢部材の一例)の一端が可動部材65Lの一端に接続され、コイルばね652Lの他端が載置部材61の取り付け部651Lに接続されている。コイルばね652R(付勢部材の一例)の一端が可動部材65Rの一端に接続され、コイルばね652Rの他端が載置部材61の取り付け部651Rに接続されている。そのため、コイルばね652L,652Rの復元力によって、可動部材65L,65Rが内方に向けて付勢されている。そして、可動部材65L,65Rに連結されている用紙ガイド60L,60Rは、その間隔が狭くなる方向に付勢されている(上記機能I)。
【0033】
図4に示すように、載置部材61の背面には、移動制限ユニット62が設置されている。移動制限ユニット62は、上記機能IIを発揮するために設けられている。
移動制限ユニット62は、横方向に延びており、その一端にはレバー625が設けられている。レバー625は、載置部材61の開口61bから突出しており、ユーザが上下方向に操作可能である。レバー625が上位置(図4に示す位置)にあるときには機能IIは働かず、レバー625が下位置にあるときに機能IIが働く。移動制限ユニット62の動作については、後述する。
【0034】
図5は、用紙ガイドユニット6の一部を拡大して示す斜視図である。
図3及び図5に示すように、載置部材61の表面612には、係合部612gが形成されている。一実施形態では、係合部612gは、図5に示すように横方向に設けられた複数の溝を含む。
【0035】
用紙ガイド60Rは、作動部603bを有する。作動部603bは、一対の用紙ガイド60L,60Rのガイド面60aに直交する仮想軸の回りを回転可能である。プリンタカバー3が閉じられると、プリンタカバー3が作動部603bの当接面603bsに当接して、作動部603bを回転させ、作動部603bに設けられている係合部603g(図5では不可視;第1係合部の一例)が係合部612g(第2係合部の一例)とロック(係合)する。それによって、用紙ガイド60Rの横方向の移動が規制される。すなわち、プリンタカバー3が閉鎖位置にある場合には、用紙ガイド60L,60Rは、その間隔を広くする方向及び狭くする方向のいずれの方向についても移動が規制され、上記機能IIIが発揮される。
係合部603gと係合部612gは、第2規制部の一例を構成する。
【0036】
なお、係合部612gの各溝は、一対の用紙ガイド60L,60Rの間隔を広くする方向の一対の用紙ガイド60L,60Rの移動を規制するような形状であればよく、必ずしも狭くする方向の移動を規制する形状である必要はない。用紙ガイドユニット6にロール紙Rがセットされている場合には、一対の用紙ガイド60L,60Rは、その間隔を狭くする方向の移動はロール紙Rにより規制されているためである。
【0037】
次に、用紙ガイド60L,60Rの構造について、図6図9を参照して説明する。
図6は、用紙ガイド60Rの分解斜視図である。図7はガイドコア601の斜視図であり、図8は回転部材603の斜視図である。用紙ガイド60Lについては図示しないが、作動部603bがないことを除けば、図6に示す用紙ガイド60Rと同様の内部構造を備える。
【0038】
図6に示すように、用紙ガイド60Rは、ガイドコア601と、ガイドコア保持部602と、回転部材603と、を有する。
ガイドコア601は、ガイド面60aと突出部60bが設けられた円板状の部材である。前述したように、ガイド面60aはロール紙Rの側面が当接する面であり、突出部60bはロール紙Rの紙管RC(図2参照)の中空部分に挿入されてロール紙Rを支持する部分である。
図7に示すように、ガイドコア601の中央部には、ガイド面60aとは反対側の面から突出する爪部601aが形成されている。爪部601aは、ガイドコア601をガイドコア保持部602と回転部材603とに連結するために設けられている。
【0039】
ガイドコア保持部602は、ガイドコア601を保持する部材であり、摺動部602bを有する。摺動部602bは、用紙ガイド60Rが用紙ガイドユニット6に設置されたときに、載置部材61の底面611(図3参照)を摺動する部分である。ガイドコア保持部602の中央部には、開口602aが形成されている。
【0040】
回転部材603は、ガイドコア保持部602の外側の面において、一対の用紙ガイド60L,60Rのガイド面60aに直交する仮想軸の回りを、第1回転位置と第2回転位置の間で回転可能である。なお、第1回転位置は、プリンタカバー3が開放位置にあるときの回転部材603の回転方向の位置である。第2回転位置は、プリンタカバー3が閉鎖位置にあるときの回転部材603の回転方向の位置である。
【0041】
回転部材603は、当接面603bsが設けられた作動部603bを有する。プリンタカバー3が当接面603bsに当接することにより、回転部材603が回転する。
図8に示すように、作動部603bは、複数の溝からなる係合部603gを有する。プリンタカバー3が当接面603bsに当接することで回転部材603が回転したときには、係合部603gが係合部612g(図5参照)と係合(嵌合)するように構成されている。
【0042】
図6に示すように、用紙ガイド60Rは、コイルばね604を有する。コイルばね604の一端はガイドコア保持部602に接続され、コイルばね604の他端が回転部材603の作動部603bに接続されている。コイルばね604は、係合部603gが係合部612gとロック(係合)しない位置に向かって回転部材603を付勢する。つまり、プリンタカバー3が開放位置にあるときには、回転部材603に外力が加わらないため、係合部603gが係合部612gとロック(係合)しない第1回転位置にあり、用紙ガイド60Rの横方向の移動を規制しない。プリンタカバー3が閉鎖するときには、コイルばね604の付勢力に抗して、回転部材603は、係合部603gが係合部612gとロック(係合)する第2回転位置に移動させられる。プリンタカバー3を閉鎖位置から開放位置に移動させた場合には、回転部材603は、コイルばね604の付勢力によって第2回転位置から第1回転位置に戻る。
【0043】
図9は、図5とは別の視点から見たときの用紙ガイドユニット6の斜視図である。
ガイドコア601の爪部601aは、ガイドコア保持部602の開口602aと回転部材603の開口603aを貫通し、回転部材603のガイドコア601と対向していない側の面において引っ掛けられる(係合する)。図9に示すように、ガイドコア601の爪部601aが回転部材603から露出する。
【0044】
次に、図10図12を参照して、移動制限ユニット62(第1規制部の一例)の構成と動作について説明する。
図10は、移動制限ユニット62の分解斜視図である。図11及び図12は、それぞれ移動制限ユニット62の動作を説明する図である。
【0045】
図10に示すように、移動制限ユニット62は、本体部621とカバー部622と、可動部623と、を有する。
本体部621には、突起621a,621b、及び、突起621c,621eが形成されており、それぞれカバー部622の切欠部622a,622b、及び、孔622c,622eに挿入することで、移動制限ユニット62が組付けられる。
【0046】
本体部621には挿通孔626が形成されている。ねじ628が、カバー部622の孔622d及び挿通孔626を通して、載置部材61に設けられたねじ孔(図示せず)に嵌合される。ねじ628が載置部材61のねじ孔に嵌合することで、カバー部622が本体部621に組付けられた状態では、移動制限ユニット62が挿通孔626の中心軸の回りに揺動可能となるように構成されている。つまり、挿通孔626は、移動制限ユニット62の揺動軸である。
【0047】
本体部621には、本体部621の長手方向に沿って移動可能な可動部623が設置されている。可動部623は、円筒状の突起623aと、突起623aの外縁に設けられたピニオンギア623pと、コイルばね624の取り付け部623cと、を有する。本体部621にはラックギア621rが形成されている。ピニオンギア623pがラックギア621rに嵌合することで、可動部623は、本体部621の長手方向に沿って移動可能である。
【0048】
カバー部622には、長手方向に沿って開口窓627が形成されている。カバー部622が本体部621に組付けられた状態では、可動部623の突起623aが開口窓627から突出する。
コイルばね624の一端は、可動部623の取り付け部623cに取り付けられ、コイルばね624の他端は、本体部621に設けられた突起621cに取り付けられる。コイルばね624の復元力は、本体部621の挿通孔626に向かって可動部623に付勢するように働いている。そのため、カバー部622が本体部621に組付けられた状態では、開口窓627から突出する突起623aは、開口窓627の孔622c側の端部の位置に配置される。
開口窓627において、孔622c側の端部の位置が第1位置の一例であり、その反対側の端部(つまり、孔622e側の端部)の位置が第2位置の一例である。
【0049】
可動部623(係合部材の一例)は、突起623aが開口窓627から突出することにより、横方向(つまり、一対の可動部材65L,65Rの進行方向)において可動範囲が開口窓627の範囲内に制限されている。可動部623は、ピニオンギア623pを介して可動部材65Rと係合した場合に、可動部材65L,65Rの移動範囲を制限することで、一対のロールガイド60L,60Rの移動を制限する。
【0050】
次に、移動制限ユニット62の動作について説明する。
図11及び図12の各図では、移動制限ユニット62に加え、可動部材65L,65R、ピニオンギア66p(ギア支持部66は不図示)、コイルばね652L,652Rを示してある。なお、各図では、一対の用紙ガイド60L,60Rの各々のガイド面60aを仮想線で示してある。ガイド面60a同士の間隔が一対の用紙ガイド60L,60Rの間隔である。各図では、移動制限ユニット62の内部の動作がわかるように、カバー部622等、移動制限ユニット62の一部の部材は表示していない。
【0051】
図11の状態S1は、移動制限ユニット62のレバー625が図4と同様に上位置にあり、移動制限ユニット62が全体として左上がりの配置となっている。このとき、移動制限ユニット62は、可動部材65Rと係合していないため、用紙ガイド60L,60Rは、移動制限ユニット62とは無関係に動作し、上記機能IIは働かない。
すなわち、用紙ガイド60L,60Rにそれぞれ連結された可動部材65L,65Rのラックギア65Lg,65Rg(第1ラックギアの一例)がピニオンギア66p(第1ピニオンギアの一例)と嵌合することで、用紙ガイド60L,60Rは、横方向に自在に移動可能である。このとき、可動部材65L,65Rは、ガイド面60a同士の間隔が狭くなる方向に、コイルばね652L,652Rによって付勢されている。移動制限ユニット62では、可動部623がコイルばね624の復元力によって付勢されているため、可動部623の突起623aは、開口窓627(仮想線で示す)の挿通孔626側の端部に配置される。
【0052】
ユーザがレバー625を上位置から下位置に移動させる操作を行うと、図12の状態S2となる。
状態S2では、移動制限ユニット62が全体的に水平となり、移動制限ユニット62の可動部623のピニオンギア623pが可動部材65Rのラックギア65Rg2(第2ピニオンギアの一例)と嵌合する。この状態では、開口窓627から突出する突起623aが挿通孔626側の端部に当接しているため、ピニオンギア623pと係合する可動部材65Rは、コイルばね652Rの付勢力にも関わらず左側に移動することができない。可動部材65Rと連動する可動部材65Lも、コイルばね652Lの付勢力にも関わらず右側に移動することができない。そのため、用紙ガイド60L,60Rは、その間隔が狭くなる方向に移動することができない。
【0053】
ピニオンギア623pとラックギア65Rg2が嵌合した後に、ユーザが用紙ガイド60L,60Rの間隔を広くする方向に用紙ガイド60L,60Rを操作した場合の状態が、図12の状態S3である。
用紙ガイド60Rに連結される可動部材65Rの右方向の移動に伴って、可動部材65Rのラックギア65Rg2が移動制限ユニット62のピニオンギア623pと嵌合することで、移動制限ユニット62の可動部623が右方向に移動可能である。このとき、移動制限ユニット62において、可動部623の突起623aは、開口窓627を右方向に移動する。
【0054】
図12の状態S2,S3で示したように、ユーザがレバー625を上位置から下位置に移動させる操作を行うと、用紙ガイド60L,60Rは、用紙ガイド60L,60Rの間隔を狭くする方向に移動することが規制される。その一方で、用紙ガイド60L,60Rは、コイルばね652L,652Rの付勢力に抗して、用紙ガイド60L,60Rの間隔を広くする方向に移動することが可能である。すなわち、ユーザがレバー625を上位置から下位置に移動させる操作を行うことで、上記機能IIが発揮される。
【0055】
以上説明したように、プリンタ1の用紙ガイドユニット6によれば、レバー625が上位置にある場合には、用紙ガイド60L,60Rは、ラックアンドピニオン機構によって横方向の自在に移動可能であるが、その間隔を狭くする方向に付勢されている(上記機能I)。そのため、任意のサイズ(幅)のロール紙Rの側面を支持するように構成されている。
【0056】
上記用紙ガイドユニット6によれば、レバー625を上位置から下位置に移動する操作がなされると、現在セットされている用紙ガイド60L,60Rの間隔を狭くする方向の移動が規制される(上記機能II)。それによって、同一サイズのロール紙Rを使用し続ける場合にロール紙Rの交換がしやすくなるという利点がある。つまり、同一サイズのロール紙Rに交換する場合であっても、各用紙ガイドの突出部60bをロール紙Rの紙管RC内に挿入するために用紙ガイド60L,60Rの間隔を僅かに広げる必要がある。この交換の際に、仮に、用紙ガイド60L,60Rが左方向及び右方向のいずれにも移動しないとしたならば、ロール紙Rを用紙ガイド60L,60Rの間に挿入することが困難となる。それに対して、用紙ガイドユニット6では、用紙ガイド60L,60Rをその間隔が広くする方向へ移動させることが可能であるため、新たなロール紙Rを用紙ガイド60L,60Rの間に挿入することが容易である。しかも、用紙ガイド60L,60Rはその間隔が狭くなる方向への移動が規制されているため、同一サイズのロール紙Rを交換する都度に用紙ガイド60L,60Rを大きく移動させる必要がなく、ロール紙Rの交換作業性に優れる。
【0057】
上記用紙ガイドユニット6によれば、ロール紙Rの交換作業が終了し、プリンタカバー3を閉じた場合には、用紙ガイド60L,60Rは、その間隔が狭くなる方向の移動はもとより、その間隔が広くなる方向の移動も規制される(上記機能III)。そのため、プリンタ1の使用時にロール紙Rが横方向に移動してしまうことがなく、プリンタ1を安定的に動作させることができる。
【0058】
別の実施形態の用紙ガイドユニット6では、上記機能I(用紙ガイド60L,60Rを狭くする方向に用紙ガイド60L,60Rを付勢する機能)が働かなくてもよい。上記機能Iが働かなくても、ユーザが用紙ガイド60L,60Rを操作することで任意のサイズのロール紙Rに用紙ガイド60L,60Rを支持させることができる。
【0059】
移動制限ユニット62のコイルばね624(付勢部材の一例)は、移動制限ユニット62が可動部材65Rと係合し始めるタイミングで、突起623aを開口窓627の挿通孔626側の端部の位置(端位置;第1位置の一例)に配置するために設けられている。それによって、移動制限ユニット62が可動部材65Rと係合した後に、可動部材65Rは、孔622c側の端部の位置からレバー625側の端部の位置に向かって(つまり、右側に)移動可能であるが、左側に移動することが規制される、すなわち、用紙ガイド60L,60Rをその間隔が狭くなる方向に移動することが規制される。
別の実施形態では、移動制限ユニット62は、コイルばね624を設けなくてもよい。例えば、コイルばね624に代えて、突起623aを上記端位置に配置するための操作レバー(スライダ)を設けてもよい。
【0060】
別の実施形態では、移動制限ユニットは、揺動動作によって可動部材65Rと係合するのではなく、並進動作によって可動部材65Rと係合してもよい。
この実施形態について図13及び図14を参照して説明する。図13に示す実施形態では、載置部材61の表面612に設けられたレバー625Aの上下方向のスライド動作に連動して、載置部材61の裏面に設けられた移動制限ユニット62A(図14参照)が一対の摺動面62wの間を上下方向に並進動作する。
図14に示すように、移動制限ユニット62Aの構成及び作用は、移動制限ユニット62と同一である。つまり、ピニオンギア623Apの中央部にある突起が開口窓627A内を移動可能であり、ピニオンギア623Apはコイルばね624Aによって開口窓627Aの端位置に向けて付勢されている。レバー625Aが下位置にセットされると、移動制限ユニット62Aのピニオンギア623Apが可動部材65Rのラックギア65Rg2に係合する。
【0061】
用紙ガイド60Rの係合部603g(図8参照)と、載置部材61の係合部612g(図5参照)との係合は、様々な態様と採ることができる。図15A及び図15Bは、それぞれ、載置部材61に設けられた係合部612g、及び、用紙ガイド60Rに設けられた係合部603gの断面の一部を拡大して示す図である。
図15Aを参照すると、一実施形態では、係合部603g及び係合部612gの溝形態は、矩形形状である。図15Bを参照すると、別の実施形態では、係合部603g及び係合部612gの溝形態は、鋸形状である。図15Bに示す溝形態の場合には、例えばプリンタカバー3の閉鎖後にプリンタ1を落下させた場合等、用紙ガイド60Rに外力(あるいは、内力(例えば、落下の影響によりロール紙が内部で暴れて外に出ようとする力:内側から外側に向かう力)の場合もある)が加わった場合に、係合部603gと係合部612gの係合が解除され、係合部612gの溝を乗り越えて係合部603gの溝が横方向に移動可能となる。そのため、各係合部の溝が破損することが防止される。
【0062】
以上、本発明のプリンタの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。例えば、上述した実施形態に記載した個々の技術的特徴は、技術的矛盾がない限り、適宜組み合わせることが可能である。
【0063】
プリンタ1の内部の部品の一部(例えば、軸、ばねの一端等)が内部フレームに連結されている場合について説明したが、その限りではなく、本体ケース2に連結されていてもよい。
【0064】
以上の説明では、印字媒体の一例であるロール紙の元となる連続紙として、複数枚のラベルを台紙に仮着した連続紙を用いる場合を例に挙げたが、その限りではない。連続紙は、一方の面に接着面を有する連続状のラベル(台紙無しラベル)であってもよいし、接着面を有しない連続状のシート(連続シート)であってもよい。連続紙の材料は紙類に限られず、サーマルヘッドによって印字可能なフィルム等を使用することもできる。接着剤が露出する台紙無しラベルなどを搬送する場合には、搬送路を非接着剤で被覆するとともにシリコーンなど含有した非接着ローラをプラテンローラとして設けることができる。
【0065】
以上の説明では、印字媒体の一例としてロール紙を使用する場合を挙げたが、印字媒体はその限りではない。印字媒体としてファンフォールド紙を適用することができる。ファンフォールド紙を使用する場合には、ロール紙収容室9の底部に開口(図示せず)を設け、当該開口からプリンタ1の外部に配置したファンフォールド紙を取り込み、ロール紙収容室9を挿通させる。ファンフォールド紙を使用する場合には、一対の用紙ガイド60L,60Rは、ファンフォールド紙の両側部をガイドする。
【符号の説明】
【0066】
1…プリンタ
2…本体ケース
3…プリンタカバー
35…センサ
4…剥離ユニット
41…剥離ローラカバー
42…剥離ローラ保持部
6…用紙ガイドユニット
60L,60R…用紙ガイド
601…ガイドコア
601a…爪部
60a…ガイド面
60b…突出部
602…ガイドコア保持部
602a…開口
602b…摺動部
603…回転部材
603a…開口
603b…作動部
603bs…当接面
603g…係合部
604…コイルばね
61…載置部材
61b,61La,61Ra…開口
611…底面
612…表面
612g…係合部
61As…レバー摺動面
62、62A…移動制限ユニット
62w…摺動面
621…本体部
621a,621b,621c,621e…突起
621r…ラックギア
622,622A…カバー部
622a,622b…切欠部
622c,622d,622e…孔
623…可動部
623a…突起
623c…取り付け部
623p,623Ap…ピニオンギア
624,624A…コイルばね
625,625A…レバー
626…挿通孔
627,627A…開口窓
628…ねじ
65L,65R…可動部材
65Lg,65Rg,65Rg2…ラックギア
651L,651R…取り付け部
652L,652R…コイルばね
66…ギア支持部
66p…ピニオンギア
8…ヒンジ
81…ヒンジ軸
9…ロール紙収容室
10…プラテンローラ
10a…プラテン軸
10b…ギア
12…剥離バー
15…表示パネル
20…排出部
22b…ギア
27…プラテン保持ブラケット
28…サーマルヘッド
29…コイルばね
51b…カバー開放用ボタン
52b…剥離ユニット開放用ボタン
55…コイルばね
P…連続紙
PM…台紙
PL…ラベル
R…ロール紙
RC…紙管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15